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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-05
(45)【発行日】2024-02-14
(54)【発明の名称】昇降テーブル
(51)【国際特許分類】
   A47B 9/20 20060101AFI20240206BHJP
   A47B 13/08 20060101ALI20240206BHJP
   A47B 9/00 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
A47B9/20
A47B13/08 A
A47B9/00 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020031204
(22)【出願日】2020-02-27
(65)【公開番号】P2021132843
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2023-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】511024001
【氏名又は名称】有限会社テクノム
(74)【代理人】
【識別番号】100081282
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 俊輔
(74)【代理人】
【識別番号】100085084
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 高英
(74)【代理人】
【識別番号】100117190
【弁理士】
【氏名又は名称】前野 房枝
(72)【発明者】
【氏名】沼倉 正毅
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-018459(JP,A)
【文献】特開2017-093870(JP,A)
【文献】実開昭63-112829(JP,U)
【文献】特開2003-204827(JP,A)
【文献】特開平05-232910(JP,A)
【文献】特開2007-221737(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 9/20
A47B 13/10
A47B 9/00
A47B 7/00
A47B 13/00
A47B 17/04
A47B 21/00
A47B 17/00
H04N 5/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心点を中心にして環状に配置された少なくとも3つの個別天板と、
各前記個別天板を支持して個別に昇降させることが可能な支承昇降手段と、
前記中心点に配置されて、前記個別天板よりも高い位置に設けられる共用台と、
備え、
前記共用台は、前記中心点において前記個別天板側から立てて設けられた支持部材と、前記支持部材の上端部に固定された台座部と、前記支持部材を昇降可能に支える昇降保持部をさらに有し、
複数の前記個別天板の前記中心点の付近には、収納部が形成されており、前記台座部が前記昇降保持部により最も下方の位置に位置決めされると、前記台座部は、前記収納部に収納されて前記個別天板と前記台座部が面一になる
ことを特徴とする昇降テーブル。
【請求項2】
前記個別天板の下面側には、各前記個別天板を支える前記支承昇降手段を連結して補強する補強構造材を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の昇降テーブル。
【請求項3】
複数の前記個別天板は、パーテーションで仕切られている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の昇降テーブル。
【請求項4】
前記台座部には、ディスプレイが配置されている
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の昇降テーブル。
【請求項5】
複数の前記ディスプレイが、各前記個別天板に対応して前記台座部に配置されている
ことを特徴とする請求項に記載の昇降テーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天板の高さを調節することのできる昇降テーブルに係り、環状に配置した複数の天板の高さを調節することに好適な昇降テーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の利用者が利用する施設、例えば、福祉施設、介護施設等では、通常の椅子を利用する使用者、車椅子を使用する利用者がいて、様々な体格の利用者がいるために、食事や作業に使用するテーブルの高さを利用者に合わせる必要がある。従来、このような要望に対応するため、利用者毎に高さの異なるテーブルを提供していた。しかしながら、利用者に応じた高さの異なる複数種類のテーブルを、予め用意しておくことには大きなコストと広い収納スペースが必要であるという問題点が発生する。
【0003】
通常用いられている昇降テーブルは、一枚の天板を昇降可能に構成しており、一人の利用者のみを対象としたものである。多数の利用者がいる施設等では、多数の昇降テーブルが必要となるため、多大な費用がかかってしまう。また、多数の昇降テーブルを準備したり、片付けたりする作業も大変である。
【0004】
従来開示されている昇降テーブルは、複数の天板を両端の脚部に横架された1個のフレームに取り付けて一体型として形成されているので、昇降テーブルの準備作業や片付け作業を効率的に行うことができるとともに、部品点数を削減して安価な昇降テーブルを提供することができる。しかし、複数の天板を1個のフレームで支持するように構成して、当該フレームの堅牢性を確保するために、このフレームが重厚になりやすく、昇降テーブル全体のデザインにも制約があった。また、車椅子利用者に対して足回りに十分な奥行きを確保しようとすると、昇降テーブル全体の設置面積が大きくなりやすいという問題があった。
【0005】
そこで、本発明者らは、上記課題を解消するために、特許文献1において昇降テーブルを提案している。この昇降テーブルは、複数の利用者の状況に応じて高さを調節することができるとともに、昇降テーブルの準備作業や片付け作業を効率的に行うことのでき、安価である。しかも、この昇降テーブルは、複数の利用者が同時に使用できる構造でありながら、支持フレームがないかもしくはあっても軽量である。そのため、この昇降テーブルは、全体重量も軽減でき、準備や片づけ作業が容易で、設置面積もコンパク トに抑えることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-153864公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、このように複数の利用者が同時に利用できる昇降テーブルでは、複数の利用者が共通して利用できる共通利用スペースが設けられていないという問題があった。このため、複数の利用者のさらなる利便性の向上が求められている。
【0008】
本発明は、上記の問題点を解消すべくなされたものであって、複数の利用者が共通して利用できる共通利用スペースを設けることで、複数の利用者の利便性を向上することができる昇降テーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するため、本発明の第1の態様の昇降テーブルは、中心点を中心にして環状に配置された少なくとも3つの個別天板と、各前記個別天板を支持して個別に昇降させることが可能な支承昇降手段と、前記中心点に配置されて、前記個別天板よりも高い位置に設けられる共用台と、を備え、前記共用台は、前記中心点において前記個別天板側から立てて設けられた支持部材と、前記支持部材の上端部に固定された台座部と、前記支持部材を昇降可能に支える昇降保持部をさらに有し、複数の前記個別天板の前記中心点の付近には、収納部が形成されており、前記台座部が前記昇降保持部により最も下方の位置に位置決めされると、前記台座部は、前記収納部に収納されて前記個別天板と前記台座部が面一になることを特徴とする。
【0013】
本発明の第の態様の昇降テーブルは、前記個別天板の下面側には、各前記個別天板を支える前記支承昇降手段を連結して補強する補強構造材を有することを特徴とする。
【0014】
本発明の第の態様の昇降テーブルは、複数の前記個別天板、パーテーションで仕切られていることを特徴とする。
【0015】
本発明の第の態様の昇降テーブルは、前記台座部には、ディスプレイが配置されていることを特徴とする。
【0016】
本発明の第の態様の昇降テーブルは、複数の前記ディスプレイが、各前記個別天板に対応して前記台座部に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、複数の利用者が共通して利用できる共通利用スペースを設けることで、複数の利用者の利便性を向上することができる昇降テーブルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の昇降テーブルの第1実施形態を斜め上方から見た様子を示す斜視図
図2】昇降テーブルを斜め下方から見た様子を示す斜視図
図3】昇降テーブルの上面図
図4】昇降テーブルの下面図
図5】昇降テーブル図2と異なる方向の斜め下方から見た様子を示す斜視図
図6降テーブルから個別天板を取り除いた支承昇降手段を斜め下向きに示す斜視図
図7】昇降テーブルから個別天板を取り除いた支承昇降手段を斜め上向きに示す斜視図
図8図1に示す昇降テーブルの正面図
図9】昇降テーブルの側面図
図10】昇降テーブルの使用例を示す図
図11】本発明の昇降テーブルの第2実施形態を示す斜視図
図12】本発明の昇降テーブルの第3実施形態を示す斜視図
図13】本発明の昇降テーブルの第4実施形態を示す斜視図
図14】本発明の昇降テーブルの他の実施形態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0020】
(第1実施形態)
図1から図4を参照して、本発明の昇降テーブルの第1実施形態を説明する。図1は、本発明の昇降テーブルの第1実施形態を斜め上方から見た様子を示す斜視図であり、図2は、昇降テーブルを斜め下方から見た様子を示す斜視図である。図3は、昇降テーブルの上面図であり、図4は、昇降テーブルの下面図である。
【0021】
<昇降テーブル1の全体構成について>
図1図2に示すように、第1実施形態の昇降テーブル1は、環状に配置された少なくとも3つの個別天板2と、個別天板2(2a、2b、2c、2d)を支承して昇降させる支承昇降手段3(3a、3b、3c、3d)と、共用台30と、を有している。図示例の第1実施形態では、好ましくは、例えば4つの個別天板2a、2b、2c、2dと、4個の支承昇降手段3a、3b、3c、3dと、を有している。
【0022】
支承昇降手段3a、3b、3c、3dは、個別天板2a、2b、2c、2dを、例えばそれぞれ手動によりZ方向に沿って昇降して、所定の高さ位置に位置決めすることができる。あるいは、支承昇降手段3a、3b、3c、3dは、個別天板2a、2b、2c、2dを、図示を省略している電動モータ等の駆動手段を用いて、Z方向に沿って自動的に昇降して、所定の高さ位置に位置決めすることもできる。
【0023】
<個別天板2(2a、2b、2c、2d)>
まず、個別天板2(2a、2b、2c、2d)について説明する。図1から図3に示すように、個別天板2(2a、2b、2c、2d)は、ほぼ長方形状を有している板状部材である。これらの個別天板2(2a、2b、2c、2d)は、2本の分割線D-D、F-Fにより、4つに分割されている。図1に示すように、分割線D-Dと分割線F-Fは、中心点Pを中心にして直交している。図3に示すように、個別天板2aは、4辺の直線部分2a-1から2a-4を有し、個別天板2bは、4辺の直線部分2b-1から2b-4を有し、個別天板2cは、4辺の直線部分2c-1から2c-4を有し、そして個別天板2dは、4辺の直線部分2d-1から2d-4を有する。
【0024】
個別天板2(2a、2b、2c、2d)は、それぞれ1つの角部分2hを有しており、各角部分2hは、利用者の安全性を確保するために丸みを持たせてあり、例えばほぼ1/4楕円形状あるいは円弧状に形成されている。個別天板2(2a、2b、2c、2d)は利用者ごとに、それぞれ使用できるテーブルとして機能し、例えば利用者が利用する形態や利用者の体格の大小に応じて、高さ位置を自在に変更することができる。複数の利用者が利用する施設、例えば、福祉施設、介護施設等では、通常の椅子を利用する使用者、車椅子を使用する利用者がいて、様々な体格の利用者がいる。このために、食事や作業に使用する個別天板2(2a、2b、2c、2d)の高さ位置は、各利用者の事情に合わせて調整することができる。
【0025】
一例として、個別天板2(2a、2b、2c、2d)の高さ位置は、利用者が車椅子に座った状態で作業を行う場合には、通常の椅子に座って作業を行う場合に比べて、変更することができる。個別天板2(2a、2b、2c、2d)の材料としては、木材、樹脂、金属、セラミック、強化ガラスまたはこれらの積層体・混合体等、用途に応じて任意のものを選択することができる。
【0026】
<支承昇降手段3(3a、3b、3c、3d)について>
次に、支承昇降手段3(3a、3b、3c、3d)について、説明する。
【0027】
図1図2に示すように、支承昇降手段3(3a、3b、3c、3d)は、個別天板2(2a、2b、2c、2d)を別々に支持しており、しかもZ方向に別々に昇降して、任意の高さに位置決めすることができる構造を有する。支承昇降手段3aは、第1脚部3a1と第2脚部3a2を有し、支承昇降手段3bは、第1脚部3b1と第2脚部3b2を有する。同様にして、支承昇降手段3cは、第1脚部3c1と第2脚部3c2を有し、支承昇降手段3dは、第1脚部3d1と第2脚部3d2を有する。
【0028】
第1脚部3a1と第2脚部3a2は、個別天板2aを支持し、しかも個別天板2aをZ方向に昇降して任意の高さに位置決めすることができる。第1脚部3b1と第2脚部3b2は、個別天板2bを支持し、しかも個別天板2bをZ方向に昇降して任意の高さに位置決めすることができる。第1脚部3c1と第2脚部3c2は、個別天板2cを支持し、しかも個別天板2cをZ方向に昇降して任意の高さに位置決めすることができる。第1脚部3d1と第2脚部3d2は、個別天板2dを支持し、しかも個別天板2dをZ方向に昇降して任意の高さに位置決めすることができる。
【0029】
図5は、昇降テーブル1の構造例の斜め下方からの斜視図であり、図6は、昇降テーブルから個別天板2(2a、2b、2c、2d)を取り除いた支承昇降手段3(3a、3b、3c、3d)を斜め下向きに示す斜視図である。図7は、昇降テーブルから個別天板2(2a、2b、2c、2d)を取り除いた支承昇降手段3(3a、3b、3c、3d)を斜め上向きに示す斜視図である。
【0030】
図2図5から図7に示すように、第1脚部3a1と第2脚部3a2と、第1脚部3b1と第2脚部3b2と、第1脚部3c1と第2脚部3c2と、第1脚部3d1と第2脚部3d2は、共に同じ構造を有している。このように支承昇降手段3(3a、3b、3c、3d)は同じ構造を採用することで、昇降テーブル1の製造時のコストダウンを図ることができる。
【0031】
以下に、第1脚部3a1と第2脚部3a2の構造例を代表して説明するが、第1脚部3b1と第2脚部3b2と、第1脚部3c1と第2脚部3c2と、第1脚部3d1と第2脚部3d2の各構造例も同じであるので、説明を省略する。
【0032】
第1脚部3a1と第2脚部3a2は、共に支持部材10と、上下操作部材11と、固定部材12と、キャスタ13を有する。支持部材10は、例えば断面が矩形の中空状の部材であり、支持部材10の中には、断面が矩形状の上下操作部材11が移動可能に挿入されている。この上下操作部材11は、支持部材10において、Z方向に上下動してしかも任意の高さ位置に位置決め可能である。
【0033】
図6図7に示す例では、支持部材10は、位置決め操作部25を有している。利用者または昇降テーブル1の管理者は、例えばこの位置決め操作部25を押し下げることにより、支持部材10における上下操作部材11の位置をZ方向に上下して、上下操作部材11を任意の高さに調整することができる。利用者がこの位置決め操作部25の押し下げをやめれば、支持部材10における上下操作部材11の位置が固定される。
【0034】
ところで、支承昇降手段3(3a、3b、3c、3d)の支持部材10と上下操作部材11の構造は、図示例に特に限定されない。例えば、支持部材10と上下操作部材11の断面形状は、矩形でなくても、他の形状である円形状であっても良い。支持部材10が上下操作部材11をZ方向に上下動してしかも任意の位置に位置決めできるようにするために、例えば空気圧式のダンパ構造を採用してよい。
【0035】
支承昇降手段3(3a、3b、3c、3d)としては、個別天板2(2a、2b、2c、2d)をそれぞれ別個に支えながら、Z方向(鉛直方向)に伸縮できるものであればよく、公知の伸縮機能を備えた装置を用いることができる。例えば、支承昇降手段3(3a、3b、3c、3d)は、個別天板2(2a、2b、2c、2d)をそれぞれ別個に支えながら、手動または自動によって伸縮したり、機械的構成によって伸縮したり、各種のアクチュエータを用いて伸縮したりするものを選択することができる。
【0036】
支持部材10は、上下操作部材11を挿入可能な中空部材であるが、上下操作部材11が支持部材10に対してZ方向にスライド操作できる構造としては、ラックとこのラックにかみ合うピニオンを用いた機械的な構造を採用することができる。これにより、上下操作部材11は、支持部材10内においてスムーズに上下移動することできる。
【0037】
また、上下操作部材11が支持部材10に対して固定する構造としては、すでに説明した位置決め操作部25を採用している。この位置決め操作部25としては、例えば上下操作部材11を支持部材10の内面に対して圧接して摩擦によるロックする構造を採用できる。位置決め操作部25の別の構造例としては、上下操作部材11と支持部材10には、それぞれ一定間隔で孔を開けて、位置決め操作部25を操作することで、これらの孔のいずれかにピンを挿入することで、上下操作部材11のZ方向の位置が支持部材10に対して固定できるようにしても良い。
【0038】
さらに、支承昇降手段3(3a、3b、3c、3d)には、上下操作部材11が支持部材10において、Z方向に容易に上下動作できるようにするために、アシスト機能を持たせても良い。アシスト機能としては、例えば、機械的または電気的なものである。機械的なアシスト機能としては、コイルスプリングまたは板バネ、ガススプリング等が挙げられる。また、ガススプリングの構造例としては、シリンダチューブ内にガスが封入されている。ピストンロッドの固定・開放を指示するボタンの操作によって、ピストンロッドは、シリンダチューブから突出させたり、途中停止させたり、更に最長状態まで突出させて固定したり、最短状態まで収縮させることができる。さらに、電気的なアシスト機能としては、電動モータや電磁誘導を用いたものアクチュエータ等が挙げられる。
【0039】
図2図7に示すように、各支持部材10の下端部には、キャスタ13が取り付けられている。これにより、図1に示す昇降テーブル1は、複数のキャスタ13を用いて床上を移動でき、使用者または管理者がキャスタ13のストッパ14を押すことで、昇降テーブル1の位置を固定できる。
【0040】
上下操作部材11の上端部には、プレート状の固定部材12が設けられている。この固定部材12は、各個別天板2a、2b、2c、2dの下面に対して例えばネジ止めなどにより固定されている。第1脚部3a1と第1脚部3d1が隣接した状態で平行に配置され、第2脚部3a2と第2脚部3b2が隣接した状態で平行に配置されている。同様にして、第1脚部3b1と第1脚部3c1が隣接した状態で平行に配置され、第2脚部3c2と第2脚部3d2が隣接した状態で平行に配置されている。
【0041】
ただし、図2図7に示すように、隣接する第1脚部3a1と第1脚部3d1の組、第2脚部3a2と第2脚部3b2の組、第1脚部3b1と第1脚部3c1の組、そして第2脚部3c2と第2脚部3d2の組は、これらの上下部分において、それぞれ補強板15,16により固定されている。これにより、支承昇降手段3(3a、3b、3c、3d)の十分な機械的な強度を確保している。
【0042】
図2に示すように、第1脚部3a1と第2脚部3a2は、個別天板2aの下面を固定した状態で、個別天板2aを支持している。第1脚部3b1と第2脚部3b2は、個別天板2bの下面を固定した状態で、個別天板2bを支持している。第1脚部3c1と第2脚部3c2は、個別天板2cの下面を固定した状態で、個別天板2cを支持している。第1脚部3d1と第2脚部3d2は、個別天板2dの下面を固定した状態で、個別天板2dを支持している。
【0043】
<補強構造材20,20,21>
次に、図2図4図6を参照して、補強構造材20,20,21について説明する。
【0044】
図2図4図6に示すように、補強構造材20,20,21は、例えば金属製のほぼ十字型の構造体を構成しており、個別天板2(2a、2b、2c、2d)の下面側に配置されている。補強構造材20,20,21は、支承昇降手段3(3a、3b、3c、3d)の位置関係を強固に固定するとともに、Z方向に最も下げた位置にある個別天板2(2a、2b、2c、2d)の下面を支える。図2に示すように、補強構造材20,20は、分割線D-Dに沿って水平に配置され、補強構造材21は、分割線F-Fに沿って水平に配置されている。補強構造材20,20の合計長さは補強構造材21の長さよりも長く、補強構造材20,20と補強構造材21は中央位置で直交している。
【0045】
図7に示すように、一方の補強構造材20の一端部は、第1脚部3a1と第1脚部3d1の補強板16に対してネジ止めにより固定され、一方の補強構造材20の他端部は、補強構造材21の中間部に対してネジ止めにより固定されている。同様にして、他方の補強構造材20の一端部は、第1脚部3b1と第1脚部3c1の補強板16に対してネジ止めにより固定され、他方の補強構造材20の他端部は、補強構造材21の中間部に対してネジ止めにより固定されている。
【0046】
図7に示すように、補強構造材21の一端部は、第2脚部3a2と第2脚部3b2の補強板16に対してネジ止めにより固定され、補強構造材21の他端部は、第2脚部3c2と第2脚部3d2の補強板16に対してネジ止めにより固定されている。これにより、4組の第1脚部3a1と第1脚部3d1の組、第1脚部3b1と第1脚部3c1の組、第2脚部3a2と第2脚部3b2の組、第2脚部3c2と第2脚部3d2の組についての相対的な位置は、補強構造材20,20,21により保持されている。
【0047】
<共用台30>
次に、図1図8図9を参照して、共用台30について説明する。
【0048】
図8は、図1に示す昇降テーブル1の正面図であり、図9は、昇降テーブル1の側面図である。この共用台30は、個別天板2(2a、2b、2c、2d)をそれぞれ使用する利用者が、共同で使用できるようにするために、個別天板2(2a、2b、2c、2d)の中心点Pの位置に設けられている。この共用台30は、台座部31と、支持部材32を有する。支持部材32は、例えば金属製やプラスチック製の丸棒である。支持部材32は、個別天板2(2a、2b、2c、2d)側から立てて設けられている。例えば、支持部材32の下端部33は、補強構造材21に直接固定されている。支持部材32の上端部34には、台座部31が水平に固定されている。
【0049】
この台座部31は、個別天板2(2a、2b、2c、2d)をそれぞれ使用する利用者がアプローチし易い形状を有しており、金属製やプラスチック製等であり、例えば円盤状である。この台座部31の上には、例えばティッシュ箱や、筆記道具、文房具等の共用できる道具等、各利用者が共用できるものを置くことができる。このように共用台30を個別天板2(2a、2b、2c、2d)から離した上方の位置に設けることにより、複数の利用者が共通して利用できる共通利用スペースを設けることができ、複数の利用者が昇降テーブル1を利用する際の利便性を向上することができる。
【0050】
<昇降テーブル1の使用例>
次に、図1図10を参照して、上述した昇降テーブル1の使用例を説明する。
【0051】
図10に示す昇降テーブル1の使用例では、個別天板2c、2dが、Z方向に関して最も低い位置PS1に位置決めされ、個別天板2aが、Z方向に関して中間位置PS2に位置決めされ、そして個別天板2bが、Z方向に関して最も高い位置PS3に位置決めされている。
【0052】
このように、並んだ2つの個別天板2c、2dが、Z方向に関して最も低い位置PS1に並べて位置決めされていることで、例えば通常の椅子を使用する1人の利用者が、2つの並んだ個別天板2c、2dを広く利用して作業を行うことができる。また、個別天板2aが、Z方向に関して中間位置PS2に位置決めされているので、例えば車椅子の利用者が、車椅子を個別天板2aの下に入れた状態で、容易に作業を行うことができる。さらに、個別天板2bが、Z方向に関して最も高い位置PS3に位置決めされているので、例えば立ったままの状態の利用者が、個別天板2b上で容易に作業を行うことができる。各個別天板2a、2b、2c、2dは、各利用者にとってそれぞれ個別テーブル部として使用することができる。
【0053】
なお、個別天板2(2a、2b、2c、2d)は、最も低い位置PS1から最も高い位置PS3の範囲において、任意の位置に位置決めできることは言うまでもない。以上のように、個別天板2(2a、2b、2c、2d)は、個別に任意の高さ位置に位置決めできるので、利用者の作業内容や着座姿勢に応じて、容易に使用することができ、作業効率が向上する。共用台30の台座部31は、最も高い位置PS3に位置決めされている個別天板2bよりもさらに高い位置にある。従って、各利用者は、台座部31上に置かれているティッシュ箱や、筆記道具、文房具等の共用できる道具等を、どの位置の個別天板2(2a、2b、2c、2d)からも手を伸ばして、容易に使用することができる。共用台30が個別天板2(2a、2b、2c、2d)とは別に、中心点Pの付近に設けられているので、どの利用者からもほぼ等距離にあり手が届きやすい。
【0054】
また、共用台30が設けられていることで、個別天板2(2a、2b、2c、2d)上には、共用できる道具等を置く必要がない。このため、個別天板2(2a、2b、2c、2d)上のテーブルスペースを広く使用でき、使い勝手が良い。
【0055】
このように、昇降テーブル1は、共用台30を備えていて、複数の利用者が共通して利用できる共通利用スペースを設けることで、複数の利用者の利便性を向上することができる
【0056】
(第2実施形態)
次に、本発明の昇降テーブルの第2実施形態を、図11(a)(b)を参照して説明する。図11(a)は、本発明の第2実施形態の昇降テーブル1Aを示す斜視図であり、図11(b)は、昇降テーブル1Aの共用台130を示す側面図である。
【0057】
図11に示す昇降テーブル1Aは、昇降可能な共用台130を有する。共用台130は、個別天板2(2a、2b、2c、2d)を、それぞれ個別テーブル部として使用する利用者が、共同で使用するために、設けられている。この共用台130は、台座部131と、支持部材132と、昇降保持部133と、を有する。図11(b)に示す支持部材132は、例えば金属製あるいはプラスチック製の部材であり、支持部材132の下端部134は、昇降保持部133に保持されている。支持部材132の上端部135には、台座部131が固定されている。
【0058】
図11(a)に示すように、個別天板2a、2b、2c、2dは、1/4円形型の切り欠き部140を有しており、これらの4つの切り欠き部140は、中心点Pを中心とする円形の収納部141を形成している。この収納部141は、台座部131を収納できる大きさを有している。昇降保持部133は、個別天板2a、2b、2c、2dの下面側において、収納部141に対応した位置に固定されている。
【0059】
昇降保持部131は、手動あるいは自動的に支持部材132をZ方向に上下操作可能である。支持部材132が昇降保持部131により上昇されると、台座部131は、最も上方の位置R1に位置決めできる。また、支持部材132が昇降保持部131により下降されると、台座部131は、最も下方の位置R2に位置決めできる。台座部131が最も下方の位置R2に位置決めされると、台座部131は収納部141内に収められる。これにより、台座部131の表面と個別天板2a、2b、2c、2dの表面は、面一になる。また、昇降保持部131は、台座部131を最も上方の位置R1と最も下方の位置R2との間の任意の高さの位置にも位置決めできる。
【0060】
この台座部131は、個別天板2a、2b、2c、2dをそれぞれ使用する利用者がアプローチし易い形状を有しており、例えば円盤状である。この台座部131の上には、例えばティッシュ箱や、筆記道具、文房具等の共用できる道具等、各利用者が共用できるものを置くことができる。共用台130を個別天板2a、2b、2c、2dから離した上方の位置に設けることにより、複数の利用者が共通して利用できる共通利用スペースを設けることができ、複数の利用者の利便性を向上することができる。このように、昇降テーブル1Aは、共用台130を備えていて、複数の利用者が共通して利用できる共通利用スペースを設けることで、複数の利用者の利便性を向上することができる。
【0061】
(第3実施形態)
次に、本発明の昇降テーブルの第3実施形態を、図12を参照して説明する。図12は、第3実施形態の昇降テーブル1Bを示す斜視図である。図12に示す昇降テーブル1Bでは、個別天板2a、2b、2c、2dを仕切るためのパーテーション150,151,152,153を備えている。個別天板2a、2dは、パーテーション150で仕切られ、個別天板2a、2bは、パーテーション153で仕切られ、個別天板2b、2cは、パーテーション151で仕切られ、そして個別天板2c、2dは、パーテーション152で仕切られている。パーテーション150,151,152,153としては、開閉可能なスクリーン、開閉可能なブラインド、半透明または不透明なガラス板やプラスチック板等を採用できる。これにより、パーテーション150,151,152,153が設けられているので、各個別天板2a、2b、2c、2dを使用する際に、利用者は、視線を気にすることが無く作業を行うことができ、作業環境を改善できる。昇降テーブル1Bは、共用台30を備えていて、複数の利用者が共通して利用できる共通利用スペースを設けることで、複数の利用者の利便性を向上することができる。
【0062】
(第4実施形態)
次に、本発明の昇降テーブルの第4実施形態を、図13を参照して説明する。図13(a)は、第4実施形態の昇降テーブル1Cを示す斜視図であり、図13(b)は、昇降テーブル1Cの平面図である。図13に示す昇降テーブル1Cでは、共用台230を備える。共用台230は、各個別天板2a、2b、2c、2dの中心点Pの位置に設けられている。共用台230は、台座部231と、支持部材232と、複数のディスプレイ301から304を有する。ディスプレイ301から304は、例えば液晶表示装置や有機EL装置等であり、各種の情報を表示できるが、特に限定されない。台座部231は、例えば正方形の板状部材であり、支持部材232により取り付けられている。台座部231の上には、例えばティッシュ箱や、筆記道具、文房具等の共用できる道具等、各利用者が共用できるものを置くことができる。
【0063】
台座部231の各辺部には、ディスプレイ301から304が取り付けられている。このため、各ディスプレイ301から304は、それぞれ個別天板2a、2b、2c、2dの利用者が見易いようになっている。ディスプレイ301から304は、図13(b)に示すように、制御部250に対して電気的に接続されていて、個別天板2a、2b、2c、2dの利用者は、同じ動画等あるいは異なる動画等を別々に鑑賞できる。このため、作業者の作業環境をさらに向上できる。昇降テーブル1Cは、共用台230を備えていて、複数の利用者が共通して利用できる共通利用スペースを設けることで、複数の利用者の利便性を向上することができる。
【0064】
(他の実施形態)
次に、本発明の昇降テーブルの他の実施形態を、図14を参照して説明する。図14(a)から図14(d)は昇降テーブルの形状の変形例を示している。図14(a)では、昇降テーブル1Dがほぼ正三角形状に形成され、個別天板2a、2b、2cを有している。図14(b)では、昇降テーブル1Eがほぼ正方形に形成され、個別天板2a、2b、2c、2dを有している。図14(c)では、昇降テーブル1Fがほぼ正五角形に形成され、個別天板2a、2b、2c、2d、2eを有している。図14(d)では、昇降テーブル1Gがほぼ正六角形に形成され、個別天板2a、2b、2c、2d、2e、2fを有している。このように、昇降テーブルの個別天板2の数は、使用する人数に応じて任意に設定でき、個別天板は任意の形状を採用することができる。昇降テーブル1Dから1Gは、それぞれ共用台30を備えていて、複数の利用者が共通して利用できる共通利用スペースを設けることで、複数の利用者の利便性を向上することができる。
【0065】
本発明の実施形態の昇降テーブルによれば、複数の利用者が共通して利用できる共通利用スペースを設けることで、複数の利用者の利便性を向上することができ、更に、対面できる形態で複数の利用者がそれぞれの必要に応じて個別天板の高さを調整できる。また、各個別天板の高さ位置が別々に自由に調整できるので、車椅子を使用する利用者と通常の椅子を使用する利用者が、共用でき、車椅子での利用が可能であるにも拘わらず、昇降テーブルの設置面積を押さえることができる。さらに、昇降テーブルの全体が軽量であるので、製造コストが抑制できる。このため、昇降テーブルは、介護施設、福祉施設等の作業スペースや食事机、一般飲食店でのテーブル、会議室や待合室等での作業スペースとしても広く利用できる。
【0066】
本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。上述した本発明の各実施形態の構成要素や機能は、必要に応じて、任意に合わせて構成することができる。
【符号の説明】
【0067】
1、1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G 昇降テーブル
2(2a、2b、2c、2d) 個別天板
3(3a、3b、3c、3d) 支承昇降手段
3a1 第1脚部
3a2 第2脚部
3b1 第1脚部
3b2 第2脚部
3c1 第1脚部
3c2 第2脚部
3d1 第1脚部
3d2 第2脚部
15,16 補強板
20,21 補強構造材
30,130,230 共用台
31,131,231 台座部
32,132,232 支持部材
133 昇降保持部
150,151,152,153 パーテーション
301~304 ディスプレイ
P 中心点
R1 最も上方の位置
R2 最も下方の位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14