(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-05
(45)【発行日】2024-02-14
(54)【発明の名称】結束具、結束具の製造方法、結束方法及び収容具
(51)【国際特許分類】
B65D 63/14 20060101AFI20240206BHJP
B65D 63/10 20060101ALI20240206BHJP
A44B 19/16 20060101ALN20240206BHJP
【FI】
B65D63/14 Z
B65D63/10 E
A44B19/16
(21)【出願番号】P 2021018020
(22)【出願日】2021-02-08
【審査請求日】2023-10-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】720000030
【氏名又は名称】株式会社ファーストセカンズ
(74)【代理人】
【識別番号】100174805
【氏名又は名称】亀山 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】堀川 真理
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3186101(JP,U)
【文献】特開2012-040364(JP,A)
【文献】特開平05-137607(JP,A)
【文献】特開2012-171689(JP,A)
【文献】特表2016-505343(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0045275(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 63/10-63/16
B65D 23/00-23/16
A44B 19/00-19/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉自在なファスナーと、
前記ファスナーに沿って移動自在なスライダと、を備え、
前記ファスナーは、
第1レールが形成された第1帯条体と、
前記第1レールと噛み合い可能な第2レールが形成された第2帯条体と、
前記第1帯条体の一方端と前記第2帯条体の一方端とが連結する第1連結構造と、
前記第1帯条体の他方端と前記第2帯条体の他方端とが連結する第2連結構造と、を備え、
前記スライダの移動によって、前記第1レールと前記第2レールとが噛み合った噛合状態と、前記噛合状態から退避した退避状態と、の間で切り替え自在であり、
前記スライダが前記第1連結構造に近づくように移動することによって、前記ファスナーは噛合状態となり、
前記スライダが前記第1連結構造から離れるように移動することによって、前記ファスナーは退避状態と
なり、
前記第1帯条体、前記第2帯条体、前記第1連結構造、及び前記スライダによって形成された閉空間に対象物を挿入し、前記スライダを前記対象物に向けて移動させることによって前記対象物を結束することを特徴とする結束具。
【請求項2】
開閉自在なファスナーと、
前記ファスナーに沿って移動自在なスライダと、を備え、
前記ファスナーは、
第1レールが形成された第1帯条体と、
前記第1レールと噛み合い可能な第2レールが形成された第2帯条体と、
前記第1帯条体の一方端と前記第2帯条体の一方端とが連結する第1連結構造と、
前記第1帯条体の他方端と前記第2帯条体の他方端とが連結する第2連結構造と、を備え、
前記スライダの移動によって、前記第1レールと前記第2レールとが噛み合った噛合状態と、前記噛合状態から退避した退避状態と、の間で切り替え自在であり、
前記スライダが前記第1連結構造に近づくように移動することによって、前記ファスナーは噛合状態となり、
前記スライダが前記第1連結構造から離れるように移動することによって、前記ファスナーは退避状態と
なり、
前記噛合状態における前記第1帯条体及び前記第2帯条体の端部と、前記第1連結構造と、前記第2連結構造と、のいずれか一方に対し係合可能な係合構造を備えることを特徴とする結束具。
【請求項3】
前記係合構造は、前記スライダに設けられた挿入孔であり、
前記ファスナーの端部は前記挿入孔に挿入可能となることを特徴とする請求項
2記載の結束具。
【請求項4】
前記第1帯条体の端部と前記第2帯条体の端部が固定されるとともに、前記第1帯条体の中途部と前記第2帯条体の中途部とが固定され、
当該端部と当該中途部との間に前記ファスナーの端部が挿入可能な挿入孔が形成され、
前記係合構造は、前記挿入孔であることを特徴とする請求項
2記載の結束具。
【請求項5】
前記スライダは、
前記ファスナーの通過路に沿って配される板部と、
前記板部から突設する開構造と、
前記板部から突設する閉構造と、を備え、
前記閉構造は、前記ファスナーの通過路の両側に設けられるとともに、前記閉構造の間を前記第1帯条体と前記第2帯条体とが通過した際、前記第1レールと前記第2レールと
が前記退避状態から前記噛合状態となるように、前記第1帯条体と前記第2帯条体とを密着可能であり、
前記開構造は、前記ファスナーの通過路に設けられるとともに、前記ファスナーの通過路を前記第1帯条体と前記第2帯条体とが通過した際、前記第1レールと前記第2レールとが前記噛合状態から前記退避状態となるように、前記第1帯条体と前記第2帯条体との間を挿入可能となっている先鋭部を備えることを特徴とする請求項
1ないし4のうちいずれか1項記載の結束具。
【請求項6】
前記板部は、
天面板部と、
前記天面板部から突設する第1の側板と、
前記天面板部から突設する第2の側板と、を備え、
前記第1の側板と前記第2の側板との間に前記ファスナーの通過路が位置し、
前記開構造は前記天面板部から突設し、
前記閉構造は前記天面板部から突設することを特徴とする請求項
5記載の結束具。
【請求項7】
開閉自在なファスナーと、前記ファスナーに沿って移動自在なスライダと、を備えたファスナーバンドから結束具を製造する結束具の製造方法であって、
前記ファスナーは、
第1レールが形成された第1帯条体と、
前記第1レールと噛み合い可能な第2レールが形成された第2帯条体と、
前記第1帯条体の一方端と前記第2帯条体の一方端とが連結する第1連結構造と、
前記第1帯条体の他方端と前記第2帯条体の他方端とが連結する第2連結構造と、を備え、
前記第1帯条体の中途部と前記第2帯条体の中途部とを固定することを特徴とする結束具の製造方法。
【請求項8】
開閉自在なファスナーと、前記ファスナーに沿って移動自在なスライダと、を備えたファスナーバンドを用いた結束方法であって、
前記ファスナーは、
第1レールが形成された第1帯条体と、
前記第1レールと噛み合い可能な第2レールが形成された第2帯条体と、
前記第1帯条体の一方端と前記第2帯条体の一方端とが連結する第1連結構造と、
前記第1帯条体の他方端と前記第2帯条体の他方端とが連結する第2連結構造と、を備え、
前記スライダの移動によって、前記第1レールと前記第2レールとが噛み合った噛合状態と、前記噛合状態から退避した退避状態と、の間で切り替え自在であり、
前記スライダが前記第1連結構造に近づくように移動することによって、前記ファスナーは噛合状態となり、
前記スライダが前記第1連結構造から離れるように移動することによって、前記ファスナーは退避状態となるものであり、
前記第1帯条体、前記第2帯条体、前記第1連結構造、及び前記スライダによって形成された閉空間に対象物を挿入するステップと、
前記スライダを前記対象物に向けて移動させることによって前記対象物を結束するステップと、を備えることを特徴とする結束方法。
【請求項9】
請求項1ないし
6のうちいずれか1項記載の結束具と、
袋と、を備え、
前記袋には、
前記第1帯条体が挿通可能な第1挿通部と、
前記第2帯条体が挿通可能な第2挿通部と、が形成されることを特徴とする収容具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結束具、結束具の製造方法、結束方法及び収容具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の結束具として、2本のゴム紐と、ゴム紐の通し孔を有するビーズと、ゴム紐からビーズの抜け出しを防止する抜け出し防止部と、を備えたものが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1の結束具では、締める操作や緩める操作において、ビーズが結び目(抜け出し防止部)に引っかかってしまうため、ゴム紐にたるみが残ってしまう。
【0005】
本発明は、斯かる実情に鑑み、上述のようなたるみが生じることなく、対象物を縛ったり束ねたりすることができる結束具、結束具の製造方法、結束方法及び収容具を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の結束具は、開閉自在なファスナーと、前記ファスナーに沿って移動自在なスライダと、を備え、前記ファスナーは、第1レールが形成された第1帯条体と、前記第1レールと噛み合い可能な第2レールが形成された第2帯条体と、前記第1帯条体の一方端と前記第2帯条体の一方端とが連結する第1連結構造と、前記第1帯条体の他方端と前記第2帯条体の他方端とが連結する第2連結構造と、を備え、前記スライダの移動によって、前記第1レールと前記第2レールとが噛み合った噛合状態と、前記噛合状態から退避した退避状態と、の間で切り替え自在であり、前記スライダが前記第1連結構造に近づくように移動することによって、前記ファスナーは噛合状態となり、前記スライダが前記第1連結構造から離れるように移動することによって、前記ファスナーは退避状態となり、前記第1帯条体、前記第2帯条体、前記第1連結構造、及び前記スライダによって形成された閉空間に対象物を挿入し、前記スライダを前記対象物に向けて移動させることによって前記対象物を結束することを特徴とする。
また、本発明の結束具は、開閉自在なファスナーと、前記ファスナーに沿って移動自在なスライダと、を備え、前記ファスナーは、第1レールが形成された第1帯条体と、前記第1レールと噛み合い可能な第2レールが形成された第2帯条体と、前記第1帯条体の一方端と前記第2帯条体の一方端とが連結する第1連結構造と、前記第1帯条体の他方端と前記第2帯条体の他方端とが連結する第2連結構造と、を備え、前記スライダの移動によって、前記第1レールと前記第2レールとが噛み合った噛合状態と、前記噛合状態から退避した退避状態と、の間で切り替え自在であり、前記スライダが前記第1連結構造に近づくように移動することによって、前記ファスナーは噛合状態となり、前記スライダが前記第1連結構造から離れるように移動することによって、前記ファスナーは退避状態となり、前記噛合状態における前記第1帯条体及び前記第2帯条体の端部と、前記第1連結構造と、前記第2連結構造と、のいずれか一方に対し係合可能な係合構造を備えることを特徴とする。
前記係合構造は、前記スライダに設けられた挿入孔であり、前記ファスナーの端部は前記挿入孔に挿入可能となることが好ましい。また、前記第1帯条体の端部と前記第2帯条体の端部が固定されるとともに、前記第1帯条体の中途部と前記第2帯条体の中途部とが固定され、当該端部と当該中途部との間に前記ファスナーの端部が挿入可能な挿入孔が形成され、前記係合構造は、前記挿入孔であることが好ましい。
前記スライダは、前記ファスナーの通過路に沿って配される板部と、前記板部から突設する開構造と、前記板部から突設する閉構造と、を備え、前記閉構造は、前記ファスナーの通過路の両側に設けられるとともに、前記閉構造の間を前記第1帯条体と前記第2帯条体とが通過した際、前記第1レールと前記第2レールとが前記退避状態から前記噛合状態となるように、前記第1帯条体と前記第2帯条体とを密着可能であり、前記開構造は、前記ファスナーの通過路に設けられるとともに、前記ファスナーの通過路を前記第1帯条体と前記第2帯条体とが通過した際、前記第1レールと前記第2レールとが前記噛合状態から前記退避状態となるように、前記第1帯条体と前記第2帯条体との間を挿入可能となっている先鋭部を備えることが好ましい。
前記板部は、天面板部と、前記天面板部から突設する第1の側板と、前記天面板部から突設する第2の側板と、を備え、前記第1の側板と前記第2の側板との間に前記ファスナーの通過路が位置し、前記開構造は前記天面板部から突設し、前記閉構造は前記天面板部から突設することが好ましい。
【0007】
本発明の結束具の製造方法は、開閉自在なファスナーと、前記ファスナーに沿って移動自在なスライダと、を備えたファスナーバンドから結束具を製造する結束具の製造方法であって、前記ファスナーは、第1レールが形成された第1帯条体と、前記第1レールと噛み合い可能な第2レールが形成された第2帯条体と、前記第1帯条体の一方端と前記第2帯条体の一方端とが連結する第1連結構造と、前記第1帯条体の他方端と前記第2帯条体の他方端とが連結する第2連結構造と、を備え、前記第1帯条体の中途部と前記第2帯条体の中途部とを固定することを特徴とする。
【0008】
本発明の結束方法は、開閉自在なファスナーと、前記ファスナーに沿って移動自在なスライダと、を備えたファスナーバンドを用いた結束方法であって、前記ファスナーは、第1レールが形成された第1帯条体と、前記第1レールと噛み合い可能な第2レールが形成された第2帯条体と、前記第1帯条体の一方端と前記第2帯条体の一方端とが連結する第1連結構造と、前記第1帯条体の他方端と前記第2帯条体の他方端とが連結する第2連結構造と、を備え、前記スライダの移動によって、前記第1レールと前記第2レールとが噛み合った噛合状態と、前記噛合状態から退避した退避状態と、の間で切り替え自在であり、前記スライダが前記第1連結構造に近づくように移動することによって、前記ファスナーは閉状態となり、前記スライダが前記第1連結構造から離れるように移動することによって、前記ファスナーは開状態となるものであり、前記第1帯条体、前記第2帯条体、前記第1連結構造、及び前記スライダによって形成された閉空間に対象物を挿入するステップと、前記スライダを前記対象物に向けて移動させることによって前記対象物を結束するステップと、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の収容具は、上記の結束具と、袋と、を備え、前記袋には、前記第1帯条体が挿通可能な第1挿通部と、前記第2帯条体が挿通可能な第2挿通部と、が形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、たるみが生じることなく、対象物を縛ったり束ねたりすることができる結束具及び収容具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】(A)は、開状態のファスナーバンドの概要を示す斜視図である。(B)は、閉状態のファスナーバンドの概要を示す斜視図である。
【
図5】ファスナーバンド(変形例)の概要を示す斜視図である。
【
図6】ファスナーバンド(変形例)の概要を示す斜視図である。
【
図7】ファスナーバンド(変形例)の概要を示す斜視図である。
【
図8】ファスナーバンド(変形例)の使用状態の概要を示す説明図である。
【
図9】ファスナーバンド(変形例)の概要を示す斜視図である。
【
図10】ファスナーバンド(変形例)の使用状態の概要を示す説明図である。
【
図11】ファスナーバンド(変形例)の概要を示す斜視図である。
【
図12】ファスナーバンド(変形例)の概要を示す正面図である。
【
図13】ファスナーバンド(変形例)の概要を示す斜視図である。
【
図14】ファスナーバンド(変形例)の概要を示す正面図である。
【
図17】収容具(変形例)の概要を示す正面図である。
【
図18】収容具(変形例)の概要を示す平面図である。
【
図19】収容具(変形例)の概要を示す斜視図である。
【
図20】収容具(変形例)の概要を示す正面図である。
【
図21】収容具(変形例)の概要を示す平面図である。
【
図22】収容具(変形例)の概要を示す正面図である。
【
図23】収容具(変形例)の概要を示す平面図である。
【
図24】開状態のファスナーバンドの概要を示す6面図であり、(A)~(F)は、それぞれ、正面図、背面図、右側面図、左側面図、平面図及び底面図である。
【
図25】閉状態のファスナーバンドの概要を示す6面図であり、(A)~(F)は、それぞれ、正面図、背面図、右側面図、左側面図、平面図及び底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、説明の便宜上、水平面における任意の方向をX方向と、水平面においてX方向に直交する方向をY方向と、X方向及びY方向と直交する方向をZ方向とする。
【0013】
図1に示すように、ファスナーバンド2(結束具)は、開閉自在なファスナー10と、ファスナー10に沿って移動自在なスライダ20と、を備える。
【0014】
ファスナー10は、X方向に延びる長尺物であり、オスレール(第1レール)が形成された第1帯条体11と、メスレール(第2レール)が形成された第2帯条体12と、第1帯条体11の一方端と第2帯条体12の一方端とが連結する開き止まり14(第1連結構造)と、第1帯条体11の他方端と第2帯条体12の他方端とが連結する開き止まり15(第2連結構造)と、を備える。第1帯条体11のオスレールと第2帯条体12のメスレールとは向き合っている。
【0015】
スライダ20は、指でつまみやすい形状となっているものであり、ツマミ面として機能する一対の側面板部21と、一対の側面板部21を連結する天面板部22と、を備える。
【0016】
図1~2に示すように、2枚の側面板部21は、それぞれ、X方向及びZ方向に辺を持つ長方形状に形成される。2枚の側面板部21の外側の面には、Z方向にのびる溝21Aが、X方向に並ぶようにして形成される。溝21Aの集まりが滑り止めとして機能することから、一対の側面板部21が、ツマミ面として機能する。天面板部22は、X方向及びY方向に辺を持つ長方形状に形成される。天面板部22は、一方の側面板部21のZ方向の上端部から他方の側面板部21のZ方向の上端部に掛けて延びる。
【0017】
図3~4に示すように、天面板部22と側面板部21とによって囲まれた部分は、Y―Z平面における断面形状がコ字状となっており、この内側の空間がファスナー通過路25となる。側面板部21の内面のうち、Z方向の下端部には、ガイド突起21Tが形成される。ガイド突起21Tは、一対の側面板部21のそれぞれに形成される。このため、ガイド突起21Tは、ファスナー通過路25においてファスナー10の脱落防止機構として機能する。
【0018】
図2~4に示すように、天面板部22は、閉構造22Tと、開構造22Hと、を備える。閉構造22Tと開構造22Hとは、いずれも、自身の内面からZ方向下向きに突出する。閉構造22Tは、Y方向及びZ方向に辺を持つ板状に形成されるものであり、ファスナー通過路25の左右両側に設けられる。左右の閉構造22Tの間隔(Y方向)はファスナー10のY方向の寸法よりも狭い。このため、ファスナー10が閉構造22Tの間を通過すると、第1帯条体11と第2帯条体12とが互いに密着する結果、
図1(B)に示すように、オスレールとメスレールとが噛み合う(噛合状態)。開構造22Hは、ファスナー通過路25に配されるものであり、先鋭部22HAと、幅広部22HBと、を備える。先鋭部22HAは、閉構造22Tに近い側に位置し、幅広部22HBは、閉構造22Tから遠い方に位置する。また、開構造22HのY方向における幅は、先鋭部22HAから幅広部22Hに向かうにしたがって次第に広くなる。このため、閉構造22Tから開構造22Hに向かってファスナー10が移動すると、第1帯条体11と第2帯条体12との間に先鋭部22HAが挿入する結果、第1帯条体11と第2帯条体12とが離れる。こうして、オスレールとメスレールと噛み合いが解かれ、噛合状態から退避した退避状態になる(
図1(A))。
【0019】
次に、ファスナーバンド2の使い方について説明する。
【0020】
スライダ20を開き止まり15に向けて移動させると、ファスナー10は、オスレールとメスレールとの噛み合いが解かれた退避状態となる(
図1(A))。こうして、ファスナー10は開いた状態となる。第1帯条体11と、第2帯条体12と、開き止まり14と、スライダ20とによって囲まれた空間(以下、対象物挿入エリアKXと称する)に対象物を配置する。次に、スライダ20を開き止まり14に向けて移動させると、ファスナー10は、オスレールとメスレールと噛み合った噛合状態となる(
図1(B))。こうして、ファスナー10は閉じた状態となる。対象物挿入エリアKXに対象物を挿入させた状態で、スライダ20を対象物に向けて移動させることにより、対象物を縛ったり、複数の対象物を束ねたりすることができる。すなわち、第1帯条体11、第2帯条体12、連結構造14、及びスライダ20が結束構造として機能する。このようなファスナー10であれば、使用の際にたるみが生じにくい。
【0021】
締め付けの強さは、対象物の内容によっても異なる。ファスナーバンド2は、スライダ20の位置によって締め付けの強さが調節可能であるため、対象物に応じた強さの締め付けが可能となる。
【0022】
なお、
図1に示すように、ファスナーバンド2は、係合構造30を備えることが好ましい。係合構造30は、開き止まり14からX方向に延びるように形成されることが好ましい。係合構造30には、開き止まり15が挿入可能な挿入孔30Xが形成されることが好ましい。これにより、ファスナー10を噛合状態にした際(
図1(B))、開き止まり15を挿入孔30Xへ挿入することができるため、ファスナーバンド2がコンパクトとなる。
【0023】
なお、係合構造30は、開き止まり14からX方向に延びるように形成したが本発明はこれに限られない。第1帯条体11と、第2帯条体12と、開き止まり14と、開き止まり15(第2連結構造)と、を備えたファスナー10(
図5)において、第1帯条体11と第2帯条体12との中途部を固着させて、固着部19を形成する(
図6)。固着部19を形成する位置は、スライダ20と開き止まり14との間に設定することが好ましい。そして、固着部19と開き止まり14との間の孔を挿入孔19Xとし、挿入孔19Xに対し開き止まり15を挿入してもよい。また、第1帯条体11と第2帯条体12とが合成樹脂から形成される場合、中途部を固着させる方法として、接着、溶着や融着等がある。
【0024】
さらに、挿入孔30Xや挿入孔19Xから開き止まり15が抜けにくくするために、開き止まり15からZ方向に延びる抜止機構35が形成されていてもよい。図示する抜止機構35は、Z方向(帯条体の幅方向)が、太くなっていることが好ましい(
図1)。
【0025】
上記実施形態では、係合構造30をファスナー10に設けたが、本発明はこれに限られない。例えば、係合構造30をスライダ20に設けてもよい。
【0026】
図7に示すように、スライダ20において、左右の側面板部21に係合構造を設けてもよい。係合構造としての挿入孔21XはZ方向に延びる。こうして、これにより、ファスナー10を噛合状態にした際、開き止まり15を挿入孔21Xへ挿入することにより、対象物TGを縛った際、ファスナーバンド2がコンパクトとなる(
図8)。
【0027】
なお、上記実施形態では、左右の側面板部21に係合構造を設けたが、
図9~10に示すように、左右の側面板部21のうちいずれか一方に係合構造を設けてもよい。また、図示するように、X方向に延びる挿入孔21Xを係合構造としてもよい。これにより、対象物TGを縛った際、ファスナーバンド2がコンパクトとなる。
【0028】
上記実施形態では、開き止まり14において、第1帯条体11の一方端と第2帯条体12の一方端が連結したが、本発明はこれに限られない。例えば、
図11~12のように、第1帯条体11の一方端にはオスホック11Mを設け、第2帯条体12の一方端にはメスホック12Fを設ける。そして、両者を用いて、第1帯条体11の一方端と第2帯条体12の一方端とが連結した連結状態と、連結状態から退避した連結退避状態との間で切り替え自在にしてもよい。これにより、使用中の電源コードのような長尺物について、余長部分を縛る場合にも適している。
【0029】
なお、
図13~14のように、メスホック12Fに替えて、挿入孔12Xを第2帯条体12の一方端に設け、オスホック11Mに替えて、挿入孔12Xに嵌入可能な突起11Tを第1帯条体11の一方端に設けてもよい。
【0030】
なお、
図15~16のように、ファスナー10と、ファスナー10の通し孔を有する袋60とを備えた収容具70を用いてもよい。
【0031】
袋60は、平坦な袋であり、自身の開口縁に設けられ第1帯条体11が挿入可能な第1通し筒部61と、自身の開口縁に設けられ第2帯条体12が挿入可能な第2通し筒部62と、を備える。平坦な状態の袋60において、第1通し筒部61と第2通し筒部62とは正対することが好ましい。これにより、ファスナー10のたるみが生じにくくなる。
【0032】
なお、収容具70において、
図17~18のように、
図6に示すファスナー10のように、係合構造を備えたものを用いてもよい。これにより、開き止まり15を挿入孔19Xへ挿入することができるため、ファスナーバンド2がコンパクトとなる。同様にして、収容具70において、
図11に示すファスナー10を用いてもよいし(
図19~21)、
図13に示すファスナー10を備えたものを用いてもよい(
図22~23)。
【0033】
なお、
図24~25に、
図1のファスナーバンド2の6面図を示す。
【0034】
尚、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0035】
2 ファスナーバンド
10 ファスナー
11 第1線条体
12 第2線条体
14 連結構造
19 固着部
19X 挿入孔
20 スライダ
25 ファスナー通過路
30 係合構造
35 抜止機構
60 袋
70 収容具