(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-05
(45)【発行日】2024-02-14
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 5/04 20060101AFI20240206BHJP
【FI】
A63F5/04 603E
A63F5/04 661
(21)【出願番号】P 2021158793
(22)【出願日】2021-09-29
【審査請求日】2022-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】390031772
【氏名又は名称】株式会社オリンピア
(74)【代理人】
【識別番号】100104547
【氏名又は名称】栗林 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100206612
【氏名又は名称】新田 修博
(74)【代理人】
【識別番号】100209749
【氏名又は名称】栗林 和輝
(74)【代理人】
【識別番号】100217755
【氏名又は名称】三浦 淳史
(72)【発明者】
【氏名】松田 泰祐
(72)【発明者】
【氏名】瀬沼 太郎
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 秀明
【審査官】佐藤 洋允
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-209489(JP,A)
【文献】特開2017-046957(JP,A)
【文献】特開2007-295956(JP,A)
【文献】特開2011-078607(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の図柄が配列された複数のリールと、
前記複数のリールに対応して設けられ、前記リールの回転を停止させる操作に用いられるストップボタンと、
遊技を開始させる操作に用いられるスタートレバーと、
音出力手段と、
表示手段と、
演出に関する制御を行う制御手段と、を備え、
遊技が開始されていない状態で、遊技機に対する所定の操作が入力されずに第1所定時間が経過した場合、前記音出力手段から出力される音の音量が低下するようになっており、
遊技が開始され、前記リールが回転している状態で、最後の前記ストップボタンが押下され、当該ストップボタンの押下が前記第1所定時間にわたって継続された場合、前記音出力手段から出力される音の音量が低下しないようになっており、
遊技が開始され、前記リールが回転している状態で、回転している前記リールに対応する前記ストップボタンが押下されずに第2所定時間が経過した場合、前記リールの回転の停止を促す演出が前記表示手段を介して実行されるようになっており、
遊技が開始され、前記リールが回転している状態で、最後の前記ストップボタンが押下され、当該ストップボタンの押下が前記第2所定時間にわたって継続された場合、前記リールの回転の停止を促す演出が前記表示手段を介して実行されないようになっている
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から遊技機として、外周面に複数の図柄が配列されたリールを複数備えたスロットマシンが知られている。スロットマシンでは、遊技開始に伴ってリールが回転を開始するとともに、抽選テーブルを用いた内部抽選が行われる。また、リールが停止したときに内部抽選に当選した当選役に対応する図柄組合せが複数のリールによって表示され、この当選役が入賞となると、入賞した当選役に対応する処理として、例えば、メダル(遊技価値)を払い出すメダル払出処理や、メダルを新たに消費することなく再度の遊技を可能とする再遊技処理等が行われる。
【0003】
また、特許文献1に開示されたスロットマシンは、所定時間にわたって操作がされなかった場合にパワーセーブモードに移行し、消費電力が抑制されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、遊技機では、遊技者に違和感を与える事象の発生を抑制することが求められている。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、遊技者に違和感を与える事象の発生が抑制された遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の遊技機は、
複数種類の図柄が配列された複数のリールと、
前記複数のリールに対応して設けられ、前記リールの回転を停止させる操作に用いられるストップボタンと、
遊技を開始させる操作に用いられるスタートレバーと、
音出力手段と、
表示手段と、
演出に関する制御を行う制御手段と、を備え、
遊技が開始されていない状態で、遊技機に対する所定の操作が入力されずに第1所定時間が経過した場合、前記音出力手段から出力される音の音量が低下するようになっており、
遊技が開始され、前記リールが回転している状態で、最後の前記ストップボタンが押下され、当該ストップボタンの押下が前記第1所定時間にわたって継続された場合、前記音出力手段から出力される音の音量が低下しないようになっており、
遊技が開始され、前記リールが回転している状態で、回転している前記リールに対応する前記ストップボタンが押下されずに第2所定時間が経過した場合、前記リールの回転の停止を促す演出が前記表示手段を介して実行されるようになっており、
遊技が開始され、前記リールが回転している状態で、最後の前記ストップボタンが押下され、当該ストップボタンの押下が前記第2所定時間にわたって継続された場合、前記リールの回転の停止を促す演出が前記表示手段を介して実行されないようになっている。
【0008】
遊技が開始されていない状態で、遊技機に対する所定の操作が入力されずに第1所定時間が経過した場合、前記音出力手段から出力される音の音量が低下するようになっており、遊技が開始され、前記リールが回転している状態で、最後の前記ストップボタンが押下され、当該ストップボタンの押下が前記第1所定時間にわたって継続された場合、前記音出力手段から出力される音の音量が低下しないようになっている。
このため、遊技者が、最後の前記ストップボタンの押下を前記第1所定時間にわたって継続した場合に、当該ストップボタンを押下しているにも関わらず音量が低下するという事象が発生することがない。これにより、遊技者が違和感を抱くのを防ぐことができる。
【0009】
また、遊技が開始され、前記リールが回転している状態で、回転している前記リールに対応する前記ストップボタンが押下されずに第2所定時間が経過した場合、前記リールの回転の停止を促す演出が前記表示手段を介して実行されるようになっており、
遊技が開始され、前記リールが回転している状態で、最後の前記ストップボタンが押下され、当該ストップボタンの押下が前記第2所定時間にわたって継続された場合、前記リールの回転の停止を促す演出が前記表示手段を介して実行されないようになっている。
このため、遊技者が、最後の前記ストップボタンの押下を前記第2所定時間にわたって継続した場合に、当該ストップボタンを押下しているにも関わらず前記リールの回転の停止を促す演出が実行されるという事象が発生することがない。これにより、遊技者が違和感を抱くのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、遊技者に違和感を与える事象の発生が抑制された遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る遊技機の一例を示すもので、その斜視図である。
【
図3】同、遊技機の概略的な構成を示すブロック図である。
【
図4】同、メインループ処理について説明するためのフローチャートである。
【
図5】同、(a)は第1パワーセーブモードについて説明するための図であり、(bは第2パワーセーブモードについて説明するための図である。
【
図6】同、(a)は第1パワーセーブモードへの移行について説明するためのタイミングチャートであり、(b)は第2パワーセーブモードへの移行について説明するためのタイミングチャートである。
【
図7】同、リール停止警告演出の実行について説明するためのタイミングチャートである。
【
図8】本発明の第2の実施形態に係る遊技機の外観構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。
まず、遊技機の概略構成について説明する。なお、本実施の形態では、本発明を遊技機の1つであるスロットマシンに適用した場合を例にとって説明するが、本発明は、スロットマシンに限ることなく、パチンコ遊技機やメダルレス遊技機等の他の遊技機に適用されてもよい。また、以下の説明においては、基本的に「前後」とは、スロットマシンの前側に遊技者が居る場合に、遊技者側が「前」で、スロットマシン側が「後」を意味し、「上下」とはスロットマシンの上面側が「上」で、下面側が「下」を意味し、「左右」とはスロットマシンを遊技する遊技者の左手側が「左」を意味し、右手側が「右」を意味する。
【0013】
図1はスロットマシンXを示す斜視図である。このスロットマシンXは、筐体10を備えており、この筐体10は、底板、左右の側板、天板および背板を備え、当該筐体10の正面側に開口する正面開口部を有する箱形に形成されている。また、筐体10の正面には、筐体10の正面開口部を開閉可能に閉塞する前扉12が設けられている。また、前扉12は、筐体10の正面開口部の開口上部を開閉可能に閉塞する上扉30と、開口下部を開閉可能に閉塞する下扉40とを備えている。なお、前扉12を上扉30と下扉40とに分けない一体の構造としてもよい。
【0014】
筐体10内の下部には、
図2に示すように、各部品に電力を供給するための電源装置(電源手段)を内蔵した電源ユニット14、メダル(遊技媒体、遊技価値)を貯蔵するとともにメダルを払い出す払い出し装置(払出手段)としてのホッパーユニット16、ホッパーユニット16内のメダルの量が所定量以上となるとホッパーユニット16からメダルが送り出されるキャッシュボックス18等が設けられている。また、電源ユニット14は、電源スイッチを備えており、電源スイッチがON状態になると、電源ユニット14から各部品に電力が供給されるようになっている。なお、一部の部品には、電源ユニット14がOFF状態でも電力が供給されるようになっていてもよい。
【0015】
また、筐体10内には、リールユニット20や主制御手段(第1制御手段、メイン制御基板)70、副制御手段(第2制御手段、サブ制御基板)72等が設けられている。リールユニット20は、周囲に複数の図柄を表示した3個の第1リール20a、第2リール20bおよび第3リール20cと、リール20a~20cを回転させるための駆動モータ(ステッピングモータ)とを有している。
【0016】
主制御手段70には、設定変更キーシリンダや設定変更ボタン26(
図3)等が設けられている。なお、設定変更キーシリンダや、設定変更ボタン26は、例えば、電源ユニット14等の、他の部分に設けられていてもよい。設定変更キーシリンダ(設定キースイッチ)は、OFF状態とON状態との2つの状態を有している。換言すると、OFF状態とON状態とを切り替え可能となっている。設定変更キーシリンダは、設定キーを挿入可能に形成されている。設定変更キーシリンダは、初期状態ではOFF状態となっている。挿入された設定キーが初期位置から時計回りに90度回転されると、設定変更キーシリンダの状態がOFF状態からON状態に切り替わる。設定変更キーシリンダの状態がON状態となる位置から初期位置となるように設定キーが反時計回りに90度回転されると、ON状態からOFF状態に切り替わるようになっている。設定変更ボタン26は押下操作が可能となっている。
【0017】
図1に示すように、上扉30の下部中央には、表示窓31が設けられ、この表示窓31の奥には、3個のリール20a~20cが横一列に設けられている。各リール20a~20cの外周面には複数種類の図柄が配列されており、リール20a~20cが停止すると表示窓31を通して1リール当たり3個の図柄(連続して配列されている3つの図柄)が表示される。表示窓31には、各リール20a~20cの図柄を視認するための表示位置として、上段、中段、下段が設けられており、各リール20a~20cの表示位置の組合せによって有効ラインが設定されている。
【0018】
本実施形態の遊技機では、1回の遊技に関して必要なメダルの数(規定枚数、規定数)が3枚に設定されており、規定枚数のメダルが投入されると、各リール20a~20cの中段によって構成される有効ラインが有効化される。また、遊技開始に伴って各リール20a~20cが回転を開始するとともに内部抽選が実行されて当選役のいずれかの当選またはハズレ(不当選)が決定される。次いで、リール20a~20cが停止したときに、内部抽選で当選した当選役に対応する図柄組合せが有効ラインに表示されると、この当選役が入賞となり、入賞した当選役に対応する処理(入賞処理)が実行される。
【0019】
表示窓31の下方には、遊技情報表示部32が設けられている。遊技情報表示部32は、LED、ランプ、7セグメント表示器等からなり、メダルのクレジット数、1回の遊技におけるメダルの払出数あるいは獲得数、エラー情報等の各種遊技情報が表示される。また、遊技情報表示部32は、第1メイン表示器90、第2メイン表示器92およびサブ表示器93を備えている。
【0020】
上扉30の上部中央には、表示窓31の上方に表示窓33が設けられている。この表示窓33の奥には、液晶ディスプレイ(表示手段)34が設けられている。液晶ディスプレイ34には、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種の映像(画像)が表示される。また、上扉30や下扉40には、スピーカ(音出力手段)36が複数設けられている。スピーカ36からは、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種の音が出力される。また、前扉12には、報知や演出などを行うための照明装置(照明手段)38が複数設けられている。
【0021】
下扉40の上部には、スロットマシンXを操作するための操作領域50が設けられている。操作領域50には、各種の操作手段が設けられている。メダルを精算する際に操作される精算ボタン52、遊技(ゲーム)を開始させる際に操作されるスタートレバー53、リールの回転を停止させる際に操作されるストップボタン54(54a,54b,54c)、メダルを投入するためのメダル投入口42、メダル投入口42の下方のメダル通路内で発生したメダル詰まりを解消する際に操作されるリジェクトボタン(図示せず)、メダルを投入(ベット)する際に操作されるベットボタン56、演出を進行させる(液晶ディスプレイ34に表示される演出画像の態様を変化させる)際等に操作される演出ボタン57等が設けられている。本実施形態の遊技機は、ベットボタン56として、3枚(規定枚数)のメダルをベットする際に操作されるMAXベットボタン56(第1ベットボタン)と、1枚のメダルをベットする際に操作される1ベットボタン56(第2ベットボタン)と、が設けられている。
【0022】
演出ボタン57は、操作領域50における幅方向(左右方向)の略中央部に配置されている。演出ボタン57は、押圧部が押下可能に形成されたプッシュボタンであり、演出等を選択するためのジョグダイヤル等を備えていてもよい。演出ボタン57は、例えば、遊技者にとって有利な状態に移行することを期待させる演出の実行中に操作が有効な状態となり、その操作を指示する画像が液晶ディスプレイ34に表示される。そして、演出ボタン57が操作されると、遊技の結果(例えば有利な状態へ移行するか否か)が報知される。
【0023】
本実施形態の遊技機における基本的な遊技の流れを説明する。遊技者がMAXベットボタン56を押下すると、クレジットされたメダルが投入され、遊技を開始可能な状態となる。そして、遊技者が遊技を開始する操作としてスタートレバー53を押下すると、リール20a~20cが回転を始め、リール20a~20cの回転速度が所定の速度まで上昇して定常回転状態となると、ストップボタン54a~54cの押下操作が有効な状態(有効化された状態)となる。その後、遊技者が任意のタイミングで各リール20a~20cに対応する各ストップボタン54a~54cを押下していくと、各リール20a~20cの回転が停止する。具体的には、ストップボタン54aを押下すると第1リール20aの回転が停止し、ストップボタン54bを押下すると第2リール20bの回転が停止し、ストップボタン54cを押下すると第3リール20cの回転が停止する。そして、全てのリール20a~20cの回転が停止すると、遊技の結果に応じて、メダルを払い出す処理や、メダルを新たに消費することなく再度遊技を開始可能な状態とする処理等が行なわれ、1回の遊技が終了する。
【0024】
前扉12の下端部には、スロットマシンXの内部よりメダルを排出するためのメダル払出口60と、メダル払出口60から排出されたメダルを溜めておくためのメダル受け皿62と、が設けられている。また、操作領域50とメダル受け皿62との間にはスロットマシンXの外観を装飾するための下パネル64が設けられている。また、下パネル64の背面側には、照明用の光源(LED)が設けられており、この光源から照射される光によって下パネル64が背後から照らされるようになっている。
【0025】
下扉40には、ドアキーシリンダ66が設けられており、ドアキーシリンダ66にドアキーを挿入して下扉40(前扉12)を解錠することができるようになっている。具体的には、ドアキーシリンダ66に挿入されたドアキーを初期位置から時計回りに回転させる(捻る)ことにより、下扉40の解錠が行えるようになっている。また、ドアキーシリンダ66に挿入されたドアキーを初期位置から反時計回りに回転させる(捻る)ことにより、エラーの解除操作が行えるようになっている。なお、上扉30の下端部には、下扉40の前面より後方側で下扉40の上端より下側に突出する係合部が設けられ、下扉40が閉じた状態では上扉30を開くことができない構造になっている。すなわち、上扉30を開く際には、下扉40を解錠して開いてから上扉30を開くように構成されている。
【0026】
メダル投入口42から投入されたメダルは、メダルセレクタ67(
図2)を通過した後に、メダルシュート69を経由してホッパーユニット16に入るようになっている。ただし、遊技を開始した後などの所定の条件下では、メダルセレクタ67に内蔵されたメダルブロッカー68(
図3)が作動して、メダルシュート69(
図2)へ向かう流路が閉塞され、投入されたメダルがメダル払出口60から返却されるようになっている。
【0027】
図3は、本実施形態の遊技機の機能ブロック図である。本実施形態の遊技機(スロットマシンX)は、制御手段としての主制御手段(メイン基板)70と副制御手段(サブ基板)72とを備えている。主制御手段70は、精算ボタン52、スタートレバー53、ストップボタン54、ベットボタン56、設定変更ボタン26、ドア開閉スイッチ74、投入検知センサ78および払出センサ88等からの入力信号を受けて、遊技機の設定、エラーの管理あるいは遊技を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいてリール20a~20cや、ホッパーユニット16等の出力手段の制御を行う。
【0028】
副制御手段72は、主制御手段70から送られてくる情報(信号)を受けて、演出を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいて液晶ディスプレイ34、スピーカ36、照明装置38等の演出用の装置の制御を行う。
【0029】
主制御手段70と副制御手段72とは電気的に接続されており、主制御手段70から副制御手段72へは遊技状態を示す情報など各種情報(信号)の送信が可能となっているが、副制御手段72から主制御手段70へは情報を送信できないようになっている。また、主制御手段70や副制御手段72の機能は、各種のプロセッサ(CPU、DSP等)、IC、あるいはROMやRAM等の情報記憶媒体等のハードウェアや、ROM等に予め記憶されている所定のプログラムからなるソフトウェアにより実現される。
【0030】
主制御手段70は、設定変更手段101、設定確認手段102、払出制御手段103、遊技制御手段104、乱数発生手段105および主記憶手段108等を備えている。
【0031】
設定変更手段101は、主記憶手段108に記憶されている設定値を変更する制御(設定変更処理)を行う。本実施形態では、電源投入時の設定変更キーシリンダの状態に応じて、遊技モードで起動される場合と、設定変更モードで起動される場合と、が切り替えられるようになっている。設定変更キーシリンダに設定キーが挿入され、設定キーが初期位置から時計回りに90度だけ回転された状態で、電源スイッチが作動することにより電源ユニット14から電力が供給されると(すなわち電源が投入されると)、設定変更手段101が、遊技機を設定変更モードで起動する。本実施形態では、設定1~設定6までの6段階の設定値の中から設定値を選択することができるようになっている。そして、設定1から順に設定6に向かって出玉率の期待値が高くなるように内部抽選の当選確率が変動するようになっている。なお、本実施形態では、設定1<設定2<設定3<設定4<設定5<設定6の順で設定値の高低を表現する。
【0032】
設定変更手段101は、設定変更モードにおいて設定変更ボタン26が押下される毎に、設定1→設定2→・・・設定6→設定1→・・・の順序で設定値を変更し、スタートレバー53が押下されると、設定値を確定させて、確定された設定値を主記憶手段108に記憶させる。また、設定変更キーシリンダに挿入された設定キーを初期位置に戻すと、設定変更モードから遊技モードへ移行するようになっている。なお、本実施形態では、設定変更モードにおいて第1メイン表示器90に選択中の設定値が表示されるようになっている。
【0033】
また、本実施形態では、設定変更キーシリンダに設定キーが挿入され、設定キーが初期位置にある状態で電源が投入されると、遊技機が遊技モードで起動する。本実施形態では、遊技モードでは遊技を行うことができるが、設定値の変更を行うことはできず、設定変更モードでは設定値の変更を行うことはできるが、遊技を行うことはできないようになっている。
【0034】
設定変更手段101は、設定変更モードにおいて、主記憶手段108における読み出しおよび書き込みが可能な記憶領域であるリードライトメモリ(RWM)に記憶されている情報を初期化する初期化処理を行う。なお、初期化処理においては、リードライトメモリに記憶されている全ての情報を初期化するのではなく、所定の情報(メダルのクレジット情報等の一部の情報)については初期化されずに保持されるようになっている。
【0035】
設定確認手段102は、電源が投入された状態における遊技モードにおいて、設定変更キーシリンダに設定キーが挿入され、設定キーが初期位置から時計回りに90度だけ回転されると、遊技機(スロットマシンX)を遊技モードから設定確認モードへ移行させ、液晶ディスプレイ34や遊技情報表示部32等を介して現在の設定値を報知する処理(設定報知処理)を行う。設定確認モードでは、液晶ディスプレイ34に設定確認モードである旨を報知する画像(例えば「設定参照中」という文字)が表示される。また、設定確認モードでは、遊技情報表示部32における第1メイン表示器90に、現在設定されている設定値が表示される。設定確認モードでは現在の設定値を参照(報知)することはできるが、遊技を行うことはできないようになっている。また、設定確認モードでは設定値を参照することはできるが、設定値の変更を行うことはできないようになっている。
【0036】
遊技制御手段104は、遊技の進行を制御する手段であって、メダルの投入を受け付けて遊技が開始されると、内部抽選により役の当否を決定するとともに、第1リール20a~第3リール20cを回転させ、ストップボタン54a~54cに対する停止操作が行われると、内部抽選の結果に応じて回転中のリールを停止させて、有効ライン上に表示された図柄組合せに基づいて役が入賞したか否かを判定し、判定結果に応じた処理を行うことによって遊技を進行させるメインループ処理を行う。以下、その詳細を説明する。
【0037】
遊技制御手段104は、遊技毎にメダルの投入を受け付けて、規定投入数(3枚)に相当するメダルが投入されたことに基づいて、スタートレバー53に対する遊技開始操作を有効化する処理を行う。なお、本実施形態の遊技機では、規定投入数に相当するメダルの投入に基づいて有効化されたスタートレバー53の最初の押下操作が、遊技開始操作として受け付けられ、第1リール20a~第3リール20cの回転を開始させる契機となっているとともに、内部抽選を実行する契機となっている。
【0038】
本実施形態の遊技機では、メダル投入口42にメダルが投入されると、メダルセレクタ67内の投入検知センサ78が作動することに伴って、遊技制御手段104が、規定投入数を限度として、投入されたメダルを投入状態(ベット状態)に設定する。また、本実施形態の遊技機では、主記憶手段108に最大で50枚分のメダルをクレジット記憶(貯留記憶)することが可能となっており、遊技機にメダルがクレジット記憶された状態で、ベットボタン56が押下されると、遊技制御手段104が、規定投入数を限度して、主記憶手段108にクレジット記憶されたメダルを投入状態に設定する。なお、本実施形態の遊技機では、第2メイン表示器92にクレジット数が表示されるようになっている。遊技制御手段104は、主記憶手段108に記憶されているメダルのクレジット数の増減に従って第2メイン表示器92の表示内容を変化させる。
【0039】
遊技制御手段104は、スタートレバー53に対する遊技開始操作(有効化されたスタートレバー53への最初の押下操作)に基づいて、役の当否を決定する内部抽選を行い、抽選テーブル選択処理、乱数判定処理および抽選フラグ設定処理等を行う。
【0040】
抽選テーブル選択処理では、主記憶手段108に記憶されている複数種類の内部抽選テーブルのうち、いずれの内部抽選テーブルを用いて内部抽選を行うかを決定する。本実施形態の遊技機では、各内部抽選テーブルにおいて、複数の乱数値(例えば、0~65535の65536個の乱数値)のそれぞれに対して、リプレイ、小役およびボーナスなどの各種の役やハズレ(不当選)が対応づけられている。なお、本実施形態では、6段階の設定値に対して、設定値毎に遊技状態に応じた内部抽選テーブルが用意されており、設定値に応じて内部抽選で一部の当選態様が得られる確率が異なっており、設定値が高くなるほど出玉率の期待値が高くなるように役と乱数値との対応関係が設定されている。なお、小役とは、入賞することにより、入賞した小役に応じた所定枚数のメダルの払い出しを受けることができる役である。また、リプレイとは、入賞することにより、メダルを新たに消費することなく、再度遊技を行うことができる役である。リプレイが入賞すると、遊技者のメダルを消費することなくスタートレバー53の操作が有効化され、スタートレバー53の操作により遊技を開始することが可能な状態となる。
【0041】
本実施形態の遊技機では、遊技状態として、通常状態、ボーナス成立状態およびボーナス状態が設定可能とされ、抽選テーブル選択処理では、遊技状態に応じて複数種類の内部抽選テーブルのいずれか1つを内部抽選で使用する内部抽選テーブルとして選択する。
【0042】
乱数判定処理では、スタートレバー53に対する遊技開始操作に基づいて、遊技毎に乱数発生手段105から乱数値(抽選用乱数)を取得し、取得した乱数値について主記憶手段108に記憶されている内部抽選テーブルを参照して役に当選したか否かを判定する。
【0043】
乱数発生手段105は、抽選用の乱数値を発生させる手段である。乱数値は、例えば、0~65535までの65536個の乱数値を1周期中で重複することなく発生させる16ビット乱数回路によって発生させることができる。なお、本実施形態において「乱数値」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、その発生自体は規則的であっても、その取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能しうる値も含まれる。
【0044】
抽選フラグ設定処理では、乱数判定処理の結果に基づいて、当選したと判定された役に対応する抽選フラグを非当選状態(第1のフラグ状態、オフ状態)から当選状態(第2のフラグ状態、オン状態)に設定する。本実施形態の遊技機では、2種類以上の役が重複して当選した場合には、重複して当選した2種類以上の役のそれぞれに対応する抽選フラグが当選状態に設定される。なお、抽選フラグの設定情報は、主記憶手段108に記憶されるようになっている。
【0045】
抽選フラグには、入賞するまで次回以降の遊技に当選状態を持ち越し可能な抽選フラグ(持越可能フラグ)と、入賞の如何に関わらず次回以降の遊技に当選状態を持ち越さずに非当選状態にリセットされる抽選フラグ(持越不可フラグ)とが用意されている。前者の持越可能フラグが対応づけられる役としては、ボーナスがあり、小役およびリプレイは後者の持越不可フラグに対応づけられている。すなわち抽選フラグ設定処理では、例えば、内部抽選でボーナスに当選すると、ボーナスの抽選フラグの当選状態を、ボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行う。このとき遊技制御手段104は、ボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技でも、小役およびリプレイについての当否を決定する内部抽選を行っている。このように抽選フラグ設定処理では、ボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、小役やリプレイが当選した場合には、既に当選しているボーナスの抽選フラグと内部抽選で当選した小役やリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定する。
【0046】
また、遊技制御手段104は、主制御手段70による制御のもと有効化されたスタートレバー53が操作されたこと(すなわち遊技開始)に伴って各リール20a~20cの回転を開始させるとともに、有効化されたストップボタン54a~54cが操作されると、操作されたストップボタンに対応するリールの停止制御(抽選フラグの設定状態(内部抽選の結果)に応じた態様で停止させる制御)を行う。
【0047】
遊技制御手段104は、ストップボタン54a~54cの各ボタンが操作される毎に、第1リール20a~第3リール20cのうち、操作されたボタンに対応するリールの停止位置を決定して、決定された停止位置でリールを停止させる制御を行う。スロットマシンXでは、ストップボタン54aが操作されると、第1リール20aの回転が停止され、ストップボタン54bが操作されると、第2リール20bの回転が停止され、ストップボタン54cが操作されると、第3リール20cの回転が停止される。したがって、ストップボタン54a~54cの操作順序によって、第1リール20a~第3リール20cの停止順序が変化する。
【0048】
なお、以下では、停止操作の順序(ストップボタン54a~54cの操作順序)について、ストップボタン54a~54cのうちの全てのストップボタンを操作する1まとまりの停止操作の順序を「打順」とする。また打順を構成する各停止操作のうち、最初に行う停止操作を「第1停止操作」、2番目に行う停止操作を「第2停止操作」、3番目に行う停止操作を「第3停止操作」とする。
【0049】
また、以下では、第1リール20a、第2リール20b、第3リール20cの順に回転リールを停止させるストップボタン54a、54b、54cの操作を「打順1」とし、第1リール20a、第3リール20c、第2リール20bの順に回転リールを停止させるストップボタン54a、54b、54cの操作を「打順2」とし、第2リール20b、第1リール20a、第3リール20cの順に回転リールを停止させるストップボタン54a、54b、54cの操作を「打順3」とし、第2リール20b、第3リール20c、第1リール20aの順に回転リールを停止させるストップボタン54a、54b、54cの操作を「打順4」とし、第3リール20c、第1リール20a、第2リール20bの順に回転リールを停止させるストップボタン54a、54b、54cの操作を「打順5」とし、第3リール20c、第2リール20b、第1リール20aの順に回転リールを停止させるストップボタン54a、54b、54cの操作を「打順6」とする。また、「打順1」と「打順2」とをまとめて「左押し」と呼び、「打順3」と「打順4」とをまとめて「中押し」と呼び、「打順5」と「打順6」とをまとめて「右押し」と呼ぶ。また、「中押し」と「右押し」とをまとめて「変則押し」と呼ぶことがある。
【0050】
ストップボタン54a~54cが操作された際の停止制御において、遊技制御手段104は、抽選フラグが当選状態に設定されている当選役が入賞するように、各リール20a~20cを停止させる。具体的には、1つの当選役の抽選フラグが当選状態に設定されている状態では、この当選役が入賞するように各リール20a~20cの停止制御を行う。また、複数の当選役の抽選フラグが重複して当選状態に設定されている状態では、役毎に定められた優先順位に従って、所定の当選役が入賞するように、各リール20a~20cを停止させる。本実施形態の遊技機においては、当該優先順位は「リプレイ>小役>ボーナス」の順序で定められている。そして、遊技制御手段104は、優先順位の高い役の入賞形態を構成する図柄が、優先順位が低い役の入賞形態を構成する図柄に優先して有効ライン上に表示されるように、リール20a~20cを停止させる。
【0051】
本実施形態の遊技機では、内部抽選で複数種類の小役が当選した場合における停止位置の候補についての優先順位は、有効ライン上に表示可能な入賞形態を示す図柄組合せの数に応じて優先順位を求める場合と、小役について予め定められている配当に基づくメダルの払出数に応じて優先順位を求める場合とが存在する。有効ライン上に表示可能な図柄組合せの数に応じて停止位置の候補についての優先順位を求める場合には、有効ライン上に表示可能な入賞形態を示す図柄組合せの数が多くなる停止位置ほど優先順位が高くなるように各停止位置の候補についての優先順位を求める。メダルの払出数に応じて停止位置の候補についての優先順位を求める場合には、有効ライン上の表示位置に表示されている図柄に対応する小役の配当に基づくメダルの払出数が多くなる停止位置(配当が多い小役を入賞させることができる停止位置)ほど優先順位が高くなるように各停止位置の候補についての優先順位を求める。ただし、メダルの払出数に応じて停止位置の候補についての優先順位を求める場合に、配当が同一の小役が重複して当選した場合には、それぞれの小役を入賞させることができる停止位置の候補についての優先順位は、それぞれ同一のものとして扱われる。また、有効ライン上に表示可能な入賞形態を示す図柄組合せの数に応じて停止位置の候補についての優先度を求める場合に、有効ライン上に表示可能な入賞形態を示す図柄組合せの数が同数となる停止位置の候補についての優先度は、それぞれ同一のものとして扱われる。
【0052】
遊技制御手段104は、第1リール20a~第3リール20cの停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する入賞判定処理を行う。具体的には、第1リール20a~第3リール20cが停止することによって有効ライン上に表示(停止表示)された図柄組合せを、主記憶手段180のROMに記憶されている入賞判定テーブルに照合する。入賞判定テーブルには、各当選役のそれぞれの入賞形態(停止表示された場合に入賞となる図柄組合せ)が記憶されており、前述した照合により、入賞の有無や入賞した当選役の種類が判明する。遊技制御手段104は、当選役が入賞した場合、入賞した当選役に対応する入賞処理を実行する。入賞処理としては、具体的には、小役が入賞した場合には払出処理を行い、リプレイが入賞した場合にはリプレイ処理(再遊技処理)を行い、ボーナスが入賞した場合には遊技状態を移行させる処理(遊技状態移行制御処理)を行う。
【0053】
払出処理は、小役が入賞した場合に、役毎に定められている配当に基づいて決定された枚数のメダルを払い出す処理である。遊技制御手段104は、小役が入賞した場合に、役毎に定められている配当に基づいてメダルの払出数を決定し、決定された払出数に相当するメダルを、ホッパーユニット16に払い出させる。
【0054】
ホッパーユニット16は、遊技制御手段104によって指示された払出数のメダルを払い出す動作を行う装置である。ホッパーユニット16には、メダルを1枚払い出す毎に作動する払出センサ88が備えられており、遊技制御手段104は、払出センサ88からの入力信号に基づいてホッパーユニット16から実際に払い出されたメダルの数を管理することができるように構成されている。なお、本実施形態の遊技機では、各遊技においてメダルの払い出しが行われる場合には、メダルの払出数が第1メイン表示器90に表示されるようになっている。遊技制御手段104は、小役の入賞によってメダルが払い出される場合には、当該小役の入賞に伴うメダルの払出数を第1メイン表示器90に表示させる。
【0055】
なお、メダルのクレジット記憶(貯留記憶)が許可されている場合には、ホッパーユニット16によって実際にメダルの払い出しを行う代わりに、主記憶手段108に記憶されているクレジット数(クレジット記憶されたメダルの数)に対して払出数を加算するクレジット加算処理を行って仮想的にメダルを払い出す処理を行う。なお、メダルの払出数の一部または全部をクレジット数に加算する場合には、遊技制御手段104は、クレジット数の増加分に対応して第2メイン表示器92の表示内容を変化させる。
【0056】
リプレイ処理は、リプレイが入賞した場合に、次回の遊技に関して遊技者の所有するメダルの投入を要さずに前回の遊技と同じ遊技開始待機状態に設定する処理である。リプレイが入賞した場合には、前回の遊技(当該リプレイが入賞した遊技)において投入状態に設定された枚数と同じ枚数分のメダルを、遊技者の手持ちのメダル(クレジットされたメダルを含む)を使わずに自動的に投入する自動投入処理が行われ、自動投入処理によって投入されたメダルの数に対応する有効ラインを設定した状態で次回のスタートレバー53に対する遊技開始操作を待機する。また、自動投入処理が行なわれた場合、メダルを追加投入することはできないようになっている。
【0057】
また、遊技制御手段104は、リプレイが入賞した遊技の次回の遊技では、遊技者の所有するメダルを新たに投入状態に設定しないように制御する。具体的には、前回の遊技でリプレイが入賞した場合には、メダルの投入を受け付けている状態でメダル投入口42にメダルが投入されても投入されたメダルを投入状態に設定することなく、クレジット上限数(例えば50枚)を限度として、投入されたメダルをクレジットする。また、メダルの投入を受け付けている状態においてベットボタン56に対する操作を受け付けないようにし、ベットボタン56が押下されてもクレジットされたメダルを投入状態に設定しないようにする。
【0058】
また、遊技制御手段104は、通常状態、ボーナス成立状態およびボーナス状態の間で遊技状態を移行させる遊技状態移行制御処理を行う。本実施形態では、滞在している遊技状態を示す情報は、主記憶手段108に記憶される。遊技状態の移行条件は、1の条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の予め定められた条件のうち1の条件が成立したこと、あるいは複数の予め定められた条件の全てが成立したことに基づいて、遊技状態を別の遊技状態へ移行させることができる。
【0059】
通常状態は、複数種類の遊技状態の中で初期状態に相当する遊技状態で、通常状態からはボーナス成立状態への移行が可能となっている。具体的には、通常状態においてボーナスが当選した場合にボーナス成立状態へ移行する。また、通常状態では、主記憶手段108に記憶されている複数種類の内部抽選テーブルのうち、小役、リプレイおよびボーナスが抽選対象として設定されている内部抽選テーブルを参照して内部抽選が行われる。
【0060】
ボーナス成立状態は、内部抽選でボーナスに当選したことを契機として移行する遊技状態である。ボーナス成立状態では、主記憶手段108に記憶されている複数種類の内部抽選テーブルのうち、通常状態と同じ確率で小役の当否が決定され、ボーナスが抽選対象から除外された内部抽選テーブルを参照した内部抽選が行われる。なお、ボーナス成立状態においてもリプレイは抽選対象として設定されているが、通常状態とはリプレイの当選確率や当選態様が異なっていてもよいし、同じであってもよい。
【0061】
ボーナス成立状態では、ボーナスが入賞するまでボーナスに対応する抽選フラグが当選状態に維持されたまま小役およびリプレイの当否が決定され、ボーナスの入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されると、遊技制御手段104は、ボーナスの入賞に基づいて遊技状態をボーナス成立状態からボーナス状態へ移行させる。
【0062】
ボーナス状態は、ボーナスの入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されたことを契機として移行する遊技状態である。ボーナス状態では、主記憶手段108に記憶されている複数種類の内部抽選テーブルのうち、小役の当選確率が通常状態およびボーナス成立状態よりも高く設定され、リプレイが抽選対象から除外された内部抽選テーブルを参照した内部抽選が行われる。すなわち、ボーナス状態では、通常状態やボーナス成立状態よりも小役が頻繁に当選するようになっている点で、通常状態やボーナス成立状態よりも遊技者にとって有利な遊技状態となっている。
【0063】
ボーナス状態では、ボーナス状態でのボーナス遊技によって払い出されたメダルの合計数により終了条件が成立したか否かが判断され、予め定められた終了予定払出数(例えば250枚)を超えるメダルが払い出されると、遊技制御手段104は、ボーナス状態を終了させて、遊技状態を通常状態へ復帰させる。なお、本実施形態では、ボーナス状態における払出数についてのカウント情報は主記憶手段108に累計して記憶される。
【0064】
本実施形態では、主制御手段70から副制御手段72への情報の送信はシリアル通信によってコマンドを送信することによって実現されているが、主制御手段70から副制御手段72へ送信されるコマンドに含まれる情報としては、設定値、遊技状態、メダルの投入数や払出数、内部抽選の結果、各種スイッチ等の信号状態、リールの停止制御の内容、入賞判定の結果および発生したメインエラーに関するもの等がある。
【0065】
本実施形態では、メインエラーが発生した場合に、主制御手段70が、エラー検出フラグが設定されているエラー種別に対応するエラー発生コマンドや、設定変更ボタン26に対する解除操作が行われたことを示すエラー解除コマンドを、副制御手段72に送信する。また、主制御手段70は、ドア開閉スイッチ74の信号状態が変化した場合には、信号状態がOFF状態(前扉12が閉まっていることを示す信号状態)からON状態(前扉12が開いていることを示す信号状態)へ変化したことに基づいてドア開コマンドを副制御手段72に送信し、信号状態がON状態からOFF状態へ変化したことに基づいてドア閉コマンドを送信する。本実施形態では、前扉12が開放されていても、それ自体はメインエラーとしては取り扱わずに他のメインエラーが発生していなければメインループ処理は続行可能となっている。
【0066】
次に、副制御手段72について説明する。副制御手段72は、演出制御手段131および副記憶手段132等を備えている。
【0067】
演出制御手段131は、副記憶手段132に記憶されている演出データに基づいて、液晶ディスプレイ34を用いて行う演出や、スピーカ36を用いて行う演出や、照明装置38を用いて行う演出に関する制御を行う。例えば、メダルの投入、ベットボタン56、スタートレバー53およびストップボタン54a~54cに対する操作や、遊技状態の変動等の遊技イベントの発生に応じて照明装置38を点灯あるいは点滅させたり、液晶ディスプレイ34の表示内容を変化させたり、スピーカ36から音を出力させたりすることにより、遊技の進行状況に応じて、遊技を盛り上げたり、遊技を補助するための演出の実行制御を行う。
【0068】
遊技において実行される演出の内容は、遊技状態、演出状態および内部抽選の結果等に対応して主制御手段70から送信されるコマンドに応じて、副記憶手段132に記憶されている演出抽選テーブルを用いて決定される。本実施形態では、副記憶手段132のROMに記憶されている画像データを副記憶手段132に設けられたイメージバッファに読み込んで、イメージバッファに読み込まれた画像データに基づく画像が液晶ディスプレイ34に出力される。また、副記憶手段132のROMに記憶されているサウンドデータを副記憶手段132に設けられたサウンドバッファに読み込んで、サウンドバッファに読み込まれたサウンドデータに基づく音がスピーカ36から出力される。
【0069】
本実施形態では、副制御手段72から主制御手段70へは何らの情報も送信されないようになっており、サブエラーの発生が遊技制御手段104でのメインループ処理の進行に影響を与えることはなく、メインエラーが発生していなければサブエラーが発生している状況でも遊技制御手段104がメインループ処理を続行可能となっている。
【0070】
次に、遊技の進行を制御するメインループ処理について、
図4に示すフローチャートを用いて説明する。まず、遊技を行うために必要な数(規定枚数)のメダルの投入を受け付ける投入受付処理が行われ(ステップS100)、遊技開始条件として設定されている規定枚数(3枚)のメダルの投入を受け付けたか否かが判定される(ステップS101)。投入受付処理では、遊技者がメダル投入口42にメダルを投入したことに基づき投入されたメダルが投入状態に設定される。また、1ベットボタン56やMAXベットボタン56が押下されたことに基づき遊技機内にクレジットされたメダルが投入状態に設定される。また、前回の遊技でリプレイが入賞した場合には、前回の遊技で投入された枚数と同数のメダル(前回の遊技と同じ投入数のメダル)が自動的に投入状態に設定される。
【0071】
ステップS101において、規定枚数のメダルの投入を受け付けたと判定された場合(規定投入数のメダルが投入状態に設定されたと判定された場合)(ステップS101:YES)、スタートレバー53の操作が有効化される(ステップS102)。一方、ステップS101において、規定投入数のメダルの投入を受け付けていないと判定された場合(ステップS101:NO)、ステップS100に戻る。
【0072】
次いで、スタートレバー53が操作されたか否かが判定される(ステップS103)。ステップS103において、スタートレバー53が操作されたと判定された場合(ステップS103:YES)、内部抽選が行われる(ステップS104)とともに、第1リール20a~第3リール20cの回転が開始される(ステップS105)。一方、ステップS103において、スタートレバー53が操作されていないと判定された場合(ステップS103:NO)、ステップS103の処理が繰り返される。
【0073】
次いで、各リールの回転速度が所定速度以上となっているか否かが判定される(ステップS106)。ステップS106において、各リールの回転速度が所定速度以上となっていると判定された場合(ステップS106:YES)、ストップボタン54a~54cに対する操作が有効化される(ステップS107)。一方、ステップS106において、各リールの回転速度が所定速度以上となっていないと判定された場合(ステップS106:NO)、ステップS106の処理が繰り返される。
【0074】
次いで、所定のストップボタンが操作されたか否かが判定される(ステップS108)。ステップS108において、所定のストップボタンが操作されたと判定された場合(ステップS108:YES)、操作されたストップボタンに対応するリールの回転が停止され(ステップ109)、全てのリールが停止したか否かが判定される(ステップS110)。一方、ステップS108において、所定のストップボタンが操作されていないと判定された場合(ステップS108:NO)、ステップS108の処理が繰り返される。
【0075】
ステップS110において、全てのリールが停止していないと判定された場合(ステップS110:NO)、ステップS108に戻る。一方、ステップS110において、全てのリールが停止したと判定された場合(ステップS110:YES)、各リールの停止状態(停止態様)に基づき、内部抽選で当選した役に入賞したか否かが判定される(ステップS111)。ステップS111において、内部抽選で当選した役に入賞したと判定された場合(ステップS111:YES)、入賞した役に対応する処理(入賞処理)が実行され(ステップS112)、一連の処理(1遊技)が終了する。一方、ステップS111において、内部抽選で当選した役に入賞しなかったと判定された場合(あるいは内部抽選の結果がハズレ(不当選)であった場合)(ステップS111:NO)、各リール20a~20cが停止したことをもって一連の処理(1遊技)が終了する。
【0076】
本実施形態では、遊技が継続して行われていない(遊技機に対する所定の操作が入力されていない)時間を、副記憶手段132の監視タイマー(計時手段)が計測するようになっている。演出制御手段131は、遊技機の電源が投入されている間は監視タイマーを常に作動させており、所定の信号(主制御手段70からの信号等)が入力されると、作動中の監視タイマーの計測値を初期値「0」に初期化(リセット)して計時を再開(リスタート)する。演出制御手段131は、監視タイマーが所定時間(例えば60秒)を計時した場合に、所定時間にわたって遊技が継続して行われなかった(遊技機に対する所定の操作が入力されなかった)と判定する。
【0077】
(パワーセーブモード)
本実施形態では、所定の状態(後述する第1状態または第2状態)で所定時間にわたって遊技が継続して行われなかった場合(遊技機に対する所定の操作が入力されない状態が所定時間にわたって継続された場合)に、パワーセーブモード(低電力モード)へ移行させる。パワーセーブモードでは、演出装置の消費電力が抑制されるようになっている。演出装置としては、液晶ディスプレイ34、照明装置38およびスピーカ36等がある。
【0078】
以下、所定時間を60秒(1分)として説明するが、所定時間は60秒よりも長い時間であってもよく、60秒よりも短い時間であってもよい。
【0079】
本実施形態では、メダルが投入されていない状態(第1状態:メダル投入の受付が開始されてから(投入受付処理(
図4)が開始されてから)、メダルが投入される前の状態)(メダルの投入を受け付けている状態)で、所定時間(60秒)にわたって遊技機に対する所定の操作(メダル投入口42からのメダルの投入やベットボタン56の操作等)が行われなかった場合に、パワーセーブモード(第1パワーセーブモード)に移行させる。換言すると、第1状態において、遊技機に対する所定の操作が入力されずに所定時間が経過すると、第1パワーセーブモードへ移行する。パワーセーブモードに移行すると、演出装置を介して、非遊技中(遊技休止中)であることを報知する待機演出(遊技休止演出)が実行される。なお、本実施形態では、パワーセーブモードが複数用意されていて、パワーセーブモードの種類に応じた演出態様で待機演出が実行されるようになっている。
【0080】
(第1パワーセーブモード)
第1パワーセーブモードでは、第1待機演出(第1遊技休止演出)が実行される。第1待機演出が実行されると、
図5(a)に示すように、デモ演出画像(デモ画面)が液晶ディスプレイ34に表示される。また、照明装置38(ランプ、照明手段)がデモ演出パターンの点灯態様となる(点灯または点滅する)。また、デモ演出音に係る音響データが再生されるが、スピーカ36から出力される音の音量は「消音」に制御される。なお、消音とする場合、デモ演出音に係る音響データが再生されないように構成されていてもよい。
【0081】
本実施形態では、音量として、「0」(消音)、「1」(最小音量)、「2」、「3」、「4」、「5」(最大音量)の6段階の音量が設定可能となっており、「0」<「1」<「2」<「3」<「4」<「5」の順で音量が大きくなるように設定されている。初期状態では音量は「3」に設定されており、第1パワーセーブモードに移行すると、音量が「0」に設定される。
【0082】
本実施形態では、後述する特定状態(第2状態)において、所定時間(60秒)にわたって遊技機に対する所定の操作が行われなかった場合に、第2パワーセーブモードに移行させる。換言すると、第2状態において、遊技機に対する所定の操作が入力されずに所定時間が経過すると、第2パワーセーブモードへ移行する。本実施形態では、パワーセーブモードとして、第1パワーセーブモードと、第2パワーセーブモードとの2種類のモードが用意されている。
【0083】
特定状態(特定の遊技状況)には、特定の遊技状態、特定の演出状態(例えばAT演出状態:所定の役に当選した場合に、所定の役の入賞を補助する打順ナビ演出が実行される演出状態)、特定のステージに滞在している状態、特定の演出が発生している状態、状態の切り替わり時(移行時)、およびメダルが投入されている状態(メダル投入状態)のうちの少なくとも1つが含まれる。メダル投入状態は、メダル投入口42を介してメダルが投入された場合、有効化されているベットボタン56が操作された場合、またはリプレイの入賞に伴う自動投入処理によりメダルが自動投入された場合、に移行する状態である。
【0084】
(第2パワーセーブモード)
第2パワーセーブモードでは、第2待機演出(第2遊技休止演出)が実行される。第2待機演出が実行されると、
図5(b)に示すように、液晶ディスプレイ34では第2パワーセーブモードへの移行時(移行直前)に実行されていた演出画像の表示が維持される。また、照明装置38では第2パワーセーブモードへの移行時に実行されていた点灯態様(点灯または消灯)が維持される。また、スピーカ36では、第2パワーセーブモードへの移行時に実行されていた演出音に係る音響データの再生が継続され、第2パワーセーブモードへの移行時に出力されていた演出音が継続して出力されるが、スピーカ36から出力される音の音量が、低下(ボリュームダウン)するように制御される。具体的には、第2パワーセーブモードに移行すると、音量が「1」(最小音量)に設定される。なお、第2パワーセーブモードへの移行時(移行直前)に設定されていた音量よりも小さくなっていればよく、例えば、音量が「3」から「2」に変更されてもよい。
【0085】
なお、第1パワーセーブモードの方が、第2パワーセーブモードよりも音量が小さく設定されていればよく、第1パワーセーブモードにおいて音量が例えば「1」に設定されてもよい。本実施形態において、音量が小さくなる(音量が低下する)という場合、音量が小さくなる場合の他、音量が「0」に設定される場合(音が出力されなくなる場合)が含まれるものとする。
【0086】
本実施形態では、メダルが投入されていない状態(第1状態)で所定時間(60秒)にわたって所定の操作が行われなかった場合、遊技が開始されるまでの期間が比較的長いものとみなして、第1パワーセーブモードに移行させる。一方、特定状態(第2状態)において所定時間(60秒)にわたって所定の操作が行われなかった場合には、遊技が開始されるまでの期間が比較的短いものとみなして、第1パワーセーブモードよりも消費電力の抑制度合いが相対的に低い第2パワーセーブモードに移行させる。これにより、遊技が開始されるまでの期間が長期化し得る遊技状況では、短期間で遊技が開始される可能性が高い遊技状況よりも消費電力が抑制されるようになっており、遊技状況に応じて消費電力を適切に抑制することができる。また、本実施形態では、パワーセーブモードが第1パワーセーブモードとなっているか第2パワーセーブモードとなっているか、すなわち第1待機演出が実行されているか第2待機演出が実行されているかによって、遊技の状況(上述の第1状態であるか第2状態であるか)が報知されるようになっている。
【0087】
(パワーセーブモードの解除)
本実施形態では、パワーセーブモード(第1パワーセーブモードまたは第2パワーセーブモード)において、遊技機に対する所定の操作が行われた場合に、パワーセーブモードを解除(終了)し、通常モードに復帰させる。具体的には、演出制御手段131は、所定の信号(後述する)が入力された場合にパワーセーブモードを解除し、通常モードに復帰させる。また、演出制御手段131は、所定の信号が入力されると、パワーセーブモードを解除するとともに、監視タイマーの計測値を初期値「0」に初期化(リセット)して計時を再開(リスタート)する。
【0088】
所定の信号としては、主制御手段70から送信される信号の他、副制御手段72が受信する信号が含まれていてもよい。副制御手段72が受信する信号としては、演出ボタン57の操作に基づく信号がある。例えば、パワーセーブモードに移行すると演出ボタン57に対する操作が有効化され、演出ボタン57が操作されると、パワーセーブモードが解除されるようになっていてもよい。また、演出ボタン57の他に、副制御手段72が制御するボタン(音量調整ボタン等のサブ系の演出ボタン)が設けられていて、当該ボタンが操作されると、パワーセーブモードが解除されるようになっていてもよい。このように、パワーセーブモードにおいて、遊技を進行させるための操作(メダルの投入、ベットボタン56の操作、スタートレバー53の操作等)が行われた場合に限らず、遊技の進行に関わらないボタン(演出ボタン57等)の操作が行われた場合にも、パワーセーブモードが解除されるようになっていてもよい。
【0089】
また、精算ボタン52の操作に基づきパワーセーブモードが解除されるようになっていてもよい。また、前扉12(上扉30または下扉40)の開閉に基づきパワーセーブモードが解除されるようになっていてもよい。また、パワーセーブモードにおいて、メダル投入の有無に関わらず、ベットボタン56が操作された場合に、パワーセーブモードが解除されるようになっていてもよい。また、パワーセーブモードにおいて、メダルが投入されていない状態でのスタートレバー53の操作に基づいて、パワーセーブモードが解除されるようになっていてもよい。
【0090】
なお、演出制御手段131は、パワーセーブモードに移行させる場合に、移行時に(移行直前に)実行している演出に関する情報を副記憶手段132に記憶し、パワーセーブモードが解除されると、待機演出を終了させ、副記憶手段132に記憶されているデータに基づきパワーセーブモードへの移行時(移行直前)の状態に復帰させる復帰処理を行う。復帰処理では、例えば、スピーカ36から出力される音の音量を、パワーセーブモードへの移行時に設定されていた音量に復帰させる。なお、パワーセーブモードが解除されると、元の状態(遊技状態や演出状態)に応じた演出が実行される、とも言うことができる。
【0091】
図6(a)は、第1パワーセーブモードへの移行について説明するためのタイミングチャートである。遊技が開始されておらず、メダルの投入もされていない状態(第1状態)において、所定時間にわたって遊技機に対する所定の操作が入力されず、第1パワーセーブモードへ移行している。既述のとおり、第1パワーセーブモードでは、スピーカ36から出力される音の音量は消音(0)となる。第1パワーセーブモードにおいて、遊技機に対する所定の操作が入力されると(例えばメダルが投入されると)、第1パワーセーブモードが解除され、通常モードに復帰する。演出制御手段131は、主制御手段70から所定の信号(メダルが投入されたことを示す信号)が入力されると、第1パワーセーブモードを解除し、通常モードに復帰させる。このとき、スピーカ36から出力される音の音量は、第1パワーセーブモードへ移行する前(直前)に設定されていた音量と同じ音量となっている。
【0092】
図6(b)は、第2パワーセーブモードへの移行について説明するためのタイミングチャートである。ここでは特定状態(第2状態)を、メダル投入状態(メダルが投入されてから、スタートレバー53がONとされる前の状態)としている。メダル投入状態において、所定時間にわたって遊技機に対する所定の操作が入力されず、第2パワーセーブモードへ移行している。既述のとおり、第2パワーセーブモードでは、スピーカ36から出力される音の音量が低下する(ボリュームダウンする)。第2パワーセーブモードにおいて、遊技機に対する所定の操作が入力されると(例えばスタートレバー53がONとされると)、第2パワーセーブモードが解除され、通常モードに復帰する。演出制御手段131は、主制御手段70から所定の信号(スタートレバー53がONされたことを示す信号)が入力されると、第2パワーセーブモードを解除し、通常モードに復帰させる。このとき、スピーカ36から出力される音の音量は、第2パワーセーブモードへ移行する前(直前)に設定されていた音量と同じ音量となっている。
【0093】
ここで、遊技が開始されてない状態(遊技が開始されておらず、リールが回転していない状態)を、メダルが投入されていない状態と、メダル投入状態(メダルが投入されてから、スタートレバー53がONとされる前の状態)と、を含むものとする。本実施形態では、遊技が開始されていない状態で、遊技機に対する所定の操作が入力されずに所定時間が経過すると、パワーセーブモード(第1パワーセーブモードまたは第2パワーセーブモード)に移行するようになっている。
なお、メダル投入状態では、所定時間にわたって遊技機に対する所定の操作が入力されなかった場合であっても、パワーセーブモードに移行しないように構成されていてもよい。比較的短期間で遊技が開始される可能性が高いためである。
【0094】
スロットマシンでは、最後のストップボタンの操作(押下)の開放が検知されると、所定の演出(例えば遊技者にとって有利となる特典が付与されるか否かを報知する演出)が実行される場合がある。換言すると、最後のストップボタンの押下のOFFエッジが検知されると、それに基づき所定の演出が実行される場合がある。遊技者にとって有利となる特典としては、例えば、遊技者にとって有利な所定の状態(例えばAT演出状態)への移行がある。そのため、遊技者は、ドキドキ感をより長く味わうため、最後のストップボタンを押下したままの状態とし、すぐに押下を開放せず、所定時間にわたって押下を継続させる(押し続ける)場合がある。
【0095】
図6(a)において、第1状態の開始点を、メダルの受け付けが開始された時点としたが、仮に、第1状態の開始点を、前回遊技の最後のストップボタンの押下のONエッジが検知された時点(タイミング)、とした場合を考える。この場合、最後のストップボタンの押下(第3停止操作)を所定時間にわたって継続した場合に、「第1状態において、遊技機に対する所定の操作が入力されずに所定時間が経過する」という条件(第1パワーセーブモードへの移行条件)を満たしたと判定され、第1パワーセーブモードへ移行し得る。第1パワーセーブモードへ移行した場合、ストップボタンを押下し続けているにも関わらず、第1パワーセーブモードへ移行してスピーカ36から出力される音量が低下する(消音となる)ため、遊技者が違和感を抱く。
【0096】
本実施形態では、第1状態の開始点をメダルの受付が開始された時点とし、前回遊技の最後のストップボタンの押下のONエッジが検知された時点よりも後のタイミングとしている。このため、所定の遊技において最後のストップボタンの押下(第3停止操作のON状態)が所定時間にわたって継続された場合であっても、「第1状態において、遊技機に対する所定の操作が入力されずに所定時間が経過する」という条件を満たしたと判定されることがない。したがって、第1パワーセーブモードへ移行することはない。これにより、遊技者が違和感を抱くのを防ぐことができる。
【0097】
本実施形態では、有効化されたスタートレバー53がONとされ、リールの回転が開始されて、少なくとも1つのリールが回転している状態をリール回転状態(第3状態)という。本実施形態では、有効化されているストップボタンの押下のONエッジの検知に基づき、対応するリールの回転が停止するようになっている。リール回転状態(第3状態)は、最後のストップボタンの押下(第3停止操作)のONエッジが検知されると終了する(全てのリールの回転が停止すると終了する)ようになっている。
【0098】
(リール停止警告演出)
本実施形態では、リール回転状態(第3状態)において、所定時間(60秒)にわたって遊技機に対する所定の操作(後述する)が行われなかった場合(監視タイマーが所定時間(60秒)を計時した場合)、パワーセーブモードに移行させずにリール停止警告演出を実行させる。遊技機に対する所定の操作とは、ストップボタン(有効化されているストップボタン)に対する操作(回転中のリールに対応するストップボタンの操作)である。リール停止警告演出とは、リールの回転の停止を促す(指示する)演出である。リール停止警告演出が実行されると、例えば、所定の文字(「リールを停止してください」)を含む所定の表示(リール停止警告表示、リール回転中警告表示、指示表示)が、液晶ディスプレイ34(表示手段)に表示される。なお、リール停止警告演出が実行された場合に、リール停止警告表示に加えて、照明装置38(外周ランプ)(表示手段)が所定の点灯態様で点灯するように構成されていてもよい。表示手段は、発光(点灯)可能に形成されたランプ(照明装置)などであってもよい。液晶ディスプレイ34が設けられていない遊技機においてリール停止警告演出が実行されると、リールの回転の停止を促す演出(リール停止警告演出)が表示手段を介して実行され、表示手段が所定の点灯態様で点灯するようになっていてもよい。
【0099】
本実施形態では、所定の遊技において、スタートレバー53の操作を契機として所定の演出が実行され、遊技者に演出ボタン57の操作を促す表示(PUSH表示)が、液晶ディスプレイ34に表示される場合がある。このようなPUSH表示が表示された遊技であっても、リール回転状態(第3状態)において、所定時間(60秒)にわたって有効化されているストップボタンが操作されなかった場合には、リール停止警告演出が実行される。
【0100】
また、本実施形態では、所定の遊技において、スタートレバー53の操作の後、特定の時間の間、リール演出(リールロック演出)が実行される場合がある。リールロック演出としては、スタートレバー53の操作後、特定の時間の間、リール20a~20cが停止状態で維持されるものがある。このようなリールロック演出の実行中はリール回転状態であると判定されず(リール回転状態が開始されたと判定されず)、所定時間(60秒)にわたってストップボタンが操作されなかった場合でもリール停止警告演出が実行されることはない。この場合、リールロック演出が終了した時点からリール回転状態が開始され、そのリール回転状態において、所定時間にわたって有効化されているストップボタンが操作されなかった場合には、リール停止警告演出が実行される。
【0101】
(リール停止警告演出の終了)
本実施形態では、リール停止警告演出実行中に、遊技機に対する所定の操作、すなわちストップボタン(有効化されているストップボタン)に対する操作(回転中のリールに対応するストップボタンの操作)が行われた場合に、リール停止警告演出を終了させる。具体的には、演出制御手段131は、主制御手段70から、有効化されているストップボタンの押下のONエッジ(ON状態)が検知(検出)されたことを示す信号を受信すると、リール停止警告演出を終了させる。また、演出制御手段131は、有効化されているストップボタンの押下のONエッジが検知されたことを示す信号を受信すると、リール停止警告演出を終了させるとともに、監視タイマーの計測値を初期値「0」に初期化(リセット)して計時を再開(リスタート)する。
【0102】
なお、本実施形態では、リール停止警告演出実行中に、有効化されているストップボタンが操作された場合にリール停止警告演出が終了するようになっているが、次のように構成されていてもよい。リール停止警告演出実行中に、有効化されているか無効化されているかに関わらず(演出態様の変化が発生するか否かに関わらず)演出ボタン57が操作された場合に、リール停止警告演出が終了し(リール停止警告表示が非表示となり)、監視タイマーの計測値がリセットされるようになっていてもよい。
また、リール停止警告演出実行中に、ベットボタン56(すでに操作されて無効化されている)が操作された場合に、リール停止警告演出が終了し(リール停止警告表示が非表示となり)、監視タイマーの計測値がリセットされるようになっていてもよい。
また、副制御手段72によって制御される、演出の設定に関するボタン(十字キー、音量調整ボタン)(サブ系の演出ボタン)が設けられていて、リール停止警告演出実行中に、当該ボタンが操作された場合に、リール停止警告演出が終了し(監視タイマーの計測値がリセットされ)、演出に関する設定(例えば音量)が変更されるようになっていてもよい。
【0103】
なお、本実施形態では、リール停止警告演出実行中に、すでに操作されて無効化されたストップボタン(停止したリールに対応するストップボタン)が操作されてもリール停止警告演出は終了しないようになっている。また、リール停止警告演出実行中に、スタートレバー53が操作されてもリール停止警告演出は終了しないようになっている。
【0104】
図7は、リール停止警告演出の実行について説明するためのタイミングチャートである。
図7では、リール回転状態(第3状態)において、所定時間(1分)の間、有効化されているストップボタンがいずれも操作されず、リール停止警告演出が実行されている。そして、リール停止警告演出が実行されている状態において、有効化されているストップボタンが操作され(第1停止操作がされ)、リール停止警告演出が終了している。
【0105】
図示を省略するが、例えば、リールの回転が開始してから所定時間が経過する前にいずれか1つのストップボタンが操作され、その後(いずれか1つのリールの回転が停止した後)(第1停止操作に基づき監視タイマーの計時がリスタートされた後)、残り2つのストップボタンがいずれも操作されずに所定時間が経過した場合、リール停止警告演出が実行される。この場合、残り2つのうちのいずれかのストップボタンが操作されると(第2停止操作がされると)、リール停止警告演出が終了する。
【0106】
また、例えば、リールの回転が開始してから所定時間が経過する前に1つのストップボタンが操作され、その後、所定時間が経過する前に次の1つのストップボタンが操作され、その後、残り1つのストップボタンが操作されずに所定時間が経過した場合、リール停止警告演出が実行される。この場合、残り1つのストップボタンが操作されると(第3停止操作がされると)、リール停止警告演出が終了する。
【0107】
本実施形態では、上述のとおり、リール回転状態(第3状態)において、所定時間にわたって遊技機に対する所定の操作が行われなかった場合(有効化されているストップボタンの押下のONエッジが検知されなかった場合)、リール停止警告演出が実行される。換言すると、リール回転状態において、有効化されているストップボタンの押下のONエッジが検知されずに所定時間が経過すると、リール停止警告演出が実行される。
【0108】
ここで、仮に、リール回転状態(第3状態)が、最後のストップボタンの押下(第3停止操作)の開放(OFFエッジ)が検知されると終了する、となっている場合を考える。最後のストップボタンの押下を所定時間にわたり継続した場合(押しっ放しとした場合)に、その押下のONエッジの検知に基づき対応するリールの回転は停止する(監視タイマーの計測値はリセットされる)が、その押下のOFFエッジは検知されず、リール回転状態が終了していない(リール回転状態が続いている)と判定される。このため、最後のストップボタンの押下(第3停止操作)を所定時間にわたって継続した場合に、「リール回転状態において、有効化されているストップボタンの押下のONエッジが検知されずに所定時間が経過する」という条件(リール停止警告演出の実行条件)を満たしたと判定され、リール停止警告演出が実行され得る。リール停止警告演出が実行された場合、全てのリールの回転が停止しているにも関わらず、リール停止警告演出が実行されるため、遊技者が違和感を抱く。
【0109】
本実施形態によれば、最後のストップボタンの押下(第3停止操作のON状態)が所定時間にわたって継続された場合であっても、当該押下(第3停止操作)のONエッジの検知に基づきリール回転状態が終了したと判定されるため、「リール回転状態において、有効化されているストップボタンの押下のONエッジが検知されずに所定時間が経過する」という条件を満たしたと判定されることがない。つまり、リール停止警告演出が実行されない。したがって、全てのリールの回転が停止しているにも関わらずリール停止警告演出が開始(実行)されることがない。これにより、遊技者が違和感を抱くのを防ぐことができる。
【0110】
なお、所定の遊技で、有効化されたスタートレバー53がONとされ、リール回転状態となり、所定時間が経過する前に最初のストップボタンが押下され、当該押下が所定時間にわたり継続された場合には、「リール回転状態において、有効化されているストップボタンの押下のONエッジが検知されずに所定時間が経過する」という条件を満たしたと判定され、リール停止警告演出が実行される。
【0111】
また、所定の遊技で、有効化されたスタートレバー53がONとされ、リール回転状態となり、所定時間が経過する前に最初のストップボタンが押下・開放され、その後、所定時間が経過する前に2番目のストップボタンが押下され、当該押下が所定時間にわたり継続された場合には、「リール回転状態において、有効化されているストップボタンの押下のONエッジが検知されずに所定時間が経過する」という条件を満たしたと判定され、リール停止警告演出が実行される。
【0112】
本実施形態では、パワーセーブモードへの移行可否の判定に用いられる所定時間(第1所定時間)と、リール停止警告演出の実行可否の判定に用いられる所定時間(第2所定時間)とが、同じ60秒(1分)であるものとしたが、両者は同じ長さであってもよく、異なる長さであってもよい。
【0113】
本実施形態の遊技機は、
複数種類の図柄が配列された複数のリール(20a~20c)と、
前記複数のリールに対応して設けられ、前記リールの回転を停止させる操作に用いられるストップボタン(54a~54c)と、
遊技を開始させる操作に用いられるスタートレバー(53)と、
音出力手段(36)と、
表示手段(34)と、
演出に関する制御を行う制御手段(72)と、を備え、
遊技が開始されていない状態で、遊技機に対する所定の操作が入力されずに第1所定時間が経過した場合、前記音出力手段から出力される音の音量が低下するようになっており、
遊技が開始され、前記リールが回転している状態で、最後の前記ストップボタンが押下され、当該ストップボタンの押下が前記第1所定時間にわたって継続された場合、前記音出力手段から出力される音の音量が低下しないようになっており、
遊技が開始され、前記リールが回転している状態で、回転している前記リールに対応する前記ストップボタンが押下されずに第2所定時間が経過した場合、前記リールの回転の停止を促す演出が前記表示手段を介して実行されるようになっており、
遊技が開始され、前記リールが回転している状態で、最後の前記ストップボタンが押下され、当該ストップボタンの押下が前記第2所定時間にわたって継続された場合、前記リールの回転の停止を促す演出が前記表示手段を介して実行されないようになっている。
【0114】
遊技が開始されていない状態で、遊技機に対する所定の操作が入力されずに第1所定時間が経過した場合、前記音出力手段から出力される音の音量が低下するようになっており、遊技が開始され、前記リールが回転している状態で、最後の前記ストップボタンが押下され、当該ストップボタンの押下が前記第1所定時間にわたって継続された場合、前記音出力手段から出力される音の音量が低下しないようになっている。
このため、遊技者が、最後の前記ストップボタンの押下を前記第1所定時間にわたって継続した場合に、当該ストップボタンを押下しているにも関わらず音量が低下するという事象が発生することがない。これにより、遊技者が違和感を抱くのを防ぐことができる。
【0115】
また、遊技が開始され、前記リールが回転している状態で、回転している前記リールに対応する前記ストップボタンが押下されずに第2所定時間が経過した場合、前記リールの回転の停止を促す演出が前記表示手段を介して実行されるようになっており、
遊技が開始され、前記リールが回転している状態で、最後の前記ストップボタンが押下され、当該ストップボタンの押下が前記第2所定時間にわたって継続された場合、前記リールの回転の停止を促す演出が前記表示手段を介して実行されないようになっている。
このため、遊技者が、最後の前記ストップボタンの押下を前記第2所定時間にわたって継続した場合に、当該ストップボタンを押下しているにも関わらず前記リールの回転の停止を促す演出が実行されるという事象が発生することがない。これにより、遊技者が違和感を抱くのを防ぐことができる。
【0116】
(第2の実施の形態)
次に本発明の第2の実施の形態について説明する。
図8は、本実施形態に係る遊技機の正面図である。
図9は、本実施形態に係る遊技機の側面図である。
図10は、
図2のC1部の拡大図である。
図11は、
図2のC2部の拡大図である。
図12は、本実施形態に係る遊技機の背面斜視図である。
【0117】
スロットマシン1の外装の損傷防止構成について説明をする。スロットマシン1の外装は、前扉FD及び筐体BXによって構成されており、前扉FDが閉じた状態であっても、遊技機の輸送時や、ホールへの設置時などに障害物と接触し、損傷し得る。特に、作業者は筐体BXの側面に形成された把持部400(
図9参照)を掴んで抱え込むようにスロットマシン1を運搬する関係上、前扉FD及び筐体BXの角部については、障害物と接触する場合、その角部が接触する可能性が最も高く、また、応力集中し易い形状のため、傷が付き易いという問題があった。
【0118】
図8に示すように、前扉FDの外形部(外周部)は、上面(天面)FDu、下面(底面)FDb、及び左右の側面FDl,FDrによって形成されており、また、筐体BXの外形部(外周部)も同様に上面(天面)BXu、下面(底面)BXb、左右の側面BXl,BXr及び背面BXh(
図12参照)によって形成されている。
そして、本実施形態に係るスロットマシン1では、上記前扉FDの外形部は、筐体BXの外形部よりも小さく形成されており、筐体BXの外形部がスロットマシン1における最大外形となっている。即ち、本実施の形態では、前扉FDの上面FDu、下面FDb、及び左右の側面FDl,FDrは、それぞれ、筐体BXの上面BXu、下面BXb、及び左右の側面BXl,BXrよりも正面視で内側に位置するように形成されている。
【0119】
また、別の言い方をすれば、筐体BXの上面BXuの左右方向(遊技機の幅方向)の寸法は、前扉FDの上面FDuの左右方向の寸法よりも大きく、前扉FDの上面FDuが筐体BXの上面BXuの左右方向の寸法内に収まるように配置されているといえる。また、筐体BXの下面BXbの左右方向の寸法は、前扉FDの下面FDbの左右方向の寸法よりも大きく、前扉FDの下面FDbが筐体BXの下面BXbの左右方向の寸法内に収まるように配置されているといえる。また、筐体BXの左右の側面BXl,BXrの上下方向(遊技機の高さ方向)の寸法は、前扉FDの左右の側面FDl,FDrの上下方向の寸法よりも大きく、前扉FDの左右の側面FDl,FDrが筐体BXの左右の側面BXl,BXrの上下方向の寸法内に収まるように配置されているといえる。
【0120】
従って、前扉FDの四方の角部は、いずれも、筐体BXの対応する角部から外方に突出しないように構成されている。例えば、
図10は、
図9におけるC1部(前扉FDと筐体BXとの合わせ面S1における右上角部)の拡大図であり、(a)はC1部の側面拡大図、(b)はC1部の平面拡大図、(c)はC1部の正面拡大図である。
図10(a)及び(c)に示す通り、C1部においても前扉FDの上面FDuは、筐体BXの上面BXuよりも内側(下方)に位置している。このため、筐体BXの上面(筐体天面)BXuの前辺601は、前扉FDの上面(前扉天面)FDuの後辺701よりも上方に位置している。また、
図10(b)及び(c)に示すように、前扉FDの右側面FDrは、筐体BXの右側面BXrよりも内側(左方)に位置している。このため、筐体BXの右側面(筐体右側面)BXrの前辺602は、前扉FDの右側面(前扉右側面)FDrの後辺702よりも右方に位置している。
【0121】
そして、上記前扉FDの上面FDuと前扉FDの右側面FDrとが交わる辺700は、筐体BXの上面BXuと筐体BXの右側面BXrとが交わる辺600よりも内側に位置している。換言すると、筐体BXの上面BXuと筐体BXの右側面BXrとで形成された筐体BXの右上辺600は、上面FDuと右側面FDrとで形成された前扉FDの右上辺700よりも外方(本実施形態では、右上方)に位置している。つまり、上記2平面からなる辺を角部とした場合、前扉FDの角部700は、筐体BXの角部600から外方へと突出しないように構成されている。
【0122】
また、3辺の交わる頂点を角部として比べてみても、当然に、前扉FDの右上辺700の後方側の頂部(右上辺700と、上面FDuの後辺(上面FDuの後方側の左右の辺)701と、右側面FDrの後辺(右側面FDrの後方側の上下の辺)702と、が交わる頂部、以下、単に右後頂点もしくは前扉FDの右上後頂点ともいう)710は、筐体BXの右上辺600の前方側の頂部(右上辺600と、上面BXuの前辺(上面BXuの前方側の左右の辺)601と、右側面BXrの前辺(右側面BXrの前方側の上下の辺)602と、が交わる頂部、以下、単に右前頂点もしくは筐体BXの右上前頂点ともいう)610よりも内側に位置している。換言すると、右前頂点610は、右後頂点710よりも外方(本実施形態では、右上方)に位置している。つまり、前扉FDの角部710は、筐体BXの角部610から外方へと突出しないように構成されている。
【0123】
上述のような構成を取った場合、筐体BXの右上辺600がスロットマシン1の最大外形を構成する事となり、障害物と接触する可能性が高い部分となる。このため、本実施形態では、上記右上辺600を面取り形状としている。より具体的には、本実施の形態においては、右上辺600を形成する筐体BXの上面BXuと右側面BXrとの間の角度が鈍角となるように構成している。筐体BXの右上辺600は、このように面取りされた状態において、前扉FDの右後頂点710よりも外方(右上方)に位置している。また、筐体BXの右上前頂点610についても面取り(角落ち)されている。
【0124】
このように構成されているため、障害物に接触する場合、前扉FDの角部700(710)よりも先に筐体BXの右上辺(角部)600(610)が接触する事となり、例えば、種々の演出装置300が配置され、かつ、遊技者からも目が付きやすい前扉FDの外装に傷が付くことを防止することができる。加えて、筐体BXの角部600(610)は、面取りされているため、例え、筐体BXの角部600(610)が障害物と接触したとしても、直角の角部と比較して応力集中がし辛くなっており、傷が付きにくい。
【0125】
なお、上記筐体BXの右上辺600は、面取りされた面取り面によって形成されているため、外形形状的としては、筐体BXの右上面とも言うことができる。この右上面600は、詳しくは、
図10に示すように、上方側の上辺600uと下辺600lを備えている。本実施の形態において、この上辺600uは前扉FDの角部(右上辺700/右上頂点710)よりも上方かつ左方側に位置し、下辺600lは前扉FDの角部700(710)よりも上方かつ右方側に位置している。
【0126】
また、本実施の形態では、筐体BXの上面BXuの前辺601についても面取りされており、右上辺600と同様に面取り面を形成している。この面取り面601は、
図10(c)に示すように、上辺601uと下辺601lを備えており、鉛直方向において、下辺601lが、前扉上面FDuの後辺701(右後頂点710)よりも上方に位置するように形成されている。即ち、筐体上面BXuから前扉上面FDuの後辺701(右後頂点710)までの鉛直方向の寸法が、筐体上面BXuから面取り面601の下辺(前辺)601lよりも大きくなっている。そして、これにより、面取り面に起因して前扉FDと筐体BXとの間に余計な隙間が発生することが防止されている。面取り面(右上面600や面取り面601)について、
図10(a)に示す寸法M1および寸法M2(面取りの寸法)は、1mm以上~3mm以下となるようにしている。寸法M1は上下方向寸法、寸法M2は前後方向寸法である。
【0127】
本実施の形態では、スロットマシン1が並ぶ幅方向(左右方向)に比べて寸法制限の緩い上下方向への突出量を大きくしている。即ち、前扉FDの上面FDuから筐体BXの上面BXuが突出する突出量を、前扉FDの右側面FDrから筐体BXの右側面BXrが突出する突出量よりも大きくしている。そして、その結果として、上述した位置関係となったが、筐体BXの右上面600が前扉FDの角部700(710)よりも外方に位置する位置関係を保持していれば、上辺600u及び下辺600lと前扉FDの角部700(710)との位置関係は、これに限られない。例えば、上辺600uは前扉FDの角部700(710)よりも上方かつ右方側に位置し、下辺600lは前扉FDの角部700(710)よりも下方かつ右方側に位置するようにしても良い。
【0128】
なお、本実施形態では、前扉FDの角部700についても面取りされている。また、前扉FDの右上辺700(上面FDu)は、例えば、前方側から後方側に向かって下り傾斜するような抜き勾配を有していても良い。更に、右上辺700は、前扉FDの内、演出装置300等の前方側部分を構成する部分と、合わせ面S1を形成する後方側部分とによって形成されていても良く、上記傾斜は、右後頂点710を形成する後方側のみに形成されていても良い。また、本実施の形態では、前扉FDの右上辺700の全体が筐体BXの右上辺600から飛び出さないように構成されているが、少なくとも前扉FDの右後頂点710が筐体BXの右上辺600よりも内側に位置していれば良い。
【0129】
前扉FD(前面上扉UD及び前面下扉DD)は、それぞれの左方側に設けられたヒンジHNによって筐体BXに開閉自在に取り付けられており、筐体BXに対して右方側が開閉可能となっている。スロットマシン1の前扉FDは、ヒンジHNの公差や劣化等により、多少のがたつきを有している。また、筐体BXに対して前扉FDが閉じられた状態であっても筐体BXと前扉FDとの間にはクリアランスがある。このため、前扉FDが閉状態(閉鎖状態)にあっても、前扉FDは、所定方向(上下左右前後方向)にがたつきを有している。従って、ヒンジHNが設けられた側(本実施の形態では左方)よりも、ヒンジHNが設けられていない側(本実施の形態では右方)の方が、前扉FDの角部が外方へと突出し易い。しかしながら、本実施の形態では、右側上方の角部(
図10参照)のみならず、
図11に示すように、右側下方の角部においても、前扉FDの角部900(910)が筐体BXの角部800(810)よりも内側に位置し、前扉FDの角部900(910)が筐体BXの角部800(810)から突出しないようになっている。また、筐体BXの右下辺800及び右下前頂点810は、右上辺600及び右上前頂点610と同様に面取りされている。
【0130】
なお、前扉FDの辺900は、前扉FDの下面FDbと前扉FDの右側面FDrとが交わる右下辺であり、頂部910は、右下辺900と、下面FDbの後辺(下面FDbの後方側の左右の辺)と、右側面FDrの後辺(右側面FDrの後方側の上下の辺)と、が交わる右下後頂点である。また、筐体BXの辺800は、筐体BXの下面BXbと右側面BXrとが交わる右下辺であり、頂部810は、右下辺800と、下面BXbの前辺(下面BXbの前方側の左右の辺)と、右側面BXrの前辺(右側面BXrの前方側の上下の辺)と、が交わる右下前頂点である。
【0131】
これにより、前扉FDが上記がたつきにより閉状態にて傾いだ状態となったとしても、ヒンジHNとは反対側において前扉FDの角部710(700)/910(900)が面取りされた筐体BXの角部600/800から突出することを防止することができる。また、前扉FDに外力が加わっていない通常状態(がたついていない状態、第1状態)から、例えば、スロットマシン1を移動させる際に前扉FDが把持されることによって、クリアランスの範囲内で前扉FDががたついた状態(上記通常状態よりも外方に移動した状態、第2状態)となっても、筐体BXの角部600/800は、前扉FDの角部710(700)/910(900)よりも内側に位置するようになっている。
【0132】
更に、筐体BXは、上述した辺600,800以外にも、スロットマシン1の最外形を形成する角部として、
図12に示す、辺920~970を備えており、これらの辺についても傷つきやすいため、面取りして形成されている。また、同様に頂部610,810以外にも、頂部1010~1060についても、面取り(角落ち)して形成されている。例えば、筐体左側面BXlの前辺(不図示)は、前扉左側面FDlの後辺(不図示)よりも左方に位置しており、筐体BXの左上辺920は、面取りされていると共に、前扉FDの左上辺720の後方側の頂部730よりも外方に位置している。
【0133】
なお、前扉FDの頂部730は、前扉FDの上面FDuと前扉FDの左側面FDlとによって形成されており、より詳しくは、左上辺720と、上面FDuの後辺(上面FDuの後方側の左右の辺)740と、左側面FDlの後辺(左側面FDlの後方側の上下の辺、不図示)と、が交わる頂部(左後頂点、前扉FDの左上後頂点)である。筐体BXの左上辺は、筐体BXの上面BXuと左側面BXlとによって形成されている。辺930は筐体BXの左下辺であり、筐体BXの底面BXbと左側面BXlとによって形成されている(
図8参照)。辺940は筐体BXの上面BXuの後辺であり、筐体BXの上面BXuと背面BXhとによって形成されている。辺950は筐体BXの底面BXbの後辺であり、筐体BXの底面BXbと背面BXhとによって形成されている。辺960は筐体BXの右側面BXrの後辺であり、筐体BXの右側面BXrと背面BXhとによって形成されている。辺970は筐体BXの左側面BXlの後辺であり、筐体BXの左側面BXlと背面BXhとによって形成されている。
【0134】
また、頂部1010は、筐体BXの右上後頂点である。頂部1020は、筐体BXの右下後頂点である。頂部1030は、筐体BXの左上前頂点である。頂部1040は、筐体BXの左下前頂点である(
図8参照)。頂部1050は、筐体BXの左上後頂点である。頂部1060は、筐体BXの左下後頂点である。上述したように本実施形態に係るスロットマシン1では、前扉FDの角部及び筐体DXの角部が傷つきにくいように構成されている。このため、スロットマシン1をリユースする際になど、外装の傷が少ないため、円滑にスロットマシン1のリユースを図ることができる。
【0135】
なお、上述した実施の形態では、前扉FDの四方の角部の全てが対応する筐体BXの角部よりも内側となるように構成されているが、いずれかの前扉FDの角部が対応する筐体BXの角部よりも内側となっていれば良い。例えば、前扉FDの右方や上方の角部のみ対応する筐体BXの角部よりも内側となるように構成することもできる。また、前扉FDの角部は対応する筐体BXの角部よりも内側に位置することがより望ましいが、例えば、前扉FDの角部と筐体BXの角部とが正面視で重なる(同じ位置となる)ように構成しても良い。
【0136】
また同様に、スロットマシン1の最外形を形成する全ての筐体BXの角部を面取り形状とする必要はない。例えば、筐体BXの辺600,920,940,960,970及び頂部610,1010,1050のみを面取りするように構成しても良い。また、筐体BXの辺940のみを面取りするように構成しても良い。また、筐体BXの辺600,601(
図10参照),602(
図10参照),920,940,960,970,800,950のみを面取りするように構成しても良い。また、筐体BXの辺600,601(
図10参照),602(
図10参照),920,940,960,970のみを面取りするように構成しても良い。
【0137】
なお、上述した実施形態において「面取り」とは、所謂、角が斜めに削られた状態のC面取り及び角部の角を丸めるR面取りの両方を含むものとし、角部の角度とは、C面取りの場合、斜めに削られた面の角度を、R面取りの場合、角部のRの角度をいうものとする。更に、上述した実施形態において「面取り」とは、後加工としての面取り加工のみを意味するのでは無く、角部の角度が鈍角となった状態、そのものを指すものとする。即ち、例えば、上述した筐体BXのように、樹脂の一体成形品の場合、予め設計された角部のアールもしくは面の角度が鈍角となっていれば良い。また、筐体BXは、必ずしも一体成形品として制作される必要は無く、複数の部品によって箱形状を形成する組み立て式であってもよく、素材も、例えば、木製などであっても良い。
【0138】
図13は、本実施形態に係る筐体の変形例を示す斜視図である。
具体的には、
図13は、筐体を天板、底板及び左右の側板を組み付ける構成とした場合の変形例を示す図であり、変形例に係る筐体BX2の右上方部分を拡大した斜視図である。
図13に示すように、当該筐体BX2は、天板BXu2と右側板BXr2とが別体の部材によって形成されている。天板BXu2は、右上辺6002及び前上辺6012が面取りして構成されており、これら右上辺6002及び前上辺6012が、それぞれ筐体BX2の右上辺及び筐体BXの上面BXuの前辺を構成している。また、同様に、右側板BXr2の右前辺6022も面取りして形成されており、この右前辺6022が筐体BXの右側面の前辺を構成している。
【0139】
ここで、本実施形態において、上記右側板BXr2は、その前面BXr21が天板BXu2の前面BXu21よりも約1mm、前方に位置している。そして、右側板BXr2の右前辺6022は、筐体BX2の右側面BXr22の前辺を形成する右端Lの位置が天板BXu2の前面BXu21の位置と揃うように面取りされている。即ち、右側板BXr2の右前辺6022は、筐体BXの右側面BXr22との境界Lにおいて、その端部位置が天板BXu2の前面BXu21と右側面BXu22とが交差する角部6102の位置と揃うように面取りされている。つまり、右側板BXr2の右前辺6022は、面取りによって、その寸法が前面BXr21の位置から後方へ1mm少なくなくなるようになっている。そして、このように、右側板BXr2の右前辺6022の面取りの寸法を天板BXu2の前面BXu21に合せることによって、天板BXu2の下面の角6102が突出することを防止している。なお、
図11では、筐体BX2の右上部を例に取って説明をしたが、筐体BX2は、右上部に限らず、左上部、右下部、左下部も上述した右上部と同様の構成となっている。
【0140】
また、上述した実施の形態では、前扉FDと筐体BXの合わせ面S1は、側面視で上部よりも下部が前方となるように傾斜して構成し、前扉FDの開放時に前方側に倒れようとする力を緩和しているが、必ずしも合わせ面S1が傾斜している必要は無い。更に、上述した説明では、前扉FDは、上下に分割して構成されていたが、一体に構成されていても良い。更に、本発明は、パチンコ機のような遊技機に対して適用されても良い。加えて、上述した実施の形態に記載された発明は、どのように組み合わされても良い。
【0141】
本実施形態の遊技機は、
筐体と、
前記筐体に対して開閉可能に取り付けられた前扉と、を備え、
前記前扉は、閉じられた状態で前記筐体に対してがたつきを有し、
筐体天面の前辺は、前扉天面の後辺よりも上方に位置しており、
筐体右側面の前辺は、前扉右側面の後辺よりも右方に位置しており、
筐体左側面の前辺は、前扉左側面の後辺よりも左方に位置しており、
前記筐体天面と前記筐体右側面とで形成された右上辺は、面取りされており、
前記筐体天面と前記筐体左側面とで形成された左上辺は、面取りされており、
前記筐体に対して前記前扉ががたついていない状態において、
前記右上辺は、前記前扉天面と前記前扉右側面とで形成された右後頂点よりも外方に位置し、
前記左上辺は、前記前扉天面と前記前扉左側面とで形成された左後頂点よりも外方に位置し、
前記筐体に対して前記前扉ががたついた状態であっても、
前記右上辺は、前記右後頂点よりも外方に位置している。
このため、外装が損傷し辛い遊技機を提供することができる。
【0142】
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。例えば、スロットマシンの構成等は前述した実施の形態のそれに限定されない。また、前述した構成等は、スロットマシンに限らず、パチンコ遊技機やメダルレス遊技機等の他の遊技機にも適用できる。本発明は、遊技機に適用でき、遊技機には、スロットマシン、パチンコ遊技機、メダルレス遊技機等が含まれる。
【0143】
なお、本発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0144】
20a,20b,20c リール(複数のリール)
34 液晶ディスプレイ(表示手段)
36 スピーカ(音出力手段)
53 スタートレバー
54a,54b,54c ストップボタン
72 副制御手段(制御手段)
600 筐体の右上辺
601 筐体天面の前辺
602 筐体右側面の前辺
701 前扉天面の後辺
702 前扉右側面の後辺
710 前扉の右後頂点
730 前扉の左後頂点
920 筐体の左上辺
BX 筐体
BXu 筐体天面
BXr 筐体右側面
BXl 筐体左側面
FD 前扉
FDu 前扉天面
FDr 前扉右側面