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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-05
(45)【発行日】2024-02-14
(54)【発明の名称】情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 40/00 20180101AFI20240206BHJP
【FI】
G16H40/00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022057278
(22)【出願日】2022-03-30
(65)【公開番号】P2023148971
(43)【公開日】2023-10-13
【審査請求日】2022-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】522128549
【氏名又は名称】三栄通信工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】手塚 通広
【審査官】森田 充功
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-149577(JP,A)
【文献】特開2020-177447(JP,A)
【文献】国際公開第2019/216044(WO,A1)
【文献】特開2005-115838(JP,A)
【文献】特開2017-033056(JP,A)
【文献】国際公開第2020/003758(WO,A1)
【文献】特開2014-217590(JP,A)
【文献】特開2020-178263(JP,A)
【文献】特開2002-109664(JP,A)
【文献】特開平08-066434(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 40/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者用端末からの要望を受け付ける要望受付部と、
前記要望受付部が受け付けた前記要望を看護師用端末に送信する送信部と、
前記看護師用端末からの前記要望の受任を受け付ける受任部と、
看護師のストレス状態に関する情報を取得する取得部と、
前記要望受付部が受け付けた前記要望の統計をとる統計部と、を備え、
前記統計は、各看護師の対応した前記要望の数、前記要望の受け付けから受け付け受任までの時間、又は前記要望の受け付けから要望の完了までの時間を含み、
前記取得部から前記要望に対応した際の看護師のストレス状態を測定し、前記要望毎の負荷の統計を取る情報処理装置。
【請求項2】
前記要望は、前記患者用端末の表示部に、予め定められたカテゴリーに分類して表示される請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記要望受付部により受け付けた前記要望は、当該要望毎に予め定められた看護師の前記看護師用端末に送信する請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記受任部は、前記要望受付部による前記要望の受け付けから予め定められた時間が経過しても前記受任を受け付けない場合は、予め定められた看護師用端末に報知する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記受任部は、前記要望を受け付けた患者用端末に受任を返信する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記受任部は、前記看護師用端末から前記要望の完了を受け付ける請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記送信部は、
前記ストレス状態が、ストレスが高い状態である場合に、当該ストレスが高い看護師の前記看護師用端末に前記要望を送信しない請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
コンピュータを、
患者用端末からの要望を受け付ける要望受付部と、
前記要望受付部が受け付けた前記要望を看護師用端末に送信する送信部と、
前記看護師用端末からの前記要望の受任を受け付ける受任部と、
看護師のストレス状態に関する情報を取得する取得部と、
前記要望受付部が受け付けた前記要望の統計をとる統計部と、
して機能させ、
前記統計は、各看護師の対応した前記要望の数、前記要望の受け付けから受け付け受任までの時間、又は前記要望の受け付けから要望の完了までの時間を含み、
前記取得部から前記要望に対応した際の看護師のストレス状態を測定し、前記要望毎の負荷の統計を取る処理を実行するプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ナースコール子機操作により患者からの呼び出しが発生したら、ナースコール親機又は看護師が携行する携帯端末で応答することで対応し、その後応答した看護師、或いは担当看護師が病室に赴き対応していた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-224321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ナースコールに対応して病室に行ってから患者の要望を聞くことは看護師の負担が大きいという問題がある。一方、音声通話を使用したシステムでは、特に大部屋に入院中の患者にとって、他の入院患者を気にしてコミュニケーションを取りづらいという問題がある。
また、病院にとっても、ナースコールに対応する看護師の負担が分かり難い、という問題がある。
【0005】
そこで、本願発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、患者と看護師とのコミュニケーションを取りやすくすると共に、統計を利用することで、患者、看護師及び病院の三者にメリットを享受させることが可能な情報処理装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様の情報処理装置は、患者用端末からの要望を受け付ける要望受付部と、前記要望受付部が受け付けた前記要望を看護師用端末に送信する送信部と、前記看護師用端末からの前記要望の受任を受け付ける受任部と、前記要望受付部が受け付けた前記要望の統計をとる統計部と、を備える。
【0007】
第1の態様の情報処理装置によれば、患者と看護師とのコミュニケーションを取りやすくすると共に、統計を利用することで、患者、看護師及び病院の三者にメリットを享受させることが可能な情報処理装置を提供することができる。
【0008】
また、第2の態様の情報処理装置は、前記要望は、前記患者用端末の表示部に、予め定められたカテゴリーに分類して表示される。
【0009】
第2の態様の情報処理装置によれば、カテゴリーに分類して表示することで患者が要望を選択し易くすることができる。
【0010】
また、第3の態様の情報処理装置は、前記要望受付部により受け付けた前記要望は、当該要望毎に予め定められた看護師の前記看護師用端末に送信する。
【0011】
第3の態様の情報処理装置によれば、看護師にとっては業務分担以外の不慣れな業務をすることがなくなり、又、患者にとっても不慣れな看護師に担当されることを防止することが可能となる。
【0012】
また、第4の態様の情報処理装置は、前記受任部は、前記要望受付部による前記要望の受け付けから予め定められた時間が経過しても前記受任を受け付けない場合は、予め定められた看護師用端末に報知する。
【0013】
第4の態様の情報処理装置によれば、要望の対応漏れを防ぐことができ、患者の満足度を向上させることができる。
【0014】
また、第5の態様の情報処理装置は、前記受任部は、前記要望を受け付けた患者用端末に受任を返信する。
【0015】
第5の態様の情報処理装置によれば、患者は、要望が受け付けられたことを確認することができ、安心することができる。
【0016】
また、第6の態様の情報処理装置は、前記統計は、時間帯毎の受け付けた前記要望の数、各看護師の対応した前記要望の数、前記要望の受け付けから受け付け受任までの時間、又は前記要望の受け付けから要望の完了までの時間を含む。
【0017】
第6の態様の情報処理装置によれば、要望と時間とが関係する統計を利用して、患者、看護師及び病院の三者にメリットを享受させることが可能である。
【0018】
また、第7の態様の情報処理装置は、看護師のストレス状態に関する情報を取得する取得部を備え、前記送信部は、前記ストレス状態が、ストレスが高い状態である場合に、当該ストレスが高い看護師の前記看護師用端末に前記要望を送信しない。
【0019】
第7の態様の情報処理装置によれば、ストレスが高い状態では、適切な対応が困難であることから、医療ミスや患者へ不快感を与えることを防止することが可能である。
【0020】
また、第8の態様の情報処理装置は、前記統計部は、前記取得部から前記要望に対応した際の看護師のストレス状態を測定し、要望毎の負荷の統計を取る。
【0021】
第8の態様の情報処理装置によれば、要望毎の看護師に与える負荷の統計を取ることで、看護師の業務分担の見直しなどによる負担の平準化を図ることなどが可能となる。
【0022】
また、第9の態様のプログラムは、コンピュータを、患者用端末からの要望を受け付ける要望受付部と、前記要望受付部が受け付けた前記要望を看護師用端末に送信する送信部と、前記看護師用端末からの前記要望の受任を受け付ける受任部と、前記要望受付部が受け付けた前記要望の統計をとる統計部と、して機能させる。
【0023】
第9の態様のプログラムによれば、患者と看護師とのコミュニケーションを取りやすくすると共に、統計を利用することで、患者、看護師及び病院の三者にメリットを享受させることが可能な情報処理装置のプログラムを提供することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、患者と看護師とのコミュニケーションを取りやすくすると共に、統計を利用することで、患者、看護師及び病院の三者にメリットを享受させることが可能な情報処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施の形態に係る情報処理システムの概略構成図である。
図2】本発明の実施の形態に係る情報処理装置の概略ブロック図である。
図3】本発明の実施の形態に係る患者用端末の概略ブロック図である。
図4】本発明の実施の形態に係る情報処理装置の機能構成の例を示すブロック図である。
図5】本発明の実施の形態に係る患者用端末の表示部に表示される要望の一例を説明するための説明図である。
図6】本発明の実施の形態に係る看護師用端末の表示部に表示される要望の一例を説明するための説明図である。
図7】本発明の実施の形態に係る統計として時間帯毎に受け付けた要望の数の一例を示す図である。
図8】本発明の実施の形態に係る統計として各看護師の対応した要望の数の一例を示す図である。
図9】本発明の実施の形態に係る統計として要望の受け付けから受け付け受任までの時間、及び要望の受け付けから要望の完了までの時間の一例を示す図である。
図10】本発明の実施の形態に係る要望処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一または等価な構成要素および部分には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0027】
図1を用いて、本実施の形態に係る情報処理システム10の一例を説明する。
図1は、本実施の形態に係る情報処理システム10の概略構成の一例を示す図である。
図1に示すように、本実施の形態に係る情報処理システム10は、ネットワークNに接続されるサーバ装置100と、病院に入院中の患者が使用し、ネットワークNと接続される患者用端末200と、病院の看護師が使用し、ネットワークNと接続される看護師用端末300とを備えている。このネットワークNには、例えば、LAN(=Local Area Network)、WAN(=Wide Area Network)、インターネット等が適用される。ここで、本実施形態では、サーバ装置100は、情報処理装置の一例である。また、患者用端末200と、看護師用端末300とは、複数台備えている。
【0028】
患者用端末200は、病院に入院中の患者が看護師に要望を伝える際に使用する装置であり、本実施の形態では、スマートフォン型やタブレット型の端末装置である。患者用端末200は、使用する患者を識別する情報、例えば、ユーザNo.などが記憶されており、後述する要望をサーバ装置100に送信する際に、患者を識別する情報も送信される。また、患者用端末200に使用する患者を識別する情報を記憶する場合に限定されず、患者用端末200からサーバ装置100に患者を識別する情報を使用してログインしてから要望を送信するようにしてもよい。これにより、サーバ装置100では、受信した要望が、どの患者から送信されてきた要望であるかを判別可能となっている。また、患者用端末200は、病院が患者に支給する装置ではなく、患者が所有するスマートフォンなどであってもよい。
【0029】
看護師用端末300は、病院で勤務中の看護師が使用する装置であり、本実施の形態では、スマートフォン型やタブレット型の端末装置である。看護師用端末300は、使用する看護師を識別する情報、例えば、ユーザNo.などが記憶されており、サーバ装置100では、看護師用端末300毎に、どの看護師が使用している看護師用端末300であるかを判別可能となっている。
【0030】
(サーバ装置100)
図2は、本実施の形態に係るサーバ装置100のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0031】
図2に示すように、本実施の形態に係るサーバ装置100は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、記憶部104、及び通信インタフェース105、を備えている。各構成は、バス106を介して相互に通信可能に接続されている。
【0032】
CPU101は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU101は、ROM102又は記憶部104からプログラムを読み出し、RAM103を作業領域としてプログラムを実行する。CPU101は、ROM102又は記憶部104に記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御及び各種の演算処理を行う。本実施形態では、ROM102又は記憶部104には、プログラムが格納されている。
【0033】
ROM102は、各種プログラム及び各種データを格納する。RAM103は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。記憶部104は、HDD(Hard Disk Drive)、又はSSD(Solid State Drive)により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データを格納する。
【0034】
ここで、本実施の形態における記憶部104に記憶される情報としては、例えば、登録された要望、勤務している看護師の情報、後述する統計、などがある。また、患者を識別する情報に紐づいた患者のデータ、例えば、病室、氏名などが記憶される。なお、要望は、記憶部104に記憶される場合に限定されず、後述する患者用端末200の記憶部204に記憶されており、患者用端末200から患者により選択された要望が送信されてきてもよい。
【0035】
通信インタフェース105は、ネットワークNに接続されており、サーバ装置100を患者用端末200や、看護師用端末300などの他の機器と通信を行う。
【0036】
図3は、患者用端末200及び看護師用端末300のハードウェア構成を示すブロック図である。患者用端末200及び看護師用端末300は、基本的には一般的なコンピュータ構成であるため、患者用端末200を代表して説明する。
【0037】
図3に示すように、本実施の形態に係る患者用端末200は、CPU201、ROM202、RAM203、記憶部204、入力部205、表示部206及び通信インタフェース207、を備えている。各構成は、バス208を介して相互に通信可能に接続されている。
【0038】
CPU201は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU201は、ROM202又は記憶部204からプログラムを読み出し、RAM203を作業領域としてプログラムを実行する。CPU201は、ROM202又は記憶部204に記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御及び各種の演算処理を行う。本実施形態では、ROM202又は記憶部204には、プログラムが格納されている。
【0039】
ROM202は、各種プログラム及び各種データを格納する。RAM203は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。記憶部204は、HDD、又はSSDにより構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データを格納する。
【0040】
入力部205は、マウス等のポインティングデバイス、およびキーボードを含み、各種の入力を行うために使用される。入力部205は、後述するように、要望の選択などに使用される。また、本実施形態では、タッチパネル方式の表示部206が入力部205として機能している。
【0041】
表示部206は、例えば、液晶ディスプレイである。表示部206は、CPU201の制御に基づき各種の情報を表示する。また、表示部206は、タッチパネル方式を採用して、入力部205としても機能する。
【0042】
通信インタフェース207は、ネットワークNに接続されており、患者用端末200をサーバ装置100や、看護師用端末300などの他の機器と通信を行う。
【0043】
上記のプログラムを実行する際に、サーバ装置100は、上記のハードウェア資源を用いて、各種の機能を実現する。
【0044】
次に、サーバ装置100が実現する機能構成について説明する。
図4は、サーバ装置100のCPU101の機能構成の例を示すブロック図である。
【0045】
図4に示すように、サーバ装置100は、機能構成として、要望受付部110、送信部111、受任部112及び統計部113を有する。各機能構成は、CPU101がROM102又は記憶部104に記憶されたプログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0046】
(要望受付部110)
要望受付部110は、患者用端末200からの要望を受け付ける。すなわち、図5に示すように、記憶部104に記憶されている要望を患者用端末200の表示部206に一覧表示し、患者による要望の選択を受け付ける。
【0047】
図5を用いて、患者用端末200の表示部206に表示される要望について説明する。
図5に示すように、要望は、予め定められたカテゴリーCに分類して表示される。本例では、カテゴリーCは、「点滴について」、「お薬のこと」、「お食事のこと」、「お水・お湯」、「おトイレのこと」、「シャワー・洗濯」、「空調について」、「その他ご質問」がある。そして、例えば、「お水・お湯」のカテゴリーCには、「お水の追加」、「お湯の追加」の要望が含まれている。また、「空調について」のカテゴリーCには、「寒いです」、「暑いです」の要望が含まれている。患者は、指で所望の要望の領域Rをタッチすることで、要望の選択が可能である。特に高齢者や入院中の患者は複雑な操作がし辛い場合もあり、容易に要望を選択可能としている。また、声を出して会話する必要がないため、特に大部屋に入院中に同室の患者に気兼ねすることなく看護師に連絡を取ることができる。かかる選択された要望は、要望受付部110が受け付けて、後述する図9に示すように、受け付けた時間(受付時間)と共に、記憶部104に記憶される。
【0048】
また、各カテゴリーCには、カテゴリーCの内容や要望の内容を示す画像Gが表示されており、カテゴリーや要望の内容を分かりやすくしている。
【0049】
また、表示される要望以外の要望をする場合は、「その他ご質問」を選択し、テキストを入力することが可能である。また、情報処理システム10の管理者などにより、適宜要望の変更や追加を可能としている。
【0050】
(送信部111)
送信部111は、要望受付部110が受け付けた要望を看護師用端末300に送信する。すなわち、要望受付部110が「お水の追加」の要望を受け付けた場合は、看護師用端末300に、要望を送信した患者用端末200の使用者である患者のデータと共に、「お水の追加」の要望を看護師用端末300に送信する。ここで、患者のデータは、患者用端末200を使用する患者を識別する情報から算出される患者の氏名や、入院している病室などである。また、要望が送信される看護師用端末300は、当該要望を送信した患者毎に予め定められた範囲の看護師の看護師用端末300に送信することが望ましい。すなわち、患者毎に担当する看護師が予め定められている場合や、病室や病棟、診療科毎に担当する看護師が異なる場合など、全員の看護師用端末300に送信すると、関係のない患者からの要望を受信することになり、看護師の業務を邪魔することになりかねないためである。
【0051】
要望を受信した看護師用端末300では、図6に示すように、要望を送信した患者のデータとして「A201号室 ○○ ○○様より」の情報と、「お水の追加」の要望とが、表示部306に表示される。看護師が、かかる要望を受任する場合は、受任ボタン310を操作する。かかる受任ボタン310の操作がされると、看護師用端末300からサーバ装置100に、要望の受任が送信される。かかる要望の受任を受け付けた場合は、後述する図9に示すように、受任した看護師のデータと送信した時間(受任時間)とが、記憶部104に記憶される。
【0052】
また、要望受付部110により受け付けた要望は、当該要望毎に予め定められた看護師の看護師用端末300に送信するようにしてもよい。すなわち、要望毎に担当する看護師が予め定められている場合は、当該看護師に送信するようにしてもよい。看護師にとっては、看護師毎に専門分野や経験の差があり、業務分担以外の不慣れな業務をすることがなくなり、又、患者にとっても不慣れな看護師に担当されることを防止することが可能となる。
【0053】
(受任部112)
受任部112は、看護師用端末300からの要望の受任を受け付ける。すなわち、上述したように、看護師が、看護師用端末300から受任ボタン310を操作した場合に、当該受任と、受任ボタン310が操作された看護師用端末300の使用者である看護師を識別する情報を受け付ける。
【0054】
また、受任部112は、要望受付部110による要望の受け付けから予め定められた時間が経過しても受任を受け付けない場合は、予め定められた看護師用端末300に報知する。すなわち、要望を受け付けてから時間が経過した場合でも、どの看護師も受任ボタン310が操作されない場合は、予め定められた看護師が所持する看護師用端末300に、時間が経過している旨が報知される。ここで、報知は、看護師用端末300に時間が経過している旨示すメッセージが送信されて看護師用端末300の表示部306に表示されることや、看護師用端末300のアラームが鳴ること、などを含む。これにより、病院は、要望の対応漏れを防ぐことができ、患者の満足度を向上させることができる。
【0055】
なお、報知は、送信部111が要望を送信した全ての看護師用端末300に再送してもよい。この場合は、再送である旨を表示部306に表示することが望ましい。また、予め定められた看護師用端末300以外の他の装置にかかる報知をしてもよい。
【0056】
また、受任部112は、要望を受け付けた患者用端末200に受任を返信する。すなわち、看護師用端末300から要望を受任した旨を受け付けた場合は、要望を送信してきた患者用端末200に、要望が受任された旨を返信する。かかる返信を受信した患者用端末200では、例えば、表示部206に「要望を受け付けました」などのメッセージを表示することなどにより、患者に要望が受け付けられたことを報知する。これにより、要望を送信した患者は、要望が受け付けられ、看護師がしかるべく対応をしてくれることが分かる。
【0057】
また、受任部112は、看護師用端末300からの要望の対応の完了を受け付ける。すなわち、要望の対応が完了した場合は、看護師は看護師用端末300を用いて、対応を完了した旨をサーバ装置100に送信するようにされている。かかる要望の完了を受け付けた場合は、後述する図9に示すように、看護師用端末300から要望の対応の完了を受け付けた時間(完了時間)が、記憶部104に記憶される。
【0058】
(統計部113)
統計部113は、要望受付部110が受け付けた要望の統計をとる。
統計は、時間帯毎の受け付けた要望の数、各看護師の対応した要望の数、要望の受け付けから受任までの時間、又は要望の受け付けから要望の完了までの時間を含む。
【0059】
図7は、時間帯毎の受け付けた要望の数の一例を示す図である。具体的には、時間帯と要望受付部110が受け付けた要望の数とが対応付けて記憶されている。これにより、病院は、要望が多い時間帯や少ない時間帯を把握することができ、看護師の人員配置などの参考にすることができる。なお、時間帯は、図7に示すものに限定されず、例えば、病院毎や曜日毎、季節毎などに変動することができるようにしてもよい。
【0060】
図8は、各看護師の対応した要望の数の一例を示す図である。具体的には、看護師と受任部112が受け付けた受任の数とが対応付けて記憶されている。これにより、病院は、人事評価の適正化を図ることなどができる。また、看護師の負担が分かり、看護師のオーバーワークなどによる医療ミスなどを防ぐことができる。
【0061】
図9は、要望の受付から受付受任までの時間や要望の受付から要望の完了までの時間の一例を示す図である。具体的には、要望受付部110が受け付けた要望と、受付時間、受任時間、完了時間が記憶されている。これにより、病院は、要望の受け付けから受任までの時間や要望の受け付けから完了までの時間から、要望毎の手間や、看護師の繁忙時間などを把握することができ、看護師の人員配置などの参考にすることができる。
【0062】
なお、統計は、図7図9に示すものに限定されず、他のデータの統計、例えば、患者からの看護師の対応の満足度などのアンケートの結果など、をとってもよい。
【0063】
次に、図10を用いてサーバ装置100の作用について説明する。図10は、サーバ装置100による要望処理の流れの一例を示すフローチャートである。CPU101がROM102又は記憶部104からプログラムを読み出して、展開して実行することにより、当該処理が行なわれる。
【0064】
ステップS100において、サーバ装置100のCPU101(要望受付部110)により、患者用端末200から要望を受け付ける。そして、次のステップS101に進む。
【0065】
ステップS101において、ステップS100で要望を受け付けた時間を記憶する(図7及び図9参照)。そして、次のステップS102に進む。
【0066】
ステップS102において、サーバ装置100のCPU101により、時間計測が開始される。そして、次のステップS103に進む。
【0067】
ステップS103において、サーバ装置100のCPU101(送信部111)により、ステップS100で受け付けた要望を看護師用端末300に送信する。そして、次のステップS104に進む。
【0068】
ステップS104において、サーバ装置100のCPU101(受任部112)により、看護師用端末300からの要望の受任を受け付けたか否かが判定される。要望の受任を受け付けたと判定された場合は、次のステップS105に進む。
【0069】
ステップS105において、サーバ装置100のCPU101(統計部113)により、ステップS102で計測が開始され、ステップS104で受任を受け付けるまでの時間と、ステップS104で受任した看護師の情報を記憶する(図8及び図9参照)。そして、次のステップS106に進む。
【0070】
ステップS106において、サーバ装置100のCPU101(受任部112)により、要望を受け付けた患者用端末200に受任を返信する。そして、次のステップS107に進む。
【0071】
ステップS107において、サーバ装置100のCPU101(受任部112)により、看護師用端末300から要望の対応の完了を受け付けたか否かが判定される。すなわち、要望の対応が完了した場合は、図示しないが、看護師は看護師用端末300を用いて、対応を完了した旨をサーバ装置100に送信するようにされている。かかる対応を完了した旨を受け付けたか否かが判定される。対応を完了したと判定された場合は、次のステップS108に進む。一方、対応を完了したと判定されない場合は、再度ステップS107を繰り返す。
【0072】
ステップS108において、サーバ装置100のCPU101(統計部113)により、ステップS102で計測が開始され、ステップS107で対応完了までの時間を記憶する(図9参照)。そして、処理を終了する。
【0073】
上述したステップS104において、要望の受任を受け付けたと判定されない場合は、ステップS110に進む。
【0074】
ステップS110において、サーバ装置100のCPU101(受任部112)により、ステップS102で計測が開始された時間が予め定められた時間となったか否かが判定される。予め定められた時間となったと判定した場合は、次のステップS111に進む。予め定められた時間となったと判定されない場合は、再度、ステップS104に戻る。
【0075】
ステップS111において、サーバ装置100のCPU101(受任部112)により、予め定められた看護師用端末300に時間が経過している旨を報知する。そして、処理を終了する。
【0076】
本実施の形態によれば、患者と看護師とのコミュニケーションを取りやすくすると共に、統計を利用することで、患者、看護師及び病院の三者にメリットを享受させることが可能な情報処理装置を提供することができる。患者のメリットとしては、看護師とコミュニケーションが取りやすくなることや、看護師とのコミュニケーションが取りやすくなることで入院のストレスが軽減されること、要望の対応状況が確認できることなどがある。また、看護師のメリットとしては、要望による負担が分かり、業務分担の見直しや、人事評価の適切化を期待することができることなどがある。また、病院のメリットとしては、患者や看護師の不満を軽減し、満足度を向上させることで、病院の評判を上げることができることや、看護師の離職を防止することができること、医療ミスを防ぐことができることなどがある。
【0077】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。
【0078】
例えば、看護師のストレス状態が、ストレスが高い状態である場合に、当該ストレスが高い看護師の看護師用端末300に要望を送信しないようにしてもよい。
【0079】
具体的には、サーバ装置100に、機能構成として、看護師が装着するスマートウォッチなどのウェアラブル端末などから、看護師のストレス状態に関する情報を取得する取得部を備える。ここで、ストレス状態に関する情報は、例えば、心拍数の情報、体温の情報、発汗の情報、血圧の情報、体組成の情報、生体電位の情報、体重の情報、血流の情報、脳波の情報、自律神経の状態の情報などから算出される情報である。
【0080】
送信部111は、要望受付部110が受け付けた要望を看護師用端末300に送信する際に、看護師のストレス状態が、ストレスが高い状態である場合に、当該ストレスが高い看護師の看護師用端末300に要望を送信しないようにする。ストレスが高い状態では、適切な対応が困難であることから、医療ミスや患者へ不快感を与えることを防止することが可能である。
【0081】
また、送信部111は、看護師のストレス状態が、ストレスが高い状態である場合に、休憩を促すメッセージを当該看護師の看護師用端末300に送信してもよい。
【0082】
また、統計部113は、取得部から要望に対応した際の看護師のストレス状態を測定してもよい。これにより、要望毎の看護師に与えるストレスなどの負荷の統計を取ることが可能となり、看護師の業務分担の見直しなどによる負担の平準化を図ることなどが可能となる。
【0083】
上記実施形態では、プログラムがROM102又は記憶部104に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。プログラムは、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークNを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【符号の説明】
【0084】
10 情報処理システム
100 サーバ装置
200 患者用端末
300 看護師用端末
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9
図10