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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-05
(45)【発行日】2024-02-14
(54)【発明の名称】茸の軸部除去装置
(51)【国際特許分類】
   A23N 15/00 20060101AFI20240206BHJP
【FI】
A23N15/00 B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020137739
(22)【出願日】2020-08-18
(65)【公開番号】P2022034110
(43)【公開日】2022-03-03
【審査請求日】2023-04-20
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1) 試験日 令和1年(2019年)11月12日 (2)試験場所 殿村食品株式会社(静岡県藤枝市大西町1丁目1-26) (3) 見学者 YMバイオ企画(岩手県盛岡市三本柳17地割76番地の6) (4) 公開者 殿村食品株式会社(静岡県藤枝市大西町1丁目1-26) (5) 公開された発明の内容 殿村食品株式会社が、宮村和之、孕石利幸、仲田明、山本浩司が発明した茸の軸部除去装置を、殿村食品株式会社で試験運転し、それをYMバイオ企画の代表の八幡道男が見学した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1) 貸出日 令和1年(2019年)12月13日 (2)町7-3) (3) 公開者 殿村食品株式会社(静岡県藤枝市大西町1丁目1-26) (4) 公開された発明の内容 殿村食品株式会社が、宮村和之、孕石利幸、仲田明、山本浩司が発明した茸の軸部除去装置を、株式会社北研馬頭工場に貸し出した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1) 展示日 令和2年(2020年)2月5日 (2) 展示場所 篠立きのこ園(三重県いなべ市藤原町篠立3390-115) (3) 公開者 株式会社宮村鐵工所(静岡県島田市菊川168) 殿村食品株式会社(静岡県藤枝市大西町1丁目1-26) (4) 公開された発明の内容 殿村食品株式会社が、宮村和之、孕石利幸、仲田明、山本浩司が発明した茸の軸部除去装置を、篠立きのこ園で行われた北研全国大会に実演展示した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1) 販売日 令和2年(2020年)4月14日 (2) 販売場所 有限会社越戸きのこ園(岩手県久慈市侍浜町保土沢8-27-1) (3) 公開者 殿村食品株式会社(静岡県藤枝市大西町1丁目1-26) (4) 公開された発明の内容 殿村食品株式会社が、宮村和之、孕石利幸、仲田明、山本浩司が発明した茸の軸部除去装置を、有限会社越戸きのこ園に販売した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1) 販売日 令和2年(2020年)5月15日 (2)販売場所 株式会社森の環(富山県高岡市蓑附12139-55) (3) 公開者 殿村食品株式会社(静岡県藤枝市大西町1丁目1-26) (4) 公開された発明の内容 殿村食品株式会社が、宮村和之、孕石利幸、仲田明、山本浩司が発明した茸の軸部除去装置を、株式会社森の環に販売した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1) 配布日 令和2年(2020年)2月1日 (2) 配布場所 株式会社相生(岩手県空港南2丁目31番地) (3)公開者 殿村食品株式会社(静岡県藤枝市大西町1丁目1-26) (4) 公開された発明の内容 殿村食品株式会社が、宮村和之、孕石利幸、仲田明、山本浩司が発明した茸の軸部除去装置を掲載したカタログ5部を、株式会社相生に配布した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1) 配布日 令和2年(2020年)5月25日 (2)配布場所 ホクト産業株式会社(福岡県八女郡広川町大字日吉523-4) (3) 公開者 殿村食品株式会社(静岡県藤枝市大西町1丁目1-26) (4) 公開された考案の内容 殿村食品株式会社が、宮村和之、孕石利幸、仲田明、山本浩司が発明した茸の軸部除去装置を掲載したカタログ10部を、ホクト産業株式会社に配布した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1) 配布日 令和2年(2020年)5月25日 (2)配布場所 株式会社北研(栃木県下都賀郡壬生町駅東町7-3) (3) 公開者 殿村食品株式会社(静岡県藤枝市大西町1丁目1-26) (4) 公開された発明の内容 殿村食品株式会社が、宮村和之、孕石利幸、仲田明、山本浩司が発明した茸の軸部除去装置を掲載したカタログ10部を、株式会社北研に配布した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1) 配布日 令和2年(2020年)5月25日 (2)配布場所 森産業株式会社(群馬県桐生市久方町1-2-23) (3) 公開者 殿村食品株式会社(静岡県藤枝市大西町1丁目1-26) (4) 公開された発明の内容 殿村食品株式会社が、宮村和之、孕石利幸、仲田明、山本浩司が発明した茸の軸部除去装置を掲載したカタログ10部を、森産業株式会社に配布した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1) 配布日 令和2年(2020年)5月26日 (2)配布場所 ホクト産業株式会社(長野県長野市南堀180-1) (3) 公開者 殿村食品株式会社(静岡県藤枝市大西町1丁目1-26) (4) 公開された発明の内容 殿村食品株式会社が、宮村和之、孕石利幸、仲田明、山本浩司が発明した茸の軸部除去装置を掲載したカタログを、ホクト産業株式会社に配布した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1) 配布日 令和2年(2020年)6月3日 (2) 配布場所 鎌田きのこ株式会社(北海道帯広市西町基線50-10) (3) 公開者 殿村食品株式会社(静岡県藤枝市大西町1丁目1-26) (4) 公開された発明の内容 殿村食品株式会社が、宮村和之、孕石利幸、仲田明、山本浩司が発明した茸の軸部除去装置を掲載したカタログ5部を、鎌田きのこ株式会社に配布した。
(73)【特許権者】
【識別番号】000141772
【氏名又は名称】株式会社宮村鐵工所
(73)【特許権者】
【識別番号】500277135
【氏名又は名称】殿村食品 株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092842
【弁理士】
【氏名又は名称】島野 美伊智
(74)【代理人】
【識別番号】100166578
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 芳光
(72)【発明者】
【氏名】宮村 和之
(72)【発明者】
【氏名】孕石 利幸
(72)【発明者】
【氏名】仲田 明
(72)【発明者】
【氏名】山本 浩司
【審査官】高橋 武大
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-037142(JP,A)
【文献】実開昭50-097958(JP,U)
【文献】特開昭57-074077(JP,A)
【文献】実開昭47-037672(JP,U)
【文献】米国特許第05477762(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23N 15/00-15/12
B65G 17/00-17/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
茸搬送方向に向かって左右にそれぞれ設置された左側ローラーチェーンと右側ローラーチェーンと、
上記左側ローラーチェーンと右側ローラーチェーンとの間に上記茸の軸部が落下する茸軸部落下孔を備えた複数枚の無端搬送体構成短冊片を架け渡すことによりループ状に回転可能に構成され投入された茸を搬送する無端搬送体と、
上記無端搬送体のループの上面側の下に設置され上記茸軸部落下孔を介して上記無端搬送体構成短冊片の下方に突出された上記茸の軸部を切断する切断用カッタと、
上記無端搬送体のループの上面側の下であって上記切断用カッタの手前に設置され上記無端搬送体構成短冊片を持ち上げて上記無端搬送体構成短冊片と上記切断用カッタとの干渉を防止する無端搬送体構成短冊片押上手段と、
を具備したことを特徴とする茸の軸部除去装置。
【請求項2】
請求項1記載の茸の軸部除去装置において、
上記無端搬送体構成短冊片の茸搬送方向前方下端縁を面取りしたことを特徴とする茸の軸部除去装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の茸の軸部除去装置において、
上記無端搬送体構成短冊片は上記左側ローラーチェーンと右側ローラーチェーンに対する取付面に対して低床化されていることを特徴とする茸の軸部除去装置。
【請求項4】
請求項3記載の茸の軸部除去装置において、
上記左側ローラーチェーンと右側ローラーチェーンを回転させるためのスプロケットのピッチ円位置まで低床化されていることを特徴とする茸の軸部除去装置。
【請求項5】
請求項1~請求項4の何れかに記載の茸の軸部除去装置において、
上記切断用カッタの刃先上面と上記無端搬送体構成短冊片とのなす角度θは0°<θ<5°であることを特徴とする茸の軸部除去装置。
【請求項6】
請求項1~請求項5の何れかに記載の茸の軸部除去装置において、
上記茸軸部落下孔を介して上記無端搬送体構成短冊片の下方に突出される上記茸軸部の長さを調整可能にしたことを特徴とする茸の軸部除去装置。
【請求項7】
請求項1~請求項6の何れかに記載の茸の軸部除去装置において、
上記無端搬送体上に茸を投入しそれを上記無端搬送体によって搬送しながら上記茸の軸部を上記茸軸部落下孔内に落下させるようにし、
上記無端搬送体上に投入され搬送されていく茸を所定の姿勢に整列させる整列手段が設置されていることを特徴とする茸の軸部除去装置。
【請求項8】
請求項6又は請求項7記載の茸の軸部除去装置において、
上記茸軸部落下孔は茸搬送方向後方に変位して設けられていることを特徴とする茸の軸部除去装置。
【請求項9】
請求項1~請求項6の何れかに記載の茸の軸部除去装置において、
上記茸の軸部を上記茸軸部落下孔内に手作業で落下させるようにしたことを特徴とする茸の軸部除去装置。
【請求項10】
請求項9記載の茸の軸部除去装置において、
上記無端搬送体の上側にはカバが開閉自在に設置されていて、上記左側ローラーチェーンと右側ローラーチェーンをON/OFFするON/OFFスイッチが設置されていて、上記カバを閉じないと上記ON/OFFスイッチをONしても上記左側ローラーチェーンと右側ローラーチェーンが起動しないことを特徴とする茸の軸部除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椎茸等の茸の軸部を除去する茸の軸部除去装置に係り、特に、茸を搬送する無端搬送体を構成する無端搬送体構成短冊片と茸の軸部を切断する切断用カッタとの干渉を防止して、異音の発生や健全性の喪失を防止するとともに、円滑な切断動作を長期にわたって維持することができるように工夫したものに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の茸の軸部除去装置の構成を開示するものとして、例えば、特許文献1がある。この特許文献1に記載されている茸の軸部除去装置は概略次のような構成をなしている。まず、投入された茸を軸部の切断位置に向けて搬送する搬送手段がある。上記搬送手段の途中には不正規な姿勢の茸を排除して正規な姿勢の茸のみを切断位置に供給する整列手段が設けられている。又、上記切断位置には切断刃が設置されている。
【0003】
上記搬送手段は硬質無端搬送体を備えていて、この硬質無搬送体は複数枚の硬質平板の相互をいわゆる丁番状の連結構造にて無端状に連結した構成になっている。又、上記硬質平板には茸の軸部が貫通する複数個の穴が設けられている。又、上記硬質無端搬送体は駆動モータ、動力伝達手段、搬送第1ローラ、搬送第2ローラによってループ状に回転駆動される。又、上記切断刃は上記硬質無端搬送体の上側ループ部の下であって所定の位置に設置されている。
【0004】
上記構成によると、複数個の茸が搬送手段の硬質無端搬送体上に投入される。投入された複数個の茸は搬送手段によって切断位置まで搬送されていく。その際、不正規な姿勢の茸は整列手段によって排除され、正規な姿勢の茸のみが切断位置まで搬送される。切断位置まで搬送された茸の軸部は上記硬質無端搬送体の上側ループ部の下側に設置された切断刃によって切断される。
尚、正規な姿勢とは茸の軸部が上記硬質平板に設けられた穴内に落下した状態を意味し、それ以外の状+態が不正規な姿勢となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-37142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の構成によると次のような問題があった。
既に説明したように、上記硬質無端搬送体は複数枚の硬質平板の相互をいわゆる丁番状の連結構造にて無端状に連結した構成になっている。そのため、上記硬質平板の進行方向前方であって下面側の連結構造の突出部(同公報図4(b)では角部)が上記切断刃に干渉してしまうことがあり、上記硬質無端搬送体は直接に搬送第1ローラと搬送第2ローラとの間で掛け渡されているので、その張力加減が難しく、特に左右でのバランスが崩れていると、上記硬質無端搬送体は正常回転しながらも少しずつ幅方向で左又は右に偏位していくので、やがて、偏位した側の上記硬質無端搬送体サイドが、フレームに干渉して、損傷されてしてしまうこともあり、結果、円滑な切断動作を長期にわたって維持することができないという問題があった。
【0007】
本発明はこのような点に基づいてなされたものでその目的とするところは、無端搬送体の幅方向での左又は右への偏位を回避した上で、茸を搬送する無端搬送体を構成する無端搬送体構成短冊片と茸の軸部を切断する切断用カッタとの干渉を防止して、異音の発生や健全性の喪失を防止するとともに、円滑な切断動作を長期にわたって維持することができる茸の軸部除去装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するべく本願発明の請求項1による茸の軸部除去装置は、茸搬送方向に向かって左右にそれぞれ設置された左側ローラーチェーンと右側ローラーチェーンと、上記左側ローラーチェーンと右側ローラーチェーンとの間に上記茸の軸部が落下する茸軸部落下孔を備えた複数枚の無端搬送体構成短冊片を架け渡すことによりループ状に回転可能に構成され投入された茸を搬送する無端搬送体と、上記無端搬送体のループの上面側の下に設置され上記茸軸部落下孔を介して上記無端搬送体構成短冊片の下方に突出された上記茸の軸部を切断する切断用カッタと、上記無端搬送体のループの上面側の下であって上記切断用カッタの手前に設置され上記無端搬送体構成短冊片を持ち上げて上記無端搬送体構成短冊片と上記切断用カッタとの干渉を防止する無端搬送体構成短冊片押上手段と、を具備したことを特徴とするものである。
又、請求項2による茸の軸部除去装置は、請求項1記載の茸の軸部除去装置において、上記無端搬送体構成短冊片の茸搬送方向前方下端縁を面取りしたことを特徴とするものである。
又、請求項3による茸の軸部除去装置は、請求項1又は請求項2記載の茸の軸部除去装置において、上記無端搬送体構成短冊片は上記左側ローラーチェーンと右側ローラーチェーンに対する取付面に対して低床化されていることを特徴とするものである。
又、請求項4による茸の軸部除去装置は、請求項3記載の茸の軸部除去装置において、上記左側ローラーチェーンと右側ローラーチェーンを回転させるためのスプロケットのピッチ円位置まで低床化されていることを特徴とするものである。
又、請求項5による茸の軸部除去装置によると、請求項1~請求項4の何れかに記載の茸の軸部除去装置において、上記切断用カッタの刃先上面と上記無端搬送体構成短冊片とのなす角度θは0°<θ<5°であることを特徴とするものである。
又、請求項6による茸の軸部除去装置は、請求項1~請求項5の何れかに記載の茸の軸部除去装置において、上記茸軸部落下孔を介して上記無端搬送体構成短冊片の下方に突出される上記茸軸部の長さを調整可能にしたことを特徴とするものである。
又、請求項7による茸の軸部除去装置は、請求項1~請求項6の何れかに記載の茸の軸部除去装置において、上記無端搬送体上に茸を投入しそれを上記無端搬送体によって搬送しながら上記茸の軸部を上記茸軸部落下孔内に落下させるようにし、上記無端搬送体上に投入され搬送されていく茸を所定の姿勢に整列させる整列手段が設置されていることを特徴とするものである。
又、請求項8による茸の軸部除去装置は、請求項6又は請求項7記載の茸の軸部除去装置において、上記茸軸部落下孔は茸搬送方向後方に変位して設けられていることを特徴とするものである。
又、請求項9による茸の軸部除去装置は、請求項1~請求項6の何れかに記載の茸の軸部除去装置において、上記茸の軸部を上記茸軸部落下孔内に手作業で落下させるようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項10による茸の軸部除去装置は、請求項9記載の茸の軸部除去装置において、上記無端搬送体の上側にはカバが開閉自在に設置されていて、上記左側ローラーチェーンと右側ローラーチェーンをON/OFFするON/OFFスイッチが設置されていて、上記カバを閉じないと上記ON/OFFスイッチをONしても上記左側ローラーチェーンと右側ローラーチェーンが起動しないことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
以上述べたように本願発明の請求項1による茸の軸部除去装置によると、茸搬送方向に向かって左右にそれぞれ設置された左側ローラーチェーンと右側ローラーチェーンと、上記左側ローラーチェーンと右側ローラーチェーンとの間に上記茸の軸部が落下する茸軸部落下孔を備えた複数枚の無端搬送体構成短冊片を架け渡すことによりループ状に回転可能に構成され投入された茸を搬送する無端搬送体と、上記無端搬送体のループの上面側の下に設置され上記茸軸部落下孔を介して上記無端搬送体構成短冊片の下方に突出された上記茸の軸部を切断する切断用カッタと、上記無端搬送体のループの上面側の下であって上記切断用カッタの手前に設置され上記無端搬送体構成短冊片を持ち上げて上記無端搬送体構成短冊片と上記切断用カッタとの干渉を防止する無端搬送体構成短冊片押上手段と、を具備した構成になっているので、無端搬送体の幅方向での左又は右への偏位を回避した上で、無端搬送体を構成する無端搬送体構成短冊片と茸軸部切断用カッタとの干渉を防止して、異音の発生や健全性の棄損を防止するとともに、円滑な茸軸部切断動作を長期にわたって維持することができる。
又、請求項2による茸の軸部除去装置によると、請求項1記載の茸の軸部除去装置において、上記無端搬送体構成短冊片の茸搬送方向前方下端縁を面取りしたので、上記効果をより確実なものとすることができる。
又、請求項3による茸の軸部除去装置によると、請求項1又は請求項2記載の茸の軸部除去装置において、上記無端搬送体構成短冊片は上記左側ローラーチェーンと右側ローラーチェーンに対する取付面に対して低床化されているので、反転部における回転半径を小さくして隣接する無端搬送体構成短冊片相互の隙間の広がりを抑制することができる。
又、請求項4による茸の軸部除去装置によると、請求項3記載の茸の軸部除去装置において、上記左側ローラーチェーンと右側ローラーチェーンを回転させるためのスプロケットのピッチ円位置まで低床化されているので、反転部における回転半径を小さくして隣接する無端搬送体構成短冊片相互の隙間の広がりを抑制することができる。
又、請求項5による茸の軸部除去装置によると、請求項1~請求項4の何れかに記載の茸の軸部除去装置において、上記切断用カッタの刃先上面と上記無端搬送体構成短冊片とのなす角度θは0°<θ<5°であるので、上記切断用カッタの刃先を上記無端搬送体構成短冊片に対して平行に接触させることができ、それによって、軸部の切り残しをなくすことができる。
又、請求項6による茸の軸部除去装置によると、請求項1~請求項5の何れかに記載の茸の軸部除去装置において、上記茸軸部落下孔を介して上記無端搬送体構成短冊片の下方に突出される上記茸軸部の長さを調整可能にしたので、様々な品質の茸を出荷することができる。
又、請求項7による茸の軸部除去装置によると、請求項1~請求項6の何れかに記載の茸の軸部除去装置において、上記無端搬送体上に茸を投入しそれを上記無端搬送体によって搬送しながら上記茸の軸部を上記茸軸部落下孔内に落下させるようにし、上記無端搬送体上に投入され搬送されていく茸を所定の姿勢に整列させる整列手段が設置されているので、茸を上記無端搬送体上に投入さえすれば自動で茸軸部の切断作業を行うことができ、所定の姿勢に至っていない茸を強制的に所定の姿勢にすることができる。
又、請求項8による茸の軸部除去装置によると、請求項6又は請求項7記載の茸の軸部除去装置において、上記茸軸部落下孔は茸搬送方向後方に変位して設けられているので、上記切断用カッタの刃先を上記無端状体構成短冊片に対して平行に接触させることができ、それによって、軸部の切り残しをなくすことができる。
又、請求項9による茸の軸部除去装置によると、請求項1~請求項6の何れかに記載の茸の軸部除去装置において、上記茸の軸部を上記茸軸部落下孔内に手作業で落下させるようにしたので、整列手段段等を要することはなく構成の簡略化を図ることができる。
又、請求項10による茸の軸部除去装置によると、請求項9記載の茸の軸部除去装置において、上記無端搬送体の上側にはカバが開閉自在に設置されていて、上記左側ローラーチェーンと右側ローラーチェーンをON/OFFするON/OFFスイッチが設置されていて、上記カバを閉じないと上記ON/OFFスイッチをONしても上記左側ローラーチェーンと右側ローラーチェーンが起動しないように構成されているので、作業の安全性を担保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施の形態を示す図で、茸軸部除去装置の全体外観構成を示す平面図である。
図2】本発明の第1の実施の形態を示す図で、茸軸部除去装置の全体外観構成を示す正面図である。
図3】本発明の第1の実施の形態を示す図で、茸軸部除去装置の全体外観構成を示す側面図である。
図4】本発明の第1の実施の形態を示す図で、茸軸部除去装置の全体内部構成を示す平面図である。
図5】本発明の第1の実施の形態を示す図で、茸軸部除去装置の全体内部構成を示す側面図である。
図6】本発明の第1の実施の形態を示す図で、茸軸部除去装置の全体内部構成を示す正面図である。
図7】本発明の第1の実施の形態を示す図で、茸軸部除去装置の全体内部構成を示す背面図である。
図8】本発明の第1の実施の形態を示す図で、図8(a)は要部を拡大して示す一部平面図、図8(b)は図8(a)のVIIIb-VIIIb断面図である。
図9】本発明の第1の実施の形態を示す図で、図9(a)は図8のIXa-IXa矢視図、図9(b)はローラーチェーンの一部を示す斜視図である。
図10】本発明の第1の実施の形態を示す図で、図10(a)は図8のX-X矢視図、図10(b)は図10(a)の一部を拡大して示す図である。
図11】本発明の第2の実施の形態を示す図で、茸軸部除去装置の全体外観構成を示す平面図である。
図12】本発明の第2の実施の形態を示す図で、茸軸部除去装置の全体外観構成を示す正面図である。
図13】本発明の第2の実施の形態を示す図で、図12のXIII-XIII矢視図である。
図14】本発明の第2の実施の形態を示す図で、図12のXIV-XIV矢視図である。
図15】本発明の第2の実施の形態を示す図で、茸軸部除去装置の全体内部構成を示す平面図である。
図16】本発明の第2の実施の形態を示す図で、茸軸部除去装置の全体内部構成を示す正面図である。
図17】本発明の第2の実施の形態を示す図で、図16のXVII-XVII矢視覚図である。
図18】本発明の第2の実施の形態を示す図で、図16のXVIII-XVIII矢視図である。
図19】本発明の第2の実施の形態を示す図で、要部を拡大して示す一部平面図である。
図20】本発明の第2の実施の形態を示す図で、図19のXX-XX矢視図である。
図21】本発明の第2の実施の形態を示す図で、図19のXXI-XXI矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図1乃至図10を参照して本発明の第1の実施の形態を説明する。茸の軸部切断装置1には装置枠体3があり、この装置枠体3は、複数本(この実施の形態の場合には8本)の縦枠材5と、複数本(この実施の形態の場合には4本)の上側横枠材7と、複数本(この実施の形態の場合には4本)下側横枠材9とから構成されている。
【0012】
上記装置枠体1の下端部であって四隅には4個の移動用キャスタ11、11、11、11が取り付けられている。茸の軸部除去装置1はこれら4個の移動用キャスタ11、11、11、11を介して任意の場所に移動可能である。
【0013】
図4乃至図7に示すように、上記装置枠体3内には茸搬送手段21が設置されている。この茸搬送手段21には左側ローラーチェーン機構23と右側ローラーチェーン機構25が設置されている。上記左側ローラーチェーン機構23は、図4において、茸搬送方向(図4中右側から左側)に向かって左側に設けられている。上記右側ローラーチェーン機構25は、図4において、茸搬送方向(図4中右側から左側)に向かって右側に設けられている。
【0014】
上記左側ローラーチェーン機構23は、図4図6に示すように、一対のスプロケット27、29と、これら一対のスプロケット27、29に巻回された左側ローラーチェーン31とから構成されている。同様に、上記右側ローラーチェーン機構25は、図4図7に示すように、一対のスプロケット33、35と、これら一対のスプロケット33、35に巻回された右側ローラーチェーン37とから構成されている。図4図6に示すように、上記スプロケット27とスプロケット37は軸41を介して同軸に連結されている。同様に、上記スプロケット29とスプロケット35は軸43を介して同軸に連結されている。
【0015】
図5図6に示すように、上記装置枠体3内には駆動モータ51が設置されている。この駆動モータ51には減速機52が連結されていてその出力軸53にはプーリ55が同軸に固着されている。一方、図4図5に示すように、上記スプロケット27には二段プーリ57が同軸に固着されていて、この二段プーリ57と上記プーリ55にはVベルト59が巻回されている。上記駆動モータ51を回転させることにより、出力軸53、プーリ55、Vベルト59、二段プーリ57、軸41を介してスプロケット27、33が回転する。上記スプロケット27の回転によりスプロケット29が回転するとともに左側ローラーチェーン31がループ状に回転する。同様に、上記スプロケット23の回転によりスプロケット35が回転するとともに右側ローラーチェーン37がループ状に回転する。
【0016】
上記左側ローラーチェーン機構23と右側ローラーチェーン機構25との間には、図1図4に示すように、茸搬送用の無端搬送体61がループ状に回転可能に設置されている。上記無端搬送体61は複数枚の無端搬送体構成短冊片63から構成されている。図9(b)に示すように、上記左側ローラーチェーン31は、内プレート31a、31aをシャフト付きの外プレート31b、31bで挟みそのような構造を連続して設けることにより構成されている。上記内プレート31a、31aの間にはローラ31c、31cが回転可能に配置されている。上記外プレート31b、31bのうち内側に配置されている外プレート31bはL字形状をなしていて、短冊片取付用ブラケット31dが一体に取り付けられている。
上記右側ローラーチェーン37も同様の構成であり、内プレート37a、37aをシャフト付きの外プレート37b、37bで挟みそのような構造を連続して設けることにより構成されている。上記内プレート37a、37aの間にはローラ37c、37cが回転可能に配置されている。上記外プレート37b、37bのうち内側に配置されている外プレート37bはL字形状をなしていて、短冊片取付用ブラケット37dが一体に取り付けられている。
上記各無端搬送体構成短冊片63はこれら短冊片取付用ブラケット31d、37d間に取り付けられている。
【0017】
図8図9に示すように、上記無端搬送体構成短冊片63の両端には取付部73、75が段付状に設けられていて、これら取付部73、75の間が短冊片本体77となっている。図9に示すように、上記短冊片本体77は上記取付部73、75に対して所定量低くなっていて低床化が図られている。具体的には、上記短冊片本体77の厚み方向の真中がスプロケット27、29、33、35のピッチ円に相当する高さになっている。このような低床化構造を採用しているのは、無端搬送体61の左右端の反転位置における回転半径を小さくして、反転位置において上記無端搬送体構成短冊片63相互間に発生する隙間を小さくするためである。又、上記無端搬送体構成短冊片63の茸搬送方向前方下端縁(図8(b)中符号78で示す角部)には面取が施されている。
【0018】
図8(a)に示すように、上記無端搬送体構成短冊片63には複数個(この実施の形態の場合には12個)の茸軸部落下孔81が略千鳥状に穿孔されている。その際、茸搬送方向前方に設けられた茸軸部落下孔81と上記無端搬送体構成短冊片63の前方縁との間隔hは茸搬送方向後方に設けられた茸軸部落下孔81と上記無端搬送体構成短冊片6の3後方縁との間隔hより大きく設定されている。これは後述する切断用カッタが上記無端搬送体構成短冊片63の下面に接触する際上記茸軸部落下孔81の手前から余裕を持って接触するようにするためである。上記茸搬送手段21内に投入された複数個の茸83は茸搬送手段21によって搬送されていく途中でその軸部85が上記茸軸部落下孔81内に落下した所定の姿勢に整列される。
尚、上記茸軸部落下孔81の上面或いは下面に適宜の厚さの図示しない軸長調調整板を選択的に取り付けることにより、上記茸軸部落下孔81を貫通して下面側に突出する茸軸部85の長さを調整可能に構成されている。
【0019】
上記無端搬送体61のループの内の上側のループ(茸搬送面側)の上であって所定位置には、図6に示すように、整列手段91、浮上防止手段93が設置されている。上記整列手段91は、軸95と、上記軸95に固着されたボス97と、上記ボス97に放射状に取り付けられた複数枚(この実施の形態の場合には4枚)のブラシから成る羽根99とから構成されている。上記整列手段91は図6中反時計方向に回転して、上記4枚の羽根99によって所定の姿勢に整列されていない茸83を搬送方向後方(図6中右側)にはね返す。所定の姿勢に整列されていないとはその軸部85が上記茸軸部落下孔81内に落下していない状態を意味する。上記整列手段91によって後方にはね返された茸83は所定の姿勢に移行するまで繰り返し搬送される。
【0020】
上記浮上防止手段93も同様の構成になっていて、軸101と、上記軸101に固着されたボス103と、上記ボス103に放射状に取り付けられた複数枚(この実施の形態の場合には4枚)のブラシから成る羽根105とから構成されている。上記浮上防止手段93は図6中反時計方向に回転して、4枚の羽根105の内の何れかの羽根105によって所定の姿勢に整列されている茸83を上記無端搬送体構成短冊片63に押し付ける。これによって、後述する切断用カッタによって茸83の軸部85を切断する際の切り残しをなくすようにしている。勿論、この実施の形態の4枚の羽根に限らず、ボスの全周にブラシを密なピッチで螺旋状に設ける或いはスポンジ状のローラ等を設けるようにしても良い。
【0021】
上記浮上防止手段93への動力の伝達であるが、図5図6に示すように、上記二段プーリ57の図中上方に中間二段プーリ113が設置されていて、上記二段プーリ57とこの中間二段プーリ113との間にはVベルト115が巻回されている。又、この中間二段プーリ113と上記浮上防止手段93側に設けられたプーリ117との間にはVベルト119が巻回されている。上記駆動モータ51が起動すると上記二段プーリ57、Vベルト115、中間二段プーリ113、Vベルト119、プーリ117を介して上記浮上防止手段91が回転する。
【0022】
次に、整列手段91への動力の伝達であるが、図4及び図5に示すように、上記二段プーリ57の反対側には別の二段プーリ121が同軸に設置されている。又、図7に示すように、この二段プーリ121の図中上方には別の中間二段プーリ123が設置されている。これら両二段プーリ121、123にはVベルト125が巻回されている。又、上記整列手段91にはプーリ127が同軸に設置されていて、上記中間二段プーリ123とプーリ127にはVベルト129が巻回されている。上記駆動モータ51が起動すると、上記二段プーリ121、Vベルト125、中間二段プーリ123、Vベルト129、プーリ127を介して上記整列手段91が回転する。
【0023】
図6図10に示すように、上記無端搬送体61のループの内の上側のループ(茸搬送面側)の下側であって上記浮上防止手段93の真下あたりの所定位置には、茸83の軸部85を切断する切断用カッタ131が設置されている。上記切断用カッタ131は刃物ホルダ133に固定されている。上記刃物ホルダ133は上記装置枠体3に固定されている。上記茸83はその軸部85が上記茸軸部落下孔81内に落下した所定の姿勢に整列された状態で搬送され、所定の場所で上記浮上防止手段93の4枚の羽根105の何れかによって上記無端搬送体構成短冊片63に押し付けられ、その状態で上記切断用カッタ131によって上記茸軸部85が切断される。
【0024】
図10(b)に示すように、上記切断用カッタ131の刃先上面と上記無端搬送体構成短冊片63とのなす角度θは、例えば、0°<θ<5°の範囲で設定されている。これは、上記切断用カッタ131の刃先を上記無端状体構成短冊片63に対してできるだけ平行に接触させるためであり、それによって、軸部85の切り残しをなくすためである。
【0025】
図7乃至図9に示すように、上記切断用カッタ131の下方にはホッパ141が設置されている。上記切断用カッタ131によって切断された茸軸部85は上記ホッパ141内に落下する。上記ホッパ41内にはスクリューコンベア151が設置されている。上記スクリューコンベア151は、軸153と、ボス155と、上記ボス155の外周に設けられた螺旋羽根157とから構成されている。上記ホッパ141内に落下した茸軸部85はこのスクリューコンベア151によって図8図9中右側に搬送され、搬出ホッパ159を介して図示しない茸軸部受け箱内に搬出される。
【0026】
上記スクリューコンベア151への動力の伝達であるが、図7に示すように、スクリューコンベア151の軸153にはプーリ161が取り付けられている。このプーリ161と上記二段プーリ121との間にはVベルト163が巻回されている。駆動モータ51が起動することにより上記二段プーリ121、プーリ161を介して上記スクリューコンベア151が回転する。
【0027】
又、茸軸部85を切断された茸83はそのまま搬送されていき図示しない茸雌雄用箱内に搬出される。
【0028】
尚、既に説明した上記整列手段91、浮上防止手段93はその高さを調整可能に構成されている。図6に示すように、上記整列手段91は旋回アーム171を介して上記中間二段プーリ123の軸173に旋回可能に取り付けられている。上記旋回アーム171には高さ調整ハンドル175が取り付けせられていて、この高さ調整ハンドル175を適宜回転操作することにより上記旋回アーム171を旋回させて上記整列手段91の高さを調整する。
【0029】
同様に、上記浮上防止手段93は旋回アーム181を介して上記中間二段プーリ113の軸183に旋回可能に取り付けられている。上記旋回アーム181には高さ調整ハンドル185が取り付けせられていて、この高さ調整ハンドル185を適宜回転操作することにより上記旋回アーム181を旋回させて上記第2整列手段93の高さを調整する。
【0030】
図8乃至図10に示すように、上記無端搬送体61のループの内の上側のループ(茸搬送面側)の下側であって、上記切断用カッタ131による切断位置の手前には、上記無端搬送体構成短冊片63を上方に僅かに押し上げる無端搬送体構成短冊片押上手段191が設置されている。この無端搬送体構成短冊片押上手段191は、アーム193と、このアーム193に取り付けられたローラ195とから構成されていて、上記ローラ195はボルト197とナット199によって固定されている。上記無端搬送体構成短冊片63はこのローラ195を乗り越える際に所定量押し上げられる。それによって、上記無端搬送体構成短冊片63の前方下端縁と上記切断用カッタ131との干渉が防止される。
尚、図中符号201は制御ボックス、符号203はスイッチボックス、符号205は移動時に把持する把持部、符号207はカバ209を着脱する場合の把持部である。
【0031】
以上の構成を基にその作用を説明する。
まず、茸搬送手段21の無端搬送体61上に複数個の茸83が投入される。投入された複数個の茸83は、左側ローラーチェーン機構23と右側ローラーチェーン機構25とにより幅方向での左又は右への偏位が回避された上記無端搬送体61によって図1図4中右側から左側に向けて搬送されていく。その際、茸83の一部はその軸部85が茸軸部落下孔81内に落下した所定の姿勢になる。その他の茸83は軸部85が茸軸部落下孔81内に落下した所定の姿勢に移行しないままさらに搬送されていく。
【0032】
所定の姿勢に移行しない茸83は整列手段91の羽根99に衝突することになり茸搬送方向後方にはね返される。後方にはね返された茸83は整列されるべく同じ搬送路を繰り返し搬送される。
【0033】
一方、所定の姿勢に移行した茸83は上記整列手段91の羽根99に衝突することなくそのまま通過する。上記整列手段91を通過した茸83は浮上防止手段93によって上記無端搬送体構成短冊片63上に押し付けられ、その状態で上記切断用カッタ131によってその軸部85が切断される。
【0034】
切断された茸軸部85は上記ホッパ141内に落下する。上記ホッパ141内に落下した茸軸部85はこのスクリューコンベア151によって図1中下側に搬送され、搬出ホッパ159を介して図示しない茸軸部受け箱内に搬出される。又、茸軸部85を切断された茸83はそのまま搬送されていき図示しない茸受け箱内に搬出される。
【0035】
又、上記無端搬送体構成短冊片63は上記無端搬送体構成短冊片押上手段191のローラ195を通過する際所定量だけ上方に押し上げられる。それによって、上記無端搬送体構成短冊片63の前方下端縁78と上記切断用カッタ131との干渉が防止される。さらに、上記無端搬送体構成短冊片63の茸搬送方向前方下端縁78を面取りしたので、万一、上記無端搬送体構成短冊片63の前方下端縁78と上記切断用カッタ131とが干渉しかかったとしても、その干渉をその面取り面の傾斜で逃せるようにしたので、上記効果をより確実なものとすることができる。その後は、上記したように、上記浮上防止手段93によって上記無端搬送体構成短冊片63上に押し付けられることになる。
【0036】
以上本実施の形態によると次のような効果を奏することができる。
まず、無端搬送体61を構成する無端搬送体構成短冊片63と切断用カッタ131との干渉を防止して、異音の発生、無端搬送体構成短冊片63や切断用カッタ131の損傷を防止するとともに、円滑な茸軸部切断動作を長期にわたって維持することができる。
又、上記無端搬送体構成短冊片63の茸搬送方向前方側であって内側の角を面取りしているので、上記効果をより確実なものとすることができる。
又、上記切断用カッタ131に対応する位置には上記左側ローラーチェーン31と右側ローラーチェーン37の浮上を防止する浮上防止手段93が設けられているので、上記切断用カッタ131の手前で浮上した無端搬送体構成短冊片63を元の位置に速やかに戻すことができ、それによって、上記切断用カッタ131の刃先を上記無端搬送体構成短冊片63に対して平行に接触させることができ軸部85の切り残しをなくすことができる。
又、上記無端搬送体構成短冊片63は上記左側ローラーチェーン31と右側ローラーチェーン37に対する取付面体に対して低床化されているので、反転位置における回転半径を小さくすることができ、隣接する無端搬送体構成短冊片63相互の隙間の広がりを抑制することができる。それによって、茸83や茸片の隙間を介しての無端搬送体61内への落下を防止することができる。
又、上記茸軸部落下孔81は回転逆方向に変位して設けられているので、上記切断用カッタ131の刃先を上記無端搬送体構成短冊片63の茸軸部落下孔81に対しての手前位置で当て始めることができ、それによっても軸部85の切り残しをなくすことができる。
又、上記切断用カッタ131の刃先上面と上記無端搬送体構成短冊片63とのなす角度θは0°<θ<5°であるので、上記切断用カッタ131の刃先を上記無端搬送体構成短冊片63に対して平行に接触させることができ、それによって、軸部85の切り残しをなくすことができる。
又、上記茸軸部落下孔81に図示しない軸調調整板を取り付けることにより、上記無端状体構成短冊片63の下方に突出される上記茸軸部85の長さを調整可能にしたので、様々な品質の茸を出荷することができる。
【0037】
次に、図11乃至図21を参照して本発明の第2の実施の形態を説明する。この第2の実施の形態による茸の軸部切断装置301には装置枠体303がある。上記装置枠体303は下部枠体305と上部枠体307とから構成されている。上記下部枠体305には4個の移動用キャスタ309、309、309、309が取り付けられている。上記上部枠体307には茸搬送手段311が設置されている。
【0038】
この茸搬送手段311には、図15及び図16に示すように、左側ローラーチェーン機構313と右側ローラーチェーン機構315が設置されている。上記左側ローラーチェーン機構313は、図15において、茸搬送方向(図15中右側から左側)に向かって左側に設けられている。上記右側ローラーチェーン機構315は、図15において、茸搬送方向(図15中右側から左側)に向かって右側に設けられている。上記左側ローラーチェーン機構313は、一対のスプロケット317、319と、これら一対のスプロケット317、319に巻回された左側ローラーチェーン321とから構成されている。同様に、上記右側ローラーチェーン機構315は一対のスプロケット323、325とこれら一対のスプロケット323、325に巻回された右側ローラーチェーン327とから構成されている。
【0039】
図15に示すように、上記スプロケット317とスプロケット323は軸329を介して同軸に連結されている。同様に、上記スプロケット319とスプロケット325は軸341を介して同軸に連結されている。
【0040】
図14及び図15に示すように、上記上部枠体307には駆動モータ351が設置されている。この駆動モータ351の図示しない出力軸には減速機353が連結されていて、この減速機353の図示しない出力軸は上記軸329に連結されている。上記駆動モータ351が起動することにより上記軸329が回転し、それによって、上記左側ローラーチェーン機構313の左側ローラーチェーン321、右側ローラーチェーン機構315の右側ローラ―チェーン327がループ状に回転する。
【0041】
上記左側ローラーチェーン機構313と右側ローラーチェーン機構315との間には茸搬送用の無端搬送体361がループ状に回転可能に設置されている。上記無端搬送体361は複数枚の無端搬送体構成短冊片363から構成されている。図19及び図20に示すように、上記左側ローラーチェーン321の各外リンク365には短冊片取付用ブラケット367が取り付けられている。上記短冊片取付用ブラケット367はその横断面形状がL字形状をなしている。同様に、上記右側ローラーチェーン327の各外リンク369にも同様の短冊片取付用ブラケット371が取り付けられている。上記短冊片取付用ブラケット371もその横断面形状がL字形状をなしている。上記各無端搬送体構成短冊片363はこれら短冊片取付用ブラケット367、371間に取り付けられている。
【0042】
図20に示すように、上記無端搬送体構成短冊片363の両端には取付部373、375が段付状に設けられていて、これら取付部373、375の間が短冊片本体377となっている。上記短冊片本体377は上記取付部373、375に対して所定量低くなっている。このような構成を採用しているのは、無端搬送体361の反転位置における回転半径をできるだけ小さくして、反転位置において上記無端搬送体構成短冊片363相互間に発生する隙間を小さくするためである。又、上記無端搬送体構成短冊片363の茸搬送方向前方であって内側角部には面取が施されている。
【0043】
上記無端搬送体構成短冊片363には複数個(この実施の形態の場合には10個又は8個)の茸軸部落下孔381が穿孔されている。茸搬送手段311内に投入された複数個の茸383は作業員の手作業によってその軸部385が上記茸軸部落下孔381内に落下した所定の姿勢に整列される。
【0044】
図18図21に拡大して示すように、上記無端搬送体361のループの内の上側のループ(茸搬送面側)の上であって所定位置には浮上防止手段391が設置されている。この浮上防止手段391は、シャフト392と、上記シャフト392に回転可能に取り付けられた押付ローラ393と、上記シャフト392の両端に設置されシャフト392ひいては上記押付ローラ393の高さを調整するローラ高さ調整ハンドル395、395とから構成されている。
このような構成をなす浮上防止手段391によって茸383を上記無端搬送体構成短冊片363側に押し付ける。
【0045】
上記無端搬送体61のループの内の上側のループ(茸搬送面側)の下側であって上記浮上防止手段391の真下当たりの所定位置には茸383の軸部385を切断する切断用カッタ401が設置されている。上記切断用カッタ401は刃物ホルダ403に固定されている。上記刃物ホルダ403は上記装置枠体303に固定されている。上記茸383はその軸部385が上記茸軸部落下孔381内に落下した所定の姿勢に整列された状態で搬送される。所定の場所で上記浮上防止手段391によって上記無端搬送体構成短冊片363に押し付けられ、その状態で上記切断用カッタ401によって上記茸軸部385が切断される。
【0046】
上記切断用カッタ401の下方には茸軸受け台411が設置されていて、この茸軸受け台411内には図示しない茸軸部受け容器が出し入れ可能に設置される。上記切断用カッタ401によって切断された茸軸部385は上記茸軸部受け容器内に落下する。上記茸軸部受け容器内に茸軸部が溜まった時点で上記茸軸部受け容器を取り出す。一方、軸部385を切断された茸383は上記茸搬送手段311によってそのまま搬送されていき上部枠体307の図16中左端から図示しない茸受け容器内に落下する。
【0047】
上記無端搬送体361のループの内の上側のループ(茸搬送面側)の下側であって、上記切断用カッタ401による切断位置の手前には、上記無端搬送体構成短冊片363を上方に僅かに押し上げる無端搬送体構成短冊片押上手段421が設置されている。この無端搬送体構成短冊片押上手段421は、アーム423と、このアーム423の先端に回転可能に取り付けられたローラ425と、上記ローラ425を上記アーム422の先端に回転可能に取り付けるボルト427と、ナット429とから構成されている。上記無端搬送体構成短冊片363はこのローラ425を乗り越える際に所定量押し上げられる。それによって、上記無端搬送体構成短冊片363の前方であって内側の角部と上記切断用カッタ401との干渉が防止される。
【0048】
又、図12に示すように、上記上部枠体307の開口部431を開閉する蛇腹式開閉カバ433が開閉自在に設置されている。又、上記蛇腹式開閉カバ433には把持部435が取り付けられている。又、上記駆動モータ351をON/OFFするためのON/OFFスイッチ437が設置されている。又、上記蛇腹式開閉カバ433が完全に閉じられていることを検知するための図示しないリミットスイッチが設置されている。
【0049】
作業員は、作業開始時に上記把持部435を把持して上記蛇腹式開閉カバ433を図12中左側にスライドさせて上記開口部431を開放する。その状態で、上記無端搬送体構成短冊片363に設けられている茸軸部落下孔381内に茸383の軸部385を落下させた状態でセットする。所定の複数個の茸383をセットした後上記蛇腹式開閉カバ433を図12中右側にスライドさせて上記開口部371を閉じる。次に、上記ON/OFFスイッチ437を押して駆動モータ351を起動する。上記蛇腹式開閉カバ433が完全に閉じていない場合には、上記ON/OFFスイッチ437を押しても駆動モータ351が起動することはない。
尚、図中501は制御ボックス、符号503はスイッチボックスを夫々示している。
【0050】
以上の構成を基にその作用を説明する。
作業員は、作業開始時に上記把持部435を把持して上記蛇腹式開閉カバ433をスライドさせて開口部431を開放する。その状態で、上記無端搬送体構成短冊片363に設けられている茸軸部落下孔381内に、茸383の軸部385を落下させた状態でセットする。所定の複数個の茸383をセットした後上記蛇腹式開閉カバ433を逆方向にスライドさせて上記開口部431を閉じる。次に、上記ON/OFFスイッチ437を押して駆動モータ351を起動する。
【0051】
所定の姿勢にセットされた茸383は上記浮上防止手段391によって上記無端搬送体構成短冊片363上に押し付けられる。その状態で上記切断用カッタ377によってその軸部385が切断される。
【0052】
切断された茸軸部385は図示しない茸軸部受け容器内に落下する。又、茸軸部385を切断された茸383はそのまま搬送されていき図示しない茸雌雄用箱内に搬出される。
【0053】
よって、前記第1の実施の形態の場合と同様の効果を奏することができる。
又、茸383の所定の姿勢への整列作業は作業員の手作業になるが、それによって、前記第1の実施の形態における整列手段が不要になり構成の簡略化を図ることができる。
又、作業員が手作業を行っている間は上記蛇腹式開閉カバ433は図12中左方向にスライドされて開口部431は開放されているので、仮に、ON/OFFスイッチ437が不用意に押されることがあっても、リミットスイッチがOFFになっているので駆動モータ351が起動することはない。それによって、作業時の安全性を担保することができる。
【0054】
尚、本発明は前記第1、第2の実施の形態に限定されるものではない。
まず、前記第1、第2の実施の形態においては、無端搬送体構成短冊片押上手段をローラを使用した構成としたが、それに限定されるものではなく、例えばね、単なる凸部を設ける構成でも良い。
又、前記第1、第2の実施の形態においては、幅方向に中央一箇所にローラを設置するように構成したが、幅方向複数個所に設けるような構成も考えられる。
又、前記第1、第2の実施の形態の場合には、外リンクをL字形状として短冊取付用ブラケットを一体に備えたものを例に挙げて説明したが、外リンクと短冊取付用ブラケットが別体の場合もある。
その他、図示した構成はあくまで一例である。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、椎茸等の軸部を除去する茸の軸部除去装置に係り、特に、無端搬送体を無端状体構成短冊片と構成する茸軸部切断用カッタとの干渉を防止して、長期にわたってその健全性を維持することができるように工夫したものに関し、例えば、椎茸の軸部の切断に好適である。
【符号の説明】
【0056】
1 茸の軸部切断装置
3 装置枠体
23 左側ローラーチェーン機構
25 右側ローラーチェーン機構
31 左側ローラーチェーン
37 右側ローラーチェーン
21 茸搬送手段
61 無端搬送体
63 無端搬送体構成短冊片
131 切断用カッタ
133 刃物ホルダ
191 無端搬送体構成短冊片押上手段
図1
図2
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