IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフトの特許一覧

<>
  • 特許-自動車両用の、特に自動車用の内燃機関 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】自動車両用の、特に自動車用の内燃機関
(51)【国際特許分類】
   F02B 19/08 20060101AFI20240205BHJP
   F02B 19/18 20060101ALI20240205BHJP
   F02B 19/12 20060101ALI20240205BHJP
   F02B 23/08 20060101ALI20240205BHJP
【FI】
F02B19/08 A
F02B19/18 B
F02B19/12 A
F02B23/08 U
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022543591
(86)(22)【出願日】2020-12-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-17
(86)【国際出願番号】 EP2020085248
(87)【国際公開番号】W WO2021151567
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】102020000534.9
(32)【優先日】2020-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100090583
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 清
(74)【代理人】
【識別番号】100098110
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 みどり
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルナー・ホーリー
【審査官】平井 功
(56)【参考文献】
【文献】特開昭49-61504(JP,A)
【文献】特開2020-191160(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 1/00-23/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車両用の内燃機関(10)であって、少なくとも1つの燃焼室(20)を有し、その中で燃料空気混合気の第1のタンブル流(22)が少なくとも前記内燃機関(10)の燃焼運転中に生成され、および前記燃焼室(20)に割り当てられた副室点火プラグ(24)を有し、前記副室点火プラグ(24)は副室(28)を有し、前記副室(28)は複数の開口部(30)を介して前記燃焼室(20)と流体的に接続され、前記複数の開口部(30)を介して前記燃料空気混合気の少なくとも一部(32、34)が、前記燃焼室(20)から前記副室(28)に導入されることができるものであり、
前記開口部(30)は、前記副室(28)において前記開口部(30)を介して前記副室(28)に流入する前記燃料空気混合気の一部(32,34)である第2のタンブル流(34)を誘導するように、前記副室(28)と前記燃焼室(20)との間に設けられたパイプ状構造体においてボアとして形成され、前記第2のタンブル流(34)は前記燃焼室(20)内で生成される前記第1のタンブル流(22)と逆向きであること、および
前記内燃機関(10)の出力軸の軸方向に延びる視線方向に関して、前記燃焼室(20)に割り当てられた吸気弁(36)は左側に配置され、前記燃焼室(20)に割り当てられた排気弁(38)は右側に配置され、前記第1のタンブル流(22)は時計回りに流れ、前記第2のタンブル流(34)は反時計回りに流れること、を特徴とする内燃機関(10)。
【請求項2】
前記第1のタンブル流(22)は第1の回転軸の周りで起こり、前記第2のタンブル流(34)は第2の回転軸の周りで起こること、を特徴とする請求項に記載の内燃機関(10)。
【請求項3】
前記回転軸は互いに平行に延びること、を特徴とする請求項に記載の内燃機関(10)。
【請求項4】
前記回転軸間の角度偏差は量で見て高々30度であること、を特徴とする請求項に記載の内燃機関(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載の自動車両用の、特に自動車用の内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
このような自動車両用の、特に自動車用の内燃機関は、特許文献1および特許文献2から既に知られている。内燃機関は、少なくとも1つの燃焼室を有し、その中で、単に混合気とも呼ばれる燃料空気混合気の第1のタンブル流が、少なくとも内燃機関の燃焼運転中に生成される。燃料空気混合気の第1のタンブル流は、例えば燃料空気混合気がチャージとも呼ばれるため、チャージ運動またはタンブルチャージ運動とも呼ばれる。さらに内燃機関は、燃焼室に割り当てられた副室点火プラグを有し、副室点火プラグは副室を有する。副室は、複数の開口部を介して燃焼室に流体的に接続されている。燃焼室からの燃料空気混合気の少なくとも一部は、開口部を介して副室に導入されることができる。さらに、特許文献3は、内燃機関のための副室システムを開示している。
【0003】
さらに、特許文献4は、シリンダヘッドとシリンダヘッドに対向するピストンとの間に配置された主燃焼室を有する内燃機関を開示している。内燃機関のための副室システムは、特許文献5から知られている。また、副室点火プラグを有する内燃機関は、特許文献6から知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】DE 10 2017 009 228 A1
【文献】DE 10 2017 009 235 A1
【文献】US 2014/0251259 A1
【文献】US 2018/0230895 A1
【文献】AT 13 172 U1
【文献】特開2009-270540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、特に有利な運転が達成され得るような方法で最初に特定された種類の内燃機関をさらに発展させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1の特徴を有する内燃機関によって達成される。本発明の好都合な展開を伴う有利な工夫は、残りの請求項に規定されている。特に有利な動作が達成され得るような方法で、請求項1の前文に規定される種類の、好ましくはレシプロエンジンとして形成される内燃機関をさらに発展させるために、開口部が、副室において開口部を介して副室に流入する燃料空気混合気の一部である第2のタンブル流を誘導するように形成され、この第2のタンブル流は燃焼室内で生成される第1のタンブル流と逆向きであることが、本発明に従って提供される。換言すれば、内燃機関は、これらのタンブル流を逆向きに、または一致させないで、形成するように設計される。再び異なる表現をすると、ボアとして形成された開口部は、例えばそれを介して副室が燃焼室に流体的に接続されるが、その開口部を介して副室に流入する燃料空気混合気の燃料の一部で第2のタンブル流を誘導するように整列され、または配置され、および/または形成されるものであり、ここで、第1のタンブル流は第1の回転方向で第1の回転軸の周りに起こり、そして第2のタンブル流は第2の回転方向で第2の回転軸の周りに起こり、この第2の回転方向は、第1の回転方向と逆向きまたは反対である。ここで、これらの回転軸は例えば互いに平行に延び、またはこれらの回転軸間の角度偏差は数学的な量で見て高々30度である。つまり、回転軸間の角度偏差は高々+/-30度である。ここで、本発明は以下の知見に基づくものである。例えば、副室点火プラグまたは副室を有するガソリンエンジンとして形成された内燃機関の燃焼方法は、燃焼安定性を低下させる、または低負荷での失火の機会を増加させる傾向があり、例えばアイドリング時に滑らかな運転を不十分にする可能性がある。これらの問題はいま本発明により回避することができる。特に、本発明は以下の利点を達成することができる。
【0007】
- 第2のタンブル流による副室の洗浄に特に有利である。
- 従って副室内の残留ガス量が低減される。
- 従って低負荷に対して動作範囲が拡張される。
【0008】
内燃機関は、好ましくは、ガソリンエンジンおよび/または4バルブエンジンおよび/または4気筒エンジンとして形成される。従って、少なくともまたは正確に4つのガス交換弁が燃焼室に割り当てられ、例えば、そのうち少なくともまたは正確に2つの第1のガス交換弁が吸気弁として形成され、少なくともまたは正確に2つの第2のガス交換弁が排気弁として形成される。さらに、クランクシャフトとして形成された内燃機関の出力軸の軸方向に延びるこのような視線方向に基づいて、その視線方向に吸気弁が左側に配置され、排気弁が右側に配置され、第1タンブル流が時計回りに流れ、第2タンブル流が反時計回りに流れる場合に有利であることが示された。ここで、タンブル軸とも呼ばれるそれぞれの回転軸は、その軸方向に、または例えばクランクシャフトとして形成された出力軸の長手軸に平行に延びることが考えられる。
【0009】
本発明のさらなる利点、特徴および詳細は、好ましい例示的な実施形態の以下の説明から、および図面によって明らかになる。なお、上記説明において述べた特徴および特徴の組み合わせ並びに図の説明において以下に述べる特徴および特徴の組み合わせおよび/または単一の図のみに示した特徴および特徴の組み合わせは、それぞれ指定された組み合わせにおいてのみならず、他の組み合わせにおいても、または単独でも、本発明の範囲を逸脱することなく使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】単一図において各部における自動車両用の本発明による内燃機関の概略断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
単一図は、各部において、自動車両用の、特に自動車用の、好ましくはレシプロエンジンとして形成され、機関または燃焼機関とも呼ばれる内燃機関10を概略側面で示す。これは、完成された状態の自動車両が、内燃機関10を有し、内燃機関10によって駆動されることができることを意味する。内燃機関10は、例えば、第1のハウジング要素12を有し、これは、例えば、クランクハウジングとして、またはシリンダクランクハウジングとして形成される。ハウジング要素12は、内燃機関10の少なくとも1つのシリンダ14を形成し、またはその境界を定める。
【0012】
また内燃機関10は、第2のハウジング要素16を有し、これはハウジング要素12とは別に形成され、ハウジング要素12に接続されている。ハウジング要素16は、例えば、シリンダヘッドであり、これは少なくとも1つの燃焼室ルーフ18を形成する。例えば、内燃機関10の図では見えないピストンが、シリンダ14内に並進移動可能に受け入れられる。また、内燃機関10は、同図では見えない出力軸を有し、目下クランクシャフトとして形成されており、それはハウジング要素12に対して回転軸の周りを回転可能にハウジング要素12に取り付けられている。ここで、ピストンはコンロッドを介してクランクシャフトに柔軟に接続されており、それによって、シリンダ14内のピストンの並進運動は、ハウジング要素12に対する回転軸の周りのクランクシャフトの回転運動に変換されるか、または変換され得る。シリンダ14、燃焼室ルーフ18及びピストンは、それぞれ内燃機関10の燃焼室20を部分的に区切っており、その燃焼室20内で内燃機関10の燃焼運転の間に燃焼プロセスが行われる。
【0013】
燃焼運転の間、少なくとも空気および燃料、特に液体燃料が、内燃機関10のそれぞれの作動サイクル内で燃焼室20に導入され、それによって単に混合気またはチャージとも呼ばれる燃料空気混合気が燃焼室20内に形成される。ここで、内燃機関10は、燃焼室20内で燃料空気混合気の第1のタンブル流を誘起するように形成されている。換言すれば、燃焼室20内の燃料空気混合気の第1のタンブル流は、各作動サイクル内で内燃機関10の燃焼運転中に設定され、ここで、燃焼室20内の燃料空気混合気の第1のタンブル流、すなわちタンブルチャージ運動は、矢印22によって図に示されている。
【0014】
さらに、副室点火プラグ24が燃焼室20に割り当てられている。この副室点火プラグ24は、その長手軸が例えば中央の長手軸として形成されて図中の26でラベル付けされているが、副室28を有し、それは例えばボアとして形成された開口部30を介して燃焼室20と流体的に接続されるものであり、そうでなければ燃焼室20から分離されていることが好ましい。図中の矢印32によって示される燃料空気混合気の少なくとも一部が、燃焼運転中かつ各作動サイクル内で、燃焼室20から副室28に開口部30を介して導入可能であり、または導入される。
【0015】
内燃機関10の特に有利な運転、特に内燃機関10の低回転数でも有利な円滑な運転を実施することができるようにするために、開口部30(矢印32および34)を介して副室28に流入するかまたは流入される燃料空気混合気の一部である矢印34で図示される第2のタンブル流を誘導するように開口部30が形成され、この第2のタンブル流は第1のタンブル流(矢印22)と逆向きである。タンブル流は、タンブル軸とも呼ばれる各回転軸の周りを流れ、ここでは各回転軸を中心にそれぞれの回転方向を有しており、このことは矢印22および34により見ることができる。ここで、これらのタンブル流の回転方向は互いに逆向きである。
【0016】
吸気弁として形成された正確に2つのガス交換弁が、例えば燃焼室20に割り当てられ、ここで吸気弁のうち、吸気弁の1つは、図中に見られるように36とラベル付けされている。また、排気弁として形成された正確に2つのガス交換弁が、燃焼室20に割り当てられており、ここで排気弁のうち、排気弁の1つは、図中に見られるように38とラベル付けされている。図1は、内燃機関10、特に、吸気弁36が左側または左手側に、排気弁38が右側または右手側に配置されるように、クランクシャフトの軸方向の視線方向を有する燃焼室20を示している。この視線方向に関して第1のタンブル流は時計回りに流れ、その視線方向に関して第2のタンブル流は反時計回りに流れる。これにより、特に有利な操作が達成できる。
【符号の説明】
【0017】
10 内燃機関
12 ハウジング要素
14 シリンダ
16 ハウジング要素
18 燃焼室ルーフ
20 燃焼室
22 矢印
24 副室点火プラグ
26 長手軸
28 副室
30 開口部
32 矢印
34 矢印
36 吸気弁
38 排気弁


図1