(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-05
(45)【発行日】2024-02-14
(54)【発明の名称】切り換え可能な光学機能部品及びその製造方法と製造装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/13 20060101AFI20240206BHJP
G02F 1/1337 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
G02F1/13 505
G02F1/1337
(21)【出願番号】P 2022565871
(86)(22)【出願日】2022-03-02
(86)【国際出願番号】 CN2022078812
(87)【国際公開番号】W WO2022262318
(87)【国際公開日】2022-12-22
【審査請求日】2022-10-26
(31)【優先権主張番号】202110670713.9
(32)【優先日】2021-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522420605
【氏名又は名称】縦深視覚科技(南京)有限責任公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】劉明礼
(72)【発明者】
【氏名】董旭升
(72)【発明者】
【氏名】張建偉
【審査官】横井 亜矢子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106199780(CN,A)
【文献】特表2016-509966(JP,A)
【文献】特開2008-003606(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102898833(CN,A)
【文献】特開2008-020662(JP,A)
【文献】特開平11-287983(JP,A)
【文献】特開平04-146474(JP,A)
【文献】特開2011-150324(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109324420(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13
G02F 1/1337
G02B 27/00-30/60
G09F 9/00
H04N 13/00-17/06
G03B 21/00-21/10
G03B 21/12-21/13
G03B 21/134-21/30
G03B 35/00
G09G 3/20
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
切り換え可能な光学機能部品の製造方法であって、
光学構造成形プロセスを用いて
、柱状レンズである目標の光学構造を製造し、前記目標の光学構造の製造材料が有機材料及びナノ粒子材料であり、前記ナノ粒子材料が複屈折材料の配向を助けるために用いられ、前記
目標の光学構造が光を変調するように構成されることと、
前記目標の光学構造の表面を摩擦して溝を生成することと、
前記目標の光学構造、第1の基板及び前記目標の光学構造と前記第1の基板の間に充填された複屈折材料に対してボックス形成プロセス操作を実行し、目標の切り換え可能な光学機能部品を製造して取得することとを含む、方法。
【請求項2】
前記光学構造成形プロセスを用いて目標の光学構造を製造することは、前記目標の光学構造をベークし、ベーク温度が160℃~180℃であり、ベーク時間が6時間~10時間であることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記溝の
延伸方向は前記
目標の光学構造の
長さの方向と平行である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記溝の深さは3nm~25nmである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記した前記目標の光学構造、第1の基板及び前記目標の光学構造と前記第1の基板の間に充填された複屈折材料に対してボックス形成プロセス操作を実行することは、
前記第1の基板と前記目標の光学構造の間に支持体を、前記第1の基板を前記目標の光学構造から分離させるように設けることと、
前記支持体が設けられた前記第1の基板、前記目標の光学構造及び前記複屈折材料に対してボックス形成プロセス操作を実行することとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記した前記目標の光学構造、第1の基板及び前記目標の光学構造と前記第1の基板の間に充填された複屈折材料に対してボックス形成プロセス操作を実行し、目標の切り換え可能な光学機能部品を製造して取得した後に、
前記目標の切り換え可能な光学機能部品を所定温度まで加熱することと、
所定時間長内で前記目標の切り換え可能な光学機能部品の温度を前記所定温度に維持することと、
所定降温速度に従って前記目標の切り換え可能な光学機能部品を降温し、前記複屈折材料の再配向を完了し、ただし、前記複屈折材料が液晶材料であることとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記所定温度は前記液晶材料の透明点よりも4℃~15℃超え、前記所定時間長は15分~35分であり、前記所定降温速度は毎分4℃未満であり、ただし、前記降温の温度区間は液晶透明点の±15℃以内である、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
切り換え可能な光学機能部品の製造装置であって、
光学構造成形プロセスを用いて
柱状レンズである目標の光学構造を製造するように構成されるレンズ製造モジュールであって、前記目標の光学構造の製造材料が有機材料及びナノ粒子材料であり、前記ナノ粒子材料が複屈折材料の配向を助けるために用いられ、前記
目標の光学構造が光を変調するように構成されるレンズ製造モジュールと、
前記目標の光学構造の表面を摩擦して溝を生成するように構成されるレンズ摩擦モジュールと、
前記目標の光学構造、第1の基板及び前記目標の光学構造と前記第1の基板の間に充填された複屈折材料に対してボックス形成プロセス操作を実行し、目標の切り換え可能な光学機能部品を製造して取得するように構成されるレンズボックス形成モジュールとを含む、装置。
【請求項9】
前記レンズボックス形成モジュールは、
前記目標の切り換え可能な光学機能部品を所定温度まで加熱し、所定時間長内で前記目標の切り換え可能な光学機能部品の温度を前記所定温度に維持し、所定降温速度に従って前記目標の切り換え可能な光学機能部品を降温し、前記複屈折材料の再配向を完了し、ただし、前記複屈折材料は液晶材料であるように構成される液晶再配向ユニットを含む、請求項
8に記載の装置。
【請求項10】
第1の基板、第2の基板
、及び
柱状レンズである目標の光学構造を含み、
前記
目標の光学構造は前記第1の基板と前記第2の基板の間にあり、
前記目標の光学構造の製造材料が有機材料及びナノ粒子材料であり、前記ナノ粒子材料が複屈折材料の配向を助けるために用いられ、前記目標の光学構造が光を変調するように構成され、前記
目標の光学構造の表面に摩擦による溝があり、
前記第1の基板と前記光学構造の間に複屈折材料が充填される、切り換え可能な光学機能部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年6月17日に中国専利局に出願された出願番号が第202110670713.9号の中国専利出願の優先権を主張し、当該出願の全ての内容が参照によって本願に援用される。
【0002】
本願の実施例は裸眼立体視表示の分野に関し、例えば、切り換え可能な光学機能部品及び製造方法と製造装置に関する。
【背景技術】
【0003】
一般的な立体視表示技術は、3Dメガネを利用して異なる画像情報をそれぞれ左右の目に伝送することを実現する。裸眼立体視表示は、メガネ型3Dによるメガネの束縛から解放され、視聴者の快適性を向上させる。したがって、裸眼立体視表示は未来の発展方向及び目標である。関連技術における切り換え可能な光学機能部品(液晶レンズパネル)により裸眼立体視表示を実現する技術においては、光学構造(柱状レンズ)の表面に配向液を塗布、ベーク及び摩擦することにより液晶配向を完成する必要がある。柱状レンズの形状であることから、配向液が柱状レンズの表面に谷底堆積を発生させ、柱状レンズの表面様子を変えてしまい、柱状レンズの光学効果に大きな影響を与え、視聴者の快適性を低下させる。
【発明の概要】
【0004】
本願の実施例は、レンズの加工コストを節約し、配向液の谷底堆積の問題を解消することにより、柱状レンズの光学効果を向上させ、視聴者の使用体験を向上させる技術的効果を達成するように、切り換え可能な光学機能部品及びその製造方法と製造装置を提供する。
【0005】
第1の態様では、本願の実施例は切り換え可能な光学機能部品の製造方法を提供し、該製造方法は、
光学構造の成形プロセスを用いて目標の光学構造を製造し、前記目標の光学構造の製造材料が有機材料及びナノ粒子材料であり、前記ナノ粒子材料が複屈折材料の配向を助けるために用いられ、前記光学構造が光を変調するように構成されることと、
前記目標の光学構造の表面を摩擦して溝を生成することと、
前記目標の光学構造、第1の基板及び前記目標の光学構造と前記第1の基板の間に充填された複屈折材料に対してボックス形成プロセス操作を実行し、目標の切り換え可能な光学機能部品を製造して取得することとを含む。
【0006】
第2の態様では、本願の実施例は液晶レンズの製造装置をさらに提供し、該製造装置は、
光学構造の成形プロセスを用いて目標の光学構造を製造するように構成されるレンズ製造モジュールであって、前記目標の光学構造の製造材料が有機材料及びナノ粒子材料であり、前記ナノ粒子材料が複屈折材料の配向を助けるために用いられ、前記光学構造が光を変調するように構成されるレンズ製造モジュールと、
前記目標の光学構造の表面を摩擦して溝を生成するように構成されるレンズ摩擦モジュールと、
前記目標の光学構造、第1の基板及び前記目標の光学構造と前記第1の基板の間に充填された複屈折材料に対してボックス形成プロセス操作を実行し、目標の切り換え可能な光学機能部品を製造して取得するように構成されるレンズボックス形成モジュールとを含む。
【0007】
第3の態様では、本願の実施例は切り換え可能な光学機能部品をさらに提供し、該光学機能部品は、
第1の基板、第2の基板及び光学構造を含み、
前記光学構造は前記第1の基板と前記第2の基板の間にあり、前記光学構造の表面に摩擦による溝があり、
前記第1の基板と前記光学構造の間に複屈折材料が充填される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図面は、例示的な実施形態を示すことのみを目的としており、本願を限定するものと見なされない。また、図面全体において同一の部材には同一の参照符号を付している。
【0009】
【
図1】本願の一実施例に係る切り換え可能な光学機能部品の製造方法のフローチャートである。
【
図2】本願の実施例に係る光学構造の構造模式図である。
【
図3】実施例に係る切り換え可能な光学機能部品の製造プロセスのフローチャートである。
【
図4】本願の一実施例に係る他の切り換え可能な光学機能部品の製造方法のフローチャートである。
【
図5】本願の実施例に係る切り換え可能な光学機能部品の構造模式図である。
【
図6】本願の一実施例に係る切り換え可能な光学機能部品の製造装置の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面及び実施例を参照しながら、本願についてさらに詳細に説明する。ここで説明される具体的な実施例は、本願を解釈するためのものに過ぎず、本願を限定するものではないことが理解できる。なお、説明を容易にするために、図面には、すべての構造ではなく、本願に関連する一部だけ示している。
【0011】
例示的な実施例をより詳細に検討する前に、いくつかの例示的な実施例がフローチャートとして示される処理又は方法として説明されることに言及すべきである。フローチャートでは、複数の操作(又はステップ)を一連の処理として説明しているが、そのうちの多くの操作を並行して、一斉に、又は同時に実施することができる。また、複数の操作の順序を並べ替えることができる。操作が完了したときに処理を終了できるが、図面に含まれていない追加のステップを有してもよい。前記処理は、方法、関数、標準、サブルーチン、サブプログラムなどに対応可能である。
【0012】
図1は本願の一実施例に係る切り換え可能な光学機能部品の製造方法のフローチャートであり、該方法は柱状レンズ光学構造を用いて切り換え可能な光学機能部品を製造する場合に適用可能であり、該方法は液晶レンズの製造装置により実行されてもよく、該装置はソフトウェア及び/又はハードウェアにより実現されてもよく、電子機器に集積されてもよい。
図1に示すように、本実施例における液晶レンズの製造方法は以下のステップを含む。
【0013】
S110では、光学構造の成形プロセスを用いて目標の光学構造を製造し、前記目標の光学構造の製造材料が有機材料及びナノ粒子材料であり、前記ナノ粒子材料が複屈折材料の配向を助けるために用いられ、前記光学構造が光を変調するように構成される。
【0014】
関連技術では、液晶レンズを製造する過程において、すべて柱状レンズに1層の配向液を塗布又は印刷してからベークし、柱状レンズの表面に1層の配向膜を形成し、間隔基板上の配向膜と一緒に液晶の配向を完了するために用いられる。配向液が湾曲したレンズの表面に塗布されるため、重力の作用でレンズが凹んでいる谷底で堆積が発生し、ベークした後に一部の物質が残り、柱状レンズの光学効果に影響を与え、これにより立体視表示システムのクロストークが増加し、視聴者の快適性が低下する。
【0015】
ただし、従来の光学構造の成形プロセスを用いて目標の光学構造を製造し、
図2に示すように、本実施例における光学構造は柱状レンズであってもよい。製造された柱状レンズ構造は、レンズ基板であってもよい第2の基板210と、酸化インジウムスズ(Indium tin oxide,ITO)電極であってもよく、他の透明な導電性材料であってもよいレンズ電極220と、有機材料及びナノ粒子材料からなり、有機材料は透明な樹脂材料であってもよいレンズ230とを含む。ナノ粒子材料は酸化ジルコニウムであってもよく、液晶の配向に寄与する他の物質であってもよい。酸化ジルコニウムを用いて柱状レンズの製造材料とした場合、酸化ジルコニウムの柱状レンズの総材料における割合は3%~20%である。
図2におけるレンズの様子は凸レンズであるが、実際には、本形態における柱状レンズの様子は凹レンズであってもよく、他のタイプのレンズであってもよい。
【0016】
上記の技術案を採用し、ナノ粒子材料によって酸化ジルコニウムは元の配向液の作用を発揮し、液晶の配向を完了し、配向液の塗布とベークのプロセスの一部を省略し、配向液材料の使用量を削減し、製造フローを最適化し、製造コストを節約することができる。
【0017】
本実施例の1つの例示的な形態において、本実施例における1つ又は複数の例示的な形態と組み合わせてもよい。前記光学構造の成形プロセスは前記目標の光学構造をベークし、ベーク温度が160℃~180℃であり、ベーク時間が6時間~10時間であることを含む。例えば、ベーク温度が160℃、170℃又は180℃であってもよく、ベーク時間が6時間、7時間、8時間、10時間であってもよい。
【0018】
S120では、前記目標の光学構造の表面を摩擦して溝を生成する。
【0019】
ただし、
図2に示すように、溝240は、関連技術における配向液をベークした後に得られた配向膜を摩擦して生成した溝の代わりに、直接光学構造の表面を摩擦して生成した溝である。関連技術では、配向膜を摩擦することにより、摩擦による溝及び配向膜物質で液晶の配向を完了する。本願では、目標の光学構造、つまり、目標の柱状レンズの製造材料に配向膜物質の代わりにナノ粒子材料を加え、且つ直接柱状レンズに対して摩擦する。立体視表示装置では、柱状液晶レンズは図像表示装置に連結され、柱状レンズの表面を摩擦するときに、摩擦の方向は図像表示装置の偏光子の透過軸方向と平行であってもよい。
【0020】
本実施例の1つの例示的な形態において、本実施例における1つ又は複数の例示的な形態と組み合わせてもよい。前記目標の光学構造の表面を摩擦して溝を生成する方向は前記光学構造表面と平行である方向であり、前記溝の深さは3nm~25nmである。例えば、溝の深さは3nm、5nm、10nm、15nm、25nmである。
【0021】
S130では、前記目標の光学構造、第1の基板及び前記目標の光学構造と前記第1の基板の間に充填された複屈折材料に対してボックス形成プロセス操作を実行し、目標の切り換え可能な光学機能部品を製造して取得する。
【0022】
ここで、切り換え可能な光学機能部品の製造プロセスフローは、
図3に示すように、本実施例において、目標の切り換え可能な光学機能部品は液晶レンズであってもよい。柱状レンズ成形のプロセスフローにおいて、第2の基板でレンズのインプリントをしてレンズを露光、洗浄及びベークし、ベークが完了した後に柱状レンズの表面を摩擦して溝を生成する。第1の基板及び第1の基板上の電極部分に対して塗布、ベーク及び摩擦を含む配向液処理を行い、
図3における間隔基板は第1の基板であり、間隔電極は第1の基板上の電極である。第1の基板と柱状レンズに対してシーラント(Sealant)を塗布した後に、柱状レンズと間隔電極上の配向膜との間に複屈折材料をドリップし、複屈折材料は液晶材料であってもよく、次にシーラント塗布、真空貼合及びシーラント硬化を行い、最後に切り換え可能な光学機能部品のボックス形成プロセスを完了する。
【0023】
本実施例の1つの例示的な形態において、本実施例における1つ又は複数の例示的な形態と組み合わせてもよい。液晶レンズの製造プロセスフローにおいて、柱状レンズに対する摩擦工程はさらにレンズのベーク工程の前に行われてもよい。
【0024】
ただし、柱状レンズの製造過程において、レンズの表面に対する摩擦ステップとレンズに対するベークステップを順次入れ替えることができる。
【0025】
本実施例の技術案では、光学構造の成形プロセスを用いて目標の光学構造を製造し、目標の光学構造の製造材料が有機材料及びナノ粒子材料であり、ナノ粒子材料が複屈折材料の配向を助けるために用いられ、光学構造が光を変調するように構成され、目標の光学構造の表面を摩擦して溝を生成し、目標の光学構造、第1の基板及び前記目標の光学構造と第1の基板の間に充填された複屈折材料に対してボックス形成プロセス操作を実行し、目標の切り換え可能な光学機能部品を製造して取得することにより、レンズの加工コストを節約し、配向液の谷底堆積の問題を解消することで、柱状レンズの光学効果を向上させ、視聴者の使用体験を向上させる技術的効果を達成する。
【0026】
図4は本願の実施例に係る他の切り換え可能な光学機能部品の製造方法のフローチャートである。本願の実施例では、上記の実施例に基づいて前述の実施例を精細化し、本願の実施例は上記の1つ又は複数の実施例における複数の例示的な形態と組み合わせてもよい。
図4に示すように、本願の実施例に係る切り換え可能な光学機能部品の製造方法は、以下のステップを含んでもよい。
【0027】
S410では、光学構造の成形プロセスを用いて目標の光学構造を製造し、前記目標の光学構造の製造材料が有機材料及びナノ粒子材料であり、前記ナノ粒子材料が複屈折材料の配向を助けるために用いられ、前記光学構造が光を変調するように構成される。
【0028】
S420では、前記目標の光学構造の表面を摩擦して溝を生成する。
【0029】
S430では、前記第1の基板と前記目標の光学構造の間に第1の基板を前記目標の光学構造から分離させるための支持体を設ける。例えば、支持体は第1の基板上の配向膜を前記目標の光学構造から分離させるための支持柱又はスプレー間隔球であってもよい。
【0030】
ただし、現在、関連技術では、柱状レンズに配向液を用いず配向を完了し、直接レンズの表面を摩擦して溝を生成する技術案もあるが、この形態では、柱状レンズの製造材料を変更せず、且つ配向要求を達成するために、第1の基板の配向膜を直接柱状レンズの上表面に接触させる必要があり、これにより頂部領域の光学効果が変化し、頂部領域のクロストークの増加につながる。
【0031】
本形態では、切り換え可能な光学機能部品の構造図は、
図5に示すように、第1の基板510上に間隔柱540が設けられ、間隔柱540は黄色光プロセス、又は印刷プロセスによって実現されてもよく、間隔球を散布する方法で間隔作用を実現してもよく、間隔柱の高さ範囲は2μm~13μmであり、間隔柱の材料はUV樹脂又は他の有機材料であってもよく、色は黒色又は透明色であってもよい。第1の基板510と間隔柱540の間に間隔電極520と配向液で塗布してベークされた後に得られた配向膜530とがさらにあり、配向膜530の材料はポリイミドであってもよい。間隔柱540の作用は第1の基板510を柱状レンズから分離させ、中間に液晶材料550を収容させることである。
【0032】
上記の技術案を採用し、ナノ粒子材料を用いて製造された柱状レンズにより、間隔柱又は間隔球により間隔基板を柱状レンズから分離させ、プロセスフローを最適化し、配向膜プロセスを減少させ、配向膜材料の使用量を削減し、コストを節約すると同時に、レンズ頂部のクロストークの問題を解決する。
【0033】
S440では、支持体が設けられた前記第1の基板、前記目標の光学構造及び前記複屈折材料に対してボックス形成プロセス操作を実行する。
【0034】
本実施例の1つの例示的な形態において、本実施例における1つ又は複数の例示的な形態と組み合わせてもよい。目標の切り換え可能な光学機能部品を製造して取得した後に、ステップA1~A3を含んでもよい。
【0035】
ステップA1では、前記目標の切り換え可能な光学機能部品を所定温度まで加熱する。
【0036】
ステップA2では、所定時間長内で前記目標の切り換え可能な光学機能部品の温度を所定温度に維持する。
【0037】
ステップA3では、所定降温速度に従って前記目標の切り換え可能な光学機能部品を降温し、複屈折材料の再配向を完了し、前記複屈折材料は液晶材料である。
【0038】
ここで、本形態では柱状レンズに配向膜を使用せず、柱状レンズのナノ粒子材料のみにより液晶配向を助けることから、最優の液晶配向効果を達成できない。そのため、液晶再配向の過程によって液晶をさらに配向する必要がある。ボックス形成した後の目標の切り換え可能な光学機能部品を所定温度まで加熱し、この温度で所定時間長保持してから、所定降温速度に従って降温を開始することにより、液晶の再配向を完了する。
【0039】
本実施例の1つの例示的な形態において、本実施例における1つ又は複数の例示的な形態と組み合わせてもよい。前記所定温度は液晶材料の透明点より4℃~15℃高く、前記所定時間長は15分~35分であり、前記所定降温速度は毎分4℃であり、ここで、前記降温の温度区間は液晶透明点の±15℃以内である。例えば、液晶材料の透明点は4℃、6℃、8℃、11℃、15℃であってもよく、所定時間長は15分、20分、30分、35分であってもよい。
【0040】
本実施例の技術案では、光学構造の成形プロセスを用いて目標の光学構造を製造し、目標の光学構造の製造材料が有機材料及びナノ粒子材料であり、ナノ粒子材料が複屈折材料の配向を助けるために用いられ、光学構造が光を変調するように構成され、目標の光学構造の表面を摩擦して溝を生成し、目標の光学構造、第1の基板及び目標の光学構造と第1の基板の間に充填された複屈折材料に対してボックス形成プロセス操作を実行し、目標の切り換え可能な光学機能部品を製造して取得することにより、レンズの加工コストを節約し、配向液の谷底堆積の問題を解消すると同時に、レンズ頂部のクロストークの問題を解決することで、柱状レンズの光学効果を向上させ、視聴者の使用体験を向上させる技術的効果を達成する。
【0041】
図6は本願の実施例に係る切り換え可能な光学機能部品の製造装置の構造模式図である。該装置は柱状レンズ光学構造を用いて切り換え可能な光学機能部品を製造する場合に適用可能であり、該装置はソフトウェア及び/又はハードウェアにより実現され、電子機器に集積されてもよい。該装置は上記の実施例に係る切り換え可能な光学機能部品の製造方法を実現するように構成される。
図6に示すように、本実施例に係る切り換え可能な光学機能部品の製造装置は、
光学構造の成形プロセスを用いて目標の光学構造を製造するように構成されるレンズ製造モジュール610であって、前記目標の光学構造の製造材料が有機材料及びナノ粒子材料であり、前記ナノ粒子材料が複屈折材料の配向を助けるために用いられ、前記光学構造が光を変調するように構成されるレンズ製造モジュール610と、
前記目標の光学構造の表面を摩擦して溝を生成するように構成されるレンズ摩擦モジュール620と、
前記目標の光学構造、第1の基板及び前記目標の光学構造と前記第1の基板の間に充填された複屈折材料に対してボックス形成プロセス操作を実行し、目標の切り換え可能な光学機能部品を製造して取得するように構成されるレンズボックス形成モジュール630とを含む。
【0042】
上記の実施例に基づいて、例えば、レンズ製造モジュール610は、
前記光学構造の成形プロセスが前記目標の光学構造をベークし、ベーク温度が160℃~180℃であり、ベーク時間が6時間~10時間であることを含むように構成される。
【0043】
上記の実施例に基づいて、例えば、レンズ摩擦モジュール620は、
前記目標の光学構造の表面を摩擦して溝を生成する方向が前記光学構造表面と平行である方向であり、前記溝の深さが3nm~25nmであるように構成される。
【0044】
上記の実施例に基づいて、例えば、レンズボックス形成モジュール630は、
前記第1の基板と前記目標の光学構造の間に第1の基板を前記目標の光学構造から分離させるための支持体を設け、
支持体が設けられた前記第1の基板、前記目標の光学構造及び前記複屈折材料に対してボックス形成プロセス操作を実行するように構成される。例えば、支持体は第1の基板上の配向膜を前記目標の光学構造から分離させるための支持柱又はスプレー間隔球であってもよい。
【0045】
上記の実施例に基づいて、例えば、レンズボックス形成モジュール630は液晶再配向ユニットを含み、該液晶再配向ユニットは、
前記目標の切り換え可能な光学機能部品を所定温度まで加熱し、
所定時間長内で前記目標の切り換え可能な光学機能部品の温度を所定温度に維持し、
所定降温速度に従って前記目標の切り換え可能な光学機能部品を降温し、複屈折材料の再配向を完了し、前記複屈折材料は液晶材料であるように構成される。
【0046】
上記の実施例に基づいて、例えば、レンズボックス形成モジュール630は液晶再配向ユニットを含み、該液晶再配向ユニットは、さらに、
前記所定温度は液晶材料の透明点よりも4℃~15℃超え、前記所定時間長は15分~35分であり、前記所定降温速度は毎分4℃未満であり、ここで、前記降温の温度区間は液晶透明点の±15℃以内であるように構成される。
【0047】
本願の実施例では、切り換え可能な光学機能部品をさらに提供し、該光学機能部品は、第1の基板、第2の基板及び光学構造を含み、前記光学構造は前記第1の基板と前記第2の基板の間にあり、前記光学構造の表面に摩擦による溝があり、前記第1の基板と前記光学構造の間に複屈折材料が充填される。例えば、前記第1の基板と前記光学構造の間に間隔装置がさらに設けられてもよく、前記間隔装置は前記第1の基板上の配向膜を前記光学構造から分離させるようにために用いられる。
【0048】
本願の実施例に係る切り換え可能な光学機能部品の製造装置は上記の本願のいずれかの実施例に係る切り換え可能な光学機能部品の製造方法を実行可能であり、該切り換え可能な光学機能部品の製造方法を実行することに応じた機能及び有益な効果を備え、詳細な過程は前述の実施例における切り換え可能な光学機能部品の製造方法の関連操作を参照する。
【0049】
本明細書の説明において、「1つの実施例」、「いくつかの実施例」、「例」、「具体的な例」、又は「いくつかの例」などの参照用語の説明は、その実施例又は例を参照して説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性は、本願の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることが意図される。本明細書において、上記の用語の例示的な表現は、必ずしも同じ実施例又は例を指すものではない。そして、説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性は、いずれか1つ又は複数の実施例又は例において適切な方法で組み合わせることができる。