(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】漏洩防止バルブを備えた液体フィルタ
(51)【国際特許分類】
F02M 37/48 20190101AFI20240205BHJP
B01D 27/08 20060101ALI20240205BHJP
B01D 35/02 20060101ALI20240205BHJP
【FI】
F02M37/48
B01D27/08
B01D35/02 E
(21)【出願番号】P 2022543168
(86)(22)【出願日】2020-01-17
(86)【国際出願番号】 EP2020051157
(87)【国際公開番号】W WO2021144032
(87)【国際公開日】2021-07-22
【審査請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】512272672
【氏名又は名称】ボルボトラックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【氏名又は名称】網屋 美湖
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(72)【発明者】
【氏名】ブタン,バティスト
(72)【発明者】
【氏名】コスト,エルヴェ
【審査官】楠永 吉孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-060597(JP,A)
【文献】実開昭61-053564(JP,U)
【文献】実開昭55-052551(JP,U)
【文献】特表平09-510518(JP,A)
【文献】実開昭53-090125(JP,U)
【文献】国際公開第2017/151481(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/106170(WO,A2)
【文献】特表2009-540209(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 37/32~37/52
B01D 27/00~27/10
B01D 35/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
好ましくは燃料フィルタである、車両の液体フィルタ(6,12)であって、
入口ポート(19)及び出口ポート(21)を区切るフィルタヘッド(36)と、
前記フィルタヘッド(36)の下方に取り付けられ、中心軸(X38)の中心に置かれたフィルタエレメント(32)を含むフィルタハウジング(30)であって、前記フィルタエレメントが、濾材(38)、上部プレート(42)及び下部プレート(40)を含む、フィルタハウジング(30)と、
を備え、
前記フィルタハウジング(30)が、濾過対象の液体の流れを受け入れる、前記濾材(38)の周囲を放射状に区切って前記入口ポート(19)と連通する第1のボリュームと、濾過済みの液体の流れを受け入れる、前記濾材(38)の内部を放射状に区切って前記出口ポート(21)と連通する第2のボリュームと、を区切り、
前記フィルタヘッド(36)が、前記入口ポート(19)を閉じる閉位置と液体が前記入口ポート(19)を通って流れることができる開位置との間で移動可能な閉鎖要素(52)を備え、
前記フィルタ(6,12)が、前記フィルタエレメント(32)に取り付けられて前記入口ポート(19)の内部を貫通するように構成されたピン(54)を更に含み、これによって、前記閉鎖要素(52)を前記閉位置から前記開位置へと移動さ
せ、
前記フィルタヘッド(36)が、前記フィルタヘッド(36)に前記フィルタハウジング(30)を取り付けるときに、前記ピン(54)が前記入口ポート(19)と軸方向に整列する構成に到達するまで、前記ピン(54)を前記入口ポート(19)に向けて案内するインデックス手段(100)を更に含み、
前記フィルタエレメント(32)が、前記フィルタハウジング(30)に対して回転して固定され、
前記ピン(54)が、前記フィルタエレメント(32)の前記上部プレート(42)に回転可能に取り付けられたリング(56)の一部である、
ことを特徴とするフィルタ(6,12)。
【請求項2】
前記ピン(54)が、前記中心軸に対して偏心されて配置された、
ことを特徴とする
請求項1に記載のフィルタ。
【請求項3】
前記ピン(54)が、前記上部プレートの中央に配置された、
ことを特徴とする請求項1に記載のフィルタ。
【請求項4】
前記ピン(54)が、軸方向に上方へと延びる、
ことを特徴とする
請求項1~3のいずれか1つに記載のフィルタ。
【請求項5】
前記閉鎖要素(52)が、ボール又はプランジャである、
ことを特徴とする
請求項1~4のいずれか1つに記載のフィルタ。
【請求項6】
前記フィルタヘッド(36)が、前記入口ポート(19)の上流に配置された入口導管、他の出口ポート、及び前記入口導管(19)と前記他の出口ポートとの間に延びるバイパスを区切る、
ことを特徴とする
請求項1~5のいずれか1つに記載のフィルタ。
【請求項7】
前記閉鎖要素(52)が、前記開位置で前記バイパスを閉じ、前記閉鎖要素が閉位置にある限り前記バイパスが開通されるように配置された、
ことを特徴とする
請求項6に記載のフィルタ。
【請求項8】
前記フィルタエレメント(32)が、前記フィルタハウジング(30)の内部において、前記フィルタハウジング(30)の内部で軸方向に保持された第1の構成と、前記フィルタハウジング(30)から軸方向に取り除かれた第2の構成と、の間で回転可能である、
ことを特徴とする
請求項1~7のいずれか1つに記載のフィルタ。
【請求項9】
前記フィルタエレメント(32)が、バヨネット取付システム(70)を使用して、前記フィルタハウジング(30)に取り付けられた、
ことを特徴とする
請求項8に記載のフィルタ。
【請求項10】
前記閉鎖要素(52)が、デフォルトで重力によって閉位置に維持され、前記ピンが前記入口ポート(19)から取り除かれたときに重力によって自動的に閉位置に戻される、
ことを特徴とする
請求項1~9のいずれか1つに記載のフィルタ。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1つに記載の液体のフィルタ(6,12)を含むことを特徴とする車両(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漏洩防止バルブを備えた、一般的には燃料フィルタである液体フィルタに関する。本発明は、主に燃料の濾過に適用されるが、潤滑油回路において同様な原理を使用することも考えられる。
【0002】
本発明は、トラック、バス及び建設機械などの大型車両に適用することができる。トラックについて本発明を説明するが、本発明は、この特定の車両に限らず、乗用車など、より一般的には内燃機関を備える任意の車両にも使用することができる。
【背景技術】
【0003】
液体フィルタは、一般的に車両に設けられ、例えば、燃料や潤滑油であり得る液体から不純物を取り除く。
【0004】
従来の液体フィルタのフィルタエレメントは、管状の濾材を備え、その両端部には、濾材の軸方向の両端部に密閉状態で取り付けられた2つのエンドプレートが配置されている。通常、上部プレートは、濾材の内部ボリュームと流体連通している中央開口部を含んでいる。フィルタエレメントは、一般的にアルミニウムからなるフィルタハウジングの内部に受け入れられ、フィルタハウジングがフィルタヘッド(「ケーシング」としても知られている)の下方に取り付けられる。フィルタヘッドは、入口ポート及び出口ポートを備えている。
【0005】
従って、濾過対象の液体は、フィルタヘッドの入口、及び濾材を通って流れた後、濾過済みの液体は、上部プレートの中央開口部によってフィルタエレメントから排出され、最終的にはフィルタヘッドの出口を通って流出することができる。
【0006】
濾材は徐々に目詰まりするので、濾材を定期的に交換して効果を維持する必要がある。このため、フィルタハウジングがケーシングから取り外され、古いフィルタエレメントが取り除かれ、新しいフィルタエレメントがフィルタハウジングに挿入されて、フィルタハウジングがケーシングの元の場所に取り付けられる。
【0007】
昨今では、フィルタヘッドからハウジングを取り除くときに燃料入口を閉じる必要があり、これによって、メンテナンス作業中に燃料が作業者に滴下することを防ぐようにする。また、フィルタエレメントがなかったり、又はフィルタエレメントが適切でなかったりする場合に、エンジンが動作しないようにする必要もある。これは、一般的に、「フィルタがなければ動作しない」機能としても知られている。
【0008】
この点に関して、欧州特許第2029885号明細書は、フィルタエレメントがフィルタハウジングに適切に挿入されると、フィルタエレメントが燃料タンクへのリターンラインを閉じるように配置されたピンを含む、燃料フィルタを開示している。従って、閉鎖要素及び/又はフィルタエレメントの欠落によりリターンラインが開通すると、入口を通ってフィルタハウジングに供給された燃料は、好ましくはリターンライン通って流れ、例えば、燃料タンクへと戻る。この場合、燃料が供給されないか、又は燃料が十分供給されない。その後には、内燃機関が始動することができない。
【0009】
しかしながら、そのような文献は、メンテナンス作業中にケーシングからフィルタハウジングを取り除くとき、燃料が床に飛び散ることを防ぐためのいかなる解決策も開示していない。
【0010】
米国特許第5,698,093号明細書は、フィルタエレメントを含むハウジングがケーシングから取り外されると、燃料入口を閉じるバルブシステムを備えた燃料フィルタを開示している。バルブシステムは、フィルタエレメントが適切に導入されると、フィルタエレメントによって押し上げられる複数のバルブステムを含んでいる。バルブシステムは、ハウジングの内部に未濾過燃料の入口通路の開口部を含み、フィルタエレメントが取り除かれると、重力によって下方へと移動して入口通路を閉じる。
【0011】
この公報は、フィルタエレメントが欠落しているとき、エンジンが動作しないようにする解決策を開示している。しかしながら、この公報は、ハウジングの内部に導入されたフィルタエレメントが適切なものでない場合に対処していない。
【0012】
米国特許第5,591,332号明細書は、ハウジングがキャップ(124)の中央から上方に突出する円筒形のネック(134)を含み、フィルタハウジングがケーシングに組み付けられると、ネック(134)がピストン(18)を押し上げて入口開口部(76)を露出させる、流体フィルタアセンブリを開示している。円筒形の突起部(139)は、中央リターン孔(138)の周囲で、キャップ(124)の底部から下方へと延びている。フィルタハウジング(60)がケーシング(10)から取り除かれると、ピストンリターンスプリング(22)がピストン(18)を下方に押し下げ、その結果、ピストンフィルタが放射状の開口部(76)に進行して流体の流れを停止する。
【0013】
この公報に開示されている流体フィルタアセンブリは、フィルタハウジングの内部に濾材が配置されていなくても動作することができるので、「フィルタがなければ動作しない」機能を有していない。
【0014】
米国特許第6,171,491号明細書は、フィルタエレメント(98)がヘッドに係合していれば、流体が中央燃料室(212)から開口部(198)を通って流れることを可能にするために、作動突起部(222)の自由端(224)がバルブ要素(196)と係合して開口部(198)から離れるように配置されたフィルタを開示している。これによって、フィルタエレメントの中央燃料室をヘッドの出口(102)と連通させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、フィルタハウジングがフィルタヘッドから取り外されたときに燃料入口を閉じ、作業者に燃料が滴下するのを防ぐ機構を提供することである。他の目的は、同じ機構を使用して、フィルタハウジングの内部にフィルタエレメントがないか、又はフィルタハウジングの内部にあるフィルタエレメントが適切なものでないことを検知可能な、「フィルタがなければ動作しない」機能を達成することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この目的のために、本発明は、好ましくは燃料フィルタである、車両の液体フィルタに関する。この液体フィルタは、入口ポート及び出口ポートを区切るフィルタヘッドと、フィルタヘッドの下方に取り付けられ、中心軸の中心に置かれたフィルタエレメントを含むフィルタハウジングと、を備えている。フィルタエレメントは、濾材、上部プレート及び下部プレートを含んでいる。フィルタハウジングは、濾過対象の液体の流れを受け入れる、濾材の周囲を放射状に区切って入口ポートと連通する第1のボリュームと、濾過済みの液体の流れを受け入れる、濾材の内部を放射状に区切って出口ポートと連通する第2のボリュームと、を区切っている。
【0017】
本発明によれば、フィルタヘッドは、入口ポートを閉じる閉位置と、液体が入口ポートを通って流れることができる開位置と、の間で移動可能な閉鎖要素を備えた漏洩防止バルブを含んでいる。フィルタは、フィルタエレメントに取り付けられて入口ポートの内部を貫通するように構成されたピンを更に含み、これによって、閉鎖要素を閉位置から開位置へと移動させる。
【0018】
「フィルタエレメントに取り付けられる」という用語は、ピンがフィルタエレメントに取り付けられるか、又はフィルタエレメントと一体化、特に、上部プレートと一体化することができることを理解されたい。
【0019】
本発明のおかげで、フィルタエレメントがない場合、閉鎖要素がデフォルトで入口ポートを閉じているため、入口ポートが自動的に閉じられる。従って、フィルタエレメントがなければ、燃料が入口ポートを通って流れず、液体濾過装置には燃料が供給されない。エンジンを始動することができる。しかしながら、燃料の供給不足のため、エンジンは短時間で自動的に停止する。システムにあるフィルタエレメントがこの特定の用途向けに設計されていない場合(即ち、フィルタエレメントがピンを備えていない場合)、同じ欠点が見られる可能性がある。これは、「フィルタがなければ動作しない」と呼ばれている。
【0020】
有利であるが必須ではない本発明のさらなる態様によれば、本発明の液体フィルタは、単独又は組み合わせて考慮される、以下の特徴の1つ以上を含むことができる。
・フィルタヘッドは、フィルタハウジングをフィルタヘッドに取り付けるとき、ピンが入口ポートと軸方向に整列する構成に到達するまで、ピンを入口ポートに向けて案内するインデックス手段を更に含んでいる。
【0021】
従って、フィルタヘッドがフィルタハウジングに取り付けられて取付構成に到達すると、インデックス手段がピンと協働して、ピンが入口ポートと軸方向に整列した構成が得られる。これは、フィルタハウジングがフィルタヘッドに取り付けられたままであるとき、ピンが最初に中心軸の周りを回転した後に、ピンが回転を停止して入口ポートの内部を軸方向に貫通する構成に到達することを意味する。フィルタハウジングを取り外すと、フィルタハウジングが完全に取り外される前に閉鎖要素が閉位置に移動する。これによって、フィルタエレメントを交換するときに、液体の落下を防ぐことができる。また、この装置のおかげで、フィルタヘッドに対するピンの向きを気にする必要もない。インデックス手段は、フィルタハウジングをフィルタヘッドの下方に取り付けるときに、ピンを(整列)構成に維持する。ピンと入口ポートとのインデクセーション又は整列は自動的に行われる。
・フィルタエレメントは、フィルタハウジングに対して回転して固定され、ピンは、フィルタエレメントの上部プレートに回転可能に取り付けられたリングの一部である。
・フィルタエレメントは、フィルタハウジングに対して回転して移動可能であり、ピンは、フィルタエレメントの上部プレートの一部である。
・ピンは、中心軸に対して偏心して配置されている。
・ピンは、上部プレートの中央に配置されている。
・ピンは、軸方向に上方に延びている。
・閉鎖要素は、ボール又はプランジャである。
【0022】
これによって、閉鎖要素の開位置で液体が容易に循環することができる。ボール又はプランジャが単純な幾何学的形状を有して簡単に移動できるので、ピンがない場合の液体連通の中断はまた、信頼性の高い方法で実現される。
・フィルタヘッドは、入口ポートの上流に配置された入口導管と、他の出口ポートと、入口導管と他の出口ポートとの間で延びるバイパスと、を区切っている。
・閉鎖要素は、閉位置でバイパスを閉じ、閉鎖要素が閉位置にある限りバイパスが開通したままとなるように配置されている。
【0023】
従って、フィルタハウジングの内部にフィルタカートリッジがなければ、すべての燃料がバイパスを通って他の出口ポートへと流れて燃料タンクに戻るので、燃料フィルタの入口ポートを通って流れる燃料はない。
・フィルタエレメントは、フィルタハウジングの内部において、フィルタハウジングの内部で軸方向に保持される第1の構成と、フィルタハウジンから軸方向に取り除くことができる第2の構成と、の間で回転することができる。
・フィルタエレメントは、バヨネット取付システムを使用して、フィルタハウジングに取り付けられている。
【0024】
本発明は、上述したような液体フィルタを含む車両にも関する。好ましくは、出口ポートは、車両の内燃機関に接続され、もしあるならば、他の出口ポートは、車両の燃料タンクに接続されている。
【0025】
本発明のさらなる利点及び有利な特徴は、以下の説明に開示されている。
【0026】
添付の図面を参照し、以下、例として挙げられる本発明の実施形態についてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明による内燃機関及び少なくとも1つの燃料フィルタを備えた車両、特にトラックの斜視図である。
【
図2】それぞれ本発明の第1及び第2の実施形態と見做すことができるメインフィルタ及びプレフィルタを備えた、
図1の車両の内燃機関の機構である。
【
図3】メインフィルタ(第1の実施形態)の断面図である。
【
図4】メインフィルタの漏洩防止バルブが開いている、
図3のボックスIVの拡大図である。
【
図5】フィルタハウジングがフィルタヘッドから取り除かれ、かつ漏洩防止バルブが閉位置に切り替わった、
図4に匹敵する図である。
【
図6】プレフィルタ(第2の実施形態)の断面図である。
【
図7】漏洩防止バルブが開いている、プレフィルタの漏洩防止バルブの詳細図である。
【
図8】フィルタハウジングがフィルタヘッドから取り除かれ、かつ漏洩防止バルブが閉位置に切り替わった、
図7に匹敵する図である。
【
図9】プレフィルタのフィルタヘッドの底面図である。
【
図10】プレフィルタのフィルタハウジングの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
上記で定義した図面の以下の詳細な説明において、同一の機能を実現する同様な要素(複数もあり)は、本発明の理解を簡単にするために、同じ参照番号を付すことができる。
【0029】
図1は、車両2、特にトラックを示している。この車両2は、内燃機関を含み、そのうちの噴射システム20のみが図、特に
図2に示されている。
図2に示すように、燃料回路は、燃料タンク4と、プレフィルタ6(任意)と、メインフィルタ12と、低圧ポンプ10と、を含んでいる。
【0030】
一般的に、燃料タンク4は、ライン8によってプレフィルタ6に接続されている。プレフィルタ6は、動作時に、燃料が外側から内側へと通過する管状の濾材を含んでいる。これは、未濾過の燃料が濾材の周囲のチャンバに到達して濾材を通って流れ、濾材の中央チャンバに到達することを意味する。「低圧ポンプ」と呼ばれるポンプ10は、プレフィルタ6の出口からライン14を介して燃料を吸引して、メインフィルタ12の入口に圧送する。
【0031】
燃料は、エンジンの噴射システム20に燃料を運ぶライン16を通ってフィルタ12から排出する。有利には、噴射システム20は、メインフィルタ12から燃料を吸引して噴射システム20へと圧送するポンプインジェクタを含んでいるが、代替的に、多くの場合「高圧ポンプ」と呼ばれるポンプを使用して、フィルタ12から噴射システム20へと燃料を圧送することができる。
【0032】
このシステムはまた、燃焼中に燃焼されなかった燃料を排出するライン22を含んでいる。実際には、それは、エンジンの燃焼シリンダから出る燃料と気体との混合物である。また、分離バルブ24が気体から液体を分離する。液体は低圧ポンプ10の吸引ライン14へと流れる一方、気体は燃料タンク4へと戻る。
【0033】
図3に示すように、フィルタ12は、フィルタエレメント32(「フィルタカートリッジ」としても知られている)が内部に配置されるフィルタハウジング30を含んでいる。フィルタハウジング30は、好ましくはプラスチックからなり、上部の開口部を画定する。
【0034】
フィルタハウジング30は、フィルタヘッド36(「フィルタカバー」又は「フィルタケーシング」としても知られている)の下方に取り付けられるようになっている。このため、フィルタヘッド36は、フィルタハウジング30の上方に固定されて、フィルタハウジング30の上部の開口部を閉じている。フィルタハウジング30は、フィルタヘッド36から下方へと取り外すことができ、これによって、フィルタエレメント32を取り除いて、必要であれば、これを交換することができる。
【0035】
フィルタヘッド36は、好ましくはアルミニウムからなり、燃料フィルタ12をエンジンブロックへと固定する取付ブラケットとしても役立つ。
【0036】
本明細書では、フィルタ6又は12は、「カートリッジ構造」又は「スピンオン構造」のいずれであってもよいと考える。「カートリッジ構造」では、フィルタハウジング30は常設のハウジングであって、フィルタエレメント又はカートリッジ32のみが必要に応じて交換される。「スピンオン構造」では、フィルタハウジング30及びフィルタエレメント32が自己完結型のハウジング及びエレメントアセンブリを形成し、これをフィルタヘッド36から取り外して廃棄し、新しいものと交換する。
【0037】
フィルタエレメント32は、2つの平行なプレート40及び42の間に配置された、管状の濾材38を備えている。濾材38は、中心軸X38(又は回転軸)を画定する。濾材38は、それ自体知られている方法で、プリーツシートから作られている。
【0038】
その管状形状によって、濾材38は、濾材38の上方、下方及び周囲のボリュームを含む、内部ボリューム若しくは中央ボリュームV1、並びに外部ボリュームV2を画定する。
【0039】
プレート42は、使用構成においてフィルタの上部に配置されることから「上部プレート」として知られている一方、プレート40は、同じ理由によって「下部プレート」として知られている。プレート40及び42は、液体不透過性の材料でできている。
【0040】
この例では、2つのプレート40及び42は、円盤状であり、濾材38の直径と略等しい最大直径(又は外径)を有している。
【0041】
フィルタエレメント32はまた、濾材38の中央に同軸に配置された中央管33(「中心管」としても知られている)を含んでいる。これは、濾材38の中心軸X38が中央管33の中心軸38と重なっていることを意味する。この例では、中央管33の内部ボリュームは、濾過対象の液体の流入通路を形成する。
【0042】
この例では、中央管33の壁面がつまっており(fill)、中央管33がいかなる放射状の孔も含まないことを意味する。そして、動作時に、中央管33の内部に含まれている液体は、中央管の外部に放射状に排出することができない。
【0043】
動作中、燃料は、濾材38を通って外側から内側へと放射状に流れる。これは、フィルタハウジング30が、濾過対象の液体の流れを受け入れる、濾材38の周囲を放射状に区切る第1のボリュームV1と、濾過済みの液体の流れを受け入れる、濾材38の内部を放射状に区切る第2のボリュームV2と、を区切っていることを意味する。
【0044】
上部プレート42は、第2のボリュームV2と連通する液体通路の開口部60(
図4参照)を備えている。これは、動作中、濾材38の内部に含まれた濾過済みの液体が、上部プレートの開口部60を通って導管16へと上方に直接排出できることを意味する。
【0045】
フィルタヘッド36は、
図5に特に見ることができる入口ポート(「入口孔」又は「入口開口部」としても知られている)19と、
図4に特に見ることができる出口ポート21と、を区切っている。この明細書では、一般的な定義に従って、「ポート」又は「オリフィス」は必ずしも円形断面の孔であると解釈される必要はなく、より一般的には開口部であり、その形状はどんなものでもよい。
【0046】
入口ポート19は、第1のボリュームV1と連通している一方、出口ポート21は、第2のボリュームV2と連通している。
【0047】
図3及び
図4において、破線の矢印A1、A2、A3及びA4は、通常動作における液体の通路を表している。
【0048】
中央管33及び下部プレート40は、動作時に、液体が下部プレート40を通って濾材38の外部に排出されるように互いに接続されている。
【0049】
この例では、中央管33及び下部プレート40は、2つの特徴的な部品である。中央管33は、下部プレート40の孔に密閉状態で接続されている。
【0050】
この明細書では、一般的な定義に従って、中央管33が下部プレート40に「接続」されている事実は、中央管33及び下部プレート40が2つの異なる部品からなることを必ずしも意味していない。図示しない変形例では、中央管33は、下部プレート40と一体化されていてもよい(即ち、単一の部品として)。
【0051】
上部プレート42は、濾過済みの液体の出口通路を形成する中央開口部を画定している。この中央開口部は、濾材38の中央ボリュームに開口している。換言すると、上部プレートの中央開口部は、濾材38の内部ボリュームと直接連通しており、濾材38の内部の濾過済みの液体は、上部プレートの開口部を通って上方へと直接排出することができる。
【0052】
また、中央管33は、濾材38の内壁から放射状に離間して配置されている。
【0053】
この例では、中央管33は、2つのプレート40及び42の一方、特に下部プレート40に対して、特にクリップで固定されている。
【0054】
有利には、中央管33は、上部プレート42を通過、即ち、中央管33は、上部プレート42の開口部の内側に受け入れられる。これによって、濾過済みの液体が中央管33と上部プレートの開口部との間を通過し、中央管33がフィルタエレメント32の他の部分と比較して上方へと突出している。
【0055】
動作中、
図3に示すように、濾過対象の燃料は、中央管33を通って延びる放射状の孔(複数も可能)を通ってフィルタハウジング30へと流入する。そして、燃料は、中央管33の全長を通って流れる(矢印A1)。その後、燃料は、中央管33と上部プレート40との間の密閉された接続部を介して下部プレート40を通って流れ、濾材38の側面によって上方へと流れ、濾材38の周囲のボリュームに蓄積する(矢印A2)。そして、燃料は、濾材38の中心軸X38に対して略半径方向に濾材38を通って流れる(矢印A3)。次に、濾過済みの燃料は、中央管33に沿って上方へと流れ、中央管33と上部プレートの開口部との間の通路部を通って流れ、フィルタヘッド36を貫通して延びる出口導管(図示せず)と合流する(矢印A4参照)。
【0056】
この例では、中央管33は、中心軸X38を中心として燃料の流れを螺旋方向(
図3の矢印A4参照)に駆動するフィンを有している。これには、濾過済みの燃料の流れを上部に案内して、動的な流れの挙動を生成するという利点がある。換言すると、これによって、燃料が下方へと流れてフィルタの下部に溜まることを防ぐことができる。
【0057】
一般的には、
図4に示すように、濾過対象の液体は、中央通路を通ってフィルタハウジング30の内部へと流入し、濾過済みの液体は、同様に中央通路を通ってフィルタハウジング30から流出する。一般的には、出口通路は、入口通路の周囲に同軸に配置されている。
【0058】
図4及び
図5に示すように、フィルタヘッド36は、入口ポート19を閉じる閉位置(
図5に表されている)と、液体が入口ポート19を通って流れることができる開位置(
図4に表されている)と、の間で移動可能な閉鎖要素52を備えた、漏洩防止バルブ50(「入口バルブ」としても知られている)を含む点で特有である。
【0059】
この例では、このタイプのバルブにとって普通であるように、漏洩防止バルブ50の閉鎖要素52は、バルブシートと協働する。このバルブシートは、フィルタヘッド36の一部である。
【0060】
有利には、バルブシートはゴムからなり、これは追加のシールリングの使用を防ぐ。
【0061】
さらに、フィルタ12は、フィルタエレメント32に取り付けられ、入口ポート19の内部を貫通するように構成されたピン54をさらに含んでいる。これによって、閉鎖要素52を閉位置から開位置へと移動させる。
【0062】
正確には、閉鎖要素52は、軸方向、即ち中心軸X38に平行な方向に沿って移動可能である。閉鎖要素52は、デフォルトでは、重力の影響下で入口ポート19を閉じている。ピン54が入口ポート19を貫通すると、ピン54が閉鎖要素52を押し上げて、入口ポート19を通る液体の通路を開通させる。フィルタハウジング30が取り外されると、ピン54が入口ポート19から出て、閉鎖要素52が重力の影響下で閉位置へと戻る。従って、漏洩防止バルブ50は、入口ポート19を通る燃料の入口流れを止める。これは、フィルタエレメント32を交換する間、燃料が床や作業者に滴下しないことを意味する。
【0063】
この例では、閉鎖要素52は、プランジャ(又はピストン)である。
【0064】
一般的に、ピン54は、上部プレート42の中央に配置されている。この例では、ピン54は、軸方向に上方へと延びている。ピン54は、フィルタエレメント32の他の部分に対して上方へと突出している。
【0065】
図示の例では、これが適切に示されていないが、フィルタヘッド36は、リターンライン18と連通する他の出口導管(図示せず)を含んでいる。脱気バルブ(a degassing valve)が、他の導管に含まれていることが好ましい。その名前が示すように、脱気バルブが開くと、フィルタハウジングの内部の気体(一般的には空気)が燃料タンクへと戻され、フィルタハウジングが液体で満たされるとすぐに閉じられる。そのような脱気バルブは、従来から知られており、さらに詳細に説明しない。
【0066】
図示の実施形態では、フィルタヘッド36は、入口ポート19の上流に配置された入口導管37を区切っている。
【0067】
この漏洩防止バルブ50のおかげで、閉鎖要素52がデフォルトで入口ポート19を閉じているので、フィルタエレメント32がない場合、入口ポートが自動的に閉じられる。従って、フィルタエレメント32がなければ、燃料が入口ポート19を通って流れず、液体フィルタ12に燃料が供給されない。エンジンが始動できるようになる。しかしながら、燃料供給不足のため、エンジンが短時間で自動的に停止する。システムにあるフィルタエレメント(即ち、フィルタハウジング30にあるフィルタエレメント)が、この特定の用途のために設計されていない場合(即ち、フィルタエレメントにピン54が設けられていない場合)、同じ欠点を見ることができる。これは、「フィルタがなければ動作しない」と呼ばれている。
【0068】
1つの図示しない代替的な実施形態では、フィルタヘッド36は、他の出口ポート(図示せず)、及び入口導管37と他の出口ポートとの間に延びるバイパス(図示せず)を区切っている。この場合、閉鎖要素52は、開位置(
図4)でバイパスを閉じ、閉鎖要素が閉位置(
図5)にある限りバイパスを開通させるように配置されている。
【0069】
図6~
図8は、本発明の他の実施形態として見ることができる、プレフィルタ6を示している。簡潔にするため、メインフィルタ12に対する相違点のみを以下で説明する。
【0070】
プレフィルタ6とメインフィルタ12との間の最初の相違点は、フィルタエレメント32に取り付けられたピン54が濾材38の中心軸X38に対して偏心して配置されていることである。
【0071】
他の相違点は、閉鎖要素52がボールであり、好ましくはプラスチックからなることである。
【0072】
また、フィルタヘッド36は、フィルタハウジング30をフィルタヘッド36に取り付けるとき、ピン54が入口ポート19と軸方向に整列する構成(即ち、整列構成)に到達するまで、ピン54を入口ポート19に向けて案内するインデックス手段100を更に含んでいる。
【0073】
この例では、フィルタエレメント32は、フィルタハウジング30に対して回転して固定され、ピン54は、フィルタエレメント32の上部プレート42に回転可能に取り付けられているリング56の一部である。これは、リング56が上部プレート42に対して回転自由であることを意味する。好ましくは、リング56は、上部プレート42の上面に同軸に配置されている。一般的には、リング56は、上部プレート42にクリップで固定される。しかしながら、任意の他の手段を使用して、リング56を上部プレート42に取り付けることができる。
【0074】
1つの図示しない代替的な実施形態では、フィルタエレメント32は、フィルタハウジング30に対して回転して移動可能であってもよい。この場合、リング56が存在しない。ピン54は、フィルタエレメント32の上部プレート42の一部である。
【0075】
図9から理解できるように、インデックス手段100は、長円面(an elliptic surface)の形態をとる案内面を含んでいる。この案内面は、フィルタ12の中心軸、即ち、中心軸X38に垂直な平面に対して傾斜している。換言すると、案内面は、中央管の中心軸に垂直でない平面(傾斜面)と中央管との交点に相当する。
【0076】
案内面は、フィルタハウジング30がフィルタヘッド36の底部に組み付けられるとき、ピン54を入口ポート19に向けて案内するように設計されている。
【0077】
インデックス手段100は、フィルタヘッド36に取り付けられ、長手方向軸X38に略平行に延びる壁部102を備えている。壁部102は、ピン54と協働するように構成された当接部を形成する。
【0078】
壁部102は、ピン54と協働して、上述した整列構成にピン54を配置して維持する、フィルタヘッド36からの突起である。本発明の態様によれば、壁部102は、長手方向軸X38に略平行に延びる異形部品(a profiled part)である。
【0079】
一般的に、フィルタエレメント32を交換する必要があるとき、作業者は、フィルタヘッド36からフィルタハウジング30を取り外すことによって、最初にフィルタエレメント32を取り外す。作業者がフィルタヘッド36を取り外し始めると、ピン54が受容孔として機能する入口ポート19に係合されるのでピン58の回転が妨げられて、回転リング56が静止したままとなる。ピン54が入口ポート19から出るとすぐに、回転リング56の回転が妨げられることはなくなり、フィルタエレメント32と一緒に回転する。
【0080】
その後、新しいフィルタハウジングが、フィルタヘッドの下方に取り付けられる。フィルタハウジング30は、保持(「カートリッジ」設計)、又は廃棄(「スピンオン」設計)することができる。
【0081】
作業者がフィルタヘッド36の周囲又は内部にフィルタハウジング30を取り付け始めると、ピン54がフィルタヘッド36の案内面100に当接する(ピン54を入口ポート19の前面に正確に向ける必要はない)。そして、(回転及び並進を含む)ねじ込み運動が、ピン54を案内面100に沿って移動させる。
【0082】
ピン54は、これがフィルタヘッドの案内面100に当接する位置に応じて、ねじ込み運動と同じ方向、又はその反対方向に移動することができる。一般的には、ピン54が入口ポート19に近づくが、ねじ込み回転運動がピンを入口ポート19から遠ざける傾向があれば、案内面100の傾斜特性は、ピン54がその方向に移動するのを妨げ、ピン54を他の方向に移動させて入口ポート19に到達させる。これは、ピン54が属する回転リング56が上部プレート42に対して回転することができる事実のために可能となる。そして、ピン54は、上部プレート42が他の方向に回転しても、一方向に回転することができる。
【0083】
従って、ピン54は、組み立て作業中に、その最終位置に向かって自動的に配向されることを理解されたい。これは、作業者が、ピン54が入口ポート19に貫通するように、フィルタエレメント32を配向する必要がないことを意味する。
【0084】
ピン54が入口ポート19に到達すると、リング56は回転を停止する。しかしながら、フィルタハウジング30は、ねじ込み運動が完了するまで回転し続ける。ねじ込み動作を続行することによって、ピン54が入口ポート19の内部に押し込まれて、
図7の位置に到達する。
【0085】
この特別なフィルタ設計の1つの利点は、フィルタエレメント32を異なる設計のフィルタエレメントで置き換えようとすると、漏洩防止バルブ50が閉じたままになり、フィルタハウジング30に燃料が流入しないことである。従って、この特別な設計によって、不適切なフィルタエレメントがハウジング30の内部に組み付けられたとき(又はフィルタがないとき)、エンジンが動作しないことを確実にする。この安全機構は、上述したように、「フィルタがなければ動作しない」と呼ばれている。
【0086】
図10に関連して、フィルタエレメント32は、フィルタハウジング30の内部において、フィルタハウジング30の内部で軸方向に保持された第1の構成(図示せず)と、フィルタハウジング30から軸方向に取り除かれた第2の構成(
図10に表されている)と、の間で回転することができる。
【0087】
一般的には、フィルタエレメント32は、バヨネット取付システムを使用して、フィルタハウジング30に取り付けられている。そのようなバヨネット取付システムは、少なくとも1つのL字形の係止溝、好ましくはフィルタハウジング30の半径方向の内面に設けられたいくつかの係止溝70と、少なくとも1つの相補的な半径方向の歯、好ましくはフィルタエレメント32の半径方向の外面に設けられた2つの相補的な半径方向の歯と、を含んでいる。この2つの半径方向の歯は、
図10に見ることができる。
【0088】
このバヨネット取付システムは、カートリッジのみを交換する必要がある構成(カートリッジ構造)において特に有利である。実際には、フィルタハウジングをフィルタヘッドから取り除いた後、作業者は、まず、第1の専用廃棄箱(図示せず)に残った燃料を移してハウジングを空にし、次に、ハウジングに対してフィルタカートリッジを移動させて第2の構成(
図10)にする。そして、作業者は、フィルタハウジングの開口部を単に地面に向けるだけで、ハウジングからフィルタカートリッジを簡単に取り除くことができる。フィルタカートリッジは、重力でハウジングから第2の専用廃棄箱(図示せず)に滑り落ちる。これによって、燃料及びカートリッジの両方をリサイクルすることができ、実際のプロセスよりも環境に優しい。
【0089】
図示しない変形例では、バヨネット取付システムの代わりにクリッピング手段を使用して、フィルタハウジング30の内部にフィルタエレメント32を取り付けることができる。一般的には、フィルタエレメント32は、フィルタハウジング30において区切られた対応する凹部の内部に係合する、1つ以上のクリップを含んでいる。フィルタヘッド36からフィルタハウジング30を取り外すと、作業者は、ドライバなどを使用してハウジング30からフィルタエレメント32を容易に分離して、フィルタハウジング36からフィルタエレメント32を取り外すことができる。
【0090】
好ましくは、フィルタヘッド36は、案内面の周囲に同軸に配置された、防漏リング(an anti-spillage ring)104を含んでいる。この防漏リング104は、フィルタヘッド36とフィルタカートリッジ32との間のデッドボリュームに充填することを可能にする。従って、フィルタヘッド36からフィルタハウジング30を取り除くと、防漏リング104とフィルタカートリッジ32との間に捕捉された燃料がフィルタハウジング30に滴下される。これは、フィルタハウジング30が取り外されても、燃料が漏れないことを意味する。
【0091】
好ましくは、防漏リング104は、その構造を補強するリブ106を備えている。
【0092】
本実施形態では、メインフィルタ12に関して、出口ポート21がフィルタヘッド36の中央に配置されている。これは、フィルタの中心によって濾過された液体から濾過済みの液体が流出することを意味する。
【0093】
図示しない変形例では、フィルタハウジング30は、フィルタヘッド36の上部に取り付けられている。これは、組立構成において、フィルタハウジング30の下方にフィルタヘッド36があることを意味する。本実施形態では、スプリングなどの戻り手段を使用して、閉鎖要素52を上方に押し上げて閉位置に維持するようにしてもよい。
【0094】
言うまでもなく、本発明は、例として上述した実施形態に限定されるものではなく、すべての変形例を含んでいる。
【0095】
本発明は、上述及び図示の実施形態に限定されないことを理解されたい。むしろ、当業者であれば、添付の特許請求の範囲内で、多くの変形及び修正がなされ得ることを認識するであろう。