(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-05
(45)【発行日】2024-02-14
(54)【発明の名称】リハビリテーション支援システム、リハビリテーション支援サーバ、医療端末装置の制御方法および患者端末装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
G16H 20/30 20180101AFI20240206BHJP
G16H 80/00 20180101ALI20240206BHJP
【FI】
G16H20/30
G16H80/00
(21)【出願番号】P 2020201314
(22)【出願日】2020-12-03
【審査請求日】2023-07-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517431735
【氏名又は名称】株式会社リモハブ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】中山 洋一
【審査官】吉田 誠
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/152779(WO,A1)
【文献】特開2014-018213(JP,A)
【文献】特開2002-191718(JP,A)
【文献】特開2018-166935(JP,A)
【文献】【図解】TCP Keep-Alive/http Keep-Aliveの仕組みと違い ~ Client/Serverの挙動とメリット,設定~,2020年08月01日,1-9ページ,[令和5年10月6日検索],インターネット<URL:https://web.archive.org/web/20200801042341/https://milestone-of-se.nesuke.com/nw-basic/as-nw-engineer/keepalive-tcp-http/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 - 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔心臓リハビリテーションを支援するリハビリテーション支援システムであって、
前記
遠隔心臓リハビリテーションの支援業務を行うためのサーバ装置と、
医療関係者が使用し、第1通信ネットワークを介して前記サーバ装置と通信する医療端末装置と、
前記医療関係者の監視対象者であって前記
遠隔心臓リハビリテーションを受ける患者が使用し、前記第1通信ネットワークと異なる第2通信ネットワークを介して前記サーバ装置と通信し、前記患者に負荷を提供する
エルゴメータと接続される患者端末装置とを備え、
前記遠隔心臓リハビリテーションの実施中、前記サーバ装置を介した前記患者端末装置から前記医療端末装置への送信はリアルタイムで実行され、
前記サーバ装置は、前記
遠隔心臓リハビリテーションの実施中、前記医療端末装置および前記患者端末装置を送信元とするキープアライブ信号の各々を受信し、当該受信に対する応答信号を前記送信元のすべてに対して送信するキープアライブ信号送受信部を備える、リハビリテーション支援システム。
【請求項2】
リハビリテーションを支援するリハビリテーション支援システムであって、
前記リハビリテーションの支援業務を行うためのサーバ装置と、
医療関係者が使用し、第1通信ネットワークを介して前記サーバ装置と通信する医療端末装置と、
前記医療関係者の監視対象者であって前記リハビリテーションを受ける患者が使用し、前記第1通信ネットワークと異なる第2通信ネットワークを介して前記サーバ装置と通信し、前記患者に負荷を提供する機器と接続される患者端末装置とを備え、
前記サーバ装置は、前記リハビリテーションの実施中、前記医療端末装置および前記患者端末装置を送信元とするキープアライブ信号の各々を受信し、当該受信に対する応答信号を前記送信元のすべてに対して送信するキープアライブ信号送受信部を備え
、
前記患者端末装置は、
前記キープアライブ信号送受信部から前記応答信号を受信する患者側応答受信部と、
前記患者側応答受信部が前記応答信号を最後に受信してから前記応答信号を予め定められた上限期間受信しない時点で前記機器による負荷提供の中止を指示する端末側中止指示部とを備える、リハビリテーション支援システム。
【請求項3】
リハビリテーションを支援するリハビリテーション支援システムであって、
前記リハビリテーションの支援業務を行うためのサーバ装置と、
医療関係者が使用し、第1通信ネットワークを介して前記サーバ装置と通信する医療端末装置と、
前記医療関係者の監視対象者であって前記リハビリテーションを受ける患者が使用し、前記第1通信ネットワークと異なる第2通信ネットワークを介して前記サーバ装置と通信し、前記患者に負荷を提供する機器と接続される患者端末装置とを備え、
前記サーバ装置は、前記リハビリテーションの実施中、前記医療端末装置および前記患者端末装置を送信元とするキープアライブ信号の各々を受信し、当該受信に対する応答信号を前記送信元のすべてに対して送信するキープアライブ信号送受信部を備え、
前記医療端末装置は、
前記キープアライブ信号送受信部から前記応答信号を受信する医療側応答受信部と、
前記医療側応答受信部が前記応答信号を最後に受信してから前記応答信号を第1所定期間受信しないとき、第1所定メッセージを出力する出力部とを備え、
前記サーバ装置は、さらに、
前記キープアライブ信号送受信部が前記医療端末装置から前記キープアライブ信号を最後に受信してから前記キープアライブ信号を前記第1所定期間より長い第2所定期間受信しないとき、前記患者端末装置の各々に対して前記機器による負荷提供の中止を指示するサーバ側中止指示部を備える、リハビリテーション支援システム。
【請求項4】
前記医療端末装置は、
前記キープアライブ信号送受信部から前記応答信号を受信する医療側応答受信部と、
前記医療側応答受信部が
前記応答信号を最後に受信してから前記応答信号を第1所定期間受信しないとき、第1所定メッセージを出力する出力部とを備える、請求項1に記載のリハビリテーション支援システム。
【請求項5】
前記医療端末装置は、
前記キープアライブ信号送受信部から前記応答信号を受信する医療側応答受信部と、
前記医療側応答受信部が
前記応答信号を最後に受信してから前記応答信号を第1所定期間受信しないとき、第1所定メッセージを出力する出力部とを備える、請求項
2に記載のリハビリテーション支援システム。
【請求項6】
前記サーバ装置は、
前記キープアライブ信号送受信部が前記医療端末装置から
前記キープアライブ信号を最後に受信してから前記キープアライブ信号を前記第1所定期間より長い第2所定期間受信しないとき、前記患者端末装置の各々に対して前記
エルゴメータによる負荷提供の中止を指示するサーバ側中止指示部を備える、請求項
4に記載のリハビリテーション支援システム。
【請求項7】
前記サーバ装置は、
前記キープアライブ信号送受信部が前記医療端末装置から
前記キープアライブ信号を最後に受信してから前記キープアライブ信号を前記第1所定期間より長い第2所定期間受信しないとき、前記患者端末装置の各々に対して前記機器による負荷提供の中止を指示するサーバ側中止指示部を備える、請求項
5に記載のリハビリテーション支援システム。
【請求項8】
前記患者端末装置は、
前記キープアライブ信号送受信部から前記応答信号を受信する患者側応答受信部と、
前記患者側応答受信部が
前記応答信号を最後に受信してから前記応答信号を予め定められた上限期間受信しない時点で前記
エルゴメータによる負荷提供の中止を指示する端末側中止指示部を備える、請求項1
、4、および6の何れか1項に記載のリハビリテーション支援システム。
【請求項9】
前記患者端末装置は、
前記キープアライブ信号送受信部から前記応答信号を受信する患者側応答受信部と、
前記患者側応答受信部が
前記応答信号を最後に受信してから前記応答信号を予め定められた上限期間受信しない時点で前記機器による負荷提供の中止を指示する端末側中止指示部を備える、請求項
3、5、および7の何れか1項に記載のリハビリテーション支援システム。
【請求項10】
前記患者端末装置は、
前記第1通信ネットワークおよび前記第2通信ネットワークと異なる第3通信ネットワークを介して前記サーバ装置と通信可能であり、
前記患者側応答受信部が前記応答信号を受信しない期間が前記上限期間に到達する前に、前記患者側応答受信部が
前記応答信号を最後に受信してから前記応答信号を第3所定期間受信しないとき、前記サーバ装置と通信するための通信ネットワークを、前記第2通信ネットワークから前記第3通信ネットワークに切り替える通信切替部を備える、請求項
2、8、および9の何れか1項に記載のリハビリテーション支援システム。
【請求項11】
前記患者端末装置は、
前記患者側応答受信部が前記応答信号を受信しない期間が前記上限期間に到達する前に、前記患者側応答受信部が
前記応答信号を最後に受信してから前記応答信号を第4所定期間受信しないとき、前記第2通信ネットワークを用いて通信を行うための機能を再起動させる通信再起動部を備える、請求項
2、および8~10の何れか1項に記載のリハビリテーション支援システム。
【請求項12】
前記サーバ装置は、
前記キープアライブ信号送受信部が前記患者端末装置から
前記キープアライブ信号を最後に受信してから前記キープアライブ信号を第5所定期間受信しないとき、前記医療端末装置に対して第2所定メッセージを送信する送信部を備える、請求項1から
11の何れか1項に記載のリハビリテーション支援システム。
【請求項13】
遠隔心臓リハビリテーションの支援業務を行うためのリハビリテーション支援サーバであって、
医療関係者が使用する医療端末装置と第1通信ネットワークを介して通信する第1通信制御部と、
前記医療関係者の監視対象者であって前記
遠隔心臓リハビリテーションを受ける患者が使用し、前記患者に負荷を提供する
エルゴメータと接続される患者端末装置と前記第1通信ネットワークと異なる第2通信ネットワークを介して通信する第2通信制御部と、
前記
遠隔心臓リハビリテーションの実施中、前記医療端末装置および前記患者端末装置を送信元とするキープアライブ信号の各々を受信し、当該受信に対する応答信号を前記送信元のすべてに対して送信するキープアライブ信号送受信部を備
え、
前記遠隔心臓リハビリテーションの実施中、前記患者端末装置から前記医療端末装置への送信をリアルタイムで実行する、リハビリテーション支援サーバ。
【請求項14】
リハビリテーションの支援業務を行うためのリハビリテーション支援サーバであって、
医療関係者が使用する医療端末装置と第1通信ネットワークを介して通信する第1通信制御部と、
前記医療関係者の監視対象者であって前記リハビリテーションを受ける患者が使用し、前記患者に負荷を提供する機器と接続される患者端末装置と前記第1通信ネットワークと異なる第2通信ネットワークを介して通信する第2通信制御部と、
前記リハビリテーションの実施中、前記医療端末装置および前記患者端末装置を送信元とするキープアライブ信号の各々を受信し、当該受信に対する応答信号を前記送信元のすべてに対して送信するキープアライブ信号送受信部を備
え、
前記患者端末装置は、
前記キープアライブ信号送受信部から前記応答信号を受信する患者側応答受信部と、
前記患者側応答受信部が前記応答信号を最後に受信してから前記応答信号を予め定められた上限期間受信しない時点で前記機器による負荷提供の中止を指示する端末側中止指示部とを備える、リハビリテーション支援サーバ。
【請求項15】
リハビリテーションの支援業務を行うためのリハビリテーション支援サーバであって、
医療関係者が使用する医療端末装置と第1通信ネットワークを介して通信する第1通信制御部と、
前記医療関係者の監視対象者であって前記リハビリテーションを受ける患者が使用し、前記患者に負荷を提供する機器と接続される患者端末装置と前記第1通信ネットワークと異なる第2通信ネットワークを介して通信する第2通信制御部と、
前記リハビリテーションの実施中、前記医療端末装置および前記患者端末装置を送信元とするキープアライブ信号の各々を受信し、当該受信に対する応答信号を前記送信元のすべてに対して送信するキープアライブ信号送受信部
と、
前記キープアライブ信号送受信部が前記医療端末装置から前記キープアライブ信号を最後に受信してから前記キープアライブ信号を前記第1所定期間より長い第2所定期間受信しないとき、前記患者端末装置の各々に対して前記機器による負荷提供の中止を指示するサーバ側中止指示部とを備
え、
前記医療端末装置は、
前記キープアライブ信号送受信部から前記応答信号を受信する医療側応答受信部と、
前記医療側応答受信部が前記応答信号を最後に受信してから前記応答信号を第1所定期間受信しないとき、第1所定メッセージを出力する出力部とを
備える、リハビリテーション支援サーバ。
【請求項16】
医療関係者が使用する医療端末装置の制御方法であって、
前記医療端末装置は、第1通信ネットワークを介して、
遠隔心臓リハビリテーションの支援業務を行うためのサーバ装置と通信するものであり、
前記サーバ装置は、前記
遠隔心臓リハビリテーションの実施中、前記医療関係者の監視対象者であって前記
遠隔心臓リハビリテーションを受ける患者が使用する患者端末装置、および、前記医療端末装置を送信元とするキープアライブ信号の各々を受信し、当該受信に対する応答信号を前記送信元のすべてに対して送信するキープアライブ信号送受信部を備えるものであり、
前記患者端末装置は、前記第1通信ネットワークと異なる第2通信ネットワークを介して前記サーバ装置と通信し、前記患者に負荷を提供する
エルゴメータと接続されるものであり、
前記遠隔心臓リハビリテーションの実施中、前記サーバ装置を介した前記患者端末装置から前記医療端末装置への送信はリアルタイムで実行され、
前記医療端末装置が、
前記キープアライブ信号送受信部から前記応答信号を受信すること、および、
前記応答信号を最後に受信してから前記応答信号を第1所定期間受信しないとき、第1所定メッセージを出力することを含む、
医療端末装置の制御方法。
【請求項17】
医療関係者が使用する医療端末装置の制御方法であって、
前記医療端末装置は、第1通信ネットワークを介して、リハビリテーションの支援業務を行うためのサーバ装置と通信するものであり、
前記サーバ装置は、前記リハビリテーションの実施中、前記医療関係者の監視対象者であって前記リハビリテーションを受ける患者が使用する患者端末装置、および、前記医療端末装置を送信元とするキープアライブ信号の各々を受信し、当該受信に対する応答信号を前記送信元のすべてに対して送信するキープアライブ信号送受信部を備えるものであり、
前記患者端末装置は、
前記第1通信ネットワークと異なる第2通信ネットワークを介して前記サーバ装置と通信し、前記患者に負荷を提供する機器と接続されるものであり、
前記キープアライブ信号送受信部から前記応答信号を受信する患者側応答受信部と、
前記患者側応答受信部が前記応答信号を最後に受信してから前記応答信号を予め定められた上限期間受信しない時点で前記機器による負荷提供の中止を指示する端末側中止指示部とを備えるものであり、
前記医療端末装置が、
前記キープアライブ信号送受信部から前記応答信号を受信すること、および、
前記応答信号を最後に受信してから前記応答信号を第1所定期間受信しないとき、第1所定メッセージを出力することを含む、
医療端末装置の制御方法。
【請求項18】
医療関係者が使用する医療端末装置の制御方法であって、
前記医療端末装置は、第1通信ネットワークを介して、リハビリテーションの支援業務を行うためのサーバ装置と通信するものであり、
前記サーバ装置は、前記リハビリテーションの実施中、前記医療関係者の監視対象者であって前記リハビリテーションを受ける患者が使用する患者端末装置、および、前記医療端末装置を送信元とするキープアライブ信号の各々を受信し、当該受信に対する応答信号を前記送信元のすべてに対して送信するキープアライブ信号送受信部を備えるものであり、
前記医療端末装置は、
前記キープアライブ信号送受信部から前記応答信号を受信する医療側応答受信部と、
前記医療側応答受信部が前記応答信号を最後に受信してから前記応答信号を第1所定期間受信しないとき、第1所定メッセージを出力する出力部とを備えるものであり、
前記サーバ装置は、さらに、
前記キープアライブ信号送受信部が前記医療端末装置から前記キープアライブ信号を最後に受信してから前記キープアライブ信号を前記第1所定期間より長い第2所定期間受信しないとき、前記患者端末装置の各々に対して前記患者に負荷を提供する機器による負荷提供の中止を指示するサーバ側中止指示部を備えるものであり、
前記患者端末装置は、
前記第1通信ネットワークと異なる第2通信ネットワークを介して前記サーバ装置と通信し、前
記機器と接続されるものであり、
前記医療端末装置が、
前記キープアライブ信号送受信部から前記応答信号を受信すること、および、
前記応答信号を最後に受信してから前記応答信号を第1所定期間受信しないとき、第1所定メッセージを出力することを含む、
医療端末装置の制御方法。
【請求項19】
医療関係者の監視対象者であって
遠隔心臓リハビリテーションを受ける患者が使用する患者端末装置の制御方法であって、
前記患者端末装置は、
前記遠隔心臓リハビリテーションの支援業務を行うためのサーバ装置と医療関係者が使用する医療端末装置とが通信するための第1通信ネットワークと異なる第2通信ネットワークを介して前記サーバ装置と通信し、前記患者に負荷を提供する
エルゴメータと接続されるものであり、
前記サーバ装置は、前記
遠隔心臓リハビリテーションの実施中、前記医療端末装置および前記患者端末装置を送信元とするキープアライブ信号の各々を受信し、当該受信に対する応答信号を前記送信元のすべてに対して送信するキープアライブ信号送受信部を備えるものであり、
前記遠隔心臓リハビリテーションの実施中、前記サーバ装置を介した前記患者端末装置から前記医療端末装置への送信はリアルタイムで実行され、
前記患者端末装置が、
前記キープアライブ信号送受信部から前記応答信号を受信すること、および、
前記応答信号を最後に受信してから前記応答信号を予め定められた上限期間受信しない時点で前記
エルゴメータによる負荷提供の中止を指示することを含む、
患者端末装置の制御方法。
【請求項20】
医療関係者の監視対象者であってリハビリテーションを受ける患者が使用する患者端末装置の制御方法であって、
前記患者端末装置は、リハビリテーションの支援業務を行うためのサーバ装置と医療関係者が使用する医療端末装置とが通信するための第1通信ネットワークと異なる第2通信ネットワークを介して前記サーバ装置と通信し、前記患者に負荷を提供する機器と接続されるものであり、
前記サーバ装置は、前記リハビリテーションの実施中、前記医療端末装置および前記患者端末装置を送信元とするキープアライブ信号の各々を受信し、当該受信に対する応答信号を前記送信元のすべてに対して送信するキープアライブ信号送受信部を備えるものであり、
前記患者端末装置は、
前記キープアライブ信号送受信部から前記応答信号を受信する患者側応答受信部と、
前記患者側応答受信部が前記応答信号を最後に受信してから前記応答信号を予め定められた上限期間受信しない時点で前記機器による負荷提供の中止を指示する端末側中止指示部とを備えるものであり、
前記患者端末装置が、
前記キープアライブ信号送受信部から前記応答信号を受信すること、および、
前記応答信号を最後に受信してから前記応答信号を予め定められた上限期間受信しない時点で前記機器による負荷提供の中止を指示することを含む、
患者端末装置の制御方法。
【請求項21】
医療関係者の監視対象者であってリハビリテーションを受ける患者が使用する患者端末装置の制御方法であって、
前記患者端末装置は、リハビリテーションの支援業務を行うためのサーバ装置と医療関係者が使用する医療端末装置とが通信するための第1通信ネットワークと異なる第2通信ネットワークを介して前記サーバ装置と通信し、前記患者に負荷を提供する機器と接続されるものであり、
前記サーバ装置は、前記リハビリテーションの実施中、前記医療端末装置および前記患者端末装置を送信元とするキープアライブ信号の各々を受信し、当該受信に対する応答信号を前記送信元のすべてに対して送信するキープアライブ信号送受信部を備えるものであり、
前記医療端末装置は、
前記キープアライブ信号送受信部から前記応答信号を受信する医療側応答受信部と、
前記医療側応答受信部が前記応答信号を最後に受信してから前記応答信号を第1所定期間受信しないとき、第1所定メッセージを出力する出力部とを備え、
前記サーバ装置は、さらに、
前記キープアライブ信号送受信部が前記医療端末装置から前記キープアライブ信号を最後に受信してから前記キープアライブ信号を前記第1所定期間より長い第2所定期間受信しないとき、前記患者端末装置の各々に対して前記機器による負荷提供の中止を指示するサーバ側中止指示部を備えるものであり、
前記患者端末装置が、
前記キープアライブ信号送受信部から前記応答信号を受信すること、および、
前記応答信号を最後に受信してから前記応答信号を予め定められた上限期間受信しない時点で前記機器による負荷提供の中止を指示することを含む、
患者端末装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リハビリテーションを支援するリハビリテーション支援システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
適切なリハビリテーションの実施による退院患者の再入院率の抑制は、医療費の低減のための1つの方策であり得る。この再入院率を下げるためには、リハビリテーションを継続的に行うことが有効である。しかし、通院によるリハビリテーションは、患者への負担が大きく、継続率は高くない。
【0003】
そこで、在宅のままリハビリテーションを受けることが可能な遠隔リハビリテーションが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
心臓リハビリテーションによる運動療法は、医師等の医療関係者の指導の下に実施するとともに、医療関係者は患者の状況を監視することが求められる。そして、仮に患者側で中止基準を満たす事態(例えば、不整脈などの突発的症状)が発生した場合は、心臓リハビリテーションを直ちに中止する等の緊急措置が求められる。
【0006】
このことは、遠隔心臓リハビリテーションを実施する場合においても同様である。よって、遠隔心臓リハビリテーションを実現するネットワークシステムでは、医療関係者側および患者側の双方の通信ネットワークにおいて、安定したリアルタイム通信が求められる。これらの通信ネットワークのいずれかにおいて通信状態が悪化すると、医療関係者が患者を監視できない状況に陥る可能性が高いためである。したがって、遠隔心臓リハビリテーションの実施中は、これら双方の通信ネットワークにおける通信状態の常時監視が課題となるところ、特許文献1には当該課題および当該課題を解決するための手段について開示されていない。
【0007】
本発明は、前記の問題点に鑑みてなされたものであり、リハビリテーションを実現するネットワークシステムにおける通信状態の監視を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するために、本発明の一態様に係るリハビリテーション支援システムは、リハビリテーションを支援するリハビリテーション支援システムであって、前記リハビリテーションの支援業務を行うためのサーバ装置と、医療関係者が使用し、第1通信ネットワークを介して前記サーバ装置と通信する医療端末装置と、前記医療関係者の監視対象者であって前記リハビリテーションを受ける患者が使用し、前記第1通信ネットワークと異なる第2通信ネットワークを介して前記サーバ装置と通信し、前記患者に負荷を提供する機器と接続される患者端末装置とを備え、前記サーバ装置は、前記リハビリテーションの実施中、前記医療端末装置および前記患者端末装置を送信元とするキープアライブ信号の各々を受信し、当該受信に対する応答信号を前記送信元のすべてに対して送信するキープアライブ信号送受信部を備えている。
【0009】
上述の課題を解決するために、本発明の一態様に係るリハビリテーション支援サーバは、リハビリテーションの支援業務を行うためのリハビリテーション支援サーバであって、医療関係者が使用する医療端末装置と第1通信ネットワークを介して通信する第1通信制御部と、前記医療関係者の監視対象者であって前記リハビリテーションを受ける患者が使用し、前記患者に負荷を提供する機器と接続される患者端末装置と前記第1通信ネットワークと異なる第2通信ネットワークを介して通信する第2通信制御部と、前記リハビリテーションの実施中、前記医療端末装置および前記患者端末装置を送信元とするキープアライブ信号の各々を受信し、当該受信に対する応答信号を前記送信元のすべてに対して送信するキープアライブ信号送受信部を備えている。
【0010】
上述の課題を解決するために、本発明の一態様に係る医療端末装置の制御方法は、医療関係者が使用する医療端末装置の制御方法であって、前記医療端末装置は、第1通信ネットワークを介して、リハビリテーションの支援業務を行うためのサーバ装置と通信するものであり、前記サーバ装置は、前記リハビリテーションの実施中、前記医療関係者の監視対象者であって前記リハビリテーションを受ける患者が使用する患者端末装置、および、前記医療端末装置を送信元とするキープアライブ信号の各々を受信し、当該受信に対する応答信号を前記送信元のすべてに対して送信するキープアライブ信号送受信部を備えるものであり、前記患者端末装置は、前記第1通信ネットワークと異なる第2通信ネットワークを介して前記サーバ装置と通信し、前記患者に負荷を提供する機器と接続されるものであり、前記医療端末装置が、前記キープアライブ信号送受信部から前記応答信号を受信すること、および、前記応答信号を第1所定期間受信しないとき、第1所定メッセージを出力することを含む。
【0011】
上述の課題を解決するために、本発明の一態様に係る患者端末装置の制御方法は、医療関係者の監視対象者であってリハビリテーションを受ける患者が使用する患者端末装置の制御方法であって、前記患者端末装置は、リハビリテーションの支援業務を行うためのサーバ装置と医療関係者が使用する医療端末装置とが通信するための第1通信ネットワークと異なる第2通信ネットワークを介して前記サーバ装置と通信し、前記患者に負荷を提供する機器と接続されるものであり、前記サーバ装置は、前記リハビリテーションの実施中、前記医療端末装置および前記患者端末装置を送信元とするキープアライブ信号の各々を受信し、当該受信に対する応答信号を前記送信元のすべてに対して送信するキープアライブ信号送受信部を備えるものであり、前記患者端末装置が、前記キープアライブ信号送受信部から前記応答信号を受信すること、および、前記応答信号を予め定められた上限期間受信しない時点で前記機器による負荷提供の中止を指示することを含む。
【0012】
本発明の各態様に係るサーバ装置、医療端末装置、患者端末装置およびリハビリテーション支援サーバのそれぞれは、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを、上述のそれぞれの装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより、それぞれの装置をコンピュータにて実現させる各制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様によれば、リハビリテーションを実現するネットワークシステムにおける通信状態の監視が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】支援サーバの要部構成を示すブロック図である。
【
図2】リハビリテーション支援システムの概略構成を示す図である。
【
図3】医療関係者が使用するPCの要部構成を示すブロック図である。
【
図4】患者が使用するタブレットの要部構成を示すブロック図である。
【
図5】ユーザ管理テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【
図6】リハビリ管理データベースのデータ構造の一例を示す図である。
【
図7】支援システムにおいて実行される処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図8】支援システムにおいて実行される処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図9】タブレットの表示部に表示される患者閲覧画面の一例を示す図である。
【
図10】PCの表示部に表示される医療関係者の閲覧画面の一例を示す図である。
【
図11】患者閲覧画面上に表示される、通信途絶通知の一例を示す図である。
【
図12】医師閲覧画面上に表示される、通信途絶警告の一例を示す図である。
【
図13】医師閲覧画面上に表示される、通信途絶通知の一例を示す図である。
【
図14】患者閲覧画面上に表示される、途絶解消通知の一例を示す図である。
【
図15】医師閲覧画面上に表示される、途絶解消通知の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<リハビリテーション支援システムの概要>
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
図2は、リハビリテーション支援システムの概略構成を示す図である。リハビリテーション支援システム100(以下、単に支援システム100と略称する)は、支援サーバ1、パーソナルコンピュータ(PC)2、および、タブレット3を含む。
【0016】
支援サーバ1は、支援システム100を運営する運営会社が使用するサーバ装置であり、リハビリテーション(以下、リハビリと称する)の支援業務を行う。支援業務は、具体的には、PC(Personal Computer)2とタブレット3との通信を中継し、両者の通信状態を常時監視することである。支援サーバ1は、一例として、クラウドサーバであってもよい。他の例として、支援サーバ1は、運営会社によって敷設された、運営会社に帰属するサーバ装置であってもよい。
【0017】
PC2は、医療関係者が使用する医療端末装置である。PC2は、医療関係者が、リハビリを受ける患者の状態を監視したり、患者に対して対話による指導を行ったり、患者に負荷を提供する機器の負荷を指示したりすることに使用される。また、本実施形態では、PC2は、支援サーバ1による通信状態の常時監視を可能とするために、支援サーバ1との間でキープアライブセッションを確立する機能(キープアライブ機能)を有する。キープアライブ機能について、後に詳述する。
【0018】
なお、医療関係者としては、例えば、医師、理学療法士、または、作業療法士などが想定されている。医療端末装置は、支援サーバ1を介してタブレット3と通信する機能を有し、医療関係者が円滑に患者とのコミュニケーションを図れるように構成されていればどのような装置であってもよい。例えば、医療端末装置としては、ノートパソコン、タブレット、スマートフォン、テレビなど、任意のOS(Operating System)が搭載されている情報処理装置が採用され得る。
【0019】
タブレット3は、患者が使用する患者端末装置である。タブレット3は、キープアライブ機能に加えて、患者が居宅でリハビリを受けることを可能にするための下記のリハビリ支援機能を有する。具体的には、タブレット3は、患者に負荷を提供する機器および患者の状態をセンシングする機器などの周辺機器と近距離通信を行う。タブレット3は、例えば、カメラ、マイク、スピーカなどを有し、これらを介して、患者が医療関係者と対話することを可能にする。タブレット3は、患者が支援システム100を利用するにあたって必要となるユーザインタフェース(以下、UI)を提供する。例えば、タブレット3は、リハビリ中に患者に提供されるべき各種の情報を表示部に表示したり、患者が支援システム100に対して各種の情報を入力する作業を容易に行うための入力支援部品を表示部に表示したりする。タブレット3は、支援サーバ1を介して、PC2と通信する。例えば、タブレット3は、周辺機器から取得した患者に係る情報を支援サーバ1に送信したり、周辺機器に対する制御内容を示した制御コマンドを支援サーバ1から受信したりする。患者端末装置としては、タブレットに限らず、PC、ノートパソコン、スマートフォン、テレビなど、任意のOSが搭載されている情報処理装置が採用され得る。
【0020】
本実施形態では、支援サーバ1とPC2との間の通信は、第1通信ネットワーク7を介して行われる。第1通信ネットワーク7は、支援サーバ1とPC2との間を通信可能に接続する任意の通信網であるが、第1通信ネットワーク7は有線で構築されることが想定される。第1通信ネットワーク7は、インターネット、閉域網を1または複数含んでいてもよい。第1通信ネットワーク7が上述のいずれかの公衆回線通信網を含む場合には、支援サーバ1とPC2との間にVPN(Virtual Private Network)を設けることが好ましい。あるいは、第1通信ネットワーク7は、支援サーバ1とPC2とを直接接続する専用線で構成されていてもよい。第1通信ネットワーク7は、場合によっては、WiFi(登録商標)などの通信網、または、LTE(Long Term Evolution)などの携帯電話回線網を含んでいてもよい。
【0021】
本実施形態では、支援サーバ1とタブレット3との間の通信は、第2通信ネットワーク8を介して行われる。第2通信ネットワーク8は、上述の1つ以上の任意の通信網で構成されていてもよいが、第1通信ネットワーク7とは異なる通信網で構成されている。第2通信ネットワーク8としては、例えば、通信事業者が提供する光回線を用いた通信網などが想定され得る。
【0022】
本実施形態では、タブレット3は、さらに、第3通信ネットワーク9を介して支援サーバ1と接続される。第3通信ネットワーク9は、上述の1つ以上の任意の通信網で構成されていてもよいが、第1通信ネットワーク7とも第2通信ネットワーク8とも異なる通信網で構成されている。第3通信ネットワーク9としては、例えば、LTEなどの携帯電話回線網が想定され得る。本実施形態では、第3通信ネットワーク9は、第2通信ネットワーク8において障害が生じたときに備えて、タブレット3と支援サーバ1との通信可能状態を維持するための代替回線として使用される。
【0023】
(支援サーバ1)
支援サーバ1は、制御部10、通信部11、および、記憶部12を備えている。制御部10は、記憶部12に記憶されているプログラムおよびデータ、外部の装置から受信したプログラムおよびデータなどに基づき、支援サーバ1における各ブロックを統括して制御する。
【0024】
制御部10は、例えば、CPU(central processing unit)または専用プロセッサなどの制御装置により構成されてもよい。
図1を参照して後述する制御部10の各部は、CPUなどの制御装置が、ROM(read only memory)などで実現された記憶装置(記憶部12)に記憶されているプログラムをRAM(random access memory)などに読み出して実行することで実現できる。
【0025】
通信部11は、ネットワークを介して、外部の装置との間で信号およびデータの送受信を行う。具体的には、通信部11は、PC2との間で第1通信ネットワーク7を介して、信号およびデータの送受信を行う。通信部11は、タブレット3との間で第2通信ネットワーク8または第3通信ネットワーク9を介して、信号およびデータの送受信を行う。
【0026】
記憶部12は、制御部10にて用いられる各種データを記憶するものであり、ROMおよびRAMなどを含む。本実施形態では、一例として、
図1に示されるとおり、記憶部12は、ユーザ管理テーブル121(以下、ユーザテーブル121)、および、リハビリを実施回ごとに管理するリハビリ管理データベース122(以下、リハビリDB122)を不揮発的に記憶している。ユーザテーブル121は、ユーザに関連する情報を管理するためのテーブルであり、リハビリDB122は、リハビリに関連する情報を管理するためのデータベースである。記憶部12は、支援サーバ1がアクセス可能な外部の記憶装置として設けられてもよい。
【0027】
支援サーバ1は、不図示の表示部を備えていてもよい。例えば、表示部には、支援サーバ1が監視しているPC2とタブレット3との通信の状態が表示される。通信不良が生じた場合にその旨の通知が表示部に表示されてもよい。これにより、支援サーバ1のオペレータは、通信不良の発生を遅滞なく察知し、患者または医療関係者からの電話応対などの緊急措置に即時に対応することができる。
【0028】
(PC2)
PC2は、制御部20、通信部21、表示部22、操作部23および撮像部24を備えている。PC2は、不図示のマイクおよびスピーカを備えていてもよい。制御部20は、PC2が備える不図示の記憶装置に記憶されているプログラムおよびデータ、外部の装置から受信したプログラムおよびデータなどに基づき、PC2における各ブロックを統括して制御する。
【0029】
制御部20は、例えば、CPUまたは専用プロセッサなどの制御装置により構成されてもよい。
図3を参照して後述する制御部20の各部は、CPUなどの制御装置が、ROMなどで実現された記憶装置に記憶されているプログラムをRAMなどに読み出して実行することで実現できる。
【0030】
通信部21は、外部の装置との間で、ネットワークを介して、信号およびデータの送受信を行う。具体的には、通信部21は、支援サーバ1との間で第1通信ネットワーク7を介して、信号およびデータの送受信を行う。
【0031】
表示部22は、制御部20が処理した情報を医療関係者に視認可能に提示する出力装置である。例えば、表示部22は、液晶表示装置(LCD;Liquid Crystal Display)または有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどによって構成される。
【0032】
操作部23は、医療関係者の操作を受け付けるための入力装置である。操作部23は、受け付けた操作に対応する指示信号を制御部20に入力する。例えば、操作部23は、キーボードおよびマウスなどによって構成される。
【0033】
撮像部24は、被写体としての医療関係者の撮影を行って動画を生成するカメラである。具体的には、撮像部24は、被写体からの光を電気信号に変換するCCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal-oxide Semiconductor)などの撮像素子と、撮像素子からの電気信号を各色のデジタルデータに変換する映像処理回路とを含む。撮像部24が撮像した動画は、制御部20を介して、不図示の記憶装置に記憶される。以下では、撮像部24によって生成された医療関係者を写す動画を医療側動画と称する。医療側動画は、通信部21を介して支援サーバ1に送信される。
【0034】
(居宅システムの構成)
患者の居宅においては、リハビリの実施に際して、患者を直接的に支援する居宅システムが構築される。居宅システムは、居宅システム全体を統括し、患者と医療関係者との遠隔でのコミュニケーションを可能にする中央制御機器と、患者に負荷を提供する負荷提供機器と、患者の状態を検知する状態検知機器とを含む。一例として、中央制御機器は、タブレット3であり、負荷提供機器は、エルゴメータ5であり、状態検知機器は、心電計4である。居宅システムに含まれる中央制御機器と、その他の各周辺機器とは、近距離通信技術を介して互いに通信可能に接続されている。例えば、タブレット3と各周辺機器とを接続する近距離通信技術としては、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信技術が挙げられる。他の例では、タブレット3と各周辺機器とは、USB(Universal Serial Bus)などの接続端子を介して有線にて接続されてもよい。
【0035】
タブレット3は、中央制御機器であり、支援サーバ1と通信しながら、居宅システムを統括的に制御する。タブレット3は、制御部30、近距離通信部31、広域通信部32、撮像部33、表示部34および操作部35を備えている。タブレット3は、不図示のマイクおよびスピーカを備えていてもよい。制御部30は、タブレット3が備える不図示の記憶装置に記憶されているプログラムおよびデータ、外部の装置から受信したプログラムおよびデータなどに基づき、タブレット3における各ブロックを統括して制御する。
【0036】
近距離通信部31は、上述の有線または無線に基づく近距離通信技術を利用して、各周辺機器との間で、信号およびデータの送受信を行う。
【0037】
広域通信部32は、外部の装置との間で、ネットワークを介して、信号およびデータの送受信を行う。具体的には、広域通信部32は、支援サーバ1と、第2通信ネットワーク8を介して信号およびデータの送受信を行う。あるいは、広域通信部32は、支援サーバ1と、第3通信ネットワーク9を介して信号およびデータの送受信を行う。広域通信部32は、制御部30の指示にしたがって、第2通信ネットワーク8および第3通信ネットワーク9のいずれかを選択し、支援サーバ1と通信する。
【0038】
撮像部33は、被写体としての患者の撮影を行って動画を生成するカメラである。具体的には、撮像部33は、被写体からの光を電気信号に変換するCCD、CMOSなどの撮像素子と、撮像素子からの電気信号を各色のデジタルデータに変換する映像処理回路とを含む。撮像部33が撮像した動画は、制御部30を介して、不図示の記憶装置に記憶される。以下では、撮像部33によって生成された患者を写す動画を患者側動画と称する。患者側動画は、広域通信部32を介して支援サーバ1に送信される。
【0039】
表示部34は、制御部30が処理した情報を患者に視認可能に提示する出力装置である。例えば、表示部34は、液晶表示装置または有機ELディスプレイなどによって構成される。
【0040】
操作部35は、患者の操作を受け付けるための入力装置である。操作部35は、受け付けた操作に対応する指示信号を制御部30に入力する。一例として、操作部35は、表示部34とともにタッチパネルを構成してもよい。操作部35は、表示部34の表示面でもある操作部35の入力面に、患者の指またはタッチペンなどの指示体が接触(接近も含む)を検知することが可能なデバイスを含んで構成される。他の例では、操作部35は、キーボードおよびマウスなどによって構成されてもよい。
【0041】
ウェアラブル心電計4(以下、心電計4)は、周辺機器のうち、患者の状態を検知する状態検知機器である。心電計4は、一例として、波形送信部40と波形検知部41とを含む。波形送信部40は、波形検知部41が検出した電気信号に基づいて心電波形を生成し、タブレット3に送信する。波形送信部40は、例えば、テレメトリー式心電送信機などで構成される。
【0042】
波形検知部41は、患者の身体に密着させて、患者の身体を流れる電気に基づく電気信号を検知する。波形検知部41は、検知した電気信号を波形送信部40にフィードバックする。波形検知部41は、例えば、単回使用心電用電極などで構成される。
【0043】
居宅システムは、心電計4の他にも、呼吸数、動脈血酸素飽和度、血圧、心拍数、脈拍など、心電波形以外のバイタルデータを検知するための他の状態検知機器を含んでいてもよい。あるいは、心電計4が、上述のその他のバイタルデータを取得する機能を備えていてもよい。この場合、心電計4は、波形検知部41に加えて、その他のバイタルデータを検知するための検知部を備える。このように状態検知機器から発信された心電波形などのバイタルデータは、近距離通信技術を介してタブレット3に送信される。
【0044】
心電計4以外の状態検知機器として、例えば、以下のようなものが挙げられる。具体的には、Bluetooth(登録商標)通信が可能な血圧計、光電式容積脈波記録法(PPG;photoplethysmography)単独の血圧推定法を使用した耳に装着するタイプのリアルタイム血圧計、および、脚部の血流計測のための近赤外分光法(NIRS;near-infrared spectroscopy)機器などが状態検知機器として採用され得る。
【0045】
エルゴメータ5は、周辺機器のうち、患者に負荷を提供する負荷提供機器である。エルゴメータ5は、一例として、自転車エルゴメータであり、活動量送信部50および負荷調節部51を含む。
【0046】
活動量送信部50は、患者によるエルゴメータ5を用いた活動に関する情報をタブレット3に送信する。活動量送信部50は、例えば、リハビリ開始時からのペダルの累積回転数、回転速度、負荷、運動強度(METs)、リハビリ開始時からの累積運動時間、患者自身の自覚的運動強度を示すボルグ指数などが挙げられる。本実施形態では、負荷とは、ペダルの重さを意味し、例えば、ワット(Watt)で表される。なお、ボルグ指数は、患者によってタブレット3に直接入力されてもよい。
【0047】
負荷調節部51は、タブレット3から指定されたワット数に相当する負荷がかかるようにペダルの重さを調節する。
【0048】
以上のとおり、居宅システムでは、リハビリを受ける患者に関連するさまざまな情報が生成される。以下では、患者に関連するさまざまな情報を包括して患者情報と称する。
【0049】
患者情報には、例えば、患者がタブレット3などの中央制御機器に対して直接入力する患者自身に関する情報が含まれる。より具体的には、タブレット3に入力される患者情報としては、問診に対する回答情報、ボルグ指数などが想定される。また、患者情報には、心電計4などの状態検知機器から取得される、上述した各種のバイタルデータが含まれる。また、患者情報には、エルゴメータ5などの負荷提供機器から取得される、患者の活動に関する上述の各種の情報が含まれる。
【0050】
支援システム100における、患者側から医療関係者側への情報の伝達を上り転送、医療関係者側から患者側への情報の伝達を下り転送と称する。上り転送時には、タブレット3から支援サーバ1を介して、患者情報および患者側動画がPC2に送信される。この送信は、タブレット3と支援サーバ1との通信および支援サーバ1とPC2との通信が確立している間、リアルタイムで継続して実行される。これにより、医療関係者は、リハビリを受ける患者の健康状態をリアルタイムで把握することが可能となる。
【0051】
患者側動画は、患者と医療関係者との間で実施されるビデオ通話の時以外にも、常時、医療関係者のPC2に送信されていてもよい。患者側動画の他に、患者情報も常時、PC2に送信されてもよい。常時送信される患者情報は、一例として、心電波形、不整脈の発生有無を知らせる情報、リハビリがどのステージにあるのかを示すリハビリのステータス情報などのバイタルデータである。他の例では、各周辺機器の管理情報が、PC2に常時送信されてもよい。周辺機器の管理情報としては、例えば、タブレット3、心電計4およびエルゴメータ5などの接続状況および電池残量などが含まれる。他にも、エルゴメータ5の回転数、負荷の状況、モーターの稼働状況などが、周辺機器の管理情報として、PC2に常時送信されてもよい。
【0052】
下り転送時には、PC2から支援サーバ1を介して、負荷指示(例えば、ワット数)および医療側動画がタブレット3に送信される。医療側動画は、患者側動画と異なり、患者と医療関係者との間で実施されるビデオ通話の時のみ、PC2から支援サーバ1を介してタブレット3に送信されてもよい。また、上述の負荷指示は、常時送信される必要はなく、医療関係者が、PC2を操作して負荷を変更した時にのみ送信されてもよい。タブレット3は、受信した負荷指示をエルゴメータ5に転送し、エルゴメータ5は指定された負荷になるようにペダルの重さを調節する。
【0053】
具体例を挙げると、上り転送においては、エルゴメータ5からタブレット3に向かって、定期的に(例えば0.2秒に1回のペースにて)、エルゴメータ5の現在の負荷量(ワット数)が送信されている。この負荷量は、さらには、支援サーバ1、また、支援サーバ1を介してPC2にも送信されている。これによって、タブレット3、支援サーバ1およびPC2から、医療関係者によって指定された意図した負荷量になっていることの確認を常時行うことができるようになっている。一方、下り転送においては、医療関係者のPC2から出力される負荷指示は、負荷量の変更が行われたときに、PC2から支援サーバ1を介してタブレット3に送信されて、タブレット3からエルゴメータ5に送信される。
【0054】
タブレット3が指定するワット数は、PC2を操作する医療関係者から指定されたものである。つまり、患者に与えられる負荷は、専門的な知識を有する医療関係者によって、患者の現在の健康状態を加味して適切に決定され制御される。これにより、患者は、リハビリを指導する医療関係者がそばにいなくても、居宅にて、安心してリハビリを受けることができる。
【0055】
<機能説明>
(PC2)
図3は、医療関係者が使用するPC2の要部構成を示すブロック図である。制御部20は、一例として、信号送信部71、応答受信部72、タイマ部73、および、報知部74(出力部)を備えている。
【0056】
信号送信部71は、キープアライブ機能に係る信号の送信を制御する。具体的には、信号送信部71は、キープアライブセッションの確立を支援サーバ1に対して要求するキープアライブ開始信号を送信する。キープアライブ開始信号は、一例として、ICMP(Internet Control Message Protocol)パケットの「Echo Request」である。例えば、信号送信部71は、医療関係者がリハビリの監視を始めるために支援サーバ1との接続を開始することを指示する入力操作を行ったことに応答して、キープアライブ開始信号を支援サーバ1に送信してもよい。
【0057】
また、信号送信部71は、キープアライブセッションが確立している間、定期的に、例えば、5秒間隔でキープアライブ信号を支援サーバ1に送信する。キープアライブ信号の定期的な送信により、PC2は、自身の通信状態が良好であることを支援サーバ1に知らせることができる。
【0058】
また、信号送信部71は、キープアライブセッションの終了を支援サーバ1に対して通知するキープアライブ終了信号を送信する。例えば、信号送信部71は、医療関係者がリハビリの監視を終了するために支援サーバ1との接続を終了することを指示する入力操作を行ったことに応答して、キープアライブ終了信号を支援サーバ1に送信してもよい。
【0059】
例えば、PC2と支援サーバ1との間の通信は、PC2の表示部22に表示されるUIを、医療関係者が操作したことをトリガにして確立されてもよい。より具体的には、表示部22に表示される操作画面には、指導対象である患者の情報とともにその患者のリハビリ指導を開始するための開始ボタンが配置されていることが想定される。医療関係者が指導したい患者に対応付けられた開始ボタンを押したことに応じて、通信が確立し、これに伴って、PC2と支援サーバ1との間のキープアライブセッションが開始される。
【0060】
また、表示部22においてリハビリ中に表示される監視画面には、患者の心電図などの他に、閉じるボタンが配置されていることが想定される。医療関係者が、監視対象である患者の監視画面の閉じるボタンを押したことに応じて、PC2と支援サーバ1との間のキープアライブセッションが終了する。
【0061】
なお、患者と医療関係者との間でビデオ通話を行うためのアプリケーション(以下、ビデオ通話アプリケーション)が、それぞれの端末、すなわち、タブレット3およびPC2に搭載されていてもよい。
【0062】
支援システム100においては、ビデオ通話アプリケーションを用いたビデオ通話は、リハビリが実施されている期間において、常時実施される必要はなく、必要な時に必要なだけ(例えば、1回のリハビリ期間において、会話は2回程度、合計で10分以内程度、など)、会話ができるように実施され得る。リハビリ中の、会話が行われていない期間は、患者は、リハビリ、具体的には、レジスタンストレーニングおよびバイク運動を行う。この間、医療関係者は、支援サーバ1から常時送られてくる患者の心電図、患者側動画から伺える患者の表情、エルゴメータ5の回転数などを監視しつつ、負荷を調整することができる。会話が行われていない期間における、患者情報および負荷指示などの送受信は、仮想的なトークルームなどの形式ではなく、タブレット3と支援サーバ1、および、支援サーバ1とPC2の間に確立された通信路(Websocket)を介して行われる。
【0063】
応答受信部72は、キープアライブ機能に係る信号の受信を制御する。具体的には、応答受信部72は、キープアライブ開始信号に対する応答として、支援サーバ1から、開始受諾信号を受信する。これにより、キープアライブセッションが確立される。開始受諾信号は、一例として、ICMPパケットの「Echo Reply」である。
【0064】
また、応答受信部72は、キープアライブセッションが確立している間、キープアライブ信号に対する応答として、支援サーバ1から、応答信号を受信する。応答信号の定期的な受信により、PC2は、支援サーバ1とPC2との間の通信状態が良好であると認識することができる。また、応答受信部72は、キープアライブ終了信号に対する応答として、支援サーバ1から、終了受諾信号を受信する。
【0065】
タイマ部73は、応答受信部72が応答信号を受信した時点からの経過時間を計測する。応答受信部72が再び応答信号を受信すると、タイマ部73は、計測していた経過時間をリセットし、最新の受信時点からの経過時間を計測する。ある実施形態では、制御部20内の各部は、自身の本来の機能に加えて、タイマ部73が計測する経過時間を監視する機能を有していてもよい。そのような各部は、タイマ部73が計測する経過時間が予め定められた閾値に到達したことに基づいて、自身の本来の機能を実行してもよい。他の実施形態では、タイマ部73は、経過時間の閾値を保持していてもよく、経過時間が閾値に到達したことを、制御部20内の必要な各部に伝達する機能を有していてもよい。
【0066】
報知部74は、リハビリ実施中につき通信が確立されている患者のタブレット3と医療関係者のPC2との間の通信状況に関する各種の情報を医療関係者に対して出力し、知らせる。一例として、報知部74は、信号送信部71が応答信号を第1所定期間受信しないとき、通信途絶警告(第1所定メッセージ)を出力する。ここで、第1所定期間は、例えば10秒である。通信途絶警告は、例えば、支援サーバ1とPC2との通信状態が不良である旨を注意喚起する警告表示であってもよい。また、通信途絶警告は、リハビリを中止するまでの残り時間をカウントダウン形式で示す警告表示であってもよい。
【0067】
これにより、支援サーバ1とPC2との間の通信状態が不良であることを医療関係者に通知することができる。その結果として、医療関係者は、リハビリを継続または中止するための対応をとることができる。例えば、医療関係者は、通信状態を回復させるための行動(通信機器の再起動など)を起こすことができる。あるいは、医療関係者は、支援システム100で採用されている通信手段とは異なる任意の通信手段(電話、SNSなど)を用いてリハビリの中止を患者に指示することができる。
【0068】
なお、第1所定期間は、上述の「10秒」などのように、比較的短く設定される。これにより、報知部74は、医療関係者に対して、PC2の通信不良をいち早く警告することができ、結果として、通信途絶から間を開けずに即時の対応を医療関係者に促すことが可能となる。
【0069】
複数人の患者を受け持つ医療関係者のPC2が通信不良の状態でありながら、各々の患者がリハビリを継続してしまうという事態は最も避けなければならない事態である。報知部74に閾値として参照させる第1所定期間を比較的短く設定することにより、医療関係者に対して、通信不良を解消するための対応を即時にとらせることが可能となる。
【0070】
(タブレット3)
図4は、患者が使用するタブレット3の要部構成を示すブロック図である。制御部30は、一例として、主通信制御部81、副通信制御部82、信号送信部83、応答受信部84(患者側応答受信部)、タイマ部85、通信切替部86、通信再起動部87、および、機器制御部88(端末側中止指示部)を備えている。
【0071】
主通信制御部81は、広域通信部32を制御して、タブレット3を第2通信ネットワーク8に接続させる。副通信制御部82は、広域通信部32を制御して、タブレット3を第3通信ネットワーク9に接続させる。
【0072】
これにより、タブレット3は、支援サーバ1との間でキープアライブセッションを確立し、支援サーバ1を介して、PC2とデータのやりとりを行うことが可能となる。また、主通信制御部81および副通信制御部82の両方を備えていることにより、一方の通信ネットワークに障害が生じても、もう一方の通信ネットワークを介して支援サーバ1との通信を維持することができる。したがって、安全に、PC2とデータのやりとりを行うことが可能となる。
【0073】
信号送信部83は、キープアライブ機能に係る信号の送信を制御する。具体的には、信号送信部83は、キープアライブセッションの確立を支援サーバ1に対して要求するキープアライブ開始信号を送信する。例えば、信号送信部83は、患者がリハビリを始めるために支援サーバ1との接続を開始することを指示入力操作を行ったことに応答して、キープアライブ開始信号を支援サーバ1に送信してもよい。キープアライブ開始信号は、一例として、ICMPパケットの「Echo Request」である。
【0074】
また、信号送信部83は、キープアライブセッションが確立している間、定期的に、例えば、5秒間隔でキープアライブ信号を支援サーバ1に送信する。キープアライブ信号の定期的な送信により、タブレット3は、自身の通信状態が良好であることを支援サーバ1に知らせることができる。
【0075】
また、信号送信部83は、キープアライブセッションの終了を支援サーバ1に対して通知するキープアライブ終了信号を送信する。例えば、信号送信部83は、患者がリハビリを終了するために支援サーバ1との接続を終了することを指示する入力操作を行ったことに応答して、キープアライブ終了信号を支援サーバ1に送信してもよい。
【0076】
例えば、タブレット3と支援サーバ1との間の通信は、タブレット3の表示部34に表示されるUIを、患者が操作したことをトリガにして確立されてもよい。より具体的には、表示部34に表示されるリハビリ操作のためのトップ画面に、リハビリの開始を指示する開始ボタンが配置されていることが想定される。患者が、この開始ボタンを押したことに応じて、通信が確立し、これに伴って、タブレット3と支援サーバ1との間のキープアライブセッションが開始されてもよい。
【0077】
また、表示部34においてリハビリ中に表示される操作画面には、リハビリの終了を指示する終了ボタンが配置されていてもよい。患者が、この終了ボタンを押したことに応じて、リハビリが終了し、上述のトップ画面に遷移するまでの間に、上述のキープアライブセッションが終了する。
【0078】
応答受信部84は、キープアライブ機能に係る信号の受信を制御する。具体的には、応答受信部84は、キープアライブ開始信号に対する応答として、支援サーバ1から、開始受諾信号を受信する。これにより、キープアライブセッションが確立される。開始受諾信号は、一例として、ICMPパケットの「Echo Reply」である。
【0079】
また、応答受信部84は、キープアライブセッションが確立している間、キープアライブ信号に対する応答として、支援サーバ1から、応答信号を受信する。応答信号の定期的な受信により、タブレット3は、支援サーバ1とタブレット3との間の通信状態が良好であると認識することができる。また、応答受信部84は、キープアライブ終了信号に対する応答として、支援サーバ1から、終了受諾信号を受信する。
【0080】
他の例では、患者のより安全なリハビリの実施のために、さらに、患者の心電図データが無事に送信できていることに基づいて、通信状態の良否を判定してもよい。具体的には、まず、タブレット3は、心電図データが良好に送信できている否かを監視し、心電図データが9秒間送信できないことに基づいて、通信の不良を検知し、これを、安全策(例えば、回線切り替え、リハビリ中止など)を実施することのトリガとしてもよい。タブレット3は、次に、通信路そのものが途絶しているかどうかの確認のためにキープアライブ信号を使用してもよい。このように、タブレット3と支援サーバ1との間の通信途絶の監視を、2重に実施することにより、患者の安全性をより一層確保することができる。
【0081】
医療関係者が操作するPC2と支援サーバ1との間の通信に関しては、一般的に、医療機関における通信設備と、安全性の高いクラウドサーバとの間で、広い帯域が保証されている場合が多いと予想される。そのため、キープアライブ信号が通れば、通信路が確保されており、その通信路は十分な帯域幅を有しているケースがほとんどであると考えられる。
【0082】
一方で、患者が居宅で使用するタブレット3と支援サーバ1との間の通信路は、実際には、モバイルネットワークを使用するケースがある。その場合、通信路が確保されていたとしても、送信すべきデータ量に対して十分な帯域幅を持っていることが保証されていない可能性がある。キープアライブ信号は、容量が小さい信号であるため、帯域が狭くても送信が可能である。しかし、タブレット3が支援サーバ1に送信すべきデータのうち、最も重要なものは患者の心臓の状態に関する心電図データである。次に重要な送信すべき情報は、患者の顔、特に表情が写された患者の顔画像である。患者の顔画像は、例えば、2秒に1度送信されることが好ましい。心電図データおよび顔画像は、それぞれ、数Kバイトから十数Kバイトの容量がある。この最も重要な心電図データが送信されていなければ、医療関係者が患者の心臓の状態を監視することができないので、患者の安全のためにリハビリを中止すべきと判断されるべきである。
【0083】
以上のことから、上述の構成によれば、リハビリが実施されている期間において、帯域幅が比較的狭い中で、比較的容量が多い、かつ、欠いてはならない重要な情報が不備なく送信されることを保証することができる。
【0084】
タイマ部85は、応答受信部84が応答信号を受信した時点からの経過時間を計測する。応答受信部84が再び応答信号を受信すると、タイマ部85は、計測していた経過時間をリセットし、最新の受信時点からの経過時間を計測する。ある実施形態では、制御部30内の各部は、自身の本来の機能に加えて、タイマ部85が計測する経過時間を監視する機能を有していてもよい。そのような各部は、タイマ部85が計測する経過時間が予め定められた閾値に到達したことに基づいて、自身の本来の機能を実行してもよい。他の実施形態では、タイマ部85は、経過時間の閾値を保持していてもよく、経過時間が閾値に到達したことを、制御部30内の必要な各部に伝達する機能を有していてもよい。
【0085】
通信切替部86は、支援サーバ1と通信するための通信ネットワークを、第2通信ネットワーク8または第3通信ネットワーク9に切り替える。例えば、通信切替部86は、応答受信部84が応答信号を受信しない期間が、予め定められた上限期間に到達する前において、応答受信部84が応答信号を第3所定期間受信しないとき、第2通信ネットワーク8から第3通信ネットワーク9に切り替える。
【0086】
第2通信ネットワーク8の典型例は、例えばWiFi(登録商標)等の無線LANを含むネットワークであり、第3通信ネットワーク9の典型例は、例えばLTE等の通信網を含むネットワークある。
【0087】
通信切替部86の制御にしたがい、主通信制御部81に代えて、副通信制御部82は、広域通信部32を第3通信ネットワーク9に接続させて、通信不良の解消を試みる。このように、通信状態の良否に応じて、通信ネットワークが自動で切り替えられて、通信状態の回復が試みられる。ここで、切り替えによって通信状態が回復すれば、リハビリは中止されることを免れ継続される。これにより、タブレット3と支援サーバ1との間で通信途絶が一時的に生じても、それよって、患者がリハビリを受ける機会を奪われることを回避できる。また、通信ネットワークの切り替えは自動で行われるため、仮に患者のITリテラシーが低くても支援サーバ1とタブレット3との通信状態を回復させることができる。
【0088】
また、通信切替部86は、第2通信ネットワーク8における通信状態の不良が解消した場合に、支援サーバ1と通信するための通信ネットワークを、第3通信ネットワーク9から第2通信ネットワーク8に戻してもよい。
【0089】
例えば、第2通信ネットワーク8を介しての通信の方が、第3通信ネットワーク9と比較して、費用面または速度面などで優位な場合に、可能な限り優位な通信ネットワークを使用するようにタブレット3を構成することができる。患者は、現在どの通信ネットワークが使われていて、どの通信ネットワークを使うのが得なのかを意識したり気にしたりする必要がない。これにより、患者のITリテラシーが低く、最適な通信ネットワークを適時に選択する知識を有していなくとも、第2通信ネットワーク8の優位性の恩恵を受けることができる。
【0090】
通信再起動部87は、応答受信部84が応答信号を受信しない期間が上述の上限期間に到達する前において、応答受信部84が応答信号を第4所定期間受信しないとき、第2通信ネットワーク8を用いて通信を行うための機能を再起動させる。通信再起動部87の制御にしたがい、主通信制御部81は、例えばルータなど、第2通信ネットワーク8を用いて通信を行うための機能を再起動させる。
【0091】
これにより、タブレット3が第2通信ネットワーク8を用いて通信を行うための機能を自動で再起動させるため、支援サーバ1との通信状態の回復を試みることができる。その結果、通信状態が回復すれば、リハビリを継続することができる。また、再起動は自動で行われるため、仮に患者のITリテラシーが低くても支援サーバ1とタブレット3との通信状態を回復させることができる。
【0092】
通信再起動部87は、通信切替部86が第2通信ネットワーク8を第3通信ネットワーク9に切り替える前に、まず、第2通信ネットワーク8の通信機能の再起動を実行してもよい。通信再起動部87は、通信切替部86の切り替え動作の後、通信ネットワークの切り替えがうまく行かなかった場合に、再起動を実行してもよい。通信再起動部87は、通信途絶が解消されずにやむなくリハビリが中止になった後も、再起動を実行してもよい。
【0093】
機器制御部88は、近距離通信部31を介して、居宅システムにおける各周辺機器を制御する。一例として、機器制御部88は、エルゴメータ5の動作、とりわけ、負荷調節部51に調節させる負荷を制御する。また、機器制御部88は、応答受信部84が応答信号を予め定められた上限期間受信しない時点でエルゴメータ5による負荷提供の中止をタブレット3に対して指示する。これにより、上限期間を超えて、患者が医療関係者と連絡をとれないまま運動を継続することを回避し、患者の安全を確保することができる。
【0094】
例えば、タブレット3の制御部30は、「リハビリを中止します」というメッセージを表示部34に表示させる。そして、機器制御部88は、リハビリを中止するように各周辺機器を制御する。一例として、機器制御部88は、エルゴメータ5の負荷を、最低の10ワットに下げて、3分間、患者にクールダウン運動を行わせる。その後、制御部30は、表示部34に、リハビリ終了画面を表示させる。ここで表示部34に表示されるリハビリ終了画面には、リハビリ終了時の血圧を測定するように患者を促し、測定結果を入力させるUIと、問診結果を入力させるUIとが配置されていてもよい。問診結果を入力させるUIは、例えば、画面上に質問を表示し、患者に、2択で回答を入力させるようなものであってもよい。リハビリ終了画面において、血圧の測定結果と、問診結果とが入力されると、リハビリが支援システム100上で終了されたと認識される。なお、リハビリが終了したとき、機器制御部88は、エルゴメータ5のペダルが回転しないよう、ペダルにロックがかかるようにエルゴメータ5を制御してもよい。これにより、エルゴメータ5が、医療行為の目的以外で使用されることを防止したり、同居の幼児等によるいたずらを防止したり、不慮の事故を防止したりすることができる。
【0095】
通信切替部86が参照する上述の第3所定期間は、比較的短く設定されてもよく、例えば、10秒である。これにより、通信切替部86は、通信途絶からすぐに別の通信ネットワークへの切り替えの動作に移ることができる。結果として、タブレット3が支援サーバ1と通信できない期間をできるだけ短くして、患者の安全性を確保することができる。
【0096】
通信再起動部87は、応答受信部84が応答信号を受信しなくなってからの経過時間が、第3所定期間以上上限期間未満となる期間の任意のタイミングで再起動を試みてもよい。例えば、再起動は、通信切替部86が通信ネットワークを第2通信ネットワーク8から第3通信ネットワーク9に切り替える時、または、第3通信ネットワーク9に切り替えられた後などに実行されてもよい。
【0097】
これにより、通信切替部86が通信ネットワークの切り替えを実施し、支援サーバ1との通信不良の解消に即時に対処しつつ、通信再起動部87が第2通信ネットワーク8の復旧を試みることができる。第2通信ネットワーク8が復旧した後は、より優位な第2通信ネットワーク8へと接続を戻すことも可能である。
【0098】
上述のとおり、通信切替部86による通信ネットワークの切り替えも、通信再起動部87による通信機能の再起動も、機器制御部88によってリハビリが中止される上限期間が満了する前に実施され得る。例えば、第3所定期間は、10秒、第4所定期間は、40秒、上限期間は、60秒であってもよい。
【0099】
他の例では、ルータなどの通信機能の再起動には、数分かかることも想定されるため、上限期間は、60秒よりも長く(例えば、数分程度に)設定されてもよい。他の例では、さらに、通信再起動部87は、ルータの再起動、または、タブレット3の再起動を、リハビリが中止された後に実行してもよい。
【0100】
上述の構成によれば、まず、通信切替部86による通信ネットワークの切り替えが即時に実施され、一方で、通信再起動部87によるルータなどの再起動が実施される。これでも、通信不良の状態が解消されない場合に、患者の安全を考慮して、通信途絶の期間が上限期間を満了したときにリハビリが中止される。
【0101】
このように、リハビリの中止に至るまで、通信不良を解消するための様々な対処が自動で実行されるので、患者のリハビリを受ける機会が失われることをできる限り避けながら、患者の安全性も確保することができる。
【0102】
通信途絶の監視と、通信途絶検知後の復旧の動作は、以下の手順で実施されてもよい。具体的には、一例として心電図データが9秒間送信されなくなったことをトリガにして、以下の復旧動作が実施される。まず、通信再起動部87によって、主通信制御部81自体の再起動が実行される。一例として、通信再起動部87は、WiFi(登録商標)のオフオンを実行する。次に、通信切替部86が、主通信制御部81に代えて、副通信制御部82に、第3通信ネットワーク9への接続を試行させる。一例として、通信切替部86は、副通信制御部82に対してLTEへの切り替えを指示する。それぞれの復旧動作が実行されるごとに、主通信制御部81または副通信制御部82は、心電図データの再送信を試みる。ここで、心電図データの送信が可能になれば、リハビリは再開される。一方、上述のいずれの復旧動作によっても、心電図データが送信できなかった場合には、機器制御部88は、リハビリを中止する。
【0103】
リハビリ中止後、制御部30の各部は、さらに、次回のリハビリのための回線復旧作業を以下の手順で実行してもよい。まず、制御部30は、タブレット3自体を再起動する。再起動後、主通信制御部81は、再度、心電図データの送信を試行してもよい。ここでも心電図データが送信できない場合には、次に、通信再起動部87は、ルータなどの通信機能を再起動させる。ルータの再起動後、主通信制御部81は、再度、心電図データの送信を試行してもよい。ここでも心電図データを送信できなかった場合は、制御部30は、支援サーバ1にリハビリ後も、心電図データを送信できる状態まで復旧できない事態を報告する。
【0104】
報告を受けた支援サーバ1は、PC2に、タブレット3と支援サーバ1との間の通信途絶を通知する。このような通知を受けたことに伴って、PC2は、表示部22に、「支援サーバ1の運営会社に連絡を取る」ように、医療関係者に対するメッセージを表示させる。こうして、一連のリハビリの処理が終了する。リハビリ中止後の上述の回線復旧作業のいずれかの工程で心電図データの送信に成功した場合は、制御部30は、タブレット3の表示部34に、「通信が復旧しました。次回のリハビリは正常に実施可能です」のメッセージを表示させて、スリープモードに移行する。回線復旧および次回リハビリ実施可能の通知は、タブレット3から支援サーバ1へ、そして、支援サーバ1からPC2へと、同様に報告される。そして、PC2の表示部22にも、同様のメッセージが表示されてもよい。
【0105】
(支援サーバ1)
図1は、支援サーバ1の要部構成を示すブロック図である。制御部10は、一例として、医療側通信制御部61(第1通信制御部)、患者側通信制御部62(第2通信制御部)、中継処理部63、信号送受信部64(キープアライブ信号送受信部)、タイマ部65、遠隔中止指示部66(サーバ側中止指示部)、および、通知送信部67(送信部)を備えている。記憶部12には、ユーザテーブル121と、リハビリDB122とが記憶されている。
【0106】
医療側通信制御部61は、通信部11を制御して、支援サーバ1を第1通信ネットワーク7に接続させる。これにより、支援サーバ1はPC2との間でキープアライブセッションを確立し、PC2の通信状態を常に監視しながら、PC2とデータのやりとりを行うことが可能となる。
【0107】
患者側通信制御部62は、通信部11を制御して、支援サーバ1を第2通信ネットワーク8または第3通信ネットワーク9に接続させる。これにより、支援サーバ1はタブレット3との間でキープアライブセッションを確立し、タブレット3の通信状態を常に監視しながら、タブレット3とデータのやりとりを行うことが可能となる。
【0108】
中継処理部63は、リハビリ実施時の患者と医療関係者との情報交換を統括する。上り転送時または下り転送時に送受信されるデータが適切な相手に転送されるようにデータを中継する。例えば、中継処理部63は、患者と医療関係者とがビデオ通話を実行している間にやりとりされる、患者側動画および医療側動画を中継する。また、中継処理部63は、リハビリが実施されている間、ビデオ通話が実行されていない期間も、常時、患者のバイタルデータ(例えば、患者の様子が分かる顔画像、心電図データ、心拍数、血圧など)をタブレット3からPC2へ中継する。リハビリの実施中、患者がタブレット3を操作して、問診に対する回答を入力した場合には、中継処理部63は、その回答情報をPC2へ中継してもよい。
【0109】
ユーザテーブル121には、どの医療関係者がどの患者を担当するのかを示す対応関係が記憶されている。中継処理部63は、ユーザテーブル121を参照して、送受信されるデータを適切な相手に中継することができる。ユーザテーブル121のデータ構造については、
図5を参照して後に詳述する。
【0110】
他の例では、医療関係者と患者との対応関係は固定されておらず、リハビリの実施回ごとに変更されてもよい。このような例では、ユーザテーブル121は、一例として、医療関係者マスタと、患者マスタとの2つのテーブルに分けて作成され、リハビリの実施回ごとに、対応関係を管理するようにしてもよい。
【0111】
また、中継処理部63は、リハビリDB122に記憶されているリハビリの実施回ごとに、実施されるリハビリの各参加者の情報、例えば、患者情報などを管理する。リハビリDB122のデータ構造については、
図6を参照して後に詳述する。
【0112】
なお、参加者とは、医療関係者および患者である。本実施形態では、一例として、リハビリを指導する医療関係者1人に対して、リハビリを受ける患者が1または複数割り当てられる。したがって、リハビリの実施回1回分につき、1人の医療関係者と、1以上の患者とが対応付けられる。具体的には、中継処理部63は、リハビリDB122において、実施予定のリハビリ1回分のレコードにおいて、医療関係者と患者との対応関係を登録する。医療関係者は、必要に応じてリハビリに参加するすべて患者と1対1でオンライン対話することが可能である。支援サーバ1は、リハビリの実施回ごとに、PC2およびタブレット3に対して、リハビリを実施するための仮想的なWEB会議室を提供してもよい。このとき、患者は、医療関係者と同室の他の患者との対話に参加することを禁止されていてもよい。また、同室の患者同士の対話は禁止されていてもよい。医療関係者は、WEB会議室に入室したすべて患者と1対多でオンライン対話することができてもよい。医療関係者は、患者同士の対話を必要に応じて許可したり、患者と自分との対話を他の患者に許可したりする権限を有していてもよい。
【0113】
他の例では、1回のリハビリに、複数の医療関係者が参加してもよい。この場合、2人目以降の医療関係者は、1人目が操作しているPC2とは別のPC2を介して、支援サーバ1に接続している。こうして、複数の医療関係者が、同じWEB会議室に入室し、同時に、同じ患者らの監視および指導を行ってもよい。それぞれの医療関係者は、必要に応じて、患者とビデオ通話を行うことができる。例えば、患者らの状態の監視に専念する医療関係者がいる一方で、瞬間的に手すきなったもう1人の医療関係者が、患者らと順次ビデオ通話を行うことも可能である。
【0114】
信号送受信部64は、キープアライブ機能に係る信号の送受信を制御する。具体的には、信号送受信部64は、支援システム100におけるリハビリの実施中、PC2およびタブレット3を送信元とするキープアライブ信号の各々を受信し、当該受信に対する応答信号を送信元のすべての装置に対して送信する。より詳細には、信号送受信部64は、参加者の端末(PC2またはタブレット3)から、キープアライブセッションの確立を要求するキープアライブ開始信号を受信すると、その送信元の端末に、開始受諾信号を返信して、キープアライブセッションを確立する。また、信号送受信部64は、参加者の端末から、キープアライブセッションの終了を要求するキープアライブ終了信号を受信すると、その送信元の端末に、終了受諾信号を返信して、キープアライブセッションを終了する。キープアライブセッションが確立している間、信号送受信部64は、参加者の端末からキープアライブ信号を受信すると、その送信元の端末に、応答信号を返信する。この信号のやりとりは、キープアライブセッションが確立している間、定期的に、例えば、5秒間隔で実施される。これにより、支援サーバ1は、信号送受信部64が定期的にキープアライブ信号を受信していることにより、その送信元の端末の通信状態が良好であることを把握することができる。反対に、キープアライブ信号の受信が途絶えたことに基づいて、支援サーバ1は、送信元の端末の通信状態の不良を認識することができる。
【0115】
タイマ部65は、参加者の端末ごとに、信号送受信部64がキープアライブ信号を受信した時点からの経過時間を計測する。信号送受信部64が同一端末から再びキープアライブ信号を受信すると、タイマ部65は、計測していた経過時間をリセットし、最新の受信時点からの経過時間を計測する。ある実施形態では、制御部10内の各部は、自身の本来の機能に加えて、タイマ部65が計測する参加者の端末ごとの経過時間を監視する機能を有していてもよい。そのような各部は、タイマ部65が計測する経過時間が予め定められた閾値に到達したことに基づいて、自身の本来の機能を実行してもよい。他の実施形態では、タイマ部65は、経過時間の閾値を保持していてもよく、経過時間が閾値に到達したことを、制御部10内の必要な各部に伝達する機能を有していてもよい。
【0116】
遠隔中止指示部66は、信号送受信部64がPC2からキープアライブ信号を第1所定期間より長い第2所定期間受信しないとき、PC2に関連付けられたタブレット3の各々に対して、負荷提供機器による負荷提供の中止を指示する。
【0117】
上述のとおり、第1所定期間は、医療関係者のPC2が支援サーバ1から応答信号を受信した時点からの経過時間について、PC2が、自装置における通信不良をユーザである医療関係者に通知するときの閾値となる期間である。第1所定期間は、例えば、10秒である。つまり、PC2は、支援サーバ1から最後に応答信号を受信してから10秒経過すると、そのことを医療関係者に警告し、通信不良に陥っていることを知らせる。一方、第2所定期間とは、第1所定期間より長い期間であり、例えば、90秒である。つまり、遠隔中止指示部66は、PC2からキープアライブ信号を受信しなくなって90秒が経過した時点で、通信不良のPC2を利用している医療関係者が受け持っているすべての患者のタブレット3に対して、リハビリを中止するように指示を送る。
【0118】
複数人の患者を受け持つ医療関係者のPC2が通信不良の状態でありながら、各々の患者がリハビリを継続してしまうという事態は最も避けなければならない事態である。一方で、PC2が例えば1分前後のごく短い期間、一時的に通信不良に陥ったからと言って、そのたびに、参加するすべての患者のリハビリを受ける機会が失われることもできる限り避けたい。
【0119】
そこで、第1所定期間は、比較的短く設定され、これにより、医療関係者に自身のPC2の通信不良をいち早く通知し、対処を促す。一方で、遠隔中止指示部66が中止を判断する目安にする第2所定期間は、それよりも長く設定される。一例として、第2所定期間は、医療関係者の対処によってPC2における通信不良が解消されるまでに要する時間分確保されるように、なおかつ、患者の安全性が損なわれない程度の短期間に設定されることが好ましい。そのような期間は、例えば、90秒である。
【0120】
遠隔中止指示部66をこのように構成すれば、PC2が一時的に通信不良状態に陥ったとしても、第2所定期間が経過するまでに通信不良が解消された場合には、リハビリの再開が可能となる。そうして、患者のリハビリを受ける機会を奪わずに済む。しかし、リハビリ再開に重きをおいて、第2所定期間を徒に長く設定すると、今度は、医療関係者との通信が途絶えた中で、多くの患者が運動を継続してしまうという避けるべき事態が長く継続することになってしまう。そこで、第2所定期間は、徒に長くならないように短期間に設定される。遠隔中止指示部66は、第2所定期間が経過した時点で、各患者のタブレット3にリハビリの中止を指示する。これにより、患者のリハビリを受ける機会が失われることをできる限り避けながら、患者の安全性も確保することができる。
【0121】
通知送信部67は、信号送受信部64がタブレット3からキープアライブ信号を第5所定期間受信しないとき、PC2に対して通信途絶通知(第2所定メッセージ)を送信する。第5所定期間は、例えば60秒である。通信途絶通知は、より具体的には、支援サーバ1とタブレット3との通信状態が不良である旨の通知を含んでいてもよいし、リハビリを中止するまでの残り時間をカウントダウン形式で示す通知であってもよい。
【0122】
これにより、支援サーバ1とタブレット3との通信状態が不良であることを、タブレット3を使用する患者を受け持つ医療関係者に通知することができる。その結果として、医療関係者は、リハビリを継続または中止するための対応をとることができる。例えば、医療関係者は、通信状態が不良である患者に対して、リハビリ支援システムと異なる任意の通信手段(電話、SNSなど)を用いてリハビリの中止を指示することが可能となる。こうして、通信が途絶したとしても、患者が医療関係者と連絡をとれないまま長期に亘って運動を継続するといった事態を回避することができ、患者の安全性を確保することが可能となる。
【0123】
<データ構造>
(ユーザ管理テーブル)
図5は、ユーザテーブル121のデータ構造の一例を示す図である。ユーザテーブル121は、記憶部12に記憶されており、支援サーバ1が、医療関係者のPC2と患者のタブレット3との対応関係を参照するために利用される。具体的には、医療関係者および該医療関係者が使用するPC2の情報と、患者および該患者が使用するタブレット3の情報とが関連付けて記憶されている。ユーザテーブル121は、支援サーバ1の外部の記憶装置において、支援サーバ1がアクセス可能に記憶されていてもよい。
【0124】
ユーザテーブル121は、一例として、医師ID、医師名、医師アドレス、患者ID、患者名、および、患者アドレスの各カラムで構成されている。各カラムには以下の情報が格納される。
【0125】
医師IDは、リハビリの指導を行う医療関係者を支援システム100上で一意に識別するための識別情報である。医師名は、医療関係者の氏名を指す。医師名は、医療関係者本人および患者が当該医療関係者を指していると認識することができるように設定される。したがって、医師名は、一例として、仮名文字および英字などの可読文字で構成されていることが好ましい。医師名は、本名にかぎらず、ニックネームでもかまわない。本実施形態では、医療関係者本人が、自身の医師名を設定してもよい。したがって、異なる医療関係者に、同じ医師名が付与されることが起こり得るが、支援システム100においてこれを許容するか否かは適宜決定されればよい。例えば、医師名は、リハビリに参加する各参加者の端末に、当該医療関係者を指し示す情報として表示される。
【0126】
医師アドレスは、医療関係者が使用するPC2と通信するために必要な、通信ネットワーク上におけるPC2の宛先情報である。複数の医療関係者が1台のPC2を共有している場合には、複数の医療関係者につき、同じ医師アドレスが関連付けられてもよい。なお、個々のPC2を特定するための医師アドレスは、IPアドレスに限らず、PC2を一意に特定することが可能なPC2に固有の情報であれば何でもよい。
【0127】
ユーザテーブル121において、1人の医療関係者につき、1または複数の患者が紐付けられている。患者IDは、リハビリを受ける患者を支援システム100上で一意に識別するための識別情報である。患者名は、患者の氏名を指す。患者名は医師名と同様に可読文字で構成されることが好ましい。また、患者名は、複数の患者を受け持つ医療関係者が、患者を混同しないように、重複を許容しないで設定されることが好ましい。
【0128】
患者アドレスは、患者が使用するタブレット3と通信するために必要な、通信ネットワーク上におけるタブレット3の宛先情報である。
【0129】
以上のデータ構造を有するユーザテーブル121が、制御部10の各部によって参照されることにより、制御部10の各部は、どの医療関係者がどの患者を受け持っているのかを把握することが可能となる。一例として、中継処理部63は、ある患者の患者情報および患者側動画を、当該患者に関連付けられている医療関係者のPC2宛てに適切に転送することができる。他の例では、遠隔中止指示部66は、ある医療関係者のPC2との間で通信不良が生じた場合に、当該医療関係者に関連付けられているすべての患者のタブレット3宛てに適切にリハビリの中止指示を送信することができる。
【0130】
他の例において、医療関係者と患者との対応関係が固定されておらず、リハビリの実施回ごとに変更されることも想定される。このような例では、ユーザテーブル121は、一例として、医療関係者マスタと、患者マスタとの2つのテーブルに分けて作成されてもよい。
【0131】
この場合、
図5に示す、医師ID、医師名、医師アドレスなど医療関係者に関するカラムは、医療関係者マスタに含められ、患者ID、患者名、患者アドレスなどの患者に関するカラムは、患者マスタに含められる。そして、医療関係者と患者との対応関係は、リハビリの実施回ごとに、リハビリDB122において管理するようにしてもよい。
【0132】
(リハビリ管理データベース)
図6は、リハビリDB122のデータ構造の一例を示す図である。リハビリDB122は、記憶部12に記憶されている。リハビリDB122は、支援サーバ1が、リハビリが実施されている、あるいは実施される予定のWEB会議室を管理し、アップロードされた各種のデータを適切に中継するために利用される。また、実施後のリハビリに関する記録を保管するために利用される。リハビリDB122は、一例として、リハビリ基本情報221および参加患者情報222を含んで構成される。リハビリ基本情報221および参加患者情報222は、ともに、支援システム100において、リハビリの実施回ごとに生成される。リハビリの1回分は、例えば図示のとおり、1回のリハビリに一意に付与される「予約番号」によって識別される。
【0133】
リハビリ基本情報221は、実施が予定されている、または、実施されたリハビリに関する基本情報を示す。リハビリ基本情報221は、一例として、予約番号、医師ID、開始予定時刻、および、終了予定時刻などを含む。予約番号は、実施されるリハビリの1回分を一意に識別する情報である。例えば、リハビリの開催を計画した医療関係者が、リハビリの実施を予約するための操作をPC2を介して行うと、予約を受け付けた支援サーバ1の制御部10が、この予約されたリハビリのために予約番号を採番し、該リハビリのリハビリ基本情報221をリハビリDB122に登録する。リハビリの開催を計画した医療関係者は、自分の医師IDと、リハビリの開始予定時刻と、終了予定時刻とを、PC2を介して入力する。
【0134】
このリハビリに参加する患者を指定するのは、開催を計画した医療関係者であってもよい。この場合、医療関係者は、PC2を介して、リハビリに参加する患者を決定する。あるいは、医療関係者から招待を受けた患者が参加、不参加を決定してもよい。支援サーバ1の制御部10は、上述の決定にしたがって、リハビリの実施回と、参加する患者らとを紐付けるための参加患者情報222をリハビリDB122に登録する。
【0135】
参加患者情報222は、該当するリハビリに参加する各患者の情報を示す。一例として、参加患者情報222は、予約番号、患者ID、実績開始時刻、実績終了時刻、運動前患者情報、および、運動後患者情報などを含む。
【0136】
患者IDのカラムには、予約番号で示されるリハビリに参加する患者の患者IDが格納される。実績開始時刻のカラムには、患者IDで示される患者が実際にリハビリを開始した時刻が格納される。リハビリの予約が登録された時点では、リハビリが実際に開始されるまでは、該カラムは、空値である。実績終了時刻のカラムには、患者が実施していたリハビリを終了した実際の時刻が格納される。リハビリが実際に終了するまでは、該カラムは、空値である。運動前患者情報のカラムには、この回のリハビリにおいて患者が運動を開始する前の時点で計測された、患者の各種のバイタルデータが格納される。バイタルデータは、心電波形、血圧、心拍数などを含んでいてもよい。運動後患者情報のカラムには、この回のリハビリにおいて患者が運動を行った直後に計測された、患者の各種のバイタルデータが格納される。
【0137】
参加患者情報222は、さらに、リハビリ実施中にビデオ通話を介してPC2とタブレット3との間で送受信された患者ごとの医療側動画または患者側動画を格納するためのカラムを有していてもよい。
【0138】
中継処理部63は、リハビリ基本情報221と参加患者情報222とを、予約番号に基づいて参照することにより、実施されているリハビリの参加者、具体的には、担当医である医療関係者と患者との対応関係を把握することができる。
【0139】
なお、支援サーバ1は、不図示の表示部を備えていてもよい。表示部は、運営会社においてリハビリの監視業務に従事するオペレータに対し、ユーザテーブル121およびリハビリDB122に格納されている情報を視認性よく提示してもよい。
【0140】
<処理フロー>
(ケース1:医療関係者のPC2と支援サーバ1との間の通信路に障害が発生した場合)
図7は、支援システム100において実行される処理の流れを示すシーケンス図である。特に、
図7に示すシーケンス図には、医療関係者のPC2と支援サーバ1との間で通信不良が生じた場合における、支援システム100の処理が含まれている。
【0141】
ステップS1では、リハビリの各参加者の端末から、キープアライブ開始信号が支援サーバ1に対して送信される。
【0142】
ステップS2では、支援サーバ1の信号送受信部64は、キープアライブ開始信号に応答して、開始受諾信号を送信元の各端末に返信する。
【0143】
ステップS3では、開始受諾信号が端末において受信されることにより、当該端末と支援サーバ1との間のキープアライブセッションが確立される。
【0144】
ステップS4に示すとおり、キープアライブセッションが確立されて以降、各端末の信号送信部(信号送信部71および信号送信部83)は、所定期間(例えば、5秒)間隔で、キープアライブ信号を支援サーバ1に送信する。これに対し、支援サーバ1の信号送受信部64は、各端末を送信元とするキープアライブ信号の各々を受信し、当該受信に対する応答信号を送信元のすべてに対して送信する。
【0145】
ここで、支援サーバ1とPC2との間の通信経路に障害が生じると、PC2の信号送信部71がキープアライブ信号を支援サーバ1に送信しても、応答受信部72が支援サーバ1から応答信号を受信できない事態になる。あるいは、信号送信部71が送信するキープアライブ信号を支援サーバ1の信号送受信部64が受信できず、結果として応答信号が応答受信部72に送信されない事態になる。
【0146】
ステップS5では、報知部74は、応答受信部72が応答信号を第1所定期間受信しないとき、PC2と支援サーバ1との間の通信が途絶したことを警告する通信途絶警告を、ユーザである医療関係者に対して出力する。第1所定期間は、例えば、10秒である。報知部74は、応答受信部72が最後に応答信号を受信した時点t1から10秒が経過した時点t2にて、通信途絶警告を出力する。
【0147】
報知部74は、通信途絶警告を、文字、絵柄などの形態で表示部22に表示させてもよい。報知部74は、通信途絶警告を、音声、効果音などの形態で、不図示のスピーカなどの音声出力部から出力させてもよい。これにより、PC2を使用する医療関係者は、すぐに、通信不良を解消するための対策を講じたり、リハビリを監視する運営会社に連絡をしたりすることができる。
【0148】
ステップS6では、支援サーバ1の遠隔中止指示部66は、信号送受信部64がPC2からキープライブ信号を第1所定期間よりも長い第2所定期間受信しないとき、PC2に関連付けられたタブレット3の各々に対して、機器による負荷提供の中止を指示する。第2所定期間は、例えば、90秒である。遠隔中止指示部66は、信号送受信部64がPC2からのキープアライブ信号を最後に受信した時点t3から90秒が経過した時点t4にて、負荷の提供を中止するように各患者のタブレット3に対して指示を送る。タブレット3の機器制御部88は、主通信制御部81を介して、上述の負荷提供の中止指示を受信する。
【0149】
ステップS7では、各患者のタブレット3の機器制御部88は、上述の中止指示にしたがって、エルゴメータ5を制御し、患者への負荷の提供を停止させる。これにより、リハビリは中止される。
【0150】
本実施形態では、PC2の通信不良に起因してリハビリが一度中止された場合には、患者たちの安全面を考慮して、その日にリハビリは再開されないことと取り決められていてもよい。代わりのリハビリの日程が再設定される。支援サーバ1とPC2との通信環境が改めて整えられた後に、当該代わりの日程においてリハビリが実施されることとしてもよい。
【0151】
ステップS8では、タブレット3は、例えば、エルゴメータ5の稼動が安全に停止されたことを確認して、退室の手続を進めてもよい。具体的には、タブレット3の信号送信部83は、キープアライブ終了信号を支援サーバ1に送信する。
【0152】
ステップS9では、支援サーバ1の信号送受信部64は、タブレット3から送信されたキープアライブ終了信号に対する応答として、終了受諾信号を、送信元のタブレット3に返信する。
【0153】
ステップS10では、終了受諾信号がタブレット3において受信されることにより、当該タブレット3と支援サーバ1との間のキープアライブセッションが終了する。
【0154】
なお、支援サーバ1との通信が途絶えていたPC2は、通信機能が復旧し、支援サーバ1とのキープアライブセッションが再開された場合、他のタブレット3と同様に、キープアライブ終了信号を送信してもよい。支援サーバ1の信号送受信部64が、PC2からのキープアライブ終了信号に応答して終了受諾信号を返信すると、PC2と支援サーバ1との間のキープアライブセッションも終了する。
【0155】
(ケース2:支援サーバ1と患者のタブレット3との間の通信路に障害が発生した場合)
図8は、支援システム100において実行される処理の流れを示すシーケンス図である。特に、
図8に示すシーケンス図には、患者のタブレット3と支援サーバ1との間で通信不良が生じた場合における、支援システム100の処理が含まれている。
【0156】
図8には示されていないが、まず、
図7を参照して説明されたように、ステップS1~S4が実行されてリハビリが行われる。
【0157】
ここで、支援サーバ1とタブレット3との間の通信経路に障害が生じると、タブレット3の信号送信部83がキープアライブ信号を支援サーバ1に送信しても、応答受信部84が支援サーバ1から応答信号を受信できない事態になる。あるいは、信号送信部83が送信するキープアライブ信号を支援サーバ1の信号送受信部64が受信できず、結果として応答信号が応答受信部84に送信されない事態になる。
【0158】
ステップS21では、応答受信部84が応答信号を第3所定期間受信しないとき、通信切替部86は、支援サーバ1と通信するための通信ネットワークを、第2通信ネットワーク8から第3通信ネットワーク9に切り替える。通信切替部86による通信ネットワークの切り替えは、タブレット3の応答受信部84が応答信号を受信しない期間が予め定められた上限期間に到達する前に試みられる。後述するとおり、応答信号を受信しない期間が上限期間に到達するとリハビリが中止されるため、リハビリの中止を回避するために、上限期間到達前に、通信ネットワークの切り替えが実行されることが好ましい。
【0159】
図示の例では、通信切替部86は、応答受信部84が最後に応答信号を受信した時点t5から第3所定期間(例えば、10秒)が経過した時点t6にて、通信ネットワークを切り替える。
【0160】
第3通信ネットワーク9への切り替えに成功した場合(S22においてYES)、信号送信部83および応答受信部84は、副通信制御部82を介して、
図7のS4に示されるように、それぞれキープアライブ信号の送信および応答信号の受信を繰り返す。この繰り返しは、例えば、後述するステップS27に至るまで継続されてもよい。
【0161】
ステップS23では、応答受信部84が応答信号を第4所定期間受信しないとき、通信再起動部87は、第2通信ネットワーク8を用いて通信を行うための機能を再起動させてもよい。図示の例では、通信切替部86による通信ネットワークの切り替えが失敗した場合に再起動が実行されるように記載されている。しかし、通信再起動部87は、通信ネットワークの切り替えが成功した場合でも、第3通信ネットワーク9を介しての通信が継続されている間に第2通信ネットワーク8に係る機能の再起動を実行してもよい。通信再起動部87による再起動は、応答受信部84が応答信号を受信しない期間が上限期間に到達する前に実行されることが好ましい。
【0162】
図示の例では、通信再起動部87は、応答受信部84が最後に応答信号を受信した時点t5から第4所定期間(例えば、40秒)が経過した時点t7にて、第2通信ネットワーク8に対応するルータなどの再起動を行う。このようにすれば、第3通信ネットワーク9へのネットワークの切り替えが失敗した場合でも、上限期間に到達する前に第2通信ネットワーク8を介した通信を復旧させられる可能性がある。こうして、リハビリの中止を回避してリハビリに復帰できる可能性をより高めることができる。
【0163】
ステップS24では、機器制御部88は、応答受信部84が応答信号を予め定められた上限期間受信しない時点でエルゴメータ5による負荷提供の中止を指示する。これにより、患者が、医療関係者とコミュニケーションをとれない状況下で、長期に亘り運動を続けるという事態を回避することができる。
【0164】
図示の例では、機器制御部88は、応答受信部84が最後に応答信号を受信した時点t5から上限期間(例えば、60秒)が経過した時点t8にて、エルゴメータ5に対して負荷提供の中止を指示する。
【0165】
リハビリが中止された後は、通信の途絶が起こったタブレット3は、支援サーバ1において自動的にリハビリを終了したものとして取り扱われてもよい。なお、支援サーバ1とその他の患者のタブレット3とは、リハビリのためのキープアライブセッションを継続している。
【0166】
リハビリが中止された後も、通信切替部86による通信ネットワークの切り替え、または、通信再起動部87による再起動が実行されてもよい。このような通信復旧のための試行の末に、タブレット3と支援サーバ1との間の通信不良が解消された場合には、医療関係者の指導の下、患者はリハビリを再開してもよい。
【0167】
一方、ステップS25では、支援サーバ1の通知送信部67は、信号送受信部64がタブレット3からキープアライブ信号を第5所定期間受信しないとき、タブレット3と関連付けられているPC2に対して通信途絶通知(第2所定メッセージ)を送信してもよい。
【0168】
図示の例では、通知送信部67は、信号送受信部64が最後にタブレット3からキープアライブ信号を受信した時点t9から第5所定期間(例えば、60秒)が経過した時点t10にて、上述のタブレット3に係る通信途絶通知をPC2に送信する。
【0169】
ステップS26では、PC2の報知部74は、通信部21を介して通信途絶通知が受信された場合に、通信途絶により指導を行えない患者がいることを医療関係者に報知する。これにより、医療関係者は、その患者に直接別の通信手段(例えば、電話)にて連絡をとったり、このような事態を運営会社に連絡したりするなどして、通信途絶に対処することができる。
【0170】
ステップS27では、タブレット3の通信切替部86は、通信再起動部87による再起動などによって第2通信ネットワーク8における通信状態の不良が解消したことを検知してもよい。
【0171】
ステップS28では、通信切替部86は、第2通信ネットワーク8における通信状態の不良が解消した場合に、支援サーバ1と通信するための通信ネットワークを、第3通信ネットワーク9から第2通信ネットワーク8に切り替えてもよい。こうして、第2通信ネットワーク8経由で、タブレット3と支援サーバ1との間でキープアライブセッションが再開される。
【0172】
ステップS29では、信号送信部83は、主通信制御部81を介して、キープアライブ信号の送信を再開する。ステップS30では、支援サーバ1の信号送受信部64は、キープアライブ信号に応答して、応答信号をタブレット3に返信する。ステップS31では、通知送信部67は、S25で通信途絶を通知したタブレット3との通信が再開されたことを示す途絶解消通知をPC2に送信してもよい。ステップS32では、PC2の報知部74は、先に通信できないと報知した患者について、通信途絶が解消されたことを医療関係者に報知してもよい。
図8には示されていないが、最後に、
図7を参照して説明されたように、ステップS8~S10が実行されてリハビリが終了する。
【0173】
図示の例では、通信切替部86による通信ネットワークの切り替えが試行された後、切り替えが成功しない場合に、通信再起動部87による再起動が試行される場合について記載されている。しかし、タブレット3は、このような構成に限定されない。通信再起動部87が、まず、第2通信ネットワーク8に係る機能の再起動を試みて、それでも通信が回復しない場合に、通信切替部86が通信ネットワークの切り替えが試行されてもよい。また、通信切替部86による通信ネットワークの切り替えと、通信再起動部87による再起動とは同時に試行されてもよい。したがって、上述の第3所定期間および第4所定期間は、同じ長さに設定されてもよいし、異なる長さに設定されてもよい。そして、どちらの期間が長く設定されてもよい。
【0174】
<画面例>
図9は、支援システム100においてリハビリが実施されている期間、タブレット3の表示部34に表示される患者閲覧画面の一例を示す図である。制御部30は、近距離通信部31、広域通信部32、撮像部33および操作部35の各部を介して取得された各種の情報に基づいて、患者閲覧画面300を生成し、表示部34に表示させる。
【0175】
患者閲覧画面300は、一例として、心電波形301、負荷302、累積回転数303、ボルグ指数304、医療側動画305および患者側動画306を含んで構成される。
【0176】
心電波形301は、心電計4から取得された患者の心電波形を表す。負荷302は、エルゴメータ5に設定されている負荷を表す。累積回転数303は、リハビリが開始されてから現在までの、エルゴメータ5におけるペダルの累積回転数を表す。
【0177】
ボルグ指数304は、患者が感じている自覚的運動強度を表す。ボルグ指数304に関して、例えば、患者閲覧画面300上に、患者が操作可能なユーザインタフェース部品(UI部品)が設けられてもよい。これにより、患者は、当該UI部品をタッチ操作して、現在の運動のきつさをタブレット3に入力することができる。
【0178】
医療側動画305は、当該患者を受け持つ医療関係者のPC2にて撮影された、当該医療関係者の動画である。医療側動画305は、広域通信部32が、第2通信ネットワーク8または第3通信ネットワーク9を介して支援サーバ1から受信したものである。患者側動画306は、撮像部33によって撮影された患者自身の動画である。患者側動画306は、患者閲覧画面300において表示される一方、広域通信部32によって、支援サーバ1に送信され、支援サーバ1から医療関係者のPC2に送信される。
【0179】
ある実施形態では、リハビリ実施中、必要に応じて、ビデオ通話(動画をやりとりしながらの対話)が可能であってもよい。リハビリ実施中、常時やりとりされるのは、上り転送時の患者情報に限定されていてもよい。この場合、ビデオ通話は、特定の操作に応じて対話のためのセッションが確立した期間だけに限られてもよい。例えば、患者閲覧画面300に呼出ボタン307が配置されてもよい。呼出ボタン307をタッチすることにより、患者は、担当の医療関係者と動画および音声を通じて対話できてもよい。用件が済めば、例えば、患者は、対話終了ボタン308をタッチして、動画ウィンドウ309を閉じて対話を終了させてもよい。対話中も、対話が終了した後も、リアルタイムの患者情報のアップロードは継続される。リハビリ実施中、必要に応じて、下り転送時の負荷指示が、PC2からタブレット3へ送信されてもよい。
【0180】
図10は、支援システム100においてリハビリが実施されている期間、PC2の表示部22に表示される医療関係者の閲覧画面の一例を示す図である。以下では、医療関係者の閲覧画面を医師閲覧画面320と称するが、これは、医師だけが閲覧する画面を意図しておらず、患者のリハビリを指導する立場にある医療関係者のいずれのPC2にも表示される。
【0181】
医師閲覧画面320は、一例として、患者情報リスト321、および、1以上の動画ウィンドウ322を含んで構成される。
【0182】
患者情報リスト321は、当該医療関係者が受け持つすべての患者の患者情報を一覧するためのリストである。支援サーバ1は、
図5に示すユーザテーブル121および
図6に示すリハビリDB122に格納されている情報のうち、当該医療関係者に関連付けられたリハビリの予約番号および当該医療関係者が受け持つ患者に関する情報を抽出して、医療関係者のPC2に提供する。制御部20は、支援サーバ1から提供された上述の情報に基づいて、患者情報リスト321を生成する。
【0183】
患者情報リスト321は、図示の例では、動画ウィンドウ322の背面に表示されて一部が隠されているが、医療関係者の操作にしたがって、最前面に表示されてもよい。これにより医療関係者は、すべての患者のすべての患者情報を一覧することができる。
患者情報リスト321には、一例として、医療関係者が受け持つ患者ごとに、患者ID、患者名、通信のステータス、患者情報、および、患者を個別に呼び出すための呼出ボタン323が配置される。
【0184】
医療関係者は、リハビリが実施されている間、患者情報リスト321を確認し、患者と対話したい場合に、その患者の呼出ボタン323をクリックすることができる。呼出ボタン323に対するクリック操作に応答して、通信部21が当該患者との音声通話のためのセッションを確立すると、制御部20は、当該患者の患者側動画306を含む動画ウィンドウ322を最上位層に表示させる。これにより、医療関係者は、自身が受け持つ任意の患者と対話をすることができる。
【0185】
図11は、患者閲覧画面300上に表示される、通信途絶通知340の一例を示す図である。一例として、通信途絶通知340は、リハビリの中止を患者に指示する中止指示通知を兼ねていてもよい。通信途絶通知340は、PC2と支援サーバ1との間の通信路に障害が発生した場合に、所定のタイミングで患者閲覧画面300上に表示される。例えば、制御部30は、
図7に示される時点t4において支援サーバ1から送信された中止指示に応答して、機器制御部88がエルゴメータ5の負荷の提供を停止させたときに(S7)、通信途絶通知340を表示部34に表示させてもよい。
【0186】
患者に提示される通信途絶通知340において、タブレット3側およびPC2側のいずれの問題で通信不良が生じているのかを示すことは重要ではない。患者には、医療関係者と連絡が取れない状況と、そのような状況下で運動を継続すべきでないことが伝達されればよい。そこで、通信途絶通知340は、タブレット3と支援サーバ1との間の通信路に障害が発生した場合にも、所定のタイミングで患者閲覧画面300上に表示されてもよい。例えば、制御部30は、
図8に示される時点t8において、機器制御部88がエルゴメータ5の負荷の提供を停止させたときに(S24)、通信途絶通知340を表示部34に表示させてもよい。
【0187】
これにより、患者は、医療関係者と連絡が取れない状況にあることを把握し、運動を中止しなければならないと理解することができる。
【0188】
通信途絶通知340については、医療関係者のPC2に提示する場合とは異なり、患者に不要な心配を与えないために、不通の原因などの細かい情報の提示は行わなくてもよい。通信上のどのようなトラブルが生じても、例えば、「通信状態が不良です。少しお待ちください。」などの簡単なメッセージで構成されていてもよい。通信途絶通知340は、患者の不安を和らげるために、問合せ先の電話番号などを含んでいてもよい。
【0189】
図12は、医師閲覧画面320上に表示される、通信途絶警告350(第1所定メッセージ)の一例を示す図である。通信途絶警告350は、PC2と支援サーバ1との間の通信路に障害が発生した場合に、所定のタイミングで医師閲覧画面320上に表示される。例えば、報知部74は、応答受信部72が応答信号を受信しなくなって10秒が経過した時点t2(
図7)において、通信途絶警告350を表示部22に表示させる(
図7のS5)。
【0190】
通信途絶警告350は、例えば、支援サーバ1とPC2との通信状態が不良である旨を報知するテキストデータ351、および、リハビリを中止するまでの時間をカウントダウン形式で示すタイマ表示352を含んでいてもよい。
【0191】
これにより、医療関係者は、自身のPC2側に通信の問題があるために、受け持ちのすべての患者と連絡が取れない状況にあることをいち早く察知し、この問題に対処するための行動にすぐに移ることができる。
【0192】
図13は、医師閲覧画面320上に表示される、通信途絶通知360(第2所定メッセージ)の一例を示す図である。通信途絶通知360は、タブレット3と支援サーバ1との間の通信路に障害が発生した場合に、所定のタイミングで医師閲覧画面320上に表示される。支援サーバ1が患者のタブレット3からキープアライブ信号を受信しなくなって60秒が経過した時点t10(
図8)で、PC2は、通信途絶通知360を支援サーバ1から受信する(
図8のS25)。例えば、報知部74は、ステップS26にて、支援サーバ1から受信した通信途絶通知360を表示部22に表示させる。
【0193】
これにより、支援サーバ1とタブレット3との通信状態が不良であることを、医療関係者に通知することができる。その結果として、医療関係者は、リハビリを継続または中止するための対応をとることができる。例えば、医療関係者は、通信状態が不良である患者に対して、リハビリ支援システムと異なる任意の通信手段(電話、SNSなど)を用いてリハビリの中止を指示することが可能となる。
【0194】
図14は、患者閲覧画面300上に表示される、途絶解消通知341の一例を示す図である。途絶解消通知341は、タブレット3と支援サーバ1との間の通信路も障害が発生した後、障害が取り除かれて通信路が復旧した場合に、所定のタイミングで患者閲覧画面300上に表示される。例えば、制御部30は、
図8に示すステップS22にて通信ネットワークの切り替えが成功したとき、途絶解消通知341を表示部34に表示させてもよい。あるいは、制御部30は、ステップS27にて再起動が成功し、第2通信ネットワーク8が復旧した後、途絶解消通知341を表示部34に表示させてもよい。
【0195】
これにより、患者は、医療関係者と再び連絡が取れるようになったことを把握し、リハビリの再開に向けた行動に移ることができる。
【0196】
図15は、医師閲覧画面320上に表示される、途絶解消通知361の一例を示す図である。途絶解消通知361は、タブレット3と支援サーバ1との間の通信路も障害が発生した後、障害が取り除かれて通信路が復旧した場合に、所定のタイミングで医師閲覧画面320上に表示される。例えば、報知部74は、支援サーバ1から途絶解消通知361を受信した後(
図8のS31)、支援サーバ1から受信した途絶解消通知361を表示部22に表示させてもよい(S32)。
【0197】
これにより、医療関係者は、患者と再び連絡が取れるようになったことを把握し、リハビリの再開に向けた行動に移ることができる。例えば、負荷指示を、支援サーバ1を介して患者のタブレット3宛てに送信したり、患者と対話してリハビリの再開手順を詳しく指示したりすることができる。
【0198】
〔変形例〕
(通信の途絶を監視する構成について)
タイマ部85は、主通信制御部81または副通信制御部82、広域通信部32、および、機器制御部88の動作を監視し、最新の心電図データが送信されてから次の心電図データが送信されるまでの経過時間を計測するように構成されていてもよい。あるいは、制御部30は、不図示の動作監視部を備え、該動作監視部は、機器制御部88によって生成された心電図データを、広域通信部32が、定期的に(例えば、3秒に1回のペースで)支援サーバ1に送信しているか否かを監視してもよい。機器制御部88は、心電計4から受信した心電波形に係る数値情報に基づいて、定期的に(例えば、3秒に1回)、心電図データを生成するように構成されていてもよい。また、機器制御部88は、撮像部33から、患者の顔画像を3秒に1枚取得し、広域通信部32を介して支援サーバ1に送信するように構成されていてもよい。
【0199】
タイマ部85または動作監視部は、一例として、9秒間心電図データが送信されないことに基づいて、タブレット3と支援サーバ1との間で通信の途絶が発生したことを検知してもよい。タイマ部85または動作監視部が、通信の途絶を検知したことに応じて、通信切替部86および通信再起動部87の各部は、通信途絶に対する対処を実行してもよい(ステップS21~S24など)。
【0200】
具体的には、タブレット3の通信再起動部87は、第2通信ネットワーク8のWiFi(登録商標)のオン/オフを行って、WiFi(登録商標)が通信途絶の原因である可能性を排除してもよい。通信切替部86は、第3通信ネットワーク9のLTEへの切り替えを行ってもよい。機器制御部88は、上述のいずれの対処によっても、心電図データの送信が再開されない場合には、各周辺機器(特に、エルゴメータ5)を制御して、リハビリを中止させる。ここで、心電図データを送信することはできないが、キープアライブ信号の送受信が維持されている場合には、帯域幅の問題であって、通信路自体は確保できていると判断し、主通信制御部81または副通信制御部82は、逐一、タブレット3の状況を支援サーバ1に報告する。
【0201】
また、支援サーバ1の制御部10は、一例として、心電図データが送られてこない期間が9秒になったことをタイマ部65が検知したことに基づいて、通信異常を検知してもよい。通信異常を検知した支援サーバ1の制御部10は、速やかに、PC2に異常を知らせる通信途絶通知を送信する(S25)。支援サーバ1から通信途絶通知を受信したPC2の報知部74は、表示部22に通信途絶警告350などのダイアログを表示させる。ここで、表示される通信途絶警告350は、例えば、60秒をカウントするカウンタを含んでいてもよい。
【0202】
このカウンタが0になるまでに、つまり、60秒経過するまでにPC2が心電図データを受信できなかった場合、支援サーバ1は、タブレット3との間でキープアライブ信号が送受信できていたか否かを判定する。支援サーバ1は、キープアライブ信号が不通であったと判定した場合は、「リハビリが自動的に中止されたと推測される」旨のメッセージを、PC2に送信する。
【0203】
一方、支援サーバ1は、キープアライブ信号の送受信が維持されていると判定した場合は、患者が操作するタブレット3から、リハビリの中止動作に入った旨の報告を受けて、その旨を通知するメッセージをPC2に送信する。
【0204】
つまり、いずれの場合でも、画像の送信が滞った場合には、リハビリは自動的に中止される。
【0205】
上述のとおり、支援サーバ1とPC2との間の通信に関しては、キープアライブ信号を用いて通信路が監視される。一方、支援サーバ1とタブレット3との間の通信に関しては、画像の送信間隔に基づいて、帯域幅が監視されることに加えて、キープアライブ信号を用いて通信路が監視される。
【0206】
(通信途絶を解消する構成について)
図8では、第2通信ネットワーク8の通信機能の再起動は、リハビリ中止よりも前に実行される例について説明した。ここで、通信再起動部87が、ルータなどの通信機能を再起動するとき、この再起動には、数分程度の比較的長い時間を要する場合がある。そこで、他の例では、通信再起動部87は、ルータなどの通信機能の再起動を、リハビリが中止された後に実行してもよい。回線障害の種類によっては、次回のリハビリ実施時にも、そのまま今回の回線障害が残ってしまう可能性がある。そのため、今回のリハビリが中止された後でも回線の回復作業を行っておくことが望ましい。なお、通信再起動部87による再起動によっても回線が回復しない場合、支援システム100において、支援サーバ1を運営する運営会社のオペレータが、手動遠隔操作によって回復作業を試行できるように、支援サーバ1とタブレット3とを構成してもよい。さらに、遠隔での回復作業によっても回復が見込めない場合には、居宅に敷設されている機器の故障などを念頭に置いて、運営会社は、オペレータを患者の居宅に派遣して改修作業を実施するようなサービスを患者に対して提供してもよい。
【0207】
〔ソフトウェアによる実現例〕
支援サーバ1の制御ブロック(特に、医療側通信制御部61、患者側通信制御部62、中継処理部63、信号送受信部64、タイマ部65、遠隔中止指示部66および通知送信部67)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0208】
PC2の制御ブロック(特に、信号送信部71、応答受信部72、タイマ部73および報知部74)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0209】
タブレット3の制御ブロック(特に、主通信制御部81、副通信制御部82、信号送信部83、応答受信部84、タイマ部85、通信切替部86、通信再起動部87および機器制御部88)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0210】
ソフトウェアによって実現する場合、支援サーバ1、PC2およびタブレット3は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、前記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、前記コンピュータにおいて、前記プロセッサが前記プログラムを前記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。前記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。前記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、前記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、前記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して前記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、前記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0211】
〔付記事項〕
本開示に係るリハビリテーション支援システム(支援システム100)は、リハビリテーションを支援するリハビリテーション支援システムであって、前記リハビリテーションの支援業務を行うためのサーバ装置(支援サーバ1)と、医療関係者が使用し、第1通信ネットワーク7を介して前記サーバ装置と通信する医療端末装置(PC2)と、前記医療関係者の監視対象者であって前記リハビリテーションを受ける患者が使用し、前記第1通信ネットワーク7と異なる第2通信ネットワーク8を介して前記サーバ装置と通信し、前記患者に負荷を提供する機器(負荷提供機器、エルゴメータ5)と接続される患者端末装置(タブレット3)とを備え、前記サーバ装置は、前記リハビリテーションの実施中、前記医療端末装置および前記患者端末装置を送信元とするキープアライブ信号の各々を受信し、当該受信に対する応答信号を前記送信元のすべてに対して送信するキープアライブ信号送受信部(信号送受信部64)を備えている。
【0212】
上述の構成によれば、リハビリテーション支援システムは、サーバ装置、医療端末装置、および患者端末装置を備えている。そして、サーバ装置は、リハビリテーションの実施中、医療端末装置および患者端末装置を送信元とするキープアライブ信号の各々を受信する。さらに、サーバ装置は、受信したキープアライブ信号に対する応答信号を、送信元のすべて(つまり、医療端末装置および患者端末装置)に対して送信する。なお、キープアライブ信号は、比較的短い所定間隔(例えば5秒毎)で送受信される数十バイト程度の文字列である。
【0213】
これにより、サーバ装置は、医療端末装置との通信状態の良否、および患者端末装置との通信状態の良否について、リハビリテーションの実施中、継続的に監視することが可能となる。
【0214】
前記医療端末装置は、前記キープアライブ信号送受信部から前記応答信号を受信する医療側応答受信部(応答受信部72)と、前記医療側応答受信部が前記応答信号を第1所定期間受信しないとき、第1所定メッセージを出力する出力部(報知部74)とを備えていてもよい。
【0215】
上述の構成によれば、医療端末装置は、サーバ装置からキープアライブ信号に対する応答信号を第1所定期間受信しないとき、第1所定メッセージを出力する。第1所定期間は、例えば10秒である。第1所定メッセージは、例えば、サーバ装置と医療端末装置との通信状態が不良であることを示す情報、および、リハビリテーションを中止するまでの残り時間をカウントダウンして示すタイマ情報等を含んでいてもよい。
【0216】
これにより、サーバ装置と患者端末装置との通信状態が不良であることを医療関係者に通知することができる。その結果として、医療関係者は、リハビリテーションを継続または中止するための対応をとることができる。例えば、医療関係者は、通信状態を回復させるための行動(通信機器の再起動など)を起こしたり、リハビリテーション支援システムと異なる任意の通信手段(電話、SNSなど)を用いてリハビリテーションの中止を患者に指示したりすることが可能となる。
【0217】
前記サーバ装置は、前記キープアライブ信号送受信部が前記医療端末装置から前記キープアライブ信号を前記第1所定期間より長い第2所定期間受信しないとき、前記患者端末装置の各々に対して前記機器による負荷提供の中止を指示するサーバ側中止指示部(遠隔中止指示部66)を備えていてもよい。
【0218】
上述の構成によれば、サーバ装置は、医療端末装置から、キープアライブ信号を第2所定期間受信しないとき、患者端末装置の各々に対して機器による負荷提供の中止を指示する。第2所定期間は、例えば90秒である。
【0219】
これにより、サーバ装置と医療端末装置との通信状態が継続的に不良である場合、サーバ装置から患者端末装置を介して、機器による負荷提供の中止を指示することができる。その結果、医療関係者が患者を監視できない状況下でリハビリテーションが継続されるという事態を回避することができる。
【0220】
前記患者端末装置は、前記キープアライブ信号送受信部から前記応答信号を受信する患者側応答受信部(応答受信部84)と、前記患者側応答受信部が前記応答信号を予め定められた上限期間受信しない時点で前記機器による負荷提供の中止を指示する端末側中止指示部(機器制御部88)を備えていてもよい。
【0221】
上述の構成によれば、患者端末装置は、通信不良が解消されず、したがって、サーバ装置からの応答信号を上限期間になっても受信しない時点で、負荷提供機器による負荷提供の中止を指示する。上限期間は、例えば60秒である。
【0222】
これにより、サーバ装置と患者端末装置との通信状態が回復しない場合、上限期間後に、負荷提供機器による負荷提供を自動で中止することができる。その結果、医療関係者が患者を監視できない状況下でリハビリテーションが継続されるという事態を回避することができる。
【0223】
前記患者端末装置は、前記第1通信ネットワークおよび前記第2通信ネットワークと異なる第3通信ネットワークを介して前記サーバ装置と通信可能であり、前記患者側応答受信部が前記応答信号を受信しない期間が前記上限期間に到達する前に、前記患者側応答受信部が前記応答信号を第3所定期間受信しないとき、前記サーバ装置と通信するための通信ネットワークを、前記第2通信ネットワークから前記第3通信ネットワークに切り替える通信切替部を備えていてもよい。
【0224】
上述の構成によれば、患者端末装置は、サーバ装置からの応答信号を第3所定期間受信しないとき、サーバ装置と通信するための通信ネットワークを、第2通信ネットワークから第3通信ネットワークに切り替える。第3所定期間は、例えば10秒である。第2通信ネットワークの典型例は、例えばWiFi(登録商標)等の無線LANを含むネットワークであり、第3通信ネットワークの典型例は、例えばLTE等の通信網を含むネットワークある。
【0225】
これにより、患者端末装置が通信ネットワークを自動で切り替えるため、サーバ装置との通信状態の回復を試みることができる。その結果、通信状態が回復すれば、リハビリテーションを継続することができる。また、通信ネットワークの切り替えは自動で行われるため、仮に患者のITリテラシーが低くてもサーバ装置と患者端末装置との通信状態を回復させることができる。
【0226】
また、通信ネットワークの切り替えは、応答信号を受信しなくなってから上限期間が経過するまでに実施される。そのため、通信ネットワークの切り替えが成功した場合には、リハビリテーションの中止を回避することができる。
【0227】
前記通信切替部は、前記第2通信ネットワークにおける通信状態の不良が解消した場合に、前記サーバ装置と通信するための通信ネットワークを、前記第3通信ネットワークから前記第2通信ネットワークに切り替えてもよい。
【0228】
上述の構成によれば、通信切替部は、第2通信ネットワークの通信不良に対処して、使用する通信ネットワークを第3通信ネットワークに切り替えた後、当該通信不良が解消した場合には、使用する通信ネットワークを第2通信ネットワークに戻す。
【0229】
例えば、第2通信ネットワークを使用した通信の方が、第3通信ネットワーク使用した場合と比較して、費用面または速度面などで優位な場合に、可能な限り優位な通信ネットワークを使用するように患者端末装置を構成することができる。これにより、患者のITリテラシーが低く、最適な通信ネットワークを適時に選択する知識を有していなくとも、患者は、第2通信ネットワークの優位な側面の恩恵を受けることができる。
【0230】
前記患者端末装置は、前記患者側応答受信部が前記応答信号を受信しない期間が前記上限期間に到達する前に、前記患者側応答受信部が前記応答信号を第4所定期間受信しないとき、前記第2通信ネットワークを用いて通信を行うための機能を再起動させる通信再起動部を備えていてもよい。
【0231】
上述の構成によれば、患者端末装置は、サーバ装置からの応答信号を第4所定期間受信しないとき、第2通信ネットワークを用いて通信を行うための機能を再起動させる。第4所定期間は、例えば60秒である。
【0232】
これにより、患者端末装置が第2通信ネットワークを用いて通信を行うための機能を自動で再起動させるため、サーバ装置との通信状態の回復を試みることができる。その結果、通信状態が回復すれば、リハビリテーションを継続することができる。また、再起動は自動で行われるため、仮に患者のITリテラシーが低くてもサーバ装置と患者端末装置との通信状態を回復させることができる。
【0233】
また、再起動は、応答信号を受信しなくなってから上限期間が経過するまでに実施される。そのため、通信ネットワークの切り替えが成功した場合には、リハビリテーションの中止を回避することができる。
【0234】
前記サーバ装置は、前記キープアライブ信号送受信部が前記患者端末装置から前記キープアライブ信号を第5所定期間受信しないとき、前記医療端末装置に対して第2所定メッセージを送信する送信部を備えていてもよい。
【0235】
上述の構成によれば、サーバ装置は、患者端末装置からキープアライブ信号を第5所定期間受信しないとき、医療端末装置に対して第2所定メッセージを送信する。第5所定期間は、例えば60秒である。第2所定メッセージは、例えば、サーバ装置と患者端末装置との通信状態が不良であることを示す情報、および、リハビリテーションを中止するまでの残り時間をカウントダウンして示すタイマ情報等を含んでいてもよい。
【0236】
これにより、サーバ装置と患者端末装置との通信状態が不良であることを、医療関係者に通知することができる。その結果として、医療関係者は、リハビリテーションを継続または中止するための対応をとることができる。例えば、医療関係者は、通信状態が不良である患者に対して、リハビリテーション支援システムと異なる任意の通信手段(電話、SNSなど)を用いてリハビリテーションの中止を指示することが可能となる。
【0237】
本開示に係るリハビリテーション支援サーバ(支援サーバ1)は、リハビリテーションの支援業務を行うためのリハビリテーション支援サーバであって、医療関係者が使用する医療端末装置(PC2)と第1通信ネットワークを介して通信する第1通信制御部(医療側通信制御部61)と、前記医療関係者の監視対象者であって前記リハビリテーションを受ける患者が使用し、前記患者に負荷を提供する機器(エルゴメータ5)と接続される患者端末装置(タブレット3)と前記第1通信ネットワーク7と異なる第2通信ネットワーク8を介して通信する第2通信制御部(患者側通信制御部62)と、前記リハビリテーションの実施中、前記医療端末装置および前記患者端末装置を送信元とするキープアライブ信号の各々を受信し、当該受信に対する応答信号を前記送信元のすべてに対して送信するキープアライブ信号送受信部(信号送受信部64)を備えている。上述の構成によれば、請求項1と同様の効果を奏する。
【0238】
本開示に係る医療端末装置の制御方法は、医療関係者が使用する医療端末装置の制御方法であって、前記医療端末装置は、第1通信ネットワークを介して、リハビリテーションの支援業務を行うためのサーバ装置と通信するものであり、前記サーバ装置は、前記リハビリテーションの実施中、前記医療関係者の監視対象者であって前記リハビリテーションを受ける患者が使用する患者端末装置、および、前記医療端末装置を送信元とするキープアライブ信号の各々を受信し、当該受信に対する応答信号を前記送信元のすべてに対して送信するキープアライブ信号送受信部を備えるものであり、前記患者端末装置は、前記第1通信ネットワークと異なる第2通信ネットワークを介して前記サーバ装置と通信し、前記患者に負荷を提供する機器と接続されるものであり、前記医療端末装置が、前記キープアライブ信号送受信部から前記応答信号を受信すること、および、前記応答信号を第1所定期間受信しないとき、第1所定メッセージを出力することを含む。上述の方法によれば、請求項2と同様の効果を奏する。
【0239】
本開示に係る患者端末装置の制御方法は、医療関係者の監視対象者であってリハビリテーションを受ける患者が使用する患者端末装置の制御方法であって、前記患者端末装置は、リハビリテーションの支援業務を行うためのサーバ装置と医療関係者が使用する医療端末装置とが通信するための第1通信ネットワークと異なる第2通信ネットワークを介して前記サーバ装置と通信し、前記患者に負荷を提供する機器と接続されるものであり、前記サーバ装置は、前記リハビリテーションの実施中、前記医療端末装置および前記患者端末装置を送信元とするキープアライブ信号の各々を受信し、当該受信に対する応答信号を前記送信元のすべてに対して送信するキープアライブ信号送受信部を備えるものであり、前記患者端末装置が、前記キープアライブ信号送受信部から前記応答信号を受信すること、および、前記応答信号を予め定められた上限期間受信しない時点で前記機器による負荷提供の中止を指示することを含む。上述の方法によれば、請求項4と同様の効果を奏する。
【0240】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0241】
1 支援サーバ、2 PC、3 タブレット、4 ウェアラブル心電計、5 エルゴメータ、7 第1通信ネットワーク、8 第2通信ネットワーク、9 第3通信ネットワーク、61 医療側通信制御部、62 患者側通信制御部、63 中継処理部、64 信号送受信部、66 遠隔中止指示部、67 通知送信部、71 信号送信部、72 応答受信部、74 報知部、81 主通信制御部、82 副通信制御部、71 信号送信部、72 応答受信部、86 通信切替部、87 通信再起動部、88 機器制御部、100 リハビリテーション支援システム、350 通信途絶警告(第1所定メッセージ)、360 通信途絶通知(第2所定メッセージ)