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  • 特許-駐停車判別システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-05
(45)【発行日】2024-02-14
(54)【発明の名称】駐停車判別システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20240206BHJP
【FI】
G08G1/00 D
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023211499
(22)【出願日】2023-12-14
【審査請求日】2023-12-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523472685
【氏名又は名称】株式会社Digital Lagoon
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 一
(74)【代理人】
【識別番号】100195877
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻木 伸一郎
(72)【発明者】
【氏名】豊増 佳宏
(72)【発明者】
【氏名】長野 俊一
【審査官】小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-124899(JP,A)
【文献】特開2018-144925(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30、30/00-60/00
G07C 1/00-15/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の停止が離車を伴わない停車状態か、離車を伴う駐車状態かを判別する駐停車判別システムであって、
演算装置を備え、
前記演算装置は、第1のアルゴリズム及び第2のアルゴリズムを備え、並びに、前記車両の運動状態に関する測定データを受信し、
前記測定データは前記車両の停止判定用データ及び前記車両の停車状態/駐車状態判別用データを備え、
前記停止判定用データは前記車両の位置情報、前記車両の速度データ及び前記車両の走行画像データから選ばれる1種以上を備え、
前記停車状態/駐車状態判別用データは前記車両の加速度データ、前記車両の振動データ及び前記車両の傾きデータから選ばれる1種以上を備え、
前記第1のアルゴリズムは、前記停止判定用データが前記位置情報を備える場合は前記位置情報の変動なしが所定時間続く場合、前記停止判定用データが前記速度データを備える場合は速度0が所定時間続く場合、及び、前記停止判定用データが前記走行画像データを備える場合は前記走行画像データの変動なしが所定時間続く場合から選ばれる1種以上に該当する場合を、前記車両の停止と判定し、
前記第1のアルゴリズムによる停止判定の継続中に、前記第2のアルゴリズムは、前記停車状態/駐車状態判別用データが前記加速度データを備える場合は加速度0が所定時間続く場合、前記停車状態/駐車状態判別用データが前記振動データを備える場合は振動0が所定時間続く場合、及び、前記停車状態/駐車状態判別用データが前記傾きデータを備える場合は前記傾きデータの変動なしが所定時間続く場合から選ばれる1種以上に該当する場合を、離車を伴う駐車状態と判定することを特徴とする駐停車判別システム。
【請求項2】
請求項1に記載の駐停車判別システムにおいて、
前記測定データは前記位置情報を備え、
前記演算装置は、前記第2のアルゴリズムが離車を伴う駐車状態と判定したときの前記位置情報を記憶することを特徴とする駐停車判別システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、駐停車判別システムに関する。
【背景技術】
【0002】
新型コロナウイルスの感染が爆発的に拡大し、感染抑止のために外出が自粛された。そこで、従前の飲食店(外食産業)は出前に進出し、出前が急拡大した。これに伴い、配達業者(デリバリープラットフォーマー)が隆盛した。
【0003】
飲食店は配達に関する情報を収集したいが、デリバリープラットフォーマーから飲食店に開示される配達に関する情報は限られる。そこで、飲食店は配達に関する情報を独自に収集するため、配達用の車両にGPS受信機を取り付け、車両の位置情報を自動的に収集することが考えられる。
【0004】
ここで、配達員は目的地付近で車両を駐車し、車両を離れ(離車)、注文された飲食物を目的地に持参し、配達を完了する。しかし、車両は赤信号等でも停車する。GPS受信機からの位置情報だけでは、車両の停止が配達のための離車を伴う駐車か、赤信号等のための離車を伴わない一時的な停車かの判別が難しかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6934269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された路面診断装置は、移動体(車両)から収集した道路区間におけるセンサ情報に基づいて、該道路区間の路面の劣化状態を判定するものの、移動体の停止が配達のための離車を伴う駐車か、赤信号等のための離車を伴わない一時的な停車かを判別することはできなかった。
【0007】
本開示は上記実状を鑑みてなされたものであり、本開示の目的は、車両の停止が配達のための離車を伴う駐車か、赤信号等のための離車を伴わない一時的な停車かを自動的に判別する駐停車判別システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一の態様は、
車両の停止が離車を伴わない停車状態か、離車を伴う駐車状態かを判別する駐停車判別システムであって、
演算装置を備え、
前記演算装置は、第1のアルゴリズム及び第2のアルゴリズムを備え、並びに、前記車両の運動状態に関する測定データを受信し、
前記測定データは前記車両の停止判定用データ及び前記車両の停車状態/駐車状態判別用データを備え、
前記停止判定用データは前記車両の位置情報、前記車両の速度データ及び前記車両の走行画像データから選ばれる1種以上を備え、又は、
前記停車状態/駐車状態判別用データは前記車両の加速度データ、前記車両の振動データ及び前記車両の傾きデータから選ばれる1種以上を備え、
前記第1のアルゴリズムは、前記停止判定用データが前記位置情報を備える場合は前記位置情報の変動なしが所定時間続く場合、前記停止判定用データが前記速度データを備える場合は速度0が所定時間続く場合、及び、前記停止判定用データが前記走行画像データを備える場合は前記走行画像データの変動なしが所定時間続く場合から選ばれる1種以上に該当する場合を、前記車両の停止と判定し、
前記第1のアルゴリズムによる停止判定の継続中に、前記第2のアルゴリズムは、前記停車状態/駐車状態判別用データが前記加速度データを備える場合は加速度0が所定時間続く場合、前記停車状態/駐車状態判別用データが前記振動データを備える場合は振動0が所定時間続く場合、及び、前記停車状態/駐車状態判別用データが前記傾きデータを備える場合は前記傾きデータの変動なしが所定時間続く場合から選ばれる1種以上に該当する場合を、離車を伴う駐車状態と判定することを特徴とする駐停車判別システムに関する。
【0009】
配達員が車両に乗車していれば車両や自分自身のバランスを保つ等、何らかの動作を行い、車両に振動や傾きの変動が発生するのに対し、離車すると配達員による車両の振動や傾きの変動がなくなり、車両は加速度0や振動0、傾きデータの変動なしの状態が続く。したがって、このような駐停車判別システムを用いることにより、車両の停止が配達のための離車を伴う駐車か、それ以外の赤信号等のための離車を伴わない一時的な停車かを自動的に判別することができる。
【0010】
本開示の一の態様では、
前記測定データは前記位置情報を備え、
前記演算装置は、前記第2のアルゴリズムが離車を伴う駐車状態と判定したときの前記位置情報を記憶してもよい。
【0011】
これにより、配達に関するより詳しい情報を自動的に収集することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態の駐停車判別システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本開示の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成のすべてが本開示の解決手段として必須であるとは限らない。
【0014】
(1)駐停車判別システム10
図1は本実施形態の駐停車判別システム10を示す。
【0015】
本実施形態の駐停車判別システム10は、演算装置11を備え、演算装置11は、第1のアルゴリズム及び第2のアルゴリズムを備え、並びに、車両12の運動状態に関する測定データを受信し、測定データは車両12の停止判定用データ及び車両12の停車状態/駐車状態判別用データを備え、停止判定用データは車両12の位置情報、車両12の速度データ及び車両12の走行画像データから選ばれる1種以上を備え、停車状態/駐車状態判別用データは車両12の加速度データ、車両12の振動データ及び車両12の傾きデータから選ばれる1種以上を備え、第1のアルゴリズムは、停止判定用データが位置情報を備える場合は位置情報の変動なしが所定時間続く場合、停止判定用データが速度データを備える場合は速度0が所定時間続く場合、及び、停止判定用データが走行画像データを備える場合は走行画像データの変動なしが所定時間続く場合から選ばれる1種以上に該当する場合を、車両12の停止と判定し、第1のアルゴリズムによる停止判定の継続中に、第2のアルゴリズムは、停車状態/駐車状態判別用データが加速度データを備える場合は加速度0が所定時間続く場合、停車状態/駐車状態判別用データが振動データを備える場合は振動0が所定時間続く場合、及び、停車状態/駐車状態判別用データが傾きデータを備える場合は傾きデータの変動なしが所定時間続く場合から選ばれる1種以上に該当する場合を、離車を伴う駐車状態と判定する。
【0016】
配達員が車両12に乗車していれば車両12や自分自身のバランスを保つ等、何らかの動作を行い、車両12に振動や傾きの変化が発生するのに対し、離車すると配達員による車両12の振動や傾きの変動がなくなり、車両12は加速度0や振動0、傾きデータの変動なしの状態が続く。したがって、このような駐停車判別システム10を用いることにより、車両12の停止が配達のための離車を伴う駐車か、それ以外の赤信号等のための離車を伴わない一時的な停車かを自動的に判別することができる。なお、車両12がエンジンを備える場合、配達員が離車時にエンジンを停止しないと、アイドリングによる振動が残存することが考えられる。この場合、事前に配達員不在のアイドリングデータを収集しておき、アイドリング分をキャンセルした停車状態/駐車状態判別用データを停車状態/駐車状態の判別に用いてもよい。
【0017】
第1のアルゴリズムが車両12の停止と判定するための、位置情報の変動なし、速度0又は走行画像データの変動なしの継続時間(所定時間)は、判定が可能であれば特に制限はなく、例えば、10秒、好ましくは5秒、より好ましくは3秒が挙げられる。停止判定用データが、車両12の位置情報、車両12の速度データ及び車両12の走行画像データから選ばれる2種又は3種を備える場合、第1のアルゴリズムの車両12の停止判定は、それらのうちのいずれか1種を採用してもよいし、それらのうちの2種以上の停止判定が揃った場合を採用してもよい。
【0018】
第2のアルゴリズムが離車を伴う駐車状態と判定するための、加速度0、振動0又は傾きデータの変動なしの継続時間(所定時間)は、判定が可能であれば特に制限はなく、例えば、10秒、好ましくは5秒、より好ましくは3秒が挙げられる。停車状態/駐車状態判別用データが、車両12の加速度データ、車両12の振動データ及び車両12の傾きデータから選ばれる2種又は3種を備える場合、第2のアルゴリズムの駐車状態の判定は、それらのうちのいずれか1種を採用してもよいし、それらのうちの2種以上の駐車状態判定が揃った場合を採用してもよい。
【0019】
本実施形態の駐停車判別システム10では、測定データは車両12の位置情報を備え、演算装置11は、第2のアルゴリズムが離車を伴う駐車状態と判定したときの位置情報を記憶してもよい。
【0020】
これにより、配達に関するより詳しい情報を自動的に収集することができる。
【0021】
(2)車両12
車両12の種類及び車輪の数は特に制限はないが、出前に適する車両12としては、例えば、下記が挙げられる。
・一輪を備える車両12の例:電動一輪車
・二輪を備える車両12の例:自転車、電動自転車、スクーター、電動スクーター、電動キックボード、二輪自動車、電気二輪自動車等
・三輪を備える車両12の例:三輪スクーター、電動三輪スクーター、三輪自動車、電気三輪自動車等
・四輪を備える車両12の例:四輪スクーター、電動四輪スクーター、道路交通法上のミニカー、自動車、電気自動車等
【0022】
配達員の動作を車両12の振動や傾きの変動として測定可能な車両12としては、二輪を備えるものが好ましく、三輪以上を備えるものでは配達員の動作の影響を受けやすい、比較的軽量な三輪スクーター、電動三輪スクーター、四輪スクーター、電動四輪スクーター、道路交通法上のミニカー等が好ましい。
【0023】
車両12は停止判定用データを測定するためのセンサを備える。センサの種類は、例えば、GPS受信機、速度メータ又は画像センサ等が挙げられ、1種又は2種以上でもよいし、それを他の用途に用いてもよい。測定された車両12の位置情報、車両12の速度データ又は車両12の走行画像データ等は測定データとして演算装置11に送信される。
【0024】
車両12は停車状態/駐車状態判別用データを測定するためのセンサを備える。車両12の停止中に配達員が乗車している場合、配達員は車両12や自分自身のバランスを保つ等、何らかの動作を行うため、車両12に振動や傾きの変動が生じる。そこで、このセンサの種類は、例えば、加速度センサ、振動センサ、ジャイロセンサ又は傾斜センサ等が挙げられ、1種又は2種以上でもよいし、それを他の用途に用いてもよい。加速度センサの場合、配達員の動作による車両12の振動を測定することができれば一軸加速度センサでもよいし、三軸加速度センサでもよい。測定された加速度データ又は傾きデータ等は測定データとして演算装置11に送信される。
【0025】
車両12から演算装置11への測定データの送信方法は、送信可能であれば特に制限はなく、例えば、既存の電気通信回線を用いてもよいし、直接通信を行ってもよい。
【0026】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本開示の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。したがって、このような変形例はすべて本開示の範囲に含まれる。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語とともに記載された用語は、明細書のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また、本実施形態の構成も本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0027】
10 駐停車判別システム、11 演算装置、12 車両
【要約】
【課題】 車両の停止が配達のための離車を伴う駐車か、赤信号等のための離車を伴わない一時的な停車かを自動的に判別する駐停車判別システムを提供すること。
【解決手段】 駐停車判別システムは演算装置を備え、演算装置は、第1のアルゴリズム及び第2のアルゴリズムを備え、並びに、車両の運動状態に関する測定データを受信し、測定データは車両の停止判定用データ及び停車状態/駐車状態判別用データを備え、停止判定用データは車両の位置情報、速度データ及び画像データから選ばれる1種以上を備え、停車状態/駐車状態判別用データは車両の加速度データ、振動データ及び傾きデータから選ばれる1種以上を備え、第1のアルゴリズムは、停止判定用データが位置情報を備える場合は位置情報の変動なしが所定時間続く場合、停止判定用データが速度データを備える場合は速度0が所定時間続く場合、及び、停止判定用データが画像データを備える場合は画像データの変動なしが所定時間続く場合から選ばれる1種以上に該当する場合を、車両の停止と判定し、第1のアルゴリズムによる停止判定の継続中に、第2のアルゴリズムは、停車状態/駐車状態判別用データが加速度データを備える場合は加速度0が所定時間続く場合、停車状態/駐車状態判別用データが振動データを備える場合は振動0が所定時間続く場合、及び、停車状態/駐車状態判別用データが傾きデータを備える場合は傾きデータの変動なしが所定時間続く場合から選ばれる1種以上に該当する場合を、離車を伴う駐車状態と判定する。
【選択図】 図1
図1