(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-05
(45)【発行日】2024-02-14
(54)【発明の名称】遠隔操作システム
(51)【国際特許分類】
B66F 9/24 20060101AFI20240206BHJP
【FI】
B66F9/24 A
(21)【出願番号】P 2021199465
(22)【出願日】2021-12-08
【審査請求日】2022-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】三菱ロジスネクスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】卯路 彰
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-054635(JP,A)
【文献】特開2013-086959(JP,A)
【文献】特開2019-202877(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/00-11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直方向に複数の収納部を有する棚が設置された施設と、前記施設内で走行および荷役作業を行うフォークリフトとを備え、前記フォークリフトを遠隔から操作する遠隔操作システムにおいて、
前記フォークリフトに設けられたカメラと、
前記カメラによって撮影される画像を表示する表示部と、
荷役される対象物である荷役対象物の位置を特定する荷役対象物位置特定部と、
前記表示部に表示される前記画像上の水平方向に、前記荷役対象物の水平位置を案内するための第1案内ルートを表示する第1案内ルート表示部と、
前記表示部に表示される前記画像上の垂直方向に、前記荷役対象物の垂直位置を案内するための第2案内ルートを表示する第2案内ルート表示部と、を備え
、
前記第1案内ルート表示部は、前記画像上の水平方向に延びる前記第1案内ルートを表示し、
前記第2案内ルート表示部は、前記第1案内ルートの先端から前記画像上の垂直方向に延びる前記第2案内ルートを表示し、
前記第1及び第2案内ルート表示部は、同一幅の帯形状からなる前記第1及び第2案内ルートを表示する
ことを特徴とする遠隔操作システム。
【請求項2】
前記第2案内ルート表示部は、前記フォークリフトが前記荷役対象物から所定範囲における接近領域の内側に進入したときに前記第2案内ルートを表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の遠隔操作システム。
【請求項3】
前記第2案内ルート表示部は、前記荷役対象物の垂直位置に応じて、複数の種類の前記第2案内ルートの中から前記表示部に表示される前記第2案内ルートを決定する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の遠隔操作システム。
【請求項4】
前記複数の種類の第2案内ルートは、異なる形状、模様、色彩のいずれか又は組み合わせからなる
ことを特徴とする請求項3に記載の遠隔操作システム。
【請求項5】
前記施設における隣接する前記棚の間に前記フォークリフトが走行および荷役作業を行うための通路が形成され、
前記第1及び第2案内ルート表示部は、前記画像における前記通路上に前記第1及び第2案内ルートを表示する
ことを特徴とする請求項1~
4のいずれかに記載の遠隔操作システム。
【請求項6】
前記第1及び第2案内ルート表示部は、前記フォークリフトの幅に相当する幅を有する前記第1及び第2案内ルートを表示する
ことを特徴とする請求項1~
5のいずれかに記載の遠隔操作システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォークリフトを遠隔から操作するための遠隔操作システムに関する。
【背景技術】
【0002】
フォークリフトは、オペレータが搭乗して荷物を運搬及び積み降ろしする作業を行うものである。そのため、オペレータが迅速かつ的確にフォークリフトを操作するためには、長年の経験が必要である。一方、熟練のオペレータの人数は限られていることから、人口の少ない地方においては、熟練のオペレータの人数が足りないことがある。そのため、熟練のオペレータが多い地域から、熟練のオペレータが遠隔で地方のフォークリフトを操作することが要望されている。
【0003】
また、人体に悪影響を及ぼすガスが充填されたタンクや、落下すると爆発する爆発物を荷役する場合等には、オペレータは、荷役場所である倉庫から離れて遠隔でフォークリフトを操作することが好ましい。
【0004】
そのため、フォークリフトを遠隔から操作するための遠隔操作システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。遠隔操作システムでは、フォークリフトが荷役を行う倉庫から離れた遠隔の基地局に操作装置が設けられており、オペレータが操作装置を使って遠隔の基地局からフォークリフトを操作するように構成されている。
【0005】
フォークリフトは、制御装置、無線通信装置、カメラ、センサ、車両の走行及び昇降等を作動する駆動装置等を備える。基地局の操作装置は、ハンドル、レバー、ペダル、制御部、表示部等を備える。例えば、表示部は、表示モニタが2つ設けられており、一方の表示モニタには、フォークリフトに搭載されたカメラで撮影される車両前方の画像が表示されて、他方の表示モニタには、センサで検出される情報等が表示される。
【0006】
フォークリフトで運搬及び積み降ろしを行う際、オペレータは、表示部の画像に基づいて車両前方の荷役対象物を確認しながらハンドルやレバー等を使ってフォークリフトを操作する。そして、荷役対象物が棚の収納部に収納されているとき、多くの他の荷物も棚に収納されているので、オペレータは、荷役対象物を見失うことが多い。また、棚は垂直に複数の収納部を有することから、荷役対象物が床面より高い位置に収納されているとき、オペレータは、床面と荷役対象物を確認しながらフォークリフトを走行する必要があることから、操作が難しいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、フォークリフトを遠隔で操作する際に、荷役対象物が棚の収納部に収納されていても、荷役対象物の位置を見失うことなく認識することができる遠隔操作システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、垂直方向に複数の収納部を有する棚が設置された施設と、施設内で走行および荷役作業を行うフォークリフトとを備え、フォークリフトを遠隔から操作する遠隔操作システムである。また、遠隔操作システムは、フォークリフトに設けられたカメラと、カメラによって撮影される画像を表示する表示部と、荷役される対象物である荷役対象物の位置を特定する荷役対象物位置特定部とを備えている。さらに、遠隔操作システムは、第1案内ルート表示部を備えており、第1案内ルート表示部は、表示部に表示される画像上の水平方向に、荷役対象物の水平位置を案内するための第1案内ルートを表示するように構成されている。さらに、遠隔操作システムは、第2案内ルート表示部を備えており、第2案内ルート表示部は、表示部に表示される画像上の垂直方向に、荷役対象物の垂直位置を案内するための第2案内ルートを表示するように構成されている。
【0010】
好ましくは、第2案内ルート表示部は、フォークリフトが荷役対象物から所定範囲における接近領域の内側に進入したときに第2案内ルートを表示するように構成されている。
【0011】
また、第2案内ルート表示部は、荷役対象物の垂直位置に応じて、複数の種類の第2案内ルートの中から表示部に表示される第2案内ルートを決定するように構成されていることが望ましい。
【0012】
好ましくは、複数の種類の第2案内ルートは、異なる形状、模様、色彩のいずれか又は組み合わせからなってもよい。
【0013】
第1案内ルート表示部は、画像上の水平方向に延びる第1案内ルートを表示し、第2案内ルート表示部は、第1案内ルートの先端から画像上の垂直方向に延びる第2案内ルートを表示するように構成されていることが望ましい。
【0014】
施設における隣接する棚の間にフォークリフトが走行および荷役作業を行うための通路が形成され、第1及び第2案内ルート表示部は、画像における通路上に第1及び第2案内ルートを表示するように構成されてもよい。
【0015】
また、第1及び第2案内ルート表示部は、フォークリフトの幅に相当する幅を有する第1及び第2案内ルートを表示するように構成されることが望ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る遠隔操作システムによると、フォークリフトを遠隔で操作する際に、荷役対象物が棚の収納部に収納されていても、荷役対象物の位置を見失うことなく認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図5】遠隔操作システムの制御フローを示すフローチャート図。
【
図6】第1案内ルートが表示された表示部の画像図。
【
図7】第1及び第2案内ルートが表示された表示部の画像図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づいて、本発明に係る遠隔操作システムの一実施形態を説明する。
【0019】
[遠隔操作システム]
図1のとおり、遠隔操作システムは、施設100において走行および荷役作業を行うためのフォークリフト1を備えている。そして、遠隔操作システムは、施設100から離れた遠隔地に設けられた基地局200が設けられている。基地局200には、操作装置2が設けられており、オペレータが操作装置2を用いて、所定のフォークリフト1を遠隔で操作することができる。
【0020】
本実施形態では、施設100は、倉庫であるが、工場等でもよい。また、本実施形態では、フォークリフト1は、リーチ式フォークリフトであるが、カウンターバランス式フォークリフト等でもよい。例えば、オペレータが遠隔の基地局200からフォークリフト1を操作することで、施設100において、人体に悪影響を及ぼすガスが充填されたタンクや、落下すると爆発する爆発物を荷役することができる。
【0021】
施設100内には、複数の棚102が設置されている。棚102には、複数の対象物(荷物)が載置されており、フォークリフト1が、施設100内を走行して、所定の棚102から所定の対象物(荷物)を入出庫する荷役作業を行う。
【0022】
[フォークリフト]
図2のとおり、フォークリフト1は、カメラ10、レーザースキャナ12、駆動装置13、制御部14、無線通信部15等を備える。
図3のとおり、制御部14は、画像処理部141、フォークリフト位置取得部142、駆動コントロール部143等を備える。制御部14は、CPU(中央処理装置)、入出力インターフェース、ROM、RAM等で構成されており、情報を処理するためのプログラムが記憶される。制御部14には、カメラ10、レーザースキャナ12、駆動装置13、無線通信部15が接続されている。
【0023】
駆動装置13は、車体の後部に設けられた駆動輪16を駆動するための走行モータ、車体の前部に設けられたフォーク17を昇降・傾動・進退するための複数の油圧シリンダー等からなる。基地局200に設けられた操作装置2からの操作信号が無線通信部15を介して制御部14に送られて、この操作信号が駆動コントロール部143で処理されて、操作装置2の操作に基づいて、走行モータ及び油圧シリンダーの駆動装置13が駆動されるようになっている。これにより、オペレータによる操作装置2の操作に連動して、走行モータ及び油圧シリンダー等の駆動装置13が駆動して、フォークリフト1を操作することができる。
【0024】
カメラ10は、フォークリフト1に搭乗して操作するオペレータの目線の位置に配置されており、オペレータの目線の位置からフォークリフト1の前方を撮影するようになっている。カメラ10は、例えば、CCDイメージセンサ又はC-MOSイメージセンサを備えている。カメラ10で撮影される画像は、制御部14の画像処理部141で画像処理されて、操作装置2に設けられた表示部20(
図4)に表示されるようになっている。これにより、基地局200で操作装置2を用いてフォークリフト1を遠隔操作するオペレータは、表示部20によって、フォークリフト1に搭乗して操作するときと同じ目線でフォークリフト1の前方を確認することができる。
【0025】
フォークリフト1は、レーザースキャナ12を備えており、施設100内には、複数の反射部101が設置される。レーザースキャナ12は、レーザーを水平に360度回転しながら反射部101に送受信する。その結果、フォークリフト1は、施設100内の走行経路に沿って配置された複数の反射部101をレーザースキャナ12で認識することができる。ここで、反射部101は、施設100内の壁面及び棚102に固定されており、その位置情報が、制御部14のフォークリフト位置取得部142のマップ上に記憶されている。フォークリフト1は、複数の反射部101をレーザースキャナ12で認識することで、フォークリフト位置取得部142が、三角測量の原理に基づいて、フォークリフト1の位置座標を計測および取得することができる。
【0026】
[操作装置]
図4のとおり、操作装置2は、表示部20、操作部21、制御部23、無線通信部24等を備える。制御部23は、画像処理部231、荷役対象物決定部232、荷役対象物位置特定部233、第1案内ルート表示部234、第2案内ルート表示部235、施設環境記憶部236等を備える。制御部23は、CPU(中央処理装置)、入出力インターフェース、ROM、RAM等で構成されており、情報を処理するためのプログラムが記憶される。制御部23には、表示部20、操作部21、無線通信部24が接続されている。
【0027】
表示部20は、例えば、2つの表示モニタからなり、一方の表示モニタには、フォークリフト1に搭載されたカメラ10で撮影されている車両の前方の画像が表示されて、他方の表示モニタには、各種センサ類で検出される情報や操作に必要な情報等が表示されるようになっている。
【0028】
操作部21は、ハンドル、レバー、ペダル等を備えており、オペレータが、フォークリフト1を実際に搭乗して操作する場合と同様に操作できるようになっている。操作部21からの操作信号は、制御部23を介して無線通信部24で送信されて、フォークリフト1の無線通信部15で受信される。そして、オペレータが操作部21のハンドルやレバー等を操作することで、上述したとおり、フォークリフト1の駆動装置13等を遠隔から操作することができる。
【0029】
荷役対象物決定部232は、施設100に配置された複数の対象物(荷物)が記憶されており、各対象物(荷物)における荷役状況、出荷時間、入荷時間、荷置き時間等に応じて、プログラム又は機械学習等によって、順次、フォークリフト1が荷役する対象物(荷役対象物)110を決定するようになっている。このように、順次、フォークリフト1が荷役する対象物(荷物)を「荷役対象物」110とすることができる。プログラムとして、例えば、スケジュールが予め設定及び記憶されており、入荷時間になると入荷される荷役対象物110が決定され、出荷時間になると出荷される荷役対象物110が決定されるようになっている。また、他のフォークリフトによる荷役状況に応じて、順次、荷役対象物110が決定されるようになっていてもよい。
【0030】
荷役対象物位置特定部233は、各対象物(荷物)の位置が記憶されており、荷役対象決定部232によって、荷役対象物110が決定されると、荷役対象物110の位置が特定されるようになっている。対象物(荷物)は、垂直方向に複数の収納段を有する棚102に収納されているので、水平座標(XY座標)及び垂直座標(Z座標)によって荷役対象物110の位置が特定される。
【0031】
第1案内ルート表示部234は、記憶されたプログラムによって、表示部20に表示される画像上の水平方向(XY方向)に、荷役対象物110の水平位置まで案内するための第1案内ルートGR1を表示するようになっている。そして、第2案内ルート表示部235は、記憶されたプログラムによって、表示部20に表示される画像上の垂直方向(Z方向)に、荷役対象物110の垂直位置まで案内するための第2案内ルートGR2を表示するようになっている。
【0032】
本実施形態では、
図6及び
図7のように、第1及び第2案内ルート表示部234,235は、フォークリフト1の幅に相当する幅を有する第1及び第2案内ルートGR1,GR2を表示するようになっている。これによって、オペレータは、フォークリフト1の実際の走行ルート、及び、フォーク17の昇降ルートを直感的に想定することができる。
【0033】
施設環境記憶部236は、施設100の壁面の水平位置、棚102及びその各収納部の水平位置及び垂直位置が記憶されている。本実施形態では、
図1のとおり、隣接する棚102の間にフォークリフト1が走行および荷役作業を行うための通路103が形成されている。そのため、施設環境記憶部236によって、通路103の水平位置が記憶されている。フォークリフト1は、通路103上で、棚102の所望の位置まで走行することができると共に、棚102に対して荷役対象物110を荷役することができる。そのため、第1及び第2案内ルート表示部234,235は、表示部20の画像に表示される通路103上に第1及び第2案内ルートGR1,GR2を表示する。これによって、オペレータは、通路103上で走行および荷役作業を行うフォークリフト1を、遠隔からでも適切に操作することができる。
【0034】
また、第1及び第2案内ルート表示部234,235は、荷役対象物110から所定範囲における通路103上に接近領域AR(
図1)を設定するようになっている。すなわち、フォークリフト1が荷役対象物110に向かって走行するときに通過する通路103上に、接近領域ARが設定される。そして、第2案内ルート表示部235は、フォークリフト1が荷役対象物110における接近領域ARの内側に進入したときに、第2案内ルートGR2を表示するようになっている。
【0035】
そのため、
図6のとおり、フォークリフト1が荷役対象物110から離れているとき、第2案内ルートGR2は表示部20に表示されず、
図7のとおり、フォークリフト1が荷役対象物110に近づくと、第2案内ルートGR2が表示部に表示されるようになっている。これによって、オペレータは、第2案内ルートGR2が表示部20に表示されると、荷役対象物110に近づいたことを直感的に認識できるようになっている。
【0036】
また、
図6及び
図7のとおり、第1案内ルート表示部234は、荷役対象物110まで水平方向に延びる第1案内ルートGR1を表示し、さらに、第2案内ルート表示部235は、第1案内ルートGR1の先端Eから垂直方向に延びる第2案内ルートGR2を表示するようになっている。さらに、第2案内ルート表示部235は、右側又は左側に向く矢印Aを第2案内ルートGR2に表示するように構成されており、荷役対象物110が収納されている棚102が示される。これによって、オペレータは、第1案内ルートGR1の先端E、かつ、第2案内ルートGR2の垂直方向の位置に、荷役対象物110があることが直感的に認識できるようになっている。
【0037】
また、第2案内ルート表示部235は、複数の種類の第2案内ルートGR2が記憶されている。例えば、本実施形態のように、3段の収納部を有する棚102の場合、棚102の1段目の高さまで垂直方向に延びる第2案内ルートGR2と、2段目の高さまで垂直方向に延びる第2案内ルートGR2と、3段目の高さまで垂直方向に延びる第2案内ルートGR2とが記憶されている。そして、第2案内ルート表示部235は、荷役対象物110の垂直位置に応じて、複数の種類の第2案内ルートGR2の中から表示部20に表示される第2案内ルートGR2を決定する。例えば、荷役対象物110が棚102の1段目の収納部に収納されている場合に、棚102の1段目の高さまで垂直方向に延びる第2案内ルートGR2が表示され、そして、
図7のように、荷役対象物110が棚102の3段目の収納部に収納されている場合に、棚102の3段目の高さまで垂直方向に延びる第2案内ルートGR2が表示される。これによって、オペレータは、第2案内ルートGR2を確認することで、荷役対象物110が棚102の何段目の収納部に収納されているかを直感的かつ容易に認識できるようになっている。
【0038】
複数の種類の第2案内ルートGR2は、異なる形状、模様、色彩のいずれか又は組み合わせからなっていてもよい。例えば、「1段目」、「2段目」、「3段目」の文字が表示された第2案内ルートGR2や、1つ、2つ、3つの上方に向く矢印で表示される第2案内ルートGR2、または、荷役対象物110が収納されている棚102の収納部の高さに応じて異なる形状、模様、色彩のいずれか又は組み合わせからなる第2案内ルートGR2が記憶されてもよい。これによって、オペレータは、第2案内ルートGR2を確認することで、荷役対象物110が棚102の何段目の収納部に収納されているか直感的に認識できる。
【0039】
第1及び第2案内ルートGR1,GR2によって、オペレータは、フォークリフト1で荷役対象物110まで走行する際には、表示部20に表示される第1案内ルートGR1に沿って走行および停止して、その後、フォークリフト1で荷役対象物110を荷役する際には、第2案内ルートGR2に沿ってフォーク17を昇降及び停止して、荷役対象物110の位置を積み降ろしすることができるので、荷役対象物110を見失うことなく、フォークリフト1の操作を直感的かつ容易に行うことができる。
【0040】
[制御フロー]
図5に基づいて、遠隔操作システムにおける制御部14,23が行う制御フローについて説明する。
【0041】
フォークリフト位置取得部142によって、常時、フォークリフト1の絶対座標(Fx,Fy)が計測および取得される(ステップS1)。そして、表示部20には、常時、カメラ10によって撮影される画像が表示されている。オペレータは、表示部20に表示された画像に基づいて、操作部21でフォークリフト1を遠隔操作する。
【0042】
荷役対象物決定部232によって、複数の対象物(荷物)が記憶されており、プログラム等に基づいて、順次、フォークリフト1で荷役される対象物(荷役対象物)110が決定される(ステップS2)。そして、荷役対象物位置特定部233によって、荷役対象物110の位置が特定される(ステップS3)。
【0043】
第1案内ルート表示部234によって、表示部20の画面における通路103上に荷役対象物110までの第1案内ルートGR1が表示される(ステップS4)。そして、オペレータは、フォークリフト1を第1案内ルートGR1に沿って走行するように操作する。また、第2案内ルート表示部235が、フォークリフト1が接近領域ARの内側にあるか否かを判定する(ステップS5)。
【0044】
そして、フォークリフト1が荷役対象物110に近づき、第2案内ルート表示部235によって、フォークリフト1が接近領域ARの内側にあると判定されると(ステップS5)、表示部20の画面における通路103上に第2案内ルートGR2が表示される(ステップS6)。そして、第2案内ルートGR2が表示部20に表示されることで、オペレータは、荷役対象物110の垂直位置を認識することができるので、フォークリフト1で荷役対象物110を荷役(積み降ろし)するようになっている。
【0045】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明の構成はこれらの実施形態に限定されない。例えば、以下のように変更することもできる。
・上記実施形態では、第1案内ルートGR1は、フォークリフト1の幅Wに相当する幅を有した帯形状であるが、矢印、一定周期で点滅する線、細線等であってもよい。
・通路103がない場合もあることから、接近領域ARは、施設100の床面に設定されていればよく、通路103に設定される必要はない。
・本実施形態では、荷役対象物決定部232によって荷役対象物110が決定されているが、マウスやタッチパネル等で、表示部20に表示された荷役対象物110をオペレータが指定することで、荷役対象物110を決定してもよい。
【0046】
本発明の効果について説明する。
【0047】
本発明は、垂直方向に複数の収納部を有する棚102が設置された施設100と、施設100内で走行および荷役作業を行うフォークリフト1とを備え、フォークリフト1を遠隔から操作する遠隔操作システムである。また、遠隔操作システムは、フォークリフト1に設けられたカメラ10と、カメラ10によって撮影される画像を表示する表示部20と、荷役される対象物110の位置を特定する荷役対象物位置特定部233とを備えている。さらに、遠隔操作システムは、第1案内ルート表示部234を備えており、第1案内ルート表示部234は、表示部20に表示される画像上の水平方向に、荷役対象物110の水平位置を案内するための第1案内ルートGR1を表示するように構成されている。さらに、遠隔操作システムは、第2案内ルート表示部235を備えており、第2案内ルート表示部235は、表示部20に表示される画像上の垂直方向に、荷役対象物110の垂直位置を案内するための第2案内ルートGR2を表示するように構成されている。
【0048】
オペレータは、表示部20に表示される画像に基づいて、フォークリフト1を遠隔から操作することができる。そして、表示部20の画像に表示される第1案内ルートGR1に沿って、オペレータは、フォークリフト1を荷役対象物110まで走行および停止することができるようになっている。そして、表示部20の画像に表示される第2案内ルートGR2に沿って、オペレータは、フォーク17を昇降及び停止することができるので、荷役対象物110の位置を見失うことなく認識することができるようになっている。
【0049】
また、第2案内ルート表示部235は、フォークリフト1が荷役対象物110から接近領域ARの内側に進入したときに第2案内ルートGR2を表示するようになっている。
【0050】
そのため、フォークリフト1が荷役対象物110から離れているとき、第2案内ルートGR2は表示部20に表示されず、フォークリフト1が荷役対象物110に近づくと、第2案内ルートGR2が表示部に表示されるようになっている。これによって、オペレータは、案内ルートGR2が表示部20に表示されると、荷役対象物110に近づいたことを直感的に認識できるようになっている。
【0051】
また、第2案内ルート表示部235は、荷役対象物110の垂直位置に応じて、複数の種類の第2案内ルートGR2の中から表示部20に表示される第2案内ルートGR2を決定するように構成されている。
【0052】
そして、複数の種類の第2案内ルートGR2は、異なる形状、模様、色彩のいずれか又は組み合わせからなってもよい。
【0053】
これによって、オペレータは、第2案内ルートGR2を確認することで、荷役対象物110が棚102の何段目の収納部に収納されているかを直感的かつ容易に認識できるようになっている。
【0054】
また、第1案内ルート表示部234は、表示部20に表示される画像上の水平方向に延びる第1案内ルートGR1を表示し、第2案内ルート表示部235は、第1案内ルートGR1の先端Eから画像上の垂直方向に延びる第2案内ルートGR2を表示するように構成されている。
【0055】
これによって、オペレータは、第1案内ルートGR1の先端E、かつ、第2案内ルートGR2の垂直方向の位置に、荷役対象物110があることが直感的に認識できるようになっている。
【0056】
また、施設100における隣接する棚102の間にフォークリフト1が走行および荷役作業を行うための通路103が形成され、第1及び第2案内ルート表示部234,235は、画像における通路103上に第1及び第2案内ルートGR1,GR2を表示するようになっている。
【0057】
施設100に通路103が設定されることで、フォークリフト1は、通路103に沿って棚102の所望の位置まで走行すると共に、通路103上で棚102に対して荷役対象物110を積み降ろしするようなっている。そのため、第1及び第2案内ルート表示部234,235が、表示部20の画像に表示される通路103上に第1及び第2案内ルートGR1,GR2を表示することで、オペレータは、通路103上で走行および荷役作業を行うフォークリフト1を、遠隔からでも適切に操作することができる。
【0058】
また、第1及び第2案内ルート表示部234,235は、フォークリフト1の幅に相当する幅を有する第1及び第2案内ルートGR1,GR2を表示するように構成されることが望ましい。
【0059】
これによって、オペレータは、表示部20の画像に表示される第1及び第2案内ルートGR1,GR2によって、フォークリフト1の実際の走行ルート、及び、フォーク17の実際の昇降ルートを直感的に想定することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 フォークリフト
10 カメラ
14 制御部
141 画像処理部
142 フォークリフト位置取得部
2 操作装置
20 表示部
21 操作部
23 制御部
231 画像処理部
232 荷役対象物決定部
233 荷役対象物位置特定部
234 第1案内ルート表示部
235 第2案内ルート表示部
100 施設
102 棚
103 通路
110 荷役対象物
AR 接近領域
GR1 第1案内ルート
GR2 第2案内ルート
E 第1案内ルートの先端