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特許7430884保線作業車運搬用台車および保線作業車の運搬方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-05
(45)【発行日】2024-02-14
(54)【発明の名称】保線作業車運搬用台車および保線作業車の運搬方法
(51)【国際特許分類】
   B61D 15/00 20060101AFI20240206BHJP
【FI】
B61D15/00 D
B61D15/00 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020139358
(22)【出願日】2020-08-20
(65)【公開番号】P2022035210
(43)【公開日】2022-03-04
【審査請求日】2023-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】591075641
【氏名又は名称】東鉄工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391030125
【氏名又は名称】保線機器整備株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121496
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 重雄
(72)【発明者】
【氏名】麻生 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】松山 明夫
(72)【発明者】
【氏名】細川 誠二
(72)【発明者】
【氏名】竹村 敏男
【審査官】山本 賢明
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-128861(JP,U)
【文献】特開平09-207771(JP,A)
【文献】実公昭46-032569(JP,Y2)
【文献】米国特許第04938643(US,A)
【文献】中国特許出願公開第102933444(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61D 3/18
B61D 15/00
E01B 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
台車フレームに設けられた車輪によってレール上を走行する運搬台車本体と、
前記台車フレームに着脱可能に設けられ、保線作業車を積載する作業車積載部材とを備え、
前記台車フレームは、
前記車輪を回転可能に支持する車輪支持フレーム部と、
前記車輪支持フレーム部よりも低い位置に設けられ、中央にはレールの間隔よりも狭い幅を有するミニバックホウ等の保線作業車を上下方向に通す作業車通し空間が設けられると共に、その作業者通し空間を横切るように前記作業車積載部材が着脱可能に取り付けられる作業車支持フレーム部とを有することを特徴とする保線作業車運搬用台車。
【請求項2】
請求項1記載の保線作業車運搬用台車において、
前記作業車積載部材は、レールの長手方向に所定間隔を空けて前記作業車通し空間の左右両側の前記運搬台車本体のフレームに着脱可能に架け渡される少なくとも2本の棒状の保線作業車積載バーであることを特徴とする保線作業車運搬用台車。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の保線作業車運搬用台車において、
前記車輪支持フレーム部と前記作業車支持フレーム部とは、前記作業車支持フレーム部から前記車輪支持フレーム部に向かって上昇する程、当該車輪支持フレーム部に支持された前記車輪の方へ近付くように、斜めに延びる傾斜接合部材によって接合されていることを特徴とする保線作業車運搬用台車。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか一の請求項に記載の保線作業車運搬用台車にミニバックホウ等の保線作業車を積載して運搬するための保線作業車の運搬方法であって、
レール間に置かれた保線作業車の上方から前記作業車積載部材を取り外した状態の前記保線作業車運搬用台車の台車フレームを、その作業車通し空間に当該保線作業車が通るように被せて台車フレームの車輪をレールの上に置く工程と、
前記台車フレームの作業車通し空間に当該保線作業車を位置させた状態で当該台車フレームの車輪をレールの上に置いた後、保線作業車のアームを操作して保線作業車のクローラの前後それぞれを浮かしながらそのクローラの下に前記作業車積載部材を入れて前記運搬台車本体の前記作業車支持フレーム部に装着することにより、当該作業車積載部材を介して前記運搬台車本体の上に前記保線作業車を積載する工程とを有することを特徴とする保線作業車の運搬方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道のレール上を走行して、そのレールの間隔よりも狭いミニバックホウ等の保線作業車を運搬する保線作業車運搬用台車および保線作業車の運搬方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の軌道台車として、例えば、レール上を転動する複数の車輪を備えた台車本体と、車輪を回転させる駆動力を出力するモータと、車輪の回転を止めるよう制動するブレーキ機構とを備え、電動式軌道台車が停車している状態で作動し、複数の車輪をレールから離間させる車止め機構を備えた電動式軌道台車が提案されている(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-170971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の特許文献1の軌道台車は、台車本体が平面状であり、台車本体の下側に主モータ等が設けられているため、レールの表面に対する台車本体の上面までの高さが高く、バックホウ等の保線作業車を運搬する場合、台車本体の上面に保線作業車を載せる作業が困難で、作業員の負担が大きいという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、ミニバックホウ等の保線作業車を容易に載せて運搬することができる保線作業車運搬用台車および保線作業車の運搬方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る保線作業車運搬用台車は、台車フレームに設けられた車輪によってレール上を走行する運搬台車本体と、前記台車フレームに着脱可能に設けられ、保線作業車を積載する作業車積載部材とを備え、前記台車フレームは、前記車輪を回転可能に支持する車輪支持フレーム部と、前記車輪支持フレーム部よりも低い位置に設けられ、中央にはレールの間隔よりも狭い幅を有するミニバックホウ等の保線作業車を上下方向に通す作業車通し空間が設けられると共に、その作業者通し空間を横切るように前記作業車積載部材が着脱可能に取り付けられる作業車支持フレーム部とを有することを特徴とする。
また、本発明に係る保線作業車運搬用台車では、前記作業車積載部材は、レールの長手方向に所定間隔を空けて前記作業車通し空間の左右両側の前記運搬台車本体のフレームに着脱可能に架け渡される少なくとも2本の棒状の保線作業車積載バーであることも特徴とする。
また、本発明に係る保線作業車運搬用台車では、前記車輪支持フレーム部と前記作業車支持フレーム部とは、前記作業車支持フレーム部から前記車輪支持フレーム部に向かって上昇する程、当該車輪支持フレーム部に支持された前記車輪の方へ近付くように、斜めに延びる傾斜接合部材によって接合されていることも特徴とする。
また、本発明に係る保線作業車の運搬方法は、上述のいずれかの保線作業車運搬用台車にミニバックホウ等の保線作業車を積載して運搬するための保線作業車の運搬方法であって、レール間に置かれた保線作業車の上方から前記作業車積載部材を取り外した状態の前記保線作業車運搬用台車の台車フレームを、その作業車通し空間に当該保線作業車が通るように被せて台車フレームの車輪をレールの上に置く工程と、前記台車フレームの作業車通し空間に当該保線作業車を位置させた状態で当該台車フレームの車輪をレールの上に置いた後、保線作業車のアームを操作して保線作業車のクローラの前後それぞれを浮かしながらそのクローラの下に前記作業車積載部材を入れて前記運搬台車本体の前記作業車支持フレーム部に装着することにより、当該作業車積載部材を介して前記運搬台車本体の上に前記保線作業車を積載する工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、台車フレームにおいてミニバックホウ等の保線作業車を積載する作業車支持フレーム部は車輪を回転可能に支持する車輪支持フレーム部よりも低い位置に設けているため、ミニバックホウ等の保線作業車を容易に載せて運搬することができる。
また、ミニバックホウ等の保線作業車を台車フレーム中央の作業車通し空間に収めて保線作業車運搬用台車をレール上に設置した後に、車輪支持フレーム部よりも低い作業車支持フレーム部に作業車積載部材を渡して保線作業車の下に作業車積載部材を入れることにより、保線作業車を保線作業車運搬用台車に積載するように構成したため、ミニバックホウ等の保線作業車を容易に積載して運搬することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る実施形態の保線作業車運搬用台車にミニバックホウを積載した状態を示す側面図である。
図2】本発明に係る実施形態の保線作業車運搬用台車の斜視図である。
図3】(a),(b)それぞれ本発明に係る実施形態の保線作業車運搬用台車を構成する運搬台車本体の平面図、側面図である。
図4】(a)~(c)、それぞれ、本発明に係る実施形態の保線作業車運搬用台車を構成する作業車積載バーの平面図、正面図、図4(b)におけるA部分の拡大図である。
図5】(a)~(c)、それぞれ、実施形態の保線作業車運搬用台車で補助的に使用する水平補助板の平面図、正面図、側面図である。
図6】(a)~(c)、それぞれ、実施形態の保線作業車運搬用台車で補助的に使用する中間補助板の平面図、正面図、側面図である。
図7】(a)~(c)、それぞれ、実施形態の保線作業車運搬用台車で補助的に使用する傾斜補助板の平面図、正面図、側面図である。
図8】傾斜補助板および中間補助板を使用してミニバックホウを軌間内の水平補助板の上に載せた状態を示す図である。
図9図8に示す状態からミニバックホウの運転席等を90度回転させた状態を示す図である。
図10】軌間内の水平補助板の上に乗ったミニバックホウの上から本発明に係る実施形態の保線作業車運搬用台車を構成する運搬台車本体を浅く被せた状態を示す図である。
図11】軌間内の水平補助板の上に乗ったミニバックホウの上から本発明に係る実施形態の保線作業車運搬用台車を構成する運搬台車本体を深く被せた状態を示す図である。
図12】本発明に係る実施形態の運搬台車本体の作業車通し空間にミニバックホウを位置させ、かつ、運搬台車本体の前輪および後輪がレール上に位置する運搬台車本体を入れた状態を示す図である。
図13】本発明に係る実施形態の運搬台車本体の作業車通し空間に入れたミニバックホウにおいて、そのアーム先端のバケットを軌間内のマクラギ等に押し付けて、ミニバックホウのクローラの前側を浮かせ、クローラの前側と作業車支持フレーム部との間に1本目の作業車積載部材を挿入した状態を示す図である。
図14図13に示す状態からミニバックホウの運転席やアーム等を90度回転(反転)させた状態を示す図である。
図15図13に示す状態からミニバックホウの運転席やアーム等を90度回転(反転)させた後、ミニバックホウのクローラの後側を浮かせ、クローラの後側と作業車支持フレーム部との間に2本目の作業車積載部材を挿入した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態の保線作業車運搬用台車1を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。尚、下記に説明する実施形態は、あくまで本発明の一例であり、本発明は下記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で適宜変更可能である。
【0010】
<実施形態の保線作業車運搬用台車1の構成>
実施形態の保線作業車運搬用台車1は、図1に示すようにミニバックホウ3等の保線作業車を積載して鉄道のレールR,R上を走行し運搬する台車であって、図2図3(a),(b)に示すように構成された運搬台車本体11と、運搬台車本体11に着脱可能に取り付けられる図4(a)~(c)に示すような2本の作業車積載バー12,12等から構成される。尚、実施形態の保線作業車運搬用台車1を使用してミニバックホウ3等の保線作業車を積載したり、降ろす場合、本実施形態では、補助板として図5図7にそれぞれ示す水平補助板2aや中間補助板2b、傾斜補助板2cを使用するが、これらの補助板2a~2cは本発明に必須のものではない。
【0011】
尚、保線作業車であるミニバックホウ3は、周知のもので、例えば、図1に示すように作業員(図示せず。)が運転席3aに乗車して操作することにより、アーム3b先端のバケット3cで砕石を掘削等したり、クローラ3dで走行してブレード3eによって砕石や土等を集めることができる。また、このミニバックホウ3は、例えば、700mm前後で、クローラ3dでレールR,R間も走行することができる小型のバックホウである。
【0012】
(運搬台車本体11)
運搬台車本体11は、図2および図3に示すように、ミニバックホウ3等の保線作業車を上下方向に通す大きさの作業車通し空間11aを有する台車フレーム11bに前輪11cおよび後輪11dが設けられ、レールR,R上を走行するように構成されている。
【0013】
台車フレーム11bは、前輪11cを回転可能に支持する前輪支持フレーム部11b1と、後輪11dを回転可能に支持する後輪支持フレーム部11b2と、前輪支持フレーム部11b1と後輪支持フレーム部11b2との間であって前輪支持フレーム部11b1および後輪支持フレーム部11b2よりも低い位置に設けられ、作業車積載バー12,12が着脱可能に取り付けられる作業車支持フレーム部11b3と、前輪支持フレーム部11b1と作業車支持フレーム部11b3とを接合する前側傾斜接合部材11b4と、後輪支持フレーム部11b2と作業車支持フレーム部11b3とを接合する後側傾斜接合部材11b5等を備えて構成される。
【0014】
よって、運搬台車本体11の作業車通し空間11aは、図3(a)に示すように、前輪支持フレーム部11b1と、後輪支持フレーム部11b2と、作業車支持フレーム部11b3と、前側傾斜接合部材11b4と、後側傾斜接合部材11b5とによって囲まれたほぼ長方形状の空間となる。
【0015】
ここで、前輪支持フレーム部11b1および後輪支持フレーム部11b2は、角管等によって構成されており、それらの中央には、図3(a)に示すように、それぞれ、図示しない軌道走行車と連結されて牽引される連結部11b11,11b21が設けられている。尚、後輪支持フレーム部11b2には、ブレーキ部11b22も設けられているが、連結部11b11,11b21と同様に本発明に必須の構成要素ではない。
【0016】
作業車支持フレーム部11b3も、前輪支持フレーム部11b1および後輪支持フレーム部11b2と同様に角管等によって構成されており、前輪支持フレーム部11b1および後輪支持フレーム部11b2とそれぞれ前側傾斜接合部材11b4および後側傾斜接合部材11b5を介し、前輪支持フレーム部11b1および後輪支持フレーム部11b2よりも低くなるように接合されており、作業車支持フレーム部11b3に2本の作業車積載バー12を取付けた場合でも、図1等に示すように作業車積載バー12の上面が前輪支持フレーム部11b1および後輪支持フレーム部11b2それぞれの上面よりも低くなるように接合して構成されている。
【0017】
前側傾斜接合部材11b4は、図3(b)等に示すように、平行四辺形の2枚の鋼板等から構成されており、作業車支持フレーム部11b3から前輪支持フレーム部11b1に向かって上昇する程、前輪支持フレーム部11b1に支持された前輪11cの方へ近付くように作業車支持フレーム部11b3と前輪支持フレーム部11b1とをその両側から挟持しつつ溶接により接合している。
【0018】
後側傾斜接合部材11b5も同様に、図3(b)等に示すように、平行四辺形の2枚の鋼板等から構成されており、作業車支持フレーム部11b3から後輪支持フレーム部11b2に向かって上昇する程、後輪支持フレーム部11b2に支持された後輪11dの方へ近付くように作業車支持フレーム部11b3と後輪支持フレーム部11b2とをその両側から挟持しつつ溶接により接合している。尚、前側傾斜接合部材11b4と後側傾斜接合部材11b5とは、図3(b)から明らかように同じ形状の板材であり、前側傾斜接合部材11b4を裏返しすると後側傾斜接合部材11b5になる。
【0019】
そのため、運搬台車本体11を側面視すると、図3(b)に示すように、作業車支持フレーム部11b3が前輪支持フレーム部11b1および後輪支持フレーム部11b2よりも低いだけでなく、作業車通し空間11aの上方に向かう程、前側傾斜接合部材11b4と後側傾斜接合部材11b5によって前後方向に広がるように逆台形状に形成されていることが分かる。
【0020】
これにより、前輪支持フレーム部11b1および後輪支持フレーム部11b2よりも低い作業車支持フレーム部11b3に保線作業車としてミニバックホウ3を積載して運転席3aと共にアーム3bやバケット3c等を回転させたり、アーム3bを延ばしたり、さらにはブレード3eを上下等させた際に、アーム3b先端のバケット3cやクローラ3d先端のブレード3e等が運搬台車本体11に干渉し難くなり、後述するようにミニバックホウ3等の保線作業車を容易に積載したり、降ろすことができる。
【0021】
(作業車積載バー12)
2本の作業車積載バー12は、図4(a)~(c)に示すように断面が長方形の鋼管等から構成された作業車積載バー本体12aと、作業車積載バー本体12aの両端部の下側面に設けられ、作業車支持フレーム部11b3の幅W1(図3(a)参照。)と同じか、わずかに大きい幅W2で下方へ開口したコ字形状のチャネル部材で作業車支持フレーム部11b3に上方から嵌合する嵌合部12b,12bとで構成されており、図1図2に示すように運搬台車本体11の左右の作業車支持フレーム部11b3,11b3に着脱可能に装着することができる。
【0022】
ここで、作業車積載バー本体12aの長さL2は、運搬台車本体11の幅L1(図3(a)参照。)と同じか僅かに大きくして、図2に示すように運搬台車本体11の台車フレーム11bに架け渡すことができるように構成している。
【0023】
(水平補助板2a)
水平補助板2aは、図5(a)~(c)に示すようにレールRの高さ程度の高さを有する平面視、長方形の木製または構成の板材で、レールR、R間に収まる幅を有すると共に、ミニバックホウ3等の小型の保線作業車の重量に耐える強度を有し、表面には例えばゴム等の滑り止めが設けられている。
【0024】
(中間補助板2b)
中間補助板2bは、後述する図8等に示すようにレールRの外側に設置する補助板で、図6(a)~(c)に示すように水平補助板2aと同じ幅を有し、正面視、上面の1/2は水平補助板2aと同じ高さで、残りの1/2の上面は傾斜面を有しており、水平補助板2aと同様にミニバックホウ3等の小型の保線作業車の重量に耐える強度を有し、表面には例えばゴム等の滑り止めが設けられている。
【0025】
(傾斜補助板2c)
傾斜補助板2cは、後述する図8等に示すように中間補助板2bに連結して使用する補助板で、図7(a)~(c)に示すように正面視、上面が全て傾斜面で、水平補助板2aや中間補助板2bと同様にミニバックホウ3等の小型の保線作業車の重量に耐える強度を有し、表面には例えばゴム等の滑り止めが設けられている。
【0026】
<実施形態の保線作業車運搬用台車1を使用したミニバックホウ3の運搬方法>
次に、以上のように構成された実施形態の保線作業車運搬用台車1を使用したミニバックホウ3の運搬方法について説明する。
【0027】
(ミニバックホウ3の軌間への移動する工程)
まずは、図8に示すように、水平補助板2aをレールR,R間である軌間内へ設置すると共に、傾斜補助板2cおよび中間補助板2bを鉄道レールRの外側に横着けして、ミニバックホウ3を傾斜補助板2cおよび中間補助板2bの上を走行させ、鉄道レールR,Rの軌間外から軌間内の水平補助板2aの上へ移動させる。尚、図8等では、レールRとマクラギMは図示しているが、路盤の砕石等は図示を省略している。
【0028】
(ミニバックホウ3の運転席3a等の90度回転)
ミニバックホウ3の軌間内の水平補助板2aへの移動が完了すると、続いて図9に示すように、運転席3aをアーム3bやバケット3cと共に90度回転させ、運転席3aやアーム3b、バケット3c等を鉄道レールR,R間である軌間内に収める。
【0029】
(ミニバックホウ3の上から実施形態の保線作業車運搬用台車1を被せる)
次に、図示しない作業員2名が保線作業車運搬用台車1を持ち上げ、例えば、図10および図11に示すように、ミニバックホウ3のバケット3cやアーム部3b等の方から実施形態の保線作業車運搬用台車1の運搬台車本体11を被せて、作業車通し空間11aにミニバックホウ3を通し、図12に示すように保線作業車運搬用台車1の作業車通し空間11aにミニバックホウ3を位置させ、かつ、運搬台車本体11の前輪11cおよび後輪11dをレールR,R上に位置する運搬台車本体11を置く。
【0030】
(ミニバックホウ3のクローラ3dの前側を作業車積載バー12の上に載せる)
次に、図示しない作業員がミニバックホウ3を運転して、例えば、図13に示すようにアーム3b先端のバケット3cを軌間内のマクラギMやバラスト等に押し付けて、ミニバックホウ3のクローラ3dの前側を浮かせ、クローラ3dの前側と作業車支持フレーム部11b3との間に1本目の作業車積載バー12を挿入し、ミニバックホウ3のクローラ3dの前側を1本目の作業車積載バー12上に上げる。尚、先にニバックホウ3のクローラ3dの後側を浮かせて、クローラ3dの後側と作業車支持フレーム部11b3との間に1本目の作業車積載バー12を挿入してクローラ3dの後側を1本目の作業車積載バー12上に上げるようにしても勿論良い。
【0031】
(ミニバックホウ3の運転席3a等の180度回転)
ミニバックホウ3のクローラ3dの前側の1本目の作業車積載バー12への乗り上げが完了すると、続いてミニバックホウ3のクローラ3dの後側を2本目の作業車積載バー12へ乗り上げさせるため、例えば、図14に示すように運転席3aをアーム3bやバケット3cと共に90度回転させる。
【0032】
(ミニバックホウ3のクローラ3dの後側を作業車積載バー12の上に上げる)
そして、クローラ3dの前側を作業車積載バー12の上に上げた場合と同様に、図15に示すようにアーム3b先端のバケット3cを軌間内のマクラギMやバラスト等に押し付けて、ミニバックホウ3のクローラ3dの後側を浮かせ、クローラ3dの後側と作業車支持フレーム部11b3との間に2本目の作業車積載バー12を挿入して、アーム3bを上昇させると、図22(a)に示すように、ミニバックホウ3を実施形態の保線作業車運搬用台車1の2本の作業車積載バー12,12の上に載せることが出来る。
【0033】
以上で実施形態の保線作業車運搬用台車1の上にミニバックホウ3の積載が完了するため、前輪支持フレーム部11b1または後輪支持フレーム部11b2の連結部11b11,11b21に軌道走行車(図示せず。)を連結してミニバックホウ3を搬送することが出来る。
【0034】
尚、搬送先で、実施形態の保線作業車運搬用台車1の上からミニバックホウ3を降ろす場合には、以上説明した工程の逆の工程を行うことになる。
【0035】
<本発明に係る実施形態の保線作業車運搬用台車1のまとめ>
以上説明したように、本発明に係る実施形態の保線作業車運搬用台車1は、ミニバックホウ3等の保線作業車を上下方向に通す作業車通し空間11aを有する台車フレーム11bに前輪11cおよび後輪11dが設けられレールR,R上を走行する運搬台車本体11と、作業車通し空間11aを横切るように台車フレーム11bに着脱可能に設けられ、保線作業車2を積載する作業車積載バー12,12とを備え、台車フレーム11bは、前輪11cおよび後輪11dを回転可能に支持する前輪支持フレーム部11b1と、作業車積載バー12,12が着脱可能に取り付けられ、前輪支持フレーム部11b1よりも低い位置に設けられた作業車支持フレーム部11b3とを設けている。
【0036】
そのため、本発明に係る実施形態の保線作業車運搬用台車1によれば、台車フレーム11bにおいてミニバックホウ3等の保線作業車が積載される作業車支持フレーム部11b3は前輪11cおよび後輪11dを回転可能に支持する前輪支持フレーム部11b1および後輪支持フレーム部11b2よりも低い位置に設けているため、ミニバックホウ3等の保線作業車を容易に載せて運搬することができる。
【0037】
また、本発明に係る実施形態の保線作業車運搬用台車1では、前輪支持フレーム部11b1および後輪支持フレーム部11b2と作業車支持フレーム部11b3とは、作業車支持フレーム部11b3から前輪支持フレーム部11b1および後輪支持フレーム部11b2に向かって上昇する程、当該前輪支持フレーム部11b1および後輪支持フレーム部11b2に支持された前輪11cよび後輪11dの方へ近付くように、斜めに延びる傾斜接合部材11b4,11b5によって接合して構成している。
【0038】
そのため、本発明に係る実施形態の保線作業車運搬用台車1によれば、保線作業車運搬用台車1の上にミニバックホウ3等の保線作業車を積載した後、ミニバックホウ3の運転席3aやアーム3b等を回転させる際にアーム3b先端のバケット3c等が運搬台車本体11に干渉し難くなるので、この点でもミニバックホウ3等の保線作業車を容易に載せて運搬することができる。
【0039】
また、本発明に係る実施形態の保線作業車運搬用台車1では、作業車積載バー12,12は、レールRの長手方向に所定間隔を空けて作業車通し空間11aの左右両側の運搬台車本体11の作業車支持フレーム部11b3に着脱可能に架け渡される2本の棒状の保線作業車積載バー12,12で構成している。
【0040】
そのため、ミニバックホウ3のアーム3b先端のバケット3cを軌間内のバラスト等に押し付けて、ミニバックホウ3のクローラ3dの前側や後側を浮かせる作業が必要であるものの運搬台車本体11の作業車支持フレーム部11b3に着脱可能に架け渡される2本の棒状の保線作業車積載バー12,12でミニバックホウ3等を積載することができるので、ミニバックホウ3等の保線作業車を簡単な構造で載せて運搬することができる。
【0041】
また、本発明に係る保線作業車2の運搬方法は、上述の保線作業車運搬用台車1を使用し、レールR間に置かれた保線作業車2の上方から作業車積載バー12,12を取り外した状態の保線作業車運搬用台車を、その作業車通し空間11aに当該保線作業車2が通るように被せる工程と、保線作業車運搬用台車の作業車通し空間11aに当該保線作業車2を位置させた後、保線作業車2を操作して保線作業車のクローラの前後それぞれを浮かしながらそのクローラの下に作業車積載バー12,12を入れて運搬台車本体11のフレームに掛止することにより、当該作業車積載バー12,12の上に保線作業車2を積載する工程と、作業車積載バー12,12の上に保線作業車2を積載した保線作業車運搬用台車をレールR,R上で走行させて運搬する。
【0042】
そのため、本発明に係る保線作業車2の運搬方法によれば、上述の保線作業車運搬用台車1を使用して、ミニバックホウ3等の保線作業車を容易に運搬することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 保線作業車運搬用台車
11 運搬台車本体
11a 作業車通し空間
11b 台車フレーム
11b1 前輪支持フレーム部
11b2 後輪支持フレーム部
11b3 作業車支持フレーム部
11b4 前側傾斜接合部材
11b5 後側傾斜接合部材
11c 前輪
11d 後輪
12 作業車積載バー(作業車積載部材)
12a 作業車積載バー本体
12b 嵌合部
3a 第1踏み台
3b 第2踏み台
3c 第3踏み板
3 ミニバックホウ(保線作業車)
3a 運転席
3b アーム
3c バケット
3d クローラ
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