(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-05
(45)【発行日】2024-02-14
(54)【発明の名称】被探索装置及び探索システム
(51)【国際特許分類】
H04B 1/401 20150101AFI20240206BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20240206BHJP
G08B 25/10 20060101ALI20240206BHJP
G08B 21/24 20060101ALI20240206BHJP
H04B 1/04 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
H04B1/401
G08B25/00 510K
G08B25/10 D
G08B21/24
H04B1/04 E
(21)【出願番号】P 2019166397
(22)【出願日】2019-09-12
【審査請求日】2022-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000000309
【氏名又は名称】IDEC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 貴人
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-109669(JP,A)
【文献】特開2011-176575(JP,A)
【文献】特開2008-278308(JP,A)
【文献】特開2002-047839(JP,A)
【文献】特開2003-323682(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/401
G08B 25/00
G08B 25/10
G08B 21/24
H04B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常モードと、探索モードとを有し、探索装置により探索可能な被探索装置であって、
前記被探索装置に内蔵され、前記被探索装置において消費される電力を供給可能な電池と、
前記電池の残量を検出する電池残量検出部と、
前記被探索装置の存在を前記探索装置に報知するための報知信号を送信可能な送信部と、
前記探索モードにおいて、前記電池残量検出部により検出された前記電池の残量に応じて複数の送信手法を使い分けて、前記送信部により前記報知信号を送信する送信制御を実行する制御部と、を具備し、
前記複数の送信手法各々を使用して、同一時間、前記制御部により前記送信制御を実行した場合、前記電池の消費電力量が異な
り、
前記制御部は、前記通常モードから前記探索モードへ移行した後に前記報知信号の送信を開始し、前記電池の残量が低下するに従って、前記電池の消費電力量が小さい前記送信手法を使用して前記送信制御を実行する、被探索装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記電池の残量が低下するに従って、前記報知信号の送信強度を弱く設定すること又は前記報知信号の送信間隔を長く設定することのうちの少なくとも一つを実行する、請求項
1に記載の被探索装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記電池の残量が所定の閾値以上である場合、前記被探索装置及び前記探索装置の間の双方向通信を実行し、
前記電池の残量が所定の閾値未満である場合、前記被探索装置から前記探索装置への片方向通信を実行する、
請求項
1に記載の被探索装置。
【請求項4】
前記探索装置から送信される指示信号を受信可能な受信部と、
前記被探索装置の周囲に対して前記被探索装置の存在を報知可能な被探索側報知部と、をさらに具備し、
前記制御部は、前記電池の残量が前記双方向通信を実行する目安となる前記所定の閾値以上である場合であって、前記受信部による前記指示信号の受信を契機として、前記被探索側報知部により前記被探索装置の周囲に対して前記被探索装置の存在を認知させる認知制御を実行する、請求項
3に記載の被探索装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記電池の残量が前記片方向通信を実行する目安となる前記所定の閾値未満である場合であって、前記探索装置が前記指示信号を送信した場合、前記探索装置から送信された前記指示信号を受容せず、前記認知制御を実行しない、請求項
4に記載の被探索装置。
【請求項6】
前記被探索装置は、情報保有体に保持された情報を読み取る情報読取機能を備えるハンディターミナルである、請求項1から請求項
5のいずれか一項に記載の被探索装置。
【請求項7】
通常モードと、探索モードとを有する被探索装置と、前記被探索装置を探索可能な探索装置とを含む探索システムにおいて、
前記被探索装置は、
前記被探索装置に内蔵され、前記被探索装置において消費される電力を供給可能な電池と、
前記電池の残量を検出する電池残量検出部と、
前記被探索装置の存在を前記探索装置に報知するための報知信号を送信可能な被探索側送信部と、
前記探索モードにおいて、前記電池残量検出部により検出された前記電池の残量に応じて複数の送信手法を使い分けて、前記被探索側送信部により前記報知信号を送信する送信制御を実行する制御部と、を具備し、
前記複数の送信手法各々を使用して、同一時間、前記制御部により前記送信制御を実行した場合、前記電池の消費電力量が異なり、
前記制御部は、前記通常モードから前記探索モードへ移行した後に前記報知信号の送信を開始し、前記電池の残量が低下するに従って、前記電池の消費電力量が小さい前記送信手法を使用して前記送信制御を実行し、
前記探索装置は、
前記報知信号を受信可能な探索側受信部と、
前記探索側受信部により前記報知信号を受信したことを報知可能な探索側報知部と、
を具備する、探索システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被探索装置及び探索システムに関する。
【背景技術】
【0002】
情報保有体に保持された情報を読み取る情報読取装置は、物流及び流通等の各分野における業務において広く用いられている。近年では、上記情報読取装置として、小型軽量のハンディターミナルが利用されており、上記各分野における物流倉庫や工場に勤務する従業員(ユーザ)により利用されている。
【0003】
ところで、上記物流倉庫や工場の敷地は広大であり、かつ従業員がハンディターミナルを携帯しながら業務を遂行するため、ハンディターミナルの置き忘れ及び紛失が発生するという問題がある。一般には、下記特許文献1のように、近距離無線通信技術を備える複数の装置間において相互通信を実行して、一方の装置から他方の装置を探索可能とすることで、装置の置き忘れ及び紛失を防止している。
【0004】
しかしながら、上記ハンディターミナルは、ハンディターミナルに内蔵される電池で駆動することを前提としているため、下記特許文献1に記載される技術を適用した場合であって、電池が切れた場合にはハンディターミナルの探索を実施できないという問題がある。このため、ハンディターミナルにおける電池の消費をできる限り抑制して、電池を長持ちさせることが求められている。また、広大な敷地を有する物流倉庫や工場において、小型軽量のハンディターミナルを探索することは困難であるため、上述のように、電池を長持ちさせると共に、ハンディターミナルの探索を容易にする施策を講じることも求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、その目的とするところは、電池残量に応じて複数の送信手法を使い分けることで、電池残量に合わせた最適な送信制御を行うことができる被探索装置及び探索システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本実施形態に係る被探索装置は、通常モードと、探索モードとを有し、探索装置により探索可能な被探索装置であって、前記被探索装置に内蔵され、前記被探索装置において消費される電力を供給可能な電池と、前記電池の残量を検出する電池残量検出部と、前記被探索装置の存在を前記探索装置に報知するための報知信号を送信可能な送信部と、前記探索モードにおいて、前記電池残量検出部により検出された前記電池の残量に応じて複数の送信手法を使い分けて、前記送信部により前記報知信号を送信する送信制御を実行する制御部と、を具備し、前記複数の送信手法各々を使用して、同一時間、前記制御部により前記送信制御を実行した場合、前記電池の消費電力量が異なる。
【0008】
また、上記目的を達成するため、本実施形態に係る探索システムは、通常モードと、探索モードとを有する被探索装置と、前記被探索装置を探索可能な探索装置とを含む探索システムにおいて、前記被探索装置は、前記被探索装置に内蔵され、前記被探索装置において消費される電力を供給可能な電池と、前記電池の残量を検出する電池残量検出部と、前記被探索装置の存在を前記探索装置に報知するための報知信号を送信可能な被探索側送信部と、前記探索モードにおいて、前記電池残量検出部により検出された前記電池の残量に応じて複数の送信手法を使い分けて、前記被探索側送信部により前記報知信号を送信する送信制御を実行する制御部と、を具備し、前記複数の送信手法各々を使用して、同一時間、前記制御部により前記送信制御を実行した場合、前記電池の消費電力量が異なり、前記探索装置は、前記報知信号を受信可能な探索側受信部と、前記探索側受信部により前記報知信号を受信したことを報知可能な探索側報知部と、を具備する。
【発明の効果】
【0009】
本実施形態に係る探索システム及び被探索装置は、電気残量に応じて複数の送信手法を使い分けることで、電池残量に合わせた最適な送信制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係る探索システムを示す概略図である。
【
図2】本実施形態における被探索装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態における探索装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】
図1に示す探索システムの被探索装置及び探索装置における、探索モード移行後の処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図5】
図2に示す送受信部から送信される報知信号を示す図である。
【
図6】
図2に示す記憶部に記憶される、電池の残量に関連付けられた報知信号の送信設定及び通信方法を示すテーブルの一例を示す図である。
【
図7】
図2に示す被探索装置の探索に特化した探索装置の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態に係る被探索装置及び探索システムについて、図面を参照して説明する。なお、本実施形態は以下に説明する内容に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において任意に変更して実施することが可能である。また、実施形態の説明に用いる図面は、いずれも構成部材を模式的に示すものであって、理解を深めるべく部分的な強調、拡大、縮小、又は省略などを行っており、構成部材の縮尺や形状等を正確に表すものとはなっていない場合がある。
【0012】
図1は、本実施形態に係る探索システム1を示す概略図である。
図1に示すように、本実施形態に係る探索システム1は、被探索装置2及び探索装置3により構成され、物流及び流通等の各分野における物流倉庫又は工場等の建屋4において使用される。探索システム1は、被探索装置2の置き忘れ又は紛失が発生した場合に、上記探索装置3を使用して被探索装置2を探索可能とするシステムである。
【0013】
なお、本実施形態における被探索装置2及び探索装置3は、一次元シンボル、二次元シンボル、光学文字・記号(OCR)又は非接触ICタグ等の情報保有体に保持された情報を読み取る情報読取機能を備えるハンディターミナルを想定している。すなわち、本実施形態に係る探索システム1において、被探索装置2及び探索装置3は、略一致する構成を備えている。本実施形態に係る探索システム1には、所定の条件に応じて、被探索装置2として機能するハンディターミナル及び探索装置3として機能するハンディターミナルが含まれる。
【0014】
例えば、上記ハンディターミナルは、建屋4内において、ユーザがハンディターミナルを置き忘れる又は紛失することにより当該ユーザからの入力操作が所定の時間以上実施されない場合に、被探索装置2として機能する。このとき、被探索装置2として機能するハンディターミナルは、通常モードから探索モードへ移行する。また、被探索装置2として機能するハンディターミナルは、当該ユーザからの入力操作を受信した場合に、探索モードから通常モードへ移行する。ここで、通常モードは、ユーザからの入力操作に応じて上記ハンディターミナルとしての機能を作動させるモードである。探索モードは、報知信号を送信することで、自身が探索対象であることを知らせるモードである。なお、上記ハンディターミナルは、建屋4内における当該ハンディターミナルの保管場所等、所定のエリアに存在する場合には、ユーザからの入力操作が所定の時間以上実施されない場合であっても、通常モードから探索モードへ移行しない。また、後段において説明するように、上記ハンディターミナルは、上記報知信号を受信した場合に、探索装置3として機能する。
【0015】
ここで、本実施形態における被探索装置2及び探索装置3の構成について、
図2及び
図3を参照して説明する。
図2は、本実施形態における被探索装置2の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、本実施形態における被探索装置2は、例えば、情報読取部21、電池22、電池残量検出部23、送受信部24-1、アンテナ24-2、入力部25、報知部(被探索側報知部)26、記憶部27及び制御部28を備えている。
【0016】
情報読取部21は、情報保有体に保持された情報を読み取るための構成を有する。例えば、上記情報保有体が一次元シンボル、二次元シンボル又は光学文字・記号(OCR)である場合、本実施形態における情報読取部21は、例えば、図示しない光学レンズ、CMOSセンサ、照明、レーザ光照射器及び撮像制御部を有する。また、上記情報保有体が非接触ICタグである場合、本実施形態における情報読取部21は、例えば、図示しないアンテナ及び当該アンテナにおける信号の送受信を制御する制御回路を有する。
【0017】
電池22は、被探索装置2に内蔵され、当該被探索装置2において消費される電力を供給可能である。本実施形態における電池22は、一次電池又は二次電池を想定しているが、スーパーコンデンサ又はコンデンサ等も当該電池22に含まれる。電池残量検出部23は、電池22の残量を検出する。本実施形態における電池残量検出部23は、例えば、上記電池22から出力される電圧を検出することで、電池22の残量を検出可能である。電池残量検出部23は、電池22の残量に関する情報を制御部28へ送信する。なお、電池残量検出部23は、上記電池22が二次電池である場合、上記電圧を検出することで電池22の残量を検出する手法の他にも、電池残量の検出にクーロン・カウンタ方式、セル・モデル方式、インピーダンス・トラック方式等の検出手法を用いて電池22の残量を検出してもよい。
【0018】
送受信部24-1は、被探索装置2の存在を探索装置3に報知するための報知信号を、アンテナ24-2を介して送信可能である。すなわち、送受信部24-1は、被探索装置2における送信部(被探索側送信部)として機能する。また、送受信部24-1は、上記探索装置3から送信される指示信号を、アンテナ24-2を介して受信可能である。すなわち、送受信部24-1は、被探索装置2における受信部として機能する。ここで、本実施形態における送受信部24-1は、単に信号を送受信可能な送受信機、Bluetooth(登録商標)若しくはWiFi(登録商標)等の近距離での相互通信を可能とする近距離無線通信又はLTE、CDMA若しくはWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)等の無線通信のように、一般に知られている送受信(通信)方式により信号を送受信可能である。
【0019】
入力部25は、ユーザからの入力操作を電気信号へ変換し制御部28へ送信する。本実施形態における入力部25は、例えば、数字キー及びファンクションキー用の英数字を入力可能なスイッチ、タッチパネル、並びに音声及びジェスチャを検出可能なセンサにより構成される。ユーザは、報知部(被探索側報知部)26に表示された操作案内に従った指示及び情報を、入力部25を介して入力する。
【0020】
報知部(被探索側報知部)26は、制御部28による制御の下、種々のデータを表示する。例えば、報知部26は、被探索装置2の操作案内及び当該データを表示する。また、報知部26は、制御部28から出力された情報保有体の読み取り結果を表示する。また、報知部26は、制御部28による制御の下、被探索装置2の周囲に対して被探索装置2の存在を報知可能な機器が含まれている。例えば、報知部26には、被探索装置2の存在を報知可能な機器として、図示しない発光機器、振動機器及び音声処理機器が含まれる。発光機器は、被探索装置2に搭載されたLED等のインジケータであり、制御部28による制御の下、発光する。振動機器は、被探索装置2に搭載されたバイブレータであり、制御部28による制御の下、振動する。音声処理機器は、マイク及びスピーカに接続され、各種音声処理(例えば音声データに対するデジタル処理)を実行する。マイクは外部の音を取得し、スピーカは外部へ音を出力する。
【0021】
記憶部27は、メモリ(例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性RAM)、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等のデータを記憶可能な媒体を含む。例えば、本実施形態における記憶部27は、被探索装置2に関する機器情報(状態情報)を記憶する。ここで、上記機器情報には、電池22から出力される電圧値、後述するタイマを基準とする被探索装置2の無操作期間、電界強度及び被探索装置2の装置ID等の情報が含まれている。なお、記憶部27の保存領域は、被探索装置2内にあってもよいし、送受信部24-1及びアンテナ24-2を介して接続される外部記憶装置(図示せず)にあってもよい。
【0022】
制御部28は、被探索装置2の統括的な制御を実行するための制御装置である。本実施形態における制御部28は、ハードウェア資源として、入出力インタフェース装置、メモリ、所定のプロセッサ及びタイマを含む。例えば、本実施形態における制御部28は、上記通常モードにおいて、上記入力部25を介したユーザからの入力操作に応じて、ハンディターミナルとしての機能を作動させる通常制御を実行する。
【0023】
また、本実施形態における制御部28は、上記探索モードにおいて、電池残量検出部23により検出された電池22の残量に応じて複数の送信手法を使い分けて、送受信部24-1により上記報知信号を送信する送信制御を実行する。ここで、上記複数の送信手法各々を使用して、同一時間、制御部28により送信制御を実行した場合、電池22の消費電力量が異なる。例えば、制御部28は、電池22の残量が低下するに従って、電池22の消費電力量が小さい送信手法を使用して、送信制御を実行する。
【0024】
図3は、本実施形態における探索装置3の構成を示すブロック図である。
図3に示すように、本実施形態における探索装置3は、例えば、情報読取部31、電池32、電池残量検出部33、送受信部34-1、アンテナ34-2、入力部35、報知部(探索側報知部)36、記憶部37及び制御部38を備えている。なお、本実施形態に係る探索システム1において、被探索装置2及び探索装置3は、略一致する構成を備えている。このため、以降の探索装置3に関する説明において、探索装置3と被探索装置2とで特に異なる部分(送受信部34-1及び報知部(探索側報知部)36)について詳しく記載する。
【0025】
送受信部34-1は、上記報知信号を、アンテナ34-2を介して受信可能である。すなわち、送受信部34-1は、探索装置3における受信部(探索側受信部)として機能する。また、送受信部34-1は、上記指示信号を、アンテナ34-2を介して上記報知信号を送信した被探索装置2へ送信可能である。すなわち、送受信部34-1は、探索装置3における送信部として機能する。ここで、本実施形態における送受信部34-1は、送受信部24-1と同様に、単に信号を送受信可能な送受信機、Bluetooth(登録商標)若しくはWiFi(登録商標)等の近距離での相互通信を可能とする近距離無線通信又はLTE、CDMA若しくはWiMAX等の無線通信のように、一般に知られている送受信(通信)方式により信号を送受信可能である。
【0026】
報知部(探索側報知部)36は、制御部38による制御の下、種々のデータを表示する。例えば、報知部36は、送受信部34-1により上記報知信号を受信したことを報知可能である。
【0027】
次に、本実施形態に係る探索システム1の被探索装置2及び探索装置3において実行される各演算処理について、
図4から
図6を参照して説明する。
図4は、
図1に示す探索システム1の被探索装置2及び探索装置3における、探索モード移行後の処理の流れを示すシーケンス図である。
【0028】
まず、
図4に示すように、被探索装置2は、上記入力部25を介したユーザからの入力操作が所定の時間以上実施されない場合に、通常モードから探索モードへ移行する(ステップS1)。例えば、被探索装置2は、上記ユーザからの入力操作が所定の時間以上実施されないことにより、所定の時間経過後に自動で電源がオフになること(オートパワーオフ)を契機として、通常モードから探索モードへ移行する。
【0029】
ステップS1の終了後、被探索装置2は、送受信部24-1により、被探索装置2の存在を探索装置3に報知するための報知信号を、アンテナ24-2を介して送信する(ステップS2)。このとき、被探索装置2の制御部28は、電池残量検出部23により検出された電池22の残量に応じて複数の送信手法を使い分けて、送受信部24-1により報知信号を送信する送信制御を実行する。被探索装置2の制御部28は、例えば、複数の送信手法各々を使用する場合において、
図5に示すように、上記報知信号の送信強度又は送信間隔のうちの少なくとも一つを変更しながら、送信制御を実行する。具体的には、被探索装置2の制御部28は、電池22の残量が低下するに従って、上記報知信号の送信強度を弱く設定すること又は報知信号の送信間隔を長く設定することのうちの少なくとも一つを実行する。
【0030】
図6は、記憶部27に記憶される、電池22の残量に関連付けられた報知信号の送信設定及び通信方法を示すテーブルの一例を示す図である。被探索装置2の制御部28は、
図6に示すテーブルに従って、電池22の残量が30%未満である場合に、電池22の残量が30%以上である場合の送信設定と比較して、上記報知信号の送信強度を弱く設定すること又は報知信号の送信間隔を長く設定することのうちの少なくとも一つを実行する。これにより、本実施形態に係る探索システム1及び被探索装置2は、上記報知信号の有効範囲又は送信頻度が低下するため、探索装置3による被探索装置2の検出率が低下するものの、電池22の消費電力量も低下するため、電池22を長持ちさせることができる。
【0031】
ステップS2の終了後、探索装置3は、送受信部34-1により上記報知信号が受信されたか否かを判定する(ステップS3)。送受信部34-1により上記報知信号が受信された場合(ステップS3のYes)、探索装置3は、上記報知信号を受信したことを探索装置3のユーザに報知する(ステップS4)。ステップS4の終了後、探索装置3は、送受信部34-1により指示信号を被探索装置2へ送信する(ステップS5)。送受信部34-1により上記報知信号が受信されていない場合(ステップS3のNo)、探索装置3は、ステップS3の処理を繰り返す。
【0032】
ステップS5の終了後、被探索装置2は、探索装置3の送受信部34-1から送信された上記指示信号を、アンテナ24-2を介して送受信部24-1により受信する(ステップS6)。ステップS6の終了後、被探索装置2は、制御部28により電池22の残量が所定の閾値未満であるか否かを判定する(ステップS7)。電池22の残量が所定の閾値以上である場合(ステップS7のYes)、被探索装置2の制御部28は、被探索装置2及び探索装置3間の双方向通信を実行する。具体的には、被探索装置2の制御部28は、電池の残量が双方向通信を実行する目安となる所定の閾値以上(例えば、
図6に示すテーブルに記載された電池22の残量が50%以上)である場合であって、送受信部24-1による指示信号の受信を契機として、報知部26により被探索装置2の周囲に対して被探索装置2の存在を認知させる認知制御を実行する。報知部26は、制御部28による認知制御により、図示しない発光機器、振動機器及び音声処理機器を動作させる。これにより、被探索装置2は、被探索装置2の周囲に対して被探索装置2の存在を認知させる(ステップS8)。
【0033】
電池22の残量が所定の閾値未満である場合(ステップS7のNo)、被探索装置2の制御部28は、被探索装置2から探索装置3への片方向通信を実行する。具体的には、制御部28は、電池22の残量が片方向通信を実行する目安となる所定の閾値未満(例えば、
図6に示すテーブルに記載された電池22の残量が50%未満)である場合であって、探索装置3が指示信号を送信した場合、探索装置3から送信された指示信号を受容しない。すなわち、被探索装置2は、上記指示信号を破棄し、上記認知制御を実行しない(ステップS9)。
【0034】
ステップS8又はステップS9の終了後、被探索装置2は、上記探索モードから通常モードへの移行条件を満たすか否かを判定する(ステップS10)。すなわち、被探索装置2の制御部28は、上記入力部25を介した当該ユーザからの入力操作を受信したか否かを判定する。上記探索モードから通常モードへの移行条件を満たす場合(ステップS10のYes)、被探索装置2は、探索モードから通常モードへ移行する(ステップS11)。上記探索モードから通常モードへの移行条件を満たさない場合(ステップS10のNo)、ステップS2へ戻る。ステップS11の終了後、一連の処理を終了する。
【0035】
(総括)
上述の通り、本実施形態に係る探索システム1及び被探索装置2の制御部28は、上記探索モードにおいて、電池残量検出部23により検出された電池22の残量に応じて複数の送信手法を使い分けて、送受信部24-1により報知信号を送信する送信制御を実行する。このとき、複数の送信手法各々を使用して、同一時間送信制御を実行した場合、電池22の消費電力量が異なる。上記構成によれば、本実施形態に係る探索システム1及び被探索装置2は、電池22の残量に応じて複数の送信手法を使い分けることで、電池22の残量に合わせた最適な報知信号の送信を行うことができる。
【0036】
また、本実施形態に係る探索システム1及び被探索装置2の制御部28は、電池22の残量が低下するに従って、電池22の消費電力量が小さい送信手法を使用して、送信制御を実行する。具体的には、本実施形態に係る探索システム1及び被探索装置2の制御部28は、電池22の残量が低下するに従って、報知信号の送信強度を弱く設定すること又は報知信号の送信間隔を長く設定することのうちの少なくとも一つを実行する。これにより、本実施形態に係る探索システム1及び被探索装置2は、電池22の消費電力量が低下するため、電池22を長持ちさせることができる。
【0037】
また、本実施形態に係る探索システム1及び被探索装置2の制御部28は、電池22の残量が所定の閾値以上である場合、被探索装置2及び探索装置3間の双方向通信を実行する。具体的には、本実施形態に係る探索システム1及び被探索装置2の制御部28は、電池22の残量が双方向通信を実行する目安となる所定の閾値以上である場合であって、送受信部24-1による指示信号の受信を契機として、報知部26により被探索装置2の周囲に対して被探索装置2の存在を認知させる認知制御を実行する。これにより、本実施形態に係る探索システム1及び被探索装置2は、探索装置3による探索を容易にすることができる。
【0038】
また、本実施形態に係る探索システム1及び被探索装置2の制御部28は、電池22の残量が所定の閾値未満である場合、被探索装置2から探索装置3への片方向通信を実行する。電池22の残量が片方向通信を実行する目安となる所定の閾値未満である場合であって、探索装置3が指示信号を送信した場合、被探索装置2は、探索装置3から送信された指示信号を受容せず、認知制御を実行しない。これにより、本実施形態に係る探索システム1及び被探索装置2は、図示しない発光機器による発光、振動機器による振動及び音声処理機器による音声出力を実行しない分だけ電池22の消費電力量が低下するため、電池22を長持ちさせることができる。
【0039】
かくして、本実施形態に係る探索システム1及び被探索装置2は、電池残量に応じて複数の送信手法を使い分けることで、電池残量に合わせた最適な送信制御を行うことができる。
【0040】
ここで、本実施形態に係る探索システム1及び被探索装置2は、探索モードに移行すると、無条件に探索装置3へ報知信号を送信している。しかしながら、本実施形態に係る探索システム1及び被探索装置2はこれに限定されない。例えば、本実施形態に係る探索システム1及び被探索装置2は、探索装置3から送信される上記報知信号の送信を要求するための要求信号の受信を契機として、探索装置3へ上記報知信号を送信するようにしてもよい。
【0041】
また、本実施形態における報知信号には、各種情報(例えば、記憶部27に記憶される機器情報、電池残量検出部23により取得された電池22の残量に関する情報又は図示しないGPS受信機により取得される位置情報等の情報)を格納することが可能である。これにより、本実施形態に係る探索システム1の探索装置3は、上記機器情報に基づいて被探索装置2を特定することができる。また、本実施形態に係る探索システム1の探索装置3は、電池22の残量を常に把握することができる。また、本実施形態に係る探索システム1の探索装置3は、上記報知信号に格納された位置情報に基づいて、被探索装置2の位置を把握することができる
【0042】
また、本実施形態に係る探索システム1及び被探索装置2は、電源オフや長期間の放置によって動作電圧以下になった場合も想定し、電力消費を抑制するため、送受信部24-1をスタンドアローンで動作可能とする構成を備えていてもよい。例えば、本実施形態に係る探索システム1及び被探索装置2は、電池22の他に、図示しないサブ電池を設け、送受信部24-1をスタンドアローンで動作させる場合に電池22からサブ電池へ切り替える。これにより、本実施形態における探索装置3は、被探索装置2の電池22が動作電圧以下となった場合であっても、送受信部24-1をスタンドアローンで動作可能であるため、探索を継続することができる。
【0043】
また、本実施形態に係る探索システム1及び被探索装置2は、電源オフや長期間の放置によって動作電圧以下になった場合を想定し、送受信部24-1及びアンテナ24-2を介して、外部装置(例えば、外部サーバ)とデータのやり取りを可能としてもよい。これにより、本実施形態における探索装置3は、被探索装置2の電池22が動作電圧以下になる直前に上記外部装置に送信したデータに基づいて、被探索装置2を探索することができる。
【0044】
なお、本実施形態における探索装置3は、上記構成に限らず、例えば、
図7に示すような、上記被探索装置2の探索に特化した探索装置5であってもよい。また、本実施形態における被探索装置2及び探索装置3は、ハンディターミナルを想定しているが、その他の探索対象となり得る装置(例えば、置き忘れ及び紛失が発生する虞のある機器及び装置全般)であってもよい。また、上記説明において用いた「所定のプロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)及びMPU(Micro Processing Unit)等の専用又は汎用のプロセッサ等を意味する。また、上記本実施形態の各構成要素(各処理部)は、単一のプロセッサに限らず、複数のプロセッサによって実現するようにしてもよい。さらに、複数の構成要素(複数の処理部)を、単一のプロセッサによって実現するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 探索システム
2 被探索装置
3 探索装置
21、31 情報読取部
22、32、52 電池
23、33 電池残量検出部
24-1、34-1、54-1 送受信部
24-2、34-2、54-2 アンテナ
25、35、55 入力部
26、36、56 報知部
27、37 記憶部
28、38、58 制御部