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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-05
(45)【発行日】2024-02-14
(54)【発明の名称】アイマスク及びアイマスクの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/04 20060101AFI20240206BHJP
【FI】
A61F9/04 340
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2023219700
(22)【出願日】2023-12-26
【審査請求日】2023-12-27
(31)【優先権主張番号】P 2023129190
(32)【優先日】2023-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】392018621
【氏名又は名称】横井定株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100131048
【弁理士】
【氏名又は名称】張川 隆司
(72)【発明者】
【氏名】横井 昭
(72)【発明者】
【氏名】横井 勇紀
(72)【発明者】
【氏名】横井 直己
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3142860(JP,U)
【文献】特開2012-020175(JP,A)
【文献】特表2002-526199(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0262936(US,A1)
【文献】韓国登録実用新案第20-0458777(KR,Y1)
【文献】国際公開第2002/006881(WO,A2)
【文献】米国特許第04908878(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央の鼻当て部を挟んで左右に目隠し部がそれぞれ形成され、かつ熱融着性で横長形状のアイマスクにおいて、
各々の前記目隠し部が自身の横方向中間部に位置する縦方向の折り返し線にて前記鼻当て部側に折り畳まれた重ね合わせ形態において、前記折り返し線と上部外形線との交差位置から下方へ向かって重なりを相互に熱融着された上方融着部と、前記折り返し線と下部外形線との交差位置から上方へ向かって重なりを相互に熱融着された下方融着部と、前記上方融着部及び前記下方融着部の中間に位置して重なりを相互に熱融着されない非融着部とが、前記折り返し線の内側に沿って一列状に配置され、
使用時に各々の前記目隠し部は、前記折り返し線から展開され横方向外方に広げられると、前記上方融着部と前記下方融着部とが前記非融着部を挟んで前記折り返し線上で対向接近するように折り曲げられ、全体として顔面前方側へ飛び出す膨出形態になることを特徴とするアイマスク。
【請求項2】
中央の鼻当て部を挟んで左右に目隠し部がそれぞれ形成され、かつ熱融着性で横長形状の本体と、各目隠し部の端部側に接続されて前記本体の左右にそれぞれ耳掛け部が形成され、かつ熱融着性および伸縮性を有する一対の装着体と、を備えるアイマスクにおいて、
各々の前記目隠し部が自身の横方向中間部に位置する縦方向の折り返し線にて前記鼻当て部側に前記装着体と共に折り畳まれた重ね合わせ形態において、前記折り返し線と上部外形線との交差位置から下方へ向かって重なりを相互に熱融着された上方融着部と、前記折り返し線と下部外形線との交差位置から上方へ向かって重なりを相互に熱融着された下方融着部と、前記上方融着部及び前記下方融着部の中間に位置して重なりを相互に熱融着されない非融着部とが、前記折り返し線の内側に沿って一列状に配置され、
使用時に各々の前記目隠し部は、前記折り返し線から前記装着体と共に展開され横方向外方に広げられると、前記上方融着部と前記下方融着部とが前記非融着部を挟んで前記折り返し線上で対向接近するように折り曲げられ、全体として顔面前方側へ飛び出す膨出形態になることを特徴とするアイマスク。
【請求項3】
前記重ね合わせ形態において、前記折り返し線は、前記上部外形線及び前記下部外形線との近傍領域では前記交差位置に近づくにつれて前記鼻当て部側に近づくような傾斜ラインとなってカットされている請求項1又は請求項2に記載のアイマスク。
【請求項4】
前記上方融着部及び前記下方融着部は前記折り返し線の傾斜ラインに沿って内側に形成されている請求項3に記載のアイマスク。
【請求項5】
前記上方融着部及び前記下方融着部はいずれも上下方向全高さの1/3以下の高さ範囲内で連続した線状に形成されている請求項1又は請求項2に記載のアイマスク。
【請求項6】
前記鼻当て部には前記下部外形線から上方へ向かって切込み線が形成され、前記目隠し部の横方向外方への引っ張りによって前記鼻当て部の切込み線が左右に開かれる請求項1又は請求項2に記載のアイマスク。
【請求項7】
中央の鼻当て部を挟んで左右に目隠し部がそれぞれ形成され、かつ熱融着性で横長形状のアイマスクの製造方法において、
各々の前記目隠し部を自身の横方向中間部に位置する縦方向の折り返し線にて前記鼻当て部側に折り畳む折り畳み工程と、
前記折り返し線と上部外形線との交差位置から下方へ向かって重なりを相互に熱融着する上方融着部と、前記折り返し線と下部外形線との交差位置から上方へ向かって重なりを相互に熱融着する下方融着部と、前記上方融着部及び前記下方融着部の中間に位置して重なりを相互に熱融着しない非融着部とを、前記折り返し線の内側に沿って一列状に同時形成する熱融着工程と、
を含むことを特徴とするアイマスクの製造方法。
【請求項8】
中央の鼻当て部を挟んで左右に目隠し部がそれぞれ形成され、かつ熱融着性で横長形状の本体と、各目隠し部の端部側に接続されて前記本体の左右にそれぞれ耳掛け部が形成され、かつ熱融着性および伸縮性を有する一対の装着体と、を備えるアイマスクの製造方法において、
各々の前記目隠し部を自身の横方向中間部に位置する縦方向の折り返し線にて前記装着体と共に前記鼻当て部側に折り畳む折り畳み工程と、
前記折り返し線と上部外形線との交差位置から下方へ向かって重なりを相互に熱融着する上方融着部と、前記折り返し線と下部外形線との交差位置から上方へ向かって重なりを相互に熱融着する下方融着部と、前記上方融着部及び前記下方融着部の中間に位置して重なりを相互に熱融着しない非融着部とを、前記折り返し線の内側に沿って一列状に同時形成する熱融着工程と、
を含むことを特徴とするアイマスクの製造方法。
【請求項9】
前記熱融着工程の後に、前記上部外形線及び前記下部外形線との近傍領域にて、前記折り返し線を前記交差位置に近づくにつれて前記鼻当て部側に近づくような傾斜ラインとしてカットするカット工程を含む請求項7又は請求項8に記載のアイマスクの製造方法。
【請求項10】
前記熱融着工程において、前記上方融着部及び前記下方融着部は前記折り返し線の傾斜ラインに沿って内側に形成される請求項9に記載のアイマスクの製造方法。
【請求項11】
前記熱融着工程において、前記上方融着部及び前記下方融着部はいずれも上下方向全高さの1/3以下の高さ範囲内で連続した線状に形成される請求項7又は請求項8に記載のアイマスクの製造方法。
【請求項12】
中央の鼻当て部を挟んで左右に目隠し部がそれぞれ形成され、かつ熱融着性で横長形状のアイマスクの製造方法において、
単層又は複層の生地で構成されるアイマスク素材に対し前記アイマスクが縦方向に繰り返し転写されて複数の罫書き体が描かれていることを前提とし、隣接する前記罫書き体の一方の上部外形線と他方の下部外形線とが接することにより縦方向に連結され、各々の前記罫書き体の前記上部外形線及び前記下部外形線を左右端で縦方向に各々結ぶ左外形線及び右外形線に沿って前記罫書き体が連続的にカットされてアイマスク連続体となす第一切断工程と、
前記アイマスク連続体の各々の前記罫書き体に対し、各々の前記目隠し部を自身の横方向中間部に位置する縦方向の折り返し線にて前記鼻当て部側に折り畳む折り畳み工程と、
前記アイマスク連続体の各々の前記罫書き体に対し、前記折り返し線と前記上部外形線との交差位置から下方へ向かう際前記折り返し線を交差位置に近づくにつれて前記鼻当て部側に近づくような上部傾斜ラインとして重なりを相互に熱融着する上方融着部と、前記折り返し線と前記下部外形線との交差位置から上方へ向かう際前記折り返し線を交差位置に近づくにつれて前記鼻当て部側に近づくような下部傾斜ラインとして重なりを相互に熱融着する下方融着部と、前記上方融着部及び前記下方融着部の中間に位置して重なりを相互に熱融着しない非融着部とを、前記折り返し線の内側に沿って一列状に同時形成する熱融着工程と、
前記アイマスク連続体の各々の前記罫書き体に対し、前記折り返し線の前記上部外形線及び前記下部外形線との近傍領域にて、前記上部傾斜ライン及び前記下部傾斜ラインの外側に沿ってカットするとともに、前記アイマスク連続体の隣接する前記罫書き体を前記上部外形線及び前記下部外形線でカットして個別の前記アイマスクに分離する第二切断工程と、
を含むことを特徴とするアイマスクの製造方法。
【請求項13】
前記第一切断工程の前に、複層の生地で構成される前記アイマスク素材の各罫書き体の外形線の内側にその外形線に沿って連続する点状の熱融着を行って点状熱融着ラインを形成し、それら点状熱融着ラインにより複層の生地を一体化する積層工程を含む請求項12に記載のアイマスクの製造方法。
【請求項14】
中央の鼻当て部を挟んで左右に目隠し部がそれぞれ形成され、かつ熱融着性で横長形状の本体と、各目隠し部の端部側に接続されて前記本体の左右にそれぞれ(環状の)耳掛け部が形成され、かつ熱融着性および伸縮性を有する一対の装着体と、を備えるアイマスクの製造方法において、
単層又は複層の生地で構成され縦方向に連続する本体素材の横方向左右端部において、単層又は複層の生地で縦方向に連続する一対の装着体素材を重ねそれら重なり領域においてそれぞれ連続的に熱融着し、単層又は複層の生地で構成されるアイマスク素材となす第一熱融着工程と、
前記アイマスク素材に対し前記アイマスクが縦方向に繰り返し転写されて複数の罫書き体が描かれていることを前提とし、隣接する前記罫書き体の一方の上部外形線と他方の下部外形線とが接することにより縦方向に連結され、各々の前記罫書き体の前記重なり領域ないしその周辺において前記上部外形線が下側に凹み前記下部外形線が上側に凹む形状となるように各前記罫書き体がカットされ、かつ前記耳掛け部を形成するための切れ目が前記罫書き体ごとに個別にカットされてアイマスク連続体となす第一切断工程と、
前記アイマスク連続体の各々の前記罫書き体に対し、各々の前記目隠し部を自身の横方向中間部に位置する縦方向の折り返し線にて前記装着体と共に前記鼻当て部側に折り畳む折り畳み工程と、
前記アイマスク連続体の各々の前記罫書き体に対し、前記折り返し線と前記上部外形線との交差位置から下方へ向かう際前記折り返し線を交差位置に近づくにつれて前記鼻当て部側に近づくような上部傾斜ラインとして重なりを相互に熱融着する上方融着部と、前記折り返し線と前記下部外形線との交差位置から上方へ向かう際前記折り返し線を交差位置に近づくにつれて前記鼻当て部側に近づくような下部傾斜ラインとして重なりを相互に熱融着する下方融着部と、前記上方融着部及び前記下方融着部の中間に位置して重なりを相互に熱融着しない非融着部とを、前記折り返し線の内側に沿って一列状に同時形成する第二熱融着工程と、
前記アイマスク連続体の各々の前記罫書き体に対し、前記折り返し線の前記上部外形線及び前記下部外形線との近傍領域にて、前記上部傾斜ライン及び前記下部傾斜ラインの外側に沿ってカットするとともに、前記アイマスク連続体の隣接する前記罫書き体を前記上部外形線及び前記下部外形線でカットして個別の前記アイマスクに分離する第二切断工程と、
を含むことを特徴とするアイマスクの製造方法。
【請求項15】
前記第一熱融着工程の前に、複層の生地で構成される前記本体素材の各罫書き体において前記本体の外形線の内側にその外形線付近を延びる点状の熱融着を行って点状熱融着ラインを形成し、それら点状熱融着ラインにより複層の生地を一体化する積層工程を含む請求項14に記載のアイマスクの製造方法。
【請求項16】
前記第二切断工程における上部及び下部傾斜ラインの外側に沿ったカットと前記罫書き体の切断分離とは前者と後者が同時に又は前者が先に後者が後に実行される請求項12又は請求項14に記載のアイマスクの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、睡眠や休息の際に、目を覆って外部の光を遮断するために顔面に装着されて使用されるアイマスクと、そのようなアイマスクの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的にアイマスクには、収納時等の不使用時において扁平状で携帯性に優れる一方、使用時においては立体化して装着感をよくすることが求められる。
【0003】
例えば特許文献1には、左右の目の覆い部(マスク部)と両眼との間に付け睫毛の変形等を回避するために必要な空間を形成すること、及び折り畳んで携帯可能であることが開示されている。また特許文献2にも、左右の目の覆い部(マスク部)と両眼との間に上記と同様の空間を形成することが開示されている。
【0004】
ところが、特許文献1の開示技術では、左右各々のマスク部と対応する目との間に隆起状の空間部を個々に形成するために、左右のマスク部ごとに、少なくとも上下方向のほぼ全高さにわたって1条のダーツ(曲面化するためのつまみ縫い目)等の縫い目又はソフトワイヤを設けているので、仮にマスク部を折り畳んだ状態でこのような縫い目の縫い付けやソフトワイヤの取り付けを行うとすれば比較的安価に提供できるが、展開時に十分な隆起量を得ることは難しい。一方、マスク部を展開した状態で直接隆起状空間部を形成する場合には十分な隆起量を得られるが、マスク部を立体形状に保持して縫製(立体縫製)したり、マスク素材を立体形状に保持して裁断(立体裁断)したりする特殊技術の採用が必要となって高価となる。
【0005】
要するに、特許文献1,2においては、安価ではあるが展開時の隆起量に欠け装着感で劣る製品と、装着感は良好ながら高価である製品との二者択一を迫られることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第4825930号公報
【文献】実公昭55-23528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、構造が簡素で安価でありかつ装着感も良好なアイマスク、及び安価で装着感に優れたアイマスクの製造の容易化と製造コストの低減化を図ることのできるアイマスクの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のアイマスクの第一は、
中央の鼻当て部を挟んで左右に目隠し部(、さらに外側に耳掛け部等の装着部)がそれぞれ形成され、かつ熱融着性で横長形状のアイマスクにおいて、
各々の前記目隠し部が自身の横方向中間部に位置する縦方向の折り返し線にて前記鼻当て部側に折り畳まれた重ね合わせ形態(折り畳み形態)において、前記折り返し線と上部外形線との交差位置から下方へ向かって重なりを相互に熱融着された上方融着部と、前記折り返し線と下部外形線との交差位置から上方へ向かって重なりを相互に熱融着された下方融着部と、前記上方融着部及び前記下方融着部の中間に位置して重なりを相互に熱融着されない非融着部とが、前記折り返し線の内側に沿って一列状に配置され、
使用時に各々の前記目隠し部は、前記折り返し線から展開され横方向外方に広げられる(引っ張られる)と、前記上方融着部と前記下方融着部とが前記非融着部を挟んで前記折り返し線上で対向接近するように折り曲げられ、全体として顔面前方側へ飛び出す(飛び出る)膨出形態(隆起形態)になることを特徴とする。
【0009】
また、上記課題を解決するために、本発明のアイマスクの第二は、
中央の鼻当て部を挟んで左右に目隠し部がそれぞれ形成され、かつ熱融着性で横長形状の本体と、各目隠し部の端部側に接続されて前記本体の左右にそれぞれ(例えば環状やループ状の)耳掛け部が形成され、かつ熱融着性および伸縮性を有する一対の装着体と、を備えるアイマスクにおいて、
各々の前記目隠し部が自身の横方向中間部に位置する縦方向の折り返し線にて前記鼻当て部側に前記装着体と共に折り畳まれた重ね合わせ形態において、前記折り返し線と上部外形線との交差位置から下方へ向かって重なりを相互に熱融着された上方融着部と、前記折り返し線と下部外形線との交差位置から上方へ向かって重なりを相互に熱融着された下方融着部と、前記上方融着部及び前記下方融着部の中間に位置して重なりを相互に熱融着されない非融着部とが、前記折り返し線の内側に沿って一列状に配置され、
使用時に各々の前記目隠し部は、前記折り返し線から前記装着体と共に展開され横方向外方に広げられると、前記上方融着部と前記下方融着部とが前記非融着部を挟んで前記折り返し線上で対向接近するように折り曲げられ、全体として顔面前方側へ飛び出す膨出形態になることを特徴とする。
【0010】
これらのように、重ね合わせ形態の各目隠し部に上下の融着部を形成しておき、使用時に左右の目隠し部を折り返し線から展開し横方向外方に広げられれば、目隠し部は(非融着部を含む上下の中間部が両端側へ大きく広げられる反面、熱融着部を含む上部及び下部は中間部よりも小さく広がるため)非融着部を基点として上下の融着部が折り返し線上で対向接近するように折れ曲がりやすく、全体として顔面前方側へ飛び出す膨出形態になる。これによって、簡素で安価な構造を有しつつ、使用時には目隠し部が十分に膨出し装着感に優れたアイマスクを実現できる。
【0011】
上記重ね合わせ形態において、折り返し線は、上部外形線及び下部外形線との近傍領域では交差位置に近づくにつれて鼻当て部側に近づくような傾斜ラインとなってカットされている。
【0012】
これによって、収納時等の不使用時においても目隠し部を傾斜ラインで揃えて折り畳むことができ、四隅に角部が形成されなくなる。
【0013】
そして上記上方融着部及び下方融着部は折り返し線の傾斜ラインに沿って内側に形成されている。
【0014】
このように、傾斜ラインに沿って上下の融着部が形成されることによって、展開時に上下の融着部が対向接近する際に一層折れ曲がりやすくなり、装着感が向上する。
【0015】
また、上記上方融着部及び下方融着部はいずれも上下方向全高さの1/3以下の高さ範囲内で連続した線状に形成されている。
【0016】
これによって、展開時に基点となる非融着部を確実に形成でき、装着感が安定する。
【0017】
さらに、上記鼻当て部には下部外形線から上方へ向かって切込み線が形成され、目隠し部の横方向外方への引っ張りによって鼻当て部の切込み線が左右に開かれる。
【0018】
このように、鼻当て部は使用時に切込み線から開かれて使用者の鼻に載せられるので、圧迫感のない軽快な装着感が得られる。
【0019】
そして、上記課題を解決するために、本発明のアイマスクの製造方法の第一は、
中央の鼻当て部を挟んで左右に目隠し部(、さらに外側に耳掛け部等の装着部)がそれぞれ形成され、かつ熱融着性で横長形状のアイマスクの製造方法において、
各々の前記目隠し部を自身の横方向中間部に位置する縦方向の折り返し線にて前記鼻当て部側に折り畳む折り畳み(重ね合わせ)工程と、
前記折り返し線と上部外形線との交差位置から下方へ向かって重なりを相互に熱融着する上方融着部と、前記折り返し線と下部外形線との交差位置から上方へ向かって重なりを相互に熱融着する下方融着部と、前記上方融着部及び前記下方融着部の中間に位置して重なりを相互に熱融着しない非融着部とを、前記折り返し線の内側に沿って一列状に同時形成する熱融着工程と、
を含むことを特徴とする。
【0020】
また、上記課題を解決するために、本発明のアイマスクの製造方法の第二は、
中央の鼻当て部を挟んで左右に目隠し部がそれぞれ形成され、かつ熱融着性で横長形状の本体と、各目隠し部の端部側に接続されて前記本体の左右にそれぞれ(例えば環状やループ状の)耳掛け部が形成され、かつ熱融着性および伸縮性を有する一対の装着体と、を備えるアイマスクの製造方法において、
各々の前記目隠し部を自身の横方向中間部に位置する縦方向の折り返し線にて前記装着体と共に前記鼻当て部側に折り畳む折り畳み工程と、
前記折り返し線と上部外形線との交差位置から下方へ向かって重なりを相互に熱融着する上方融着部と、前記折り返し線と下部外形線との交差位置から上方へ向かって重なりを相互に熱融着する下方融着部と、前記上方融着部及び前記下方融着部の中間に位置して重なりを相互に熱融着しない非融着部とを、前記折り返し線の内側に沿って一列状に同時形成する熱融着工程と、
を含むことを特徴とする。
【0021】
これらのように、折り畳み工程で重ね合わせた左右の目隠し部の各々に、熱融着工程で上下の融着部を形成する。これによって、使用時に左右の目隠し部を折り返し線から展開し横方向外方に広げられれば、目隠し部は(非融着部を含む上下の中間部が両端側へ大きく広げられる反面、熱融着部を含む上部及び下部は中間部よりも小さく広がるため)非融着部を基点として上下の融着部が折り返し線上で対向接近するように折れ曲がりやすく、全体として顔面前方側へ飛び出す膨出形態になる。これによって、安価で装着感に優れたアイマスクの製造の容易化と製造コストの低減化を図ることができる。
【0022】
上記熱融着工程の後に(又は熱融着工程の前に)、上部外形線及び下部外形線との近傍領域にて、折り返し線を交差位置に近づくにつれて鼻当て部側に近づくような傾斜ラインとしてカットするカット工程を含む。
【0023】
このように、折り畳み工程で左右の目隠し部を重ね合わせてからカット工程が設けられることになるので、縦方向の折り返し線が形成された後に傾斜ラインを無理なく容易にカットすることができる。
【0024】
上記熱融着工程において、上方融着部及び下方融着部は折り返し線の傾斜ラインに沿って内側に形成される。
【0025】
このように、折り畳み工程で左右の目隠し部を重ね合わせてから熱融着工程が設けられているので、縦方向の折り返し線が形成された後に傾斜ラインに沿って上下の融着部を無理なく容易に形成することができる。
【0026】
上記熱融着工程において、上方融着部及び下方融着部はいずれも上下方向全高さの1/3以下の高さ範囲内で連続した線状に形成される。
【0027】
これによって、展開時に基点となる非融着部を確実に形成でき、非融着部を無理なく容易に形成することができる。
【0028】
また、上記課題を解決するために、本発明のアイマスクの製造方法の第三は、
中央の鼻当て部を挟んで左右に目隠し部がそれぞれ形成され、かつ熱融着性で横長形状のアイマスクの製造方法において、
単層又は複層の生地で構成されるアイマスク素材に対し前記アイマスクが縦方向に繰り返し転写されて複数の罫書き体が描かれていることを前提とし、隣接する前記罫書き体の一方の上部外形線と他方の下部外形線とが接することにより縦方向に連結され、各々の前記罫書き体の前記上部外形線及び前記下部外形線を左右端で縦方向に各々結ぶ左外形線及び右外形線に沿って前記罫書き体が連続的にカットされてアイマスク連続体となす第一切断工程と、
前記アイマスク連続体の各々の前記罫書き体に対し、各々の前記目隠し部を自身の横方向中間部に位置する縦方向の折り返し線にて前記鼻当て部側に折り畳む折り畳み工程と、
前記アイマスク連続体の各々の前記罫書き体に対し、前記折り返し線と前記上部外形線との交差位置から下方へ向かう際前記折り返し線を交差位置に近づくにつれて前記鼻当て部側に近づくような上部傾斜ラインとして重なりを相互に熱融着する上方融着部と、前記折り返し線と前記下部外形線との交差位置から上方へ向かう際前記折り返し線を交差位置に近づくにつれて前記鼻当て部側に近づくような下部傾斜ラインとして重なりを相互に熱融着する下方融着部と、前記上方融着部及び前記下方融着部の中間に位置して重なりを相互に熱融着しない非融着部とを、前記折り返し線の内側に沿って一列状に同時形成する熱融着工程と、
前記アイマスク連続体の各々の前記罫書き体に対し、前記折り返し線の前記上部外形線及び前記下部外形線との近傍領域にて、前記上部傾斜ライン及び前記下部傾斜ラインの外側に沿ってカットするとともに、前記アイマスク連続体の隣接する前記罫書き体を前記上部外形線及び前記下部外形線でカット(切断分離)して個別の前記アイマスクに分離する第二切断工程と、
を含むことを特徴とする。
【0029】
このように、折り畳み工程で重ね合わせた左右の目隠し部の各々に、熱融着工程で上下の融着部を形成する。これによって、使用時に左右の目隠し部を折り返し線から展開し横方向外方に広げられれば、目隠し部は(非融着部を含む上下の中間部が両端側へ大きく広げられる反面、熱融着部を含む上部及び下部は中間部よりも小さく広がるため)非融着部を基点として上下の融着部が折り返し線上で対向接近するように折れ曲がりやすく、全体として顔面前方側へ飛び出す膨出形態になる。これによって、安価で装着感に優れたアイマスクの製造の容易化と製造コストの低減化を図ることができる。
【0030】
また、第一切断工程で得られたアイマスク連続体に対し、上記折り畳み工程、熱融着工程及び第二切断工程を実行することによって複数のアイマスクを高能率で製造できるので、装着感に優れたアイマスクを大量生産により安価に提供することができる。
【0031】
上記第一切断工程の前に、複層の生地で構成されるアイマスク素材の各罫書き体の外形線の内側にその外形線に沿って連続する点状の熱融着を行って点状熱融着ラインを形成し、それら点状熱融着ラインにより複層の生地を一体化する積層工程を含む。
【0032】
このように、アイマスク連続体が形成される前に積層工程で複層の生地が一体化されるので、各々の罫書き体ひいては最終製品であるアイマスクの品質が安定する。
【0033】
また、上記課題を解決するために、本発明のアイマスクの製造方法の第四は、
中央の鼻当て部を挟んで左右に目隠し部がそれぞれ形成され、かつ熱融着性で横長形状の本体と、各目隠し部の端部側に接続されて前記本体の左右にそれぞれ(例えば環状やループ状の)耳掛け部が形成され、かつ熱融着性および伸縮性を有する一対の装着体と、を備えるアイマスクの製造方法において、
単層又は複層の生地で構成され縦方向に連続する本体素材の横方向左右端部において、単層又は複層の生地で縦方向に連続する一対の装着体素材を重ねそれら重なり領域においてそれぞれ連続的に熱融着し、単層又は複層の生地で構成されるアイマスク素材となす第一熱融着工程と、
前記アイマスク素材に対し前記アイマスクが縦方向に繰り返し転写されて複数の罫書き体が描かれていることを前提とし、隣接する前記罫書き体の一方の上部外形線(本体と装着体の上部外形線)と他方の下部外形線(本体と装着体の下部外形線)とが接することにより縦方向に連結され、各々の前記罫書き体の前記重なり領域ないしその周辺において前記上部外形線が下側に凹み前記下部外形線が上側に凹む形状となるように各前記罫書き体がカットされ、かつ前記耳掛け部を形成するための切れ目が前記罫書き体ごとに個別にカットされてアイマスク連続体となす第一切断工程と、
前記アイマスク連続体の各々の前記罫書き体に対し、各々の前記目隠し部を自身の横方向中間部に位置する縦方向の折り返し線にて前記装着体と共に前記鼻当て部側に折り畳む折り畳み工程と、
前記アイマスク連続体の各々の前記罫書き体に対し、前記折り返し線と前記上部外形線との交差位置から下方へ向かう際前記折り返し線を交差位置に近づくにつれて前記鼻当て部側に近づくような上部傾斜ラインとして重なりを相互に熱融着する上方融着部と、前記折り返し線と前記下部外形線との交差位置から上方へ向かう際前記折り返し線を交差位置に近づくにつれて前記鼻当て部側に近づくような下部傾斜ラインとして重なりを相互に熱融着する下方融着部と、前記上方融着部及び前記下方融着部の中間に位置して重なりを相互に熱融着しない非融着部とを、前記折り返し線の内側に沿って一列状に同時形成する第二熱融着工程と、
前記アイマスク連続体の各々の前記罫書き体に対し、前記折り返し線の前記上部外形線及び前記下部外形線との近傍領域にて、前記上部傾斜ライン及び前記下部傾斜ラインの外側に沿ってカットするとともに、前記アイマスク連続体の隣接する前記罫書き体を前記上部外形線及び前記下部外形線でカットして個別の前記アイマスクに分離する第二切断工程と、
を含むことを特徴とする。
【0034】
このように、折り畳み工程で重ね合わせた左右の目隠し部の各々に、第二熱融着工程で上下の融着部を形成する。これによって、使用時に左右の目隠し部を折り返し線から展開し横方向外方に広げられれば、目隠し部は(非融着部を含む上下の中間部が両端側へ大きく広げられる反面、熱融着部を含む上部及び下部は中間部よりも小さく広がるため)非融着部を基点として上下の融着部が折り返し線上で対向接近するように折れ曲がりやすく、全体として顔面前方側へ飛び出す膨出形態になる。これによって、安価で装着感に優れたアイマスクの製造の容易化と製造コストの低減化を図ることができる。
【0035】
また、第一切断工程で得られたアイマスク連続体に対し、上記折り畳み工程、熱融着工程及び第二切断工程を実行することによって複数のアイマスクを高能率で製造できるので、装着感に優れたアイマスクを大量生産により安価に提供することができる。
【0036】
上記第一熱融着工程の前に、複層の生地で構成される前記本体素材の各罫書き体において前記本体の外形線の内側にその外形線付近を延びる点状の熱融着を行って点状熱融着ラインを形成し、それら点状熱融着ラインにより複層の生地を一体化する積層工程を含む。
【0037】
このように、アイマスク連続体が形成される前に積層工程で複層の生地が一体化されるので、各々の罫書き体ひいては最終製品であるアイマスクの品質が安定する。
【0038】
上記第二切断工程における上部及び下部傾斜ラインの外側に沿ったカットと罫書き体の切断分離とは前者と後者が同時に又は前者が先に後者が後に実行される。
【0039】
これによって、上部及び下部傾斜ラインに沿って乱れを生じることなく安定してカットできるから、目隠し部の膨出形態が安定する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】第一実施例のアイマスクの装着状態を示した正面図。
図2図1のアイマスクの使用状態を示した正面図。
図3図1のアイマスクの使用状態を示した側面図。
図4図1のアイマスクの使用状態を示した平面図。
図5図1のアイマスクの折り畳み状態を示した背面図。
図6図1のアイマスクの折り畳み状態を示した平面図。
図7図1のアイマスク本体の展開状態を示した正面図。
図8図1のアイマスクの製造工程を示す第一の図。
図9図1のアイマスクの製造工程を示す第二の図。
図10図1のアイマスクの製造工程を示す第三の図。
図11図1のアイマスクの製造工程を示す第四の図。
図12図1のアイマスクの製造工程を示す第五の図。
図13図1のアイマスクの製造工程を示す第六の図。
図14図1のアイマスクの製造工程の変形例を示す第一の図。
図15図14のアイマスクの製造工程を示す第二の図。
図16図14のアイマスクの製造工程を示す第三の図。
図17図14のアイマスクの製造工程を示す第四の図。
図18】第二実施例のアイマスクの装着状態を示した正面図。
図19図18のアイマスクの使用状態を示した正面図。
図20図18のアイマスクの使用状態を示した側面図。
図21図18のアイマスクの使用状態を示した平面図。
図22図18のアイマスクの折り畳み状態を示した背面図。
図23図18のアイマスクの折り畳み状態を示した底面図。
図24図18のアイマスク本体の展開状態を示した正面図。
図25図18のアイマスクの製造工程を示す第一の図。
図26図18のアイマスクの製造工程を示す第二の図。
図27図18のアイマスクの製造工程を示す第三の図。
図28図18のアイマスクの製造工程を示す第四の図。
図29図18のアイマスクの製造工程を示す第五の図。
図30図18のアイマスクの製造工程の変形例を示す第一の図。
図31図18のアイマスクの製造工程を示す第二の図。
図32図18のアイマスクの製造工程を示す第三の図。
図33図18のアイマスクの製造工程を示す第四の図。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の実施例を、図面を参照して説明する。
【0042】
第一実施例のアイマスク100は、図1図7に示すように、中央位置を挟んで左右に目隠し部1E、1Eがそれぞれ形成された熱融着性で横長形状のアイマスク本体1(本体)と、アイマスク本体1の左右外側に取り付けられる装着体9と、を備え、図1に示すように、装着体9によってユーザーが目及びその周辺をアイマスク本体1で覆うようにして装着する。アイマスク本体1の中央位置には、ここでは鼻当て部1Nが形成される。符号1aはアイマスク本体1の表面、符号1bはアイマスク本体1の裏面(ユーザー装着時に目と対面する側)である。
【0043】
なお、第一実施例においては、アイマスク本体とアイマスクとを区別しているが、装着部を除いたアイマスク本体のことをアイマスクと称してもよい。
【0044】
アイマスク本体1(本体)は、各々の目隠し部1E、1Eが自身の横方向Y(左右方向)の中間部に位置する縦方向Z(上下方向)の折り返し線4(図2図6参照)にて鼻当て部1N側に折り畳まれた重ね合わせ形態(折り返し状態:図5及び図6参照)において、折り返し線4と上部外形線1uとの交差位置から下方へ向かって重なりを相互に熱融着された上方融着部2Aと、折り返し線4と下部外形線1dとの交差位置から上方へ向かって重なりを相互に熱融着された下方融着部2Bと、上方融着部2A及び下方融着部2Bの中間に位置して重なりを相互に熱融着されない非融着部3と、が折り返し線4の内側に沿って一列状に配置される。
【0045】
折り返し線4は、図5に示すように、重ね合わせ形態、即ち折り返し状態において、上部外形線1u及び下部外形線1dとの近傍領域では交差位置に近づくにつれて鼻当て部1N側に近づくような傾斜ライン4tとなってカットされている。上方融着部2A及び下方融着部2Bは折り返し線4の傾斜ライン4tに沿って内側に形成されている。
【0046】
図7に示すように、上部外形線1uは、横方向Yの中央(鼻当て部1Nの上方)において上方向にわずかに凸をなす湾曲形状に形成される。逆に、下部外形線1dは、横方向Yの中央(鼻当て部1Nの上方)において上方向にわずかに凹む湾曲形状に形成される。ただし、横方向Yにおいて上部外形線1u及び下部外形線1dの折り返し線4を中心とする横方向両側区間(切り込み区間は除く)は直線形状をなし、重ね合わせ形態(折り返し状態:図5参照)において両側が一致する(重なる)ように形成される。
【0047】
また、図7に示すように、上方融着部2A及び下方融着部2Bの上下方向全高さHA、HBは、いずれも上下方向全高さHZ(縦方向Zの全幅)の1/3以下の高さ範囲内で連続した線状に形成されている。
【0048】
また、図7に示すように、上部外形線1u及び下部外形線1dを左右で縦方向Zにつなぐ左外形線1l及び右外形線1rは、左右それぞれの側で縦方向Zの中央側ほど横方向Yの外向きに突出した湾曲形状をなし、ここではそれぞれが円弧状をなす。
【0049】
アイマスク100は、未使用時には、図5及び図6に示すような重ね合わせ形態、即ち折り返し状態とされ、全体が小型の薄いシートが重なるような形態をなすため、ポケットに容易に入れられる等、携帯性に優れる。ここでは、アイマスク本体1において、左右の折り返し線4、4よりも外側となる本体端部1S、1S(本体折り返し部)が、折り返し線4、4よりも内側の本体中央部1Cに重なった重ね合わせ形態をなし、その重ね合わせ形態において本体端部1S、1S同士は重ならない。本体端部1S、1S同士が重なってもよいが、製造効率と重ね合わせ形態の厚みを考慮すると、重ならない方がよい。
【0050】
また、アイマスク100は、使用時には、各々の目隠し部1E、1Eが、折り返し線4から展開され横方向Yの外方に引っ張られ広げられる(図2図4参照)。これにより、上方融着部2Aと下方融着部2Bとが非融着部3を挟んで折り返し線4上で対向接近するように折り曲げられ、全体として顔面前方F側へ飛び出す(出る)膨出形態(隆起形態)になる。
【0051】
この膨出形態(図2図4参照)においては、アイマスク本体1の左右に位置する線状の上方融着部2Aと下方融着部2Bが縦方向Zの中央に向けて顔面前方F側へ傾斜しており、その傾斜形状がくずれない。この状態では、左右の上方融着部2Aの下端と下方融着部2Bの上端が顔面前方F側に位置して頂部をなす。そして、それら左右の上方融着部2Aの下端と下方融着部2Bの上端を基点とする形で、それらに囲まれるアイマスク本体1の中央領域がやや顔面前方F側へと膨らむ形で湾曲する。
【0052】
図1に示すようなユーザー装着時には、アイマスク本体1がユーザーの左右の眼の位置に相当する眼位置E、E付近に左右の折り返し線4が位置する(図1参照)。これにより、アイマスク本体1の前方Fへ確実に飛び出て立体化される位置の裏側に、ユーザーの目が位置することになる。図1の符号Eは左右方向Yにおける眼位置を示すライン、符号Nは左右方向Yにおける鼻位置を示すライン、符号Nは、左右方向Yにおいて2つのラインEの中間に位置するラインである。
【0053】
また、鼻当て部1Nには下部外形線1dから上方へ向かって切込み線5nが形成される(図5及参照)。目隠し部1E、1Eの横方向Yの外方への引っ張りによって鼻当て部1Nの切込み線5nが左右に開かれる(図2及び図5参照)。
【0054】
アイマスク本体1(本体)を構成するシート材(面状部材)は、単層又は複層の生地(不織布)を重ね合わせたもの、もしくはこれらを貼り合せた材料で構成されるアイマスク素材(本体素材)とすることができる。ここではシート材が複数重なった積層シート体として形成される。各シート材は、意匠用シート、柔軟性シート、遮光用シート等の所定の機能を有したシート材であり、それらが積層されることで個々の機能を有したアイマスク本体1を形成できる。各シート材は、熱処理により溶融・溶着が可能な熱融着部材(熱溶着部材:ここでは主に熱可塑性樹脂からなる不織布)とすることができる。なお、複層のシート材により構成される場合は、熱融着によって最終的に一体化できるものであればよく、複層のシート材の中に上記以外のシート材が含まれてもよい。
【0055】
装着体9、9は、ここでは耳掛け部であり、紐状(ここではゴム紐)の耳掛け紐として両端部がアイマスク本体1に接合される。なお、装着体9、9は上記に限らず、アイマスク本体1を頭部に装着できるもの(例えばアイマスク本体1の横方向Yの両端部に接続されるゴムバンド等)であればよい。
【0056】
アイマスク100の製造方法について、図8図13を用いて説明する。
【0057】
なお、ライン1x、2x、3c、2y、4x、5c1~5c3はいずれも加工予定位置を示す仮想線であり、実際には存在しない。
【0058】
まずは、アイマスク製造装置が積層シート体形成工程(積層工程)を実行する。積層シート形成体工程では、帯状のシート材をそれぞれの長手方向が一致するように複数重ね、図8に示すように、それらを積層シート101(複層の生地で構成されるアイマスク素材)として、長手方向に沿った搬送方向Cへと搬出する。
【0059】
続いて、帯状の積層シート101がその長手方向(C)に沿って搬入され、その積層シート101に対し、搬送方向Cの先頭又は後方(ここでは先頭:図8図13の下側)に鼻当て部1N、その搬入方向(C)に直交するシート幅方向SYの両側に各目隠し部1E、1Eがそれぞれ位置するアイマスク本体1(罫書き体1x:全体罫書き体1xともいえる)が、搬送方向Cに連続して設定されており(アイマスク本体1が縦方向Zに繰り返し転写されて複数の罫書き体1xが描かれていることを前提とし)、それら各アイマスク本体1(各罫書き体1x)の外形線(外形予定線)の内側にその外形線に沿って連続する点状の熱融着(熱溶着)を行って点状熱融着ライン2Dを形成する。それら点状熱融着ライン2Dにより複数のシート材(複層の生地)が一体化された積層シート体102が形成され、その長手方向に沿った搬送方向Cへと搬出する。
【0060】
具体的にいえば、帯状の積層シート101をその長手方向である所定の搬送方向Cへと送り出し、所定の第一作業区間W1にて円筒状のエンボス型(図示なし)により点状の熱融着予定ライン2xを加圧・加熱(熱融着、熱溶着)する。その結果、加圧位置にて摩擦による熱が入り(例えば超音波溶着・高周波溶着等)、複数のシート材が接合される。形成された積層シート体102にはライン2x上に沿って点状に硬化した熱融着部(硬化部)のライン2D(点状熱融着ライン)が形成される。ここではさらに、後に形成される切込み線5nの両サイドにも、該切込み線5nに沿った点状の熱融着部のライン2Dが形成される。
【0061】
なお、ここでは、複層の生地で構成される積層シート体102を用いてアイマスクを製造しているが、単層の生地からなる単層シート体を用いてもよい。この場合、上記の積層シート体形成工程(積層工程)を省略し、以降の製造工程を、帯状の積層シート体102を帯状の単層シート体に替えることにより実施できる。
【0062】
次に、アイマスク製造装置が図9に示す両端カット工程(第一切断工程、カット工程)を実行する。両端カット工程では、長手方向(C)に沿って搬入される積層シート体102(複層の生地で構成されるアイマスク素材(本体素材))に対し、設定されている各アイマスク本体1(各罫書き体1x)の外形線(外形予定線)のシート幅方向SYの両端側を連続的にカットして切り離し、アイマスク本体1が縦方向Z(C)に連結するアイマスク連続体103(アイマスク本体連続体)を形成し、その連続方向(ここでは搬送方向Cと一致)へと搬出する。
【0063】
具体的にいえば、点状の熱融着部2D(点状熱融着ライン)が形成された帯状の積層シート体102を搬送方向Cへと送り出し、所定の第二作業区間W2にて切断型(図示なし)により切断予定ライン3cに沿って切断する。切断予定ライン3cは、各アイマスク本体1(各罫書き体1x)の上部外形線1u及び下部外形線1dを左右端で縦方向Z(C)に各々結ぶ左外形線1l及び右外形線1r(図9参照)に沿って設定されるとともに、点状の熱融着部2Dと重ならないよう、それよりも外側に設定される。その結果、積層シート体102はライン3cに沿って切断され、左右両端側が切り離された帯状の切断積層シート体103が形成される。
【0064】
ここでは、積層シート体形成工程(積層工程)において、長手方向(C)に沿って搬入される積層シート101に対し、搬入方向(C)に連続してアイマスク本体1の罫書き体1xが設定されるとともに、その連続設定された長手方向(C)に隣接するアイマスク本体1の罫書き体1x同士は、一方の上部外形線1uと他方の下部外形線1dが一致するライン5c1として設定される(図8参照)。このため、積層シート体102はライン3cで切断されて各アイマスク本体1(各罫書き体1x)のシート幅方向SYの両端側が連続的に切り離されたとしても、ライン5c1ではつながっている。このため、左右両端側が切り離された帯状の切断積層シート体103は、アイマスク本体1が縦方向Z(C)に連続してつながるアイマスク連続体103(アイマスク本体連続体)となる。左右両端側のライン3c、3cの位置には、切断後のアイマスク連続体103において連続する各アイマスク本体1(罫書き体1x)のそれぞれの左外形線1l及び右外形線1rが形成される。
【0065】
次に、アイマスク製造装置が図10に示す折り畳み工程(重ね合わせ工程)を実行する。折り畳み工程では、連続方向(ここでは搬送方向Cと一致)に沿って搬入されるアイマスク連続体103に対し、設定されている各々のアイマスク本体1(罫書き体1x)の各々の目隠し部1E、1Eを、自身の横方向Yの中間部に位置する縦方向Z(ここでは搬送方向Cと一致)の折り返し線4にて鼻当て部1N側(横方向Yの中央側)に折り畳み、連続方向(C)へと搬出する。
【0066】
具体的にいえば、アイマスク連続体103を搬送方向Cへと送り出し、所定の第三作業区間W3にて左右の折り返し予定ライン4x(ラインEと一致)の外側をなす本体端部1S、1Sを、周知の折り返し型(図示なし)によってそれぞれ折り返して本体中央部1Cに重ねる。その結果、アイマスク連続体103は左右両端の本体端部1S、1Sが本体中央部1Cに重なった折り畳み状態のアイマスク連続体104になる。
【0067】
次に、アイマスク製造装置が図11に示す熱融着工程を実行する。折り畳み状態とされたアイマスク連続体104に対し、設定されている各々のアイマスク本体1(罫書き体1x)の折り返し線4と上部外形線1uとの交差位置から下方へ向かって重なり(1S、1C)を相互に熱融着する上方融着部2Aと、折り返し線4と下部外形線1dとの交差位置から上方へ向かって重なり(1S、1C)を相互に熱融着する下方融着部2Bと、上方融着部2A及び下方融着部2Bの中間に位置して重なり(1S、1C)を相互に熱融着しない非融着部3とを、折り返し線の内側に沿って一列状に同時形成する。これにより、重なっていた本体端部1S、1Sと本体中央部1Cとが、上方融着部2A及び下方融着部2Bにおいて一体化する。
【0068】
具体的にいえば、上記の折り畳み状態になった帯状のアイマスク連続体104は、搬送方向Cへと送り出され、図11に示す所定の第四作業区間W4にて円筒状のエンボス型(図示なし)により線状の熱融着予定ライン2yを加圧・加熱(熱融着、熱溶着)する。その結果、加圧位置に摩擦による熱が入り(例えば超音波溶着・高周波溶着等)、折り畳み状態のアイマスク連続体104にはライン2yに沿って線状に硬化した熱融着部(硬化部)のライン2A、2B(線状熱融着ライン)が形成される。
【0069】
ここでは、折り畳み状態のアイマスク連続体104の各アイマスク本体1(罫書き体1x)において、上方融着部2A及び下方融着部2Bはいずれも各アイマスク本体1(1x)の上下方向全高さの1/3以下の高さ範囲内で連続した線状に形成される。
【0070】
また、折り畳み状態のアイマスク連続体104の各アイマスク本体1(罫書き体1x)において、上方融着部2Aは、折り返し線4と上部外形線1uとの交差位置から下方へ向かう際その折り返し線4を交差位置に近づくにつれて鼻当て部1N側(シート幅方向SYの中央側)に近づくような上部傾斜ラインとして重なり(1S、1C)が相互に熱融着されており、下方融着部2Bは、折り返し線4と下部外形線1dとの交差位置から上方へ向かう際その折り返し線4を交差位置に近づくにつれて鼻当て部1N側(シート幅方向SYの中央側)に近づくような下部傾斜ラインとして重なり(1S、1C)が相互に熱融着されている。
【0071】
さらに、折り畳み状態のアイマスク連続体104において搬送方向Cに隣接するアイマスク本体1(罫書き体1x)のうち、搬送下流側のアイマスク本体1(1x)の上方融着部2Aと搬送上流側のアイマスク本体1(1x)の下方融着部2Bとがつながって形成されており、作業区間W4にて連続的に加熱・加圧(熱融着、熱溶着)される。
【0072】
次に、アイマスク製造装置が図12に示す熱融着部近傍カット工程(第二切断工程)を実行する。熱融着部近傍カット工程では、熱融着工程の後の折り畳み状態のアイマスク連続体105(104→105)に対し、設定されている各アイマスク本体1(罫書き体1x)の上部外形線1u及び下部外形線1dとの近傍領域にて、それら熱融着部2A、2Bがなす上部及び下部傾斜ラインの外側に沿ってカットし、傾斜ライン4tを形成する。
【0073】
また、アイマスク製造装置が図12に示す分離カット工程(第二切断工程)を実行する。分離カット工程では、熱融着工程の後の折り畳み状態のアイマスク連続体105(104→105)に対し、設定されている各アイマスク本体1(罫書き体1x)の上部外形線1u及び下部外形線1dでカット(切断分離)し、連続方向(C)に隣接するアイマスク本体1同士を切り離す。
【0074】
さらに、アイマスク製造装置が図12に示す鼻当て部形成工程を実行する鼻当て部形成工程では、熱融着工程の後の折り畳み状態のアイマスク連続体105(104→105)に対し、その連続方向(C)において隣接するアイマスク本体1(罫書き体1x)の境界線を構成する上部外形線1uと下部外形線1dのうち、下部外形線1dの中央から上方へ向かって切込み線5nが形成され、鼻にフィットしやすい鼻当て部1Nとされる。
【0075】
ここでは、熱融着部近傍カット工程、分離カット工程、鼻当て部形成工程が1つのカット工程として同時に実行される。なお、熱融着部近傍カット工程と分離カット工程とは、前者が先、後者が後に実行されてもよい。
【0076】
具体的にいえば、線状の熱融着部2A、2Bが形成された帯状のアイマスク連続体105は、折り畳み状態のまま搬送方向Cへと送り出され、図12に示す所定の第五作業区間W5にて切断型(図示なし)により切断予定ライン5cに沿って切断する。切断予定ライン5cは、アイマスク本体1が搬送方向Cに連続するアイマスク連続体105において、各アイマスク本体1を切り離すためのライン5c1と、各アイマスク本体1の鼻位置である中央下端から上向きに切り込むライン5c2と、線状の熱融着部2A、2Bのシート幅方向SYの外側を切り離すためのライン5c3と、を有する。その結果、アイマスク連続体105はライン5c(5c1、5c2、5c3)に沿って切断され、折り畳み状態のアイマスク本体1が個々に切り離される。
【0077】
なお、ライン5c3は、線状の熱融着部2A、2Bと重ならないよう、それよりもシート幅方向SYの外側に設定されるとともに、ラインEを外側へと超えて切断するように設定されている。これにより、線状の熱融着部2A、2Bのシート幅方向SYの外側部分を確実に切り離す(分離する)ことができる。
【0078】
また、折り畳み状態のアイマスク連続体105において搬送方向Cに隣接するアイマスク本体1のうち、搬送下流側のアイマスク本体1の上方融着部2Aの外側のライン5c3と搬送上流側のアイマスク本体1の下方融着部2Bの外側のライン5c3とがつながっており、作業区間W5にて連続的に切断される。
【0079】
最後に、アイマスク製造装置が図13に示す装着部接合工程を実行する。装着部接合工程では、個別に切り離された折り畳み状態の各アイマスク本体1の折り畳み状態を展開状態(図7ほど展開しなくてもよい)とし、本体端部1S、1Sを本体中央部1Cから離間させ、離間した各本体端部1S、1Sに対し装着体9を接合する。
【0080】
ここでは、個々に切り離されたアイマスク本体1が、折り畳み状態のまま搬送方向Cへと送り出され、図13に示す所定の第六作業区間W6にて、折り畳み状態のアイマスク本体1の本体中央部1Cを、押上部材65によりシート幅方向SYの中央で押し上げる、あるいは本体中央部1Cの両端(折り返し線4)に接触してシート幅方向SYの外向きへの移動を規制する移動規制部60、60の対向幅を減じる(シート幅方向SYの内向きに寄せる)、あるいはそれら双方を用いる等の手法により本体端部1S、1Sを立たせ、立った本体端部1S、1Sの装着部接合予定部6e、6e(図7参照)に対し装着体9(ここでは耳掛け部)を、接合部材62、63によって加圧・接着(熱融着、熱溶着)する。その結果、折り畳み状態をなす個々のアイマスク本体1の装着部接合予定部6e、6eにて装着体9(ここでは耳掛け部)が固定(接合)される。
【0081】
なお、装着体9(ここでは耳掛け部)は、ここではアイマスク本体1の本体端部1S、1Sの表面1aに固定(接合)されているが、裏面1bに固定(接合)されてもよい。
【0082】
これらの製造工程により、折り畳み状態のアイマスク100が高速かつ大量に製造される。
【0083】
なお、製造方法を示す図8図13において、シート幅方向SYはアイマスク本体1の横方向Y(左右方向)と一致し、搬送方向Cはアイマスク本体1の縦方向Z(上下方向)と一致する。
【0084】
以上、本発明の第一実施例を説明したが、これはあくまでも例示にすぎず、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、追加及び省略等の種々の変更が可能である。
【0085】
例えばアイマスク100の別の製造方法として、単層のシート材又は複数のシート材が一体化された積層シート体が、アイマスク本体1の罫書き体1x上でカットされた加工前アイマスク本体106を用意して、そこからアイマスク100を形成してもよい。なお、ここでの加工前アイマスク本体106は、アイマスク本体1の外形線の内側に点状熱融着ライン2Dが形成された積層シート体を採用している。
【0086】
この場合、まずは図14に示す加工前アイマスク本体106の各々の目隠し部1E、1Eを自身の横方向Yの中間部に位置する縦方向Zの折り返し線4(折り返し予定線4x)にて鼻当て部1N側に折り畳む折り畳み(重ね合わせ)工程を実行する(図14図15)。
【0087】
続いて図15に示す折り畳まれた加工前アイマスク本体107(106→107)に対し、折り返し線4と上部外形線1uとの交差位置から下方へ向かって重なりを相互に熱融着する上方融着部2Aと、折り返し線4と下部外形線1dとの交差位置から上方へ向かって重なりを相互に熱融着する下方融着部2Bと、上方融着部2A及び下方融着部2Bの中間に位置して重なりを相互に熱融着しない非融着部3とを、折り返し線4の内側に沿って一列状に同時形成する熱融着工程を実行する(図15図16)。
【0088】
さらに、熱融着工程の後に、図16に示す折り畳まれた上下熱融着済みアイマスク本体108(107→108)に対し、上部外形線1u及び下部外形線1dとの近傍領域にて、折り返し線4を交差位置に近づくにつれて鼻当て部1N側に近づくような傾斜ライン4tとしてカットするカット工程を実行する(図16図17)。なお、このカット工程は熱融着工程の前でもよいし、省略してもよい。
【0089】
このようにして、図14に示す加工前アイマスク本体106から、図17に示すアイマスク本体1が形成される。このアイマスク本体1に装着体9(ここでは耳掛け部)を固定することで、図1図6に示すアイマスク100が完成する。
【0090】
また、第一実施例のアイマスク100は、後付けで紐状の耳掛け部をなす装着体9、9が接合されたものであるが、先にアイマスクの本体素材に装着体素材を接合した上で形成される図18図24に示すようなアイマスク110でもよい。
【0091】
即ち、第二実施例のアイマスク110は、中央の鼻当て部1Nを挟んで左右に目隠し部1E、1Eがそれぞれ形成され、かつ熱融着性で横長形状の本体1と、各目隠し部1E、1Eの端部側に接続されて本体の左右にそれぞれ(環状の)耳掛け部8E、8Eが形成され、かつ熱融着性および伸縮性を有する一対の装着体8、8と、を備える。
【0092】
なお、図18図21の装着体8は横方向Y外方に伸長した状態であり、図22図24の装着体8は非伸長状態(自然状態)である。
【0093】
アイマスク110は、図18図24に示すように、各々の目隠し部1E、1Eが自身の横方向Y中間部に位置する縦方向Zの折り返し線4にて鼻当て部1N側に耳掛け部8E、8E(ここでは装着体8、8全体)と共に折り畳まれた重ね合わせ形態(図22参照)において、折り返し線4と上部外形線1uとの交差位置から下方へ向かって重なりを相互に熱融着された上方融着部2Aと、折り返し線4と下部外形線1dとの交差位置から上方へ向かって重なりを相互に熱融着された下方融着部2Bと、上方融着部2A及び下方融着部2Bの中間に位置して重なりを相互に熱融着されない非融着部3とが、折り返し線4の内側に沿って一列状に配置される。
【0094】
ここでの上方融着部2A及び下方融着部2Bは、熱融着予定ライン2y(図28参照)に沿って点状に硬化した熱融着部(硬化部)であり、後述する他の熱融着部2D、2Jよりも隣接するもの同士の間隔が狭く、個々の熱融着面積が広い。
【0095】
アイマスク110の使用時において、各々の目隠し部1E、1Eは、折り返し線4から耳掛け部8E、8E(ここでは装着体8、8全体)と共に展開され横方向Y外方に広げられると、図19図21に示すように、上方融着部2Aと下方融着部2Bとが非融着部3を挟んで折り返し線4上で対向接近するように折り曲げられ、全体として顔面前方側へ飛び出す膨出形態になる。
【0096】
この膨出形態は第一実施例と同様である。左右の上方融着部2A及び下方融着部2Bは、第一実施例と同様、この膨出形態の維持に貢献している。ユーザー装着時において、アイマスク本体1がユーザーの左右の眼の位置に相当する眼位置E、E付近に左右の折り返し線4が位置することも第一実施例と同様である(図18参照)。鼻当て部1Nは、切込み線ではなく、三角形状に切り欠かれた形状をなす。
【0097】
このアイマスク110は、第一実施例のアイマスク100と比べると、装着体8、8と、アイマスク本体1に対する装着体8、8の接合形態が異なるだけであり、アイマスク本体1についてはほぼ同様の構造を有する。
【0098】
装着体8を構成するシート材は、単層又は複層の生地(不織布)を重ね合わせたもの、もしくはこれらを貼り合せた材料で構成されており、全体が面状で熱融着性および伸縮性を有する装着体素材81とすることができる。ここでのシート材は、熱処理により溶融・溶着が可能な熱融着部材(熱溶着部材:ここでは主に熱可塑性樹脂からなる不織布)をなす伸縮性を有した単層のシート体である。
【0099】
各装着体8は、アイマスク本体1の横方向Y左右端部に重なる接合部8Jと、その横方向Yの外側に少なくとも使用時において環状又はループ状をなす耳掛け部8Eと、を一体に有する。接合部8Jは、アイマスク本体1の表面1aと重なる重なり領域L(図25参照)であり、その重なり領域L内においてアイマスク本体1と熱融着して接合される。ここでのアイマスク本体1は、シート材が複数重なった積層シート体であり、伸縮性をほとんど有しない。
【0100】
アイマスク110の製造方法について、図25図29を用いて説明する。
【0101】
なお、ライン1x、2x、2z、3c1~3c3、2y、4x、5c1~5c3はいずれも加工予定位置を示す仮想線であり、実際には存在しない。
【0102】
まずは、アイマスク製造装置が積層シート体形成工程(積層工程)及び第一熱融着工程を実行する。まずは、帯状のシート材(生地)をそれぞれの長手方向が一致するように複数重ねて縦方向Zに連続するアイマスク本体1の素材111(本体素材)とし、その素材111のシート幅方向SY左右両端において、同じく縦方向Zに連続する一対の装着体8、8の素材81(装着体素材)を重ね、図25に示すように、それらを積層シート201として、長手方向に沿った搬送方向Cへと搬出する。
【0103】
ここでは、アイマスク本体1の素材111(本体素材)において、アイマスク本体1の表面1aとなる側に、装着体8、8の素材81(装着体素材)を重ねる。
【0104】
なお、積層シート201のシート幅方向SY左右両端となる、左右の装着体8、8の素材81、81のシート幅方向SY外側の端には、パイプ処理がなされていてもよい。
【0105】
続いて、帯状の積層シート201がその長手方向(C)に沿って搬入され、その積層シート201に対し、予め定められた熱融着予定ライン2x、2zに沿って点状の熱融着(熱溶着)を行って点状熱融着ライン2D、2Jを形成する。
【0106】
ここでは、図25に示すように、帯状の積層シート201に、搬送方向Cの先頭又は後方(ここでは先頭:図18図24の下側)に鼻当て部1N、その搬入方向(C)に直交するシート幅方向SYの両側に各目隠し部1E、1E、さらにそれらの両外側に接合部8J及び耳掛け部8Eがそれぞれ位置するアイマスク110(罫書き体1x:ともいえる)が搬送方向Cに連続して設定され、かつそれら各アイマスク110(罫書き体1x)上に鼻当て部1N、各目隠し部1E、1Eがそれぞれ位置する本体1(本体罫書き体1w)が設定されている。この設定は、帯状の積層シート201(アイマスク素材)に対しアイマスク110が縦方向Zに繰り返し転写されて複数の罫書き体1x(全体罫書き体)が描かれ、かつそれら罫書き体1x上に各アイマスク110の本体1が転写された本体罫書き体1wが描かれていることと同じ意味である。これを前提とすると、点状熱融着ライン2Dに対応する熱融着予定ライン2xは、本体素材111の各罫書き体1xにおいて本体1(本体罫書き体1w)の外形線w1(外形予定線)の内側にその外形線付近を通るラインとして設定され、点状熱融着ライン2Jに対応する熱融着予定ライン2zは、本体素材111と装着体素材81、81との重なり領域Lのうち本体罫書き体1w(本体1)の外形線w1(外形予定線)の内側となる領域(接合部8Jに相当する領域)内を延びるラインとして設定される。
【0107】
なお、点状熱融着ライン2J(熱融着予定ライン2z)については、ライン状に限るものではない。点状熱融着ライン2Jに代わって、重なり領域L内に分散する所定地点をそれぞれ熱融着するような分散熱融着点としてもよいし、重なり領域L内を広く面状に熱融着するような熱融着面としてもよい。
【0108】
点状熱融着ライン2Dの形成により、複数のシート材(複層の生地)が一体化された縦方向Zに連続するアイマスク本体1の素材112(本体素材)が形成される(積層工程)。同時に、点状熱融着ライン2Jの形成により、その素材111(本体素材)と、そのシート幅方向SY左右端部において縦方向Zに連続する一対の装着体8、8の素材81(装着体素材)と、が互いに重なる領域で接合した積層シート体202(アイマスク素材)が形成される(第一熱融着工程)。形成された積層シート体202(81、112、81)は、その長手方向に沿った搬送方向Cへと搬出される(図25参照)。
【0109】
点状熱融着ライン2D、2Jの形成は、第一実施例と同様、円筒状のエンボス型により点状の熱融着予定ライン2x、2zを加圧・加熱(熱融着、熱溶着)してなされ、複数のシート材が接合されるとともに、ライン2x上に沿って点状に硬化した熱融着部(硬化部)のライン2D、2J(点状熱融着ライン)が形成される。
【0110】
なお、アイマスク本体1の素材112(本体素材)及び装着体8の素材81(装着体素材)は、単層のものでも複層のものでもよい。双方(112、81)が単層の場合は、積層工程を省略できる。
【0111】
また、積層工程(本体素材となるシートの積層及びその一体化)と第一熱融着工程(本体素材と装着体素材の一体化)における熱融着処理を同時に行っているが、別で行ってもよい。例えば、積層工程を行って複数のシート材が一体化した本体素材112を先に形成し、その後、第一熱融着工程を行ってその本体素材112のシート幅方向SY左右端部に対し一対の装着体素材81、81を連続的に熱融着して一体化しアイマスク素材202としてもよい。つまり、第一熱融着工程の前に積層工程を行ってもよい。
【0112】
次に、アイマスク製造装置が図26に示す両端カット工程(第一切断工程、カット工程)を実行する。両端カット工程では、長手方向(C)に沿って搬入される積層シート体202(アイマスク素材)に対し、設定されている各アイマスク110(本体1と装着体8、8を含む)の外形線(各罫書き体1xの外形予定線)のシート幅方向SYの両端側の所定位置をカットし、アイマスク110が縦方向Z(C)に連結するアイマスク連続体203を形成し、その連続方向(ここでは搬送方向Cと一致)へと搬出する。
【0113】
具体的にいえば、熱融着部2D、2Jが形成された帯状の積層シート体202を搬送方向Cへと送り出し、所定の第二作業区間W2にて切断型(図示なし)により切断予定ライン3c1、3c2、3c3を切断する。
【0114】
ここでの切断予定ライン3c1、3c2は、各アイマスク110(各罫書き体1x)の本体素材112と装着体素材81、81との重なり領域Lないしその周辺において、各アイマスク110(各罫書き体1x)の上部外形線1uが下側に凹み下部外形線1dが上側に凹む形状となるように、上部外形線1uのうちの上部凹み外形線3c1と、下部外形線1dのうちの下部凹み外形線3c2と、を有する。上部凹み外形線3c1と下部凹み外形線3c2とは環状につながり、内部が切り取られる(切り抜かれる)形でカットされる。切断予定ライン3c3は、耳掛け部8Eを形成するための切れ目であり、ここでカットされてT字状の領域が切り抜かれ、開口が形成される。
【0115】
なお、耳掛け部8Eは、ミシン目を設けるだけとし、使用時にユーザーが自らカットすることにより、環状化ないしループ状化できるようにしてもよい。
【0116】
切断予定ライン3c1、3c2、3c3でのカットにより、積層シート体202は、連続設定されている長手方向(C)に隣接するアイマスク110の罫書き体1x同士において、一方の上部外形線1uと他方の下部外形線1dが一致するライン5c1(図26参照)が残る積層シート体203となる。言い換えれば、積層シート体202は、アイマスク110が縦方向Z(C)に連続してつながるアイマスク連続体203となる。
【0117】
なお、ここでは、上部外形線1uと下部外形線1dが一致しない部分であるアイマスク本体1の鼻当て部1N付近においても、アイマスク110が縦方向Z(C)に連続してつながっている。
【0118】
次に、アイマスク製造装置が図27に示す折り畳み工程(重ね合わせ工程)を実行する。折り畳み工程では、連続方向(ここでは搬送方向Cと一致)に沿って搬入されるアイマスク連続体203に対し、設定されている各々のアイマスク110(罫書き体1x)の各々の目隠し部1E、1Eを、自身の横方向Yの中間部に位置する縦方向Z(ここでは搬送方向Cと一致)の折り返し線4にて耳掛け部8E、8Eと共に鼻当て部1N側(横方向Yの中央側)に折り畳み、連続方向(C)へと搬出する。
【0119】
具体的にいえば、アイマスク連続体203を搬送方向Cへと送り出し、所定の第三作業区間W3にて左右の折り返し予定ライン4x(ラインEと一致)の外側をなす左右の本体端部1S、1Sを、左右の装着体8、8と共に、周知の折り返し型(図示なし)によってそれぞれ折り返して本体中央部1Cに重ねる。その結果、アイマスク連続体103は左右両端の本体端部1S、1Sが本体中央部1Cに重なった折り畳み状態のアイマスク連続体204になる。
【0120】
なお、折り畳み状態のアイマスク連続体204において、折り返された左右の本体端部1S、1S同士は重ならないが、それらと接合する左右の装着体8、8同士は重なる。図27では、左側の装着体81が実線で描かれ、右側の装着体81が細線・細い破線で描かれており、それらが重なっている。また、鼻当て部1N(切断予定ライン5c2)は、折り返された左右の本体端部1S、1S及び左右の装着体8、8の双方に対し重ならない位置に形成される(図29参照)。図27では、区間W3の上下で、左右の本体端部1S、1Sと左右の装着体8、8が分断して見えるが、折り畳み途中の図示を省略しているため分断して見えるだけであり、実際にはつながっている。
【0121】
次に、アイマスク製造装置が図28に示す熱融着工程を実行する。折り畳み状態とされたアイマスク連続体204に対し、設定されている各々のアイマスク110(罫書き体1x)の折り返し線4と上部外形線1uとの交差位置から下方へ向かって重なり(1S、1C)を相互に熱融着する上方融着部2Aと、折り返し線4と下部外形線1dとの交差位置から上方へ向かって重なり(1S、1C)を相互に熱融着する下方融着部2Bと、上方融着部2A及び下方融着部2Bの中間に位置して重なり(1S、1C)を相互に熱融着しない非融着部3とを、折り返し線の内側に沿って一列状に同時形成する。これにより、重なっていた本体端部1S、1Sと本体中央部1Cとが、上方融着部2A及び下方融着部2Bにおいて一体化する。
【0122】
具体的にいえば、上記の折り畳み状態になった帯状のアイマスク連続体204は、搬送方向Cへと送り出され、図28に示す所定の第四作業区間W4にて円筒状のエンボス型(図示なし)により線状の熱融着予定ライン2yを加圧・加熱(熱融着、熱溶着)する。その結果、加圧位置に摩擦による熱が入り(例えば超音波溶着・高周波溶着等)、折り畳み状態のアイマスク連続体204にはライン2yに沿って点状に硬化した熱融着部(硬化部)のライン2A、2B(点状熱融着ライン)が形成される。
【0123】
折り畳み状態のアイマスク連続体204の各アイマスク110(罫書き体1x)において、上方融着部2A及び下方融着部2Bの上下方向高さHA、HBはいずれも各アイマスク110(1x)の上下方向全高さHZの1/3以下の高さ範囲内で連続した点状に形成される(図24参照)。
【0124】
ここでの上方融着部2A及び下方融着部2Bを形成するライン状に並ぶ点状の各熱融着部は、点状の熱融着部2D(点状熱融着ライン)よりも、隣接するもの同士の間隔が狭く個々の熱融着面積が広い。
【0125】
また、折り畳み状態のアイマスク連続体204の各アイマスク110(罫書き体1x)において、上方融着部2Aは、折り返し線4と上部外形線1uとの交差位置から下方へ向かう際その折り返し線4を交差位置に近づくにつれて鼻当て部1N側(シート幅方向SYの中央側)に近づくような上部傾斜ラインとして重なり(1S、1C)が相互に熱融着されており、下方融着部2Bは、折り返し線4と下部外形線1dとの交差位置から上方へ向かう際その折り返し線4を交差位置に近づくにつれて鼻当て部1N側(シート幅方向SYの中央側)に近づくような下部傾斜ラインとして重なり(1S、1C)が相互に熱融着されている。
【0126】
さらに、折り畳み状態のアイマスク連続体204において搬送方向Cに隣接するアイマスク110(罫書き体1x)のうち、搬送下流側のアイマスク110(1x)の上方融着部2Aと搬送上流側のアイマスク110(1x)の下方融着部2Bとがつながって形成されており、作業区間W4にて連続的に加熱・加圧(熱融着、熱溶着)される。
【0127】
最後に、アイマスク製造装置が図29に示す熱融着部近傍カット工程(第二切断工程)を実行する。熱融着部近傍カット工程では、熱融着工程の後の折り畳み状態のアイマスク連続体205(204→205)に対し、設定されている各アイマスク110(罫書き体1x)の上部外形線1u及び下部外形線1dとの近傍領域にて、それら熱融着部2A、2Bがなす上部及び下部傾斜ラインの外側に沿ってカットし、傾斜ライン4tを形成する。
【0128】
また、アイマスク製造装置が図29に示す分離カット工程(第二切断工程)を実行する。分離カット工程では、熱融着工程の後の折り畳み状態のアイマスク連続体205(204→205)に対し、設定されている各アイマスク110(罫書き体1x)の上部外形線1u及び下部外形線1dでカット(切断分離)し、連続方向(C)に隣接するアイマスク110同士を切り離す。
【0129】
さらに、アイマスク製造装置が図29に示す鼻当て部形成工程を実行する鼻当て部形成工程では、熱融着工程の後の折り畳み状態のアイマスク連続体205(204→205)に対し、その連続方向(C)において隣接するアイマスク110(罫書き体1x)の境界線の中央から上方へ向かって三角形状に切り欠かれ、鼻にフィットしやすい鼻当て部1Nとされる。
【0130】
ここでは、熱融着部近傍カット工程、分離カット工程、鼻当て部形成工程が1つのカット工程(第二切断工程)として同時に実行される。なお、熱融着部近傍カット工程と分離カット工程とは、前者が先、後者が後に実行されてもよい。
【0131】
具体的にいえば、線状の熱融着部2A、2Bが形成された帯状のアイマスク連続体205は、折り畳み状態のまま搬送方向Cへと送り出され、図29に示す所定の第五作業区間W5にて切断型(図示なし)により切断予定ライン5cに沿って切断する。切断予定ライン5cは、アイマスク110(罫書き体1x)が搬送方向Cに連続するアイマスク連続体205において、各アイマスク110を切り離すためのライン5c1と、各アイマスク110の本体1の鼻位置を三角状に切り欠く(切り抜く)ライン5c2と、線状の熱融着部2A、2Bのシート幅方向SYの外側を切り離すためのライン5c3と、を有する。これらライン5c1、5c2、5c3の切断により、折り畳み状態のアイマスク110が個々に切り離される。
【0132】
なお、ライン5c3は、線状の熱融着部2A、2Bと重ならないよう、それよりもシート幅方向SYの外側に設定されるとともに、ラインEを外側へと超えて切断するように設定されている。
【0133】
また、折り畳み状態のアイマスク連続体205において搬送方向Cに隣接するアイマスク110のうち、搬送下流側のアイマスク110の上方融着部2Aの外側のライン5c3と搬送上流側のアイマスク110の下方融着部2Bの外側のライン5c3とがつながっており、作業区間W5にて連続的に切断される。
【0134】
なお、折り畳み工程(図27参照)において、折り畳む処理の直前に装着体素材81を個別の装着体8に分離切断(図25の装着体素材81上のライン5c1の切断)」してもよい。
【0135】
また、鼻当て部形成工程(図29参照)は、両端カット工程(第一切断工程、カット工程:図26参照)において実行されてもよい。両端カット工程で実行されれば、本体中央部1Cに対し、装着体8、8や本体両端1S、1Sの重なりを気にすることなく、それらと重なる位置においても鼻当て部1Nでの切断(ライン5c2の切断)を行うことが可能になる。
【0136】
また、アイマスク110の別の製造方法として、単層のシート材又は複数のシート材が一体化された熱融着性で横長形状の積層シート体126A(本体1)と、その表面に対しシート幅方向SYの両端側で重なる熱融着性および伸縮性を有した一対のシート体126B、126B(装着体8、8)とが、アイマスク110の罫書き体1x上でカットされた加工前アイマスク126(図30参照)を用意して、そこからアイマスク110を形成してもよい。なお、ここでの加工前アイマスク126は、アイマスク本体1の外形線の内側に点状熱融着ライン2Dが形成され、かつその本体1のシート幅方向SYの両端側で点状熱融着ライン2Jが形成された積層シート体を採用している。具体的にいえば、ここでの加工前アイマスク126は、複数のシート材が一体化されたシート体126Aが点状熱融着ライン2Dで接合されて本体1をなし、かつその本体1をなすシート体126Aが点状熱融着ライン2Jで装着体8、8をなす一対のシート体126B、126Bと接合された積層シート体である。
【0137】
この場合、まずは図30に示す加工前アイマスク126の各々の目隠し部1E、1Eを自身の横方向Yの中間部に位置する縦方向Zの折り返し線4(折り返し予定線4x)にて耳掛け部8E、8E(ここでは装着体8、8)と共に鼻当て部1N側に折り畳む折り畳み(重ね合わせ)工程を実行する(図30図31)。
【0138】
続いて図31に示す折り畳まれた加工前アイマスク127(126→127)に対し、折り返し線4と上部外形線1uとの交差位置から下方へ向かって重なりを相互に熱融着する上方融着部2A(図32)と、折り返し線4と下部外形線1dとの交差位置から上方へ向かって重なりを相互に熱融着する下方融着部2B(図32)と、上方融着部2A及び下方融着部2Bの中間に位置して重なりを相互に熱融着しない非融着部3(図32)とを、折り返し線4の内側に沿って一列状に同時形成する熱融着工程を実行する(図31図32)。
【0139】
さらに、熱融着工程の後に、図32に示す折り畳まれた上下熱融着済みアイマスク128(127→128)に対し、上部外形線1u及び下部外形線1dとの近傍領域にて、折り返し線4を交差位置に近づくにつれて鼻当て部1N側に近づくような傾斜ライン4tとしてカットするカット工程を実行する(図32図33)。なお、このカット工程は熱融着工程の前でもよいし、省略してもよい。
【0140】
このようにして、図30に示す加工前アイマスク126から、図18図24に示すアイマスク110が形成される。
【符号の説明】
【0141】
100、110 アイマスク
1 アイマスク本体(本体)
1u 上部外形線
1d 下部外形線
1E 目隠し部
1N 鼻当て部
2A 上方融着部
2B 下方融着部
3 非融着部
4 折り返し線
5n 切込み線
9、8 装着体
Z 縦方向
Y 横方向
【要約】
【課題】構造が簡素で安価でありかつ装着感も良好なアイマスク、及び安価で装着感に優れたアイマスクの製造の容易化と製造コストの低減化を図ることのできるアイマスクの製造方法を提供する。
【解決手段】 中央の鼻当て部1Nを挟んだ左右の目隠し部1E、1Eが自身の横方向Yの中間部に位置する縦方向Zの折り返し線4にて鼻当て部1N側に折り畳まれた重ね合わせ形態において、折り返し線4と上部外形線1uとの交差位置から下方へ向かって重なりを相互に熱融着された上方融着部2Aと、折り返し線4と下部外形線1dとの交差位置から上方へ向かって重なりを相互に熱融着された下方融着部2Bと、上方融着部2A及び下方融着部2Bの中間に位置して重なりを相互に熱融着されない非融着部3とが、折り返し線4の内側に沿って一列状に配置され、使用時に各々の目隠し部1E、1Eは、折り返し線4から展開され横方向Yの外方に広げられると、上方融着部2Aと下方融着部2Bとが非融着部3を挟んで折り返し線4上で対向接近するように折り曲げられ、全体として顔面前方F側へ飛び出す膨出形態になる。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33