(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】光変調器及び関連機器
(51)【国際特許分類】
G02F 1/01 20060101AFI20240205BHJP
G02B 6/122 20060101ALI20240205BHJP
G02B 6/42 20060101ALI20240205BHJP
【FI】
G02F1/01 C
G02B6/122 301
G02B6/42
(21)【出願番号】P 2022551579
(86)(22)【出願日】2021-02-20
(86)【国際出願番号】 CN2021076985
(87)【国際公開番号】W WO2021169854
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-08-31
(31)【優先権主張番号】202010132612.1
(32)【優先日】2020-02-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】グイ,チュヨンチュヨン
(72)【発明者】
【氏名】リー,イエンボー
(72)【発明者】
【氏名】ソーン,シヤオルゥ
【審査官】奥村 政人
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-054197(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110824732(CN,A)
【文献】特開2006-178275(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0310208(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/00- 1/125
G02F 1/21- 7/00
G02B 6/12- 6/14
G02B 6/26- 6/27
G02B 6/30- 6/34
G02B 6/42- 6/43
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光変調器であって、導波路層と光電材料層と電極とを含み、
前記導波路層はサブ波長導波路
と非サブ波長導波路部分とを含み、
前記サブ波長導波路の表面と前記非サブ波長導波路部分の表面は連続する平坦な面を形成し、
前記光電材料層は、前記サブ波長導波路の
前記表面に配置され、前記サブ波長導波路は、
前記非サブ波長導波路部分において前記導波路層
の内部に位置する光照射野を
、前記サブ波長導波路の外部に且つ前記光電材料層
の内部に位置する領域へと拡散させるよう構成され、
前記電極は、前記光電材料層の表面に配置され、前記電極の間の結合線は、前記光電材料層が位置する平面と平行であるか、又は前記電極は、前記光電材料層の2つの側に配置され、前記電極の間の結合線は、前記光電材料層が位置する平面と交差し、
前記電極は、前記光電材料層に電気信号を印可するよう構成される、光変調器。
【請求項2】
前記導波路層は、ビームスプリッタ及びビームコンバイナを含み、前記ビームスプリッタ及びビームコンバイナは、前記サブ波長導波路の2つの側に各々配置され、
前記サブ波長導波路は、前記ビームスプリッタにより出力される光照射野を前記光電材料層へと拡散させるよう構成され、
前記サブ波長導波路は、前記光電材料層における光照射野を前記ビームコンバイナへと拡散させるよう構成される、請求項1に記載の光変調器。
【請求項3】
前記導波路層は単一の導波路であり、前記サブ波長導波路は、前記光電材料層における光照射野を前記導波路層へと拡散させるよう更に構成される、請求項1に記載の光変調器。
【請求項4】
前記サブ波長導波路は、円形穴構造、ストリップ構造、又は多角形穴構造を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の光変調器。
【請求項5】
前記サブ波長導波路は第1材料で満たされており、前記第1材料の屈折率は、前記導波路層の屈折率と異なる、請求項4に記載の光変調器。
【請求項6】
前記第1材料は、空気又は二酸化シリコンである、請求項5に記載の光変調器。
【請求項7】
前記導波路層の材料は、シリコン、窒化シリコン、又はIII-V族材料である、請求項1~6のいずれか一項に記載の光変調器。
【請求項8】
前記光電材料層の材料は、有機高分子、タンタル酸リチウム薄膜、ニオブ酸リチウム薄膜、又はチタン酸バリウム薄膜を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の光変調器。
【請求項9】
前記電極の材料は、グラフェン、又は透明導電性酸化物を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の光変調器。
【請求項10】
光モジュールであって、光源と駆動機器と請求項1~9のいずれか一項に記載の光変調器とを含み、
前記光源は、入力光を生成し、前記入力光を光ファイバを通じて前記光変調器の導波路層へ送信するよう構成され、
前記駆動機器は、電気信号を生成し、前記電気信号を回路パスを通じて前記光変調器の電極へ送信するよう構成され、
前記光変調器は、前記電気信号に基づき前記入力光を変調するよう構成される、光モジュール。
【請求項11】
ネットワーク装置であって、波長分割多重化器/逆多重化器と主基板と請求項10に記載の光モジュールとを含み、前記光モジュールは前記主基板に配置され、
前記波長分割多重化器/逆多重化器は、前記主基板に配置され、前記波長分割多重化器/逆多重化器は、光ファイバを通じて前記光モジュールに結合され、前記波長分割多重化器/逆多重化器は、光信号の多重化/逆多重化を処理するよう構成される、ネットワーク装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本願は、参照により全体がここに組み込まれる、中国特許出願番号202010132612.1号、中国国家知識産権局に2020年2月29日に出願、名称「OPTICAL MODULATOR AND RELATED APPARATUS」の優先権を主張する。
【0002】
[技術分野]
本願は、光通信技術の分野に関し、特に、光変調器及び関連機器に関する。
【背景技術】
【0003】
光変調器は、光電集積回路において最も重要な統合装置のうちの1つである。近年では、人工知能及びビッグデータコンピューティングの出現により、通信容量、帯域幅、及びレートに対する人々の要求が爆発的に増大しており、光変調器は急速に発展している。帯域幅及び変調効率は、光変調器の装置性能を測定する2つの重要なパラメータである。
【0004】
従来の光変調器(例えば、シリコン光変調器)は、電子移動レートにより制限され、従来の光変調器の理論的帯域幅制限は70ギガヘルツ(gigahertz, GHz)未満である。光変調器の帯域幅を増大するために、高い光電効果を有する光電材料(例えば、有機高分子又はニオブ酸リチウム薄膜)が使用される。
【0005】
従来技術では、一般的ソリューションは、導波路スロットを有機高分子で満たし、又はニオブ酸リチウム薄膜上に導波路層をエッチングして、光照射野を光電材料層の内部に限定することである。しかしながら、導波路スロットは小さなサイズを有し、導波路スロットを有機高分子で満たすことは難しく、ニオブ酸リチウム薄膜の物理化学的特性は非常に安定しており、ニオブ酸リチウム薄膜上に導波路層をエッチングすることは非常に難しい。前述のソリューションでは、プロセスが複雑であり、製造コストが高く、実用性が低い。
【発明の概要】
【0006】
本願の実施形態は、製造コストを削減し、光電材料を光変調器に適用する実用性を向上させるために、プロセスを簡素化する光変調器及び関連機器を提供する。
【0007】
第1の態様によると、本願の実施形態は光モジュールを提供する。光変調器は、導波路層、光電材料層、及び電極を含む。前記導波路層はサブ波長導波路を含み、
前記光電材料層は、前記サブ波長導波路の表面に配置され、前記サブ波長導波路は、前記導波路層における光照射野を前記光電材料層へと拡散させるよう構成され、
前記電極は、前記光電材料層の表面に配置され、前記電極の間の結合線は、前記光電材料層が位置する平面と平行であるか、又は前記電極は、前記光電材料層の2つの側に配置され、前記電極の間の結合線は、前記光電材料層が位置する平面と交差し、
前記電極は、前記光電材料層に電気信号を印可するよう構成される。前記導波路層の材料は、シリコン、窒化シリコン、又はIII-V族材料を含む。前記光電材料層の材料は、有機高分子、タンタル酸リチウム薄膜、ニオブ酸リチウム薄膜、又はチタン酸バリウム薄膜を含む。前記電極の材料は、グラフェン、又は透明導電性酸化物を含む。
【0008】
本願の本実施形態では、前記サブ波長導波路は、前記導波路層の屈折率を変化させるために使用される。その結果、前記導波路層の屈折率と前記光電材料層の屈折率との間の差が小さくなり、前記光照射野を前記光電材料層へと拡散させる。シリコン又は窒化シリコンのような導波路層の一般的材料をエッチングし処理することが便利であるという特性に基づき、前記サブ波長導波路はエッチングを通じて得られる。前記光電材料層は、前記サブ波長導波路の表面に配置され、光電材料は更に処理される必要がなく、前記導波路層にある前記サブ波長導波路は、前記導波路層における光照射野を前記光電材料層へと拡散させるために使用される。前記光電変調器の帯域幅が増大されるとき、処理は簡略化され、製造コストが削減され、光電材料を光モジュールに適用する実用性が改善される。
【0009】
第1の態様を参照して、幾つかの実装では、前記導波路層は、ビームスプリッタ及びビームコンバイナを含む。前記ビームスプリッタ及び前記ビームコンバイナは、前記サブ波長導波路の2つの側に各々配置される。前記サブ波長導波路は、具体的に、前記ビームスプリッタにより出力される光照射野を前記光電材料層へと拡散させるよう構成される。前記サブ波長導波路は、具体的に、前記光電材料層における光照射野を前記ビームコンバイナへと拡散させるよう構成される。本願の本実施形態で提供される光変調器は、ソリューション実装の柔軟性を向上するために、2つの導波路アーム(つまり、ビームスプリッタ及びビームコンバイナを含む導波路層)を備える光変調器であってよい。
【0010】
第1の態様を参照して、幾つかの実装では、前記導波路層は単一の導波路であり、前記サブ波長導波路は、前記光電材料層における光照射野を前記導波路層へと拡散させるよう更に構成される。本願の本実施形態で提供される光変調器は、ソリューション実装の柔軟性を向上するために、2つの導波路アーム(つまり、ビームスプリッタ及びビームコンバイナを含む導波路層)を備える光変調器であってよい。
【0011】
第1の態様を参照して、幾つかの実装では、前記サブ波長導波路は、円形穴構造、ストリップ構造、又は多角形穴構造を有する。前記サブ波長導波路は、具体的に、菱形穴構造、長方形穴構造、又は楕円穴構造、のような複数の構造を有してよい。これは、ここでは限定されない。前記サブ波長導波路は第1材料で満たされており、前記第1材料の屈折率は、前記導波路層の屈折率と異なる。例えば、前記第1材料は、空気、二酸化シリコン、又は前記光電材料の屈折率と適合する別の誘電材料である。具体的に、前記第1材料の屈折率は、前記導波路層の屈折率、及び前記光電材料層の屈折率に関連する。例えば、前記導波路層の屈折率が前記光電材料層の屈折率より大きいとき、前記第1材料として選択された誘電材料の屈折率は小さく、又は、前記導波路層の屈折率が前記光電材料層の屈折率より小さいとき、前記第1材料として選択された誘電材料の屈折率は大きい。任意で、前記サブ波長導波路は、特定の屈折率を達成するために、異なる種類の第1材料で満たされてよい。例えば、前記ビームコンバイナに近い前記サブ波長導波路の部分は、二酸化シリコンで満たされ、前記ビームコンバイナに近い前記サブ波長導波路の部分は空気で満たされる。本願の本実施形態では、前記導波路層の屈折率は、前記サブ波長導波路を使用して調整され、前記サブ波長導波路は、前記屈折率を更に調整するために前記第1材料で更に満たされ、前記サブ波長導波路の屈折率の選択範囲を増大してよい。
【0012】
第2の態様によると、本願の実施形態は、光モジュールであって、光源と駆動機器と第1の態様及び第1の態様の特定の実装のうちのいずれか1つに記載の光変調器とを含む光モジュールを提供する。前記光源は、入力光を生成し、前記入力光を光ファイバを通じて前記光変調器へ送信するよう構成される。前記駆動機器は、電気信号を生成し、前記電気信号を回路パスを通じて前記光モジュールの電極へ送信するよう構成される。前記光変調器は、前記入力光及び前記電気信号を受信し、前記電気信号に基づき前記入力光を変調するよう構成される。
【0013】
第3の態様によると、本願の実施形態は、ネットワーク装置であって、波長分割多重化器/逆多重化器と、主基板と、第2の態様における光モジュールと、を含むネットワーク装置を提供する。前記光モジュールは、前記主基板上に配置される。前記波長分割多重化器/逆多重化器は、前記主基板上に配置され、前記波長分割多重化器/逆多重化器は、光ファイバを通じて前記光モジュールに結合され、前記波長分割多重化器/逆多重化器は、光信号の波長分割多重化/逆多重化処理するよう構成される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本願の実施形態による適用シナリオの概略図である。
【0015】
【
図2】本願の実施形態による光変調器の構造の概略上面図である。
【0016】
【
図3】本願の実施形態によるサブ波長導波路2011の構造の概略図である。
【0017】
【
図4】本願の実施形態によるサブ波長導波路2011の別の構造の概略図である。
【0018】
【
図5】本願の実施形態による光変調器の構造の概略図である。
【0019】
【
図6】本願の実施形態による光変調器の別の構造の概略図である。
【0020】
【
図7】本願の実施形態による光変調器の更に別の構造の概略図である。
【0021】
【
図8】本願の実施形態による光照射野分布のシミュレーションの概略図である。
【0022】
【
図9】本願の実施形態による別の光照射野分布のシミュレーションの概略図である。
【0023】
【
図10】本願の実施形態によるネットワーク装置の構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本願の実施形態は、光変調器を提供する。光変調器は、導波路層、光電材料層、及び電極を含む。導波路層は、サブ波長導波路を含む。光電材料層は、サブ波長導波路の表面に配置される。光電材料は更に処理される必要がなく、導波路層にあるサブ波長導波路は、導波路層における光照射野を光電材料層へと拡散させるために使用できる。光電変調器の帯域幅が増大されるとき、処理は簡略化され、製造コストが削減され、光モジュールの実用性が改善される。
【0025】
以下は、添付の図面を参照して、本願の実施形態を説明する。当業者は、技術の発展及び新しいシナリオの出現に伴い、本願の実施形態で提供される技術的ソリューションが同様の技術的問題の解決にも適用可能であることを理解し得る。
【0026】
本願では、請求項、及び添付の図面では、用語「第1」、「第2」、等は、同様のオブジェクトの間を区別することを意図しており、必ずしも特定の順序又はシーケンスを示さない。理解されるべきことに、そのような方法で使用される用語は、適正な環境において交換可能であり、これは単に、同じ属性を有するオブジェクトが本願の実施形態で説明されるときに使用される区別の方法である。更に、用語「含む」、「有する」、及び任意の他の変形は非排他的包含をカバーすることを意味し、ユニットのシリーズを含む処理、方法、システム、プロダクト、又は装置は、必ずしもそれらのユニットに限定されず、明示的にリストされない又はそのような処理、方法、プロダクト、又は装置に固有である他のユニットを含んでよい。
【0027】
図1は、本願の実施形態による適用シナリオの概略図である。
図1は、光モジュールを示す。本願の本実施形態で提供される光変調器200は、光モジュール100に適用されてよい。図示のように、光モジュールは、光源101、及び駆動機器102を更に含む。光源101は、入力光を生成するよう構成される。入力光は、光ファイバを通じて光変調器200へ送信される。駆動機器102は、電気信号を生成するよう構成される。電気信号は、回路パスを通じて光変調器200へ送信される。光変調器200は、入力光及び電気信号を受信し、電気信号に基づき入力光を変調するよう構成される。光変調器200は、光ファイバを通じて出力光を送信するよう更に構成される。
【0028】
留意すべきことに、本願で提供される光変調器の使用シナリオは、光モジュールに限定されず、別の光システム、例えば光コヒーレントシステム(optical coherent system, OCS)に更に適用されてよい。
【0029】
図2は、本願の実施形態による光変調器の構造の概略上面図である。光変調器200は、導波路層201、光電材料層202、及び電極203を含む。電極203は、具体的に、3つの電極を含む。理解されるべきことに、電極の数は実際の要件に基づき設定されてよい。例えば、
図7に示す別の例では、2つの電極がある。
【0030】
導波路層201は、基板上に配置される。基板は、シリコン、ゲルマニウム、又は二酸化シリコンのような半導体材料であってよく、又は絶縁材料であってよい。これは、ここでは限定されない。導波路層201は、シリコン、窒化シリコン、又はIII-V族(III-V)材料で構成されてよい。
図2に示す関連構造は、ドライエッチング法、又はウェットエッチング法のような方法で基盤上でエッチングされてよい。導波路層201は、具体的に、入力端、ビームスプリッタ、サブ波長導波路2011(sub-wavelength)、ビームコンバイナ、及び出力端を含む。光波、光源(例えば、光源はレーザである)から放射され、入力端を通じて光変調器200の導波路層201に入る。ビームスプリッタを通過した後に、光波、2つのアームを通じて送信され、サブ波長導波路2011に入る。
【0031】
サブ波長導波路2011は、(
図3及び
図4に示すように)作用光の波長より小さいサイズの周期的構造から成る。基本的特性は以下の通りである。光波がサブ波長導波構造に作用するとき、0次反射及び投影回折しかないので、サブ波長構造の特性は、同じ同種の媒体の特性と同様である。サブ波長構造の深さ及びデューティサイクルが調整され、その結果、サブ波長構造の反射率、屈折率、又は透過率が調整できる。本願の本実施形態では、導波路層201は、サブ波長導波路2011によりエッチングされる。光電材料層202は、サブ波長導波路2011の表面に配置され、サブ波長導波路2011は、導波路層201における光照射野を光電材料層202へと拡散させるために使用される。光電材料は、高光電効果の特性を有し、光照射野は光電材料と電極203との接合作用の下で変調され、光変調器200の帯域幅を増大する。
【0032】
図3及び
図4に示すように、サブ波長導波路は複数のトレンチを含む。サブ波長導波路2011内のトレンチのサイズ(例えば、トレンチの長さ、幅、及び深さ)、及びサブ波長導波路2011のデューティサイクル(トレンチの体積のサブ波長導波路2011の全体積に対する比)は調整され、その結果、サブ波長導波路2011の屈折率が調整できる。具体的に、サブ波長導波路2011のビームスプリッタに近い部分の構造パラメータが調整され、導波路層201における光照射野を光電材料層202へと拡散させることができ、サブ波長導波路2011のビームコンバイナに近い部分の構造パラメータが調整され、光電材料層における光照射野を導波路層201へと拡散させることができ、光をビームコンバイナへ送信できる。
【0033】
サブ波長導波路2011は、円形穴構造又は多角形穴構造、例えば、菱形穴構造、長方形穴構造、又は楕円穴構造を有する。これは、ここでは限定されない。
図3は、本願の実施形態によるサブ波長導波路2011の構造の概略図である。
図3が例として使用される。サブ波長導波路2011が光変調器200に適用されるとき、光電材料層202は、サブ波長導波路2011の上側表面(つまり、Z軸方向で上側表面)に配置される。
【0034】
図4は、本願の実施形態によるサブ波長導波路2011の別の構造の概略図である。
図4における上半分は、サブ波長導波路2011の上面図であり、下半分は波長構造の断面図である。サブ波長導波路2011は第1材料で満たされており、第1材料の屈折率は、導波路層201の屈折率と異なる。例えば、第1材料は、空気、二酸化シリコン、又は光電材料の屈折率と適合する別の誘電材料であってよい。これは、ここでは限定されない。具体的に、第1材料の屈折率は、導波路層201の屈折率、及び光電材料層202の屈折率に関連する。例えば、導波路層201の屈折率が光電材料層202の屈折率より大きいとき、第1材料として選択された誘電材料の屈折率は小さく、又は、導波路層201の屈折率が光電材料層202の屈折率より小さいとき、第1材料として選択された誘電材料の屈折率は大きい。
【0035】
光変調器200の帯域幅を増大するために、有機高分子、タンタル酸リチウム薄膜、ニオブ酸リチウム薄膜、又はチタン酸バリウム薄膜のような高光電係数を有する材料が、光電材料層202に使用される。例えば、ニオブ酸リチウム薄膜が光電材料層202に使用され、ニオブ酸リチウム薄膜がボンディングによりサブ波長導波路2011(例えばシリコン)の表面にタイリングされる。
【0036】
電極203は、光電材料層202の表面又は2つの側に配置される。光変調器200は、電極203を通じて電気信号を光電材料層202に印可する。特定の実装では、高伝導率及び低光吸収損失を有する材料、例えば、グラフェン又は透明導電性酸化物(transparent conductive oxide, TCO)が、電極203に使用される。電極203同士の間隔は、効果的に縮小され、装置の半波電圧が効果的に低減され、光変調器200の電力消費が低減される。金、銀、又は銅のような金属材料は、代替として、電極203に使用されてよい。これは、ここでは限定されない。
【0037】
任意的実装では、導波路層201のサイズは500ナノメートル~800ナノメートルであり、光電材料層202のサイズは1ミクロン~5ミクロンであり、サブ波長導波路2011は、円形穴構造を有し、円形穴構造のサイズは1ナノメートル~50ナノメートルである。
【0038】
本願の本実施形態では、導波路層にあるサブ波長導波路は、導波路層における光照射野を光電材料層へと拡散させるために使用され、その結果、電極は、光電材料を使用して光照射野を変調するために使用できる。具体的に、前記サブ波長導波路は、導波路層の屈折率を変化させるために使用される。その結果、導波路層の屈折率と光電材料層の屈折率との間の差が小さくなり、光照射野を光電材料へと拡散させる。シリコン又は窒化シリコンのような導波路層の一般的材料をエッチングし処理することが便利であるという特性に基づき、サブ波長導波路はエッチングを通じて得られる。光電材料層は、サブ波長導波路の表面に配置され、光電材料は更に処理される必要がなく、導波路層にあるサブ波長導波路は、導波路層における光照射野を光電材料層へと拡散させるために使用されてもよい。光電変調器の帯域幅が増大されるとき、処理は簡略化され、製造コストが削減され、光電材料を光モジュールに適用する実用性が改善される。高伝導率及び低光吸収損失を有する材料が電極に使用される。電極同士の間隔は、効果的に減少され、装置の半波電圧を効果的に低減し、挿入損失を低減し、光変調器の電力消費を低減し、光変調器の変調効率を向上する。
【0039】
図2~
図4に示した前述の実施形態に基づき、本願の本実施形態で提案される光変調器のj2つの任意的実装があってよく、2つの任意的実装は以下に個別に説明される。
【0040】
図5は、本願の実施形態による光変調器の構造の概略図である。本願の本実施形態で提供される光変調器は、導波路層201、光電材料層202、及び電極203を含む。導波路層201は、サブ波長導波路2011を含む。
図5の光変調器の構造は、
図2の光変調器の構造と同様である。具体的に、電極203は光電材料層202の表面に配置され、電極203間の結合線は、光電材料層202が位置する平面と平行である。
【0041】
図6は、本願の実施形態による光変調器の別の構造の概略図である。本願の本実施形態で提供される光変調器は、導波路層201、光電材料層202、及び電極203を含む。導波路層201は、サブ波長導波路2011を含む。
図6の光変調器の構造と
図2の光変調器の構造との間の相違は、
図6では、電極203間の結合線が、光電材料層202が位置する平面と交差することである。
【0042】
図5及び
図6に示す光変調器に基づき、任意的実装では、導波路層201は、酸化物上のシリコン(silicon-on-insulator, SOI)構造上でエッチングされたシリコン導波路である。導波路層201に適合するために、ニオブ酸リチウム薄膜が、光電材料層202のために選択されてよい。ニオブ酸リチウム薄膜は、ボンディングにより導波路層201の表面上でタイリングされる。任意で、ニオブ酸リチウム薄膜は、導波路層201をカバーしてよく、又はサブ波長導波路2011のみをカバーしてよい。光変調器200は、サブ波長導波路2011を使用して、光電材料層202内の光照射野を制限する。この場合、透明導電性酸化物が、電極203の材料として選択されてよい。
【0043】
図5及び
図6に示す光変調器に基づき、任意的実装では、導波路層201は、窒化シリコン基板上でエッチングされたシリコン導波路である。有機高分子が、光電材料層202のために選択されてよい。グラフェンが、電極203の材料として選択されてよい。
【0044】
本願で提供される光変調器は、
図2~
図6に示す2つの導波路アームを有する光変調器(例えば、ビームスプリッタ及びビームコンバイナを含む導波路層)に加えて、単一の導波路アームを有する光変調器であってよい。
図7は、本願の実施形態による光変調器の更に別の構造の概略図である。
図7に示す光変調器200では、導波路層201は、ビームスプリッタ又はビームコンバイナを含まず、1つの導波路のみを含む。光変調器200の構造及び組成は、
図2~
図7に示す光変調器の構造及び組成と同様である。詳細はここで再び記載されない。
【0045】
本願の本実施形態では、サブ波長導波路は導波路層に配置され、導波路層の屈折率を変化させて、導波路層における光照射野をLN薄膜材料へと拡散させ、変調効率を向上する。
図8は、本願の実施形態による光照射野分布のシミュレーションの概略図である。
図9は、本願の実施形態による別の光照射野分布のシミュレーションの概略図である。例えば、
図8に示すように、本願の本実施形態で提供される光変調器の光照射野分布は、白い破線枠の領域のみであり、白い破線枠の領域は、導波路層201(サブ波長導波路2011ではない)の断面が位置する領域である。サブ波長導波路2011の光照射野分布は
図9に示される。この場合、光照射野が位置する領域は、光電材料層202にある。サブ波長導波路2011は、光照射野を光電材料層202へと拡散させるために使用され、光変調器の変調効率を向上する。従来の光変調器の変調効率と比べて、本願の本実施形態で提供される光変調器の変調効率は、13.8Vcm(Vcm)から2.3Vcmにまで向上されている。光照射野は光電材料層内に限定されるので、装置損失が更に低減され、送信損失は0.5デシベル毎センチメートル(0.5dB/cm)未満になる。TCO材料が光変調器の電極203に使用されるとき、変調効率は更に0.7Vcmにまで増大される。留意すべきことに、これは単に可能なシミュレーション実験結果であり、実際の装置の異なる構成に基づき別のシミュレーション実験結果も存在し得る。これは、ここでは限定されない。サブ波長導波路は、導波路層内に配置され、材料の等価屈折率を変化させ、その結果、光照射野は、光電材料層と完全に相互作用する。高光電効果を有する材料が、光電材料層に使用され、変調効率を向上する。異なる光電材料では、材料の屈折率と整合するよう異なる導波路構造が設計できる。その結果、異なる導波路構造が異なる屈折率を有する光電材料と互換性を有することができる。サブ波長導波路は、基盤上でエッチングされ、導波路層の既存のエッチングプロセスと互換性があり、プロセスの困難性を低減する。
【0046】
本願の実施形態で提供される光モジュール100は、光源101、駆動機器102、及び光変調器200を含む。光変調器200は、前述の実施形態のうちのいずれか1つに示す光変調器200を含む。光変調器の構造は、
図1の光変調器の構造と同様である。詳細はここで再び記載されない。
【0047】
図10に示すように、実施形態は、ネットワーク装置1000であって、光モジュール100、波長分割多重化器/逆多重化器1001、及び主基板1002を含むネットワーク装置1000を更に提供する。光モジュール100は、前述の実施形態のうちのいずれか1つに示す光変調器200を含む。光モジュール100は、主基板1002上に配置される。光分割多重化器/逆多重化器1001は、主基板1002上に配置される。光モジュール100内の光変調器200は、光ファイバを通じて波長分割多重化器/逆多重化器1001に結合され、光ファイバ及び波長分割多重化器/逆多重化器1001は、異なる波長を有する光信号の波長分割多重化(wavelength division multiplexing, WDM)/逆多重化(Demultiplex
ing)を処理するよう構成される。
【0048】
留意すべきことに、本実施形態におけるネットワーク装置に含まれる光変調器200の特定の構造及び機能については、光変調器200に関連する実施形態において開示される関連する内容を参照のこと。詳細はここで再び記載されない。
【0049】
理解されるべきことに、明細書全体において言及される「一実施形態」又は「実施形態」は、実施形態に関連する特定の特徴、構造、又は特性が、本願の少なくとも一実施形態に含まれることを意味する。従って、明細書全体を通じて現れる「一実施形態では」又は「実施形態では」は必ずしも同じ実施形態を参照しない。更に、これらの特定の特徴、構造、又は特性は、任意の適正な方法を使用することで1つ以上の実施形態の中で結合されてよい。理解されるべきことに、前述の処理のシーケンス番号は、本願の種々の実施形態における実行順序を意味しない。処理の実行順序は、処理の機能及び内部ロジックに基づき決定されるべきであり、本発明の実施形態の実装処理に対する限定として考えられるべきではない。
【0050】
要約すると、前述の説明は、本願の技術的ソリューションの単なる例示的な実施例であり、本願の保護範囲を制限することを意図するものではない。本願の精神及び原理から逸脱することなく行われる、任意の変更、均等物置換、又は改良は、本願の保護範囲内に包含されるべきである。