(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-05
(45)【発行日】2024-02-14
(54)【発明の名称】プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)阻害剤及びその医薬用途
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4433 20060101AFI20240206BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20240206BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20240206BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240206BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20240206BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20240206BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20240206BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20240206BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20240206BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20240206BHJP
A61P 1/18 20060101ALI20240206BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240206BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
A61K31/4433
A61P1/16
A61P3/06
A61P3/10
A61P3/00
A61P3/04
A61P9/10 101
A61P9/00
A61P13/12
A61P19/02
A61P1/18
A61P43/00 111
A61P35/02
(21)【出願番号】P 2021574055
(86)(22)【出願日】2021-01-27
(86)【国際出願番号】 JP2021002709
(87)【国際公開番号】W WO2021153570
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2023-03-01
(31)【優先権主張番号】P 2020011068
(32)【優先日】2020-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】598041566
【氏名又は名称】学校法人北里研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】520032930
【氏名又は名称】リポプロテイン リサーチ ストックホルム エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100110456
【氏名又は名称】内山 務
(74)【代理人】
【識別番号】100117813
【氏名又は名称】深澤 憲広
(72)【発明者】
【氏名】供田 洋
(72)【発明者】
【氏名】長光 亨
(72)【発明者】
【氏名】大村 智
(72)【発明者】
【氏名】パリーニ,パオロ
(72)【発明者】
【氏名】アーメド,オスマン
(72)【発明者】
【氏名】ペドレリ,マテオ
(72)【発明者】
【氏名】プラムフォーク,カミラ
(72)【発明者】
【氏名】エリクソン,マッツ
【審査官】三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/081957(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/205109(WO,A2)
【文献】THE JOURNAL OF PHARMACOLOGY AND EXPERIMENTAL THERAPEUTICS,2015年,Vol. 355, Issue 2,pp. 297-307
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/33-33/44
A61P 1/00-43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式:
【化1】
1,11-O-o-メチルベンジリデン-7-O-p-シアノベンゾイル-1,7,11-トリデアセチルピリピロペンA(PRD125);
【化2】
7-p-シアノベンゾイル-7-デアセチルピリピロペンA(PRD017);及び
【化3】
7-O-p-シアノベンゾイル-1,11-ジ(O-イソブチリル)-1,7,11-トリデアセチルピリピロペンA(PRD056);
のいずれかで示される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物から選択される化合物を有効成分として含有する、SOAT2に対する阻害活性およびプロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)に対する阻害活性を有するSOAT2/PCSK9阻害剤。
【請求項2】
以下の式:
【化4】
1,11-O-o-メチルベンジリデン-7-O-p-シアノベンゾイル-1,7,11-トリデアセチルピリピロペンA(PRD125);
【化5】
7-p-シアノベンゾイル-7-デアセチルピリピロペンA(PRD017);及び
【化6】
7-O-p-シアノベンゾイル-1,11-ジ(O-イソブチリル)-1,7,11-トリデアセチルピリピロペンA(PRD056);
のいずれかで示される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物から選択される化合物を有効成分として含有する、プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)阻害剤。
【請求項3】
請求項1に記載のSOAT2/PCSK9阻害剤または請求項2に記載のPCSK9阻害剤を有効成分として含有する、PCSK9の機能に関連する、高コレステロール血症、家族性高ステロール血症、高脂血症、動脈硬化症、脂肪肝、肥満症、膵臓ベータ細胞不全、コレステロールエステル蓄積症、ウォルマン病、ニーマン・ピック病C型、ホジキンリンパ腫生存者における症状、タンジール病、川崎病、シトステロール血症、若年性特発性関節炎、家族性高コレステロール血症、糖尿病、腎移植患者における症状及び心臓移植患者における症状からなる群より選択される1種以上の症状、疾患若しくは障害の予防又は治療に使用するための医薬。
【請求項4】
脂肪肝が、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)又は非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)である、請求項3に記載の医薬。
【請求項5】
動脈硬化症が、アテローム性動脈硬化症である、請求項3に記載の医薬。
【請求項6】
以下の式:
【化7】
1,11-O-o-メチルベンジリデン-7-O-p-シアノベンゾイル-1,7,11-トリデアセチルピリピロペンA(PRD125);
【化8】
7-p-シアノベンゾイル-7-デアセチルピリピロペンA(PRD017);及び
【化9】
7-O-p-シアノベンゾイル-1,11-ジ(O-イソブチリル)-1,7,11-トリデアセチルピリピロペンA(PRD056);
のいずれかで示される化合物を有効成分として含有する、PCSK9の機能に関連する、高コレステロール血症、家族性高ステロール血症、高脂血症、動脈硬化症、脂肪肝、肥満症、膵臓ベータ細胞不全、コレステロールエステル蓄積症、ウォルマン病、ニーマン・ピック病C型、ホジキンリンパ腫生存者における症状、タンジール病、川崎病、シトステロール血症、若年性特発性関節炎、家族性高コレステロール血症、糖尿病、腎移植患者における症状及び心臓移植患者における症状からなる群より選択される1種以上の症状、疾患若しくは障害の予防又は治療に使用するための医薬。
【請求項7】
脂肪肝が、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)又は非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)である、請求項6に記載の医薬。
【請求項8】
動脈硬化症が、アテローム性動脈硬化症である、請求項6に記載の医薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(以下、「PCSK9」とも記載する)阻害剤及びその医薬用途に関する。特に、本発明は、ピリピロペン誘導体を有効成分として含有するPCSK9阻害剤及びその医薬用途に関する。
【背景技術】
【0002】
心筋梗塞又は脳卒中等の死に直結する疾患へと発展するリスクが高い動脈硬化症及び脂質異常症(例えば、高コレステロール血症及び高脂血症)の日本における患者数は、自覚症状のない予備軍を含めて、3000万人に上ると言われている。日本において、動脈硬化性疾患ガイドラインが改訂された現在も、前記のような疾患の進行過程を経た死は、死因の上位を占めている。動脈硬化症及び脂質異常症は、日本だけでなく、欧米諸国においても重大な健康問題となっている。
【0003】
現在、動脈硬化症及び/又は脂質異常症の予防治療薬としては、ヒドロキシ-3-メチルグルタリル補酵素A(ヒドロキシ-3-メチルグルタリルCo-A)(以下、「HMG-CoA」とも記載する)還元酵素を特異的に阻害する、スタチン系医薬品が主に用いられている。スタチン系医薬品は、2001年から8年連続して世界で最も多く販売されている医薬品であり、2008年度の売上高トップ30に2製品も入るほど、広く使用されている。
【0004】
しかし、現実には、スタチン系医薬品による治療では、治療を受けている患者の30~40%しか発症抑制効果が得られず、治療を受けている患者の半数では、心血管疾患等を抑制していないことが明らかとなってきた(非特許文献1)。動脈硬化症の予防治療薬であるスタチン系医薬品のようなHMG-CoA還元酵素阻害剤が、心血管疾患等を十分に抑制しない理由は、動脈硬化症の発症メカニズムが複雑であるためと考えられる。動脈硬化症は、遺伝的要因、糖尿病等の病歴、又は薬剤服用歴等のような様々な要因が関連して発症することが多いと考えられる。それ故、動脈硬化症及び/若しくは脂質異常症の予防又は治療には、個々の患者の病態に合わせた診断及び治療が必要となる。また、スタチン系医薬品とは作用機序が異なり、且つ冠状動脈における発症抑制及び/又は冠状動脈病変の退縮が期待できる、新しい作用機序を有する医薬品の開発が急務である。
【0005】
新しい作用機序を有する動脈硬化症及び/又は脂質異常症の予防又は治療薬の薬剤標的として、ステロールO-アシルトランスフェラーゼ(以下、「SOAT」とも記載する)を挙げることができる。SOATは、従来、コレステロールアシル転移酵素(以下、「ACAT」とも記載する)と呼称されていた酵素と同一の酵素を意味する(非特許文献2)。SOATは、コレステロールにアシル基を導入する酵素である。これまでに、多数の合成SOAT(又はACAT)阻害剤が開発されてきた。しかしながら、副作用の存在及び不十分な効果等の問題から、未だに臨床への実用化に結びついていない(非特許文献3)。
【0006】
SOATには、生体内での機能及び局在部位が異なる2種のアイソザイムである、SOAT1及びSOAT2が存在することが知られている(非特許文献4)。SOAT1は、生体内の多くの細胞又は組織に広く分布し、特にマクロファージ又は平滑筋細胞に高発現している。また、SOAT1は、動脈壁においては、動脈硬化症の原因となるマクロファージ泡沫化を引き起こすことが知られている。これに対し、SOAT2は、小腸又は肝臓に特異的に発現している。SOAT2は、それぞれの組織において、食餌性コレステロールの吸収及び超低密度リポタンパク質の分泌に関与していると考えられている。また、SOAT2ノックアウトマウスは、抗動脈硬化作用を示した(非特許文献8)。それ故、動脈硬化症及び/又は脂質異常症(高脂血症、脂肪肝及び肥満症等を含む)の予防治療薬として、SOATのアイソザイムであるSOAT2に対する選択的阻害剤からの創薬が強く期待されている(非特許文献9)。
【0007】
SOAT2選択的阻害剤として、天然有機化合物であるピリピロペンA(非特許文献10)、及びピリピロペンAから半合成的手法によって得られたピリピロペン誘導体群(特許文献1~3)が見出された。
【0008】
別の作用機序を有する動脈硬化症及び/又は脂質異常症の予防治療薬の薬剤標的として、プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(以下、「PCSK9」とも記載する)を挙げることができる。PCSK9は、低密度リポタンパク質(以下、「LDL」とも記載する)受容体と複合体を形成し、その分解を促進するタンパク質である。PCSK9は、主として肝臓の小胞体において、プロタンパク質として合成される。このプロタンパク質は、自己触媒的に切断され、機能型(切断型)PCSK9に変換され、血中に分泌される。血中に分泌された細胞外PCSK9は、肝細胞表面のLDL受容体と結合し、複合体を形成する。形成された複合体は、肝細胞内に取り込まれ、リソソームに運搬される。リソソームでは、LDL受容体の分解が促進され、血中LDLコレステロール量が増加することとなる(非特許文献11)。
【0009】
このような作用機序に基づき、PCSK9の機能を阻害することを介して、LDL受容体の分解を抑制し、血中LDLコレステロールの肝細胞内への取り込みを促進することによって、血中コレステロール値を減少させることが期待された。このような作用機序に基づく家族性高ステロール血症又は高コレステロール血症の治療薬として、エボロクマブ及びアリロクマブ等の抗体医薬が日本において上市された。また、PCSK9の機能を阻害し得る低分子化合物も開発された(非特許文献12)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特許第5479110号公報
【文献】特許第5554330号公報
【文献】特許第5592482号公報
【非特許文献】
【0011】
【文献】Libbyら, J. Am. Coll. Cardiol., 第46巻, 1225-1228頁, 2005年
【文献】Roth, Drug Discovery Today, 第3巻, 19-25頁, 1998年
【文献】Meuweseら, Curr. Opin. Lipidol., 第17巻, 426-431頁, 2006年
【文献】Changら, Acta. Biochim. Biophys. Sin., 第38巻, 151-156頁, 2006年
【文献】Farese, Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol., 第26巻, 1684-1686頁、2006年
【文献】Yagyuら, J. Biol. Chem., 第275巻, 21324-21330頁, 2000年
【文献】Mccadら, J. Clin. Invest., 第105巻, 711-719頁, 2000年
【文献】Buhmanら, Nat. Med., 第6巻, 1341-1347頁, 2000年
【文献】Ohshiro & Tomoda, Future Med.Chem., 第3巻, 2039-2061頁, 2011年
【文献】Tomodaら, J. Antibiot., 第47巻, 148-153頁, 1994年
【文献】Nishikido and Ray, Frontiers in Cardiovascular Medicine, 第199巻, 1-17頁, 2019年
【文献】Xuら, European Journal of Medicinal Chemistry, 第162巻, 212-233頁, 2019年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前記の通り、スタチン系化合物とは異なる作用機序に基づく動脈硬化症及び脂質異常症(例えば、高コレステロール血症及び高脂血症)の予防又は治療薬として、PCSK9の機能を阻害し得る医薬の開発が進められている。しかしながら、現在のところ、日本において薬事当局の承認を得て上市されているのはエボロクマブ及びアリロクマブ等の抗体医薬のみである。抗体医薬は、高い有効性が期待できるものの、製造コストが高いという問題点が存在した。
【0013】
それ故、本発明は、PCSK9の機能に対して阻害活性を有する低分子化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、前記課題を解決するための手段を種々検討した。本発明者らは、SOAT2に対して高い選択的阻害活性を有する特定のピリピロペン誘導体がPCSK9の機能に対して阻害活性を有することを見出した。本発明者らは、前記知見に基づき本発明を完成した。
【0015】
すなわち、本発明は、以下の態様及び実施形態を包含する。
(1) 式(I):
【化1】
[式中、
R
1は、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールであり、
R
2は、水素、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル、置換若しくは非置換のアルコキシ、置換若しくは非置換のシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のアリールオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のシクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のアシル、置換若しくは非置換のアルキルカルボニルオキシ、置換若しくは非置換のアリールカルボニルオキシ、置換若しくは非置換のカルバモイル、置換若しくは非置換のアルキルスルホニル、置換若しくは非置換のアリールスルホニル、置換若しくは非置換のアルキルスルファニル、置換若しくは非置換のアリールスルファニル、又は置換若しくは非置換のアミノであり、
nは、0又は1であり、
R
3及びR
4は、互いに独立して、水素、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル、置換若しくは非置換のアルコキシ、置換若しくは非置換のシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のアリールオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のシクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のアシル、置換若しくは非置換のアルキルカルボニルオキシ、置換若しくは非置換のアリールカルボニルオキシ、置換若しくは非置換のカルバモイル、置換若しくは非置換のアルキルスルホニル、置換若しくは非置換のアリールスルホニル、置換若しくは非置換のアルキルスルファニル、置換若しくは非置換のアリールスルファニル、又は置換若しくは非置換のアミノであるか、或いは、
R
3及びR
4は、一緒になって-O-CR
5R
6-O-を形成しており、
R
5及びR
6は、互いに独立して、水素、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル、置換若しくは非置換のアルコキシ、置換若しくは非置換のシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のアリールオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のシクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のアシル、置換若しくは非置換のアルキルカルボニルオキシ、置換若しくは非置換のアリールカルボニルオキシ、置換若しくは非置換のカルバモイル、置換若しくは非置換のアルキルスルホニル、置換若しくは非置換のアリールスルホニル、置換若しくは非置換のアルキルスルファニル、置換若しくは非置換のアリールスルファニル、又は置換若しくは非置換のアミノであり、
但し、nが1であり、且つR
2、R
3及びR
4がアセトキシである場合を除く。]
で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物を有効成分として含有する、プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)阻害剤。
(2) R
2が、水素、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC
1~C
6アルコキシ、置換若しくは非置換のC
1~C
6アルキルカルボニルオキシ、又は置換若しくは非置換のC
6~C
18アリールカルボニルオキシであり、
nが、1であり、
R
3及びR
4が、互いに独立して、水素、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC
1~C
6アルコキシ、置換若しくは非置換のC
1~C
6アルキルカルボニルオキシ、又は置換若しくは非置換のC
6~C
18アリールカルボニルオキシであるか、或いは、
R
3及びR
4が、一緒になって-O-CR
5R
6-O-を形成しており、
R
5及びR
6が、互いに独立して、水素、置換若しくは非置換のC
1~C
6アルキル、置換若しくは非置換のC
2~C
6アルケニル、置換若しくは非置換のC
2~C
6アルキニル、置換若しくは非置換のC
3~C
6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC
3~C
6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC
3~C
6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC
6~C
18アリール、置換若しくは非置換のC
7~C
20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C
1~C
6アルキルである、前記実施形態(1)に記載のPCSK9阻害剤。
(3) R
1が、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールであり、
R
2が、置換若しくは非置換のC
1~C
6アルキルカルボニルオキシ、又は置換若しくは非置換のC
6~C
18アリールカルボニルオキシであり、
nが、1であり、
R
3及びR
4が、互いに独立して、置換若しくは非置換のC
1~C
6アルキルカルボニルオキシ、又は置換若しくは非置換のC
6~C
18アリールカルボニルオキシであるか、或いは、
R
3及びR
4が、一緒になって-O-CR
5R
6-O-を形成しており、
R
5及びR
6が、互いに独立して、水素、又は置換若しくは非置換のC
6~C
18アリールである、前記実施形態(1)又は(2)に記載のPCSK9阻害剤。
(4) R
1が、ピリジン-3-イルであり、
R
2が、アセトキシ又は4-シアノベンゾイルオキシであり、
nが、1であり、
R
3及びR
4が、いずれもアセトキシであるか、或いは、
R
3及びR
4が、一緒になって-O-CR
5R
6-O-を形成しており、
R
5が、水素であり、且つR
6が、2-メチルフェニルである、前記実施形態(1)~(3)のいずれかに記載のPCSK9阻害剤。
(5) 前記実施形態(1)~(4)のいずれかに記載のPCSK9阻害剤を有効成分として含有する、PCSK9の機能に関連する、高コレステロール血症、家族性高ステロール血症、高脂血症、動脈硬化症、脂肪肝、肥満症、膵臓ベータ細胞不全、コレステロールエステル蓄積症、ウォルマン病、ニーマン・ピック病C型、ホジキンリンパ腫生存者における症状、タンジール病、川崎病、シトステロール血症、若年性特発性関節炎、家族性高コレステロール血症、糖尿病、腎移植患者における症状及び心臓移植患者における症状からなる群より選択される1種以上の症状、疾患若しくは障害の予防又は治療に使用するための医薬。
(6) 脂肪肝が、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)又は非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)である、前記実施形態(5)に記載の医薬。
(7) 動脈硬化症が、アテローム性動脈硬化症である、前記実施形態(5)に記載の医薬。
(8) 前記実施形態(1)~(4)のいずれかに記載のPCSK9阻害剤、或いは前記実施形態(1)~(4)のいずれかに定義される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物と、1種以上の製薬上許容される担体とを含む、PCSK9の機能に関連する、高コレステロール血症、家族性高ステロール血症、高脂血症、動脈硬化症、脂肪肝、肥満症、膵臓ベータ細胞不全、コレステロールエステル蓄積症、ウォルマン病、ニーマン・ピック病C型、ホジキンリンパ腫生存者における症状、タンジール病、川崎病、シトステロール血症、若年性特発性関節炎、家族性高コレステロール血症、糖尿病、腎移植患者における症状及び心臓移植患者における症状からなる群より選択される1種以上の症状、疾患若しくは障害の予防又は治療に使用するための医薬組成物。
(9) 脂肪肝が、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)又は非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)である、前記実施形態(8)に記載の医薬組成物。
(10) 動脈硬化症が、アテローム性動脈硬化症である、前記実施形態(8)に記載の医薬組成物。
(11) PCSK9の機能に関連する、高コレステロール血症、家族性高ステロール血症、高脂血症、動脈硬化症、脂肪肝、肥満症、膵臓ベータ細胞不全、コレステロールエステル蓄積症、ウォルマン病、ニーマン・ピック病C型、ホジキンリンパ腫生存者における症状、タンジール病、川崎病、シトステロール血症、若年性特発性関節炎、家族性高コレステロール血症、糖尿病、腎移植患者における症状及び心臓移植患者における症状からなる群より選択される1種以上の症状、疾患若しくは障害の予防又は治療を必要とする対象に、有効量の前記実施形態(1)~(4)のいずれかに記載のPCSK9阻害剤、或いは前記実施形態(1)~(4)のいずれかに定義される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物を投与することを含む、前記症状、疾患及び/又は障害の予防又は治療方法。
(12) 脂肪肝が、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)又は非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)である、前記実施形態(11)に記載の方法。
(13) 動脈硬化症が、アテローム性動脈硬化症である、前記実施形態(11)に記載の方法。
(14) PCSK9の機能に関連する、高コレステロール血症、家族性高ステロール血症、高脂血症、動脈硬化症、脂肪肝、肥満症、膵臓ベータ細胞不全、コレステロールエステル蓄積症、ウォルマン病、ニーマン・ピック病C型、ホジキンリンパ腫生存者における症状、タンジール病、川崎病、シトステロール血症、若年性特発性関節炎、家族性高コレステロール血症、糖尿病、腎移植患者における症状及び心臓移植患者における症状からなる群より選択される1種以上の症状、疾患若しくは障害の予防又は治療に使用するための、前記実施形態(1)~(4)のいずれかに記載のPCSK9阻害剤、或いは前記実施形態(1)~(4)のいずれかに定義される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物。
(15) 脂肪肝が、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)又は非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)である、前記実施形態(14)に記載の使用のためのPCSK9阻害剤、或いは化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物。
(16) 動脈硬化症が、アテローム性動脈硬化症である、前記実施形態(14)に記載の使用のためのPCSK9阻害剤、或いは化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物。
(17) PCSK9の機能に関連する、高コレステロール血症、家族性高ステロール血症、高脂血症、動脈硬化症、脂肪肝、肥満症、膵臓ベータ細胞不全、コレステロールエステル蓄積症、ウォルマン病、ニーマン・ピック病C型、ホジキンリンパ腫生存者における症状、タンジール病、川崎病、シトステロール血症、若年性特発性関節炎、家族性高コレステロール血症、糖尿病、腎移植患者における症状及び心臓移植患者における症状からなる群より選択される1種以上の症状、疾患若しくは障害の予防又は治療のための医薬の製造における、前記実施形態(1)~(4)のいずれかに記載のPCSK9阻害剤、或いは前記実施形態(1)~(4)のいずれかに定義される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物の使用。
(18) PCSK9の機能に関連する、高コレステロール血症、家族性高ステロール血症、高脂血症、動脈硬化症、脂肪肝、肥満症、膵臓ベータ細胞不全、コレステロールエステル蓄積症、ウォルマン病、ニーマン・ピック病C型、ホジキンリンパ腫生存者における症状、タンジール病、川崎病、シトステロール血症、若年性特発性関節炎、家族性高コレステロール血症、糖尿病、腎移植患者における症状及び心臓移植患者における症状からなる群より選択される1種以上の症状、疾患若しくは障害の予防又は治療のための、前記実施形態(1)~(4)のいずれかに記載のPCSK9阻害剤、或いは前記実施形態(1)~(4)のいずれかに定義される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物の使用。
(19) 脂肪肝が、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)又は非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)である、前記実施形態(17)又は(18)に記載の使用。
(20) 動脈硬化症が、アテローム性動脈硬化症である、前記実施形態(17)又は(18)に記載の使用。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様により、PCSK9の機能を阻害する活性を有する低分子化合物を提供することが可能となる。
【0017】
前記以外の、課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【0018】
本明細書は、本願の優先権の基礎である日本国特許出願第2020-011068号の明細書及び/又は図面に記載される内容を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、試験I-1において、ウェスタンブロッティングにより培地中及び細胞内のPCSK9及びProPCSK9を検出した結果を示す写真である。Aは、PRD017又はPRD056を添加した場合の培地中及び細胞内のPCSK9及びProPCSK9を検出した結果であり、Bは、PRD125、アトルバスタチン(Atr)又はピリピロペンA(PPPA)を添加した場合の培地中及び細胞内のPCSK9及びProPCSK9を検出した結果である。
【
図2】
図2は、試験I-1において、ウェスタンブロッティングにより検出されたPCSK9のバンドの濃さを定量化した結果を示すグラフである。Aは、PRD017を添加した場合の結果を、Bは、PRD056を添加した場合の結果を、Cは、PRD125を添加した場合の結果を、それぞれ示す。横軸は、化合物の添加濃度(μg/mL)を、縦軸は、総PCSK9量(%)を、それぞれ示す。
【
図3】
図3は、試験I-1において、ウェスタンブロッティングにより検出されたPCSK9のバンドの濃さを定量化した結果を示すグラフである。Aは、Atrを添加した場合の結果を、Bは、PPPAを添加した場合の結果を、それぞれ示す。横軸は、化合物の添加濃度(μg/mL)を、縦軸は、総PCSK9量(%)を、それぞれ示す。
【
図4】
図4は、試験I-2において、肝臓及び血中の中性脂質量を示すグラフである。Aは、肝臓の総コレステロール量を、Bは、肝臓のコレステリルエステル量を、Cは、肝臓のトリグリセリド量を、Dは、血中のLDL-コレステロール量を、それぞれ示す。
【
図5】
図5は、試験I-2において、血中のPCSK9量を示すグラフである。Aは、雄マウスにおける血中のPCSK9量を、Bは、雌マウスにおける血中のPCSK9量を、それぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0021】
<1. 有効成分の化合物>
本明細書において、「アルキル」は、特定の数の炭素原子を含む、直鎖又は分枝鎖の飽和脂肪族炭化水素基を意味する。例えば、「C1~C6アルキル」は、少なくとも1個且つ多くても6個の炭素原子を含む、直鎖又は分枝鎖の飽和脂肪族炭化水素基を意味する。好適なアルキルは、限定するものではないが、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル及びn-ヘキシル等の直鎖又は分枝鎖のC1~C6アルキルを挙げることができる。
【0022】
本明細書において、「アルケニル」は、前記アルキルの1個以上のC-C単結合が二重結合に置換された基を意味する。好適なアルケニルは、限定するものではないが、例えばビニル、1-プロペニル、アリル、1-メチルエテニル(イソプロペニル)、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1-メチル-2-プロペニル、2-メチル-2-プロペニル、1-メチル-1-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル、1-ペンテニル及び1-ヘキセニル等の直鎖又は分枝鎖のC2~C6アルケニルを挙げることができる。
【0023】
本明細書において、「アルキニル」は、前記アルキルの1個以上のC-C単結合が三重結合に置換された基を意味する。好適なアルキニルは、限定するものではないが、例えばエチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル、1-メチル-2-プロピニル、1-ペンチニル及び1-ヘキシニル等の直鎖又は分枝鎖のC2~C6アルキニルを挙げることができる。
【0024】
本明細書において、「シクロアルキル」は、特定の数の炭素原子を含む、脂環式アルキルを意味する。例えば、「C3~C6シクロアルキル」は、少なくとも3個且つ多くても6個の炭素原子を含む、環式の炭化水素基を意味する。好適なシクロアルキルは、限定するものではないが、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシル等のC3~C6シクロアルキルを挙げることができる。
【0025】
本明細書において、「シクロアルケニル」は、前記シクロアルキルの1個以上のC-C単結合が二重結合に置換された基を意味する。好適なシクロアルケニルは、限定するものではないが、例えばシクロブテニル、シクロペンテニル及びシクロヘキセニル等のC4~C6シクロアルケニルを挙げることができる。
【0026】
本明細書において、「シクロアルキニル」は、前記シクロアルキルの1個以上のC-C単結合が三重結合に置換された基を意味する。好適なシクロアルキニルは、限定するものではないが、例えばシクロブチニル、シクロペンチニル及びシクロヘキシニル等のC4~C6シクロアルキニルを挙げることができる。
【0027】
本明細書において、「ヘテロシクロアルキル」は、前記シクロアルキル、シクロアルケニル又はシクロアルキニルの1個以上の炭素原子が、それぞれ独立して窒素(N)、硫黄(S)及び酸素(O)から選択される1個以上のヘテロ原子に置換された基を意味する。この場合において、N又はSによる置換は、それぞれN-オキシド又はSのオキシド若しくはジオキシドによる置換を包含する。好適なヘテロシクロアルキルは、限定するものではないが、例えばピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル及びピペラジニル等の3~6員のヘテロシクロアルキルを挙げることができる。
【0028】
本明細書において、「シクロアルキルアルキル」は、前記アルキル、アルケニル又はアルキニルの水素原子の1個が前記シクロアルキル、シクロアルケニル又はシクロアルキニルに置換された基を意味する。好適なシクロアルキルアルキルは、限定するものではないが、例えばシクロヘキシルメチル及びシクロヘキセニルメチル等のC7~C11シクロアルキルアルキルを挙げることができる。
【0029】
本明細書において、「ヘテロシクロアルキルアルキル」は、前記アルキル、アルケニル又はアルキニルの水素原子の1個が前記ヘテロシクロアルキルに置換された基を意味する。好適なヘテロシクロアルキルアルキルは、限定するものではないが、例えば3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキルを挙げることができる。
【0030】
本明細書において、「アルコキシ」及び「アルコキシル」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記アルキル、アルケニル又はアルキニルに置換された基を意味する。好適なアルコキシ及びアルコキシルは、限定するものではないが、例えばメトキシ又はメトキシル、エトキシ又はエトキシル、プロポキシ又はプロポキシル、ブトキシ又はブトキシル、ペントキシ又はペントキシル、及びヘキソキシ又はヘキソキシル等のC1~C6アルコキシ又はC1~C6アルコキシルを挙げることができる。
【0031】
本明細書において、「シクロアルコキシ」及び「シクロアルコキシル」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記シクロアルキル、シクロアルケニル又はシクロアルキニルに置換された基を意味する。好適なシクロアルコキシ及びシクロアルコキシルは、限定するものではないが、例えばシクロプロポキシ又はシクロプロポキシル、シクロブトキシ又はシクロブトキシル及びシクロペントキシ又はシクロペントキシル等のC3~C6シクロアルコキシ又はC3~C6シクロアルコキシルを挙げることができる。
【0032】
本明細書において、「ヘテロシクロアルコキシ」及び「ヘテロシクロアルコキシル」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記ヘテロシクロアルキルに置換された基を意味する。好適なヘテロシクロアルコキシ及びヘテロシクロアルコキシルは、限定するものではないが、例えば3~6員のヘテロシクロアルコキシ又は3~6員のヘテロシクロアルコキシルを挙げることができる。
【0033】
本明細書において、「アリール」は、芳香環基を意味する。好適なアリールは、限定するものではないが、例えばフェニル、ビフェニル、テルフェニル、ナフチル及びアントラセニル等のC6~C18アリールを挙げることができる。
【0034】
本明細書において、「アリールアルキル」は、前記アルキル、アルケニル又はアルキニルの水素原子の1個が前記アリールに置換された基を意味する。好適なアリールアルキルは、限定するものではないが、例えばベンジル、1-フェネチル、2-フェネチル、ビフェニルメチル、テルフェニルメチル及びスチリル等のC7~C20アリールアルキルを挙げることができる。
【0035】
本明細書において、「ヘテロアリール」は、前記アリールの1個以上の炭素原子が、それぞれ独立してN、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子に置換された基を意味する。この場合において、N又はSによる置換は、それぞれN-オキシド又はSのオキシド若しくはジオキシドによる置換を包含する。好適なヘテロアリールは、限定するものではないが、例えばフラニル、チエニル(チオフェンイル)、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル、キノリニル、イソキノリニル及びインドリル等の5~15員のヘテロアリールを挙げることができる。
【0036】
本明細書において、「ヘテロアリールアルキル」は、前記アルキル、アルケニル又はアルキニルの水素原子の1個が前記ヘテロアリールに置換された基を意味する。好適なヘテロアリールアルキルは、限定するものではないが、例えばピリジルメチル等の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルを挙げることができる。
【0037】
本明細書において、「アリールオキシ」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記アリールに置換された基を意味する。好適なアリールオキシは、限定するものではないが、例えばフェノキシ、ビフェニルオキシ、ナフチルオキシ及びアントリルオキシ(アントラセニルオキシ)等のC6~C18アリールオキシを挙げることができる。
【0038】
本明細書において、「アリールアルキルオキシ」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記アリールアルキルに置換された基を意味する。好適なアリールアルキルオキシは、限定するものではないが、例えばベンジルオキシ、1-フェネチルオキシ、2-フェネチルオキシ及びスチリルオキシ等のC7~C20アリールアルキルオキシを挙げることができる。
【0039】
本明細書において、「ヘテロアリールオキシ」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記ヘテロアリールに置換された基を意味する。好適なヘテロアリールオキシは、限定するものではないが、例えばフラニルオキシ、チエニルオキシ(チオフェンイルオキシ)、ピロリルオキシ、イミダゾリルオキシ、ピラゾリルオキシ、トリアゾリルオキシ、テトラゾリルオキシ、チアゾリルオキシ、オキサゾリルオキシ、イソオキサゾリルオキシ、オキサジアゾリルオキシ、チアジアゾリルオキシ、イソチアゾリルオキシ、ピリジルオキシ、ピリダジニルオキシ、ピラジニルオキシ、ピリミジニルオキシ、キノリニルオキシ、イソキノリニルオキシ及びインドリルオキシ等の5~15員のヘテロアリールオキシを挙げることができる。
【0040】
本明細書において、「ヘテロアリールアルキルオキシ」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記ヘテロアリールアルキルに置換された基を意味する。好適なヘテロアリールアルキルオキシは、限定するものではないが、例えば5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルオキシを挙げることができる。
【0041】
本明細書において、「アシル」は、前記で説明した基から選択される一価基とカルボニルとが連結した基を意味する。好適なアシルは、限定するものではないが、例えばホルミル、アセチル及びプロピオニル等のC1~C6脂肪族アシル、並びにベンゾイル等のC7~C20芳香族アシルを包含するC1~C20アシルを挙げることができる。
【0042】
前記で説明した基は、それぞれ独立して、非置換であるか、或いは1個若しくは複数の前記で説明した一価基によってさらに置換することもできる。
【0043】
本明細書において、「ハロゲン」又は「ハロ」は、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)又はヨウ素(I)を意味する。
【0044】
本発明の一態様は、式(I):
【化2】
で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物を有効成分として含有する、PCSK9阻害剤に関する。
【0045】
本発明者らは、SOAT2に対して高い選択的阻害活性を有する特定のピリピロペン誘導体がPCSK9の機能に対して阻害活性を有することを見出した。ピリピロペン誘導体は、高いSOAT2阻害活性を有すること、及びSOAT2阻害活性を介して脂質異常症、動脈硬化症、高血圧症、脂肪肝及び肥満症等の疾患若しくは症状の予防又は治療に使用し得ることが知られている。しかしながら、ピリピロペン誘導体がPCSK9の機能に対して阻害活性を有することは、これまでに知られていない新規な知見である。また、ピリピロペン誘導体のようなSOAT2阻害活性を有する化合物が、PCSK9の機能発現に関連し得ることを示唆するいかなる先行技術も存在しなかった。
【0046】
ピリピロペン誘導体は、ピリピロペンAから半合成的手法によって製造することができる。また、ピリピロペンAは、該化合物を生産する能力を有する微生物を用いる培養的手法により比較的安価に製造することができる。それ故、本態様のPCSK9阻害剤の有効成分である式(I)で表される化合物は、エボロクマブ及びアリロクマブ等の抗体医薬と比較して低い製造コストで得ることができる。
【0047】
以下において説明するように、本態様のPCSK9阻害剤の有効成分である式(I)で表される化合物は、PCSK9の機能に対して阻害活性を有するのに対し、HMG-CoA還元酵素の阻害を介して動脈硬化症及び/又は脂質異常症を予防又は治療する公知のスタチン系医薬品であるアトルバスタチンは、PCSK9の機能を阻害せず、むしろ促進する。このように、本態様のPCSK9阻害剤の有効成分である式(I)で表される化合物は、公知のスタチン系医薬品であるアトルバスタチンと異なる活性発現パターンを有することから、公知のスタチン系医薬品による予防又は治療効果が不十分な対象に対して有意な予防又は治療効果を提供することができる。
【0048】
式(I)において、R1は、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールである。R1は、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、又は置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールであることが好ましく;置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールであることがより好ましく;ピリジン-3-イルであることが特に好ましい。
【0049】
式(I)において、R2は、水素、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル、置換若しくは非置換のアルコキシ、置換若しくは非置換のシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のアリールオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のシクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のアシル、置換若しくは非置換のアルキルカルボニルオキシ、置換若しくは非置換のアリールカルボニルオキシ、置換若しくは非置換のカルバモイル、置換若しくは非置換のアルキルスルホニル、置換若しくは非置換のアリールスルホニル、置換若しくは非置換のアルキルスルファニル、置換若しくは非置換のアリールスルファニル、又は置換若しくは非置換のアミノである。R2は、水素、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC1~C20アシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキルカルボニルオキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールカルボニルオキシ、置換若しくは非置換のカルバモイル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキルスルホニル、置換若しくは非置換のC6~C18アリールスルホニル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキルスルファニル、置換若しくは非置換のC6~C18アリールスルファニル、又は置換若しくは非置換のアミノであることが好ましく;水素、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC1~C6アルキルカルボニルオキシ、又は置換若しくは非置換のC6~C18アリールカルボニルオキシであることがより好ましく;置換若しくは非置換のC1~C6アルキルカルボニルオキシ、又は置換若しくは非置換のC6~C18アリールカルボニルオキシであることがさらに好ましく;アセトキシ又は4-シアノベンゾイルオキシであることが特に好ましい。
【0050】
式(I)において、nは、0又は1である。nは、1であることが好ましい。
【0051】
式(I)において、R3及びR4は、互いに独立して、水素、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル、置換若しくは非置換のアルコキシ、置換若しくは非置換のシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のアリールオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のシクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のアシル、置換若しくは非置換のアルキルカルボニルオキシ、置換若しくは非置換のアリールカルボニルオキシ、置換若しくは非置換のカルバモイル、置換若しくは非置換のアルキルスルホニル、置換若しくは非置換のアリールスルホニル、置換若しくは非置換のアルキルスルファニル、置換若しくは非置換のアリールスルファニル、又は置換若しくは非置換のアミノであるか、或いは、R3及びR4は、一緒になって-O-CR5R6-O-を形成する。R3及びR4は、互いに独立して、水素、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC1~C20アシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキルカルボニルオキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールカルボニルオキシ、置換若しくは非置換のカルバモイル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキルスルホニル、置換若しくは非置換のC6~C18アリールスルホニル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキルスルファニル、置換若しくは非置換のC6~C18アリールスルファニル、又は置換若しくは非置換のアミノであるか、或いは、一緒になって-O-CR5R6-O-を形成することが好ましく;互いに独立して、水素、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC1~C6アルキルカルボニルオキシ、又は置換若しくは非置換のC6~C18アリールカルボニルオキシであるか、或いは、一緒になって-O-CR5R6-O-を形成することがより好ましく;互いに独立して、置換若しくは非置換のC1~C6アルキルカルボニルオキシ、又は置換若しくは非置換のC6~C18アリールカルボニルオキシであるか、或いは、一緒になって-O-CR5R6-O-を形成することがさらに好ましく;いずれもアセトキシであるか、或いは、一緒になって-O-CR5R6-O-を形成することが特に好ましい。
【0052】
式(I)において、R5及びR6は、互いに独立して、水素、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル、置換若しくは非置換のアルコキシ、置換若しくは非置換のシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のアリールオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のシクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のアシル、置換若しくは非置換のアルキルカルボニルオキシ、置換若しくは非置換のアリールカルボニルオキシ、置換若しくは非置換のカルバモイル、置換若しくは非置換のアルキルスルホニル、置換若しくは非置換のアリールスルホニル、置換若しくは非置換のアルキルスルファニル、置換若しくは非置換のアリールスルファニル、又は置換若しくは非置換のアミノである。R5及びR6は、互いに独立して、水素、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC1~C20アシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキルカルボニルオキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールカルボニルオキシ、置換若しくは非置換のカルバモイル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキルスルホニル、置換若しくは非置換のC6~C18アリールスルホニル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキルスルファニル、置換若しくは非置換のC6~C18アリールスルファニル、又は置換若しくは非置換のアミノであることが好ましく;互いに独立して、水素、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルであることがより好ましく;互いに独立して、水素、又は置換若しくは非置換のC6~C18アリールであることがさらに好ましく;R5が、水素であり、且つR6が、2-メチルフェニルであることが特に好ましい。
【0053】
特定の一実施形態において、R2、R3、R4、R5及びR6の少なくとも1個は、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のアリールオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換のアリールカルボニルオキシ、置換若しくは非置換のアリールスルホニル、又は置換若しくは非置換のアリールスルファニルであり、且つR2、R3、R4、R5及びR6の残りの基は、前記で定義される基であることが好ましい。
本実施形態の場合、R2、R3、R4、R5及びR6の少なくとも1個は、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールカルボニルオキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールスルホニル、又は置換若しくは非置換のC6~C18アリールスルファニルであり、且つR2、R3、R4、R5及びR6の残りの基は、前記で定義される基であることが好ましく;R2、R3、R4、R5及びR6の少なくとも1個は、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、又は置換若しくは非置換のC6~C18アリールカルボニルオキシであり、且つR2、R3、R4、R5及びR6の残りの基は、前記で定義される基であることがより好ましく;R2、R3、R4、R5及びR6の少なくとも1個は、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、又は置換若しくは非置換のC6~C18アリールカルボニルオキシであり、且つR2、R3、R4、R5及びR6の残りの基は、前記で定義される基であることがさらに好ましく;R2が、4-シアノベンゾイルオキシであり、R3及びR4が、いずれもアセトキシであるか、或いは、一緒になって-O-CR5R6-O-を形成し、R5が、水素であり、且つR6が、2-メチルフェニルであることが特に好ましい。
【0054】
式(I)において、前記基が置換されている場合、該置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル、置換若しくは非置換のアルコキシ、置換若しくは非置換のシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のアリールオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のシクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のアシル、置換若しくは非置換のアシルオキシ、置換若しくは非置換のアミノ、及びオキソ(C=O)からなる群より選択される少なくとも1個の一価基又は二価基であることが好ましく、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC4~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員ヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC1~C20アシル、置換若しくは非置換のC1~C20アシルオキシ、置換若しくは非置換のアミノ、及びオキソ(C=O)からなる群より選択される少なくとも1個の一価基又は二価基であることがより好ましく、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員ヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルオキシ、及び置換若しくは非置換のC1~C20アシルオキシからなる群より選択される少なくとも1個の一価基であることがさらに好ましく、ヒドロキシルであることが特に好ましい。前記一価基が置換されている場合、該置換基は、前記一価基又は二価基からさらに選択されることが好ましく、非置換の前記一価基又は二価基からさらに選択されることがより好ましい。
【0055】
式(I)で表される化合物は、前記で例示されるn、R1、R2、R3、R4、R5及びR6の任意の組み合わせによって定義される化合物を包含することができる。但し、式(I)において、nが1であり、且つR2、R3及びR4がアセトキシである場合を除く。式(I)において、nが1であり、且つR2、R3及びR4がアセトキシである化合物は、ピリピロペンAである。n、R1、R2、R3、R4、R5及びR6が前記で例示した基である場合、式(I)で表される化合物は、PCSK9の機能に対して高い阻害活性を発現することができる。
【0056】
好ましくは、式(I)で表される化合物は、
R1が、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、又は置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールであり;
R2が、水素、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC1~C20アシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキルカルボニルオキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールカルボニルオキシ、置換若しくは非置換のカルバモイル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキルスルホニル、置換若しくは非置換のC6~C18アリールスルホニル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキルスルファニル、置換若しくは非置換のC6~C18アリールスルファニル、又は置換若しくは非置換のアミノであり;
nが、1であり;
R3及びR4が、互いに独立して、水素、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC1~C20アシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキルカルボニルオキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールカルボニルオキシ、置換若しくは非置換のカルバモイル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキルスルホニル、置換若しくは非置換のC6~C18アリールスルホニル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキルスルファニル、置換若しくは非置換のC6~C18アリールスルファニル、又は置換若しくは非置換のアミノであるか、或いは、
R3及びR4は、一緒になって-O-CR5R6-O-を形成し;
R5及びR6が、互いに独立して、水素、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC1~C20アシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキルカルボニルオキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールカルボニルオキシ、置換若しくは非置換のカルバモイル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキルスルホニル、置換若しくは非置換のC6~C18アリールスルホニル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキルスルファニル、置換若しくは非置換のC6~C18アリールスルファニル、又は置換若しくは非置換のアミノであり;
但し、nが1であり、且つR2、R3及びR4がアセトキシである場合を除き;且つ
前記基が置換されている場合、該置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC4~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員ヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC1~C20アシル、置換若しくは非置換のC1~C20アシルオキシ、置換若しくは非置換のアミノ、及びオキソ(C=O)からなる群より選択される少なくとも1個の一価基又は二価基である。前記一価基が置換されている場合、該置換基は、前記一価基又は二価基からさらに選択されることが好ましく、非置換の前記一価基又は二価基からさらに選択されることがより好ましい。
【0057】
より好ましくは、式(I)で表される化合物は、
R1が、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールであり;
R2が、水素、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC1~C6アルキルカルボニルオキシ、又は置換若しくは非置換のC6~C18アリールカルボニルオキシであり;
nが、1であり;
R3及びR4が、互いに独立して、水素、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC1~C6アルキルカルボニルオキシ、又は置換若しくは非置換のC6~C18アリールカルボニルオキシであるか、或いは、
R3及びR4は、一緒になって-O-CR5R6-O-を形成し;
R5及びR6が、互いに独立して、水素、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルであり;
但し、nが1であり、且つR2、R3及びR4がアセトキシである場合を除き;且つ
前記基が置換されている場合、該置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC4~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員ヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC1~C20アシル、置換若しくは非置換のC1~C20アシルオキシ、置換若しくは非置換のアミノ、及びオキソ(C=O)からなる群より選択される少なくとも1個の一価基又は二価基である。前記一価基が置換されている場合、該置換基は、前記一価基又は二価基からさらに選択されることが好ましく、非置換の前記一価基又は二価基からさらに選択されることがより好ましい。
【0058】
さらに好ましくは、式(I)で表される化合物は、
R1が、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールであり;
R2が、置換若しくは非置換のC1~C6アルキルカルボニルオキシ、又は置換若しくは非置換のC6~C18アリールカルボニルオキシであり;
nが、1であり;
R3及びR4が、互いに独立して、置換若しくは非置換のC1~C6アルキルカルボニルオキシ、又は置換若しくは非置換のC6~C18アリールカルボニルオキシであるか、或いは、
R3及びR4は、一緒になって-O-CR5R6-O-を形成し;
R5及びR6が、互いに独立して、水素、又は置換若しくは非置換のC6~C18アリールであり;
但し、nが1であり、且つR2、R3及びR4がアセトキシである場合を除き;且つ
前記基が置換されている場合、該置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC4~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員ヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC1~C20アシル、置換若しくは非置換のC1~C20アシルオキシ、置換若しくは非置換のアミノ、及びオキソ(C=O)からなる群より選択される少なくとも1個の一価基又は二価基である。前記一価基が置換されている場合、該置換基は、前記一価基又は二価基からさらに選択されることが好ましく、非置換の前記一価基又は二価基からさらに選択されることがより好ましい。
【0059】
特定の一実施形態において、好ましくは、式(I)で表される化合物は、
R1が、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、又は置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールであり;
R2が、水素、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC1~C20アシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキルカルボニルオキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールカルボニルオキシ、置換若しくは非置換のカルバモイル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキルスルホニル、置換若しくは非置換のC6~C18アリールスルホニル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキルスルファニル、置換若しくは非置換のC6~C18アリールスルファニル、又は置換若しくは非置換のアミノであり;
nが、1であり;
R3及びR4が、互いに独立して、水素、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC1~C20アシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキルカルボニルオキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールカルボニルオキシ、置換若しくは非置換のカルバモイル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキルスルホニル、置換若しくは非置換のC6~C18アリールスルホニル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキルスルファニル、置換若しくは非置換のC6~C18アリールスルファニル、又は置換若しくは非置換のアミノであるか、或いは、
R3及びR4は、一緒になって-O-CR5R6-O-を形成し;
R5及びR6が、互いに独立して、水素、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC1~C20アシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキルカルボニルオキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールカルボニルオキシ、置換若しくは非置換のカルバモイル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキルスルホニル、置換若しくは非置換のC6~C18アリールスルホニル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキルスルファニル、置換若しくは非置換のC6~C18アリールスルファニル、又は置換若しくは非置換のアミノであり;
但し、R2、R3、R4、R5及びR6の少なくとも1個は、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールカルボニルオキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールスルホニル、又は置換若しくは非置換のC6~C18アリールスルファニルであり、且つR2、R3、R4、R5及びR6の残りの基は、前記で定義される基であり;且つ
前記基が置換されている場合、該置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC4~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員ヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC1~C20アシル、置換若しくは非置換のC1~C20アシルオキシ、置換若しくは非置換のアミノ、及びオキソ(C=O)からなる群より選択される少なくとも1個の一価基又は二価基である。前記一価基が置換されている場合、該置換基は、前記一価基又は二価基からさらに選択されることが好ましく、非置換の前記一価基又は二価基からさらに選択されることがより好ましい。
【0060】
特定の一実施形態において、より好ましくは、式(I)で表される化合物は、
R1が、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールであり;
R2が、水素、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC1~C6アルキルカルボニルオキシ、又は置換若しくは非置換のC6~C18アリールカルボニルオキシであり;
nが、1であり;
R3及びR4が、互いに独立して、水素、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC1~C6アルキルカルボニルオキシ、又は置換若しくは非置換のC6~C18アリールカルボニルオキシであるか、或いは、
R3及びR4は、一緒になって-O-CR5R6-O-を形成し;
R5及びR6が、互いに独立して、水素、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルであり;
但し、R2、R3、R4、R5及びR6の少なくとも1個は、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、又は置換若しくは非置換のC6~C18アリールカルボニルオキシであり、且つR2、R3、R4、R5及びR6の残りの基は、前記で定義される基であり;且つ
前記基が置換されている場合、該置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC4~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員ヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC1~C20アシル、置換若しくは非置換のC1~C20アシルオキシ、置換若しくは非置換のアミノ、及びオキソ(C=O)からなる群より選択される少なくとも1個の一価基又は二価基である。前記一価基が置換されている場合、該置換基は、前記一価基又は二価基からさらに選択されることが好ましく、非置換の前記一価基又は二価基からさらに選択されることがより好ましい。
【0061】
特定の一実施形態において、さらに好ましくは、式(I)で表される化合物は、
R1が、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールであり;
R2が、置換若しくは非置換のC1~C6アルキルカルボニルオキシ、又は置換若しくは非置換のC6~C18アリールカルボニルオキシであり;
nが、1であり;
R3及びR4が、互いに独立して、置換若しくは非置換のC1~C6アルキルカルボニルオキシ、又は置換若しくは非置換のC6~C18アリールカルボニルオキシであるか、或いは、
R3及びR4は、一緒になって-O-CR5R6-O-を形成し;
R5及びR6が、互いに独立して、水素、又は置換若しくは非置換のC6~C18アリールであり;
但し、R2、R3、R4、R5及びR6の少なくとも1個は、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、又は置換若しくは非置換のC6~C18アリールカルボニルオキシであり、且つR2、R3、R4、R5及びR6の残りの基は、前記で定義される基であり;且つ
前記基が置換されている場合、該置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4~C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC4~C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7~C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3~6員のヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC6~C18アリール、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3~6員ヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6~C18アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7~C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5~15員のヘテロアリール-C1~C6アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1~C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3~C6シクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC1~C20アシル、置換若しくは非置換のC1~C20アシルオキシ、置換若しくは非置換のアミノ、及びオキソ(C=O)からなる群より選択される少なくとも1個の一価基又は二価基である。前記一価基が置換されている場合、該置換基は、前記一価基又は二価基からさらに選択されることが好ましく、非置換の前記一価基又は二価基からさらに選択されることがより好ましい。
【0062】
特に好ましくは、式(I)で表される化合物は、
R1が、ピリジン-3-イルであり;
R2が、アセトキシ又は4-シアノベンゾイルオキシであり;
nが、1であり;
R3及びR4が、いずれもアセトキシであるか、或いは、一緒になって-O-CR5R6-O-を形成し;
R5が、水素であり;且つ
R6が、2-メチルフェニルである。
【0063】
とりわけ特に好ましい式(I)で表される化合物は、以下:
1,11-O-o-メチルベンジリデン-7-O-p-シアノベンゾイル-1,7,11-トリデアセチルピリピロペンA(PRD125、特許第5592482号公報);
7-p-シアノベンゾイル-7-デアセチルピリピロペンA(PRD017、特許第5479110号公報);及び
7-O-p-シアノベンゾイル-1,11-ジ(O-イソブチリル)-1,7,11-トリデアセチルピリピロペンA(PRD056、特許第5479110号公報);並びに
他の公知のピリピロペン誘導体(例えば、Ohshiro T.ら, J. Antibiot. 第61巻, p. 503-508 (2008);Owtawa M.ら, Bioorg. Med. Chem. Lett. 第23巻, p. 1285-1287 (2013);Owtawa M.ら, Bioorg. Med. Chem. Lett. 第23巻, p. 2659-2662 (2013);又はOwtawa M.ら, Bioorg. Med. Chem. Lett. 第23巻, p. 3798-3801 (2013)に開示される化合物)である。本態様のPCSK9阻害剤の有効成分である式(I)で表される化合物が前記化合物である場合、該化合物は、PCSK9の機能に対して特に高い阻害活性を発現することができる。
【0064】
本態様のPCSK9阻害剤の有効成分である式(I)で表される化合物は、市販品を購入等して準備してもよく、又は公知文献に記載の方法に基づき調製することにより準備してもよい。
【0065】
本態様のPCSK9阻害剤の有効成分である式(I)で表される化合物は、該化合物自体だけでなく、その塩も包含する。式(I)で表される化合物の塩としては、限定するものではないが、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、若しくは置換若しくは非置換のアンモニウムイオンのようなカチオンとの塩、又は塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、炭酸若しくはリン酸のような無機酸、又はギ酸、酢酸、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、アスコルビン酸、コハク酸、ビスメチレンサリチル酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、プロピオン酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸、グルコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、イタコン酸、グリコール酸、p-アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、シクロヘキシルスルファミン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、イセチオン酸、p-トルエンスルホン酸若しくはナフタレンスルホン酸のような有機酸アニオンとの塩が好ましい。式(I)で表される化合物が前記の塩の形態である場合であっても、PCSK9の機能に対して高い阻害活性を発現することができる。
【0066】
本態様のPCSK9阻害剤の有効成分である式(I)で表される化合物は、前記化合物自体だけでなく、該化合物又はその塩の溶媒和物も包含する。前記化合物又はその塩と溶媒和物を形成し得る溶媒としては、限定するものではないが、例えば、水、或いは、低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール若しくは2-プロパノール(イソプロピルアルコール)のような1~6の炭素原子数を有するアルコール)、高級アルコール(例えば、1-ヘプタノール若しくは1-オクタノールのような7以上の炭素原子数を有するアルコール)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸、エタノールアミン又は酢酸エチルのような有機溶媒が好ましい。式(I)で表される化合物又はその塩が前記の溶媒との溶媒和物の形態である場合であっても、PCSK9の機能に対して高い阻害活性を発現することができる。
【0067】
本態様のPCSK9阻害剤の有効成分である式(I)で表される化合物は、前記化合物自体だけでなく、その保護形態も包含する。本明細書において、「保護形態」は、1個又は複数の官能基(例えばアミノ基、ヒドロキシル基又はカルボン酸基)に保護基が導入された形態を意味する。本明細書において、前記各式で表される化合物の保護形態を、前記各式で表される化合物の保護誘導体と記載する場合がある。また、本明細書において、「保護基」は、望ましくない反応の進行を防止するために、特定の官能基に導入される基であって、特定の反応条件において定量的に除去され、且つそれ以外の反応条件においては実質的に安定、即ち反応不活性である基を意味する。前記化合物の保護形態を形成し得る保護基としては、限定するものではないが、例えば、アミノ基の保護基の場合、t-ブトキシカルボニル(Boc)、2-ブロモベンジルオキシカルボニル(BrZ)、又は9-フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)が、ヒドロキシル基の保護基の場合、シリル(例えば、t-ブチルジメチルシリル(TBS)、トリイソプロピルシリル(TIPS)若しくはtert-ブチルジフェニルシリル(TBDPS))、又はアルコキシ(例えば、メトキシメトキシ(MOM)若しくはメトキシ(Me))が、カルボン酸基の保護基の場合、アルキルエステル(例えばメチル、エチル若しくはイソプロピルエステル)、アリールアルキルエステル(例えばベンジルエステル)、又はアミド(例えばオキサゾリジノン類とのアミド)が、それぞれ好ましい。前記保護基による保護化及び脱保護化は、公知の反応条件に基づき、当業者が適宜実施することができる。式(I)で表される化合物が前記の保護基による保護形態である場合であっても、PCSK9の機能に対する阻害活性を実質的に低下させることなく、該化合物を使用することができる場合がある。
【0068】
本態様のPCSK9阻害剤の有効成分である式(I)で表される化合物が1個又は複数個の互変異性体を有する場合、前記化合物は、該化合物の個々の互変異性体の形態も包含する。
【0069】
また、本態様のPCSK9阻害剤の有効成分である式(I)で表される化合物が1個又は複数個の立体中心(キラル中心)を有する場合、前記化合物は、該化合物の個々のエナンチオマー及びジアステレオマー、並びにラセミ体のようなそれらの混合物も包含する。
【0070】
前記特徴を有することにより、本態様のPCSK9阻害剤の有効成分である式(I)で表される化合物は、PCSK9の機能に対して高い阻害活性を発現することができる。
【0071】
<2. 医薬用途>
本発明の一態様のPCSK9阻害剤の有効成分である式(I)で表される化合物は、PCSK9の機能に対して高い阻害活性を有する。式(I)で表される化合物を対象に投与した場合、PCSK9阻害活性を介して、該対象の有する特定の症状、疾患若しくは障害を予防又は治療し得る。それ故、本発明の別の一態様は、本発明の一態様のPCSK9阻害剤、又は該PCSK9阻害剤の有効成分である式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物を有効成分として含有する医薬又は医薬組成物に関する。
【0072】
本発明の各態様において、「PCSK9阻害」及び「PCSK9阻害活性」は、PCSK9の機能に対する阻害、及びPCSK9の機能に対する阻害活性を意味する。
【0073】
式(I)で表される化合物のPCSK9阻害活性は、限定するものではないが、例えば、ヒト又は非ヒト哺乳動物(例えば、ブタ、イヌ、ウシ、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ニワトリ、ヒツジ、ネコ、サル、マントヒヒ若しくはチンパンジー等の温血動物)由来の細胞(例えば、ヒト肝癌由来のHepG2細胞)に式(I)で表される化合物を添加し、所定条件下で培養後、培地中及び/又は細胞内のPCSK9産生量を測定して、化合物非添加の対照における産生量と比較することにより、決定することができる。或いは、式(I)で表される化合物のPCSK9阻害活性は、前記で例示したヒト又は非ヒト哺乳動物に該化合物を所定条件下で投与した後、血中及び/又は臓器(例えば、肝臓)中のPCSK9産生量及び/又は中性脂質産生量を測定して、化合物非添加の対照における産生量と比較することにより、決定することができる。
【0074】
式(I)で表される化合物は、通常は、1.0 μg/mL以上、特に10 μg/mL以上の濃度でPCSK9阻害活性を発現することができる。前記範囲の濃度で使用する場合、式(I)で表される化合物は、PCSK9に対して高い阻害活性を発現することができる。
【0075】
式(I)で表される化合物を医薬用途に適用する場合、式(I)で表される化合物は、該化合物自体だけでなく、該化合物の製薬上許容される塩、及びそれらの製薬上許容される溶媒和物も包含する。式(I)で表される化合物の製薬上許容される塩、及びそれらの製薬上許容される溶媒和物としては、限定するものではないが、例えば、前記で例示した塩又は溶媒和物が好ましい。式(I)で表される化合物が前記の製薬上許容される塩又は製薬上許容される溶媒和物の形態である場合、PCSK9阻害活性を実質的に低下させることなく、該化合物を所望の医薬用途に適用することができる。
【0076】
式(I)で表される化合物を医薬用途に適用する場合、式(I)で表される化合物は、該化合物自体だけでなく、該化合物のプロドラッグ形態も包含する。本明細書において、「プロドラッグ」は、生体内で親薬物に変換される化合物を意味する。前記化合物のプロドラッグ形態としては、限定するものではないが、例えば、ヒドロキシル基が存在する場合、該ヒドロキシル基と任意のカルボン酸とのエステル、及び該ヒドロキシル基と任意のアミンとのアミド等を、例えば、アミノ基が存在する場合、該アミノ基と任意のカルボン酸とのアミド等を、挙げることができる。式(I)で表される化合物が前記のプロドラッグ形態である場合、親薬物である式(I)で表される化合物のPCSK9阻害活性を実質的に低下させることなく、対象へのプロドラッグ形態の投与時の薬物動態を向上させることができる。
【0077】
式(I)で表される化合物を医薬用途に適用する場合、該化合物を単独で使用してもよく、1種以上の製薬上許容される成分と組み合わせて使用してもよい。本態様の医薬は、所望の投与方法に応じて、当該技術分野で通常使用される様々な剤形に製剤されることができる。それ故、本態様の医薬はまた、本発明の一態様のPCSK9阻害剤、又は該PCSK9阻害剤の有効成分である式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物と、1種以上の製薬上許容される担体とを含む医薬組成物の形態で提供されることもできる。本態様の医薬組成物は、前記成分に加えて、製薬上許容される1種以上の媒体(例えば、滅菌水のような溶媒又は生理食塩水のような溶液)、賦形剤、結合剤、ビヒクル、溶解補助剤、防腐剤、安定剤、膨化剤、潤滑剤、界面活性剤、乳化剤、油性液(例えば、植物油)、懸濁剤、緩衝剤、無痛化剤、酸化防止剤、甘味剤及び香味剤等を含んでもよい。
【0078】
本発明の一態様のPCSK9阻害剤、又は該PCSK9阻害剤の有効成分である式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物を有効成分として含む本態様の医薬の剤形は、特に限定されず、非経口投与に使用するための製剤であってもよく、経口投与に使用するための製剤であってもよい。また、本態様の医薬の剤形は、単位用量形態の製剤であってもよく、複数投与形態の製剤であってもよい。非経口投与に使用するための製剤としては、例えば、水若しくはそれ以外の製薬上許容される媒体との無菌性溶液又は懸濁液等の注射剤を挙げることができる。注射剤に混和することができる成分としては、限定するものではないが、例えば、生理食塩水、ブドウ糖若しくはその他の補助薬(例えば、D-ソルビトール、D-マンニトール、D-マンノース若しくは塩化ナトリウム)を含む等張液のようなビヒクル、アルコール(例えばエタノール若しくはベンジルアルコール)、ポリアルコール(例えばプロピレングリコール若しくはポリエチレングリコール)若しくはエステル(例えば安息香酸ベンジル)のような溶解補助剤、ポリソルベート80(商標)又はポリオキシエチレン硬化ヒマシ油のような非イオン性界面活性剤、ゴマ油又は大豆油のような油性液、リン酸塩緩衝液又は酢酸ナトリウム緩衝液のような緩衝剤、塩化ベンザルコニウム又は塩酸プロカインのような無痛化剤、ヒト血清アルブミン又はポリエチレングリコールのような安定剤、保存剤、並びに酸化防止剤等を挙げることができる。調製された注射剤は、通常、適当なバイアル(例えばアンプル)に充填され、使用時まで適切な環境下で保存される。
【0079】
経口投与に使用するための製剤としては、例えば、錠剤、丸薬、散剤、カプセル剤、軟カプセル剤、マイクロカプセル剤、エリキシル剤、液剤、シロップ剤、スラリー剤及び懸濁液等を挙げることができる。錠剤は、所望により、糖衣又は溶解性被膜を施した糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、口腔内崩壊錠(OD錠)又はフィルムコーティング錠の剤形として製剤してもよく、或いは二重錠又は多層錠の剤形として製剤してもよい。
【0080】
錠剤又はカプセル剤等に混和することができる成分としては、限定するものではないが、例えば、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、グルコース液、カルボキシメチルセルロース、セラック、メチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、コーンスターチ、トラガントガム又はアラビアゴムのような結合剤;結晶性セルロース、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、グルコース、尿素、澱粉、炭酸カルシウム、カオリン又はケイ酸のような賦形剤;乾燥澱粉、アルギン酸ナトリウム、寒天末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、澱粉又は乳糖のような崩壊剤;白糖、ステアリンカカオバター又は水素添加油のような崩壊抑制剤;第四級アンモニウム塩又はラウリル硫酸ナトリウムのような吸収促進剤;グリセリン又はデンプンのような保湿剤;澱粉、乳糖、カオリン、ベントナイト又はコロイド状ケイ酸のような吸着剤;精製タルク、ステアリン酸塩(例えばステアリン酸マグネシウム)、ホウ酸末又はポリエチレングリコールのような潤滑剤;ショ糖、乳糖又はサッカリンのような甘味剤;及びペパーミント、アカモノ油又はチェリーのような香味剤等を挙げることができる。製剤がカプセル剤の場合、さらに油脂のような液状担体を含有してもよい。
【0081】
本発明の一態様のPCSK9阻害剤、又は該PCSK9阻害剤の有効成分である式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物を有効成分として含む本態様の医薬は、デポー製剤として製剤化することもできる。この場合、デポー製剤の剤形の本態様の医薬を、例えば皮下若しくは筋肉に埋め込み、又は筋肉注射により投与することができる。本態様の医薬をデポー製剤に適用することにより、式(I)で表される化合物のPCSK9阻害活性を、長期間に亘って持続的に発現することができる。
【0082】
本発明の一態様のPCSK9阻害剤、又は該PCSK9阻害剤の有効成分である式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物を有効成分として含む本態様の医薬は、医薬として有用な1種以上の他の薬剤と併用することもできる。併用される他の薬剤としては、限定するものではないが、例えば、スタチン系医薬品(例えば、アトロバスタチン)、ピリピロペンA及びその類縁体若しくは誘導体等、並びにエゼチミブを挙げることができる。この場合、本態様の医薬は、本発明の一態様のPCSK9阻害剤、又は該PCSK9阻害剤の有効成分である式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物と、1種以上の前記他の薬剤とを含む併用医薬の形態となる。前記併用医薬は、本発明の一態様のPCSK9阻害剤、又は該PCSK9阻害剤の有効成分である式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物と、1種以上の前記他の薬剤とを組み合わせてなる医薬組成物の形態であってもよく、本発明の一態様のPCSK9阻害剤、又は該PCSK9阻害剤の有効成分である式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物を含む、1種以上の前記他の薬剤と併用される医薬組成物の形態であってもよい。本態様の医薬が前記のような併用医薬の形態である場合、本発明の一態様のPCSK9阻害剤、又は該PCSK9阻害剤の有効成分である式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物と、1種以上の他の薬剤とを含む、単一製剤の形態で提供されてもよく、1種以上の他の薬剤とが別々に製剤化された複数の製剤を含む医薬組合せ又はキットの形態で提供されてもよい。医薬組合せ又はキットの形態の場合、それぞれの製剤を同時又は別々に(例えば連続的に)投与することができる。
【0083】
本発明の一態様のPCSK9阻害剤、又は該PCSK9阻害剤の有効成分である式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物を有効成分として含む本態様の医薬は、PCSK9の機能に関連する種々の症状、疾患及び/又は障害を、同様に予防又は治療することができる。前記症状、疾患及び/又は障害としては、限定するものではないが、例えば、PCSK9の機能に関連する、高コレステロール血症、家族性高ステロール血症、高脂血症、動脈硬化症、脂肪肝、肥満症、膵臓ベータ細胞不全、コレステロールエステル蓄積症、ウォルマン病、ニーマン・ピック病C型、ホジキンリンパ腫生存者における症状、タンジール病、川崎病、シトステロール血症、若年性特発性関節炎、家族性高コレステロール血症、糖尿病(例えば、1型糖尿病及び2型糖尿病)、腎移植患者における症状及び心臓移植患者における症状を挙げることができる。その他、当業者に理解されるように、抗PSCK9抗体の使用を通じて一般に対処可能な(予防可能な又は治療可能な)症状、疾患及び/又は障害にも、本発明の一態様のPCSK9阻害剤、又は該PCSK9阻害剤の有効成分である式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物を有効成分として含む本態様の医薬の適用が有益であり得る。前記症状、疾患及び/又は障害は、PCSK9の機能に関連する、高コレステロール血症、家族性高ステロール血症、高脂血症、動脈硬化症、脂肪肝、肥満症、膵臓ベータ細胞不全、コレステロールエステル蓄積症、ウォルマン病、ニーマン・ピック病C型、ホジキンリンパ腫生存者における症状、タンジール病、川崎病、シトステロール血症、若年性特発性関節炎、家族性高コレステロール血症、糖尿病(例えば、1型糖尿病及び2型糖尿病)、腎移植患者における症状及び心臓移植患者における症状からなる群より選択される1種以上の症状、疾患又は障害であることが好ましい。脂肪肝は、例えば、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)又は非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)である。動脈硬化症は、例えば、アテローム性動脈硬化症である。PCSK9の機能に関連する前記疾患、症状若しくは障害の予防又は治療を必要とする対象に本態様の医薬を投与することにより、前記疾患、症状若しくは障害を予防又は治療することができる。
【0084】
本発明の各態様において、「PCSK9の機能に関連する症状、疾患及び/又は障害」は、PCSK9の機能発現の抑制及び/又は欠損に起因して引き起こされる症状、疾患及び/又は障害を意味する。症状、疾患及び/又は障害がPCSK9の機能に関連することは、限定するものではないが、例えば、該症状、疾患及び/又は障害を有する対象におけるPCSK9の機能発現の抑制及び/又は欠損を確認する、或いは、該症状、疾患及び/又は障害を有する対象に、スタチン系医薬品(例えば、アトロバスタチン)のようなHMG-CoA還元酵素阻害剤、及びピリピロペンA及びその類縁体若しくは誘導体等以外のSOAT2阻害剤からなる群より選択される少なくとも1種の薬剤を投与して、該薬剤の効果が不十分であることを確認することにより、特定することができる。
【0085】
本発明の一態様のPCSK9阻害剤、又は該PCSK9阻害剤の有効成分である式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物を有効成分として含む本態様の医薬は、PCSK9の機能に関連する前記症状、疾患及び/又は障害の予防又は治療を必要とする様々な対象に適用することができる。前記対象は、ヒト又は非ヒト哺乳動物(例えば、ブタ、イヌ、ウシ、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ニワトリ、ヒツジ、ネコ、サル、マントヒヒ若しくはチンパンジー等の温血動物)の被験体又は患者であることが好ましい。前記対象に本態様の医薬を投与することにより、該対象におけるPCSK9の機能に関連する種々の症状、疾患及び/又は障害を予防又は治療することができる。
【0086】
本明細書において、「予防」は、症状、疾患及び/又は障害の発生(発症又は発現)を実質的に防止することを意味する。また、本明細書において、「治療」は、発生(発症又は発現)した症状、疾患及び/又は障害を抑制(例えば進行の抑制)、軽快、修復及び/又は治癒することを意味する。
【0087】
本発明の一態様のPCSK9阻害剤、及び該PCSK9阻害剤の有効成分である式(I)で表される化合物は、前記で説明したPCSK9の機能に関連する症状、疾患及び/又は障害(例えば、高コレステロール血症、家族性高ステロール血症、高脂血症、動脈硬化症(例えば、アテローム性動脈硬化症)、脂肪肝(例えば、NASH又はNAFLD)、肥満症、膵臓ベータ細胞不全、コレステロールエステル蓄積症、ウォルマン病、ニーマン・ピック病C型、ホジキンリンパ腫生存者における症状、タンジール病、川崎病、シトステロール血症、若年性特発性関節炎、家族性高コレステロール血症、糖尿病(例えば、1型糖尿病及び2型糖尿病)、腎移植患者における症状又は心臓移植患者における症状)を有する対象において、該症状、疾患及び/又は障害の予防又は治療に使用することができる。それ故、本態様の医薬は、前記で説明したPCSK9の機能に関連する症状、疾患及び/又は障害の予防又は治療に使用するための医薬であることが好ましく、PCSK9の機能に関連する、高コレステロール血症、家族性高ステロール血症、高脂血症、動脈硬化症(例えば、アテローム性動脈硬化症)、脂肪肝(例えば、NASH又はNAFLD)、肥満症、膵臓ベータ細胞不全、コレステロールエステル蓄積症、ウォルマン病、ニーマン・ピック病C型、ホジキンリンパ腫生存者における症状、タンジール病、川崎病、シトステロール血症、若年性特発性関節炎、家族性高コレステロール血症、糖尿病(例えば、1型糖尿病及び2型糖尿病)、腎移植患者における症状及び心臓移植患者における症状からなる群より選択される1種以上の症状、疾患及び/又は障害の予防又は治療に使用するための医薬であることがより好ましい。本態様の医薬を、PCSK9の機能に関連する前記症状、疾患及び/又は障害の予防又は治療に使用することにより、式(I)で表される化合物のPCSK9阻害活性を介して、PCSK9の機能に関連する該症状、疾患及び/又は障害を予防又は治療することができる。
【0088】
本発明の一態様のPCSK9阻害剤、及び該PCSK9阻害剤の有効成分である式(I)で表される化合物は、前記で説明したPCSK9の機能に関連する症状、疾患及び/又は障害(例えば、高コレステロール血症、家族性高ステロール血症、高脂血症、動脈硬化症(例えば、アテローム性動脈硬化症)、脂肪肝(例えば、NASH又はNAFLD)、肥満症、膵臓ベータ細胞不全、コレステロールエステル蓄積症、ウォルマン病、ニーマン・ピック病C型、ホジキンリンパ腫生存者における症状、タンジール病、川崎病、シトステロール血症、若年性特発性関節炎、家族性高コレステロール血症、糖尿病(例えば、1型糖尿病及び2型糖尿病)、腎移植患者における症状又は心臓移植患者における症状)を有する対象において、該症状、疾患及び/又は障害の予防又は治療に使用することができる。それ故、本発明の別の一態様は、前記で説明したPCSK9の機能に関連する症状、疾患及び/又は障害の予防又は治療を必要とする対象に、有効量の本発明の一態様のPCSK9阻害剤、又は該PCSK9阻害剤の有効成分である式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物を投与することを含む、前記症状、疾患及び/又は障害の予防又は治療方法である。前記症状、疾患及び/又は障害は、PCSK9の機能に関連する、高コレステロール血症、家族性高ステロール血症、高脂血症、動脈硬化症(例えば、アテローム性動脈硬化症)、脂肪肝(例えば、NASH又はNAFLD)肥満症、膵臓ベータ細胞不全、コレステロールエステル蓄積症、ウォルマン病、ニーマン・ピック病C型、ホジキンリンパ腫生存者における症状、タンジール病、川崎病、シトステロール血症、若年性特発性関節炎、家族性高コレステロール血症、糖尿病(例えば、1型糖尿病及び2型糖尿病)、腎移植患者における症状及び心臓移植患者における症状からなる群より選択される1種以上の症状、疾患及び/又は障害であることが好ましい。PCSK9の機能に関連する前記症状、疾患及び/又は障害の予防又は治療を必要とする対象に、本発明の一態様のPCSK9阻害剤、又は該PCSK9阻害剤の有効成分である式(I)で表される化合物を投与することにより、式(I)で表される化合物のPCSK9阻害活性を介して、PCSK9の機能に関連する該症状、疾患及び/又は障害を予防又は治療することができる。
【0089】
本発明の別の一態様は、前記で説明したPCSK9の機能に関連する症状、疾患及び/又は障害(例えば、高コレステロール血症、家族性高ステロール血症、高脂血症、動脈硬化症(例えば、アテローム性動脈硬化症)、脂肪肝(例えば、NASH又はNAFLD)、肥満症、膵臓ベータ細胞不全、コレステロールエステル蓄積症、ウォルマン病、ニーマン・ピック病C型、ホジキンリンパ腫生存者における症状、タンジール病、川崎病、シトステロール血症、若年性特発性関節炎、家族性高コレステロール血症、糖尿病(例えば、1型糖尿病及び2型糖尿病)、腎移植患者における症状又は心臓移植患者における症状)の予防又は治療に使用するための、本発明の一態様のPCSK9阻害剤、又は該PCSK9阻害剤の有効成分である式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物である。本発明の別の一態様は、前記で説明したPCSK9の機能に関連する症状、疾患及び/又は障害(例えば、高コレステロール血症、家族性高ステロール血症、高脂血症、動脈硬化症(例えば、アテローム性動脈硬化症)、脂肪肝(例えば、NASH又はNAFLD)、肥満症、膵臓ベータ細胞不全、コレステロールエステル蓄積症、ウォルマン病、ニーマン・ピック病C型、ホジキンリンパ腫生存者における症状、タンジール病、川崎病、シトステロール血症、若年性特発性関節炎、家族性高コレステロール血症、糖尿病(例えば、1型糖尿病及び2型糖尿病)、腎移植患者における症状又は心臓移植患者における症状)の予防又は治療のための医薬の製造における、本発明の一態様のPCSK9阻害剤、又は該PCSK9阻害剤の有効成分である式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物の使用である。本発明の別の一態様は、前記で説明したPCSK9の機能に関連する症状、疾患及び/又は障害(例えば、高コレステロール血症、家族性高ステロール血症、高脂血症、動脈硬化症(例えば、アテローム性動脈硬化症)、脂肪肝(例えば、NASH又はNAFLD)、肥満症、膵臓ベータ細胞不全、コレステロールエステル蓄積症、ウォルマン病、ニーマン・ピック病C型、ホジキンリンパ腫生存者における症状、タンジール病、川崎病、シトステロール血症、若年性特発性関節炎、家族性高コレステロール血症、糖尿病(例えば、1型糖尿病及び2型糖尿病)、腎移植患者における症状又は心臓移植患者における症状)の予防又は治療のための、本発明の一態様のPCSK9阻害剤、又は該PCSK9阻害剤の有効成分である式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物の使用である。前記症状、疾患及び/又は障害は、PCSK9の機能に関連する、高コレステロール血症、家族性高ステロール血症、高脂血症、動脈硬化症(例えば、アテローム性動脈硬化症)、脂肪肝(例えば、NASH又はNAFLD)、肥満症、膵臓ベータ細胞不全、コレステロールエステル蓄積症、ウォルマン病、ニーマン・ピック病C型、ホジキンリンパ腫生存者における症状、タンジール病、川崎病、シトステロール血症、若年性特発性関節炎、家族性高コレステロール血症、糖尿病(例えば、1型糖尿病及び2型糖尿病)、腎移植患者における症状及び心臓移植患者における症状からなる群より選択される1種以上の症状、疾患及び/又は障害であることが好ましい。本発明の一態様のPCSK9阻害剤、又は該PCSK9阻害剤の有効成分である式(I)で表される化合物を、PCSK9の機能に関連する前記症状、疾患及び/又は障害の予防又は治療に使用することにより、式(I)で表される化合物のPCSK9阻害活性を介して、PCSK9の機能に関連する該症状、疾患及び/又は障害を予防又は治療することができる。
【0090】
本発明の一態様のPCSK9阻害剤、又は該PCSK9阻害剤の有効成分である式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物を有効成分として含む本態様の医薬を、対象、特にヒト患者に投与する場合、正確な用量及び用法(例えば、投与量、投与回数及び/又は投与経路)は、対象の年齢、性別、予防又は治療されるべき症状、疾患及び/又は障害の正確な状態(例えば重症度)、並びに投与経路等の多くの要因を鑑みて、担当医が治療上有効な投与量、投与回数及び投与経路等を考慮して、最終的に決定すべきである。それ故、本態様の医薬において、本発明の一態様のPCSK9阻害剤、又は該PCSK9阻害剤の有効成分である式(I)で表される化合物は、治療上有効な量及び回数で、対象に投与される。例えば、本態様の医薬をヒト患者に投与する場合、式(I)で表される化合物の投与量は、通常は、1回投与あたり、0.001~100 mg/kg体重の範囲であり、典型的には、1回投与あたり、0.01~50 mg/kg体重の範囲であり、特に、1回投与あたり、0.1~10 mg/kg体重の範囲である。また、本態様の医薬の投与回数は、例えば、1日に1回又は複数回、或いは数日に1回とすることができる。また、本態様の医薬の投与経路は、特に限定されず、経口的に投与されてもよく、非経口的(例えば、直腸内、径粘膜、腸内、筋肉内、皮下、骨髄内、鞘内、直接心室内、静脈内、硝子体内、腹腔内、鼻腔内又は眼内)に単回若しくは複数回投与されてもよい。本態様の医薬を、前記の用量及び用法で使用することにより、式(I)で表される化合物のPCSK9阻害活性を介して、PCSK9の機能に関連する前記症状、疾患及び/又は障害を予防又は治療することができる。
【実施例】
【0091】
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
【0092】
<I. 化合物の薬理試験>
[I-1:試験化合物のin vitroにおけるPCSK9阻害試験]
ヒト肝癌由来のHepG2細胞(5×10
5細胞/mL、0.25 mL/ウェル)を48ウェルプレートに播種した。試験化合物1,11-O-o-メチルベンジリデン-7-O-p-シアノベンゾイル-1,7,11-トリデアセチルピリピロペンA(PRD125)、7-p-シアノベンゾイル-7-デアセチルピリピロペンA(PRD017)、7-O-p-シアノベンゾイル-1,11-ジ(O-イソブチリル)-1,7,11-トリデアセチルピリピロペンA(PRD056)、並びに比較化合物としてピリピロペンA(PPPA)及び公知のスタチン系医薬品であるアトルバスタチン(Atr)を所定の濃度となるようにウェルに添加し、無血清培地中37℃で24時間培養した。対照として、化合物非添加のウェルを同様の条件で処理した。培養後、培地及び細胞を回収した。ウェスタンブロッティングにより、培地中及び細胞内のPCSK9を検出した。画像解析ソフト(ImageLab)を用いて、検出されたPCSK9のバンドの濃さを定量化した。各バンドの濃さの定量値は、ウェスタンブロッティングのローディングコントロールであるグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)のバンドの濃さの定量値に基づき補正した。ウェスタンブロッティングにより培地中及び細胞内のPCSK9及びProPCSK9を検出した結果を
図1に示す。図中、Aは、PRD017又はPRD056を添加した場合の培地中及び細胞内のPCSK9及びProPCSK9を検出した結果であり、Bは、PRD125、Atr又はPPPAを添加した場合の培地中及び細胞内のPCSK9及びProPCSK9を検出した結果である。また、ウェスタンブロッティングにより検出されたPCSK9のバンドの濃さを定量化した結果を
図2及び3、並びに表1に示す。
図2中、Aは、PRD017を添加した場合の結果を、Bは、PRD056を添加した場合の結果を、Cは、PRD125を添加した場合の結果を、それぞれ示す。
図3中、Aは、Atrを添加した場合の結果を、Bは、PPPAを添加した場合の結果を、それぞれ示す。図中、横軸は、化合物の添加濃度(μg/mL)を、縦軸は、総PCSK9量(%)を、それぞれ示す。総PCSK9量は、対照の総PCSK9量に対する百分率である。表1中の値は、対照の総PCSK9量に対する百分率である。
【0093】
試験化合物(PRD125、PRD017及びPRD056)及び比較化合物(PPPA)の化学構造を下記に示す。PRD125は、特許第5592482号公報に記載の方法に基づき調製した。PRD017及びPRD056は、特許第5479110号公報に記載の方法に基づき調製した。
【0094】
【0095】
【0096】
図1及び表1に示すように、PPPAを添加した場合、対照のPCSK9量と比較して、培地中及び細胞内のPCSK9量に有意な差は観察されなかった。これに対し、PRD017を添加した場合、総PCSK9量は添加濃度依存的に減少した。例えば、10 μg/mLのPRD017を添加した場合、総PCSK9量は、対照の総PCSK9量に対して58%に減少した。この場合において、培地中のPCSK9量は、対照の培地中のPCSK9量に対して44%に、細胞内のProPCSK9量は、対照の細胞内のProPCSK9量に対して46%に、それぞれ減少した。PRD056を添加した場合、総PCSK9量は添加濃度依存的に減少した。例えば、10 μg/mLのPRD056を添加した場合、総PCSK9量は、対照の総PCSK9量に対して56.1%に減少した。この場合において、培地中のPCSK9量は、対照の培地中のPCSK9量に対して30%に、細胞内のProPCSK9量は、対照の細胞内のProPCSK9量に対して44.8%に、それぞれ減少した。また、PRD125を添加した場合、総PCSK9量は添加濃度依存的に減少した。例えば、10 μg/mLのPRD125を添加した場合、総PCSK9量は、対照の総PCSK9量に対して54.7%に減少した。この場合において、培地中のPCSK9量は、対照の培地中のPCSK9量に対して41.6%に減少した。これに対し、 Atrを添加した場合、培地中及び細胞内のPCSK9量はむしろ増加した。例えば、10 μg/mLのAtrを添加した場合、総PCSK9量は、対照の総PCSK9量に対して296.8%に増加した。この場合において、培地中のPCSK9量は、対照の培地中のPCSK9量に対して273.8%に、細胞内のProPCSK9量及びPCSK9量は、対照の細胞内のProPCSK9量及びPCSK9量に対して682.5%及び175.6%に、それぞれ増加した。
【0097】
[I-2:試験化合物のin vivoにおけるPCSK9阻害試験]
雌雄マウス(C57BL/6J)に、高脂肪食(HFD)を4週間給餌した。マウスを、対照群、PPPA投与群及びPRD125投与群に分けた(各群とも雌雄それぞれn=20)。PPPA投与群及びPRD125投与群に、試験化合物又は比較化合物を添加したHFDを8週間給餌した。対照群には、HFDのみを8週間給餌した。PPPAは、50 mg/kg体重/日の投与量で、PRD125は、10 mg/kg体重/日の投与量で、それぞれ投与した。投与期間終了後、各群のマウスから採血するとともに、麻酔下で肝臓を摘出した。血中のLDL-コレステロール量及びPCSK9量、並びに肝臓の総コレステロール量、コレステリルエステル量及びトリグリセリド量を測定した。各群における測定値の平均値及び標準偏差を算出した。また、スチューデントt-検定により、対照群の値に対するPPPA投与群及びPRD125投与群の値のp値を算出した。肝臓及び血中の中性脂質量を
図4に示す。図中、Aは、肝臓の総コレステロール量を、Bは、肝臓のコレステリルエステル量を、Cは、肝臓のトリグリセリド量を、Dは、血中のLDL-コレステロール量を、それぞれ示す。*は、対照群の値に対するp値が0.05以下であることを、**は、対照群の値に対するp値が0.01以下であることを、***は、対照群の値に対するp値が0.001以下であることを、それぞれ示す。また、血中のPCSK9量を
図5に示す。図中、Aは、雄マウスにおける血中のPCSK9量を、Bは、雌マウスにおける血中のPCSK9量を、それぞれ示す。*は、対照群の値に対するp値が0.05以下であることを、**は、対照群の値に対するp値が0.01以下であることを、***は、対照群の値に対するp値が0.001以下であることを、それぞれ示す。
【0098】
図4に示すように、PRD125の投与により、肝臓及び血中における中性脂質量が顕著に減少した。また、
図5に示すように、PRD125の投与により、血中におけるPCSK9量も顕著に減少した。
【0099】
なお、本発明は、前記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加、削除及び/又は置換をすることが可能である。
【0100】
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。