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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-05
(45)【発行日】2024-02-14
(54)【発明の名称】溝蓋の外れ防止装置
(51)【国際特許分類】
   E03F 5/06 20060101AFI20240206BHJP
【FI】
E03F5/06 Z
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020065770
(22)【出願日】2020-04-01
(65)【公開番号】P2021161795
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】393013618
【氏名又は名称】光海陸産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000545
【氏名又は名称】弁理士法人小竹アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】樋口 和男
(72)【発明者】
【氏名】小宇佐 友徳
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-041214(JP,A)
【文献】実開昭63-012571(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 1/00-11/00
E05B 65/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路に上方に開口して形成された溝部を閉塞するための溝蓋が前記溝部から外れるのを防止した溝蓋の外れ防止装置であって、
前記溝蓋の前記溝部の底面と対峙する部位の面に並行して配置され、前記溝蓋の前記溝部の底面と対峙する部位の面に沿ってスライドする2つの抜け防止用のスライド部材と、
操作棒の回転が伝達されて、前記2つのスライド部材が相互に逆方向にスライドする動力の供給とそのスライドの規制とを行うスライド制御装置と、
前記2つのスライド部材と前記スライド制御装置とを連結する連結部材と、
前記溝蓋の前記溝部の底面と対峙する部位の面に配置されて、前記スライド部材を支持する支持部材と、
を備え、
前記連結部材は、前記スライド制御装置と連結するための第1の連結部位と、前記2つのスライド部材の一方と連結するための第2の連結部位と、前記2つのスライド部材の他方と連結するための第2の連結部位とを有して構成され、前記第1の連結部位は前記2つの第2の連結部位の間に位置して、前記第1の連結部位の端と前記一方の第2の連結部位の端、及び前記第1の連結部位の端と前記他方の第2の連結部位の端とがそれぞれ連接部により連接され、
前記スライド制御装置は、前記溝蓋に取り付けられる基板及び前記基板側に蓋部が形成された有蓋の筒本体を有して構成され、前記蓋部に前記操作棒が挿入される貫通孔状の操作棒接続部が形成された外筒と、前記外筒の操作棒接続部と連通し、前記基板側に前記操作棒が挿入可能な部位がある貫通孔を有する筒状体に形成され、前記外筒内に前記操作棒接続部を中心に所定の範囲では双方向に単独で回転可能なように回転自在に配置された内筒と、有底の筒本体及び前記筒本体の底部から外方に突出形成されると共に前記筒本体と連通する排出口が形成された取付部を有して構成され、前記外筒と前記内筒との間に配置されて、前記操作棒接続部を中心に所定の範囲で前記内筒と一緒に双方向に回転する中間筒と、前記外筒と前記内筒との間に配置された棒状の回転規制用部材とを有し、
前記2つのスライド部材の一方の長手方向の一端が前記連結部材の前記一方の第2の連結部位に軸部材を介して連結され、前記2つのスライド部材の他方の長手方向の一端が前記連結部材の前記他方の第2の連結部位に軸部材を介して連結され、前記スライド制御装置の前記中間筒の取付部が前記連結部材の前記第1の連結部位に取り付けられて、前記中間筒の回転が前記連結部材から前記軸部材を介して前記2つのスライド部材に伝達されて、前記2つのスライド部材が前記軸部材を軸心として相互に逆方向にスライド可能に揺動し、
前記外筒の筒本体に前記中間筒側に開口すると共に軸方向に延びる第1の窪み部が形成され、前記中間筒の筒本体に切り欠き部が形成され、前記内筒に前記中間筒側に開口すると共に軸方向に延びる第2の窪み部が形成されて、前記回転規制用部材が前記第1の窪み部と前記切り欠き部とで形成された空間と、前記第2の窪み部と前記切り欠き部とで形成された空間との間で変位することにより、前記中間筒の回転の許容と回転の規制との切り替えが行われることを特徴とする溝蓋の外れ防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、道路の溝部の特に排水桝を閉塞する溝蓋が溝部から外れるのを防止する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高速道路等の道路の排水用の溝部、特に排水桝は、溝蓋で閉塞するのが一般的であるが、溝蓋のうち、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム等の金属製や、繊維強化プラスチック(FRP)等の非金属製のグレーチング蓋で閉塞する場合には、グレーチング蓋の上を車両が通過することにより、当該グレーチング蓋が跳ね上がって人や物に当たるおそれがあった。このようなグレーチング蓋が溝部から外れることで生ずる不具合を解消するために、グレーチング蓋を溝部(道路排水口)に固定する装置は、特許文献1等や特許文献2等に示すように既に公知になっている。
【0003】
特許文献1として示される「道路排水口のグレーチング外れ止め装置」について概説すると、道路の排水口の開口枠部内に装着されたグレーチング蓋の底面に略水平方向にスライド可能に支持された一対の抜け止め用のスライド棹と、これらの一対の抜け止め用スライド棹を相互に逆方向にスライドさせることが可能な回動アームと、回動アームの旋回中心に設けられた旋回動作軸と、旋回動作軸の旋回動作の規制を行う保持装置とを備えたものとなっている。そして、専用の操作棒を保持装置の孔状の操作棒接続部に挿し込んで旋回することにより、旋回動作軸が連動して回転して回動アームを動作させ、ひいてはスライド棹をスライドさせて、道路排水口の内壁に設けた孔に挿入して、グレーチング蓋を道路排水口に固定することが可能になっている。
【0004】
次に、特許文献2として示される「跳ね上がり防止機構付きグレーチング」について概説すると、グレーチング蓋本体の裏面に、円弧状あるいは螺旋状の案内溝を設けた円板状カムと、前記案内溝にガイドされて先端を外方向へ突出自在とした保持用ピンとを有する跳ね上がり防止機構が取り付けられたものであって、円板状カムを回動させることで保持用ピンを溝部の内壁側に突出させ、保持用ピンの先端を溝部に形成した孔部に嵌入することによって、グレーチング蓋を溝部に固定することが可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-40754号公報
【文献】特開2016-23473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に示される外れ止め装置は、専用の操作棒の先端部が挿入される孔状の操作棒接続部と、孔状の操作棒接続部への操作棒の挿し込み時に押し込まれる出入蓋とを保持装置に有するところ、このように、出入蓋が押し込まれたり元の位置に戻ったりする動作は、図示しないがバネ機構を保持装置に内蔵して、このバネ機構の付勢力(反発力)を利用しているとするのが相当である。
【0007】
一方で、グレーチング蓋は、上記したように、専ら道路の砂埃や雨水、ゴミ等が送り込まれやすい溝部等の溝を塞ぐものであり、且つ孔状の操作棒接続部は保持装置の上面に開口している。更に、保持装置の本体と出入蓋との間には、隙間が空いている。このため、特許文献1に示される保持装置の構造では、孔状の操作棒接続部から砂埃やゴミ、雨水が出入蓋との隙間等を介して保持装置内に侵入して、詰まりや錆びを生じて、保持装置内のバネ機構が機能しなくなることで、出入蓋を押し込むことができなくなり、ひいては外れ止め装置の回動アームを作動させることができなくなるという不都合が生ずる。このような孔状の操作棒接続部から砂埃やゴミ、雨水が保持装置内に侵入するのを防止するために、特許文献1では、孔状の操作棒接続部を開閉するスライド蓋が取り付けられてはいる。しかしながら、スライド蓋の分、部品点数が増加し、スライド蓋による孔状の操作棒接続部の閉塞を忘れると、孔状の操作棒接続部から砂埃やゴミ、雨水が保持装置内に侵入してしまうこととなる。
【0008】
この点、特許文献2に示される跳ね上がり防止機構は、円板状カムを回転させることにより、棒状の保持用ピンの中腹から下方に突出した突出子が円板状カムの案内溝内を変位させ、保持用ピンを、溝部の内壁側に向けて突出したり、溝部の内側から離れる方向に引っ込んだりさせて、保持用ピンの溝部の孔部への挿入と孔部からの取り出しを可能にしたものであり、操作棒を孔状の操作棒接続部に挿し込む構成を必要としない。しかも、特許文献2の跳ね上がり防止機構では、円板状カムが上方に開口した案内溝を有する構成であっても、円板状カムはボックス内に収容されている。このため、特許文献2の跳ね上がり防止機構では、砂埃やゴミの装置内への侵入による作動不良の不具合が生ずることは特許文献1の外れ止め装置よりも少ないと解される。
【0009】
もっとも、特許文献2の跳ね上がり防止機構では、表面積が相対的に大きな円板状カムを用いるので、グレーチング蓋の裏面に跳ね上がり防止機構を設置するために必要となるスペースも大きくなる。このため、グレーチング蓋の格子間の多くの空間が跳ね上がり防止機構により塞がれてしまうとの不具合が生ずる。また、特許文献2の跳ね上がり防止機構の構成では、特許文献1の外れ止め装置等で示される保持装置との代替も容易ではない。
【0010】
本発明は、道路の排水桝を塞ぐ溝蓋が置かれた外的環境を考慮した構成とすることで、動作の確実性を高め、しかも既存の装置との代替性も考慮した溝蓋の外れ防止装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成すべく、この発明の溝蓋の外れ防止装置は、道路に上方に開口して形成された溝部を閉塞するための溝蓋が前記溝部から外れるのを防止した溝蓋の外れ防止装置であって、前記溝蓋の前記溝部の底面と対峙する部位の面に並行して配置され、前記溝蓋の前記溝部の底面と対峙する部位の面に沿ってスライドする2つの抜け防止用のスライド部材と、操作棒の回転が伝達されて、前記2つのスライド部材が相互に逆方向にスライドする動力の供給とそのスライドの規制とを行うスライド制御装置と、前記2つのスライド部材と前記スライド制御装置とを連結する連結部材と、前記溝蓋の前記溝部の底面と対峙する部位の面に配置されて、前記スライド部材を支持する支持部材と、を備え、前記連結部材は、前記スライド制御装置と連結するための第1の連結部位と、前記2つのスライド部材の一方と連結するための第2の連結部位と、前記2つのスライド部材の他方と連結するための第2の連結部位とを有して構成され、前記第1の連結部位は前記2つの第2の連結部位の間に位置して、前記第1の連結部位の端と前記一方の第2の連結部位の端、及び前記第1の連結部位の端と前記他方の第2の連結部位の端とがそれぞれ連接部により連接され、前記スライド制御装置は、前記溝蓋に取り付けられる基板及び前記基板側に蓋部が形成された有蓋の筒本体を有して構成され、前記蓋部に前記操作棒が挿入される貫通孔状の操作棒接続部が形成された外筒と、前記外筒の操作棒接続部と連通し、前記基板側に前記操作棒が挿入可能な部位がある貫通孔を有する筒状体に形成され、前記外筒内に前記操作棒接続部を中心に所定の範囲では双方向に単独で回転可能なように回転自在に配置された内筒と、有底の筒本体及び前記筒本体の底部から外方に突出形成されると共に前記筒本体と連通する排出口が形成された取付部を有して構成され、前記外筒と前記内筒との間に配置されて、前記操作棒接続部を中心に所定の範囲で前記内筒と一緒に双方向に回転する中間筒と、前記外筒と前記内筒との間に配置された棒状の回転規制用部材とを有し、前記2つのスライド部材の一方の長手方向の一端が前記連結部材の前記一方の第2の連結部位に軸部材を介して連結され、前記2つのスライド部材の他方の長手方向の一端が前記連結部材の前記他方の第2の連結部位に軸部材を介して連結され、前記スライド制御装置の前記中間筒の取付部が前記連結部材の前記第1の連結部位に取り付けられて、前記中間筒の回転が前記連結部材から前記軸部材を介して前記2つのスライド部材に伝達されて、前記2つのスライド部材が前記軸部材を軸心として相互に逆方向にスライド可能に揺動し、前記外筒の筒本体に前記中間筒側に開口すると共に軸方向に延びる第1の窪み部が形成され、前記中間筒の筒本体に切り欠き部が形成され、前記内筒に前記中間筒側に開口すると共に軸方向に延びる第2の窪み部が形成されて、前記回転規制用部材が前記第1の窪み部と前記切り欠き部とで形成された空間と、前記第2の窪み部と前記切り欠き部とで形成された空間との間で変位することにより、前記中間筒の回転の許容と回転の規制との切り替えが行われることを特徴としている(請求項1)。道路は、例えば自動車が走行可能な道を意味する。溝部のうち特に排水桝が溝蓋で閉塞される対象となる。溝蓋は、蓋本体について板状部を交差して形成したタイプにあっては、グレーチング蓋若しくはグレーチングと称される。
【0012】
このような溝蓋の外れ防止装置によれば、抜け防止用のスライド部材による溝蓋の保持の解除は、外筒の第1の窪み部と中間筒の切り欠き部とで形成された空間内に回転規制用部材が位置することにより、外筒と中間筒とが固定され、内筒のみが回転可能として、スライド部材のスライドする動きを規制した状態から、内筒をのみを所定方向に第1の所定の角度(例えば45度の角度)まで回転させ、更に第1の所定角度を超えて回転させようとすることで、中間筒も内筒と一緒に回転しようとするので、回転規制用部材が、外筒の第1の窪み部の内周面や周縁部により押されて、外筒の第1の窪み部と前記中間筒の切り欠き部とで形成された空間内から中間筒の切り欠き部と内筒の第2の窪み部とで形成された空間内に変位して、スライド部材のスライドの動きの規制が解除される。更に、内筒を所定方向に第1の所定角度に加えて更に第2の所定の角度(例えば90度の角度)で回転させることで、中間筒も所定方向に内筒と一緒に第2の所定角度で回転して、中間筒と連結部材を介して連結したスライド部材がスライドすることで行われる。外れ防止装置の抜け防止用のスライド部材で溝蓋を保持させるためには上記と逆の手順、動作がなされる。
【0013】
このような構成の溝蓋の外れ防止装置とすることにより、スライド制御装置の外筒の操作棒接続部から砂埃やゴミ、雨水が侵入しても、中間筒と外筒及び内筒との間に隙間がなく、砂埃やゴミ、雨水は、内筒の貫通孔を経て、中間筒の突出部の排出口から外部に排出されることから、外筒と中間筒との間、中間筒と内筒との間に侵入することがないので、中間筒や内筒の回転を妨げることがない。
【0014】
また、スライド制御装置の基板は外筒が固定されるものであれば良いので、基板を従来の保持装置の基板と共通化することができる。更に、スライド制御装置の中間筒の突出部も従来の保持装置の連結部材と連結する突出部と同じ形状にすることができるので、連結部材の共通化やこの連結部材に連結される抜け止め防止用のスライド部材の共通化も図ることが可能である。更にまた、外筒の操作棒接続部や内筒の貫通孔のうち基板側の部位に挿し込む操作棒も従来の保持装置の操作棒接続部に挿し込む操作棒と共通化することが可能である。
【発明の効果】
【0015】
以上に述べたように、本発明によれば、スライド制御装置の外筒の操作棒接続部から砂埃やゴミ、雨水が侵入しても、中間筒と外筒及び内筒との間に隙間がなく、砂埃やゴミ、雨水は、内筒の貫通孔を経て、中間筒の突出部の排出口から外部に排出されることから、外筒と中間筒との間、中間筒と内筒との間に侵入することがないので、中間筒や内筒の回転を妨げることがない。このため、溝蓋が、専ら道路の砂埃や雨水、ゴミ等の送り込まれやすい溝部等の溝を塞ぐという外的環境に置かれ、外筒の操作棒接続部が保持装置の上面に開口するものであっても、スライド制御装置の動作の確実性を高めることが可能である。
【0016】
また、スライド制御装置の基板は外筒が固定され溝蓋に取り付けられる機能を満たせば良いので、従来のスライド式の保持装置の基板と共通化することができる。更に、スライド制御装置の中間筒の突出部も従来のスライド式の保持装置の連結部材と連結する突出部と同じ形状にすることができるので、連結部材ひいては抜け止め用スライド部材の共通化を図ることができる。更にまた、外筒の操作棒接続部及び内筒の貫通孔のうち外筒の基板側の部位に挿し込む操作棒も従来のスライド式の保持装置の操作棒接続部に挿し込む操作棒と共通化することが可能である。よって、スライド制御装置は、既存のスライド式の保持装置からの代替も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】この発明が適用された溝蓋及び溝部の断面図である。
図2】この発明の主要部であるスライド制御装置の展開図である。
図3】スライド制御装置の構成部品である外筒の説明図であり、(a)は外筒の正面図、(b)は外筒の側面図、(c)は外筒の背面図、(d)は外筒の斜視図である。
図4】スライド制御装置の構成部品である中間筒の説明図であり、(a)は中間筒の正面図、(b)は中間筒の側面図、(c)は中間筒の背面図、(d)は中間筒の斜視図である。
図5】スライド制御装置の構成部品である内筒の説明図であり、(a)は内筒の正面図、(b)は内筒の側面図、(c)は内筒の背面図、(d)は内筒の斜視図である。
図6】外れ防止装置で溝蓋を保持した状態の説明図であり、(a)は前記外れ防止装置のスライド部材で保持された状態の溝蓋を裏側から見た図、(b)は溝蓋が保持された状態の外筒、中間筒及び内筒を上側から見た断面図、(c)は中間筒の回転に対する保持が解除された状態の外筒、中間筒及び内筒を上側から見た断面図である。
図7】外れ防止装置で溝蓋を保持した状態と溝蓋の保持を解除した状態との中間状態を示した説明図であり、(a)はスライド部材が溝蓋を保持した状態と溝蓋の保持を解除した状態との中間状態の溝蓋を裏側から見た図、(b)は中間状態の外筒、中間筒及び内筒を上側から見た断面図である。
図8】外れ防止装置による溝蓋の保持を解除した状態を示した説明図であり、(a)はスライド部材による溝蓋の保持を解除した状態の溝蓋を裏側から見た図、(b)は溝蓋の保持を解除した状態の外筒、中間筒及び内筒を上側から見た断面図である。
図9】この発明の主要部であるスライド制御装置の内筒と中間筒との回転角度の規制構造の具体的な一例の展開図である。
図10】(a)は図9に示すスライド制御装置で溝蓋を保持した状態の外筒、中間筒及び内筒を上側から見た断面図、(b)は中間筒の回転に対する規制が解除された状態の外筒、中間筒及び内筒を上側から見た断面図であり、(c)はスライド制御装置による溝蓋の保持を解除した状態の外筒、中間筒及び内筒を上側から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
【0019】
図1から図8において、この発明の実施例の一例としての溝蓋の外れ防止装置が示されている。
【0020】
図1のこの発明が適用された溝蓋1が用いられる溝部100は、高速道路等の道路の排水用の側溝であり、更には排水桝(集水桝ともいう)であるが、必ずしもこの側溝の排水桝の部位に限定されない。溝部100は、溝蓋1により閉塞することが可能な溝部であれば対象となる。
【0021】
図1に示される溝部100は、前記したように、道路の排水用の側溝のうちの排水桝の部位であり、桝本体101の底面101aから下方に延びた突出部位102の端部に図示しない排水管が接続されている。溝部100の桝本体101の上方の開口側には、開口枠部材200が取り付けられる。
【0022】
開口枠部材200は、桝本体101への取り付け時には、上下方向に開口した状態となる環状に形成された基部201と、基部201から軸方向に延びて桝本体101内に挿入される挿入部202と、挿入部202から内側に向けて溝蓋1の下記する抜け防止用のスライド部材2と係合する突出部203と、基部201の外周から外側に向けて延び、桝本体101に設けられた取付孔103と連通する取付孔205が形成されたフランジ部204とを有している。開口枠部材200を、フランジ部204の取付孔205が桝本体101の取付孔103と連通するように、溝部100に組み付けた後、連通した状態の取付孔103、205にボルト等の固定具(図示せず)を挿通させることで、開口枠部材200は溝部100に固定される。
【0023】
溝蓋1は、この実施例では、図1及び図6から図8に示されるように、複数の平行に配置された板状部1aと、これらの板状部1aを囲む枠体1bとで少なくとも構成されている。各板状部1aは、断面が横幅より縦幅の方が大きな長方形状の平板形状となっている。溝蓋1は、図示しないが、板状部1aと交差する板状部を更に有することで、板状部が格子状に組み合わされたグレーチング蓋の構成になっているのが一般的である。この実施例では、溝蓋1のより一層の外れ防止のために、枠体1bから下方に向けて延びる板状の突出部1cが2つ溝蓋1の長手方向に沿って設けられている。
【0024】
この発明が適用される溝蓋の外れ防止装置は、一対の抜け防止用のスライド部材2、2が連結部材3を介してスライド制御装置6にそれぞれ組み付けられていると共に、各スライド部材2が溝蓋1に沿って動くように支持部材5により支持された構成となっている。すなわち、スライド制御装置6は、下記のように、スライド部材2、2が相互に逆方向にスライドする動力の供給とそのスライドの規制とを行う。
【0025】
各スライド部材2は、図1及び図6から図8に示されるように、直線状に延びた板状をしている。スライド部材2、2は、溝蓋1の板状部1aや枠体1bのうち溝部100の底面101aと対峙する面側に相互に逆方向に向けて延出するように配置されると共に、その長手方向の一端が連結部材3に軸部材4を介して連結され、軸部材4を軸心として相互に逆方向にスライド可能に揺動することができるようになっている。
【0026】
支持部材5は、この実施例では、スライド部材2が挿通する開口部を有する略U字の枠体51、51の2つから成り、それぞれの枠体51の両端側が溝蓋1の所定の板状部1aのうち溝部100の底面101aと対峙する面に設けられた固定部材14に固定されている。枠体51、51の開口部の横幅は、スライド部材2がスライド方向に対し左右に揺動しても対応することができるように、スライド部材2の横幅よりも大きくなっている。もっと、支持部材5の構造は、上記した構造に限定されず、例えば固定部材14に一方端部のみが固定され、他方端部は固定部材14から離れた状態にある略L字状としても良い。
【0027】
連結部材3は、スライド制御装置6と連結するための板状の第1の連結部位31と、スライド部材2、2と連結するための板状の第2の連結部位32、32と、第1の連結部位31の端と第2の連結部位32の端とを連接する連接部33、33とで構成されている。第1の連結部位31には、下記するスライド制御装置6の中間筒8の取付部82が挿入(圧入)されて嵌合することができる通孔(図示せず)が形成され、第2の連結部位32、32には、軸部材4が挿通する通孔(図示せず)が形成されている。
【0028】
この発明が適用されるスライド制御装置6は、図2に示されるように、少なくとも、外筒7と、中間筒8と、内筒9と、保持用部材10とを有して構成されている。
【0029】
外筒7は、図2及び図3に示されるように、溝蓋1に取り付けられる基板71と、この基板71側の開口に蓋部75aが形成された有蓋の筒本体75とを有し、基板71と筒本体75とは一体形成されている。基板71は、この実施例では、四角の板形状をなし、溝蓋1にボルトやネジ等の固定具を介して取り付けるための通孔72が四隅にそれぞれ1つずつ、合計4つ形成されている。各通孔72は、固定具の挿入位置の調整等ができるように長孔になっている。
【0030】
蓋部75aは、その中央に、図1に一例として示される操作棒11が挿入可能な貫通孔状の操作棒接続部76が形成されている。図1に示される操作棒11は、ハンドル部11aと、ハンドル部11aから延びる円柱状の柱部11bと、柱部11bの先端(ハンドル部11aとは反対側端)に設けられた挿込部11cとを有して構成されている。挿込部11cは、柱部11bの先端部位及びこの柱部11bの先端部位から径方向の外側に向けて対称となるように突出した2つの突起部により形成されている。これに応じて、貫通孔状の操作棒接続部76の内形状は、挿込部11cの外形状に合わせて、円孔部位と円孔部位から外側に向けて対称方向に延びた突出孔部位とで成っている。
【0031】
筒本体75は、中間筒8を当該中間筒8がガタツキなく回転自在に収容可能な内径の内空間を有する円筒状であると共に、内周側に開口しつつ軸方向に沿って延びるかたちで半円柱状に窪ませてなる窪み部77が形成されている。窪み部77の内径は、下記する回転規制用部材10の半分が収まるように、回転規制用部材10の外径よりも若干大きくなっている。窪み部77は、この実施例では、当該窪み部77と筒本体75の中心とを結ぶ線が、操作棒接続部76の2つの突出部位を結んだ線と90度で交わる位置となるように、筒本体75に形成されている。そして、窪み部77は、この実施例では、基板71とは反対側の開口端まで達している。
【0032】
中間筒8は、図2及び図3に示されるように、外筒7の基板71側とは反対側が底部81aにより閉塞された有底の筒本体81と、筒本体81の底部81aから外方に突出形成された取付部82とを有して構成されている。
【0033】
取付部82は、連結部材3を取り付けるためのものであり、更に中間筒8の回転をスライド部材2、2に伝達すべく、リンク機構のカム的に機能するものである。この実施例では、取付部82は、底部81aから外側に向けて突出した円柱状の台座部と、この台座から更に突出した直方体の長手方向の両側に半円柱形状の部分が連接してなる略長円形状ないし小判形状の隆起部とでなっている。すなわち、連結部材3の連結部位31に形成された通孔31aは、この実施例では、取付部82の上記隆起部の外形状と略同じ内形状をなしている。取付部82は、内形状が円状の排出口82aが形成されている。排出口82aは、その両側端が底部81aの内空間側面と取付部82の突出方向面とに開口して、外筒7、中間筒8及び内筒9を組み付けたときに、排出口82aは、外筒7の操作棒接続部76及び下記する内筒9の貫通孔91と連通する。
【0034】
筒本体81は、内筒9を当該内筒9がガタツキなく回転自在に収容可能な内径の内空間を有する略円筒状を成すと共に、底部81aとは反対側の開口端から底部81a側に向けて延びる切り欠き83が形成されている。切り欠き83の周方向幅は、下記する回転規制用部材10が通過可能なように回転規制用部材10の直径よりも若干大きな寸法となっていると共に、切り欠き83の径方向幅は、下記する回転規制用部材10が窪み部77又は窪み部92とで形成される空間S1、S2に収まるように、下記する回転規制用部材10の半径より若干大きくなっている。このような切り欠き83を有した構成とすることで、筒本体81の周壁は、軸方向から見て円弧形状となっている。
【0035】
内筒9は、図2及び図5に示されるように、外筒7の操作棒接続部76と連通する貫通孔91を有する筒状体に形成されている。貫通孔91は、この実施例では、外筒7の基板71側の部位では操作棒接続部76と同じ内形状であるが、特に図5(b)に示されるように途中で窄んで、基板71とは反対側の部位では中間筒8の排出口82aと同じ内形状となっている。すなわち、貫通孔91のうち外筒7の基板71側の部位は、操作棒接続部として機能する。
【0036】
そして、内筒9の外周には、窪み部92が形成されている。窪み部92は、外周側に開口しつつ軸方向に沿って延びるかたちで半円柱状に窪ませた形状をなしている。窪み部92の内径は、下記する回転規制用部材10の半分が収まるように、回転規制用部材10の外径よりも若干大きくなっている。窪み部92は、この実施例では、当該窪み部92と内筒9の中心とを結ぶ線が、貫通孔91の2つの突出部位を結んだ線と、小さい角度の方向で45度にて交わる位置となるように、内筒9に形成されている。そして、窪み部92は、この実施例では、内筒9の軸方向の両端まで達している。
【0037】
回転規制用部材10は、図2に示されるように、円柱形状をなしている。その軸方向寸法は、窪み部77、92の軸方向寸法及び切り欠き83の長手方向寸法よりも若干小さくなっている。
【0038】
そして、中間筒8と内筒9とは、溝蓋1の上側から見た場合に、溝蓋1をスライド部材2、2で保持した初期の位置から内筒9のみが時計回りに所定角度(例えば45度)ほど回転した後の、溝蓋1に対するスライド部材2、2による保持が解除されるまでの回転範囲(例えば90度)では、内筒9と中間筒8とが一緒にしか回転しないようになっている。さらに、中間筒8と内筒9とは、溝蓋1の上側から見た場合に、溝蓋1に対するスライド部材2、2による保持が解除された位置から中間筒8が内筒9と一緒に所定角度(例えば90度)ほど反時計回りに回転した後は、内筒9のみが所定角度(例えば45度)ほど反時計回りに回転することが可能になっている。
【0039】
このような溝蓋の外れ防止装置の構成とすることにより、溝蓋1が溝部100から外れないよう保持された状態から、この保持された状態が解除されて溝蓋1が溝部100から外れるようにする状態にするには、図6に示される状態から図7に示される状態を経て図8に示される状態に、スライド部材2、2、連結部材3、スライド制御装置6が動作する。
【0040】
まず、図6(a)及び図6(b)では、溝蓋1がスライド部材2、2より溝部100に保持され、かつ、スライド制御装置6の外筒7の操作棒接続部76及び内筒の貫通孔91の操作棒接続部として機能する部位に操作棒11の挿込部11cを挿し込むことが可能な溝蓋の保持状態として示されている。
【0041】
この溝蓋の保持状態における外筒7の窪み部77と内筒9の貫通孔91との向きについて見ると、貫通孔91の中心と外筒7の窪み部77とを結ぶ線と、貫通孔91のうち操作棒接続部として機能する部位(操作棒接続部76の内形状と同じ部位)における一対の突出部位を結ぶ線とが、90度の角度にて交差する向きとなっている。そして、外筒7の窪み部77は、図6(a)及び図6(b)で図示される状態では、貫通孔91に対し一方の溝蓋1の突出部1cがある側縁の側に位置しており、中間筒8の切り欠き83も、外筒7の窪み部77と同じ側に位置している。これにより、図6(b)に示されるように、外筒7の窪み77と中間筒8の切り欠き83とで空間S1が形成され、この空間S1内に回転規制用部材10が配置されて、中間筒8は固定状態にある外筒7と連結して動かない状態(回転が規制された状態)となっている。このとき、内筒9の窪み部92は、溝蓋1の上側から見た場合には、図6(b)に示されるように、貫通孔91の中心と窪み部77とを結ぶ線に対して、反時計回りに45度ほどずれた位置にある。これらの状態において、中間筒8の取付部82の長手方向は、図6(a)に示されるように、貫通孔91のうち操作棒接続部として機能する部位(操作棒接続部76の内形状と同じ部位)の一対の突出部位(以下、貫通孔91の一対の突出部位と称する)を結ぶ線に対し90度の角度で交差する方向に向いている。
【0042】
次に、溝蓋の保持状態の解除のために、操作棒11の先端部11cを外筒7の操作棒接続部76及び内筒9の貫通孔91のうち操作棒接続部として機能する部位(操作棒接続部76の内形状と同じ部位)に挿し込んで、操作棒11を、この実施例では溝蓋1の上側から見た場合に時計回りに45度ほど回す操作が行われる。ここで、図6(a)の溝蓋1の裏側から見た場合には、連結部材3及び中間筒8の取付部82は、反時計回りでの回転として現れる。この操作棒11による回転の操作では、中間筒8は回転せず、内筒9のみが溝蓋1の上側から見た場合に時計回りに45度ほど回転する。このため、図6(c)に示されるように、内筒9の窪み部92が、中間筒8の切り欠き83及び外筒7の窪み部77と同じ位置になって、これらの窪み部92、切り欠き83及び窪み部77で形成された拡張空間S1´になる。よって、回転規制用部材10は、窪み部77の内周面と接する位置から窪み部92の内周面と接する位置まで変位することが可能になる。なお、図6(b)に示される位置から図6(c)に示される位置に内筒9が45度ほど回転することで、内筒9の貫通孔91の一対の突出部位は、図6(c)に示されるように、当該一対の突出部位を結ぶ線が貫通孔91の中心と外筒7の窪み部77とを結ぶ線に対し45度の角度で交差する向きになる。これに対し、中間筒8は、回転していないので、スライド部材2、2も図6(a)に示される状態から動いていない。
【0043】
さらに、溝蓋の保持状態の解除のために操作棒11を回すことで、内筒9について図6(c)の位置(図6(b)から内筒9を45度ほど回転させた位置)を越えて時計回りに回転する段階から、中間筒8と内筒9とが一緒に動こうとするようになる。このため、回転規制用部材10は、外筒7の窪み部77の内周面のうち時計回り側の部位及び時計回り側の周縁部位の面に押されて、図6(c)に示されるように、空間S1´内を外筒7の窪み部77の内周面に当接する位置から内筒9の窪み部91の内周面に当接する位置まで変位する。これにより、中間筒8の溝蓋1の上方から見て外筒7の時計回りでの回転に対する規制が解除される。
【0044】
さらにまた、溝蓋の保持状態の解除のために操作棒11を回すことで、溝蓋1を上方から見た場合には、図6(c)の位置から図7(b)の位置まで、内筒9は中間筒8と一緒に時計回りに回転し続ける。このとき、回転規制用部材10は、図7(b)に示されるように、中間筒8の切り欠き83と内筒9の窪み部92とで形成された空間S2内にあり、外筒7からは自由になっている。これに伴い、図7(a)に示されるように、溝蓋1を裏側から見た場合には、中間筒8の取付部82と連結した連結部材3は反時計回りに回転する。よって、連結部材3に軸部材4を介して連結されたスライド部材2、2は、軸部材4を回転中心として回転しつつ溝蓋1の側縁から内側に引っ込む方向(側方から見て重なり合う方向)にスライドしていく。なお、各支持部材5の枠体51は、溝蓋1の面方向の開口幅がスライド部材の2の短手方向の幅よりも大きく採られているので、スライド部材2が図7(a)に示されるように軸部材4を中心として揺動しても、その動きに支障がないようになっている。
【0045】
そして、操作棒11を回し続け、内筒9を図6(b)に示す中間筒8の回転の規制解除位置から135度ほど回転させて、前記空間S2と貫通孔91の中心とを結ぶ線が窪み部77と貫通孔91の中心とを結ぶ線に対し90度で交差するように位置させることで、図1図8(a)並びに図8(b)に示されるように、溝蓋1がスライド部材2、2による溝部100への保持状態から解除される。
【0046】
すなわち、内筒9の取付部92は、図8(a)に示されるように、その長手方向が外筒7の窪み部77と内筒9の貫通孔91とを結ぶ線に沿った位置になるまで、溝蓋1の裏側から見て反時計回りに回転する。これに伴い、連結部材3も、溝蓋1の裏側から見て反時計回りに回転するので、スライド部材2、2が軸部材4を回転中心として回転しつつ溝蓋1の側縁から内側に引っ込む方向に更にスライドして、スライド部材2、2は、図1の実線と想像線とで示されるように、開口枠部材200の突出部203よりもスライド制御装置6側に引っ込むかたちでスライドする。
【0047】
溝蓋1がスライド部材2、2による溝部100への保持が解除された状態から、溝蓋1がスライド部材2、2により溝部100に保持された状態にするには、これまでと反対の方向に操作棒11を回転させる動作を行う。
【0048】
なお、溝蓋1がスライド部材2、2による溝部100への保持が解除された状態では、外筒7の操作棒接続部76の一対の突出部位と内筒9の貫通孔91の操作棒接続部として機能する部位(操作棒接続部76の内形状と同じ部位)の一対の突出部位とは、内筒9が外筒7に対し相互に連通した状態から135度ほどずれた状態にある。このため、操作棒11の内筒7の貫通孔91内にある挿込部11cは、溝蓋1を保持しない限り、外筒7の操作棒接続部76から抜けないので、溝蓋1を保持するために操作棒11を回転させる操作をし忘れることがなくなる。
【0049】
そして、このスライド制御装置6によれば、従来のスライド部材で溝蓋を保持するための装置・機構に対し、操作棒11を外筒7の操作棒接続部76から挿し込むときに、操作棒11の挿込部11cを押し込める必要がない。更に、外筒7の操作棒接続部76、内筒9の貫通孔91及び中間筒8の排出口82aは、組付け後においてどの状態でも連通しており、貫通孔状の操作棒接続部76から入った雨水などの水分や、錆、塵芥などの異物は、排出口82aから外部に排出される。このため、スライド制御装置6内に侵入した水分によりスライド制御装置6が錆びたり、スライド制御装置6内に侵入した異物により目詰まりが生じて、中間筒8や内筒9が回転しなくなったりすることも防止される。
【0050】
そして、この発明が適用される溝蓋の外れ防止装置にあっては、操作棒11、スライド部材2、連結部材3および外筒7の基板71を従来の従来のスライド部材で溝蓋を保持するための装置・機構と共通化することができ、従来のスライド部材で溝蓋を保持するための装置・機構から置き換えることもできる。
【0051】
図9及び図10において、この発明が適用される溝蓋の外れ防止装置の中間筒8及び内筒9に関しての変形例が示されている。以下、溝蓋の外れ防止装置の変形例について、図9及び図10を用いて説明する。但し、これまで説明してきた溝蓋の外れ防止装置と同様の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0052】
内筒9は、図9に示されるように、組付け時に中間筒8の底部81側となる部位に貫通孔91の軸方向に沿って延びる孔部93が開口している。孔部93と貫通孔91の中心と結ぶ線が貫通孔91の一対の突出部位を結ぶ線と交差する位置で、かつ、図10(a)に示されるように、外筒7の窪み部77と中間筒8の切り欠き83とで空間S1が形成されるときに、かかる空間S1側となる位置に、孔部93が形成されている。この孔部93には、図9に示されるように係合ピン15が嵌合されるようになっている。
【0053】
中間筒8は、図9及び図10に示されるように、底部81aのうち筒本体81の内部空間側に開口した円弧状の溝部84が形成されている。溝部84は、
係合ピン15が係合しつつその周方向の双方に変位することができるものである。この溝部84は、排出口82aの中心と切り欠き83とを結ぶ線上に周方向の一端があり、排出口82aの中心と切り欠き83とを結ぶ線に対し、溝蓋3を上方から見た場合に時計回りの方向に45度の角度となった位置に周方向の他端がある形状となっている。
【0054】
このような内筒9、中間筒8の構成とし、係合ピン15を有することにより、操作棒11を外筒7の操作棒接続部76及び内筒9の貫通孔92のうち操作棒接続部として機能する部位(操作棒接続部76の内形状と同じ部位)に差し込んで、図9(a)に示す位置から、図9(b)に示す位置まで内筒9を45度ほど回転させる段階では、係合ピン15は中間筒8の溝部84内を周方向の一端から他端まで変位するだけなので、中間筒8は内筒9と一緒に回転しない。そして、前記回転角度の45度を超えて、図9(b)から図9(c)まで内筒9を回転させるときには、係合ピン15が溝部84の他端にまで達しているので、中間筒8は内筒7と一緒に回転することができる。よって、これまで図6から図8まで説明してきた、溝蓋1が溝部100から外れないよう保持された状態から、この保持状態が解除されて溝蓋1が溝部100から外れるようにする状態への動作が行われる。
【符号の説明】
【0055】
1 溝蓋
1a 板状部
1b 枠部
2 抜け防止用のスライド部材
3 連結部材
5 支持部材
6 スライド制御装置
7 外筒
71 基板
75 筒本体
75a 蓋部
76 操作棒接続部
77 窪み部(第1の窪み部)
8 中間筒
81 筒本体
81a 底部
82 取付部
83 切り欠き
9 内筒
91 貫通孔かん
92 窪み部(第2の窪み部)
10 回転規制用部材
11 操作棒
100 溝部
101a 底面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10