(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】機械的特性が改善された発泡用プロピレン組成物
(51)【国際特許分類】
C08J 9/04 20060101AFI20240205BHJP
B29C 44/00 20060101ALI20240205BHJP
B29C 45/00 20060101ALI20240205BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20240205BHJP
C08K 3/34 20060101ALI20240205BHJP
C08L 23/14 20060101ALI20240205BHJP
C08L 23/16 20060101ALI20240205BHJP
【FI】
C08J9/04 101
B29C44/00 D
B29C45/00
C08J9/04 CES
C08K3/013
C08K3/34
C08L23/14
C08L23/16
(21)【出願番号】P 2022529460
(86)(22)【出願日】2020-11-09
(86)【国際出願番号】 EP2020081415
(87)【国際公開番号】W WO2021104836
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-07-19
(32)【優先日】2019-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】513276905
【氏名又は名称】ボレアリス・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】BOREALIS AG
(74)【代理人】
【識別番号】100102141
【氏名又は名称】的場 基憲
(74)【代理人】
【識別番号】100137316
【氏名又は名称】鈴木 宏
(72)【発明者】
【氏名】ミレーヴァ ダニエラ
(72)【発明者】
【氏名】ワン ジンボ
(72)【発明者】
【氏名】ベルンライトナー クラウス
(72)【発明者】
【氏名】ガーライトナー マルクス
【審査官】古妻 泰一
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03456776(EP,A1)
【文献】特開2011-126984(JP,A)
【文献】特開2006-249350(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/04
B29C 44/00
B29C 45/00
C08K 3/013
C08K 3/34
C08L 23/14
C08L 23/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリプロピレン組成物(C)
を有する発泡物品であって:
ポリプロピレン組成物(C)が、
i) 上記組成物の総重量に対し、55.0wt.%から95.0wt.%までの異相プロピレンコポリマー(HECO);
ii) 上記組成物の総重量に対し、5.0wt.%から45.0wt.%までの
コポリマー(CP);
を有し;
コポリマー(CP)は、シングルサイト触媒の存在下で合成された、プロピレンとC
4
-C
10
アルファ-オレフィンの群より選択される少なくとも1種のコモノマーとのコポリマーであり;
コポリマー(CP)は、示差走査熱量測定(DSC)により測定される、120℃から155℃までの範囲内の溶融温度(Tm)を有し;
ポリプロピレン組成物(C)が、230℃及び2.16kgにてISO 1333に従って測定される1.0g/10minから30.0g/10minまでのメルトフローレートMFR
2を有し;
ポリプロピレン組成物(C)が、23℃にてISO 179-1eAに従って測定される16.0kJ/m
2の又はそれを超えるノッチ付きシャルピー衝撃強さNISを有する;
発泡物品。
【請求項2】
上記組成物がさらに、
c) 上記組成物の総重量に対し、0wt.%から15wt.%までの無機フィラー(F);を有する;請求項1に記載の
発泡物品。
【請求項3】
コポリマー(CP)が、0.1mol.%から5.0mol.%までのコモノマー含量を有する;請求項1又は2に記載の
発泡物品。
【請求項4】
コポリマー(CP)が、230℃及び2.16kgにてISO 1333に従って測定される、0.1g/10minから10.0g/10minまでの範囲内のメルトフローレートMFR
2を有する;請求項1から3のいずれか1項に記載の
発泡物品。
【請求項5】
コポリマー(CP)が、23℃にてISO 16152に従って決定される、0.1wt.%から7.5wt.%までの範囲内の低温キシレン可溶性画分(XCS)を有する;請求項1から4のいずれか1項に記載の
発泡物品。
【請求項6】
コポリマー(CP)が、プロピレンと1-ブテンとのコポリマー又はプロピレンと1-ヘキセンとのコポリマーである、請求項1から
5のいずれか1項に記載の
発泡物品。
【請求項7】
異相プロピレンコポリマー(HECO)が、
i)
13C-NMR分光法により決定される、5.0wt.%~20.0wt.%の範囲内のエチレン含量;及び/又は、
ii) 230℃及び2.16kgにてISO 1333に従って測定される、5.0g/10minから50.0g/10minまでの範囲内のメルトフローレートMFR
2;及び/又は、
iii) 23℃にてISO 16152に従って決定される、18.0wt.%から40.0wt.%までの範囲内の低温キシレン可溶性画分(XCS);及び/又は、
iv) DIN ISO 1628/1、October 1999(デカリン中135℃)に従って測定される、2.0dl/gから4.0dl/gまでの範囲内の、上記低温キシレン可溶性画分の固有粘度(iV);及び/又は、
v) 23℃にてISO 179-1 eAに従って測定される、10.0kJ/m
2~30.0kJ/m
2の範囲内のノッチ付きシャルピー衝撃強さNIS;及び/又は、
vi) ISO 178に従って測定される、800MPa~1500MPaの範囲内の曲げ弾性率;
を有する;請求項1から
6のいずれか1項に記載の
発泡物品。
【請求項8】
無機フィラー(F)が、マイカ、ウォラストナイト、カオリナイト、スメクタイト、モンモリロナイト、タルク及びこれらの混合物の群より
選択される;請求項1から
7のいずれか1項に記載の
発泡物品。
【請求項9】
ポリプロピレン組成物(C)が、
i) ISO 527-1、-2に従って測定される、900MPa~2500MPaの範囲内の引張弾性率;及び/又は、
ii) ISO 178に従って測定される、850Mpa~2500MPaの範囲内の曲げ弾性率;及び/又は、
iii) 示差走査熱量測定(DSC)により測定される、155℃から172℃までの範囲内の溶融温度(Tm);及び/又は、
iv) 示差走査熱量測定(DSC)により測定される、116℃から136℃までの範囲内の結晶化温度(Tc);及び/又は、
v) 23℃にてISO 6603-2に従って測定される、10.0Jから50.0Jまでの範囲内のパンクチャーエネルギー;及び/又は、
vi) -30℃にてISO 6603-2に従って測定される、25.0Jから60.0Jまでの範囲内のパンクチャーエネルギー;及び/又は、
vii) ISO 527に従って測定される、30%から750%までの範囲内の破断伸び;及び/又は、
viii) EN DIN ISO 294-4に従って測定される、2.0%未満のフロー収縮率;及び/又は、
ix) EN DIN ISO 294-4に従って測定される、2.2%未満のクロスフロー収縮率;
を有する;請求項1から
8のいずれか1項に記載の
発泡物品。
【請求項10】
発泡射出成形物品である、請求項1から9のいずれか1項に記載の発泡物品。
【請求項11】
前記
発泡物品が:
i) ISO 178に従って測定される、600MPa~1200MPaの範囲内の曲げ弾性率;及び/又は、
ii) 23℃にてISO 6603-2に従って測定される、6.0Jの又はそれより大きな最大衝撃力時エネルギー;及び/又は、
iii) 23℃にてISO 6603-2に従って測定される、7.0Jの又はそれより大きなパンクチャーエネルギー;
を有する;
請求項1から10のいずれか1項に記載の発泡物品。
【請求項12】
ISO 178に従って測定される曲げ弾性率が、非発泡射出成形物品のISO 178に従って測定される曲げ弾性率よりも200MPa~650MPa低い;
請求項1から11のいずれか1項に記載の発泡物品。
【請求項13】
異相プロピレンコポリマーを有する組成物におけるコポリマー(CP)の使用であって、発泡物品の製造のための使用;
ただし、コポリマー(CP)は、シングルサイト触媒の存在下で合成された、プロピレンとC
4
-C
10
アルファ-オレフィンの群より選択される少なくとも1種のコモノマーとのコポリマーであり;
コポリマー(CP)は、示差走査熱量測定(DSC)により測定される、120℃から155℃までの範囲内の溶融温度(Tm)を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異相プロピレンコポリマー(HECO)、及び、プロピレンとC4-C10アルファ-オレフィンの群より選択される少なくとも1種のコモノマーとのコポリマー(CP)であって、シングルサイト触媒の存在下で合成されたコポリマー(CP)、を有するポリプロピレン組成物(C)に関する。本発明はさらに、当該ポリプロピレン組成物(C)を有する射出成形物品、及び、当該プロピレン組成物(C)を有する発泡物品(foamed article)に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリプロピレンは多くの用途に使用されており、例えば、自動車における用途等の多くの分野で材料として選択されている。これは、必要とされる具体的な目的に適合させることができるからである。しかしながら、プラスチック産業における近年の需要は軽量化に向いている。射出成形によりポリマー化合物を発泡させる技術(FIM)が科学的に及び工業的に広く関心を集めている。これは、この技術により、高い形状精度を有し、寸法安定性が改善された低密度の部品を製造することができるからである。この技術を用いることにより、セルラーコア(cellular core)及びソリッドスキン(solid skin)を有する製品を単一の操作で成形することができる。基本的に、FIMは、ポリマーメルト中に不活性ガスを分散させ、又は、樹脂を加熱下で不活性ガスを放出する化学発泡(又は、起泡)剤とプレブレンドするため、不活性ガスを使用する。次いで、気泡はメルト内で膨張し、モールドを満たし、内部気泡構造(internal cellular structure)を造る。発泡剤を含有する熱可塑性樹脂の射出成形においては、混合物を十分な背圧下に置いて、ガスを保持し、膨張が早く起きすぎることを防ぐ。重量に関する要求に応じて、特定の量の材料を添加し、メルトをモールド内に射出する。十分に高い対抗圧を加えない限り、捕捉されたガスはメルト/ガス混合物が空のモールドに入るとすぐに膨張する。発泡プラスチックにおいて優れた機械的特性及び良好な放出性(emissions)を得るためには、均一で高い気泡密度の微細構造が重要であり、これを達成することはFIMにおいて重要であり、プロセス条件により制御することができる。小さな膜厚、小さな気泡サイズ及び狭い気泡サイズ分布に関し高品質の発泡体を製造するために、発泡剤含量、モールド温度、メルト温度、射出圧及び背圧等のプロセス条件の影響を変化させることはよく知られている。しかしながら、発泡構造物及び放出性に対するポリマー設計の影響についてはこれまでほとんど研究がなされていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
結果、優れた発泡性を有するポリプロピレン組成物がなお必要とされている。さらに、これらのポリプロピレン組成物により、微細な気泡構造を有すると同時に、機械的特性の良好なバランスを保持した発泡体部品が得られることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の知見によれば、優れた発泡性と発泡体部品の機械的特性の良好なバランスとを併せ持つポリプロピレン組成物は、特定の異相プロピレンコポリマーとプロピレンの特定のコポリマーの組み合わせにより得ることができる。
【0005】
要約
本発明は、ポリプロピレン組成物(C)であって:
i) 上記組成物の総重量に対し、55.0wt.%から95.0wt.%までの異相プロピレンコポリマー(HECO);
ii) 上記組成物の総重量に対し、5.0wt.%から45.0wt.%までのコポリマー(CP)、好ましくはランダムコポリマーであって、プロピレンとC4-C10アルファ-オレフィンの群より選択される少なくとも1種のコモノマーとのコポリマーであり、シングルサイト触媒の存在下で合成されたコポリマー(CP);
を有し;
ポリプロピレン組成物(C)が、230℃及び2.16kgにてISO 1333に従って測定される1.0g/10minから30.0g/10minまでのメルトフローレートMFR2を有し;
ポリプロピレン組成物(C)が、23℃にてISO 179-1eAに従って測定される16.0kJ/m2の又はそれを超えるノッチ付きシャルピー衝撃強さ(Charpy Notched Impact Strength)NISを有する;
ポリプロピレン組成物(C)に関する。
【0006】
本発明はさらに、ポリプロピレン組成物(C)を有する射出成形物品に関する。
【0007】
本発明はまた、ポリプロピレン組成物(C)を有する発泡物品、好ましくは発泡射出成形物品に関する。
【0008】
最後に、本発明はまた、コポリマー(CP)、好ましくはランダムコポリマーであって、プロピレンとC4-C10アルファ-オレフィンの群より選択される少なくとも1種のコモノマーとのコポリマーであり、シングルサイト触媒の存在下で合成されたコポリマー(CP)の、異相プロピレンコポリマーを有する組成物における使用であって、引張又は曲げ弾性率を顕著に減少させることなく、上記組成物のノッチ付きシャルピー衝撃強さ及び/又は破断伸び(elongation at break)を増大させるための使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本発明をより詳細に定義する。
【0010】
詳細な記述
定義
プロピレンホモポリマーは本質的にプロピレンモノマー単位からなるポリマーである。特に商業的重合プロセスにおける不純物により、プロピレンホモポリマーは、0.1mol%までのコモノマー単位、好ましくは0.05mol%までのコモノマー単位、最も好ましくは0.01mol%までのコモノマー単位を有することがある。
【0011】
プロピレンランダムコポリマーは、プロピレンモノマー単位とコモノマー単位、好ましくはエチレン及びC4-C12アルファ-オレフィンから選択されるコモノマー単位とのコポリマーであって、コモノマー単位がポリマー鎖にランダムに分布するコポリマーである。プロピレンランダムコポリマーは、炭素原子の量において異なる1又は2種以上のコモノマーからのコモノマー単位を有することができる。以下において、別段の記載が無い限り、量は重量%(wt.%)で記載する。
【0012】
異相ポリプロピレンは、結晶マトリクス相及びその中に分散したエラストマー相を有するプロピレン系コポリマーであり、結晶マトリクス相は、プロピレンホモポリマー、又は、プロピレンと少なくとも1種のアルファ-オレフィンコモノマーとのランダムコポリマーであることができる。ランダム異相プロピレンコポリマーの場合には、当該結晶マトリクス相は、プロピレンと少なくとも1種のアルファ-オレフィンコモノマーとのランダムコポリマーである。
【0013】
上記エラストマー相は多量のコモノマーを有するプロピレンコポリマーであることができ、上記コモノマーはポリマー鎖中にランダムに分布せず、コモノマーに富んだブロック構造及びプロピレンに富んだブロック構造中に分布する。異相ポリプロピレンは通常、マトリクス相とエラストマー相に帰属される2つの別個のガラス転移温度Tgを示す点で単相プロピレンコポリマーと区別される。
【0014】
ポリプロピレン組成物(C)
本発明のポリプロピレン組成物(C)は数種の本質的な成分を有し、これには異相プロピレンコポリマー(HECO)及びプロピレンのコポリマー(CP)、好ましくはランダムコポリマーが含まれる。従って、プロピレン組成物(C)は:
i) 上記組成物の総重量に対し、55.0wt.%から95.0wt.%までの異相ポリプロピレンコポリマー(HECO);
ii) 上記組成物の総重量に対し、5.0wt.%から45.0wt.%までのコポリマー(CP)、好ましくはランダムコポリマーであって、プロピレンとC4-C10アルファ-オレフィンの群より選択される少なくとも1種のコモノマーとのコポリマーであり、シングルサイト触媒の存在下で合成されたコポリマー(CP);
を有し;
ポリプロピレン組成物(C)は、230℃及び2.16kgにてISO 1333に従って測定される1.0g/10minから30.0g/10minまでのメルトフローレートMFR2を有し;
ポリプロピレン組成物(C)は、23℃にてISO 179-1eAに従って測定される16.0kJ/m2の又はそれを超えるノッチ付きシャルピー衝撃強さNISを有する。
【0015】
好ましい態様において、本発明のポリプロピレン組成物(C)は:
i) 上記組成物の総重量に対し、55.0wt.%から95.0wt.%までの異相ポリプロピレンコポリマー(HECO);
ii) 上記組成物の総重量に対し、5.0wt.%から45.0wt.%までのコポリマー(CP)、好ましくはランダムコポリマーであって、プロピレンとC4-C10アルファ-オレフィンの群より選択される少なくとも1種のコモノマーとのコポリマーであり、シングルサイト触媒の存在下で合成されたコポリマー(CP);
iii) 上記組成物の総重量に対し、0wt.%から15wt.%までの無機フィラー;
を有し;
ポリプロピレン組成物(C)は、230℃及び2.16kgにてISO 1333に従って測定される1.0g/10minから30.0g/10minまでのメルトフローレートMFR2を有し;
ポリプロピレン組成物(C)は、23℃にてISO 179-1eAに従って測定される16.0kJ/m2の又はそれを超えるノッチ付きシャルピー衝撃強さNISを有する。
【0016】
本発明のポリプロピレン組成物(C)は、上記の本質的成分に加えて、さらなる成分を有することができる。しかしながら、異相プロピレンコポリマー(HECO)、プロピレンのコポリマー(CP)、好ましくはランダムコポリマー及び任意のフィラー(F)の個々の含有量は、ポリプロピレン組成物(C)の総重量に対して、合計で少なくとも90wt.%、より好ましくは少なくとも95wt.%であることが好ましい。
【0017】
典型的なさらなるポリマー成分は、例えば、添加剤(その選択は当業者に周知である。)及び添加剤をポリプロピレン組成物(C)に導入するために使用されるマスターバッチポリプロピレンであろう。
【0018】
典型的な添加剤は、酸化防止剤、防滑剤、核形成剤、擦り傷防止剤、スコーチ防止剤、金属不活性化剤、UV安定剤、酸捕捉剤、滑剤、帯電防止剤、顔料等並びにそれらの組み合わせから選択される。これらの添加剤はポリマー産業において周知であり、それらの使用について当業者は精通している。存在するいかなる添加剤も、独立の原料として、あるいは、担体ポリマーとの混合物の形態で、すなわちいわゆるマスターバッチの形態で加えてよい。
【0019】
態様の1つにおいて、本発明のポリプロピレン組成物(C)は:
i) 55.0wt.%から95.0wt.%までの異相プロピレンコポリマー(HECO);
ii) 5.0wt.%から45.0wt.%までのプロピレンのコポリマー(CP)、好ましくはランダムコポリマー;及び、
iii) 任意で、0wt.%から15wt.%までの無機フィラー(F);
を有する。
【0020】
ポリプロピレン組成物(C)中の異相プロピレンコポリマー(HECO)の含有量は、55.0wt.%から95.0wt.%まで、より好ましくは58wt.%から92wt.%まで、最も好ましくは60wt.%から90wt.%までである。
【0021】
ポリプロピレン組成物(C)中のプロピレンのコポリマー(CP)、好ましくはランダムコポリマーの含有量は、5.0wt.%から45.0wt.%まで、より好ましくは8.0wt.%から42.0wt.%まで、最も好ましくは10.0wt.%から40.0wt.%までである。
【0022】
従って、ポリプロピレン組成物(C)は:
i) 58.0wt.%から92.0wt.%までの異相プロピレンコポリマー(HECO);
ii) 8.0wt.%から42.0wt.%までのプロピレンのコポリマー(CP)、好ましくはランダムコポリマー;及び、
iii) 任意で、0wt.%から15wt.%までの無機フィラー(F);
を有することが好ましい。
【0023】
さらに、ポリプロピレン組成物(C)は:
i) 60.0wt.%から90.0wt.%までの異相プロピレンコポリマー(HECO);
ii) 10.0wt.%から40.0wt.%までのプロピレンのコポリマー(CP)、好ましくはランダムコポリマー;及び、
iii) 任意で、0wt.%から15wt.%までの無機フィラー(F);
を有することが好ましい。
【0024】
ポリプロピレン組成物(C)を製造し、さらに加工することには、例えば従来の調合又はブレンド装置、例えばバンバリーミキサー、2ロールラバーミル、ブスコニーダー又は2軸押出機を用いて、ポリプロピレン組成物(C)の個々の成分を混合することが含まれる。典型的な押出温度は、170℃~270℃の範囲内、又は、より好ましくは180℃~240℃の範囲内である。
【0025】
本発明のポリプロピレン組成物(C)は、230℃及び2.16kgにてISO 1333に従って測定される、1.0g/10minから30.0g/10minまで、好ましくは2.0g/10minから20.0g/10minまで、より好ましくは3.0g/10minから15.0g/10minまで、最も好ましくは4.0g/10minから13.0g/10minまでの範囲内のメルトフローレートMFR2を有する。
【0026】
本発明のポリプロピレン組成物(C)は、23℃にてISO 179-1eAに従って測定される、16.0kJ/m2の又はそれを超える、好ましくは21.0kJ/m2の又はそれを超える、より好ましくは25.0kJ/m2の又はそれを超える、最も好ましくは27.0kJ/m2の又はそれを超える、ノッチ付きシャルピー衝撃強さNISを有する。
【0027】
本発明のポリプロピレン組成物(C)は、好ましくは、ISO 527-1、-2に従って測定される、900MPaから2500MPaまでの範囲内、より好ましくは950MPaから2200MPaまでの範囲内の、最も好ましくは1000MPaから2000MPaまでの範囲内の引張弾性率を有する。
【0028】
本発明のポリプロピレン組成物(C)は、好ましくは、ISO 178に従って測定される、850MPaから2500MPaまでの範囲内の、より好ましくは900MPaから2200MPaまでの範囲内の、最も好ましくは950MPaから2000MPaまでの範囲内の曲げ弾性率を有する。
【0029】
本発明のポリプロピレン組成物(C)は、好ましくは、示差走査熱量測定(DSC)により測定される、155℃から172℃までの範囲内の、より好ましくは158℃から170℃までの範囲内の、最も好ましくは160℃から167℃までの範囲内の溶融温度(Tm)を有する。
【0030】
本発明のポリプロピレン組成物(C)は、好ましくは、示差走査熱量測定(DSC)により測定される、116℃から136℃までの範囲内の、より好ましくは120℃から133℃までの範囲内の、最も好ましくは124℃から130℃までの範囲内の結晶化温度(Tc)を有する。
【0031】
本発明のポリプロピレン組成物(C)は、好ましくは、23℃にてISO 6603-2に従って測定される、10.0Jから50.0Jまでの範囲内の、より好ましくは15.0Jから46.0Jまでの範囲内の、最も好ましくは20.0Jから42.0Jまでの範囲内のパンクチャーエネルギーを有する。
【0032】
本発明のポリプロピレン組成物(C)は、好ましくは、-30℃にてISO 6603-2に従って測定される、25.0Jから60.0Jまでの範囲内の、より好ましくは30.0Jから55.0Jまでの、最も好ましくは35.0Jから50.0Jまでの範囲内のパンクチャーエネルギーを有する。
【0033】
本発明のポリプロピレン組成物(C)は、好ましくは、ISO 527に従って測定される、30%から750%までの範囲内の、より好ましくは35%から600%までの、最も好ましくは40%から500%までの範囲内の破断伸びを有する。
【0034】
本発明のポリプロピレン組成物(C)は、好ましくは、EN DIN ISO 294-4に従って測定される、2.0%未満の、より好ましくは1.8%未満の、最も好ましくは1.6%未満のフロー収縮率(shrinkage in flow)を有する。
【0035】
本発明のポリプロピレン組成物(C)は、好ましくは、EN DIN ISO 294-4に従って測定される、2.2%未満の、より好ましくは2.0%未満の、最も好ましくは1.8%未満のクロスフロー収縮率(shrinkage cross flow)を有する。
【0036】
異相プロピレンコポリマー(HECO)
本発明の異相プロピレンコポリマー(HECO)は、好ましくは、13C-NMR分光法により決定される、5.0wt.%から20.0wt.%までの範囲内の、より好ましくは7.0wt.%から17.0wt.%までの、最も好ましくは9.0wt.%から15.0wt.%までの範囲内のエチレン含量を有する。
【0037】
本発明の異相プロピレンコポリマー(HECO)は、好ましくは、230℃及び2.16kgにてISO 1333に従って測定される、5.0g/10minから50.0g/10minまでの範囲内の、より好ましくは10.0g/10minから40.0g/10minまでの、最も好ましくは12.0g/10minから30.0g/10minまでの範囲内のメルトフローレートMFR2を有する。
【0038】
本発明の異相プロピレンコポリマー(HECO)は、好ましくは、23℃にてISO 16152に従って決定される、18.0wt.%から40.0wt.%までの範囲内の、より好ましくは20.0wt.%から37.0wt.%までの範囲内の、最も好ましくは23.0wt.%から35.0wt.%までの範囲内の、例えば25.0wt.%から33.0wt.%までの範囲内の低温キシレン可溶性画分(XCS)を有する。
【0039】
本発明の異相プロピレンコポリマー(HECO)は、好ましくは、DIN ISO 1628/1、October 1999(デカリン中135℃で)に従って測定される、2.0dl/gから4.0dl/gまでの範囲内の、より好ましくは2.5dl/gから3.5dl/gまでの範囲内の、最も好ましくは2.7dl/gから3.3dl/gまでの範囲内の、例えば2.9dl/gから3.2dl/gまでの範囲内の、上記低温キシレン可溶性画分の固有粘度(iV)を有する。
【0040】
本発明の異相プロピレンコポリマー(HECO)は、好ましくは、23℃にてISO 179-1 eAに従って測定される、10.0kJ/m2から30.0kJ/m2までの範囲内の、より好ましくは12.0kJ/m2から25.0kJ/m2までの、最も好ましくは13.0kJ/m2から20.0kJ/m2までの範囲内のノッチ付きシャルピー衝撃強さNISを有する。
【0041】
本発明の異相プロピレンコポリマー(HECO)は、好ましくは、ISO 178に従って測定される、800MPaから1500MPaまでの範囲内の、より好ましくは850MPaから1300MPaまでの、最も好ましくは900MPaから1100MPaまでの範囲内の曲げ弾性率を有する。
【0042】
好ましい態様によれば、本発明の異相プロピレンコポリマー(HECO)は、不均一チーグラー-ナッタ型触媒系を用いて重合され、及び/又は、多段重合プラントで重合されている。
【0043】
コポリマー(CP)
本発明のコポリマー(CP)、好ましくはランダムコポリマーは、プロピレンとC4-C10アルファオレフィンの群より選択される少なくとも1種のコモノマーとのコポリマーであって、シングルサイト触媒の存在下で合成されたコポリマーであり、好ましくは、プロピレンと1-ブテンとのコポリマー又はプロピレンと1-ヘキセンとのコポリマーであって、シングルサイト触媒の存在下で合成されたコポリマーである。
【0044】
本発明のコポリマー(CP)、好ましくはランダムコポリマーは、好ましくは、230℃及び2.16kgにてISO 1333に従って測定される、0.1g/10minから10.0g/10minまでの範囲内の、より好ましくは0.2g/10minから7.0g/10minまでの、なおより好ましくは0.3g/10minから4.0g/10minまでの、最も好ましくは0.5g/10minから2.0g/10minまでのメルトフローレートMFR2を有する。
【0045】
本発明のコポリマー(CP)、好ましくはランダムコポリマーは、好ましくは、23℃にてISO 16152に従って決定される、0.1wt.%から7.5wt.%までの範囲内の、より好ましくは0.2wt.%から5.0wt.%までの、なおより好ましくは0.3wt.%から3.0wt.%までの、最も好ましくは0.4wt.%から2.0wt.%までの範囲内の低温キシレン可溶性画分(XCS)を有する。
【0046】
本発明のコポリマー(CP)、好ましくはランダムコポリマーは、好ましくは、示差走査熱量測定(DSC)により測定される、120℃から155℃までの範囲内の、より好ましくは130℃から150℃までの、最も好ましくは135℃から145℃までの範囲内の溶融温度(Tm)を有する。
【0047】
本発明のコポリマー(CP)、好ましくはランダムコポリマーは、好ましくは、0.1mol.%から5.0mol.%までの、より好ましくは0.5mol.%から4.5mol.%までの、なおより好ましくは1.0mol.%から4.0mol.%までの、最も好ましくは1.5mol.%から3.5mol.%までの範囲内のコモノマー含量を有する。
【0048】
好ましい態様の1つによれば、本発明のコポリマー(CP)は、
i) 0.05mol.%以上1.9mol.%未満の範囲内の1-ヘキセン含量を有する、プロピレンと1-ヘキセンとの第1ランダムプロピレンコポリマー(CP-A)を30wt.%~70wt.%;及び、
ii) 第1ランダムプロピレンコポリマー(CP-A)より高い1-ヘキセン含量を有する、プロピレンと1-ヘキセンとの第2ランダムプロピレンコポリマー(CP-B)を70wt.%~30wt.%;
有する、プロピレンと1-ヘキセンとのランダムコポリマーであり、
コポリマー(CP)は0.5mol.%~4.5mol.%の範囲内の全体1-ヘキセン含量を有し;
コポリマー(CP)は0.2wt.%~5.0wt.%の範囲内のキシレン可溶分含量(XCS)を有する。
【0049】
別の好ましい態様によれば、本発明のコポリマー(CP)は、
i) 0.4mol.%~7.7mol.%の1-ブテン含量を有するプロピレンブテンコポリマー(CP-A)を30wt%~70wt%;及び、
(ii) 0.8mol.%~6.1mol.%の1-ブテン含量を有するプロピレンブテンコポリマー(CP-B)を70wt%~30wt%;
有する、プロピレンと1-ブテンとのランダムコポリマーであり、
コポリマー(CP)は、1.0g/10min~20.0g/10minのMFR及び1.1mol.%~6.1mol.%の1-ブテン含量を有し;
コポリマー(CP-A)と(CP-B)は異なる。
【0050】
プロピレンのコポリマー(CP)の製造
コポリマー(CP)は、好ましくはプロピレンのランダムコポリマーであり、以下に詳細に定義する方法により特に得ることができ、好ましくは得られる。
【0051】
先に定義したポリプロピレン組成物(C)中に存在するプロピレンのランダムコポリマー(CP)の製造プロセスは、直列に接続された少なくとも2つの反応器を有する逐次重合プロセスであり、当該プロセスは下記の工程を有し:
(A) スラリー反応器(SR)、好ましくはループ反応器(LR)である第1反応器(R-1)内で、プロピレンとC4-C10アルファオレフィンの群より選択される少なくとも1種のコモノマーとを重合させて、第1ランダムプロピレンコポリマー(A)を得る工程;
(B) 当該第1ランダムプロピレンコポリマー(A)及び上記第1反応器(R-1)の未反応コモノマーを、気相反応器(GPR-1)である第2反応器(R-2)内に移す工程;
(C) 当該第2反応器(R-2)に、プロピレン、及び、C4-C10アルファオレフィンの群より選択される少なくとも1種のコモノマーをフィードする工程;
(D) 当該第2反応器(R-2)内で、当該第1ランダムプロピレンコポリマー(A)の存在下、プロピレンとC4-C10アルファオレフィンの群より選択される少なくとも1種のコモノマーとを重合させて、第2ランダムプロピレンコポリマー(B)を得る工程であって、当該第1ランダムプロピレンコポリマー(A)と当該第2ランダムプロピレンコポリマー(B)が、本発明に定義するランダムコポリマー(CP)を形成する工程;
さらに、
上記第1反応器(R-1)及び第2反応器(R-2)内で、上記重合は固体触媒系(SCS)の存在下で起こり、当該固体触媒系(SCS)は、
(i) 式(I)の遷移金属化合物
Rn(Cp)2MX2 (I)
(式中、
「M」はジルコニウム(Zr)又はハフニウム(Hf)であり;
各「X」は、独立に、1価のアニオン性σ-リガンドであり;
各「Cp」は、未置換若しくは置換及び/若しくは縮合シクロペンタジエニル、置換若しくは未置換インデニル又は置換若しくは未置換フルオレニルからなる群より独立に選択されるシクロペンタジエニル-型有機リガンドであり、当該有機リガンドは遷移金属(M)に配位し;
「R」は、当該有機リガンド(Cp)を連結させる二価の架橋基であり;
「n」は、1又は2、好ましくは1である。);
(ii) 任意で、周期表(IUPAC)の第13族の元素(E)を有する共触媒(Co)、好ましくは、Al及び/又はBの化合物を有する共触媒(Co);
を有する。
【0052】
ランダムコポリマー(CP)、第1ランダムプロピレンコポリマー(A)及び第2ランダムプロピレンコポリマー(B)の定義に関しては、先に記載した定義が参照される。
【0053】
固体触媒系(SCS)については以下により詳細に定義される。
【0054】
「逐次重合プロセス」という用語は、ランダムコポリマー(CP)が直列に接続された少なくとも2つの反応器内で製造されることを示す。より正確には、本出願において、「逐次重合プロセス」という用語は、第1反応器(R-1)のポリマーが、未反応コモノマーとともに第2反応器(R-2)に直接移されることを示す。従って、本発明のプロセスの重要な側面は、2つの異なる反応器内におけるランダムコポリマー(CP)の製造であり、第1反応器(R-1)の反応物質は、第2反応器(R-2)に直接移される。従って、本発明のプロセスは、少なくとも第1反応器(R-1)及び第2反応器(R-2)を有する。具体的な態様の1つにおいて、本発明のプロセスは2つの重合反応器(R-1)及び(R-2)からなる。「重合反応器」という用語は、主要な重合がそこで起こることを示す。従って、上記プロセスが2つの重合反応器からなる場合、この定義は、全体のプロセスが、例えばプレ重合反応器におけるプレ重合工程を含むという選択肢を除外しない。「からなる(consist of)」という用語は、主重合反応器に関連した限定的表現にすぎない。
【0055】
第1反応器(R-1)はスラリー反応器(SR)であり、スラリー状態で稼働する、任意の連続若しくは単純撹拌型のバッチタンク反応器又はループ反応器であってよい。本発明によれば、スラリー反応器(SR)は好ましくはループ反応器(LR)である。
【0056】
第2反応器(R-2)及び任意の後続の反応器は気相反応器(GPR)である。かかる気相反応器(GPR)は、任意の機械混合式又は流動床反応器であってよい。好ましくは、気相反応器(GPR)は、ガス速度が少なくとも0.2m/secである機械撹拌式流動床反応器を含む。従って、気相反応器(GPR)は、好ましくはメカニカルスターラーを備えた、流動床型の反応器であることが好ましい。
【0057】
各反応器における条件(温度、圧力、反応時間、モノマーフィード)は所望の製品に依存し、これは当業者の知識の範囲内である。既に先に示したように、第1反応器(R-1)はループ反応器(LR)等のスラリー反応器(SR)であり、一方、第2反応器(R-2)は気相反応器(GPR-1)である。後続の反応器(存在する場合)も気相反応器(GPR)である。
【0058】
好ましい多段プロセスは「ループ-気相」プロセスであり、デンマークのBorealis A/Sにより開発されたもの(BORSTAR(登録商標)技術として知られている)等であり、例えばEP0887379又はWO92/12182等の特許文献に記載されている。
【0059】
マルチモーダルポリマーは、例えば、WO92/12182、EP0887379及びWO98/58976に記載される数種の方法に従って製造することができる。これらの文書の内容は参照により本明細書に含められる。
【0060】
好ましくは、先に定義したランダムコポリマー(CP)を製造するための本発明の方法において、工程(A)の第1反応器(R-1)、すなわちスラリー反応器(SR)、例えばループ反応器(LR)の条件は下記の通りであってよい:
- 温度は、40℃~110℃の範囲内、好ましくは60℃から100℃までの間、より好ましくは65℃~90℃の範囲内であり;
- 圧力は、20bar~80barの範囲内、好ましくは40barから70barまでの間であり;
- 水素は、モル質量を制御するために周知の方法で加えることができる。
【0061】
その後、工程(A)の反応混合物は第2反応器(R-2)、すなわち気相反応器(GPR-1)に、すなわち工程(D)に移され、工程(D)の条件は好ましくは下記の通りである:
- 温度は、50℃~130℃の範囲内、好ましくは60℃から100℃までの間であり;
- 圧力は、5bar~50barの範囲内、好ましくは15barから40barまでの間であり;
- 水素は、モル質量を制御するために周知の方法で加えることができる。
【0062】
滞留時間は両反応器ゾーンにおいて変えることができる。
【0063】
ランダムコポリマー(CP)を製造する方法の1態様において、スラリー反応器(SR)、例えばループ(LR)における滞留時間は0.2時間~4.0時間の範囲内、例えば0.3時間~1.5時間であり、気相反応器(GPR)における滞留時間は一般に0.2時間~6.0時間、例えば0.5時間~4.0時間である。
【0064】
必要であれ、重合は、第1反応器(R-1)において、すなわちスラリー反応器(SR)において、例えばループ反応器(LR)において、超臨界条件下で既知の方法で行ってよい。
【0065】
他の気相反応器(GPR)(存在する場合)の条件は第2反応器(R-2)と同様である。
【0066】
本発明の方法は、第1反応器(R-1)における重合に先立つプレ重合をも包含する。プレ重合は第1反応器(R-1)内で行うことができるが、プレ重合は別個の反応器、いわゆるプレ重合反応器内で行われることが好ましい。
【0067】
本発明に従うランダムコポリマー(CP)は、遷移金属化合物を有する固体触媒系(SCS)の存在下で製造される。
【0068】
好ましい態様において、上記遷移金属化合物は式(I)を有する:
Rn(Cp)2MX2 (I)
【0069】
(式中、各Cpは、独立に、未置換又は置換及び/又は縮合シクロペンタジエニルリガンド、例えば、置換又は未置換シクロペンタジエニル、置換又は未置換インデニル又は置換又は未置換フルオレニルリガンドであり;任意の1又は2以上の置換基は、独立に、好ましくは、ハロゲン、ヒドロカルビル(例えば、C1-C20-アルキル、C2-C20-アルケニル、C2-C20-アルキニル、C3-C12-シクロアルキル、C6-C20-アリール又はC7-C20-アリールアルキル)、環部分に1、2、3又は4個のヘテロ原子を有するC3-C12-シクロアルキル、C6-C20-ヘテロアリール、C1-C20-ハロアルキル、-SiR’’3、-OSiR’’3、-SR’’、-PR’’2、OR’’又は-NR’’2から独立に選択され;
【0070】
各R’’は、独立に、水素又はヒドロカルビル(例えば、C1-C20-アルキル、C2-C20-アルケニル、C2-C20-アルキニル、C3-C12-シクロアルキル又はC6-C20-アリール)であり;又は、例えば-NR’’2の場合には、2個の置換基R’’は、それらが結合する窒素原子と一緒に、環、例えば5又は6員環を形成することができ;
【0071】
Rは、1-3個の原子の架橋、例えば1-2個のC原子及び0-2個のヘテロ原子の架橋であり、上記ヘテロ原子は、例えば、Si、Ge及び/又はO原子であることができ、上記架橋原子の各々は、独立に、置換基(例えば、Cl-C20-アルキル、トリ(C1-C20-アルキル)シリル、トリ(C1-C20-アルキル)シロキシ又はC6-C20-アリール置換基)を担持してよく;又は、1-3個、例えば1又は2個、のヘテロ原子(例えば、ケイ素、ゲルマニウム及び/又は酸素原子等)の架橋(例えば、-SiR10
2(各R10は、独立に、C1-C20-アルキル、C3-12シクロアルキル、C6-C20-アリール又はトリ(C1-C20-アルキル)シリル-残基(例えばトリメチルシリル)である。)であり;
【0072】
Mは第4族の遷移金属、例えばZr又はHf、特にZrであり;
【0073】
各Xは、独立に、シグマ-リガンド、例えば、H、ハロゲン、C1-C20-アルキル、C1-C20-アルコキシ、C2-C20-アルケニル、C2-C20-アルキニル、C3-C12-シクロアルキル、C6-C20-アリール、C6-C20-アリールオキシ、C7-C20-アリールアルキル、C7-C20-アリールアルケニル、-SR’’、-PR’’3、-SiR’’3、-OSiR’’3、-NR’’2又は-CH2-Y(Yは、C6-C20-アリール、C6-C20-ヘテロアリール、C1-C20-アルコキシ、C6-C20-アリールオキシ、NR’’2、-SR’’、-PR’’3、-SiR’’3又は-OSiR’’3である。)であり;
【0074】
単独の、又は、Cp、X、R’’若しくはRの置換基としての他の基の部分としての上記の環部位の各々は、(例えばSi及び/又はO原子を有してよいC1-C20-アルキルにより)さらに置換されることができ;
nは1又は2である。)。
【0075】
好適には、-CH2-Yとしての各Xにおいて、各Yは、C6-C20-アリール、NR’’2、-SiR’’3又は-OSiR’’3から独立に選択される。最も好ましくは、-CH2-YとしてのXはベンジルである。-CH2-Y以外の各Xは、独立に、ハロゲン、C1-C20-アルキル、C1-C20-アルコキシ、C6-C20-アリール、C7-C20-アリールアルケニル又は先に定義した-NR’’2(例えば-N(C1-C20-アルキル)2)である。
【0076】
好ましくは、各Xは、ハロゲン、メチル、フェニル又は-CH2-Yであり、各Yは独立に先に定義した通りである。
【0077】
Cpは、好ましくはシクロペンタジエニル、インデニル又はフルオレニルであり、これらは任意で先に定義した通りに置換される。理想的には、Cpはシクロペンタジエニル又はインデニルである。
【0078】
式(I)の化合物の適切なサブグループにおいて、各Cpは、独立に、先に定義した1、2、3又は4個の置換基、好ましくは1、2又は3個、例えば1又は2個の置換基を担持し、これらの置換基は、好ましくは、C1-C20-アルキル、C6-C20-アリール、C7-C20-アリールアルキル(単独又はさらなる基の部分としての上記アリール環は、先に示したようにさらに置換されてよい。)、-OSiR’’3(R’’は、先に示したように、好ましくはC1-C20-アルキルである。)から選択される。
【0079】
Rは、好ましくは、メチレン、エチレン又はシリル架橋であり、上記シリルは先に定義したように置換されることができ、例えば、(ジメチル)Si=、(メチルフェニル)Si=、(メチルシクロヘキシル)シリル=又は(トリメチルシリルメチル)Si=;nは0又は1である。好ましくは、R’’は水素以外である。
【0080】
具体的なサブグループは、先に定義したように、例えばシロキシ又はアルキル(例えばC1-6-アルキル)で任意に置換されたシクロペンタジエニルリガンドで架橋され、又は、環部分のいずれかにおいて、例えば2、3、4及び/又は7位において、先に定義したように、例えばシロキシ又はアルキルで任意に置換された2つの架橋インデニルリガンドで架橋された2つのエータ5-リガンドを有する、Zr及びHfの周知のメタロセンを含む。好ましい架橋はエチレン又は-SiMe2である。
【0081】
メタロセンの製造は、文献により知られている方法に従って、又は、かかる方法と同様に行うことができ、当該分野における当業者の技量の範囲内である。従って、製造については例えばEP-A-129368を、金属原子が-NR’’2リガンドを担持する化合物の例については、特にWO-A-9856831及びWO-A-0034341を参照されたい。製造については、例えば、EP-A-260130、WO-A-9728170、WO-A-9846616、WO-A-9849208、WO-A-9912981、WO-A-9919335、WO-A-9856831、WO-A-0034341、EP-A-423101及びEP-A-537130も参照されたい。
【0082】
本発明のコンプレックスは好ましくは非対称性である。これはメタロセンを形成する2つのインデニルリガンドが単に異なることを意味し、すなわち、各インデニルリガンドが、化学的に異なるか、又は、他方のインデニルリガンドに対して異なる部位に位置する、1組の置換基を担持する。より詳細には、それらはキラル、ラセミ体架橋ビスインデニルメタロセンである。本発明のコンプレックスはそれらのsyn配置にあってよいが、理想的にはそれらはanti配置にある。本発明の目的のために、ラセミ-antiは、2つのインデニルリガンドがシクロペンタジエニル-金属-シクロペンタジエニルプレインに対して反対の方向に配向することを意味し、一方、ラセミ-synは、2つのインデニルリガンドがシクロペンタジエニル-金属-シクロペンタジエニルプレインに対して同じ方向に配向することを意味する。
【0083】
本発明の好ましいコンプレックスは式(II’)又は(II)のものである。
【化1】
【0084】
式中、
MはZrであり;
各Xはシグマリガンドであり、好ましくは各Xは、独立に、水素原子、ハロゲン原子、C1-C6アルコキシ基、C1-C6アルキル、フェニル又はベンジル基であり;
【0085】
Lは、-R’2C-、-R’2C-CR’2、-R’2Si-、-R’2Si-SiR’2-、-R’2Ge-(各R’は、独立に、水素原子、C1-C20アルキル、C3-C10シクロアルキル、トリ(C1-C20-アルキル)シリル、C6-C20-アリール、C7-C20アリールアルキルである。)から選択される二価の架橋であり;
【0086】
各R2又はR2’はC1-C10アルキル基であり;
R5’は、C1-C10アルキル基又はZ’R3’基であり;
R6は、水素又はC1-C10アルキル基であり;
R6’は、C1-C10アルキル基又はC6-C10アリール基であり;
R7は、水素、C1-C6アルキル基又はZR3基であり;
R7’は、水素又はC1-C10アルキル基であり;
Z及びZ’は、独立に、O又はSであり;
R3’は、1又は2以上のハロゲン基により任意に置換されたC6-C10アリール基、又は、C1-C10アルキル基であり;
R3はC1-C10アルキル基であり;
各nは、独立に、0~4、例えば0、1又は2であり;
各R1は、独立に、C1-C20ヒドロカルビル基、例えばC1-C10アルキル基である。
【0087】
本発明の特に好ましい化合物には下記のものが含まれる:
rac-ジメチルシランジイルビス[2-メチル-4-(4-tert-ブチルフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-l-イル]ジルコニウム ジクロリド;
rac-ジメチルシランジイルビス(2-メチル-4-フェニル-5-メトキシ-6-tert-ブチルインデン-l-イル)ジルコニウム ジクロリド;
rac-anti-Me2Si(2-Me-4-Ph-6-tBu-Ind)(2-Me-4-Ph-5-OMe-6-tBu-Ind)ZrCl2;
rac-anti-Me2Si(2-Me-4-(p-tBuPh)-Ind)(2-Me-4-Ph-5-OMe-6-tBu-Ind)ZrCl2;
rac-anti-Me2Si(2-Me-4-(3,5-ジ-tBuPh)-6-tBu-Ind)(2-Me-4-Ph-5-OMe-6-tBu-Ind)ZrCl2;
rac-anti-Me2Si(2-Me-4-(p-tBuPh)-Ind)(2-Me-4-Ph-5-OC6F5)-6-iPr-Ind)ZrCl2;
rac-anti-Me(CyHex)Si(2-Me-4-Ph-6-tBu-Ind)(2-Me-4-Ph-5-OMe-6-tBu-Ind)ZrCl2;
rac-anti-Me2Si(2-Me-4-(3,5-ジ-tBuPh)-7-Me-Ind)(2-Me-4-Ph-5-OMe-6-tBu-Ind)ZrCl2;
rac-anti-Me2Si(2-Me-4-(3,5-ジ-tBuPh)-7-OMe-Ind)(2-Me-4-Ph-5-OMe-6-tBu-Ind)ZrCl2;
rac-anti-Me2Si(2-Me-4-(p-tBuPh)-6-tBu-Ind)(2-Me-4-Ph-5-OMe-6-tBu-Ind)ZrCl2;
rac-anti-Me2Si(2-Me-4-(p-tBuPh)-Ind)(2-Me-4-(4-tBuPh)-5-OMe-6-tBu-Ind)ZrCl2;
rac-anti-Me2Si(2-Me-4-(p-tBuPh)-Ind)(2-Me-4-(3,5-tBu2Ph)-5-OMe-6-tBu-Ind)ZrCl2;
rac-anti-Me2Si(2-Me-4-(p-tBuPh)-Ind)(2-Me-4-Ph-5-OtBu-6-tBu-Ind)ZrCl2。
【0088】
最も好ましいメタロセンコンプレックス(プロ触媒)は、rac-anti-ジメチルシランジイル(2-メチル-4-フェニル-5-メトキシ-6-tert-ブチル-インデニル)(2-メチル-4-(4-tert-ブチルフェニル)インデニル)ジルコニウム ジクロリドである。
【0089】
メタロセンコンプレックス(プロ触媒)に加えて、メタロセン触媒はさらに、WO2015/011135A1に定義される共触媒を有する。従って、好ましい共触媒は、メチルアルミノキサン(MAO)及び/又はボレート、好ましくはトリチル(trityl) テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートである。
【0090】
メタロセン触媒は不支持であること、すなわち外部担体が使用されないことが特に好ましい。かかるメタロセンコンプレックスの製造に関しては、再びWO2015/011135A1が参照される。
【0091】
無機フィラー(F)
加えて、本発明に従うポリプロピレン組成物は、ポリプロピレン組成物の総重量に対して0wt.%~15.0wt.%の量の無機フィラー(F)を有してよい。
【0092】
好ましくは、上記ポリプロピレン組成物は、ポリプロピレン組成物の総重量に対して、2wt.%から13wt.%までの量の、例えば3wt.%~12wt.%の範囲内の無機フィラー(F)を有する。
【0093】
具体的な態様の1つにおいて、上記ポリプロピレン組成物は無機フィラー(F)を有さない。
【0094】
存在する場合には、無機フィラー(F)は、好ましくは、マイカ、ウォラストナイト、カオリナイト、スメクタイト、モンモリロナイト、タルク及びこれらの混合物から選択される。
【0095】
一般に、無機フィラー(F)は、0.1μmから30μmまでの範囲内の、好ましくは0.2μmから25μmまでの範囲内の、より好ましくは0.3μmから20μmまでの範囲内のメディアン粒子径d50を有してよい。
【0096】
好ましいフィラー(F)はタルクである。好ましくは、0.1μmから10μmまでの範囲内の、好ましくは0.2μmから6.0μmまでの範囲内の、より好ましくは0.3μmから4.0μmまでの範囲内のメディアン粒子径d50を有するタルクがフィラー(F)として使用される。最も好ましくは、タルクは単独の無機フィラー(F)として使用される。なおより好ましくは、使用されるタルクは、0.8μm~50μm、好ましくは1.0μmから25μmまでの、最も好ましくは1.2μmから20μmまでのトップカット(top-cut)粒子径(ISO 787-7に従い、95%の粒子が当該サイズ未満である。)を有する。
【0097】
物品及び使用
本発明のポリプロピレン組成物(C)は、成形物品、好ましくは射出成形物品等の物品の製造に使用することができる。さらに、本発明のポリプロピレン組成物は、発泡射出成形物品等の発泡物品の製造に使用することができる。さらにより好ましくは、自動車用物品の、特に自動車内装物品及び外装物品、例えば、計器キャリア、フロントエンドモジュール、シュラウド、構造キャリア、バンパー、サイドトリム、ステップアシスト、ボディパネル、スポイラー、ダッシュボード、内装トリム等の製造のための使用である。好ましくは、上記物品は自動車内装物品である。
【0098】
従って、本発明は、別の側面において、本明細書に定義するポリプロピレン組成物を有する射出成形物品に関する。
【0099】
上記物品は、
i) ISO 178に従って測定される、1000MPa~1500MPaの範囲内の曲げ弾性率;及び/又は、
ii) 23℃にてISO 6603-2に従って測定される、17.0Jの又はそれより大きなパンクチャーエネルギー;
を有することが好ましい。
【0100】
より好ましくは、上記物品は、
i) ISO 178に従って測定される、1000MPa~1500MPaの範囲内の曲げ弾性率;及び、
ii) 23℃にてISO 6603-2に従って測定される、17.0Jの又はそれより大きなパンクチャーエネルギー;
を有する。
【0101】
別の側面において、本発明は、本明細書に定義するポリプロピレン組成物を有する発泡物品、好ましくは発泡射出成形物品に関する。
【0102】
上記発泡物品は、
i) ISO 178に従って測定される、600MPa~1200MPaの範囲内の曲げ弾性率;及び/又は、
ii) 23℃にてISO 6603-2に従って測定される、7.0Jの又はそれより大きなパンクチャーエネルギー;
を有することが好ましい。
【0103】
より好ましくは、上記発泡物品は、
i) ISO 178に従って測定される、600MPa~1200MPaの範囲内の曲げ弾性率;及び、
ii) 23℃にてISO 6603-2に従って測定される、7.0Jの又はそれより大きなパンクチャーエネルギー;
を有する。
【0104】
本明細書に記載する上記発泡物品のISO 178に従って測定される曲げ弾性率は、非発泡射出成形物品のISO 178に従って測定される曲げ弾性率よりも200MPaから650MPaまでの範囲内で低いことが特に好ましい。
【0105】
本発明はさらに、コポリマー(CP)、好ましくはランダムコポリマーであって、プロピレンとC4-C10アルファ-オレフィンの群より選択される少なくとも1種のコモノマーとのコポリマーであり、シングルサイト触媒の存在下で合成されたコポリマー(CP)の、異相プロピレンコポリマーを有する組成物における使用であって、引張又は曲げ弾性率を損なうことなく、上記組成物のノッチ付きシャルピー衝撃強さ及び/又は破断伸びを増大させるための使用に関する。
【0106】
ポリプロピレン組成物(C)、異相プロピレンコポリマー(HECO)及びプロピレンのコポリマー(CP)、好ましくはランダムコポリマーについて記載したすべての好ましい態様は、記述した本発明の物品及び使用にも適用してよい。
【0107】
本発明を以下に記載する実施例により説明する。当業者は、以下に示す実験データ及び実施例が説明のためのものであり、本発明をさらに限定するものではないことを理解するものとする。
【実施例】
【0108】
1. 測定方法
MFR2(230℃)はISO 1133(230℃、2.16kg荷重)に従って測定した。
【0109】
低温キシレン可溶分(XCS、wt.%)は25℃にてISO 16152;初版;2005-07-01に従って決定した。
【0110】
NMR分光法による微細構造の定量-HECO中のエチレン含量
定量的核磁気共鳴(NMR)分光法を使用して、ポリマーのコモノマー含量を定量した。1H及び13Cについてそれぞれ400.15MHz及び100.62MHzで動作するBruker Advance III 400NMR分光器を使用して、定量的13C{1H}NMRスペクトルを溶液状態で記録した。13Cに最適化された動作温度範囲の広い10mmのプローブヘッドを使用して、125℃で、すべてのガス流に窒素ガスを使用して、すべてのスペクトルを記録した。約200mgの材料を、3mlの1,2-テトラクロロエタン-d2(TCE-d2)中にアセチルアセトンクロム(III)(Cr(acac)3)とともに溶解させ、緩和剤の65mM溶媒溶液とした(Singh,G.、Kothari,A.、Gupta,V.、Polymer Testing 28 5(2009)、475)。確実に均質な溶液とするために、ヒートブロックにおいて初期試料を調製した後、NMRチューブを回転炉内で少なくとも1時間、さらに加熱した。マグネット内に挿入後速やかにチューブを10Hzで回転させた。主に、正確にエチレン含量を定量するための高分解能及び量的な必要性から、この構成を選択した。最適化されたフリップ角、1秒の繰り返し時間(recycle delay)及びバイレベルWALTZ16デカップリング法を使用して、NOEを用いずに標準的なシングルパルス励起を用いた(Zhou,Z.、Kuemmerle,R.、Qiu,X.、Redwine,D.、Cong,R.、Taha,A.、Baugh,D.Winniford,B.、J.Mag.Reson.187(2007)225;Busico,V.、Carbonniere,P.、Cipullo,R.、Pellecchia,R.、Severn,J.、Talarico,G.、Macromol.Rapid Commun.2007、28、1128)。1スペクトル当たり合計6144(6k)の過渡応答が得られた。
【0111】
定量的13C{1H}NMRスペクトルを処理し、積分し、独自開発したコンピュータプログラムを使用して積分値から関連する定量的特性を決定した。すべての化学シフトは、溶媒の化学シフトを使用して30.00ppmのエチレンブロック(EEE)の中央のメチレン基を間接的に基準とした。この方法により、この構造単位が存在しないときであっても同等に基準を取ることができた。エチレンの取り込みに対応する特徴的シグナルを観測した(Cheng,H.N.、Macromolecules 17(1984)、1950)。
【0112】
観察された2,1エリスロレギオ欠陥に対応する特徴的シグナルについて(L.Resconi、L.Cavallo、A.Fait、F.Piemontesi、Chem.Rev.2000、100(4)、1253;Cheng、H.N.、Macromolecules 1984、17、1950;及び、W-J.Wang及びS.Zhu、Macromolecules 2000、33 1157に記載されるように)、測定した特性に対するレギオ欠陥の影響について補正が必要であった。他のタイプのレギオ欠陥に対応する特徴的シグナルは観測されなかった。
【0113】
コモノマー分率は、Wangらの方法(Wang,W-J.、Zhu,S.、Macromolecules 33(2000)、1157)を使用して、13C{1H}スペクトルの全スペクトル領域にわたって複数のシグナルを積分することによって定量した。そのロバスト性及び必要に応じてレギオ欠陥の存在を説明する能力のために、この方法を選択した。観測されたコモノマー含量の範囲全体にわたってより広範囲に適用できるように、積分領域を若干調整した。
【0114】
PPEPPシーケンス中の孤立エチレンだけが観察された系では、Wangらの方法を修正して、存在しないことが分かっている部位のゼロでない積分値の影響を少なくした。この手法により、そのような系に対するエチレン含量の過大評価を抑制し、この手法は、絶対エチレン含量を決定するために使用される部位の数を以下まで減らすことにより行われた:
E=0.5(Sββ+Sβγ+Sβδ+0.5(Sαβ+Sαγ))
この部位セットを使用することにより、対応する積分方程式は、Wangらの論文において使用されているものと同じ記号を使用して(Wang,W-J.、Zhu,S.、Macromolecules 33(2000)、1157)、以下となる:
E=0.5(IH+IG+0.5(IC+ID))
絶対プロピレン含量に使用する式は修正しなかった。
【0115】
コモノマー取り込みのモルパーセントはモル分率から算出した:
E[mol%]=100*fE
【0116】
コモノマー取り込みの重量パーセントはモル分率から算出した:
E[wt%]=100*(fE*28.06)/((fE*28.06)+((1-fE)*42.08))
【0117】
トライアドレベルでのコモノマーシーケンス分布は、Kakugoらの分析方法を使用して決定した(Kakugo,M.、Naito,Y.、Mizunuma,K.、Miyatake,T.、Macromolecules 15(1982)1150)。そのロバスト性のためにこの方法を選択し、より広範囲のコモノマー含量に適用できるように積分領域を若干調整した。
【0118】
プロピレン 1-ヘキセンコポリマー(CP)についての1-ヘキセンのコモノマー含量
1H及び13Cについてそれぞれ500.13MHz及び125.76MHzで動作するBruker Advance III 500NMR分光器を使用して、定量的13C{1H}NMRスペクトルを溶融状態で記録した。13Cに最適化された7mmのマジック角回転(magic-angle spinning)(MAS)プローブヘッドを使用して、180℃で、すべてのガス流に窒素ガスを使用して、すべてのスペクトルを記録した。約200mgの材料を、7mmの外径のジルコニアMASローター内に詰め、4kHzで回転した。主に、迅速な同定及び正確な定量に必要な高感受性のためにこの構成を選択した(Klimke、K.、Parkinson、M.、Piel、C.、Kaminsky、W.、Spiess、H.W.、Wilhelm、M.、Macromol.Chem.Phys.2006;207:382;Parkinson、M.、Klimke、K.、Spiess、H.W.、Wilhelm、M.、Macromol.Chem.Phys.2007;208:2128;Castignolles、P.、Graf、R.、Parkinson、M.、Wilhelm、M.、Gaborieau、M.、Polymer 50(2009)2373)。3秒の短い繰り返し時間(recycle delay)(Klimke、K.、Parkinson、M.、Piel、C.、Kaminsky、W.、Spiess、H.W.、Wilhelm、M.、Macromol.Chem.Phys.2006;207:382;Pollard、M.、Klimke、K.、Graf、R.、Spiess、H.W.、Wilhelm、M.、Sperber、O.、Piel、C.、Kaminsky、W.、Macromolecules 2004;37:813)及びRS-HEPTデカップリング法(Filip、X.、Tripon、C.、Filip、C.、J.Mag.Resn.2005、176、239;Griffin、J.M.、Tripon、C.、Samoson、A.、Filip、C.及びBrown、S.P.、Mag.Res. in Chem.2007 45、S1、S198)を使用して、NOEを用いた標準的なシングルパルス励起を用いた。1スペクトル当たり合計16384(16k)の過渡応答が得られた。
【0119】
定量的13C{1H}NMRスペクトルを処理し、積分し、積分値から関連する定量的特性を決定した。すべての化学シフトは、内部標準として21.85ppmのメチルアイソタクチックペンタッド(mmmm)を基準とする。
【0120】
1-ヘキセンの取り込みに対応する特徴的シグナルを観測し、コモノマー含量を下記の方法で定量した。
【0121】
PHP孤立シーケンスに取り込まれた1-ヘキセンの量は、コモノマー当たりのレポート部位の数を考慮に入れて、44.2ppmのαB4部位の積分値を使用して定量した:
H=IαB4/2
【0122】
PHHP二重連続シーケンスに取り込まれた1-ヘキセンの量は、コモノマー当たりのレポート部位の数を考慮に入れて、41.7ppmのααB4部位の積分値を使用して定量した:
HH=2*IααB4
【0123】
二重連続取り込みが観察された場合には、PHP孤立シーケンスに取り込まれた1-ヘキセンの量は、44.4ppmのシグナルαB4及びαB4B4のオーバーラップのため、補正する必要があった:
H=(IαB4-2*IααB4)/2
【0124】
総1-ヘキセン含量は、孤立及び連続的に取り込まれた1-ヘキセンの合計に基づいて算出した:
Htotal=H+HH
【0125】
連続取り込みを示す部位が観察されなかった場合には、総1-ヘキセンコモノマー含量はこの量にのみ基づいて算出した:
Htotal=H
【0126】
レギオ2,1エリスロ欠陥を示す特徴的なシグナルが観察された(Resconi、L.、Cavallo、L.、Fait、A.、Piemontesi、F.、Chem.Rev.2000、100、1253)。
【0127】
2,1エリスロレギオ欠陥の存在は、17.7ppm及び17.2ppmのPαβ(21e8)及びPαγ(21e6)メチル部位の存在により示され、他の特徴的シグナルにより確認された。
【0128】
二次(2,1-エリスロ)挿入プロペンの総量は、42.4ppmのαα21e9メチレン部位に基づいて定量した:
P21=Iαα21e9
【0129】
一次(1,2)挿入プロペンの総量は、46.7ppmの主要なSααメチレン部位に基づいて定量し、関連しないプロペンの2,1-エリスロ、αB4及びααB4B4メチレン単位の相対量について補正を行った(シーケンス当たりのヘキセンモノマーのH及びHHカウント数はシーケンスの数ではない。):
P12=ISαα+2*P21+H+HH/2
【0130】
プロペンの総量は、一次(1,2)及び二次(2,1-エリスロ)挿入プロペンの合計として定量した:
Ptotal=P12+P21=ISαα+3*Iαα21e9+(IαB4-2*IααB4)/2+IααB4
【0131】
これは下記のように簡略化される:
Ptotal=ISαα+3*Iαα21e9+0.5*IαB4
【0132】
次いで、ポリマー中の1-ヘキセンの総モル分率は下記のように算出される:
fH=Htotal/(Htotal+Ptotal)
【0133】
ポリマー中の1-ヘキセンのモル分率についての総積分方程式は下記の通りであった:
fH=(((IαB4-2*IααB4)/2)+(2*IααB4))/((ISαα+3*Iαα21e9+0.5*IαB4)+((IαB4-2*IααB4)/2)+(2*IααB4))
【0134】
これは下記のように簡略化される:
fH=(IαB4/2+IααB4)/(ISαα+3*Iαα21e9+IαB4+IααB4)
【0135】
1-ヘキセンの総コモノマー取り込みのモルパーセントは通常の方法でモル分率から算出した:
H[mol%]=100*fH
【0136】
1-ヘキセンの総コモノマー取り込みの重量パーセントは標準的な方法でモル分率から算出した:
H[wt%]=100*(fH*84.16)/((fH*84.16)+((1-fH)*42.08))
【0137】
プロピレン 1-ブテンコポリマー(CP)についての1-ブテンのコモノマー含量
1H及び13Cについてそれぞれ500.13MHz及び125.76MHzで動作するBruker Advance III 500NMR分光器を使用して、定量的13C{1H}NMRスペクトルを溶融状態で記録した。13Cに最適化された7mmのマジック角回転(MAS)プローブヘッドを使用して、180℃で、すべてのガス流に窒素ガスを使用して、すべてのスペクトルを記録した。約200mgの材料を、7mmの外径のジルコニアMASローター内に詰め、4kHzで回転した。主に、迅速な同定及び正確な定量に必要な高感受性のためにこの構成を選択した{klimke06、parkinson07、castignolles09}。短い繰り返し時間{klimke06、pollard04}及びRS-HEPTデカップリング法{fillip05、griffin07}を使用して、NOEを用いた標準的なシングルパルス励起を用いた。3秒の繰り返し時間を用いて、1スペクトル当たり合計1024(1k)の過渡応答が得られた。
【0138】
定量的13C{1H}NMRスペクトルを処理し、積分し、積分値から関連する定量的特性を決定した。すべての化学シフトは、内部標準として21.85ppmのメチルアイソタクチックペンタッド(mmmm)を基準とする{randall89}。
【0139】
基本的コモノマー含量法分光分析法:
1-ブテンの取り込みに対応する特徴的なシグナルを観察し{randall89}、コモノマー含量を下記のように定量した。
【0140】
PPBPP孤立シーケンスに取り込まれた1-ブテンの量は、コモノマー当たりのレポート部位の数を考慮に入れて、43.6ppmのαB2部位の積分値を使用して定量した:
B=Iα/2
【0141】
PPBBPP二重連続シーケンスに取り込まれた1-ブテンの量は、コモノマー当たりのレポート部位の数を考慮に入れて、40.5ppmのααB2B2部位の積分値を使用して定量した:
BB=2*Iαα
【0142】
二重連続取り込みが観察された場合には、PPBPP孤立シーケンスに取り込まれた1-ブテンの量は、43.9ppmのシグナルαB2及びαB2B2のオーバーラップのため、補正する必要があった:
B=(Iα-2*Iαα)/2
【0143】
総1-ブテン含量は、孤立及び連続的に取り込まれた1-ブテンの合計に基づいて算出した:
Btotal=B+BB
【0144】
プロペンの量は、46.7ppmの主要なSααメチレン部位に基づいて定量し、関連しないプロペンのαB2及びααB2B2メチレン単位の相対量について補正を行った(シーケンス当たりのブテンモノマーのB及びBBカウント数はシーケンスの数ではない。):
Ptotal=ISαα+B+BB/2
【0145】
次いで、ポリマー中の1-ブテンの総モル分率は下記のように算出される:
fB=Btotal/(Btotal+Ptotal)
【0146】
ポリマー中の1-ブテンのモル分率についての総積分方程式は下記の通りであった:
fB=(((Iα-2*Iαα)/2)+(2*Iαα))/(ISαα+((Iα-2*Iαα)/2)+((2*Iαα)/2))+((Iα-2*Iαα)/2)+(2*Iαα))
【0147】
これは下記のように簡略化される:
fB=(Iα/2+Iαα)/(ISαα+Iα+Iαα)
【0148】
1-ブテンの総取り込みのモルパーセントは通常の方法でモル分率から算出した:
B[mol%]=100*fB
【0149】
1-ブテンの総取り込みの重量パーセントは標準的な方法でモル分率から算出した:
B[wt%]=100*(fB*56.11)/((fB*56.11)+((1-fB)*42.08))
【0150】
引張弾性率及び破断伸びは、以下に特定するように、射出成形又は発泡射出成形プレートから作製したドッグボーン型試験片を用いて、ISO 527-2(クロスヘッド速度=1mm/min;試験速度 50mm/min、23℃)に従って測定した。
【0151】
曲げ弾性率は、以下に特定するように、射出成形又は発泡射出成形プレートから作製した、80x10x2又は3mm3の射出成形試験片に対して、ISO 178に従う3点曲げ試験において測定した。
【0152】
ノッチ付きシャルピー衝撃強さは、以下に特定するように、射出成形又は発泡射出成形プレートから作製した、80x10x2又は3mm3の射出成形試験片に対して、23℃にてISO 179-1 eAに従って測定した。
【0153】
パンクチャーエネルギー及び最大衝撃力時エネルギー(Energy to max Force)は、以下に特定するように、射出成形又は発泡射出成形プレートから作製した、148x148x2又は3mm3の寸法のプレートに対して、ISO 6603-2に従って計装化耐おもり落下衝撃試験を用いて測定した。この試験は、直径20mmの潤滑チップ(lubricated tip)及び10mm/sの衝撃速度を用いて、室温で行った。
【0154】
粒子径d50及びトップカットd95は、ISO 13317-3に従う重力液体沈降(セディグラフ(Sedigraph))により測定した粒子径分布[質量パーセント]から算出した。
【0155】
DSC分析、溶融温度(Tm)及び結晶化温度(Tc):
5~7mgの試料に対してTA Instrument Q2000示差走査熱量測定(DSC)により測定。DSCは、-30℃~+225℃の温度範囲において10℃/minの走査速度で、加熱/冷却/加熱サイクルでISO 11357/パート3/方法C2に従って実行する。結晶化温度及び結晶化熱(Hc)は冷却工程から決定し、溶融温度及び融解熱(Hf)は第2加熱工程から決定する。
【0156】
収縮率:
フロー及びクロスフロー方向の収縮率は、60x60x2mm3の射出成形プレートに対して、EN DIN ISO 294-4に従って測定した。プレートは、230℃の溶融温度を用いてEngel emotion 310/55上で成形し、すべての他のパラメータはISO 294-1に従った。元来のモールド寸法に対するフロー及びクロスフロー方向の収縮率を96時間後に23℃で測定した。
【0157】
2. 実施例
触媒の製造
本発明実施例で使用する触媒はWO2015/011135A1に詳細に記載される通りに製造されるが(メチルアルミノキサン(MAO)及びボレートを有するメタロセンコンプレックスMC1により、WO 2015/011135A1に記載の触媒3が得られる。)、ただし、界面活性剤は2,3,3,3-テトラフルオロ-2-(1,1,2,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロポキシ)-1-プロパノールである。メタロセンコンプレックス(WO2015/011135A1のMC1)はWO2013/007650A1に記載の通りに製造される(WO2013/007650A1のメタロセンE2)。
【0158】
ポリプロピレン組成物(P)の製造
ポリプロピレン組成物(P)は、ループ反応器及び気相反応器を有する逐次ピロセスを用いて、Borstar PPパイロットユニット内で製造された。反応条件を表1に要約し、表2には比較例及び本発明実施例の混合のための配合表を記載し、表3及び4には比較例及び本発明実施例の特性を記載する。
【0159】
【0160】
【0161】
HECOは、Borealis AG(オーストリア)の市販の異相プロピレンコポリマーEG066A1であり、22g/10minのMFR(230℃/2.16kg)、29wt.%のXCS含量及び13.5wt.%の総エチレン含量を有する。当該HECOのXCS画分は3.1dl/gの固有粘度及び40wt.%のエチレン含量を有する。
CP3は、Borealis AG(オーストリア)の市販のC3/C2コポリマーRA130Eであり、0.5g/10minのメルトフローレート、7.0wt.%のキシレン可溶分含量及び4.0wt.%のエチレン含量を有する。
タルクは、Steamic T1CAであり、1.8μmのメディアン粒子径d50及び6.2μmのトップカット粒子径d95を有し、Imerys(フランス)から市販されている。
Irganox B215は、安定剤Irgafos 168及びIrganox 1010の相乗効果を有するブレンドであり、BASF SEから市販されている。
CaStは、ステアリン酸カルシウム、CAS-No 1592-23-0であり、Faciから市販されている。
カーボンブラックは、Cabot Corporation(ドイツ)の市販のカーボンブラックマスターバッチ「Plasblak PP6331」である。
PP1は、Borealis AG(オーストリア)により製造された、マスターバッチ担体ポリマーとして使用されるポリプロピレンホモポリマーHC001A-B1であり、約2g/10minのMFR及び160℃のTmを有する。
【0162】
【0163】
この組成物の射出成型をEngel E380機で行った。まず、400x200x2mmの寸法の非発泡射出成形プレートを、文献[D.Rosato、D.Rodato、M.Rosato、Injection moulding handbook、3rd Edition、Volume 1、ISBN 978-1-4613-7077-2、2000]に記載の従来の射出成形技術を用いて製造した。第2工程において、発泡射出成形を、EIWA CHEMICAL IND.CO.LTDにより製造された化学発泡剤マスターバッチ、POLYTHLENE EE25Cを用いて行った。材料をコアバック技術を用いて発泡させ、初期厚2mmから最終厚3mmとした。400x200x3mmの寸法の発泡射出成形プレートを製造した。さらなる特性試験用の試験片を非発泡及び発泡プレートから作製した。結果を表4に示す。
【表4】
【0164】
表3からわかる通り、プロピレン-ヘキセン(C3C6)又はプロピレン-ブチレン(C3C6)ランダムコポリマーを改質剤として使用した本発明実施例では、シャルピーNIS及び破断伸びが顕著に改善されている一方、剛性(すなわち、引張弾性率及び曲げ弾性率)に関しては少なくとも維持され、場合によっては、改質剤(CE1)を有さないHECOについて得られた値と比べて改善されており、結果として機械的特性のバランスが大幅に改善されている。同様の分子量を有するプロピレン-エチレン(C3C2)ランダムコポリマーを改質剤として使用する場合には、CE2のシャルピーNIS値から分かる通り、この効果は観察されない。