(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-05
(45)【発行日】2024-02-14
(54)【発明の名称】ミラー装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/015 20230101AFI20240206BHJP
G06Q 30/06 20230101ALI20240206BHJP
【FI】
G06Q30/015
G06Q30/06
(21)【出願番号】P 2022209016
(22)【出願日】2022-12-26
【審査請求日】2023-07-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】322001864
【氏名又は名称】株式会社デイトナ・インターナショナル
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】目黒 希望
(72)【発明者】
【氏名】金 像琅
【審査官】上田 威
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03537368(EP,A1)
【文献】特開2013-050937(JP,A)
【文献】特開2011-100458(JP,A)
【文献】特開2020-173401(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半透過反射面を有するハーフミラーと、
前記ハーフミラーの後側に配置され、表示画面を有する表示パネルと、を備えるミラー装置であって、
店舗が取り扱うファッションアイテムの商品情報を複数記憶する記憶部と、
前記ハーフミラーの前側に位置するユーザから、心理状態の診断に必要なマインド基礎情報を取得する第1取得部と、
前記マインド基礎情報に基づいて
AI(Artificial Intelligence)を利用して前記ユーザの心理状態を診断するマインド診断部と、
前記ユーザの心理状態の診断結果に基づいて、複数の前記商品情報の中から、その時点の前記ユーザにおすすめの
アイテムカラーを選択し、選択した前記アイテムカラーに合致したファッションアイテムの商品情報を選択する第1選択部と、
前記ユーザにおすすめのファッションアイテムの商品情報を前記表示パネルに表示する表示制御部と、
を具備するミラー装置。
【請求項2】
前記商品情報には、前記店舗における在庫の有無をあらわす在庫情報が含まれ、
前記第1選択部は、
前記ユーザにおすすめのファッションアイテムの商品情報を選択する際、前記在庫情報に基づき、前記店舗に在庫のあるファッションアイテムの商品情報を優先して選択する、請求項
1に記載のミラー装置。
【請求項3】
前記第1選択部は、
前記ユーザにおすすめのファッションアイテムの商品情報として、前記店舗に在庫のある商品情報のみ選択する、請求項
2に記載のミラー装置。
【請求項4】
前記商品情報には、売上数をあらわすトレンド情報が含まれ、
前記第1選択部は、
前記在庫情報及び前記トレンド情報に基づき、前記店舗に在庫があり、かつ、売上数が高いファッションアイテムの商品情報を、売上数が高いもの順番に所定数選択する、請求項
2に記載のミラー装置。
【請求項5】
前記ユーザを撮像する撮像部と、
前記ユーザの着用アイテムをあらわす着用アイテム画像に基づいて、複数の前記商品情報の中から、前記着用アイテムに似合う着合わせアイテムの商品情報、または前記着用アイテムに類似する類似アイテムの商品情報の少なくともいずれかを選択する第2選択部と、をさらに備え、
前記表示制御部は、選択した前記着合わせアイテムの商品情報または前記類似アイテムの商品情報を前記表示パネルに表示する、請求項1に記載のミラー装置。
【請求項6】
前記第2選択部は、
前記ユーザが着用する複数の着用アイテムのそれぞれについて、前記着合わせアイテムの商品情報、または前記類似アイテムの商品情報の少なくともいずれかを選択する、請求項
5に記載のミラー装置。
【請求項7】
前記商品情報には、前記店舗における在庫の有無をあらわす在庫情報が含まれ、
前記第2選択部は、
前記着合わせアイテムの商品情報または前記類似アイテムの商品情報の少なくともいずれかを選択する際、前記在庫情報に基づき、前記店舗に在庫のある商品情報を優先して選択する、請求項
5または
6に記載のミラー装置。
【請求項8】
前記店舗に在庫がある前記商品情報には、前記店舗における当該ファッションアイテムの棚位置をあらわす棚位置情報が含まれ、
前記表示制御部は、
選択された前記商品情報に前記棚位置情報が含まれる場合には、当該ファッションアイテムの棚位置をあわせて前記表示パネルに表示する、請求項
5に記載のミラー装置。
【請求項9】
前記商品情報には、ファッションタイプをあらわすタイプ識別情報が含まれ、
前記ユーザから、好みのファッションタイプの診断に必要な嗜好情報を取得する第2取得部と、
前記嗜好情報に基づいて前記ユーザの好みのファッションタイプを診断するファッション診断部と、
前記ユーザの好みのファッションタイプの診断結果に基づいて、複数の前記商品情報の中から、当該時点の前記ユーザの好みのファッションタイプに合致するファッションアイテムの商品情報を選択する第3選択部と、をさらに備え、
前記表示制御部は、
前記ユーザの好みのファッションタイプに合致するファッションアイテムの商品情報を前記表示パネルに表示する、請求項1に記載のミラー装置。
【請求項10】
前記記憶部には、複数のコーディネート画像が記憶され、
前記第2取得部は、
前記複数のコーディネート画像から抽出した2枚の前記コーディネート画像を前記ユーザに提示し、好みのコーディネート画像を二者択一で選択させる操作を少なくとも複数回繰り返すことにより、前記嗜好情報を取得する、請求項
9に記載のミラー装置。
【請求項11】
半透過反射面を有するハーフミラーと、前記ハーフミラーの後側に配置され、表示画面を有する表示パネルと、を備えるミラー装置のコンピュータであって、前記コンピュータは、店舗が取り扱うファッションアイテム商品の商品情報を複数記憶する記憶部を備え、
前記コンピュータを、
前記ハーフミラーの前側に位置するユーザから、心理状態の診断に必要なマインド基礎情報を取得する第1取得部と、
前記マインド基礎情報に基づいて
AI(Artificial Intelligence)を利用して前記ユーザの心理状態を診断するマインド診断部と、
前記ユーザの心理状態の診断結果に基づいて、複数の前記商品情報の中から、その時点の前記ユーザにおすすめの
アイテムカラーを選択し、選択した前記アイテムカラーに合致したファッションアイテムの商品情報を選択する第1選択部と、
前記ユーザにおすすめのファッションアイテムの商品情報を前記表示パネルに表示する表示制御部として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アパレル関連施設など、ミラーを利用する各種施設で用いて好適なミラー装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
顧客等のユーザの鏡像を映し出すハーフミラーと、その後側に設けられた表示パネルを備えたミラー装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。ミラー装置は、ユーザが希望する衣服や小物などのファッションに関連するアイテム(以下、「ファッションアイテム」と総称)の画像を、ハーフミラーに映ったユーザの鏡像にあわせて表示パネルに表示することで、当該ユーザに仮想的に試着させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したミラー装置によれば、ユーザは、実際に試着をせずとも、自分に似合うファッションアイテムを見つけることが可能となる。しかしながら、仮想的な試着以外に提供できるサービスはなく、ユーザの満足度のさらなる向上が求められていた。
【0005】
本発明は、以上説明した事情を鑑みてなされたものであり、ユーザの満足度をさらに向上させることが可能なミラー装置等を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係るミラー装置は、半透過反射面を有するハーフミラーと、ハーフミラーの後側に配置され、表示画面を有する表示パネルと、を備えるミラー装置であって、店舗が取り扱うファッションアイテムの商品情報を複数記憶する記憶部と、ハーフミラーの前側に位置するユーザから、心理状態の判断に必要なマインド基礎情報を取得する第1取得部と、マインド基礎情報に基づいてユーザの心理状態を判断するマインド診断部と、ユーザの心理状態の判断結果に基づいて、複数の前記商品情報の中から、当該時点のユーザにおすすめのファッションアイテムの商品情報を選択する第1選択部と、ユーザにおすすめのファッションアイテムの商品情報を表示パネルに表示する表示制御部とを具備することを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザの満足度をさらに向上させることが可能なミラー装置等を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係るミラーサイネージシステムの概略構成を示す図である。
【
図3】ユーザ管理データベースの登録内容を例示した図である。
【
図4】商品管理データベースの登録内容を例示した図である。
【
図5】マインド診断処理を示すフローチャートである。
【
図7】カメラレコメンド処理を示すフローチャートである。
【
図9】ファッションタイプ診断処理を示すフローチャートである。
【
図10】表示パネルの表示内容を例示した図である。
【
図11】表示パネルの表示内容を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0010】
A.本実施形態
A-1.構成
図1は、本実施形態に係るミラーサイネージシステム1000の概略構成を示す図である。ミラーサイネージシステム1000は、各ユーザが所持するユーザ端末10と、ファッションアイテムを取り扱う店舗などに設けられたミラー装置100とを含んで構成される。ユーザ端末10とミラー装置100は、通信ネットワークNを介して相互通信可能に接続されている。通信ネットワークNは、例えば、インターネット、LAN、専用線、電話回線、企業内ネットワーク、移動体通信網、ブルートゥース(登録商標)、WiFi(Wireless Fidelity)、その他の通信回線、それらの組み合わせ等のいずれであってもよく、有線であるか無線であるかを問わない。
【0011】
ミラー装置100は、各店舗に設置される場合を想定するが、これに限る趣旨ではない。多数の店舗が入居するショッピングモールなどの場合には、フロアごとにミラー装置100を1台ずつ設置し、複数の店舗で共用してもよい。また、ユーザ端末10やミラー装置の数は、本システム1000を利用する店舗やユーザの数などに応じて任意に設定することができる。
【0012】
<ユーザ端末10>
ユーザ端末10は、各ユーザが利用する端末であり、タブレット端末、ハンドヘルドコンピュータデバイス、ウェアラブル端末、携帯電話、スマートフォンなどによって構成されている。また、ユーザ端末10は、本システム1000を利用するために必要なソフトウェアやブラウザ等を備えている。ユーザは、ソフトウェアやブラウザ等を動作させることで、本システム1000が提供する各種サービスを享受する。ソフトウェアは、ユーザ端末10にインストールする構成であってもよいが、管理サーバ(図示略)等から通信ネットワークNを介してソフトウェアの一部または全部の機能が提供される構成(いわゆるSaaS(Software as a Service)など)であってもよい。
【0013】
<ミラー装置100>
図2は、本実施形態に係るミラー装置100の構成を示す図である。
図1に示すように、ミラー装置100は、ハーフミラー101、表示パネル102、カメラ110、読取装置120、プリンタ130、及びコンピュータ140を備えて構成されている。その他にも、ミラー装置100は、スピーカーをはじめとする様々な音響システムを備えている。
【0014】
ハーフミラー101の後側には、表示パネル102が配置されている。ハーフミラー101は、例えば、プラスチックやガラス等の平板状透明基材の上に、反射材として、例えば銀やアルミニウムなどの金属膜をスパッタ等により形成したものである。ハーフミラー101の前側には、光の一部が透過できる半透過反射面101fが形成される。
【0015】
ハーフミラー101は、例えば、前側からの外光が強い状態においては通常のミラーとして機能する一方、当該ハーフミラー101の後側に配置された、表示パネル102から表示光が発せられた状態においては、当該ハーフミラー101を介して様々な映像を投影するディスプレイとして機能する。ユーザは、ハーフミラー101をタップ操作することで、通常のミラーとして機能させるか、ディスプレイとして機能させるかを選択することができる。
【0016】
よって、ハーフミラー101の前側に位置するユーザは、ハーフミラー101をミラーとして利用することで、自身の姿(すなわち、鏡像)を確認することができるとともに、ハーフミラー101をディスプレイとして利用することで、例えばユーザを撮像したユーザ画像や、おすすめのファッションアイテムの画像などを見ることができる。
【0017】
表示パネル102は、ハーフミラー101を介してタッチ操作可能なタッチパネルディスプレイであり、表示画面103を有する。表示パネル102は、例えば有機ELディスプレイパネル等の自発光型ディスプレイパネルによって構成される。自発光型のディスプレイパネルの代わりに、バックライト型や反射型のディスプレイパネルを用いてもよい。
【0018】
カメラ(撮像部)110は、例えばCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサまたはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどを用いたカメラであり、ハーフミラー101のいずれかの場所(例えば上方など)に埋め込んで設けられている。カメラ110は、ハーフミラー101の前側に位置するユーザを撮像する。ユーザを撮像した画像(ユーザ画像)は、コンピュータ140に出力される。
【0019】
読取装置120は、ユーザの会員IDのバーコードに含まれる情報(会員情報)や、商品に取付られたICタグに格納されている情報(商品情報)などを読み取るリーダ装置であり、例えばミラー装置100の外枠などに設けられている。読取装置120が読み取ったユーザの会員情報や、商品情報などは、コンピュータ140に出力される。
【0020】
プリンタ130は、ミラー装置100による各種診断結果や、読取装置120で読み取った商品情報などを印刷する装置であり、例えばミラー装置100に内蔵されている。
【0021】
コンピュータ140は、CPU等を備えた制御部141と、光ディスク装置、半導体メモリ、ハードディスク装置等からなる記憶装置142と、タッチパネル等からなる入力部143と、ISDNモデム、ADSLモデム、ケーブルモデム、光モデム、ソフトモデム等からなる通信部144とを備えている。制御部141は、記憶装置142に格納された様々のプログラムを実行することにより、コンピュータ140の各部を中枢的に制御する。
【0022】
記憶装置142には、カメラ110によって撮影された各ユーザのユーザ画像や、ファッションに関する様々な提案を行うためのアプリケーション(以下、ファッション・アプリAP)、各種動画コンテンツ(広告など)が格納されている。
【0023】
ファッション・アプリAPとは、ミラー装置100を利用してユーザの心理状態(マインド)を診断したり、ユーザのファッションタイプを診断したり、ユーザが着用しているアイテム(着用アイテム)にあわせて、おすすめのファッションアイテムを提案等することが可能となっている。もっとも、これらはあくまで一例にすぎず、例えばユーザの顔タイプの診断や、ユーザに似合う色(いわゆるパーソナルカラー)の診断なども可能となっている。
【0024】
<ユーザ管理データベースDB1>
図3は、記憶装置142に格納されているユーザ管理データベースDB1の登録内容を例示した図である。
ユーザ管理データベースDB1には、ユーザごとに、識別IDと個人情報が対応づけて登録されている。基本個人情報としては、ユーザの氏名、年齢、性別、生年月日、居住所、電話番号、メールアドレスやSNSのアカウント名などのほか、利用する店舗の店舗IDやメールアドレス、電話番号などのコンタクト情報、過去の利用履歴を示す履歴情報(例えば、購入した商品の内容や購入年月日など)、ユーザ画像(全身の着用アイテム画像や顔画像など)が含まれる。制御部141は、ユーザ管理データベースDB1への個人情報の新規登録・更新(修正、削除なども含む)などを行う。
【0025】
<商品管理データベースDB2>
図4は、記憶装置142に格納されている商品管理データベースDB2の登録内容を例示した図である。
商品管理データベース(記憶部)DB2には、店舗が取り扱うファッションアイテムの商品ごとに、識別IDと商品情報が対応づけて登録されている。商品情報には、商品名、商品の種類(例えば、トップス、パンツ、シューズ、アクセサリーなど)、色、柄、サイズ、素材、価格などのほか、在庫情報(例えば、実店舗やオンラインストアでの在庫の有無、在庫数など)、トレンド情報(例えば、現時点までの売上数、ユーザからのレビュー内容、レビュー数など)、実店舗に在庫がある商品については棚位置情報(例えば、商品が陳列されている棚位置など)、ファッションタイプをあらわすタイプ識別情報(例えば、デニムコーディネートにおすすめのアイテムであれば「デニムコーデ」など)、当該商品を着用している様々な人のスナップ写真画像などが含まれる。制御部141は、商品管理データベースDB2への商品情報の新規登録・更新(修正、削除なども含む)などを行う。
上記例では、各データベースDB1、DB2に登録されているすべての情報が記憶装置142に記憶されている態様を例示したが、これに限る趣旨ではない。例えば、各データベースDB1、DB2に登録されている情報のうち、各ユーザのパーソナルな情報(例えば、基本個人情報や履歴情報など)については、自社のCDP(Customer Data Platform)を活用して複数の外部ソースから収集し、分析するようにしてもよい。この場合、CDPによるユーザの分析結果を利用して、各ユーザに見合った適切な情報(例えば、ユーザのお気に入り商品に関するセール情報など)を配信するようにしてもよい。
また、ミラー装置100を保守・管理する関係者等は、コンピュータに搭載された個人情報や商品情報に関するログのメンテナンス機能を利用して、ユーザの操作状況(例えば、エラーの発生有無など)を監視してもよい。ここで、なんらかのエラーが検出された場合には、リモートでアクセスすることにより、エラーの原因を特定・解消することが可能となる。また、各ユーザの利用状況に関するログをトラッキング(ログ解析)することで、顧客属性や購買貢献などを分析してもよい。
【0026】
A-2.各種機能
以下、制御部141がファッション・アプリAPを実行することによって実現される各種機能について説明する。前提として、ユーザはミラー装置100の前面に立ち、ハーフミラー101を介して表示パネル102をタッチ操作する場合を想定する。
【0027】
<マインド診断機能>
マインド診断機能は、現在のユーザの心理状態(運勢などを含む)を診断し、診断結果に基づいて、当該時点でユーザにおすすめのファッションアイテムを選択し、選択したファッションアイテムの商品情報を提示する機能である。
【0028】
図5は、制御部141によって実行されるマインド診断処理を示すフローチャートである。
ユーザが表示パネル102を操作することでマインド診断機能を選択すると、制御部141は、ユーザに対して、心理状態の診断に必要なマインド基礎情報(ここでは、自分の星座と、その時の気分で気に入ったカラー(色)など)の入力を促す(ステップS101)。制御部(第1取得部、マインド診断部)は、マインド基礎情報を取得すると、搭載されたAI(Artificial Intelligence)を利用して、その時点のユーザの心理状態を診断する(ステップS102)。
【0029】
一例として、制御部141は、入力されたマインド基礎情報に基づいて、「今日は直感が冴える日でしょう。元気に活動していきましょう!」といった診断結果を下す。制御部(第1選択部)141は、このような心理状態の診断結果に基づき、商品管理データベースDB2に登録されている複数の商品の中から、当該ユーザにおすすめのファッションアイテムを選択する。より具体的には、制御部141は、まず、心理状態の診断結果に基づき、ユーザにおすすめのファッションアイテム(以下、ラッキーアイテム)を選択するとともに、おすすめのアイテムカラー(以下、ラッキーカラー)を選択する(ステップS103)。
【0030】
一例として、制御部141は、ラッキーアイテムとして「トートバッグ」を選択するとともに、ラッキーカラーとして「チャコールグレー」を選択する。制御部141は、商品管理データベースDB2の中から、選択したラッキーアイテムや、ラッキーカラーに合致する、ユーザにおすすめのファッションアイテムの商品情報を選択する(ステップS104)。そして、制御部(表示制御部)141は、
図6に示すように、心理状態の診断結果とともに、選択したユーザにおすすめのファッションアイテムの商品情報IF1を表示パネル102に表示し(ステップS105)、処理を終了する。
【0031】
以上説明したマインド診断機能により、各ユーザの心理状態(運勢など)を提示できるだけでなく、各ユーザの現在の心理状態を反映したおすすめのファッションアイテムを提案することが可能となる。
【0032】
(応用例)
ここで、制御部141は、ユーザにおすすめのファッションアイテムの商品情報が複数ある場合には、在庫がある商品を優先的に表示してもよい。上述したように、各商品情報には、在庫情報(例えば、実店舗やオンラインストアでの在庫の有無、個数など)が含まれる。制御部(第1選択部)141は、ユーザにおすすめのファッションアイテムの商品情報を選択する場合には、在庫がある商品から順番に所定数(例えば、10アイテムなど)抽出し、これを表示パネル102に表示してもよい。この場合、制御部141は、在庫数が多いものから順番に表示してもよく、また、在庫があるもののみを表示してもよい。在庫がないファッションアイテムを表示対象から外すことで、気に入ったファッションアイテムを見つけたにも関わらず、その商品が在庫切れで購入できないために、他のファッションアイテムも含めて購入意欲が減退してしまう、という懸念を払拭することができる。
【0033】
なお、おすすめのファッションアイテムの商品情報に関して、在庫があるもののみを表示対象とするか、在庫がないものも含めて表示対象とするか、マインド診断機能を利用するユーザが適宜選択できるようにしてもよい。
【0034】
さらに、制御部(表示制御部)141は、実店舗に在庫がある商品については、商品情報に含まれる棚位置情報を利用して、その商品が店舗内のどこに存在するのか、棚位置マップで表示してもよい。ここで、ミラー装置100をショッピングモールなどに導入している場合には、その商品を取り扱っている店舗の位置を、フロアマップで表示してもよい。この場合、商品情報には、在庫がある商品を取り扱う店舗の位置をあらわすフロアマップ情報を含めるようにすればよい。
【0035】
また、制御部(第1選択部)141は、在庫情報のみならず、トレンド情報もあわせて利用してユーザにおすすめのファッションアイテムの商品情報を選択してもよい。制御部141は、在庫情報及びトレンド情報に基づき、在庫があり、かつ、売上数が高い(またはユーザレビュー数が多い)ものから順番に所定数抽出し、これを表示パネル102に表示してもよい。
なお、ミラー装置100には、いわゆるお気に入り登録機能が搭載されている。各ユーザは、提案されたファッションアイテムが気に入ると、タップ操作によってお気に入り登録する。お気に入り登録したファッションアイテムが実店舗にある場合、ユーザは、その場で購入することも可能であり、また、実店舗に在庫等がない場合でも、後日、EC(Electronic Commerce)サイトを通じて当該ファッションアイテムを購入することができ、これまでにない新たな買い物体験をすることができる。
以上説明した応用例は、マインド診断機能だけでなく、以下に示すカメラレコメンド機能、ファッション診断機能にも適用可能である。
【0036】
<カメラレコメンド機能>
カメラレコメンド機能は、カメラ110によって撮像されたユーザが着用するファッションアイテム(着用アイテム)を解析し、解析結果に基づいて、着用アイテムに似合う着合わせアイテムや類似アイテムを選択し、選択したファッションアイテムの商品情報を提示する機能である。
【0037】
図7は、制御部141によって実行されるカメラレコメンド処理を示すフローチャートである。
ユーザが表示パネル102を操作することでカメラレコメンド機能を選択すると、制御部141は、カメラ110を利用してハーフミラー101の前側に立つユーザの全身を撮像し(ステップS201)、ユーザの着用アイテムをあらわす着用アイテム画像を取得する(ステップS202)。制御部141は、着用アイテム画像を取得すると、搭載された画像認識AIを利用して、ユーザの着用アイテムを解析する。
【0038】
詳述すると、制御部141は、まず、ユーザの着用アイテム画像に基づいて、着用アイテムを種類別に分類(例えば、パンツ、ジャケット、バッグ、シューズ、帽子など)する(ステップS203)。そして、制御部(第2選択部)141は、商品管理データベースDB2を参照し、分類した着用アイテムごとに、着合わせアイテムや類似アイテムを選択する(ステップS204)。一例として、着用アイテム「パンツ」については、制御部141は、着合わせアイテムとして「Tシャツ」や「タンクトップ」などを選択し、類似アイテムとして素材や色が似ている「デニムパンツ」や「トレッキングパンツ」などを選択する。かかる選択を行うと、制御部141は、商品管理データベースDB2に登録されている複数の商品情報の中から、着用アイテムごとに選択した着合わせアイテムや類似アイテムを抽出する。
【0039】
そして、制御部(表示制御部)141は、
図8に示すように、ユーザの着用アイテムをあらわす着用アイテム画像とともに、着用アイテムごとに、抽出した着合わせアイテムや類似アイテムの商品情報IF2を表示パネル102に表示し(ステップS205)、処理を終了する。
【0040】
なお、いずれの着用アイテムについて、着合わせアイテムや類似アイテムの商品情報を表示するかは、ユーザが選択できるようにしてもよい。例えば、ユーザがミラー装置100をタッチ操作して「パンツ」を選択した場合には、制御部141は、ユーザが選択した着用アイテム(ここでは、「パンツ」)に似合う着合わせアイテムや類似アイテムの商品情報を表示パネル102に表示すればよい。
【0041】
以上説明したカメラレコメンド機能により、各ユーザが来店時に着用していたアイテムに対する他のコーディネート提案や、当該店舗が取り扱う商品を使った幅広いコーディネート提案などが可能となる。
【0042】
<ファッションタイプ診断機能>
ファッションタイプ診断機能は、ユーザの好みのファッションタイプを診断し、診断結果に基づいて、当該時点でユーザの好みのファッションタイプに合致する、おすすめのファッションアイテムを選択し、選択したファッションアイテムの商品情報を提示する機能である。
【0043】
図9は、制御部141によって実行されるファッションタイプ診断処理を示すフローチャートである。
ユーザが表示パネル102を操作することでファッションタイプ診断機能を選択すると、制御部141は、ユーザに対して、好みのファッションタイプの判断に必要な嗜好情報の入力を促す(ステップS301)。
【0044】
具体的には、制御部141は、
図10に示すような、他人のコーディネート画像(すなわち、様々なファッションアイテムを着用している画像)IF3を表示パネル102に2枚ずつ表示し、ユーザに好みのコーディネート画像IF3を二者択一で選択させる。制御部(第2取得部)141は、好みのコーディネート画像IF3を二者択一で選択させる操作を複数回(例えば、10回)繰り返し行うことで、ユーザの好みのファッションタイプの判断に必要な嗜好情報を取得する。なお、多数のコーディネート画像IF3は、例えば外部サーバから順次アップロードされ、記憶装置142に格納される。
【0045】
ユーザによって嗜好情報が入力されると、制御部(ファッション診断部)141は、搭載されたAIを利用して、その時点のユーザの好みのファッションタイプを診断する(ステップS302)。
【0046】
一例として、制御部141は、入力された嗜好情報に基づき、ユーザの好みのファッションタイプは「ロゴT」と「デニムコーデ」と「ワントーンコーデ」である、といった診断結果を下す。なお、診断可能なファッションタイプの種類や数は、予めシステム側で設定すればよい。
【0047】
制御部(第3選択部)141は、このようなファッションタイプの診断結果に基づき、商品管理データベースDB2に登録されている複数の商品の中から、当該ユーザの好みのファッションタイプに合致する商品を選択する(ステップS303)。例えば、ユーザの好みのファッションタイプが「ロゴT」と「デニムコーデ」と「ワントーンコーデ」であれば、制御部141は、商品管理データベースDB2の中から、「ロゴT」や「デニムコーデ」、「ワントーンコーデ」のタイプ識別情報が付与されているファッションアイテムを特定する。
【0048】
そして、制御部141は、特定したタイプ識別情報が付与されているファッションアイテムの商品情報を、ユーザの好みのファッションタイプに合致するファッションアイテムの商品情報として選択する(ステップS304)。制御部(表示制御部)141は、
図11に示すように、ファッション診断結果とともに、選択したファッションアイテムの商品情報(具体的には、スナップ写真画像)IF4を表示パネル102に表示し(ステップS305)、処理を終了する。
【0049】
以上説明したファッション診断機能により、各ユーザは、自身でも気づかなかった好みのファッションタイプを知ることができ、自身のコーディネートの幅を広げることが可能となる。
【0050】
なお、ユーザは、プリンタ130を利用することで、自身の診断結果などが印刷されたオリジナルの診断カルテを出力することができる。また、診断カルテなどは、表示パネル102に表示されるQRコード(登録商標)をユーザ端末10で読み取ることで、ダウンロードすることができる。
【0051】
B.その他
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、他の様々な形で実施することができる。このため、上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。例えば、上述した各処理ステップは処理内容に矛盾を生じない範囲で任意に順番を変更し、または並列に実行することができる。また、上述したマインド診断処理においては、ユーザにおすすめのファッションアイテムおよびアイテムカラーの両方を選択したが、いずれか一方を選択してもよい。同様に、上述したカメラレコメンド処理においては、着合わせアイテムおよび類似アイテムの両方を選択したが、いずれか一方を選択してもよい。
また、ミラー装置100は、各ユーザが診断カルテのデータをダウンロードする際に、SNS(Social Networking Service)に搭載された各機能(例えば、ID連携やメッセージ送受信機能など)を利用して店舗が取り扱うファッションアイテムの情報などを配信してもよい。また、ミラー装置100は、各ユーザのユーザ画像をもとにアバター(仮想空間内のユーザの分身)を作成し、メタバース(仮想空間)上のバーチャル店舗などで利用できるようにしてもよい。
また、AR(Augmented Reality)機能を利用して仮想的なファッションアイテムなどを着用したユーザの合成画像を作成し、出力できるようにしてもよい。
また、ユーザ画像に基づいて骨格診断等を行い、そのユーザの身体のライン(骨格、筋肉のつき方、関節の大きさなど)に似合うファッションアイテムや、コーディネート方法などを提案してもよい。さらに、そのときのユーザの心理状態などに基づいて香り診断を行い、当該ユーザにおすすめの香水などを提案したり、香りによる空間演出を行ってもよい。
また、ミラー装置100が撮像したユーザの試着画像や動画などは、ユーザからの要求に応じてユーザ端末10に送信してもよい。
また、ミラー装置100を利用して各診断を実施したユーザに対しては、当該店舗において利用可能な期間限定(例えば、当日限りなど)のクーポンを配布するなど、何らかの特典を与えてもよい。なお、ユーザに付与する特典は、ユーザが利用した診断の数や種類などに応じて設定・変更できるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1000…ミラーサイネージシステム、10…ユーザ端末、100…ミラー装置、101…ハーフミラー、102…表示パネル、103…表示画面、110…カメラ、120…読取装置、130…プリンタ、140…コンピュータ、141…制御部、142…記憶装置、143…入力部、144…通信部、DB1…ユーザ管理データベース、DB2…商品管理データベース
【要約】
【課題】ユーザの満足度をさらに向上させることが可能なミラー装置等を提供する。
【解決手段】ミラー装置100のコンピュータ140は、店舗が取り扱うファッションアイテムの商品情報を複数記憶する記憶部と、ハーフミラーの前側に位置するユーザから、心理状態の判断に必要なマインド基礎情報を取得する第1取得部と、マインド基礎情報に基づいてユーザの心理状態を判断するマインド診断部と、ユーザの心理状態の判断結果に基づいて、複数の商品情報の中から、当該時点のユーザにおすすめのファッションアイテムの商品情報を選択する第1選択部と、ユーザにおすすめのファッションアイテムの商品情報を表示パネルに表示する表示制御部と、を具備する。
【選択図】
図2