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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-05
(45)【発行日】2024-02-14
(54)【発明の名称】エクササイズ用具用の装置
(51)【国際特許分類】
   A63B 43/00 20060101AFI20240206BHJP
   A63B 22/20 20060101ALI20240206BHJP
   A63B 23/00 20060101ALI20240206BHJP
   A63B 43/06 20060101ALI20240206BHJP
   A63B 71/06 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
A63B43/00 B
A63B22/20
A63B23/00 L
A63B43/00 E
A63B43/06 Z
A63B71/06 K
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019221558
(22)【出願日】2019-12-06
(65)【公開番号】P2021090500
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-12-03
(73)【特許権者】
【識別番号】516365161
【氏名又は名称】株式会社ジーン
(74)【代理人】
【識別番号】100079980
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 伸行
(74)【代理人】
【識別番号】100167139
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 和彦
(72)【発明者】
【氏名】成田 義哉
【審査官】遠藤 孝徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-12211(JP,A)
【文献】特開2004-141395(JP,A)
【文献】特開平11-244422(JP,A)
【文献】実公昭39-36153(JP,Y1)
【文献】特公平4-53440(JP,B2)
【文献】特許第5866665(JP,B2)
【文献】特許第5464144(JP,B2)
【文献】特表2003-531701(JP,A)
【文献】特開2011-120644(JP,A)
【文献】特許第4941037(JP,B2)
【文献】特開2009-20656(JP,A)
【文献】特開2008-237897(JP,A)
【文献】特開2019-97796(JP,A)
【文献】実公昭63-27731(JP,Y2)
【文献】特公平5-74(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 43/00 - 43/06
A63B 22/00 - 23/20
A63B 69/00 - 71/16
A61H 1/00 - 1/02
A63H 5/00 - 5/04
A63H 33/00 - 33/42
G10H 1/00 - 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に空気が注入され弾性を有する球体状のエクササイズ用具あって、
該エクササイズ用具は、
異なる種類の複数の音、異なる長さの複数の音、異なる高さの複数の音、又はこれらの組み合わせからなる複数の音を発する音源と、
前記エクササイズ用具の利用者によって前記エクササイズ用具に力加えられたときに生じる該エクササイズ用具の動きを角速度と移動角度により計測するセンサと、
前記センサにより計測されたセンサ値を前記角速度の平均値である平均角速度と、前記移動角度の総量である総移動角度を算出することにより解析・計算し、前記平均角速度と前記総移動角度とを複数の区分に予め分類し、前記複数の音から区分ごとに対応する音を設定し、算出された平均角速度と総移動角度とを前記複数の区分のいずれかにあてはめることにより前記音源の音を決定する解析・計算手段と、
前記音源の音の発音を制御する制御手段と、
を有する装置が取り付けられて用いられ、
前記エクササイズ用具は、
前記装置を収納するための空間を有する収納部を備え、前記収納部の側面は前記エクササイズ用具の外面と連続し、前記収納部は前記装置を出し入れするための開放した入り口を有し、前記エクササイズ用具の内部に空気が注入されると前記空間が圧縮される
ことを特徴とする、エクササイズ用具。
【請求項2】
前記エクササイズ用具の内部に空気を注入するための空気注入排出口が前記収納部の側面に設けられた請求項に記載のエクササイズ用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に空気が注入され弾性を有する球体状のエクササイズ用具を有効に使用するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内部に空気が注入され弾性を有する球体状のエクササイズ用具は、例えば、バランスボール、フィットネスボール、エクササイズボールなどと呼ばれている。以下、便宜上これらをまとめて「エクササイズボール」という。一例として、エクササイズボールは塩化ビニール(PVC)などを素材とし、球体で(直径45cm~65cm程度のものが多いが、必ずしもこの範囲に限られない)、内側に空気を抽入して使用する。使用者がこの球体に、乗ったり、座ったり、もたれたりするなどしてエクササイズを行う。
【0003】
エクササイズボールは、手軽に運動できる器具として広く普及しており、フィットネスクラブなどの運動施設のみならず、一般家庭などにおいても使用されている。
【0004】
しかし、第一に、これが一般家庭などで用いられる場合、個人利用者が、エクササイズボールの有効な使い方(どのような動きをすれば有効なエクササイズとなるか)を必ずしも十分に理解していないことが多い。
【0005】
エクササイズボールによる有効なエクササイズを行うため、個人利用者としては、何らかの指導に依ることが考えられる。しかし、例えば、使用者がエクササイズボールについての指導書などを参照しながらエクササイズを行うとしても、実際にそれが効果的に行えているかどうかはわかりにくい。
【0006】
また、そもそも指導書等を参照しながら運動するのは煩わしいという問題がある。特に、エクササイズボールによるエクササイズは、バランスを取る点に特性がある。すなわち、使用者は、そのエクササイズ中、バランスを取ろうと意識を集中させるのであり、エクササイズボールによるエクササイズにおいては、書物にしても、テレビやパソコンなどの画面にしても、文字や画像による解説や指導を見ながら行うのに必ずしも適していない。
【0007】
この点に対応するものとして、エクササイズボール上で使用者がバランスを崩したときに、バランスが崩れたことを音で知らせるものが提案されている(特許文献1の段落[0024]以下、特許文献2の段落の[0087]以下)。しかしながら、特許文献1や2の発明によった場合も、バランスがどのように崩れているかは依然使用者にはわからず、よって、使用者としては、バランスをどのように取り直せばよいかなどもわからない。
【0008】
第二に、エクササイズの指導者側の人手不足・人材不足の問題がある。エクササイズの指導にはある程度の訓練(育成)や経験が必要であるが、手軽にできるエクササイズについては、訓練や経験が少なくても指導が出来るようになれば、この問題の解決の一助になる。しかし、例えばエクササイズボールに限っても、一般家庭などでの個人利用ではなく、フィットネスクラブなどで指導者から指導を受けながら行うことも多いが、それらのエクササイズの専門施設でも、エクササイズボールを用いたエクササイズにつき、一定レベルに達した指導が必ずしも容易になされない現状がある。
【0009】
一方、近年高齢者が増加しており、高齢者の健康対策が国の重要な施策となっている。健康対策の一環としては、適度な運動を行うことが挙げられるが、高齢者が一人でできる運動は限られており、また、個人では自発的に運動する意欲がわきにくい面もある。反面、高齢者がフィットネスクラブなどの施設に通うことは、自宅近くに施設がないといった環境的な理由や、金銭上の理由などから、容易でないことが少なくない。かかる状況においては、仮に高齢者がその居住する地域で手軽に運動することができれば、上記施策に資するものとなり得るが、現在のところ有効な手段は提案されていない。
【0010】
更に、エクササイズボールを用いたエクササイズを飽きることなく行えたり継続できたりすれば、個人利用者にとっても、団体利用者にとっても有意である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2008-229101号
【文献】特開2009-20656号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記の問題を解決することを課題とするものであり、利用者がエクササイズボールを用いて有効なエクササイズを行うことができるとともに、指導経験が浅い指導者であっても有効なエクササイズの指導を容易に行うことができ、かつ、単独又は複数の利用者、特に高齢者等がその居住する地域で手軽に運動することができる、エクササイズボール用の装置を提供することを課題としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するにあたり、発明者は、エクササイズボールによるエクササイズ時の特性に着目した。すなわち、エクササイズボールの使用者は、これを使用したエクササイズ時、バランスを取ろうとするため、意識を集中させる。かかる意識の集中下においては、視覚からの多くの情報は意識の集中を妨げ易い。一方、聴覚すなわち耳を澄ませると、意識の集中が促進され易くなり得る。
【0014】
そして、単に音を発することや、言葉によって指導するのではなく、音に違いをつければ、意識の集中を妨げることなく、かつ効果的にエクササイズを行い得るとの知見を得るに至った。
【0015】
また、仮に視覚を利用するとしても、多くの情報ではなく端的な情報であれば、意識の集中を妨げにくいとの知見を得た。この視覚情報として、異なる発光色を用いることが有利であることが判明した。
【0016】
更に、このような音や発光色を用いることは、エクササイズの指導を容易にし得ることが判明した。すなわち、バランスボールを用いたエクササイズを適切に行うための指導につき、従来はこれを行う側も受ける側も、感覚に頼らざるを得なかった。しかし、バランスボールが所定の動きをすると特定の音などを発するようにすれば、エクササイズを行う者の動作を客観的に把握することが可能となり、これに基づいて一定レベルの指導が可能となる。
【0017】
かかる観点から、本発明は、音や発光色を利用することにより、上記課題を解決するものである。
【0018】
すなわち、第1の側面として、本発明は、
内部に空気が注入され弾性を有する球体状のエクササイズ用具用の装置であって、
異なる種類の複数の音、異なる長さの複数の音、異なる高さの複数の音、又はこれらの組み合わせからなる複数の音を発する音源と、
前記エクササイズ用具に力を加えると該エクササイズ用具の角速度と移動角度を計測するセンサと、
前記センサにより計測されたセンサ値を前記角速度の平均値である平均角速度と、前記移動角度の総量である総移動角度を算出することにより解析・計算し、前記平均角速度と前記総移動角度とを複数の区分に予め分類し、区分ごとに対応する音を設定し、算出された平均角速度と総移動角度とをこれにあてはめることにより前記音源の音を決定する解析・計算手段と、
前記音源の音の発音を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする、エクササイズ用具用の装置を提供する。
第2の側面として、本発明は、
更に複数の発光色を有する光源と、
前記センサにより計測されたセンサ値を前記角速度の平均値である平均角速度と、前記移動角度の総量である総移動角度を算出することにより解析・計算し、前記平均角速度と前記総移動角度とを複数の区分に予め分類し、区分ごとに対応する発光色を設定し、算出された平均角速度と総移動角度とをこれにあてはめることにより前記光源の発光色を決定する解析・計算手段を有する前記のエクササイズ用具用の装置を提供する。
第3の側面として、本発明は、
前記エクササイズ用具の利用者が前記音源の音の発音及び前記光源の発光色の発光について指令を与える操作部を有する前記のエクササイズ用具用の装置を提供する。
第4の側面として、本発明は、
前記エクササイズ用具用の装置を収納するための収納部を有するエクササイズ用具であって、前記収納部の側面は前記エクササイズ用具の外面と連続するエクササイズ用具を提供する。
第5の側面として、本発明は、
前記エクササイズ用具の内部に空気を注入するための空気注入排出口が前記収納部の側面に設けられ前記のエクササイズ用具を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、エクササイズボールの動きを複数種類の音を通じて客観的に把握することにより、エクササイズボールを用いたエクササイズが一人(個人利用者)でも複数人でも効果的に行うことが可能になる。また、エクササイズボールを用いたエクササイズにつき、特殊な訓練を行わなくても効果的な指導・監督が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施例の装置を示す図である。
図2】本発明の概要を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施例において平均角速度deg/s(平均加速度G)と総移動角度deg(総移動量m)を区分に分けた一例を示す図である。
図4】本発明の他の実施例において平均角速度deg/s(平均加速度G)と総移動角度deg(総移動量m)を区分に分けた一例を示す図である。
図5】本発明のエクササイズ用具の一例を示す図である。
図6】本発明のエクササイズ用具の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係るエクササイズ用具用の装置を、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、各図面や実施例の説明において同様の部材などには同じ符号を用いている。また、以下においてエクササイズ用具は単に「ボール」ともいう。
【0022】
(第1実施例)
本発明のエクササイズ用具用の装置は、音源と、センサと、解析・計算手段と、制御手段とを有する。なお、第2実施例のように光源を有するように構成することもできる。図1に装置の一例を示す。図1(a)は装置の上方から見た斜視図であり、(b)は装置の下方から見た斜視図である。図1(b)は、装置1が光源4を有する場合の一例である。光源以外の各要素は装置の内部に組み込まれており、図示されていない。
【0023】
音源は、複数の異なる種類の音、例えば音階による音(例:ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、ド。最初のドと最後のドは1オクターブ異なるもの。)を発するように構成することができる。また、複数の異なる種類の音として、例えば、鐘の音、ブザー音、笛の音、太鼓の音などを発するように構成することもできる。また、異なる高さ、音程、強弱(大小)の複数の音を発するように構成することもできる。更に、長さの異なる複数の音(例:第1音は0.3秒の「ピッ」という音、第2音は0.5秒の「ピッ」という音、第3音は0.7秒の「ピー」という音、など。)を発するように構成することもできる。これらを組み合わせて複数の音が発せられるように構成することも可能である。音源からの音は、符号3で表される通音孔(音声部)から発するように構成することができる。
【0024】
センサは、エクササイズボールに利用者が力を加えた際にこのエクササイズボールの角速度と移動角度を計測する。すなわち、利用者が例えばエクササイズボールに乗ると、ボールは不安定な状態となる。ボールの特定の部位(例えば利用者が乗る付近)を基点とした場合、この基点は前後左右に動く。このボールの動きを、センサにより計測し、その計測値に基づき音源から所定の音を発するように構成する。
【0025】
具体的な構成としては、利用者がボールに乗っている時のボールの動きを角速度と移動角度で捉える。これらの角速度と移動角度を、想定される値において予め複数の区分に分類し、音源が発音すべき音を区分毎に設定しておく。そして、ボールに利用者が乗った際にボールの角速度と移動角度を計測し、この計測値(センサ値)を解析・計算し、前記区分にあてはめることで、所定の音を決定し発音させる。
【0026】
ボールの動きの角速度と移動角度は、平均角速度deg/s(平均加速度G)と総移動角度deg(総移動量m)を算出し、発音する音を決定することができる。例えば、平均角速度と総移動角度を「速い」「中間」「遅い」「大きい」「中間」「小さい」に分類すると、その組み合わせとして下記表1の(1)-(9)の9つのパターン(区分)が想定され得る。
【0027】
表1
【0028】
これらの区分に、予め、それぞれ対応する音を設定する。そして、後述のように所定の時間計測され解析・計算されることにより得られた平均角速度と総移動角度をこれらの区分に当てはめ、それに応じた音を音源から発生させる。
【0029】
本実施例においては、図3に示すように、平均角速度deg/s(平均加速度G)と総移動角度deg(総移動量m)を予め8つの区分に分類した。この例では、各区分に、それぞれ、ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、ドといった音(音源が発音することとなる音)を設定している。
【0030】
あらかじめ設定した区分の閾値は、設定データ記憶部やSDカードの設定ファイルにて設定、記憶しておくことができる。
【0031】
本実施例において、角速度と移動角度を計測するセンサにはジャイロセンサを用いた。この場合、ジャイロセンサのX軸、Y軸、Z軸の計測値を100ms周期で計測し取得する。
【0032】
次に、上記取得した計測値(センサ値)を解析・計算する。かかる解析・計算は、下記計算式により、総移動角度と平均角速度を算出することにより行う。
【0033】

【0034】


【0035】
なお、センサの角速度と角度のXYZ値のログは、センサデータ記憶部に逐次記憶させるように構成することができる。
【0036】
総移動角度と平均角速度は上記8つの区分のいずれかにあてはめられ、それに応じた音が制御部により制御され音源から発音される。
【0037】
解析・計算手段によりセンサ値が解析・計算された結果(総移動角度と平均角速度)が一時的に記憶され音に反映されるためのメモリを備えるように構成してもよい。
【0038】
図3における各領域の値を変更することで音の閾値を変更することが可能である。閾値の一例を表2に示す。
【0039】
表2
【0040】
この例では、直近のセンサの座標から現在の座標まで移動した距離、角度を用いる。これらの移動距離、移動角度を、総移動角速度と平均加速度の図3に当てはめ、算出された値が図3のどの位置にあるかにより、その位置にある音が発せられる。
【0041】
エクササイズボールの利用者(本装置の利用者)が音源の音の発音について(また、第2実施例においては光源の発光色の発光についても)、指令を与える操作部を有するように構成することもできる。例えば、装置が特定の音を発した時に操作部(図1(a)では符号2によりボタンとして示されている)を押すと特定の発光色で発光するように構成することができる。このように構成すると、複数人でエクササイズを行う際のエクササイズプログラムを増やすことが可能となる。
【0042】
図2に、本発明に係る装置一例の、ボールを除いた全体構造を表すブロック図を示す。ここでは光源も含めて示している。
【0043】
バランスボールにおいては、利用者は集中するなどのために目を閉じてエクササイズを行うことがあるが、本発明によれば、その場合も利用者に対し音の違いによってある程度の量の情報を提供することができる。また、本発明による場合、音を利用する点では視覚障害者が音を頼りに運動をすることができるように、また光を利用する点(第2実施例)では聴覚障害者が光を見ながら運動することができるように、エクササイズのプログラムを構成することができる。従って、本発明は、これらの点でも有利である。
【0044】
本発明において、ボールの傾きにより発音や発色する点を利用すれば、実施形態にかかわらず、ボールに座るなどするのではなく、手に持ってエクササイズを行うように構成することも可能である。この場合、例えばボールのサイズを直径約30cm程度とし、手で持って傾けると傾きの度合いにより所定の音や発光色を発するように構成する。このように構成すれば、ボールに座ることが困難な高齢者などでも、手を使った簡単なエクササイズを行うことが可能となる。従って、本発明のエクササイズ用具には上記程度の大きさのものも含まれ得る。
【0045】
なお、本装置においても、使用目的によっては、言葉を用いることもできる。エクササイズボールの傾きを知らせるなどの場合は、言葉でない音による方が意識の集中を妨げにくく効果的であるが、集中よりもエクササイズの手順や使い方を示す場合等は、言葉を用いることが便宜となる。
【0046】
音(第1実施例)、後述の発光色(第2実施例)、両者(第3実施例)などにつき、コンピュータソフトウェアを用いてコントロールするように構成することもできる。コンピュータソフトウェアは、別途用意されるスマートフォン、タブレット、パソコンなどの端末にインストールし、これらの端末により操作することも可能である。
【0047】
コンピュータソフトウェアを用いた場合、第1実施例については、表3のような機能を持たせることが可能である。
【0048】
表3
【0049】
(第2実施例)
本実施例においては、ボールの動きをセンサが計測し、その計測値に基づき光源から所定の発光色を発するように構成する。
【0050】
すなわち、本装置は、複数の発光色を発し得る光源を有するものとすることもできる(図1(b))。光源4からは複数の発光色が発光されるものとし、例えばLEDを用いることができる。複数のLEDを用い、光量を制御することで、発光色をグラデーションで表示することもできる。光源は、LEDの発光によりボール全体が発光してみえるものとなるように、LEDの光がボールの外皮を内側から照らせるよう配置する。
【0051】
光源からの発光色は、センサと連動させることができる。センサの構成は第1実施例と同様であり、エクササイズボールに利用者が力を及ぼした際にこのエクササイズボールの角速度と移動角度をセンサが計測し、その計測値に基づき光源から所定の発光色を発するように構成する。
【0052】
この場合、利用者がボールに乗っている時のボールの動きを角速度と移動角度で捉え、これらの角速度と移動角度を、想定される値において予め複数の区分に分類し、光源が発光すべき色を区分毎に設定しておく。そして、ボールに利用者が乗った際にボールの角速度と移動角度を計測し、この計測値(センサ値)を解析・計算し、前記区分にあてはめることで、所定の発光色を決定し発光させる。
【0053】
ボールの動きの角速度と移動角度は、平均角速度deg/s(平均加速度G)と総移動角度deg(総移動量m)を算出し、発光色を決定することができる。ここでも、例えば、平均角速度と総移動角度を「速い」「中間」「遅い」「大きい」「中間」「小さい」に分類すると、その組み合わせとして前掲表1のようなパターン(区分)が想定され得る。
【0054】
これらの区分に、予め、それぞれ対応する発光色を設定する。そして、後述のように所定の時間計測され解析・計算されることにより得られた平均角速度と総移動角度をこれらの区分に当てはめ、それに応じた色をLEDなどの光源にて発光させる。
【0055】
本実施例においては、図4に示すように、平均角速度deg/s(平均加速度G)と総移動角度deg(総移動量m)を予め8つの区分に分類した。この例では、各区分に、それぞれ、紫色、青色、水色、赤色、緑色、オレンジ色、黄色、黄緑色といった発光色(光源が発光することとなる色)を設定している。
【0056】
なお、ボールの外皮の色との関係で、LEDにおいて本来意図される発光色と、実際にボールにおいて視認される発光色とが若干異なり得る(例えば、ボールの外皮を白色とし、LEDからの発光色が紫色の場合、ピンク色に近い色で視認されるなど)。
【0057】
あらかじめ設定した区分の閾値は、SDカードの設定ファイル(設定データ記憶部)にて設定しておくことができる。
【0058】
本実施例において、角速度と移動角度を計測するセンサにはジャイロセンサを用いた。この場合、ジャイロセンサのX軸、Y軸、Z軸の計測値を100ms周期で計測し取得する。
【0059】
次に、上記取得した計測値(センサ値)を解析・計算する。かかる解析・計算の計算式は、実施例1において示したものと同様である。
【0060】
なお、センサの角速度と角度のXYZ値のログは、センサデータ記憶部に逐次記憶させるように構成することができる。
【0061】
総移動角度と平均角速度は上記8つの区分のいずれかにあてはめられ、それに応じた色が制御されLEDが発光される。
【0062】
図4における各領域の値を変更することで発光色の閾値を変更することが可能である。閾値の一例を表4に示す。
【0063】
表4
【0064】
この例では、直近のセンサの座標から現在の座標まで移動した距離、角度を用いる。これらの移動距離、移動角度を、総移動角速度と平均加速度の図4に当てはめ、算出された値が図4のどの位置にあるかにより、その位置にある発光色が発せられる。
【0065】
解析・計算手段によりセンサ値が解析・計算された結果(総移動角度と平均角速度)が一時的に記憶され発光色に反映されるためのメモリを備えるように構成してもよい。
【0066】
エクササイズボールの動きがセンサにより感知され、発光情報が得られ、これに基づきLEDから所定の発光色が発せられるように構成される。この発光色はボールの動きに応じて変化するため、利用者は、このボールの動きを視覚において一見して認識することもできるものとなる。この場合、鏡を設置し、それを通じてボールを視認できるようにすれば、利用者は発光色を容易に視認することができる。
【0067】
(第3実施例)
本装置においては、発光と音を連動させるように構成することもできる。例えば、発光色別に音源(音階)を設定しておき、発光色が変化した場合に、発光色と同時に音を変化させる。例えば、水色…ド 黄色…レ 黄緑色…ミ、・・・のように設定しておき、色と音を同時に変化させることができる。このように構成すれば、聴覚上も視覚上も端的な情報であるため集中力を妨げることなく、かつ、聴覚および視覚からの連動した働きかけにより、エクササイズを飽きることなく継続させ得るものとなる。更に、多数のバリエーションを得ることが可能となり、例えば発光色が水色になった時だけ鐘の音が鳴る、というように構成することなどが可能となる。
【0068】
なお、各実施例において、スタート時に0軸(0.0.0の地点)が設定され、これを基準とした距離や角度に基づいて(0.0.0の地点からの座標のずれを算出して)音や発光色が発せられるように構成することもできる。すなわち、これらの移動距離、移動角度を、総移動角速度と平均加速度の図3(音の場合)、図4(発光色の場合)に当てはめ、算出された値が図3図4のどの位置にあるかにより、その位置にある音、発光色が発せられる。この場合、音のカテゴリーは、異なる音階(ド、レ、ミ・・・)等とすることもできるし、異なる長さの音(0.3秒の「ピッ」という音、0.5秒の「ピッ」という音、0.7秒の「ピー」という音、など)とすることもできる。また、例えば異なる音階の異なる長さの音としてもよい。
【0069】
本発明の装置は、実施例にかかわらず、エクササイズボールの外側に取り付けるように構成することができる。装置をエクササイズボールの外側に取り付ける場合、装置のサイズを小さくしたり、厚みを(例えば円盤状に)薄くしたりすれば、装置が利用者のエクササイズの妨げになるのを回避することが可能となる。かかる装置とエクササイズボールの外側表面とが面ファスナーなどで着脱可能となるように構成することができる。
【0070】
更に、いずれの実施例においても、本発明の装置がエクササイズボールの内側(内部)に取り付けられるようにエクササイズボールを構成してもよい。この場合、エクササイズボールの内側(内部)に、装置が収納される空間が設けられるように構成する。
【0071】
このように構成した場合の装置とエクササイズボールの一例を図5に示す。この例では、装置1は図1に示したものと同じく略円筒形状としている(図5(b)参照)。また、エクササイズボール5に、外側表面から連続しつつ内側方向に向かう略円筒形状ないし略円錐台形状の空間7を設けている(図5(a)参照)。なお、図5(a)は説明のための図であり、空気を入れて球体状となった状態では空間7は図5(b)のように圧縮される。空間7は、エクササイズボールの外側表面に入り口を持つ穴(内部に向けた穴、符号6で示される付近参照)が設けられるような状態となる。この穴すなわち空間に装置を挿入して収納する(この空間が、装置を収納するための収納部7となる)。
【0072】
収納部の形状としては、収納部の入り口(符号6の付近)の直径を最大とし、内部に向けて徐々に狭まる(窄まる)ように形成してもよい。装置を略円筒形状とした場合、装置がこの収納部にフィットするように装置と収納部のサイズと形状を構成すれば、装置を収納した状態でエクササイズボールを使用しても装置が収納部から容易に抜け落ちるようなことを回避することができる。すなわち、エクササイズボール内に空気を注入すると、空気圧により収納部が圧迫され(図5(b)において矢印で示されている)、装置が収納部から抜け落ちにくくなる。なお、収納部7において装置1が配置される部分は、図5(b)においては装置1に対応した略円筒形状に表されているが、装置収納前は、圧縮されるためこのような形状となるとは限らない。
【0073】
かかる構成によれば、エクササイズボールに装置を取り付けた場合に、装置が利用者のエクササイズの妨げになることをより一層避けることが可能となる。
【0074】
のみならず、上記のとおり収納部に挿入された装置が収納部から抜け落ちにくくなることにより、たとえエクササイズボールが転がるなどしても、装置はエクササイズボールの収納部内に保持される。よって、エクササイズボールから抜け落ちるなどして装置が故障するといったことを回避することができる。
【0075】
更に、エクササイズボールには、通常、内部に空気を注入し、また排出する空気注入排出口がボールの外側に設けられる。この空気注入排出口は、空気を注入した後、留め具で封止されるが、外側からの衝撃を受けて留め具が外れる等して空気が抜けることがあり得る。また、そのため空気注入排出口をあまり大きくすることができず、その結果、空気を注入したり抜いたりする速度を速めることができない。
【0076】
本発明によると、この空気注入排出口を収納部の側面に設けることができる。図6に収納部7の側面6に空気注入排出口とその留め具8を設けた構成の一例を示す。このように構成することにより、外側から空気注入排出口に直接衝撃が与えられることによって空気が抜けることを防ぐことが可能となる。また、外側から空気注入排出口に直接衝撃が与えられないため、空気注入排出口を従来よりも大きくすることができる。その結果、空気を注入したり抜いたりする速度が速められる。
【0077】
なお、空気圧で圧着された部分に、光源からの発光が照射され乱反射し、ボール全体が均一に発光することが促進され得る。
【0078】
[適用の具体例]
本発明は単に音を発するのではなく、センサを用いて音の種類や長さ、高さ等の違いを利用し、また発光色も利用することができるため、エクササイズに多数のバリエーションを提供することができるものとなる。本発明の装置においてエクササイズボールを用いた各種エクササイズの具体例を以下に示す。上述の実施例につき、適用可能なものを適宜適用することができる。
【0079】
1.静止
<目的> 集中・リラックス。
<動作> エクササイズボールの中心に座り、背筋を伸ばして足をしっかり床につける。ボールが常に動くため、力を抜いてボールを静止させる。集中をすると目を閉じる可能性が高いため、本発明(音声)による場合の効果が顕著となる。
<発光> ボールはいつも微動している状態なので、色が変化する。静止状態を保てると、特定の発光色(例えば水色)で発光するように構成する。
<音> 小さい傾きセンサにて感知し、閾値によって再生させることで、自分がどちらに傾いているのかがわかりやすいものとなる。
<色> 色別に音源(音階)を設定しておき、色が変化した場合は色と同時に音を変化させる。例えば、水色…ド 黄色…レ 黄緑色…ミ、・・・のように変化させる方法もある。または、水色になった時だけ、鐘の音が鳴るなどの応用も可能である。
【0080】
2.腰回し
<目的> 骨盤の周りの筋肉の弛緩。
<動作> エクササイズボールの中心に座り、背筋を伸ばして足をしっかり床につける。上半身はそのままに、腰だけを可動域いっぱいにゆっくりと同じスピードで回す。バランスを取りながらゆっくりと動かすことで、一部腹筋を利用しながら、腰回り全体と弛緩することができる(柔軟性・一部筋肉強化・バランス感覚強化)。
<発光> 大きくゆっくりと回すことで目的とした色(例えば紫色)を出すように構成する。
<音> あらかじめ設定している指導者のゆっくりとしたタイミングで腰を回すことができた時(同じ色が出た時)に例えば特定の音階が再生されるようにすることで、うまくできているかを自ら確認することが可能になる。
<色> 一定の動きを保持することで、同じ色及び/又は音を出し続けるように構成することができる。センサの感度を変化させることで、難易度を変化させることができる。
【0081】
3.バウンド
<目的> 腹筋・背筋・ももの筋力強化。
<動作> エクササイズボールの中心に座り、背筋を伸ばして足をしっかり床につける。リズムよく上下にはねる。これにより、体をまっすぐにする必要が生じ、腹筋・背筋などの強化につながる。また、ボールが不安定であり、常に足で体を支えておく必要があるため、ももの筋力強化やバランス感覚の強化が見込まれる。
<発光> 一定の間隔と一定の強度のバウンドにより同じ光を出すように構成する。ボールが丸いため、バウンドがあらゆる方面に弾みやすく、真上に繰り返し弾まないと同じ光は発光されない。
<音> センサとの連動により、感覚ではわかりにくい微妙なずれを、閾値設定による音を再生することで、まっすぐに上下運動ができているかどうかを自ら確認することができ、フォームなどを修正することができる。センサの感度を調整することで、難易度を増すこともできる。
<色> 一定の動きを連続的に行うことができれば、同じ色を出し続けることができる。センサの強度を変化させることで、難易度を変化させられる。回数を測定して、回数ごとに色を変化させたり、音楽のリズムに合わせて弾んだりすることなどができる。プロジェクターなどと連動して、画面を見ながらゲーム的に行うことも想定できる。
【0082】
4.ジョギング
<目的> 上半身と下半身の動きを連動させる。
<動作> エクササイズボールの中心に座り、背筋を伸ばして足をしっかり床につける。バウンドで行った動きに、上半身の腕振り運動を付け加え上半身と下半身が連動して動くことを行う。体重を腰で受け止めるため、膝に負担がかかりづらく、腕を振ることで、腰のひねり運動が同時に行われる。さらに、大きく腕を振ることで、三角巾や大胸筋などの上半身の筋肉に刺激を与えることもできる。
<発光> 一定の間隔と一定の強度のバウンドにより同じ光を出すように構成する。ボールが丸いためバウンドがあらゆる方面に弾みやすく、真上に繰り返し弾まないと同じ光は発光されない。さらに、上半身のひねり運動が行われ、左右バランスを欠いた動きをするとその反動でボールがまっすぐ弾まないため同じ色が出にくくなる。正しく動作できているかどうかも色によるフィードバックが可能である。
<音> センサとの連動により、感覚ではわかりにくい微妙なずれを、閾値設定による音を再生することで、まっすぐに上下運動ができているかどうかを自ら確認することができ、フォームなどを修正することができる。センサの感度を調整することで、難易度を増すこともできる。
<色> 一定の動きを保持することで、同じ色を出し続けることができる。センサの強度を変化させることで、難易度を変化させられる。回数を測定して、回数ごとに色を変化させたり、音楽のリズムに合わせて弾んだりすることなどができる。プロジェクターなどと連動して、画面を見ながらゲーム的に行うことも想定できる。
【0083】
5.肩ストレッチ(1)
<目的> 肩関節の柔軟。
<動作> ボールの横(床)に正座した状態で上半身をボール側に傾けるようにしてボールに手をかける。肩から腕を伸ばし、うつぶせのような状態でボールを前後にゆっくり動かす。
<発光> 前後にゆっくり動かすことで、目的とした色を発光させるように構成する。
<音> あらかじめ設定している指導者のゆっくりとしたタイミングの音を再生し、それに合わせて動かすことができる。言葉でなく音に導かれた指導。
<色> 一定の動きを保持することで、同じ色を出し続けるように構成することもできる。
【0084】
6.肩ストレッチ(2)
<目的> 肩関節の柔軟。
<動作> ボールの横(床)に正座した状態で上半身をボール側に傾けるようにしてボールに手をかける。肩から腕を伸ばし、うつぶせのような状態でゆっくりとボールを回すことで、肩関節から広背筋の柔軟性を増す。
<発光> 大きくゆっくりと回すことで目的とした色を出すように構成する。指定された色を出すことを行っていると、意識を自然と集中して行うことが可能となる。
<音> あらかじめ設定している指導者のゆっくりとしたタイミングで再生し、それに合わせてボールを回すように構成することができる。言葉でなく音に導かれた指導。
<色> 一定の動きを保持することで、同じ色を出し続けることができる。センサの強度を変化させることで、難易度を変化させられる。
【0085】
7.長座転がし
<目的> 長座をしてハムストリングの柔軟。
<動作> ボールの横(床)に長座をしてハムストリングの柔軟をしながら自分の周りと一定のスピードでボールを転がし、上半身をひねる。ボールを転がすときに、両手で行ったり、片手で行ったりすると柔軟、体のひねり、指先の運動など複数の複雑な動きを同時に行うようになる。変形としてこの動きを開脚で行うなどの方法もある。
<発光> 一定のスピードでボールを転がすため、色を指定して発光させるように構成することができる。
<音> ボールの転がすスピードに合わせて音声を変化させることで、自然な指示を行うことができる。また、あらかじめ設定している指導者のゆっくりとしたタイミングで再生し、それに合わせてボールを回すことができる。言葉でなく音に導かれた指導。
<色> 一定の動きを保持することで、同じ色及び/又は音を出し続けるように構成することができる。センサの強度を変化させることで、難易度を変化させることができる。
【0086】
8.肩甲骨はさみ
<目的> 肩甲骨の柔軟性を高める。
<動作> ひざを折りひざから下を床に付けた状態で、ボールに背中から寄りかかり、肘をまげてボールに肘をぶつけるつもりで、胸を張る。
<発光> 肘がボールに当たり、一定間隔の衝撃がボールに加わった瞬間にボールが発光するように構成する。
<音> 音楽などに合わせてリズムよく行うことができる。リズム運動ができるようになり、タイミングがわかりやすくなる。
<色> 一定の間隔でボールに衝撃があるため、そのタイミング(色が光るなどのタイミング)でリズムなどの音(太鼓、爆発音など)を挿入する。
【0087】
9.ボール転がし(足)
<目的> 足先のコントロール。
<動作> 立った状態から、ボールの横に立ち、片足の足先を使って、ボールを一定スピードで転がす。これができると同じ光が発光するように構成する。足の指や内転筋など普段使いづらい部分の強化に繋がる。
<発光> 一定のスピードでボールを転がすため、色を指定して発光させるように構成することができる。
<音> ボールの転がすスピードに合わせて音を変化させることで、自然な指示を行うことができる。また、あらかじめ設定している指導者のゆっくりとしたタイミングによる音を再生し、それに合わせてボールを回すことができる。言葉でなく音に導かれた指導。
<色> 一定の動きを保持することで、同じ色及び/又は音を出し続けるように構成することができる。センサの強度を変化させることで、難易度を変化させることができる。
【0088】
10.複数利用
<目的> 複数人数でのボールの連動。
<動作> 複数人(AB)がそれぞれボールに座った状態で、Aがボール上でバウンドすると、Bのボールが発光するように構成する。これによると、AのボールからBのボールにあたかも光が飛んだように見えるため、光のキャッチボールを行うことができる。2名以上(ABCなど)の多くの人数で行う場合は、Aがバウンドすると、BまたはCなどランダムに光が発光することで、ゲーム感覚が増す。これにより、エクササイズが自然と行われ易く、また飽きずに継続されやすいものとなる。さらに多くの数で輪になって利用するなど応用も可能である。
<発光> センサやコンピュータソフトウェア(アプリケーション)で制御され、グループの一つだけや指定されたものだけが光る仕組みを利用できる。
<音> 光に合わせて音を利用し、ハンカチ落としなどの要領で音が回るなどのように構成することもできる。
<色> ボールが発光した瞬間に、発音部から効果音が流れるように構成することができる。自分のボールだけが発音した時は、自分のボールに光が来た(自分のボールが発光した)ことが分かりやすいものとなる。
<プロジェクター・アプリ> 床を白いマット等とし、コンピュータソフトウェア(アプリケーション)やプロジェクターを使用することで、白いマットに動画を映し、ボールの光以外にも効果的な動画を流すことで、よりゲーム性を高めることができる。
なお、複数利用は、チームビルディング、会社の研修などで行うことが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明によれば、エクササイズボールの個人利用者が、これを用いて有効なエクササイズを行うことができるようになる。
【0090】
また、本発明の装置によれば、指導経験が浅い指導者であってもエクササイズボールによる有効なエクササイズの指導を容易に行うことができるものとなる。
【0091】
更に、本発明の装置を用いることにより、高齢者等がその居住する地域で手軽に運動することができる。また、視覚障害者や聴覚障害者のエクササイズを支援することが可能となる。
【0092】
このように、本発明は、エクササイズボールによるエクササイズ特有の課題に対処できるのみならず、高齢者等一人で運動を行うのが容易でない場合についての施策の一助となり得るものであり、産業上の利用可能性は極めて高い。
【符号の説明】
【0093】
1 エクササイズ用具用の装置
2 操作部
3 音を発する部分(通音孔、音声部)
4 光源
5 本発明のエクササイズボール一例
6 収納部の側面
7 収納部
8 空気注入排出口の留め具
図1
図2
図3
図4
図5
図6