(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-05
(45)【発行日】2024-02-14
(54)【発明の名称】内視鏡の副送水口金用コネクタ
(51)【国際特許分類】
A61B 1/015 20060101AFI20240206BHJP
A61B 1/012 20060101ALI20240206BHJP
A61B 1/12 20060101ALI20240206BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
A61B1/015 511
A61B1/012 511
A61B1/12 520
A61B1/00 716
(21)【出願番号】P 2023150176
(22)【出願日】2023-09-15
【審査請求日】2023-09-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521082134
【氏名又は名称】ORTメディカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】唐澤 幸司
【審査官】▲高▼ 芳徳
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-322632(JP,A)
【文献】特許第7242106(JP,B1)
【文献】特開2004-049757(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 - 1/32
G02B 23/24 - 23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送水装置に設置されたチューブユニットを、内視鏡の副送水口金に接続する際に用いられる副送水口金用コネクタであって、
合成樹脂からなる筒形状のコネクタ本体を有し、
前記コネクタ本体は、
前記副送水口金に設けられた収納空間に挿入される挿入部と、
前記コネクタ本体の外周面に設けられるとともに、前記副送水口金の前記収納空間に設けられた雌ねじ部に螺合する雄ねじ部と、
前記コネクタ本体の中心軸線方向における前記挿入部と前記雄ねじ部との間で、前記コネクタ本体の外周面の全周に亘って設けられる段差部と、
を有し、
前記副送水口金は、金属材料からなり、
前記副送水口金は
、前記副送水口金の中心軸線方向における前記収納空間と雌ねじ部との間に、前記雌ねじ部から収納空間に向けて縮径されるテーパ面を有し、
前記段差部は、前記コネクタ本体を前記副送水口金に締め付け固定したとき、前記コネクタ本体の外周面の全周に亘って設けられる前記段差部の稜線が、前記テーパ面に圧接された状態で保持される
ことを特徴とする副送水口金用コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載の副送水口金用コネクタにおいて、
前記コネクタ本体は、
前記コネクタ本体の中心軸線方向における一端側に設けられて、前記チューブユニットからの液体が流入する第1流路と、
前記コネクタ本体の中心軸線方向における他端側に設けられて、前記第1流路に流入する液体を前記収納空間に送り出す第2流路と、
を有し、
前記第2流路の内径は、前記第1流路の内径未満であり、
前記第1流路の内径は、前記収納空間の内径未満である
ことを特徴とする副送水口金用コネクタ。
【請求項3】
請求項2に記載の副送水口金用コネクタにおいて、
前記収納空間は、当該収納空間の底部に、前記内視鏡の副送水チャンネルと連続する送水口を備えており、
前記送水口の内径は、前記第2流路の内径よりも小さく、
前記挿入部の外径は、前記収納空間の内径と同一である
ことを特徴とする副送水口金用コネクタ。
【請求項4】
請求項3に記載の副送水口金用コネクタにおいて、
前記コネクタ本体は、当該コネクタ本体の中心軸線方向における両端部のうち、前記副送水口金に接続される一端部とは反対側の他端部に、前記チューブユニットの一端に固定された逆止弁を接続する
ことを特徴とする副送水口金用コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡の副送水口金への装着時に、ポンプチューブユニットが締め付け固定される内視鏡の副送水口金用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野において、内視鏡を用いた検査や手術が普及している。内視鏡には、患者の体腔内に挿入する挿入部の先端面に、副送水口と呼ばれる開口が設けられている。副送水口は、鉗子チャンネルを用いた処置具の利用と並行して患者の体腔内の対象部位の洗浄を行うために設けられている。副送水口は、内視鏡の内部に設けた専用のチャンネルによって副送水口金に連結されている。内視鏡の使用時、副送水口金には逆止弁ユニットを介して送水用のチューブユニットが装着される(例えば特許文献1、特許文献2参照)。これにより、送水用のチューブユニットを介して内視鏡に送り込まれる液体が、上述したチャンネルを介して副送水口から噴出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-238214号公報
【文献】特開2005-160772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
内視鏡は、感染対策の一環として、使用毎に洗浄されている。逆止弁ユニットは、内視鏡の副送水口に装着される専用のユニットとして設けられている。逆止弁ユニットは、内視鏡の使用後に内視鏡から取り外されて内視鏡とは別に洗浄された後、内視鏡の使用時に内視鏡の副送水口に装着される。したがって、内視鏡の副送水口に対する着脱の回数が増えるほど、逆止弁ユニット及び逆止弁口金間の液密性が悪くなり、漏水を引き起こす原因につながる。
【0005】
また、特許文献1や特許文献2に開示される逆止弁ユニットは、例えばステンレスなどの金属材料からなる逆止弁口金に、ゴム栓やOリングを取り付けた構成である。このような逆止弁ユニットは、洗浄を行うことで、繰り返して使用することができるという利点がある一方で、他の用途に用いられる逆止弁に比べて製造コストが高いという問題がある。また、上述した逆止弁ユニットは使用の度に洗浄する必要があり、洗浄時の手間がかかる。したがって、逆止弁ユニットを用いなくとも、送水用のチューブユニットを内視鏡の副送水口に接続することが可能な安価なシステムに対する高い要望がある。
【0006】
本発明は、上記に記載した課題を解決するために発明されたものであり、送水用のチューブユニットを内視鏡の副送水口に接続することが可能な安価なシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様における内視鏡の副送水口金用コネクタは、送水装置に設置されたチューブユニットを、内視鏡の副送水口金に接続する際に用いられる副送水口金用コネクタであって、合成樹脂からなる筒形状のコネクタ本体を有し、コネクタ本体は、副送水口金に設けられた収納空間に挿入される挿入部と、コネクタ本体の外周面に設けられるとともに、副送水口金の収納空間に設けられた雌ねじ部に螺合する雄ねじ部と、コネクタ本体の中心軸線方向における挿入部と雄ねじ部との間で、コネクタ本体の外周面の全周に亘って設けられる段差部と、を有し、副送水口金は、副送水口金の中心軸線方向における収納空間と雌ねじ部との間に、雌ねじ部から収納空間に向けて縮径されるテーパ面を有し、段差部は、コネクタ本体を副送水口金に締め付け固定したとき、コネクタ本体の外周面の全周に亘って設けられる段差部の稜線が、テーパ面に圧接された状態で保持されることを特徴としている。
【0008】
また、コネクタ本体は、コネクタ本体の中心軸線方向における一端側に設けられて、チューブユニットからの液体が流入する第1流路と、コネクタ本体の中心軸線方向における他端側に設けられて、第1流路に流入する液体を収納空間に送り出す第2流路と、を有し、第2流路の内径は、第1流路の内径未満であり、第1流路の内径は、収納空間の内径未満であることが好ましい。
【0009】
また、収納空間は、当該収納空間の底部に、内視鏡の副送水チャンネルと連続する送水口を備えており、送水口の内径は、第2流路の内径よりも小さく、挿入部の外径は、収納空間の内径と同一であることが好ましい。
【0010】
また、コネクタ本体は、当該コネクタ本体の中心軸線方向における両端部のうち、副送水口金に接続される一端部とは反対側の他端部に、チューブユニットの一端に固定された逆止弁を接続することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本件開示によれば、送水用のチューブユニットを内視鏡の副送水口に接続することが可能な安価なシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本実施の形態における内視鏡システムの一構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、内視鏡挿入部に設けたノズル先端の一構成を示す模式図である。
【
図3】
図3は、内視鏡の接続部に設けられる副送水口金、副送水口金用コネクタ及び逆止弁の構成を分解して示す模式図である。
【
図4】
図4は、副送水口金の構成を示す模式断面図である。
【
図5】
図5は、逆止弁の構成を一部断面にて示す模式図である。
【
図6】
図6は、副送水口金用コネクタの構成を示す模式断面図である。
【
図7】
図7は、内視鏡の接続部に設けた副送水口金に、副送水口金用コネクタ及び逆止弁を装着する手順を示す模式図である。
【
図8】
図8は、
図7(c)に示す領域Aを拡大して示す模式図である。
【
図9】
図9は、送水装置50Aに装着したポンプチューブユニットAを内視鏡20に接続したときの、副送水口36から送出される液体の送出量の測定結果を示す図である。
【
図10】
図10は、送水装置50Aに装着したポンプチューブユニットBを内視鏡20に接続したときの、副送水口36から送出される液体の送出量の測定結果を示す図である。
【
図11】
図11は、送水装置50Bに装着したポンプチューブユニットBを内視鏡20に接続したときの、副送水口36から送出される液体の送出量の測定結果を示す図である。
【
図12】
図12は、送水装置50Bに装着したポンプチューブユニットBを内視鏡20に接続したときの、液漏れの有無、及び送出される液体の圧力をまとめた図である。
【
図13】
図13は、送水装置50Aに装着したポンプチューブユニットAを内視鏡20に接続したときの、液漏れの有無、及び送出される液体の圧力をまとめた図である。
【
図14】
図14(a)は、送水装置50Bに装着したポンプチューブユニットBを内視鏡20に接続したときの送出量をまとめた図、
図14(b)は、残水時間をまとめた図である。
【
図15】
図15(a)は、送水装置50Bに装着したポンプチューブユニットCを内視鏡20に接続したときの送出量をまとめた図、
図15(b)は、残水時間をまとめた図である。
【
図16】
図16(a)は、送水装置50Aに装着したポンプチューブユニットBを内視鏡20に接続したときの送出量をまとめた図、
図16(b)は、残水時間をまとめた図である。
【
図17】
図17(a)は、送水装置50Aに装着したポンプチューブユニットCを内視鏡20に接続したときの送出量をまとめた図、
図14(b)は、残水時間をまとめた図である。
【
図18】
図18(a)は、送水装置50Aに装着したポンプチューブユニットAを内視鏡20に接続したときの送出量をまとめた図、
図18(b)は、残水時間をまとめた図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態である内視鏡システムについて説明する。
図1に示すように、内視鏡システム10は、内視鏡20、送水装置50、送水タンク60、及びポンプチューブユニット70などを備えている。
【0014】
内視鏡20は、操作ハンドル21、内視鏡挿入部22、ユニバーサルチューブ23及び接続部24を有している。操作ハンドル21は、複数の操作部26、鉗子挿入部27などを備えている。複数の操作部26は、例えばアングルノブ26a,26bの他、送気/送水ボタン26c、吸引ボタン26d、シャッターボタン26eなどの各種ボタンを有している。
【0015】
アングルノブ26a,26bは、内視鏡挿入部22の先端側に設けた湾曲部22aの湾曲動作を行う際に回転動作される。アングルノブ26aは、内視鏡挿入部22の湾曲部22aを、例えば、
図1中紙面に直交する方向に湾曲させる際に回転操作される。また、アングルノブ26bは、内視鏡挿入部22の湾曲部22aを、例えば、
図1中紙面の左右方向に湾曲させる際に回転操作される。
【0016】
送気/送水ボタン26cは、内視鏡挿入部22の先端面22bに設けた観察口31や照明口32,33(
図2参照)を洗浄する際に操作される。吸引ボタン26dは、内視鏡挿入部22の先端に設けた鉗子口35から体腔内の汚物(体腔内の対象部位を洗浄した液体を含む)を吸引する際に操作される。シャッターボタン26eは、内視鏡挿入部22の先端内部に設けた撮像装置(不図示)を用いて体腔内を撮像する際に操作される。
【0017】
鉗子挿入部27は、鉗子などの処置具が挿入される。鉗子挿入部27には、内視鏡20の未使用時、鉗子栓が取り付けられる。
【0018】
詳細については図示を省略するが、内視鏡挿入部22の内部には、送気チャンネル、送水チャンネル、ライトガイド、鉗子チャンネル及び副送水チャンネルが設けられている。以下、副送水チャンネルに対して符号SCを付して説明する場合がある。
【0019】
ライトガイドは、接続部24が接続された光源装置(不図示)から出射された光を内視鏡挿入部22の先端に設けた照明口32,33(
図2参照)に案内する。鉗子チャンネルは、操作ハンドル21に設けた鉗子挿入部27から挿入された鉗子などの処置具を、内視鏡挿入部22の先端に設けた鉗子口35(
図2参照)に案内する。副送水チャンネルSCは、生理食塩水などの液体を、内視鏡挿入部22の先端に設けた副送水口36(
図2参照)へと案内する。なお、生理食塩水などの液体は、送水装置50の駆動により副送水チャンネルSCに送水されて、上述した副送水口36から送出される。
【0020】
図2に示すように、内視鏡挿入部22の先端面22bには、観察口31,照明口32,33,送気/送水ノズル34,鉗子口35,副送水口36などが設けられている。なお、
図2に示す内視鏡挿入部22の先端面22bの構成は一例を示したに過ぎず、内視鏡挿入部22の先端面22bに設けられる開口の種類や位置は適宜設定することができる。
【0021】
観察口31は、内視鏡挿入部22の先端内部に設けた撮像装置の対物レンズを露呈する。対物レンズは、体腔内の対象部位の観察像を撮像装置に取り込む。照明口32,33は、ライトガイドにより導光された光を照明光として、体腔内の対象部位及び対象部位の近傍に向けて出射する。送気/送水ノズル34は、観察口31や照明口32,33に向けて空気又は液体を噴出して、観察口31や照明口32,33及びその近傍を洗浄する。鉗子口35は、鉗子挿入部27から挿入された鉗子などの処置具を先端面22bから出し入れする。副送水口36は、送水装置50の駆動によりポンプチューブユニット70を介して、内視鏡20の副送水チャンネルSCに送水される液体を噴出する。
【0022】
図1に戻って説明すると、ユニバーサルチューブ23は、操作ハンドル21と接続部24とを接続する。図示は省略するが、ユニバーサルチューブ23の内部には、副送水チャンネルSCの他、ライトガイドや吸引チャンネルなどが設けられている。
【0023】
接続部24は、図示を省略した光源装置への接続を可能とする光源接続部41、ポンプチューブユニット70の一端を接続する副送水口金42、吸引用口金43などを有している。
図3に示すように、副送水口金42には、副送水口金用コネクタ80を介して、ポンプチューブユニット70の一端に固定された逆止弁75が取り付けられる。
【0024】
図4に示すように、副送水口金42は、副送水口金42の首部42aを、接続部24から突出させた状態で接続部24に設けられている。副送水口金42は、首部42aから当該副送水口金42の中心軸線(L1)方向に延在する収納空間42bを有している。
【0025】
収納空間42bには、中心軸線(L1)方向における首部42a側の端部に、雌ねじ部42cが設けられている。雌ねじ部42cには、後述する副送水口金用コネクタ80の雄ねじ部83が螺合する。収納空間42bの内周面42dと、雌ねじ部42cとの間には、収納空間42bの内径D1と、雌ねじ部42cの内径D2(D2>D1)との内径差によって、収納空間42bの底部42eに向けて縮径されるテーパ面42fが形成されている。なお、収納空間42bの底部42eには、副送水チャンネルSCに連続する送水口42gが形成されている。
【0026】
図1に戻って説明すると、送水装置50は、送水タンク60に貯留される液体を内視鏡20に向けて送水する装置である。図示は省略するが、送水装置50は、例えば複数のローラと、これらローラを一定角度間隔で保持する保持部材とを有し、当該保持部材の回転により複数のローラのいずれかによってポンプチューブ71を扱くことで、液体の送り出しながら、新たな液体を引き込む動作を繰り返し行う装置である。送水装置50は、不図示のフットスイッチの押圧操作などにより駆動する。送水装置50が駆動したとき、ポンプチューブユニット70を介して内視鏡20に向けて送水される液体の送水量は、例えば240ml/minに設定されている。
【0027】
ポンプチューブユニット70は、ポンプチューブ71と、フィルタ付き送水チューブ72と、送水チューブ73と、を有し、ポンプチューブ71の延在方向における一端にフィルタ付き送水チューブ72を、前記延在方向における他端に送水チューブ73を接続した構成となっている。なお、フィルタ付き送水チューブ72は、当該フィルタ付き送水チューブ72の延在方向において、ポンプチューブ71に接続される一端とは反対側となる他端で送水タンク60に取り付けられている。また、送水チューブ73は、当該送水チューブ73の延在方向において、ポンプチューブ71に接続される一端とは反対側となる他端で内視鏡20の副送水口金42に取り付けられている。
【0028】
上述したポンプチューブ71は、送水装置50に取り付けられ、送水装置50の駆動時に繰り返し扱かれることで、送水タンク60に貯留される液体を、フィルタ付き送水チューブ72を介してポンプチューブ71の内部に引き込むと同時に、当該ポンプチューブ71の内部に引き込んだ液体を送水チューブ73に送り出す。
【0029】
ここで、ポンプチューブユニット70に用いられるポンプチューブ71の内径及び外径は、例えば内径3.6mm、外径6.9mmである。また、フィルタ付き送水チューブ72及び送水チューブ73の内径及び外径は、例えば内径3.4mm、外径6.0mmである。
【0030】
送水チューブ73は、上述した副送水口金42に取り付ける一端に、逆止弁75を備えている。逆止弁75は、例えば、ポンプチューブユニット70から内視鏡20の副送水チャンネルSCへと液体が流れることを許容する一方で、内視鏡20の副送水チャンネルSCからポンプチューブユニット70へと液体が流れる(逆流する)ことを防止する。
【0031】
図5に示すように、逆止弁75は、当該逆止弁75の中心軸線(L2)方向における一端部に、ルアー先76と、ルアーロック部77とを有している。ルアー先76は、逆止弁75を副送水口金用コネクタ80に装着するとき、副送水口金用コネクタ80に設けられる内部空間84に挿入される。なお、ルアー先76には、逆止弁75の中心軸線(L2)方向に延び、送水チューブ73と連通する流路78が設けられている。
【0032】
ルアーロック部77は、当該ルアーロック部77の内周面に、雌ねじ部(図示省略)を有している。ルアーロック部77の内周面に設けた雌ねじ部は、逆止弁75を副送水口金用コネクタ80に締め付け固定する際に、副送水口金用コネクタ80の雄ねじ部82に螺合する。
【0033】
なお、本実施の形態では、逆止弁75を副送水口金用コネクタ80に締め付け固定するようにしているが、逆止弁75と副送水口金用コネクタ80とは、一体に設けられていてもよい。
【0034】
副送水口金用コネクタ80は、例えばポリプロピレン、ナイロン、フッ素樹脂、ABS樹脂或いはポリカーボネートなどの合成樹脂材を用いた成型によって製造されるコネクタ本体80aを有する。以下、副送水口金用コネクタ80を、コネクタと称して説明する場合がある。
【0035】
図6に示すように、コネクタ本体80aは、当該コネクタ本体80aの中心軸線(L3)方向における一端側に挿入部81を、また、その他端部に雄ねじ部82を、各々有する。挿入部81は、コネクタ80を副送水口金42に締め付け固定するときに、副送水口金42の収納空間37bに挿入される。したがって、挿入部81の外径D4は、副送水口金42の収納空間37bの内径D1と略同一径として設定されている。挿入部81の外径D4は、一例として、内径D4=6.15mmである。雄ねじ部82は、逆止弁75をコネクタ80に締め付け固定するときに、逆止弁75のルアーロック部77の内周面に設けた雌ねじ部(図示省略)に螺合する。
【0036】
また、コネクタ80の外周面には、当該コネクタ80の中心軸線(L3)方向における略中央部分の所定範囲に、雄ねじ部83が設けられている。雄ねじ部83は、副送水口金42に設けた雌ねじ部42cに螺合する。逆止弁75をコネクタ80に締め付け固定すると、ルアー先71の外周面71aは、後述するコネクタ80の第1流路84aの内周面84fに圧接される(
図7(c)参照)。
【0037】
コネクタ80は、当該コネクタ80の中心軸線(L3)方向における一端80b側から他端80c側に向けて延在する流路84を有している。流路84は、コネクタ80の中心軸線(L3)方向における一端80b側から他端80c側に向けて、第1流路84a、第2流路84b及び第3流路84cを繋いだ流路である。これら流路のうち、第3の流路84cは、第1流路84aから第2流路84bに向けて縮径されるテーパ状の流路となる。第1流路84aの内径の最小値、最大値をD5min、D5max、第2流路84bの内径をD6、第3流路84cの内径の最小値、最大値をD7min、D7maxとする。このとき、第3流路84cの内径の最小値D7minは、第2流路84bの内径D6に等しく、また、第3流路84cの内径の最大値D7maxは、第1流路84aの内径の最小値D5minに等しい。また、第2流路84bの内径D6は、副送水口金42の収納空間42bの内径D1よりも小さく、収納空間42bの底部42eに設けられた送水口42gの内径D3よりも大きい。
【0038】
ここで、第1流路84aの内径の最小値D5min、最大値D5maxは、一例として、最小値D5min=3.75mm、最大値D5max=4.33mmである。また、第2流路84bの内径D6は、一例として、内径D6=1.5mmである。さらに、第3流路84cの内径の最小値D7min、最大値D7maxは、一例として、最小値D7min=1.5mm、最大値D7max=3.75mmである。
【0039】
なお、コネクタ80が有する流路84として、コネクタ80の中心軸線(L3)方向における一端80b側から他端80c側に向けて、第1流路84a、第2流路84b及び第3流路84cを繋いだ流路としている。しかしながら、コネクタ80が有する流路84を、コネクタ80の中心軸線(L3)方向における一端80b側から他端80c側に向けて延びる第1流路84aと、コネクタ80の中心軸線(L3)方向における他端80c側から一端80b側に向けて延びる第2流路84bとの組み合わせた流路であればよい。
【0040】
上述したコネクタ80において、雄ねじ部83の挿入部81側の端部近傍には、挿入部81との外径の違いから生じる段差部87が全周に亘って設けられている。段差部87の稜線C1(
図8参照)は、コネクタ80を副送水口金42に接続したとき、副送水口金42に設けたテーパ面42fに圧接される。
【0041】
次に、本実施の形態における副送水口金用コネクタ80を用いて、内視鏡20の副送水口金42に、逆止弁75を取り付ける手順について、
図7を用いて説明する。
【0042】
図7(a)に示すように、まず、コネクタ80の挿入部81が副送水口金42に設けられた収納空間42bに挿入される。この状態で、コネクタ80が当該コネクタ80の中心軸線(L3)方向を回転中心として、例えばR1方向に回転される。コネクタ80のR1方向への回転により、コネクタ80の雄ねじ部83が副送水口金42の雌ねじ部42cに螺合され、コネクタ80が副送水口金42に締め付け固定される。
【0043】
コネクタ80が副送水口金42に締め付け固定される過程で、コネクタ80の外周面に設けた段差部87の稜線C1が、副送水口金42に設けられた収納空間42bの内周面42dと雌ねじ部42cとの間に設けられたテーパ面42fに圧接される(
図8参照)。
【0044】
副送水口金42は、ステンレスなどの金属材料で形成されている一方で、コネクタ80は、合成樹脂材で形成されている。したがって、コネクタ80を副送水口金42に締め付け固定する過程で、段差部87が副送水口金42のテーパ面42fに圧接されると、当該段差部87の稜線C1は、副送水口金42とコネクタ80との硬度差によって変形しながら(潰れながら)、副送水口金42のテーパ面42fに圧接される。
【0045】
次に、ポンプチューブユニット70が内視鏡20に取り付けられる。ポンプチューブユニット70の送水チューブ73に固定された逆止弁75が、副送水口金42に接続固定されたコネクタ80に接続される。まず、逆止弁75のルアー先76が、コネクタ80の第1流路84aに挿入される。
図7(b)に示すように、逆止弁75が、当該逆止弁75の中心軸線(L2)方向を回転中心として、例えばR2方向に回転される。逆止弁75のR2方向への回転により、コネクタ80の雄ねじ部82が、逆止弁75のルアーロック部72の雌ねじ部に螺合されて、逆止弁75がコネクタ80に締め付け固定される。
図7(c)に示す様に、逆止弁75がコネクタ80に締め付け固定されると、ルアー先76の外周面76aが、コネクタ80の第1流路84aの内周面84fに圧接される。
【0046】
なお、コネクタ80を副送水口金42に締め付け固定した後に、送水チューブ73に固定した逆止弁75をコネクタ80に締め付け固定しているが、送水チューブ73の一端部に取り付けた逆止弁75をコネクタ80に締め付け固定した後、当該コネクタ80を副送水口金42に締め付け固定してもよい。また、この他に、逆止弁75とコネクタ80とを予め接続固定していてもよい。
【0047】
内視鏡20を用いた検査や手術の際に、送水装置50が駆動すると、ポンプチューブユニット70のポンプチューブ71の内部へと引き込まれた液体が送水チューブ73へと送り出される一方で、送水タンク60に貯留された液体が、フィルタ付き送水チューブ72を介して、ポンプチューブ71に引き込まれる。送水装置50の駆動時には、ポンプチューブ71に引き込まれた液体の送水チューブ73への送り出しと、送水タンク60に貯留された液体のポンプチューブ71への引き込みとが繰り返し実行される。これにより、送水タンク60に貯留された液体がポンプチューブ71から送水チューブ73へと断続的に送り出される。
【0048】
上述したように、送水装置50が駆動したとき、ポンプチューブユニット70における液体の送水量は240mlである。このとき、ポンプチューブ71から送水チューブ73に送り出された液体の圧力は、例えば0.45MPaである。
【0049】
ポンプチューブ71から送水チューブ73へと送り出される液体は、逆止弁75のルアー先76に設けた流路78から、コネクタ80の第1流路84aへと流れる。コネクタ80の第1流路84aへと流れた液体は、第1流路84aから、第3流路84c、第2流路84bの順で流れる。
【0050】
上述したように、コネクタ80に逆止弁75を締め付け固定すると、逆止弁75のルアー先76の外周面76aは、コネクタ80の第1流路84aの内周面84fに圧接された状態で保持される。したがって、逆止弁75のルアー先76に設けた流路78から、コネクタ80の第1流路84aに流れ込んだ液体は、逆止弁75のルアー先76の外周面76aと、コネクタ80の第1流路84aの内周面84fとの間から漏水することはなく、逆止弁からコネクタ80の流路84へと流れる。
【0051】
コネクタ80の流路84を流れる液体は、第2流路84bから副送水口金42の収納空間42bに向けて流れる。このとき、第1流路84aから第2流路84bへと流れる液体の速度は、第3流路84cを通過することで加速される。そして、第2流路84bから副送水口金42の収納空間42bに流れ込むと、液体の速度は減速される。つまり、コネクタ80の第2流路84bは、オリフィスとして機能する。コネクタ80の第2流路84bから副送水口金42の収納空間42bに流れ込んだ液体は、収納空間42bの内部で滞留され、収納空間42bの内部が液体で充填された後、送水口42gから副送水チャンネルSCに向けて流れる。
【0052】
上述したように、副送水口金42に設けた収納空間42bの底部42eには、副送水チャンネルSCに連続する送水口42gが設けられている。送水口42gの内径D3は、コネクタ80の第2流路84bの内径D6よりも小さい。したがって、副送水口金42の収納空間42bに滞留する液体は、新たに収納空間42bに送り込まれる液体に押圧されて、収納空間42bの底部42eに設けた送水口42gから副送水チャンネルSCに送り出される。
【0053】
ここで、コネクタ80の挿入部81が副送水口金42に締め付け固定された状態では、コネクタ80の挿入部81の外周面81aと、副送水口金42の収納空間42bの内周面は当接されている。また、コネクタ80の段差部87の稜線C1及びその近傍の部位は、副送水口金42のテーパ面42fに圧接されて変形された状態で保持されている。つまり、コネクタ80の段差部87の稜線C1近傍の部位が、副送水口金42のテーパ面42fに圧接されるシール材として機能する。また、コネクタ80の挿入部81の外周面と、副送水口金42の収納空間42bの内周面は当接されていることで、これら間に液体が流入することが防止される。その結果、収納空間42bに液体で充填された後、新たにコネクタ80から収納空間42bに液体が送り込まれることで、収納空間42bに滞留される液体の圧力が増加したとしても、コネクタ80及び副送水口金42間の漏水の発生が防止される。
【0054】
なお、内視鏡20を用いた検査や手術が終了したとき、コネクタ80は、副送水口金42から取り外され、逆止弁75や、当該逆止弁75が接続されたポンプチューブユニット70とともに廃棄される。
【0055】
これによれば、コネクタ80を用いて、他の用途に用いられる逆止弁を内視鏡20に接続することが可能となる。また、コネクタ80は、その使用後にポンプチューブユニット70とともに廃棄できるディスポーザブルな製品として機能させることができる。
【0056】
最後に、以下の試験(1)から試験(4)を行った結果について説明する。
(1)接続部分における液漏れの検証
(2)副送水口から送出される液体の圧力の測定
(3)内視鏡の副送水口から送出される液体の送出量
(4)残水時間の測定
なお、試験(4)は、試験(3)と同時に行った。
【0057】
以下では、内視鏡20の副送水口36から送出される液体の量を送出量と称する。また、送水装置50の駆動により内視鏡20に向けて送水される液体の量を送水量と称する。ここで、試験(4)における残水時間とは、送水装置50を停止してから、内視鏡20の副送水口36からの液体の送出が停止するまでの時間である。したがって、残水時間が長ければ長いほど、水切れが悪いことになる。
【0058】
上述した試験では、異なる2種類の送水装置50を用いて行った。以下、2種類の送水装置50のうちの一方を送水装置50A、他方を送水装置50Bと称する。送水装置50A及び送水装置50Bの各々は、例えば自身の装置に設けた送水量の設定レベルを変更(調整)することで、実際に送水される送水量を調整可能となっている。なお、送水装置50A及び送水装置50Bは、設定レベルがLEVEL9に設定されたとき、最大の送水量となり、LEVEL1に設定されたとき、最小の送水量となる。
【0059】
<送水装置における設定レベルの選定>
まず、上述した試験(1)から試験(4)を行うにあたり、送水装置50A、送水装置50Bにて設定される送水量の設定レベルを選定(決定)した。設定レベルの選定では、以下の異なる2種類のポンプチューブユニットを使用した。
ポンプチューブユニットA:内径6.5mm、外径9.6mmのポンプチューブを有する送水装置50A専用のポンプチューブユニット
ポンプチューブユニットB:内径3.6mm、外径6.9mmのポンプチューブを有するポンプチューブユニット(本実施の形態に示したポンプチューブユニット70)
【0060】
上述したように、ポンプチューブユニットAは、送水装置Aに装着された状態で、内視鏡20の副送水口金42に接続するための専用のポンプチューブユニットである。図示は省略するが、内視鏡20の副送水口金42には専用の逆止弁が固定される。また、専用の逆止弁には、ポンプチューブユニットAの一端に固定された接続口金が接続固定される。
【0061】
また、ポンプチューブユニットBは、本実施の形態にて示したポンプチューブユニット70である。ポンプチューブユニットBは、自身の一端に固定された逆止弁75を、本実施の形態にて説明したコネクタ80を介して内視鏡20の副送水口金42に接続固定することで、内視鏡20に接続固定される。
【0062】
まず、送水装置50Aに装着されたポンプチューブユニットAと内視鏡20とを接続して、送水装置50Aを駆動したときの内視鏡20の副送水口42からの送出量の測定を行った。
図9(a)、
図9(b)及び
図9(c)は、内視鏡20の副送水口36から送出される送出量を測定した結果(以下、測定結果1-a、1-b、1-cと称する)をまとめたものである。なお、送水装置Aに装着されるポンプチューブユニットAでは、送水装置50Aの駆動に伴った送水量にばらつきが生じるため、同一の設定レベルにおいて、送出量の測定を3回行っている。なお、内視鏡20の副送水口36からの送出量の測定は、20秒ごとに行い、測定された送出量の平均から60秒ごとの送出量を求めている。
【0063】
次に、送水装置50Aに装着されたポンプチューブユニットBと内視鏡20とを接続して、送水装置50Aを駆動したときの内視鏡20の副送水口36からの送出量の測定を行った。
図10は、内視鏡20の副送水口36からの送出量を測定した結果(以下、測定結果2と称する)をまとめたものである。この場合も、内視鏡20の副送水口36からの送出量の測定は、20秒ごとに行い、測定された送出量の平均から60秒ごとの送出量を求めている。
【0064】
最後に、送水装置50Bに装着されたポンプチューブユニットBと内視鏡20とを接続して、送水装置50Bを駆動したときの内視鏡20の副送水口36からの送出量の測定を行った。
図11は、内視鏡20の副送水口36からの送出量を測定した結果(以下、測定結果3と称する)をまとめたものである。なお、内視鏡20の副送水口36からの送出量の測定は、30秒ごとに行い、測定された送出量の平均から60秒ごとの送出量を求めている。
【0065】
図9及び
図10に示すように、ポンプチューブユニットAを送水装置50Aに装着したときの副送水口36からの液体の送出量と、ポンプチューブユニットBを送水装置50Aに装着したときの内視鏡20の副送水口36からの液体の送出量とは、約240ml/min、約190ml/minとなるときに、同一の送出量となることがわかった。ポンプチューブユニットAを使用したときに上記送出量となるように送水装置50Aの設定レベルを設定するには、送水装置50Aの設定レベルは、LEVEL9,LEVEL5にすることが望ましいことが分かった。同時に、ポンプチューブユニットBを使用したときに上記送出量となるように送水装置50Aの設定レベルを設定するには、送水装置50Aの設定レベルをLEVEL9,LEVEL7にすることが望ましいことが分かった。
【0066】
内視鏡20の副送水口36からの液体の送出量を同一の送出量とすることを検証の条件とする。そのため、ポンプチューブユニットBが送水装置50Bに装着されて使用される場合も、ポンプチューブユニットBが送水装置50Aに装着されて使用される場合と同様に同一の送出量となるように送水装置50Bの設定レベルが調整されることが好ましい。
図11に示すように、内視鏡20の副送水口36からの液体の送出量が約240ml/min、約190ml/minとなるように、送水装置50Bの設定レベルを設定するには、送水装置50Bの設定レベルは、LEVEL9,LEVEL6にすることが望ましいことが分かった。
【0067】
<試験1:接続部分における液漏れの検証>
次に、ポンプチューブユニットと内視鏡20との接続部分における液漏れの検証試験を行った。まず、送水装置50Bに装着したポンプチューブユニットBを、内視鏡20の副送水口金42に接続したときの、液漏れの検証を行った。液漏れの検証は、送水装置50Bの設定レベルをLEVEL9に設定して行った。なお、内視鏡20の副送水口36からの送出量の測定は、30秒ごとに行い、測定された送出量の平均から60秒ごとの送出量を求めている。
【0068】
図12に示すように、内視鏡20の副送水口36からの液体の送出量は、231.0ml/minであった。このとき、液漏れの検証を行ったが、ポンプチューブユニットBと内視鏡20との接続部分、すなわち、コネクタ80と逆止弁75との接続部分、及びコネクタ80と副送水口金42との接続部分において液漏れの発生はなかった。
【0069】
なお、比較検証として、送水装置50Aに装着したポンプチューブユニットAを、内視鏡20の副送水口金42に接続した場合の液漏れの検証を行った。この場合、
図13に示すように、送水装置50Aに装着したポンプチューブユニットAを、内視鏡20の副送水口金42に接続した場合も、ポンプチューブユニットAと内視鏡20との接続部分において液漏れの発生はなかった。
【0070】
すなわち、本実施の形態におけるコネクタ80を用いて、送水装置50Bに装着したポンプチューブユニットBを内視鏡20の副送水口金42に接続した場合、送水装置50Aに装着したポンプチューブユニットAを内視鏡20の副送水口金42に接続した場合と同様に、液漏れは発生しないという結果が得られた。
【0071】
<試験2:副送水口から送出される液体の圧力の測定>
副送水口36から送出される液体の圧力の測定試験を、液漏れの検証時に行った。
図12に示すように、送水装置50Bに装着したポンプチューブユニットBを内視鏡20の副送水口金42に接続した場合、内視鏡20の副送水口36から送出される液体の圧力は、5回とも0.45MPaであった。
【0072】
また、送水装置50Aに装着したポンプチューブユニットAを内視鏡20の副送水口金42に接続した場合についても、液体の圧力を測定した。
図13に示すように、送水装置50Aに装着したポンプチューブユニットAを内視鏡20の副送水口金42に接続した場合、副送水口36から送出される液体の圧力は、5回とも0.45MPaであった。
【0073】
すなわち、本実施の形態におけるコネクタ80を用いて、送水装置50Bに装着したポンプチューブユニットBと内視鏡20の副送水口金42に接続した場合、送水装置50Aに装着したポンプチューブユニットAを内視鏡20の副送水口金42に接続した場合と同様の性能を有することがわかった。
【0074】
<試験3:内視鏡の副送水口から送出される液体の送出量及び試験4:残水時間の測定>
内視鏡20の副送水口36から送出される液体の送出量の測定、及び残水時間の測定を行った。内視鏡20の副送水口36から送出される液体の送出量、及び残水時間の測定においては、上述したポンプチューブユニットA,Bの他に、以下のポンプチューブユニットCを用いた。
ポンチューブユニットC:内径6.6mm、外径9.7mmのポンプチューブを有するポンプチューブユニット
【0075】
ポンプチューブユニットCは、ポンプチューブユニットBとは異なる内径、外径からなるポンプチューブを有するポンプチューブユニットである。なお、ポンプチューブユニットCは、ポンプチューブユニットBと同様に、自身の一端に固定された逆止弁75を、本実施の形態にて説明したコネクタ80を介して、内視鏡20の副送水口金42に螺合固定することで、内視鏡20に接続される。
【0076】
まず、送水装置50Bに装着されたポンプチューブユニットBを内視鏡20に接続した場合について測定した。
図14(a)に示すように、送水装置50Bの設定レベルをLEVEL9にしたときの送出量の平均は241.6ml/minであった。また、送水装置50Bの設定レベルをLEVEL6にしたときの送出量の平均は188.8ml/minであった。なお、送出量の測定において、ポンプチューブユニットBと内視鏡20との接続部分における液漏れは発生しなかった。
【0077】
また、
図14(b)に示すように、送水装置50Bの設定レベルをLEVEL9にしたときの残水時間の平均は0.674sであった。また、送水装置50Bの設定レベルをLEVEL6にしたときの残水時間の平均は0.0sであった。
【0078】
次に、内径6.6mm、外径9.7mmのポンプチューブ71を有するポンプチューブユニットCを送水装置50Bに装着して、内視鏡20に接続した場合について測定した。
図15(a)に示すように、送水装置50Bの設定レベルをLEVEL9にしたときの送出量の平均は112.4ml/minであった。また、送水装置50Bの設定レベルをLEVEL6にしたときの送出量の平均は221.4ml/minであった。なお、送出量の測定において、ポンプチューブユニットCと内視鏡20との接続部分における液漏れは発生しなかった。
【0079】
また、
図15(b)に示すように、送水装置50Bの設定レベルをLEVEL9にしたときの残水時間の平均は2.76sであった。また、送水装置50Bの設定レベルをLEVEL6にしたときの残水時間の平均は3.52sであった。
【0080】
次に、ポンプチューブユニットBを送水装置50Aに装着して、内視鏡20に接続した場合について測定した。
図16(a)に示すように、送水装置50Aの設定レベルをLEVEL9にしたときの送出量の平均は245.4ml/minであった。また、送水装置50Aの設定レベルをLEVEL7にしたときの送出量の平均は195.0ml/minであった。なお、送出量の測定において、ポンプチューブユニットBと内視鏡20との接続部分における液漏れは発生しなかった。
【0081】
また、
図16(b)に示すように、送水装置50Aの設定レベルをLEVEL9にしたときの残水時間の平均は0.57sであった。また、送水装置50Aの設定レベルをLEVEL7にしたときの残水時間の平均は0.54sであった。
【0082】
次に、ポンプチューブユニットCを送水装置50Aに装着して、内視鏡20に接続した場合について測定した。
図17(a)に示すように、送水装置50Aの設定レベルをLEVEL9にしたときの送出量の平均は206.4ml/minであった。また、送水装置50Aの設定レベルをLEVEL7にしたときの送出量の平均は179.4ml/minであった。なお、送出量の測定において、ポンプチューブユニットCと内視鏡20との接続部分における液漏れは発生しなかった。
【0083】
また、
図17(b)に示すように、送水装置50Aの設定レベルをLEVEL9にしたときの残水時間の平均は4.18sであった。また、送水装置50Aの設定レベルをLEVEL7にしたときの残水時間の平均は3.59sであった。
【0084】
最後に、ポンプチューブユニットAを送水装置50Aに装着して、内視鏡20に接続した場合について測定した。
図18(a)に示すように、送水装置50Aの設定レベルをLEVEL9にしたときの送出量の平均は243.6ml/minであった。また、送水装置50Aの設定レベルをLEVEL5にしたときの送出量の平均は208.2ml/minであった。なお、送出量の測定において、ポンプチューブユニットAと内視鏡20との接続部分における液漏れは発生しなかった。
【0085】
また、
図18(b)に示すように、送水装置50Aの設定レベルをLEVEL9にしたときの残水時間の平均は1.95sであった。また、送水装置50Aの設定レベルをLEVEL5にしたときの残水時間の平均は1.79sであった。
【0086】
送水量の測定結果によれば、ポンプチューブユニットBを送水装置50Bに装着して、内視鏡20に接続した場合、ポンプチューブユニットAを送水装置50Aに装着して、内視鏡20に接続した場合よりも、送出量が目的の送出量となることがわかった。また、残水時間も、ポンプチューブユニットBを送水装置50Bに装着して、内視鏡20に接続した場合の残水時間が、ポンプチューブユニットAを送水装置50Aに装着して、内視鏡20に接続した場合よりも短くなることがわかった。
【0087】
なお、ポンプチューブユニットCは、送水装置50A又は送水装置50Bのいずれかに装着したとき、設定レベルをLEVEL9とした場合には、送水装置の駆動時に、ポンプチューブを適切に扱くことができない事象が生じ、目的の送水量にて送水を行うことができないことがわかった。その一方で、設定レベルをLEVEL9未満とした場合には、目的の送水量に近い送水量となることから、ポンプチューブユニットCを用いる場合には、設定レベルをLEVEL9未満で使用することが良好である。
【0088】
すなわち、試験(1)から試験(4)を行うことで、ポンプチューブユニットBを送水装置50B又は送水装置50Aに装着して、内視鏡20に接続した場合には、ポンプチューブユニットAを送水装置50A装着して内視鏡20に接続した場合と同等以上の性能を有することがわかった。また、その際に、ポンプチューブユニットBと内視鏡20の副送水口金42とをコネクタを介して接続することで、液漏れの発生を抑えることができ、また、水切れが良くなることが分かった。このように、送水装置50に対して専用ではないポンプチューブユニット70を、コネクタ80を介して内視鏡20に接続することで、専用の部品を用いてポンプチューブユニットと内視鏡とを接続したときと同様の性能を有することができる。
【0089】
<効果のまとめ>
本発明の副送水口金用コネクタ80は、送水装置50に設置されたチューブユニット70を、内視鏡20の副送水口金42に接続する際に用いられる副送水口金用コネクタ80であって、合成樹脂からなる筒形状のコネクタ本体80aを有し、コネクタ本体80aは、副送水口金42に設けられた収納空間42bに挿入される挿入部81と、コネクタ本体80aの外周面に設けられるとともに、副送水口金42の収納空間42bに設けられた雌ねじ部42cに螺合する雄ねじ部83と、コネクタ本体80aの中心軸線方向における挿入部81と雄ねじ部83との間で、コネクタ本体80aの外周面の全周に亘って設けられる段差部87と、を有し、副送水口金42は、副送水口金42の中心軸線方向における収納空間42bと雌ねじ部42cとの間に、雌ねじ部42cから収納空間42bに向けて縮径されるテーパ面42fを有し、段差部87は、コネクタ本体80aを副送水口金42に締め付け固定したとき、テーパ面42fに圧接された状態で保持されることを特徴としている。
【0090】
これによれば、送水装置50が駆動して、当該送水装置50に設置された送水タンク60により送り込まれる液体が、副送水口金用コネクタ80と内視鏡20の副送水口金42との間で漏水することなく、確実に、内視鏡20の副送水チャンネルSCを介して副送水口36から噴出させることができる。
【0091】
また、コネクタ本体80aは、コネクタ本体80aの中心軸線方向における一端側に設けられて、ポンプチューブユニット70からの液体が流入する第1流路84aと、コネクタ本体80aの中心軸線方向における他端側に設けられて、第1流路84aに流入する液体を収納空間42bに送り出す第2流路84bと、を有し、第2流路84bの内径は、第1流路84aの内径未満であり、第1流路84aの内径は、収納空間42bの内径未満であることが好ましい。
【0092】
これによれば、第2流路84bがオリフィスとして機能して、副送水口金42の収納空間42bに液体を流入させることができる。このとき、副送水口金42の収納空間42bに流れ込んだ液体の圧力は低下するので、テーパ面42fに圧接された段差部87に過剰な圧力負荷を与えることが防止される。その結果、段差部87がテーパ面42fに圧接された箇所において、液体が漏水することなく、確実に内視鏡20の副送水チャンネルSCへと送り込むことが可能となる。
【0093】
また、収納空間42bは、当該収納空間42bの底部42eに、内視鏡の副送水チャンネルと連続する送水口42gを備えており、送水口42gの内径D3は、第2流路84bの内径D6よりも小さく、挿入部81の外径D4は、収納空間42bの内径D1と同一であることが好ましい。
【0094】
この構成によれば、ポンプチューブユニット70により送り出される液体は、コネクタを介して副送水口金42の収納空間42bに滞留した後、新たに、副送水口金42の収納空間42bに送り出される液体による押圧を受けて、送水口42gから副送水チャンネルSCへと送り出される。このとき、副送水口金42の収納空間42bに滞留する液体は、コネクタ80の挿入部81と副送水口金42の収納空間42bとが当接されることで、段差部87がテーパ面42fに圧接された部位へと到達しない。したがって、副送水口金用コネクタ80と内視鏡20の副送水口金42との間で発生する漏水を防止することができる。
【0095】
また、コネクタ本体80aは、当該コネクタ本体80aの中心軸線方向における両端部のうち、副送水口金42に接続される一端部とは反対側の他端部に、ポンプチューブユニット70の一端に固定された逆止弁75を接続することが好ましい。
【0096】
これによれば、内視鏡20の使用後、コネクタ80はポンプチューブユニット70とともに廃棄されて、内視鏡20のみが洗浄される。したがって、内視鏡専用の逆止弁(又は逆止弁ユニット)を用いなくとも、他の用途で使用される安価で、且つディスポータブルな逆止弁を使用することが可能となる。
【符号の説明】
【0097】
10 内視鏡システム
20 内視鏡
42 副送水口金
42f テーパ面
50 送水装置
60 送水タンク
70 ポンプチューブユニット
75 逆止弁
80 副送水口金用コネクタ
81 挿入部
83 雄ねじ部
84 流路
84a 第1流路
84b 第2流路
84c 第3流路
87 段差部
【要約】
【課題】送水用のチューブユニットを内視鏡の副送水口に接続することが可能な安価なシステムを提供する。
【解決手段】本発明の副送水口金用コネクタ80は、合成樹脂からなる筒形状のコネクタ本体80aを有し、コネクタ本体80aは、副送水口金42の収納空間42bに挿入される挿入部81と、副送水口金42の収納空間42bの雌ねじ部42cに螺合する雄ねじ部83と、コネクタ本体80aの中心軸線方向において、挿入部81と雄ねじ部83との間で、コネクタ本体80aの外周面の全周に亘って設けられる段差部87と、を有し、副送水口金42は、副送水口金42の中心軸線方向において、収納空間42bと雌ねじ部42cとの間に、雌ねじ部42cから収納空間42bに向けて縮径されるテーパ面42fを有し、段差部87は、コネクタ本体80aの外周面の全周に亘って設けられる段差部87の稜線がテーパ面42fに圧接された状態で保持される。
【選択図】
図7