(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】送客効果算出装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0242 20230101AFI20240205BHJP
【FI】
G06Q30/0242
(21)【出願番号】P 2023532522
(86)(22)【出願日】2022-02-16
(86)【国際出願番号】 JP2022006220
(87)【国際公開番号】W WO2022219916
(87)【国際公開日】2022-10-20
【審査請求日】2023-05-29
(31)【優先権主張番号】P 2021067188
(32)【優先日】2021-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121980
【氏名又は名称】沖山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100128107
【氏名又は名称】深石 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】石川 周
(72)【発明者】
【氏名】三村 知洋
(72)【発明者】
【氏名】石黒 慎
(72)【発明者】
【氏名】川崎 仁嗣
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 喬
(72)【発明者】
【氏名】山田 曉
【審査官】星野 昌幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-71605(JP,A)
【文献】特開2013-246747(JP,A)
【文献】特開2010-117954(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 ~ 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の位置を示す位置情報、利用者の属性を示す第1の利用者属性情報、並びに、店舗を訪問した利用者である店舗訪問者の属性および訪問履歴を示す店舗訪問者属性ログを取得する取得部と、
前記位置情報および前記第1の利用者属性情報に基づいて取得される、算出対象とされる算出対象時間に算出対象エリアに位置した利用者の属性を示す第2の利用者属性情報と、前記位置情報および前記第1の利用者属性情報に基づいて取得される、比較対象とされる比較対象時間に前記算出対象エリアに位置した利用者の属性を示す第3の利用者属性情報と、の差分から、複数の属性の組合せそれぞれについての属性分布変化量を算出する属性分布変化量算出部と、
前記位置情報および前記第1の利用者属性情報に基づいて取得される、前記複数の属性の組合せそれぞれについての前記算出対象時間に前記算出対象エリアに位置したユニーク利用者人数、に対する、算出対象の店舗カテゴリ、前記算出対象時間および前記算出対象エリアに該当する訪問履歴の数として前記店舗訪問者属性ログから得られる延べ訪問者数、の比率を、前記複数の属性の組合せそれぞれについての前記店舗カテゴリごとの訪問確率として算出する訪問確率算出部と、
前記複数の属性の組合せそれぞれについての、前記属性分布変化量算出部により算出された属性分布変化量、および、前記複数の属性の組合せそれぞれについての、前記訪問確率算出部により算出された前記店舗カテゴリごとの訪問確率に基づいて、前記複数の属性の組合せそれぞれについての前記店舗カテゴリごとの訪問者数期待値を算出し、算出された前記複数の属性の組合せそれぞれについての前記店舗カテゴリごとの訪問者数期待値を前記店舗カテゴリごとに合計し、得られた前記店舗カテゴリごとの合計値を前記算出対象エリアにおける前記店舗カテゴリごとの店舗数で当分した値を、前記店舗カテゴリの店舗についての送客効果として算出する送客効果算出部と、
を備える送客効果算出装置。
【請求項2】
前記属性分布変化量算出部は、
前記算出対象時間に前記算出対象エリアに位置した利用者を前記位置情報から抽出し、抽出された利用者の属性を示す前記第2の利用者属性情報を前記第1の利用者属性情報から取得し、取得された前記第2の利用者属性情報における複数の属性の組合せそれぞれについての該当人数を集計するとともに、前記比較対象時間に前記算出対象エリアに位置した利用者を前記位置情報から抽出し、抽出された利用者の属性を示す前記第3の利用者属性情報を前記第1の利用者属性情報から取得し、取得された前記第3の利用者属性情報における複数の属性の組合せそれぞれについての該当人数を集計し、
前記複数の属性の組合せそれぞれについて、前記算出対象時間における該当人数と前記比較対象時間における該当人数との差分を、前記属性分布変化量として算出する、
請求項1に記載の送客効果算出装置。
【請求項3】
前記訪問確率算出部は、
前記算出対象時間に前記算出対象エリアに位置した利用者を前記位置情報から抽出し、抽出された利用者の属性を示す前記第2の利用者属性情報を前記第1の利用者属性情報から取得し、取得された前記第2の利用者属性情報における複数の属性の組合せそれぞれについての該当人数を集計することで、前記複数の属性の組合せそれぞれについての前記算出対象時間に前記算出対象エリアに位置したユニーク利用者人数を取得する、
請求項1又は2に記載の送客効果算出装置。
【請求項4】
前記送客効果算出部は、
前記複数の属性の組合せそれぞれについての、前記店舗カテゴリごとの訪問確率と前記属性分布変化量とを乗算することで、前記複数の属性の組合せそれぞれについての前記店舗カテゴリごとの訪問者数期待値を算出する、
請求項1~3の何れか一項に記載の送客効果算出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、対象の店舗における訪問者数の増加量を送客効果として算出する送客効果算出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
観光促進などを目的として、あるエリアへの人の流れを促進するような交通費補助等の施策が行われることがある。その際に、多くの場合、施策を行った者(施策実行のためのコストを負担した者)は、送客対象である小売店舗等から送客料を受け取る。その際の送客料は、(1)固定料金であるケース、(2)小売店舗等からの自己申告によって変動させた料金であるケース、(3)キャッシュレス支払い又はポイントカード利用による利用者識別および購買内容の把握・分析を行って購買額に応じて変動させた料金であるケースなどが考えられる。特に、キャッシュレス支払い又はポイントカード利用による利用者識別および購買内容の把握・分析については、さまざまな技術が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の送客料の設定については、以下のような課題があった。送客料を固定料金とする場合は、送客効果が予期せずに大きいとき又は小さいときに、施策を行った者と小売店舗等のうち何れかの経済的負担が大きくなり適正さを欠く事態になりうるという懸念があった。また、小売店舗等からの自己申告によって送客料を変動させる場合は、第三者視点からの適正な送客効果の把握ができないおそれがあった。さらに、キャッシュレス支払い又はポイントカード利用による利用者識別および購買内容の把握・分析結果に基づき送客料を変動させる場合は、小売店舗等での導入コストが大きくなるおそれがあった。
【0005】
本開示は、上記課題を解消するために成されたものであり、小売店舗等での導入コストを抑えつつ、第三者視点から適正に送客効果を算出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る送客効果算出装置は、利用者の位置を示す位置情報、利用者の属性を示す第1の利用者属性情報、並びに、店舗を訪問した利用者である店舗訪問者の属性および訪問履歴を示す店舗訪問者属性ログを取得する取得部と、前記位置情報および前記第1の利用者属性情報に基づいて取得される、算出対象とされる算出対象時間に算出対象エリアに位置した利用者の属性を示す第2の利用者属性情報と、前記位置情報および前記第1の利用者属性情報に基づいて取得される、比較対象とされる比較対象時間に前記算出対象エリアに位置した利用者の属性を示す第3の利用者属性情報と、の差分から、複数の属性の組合せそれぞれについての属性分布変化量を算出する属性分布変化量算出部と、前記位置情報および前記第1の利用者属性情報に基づいて取得される、前記複数の属性の組合せそれぞれについての前記算出対象時間に前記算出対象エリアに位置したユニーク利用者人数、に対する、算出対象の店舗カテゴリ、前記算出対象時間および前記算出対象エリアに該当する訪問履歴の数として前記店舗訪問者属性ログから得られる延べ訪問者数、の比率を、前記複数の属性の組合せそれぞれについての前記店舗カテゴリごとの訪問確率として算出する訪問確率算出部と、前記複数の属性の組合せそれぞれについての、前記属性分布変化量算出部により算出された属性分布変化量、および、前記複数の属性の組合せそれぞれについての、前記訪問確率算出部により算出された前記店舗カテゴリごとの訪問確率に基づいて、前記複数の属性の組合せそれぞれについての前記店舗カテゴリごとの訪問者数期待値を算出し、算出された前記複数の属性の組合せそれぞれについての前記店舗カテゴリごとの訪問者数期待値を前記店舗カテゴリごとに合計し、得られた前記店舗カテゴリごとの合計値を前記算出対象エリアにおける前記店舗カテゴリごとの店舗数で当分した値を、前記店舗カテゴリの店舗についての送客効果として算出する送客効果算出部と、を備える。
【0007】
上記の送客効果算出装置では、取得部が、上記の利用者の位置情報、第1の利用者属性情報、および店舗訪問者属性ログを取得すると、属性分布変化量算出部が、上記の位置情報および第1の利用者属性情報に基づいて取得される、算出対象時間に算出対象エリアに位置した利用者の属性を示す第2の利用者属性情報と、上記の位置情報および第1の利用者属性情報に基づいて取得される、比較対象時間に算出対象エリアに位置した利用者の属性を示す第3の利用者属性情報と、の差分から、複数の属性の組合せそれぞれについての属性分布変化量を算出するとともに、訪問確率算出部が、上記の位置情報および第1の利用者属性情報に基づいて取得される、複数の属性の組合せそれぞれについての算出対象時間に算出対象エリアに位置したユニーク利用者人数、に対する、算出対象の店舗カテゴリ、算出対象時間および算出対象エリアに該当する訪問履歴の数として店舗訪問者属性ログから得られる延べ訪問者数、の比率を、複数の属性の組合せそれぞれについての店舗カテゴリごとの訪問確率として算出する。さらに、送客効果算出部が、 (1)複数の属性の組合せそれぞれについての属性分布変化量および(2)複数の属性の組合せそれぞれについての店舗カテゴリごとの訪問確率に基づいて、複数の属性の組合せそれぞれについての店舗カテゴリごとの訪問者数期待値を算出し、算出された複数の属性の組合せそれぞれについての店舗カテゴリごとの訪問者数期待値を店舗カテゴリごとに合計し、得られた店舗カテゴリごとの合計値を算出対象エリアにおける店舗カテゴリごとの店舗数で当分した値を「当該店舗カテゴリの店舗についての送客効果」として算出する。これにより、キャッシュレス支払い又はポイントカード利用のための新たな設備を小売店舗等に設置することなく導入コストを抑えつつ、位置情報、第1の利用者属性情報および店舗訪問者属性ログに基づき得られる算出対象エリアにおける複数の属性の組合せそれぞれについての「属性分布変化量」と「店舗カテゴリごとの訪問確率」から、客観的に第三者視点から適正に送客効果を算出することができる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、小売店舗等での導入コストを抑えつつ、第三者視点から適正に送客効果を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】発明の実施形態に係る送客効果算出装置および周辺装置の構成図である。
【
図2】店舗訪問者属性ログDBに記録されたデータ例を示す図である。
【
図3】位置情報DBに記録されたデータ例を示す図である。
【
図4】利用者属性情報DBに記録されたデータ例を示す図である。
【
図5】送客効果算出装置において実行される処理を示すフロー図である。
【
図6】送客効果算出装置のハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、発明の実施形態に係る送客効果算出装置について説明する。
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係る送客効果算出装置10には、周辺装置として、店舗訪問者属性ログ管理サーバ20、位置情報管理サーバ30、および、利用者属性情報管理サーバ40が存在する。このうち、店舗訪問者属性ログ管理サーバ20は、店舗訪問者属性ログを格納する店舗訪問者属性ログDB22と、図示しない外部装置(例えば店舗側のサーバ、POS端末など)から店舗訪問者属性ログを取得して店舗訪問者属性ログDB22に記録する店舗訪問者属性ログ記録部21とを備える。位置情報管理サーバ30は、さまざまな利用者の位置情報を格納する位置情報DB32と、図示しない外部装置(例えば利用者端末、無線アクセスポイントなど)から上記位置情報を取得して位置情報DB32に記録する位置情報記録部31とを備える。利用者属性情報管理サーバ40は、さまざまな利用者の属性情報である第1の利用者属性情報を格納する利用者属性情報DB42と、図示しない外部装置から上記第1の利用者属性情報を取得して利用者属性情報DB42に記録する利用者属性情報記録部41とを備える。
【0012】
送客効果算出装置10は、取得部11、属性分布変化量算出部12、訪問確率算出部13、送客効果算出部14、および出力部15を備える。以下、各機能部について説明する。
【0013】
取得部11は、利用者の位置を示す位置情報を位置情報DB32から、利用者の属性を示す第1の利用者属性情報を利用者属性情報DB42から、店舗を訪問した利用者である店舗訪問者の属性および訪問履歴を示す店舗訪問者属性ログを店舗訪問者属性ログDB22から、それぞれ取得する機能部である。
【0014】
属性分布変化量算出部12は、位置情報および第1の利用者属性情報に基づいて取得される、算出対象とされる算出対象時間に算出対象エリアに位置した利用者の属性を示す第2の利用者属性情報と、位置情報および第1の利用者属性情報に基づいて取得される、比較対象とされる比較対象時間に算出対象エリアに位置した利用者の属性を示す第3の利用者属性情報と、の差分から、複数の属性の組合せそれぞれについての属性分布変化量を算出する機能部である。
【0015】
訪問確率算出部13は、位置情報および第1の利用者属性情報に基づいて取得される、複数の属性の組合せそれぞれについての算出対象時間に算出対象エリアに位置した「ユニーク利用者人数」に対する、算出対象の店舗カテゴリ、算出対象時間および算出対象エリアに該当する訪問履歴の数として店舗訪問者属性ログから得られる「延べ訪問者数」の比率を、複数の属性の組合せそれぞれについての店舗カテゴリごとの訪問確率として算出する機能部である。
【0016】
送客効果算出部14は、複数の属性の組合せそれぞれについての、属性分布変化量算出部12により算出された属性分布変化量、および、複数の属性の組合せそれぞれについての、訪問確率算出部13により算出された店舗カテゴリごとの訪問確率に基づいて、複数の属性の組合せそれぞれについての前記店舗カテゴリごとの訪問者数期待値を算出し、算出された複数の属性の組合せそれぞれについての店舗カテゴリごとの訪問者数期待値を店舗カテゴリごとに合計し、得られた店舗カテゴリごとの合計値を算出対象エリアにおける店舗カテゴリごとの店舗数で当分した値を、店舗カテゴリの店舗についての送客効果として算出する機能部である。
【0017】
出力部15は、送客効果算出部14により算出された店舗カテゴリの店舗についての送客効果を出力する機能部である。ここでの「出力」は、送客効果算出装置10のユーザのディスプレイ等への表示出力、プリンタ等への印刷出力、外部装置への送客効果に係るデータの転送など、さまざまな態様に該当する。
【0018】
図2に示すように、店舗訪問者属性ログDB22には、店舗訪問者による店舗訪問ごとに店舗訪問者属性ログが記録されていき、店舗訪問者属性ログには、訪問した店舗の店舗カテゴリ、店舗所在地(緯度・経度)、店舗訪問者の属性情報(性別、年代、居住地など)、訪問時刻などの情報が含まれる。
【0019】
図3に示すように、位置情報DB32には、利用者の位置を示す位置情報が、当該利用者が位置登録したタイミング又は予め定められた周期で記録されていき、位置情報には、レコードID、利用者の利用者ID、位置登録時刻、利用者の位置情報(緯度・経度)などの情報が含まれる。このうち、利用者の位置情報(緯度・経度)は、アクセスポイントにおける電波を出力している向き、利用者端末の伝送遅延量、3点測位等を用いて求められる。
【0020】
図4に示すように、利用者属性情報DB42には、利用者の属性を示す第1の利用者属性情報が、利用者による利用開始タイミングで新規登録され、その後、利用者からの修正依頼があったタイミング等で更新されていき、第1の利用者属性情報には、利用者の利用者ID、属性情報(性別、年代、居住地など)などの情報が含まれる。
【0021】
以下、
図5を用いて、本実施形態に係る送客効果算出装置10において実行される処理について説明する。
図5の処理は、例えば、ユーザからの実行開始指示、予め定められた処理スケジュールに基づく実行開始指示などをトリガーにして実行開始される。
【0022】
図5のステップS1において、取得部11は、利用者の位置を示す位置情報を位置情報DB32から、利用者の属性を示す第1の利用者属性情報を利用者属性情報DB42から、店舗を訪問した利用者である店舗訪問者の属性および訪問履歴を示す店舗訪問者属性ログを店舗訪問者属性ログDB22から、それぞれ取得する。
【0023】
次に、ステップS2において、属性分布変化量算出部12は、以下の手順で、複数の属性の組合せそれぞれについての属性分布変化量を算出する。即ち、属性分布変化量算出部12は、算出対象時間に算出対象エリアに位置した利用者を位置情報から抽出し、抽出された利用者の属性を示す第2の利用者属性情報を第1の利用者属性情報から取得し、取得された第2の利用者属性情報における複数の属性の組合せそれぞれについての該当人数を集計する。また、属性分布変化量算出部12は、比較対象時間に算出対象エリアに位置した利用者を位置情報から抽出し、抽出された利用者の属性を示す第3の利用者属性情報を第1の利用者属性情報から取得し、取得された第3の利用者属性情報における複数の属性の組合せそれぞれについての該当人数を集計する。そして、属性分布変化量算出部12は、複数の属性の組合せそれぞれについて、算出対象時間における該当人数と比較対象時間における該当人数との差分を、属性分布変化量として算出する。なお、上記の該当人数の集計においては、必要に応じ、移動体通信サービス提供会社(キャリア)の利用者シェア率を考慮した全人口推定処理を実施してもよい。この場合、特定の移動体通信サービス提供会社によって集計で得られた該当人数を、移動体通信サービス業界における当該通信サービス提供会社の利用者シェア率で割り算することで、全人口レベルでの属性分布変化量を算出できる。
【0024】
次に、ステップS3において、訪問確率算出部13は、以下のようにして、属性組合せと店舗カテゴリごとの訪問確率を算出する。まず、訪問確率算出部13は、算出対象時間に算出対象エリアに位置した利用者を位置情報から抽出し、抽出された利用者の属性を示す第2の利用者属性情報を第1の利用者属性情報から取得し、取得された第2の利用者属性情報における複数の属性の組合せそれぞれについての該当人数を集計する。これにより、複数の属性の組合せそれぞれについての算出対象時間に算出対象エリアに位置したユニーク利用者人数SNが取得される。次に、訪問確率算出部13は、店舗訪問者属性ログにおいて、算出対象の店舗カテゴリ、算出対象時間および算出対象エリアに該当するレコードを抽出し、得られたレコード数を延べ訪問者数SMとする。そして、訪問確率算出部13は、ユニーク利用者人数SNに対する延べ訪問者数SMの比率を、複数の属性の組合せそれぞれについての店舗カテゴリごとの訪問確率として算出する。
【0025】
例えば、店舗カテゴリ「カフェ」に関し、「性別が男性」と「年代が40代以下」という属性の組合せについてのユニーク利用者人数SNが1000人で、同じ属性の組合せ(男性且つ40代以下)についての延べ訪問者数SMが120人である場合、上記属性の組合せ(男性且つ40代以下)についての店舗カテゴリ「カフェ」の訪問確率として、0.12(=120/1000)が算出される。
【0026】
次に、ステップS4において、送客効果算出部14は、複数の属性の組合せそれぞれについての、属性分布変化量算出部12により算出された属性分布変化量、および、訪問確率算出部13により算出された店舗カテゴリごとの訪問確率に基づいて、店舗カテゴリごとの訪問確率と属性分布変化量とを乗算することで、複数の属性の組合せそれぞれについての店舗カテゴリごとの訪問者数期待値を算出し、算出された複数の属性の組合せそれぞれについての店舗カテゴリごとの訪問者数期待値を店舗カテゴリごとに合計し、さらに、得られた店舗カテゴリごとの合計値を算出対象エリアにおける店舗カテゴリごとの店舗数で当分した値を、店舗カテゴリの店舗についての送客効果として算出する。
【0027】
例えば、「性別が男性」と「年代が40代以下」という属性の組合せについての対象エリアの属性分布変化量(人数増加量)が100人であり、上記属性の組合せ(男性且つ40代以下)についての店舗カテゴリ「カフェ」の訪問確率が0.12である場合、対象エリアに位置する店舗カテゴリ「カフェ」への訪問者数期待値は12人(=100×0.12)となる。そして、この値を、対象エリア内の「カフェ」の既知の店舗数で当分した値が、店舗カテゴリ「カフェ」の送客効果として算出される。
【0028】
さらに、ステップS5において、出力部15は、送客効果算出部14により算出された店舗カテゴリの店舗についての送客効果を、例えば送客効果算出装置10のユーザのディスプレイ等へ表示出力する。なお、前述したように、「出力」は、表示出力、印刷出力、外部へのデータ転送など、さまざまな態様を採りうる。
【0029】
以上説明した発明の実施形態によれば、キャッシュレス支払い又はポイントカード利用のための新たな設備を小売店舗等に設置することなく導入コストを抑えつつ、位置情報、第1の利用者属性情報および店舗訪問者属性ログに基づき得られる算出対象エリアにおける複数の属性の組合せそれぞれについての「属性分布変化量」と「店舗カテゴリごとの訪問確率」から、客観的に第三者視点から適正に送客効果を算出することができる。
【0030】
また、属性分布変化量算出部12は、「属性分布変化量」については、複数の属性の組合せそれぞれについて、算出対象時間における該当人数と比較対象時間における該当人数との差分を、属性分布変化量として算出することで、属性分布変化量を適切に算出できる。
【0031】
また、訪問確率算出のための「ユニーク利用者人数」について、訪問確率算出部13は、算出対象時間に算出対象エリアに位置した利用者を位置情報から抽出し、抽出された利用者の属性を示す第2の利用者属性情報を第1の利用者属性情報から取得し、取得された第2の利用者属性情報における複数の属性の組合せそれぞれについての該当人数を集計することで、複数の属性の組合せそれぞれについての算出対象時間に算出対象エリアに位置したユニーク利用者人数を取得する。このようにして、算出対象時間に算出対象エリアに位置した適切なユニーク利用者人数を取得できる。
【0032】
また、送客効果算出のための「店舗カテゴリごとの訪問者数期待値」について、送客効果算出部14は、複数の属性の組合せそれぞれについての、店舗カテゴリごとの訪問確率と属性分布変化量とを乗算することで、複数の属性の組合せそれぞれについての店舗カテゴリごとの訪問者数期待値を算出する。このようにして、利用者個人が特定されることを回避しつつ、簡易な手法で店舗カテゴリごとの適切な訪問者数期待値を算出できる。
【0033】
(変形例)
なお、
図1には、店舗訪問者属性ログ管理サーバ20、位置情報管理サーバ30、および、利用者属性情報管理サーバ40が、送客効果算出装置10の外部に、周辺装置として存在する構成例を示したが、送客効果算出装置10が、上記3つのサーバのうち少なくとも1つの機能を兼ね備えた構成を採用してもよい。
【0034】
また、
図1の構成例で、送客効果算出装置10が備える、取得部11、属性分布変化量算出部12、訪問確率算出部13、送客効果算出部14、および出力部15の計5つの機能部は、物理的に分離された複数の装置に分散して配置された構成を採用してもよく、その場合、当該物理的に分離された複数の装置の全体が「送客効果算出装置10」に相当するものと把握される。
【0035】
また、上記実施形態の説明に用いたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方の任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現方法は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的又は論理的に結合した1つの装置を用いて実現されてもよいし、物理的又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的又は間接的に(例えば、有線、無線などを用いて)接続し、これら複数の装置を用いて実現されてもよい。機能ブロックは、上記1つの装置又は上記複数の装置にソフトウェアを組み合わせて実現されてもよい。
【0036】
機能には、判断、決定、判定、計算、算出、処理、導出、調査、探索、確認、受信、送信、出力、アクセス、解決、選択、選定、確立、比較、想定、期待、見做し、報知(broadcasting)、通知(notifying)、通信(communicating)、転送(forwarding)、構成(configuring)、再構成(reconfiguring)、割り当て(allocating、mapping)、割り振り(assigning)などがあるが、これらに限られない。たとえば、送信を機能させる機能ブロック(構成部)は、送信部(transmitting unit)、送信機(transmitter)と呼称される。いずれも、上述したとおり、実現方法は特に限定されない。
【0037】
例えば、本開示の一実施の形態における送客効果算出装置は、本実施形態における処理を行うコンピュータとして機能してもよい。
図6は、本開示の一実施の形態に係る送客効果算出装置10のハードウェア構成例を示す図である。上述の送客効果算出装置10は、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、バス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
【0038】
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。送客効果算出装置10のハードウェア構成は、図に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
【0039】
送客効果算出装置10における各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信を制御したり、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
【0040】
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインターフェース、端末、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)によって構成されてもよい。
【0041】
また、プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、データなどを、ストレージ1003及び通信装置1004の少なくとも一方からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施の形態において説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。上述の各種処理は、1つのプロセッサ1001によって実行される旨を説明してきたが、2以上のプロセッサ1001により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ1001は、1以上のチップによって実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されても良い。
【0042】
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、本開示の一実施の形態に係る無線通信方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0043】
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つによって構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリ1002及びストレージ1003の少なくとも一方を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。
【0044】
通信装置1004は、有線ネットワーク及び無線ネットワークの少なくとも一方を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。
【0045】
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。 また、プロセッサ1001、メモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007によって接続される。バス1007は、単一のバスを用いて構成されてもよいし、装置間ごとに異なるバスを用いて構成されてもよい。
【0046】
本開示において説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
【0047】
以上、本開示について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示が本開示中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本開示は、請求の範囲の記載により定まる本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本開示の記載は、例示説明を目的とするものであり、本開示に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【0048】
本開示において説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本開示において説明した方法については、例示的な順序を用いて様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
【0049】
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルを用いて管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、又は追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
【0050】
本開示において使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0051】
本開示において、「含む(include)」、「含んでいる(including)」及びそれらの変形が使用されている場合、これらの用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本開示において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0052】
本開示において、例えば、英語でのa, an及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、本開示は、これらの冠詞の後に続く名詞が複数形であることを含んでもよい。
【0053】
本開示において、「AとBが異なる」という用語は、「AとBが互いに異なる」ことを意味してもよい。なお、当該用語は、「AとBがそれぞれCと異なる」ことを意味してもよい。「離れる」、「結合される」などの用語も、「異なる」と同様に解釈されてもよい。
【符号の説明】
【0054】
10…送客効果算出装置、11…取得部、12…属性分布変化量算出部、13…訪問確率算出部、14…送客効果算出部、15…出力部、20…店舗訪問者属性ログ管理サーバ、21…店舗訪問者属性ログ記録部、22…店舗訪問者属性ログDB、30…位置情報管理サーバ、31…位置情報記録部、32…位置情報DB、40…利用者属性情報管理サーバ、41…利用者属性情報記録部、42…利用者属性情報DB、1001…プロセッサ、1002…メモリ、1003…ストレージ、1004…通信装置、1005…入力装置、1006…出力装置、1007…バス。