(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-05
(45)【発行日】2024-02-14
(54)【発明の名称】燃料電池装置
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20240206BHJP
H01M 8/0612 20160101ALI20240206BHJP
H01M 8/12 20160101ALN20240206BHJP
【FI】
H01M8/04 N
H01M8/04 Z
H01M8/0612
H01M8/12 101
(21)【出願番号】P 2019123781
(22)【出願日】2019-07-02
【審査請求日】2022-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000109026
【氏名又は名称】ダイニチ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】小林 和明
【審査官】笹岡 友陽
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-231155(JP,A)
【文献】特開2005-276621(JP,A)
【文献】特開2004-057604(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/04
H01M 8/0612
H01M 8/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスと酸素含有ガスとを用いて発電を行う燃料電池と、
内部にイオン交換樹脂を備え、前記燃料電池より排出された排ガスから抽出された凝縮 水を貯水する凝縮水タンクと、
前記凝縮水タンクを介して供給された水を利用して、前記燃料電池に供給する燃料ガス を生成する水蒸気改質可能な改質器と、
内部にイオン交換樹脂を備え、外部からの水を貯水するとともに、前記凝縮水タンクと 接続された補水タンクと、
熱交換機と前記凝縮水タンクを接続する流路である凝縮水流路と、
補水流路と、を備え、
前記補水タンクの上限水位が、前記凝縮水タンクの上限水位よりも上方となるように配置され、
前記凝縮水流路は、前記凝縮水タンクの上部に接続されることにより、前記凝縮水流路から流出した水が、上部から前記内容器内に流れ落ち、
前記補水流路は、前記補水タンク内の水が自重によって前記凝縮水タンクに流れるように前記補水タンク底面と前記凝縮水タンクを接続し、
前記凝縮水タンクは、さらに内容器を備え、前記内容器は前記イオン交換樹脂を備え、前記凝縮水を処理し、前記凝縮水タンクの前記内容器外において、前記内容器内のイオン交換樹脂により処理された前記凝縮水と、前記補水タンク内のイオン交換樹脂により処理された水のそれぞれを、混合する燃料電池装置。
【請求項2】
外部水供給元と前記補水タンクとの間に補水弁を有し、
該補水弁の開閉を動作可能な制御装置を備え、
該制御装置は、前記補水弁の稼動後から次の稼動までの経過時間をカウントするとともに、所定の期間が経過し、所定の条件を満たした場合に、前記補水弁を開閉する制御を行う、請求項
1に記載の燃料電池装置。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記所定の期間内に、前記補水タンクのイオン交換樹脂が破過した場合に、前記経過時 間をリセットする制御を行う、請求項
2に記載の燃料電池装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記凝縮水タンク内の凝縮水の量が確保できている場合、前記補水弁の開閉を行う、請求項
2に記載の燃料電池装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃料電池装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水素含有ガスである燃料ガスと、酸素含有ガスである空気とを用いて発電を行なう、固体酸化物形の燃料電池(SOFC)が知られている。このような燃料電池を含む燃料電池装置では、発電で発生した高熱の排ガスを、例えば、熱交換器で水等の媒体との間で熱交換して生成される温水を利用して給湯を行うことでエネルギーを効率よく利用している。この際、排ガスは冷却されるので、排ガスに含まれる水分が結露して凝縮水が生じる。生じた凝縮水は、回収されて凝縮水タンクに貯留される。凝縮水タンク内の水は、改質器に供給され、原燃料ガスの水蒸気改質に利用される。
【0003】
凝縮水タンクには、イオン交換樹脂などの凝縮水処理部材が収容されている。特許文献1に記載の燃料電池装置は、凝縮水タンクにおいて、凝縮水排水管が、凝縮水供給管よりも低い位置で接続されている。これによって、必要量以上の凝縮水が供給されないので、凝縮水処理部材の寿命を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
排ガスに含まれる水分量が少ない場合や、排ガスが冷却されずに水分が凝縮されない場合に、回収される凝縮水が少なく、凝縮水タンク内の水が不足してしまうおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
燃料ガスと酸素含有ガスとを用いて発電を行う燃料電池と、内部にイオン交換樹脂を備え、前記燃料電池より排出された排ガスから抽出された凝縮水を貯水する凝縮水タンクと、前記凝縮水タンクを介して供給された水を利用して、前記燃料電池に供給する燃料ガスを生成する水蒸気改質可能な改質器と、内部にイオン交換樹脂を備え、外部からの水を貯水するとともに、前記凝縮水タンクと 接続された補水タンクと、熱交換機と前記凝縮水タンクを接続する流路である凝縮水流路と、補水流路と、を備え、前記補水タンクの上限水位が、前記凝縮水タンクの上限水位よりも上方となるように配置され、前記凝縮水流路は、前記凝縮水タンクの上部に接続されることにより、前記凝縮水流路から流出した水が、上部から前記内容器内に流れ落ち、前記補水流路は、前記補水タンク内の水が自重によって前記凝縮水タンクに流れるように前記補水タンク底面と前記凝縮水タンクを接続し、前記凝縮水タンクは、さらに内容器を備え、前記内容器は前記イオン交換樹脂を備え、前記凝縮水を処理し、前記凝縮水タンクの前記内容器外において、前記内容器内のイオン交換樹脂により処理された前記凝縮水と、前記補水タンク内のイオン交換樹脂により処理された水のそれぞれを、混合する燃料電池装置。
【発明の効果】
【0007】
本開示の燃料電池装置によれば、補水タンクから凝縮水タンクに外部からの水を供給して、凝縮水タンク内の水が不足することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態の燃料電池装置の概略構成を示す図である。
【
図2】外装ケース内の燃料電池装置の構成を示す斜視図である。
【
図3】凝縮水タンクおよび補水タンクの構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本開示の実施形態に係る燃料電池装置について説明する。
図1は、実施形態の燃料電池装置の概略構成を示す図であり、
図2は、外装ケース内の燃料電池装置の構成を示す斜視図である。
図3は、凝縮水タンクおよび補水タンクの構成を示す模式図である。
図4は、給水制御を示すフローチャートである。
【0010】
本実施形態の燃料電池装置100は、燃料ガスと空気とで発電を行なう燃料電池モジュール1と、凝縮水タンク6と、凝縮水タンク6に水を供給する補水タンク7と、外部から補水タンク7に水を供給するための給水流路S1と、凝縮水タンク6と補水タンク7とを接続する補水流路S2と、を備える。燃料電池装置100は、複数種類の動作モードを適宜切り替えて動作することが可能に構成されている。
【0011】
本実施形態の動作モードには、少なくとも発電を行なう運転モードと発電を停止する停止モードと、凍結防止を目的として、凝縮水タンク6および補水タンク7内の熱媒体である水および凝縮水タンク6および補水タンク7の給排水流路内の水を装置外に排出するための水抜きモードが含まれる。運転モードには、さらに定格運転モードおよび部分負荷運転モードなどが含まれていてもよい。
【0012】
図1中に符号HC1で示すように、第1熱交換器2、蓄熱タンク3、冷却器5、熱媒ポンプP2およびこれらを繋ぐ循環流路等を有する排熱回収システムである第1の熱循環系(ヒートサイクル)を備える。
図1中に符号HC2で示すように、第2熱交換器4(上水熱交換器ともいう)と、前述の蓄熱タンク3から熱媒を循環させる循環ポンプP3およびこれらを繋ぐ流路配管等を有する排熱回収システムである第2の熱循環系を備える。
【0013】
前述の蓄熱タンク3に貯留された高温の熱媒を用いて、外部から供給流路Kinを介して供給された水道水等の水を第2熱交換器4で加温し、加温された水を外部の給湯器等の再加熱装置に向けて送給流路Koutを介して送給する。
【0014】
燃料電池モジュール1は、収納容器10に収容された燃料電池11と改質器12とを含む。燃料電池11は、燃料ガスと空気とで発電を行なうものであればよく、例えば、複数の燃料電池セルが配列されてなるセルスタック構造であってもよい。セルスタック構造の燃料電池11は、各燃料電池セルの下端を、ガラスシール材等の絶縁性接合材によってマニホールドに固定して構成されている。
【0015】
また、燃料電池11の発電に必要な燃料ガスおよび空気は、燃料電池セルの下端側より供給される。燃料電池11は、内部をガスが長手方向に沿って流通するガス流路を有する柱状の燃料電池セルを立設させた状態で配列し、隣接する燃料電池セル間に集電部材を介して電気的に直列に接続して構成されている。燃料電池セルとして、各種燃料電池セルが知られているが、部分負荷運転モードを運転モードとして含む場合は、固体酸化物形燃料電池セルを用いてもよい。発電に使用されなかった燃料ガスおよび空気は、燃料電池セルと改質器12との間の燃焼部(空間)において、着火されて燃焼される。この燃焼による熱は、改質器12内における改質反応に利用される。
【0016】
燃料電池モジュール1から排出される排ガスは、第1熱交換器2で、第1熱交換器2内を流れる水等の熱媒または冷媒との間で熱交換される。この際、排ガスに含まれる水分が結露し抽出されて凝縮水が生じる。生じた凝縮水は、凝縮水流路Cを経由して回収され、凝縮水タンク6に貯水される。
【0017】
水分が取り除かれた排ガスは、排ガス流路Eを介して、燃料電池装置の外に排気される。また、凝縮水タンク6に貯水された凝縮水は、改質水流路Rおよび改質水ポンプP1を介して、燃料電池モジュール1内の改質器12に供給され、原燃料ガスの水蒸気改質に利用される。改質器12において、水蒸気改質で生成した燃料ガスは、燃料電池11に供給される。
【0018】
凝縮水タンク6の下部には、タンク排水流路Dが接続されている。タンク排水流路Dの、凝縮水タンク6と反対側の端部には、タンク排水弁V2が設けられている。タンク排水弁V2を開くと、凝縮水タンク6内に貯留された改質水がタンク排水流路Dを介して外部に排水される。
【0019】
タンク排水弁V2を閉じると、タンク排水流路Dからの排水が停止する。本実施形態において、タンク排水弁V2の開閉は手作業で行なうものであり、運転中は、タンク排水弁V2は閉じている。
【0020】
上記のように、凝縮水タンク6内の凝縮水は、燃料電池11において、発電に利用されるために、一定の水量を確保する必要がある。一方で、凝縮水は、排ガスに含まれる水分が凝縮されたものであるから、例えば、第1熱交換器2で排ガスと熱交換する熱媒の温度が比較的高いと、排ガスの冷却が不十分で水分が十分に凝縮されない場合がある。一定の水量が確保できなくなった場合であっても、発電を停止することなく、継続するには、不足分の水を外部から補水すればよい。補水タンク7は、外部からの水を貯水するとともに、貯水した水を凝縮水タンク6に給水する。
【0021】
給水流路S1は、補水タンク7へ外部からの水を給水する給水元と補水タンク7とを接続する。燃料電池装置100の運転開始時には、原燃料ガスの水蒸気改質を行なうために、給水流路S1を用いて、給水元から改質水を補水タンク7に給水する。
【0022】
給水元は、例えば、上水道であってもよい。給水流路S1の給水元側端部には、上水弁V1が設けられている。この上水弁V1を開くと、給水元の上水道から給水流路S1に水道水が供給され、上水弁V1を閉じると、水道水の供給が停止される。本実施形態において、上水弁V1の開閉は手作業で行なうものであり、運転中は、上水弁V1は開いている。
【0023】
給水流路S1の、補水タンク7と上水弁V1との間には、補水弁Vsが設けられている。上水弁V1が開いた状態で、補水弁Vsを開くと、給水流路S1を流過した水道水が補水タンク7に供給される。補水弁Vsを閉じると、補水弁Vsで水道水の流過が停止する。
【0024】
補水弁Vsは、例えば電磁弁などで構成されており、制御装置30から出力された電気信号に応じて開閉される。運転中、水道水を補水タンク7へ供給する必要が無い場合は、補水弁Vsは、閉じるように制御されている。なお、補水弁Vsを駆動するとは開閉弁操作のことを言い、補水弁Vsの駆動を停止するとは閉弁操作のことを言う。
【0025】
補水タンク7と凝縮水タンク6とは、補水流路S2で接続されており、補水タンク7に貯留された水が、補水流路S2を流過して、凝縮水タンク6内に流れ込む。なお、本実施形態では、補水流路S2は、タンク排水流路Dに分岐するように接続されている。また、補水タンク7と凝縮水タンク6とは、補水タンク7の上限水位が、凝縮水タンク6の上限水位よりも上方となるように配置されている。ここで、各タンクの上限水位とは、各タンクのオーバーフローの高さ位置によって決まる。なお、補水タンク7と凝縮水タンク6とは、鉛直方向に上下に並んで配置されている必要はなく、上限水位の高さ位置が上記のとおりであれば、水平方向にずれた位置であってもよい。
【0026】
補水タンク7と凝縮水タンク6とが、このような高さ位置であれば、補水タンク7内の水は、自重によって補水流路S2を流過して凝縮水タンク6内へと流れるので、ポンプなど水を強制的に凝縮水タンク6へと流す構成が不要である。本実施形態では、補水タンク7内に給水されると、補水流路S2からタンク排水流路Dに流れ、タンク排水流路Dのタンク排水弁V2が閉じているので、補水タンク7内の水位が上昇し、タンク排水流路Dから凝縮水タンク6内に流れ込み、補水される。また、タンク排水弁V2を開くと、凝縮水タンク6内の水と補水タンク7内の水がタンク排水流路Dを介して外部に排水される。
【0027】
補水タンク7は、その内部にイオン交換樹脂7aを備える。例えば、イオン交換樹脂7aによって、補水タンク7に流入される水道水に含まれる不純物を除去することができる。イオン交換樹脂7aは、例えば、水道水の不純物を除去するにあたり、一般的に利用される粒状のイオン交換樹脂を用いることができる。給水流路S1は、例えば、補水タンク7の上部に接続され、給水流路S1から流出した水は、上部から補水タンク7内に流れ落ちる。流れ落ちた水は、イオン交換樹脂7aと接触しながら補水タンク7の下方へと移動する。補水流路S2は、例えば、補水タンク7の下部に接続され、イオン交換樹脂7aとの接触によって不純物が除去された水が、補水流路S2に流入する。
【0028】
凝縮水タンク6は、補水タンク7と同様に、イオン交換樹脂6aを備える。後述のように、燃料電池モジュール1での発電には酸素含有ガスとして外気が用いられる。燃料電池モジュール1から排出される排ガスには、外気中の成分の他、上記燃焼部の燃焼によって生成した成分(例えば、二酸化炭素など)が含まれる可能性があるため、第1熱交換器2で排ガスから生じた凝縮水もイオン交換樹脂6aによって不純物を除去したのち、改質器12に供給している。
【0029】
本実施形態では、凝縮水タンク6は、内容器6bを備えており、内容器6b内にイオン交換樹脂6aが収容される。凝縮水流路Cが、凝縮水タンク6の上部に接続され、凝縮水流路Cから流出した水は、上部から内容器6b内に流れ落ちる。流れ落ちた水は、イオン交換樹脂6aと接触しながら内容器6bの下方へと移動し、内容器6b下部の開口から流出して凝縮水タンク6内に貯留される。一方、凝縮水タンク6には、補水タンク7から補水されるが、この水は、補水タンク7でイオン交換樹脂7aに接触済みであるので、内容器6bではなく、凝縮水タンク6内に直接流入している。凝縮水タンク6が備えるイオン交換樹脂6aは、補水される水を処理する必要はなく、凝縮水流路Cを流過して流れ込む凝縮水のみを処理すればよいので、比較的少量を備えるだけでよい。
【0030】
凝縮水タンク6内のイオン交換樹脂6aで不純物除去された凝縮水と、補水タンク7で不純物除去されて凝縮水タンク6内に補水された水とは、凝縮水タンク6内で混合されて、改質水流路Rおよび改質水ポンプP1を介して、燃料電池モジュール1内の改質器12に供給される。
【0031】
前述のように、補水タンク7内の水は、自重で凝縮水タンク6へと流れ出すので、補水が不要な期間が続いた場合に、補水タンク7内に外部からの水が給水されず、イオン交換樹脂7aが乾燥してしまい、樹脂が変性して特性が劣化するおそれがある。燃料電池装置100は、補水タンク7内のイオン交換樹脂7aの特性劣化を抑制するために、補水が不要な場合、すなわち、一定量の凝縮水の量を確保できている場合であっても、補水弁Vsを一定期間ごとに強制的に駆動させて、補水タンク7内に外部からの水を給水して、イオン交換樹脂7aの乾燥を抑制することができる。この場合、補水弁Vsは、イオン交換樹脂7aの乾燥を抑制できるように駆動させればよい。例えば、補水弁Vsの開閉を複数回繰り返して行えばよい。
【0032】
燃料電池モジュール1での発電に用いられる空気は、ブロアB2と空気流路である配管Fとを含む空気供給装置13によって燃料電池11に導入される。原燃料ガスは、燃料ガスポンプB1と原燃料ガス流路である配管Gとを介して、改質水流路Rを経由した改質水とともに、改質器12に導入される。
【0033】
燃料電池装置100は、発電および給湯などを行なう場合に必要となる各種の構成をさらに備えていてもよい。上記に示した各構成は、一例であって、後述の水抜き制御に必要な構成以外は、任意の構成である。
【0034】
燃料電池装置100は、前述の燃料電池モジュール1等の他、その発電運転を補助する補機として、パワーコンディショナ20、制御装置30、表示装置や操作パネルを含む操作基板40等を備える。そして、燃料電池装置100は、例えば、
図2に示すような、各フレーム51と各外装パネル52とからなるケース50の中に配設されている。
【0035】
そして、燃料電池装置100は、以下に詳細に述べるように、種々の機能を実行するための制御および処理能力を提供するために、少なくとも1つのプロセッサおよび記憶装置等を含む制御装置30を備える。
【0036】
種々の実施形態によれば、少なくとも1つのプロセッサは、単一の集積回路として、または、複数の通信可能に接続された集積回路および/もしくはディスクリート回路として、実行されてもよい。少なくとも1つのプロセッサは、種々の既知の技術にしたがって実行されることが可能である。
【0037】
1つの実施形態において、プロセッサは、たとえば、関連するメモリに記憶された指示を実行することによって1以上のデータ計算手続または処理を実行するように構成された、1以上の回路またはユニットを含む。他の実施形態において、プロセッサは、1以上のデータ計算手続きまたは処理を実行するように構成された、ファームウェア、たとえばディスクリートロジックコンポーネントであってもよい。
【0038】
種々の実施形態によれば、プロセッサは、1以上のプロセッサ、コントローラ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路、デジタル信号処理部、プログラマブルロジックデバイス、フィールドプログラマブルゲートアレイ、または、これらのデバイスもしくは構成の任意の組み合わせ、または、他の既知のデバイスおよび構成の組み合わせ、を含み、以下に説明される機能を実行してもよい。
【0039】
制御装置30は、記憶装置および表示装置(ともに図示省略)と、燃料電池装置100を構成する各種構成部品および各種センサとに接続され、これらの各機能部をはじめとして、燃料電池装置100の全体を制御および管理する。制御装置30は、それに付属する記憶装置に記憶されているプログラムを取得して、このプログラムを実行することにより、燃料電池装置100の各部にかかる、種々の機能を実現する。
【0040】
制御装置30から、他の機能部または装置に制御信号または各種の情報などを送信する場合、制御装置30と他の機能部とは、有線または無線により接続されていればよい。制御装置30が行なう本実施形態に特徴的な制御については、後記で説明する。なお、図では、制御装置30と、燃料電池を構成する各装置および各センサとを結ぶ接続線の図示を、省略している場合がある。
【0041】
図示しない記憶装置は、プログラムおよびデータを記憶できる。記憶装置は、処理結果を一時的に記憶する作業領域としても利用してもよい。記憶装置は、記録媒体を含む。記録媒体は、半導体記憶媒体、および磁気記憶媒体等の任意の非一時的(non-transitory)な記憶媒体を含んでよい。
【0042】
また、記憶装置は、複数の種類の記憶媒体を含んでいてもよい。記憶装置は、メモリカード、光ディスク、または光磁気ディスク等の可搬の記憶媒体と、記憶の読み取り装置との組合せを含んでいてもよい。記憶装置は、RAM(Random Access Memory)等の一時的な記憶領域として利用される記憶デバイスを含んでいてもよい。
【0043】
なお、燃料電池装置の制御装置30および記憶装置は、燃料電池装置100の外部に有する構成として実現することもできる。さらに、本開示に係る制御装置30における特徴的な制御工程を含む制御方法として実現したり、上記工程をコンピュータに実行させるための制御プログラムとして実現したりすることも可能である。
【0044】
燃料電池装置100は、停止モードを実行して発電を停止させた後に、水抜きモードが実行可能である。水抜きモードはメンテナンス作業員が操作基板40にて実行を指示する。なお、ユーザによる水抜きが許容される場合は、ユーザ宅に設けられている、燃料電池装置と通信を行なうリモコン(図示せず)にて水抜きを実行してもよい。燃料電池装置100を停止した場合には、装置内で水が流動せず、発電による装置内の温度上昇も無いので、装置内に残留する水が凍結するおそれがある。凍結による配管などの破損を防ぐ目的で、水抜きモードを実行可能としている。
【0045】
メンテナンス作業者は水抜きモードを指示後、手作業により、上水弁V1を閉じ、タンク排水弁V2を開く。凝縮水タンク6内の水は、タンク排水流路Dを介してタンク排水弁V2から排水される。また、前述のように、補水タンク7内の水も、補水流路S2からタンク排水流路Dに流れ、タンク排水弁V2から排水される。
【0046】
水抜きモードを実行したのち、燃料電池装置100を再起動させるときに、水張りモードが実行可能である。水張りモードはメンテナンス作業員が操作基板40にて実行を指示する。なお、ユーザによる水張りが許容される場合は、リモコンにて水張りを実行してもよい。メンテナンス作業者は水張りモードを指示後、手作業により、タンク排水弁V2を閉じ、上水弁V1を開く。補水弁Vsは、制御装置30の指示により開状態となる。前述の補水と同様に、水道水が補水タンク7を経由して凝縮水タンク6に水が補給され、発電に必要な水量が補給されると、補水弁Vsが、制御装置30の指示により閉状態となって水張りモードを終了する。
【0047】
図4は、給水制御を示すフローチャートである。フローチャートでは、「ステップ」を〔S〕と略称するとともに、チャート内においては、判断制御における「肯定」を[YES]で、「否定」を[NO]で表している。本フローチャートで示される給水制御は、補水タンク7内のイオン交換樹脂7aの乾燥を抑制するための給水制御であって、補水のための給水制御とは、独立して実行される。
【0048】
燃料電池装置100が、起動すると、本実施形態の給水制御がスタートする。〔S1〕において、制御装置30は、所定の期間が経過したかを判断する。所定の期間は、例えば、最後に補水弁Vsを駆動させてからの経過時間と比較して判断すればよい。所定の期間は、イオン交換樹脂7aの種類や量、補水タンク7の大きさに基づいて、適宜設定することができる。所定の期間は、例えば1月~3年の間で適宜設定できる。
【0049】
〔S1〕にて、所定の期間が経過していない[NO]の場合には、再度〔S1〕に戻り、所定の期間が経過するまでループする。
【0050】
〔S1〕にて、所定の期間が経過した[YES]の場合は、〔S2〕に進み、補水タンク7のイオン交換樹脂7aが破過していないか否かを判断する。イオン交換樹脂が破過したか否かの判定は、例えば、給水流路S2もしくは補水タンク7に伝導度計を設けて、水の伝導度にて判定するほか、イオン交換樹脂の交換寿命を判定するなど、各種方法にて判定することができる。
【0051】
イオン交換樹脂7aが破過していると判定された[NO]の場合には、〔S3〕に進みイオン交換樹脂を交換するとともに、経過時間のカウントをリセットし、〔S1〕に戻る。なおこの場合、メンテナンスのエラーが発報される。なお〔S1〕に戻る前に、補水タンク7に補水し、交換した新たなイオン交換樹脂7aを水に浸漬させることができる。イオン交換樹脂7aが交換されたか否かは、メンテナンスのエラーが解除されたことで、イオン交換樹脂7aの交換が完了したものとみなすことができる。
【0052】
イオン交換樹脂7aが破過していない[YES]の場合、〔S4〕に進み、燃料電池装置100において他のエラーが発生していないかを判断する。ここでエラーが発生している[NO]の場合には、〔S5〕に進み、エラーが解除されるまで待機し、エラーが解除された後に、〔S1〕に戻ることができる。なお、発生しているエラーの種類によっては、一旦本フローを終了させ、燃料電池装置100が再度稼動した場合に、本フローを再スタートさせることもできる。
【0053】
続いて、他のエラーが生じていない[YES]の場合には、〔S6〕に進み、補水の供給が可能か否かを判断する。補水の供給が不可[NO]の場合は、〔S7〕に進み、補水の供給が可能となるまで待機し、補水の供給が可能となった後に、〔S1〕に戻ることができる。なお補水の供給が不可の場合とは、例えば他の制御フローによって、水の供給が禁止されている場合などが例示できる。
【0054】
続いて、補水の供給が可能な[YES]の場合には、〔S8〕に進み、補水弁Vsを開閉駆動する。この開閉駆動によって、補水タンク7に水道水が補給され、イオン交換樹脂7aの乾燥が抑制される。
【0055】
続いて、〔S9〕に進み、補水弁Vsを開閉駆動した回数(N)が、所定の回数(N1)に達したか否かを判断する。N1に達していない[NO]の場合、〔S8〕に戻って補水弁Vsを開閉駆動する。N1に達している[YES]の場合、経過時間のカウントをリセットしたのち〔S1〕に戻る。
【0056】
〔S8〕における補水弁Vsの開閉駆動および開閉駆動の繰返し回数(N1)は、イオン交換樹脂7aの乾燥が抑制されるように設定されればよい。
【0057】
以上、本開示について詳細に説明したが、本開示は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更、改良等が可能である。
【0058】
例えば、上述のフローチャートにおいて、〔S6〕の補水の供給が可能か否かの判断に代えて、凝縮水タンク6や補水タンク7の水抜きが指示されているか否かの判断とすることもできる。この場合、凝縮水タンク6や補水タンク7の水抜きが指示されている場合には、経過時間のカウントをリセットするとともに、各タンクの水張りを完了させた後、〔S1〕に戻ることもできる。
【符号の説明】
【0059】
1 燃料電池モジュール
2 第1熱交換器
6 凝縮水タンク
6a イオン交換樹脂
7 補水タンク
7a イオン交換樹脂
11 燃料電池
12 改質器
30 制御装置
100 燃料電池装置