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  • 特許-プレミックス粒子の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-05
(45)【発行日】2024-02-14
(54)【発明の名称】プレミックス粒子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/38 20060101AFI20240206BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20240206BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20240206BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20240206BHJP
   A61K 31/4725 20060101ALI20240206BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
A61K47/38
A61K47/36
A61K9/16
A61K9/20
A61K31/4725
A61K31/4439
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022163744
(22)【出願日】2022-10-12
【審査請求日】2022-10-12
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521126092
【氏名又は名称】坂本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100105315
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 温
(72)【発明者】
【氏名】坂本 浩
【審査官】参鍋 祐子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/004393(WO,A1)
【文献】特開2018-039780(JP,A)
【文献】国際公開第2009/069280(WO,A1)
【文献】特開2006-131548(JP,A)
【文献】特開2018-065776(JP,A)
【文献】特開2018-070541(JP,A)
【文献】特開2018-177789(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02500013(EP,A1)
【文献】特開昭62-269739(JP,A)
【文献】湿式シリカ製品案内 カープレックス(R) 湿式シリカ,2023年06月,pp.1-10
【文献】PHARM TECH JAPAN,Vol.37(7),2021年,pp.63-69
【文献】PHARM TECH JAPAN,Vol.37(7),2021年,pp.57-61
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00
A61K 47/00
A61K 45/00
A61K 31/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
添加剤と原薬とを含有するプレミックス粒子の製造方法であって、
前記原薬が、水1ml(25℃)に0.1g以上溶解する生理活性薬物原末であり、
水を含む溶媒に前記原薬が溶解した水溶液を前記添加剤に添加した粉体混合物を、解砕整粒装置で混合・分散・解砕整粒させる工程を含み、
前記プレミックス粒子の製造にて使用される水分量が、前記プレミックス粒子の全原料(乾燥質量)100質量部に対して、0.5~5質量部であり、
前記添加剤が、結晶セルロース、部分α化澱粉又は低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む
ことを特徴とするプレミックス粒子の製造方法。
【請求項2】
前記プレミックス粒子が乾式直打用である、請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
前記解砕整粒装置が、上部グラインダーと下部グラインダーとを備えており、
前記上部グラインダーに対する前記下部グラインダーの周速が、10m/sec以上60m/sec以下である、請求項1記載の製造方法。
【請求項4】
前記上部グラインダー及び前記下部グラインダーが、無気孔グラインダーである、請求項3記載の製造方法。
【請求項5】
前記解砕整粒装置が、インペラー式解砕整粒装置、石臼式解砕整粒装置及び擂潰機から選択される装置である、請求項1記載の製造方法。
【請求項6】
前記プレミックス粒子の全質量(乾燥質量)を基準として、前記原薬の含有量が、0.1~30質量%である、請求項1記載の製造方法。
【請求項7】
前記添加剤が、混合器により予め混合された複数の添加剤である、請求項1記載の製造方法。
【請求項8】
前記添加剤の一部が、抗酸化剤である、請求項1記載の製造方法。
【請求項9】
前記原薬が、アミオダロン塩酸塩、エタンブトール塩酸塩、エチレフリン塩酸塩、L-エチルシステイン塩酸塩、クロペラスチン塩酸塩、クロルプロマジン塩酸塩、ジエチルカルバマジンクエン酸塩、ジスチグミン臭化物、セチリジン塩酸塩、ソリフェナシンコハク酸塩、チアプリド塩酸塩、トラピジル、トラマドール塩酸塩、トリメタジジン塩酸塩、ナルメフェン塩酸塩水和物、バルプロ酸ナトリウム、ビソプロロールフマル酸塩、ヒドロキシジン塩酸塩、ピリドスチグミン臭化物、ブチルスコポラミン臭化物、プロカインアミド塩酸塩、プロパンテリン臭化物、プロメタジン塩酸塩、ベタキソロール塩酸塩、ベタヒスチンメシル酸塩、ボグリボース、ホモクロルシクリジン塩酸塩、メトプロロール酒石酸塩、ラベプラゾールナトリウム、ロキソプロフェンナトリウム水和物、ロサルタンカリウム、ワルファリンカリウム、アクラルビシン塩酸塩、テルブタリン硫酸塩、アスコルビン酸、ドキシサイクリン塩酸塩水和物、アマンタジン塩酸塩、トラネキサム酸、アミトリプチリン塩酸塩、トリエンチン塩酸塩、アンベノニウム塩化物、ニコチン酸アミド、イソニアジド、ノスカピン塩酸塩水和物、イミプラミン塩酸塩、バラシクロビル塩酸塩、エチドロン酸二Na、バンコマイシン塩酸塩、エフェドリン塩酸塩、ピリドキシン塩酸塩、エペリゾン塩酸塩、ピルシカイニド塩酸塩水和物、エメダスチンフマル酸塩、ピレンゼピン塩酸塩水和物、エモルファゾン、ピロカルピン塩酸塩、塩化カリウム、ファロペネムNa水和物、オキシコドン塩酸塩水和物、フドステイン、オキシテトラサイクリン塩酸塩、ブフェトロール塩酸塩、カナマイシン一硫酸塩、ブホルミン塩酸塩、クリンダマイシン塩酸塩、プラバスタチンNa、グルタチオン、フルラゼパム塩酸塩、クロピドグレル硫酸塩、プロカルバジン塩酸塩、クロラゼプ酸二カリウム、ペミロラストカリウム、クロルフェニラミンマレイン酸塩、ベンセラジド塩酸塩、コデインリン酸塩水和物、ペントキシベリンクエン酸塩、コリスチンメタンスルホン酸Na、ミグリトール、コリスチン硫酸塩、ミゾリビン、サルブタモール硫酸塩、メキシレチン塩酸塩、L-システイン、メクロフェノキサート塩酸塩、ジヒドロコデインリン酸塩、メタンフェタミン塩酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩、dl-メチルエフェドリン塩酸塩、ジルチアゼム塩酸塩、メトホルミン塩酸塩、セトチアミン塩酸塩水和物、モンテルカストNa、タルチレリン水和物、リトドリン塩酸塩、チアマゾール、リマプロスト アルファデクス、チアミン塩化物塩酸塩、リンコマイシン塩酸塩水和物、チアラミド塩酸塩又はテトラサイクリン塩酸塩である、請求項1記載の製造方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項記載の製造方法により製造されたプレミックス粒子を用いて乾式直打法により錠剤化する工程を含む、錠剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレミックス粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
固形製剤である錠剤の製造方法として、例えば、直打法、セミ直打法、湿式顆粒圧縮法、乾式顆粒圧縮法等がある。まず、直打法(例えば、特許文献1)は、典型的には、主薬と添加物を混合したものを成形する方法である。次に、セミ直打法(例えば、特許文献2)は、典型的には、添加物を湿式造粒法で製造した後、有効成分と混合して調製する方法である。また、湿式顆粒圧縮法(例えば、特許文献3)は、典型的には、湿式造粒法で作った顆粒を圧縮して調製する方法である。また、乾式顆粒圧縮法(例えば、特許文献4)は、典型的には、乾式造粒法で作った顆粒に滑沢剤を加えて圧縮成形する方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6004524号
【文献】特開2020-15720号
【文献】特開平04-164025号
【文献】特開昭63-316740号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、一連の製造プロセスにおいて実質的に乾式を担保しつつも、有効成分が高度に均一分散した錠剤の新規製造技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一形態は、添加剤と原薬とを含有するプレミックス粒子の製造方法であって、
前記原薬が、水1ml(25℃)に0.1g以上溶解する生理活性薬物原末であり、
前記原薬の少なくとも一部を水溶液の形態で前記添加剤に添加したものを、解砕整粒装置で混合・分散・解砕整粒させる工程を含み、
前記プレミックス粒子の製造にて使用される水分量が、前記プレミックス粒子の全原料(乾燥質量)100質量部に対して、0.5~5質量部である
ことを特徴とするプレミックス粒子の製造方法である。
ここで、前記プレミックス粒子が乾式直打用であってもよい。
また、前記解砕整粒装置が、上部グラインダーと下部グラインダーとを備えており、
前記上部グラインダーに対する前記下部グラインダーの周速が、10m/sec以上60m/sec以下であってもよい。
また、前記上部グラインダー及び前記下部グラインダーが、無気孔グラインダー(例えば、アルミナや炭化ケイ素等の成形体又はこれらの砥粒からなる成形体)であってもよい。
また、前記解砕整粒装置が、インペラー式解砕整粒装置、石臼式解砕整粒装置及び擂潰機から選択される装置であってもよい。
また、前記プレミックス粒子の全質量(乾燥質量)を基準として、前記原薬の含有量が、0.1~30質量%であってもよい。
また、前記添加剤が、混合器により予め混合された複数の添加剤であってもよい。
また、前記添加剤の一部が、抗酸化剤であってもよい。
また、前記原薬が、アミオダロン塩酸塩、エタンブトール塩酸塩、エチレフリン塩酸塩、L-エチルシステイン塩酸塩、クロペラスチン塩酸塩、クロルプロマジン塩酸塩、ジエチルカルバマジンクエン酸塩、ジスチグミン臭化物、セチリジン塩酸塩、ソリフェナシンコハク酸塩、チアプリド塩酸塩、トラピジル、トラマドール塩酸塩、トリメタジジン塩酸塩、ナルメフェン塩酸塩水和物、バルプロ酸ナトリウム、ビソプロロールフマル酸塩、ヒドロキシジン塩酸塩、ピリドスチグミン臭化物、ブチルスコポラミン臭化物、プロカインアミド塩酸塩、プロパンテリン臭化物、プロメタジン塩酸塩、ベタキソロール塩酸塩、ベタヒスチンメシル酸塩、ボグリボース、ホモクロルシクリジン塩酸塩、メトプロロール酒石酸塩、ラベプラゾールナトリウム、ロキソプロフェンナトリウム水和物、ロサルタンカリウム、ワルファリンカリウム、アクラルビシン塩酸塩、テルブタリン硫酸塩、アスコルビン酸、ドキシサイクリン塩酸塩水和物、アマンタジン塩酸塩、トラネキサム酸、アミトリプチリン塩酸塩、トリエンチン塩酸塩、アンベノニウム塩化物、ニコチン酸アミド、イソニアジド、ノスカピン塩酸塩水和物、イミプラミン塩酸塩、バラシクロビル塩酸塩、エチドロン酸二Na、バンコマイシン塩酸塩、エフェドリン塩酸塩、ピリドキシン塩酸塩、エペリゾン塩酸塩、ピルシカイニド塩酸塩水和物、エメダスチンフマル酸塩、ピレンゼピン塩酸塩水和物、エモルファゾン、ピロカルピン塩酸塩、塩化カリウム、ファロペネムNa水和物、オキシコドン塩酸塩水和物、フドステイン、オキシテトラサイクリン塩酸塩、ブフェトロール塩酸塩、カナマイシン一硫酸塩、ブホルミン塩酸塩、クリンダマイシン塩酸塩、プラバスタチンNa、グルタチオン、フルラゼパム塩酸塩、クロピドグレル硫酸塩、プロカルバジン塩酸塩、クロラゼプ酸二カリウム、ペミロラストカリウム、クロルフェニラミンマレイン酸塩、ベンセラジド塩酸塩、コデインリン酸塩水和物、ペントキシベリンクエン酸塩、コリスチンメタンスルホン酸Na、ミグリトール、コリスチン硫酸塩、ミゾリビン、サルブタモール硫酸塩、メキシレチン塩酸塩、L-システイン、メクロフェノキサート塩酸塩、ジヒドロコデインリン酸塩、メタンフェタミン塩酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩、dl-メチルエフェドリン塩酸塩、ジルチアゼム塩酸塩、メトホルミン塩酸塩、セトチアミン塩酸塩水和物、モンテルカストNa、タルチレリン水和物、リトドリン塩酸塩、チアマゾール、リマプロスト アルファデクス、チアミン塩化物塩酸塩、リンコマイシン塩酸塩水和物、チアラミド塩酸塩又はテトラサイクリン塩酸塩であってもよい。
また、本発明の一形態は、前記製造方法により製造されたプレミックス粒子を用いて乾式直打法により錠剤化する工程を含む、錠剤の製造方法である。
【0006】
ここで、本明細書及び本特許請求の範囲における各用語の意義を説明する。まず、「水溶液」とは、水を含む溶媒に原薬が溶解及び/又は分散した液を意味する。ここで、溶媒としては、水のみ、水と他の液体媒体(例えば、アセトン、ヘキサン、メタノール、エタノール等の水溶性液体媒体)との混合液、のいずれであってもよい(好適には水)。また、「プレミックス粒子」は、主工程で得られたプレミックス粒子、後工程で得られたプレミックス粒子、のいずれをも包含する概念である。ここで、「プレミックス粒子」とは、原薬と一種又は複数種の添加剤を少なくとも含む、10~1000μm(粒度分布)の粒子を指す。尚、粒度分布は、「ふるい分け法」(日本薬局方)に従って測定されるものである。また、10~1000μmの範囲外の粒子が存在していたとしても、粒子100個をランダムにとったとき、好適には該粒子の個数の90%が前記粒度分布に属する場合、より好適には95%が前記粒度分布に属する場合には、該プレミックス粒子(組成物)は、本発明に規定する10~1000μmの範囲とする。また、「添加剤」とは、プレミックス粒子や錠剤中に含まれる原薬及び水以外の、すべての成分を意味する。また、「乾燥質量」とは、第十四改正日本薬局方(平成13年3月30日厚生労働省告示第111号)における一般試験法「乾燥減量試験法」において規定される乾燥方法によって、対象物(例えば、プレミックス粒子)を乾燥した後に測定した質量である。
【0007】
ここで、前記プレミックス粒子の全質量(乾燥質量)を基準として、前記原薬の量は、好適には、下限値としては、0.1質量%以上、0.5質量%以上、0.75質量%以上、1質量%以上、1.5質量%以上であり、上限値としては、30質量%以下、27.5質量%以下、25質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下、5質量%以下、3.5質量%以下、3.25質量%以下、3質量%以下である。尚、前記下限値及び前記上限値の好適値は、どのような組み合わせであってもよい。
【0008】
また、前記プレミックス粒子の製造にて使用される水分量は、前記プレミックス粒子の全原料(乾燥質量)100質量部に対して、好適には、下限値としては、0.5質量部以上、1質量部以上、1.5質量部以上、2質量部以上であり、上限値としては、5質量部以下、4質量部以下、3.5質量部以下である。該範囲が好適な理由は、実質的に乾式を担保しつつも有効成分が高度に均一分散させることができる点、打錠に適した値である点、湿式造粒法で行われている乾燥工程が省略できる点、乾燥工程における熱エネルギーが省略できる点、環境保全の観点、等である。尚、前記下限値及び前記上限値の好適値は、どのような組み合わせであってもよい。また、該水分は、すべてが原薬水溶液由来であっても一部(残りの水分は、例えば、別途、水の添加、添加剤の水溶液又は分散液に由来したもの、もともと添加剤に含まれていた水分)であってもよい。
【0009】
また、前記添加剤の一部が、抗酸化剤であってもよい。ここで、抗酸化剤は、例えば、前記水溶液に含まれていても、前記水溶液が添加される添加剤であっても、添加剤に前記水溶液が添加された後の添加剤であっても、又は、それらの任意の組み合わせであってもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、水への溶解度が極めて高い薬剤を採用すること、解砕整粒装置を採用すること、該薬剤の少なくとも一部を水溶液の形態で添加剤に添加すること、そして、水分量を最適化することにより、乾式打錠に適したプレミックス粒子の製造方法を提供することができる。この方法によれば、錠剤中に薬剤を(二次凝集が高度に解けた状態で)均一混合させることができる点、湿式造粒法で行われている乾燥工程が省略できる点、乾燥工程における熱エネルギーが省略できる点、環境保全の観点、等の利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明での主工程で使用される解砕整粒装置の一例(写真)である。
図2図2は、図1の解砕整粒装置の本体解砕整粒室(摩砕室)内部を示した図(写真)である。
図3図3は、図1の解砕整粒装置の本体解砕整粒室(摩砕室)内部を示した図(写真)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係わる実施形態を説明する。尚、本発明は、以下で説明する実施形態及び実施例に何ら限定されるものではない。また、本明細書及び本特許請求の範囲における「A~B」は、A以上、B以下を意味する(例えば、0.5g~1.5gは、0.5g以上、1.5g以下を意味する)。また、本実施形態では、原薬として結晶性原薬を一例として説明する。尚、原薬として非晶質原薬(又は結晶性原薬+非晶質原薬)を用いる場合には、下記の「結晶性原薬」を「原薬」と読み替えることとする。また、プレミックス粒子の用途として乾式直打用を例に採り説明する。
【0013】
本形態は、添加剤に結晶性原薬(水溶液の形態)を添加し解砕整粒装置で混合・分散・解砕整粒させる工程、を含み、前記原薬が、水1ml(25℃)に0.1g以上溶解する生理活性薬物原末である、乾式直打用プレミックス粒子の製造方法である。更に、本形態に係る乾式直打用プレミックス粒子の製造方法においては、前記乾式直打用プレミックス粒子の製造にて使用される水分量が、前記乾式直打用プレミックス粒子の全原料(乾燥質量)100質量部に対して、0.5~5質量部である。これらの構成を採ることで、錠剤中に薬剤を(二次凝集が高度に解けた状態で)均一混合させることができる。加えて、該乾式直打用プレミックス粒子を用いた乾式直打法による錠剤の製造方法においては、ハンドリング中に一部の水分が蒸発することで、乾燥工程が省略でき、生産コストの削減が実現できる。以下、乾式直打用プレミックス粒子の製造方法及び錠剤の製造方法を順に詳述する。
【0014】
<<<乾式直打用プレミックス粒子の製造方法>>>
本形態に係わる乾式直打用プレミックス粒子の製造方法は、添加剤と原薬とを、解砕整粒装置で混合・分散・解砕整粒させる工程(以下、「主工程」という)を含み;主工程に先立ち、複数の添加剤粒子同士及び/又は一種又は複数の添加剤と一部の原薬とを、混合器により予め混合する工程(以下、「前工程」という)を含んでいてもよく;更に、解砕整粒装置で、主工程により得られたプレミックス粒子に、更に、添加剤(例えば滑択剤)を付着させる工程、(以下、「後工程」という)を含んでいてもよい。以下、各工程を詳述する。
【0015】
<<主工程>>
主工程は、添加剤に原薬を添加し、解砕整粒装置で混合・分散・解砕整粒させる工程である。尚、主工程は一回のみでも複数回繰り返し行ってもよく、単一機種及び/又は他の機種と併用してもよい。更に、その順番は前後してもよい。
【0016】
<処理対象>
主工程(混合・分散・解砕整粒処理)に付される処理対象は、添加剤に結晶性原薬及び溶媒(好適には水)が添加された粉体混合物である。以下、各成分を詳述する。
【0017】
{結晶性原薬}
本形態に係わる製造方法で用いる原薬は、水への溶解度(25℃)が、0.1g以上/1.0mlである結晶性原薬(例えば、化合物、薬理学上許容されるその塩、及び/又は、その水和物)である。この様な原薬としては、例えば、アミオダロン塩酸塩、エタンブトール塩酸塩、エチレフリン塩酸塩、L-エチルシステイン塩酸塩、クロペラスチン塩酸塩、クロルプロマジン塩酸塩、ジエチルカルバマジンクエン酸塩、ジスチグミン臭化物、セチリジン塩酸塩、ソリフェナシンコハク酸塩、チアプリド塩酸塩、トラピジル、トラマドール塩酸塩、トリメタジジン塩酸塩、ナルメフェン塩酸塩水和物、バルプロ酸ナトリウム、ビソプロロールフマル酸塩、ヒドロキシジン塩酸塩、ピリドスチグミン臭化物、ブチルスコポラミン臭化物、プロカインアミド塩酸塩、プロパンテリン臭化物、プロメタジン塩酸塩、ベタキソロール塩酸塩、ベタヒスチンメシル酸塩、ボグリボース、ホモクロルシクリジン塩酸塩、メトプロロール酒石酸塩、ラベプラゾールナトリウム、ロキソプロフェンナトリウム水和物、ロサルタンカリウム、ワルファリンカリウム、アクラルビシン塩酸塩、テルブタリン硫酸塩、アスコルビン酸、ドキシサイクリン塩酸塩水和物、アマンタジン塩酸塩、トラネキサム酸、アミトリプチリン塩酸塩、トリエンチン塩酸塩、アンベノニウム塩化物、ニコチン酸アミド、イソニアジド、ノスカピン塩酸塩水和物、イミプラミン塩酸塩、バラシクロビル塩酸塩、エチドロン酸二Na、バンコマイシン塩酸塩、エフェドリン塩酸塩、ピリドキシン塩酸塩、エペリゾン塩酸塩、ピルシカイニド塩酸塩水和物、エメダスチンフマル酸塩、ピレンゼピン塩酸塩水和物、エモルファゾン、ピロカルピン塩酸塩、塩化カリウム、ファロペネムNa水和物、オキシコドン塩酸塩水和物、フドステイン、オキシテトラサイクリン塩酸塩、ブフェトロール塩酸塩、カナマイシン一硫酸塩、ブホルミン塩酸塩、クリンダマイシン塩酸塩、プラバスタチンNa、グルタチオン、フルラゼパム塩酸塩、クロピドグレル硫酸塩、プロカルバジン塩酸塩、クロラゼプ酸二カリウム、ペミロラストカリウム、クロルフェニラミンマレイン酸塩、ベンセラジド塩酸塩、コデインリン酸塩水和物、ペントキシベリンクエン酸塩、コリスチンメタンスルホン酸Na、ミグリトール、コリスチン硫酸塩、ミゾリビン、サルブタモール硫酸塩、メキシレチン塩酸塩、L-システイン、メクロフェノキサート塩酸塩、ジヒドロコデインリン酸塩、メタンフェタミン塩酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩、dl-メチルエフェドリン塩酸塩、ジルチアゼム塩酸塩、メトホルミン塩酸塩、セトチアミン塩酸塩水和物、モンテルカストNa、タルチレリン水和物、リトドリン塩酸塩、チアマゾール、リマプロスト アルファデクス、チアミン塩化物塩酸塩、リンコマイシン塩酸塩水和物、チアラミド塩酸塩又はテトラサイクリン塩酸塩を挙げることができる(尚、本形態では原薬が結晶性であるところ、原薬が結晶性でない場合にも該原薬としてこれらが例示される)。
【0018】
{添加剤}
本形態に係わる製造方法に用いる添加剤は、特に限定されず、例えば、一般的医薬品製剤に用いられる添加剤である。具体例としては、結晶セルロース、部分α化澱粉、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、カルボキシルメチルスターチナトリウム、乳糖、糖類、糖アルコール類、タルク、酸化チタン等や、カルボキシビニルポリマー、コポリビドン(Kollidon VA64 Fine)、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、クロスポビドン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸・メチル共重合体(PVACOAT)、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコーポリマー、ヒドロキシメチルセルロース、グリセリン脂肪酸エステル(グリセルベヘネート・Compritol-888)等や、アルギン酸ナトリウム、マクロゴール、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート等、一般的医薬品製剤に用いられる添加剤から選ばれる一種/又は複数種を挙げることができる。
【0019】
加えて、本形態に係わる製造方法において、添加剤として抗酸化剤(安定化剤)を用いることが好適である。ここで、抗酸化剤としては、例えば、トコフェロール類、アスコルビン酸類、クエン酸類、亜硫酸ナトリウム、リン酸水素カルシウム、L-システイン塩酸塩、ジブチルヒドリキシトルエン等を挙げることができる。尚、抗酸化剤は、プロセスの項目に詳述するように、添加剤の一部として添加剤に予め混ぜられていてもよく、また、結晶性原薬水溶液に溶解及び/又は分散させる形態でもよく、前記の両方であってもよい。また、抗酸化剤の添加タイミングは、例えば、主工程及び/又は前工程である。
【0020】
<プロセス>
{添加剤に原薬を添加するプロセス}
本プロセスは、添加剤(典型的には複数種)に原薬を添加するプロセスであり、且つ、結晶性原薬を水溶液の形態にて該添加剤に添加するプロセスである。この場合、好適には、得られるプレミックス粒子の全質量(乾燥質量)を基準として、結晶性原薬量が、0.1~30質量%となるよう添加する。これにより、より優れた加工性(乾式直打)を実現できる。また、原薬(又は結晶性原薬の水溶液)を添加剤に添加するに際しては、主工程が実施される解砕整粒装置に添加する形、前工程が実施される混合器に添加する形、混合器及び解砕整粒装置のいずれにも添加する形態、のいずれでもよい。
【0021】
{解砕整粒装置で混合・分散・解砕整粒プロセス}
本プロセスは、結晶性原薬と添加剤とを混合したプレミックス粉末を、解砕整粒装置を使用して解砕・整粒し、原薬の表面に添加剤を分散・付着させるプロセスである。本プロセスにおいて、解砕整粒するために使用する装置としては、特に限定されず、石臼式解砕整粒装置(石臼式摩砕機と称することもある){例えば、スーパーマスコロイダー/増幸産業(株)}や棒状又はインペラー型の解砕整粒装置{例えば、コーミル:(株)パウレック}、擂潰機{例えば、(株)石川工場}により、大きな粒子を選択的に押しつぶすような作用で粒度調整する解砕整粒装置が適している。これらの装置は、単独もしくは併用してもよく、更に、その操作順は前後してもよい。
【0022】
(石臼式解砕整粒装置)
ここで、解砕整粒装置の内、石臼式解砕整粒装置が好適である。石臼式解砕整粒装置を用いた場合、投入した原料粉末は、間隔を自由に調整(設定)できる上下二枚のグラインダー(砥石)の間に送り込まれ、そこで生じる圧縮、剪断、転がり摩擦等によってすり潰される。その結果、原料粉末は、次第に解砕・整粒される。ここで、好適な石臼式解砕整粒装置は、上部グラインダーが固定、下部グラインダーが回転する/上部グラインダー中央部に空間を有する/中央から外周に向かって緩やかに湾曲している/外周部において上部グラインダーと下部グラインダーとのクリアランスを最も小さくしてある、といういずれか一つ以上の構成を有するものである。
【0023】
石臼式解砕整粒装置が該構成を有することで、例えば、石臼式解砕整粒装置の上部中央部から供給された原料粉末は、下部グラインダーの回転に伴い遠心力によって外周部に移送される。そして、原料粉末は、外周部に移送される間に、回転によるエネルギー伝達により解砕整粒・分散され、グラインダー外周部から解砕整粒室に排出される。
【0024】
特に、上部グラインダーと下部グラインダーとのクリアランス(空間)において、中央部空間の粒子密度が小さく、外周部空間の粒子密度が大きくなり、エネルギー伝達が強くなる構造としてある。エネルギー伝達率は、解砕整粒する空間の粒子密度に依存し、更に、大きな粒子に対してより強く作用する。そのため、大きな粒子については選択的に解砕整粒・分散される一方、小さな粒子についてはクッショニング効果によりエネルギー伝達率が低く過粉砕が抑制される。
【0025】
好適な処理条件(操作条件)は、周速=10m/sec以上60m/sec以下(より好適には50m/sec以下)で回転させることである。ここで、好適な解砕整粒装置は、上部グラインダーと下部グラインダーとを備えているところ、固定された上部グラインダーに対して下部グラインダーを回転させても、固定された下部グラインダーに対して上部グラインダーを回転させても、上部グラインダー及び下部グラインダーを回転させてもよい。したがって、ここでの周速は、一方のグラインダーに対する他方のグラインダーの相対周速である。該好適な処理条件を採用すると、少ない水分量にも拘わらず、薬剤と添加剤とをより均質に混合することが可能となる。これは、ハンマーミル、ピンミルやジェットミルの一般的な操作条件(周速換算:80~120m/sec)に比較し低速である。また、上部グラインダーと下部グラインダーとのクリアランスは、より優れたプレミックス粒子を製造するためには、好適には100μm~5000μm(より好適には1000μm~4000μm)の範囲で調整(設定)可能である。該好適な処理条件を採用した場合にも、少ない水分量にも拘わらず、薬剤と添加剤とをより均質に混合することが可能となる。石臼式解砕整粒装置は、前述のように大きな粒子に対するエネルギー伝達率が大きく、小さな粒子に対するエネルギー伝達率が小さいため、大きな粒子を選択的に解砕整粒・分散する。このため、難溶性の大きな粒子に由来する溶出率遅延は解消出来る。また、60μm以下の微粒子に生じやすい二次凝集も抑制できる。
【0026】
また、本形態で採用しているグラインダー(砥石)の材質は、好適には、ダイヤモンドに次いで硬い、酸化アルミニウム(アルミナ)や炭化ケイ素等のセラミック成形体製である。また、より優れたプレミックス粒子を製造するためには、無気孔グラインダー(例えば、磁器や、砥粒成形体多孔質グラインダーに樹脂を含浸させたもの;例えば、特開昭61-159375号)が好適である。このようなグラインダーとして、例えば、マスコーグラインダーMKE、MKG-A、MKG-C、MKNewE、MKFC、MKFW等の商品名で増幸産業株式会社から入手可能である。
【0027】
ここで、図1は、主工程で使用される解砕整粒装置の一例(写真)である。また、図2及び図3は、解砕整粒装置の本体解砕整粒室内部を示した図(写真)である。図1に示されるように、本例に係る解砕整粒装置1は、主工程の処理対象である粉体混合物が投入される供給機1aと、供給機1aに供給された粉体混合物が混合・分散・解砕整粒される本体解砕整粒室1bと、本体解砕整粒室1bでの処理物が排出される排出口1cと、排気クロス1d、とを有する。また、図2及び図3に示されるように、本体解砕整粒室1bは、蓋上部に固定された上部グラインダー1b1と、該グラインダーと対向する位置に回転可能に備えられている下部グラインダー1b2と、を有している。
【0028】
(他の解砕整粒装置)
別の好適な解砕整粒装置は、棒状やインペラー型の回転体(回転数=800rpm~1800rpm)により押しつぶすような作用で粒子を細かくする解砕整粒装置(例えば、コーミル)である。回転するインペラー(回転羽根)による遠心力で、投入した原料粉末を円筒状スクリーンに押しつけて解砕する。インペラーで整粒した後に、スクリーンに設けられた多数の開口部から原料粉末を排出する。その後、必要に応じて石臼式解砕整粒を行う。尚、本実施の形態においては、スクリーン径(スクリーン開口部の直径)は、1mm~4mm程度が好ましい。また、別の好適な解砕整粒装置は、すり鉢・練木と同様な作用を機械的に自動化した解砕整粒装置(擂潰機)である。
【0029】
<<前工程>>
本形態に係わる乾式直打用プレミックス粒子の製造方法は、任意に、主工程に先立ち、複数の添加剤粒子同士及び/又は、一種又は複数の添加剤と一部の結晶性原薬(例えば、水溶液の形態で加えるもの以外の結晶性原薬)とを、混合器により予め混合する工程を含んでもよい。更に、前工程と主工程を交互に繰り返し実行してもよい。繰り返す回数は、添加剤及び結晶性原薬の種類に応じて適宜に定めればよい。
【0030】
<処理対象>
前工程に付される処理対象は、プレミックス粒子に含まれる添加剤の少なくとも一部である。但し、「主工程」の欄で説明したように、前工程にて、結晶性原薬及び/又は、溶媒が既に添加されていてもよい。
【0031】
<プロセス>
該プロセスは、解砕整粒装置に導入する前に、プレミックス粒子に含まれる添加剤の少なくとも一部を予め混合しておく任意のプロセスである。該プロセスにおいては、回転容器型、高速撹拌型等の混合装置が用いられる。
【0032】
<<後工程>>
本形態に係わる乾式直打用プレミックス粒子の製造方法は、任意に解砕整粒を用いて、主工程により得られたプレミックス粒子に、更に、添加剤(例えば滑択剤)を付着させる工程を含んでいてもよい。
【0033】
<処理対象>
後工程に付される処理対象は、主工程で得られたプレミックス粒子と、更なる添加剤(例えば滑択剤)と、である。尚、該更なる添加剤も、本明細書及び本特許請求の範囲にいう「添加剤」に含まれる。
【0034】
<添加剤>
後工程において使用される添加剤は、典型的には滑択剤である。滑択剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク等の粒子を挙げることができる。
【0035】
<プロセス>
後工程のプロセスは、主工程と同じであることが好適である。
【0036】
<<<プレミックス粒子の処方例>>>
具体例として、打錠用全粒子(打錠用粉末)の全質量に対して、
A)添加剤粒子、好適には成形性や崩壊性の優れた添加剤粒子{結晶セルロース=10質量%~60質量%、部分α化澱粉(PCS)=10質量%~50質量%、崩壊剤=10質量%~60質量%、安定化剤(クエン酸類、トコフェロール類、アスコルビン酸等)0.5質量%~15質量%、結合剤粉末=1.0質量%~10質量%}、
B)必要に応じ、分散剤(含水二酸化ケイ素:カープレックス=0.5質量%~2.0質量%)
C)水分(略=0.5質量%~5質量%)
D)結晶性原薬量(0.1質量%~30質量%)
【0037】
<<<錠剤の製造方法>>>
本形態に係わる錠剤の製造方法は、上記の方法で得られた乾式直打用プレミックス粒子を打錠機により打錠する工程を含む。打錠機としては、通常、一般的に採用されている打錠機を使用することができ、その操作として、二段圧縮(予圧、本圧)が好適であり、三段圧縮がより好適である。
【実施例
【0038】
以下、本発明の具体例を、実施例を参照しながら説明する。但し、本発明は、該実施例に限定されるものではない。また、本実施例は、温度=25℃、相対湿度=65%の試作室で実施した。
【0039】
<実施例1>
(プレミックス粒子/前工程)
A)結晶セルロース(KG-1000:旭化成ケミカルズ)=320g+部分α化澱粉(PCS)=300g+低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC:信越化学工業)260g+結合剤(POVACOAT)=25g+甘味料=10g+分散剤(カープレックス)=10gを高速撹拌式混合器(バーチカルグラニュレーター(VG-10型)パウレック社)を用い(主翼回転数=300rpm)混合し、添加剤粒子を得た。
B)(プレミックス粒子/主工程)
前工程で得た添加剤粒子に対し、精製水=35g+安定化剤(クエン酸)=20g+コハク酸ソリフェナシン粉末=35gを溶解した水溶液=90gを、A)の添加剤粒子に加え、インペラー式解砕整粒装置(コーミル:パウレック社)や石臼式解砕整粒(スーパーマスコロイダーPH型:回転数=3000rpm(周速39.88m/sec)を用い分散・解砕整粒することで乾式直打用プレミックス原薬粒子を得た。
(プレミックス粒子/後工程)
主工程で得られたプレミックス粒子に対し、滑択剤(ステアリン酸マグネシウム):20gを加え、インペラー型解砕整粒装置(コーミル:パウレック社)で解砕整粒(スクリーン径=1.9mm、回転数=1400rpm)することで乾式直打用プレミックス粒子を得た。
(錠剤)
得られた乾式直打用プレミックス粒子を乾式打錠法(打錠圧=15KN)により打錠し、錠剤硬度=55N、崩壊時間=30秒、摩損度=0.7%、類縁物質(31日後のNオキサイト体の生成量=0.02%)の錠剤を得た(類縁物質の測定は、高速液体クロマトグラフィー法(面積百分率法)で測定)。
【0040】
<実施例2>
(プレミックス粒子/前工程)
結晶セルロース(KG-1000:旭化成ケミカルズ)=330g+部分α化澱粉(PCS)=300g+低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC:信越化学工業)260g+結合剤(コポリビドン)=20g+甘味料=10g+分散剤(カープレックス)=10gを、高速撹拌式混合器(バーチカルグラニュレーターVG-10型:パウレック社:主翼回転数=300rpm)を用いて混合し、添加剤粒子を得た。
(プレミックス粒子/主工程)
前工程で得た添加剤粒子に対し、精製水=35gに安定化剤(クエン酸)=20g+ソリフェナシンコハク酸塩粉末=30gを溶解した水溶液=85gを、前工程で得られた添加剤粒子に加え、インペラー型解砕整粒装置(コーミル:パウレック社)と石臼式解砕整粒(スーパーマスコロイダーPH型:回転数=3000rpm、周速39.88m/sec)で分散・解砕整粒することでプレミックス粒子を得た。
(プレミックス粒子/後工程)
主工程で得たプレミックス粒子に対し、滑択剤(ステアリン酸マグネシウム)=20gを加え、インペラー型解砕整粒装置(コーミル:パウレック社)で解砕整粒(スクリーン径=1.9mm、回転数=1400rpm)することで乾式直打用プレミックス粒子を得た。
(錠剤)
得られた乾式直打用プレミックス粒子を乾式打錠法(打錠圧=15KN)により打錠し、錠剤硬度=57N、崩壊時間=28秒、摩損度=0.7%、類縁物質(31日後のNオキサイト体の生成量=0.019%)の錠剤を得た(類縁物質の測定は、高速液体クロマトグラフィー法(面積百分率法)で測定)。
【0041】
<実施例3>
(プレミックス粒子/前工程)
結晶セルロース(KG-801:旭化成ケミカルズ)=330g+部分α化澱粉(PCS)=300g+低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC:信越化学工業)260g+結合剤(HPC-SL)=30g+甘味料=10g+分散剤(カープレックス)=10gを、高速撹拌式混合器(バーチカルグラニュレーターVG-10型:パウレック社:主翼回転数=300rpm)を用いて混合し、添加剤粒子を得た。
(プレミックス粒子/主工程)
前工程で得た添加剤粒子に対し、精製水=30gに安定化剤(クエン酸)=20g+ソリフェナシンコハク酸塩粉末=30gを溶解した水溶液=80gを、前工程で得られた添加剤粒子に加え、容器回転型混合機で混合し、更に、インペラー型解砕整粒装置(コーミル:パウレック社)と石臼式解砕整粒(スーパーマスコロイダーPH型:回転数=3000rpm、周速39.88m/sec)で分散・解砕整粒することでプレミックス原薬粒子を得た。
(プレミックス粒子/後工程)
主工程で得たプレミックス粒子に対し、滑択剤(ステアリン酸マグネシウム)=10gを加え、インペラー型解砕整粒装置(コーミル:パウレック社)で解砕整粒(スクリーン径=1.9mm、回転数=1400rpm)することで乾式直打用プレミックス粒子を得た。
(錠剤)
得られた乾式直打用プレミックス粒子を乾式打錠法(打錠圧=15KN)により打錠し、錠剤硬度=61N、崩壊時間=30秒、摩損度=0.7%、類縁物質(31日後のNオキサイト体の生成量=0.020%)の錠剤を得た(類縁物質の測定は、高速液体クロマトグラフィー法(面積百分率法)で測定)。
【0042】
<実施例4>
(プレミックス粒子/前工程)
結晶セルロース(KG-801:旭化成ケミカルズ)=330g+部分α化澱粉(PCS)=300g+低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC:信越化学工業)260g+結合剤(POVACOAT)=25g+甘味料=10g+分散剤(カープレックス)=10gを、高速撹拌式混合器(バーチカルグラニュレーターVG-10型:パウレック社:主翼回転数=300rpm)を用いて混合し、添加剤粒子を得た。
(プレミックス粒子/主工程)
前工程で得た添加剤粒子に対し、精製水=35gに安定化剤(クエン酸)=20g+ソリフェナシンコハク酸塩粉末=35gを溶解した水溶液=90gを、前工程で得られた添加剤粒子に加え、容器回転型混合機で混合し、更に、インペラー型解砕整粒装置(コーミル:パウレック社)と石臼式解砕整粒(スーパーマスコロイダーPH型:回転数=3000rpm、周速39.88m/sec)で分散・解砕整粒することでプレミックス原薬粒子を得た。
(プレミックス粒子/後工程)
主工程で得たプレミックス粒子に対し、滑択剤(ステアリン酸マグネシウム)=10gを加え、インペラー型解砕整粒装置(コーミル:パウレック社)で解砕整粒(スクリーン径=1.9mm、回転数=1400rpm)することで乾式直打用プレミックス粒子を得た。
(錠剤)
得られた乾式直打用プレミックス粒子を乾式打錠法(打錠圧=15KN)により打錠し、錠剤硬度=60N、崩壊時間=31秒、摩損度=0.7%、類縁物質(31日後のNオキサイト体の生成量=0.018%)の錠剤を得た(類縁物質の測定は、高速液体クロマトグラフィー法(面積百分率法)で測定)。
【0043】
<実施例5>
(プレミックス粒子/前工程)
結晶セルロース(KG-801:旭化成ケミカルズ)=330g+部分α化澱粉(PCS)=300g+低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC:信越化学工業)260g+結合剤(HPC-SL)=30g+甘味料=10g+分散剤(カープレックス)=10gを、容器回転型混合機で予備混合した後、高速撹拌式混合器(バーチカルグラニュレーターVG-10型:パウレック社:主翼回転数=300rpm)を用いて混合し、添加剤粒子を得た。
(プレミックス粒子/主工程)
前工程で得た添加剤粒子に対し、精製水=30gに安定化剤(クエン酸)=20g+ソリフェナシンコハク酸塩粉末=30gを溶解した水溶液=80gを、前工程で得られた添加剤粒子に加え、インペラー型解砕整粒装置(コーミル:パウレック社)と石臼式解砕整粒(スーパーマスコロイダーPH型:回転数=3600rpm、周速47.85m/sec)で分散・解砕整粒することでプレミックス原薬粒子を得た。
(プレミックス粒子/後工程)
主工程で得たプレミックス粒子に対し、滑択剤(ステアリン酸マグネシウム)=10gを加え、インペラー型解砕整粒装置(コーミル:パウレック社)で解砕整粒(スクリーン径=1.9mm、回転数=1400rpm)することで乾式直打用プレミックス粒子を得た。
(錠剤)
得られた乾式直打用プレミックス粒子を乾式打錠法(打錠圧=15KN)により打錠し、錠剤硬度=58N、崩壊時間=27秒、摩損度=0.7%、類縁物質(31日後のNオキサイト体の生成量=0.019%)の錠剤を得た(類縁物質の測定は、高速液体クロマトグラフィー法(面積百分率法)で測定)。
【0044】
<実施例6>
(プレミックス粒子/前工程)
結晶セルロース(KG-1000:旭化成ケミカルズ)=320g+部分α化澱粉(PCS)=290g+低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC:信越化学工業)250g+結合剤(Povacoat)=55g+分散剤(カープレックス)=10gを加え、高速撹拌式混合器(バーチカルグラニュレーターVG-10型:パウレック社:主翼回転数=300rpm)を用いて混合し、添加剤粒子を得た。
(プレミックス粒子/主工程)
前工程で得た添加剤粒子に対し、精製水=80gに、ラベプラゾールNa=35gと亜硫酸ナトリウム=30g(表1及び表2中の「ソリフェナシンコハク酸塩・粉末」を「亜硫酸ナトリウム・粉末」と読み替え)を溶解した水溶液=145gを、前工程で得られた添加剤粒子に加え、容器回転型混合機で混合し、更に、インペラー型解砕整粒装置(コーミル:パウレック社)と石臼式解砕整粒(スーパーマスコロイダーPH型:回転数=3600rpm、周速47.85m/sec)で分散・解砕整粒することでプレミックス原薬粒子を得た。
(プレミックス粒子/後工程)
主工程で得たプレミックス粒子に対し、滑択剤(ステアリン酸マグネシウム)=10gを加え、インペラー型解砕整粒装置(コーミル:パウレック社)で解砕整粒(スクリーン径=1.9mm、回転数=1400rpm)することで乾式直打用プレミックス粒子を得た。
(錠剤)
得られた乾式直打用プレミックス粒子を乾式打錠法(打錠圧=15KN)により打錠し、錠剤硬度=59N、崩壊時間=35秒、摩損度=0.9%、類縁物質(31日後のNオキサイト体の生成量=0.019%)の錠剤を得た(類縁物質の測定は、高速液体クロマトグラフィー法(面積百分率法)で測定)。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】

【要約】
【課題】 特に乾式直打法による錠剤の製造に適した、新規なプレミックス粒子の製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】 添加剤と原薬とを含有するプレミックス粒子の製造方法であって、前記原薬が高水溶性の生理活性薬物原末であり、前記原薬の少なくとも一部を水溶液の形態で前記添加剤に添加したものを、解砕整粒装置で混合・分散・解砕整粒させる工程を含み、前記プレミックス粒子の製造にて使用される水分量を所定量とする乾式直打用プレミックス粒子の製造方法。
【選択図】 なし

図1
図2
図3