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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-05
(45)【発行日】2024-02-14
(54)【発明の名称】電子装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/04 20230101AFI20240206BHJP
   H01L 25/18 20230101ALI20240206BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20240206BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20240206BHJP
   H01L 21/56 20060101ALI20240206BHJP
   H05K 1/18 20060101ALI20240206BHJP
   H05K 3/28 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
H01L25/04 Z
H01L23/12 Q
H01L21/60 311Q
H01L21/56 R
H05K1/18 K
H05K1/18 J
H05K3/28 G
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019112660
(22)【出願日】2019-06-18
(65)【公開番号】P2020205365
(43)【公開日】2020-12-24
【審査請求日】2022-05-16
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 弘規
(72)【発明者】
【氏名】池上 浩平
(72)【発明者】
【氏名】佐野 直幸
【審査官】井上 和俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-183173(JP,A)
【文献】特開2014-049519(JP,A)
【文献】特開2014-078578(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/04
H01L 23/12
H01L 21/60
H01L 21/56
H05K 1/18
H05K 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ方向に対して直交する方向において互いに離間した複数のランド部を有する配線層と、
前記複数のランド部に対して個別に配置されるとともに、導電性を有する複数の接合層と、
互いに離間した一対の電極を有するとともに、前記一対の電極の各々が前記複数の接合層のいずれかを介して前記複数のランド部のいずれかに接合された複数の受動素子と、を備え、
前記複数の受動素子のうち互いに隣り合う2つの当該受動素子において、一方の当該受動素子の前記一対の電極に含まれる第1電極と、他方の当該受動素子の前記一対の電極に含まれる第2電極と、は、互いに近接しており
前記第1電極は、前記第2電極に対向する第1端面を有し、
前記第2電極は、前記第1端面に対向する第2端面を有し、
前記複数のランド部は、前記第1電極が接合された第1ランド部と、前記第2電極が接合された第2ランド部と、を含み、
前記複数の接合層は、前記第1ランド部に配置された第1接合層と、前記第2ランド部に配置された第2接合層と、を含み、
前記厚さ方向に視て、前記第1ランド部は、前記第1端面から前記第2端面に向けて張り出した第1張出部を有し、
前記厚さ方向に視て、前記第2ランド部は、前記第2端面から前記第1端面に向けて張り出した第2張出部を有し、
前記第1張出部は、前記第1接合層に覆われており、
前記第2張出部は、前記第2接合層に覆われており、
前記第1張出部と前記第2張出部との最小間隔は、前記第1端面と前記第2端面との最小間隔の20%~50%であり、
前記第1端面は、前記第1接合層に接しており、
前記第2端面は、前記第2接合層に接しており、
前記第1端面に接する前記第1接合層の部分は、前記第1端面に向けて凹む第1凹部と、前記厚さ方向において前記第1凹部を間に挟んで前記第1ランド部とは反対側に位置する第1端部と、を有し、
前記第2端面に接する前記第2接合層の部分は、前記第2端面に向けて凹む第2凹部と、前記厚さ方向において前記第2凹部を間に挟んで前記第2ランド部とは反対側に位置する第2端部と、を有し、
前記厚さ方向を面内方向とする断面において、前記第1端部および前記第2端部の各々は、前記厚さ方向に対して直交する方向に凸状である、電子装置。
【請求項2】
前記厚さ方向に視て、前記第1ランド部は、前記厚さ方向、および前記第1端面が向く方向の双方に対して直交する方向に、前記第1電極から張り出した第3張出部を有し、
前記厚さ方向に視て、前記第2ランド部は、前記厚さ方向、および前記第2端面が向く方向の双方に対して直交する方向に、前記第2電極から張り出した第4張出部を有する、請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記第3張出部は、前記第1接合層に覆われ、
前記第4張出部は、前記第2接合層に覆われている、請求項2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記第1端面および前記第2端面の各々が向く方向は、前記第1電極および前記第2電極のいずれかを含む前記一対の電極が互いに離間する方向である、請求項1ないし3のいずれかに記載の電子装置。
【請求項5】
前記第1端面および前記第2端面の各々が向く方向は、前記第1電極および前記第2電極のいずれかを含む前記一対の電極が互いに離間する方向に対して直交する方向である、請求項1ないし4のいずれかに記載の電子装置。
【請求項6】
前記第1電極および前記第2電極は、互いに極性が異なる、請求項4または5に記載の電子装置。
【請求項7】
前記複数の受動素子の各々は、前記一対の電極につながる本体部を有し、
前記厚さ方向に視て、前記第1電極を有する前記複数の受動素子のいずれかの前記本体部は、前記第1ランド部の一部に重なっている、請求項4ないし6のいずれかに記載の電子装置。
【請求項8】
前記厚さ方向に視て、前記第2電極を有する前記複数の受動素子のいずれかの前記本体部は、前記第2ランド部の一部に重なっている、請求項に記載の電子装置。
【請求項9】
絶縁層をさらに備え、
前記絶縁層は、前記厚さ方向において前記配線層に対して前記複数の受動素子とは反対側に位置し、
前記配線層は、前記厚さ方向において前記複数の受動素子が位置する側とは反対側を向く領域を含み、かつ前記絶縁層から露出する複数の露出面を有する、請求項1ないし8のいずれかに記載の電子装置。
【請求項10】
複数の端子をさらに備え、
前記複数の端子は、前記複数の露出面に対して個別に配置されている、請求項9に記載の電子装置。
【請求項11】
封止樹脂をさらに備え、
前記封止樹脂は、前記配線層および前記絶縁層の双方に接するとともに、前記複数の受動素子を覆っている、請求項9または10に記載の電子装置。
【請求項12】
半導体素子をさらに備え、
前記半導体素子は、前記配線層に対向する複数のパッドを有し、
前記複数のパッドは、前記配線層との導通が確保された状態で前記配線層に接合されている、請求項1ないし11のいずれかに記載の電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面実装型の複数の受動素子が搭載された電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、半導体素子(特許文献1では集積回路素子)と、複数の受動素子(特許文献1では電子部品)とが搭載された樹脂パッケージ形式の電子装置の一例が開示されている。複数の受動素子は、それぞれ表面実装により搭載されている。このような構成とすることにより、集積回路素子に入力される電気信号の電圧降下などを当該電子装置の内部で担えるため、当該電子装置とともに配線基板に実装される複数の受動素子の数を削減することができる。
【0003】
近年、半導体素子に求められる機能の高度化に伴い、当該半導体素子と同一の電子装置に搭載される複数の受動素子の数を増加させる傾向がある。これにより、当該電子装置において、複数の受動素子が密集した状態となる。この状態が顕著となると、隣り合う2つの受動素子において、これらを搭載するために必要なハンダにより当該2つの受動素子の電極間が橋渡し(ブリッジ)される現象が発生するおそれがある。当該現象が発生すると、当該電子装置に不具合が生じる。したがって、電子装置に複数の受動素子をより密集させて搭載する際、当該現象が発生しないような対策が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-146815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述の事情に鑑み、複数の受動素子をより密集させて搭載することが可能な電子装置を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によって提供される電子装置は、厚さ方向に対して直交する方向において互いに離間した複数のランド部を有する配線層と、前記複数のランド部に対して個別に配置され、かつ導電性を有する複数の接合層と、互いに離間した一対の電極を有するとともに、前記一対の電極の各々が前記複数の接合層のいずれかを介して前記複数のランド部のいずれかに接合された複数の受動素子と、を備え、前記複数の受動素子のうち互いに隣り合う2つの当該受動素子において、一方の当該受動素子の前記一対の電極に含まれる第1電極と、他方の当該受動素子の前記一対の電極に含まれる第2電極と、は、互いに近接し、前記第1電極は、前記第2電極に対向する第1端面を有し、前記第2電極は、前記第1端面に対向する第2端面を有し、前記複数のランド部は、前記第1電極が接合された第1ランド部と、前記第2電極が接合された第2ランド部と、を含み、前記複数の接合層は、前記第1ランド部に配置された第1接合層と、前記第2ランド部に配置された第2接合層と、を含み、前記厚さ方向に沿って視て、前記第1ランド部は、前記第1端面から前記第2端面に向けて張り出した第1張出部を有し、前記厚さ方向に沿って視て、前記第2ランド部は、前記第2端面から前記第1端面に向けて張り出した第2張出部を有することを特徴としている。
【0007】
本発明の実施において好ましくは、前記第1張出部は、前記第1接合層に覆われ、前記第2張出部は、前記第2接合層に覆われている。
【0008】
前記第1端面は、前記第1接合層に接し、前記第2端面は、前記第2接合層に接している。
【0009】
本発明の実施において好ましくは、前記第1端面に接する前記第1接合層の部分は、前記第1端面に向けて凹む凹状であり、前記第2端面に接する前記第2接合層の部分は、前記第2端面に向けて凹む凹状である。
【0010】
本発明の実施において好ましくは、前記厚さ方向に沿って視て、前記第1ランド部は、前記厚さ方向、および前記第1端面が向く方向の双方に対して直交する方向に、前記第1電極から張り出した第3張出部を有し、前記厚さ方向に沿って視て、前記第2ランド部は、前記厚さ方向、および前記第2端面が向く方向の双方に対して直交する方向に、前記第2電極から張り出した第4張出部を有する。
【0011】
本発明の実施において好ましくは、前記第3張出部は、前記第1接合層に覆われ、前記第4張出部は、前記第2接合層に覆われている。
【0012】
本発明の実施において好ましくは、前記第1張出部と前記第2張出部との最小間隔は、前記第1端面と前記第2端面との最小間隔よりも小である。
【0013】
本発明の実施において好ましくは、前記第1張出部と前記第2張出部との最小間隔は、前記第1端面と前記第2端面との最小間隔の20%~50%である。
【0014】
本発明の実施において好ましくは、前記第1端面および前記第2端面が向く方向は、前記第1電極および前記第2電極のいずれかを含む前記一対の電極が互いに離間する方向である。
【0015】
本発明の実施において好ましくは、前記第1端面および前記第2端面が向く方向は、前記第1電極および前記第2電極のいずれかを含む前記一対の電極が互いに離間する方向に対して直交する方向である。
【0016】
本発明の実施において好ましくは、前記第1電極および前記第2電極は、互いに極性が異なる。
【0017】
本発明の実施において好ましくは、前記複数の受動素子の各々は、前記一対の電極につながる本体部を有し、前記厚さ方向に沿って視て、前記第1電極を有する前記複数の受動素子のいずれかの前記本体部は、前記第1ランド部の一部に重なっている。
【0018】
本発明の実施において好ましくは、前記厚さ方向に沿って視て、前記第2電極を有する前記複数の受動素子のいずれかの前記本体部は、前記第2ランド部の一部に重なっている。
【0019】
本発明の実施において好ましくは、絶縁層をさらに備え、前記絶縁層は、前記厚さ方向において前記配線層に対して前記複数の受動素子とは反対側に位置し、前記配線層は、前記厚さ方向において前記複数の受動素子が位置する側とは反対側を向く領域を含み、かつ前記絶縁層から露出する複数の露出面を有する。
【0020】
本発明の実施において好ましくは、複数の端子をさらに備え、前記複数の端子は、前記複数の露出面に対して個別に配置されている。
【0021】
本発明の実施において好ましくは、封止樹脂をさらに備え、前記封止樹脂は、前記配線層および前記絶縁層の双方に接し、かつ前記複数の受動素子を覆っている。
【0022】
本発明の実施において好ましくは、半導体素子をさらに備え、前記半導体素子は、前記配線層に対向する複数のパッドを有し、前記複数のパッドは、前記配線層との導通が確保された状態で前記配線層に接合されている。
【発明の効果】
【0023】
本発明にかかる電子装置によれば、複数の受動素子をより密集させて搭載することが可能となる。
【0024】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面に基づき以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態にかかる電子装置の平面図であり、封止樹脂を透過している。
図2図1に対応する平面図であり、複数の接合層、複数の受動素子、および半導体素子を透過している。
図3図1に示す電子装置の底面図である。
図4図2のIV-IV線に沿う断面図である。
図5図2のV-V線に沿う断面図である。
図6図4の部分拡大図である。
図7図5の部分拡大図である。
図8図1の部分拡大図である。
図9図8のIX-IX線に沿う断面図である。
図10図8のX-X線に沿う断面図である。
図11図8のXI-XI線に沿う断面図である。
図12図1の部分拡大図である。
図13図12のXIII-XIII線に沿う断面図である。
図14図1の部分拡大図である。
図15図14のXV-XV線に沿う断面図である。
図16図1に示す電子装置の製造工程を説明する断面図である。
図17図1に示す電子装置の製造工程を説明する断面図である。
図18図1に示す電子装置の製造工程を説明する断面図である。
図19図1に示す電子装置の製造工程を説明する断面図である。
図20図1に示す電子装置の製造工程を説明する断面図である。
図21図1に示す電子装置の製造工程を説明する断面図である。
図22図1に示す電子装置の製造工程を説明する断面図である。
図23図1に示す電子装置の製造工程を説明する断面図である。
図24図1に示す電子装置の製造工程を説明する断面図である。
図25図1に示す電子装置の製造工程を説明する断面図である。
図26図1に示す電子装置の製造工程を説明する断面図である。
図27図1に示す電子装置の製造工程を説明する断面図である。
図28図1に示す電子装置の製造工程を説明する断面図である。
図29図1に示す電子装置の製造工程を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明を実施するための形態について、添付図面に基づいて説明する。
【0027】
図1図15に基づき、本発明の一実施形態にかかる電子装置A10について説明する。電子装置A10は、絶縁層10、配線層20、複数の接合層28、複数の中間層29、複数の受動素子30、半導体素子40、封止樹脂50、および複数の端子60を備える。電子装置A10は、配線基板に表面実装される樹脂パッケージ形式によりものである。当該パッケージ形式は、封止樹脂50から複数のリードが突出していないことが特徴とされるQFN(quad flat non-leaded package)である。ここで、図1は、理解の便宜上、封止樹脂50を透過している。図2は、理解の便宜上、図1に対してさらに複数の接合層28、複数の受動素子30、および半導体素子40を透過している。図2において透過した複数の受動素子30、および半導体素子40を、それぞれ想像線(二点鎖線)で示している。図2に示すIV-IV線およびV-V線は、ともに一点鎖線で示している。複数の受動素子30のいずれかがRと図示された当該受動素子30は、それが抵抗器であることを示している。複数の受動素子30のいずれかがCと図示された当該受動素子30は、それがコンデンサであることを示している。
【0028】
電子装置A10の説明においては、配線層20の厚さ方向を「厚さ方向z」と呼ぶ。厚さ方向zに対して直交する方向を「第1方向x」と呼ぶ。厚さ方向zおよび第1方向xの双方に対して直交する方向を「第2方向y」と呼ぶ。図1に示すように、電子装置A10は、厚さ方向zに沿って視て矩形状である。
【0029】
絶縁層10には、図1図5に示すように、配線層20が配置されている。絶縁層10は、厚さ方向zにおいて配線層20に対して複数の受動素子30、および半導体素子40とは反対側に位置する。絶縁層10は、ポリイミドを含む材料からなる。絶縁層10は、主面101、裏面102、および複数の開口11を有する。
【0030】
図4および図5に示すように、主面101は、厚さ方向zの一方側を向く、主面101は、複数の受動素子30、および半導体素子40に対向している。裏面102は、主面101とは反対側を向く。裏面102は、電子装置A10の外部に対して露出し、かつ電子装置A10を実装する際、対象となる配線基板に対向する。図7に示すように、複数の開口11(図示の都合上、図7に示す開口11は単数)は、主面101から裏面102に至って絶縁層10を厚さ方向zに貫通している。
【0031】
配線層20は、図2図4および図5に示すように、絶縁層10の主面101、および絶縁層10の複数の開口11に配置されている。配線層20は、複数の受動素子30、および半導体素子40と、電子装置A10が実装される配線基板との導電経路の一部を構成している。配線層20は、複数のランド部21、複数の連絡部22、および複数の基部23を有する。
【0032】
図1図5に示すように、複数のランド部21は、絶縁層10の主面101に配置されている。複数のランド部21は、複数の受動素子30を配線層20に接合するために利用される。複数のランド部21は、厚さ方向zに対して直交する方向において互いに離間している。複数のランド部21は、厚さ方向zに沿って視て矩形状である。
【0033】
図2図3および図5に示すように、複数の連絡部22の各々は、絶縁層10の複数の開口11のいずれかに配置されている。複数の連絡部22は、配線層20を電子装置A10の外部に導通させるための経路となる。厚さ方向zに沿って視て、複数の連絡部22の各々の形状および大きさは、当該連絡部22が配置された複数の開口11のいずれかの形状および大きさに略等しい。複数の連絡部22の各々は、図7に示す絶縁層10の主面101から厚さ方向zに突出する部分を含む。複数の連絡部22の各々は、露出面221を有する。図7に示すように、露出面221は、厚さ方向zにおいて複数の受動素子30が位置する側とは反対側、すなわち絶縁層10の裏面102が向く側を向く領域と、絶縁層10の側面(主面101と裏面102とにつながる面)が向く側を向く領域とを含む。露出面221は、絶縁層10から露出している。
【0034】
図1図5図3を除く)に示すように、複数の基部23は、絶縁層10の主面101に配置されている。複数の基部23のいずれかは、複数のランド部21のうち2つの当該ランド部21をつないでいる。あわせて、複数の基部23のいずれかは、複数のランド部21のいずれかと、複数の連絡部22のいずれかとをつないでいる。さらに、複数の基部23のいずれかは、その一端が複数のランド部21、および複数の連絡部22のいずれかとつながり、かつ半導体素子40を配線層20に接合するために利用される。複数の基部23は、厚さ方向zに沿って視て帯状である。
【0035】
図6および図7に示すように、複数の連絡部22、および複数の基部23の各々は、下地層20Aおよび第1めっき層20Bから構成される。下地層20Aは、絶縁層10の主面101と、絶縁層10の複数の開口11に対して個別に囲む絶縁層10の複数の内側面とに接している。下地層20Aは、絶縁層10に接するバリア層と、当該バリア層に積層されたシード層とから構成される。バリア層は、たとえばチタン(Ti)からなる。シード層は、たとえば銅(Cu)からなる。第1めっき層20Bは、下地層20Aに積層されている部分と、複数の開口11収容された部分とを含む。配線層20において、第1めっき層20Bが主たる導電経路となる。第1めっき層20Bは、たとえば銅からなる。
【0036】
図10および図11に示すように、複数のランド部21の各々は、下地層20A、第1めっき層20Bおよび第2めっき層20Cからなる。下地層20Aは、絶縁層10の主面101に接している。第1めっき層20Bは、下地層20Aに積層されている。第2めっき層20Cは、第1めっき層20Bに積層されている。第2めっき層20Cは、たとえば銅からなる。第2めっき層20Cの厚さは、第1めっき層20Bの厚さよりも小とされている。第2めっき層20Cの存在により、複数のランド部21の各々は、当該ランド部21につながる複数の基部23のいずれかに対して厚さ方向zに突出した部分を含む。
【0037】
複数の接合層28は、図4および図5に示すように、配線層20の複数のランド部21に対して個別に配置されている。複数の接合層28は、導電性を有する。電子装置A10においては、複数の接合層28の各々は、複数のランド部21のいずれかの上面(厚さ方向zを向き、かつ複数の受動素子30のいずれかに対向する面)を覆っている。複数の接合層28の各々は、たとえば複数のランド部21のいずれかに近い方からニッケル(Ni)層、錫(Sn)を含む合金層の順に積層された複数の金属層から構成される。当該合金層は、たとえば、錫-銀(Ag)系合金、または錫-アンチモン(Sb)系合金からなる。
【0038】
複数の中間層29の各々は、図2図4および図5に示すように、配線層20の複数の基部23のいずれかに配置されている。複数の中間層29は、導電性を有する。複数の中間層29の配置形態は、半導体素子40の複数のパッド41(詳細は後述)の配置形態に対応している。複数の中間層29の各々は、たとえば複数の金属層から構成される。当該複数の金属層の構成は、複数の接合層28の各々を構成する複数の金属層の構成と同一である。
【0039】
複数の受動素子30の各々は、図1図4および図5に示すように、配線層20の複数のランド部21のうち隣り合う2つの当該ランド部21に搭載されている。複数の受動素子30は、表面実装型、かつチップ型の電子部品である。複数の受動素子30の各々は、抵抗器、コンデンサおよびインダクタなどの受動電子部品のいずれかに該当する。電子装置A10が示す例においては、複数の受動素子30のいずれかが抵抗器である場合は、厚膜(メタルグレーズ皮膜)型の抵抗器を想定している。あわせて、複数の受動素子30のいずれかがコンデンサである場合は、セラミックコンデンサを想定している。
【0040】
図1図4および図5に示すように、複数の受動素子30の各々は、一対の電極31、および本体部32を有する。一対の電極31は、互いに離間している。一対の電極31の各々は、複数の接合層28のいずれかを介して配線層20の複数のランド部21のいずれかに接合されている。これにより、複数の受動素子30は、配線層20に導通している。本体部32は、一対の電極31につながっている。本体部32が当該受動素子30の機能部分となる。
【0041】
半導体素子40は、図1図4および図5に示すように、配線層20の複数の基部23に搭載されている。半導体素子40は、フリップチップ実装型の素子である。電子装置A10が示す例においては、半導体素子40は、LSIである。半導体素子40は、複数のパッド41を有する。複数のパッド41は、半導体素子40の内部に構成された回路に導通している。図6に示すように、複数のパッド41の各々は、配線層20の複数の基部23のいずれかに対向している。複数のパッド41の各々は、複数の中間層29のいずれかを介して複数の基部23のいずれかに接合されている。すなわち、複数のパッド41は、配線層20との導通が確保された状態で配線層20に接合されている。これにより、半導体素子40は、配線層20に導通している。
【0042】
封止樹脂50は、図4および図5に示すように、絶縁層10の主面101、および配線層20の双方に接している。封止樹脂50は、配線層20(ただし、複数の連絡部22の一部を除く。)、複数の受動素子30、および半導体素子40を覆っている。封止樹脂50は、たとえば黒色のエポキシ樹脂を含む絶縁材料からなる。厚さ方向zに沿って視て、封止樹脂50の形状および大きさは、絶縁層10の形状および大きさに略等しい。
【0043】
複数の端子60は、図3および図5に示すように、配線層20の複数の連絡部22の露出面221に対して個別に配置されている。複数の端子60は、電子装置A10の外部に対して露出している。複数の端子60がハンダを介して配線基板に接合されることによって、電子装置A10が当該配線基板に実装される。複数の端子60の各々は、たとえば、複数の連絡部22の露出面221の各々から近い順にニッケル層、パラジウム(Pd)層、金(Au)層の順に積層された複数の金属層から構成される。
【0044】
複数の受動素子30のうち隣り合う2つの当該受動素子30においては、図8図15に示す近接パターンB10~B30の3つの近接形態に大別される。以下、近接パターンB10~B30について説明する。
【0045】
<近接パターンB10>
図8図11に基づき、近接パターンB10について説明する。図8に示すように、近接パターンB10においては、当該隣り合う2つの受動素子30の各々の長手方向は、ともに第1方向xである。さらに、近接パターンB10においては、当該隣り合う2つの受動素子30は、ともに抵抗器である。図8および図9に示すように、当該隣り合う2つの受動素子30のうち、一方の当該受動素子30の一対の電極31に含まれる第1電極311と、他方の当該受動素子30の一対の電極31に含まれる第2電極312とは、互いに近接している。第1電極311は、第1端面311Aを有する。第1端面311Aは、第2電極312に対向している。第2電極312は、第2端面312Aを有する。第2端面312Aは、第1端面311Aに対向している。近接パターンB10においては、第1端面311Aおよび第2端面312Aが向く方向は、第1電極311および第2電極312のいずれかを含む一対の電極31が互いに離間する方向(第1方向x)である。
【0046】
近接パターンB10においては、第1電極311は、負極である。第2電極312は、正極である。このため、第1電極311および第2電極312は、互いに極性が異なる。
【0047】
図8図11に示すように、説明の便宜上、配線層20の複数のランド部21のうち、第1電極311が接合された当該ランド部21を第1ランド部211と呼ぶ。あわせて、第2電極312が接合された当該ランド部21を第2ランド部212と呼ぶ。さらに、説明の便宜上、複数の接合層28のうち、第1ランド部211に配置された当該接合層28を第1接合層281と呼ぶ。あわせて、第2ランド部212に配置された当該接合層28を第2接合層282と呼ぶ。
【0048】
図8に示すように、厚さ方向zに沿って視て、第1ランド部211は、第1電極311の第1端面311Aから第2電極312の第2端面312Aに向けて張り出した第1張出部211Aを有する。あわせて、厚さ方向zに沿って視て、第2ランド部212は、第2端面312Aから第1端面311Aに向けて張り出した第2張出部212Aを有する。図9に示すように、第1張出部211Aは、第1接合層281に覆われている。第1端面311Aは、第1接合層281に接している。第1端面311Aに接する第1接合層281の部分は、第1端面311Aに向けて凹む凹状である。同様に、第2張出部212Aは、第2接合層282に覆われている。第2端面312Aは、第2接合層282に接している。第2端面312Aに接する第2接合層282の部分は、第2端面312Aに向けて凹む凹状である。
【0049】
図8および図9に示すように、第1張出部211Aと第2張出部212Aとの最小間隔Gmは、第1電極311の第1端面311Aと、第2電極312の第2端面312Aとの最小間隔Lmよりも小である。最小間隔Gmは、最小間隔Lmの20%~50%とされている。
【0050】
図8に示すように、厚さ方向zに沿って視て、第1電極311を有する一方の当該受動素子30の本体部32は、第1ランド部211に重なっている。あわせて、厚さ方向zに沿って視て、第2電極312を有する他方の当該受動素子30の本体部32は、第2ランド部212に重なっている。
【0051】
図8に示すように、近接パターンB10においては、第1ランド部211は、一対の第3張出部211Bを有する。一対の第3張出部211Bは、厚さ方向zに沿って視て、厚さ方向z、および第1電極311の第1端面311Aが向く方向(第1方向x)の双方に対して直交する方向(第2方向y)に、第1電極311から張り出している。一対の第3張出部211Bは、第2方向yにおいて互いに離間している。図10に示すように、一対の第3張出部211Bの各々は、第1接合層281に覆われている。
【0052】
図8に示すように、近接パターンB10においては、第2ランド部212は、一対の第4張出部212Bを有する。一対の第4張出部212Bは、厚さ方向zに沿って視て、厚さ方向z、および第2電極312の第2端面312Aが向く方向(第1方向x)の双方に対して直交する方向(第2方向y)に、第2電極312から張り出している。一対の第4張出部212Bは、第2方向yにおいて互いに離間している。図11に示すように、一対の第4張出部212Bの各々は、第2接合層282に覆われている。
【0053】
<近接パターンB20>
図12および図13に基づき、近接パターンB20について説明する。近接パターンB20においては、当該隣り合う2つの受動素子30の各々の配置形態および種類が、先述した近接パターンB10とは異なる。以下、近接パターンB20の説明においては、近接パターンB10に対して異なる構成のみを示すものとする。
【0054】
近接パターンB20においては、図12に示すように、当該隣り合う2つの受動素子30の各々の長手方向は、ともに第2方向yである。さらに、近接パターンB20においては、当該隣り合う2つの受動素子30は、ともにコンデンサである。図12および図13に示すように、当該隣り合う2つの受動素子30のうち、一方の当該受動素子30の一対の電極31に含まれる第1電極311と、他方の当該受動素子30の一対の電極31に含まれる第2電極312とは、互いに近接している。近接パターンB20においては、第1電極311の第1端面311A、および第2電極312の第2端面312Aが向く方向は、第1電極311および第2電極312のいずれかを含む一対の電極31が互いに離間する方向(第2方向y)に対して直交する方向(第1方向x)である。
【0055】
近接パターンB20においては、第2電極312の極性は、第1電極311の極性と異なるものとなっている。
【0056】
図12に示すように、近接パターンB20においては、第1ランド部211は、第3張出部211Bを有する。第3張出部211Bは、厚さ方向zに沿って視て、厚さ方向z、および第1電極311の第1端面311Aが向く方向(第1方向x)の双方に対して直交する方向(第2方向y)に、第1電極311から張り出している。第3張出部211Bは、第1接合層281に覆われている。
【0057】
図12に示すように、近接パターンB20においては、第2ランド部212は、第4張出部212Bを有する。第4張出部212Bは、厚さ方向zに沿って視て、厚さ方向z、および第2電極312の第2端面312Aが向く方向(第1方向x)の双方に対して直交する方向(第2方向y)に、第2電極312から張り出している。第4張出部212Bは、第2接合層282に覆われている。
【0058】
<近接パターンB30>
図14および図15に基づき、近接パターンB30について説明する。近接パターンB30においては、当該隣り合う2つの受動素子30の各々の配置形態および種類が、先述した近接パターンB10とは異なる。以下、近接パターンB30の説明においては、近接パターンB10に対して異なる構成のみを示すものとする。
【0059】
近接パターンB30においては、図14に示すように、当該隣り合う2つの受動素子30のうち、一方の当該受動素子30の長手方向は、第2方向yである。他方の当該受動素子30の長手方向は、第1方向xである。さらに、近接パターンB30においては、一方の当該受動素子30は、コンデンサである。他方の受動素子30は、抵抗器である。図14および図15に示すように、当該隣り合う2つの受動素子30のうち、一方の当該受動素子30の一対の電極31に含まれる第1電極311と、他方の当該受動素子30の一対の電極31に含まれる第2電極312とは、互いに近接している。近接パターンB30においては、第1電極311の第1端面311A、および第2電極312の第2端面312Aが向く方向は、第2電極312を含む一対の電極31が互いに離間する方向(第1方向x)である。このため、第1端面311Aおよび第2端面312Aが向く方向は、第1電極311を含む一対の電極31が互いに離間する方向(第2方向y)に対して直交する方向である。
【0060】
近接パターンB30においては、第2電極312の極性は、第1電極311の極性と同一、または異なるものとなっている。
【0061】
図14に示すように、近接パターンB30においては、第1ランド部211は、第3張出部211Bを有する。第3張出部211Bは、厚さ方向zに沿って視て、厚さ方向z、および第1電極311の第1端面311Aが向く方向(第1方向x)の双方に対して直交する方向(第2方向y)に、第1電極311から張り出している。第3張出部211Bは、第1接合層281に覆われている。
【0062】
図14に示すように、近接パターンB30においては、第2ランド部212は、一対の第4張出部212Bを有する。一対の第4張出部212Bは、厚さ方向zに沿って視て、厚さ方向z、および第2電極312の第2端面312Aが向く方向(第1方向x)の双方に対して直交する方向(第2方向y)に、第2電極312から張り出している。一対の第4張出部212Bは、第2方向yにおいて互いに離間している。一対の第4張出部212Bの各々は、第2接合層282に覆われている。
【0063】
次に、図16図29に基づき、電子装置A10の製造方法の一例について説明する。なお、図16図27の断面位置は、図5の断面位置と同一である。
【0064】
最初に、図16に示すように、基材80の厚さ方向zの一方側の表面に仮固定層811を塗布する。基材80は、ガラス板である。基材80は、ガラス板の他、シリコンウエハでもよい。仮固定層811は、有機化合物を含む材料からなる。
【0065】
次いで、図17に示すように、仮固定層811の全体を覆う剥離層812を形成する。剥離層812は、チタンを含む金属薄膜からなる。剥離層812は、スパッタリング法により当該金属薄膜を成膜することにより形成される。
【0066】
次いで、図18に示すように、剥離層812を覆う絶縁層82を形成する。絶縁層82は、厚さ方向zにそれを貫通する複数の開口821を有する。絶縁層82は、感光性ポリイミドを含む材料からなる。絶縁層82は、スピンコータなどを用いて当該材料を剥離層812の全面に塗布した後、当該材料に対してリソグラフィパターニングを施すことにより形成される。これにより、絶縁層82には、複数の開口821が形成された状態となる。複数の開口821の各々から、剥離層812の一部が露出する。
【0067】
次いで、図19に示すように、絶縁層82と、絶縁層82の複数の開口821から露出する剥離層812の一部とを覆う下地層83Aを形成する。下地層83Aは、絶縁層82と、複数の開口821から露出する剥離層812の一部との全面にバリア層をスパッタリング法により成膜させた後、当該バリア層の全面にシード層をスパッタリング法により成膜させることにより形成される。当該バリア層は、厚さが100nm~300nmのチタンからなる。当該シード層は、厚さが200nm~600nmの銅からなる。
【0068】
次いで、図20に示すように、下地層83Aの上に複数の第1めっき層83Bを形成する。複数の第1めっき層83Bは、下地層83Aの上にリソグラフィパターニングを施した後、下地層83Aを導電経路とした電解めっきにより形成される。複数の第1めっき層83Bは、銅からなる。本工程を経ることにより、絶縁層82の複数の開口821は、下地層83A、および複数の第1めっき層83Bにより埋め尽くされた状態となる。
【0069】
次いで、図21に示すように、複数の第2めっき層83Cを形成する。複数の第2めっき層83Cの各々は、複数の第1めっき層83Bのいずれかの上に形成される。複数の第2めっき層83Cは、下地層83A、および複数の第1めっき層83Bの上にリソグラフィパターニングを施した後、下地層83A、および複数の第1めっき層83Bを導電経路とした電解めっきにより形成される。複数の第2めっき層83Cは、銅からなる。
【0070】
次いで、図22に示すように、複数の接合層28、および複数の中間層29を形成する。複数の接合層28は、複数の第2めっき層83Cの上に対して個別に形成される。厚さ方向zに沿って視て、複数の接合層28の各々の形状および大きさは、形成対象となる複数の第2めっき層83Cのいずれかの形状および大きさに等しくなるようにする。複数の中間層29の各々は、複数の第1めっき層83Bのいずれかの上に形成される。まず、下地層83A、複数の第1めっき層83B、および複数の第2めっき層83Cの上にリソグラフィパターニングを施す。次いで、下地層83A、複数の第1めっき層83B、および複数の第2めっき層83Cを導電経路とした電解めっきを行うことにより、複数の接合層28が形成される。これと同時に、下地層83A、および複数の第1めっき層83Bを導電経路とした電解めっきを行うことにより、複数の中間層29が形成される。
【0071】
次いで、図23に示すように、下地層83Aの一部を除去する。下地層83Aの除去対象は、複数の第1めっき層83Bが積層されていない部分である。下地層83Aは、硫酸(H2SO4)および過酸化水素(H22)の混合溶液を用いたウエットエッチングにより除去される。本工程を経ることにより、残存した下地層83Aと、これに積層された複数の第1めっき層83Bの一部とが、電子装置A10の配線層20の複数の連絡部22、および複数の基部23となる。あわせて、残存した下地層83Aと、これに積層された複数の第1めっき層83Bの一部と、さらにこの一部に積層された複数の第2めっき層83Cとが、電子装置A10の配線層20の複数のランド部21となる。
【0072】
次いで、図24に示すように、配線層20の複数のランド部21の上に対して個別に形成された複数の接合層28に、複数の受動素子30(図示の都合上、図24に示す受動素子30は単数)を接合する。あわせて、配線層20の複数の基部23の上に形成された複数の中間層29に、半導体素子40を接合する。半導体素子40は、フリップチップボンディングにより接合される。まず、複数の受動素子30の一対の電極31の各々を、複数の接合層28のいずれかに仮付けする。次いで、コレットを用いて、半導体素子40の複数のパッド41を、複数の中間層29に対して個別に仮付けする。次いで、リフローにより複数の接合層28、および複数の中間層29を溶融させる。最後に、複数の接合層28、および複数の中間層29を冷却により固化させることにより、複数の受動素子30と、半導体素子40との接合が完了する。
【0073】
次いで、図25に示すように、絶縁層82および配線層20に接する封止樹脂84を形成する。封止樹脂84は、黒色のエポキシ樹脂を含む材料からなる。封止樹脂84は、コンプレッション成型により形成される。本工程を経ることにより、配線層20、複数の受動素子30(図示の都合上、図25に示す受動素子30は単数)、および半導体素子40が封止樹脂84に覆われた状態となる。
【0074】
次いで、図26に示すように、厚さ方向zを向く封止樹脂84の表面にテープ85を貼り付けた後、基材80および仮固定層811を除去する。まず、封止樹脂84の当該表面にテープ85を貼り付ける。テープ85は、ダイシングテープである。テープ85は、厚さ方向zにおいて封止樹脂84に対して絶縁層82とは反対側に位置する。次いで、基材80にレーザを照射する。これにより、基材80と仮固定層811との接合が弱くなり、仮固定層811から基材80を剥がすことができる。最後に、仮固定層811にプラズマを照射することにより、剥離層812に付着した仮固定層811が除去される。
【0075】
次いで、図27に示すように、剥離層812を除去する。剥離層812は、硫酸(H2SO4)および過酸化水素(H22)の混合溶液を用いたウエットエッチングにより除去される。本工程を経ることにより、配線層20の複数の連絡部22の露出面221の一部が、絶縁層82から視認できる。
【0076】
次いで、図28に示すように、絶縁層82および封止樹脂84を第1方向xおよび第2方向yの双方向に沿った格子状に切断することにより、複数の個片に分割する。切断には、ダイシングブレードなどが用いられる。この際、当該個片には、電子装置A10の構成要素が全て含まれるようにする。なお、本工程においては、テープ85は切断されない。このため、隣り合う2つの当該個片との間には、溝Gが形成される。本工程を経ることにより、当該個片となった絶縁層82が電子装置A10の絶縁層10となり、かつ当該個片となった封止樹脂84が電子装置A10の封止樹脂50となる。あわせて、配線層20の複数の連絡部22の露出面221の全部が、絶縁層82から視認できる。
【0077】
最後に、図29に示すように、配線層20の複数の連絡部22の露出面221に対して複数の端子60を個別に形成する。複数の端子60は、無電解めっきにより形成される。以上の工程を経ることにより、電子装置A10が製造される。
【0078】
次に、電子装置A10の作用効果について説明する。
【0079】
電子装置A10の複数の受動素子30のうち、隣り合う2つの当該受動素子30において、一方の当該受動素子30の一対の電極31に含まれる第1電極311と、他方の一対の電極31に含まれる第2電極312とが、互いに近接している(近接パターンB10~B30参照)。厚さ方向zに沿って視て、第1電極311が第1接合層281により接合された第1ランド部211は、第1電極311の第1端面311Aから第2電極312の第2端面312Aに向けて張り出した第1張出部211Aを有する。これにより、第1電極311を第1ランド部211に接合させる際、第1ランド部211との界面において溶融した第1接合層281に作用する表面張力の作用方向が、第1張出部211Aの張り出す方向となる。よって、第1接合層281が第2端面312Aに向けて膨出する現象が抑制される。
【0080】
さらに、厚さ方向zに沿って視て、第2電極312が第2接合層282により接合された第2ランド部212は、第2端面312Aから第1端面311Aに向けて張り出した第2張出部212Aを有する。これにより、第2電極312を第2ランド部212に接合させる際、第2ランド部212との界面において溶融した第2接合層282に作用する表面張力の作用方向が、第2張出部212Aの張り出す方向となる。よって、第2接合層282が第1端面311Aに向けて膨出する現象が抑制される。したがって、第1接合層281と第2接合層282とが相互につながることにより、第1電極311と第2電極312との間が橋渡しされる現象の発生が防止される。以上により、電子装置A10によれば、複数の受動素子30をより密集させて搭載することが可能となる。
【0081】
第1ランド部211の第1張出部211Aと、第2ランド部212の第2張出部212Aとの最小間隔Gm(図8および図9参照)は、第1電極311の第1端面311Aと、第2電極312の第2端面312Aとの最小間隔Lm(図8および図9参照)よりも小である。これにより、第1張出部211Aおよび第2張出部212Aの各々の形状が、適切に確保されたものとなる。さらに、第1張出部211Aと第2張出部212Aとの最小間隔Gmは、第1端面311Aと第2端面312Aとの最小間隔Lmの20%~50%であることが好ましい。これにより、第1接合層281と第2接合層282とにより第1電極311と第2電極312との間が橋渡しされる現象の発生を防止しつつ、第1ランド部211と第2ランド部212との間隔をできるだけ小とすることができる。
【0082】
第1ランド部211の第1張出部211Aは、第1接合層281に覆われている。これにより、第1ランド部211に対する第1接合層281の接触面積が拡大される。さらに、第1電極311の第1端面311Aが第1接合層281に接する構成とすることにより、第1電極311に対する第1接合層281のフィレットの形成が促進される。したがって、第1ランド部211に対する第1電極311の実装強度を向上させることができる。本構成をとることにより、第1端面311Aに接する第1接合層281の部分は、第1端面311Aに向けて凹む凹状となる。この形状になると、第1接合層281が第2電極312の第2端面312Aに向けて膨出する現象がより効果的に抑制される。
【0083】
厚さ方向zに沿って視て、第1ランド部211は、厚さ方向z、および第1電極311の第1端面311Aが向く方向に対して直交する方向に、第1電極311から張り出した第3張出部211Bを有する。第3張出部211Bは、第1接合層281に覆われている。これにより、第1ランド部211に対する第1接合層281の接触面積がより拡大される。さらに、たとえばセラミックコンデンサのように、第1端面311Aにつながり、かつ第1端面311Aの厚さ方向zの寸法と略等しい側面を第1電極311が有する場合、当該側面に対する第1接合層281のフィレットの形成を促すことができる。したがって、第1ランド部211に対する第1電極311の実装強度をより向上させることができる。
【0084】
厚さ方向zに沿って視て、第1電極311を有する複数の受動素子30のいずれかの本体部32は、第1ランド部211の一部に重なっている。本構成は、第1ランド部211に対する第1接合層281の接触面積の拡大に寄与するため、第1ランド部211に対する第1電極311の実装強度の向上の上で好適である。
【0085】
第2ランド部212の第2張出部212Aは、第2接合層282に覆われている。これにより、第2ランド部212に対する第2接合層282の接触面積が拡大される。さらに、第2電極312の第2端面312Aが第2接合層282に接する構成とすることにより、第2電極312に対する第2接合層282のフィレットの形成が促進される。したがって、第2ランド部212に対する第2電極312の実装強度を向上させることができる。本構成をとることにより、第2端面312Aに接する第2接合層282の部分は、第2端面312Aに向けて凹む凹状となる。この形状になると、第2接合層282が第1電極311の第1端面311Aに向けて膨出する現象がより効果的に抑制される。
【0086】
厚さ方向zに沿って視て、第2ランド部212は、厚さ方向z、および第2電極312の第2端面312Aが向く方向に対して直交する方向に、第2電極312から張り出した第4張出部212Bを有する。第4張出部212Bは、第2接合層282に覆われている。これにより、第2ランド部212に対する第2接合層282の接触面積がより拡大される。さらに、たとえばセラミックコンデンサのように、第2端面312Aにつながり、かつ第2端面312Aの厚さ方向zの寸法と略等しい側面を第2電極312が有する場合、当該側面に対する第2接合層282のフィレットの形成を促すことができる。したがって、第2ランド部212に対する第2電極312の実装強度をより向上させることができる。
【0087】
厚さ方向zに沿って視て、第2電極312を有する複数の受動素子30のいずれかの本体部32は、第2ランド部212の一部に重なっている。本構成は、第2ランド部212に対する第2接合層282の接触面積の拡大に寄与するため、第2ランド部212に対する第2電極312の実装強度の向上の上で好適である。
【0088】
先述した電子装置A10は、複数の受動素子30とともに、半導体素子40を備える構成となっている。しかし、本発明は、半導体素子40を備えない構成でもよい。すなわち、機能部分が複数の受動素子30のみにより構成された電子装置にも、本発明を適用することができる。
【0089】
本発明は、先述した電子装置A10に限定されるものではない。本発明の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0090】
A10:電子装置
B10~B30:近接パターン
10:絶縁層
101:主面
102:裏面
11:開口
20:配線層
20A:下地層
20B:第1めっき層
20C:第2めっき層
21:ランド部
211:第1ランド部
211A:第1張出部
211B:第3張出部
212:第2ランド部
212A:第2張出部
22:連絡部
221:露出面
23:基部
28:接合層
281:第1接合層
282:第2接合層
29:中間層
30:受動素子
31:電極
311:第1電極
311A:第1端面
312:第2電極
312A:第2端面
32:本体部
40:半導体素子
41:パッド
50:封止樹脂
60:端子
80:基材
811:仮固定層
812:剥離層
82:絶縁層
821:開口
83A:下地層
83B:第1めっき層
83C:第2めっき層
84:封止樹脂
85:テープ
Gm,Lm:最小間隔
G:溝
z:厚さ方向
x:第1方向
y:第2方向
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