IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サントリーホールディングス株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社タカラトミーアーツの特許一覧

<>
  • 特許-ビール泡立て装置 図1
  • 特許-ビール泡立て装置 図2
  • 特許-ビール泡立て装置 図3
  • 特許-ビール泡立て装置 図4
  • 特許-ビール泡立て装置 図5
  • 特許-ビール泡立て装置 図6
  • 特許-ビール泡立て装置 図7
  • 特許-ビール泡立て装置 図8
  • 特許-ビール泡立て装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-05
(45)【発行日】2024-02-14
(54)【発明の名称】ビール泡立て装置
(51)【国際特許分類】
   B67D 1/08 20060101AFI20240206BHJP
   A47J 43/042 20060101ALI20240206BHJP
   C12H 1/16 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
B67D1/08 Z
A47J43/042
C12H1/16
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019212008
(22)【出願日】2019-11-25
(65)【公開番号】P2021083316
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】595030295
【氏名又は名称】株式会社タカラトミーアーツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福本 匡志
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 博貴
(72)【発明者】
【氏名】廣橋 剛太郎
【審査官】村松 宏紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-156494(JP,A)
【文献】特開2014-150727(JP,A)
【文献】国際公開第2015/5474(WO,A1)
【文献】ビールアワー 極泡 スマートブラック(2019年モデル)、Amazon[online]、取扱日2019年2月27日(2023年12月21日検索),https://amzn.asia./d/bLAPzYp
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12H、B67D、A47J
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面をビール容器の外周面に押し当てた状態で前記ビール容器と一緒に片手で握持可能に構成されたビール泡立て装置であって、
前記ビール容器と一緒に前記ビール泡立て装置を握持した状態で前記ビール容器の前記外周面に超音波振動を伝達する超音波ホーンが取り付けられた超音波振動子と、前記超音波振動子を駆動させるための駆動装置と、前記駆動装置を作動させるための操作スイッチと、が設けられ、
前記ビール泡立て装置の外面には、前記ビール容器と一緒に前記ビール泡立て装置を握持する際に前記ビール泡立て装置に当てられる少なくとも1つの指を受容可能な窪みが形成されている、
ことを特徴とするビール泡立て装置。
【請求項2】
前記操作スイッチは、押しボタンであって前記窪みに設けられ、前記ビール容器と一緒に前記ビール泡立て装置を握持した状態で前記ビール泡立て装置に当てられる指の1つで操作可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載のビール泡立て装置。
【請求項3】
前記超音波ホーンは、前記ビール泡立て装置の内面に露出して設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のビール泡立て装置。
【請求項4】
前記ビール容器は缶長サイズが規格化されたビール缶であり、前記ビール泡立て装置の筐体は、前記超音波振動子、前記超音波ホーン、前記窪み及び前記駆動装置が設けられた本体部分と、前記本体部分に取り付けられ前記本体部分に対して動作する可動部分とを備え、前記可動部分は、缶長サイズが異なるビール缶に対応させて、人為的操作によって、前記本体部分と厚さ方向で重なる重畳位置と使用状態で見た場合に前記本体部分に対して前記ビール缶の底に近付く方向に拡がる展開位置とを取ることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のビール泡立て装置。
【請求項5】
前記ビール泡立て装置の前記内面は、前記ビール容器の前記外周面と相補的形状となるように湾曲していることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のビール泡立て装置。
【請求項6】
前記ビール泡立て装置の前記内面には、弾性材からなる滑り止めが付設されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のビール泡立て装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビール泡立て装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ビール泡立て装置(以下「泡立て装置」と言う。)として、筐体に超音波振動子及び超音波ホーンが設けられ、筐体にグリップが形成され片手で把持及び操作可能に構成された装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この泡立て装置によれば、ビール容器を動かさずに、泡立て装置の方を片手で把持してビール容器に近づけて接触させることでビールを泡立て、遠ざけて非接触とさせることでビールの泡立てを停止させることができる。したがって、ビール容器を装置の所定の場所にセットして泡立てる据置き型の泡立て装置よりも構成が簡素となり、ビールの泡立てが簡便に行えることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4135568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1開示の技術では、例えば、片手で泡立て装置を把持及び操作はできるが、ビール容器内のビールを安定して泡立てるには他方の手で容器を押さえて静止させておく必要がある。また、泡立てたビールを注ぐ際には、泡立て装置をテーブルに置くか、或いは、泡立て装置を片手で持ったまま他方の手でビールを注がなければならなかった。また、泡立てながらビールを注ぐには、泡立て装置とビール容器を持つため両手が必要となり、不便であった。
さらに、ビール容器を静止させて泡立てることから、ビール容器がアルミ缶のように注ぎ口以外の個所で外部から内部が見えないものでは、目視によって泡立て具合を調整するのが難しいという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる問題点に鑑みなされたもので、ビール泡立て装置を持った手で容器をそのまま取り扱うことができるビール泡立て装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の手段は、
内面をビール容器の外周面に押し当てた状態で前記ビール容器と一緒に片手で握持可能に構成されたビール泡立て装置であって、
前記ビール容器と一緒に前記ビール泡立て装置を握持した状態で前記ビール容器の前記外周面に超音波振動を伝達する超音波ホーンが取り付けられた超音波振動子と、前記超音波振動子を駆動させるための駆動装置と、前記駆動装置を作動させるための操作スイッチと、が設けられ、
前記ビール泡立て装置の外面には、前記ビール容器と一緒に前記ビール泡立て装置を握持する際に前記泡立て装置に当てられる少なくとも1つの指を受容可能な窪みが形成されている、
ことを特徴とする。
【0008】
第2の手段は、第1の手段であって、前記操作スイッチは、押しボタンであって前記窪みに設けられ、前記ビール容器と一緒に前記泡立て装置を握持した状態で前記泡立て装置に当てられる指の1つで操作可能に構成されていることを特徴とする。
【0009】
第3の手段は、第1の手段又は第2の手段であって、前記超音波ホーンは、前記泡立て装置の内面に露出して設けられていることを特徴とする。
【0010】
第4の手段は、第1の手段から第3の手段のいずれかであって、前記ビール容器は缶長サイズが規格化されたビール缶であり、前記泡立て装置の筐体は、前記超音波振動子、前記超音波ホーン、前記窪み及び前記駆動装置が設けられた本体部分と、前記本体部分に取り付けられ前記本体部分に対して動作する可動部分とを備え、前記可動部分は、缶長サイズが異なるビール缶に対応させて、人為的操作によって、前記本体部分と厚さ方向で重なる重畳位置と使用状態で見た場合に前記本体部分に対して前記ビール缶の底に近付く方向に拡がる展開位置とを取ることを特徴とする。
【0011】
第5の手段は、第1の手段から第4の手段のいずれかであって、前記泡立て装置の前記内面は、前記ビール容器の前記外周面と相補的形状となるように湾曲していることを特徴とする。
【0012】
第6の手段は、第1の手段から第5の手段のいずれかであって、前記泡立て装置の前記内面には、弾性材からなる滑り止めが付設されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
第1の手段によれば、ビール容器及び泡立て装置を握持して泡立てながらビールを注ぐことができる。また、泡立て装置に当てられる指を親指としたときには、泡立てながらビールをそのまま飲むことができる。そのため、泡立て具合を知ることができ、自分好みに泡立て具合を簡単に調整することができる。
また、少なくとも1つの指を受容可能な窪みが形成されているので、窪みに指を当てることにより、泡立て装置及びビール容器を安定して一緒に握持することができる。
【0014】
第2の手段によれば、泡立て装置及びビール容器を一緒に握持したまま指で操作スイッチを操作することができるので、使い易い泡立て装置が実現できる。
【0015】
第3の手段によれば、超音波ホーンが内面に露出して設けられているので、超音波ホーンをビール容器の所望箇所に簡単に当接させることができる。
【0016】
第4の手段によれば、筐体が縮んだり展開されたりした場合の上下方向の寸法をビール缶の缶長サイズに合わせて適切に設定しておけば、ビール缶の適切な高さ位置に超音波ホーンを簡単に当接させることができる。
【0017】
第5の手段によれば、泡立て装置の内面がビール容器の外周面と相補的形状となっているので、泡立て装置の内面をビール容器の外周面に安定して広い範囲で当接させることができる。
【0018】
第6の手段によれば、泡立て装置の内面に弾性材からなる滑り止めが付設されているので、使用中に泡立て装置が位置ずれするのを防止することができる。また、弾性材から構成されているので、多少缶径サイズの異なるビール容器の場合でも、泡立て装置の内面をビール容器の外周面にしっかりと押し当てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態に係る泡立て装置をレギュラーサイズのビール缶に使用している状態を示した斜視図である。
図2】泡立て装置を示した斜視図である。
図3】泡立て装置の裏面側を示した斜視図である。
図4】泡立て装置の内部を示した斜視図である。
図5】バンドを示した斜視図である。
図6】展開構造を示した斜視図である。
図7】付属品の掛け具を示した斜視図である。
図8】掛け具の使用状態を示した斜視図である。
図9】実施形態に係る泡立て装置をロングサイズのビール缶に使用している状態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(全体構成)
図1は、実施形態に係る泡立て装置をレギュラーサイズのビール缶に使用した状態の一場面を示した斜視図である。
本実施形態の泡立て装置100は、筐体10に各種部品等を設けることによって構成されている。この泡立て装置100は、全体として、平型直方体状で外面及び内面がビール缶50の外周面を倣って外側に凸となるように湾曲している。
そして、この泡立て装置100は、泡立て装置100の内面をビール缶50の外周面に押し当てた状態で、筐体10の溝11に例えば右手の親指をあてがい右手全体でビール缶50と一緒に泡立て装置100を握持した形で使用される。
この泡立て装置100によれば、右手全体でビール缶50と一緒に泡立て装置100を傾けることによって泡無しのビールをグラスに注いだり、泡立て装置100及びビール缶50を傾けた状態で操作スイッチ12(図2)を親指で操作することでビールを泡立てつつグラスに注いだり、飲んだりすることができる。
【0021】
(細部構成)
1.筐体10
筐体10は、平型直方体状で外面及び内面がビール缶50の外周面を倣って外側に凸となるように湾曲し、筐体10の角部は適宜丸められている。ここで「内面」とは使用時にビール缶50の外周面に当たる側の面を言う。
すなわち、筐体10の内面の曲率半径はビール缶50の外周面の曲率半径と略同じ大きさとなっている。つまり、筐体10の内面はビール缶50の外周面と相補的形状を有している。これによって、泡立て装置100の内面を広い範囲でビール缶50の外周面に押し当てることができる。また、筐体10の外面側の角部は丸められるとともに、筐体10の上端の辺も上方に向けて凸となるように丸められている。これによって、握り易くなるとともに、意匠性も向上する。
【0022】
筐体10は、泡立て装置100とビール缶50とを一緒に握持した場合に親指だけで保持できる大きさ及び重量となっている。筐体10の寸法について言えば、上下方向の寸法は幅方向の寸法よりも大きく、幅方向の寸法は厚さ方向の寸法よりも大きくなっている。ここで「上」、「下」とは図2に示す方向を言う。また、左右幅方向の寸法は、大人の親指の長さと同じかそれよりも僅かに大きめとなっている。このようにすることで、筐体10の幅方向の略全体を親指で効果的にビール缶50に押し当てることができる。一方、上下方向の寸法は、特には限定されないが、泡立て装置100とビール缶50を直立させて筐体10の下端を接地させたときに筐体10の上端がレギュラーサイズのビール缶50の巻締め部下の肩(傾斜面)よりも下となるような大きさとなっている。このようにすることで、泡立て装置100とビール缶50をテーブル上で直立させた状態で泡立て装置100の内面をビール缶50の外周面に当接させ、そのまま泡立て装置100とともにビール缶50を握持すれば、超音波ホーン21(図3)をビール缶50の肩下円柱面の所定の高さ位置に簡単且つ確実に押し当てることができる。
【0023】
筐体10の外面には、上端から少し離れた位置に幅方向に延びる断面円弧状の溝(窪み)11が形成されている。溝11は、ここでは、筐体10の両側面に達するように延在しているが、親指の基節部側の側面に溝11が達していればよく、親指の先端側の側面まで溝11が延びていなくてもよい。ただし、溝11が筐体10の両側面に達するように延在し且つ操作スイッチ12が真ん中に設けられていれば左右どちらの手でも同じように使用することができる。
この溝11は、大人の親指を受容できる長さ及び幅となっている。これによって、親指全体で泡立て装置100の内面をビール缶50の外周面に押し付けることができ、また、親指が溝11から抜けるのを防止することができる。なお、溝11の底は筐体10の外面及び内面と同様に外側に凸となるように湾曲した形状となっていてもよい。これによって、泡立て装置100及びビール缶50を握持する際に、親指を溝11の底に沿って曲げることができるので、握持が容易となる。
【0024】
2.筐体10への組付け部品等
筐体10には、図4に示すように、電源(図示せず)と、超音波振動子20と、超音波振動子20に取り付けられた超音波ホーン21(図3)と、発光ダイオード22と、超音波振動子20や発光ダイオード22を駆動させる駆動装置23と、駆動装置23を作動させるための操作スイッチ12と、が設けられている。
【0025】
このうち電源としては乾電池(図示せず)が用いられている。図4において符号25は電池室である。ただし、電源として例えば電気二重層キャパシタその他の充電池や外部電源が用いられてもよい。
また、駆動装置23は、図示はしないが、制御部、昇圧駆動回路及び昇圧トランス回路等を備える。
【0026】
超音波振動子20は超音波振動を発生させるもので、この超音波振動子20として例えば圧電素子が用いられている。
超音波ホーン21は、超音波振動子20で発生した超音波振動を効率良くビール缶50に伝えるものである。超音波振動子20及び超音波ホーン21は、特に限定はされないが、溝11の最深部よりも上方に設けられている。最深部裏に設けると、その分、泡立て装置100の厚さを大きくしなければならず、最深部上方に設けることにより超音波ホーン21がビール缶50の注ぎ口近くとなり、ビールを注ぎながら効果的に泡立てることができる。また、超音波ホーン21は、図3に示すように、超音波ホーン21を見ながらビール缶50の目的とする箇所に適切に当接させることができるように、筐体10の内面側に露出して設けられている。
【0027】
発光ダイオード22は操作スイッチ12が操作されていることを発光、色の変化で使用者に報知するものである。これによって、使用者は泡立て中なのか否かが容易に判別できる。この発光、色の変化は泡立て装置100の外面側から視認することができる。
【0028】
操作スイッチ12としては、押しボタン式のモーメンタリスイッチが用いられている。押しボタン式のものとすることにより、操作スイッチ12を親指で簡単に操作することができる。また、モーメンタリスイッチとすることで、操作スイッチ12を押している間だけ、駆動装置23を作動させることができるので操作性に優れる。なお、この場合、操作スイッチ12の頭をスポンジやゴム等のクッション材で覆っておき、強くビール缶50を握ったときだけ、親指で操作スイッチ12が押されるようにしておくことが好ましい。
【0029】
3.バンド14
泡立て装置100には図5に示すバンド14が付設されている。バンド14はプラスチック製であり、バンド14は泡立て装置100及びビール缶50に着脱可能に構成されている。なお、バンド14は泡立て装置100に固定されていてもよい。
このバンド14は泡立て装置100とビール缶50とを固定するものである。バンド14には2つの孔14a、14bが形成されている。一方の孔14aは略弧状で泡立て装置100の下端部に嵌合され、他方の孔14bは略円状でビール缶50の下端部に嵌合される。
なお、ここでは、バンド14の全体がプラスチック製としたが、全体がゴム製であってもよい。ゴム製とすると、一方の孔14aを泡立て装置100の下端部に嵌合した際に、2つの孔14a、14bを仕切る部分14cが張られて、バンド14と泡立て装置100の内面との間に隙間が形成されるが、他方の孔14bにビール缶50の下端部を嵌合させることにより、2つの孔14a、14bを仕切る部分14cが変形して泡立て装置100の内面に当接するので問題はない。全体をゴム製とする場合、泡立て装置100の内面に2つの孔を仕切る部分14cを係止するフックを設けておいてもよい。
また、泡立て装置100の下端部に嵌合する部分だけをプラスチック製とし、ビール缶50の下端部を押さえる部分をゴム製としてもよい。
【0030】
4.筐体10の展開構造
この展開構造は、ビール缶50の缶長サイズに合わせて筐体10ひいては泡立て装置100の上下方向の寸法を変化させるために設けられている。この展開構造によって、泡立て装置100の上下方向の寸法は短尺となったり長尺となったりする。
すなわち、ビール缶50にはレギュラーサイズ(350ml)とロングサイズ(500ml)があるので、その缶長サイズに合わせて泡立て装置100の上下方向の寸法を変化させる。
具体的には、筐体10は、図6に示すように、本体部分10aと、可動部分10bとから構成されている。本体部分10aには、電源、超音波振動子20、超音波ホーン21、発光ダイオード22、駆動装置23及び操作スイッチ12が設けられている。一方、可動部分10bは、本体部分10aの下半部の外面側を被覆するカバー及び泡立て装置100の下端部を構成している。下端部はバンド14が取り付けられる部分となる。
このうち可動部分10bは幅方向中央が外側に凸となるように湾曲した湾曲板から構成されている。そして、可動部分10bの内面の幅方向両側には上下方向に延びる凸条10cが形成され、一方、本体部分10aには上記凸条10cに係合する凹条10dが形成されている。
そして、可動部分10bは、本体部分10aに対して下方に引出し可能に構成され、人為的操作によって、本体部分10aと厚さ方向で重なる重畳状態と、本体部分10aの下方に拡がる展開状態とを取り得る。この場合、重畳状態と展開状態で、可動部分10bが本体部分10aに係止されるように、本体部分10a及び可動部分10bの一方に弾性爪を設け、他方に当該弾性爪が係合する孔を形成しておくことが好ましい。このようにすれば、重畳位置と展開位置で本体部分10aに対して可動部分10bを固定することができる。
【0031】
この展開構造では、可動部分10bが重畳状態にあるときに泡立て装置100の上下方向の長さはレギュラーサイズのビール缶50の缶長サイズに見合った大きさとなり(図1)、可動部分10bが展開状態にあるときに泡立て装置100の上下方向の長さはロングサイズのビール缶50の缶長サイズに見合った大きさとなる(図9)。その結果、泡立て装置100とビール缶50をテーブル上で直立させた状態で並べて、泡立て装置100とともにビール缶50を握持すれば、超音波ホーン21をビール缶50の肩下の円柱面の所定高さ位置に簡単且つ確実に押し当てることができる。
【0032】
5.付属部品
図7に示すように、この泡立て装置100は、付属部品として、泡立て装置100の片付けの際に使用される掛け具30を備えている。この掛け具30は矩形のベース板31と、ベース板31の上端に付設された把持部32とから構成されている。
ここで、ベース板31の内面にはマグネット又は粘着層が付設されている。これによって、ベース板31は冷蔵庫等の壁面に取り付けることができる。一方、把持部32は互いに平行な2つの把持片32a、32bをU字状に結合した形となっている。このうちベース板31から外方に突出する側の把持片32aは、泡立て装置100の片付けの際に泡立て装置100の溝11に挿入されるもので、他方の把持片32bは泡立て装置100の内面側に当接される。
この掛け具30は、図8に示すように、把持片32aが略水平となるように壁面などに取り付けられる。したがって、壁面に取り付けられた掛け具30と泡立て装置100とを並べ置き、泡立て装置100を横に動かして溝11に把持片32aを挿入させることにより、簡単に、泡立て装置100を掛止することができる。
【0033】
6.使用方法
次に、実施形態のビール泡立て装置100の使用例を説明する。
先ず、泡立て対象となるビール缶50を用意して、ビール缶50の注ぎ口を開ける。その後或いはその前に、テーブル上でビール泡立て装置100の下端をビール缶50の下端に合致させつつビール泡立て装置100の内面をビール缶50の外周面に当てる。この場合、泡立て装置100を当てる位置は、ビールを注ぐときビール缶50を傾ける場合に、下側となる部分であることが好ましい。
【0034】
次に、右手の親指を泡立て装置100の溝11にあてがい、泡立て装置100をビール缶50と一緒に例えば右手で握持する。そして、グラスに泡無しのビールの上に泡入りビールを注ぐ場合には、先ず、泡立て装置100及びビール缶50を傾けてビール缶50から泡無しビールをグラスに注ぐ。グラスに注いだビールが所定量になったら、操作スイッチ12を親指で押しながらビールを注ぐ。これによって、泡無しのビールの上に泡入りビールがグラスに注がれる。なお、電源スイッチがある場合には、泡立てる前にONとしておく必要がある。
【0035】
また、グラスを用いないで、ビール缶50から泡入りビールを直接注いだり飲んだりする場合には、例えば、泡立て装置100及びビール缶50を傾けながら操作スイッチ12を親指で押しながらビールを飲む。
【0036】
7.実施形態の効果
本実施形態のビール泡立て装置100によれば次のような主たる効果が得られる。
すなわち、ビール缶50及び泡立て装置100を握持して泡立てながらビールを注いだり飲んだりすることができる。そのため、泡立て具合を知ることができ、自分好みに泡立て具合を簡単に調整することができる。
また、親指を受容可能な溝11が形成されているので、溝11に親指を当てることにより、泡立て装置100及びビール缶50を安定して一緒に握持することができる。
【0037】
さらに、泡立て装置100及びビール缶50を一緒に握持したまま親指で操作スイッチ12を操作することができるので、使い易い泡立て装置が実現できる。
【0038】
(変形例)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の変形が可能であることは言うまでもない。
【0039】
例えば、上記実施形態では、ビール容器としてビール缶50を挙げたが、ビール容器はビール缶50に限定されず、ビール瓶やグラスであってもよい。
【0040】
また、上記実施形態では、可動部分10bが重畳位置と展開位置の2つの位置を選択的に取るように構成したが、互いに缶長サイズの異なるビール缶が3種以上ある場合には、缶長サイズに見合った展開を段階的に行えるようにしてもよい。
【0041】
また、上記実施形態では、筐体10において本体部分10aに対して押し込んだ可動部分10bを引き出しによって展開できるように構成したが、それに代えて、本体部分10aに対して折り畳んだ可動部分10bが拡がって展開するように構成されていてもよい。この場合、互いに缶長サイズの異なるビール缶が3種以上ある場合には、可動部材10bを通常は九十九折り状態としておき、缶長サイズに見合った展開を段階的に行えるようにしてもよい。さらに、折り畳み構造と実施形態の引き出し構造とを組み合わせてもよい。
【0042】
また、上記実施形態では、親指を筐体10の溝11に当てるようにしたが、片手の親指以外の指の少なくとも1つを溝(窪み)11に押し当てるようにしてもよい。この場合、人差し指を溝11に当てるのであれば、上記実施形態の泡立て装置100をそのまま使用することもできる。また、中指、薬指又は小指を溝11に当てるのであれば、溝11の高さ位置を変えてもよい。さらに、溝11を複数設けて片手の複数の指をそれに対応する溝11に1つずつ当てるようにしてもよい。これらの場合、押しボタン式の操作スイッチ12は、特に制限はされないが、溝11内に設けることが好ましい。溝11外にあると誤って操作してしまう虞があるからである。
【符号の説明】
【0043】
10 筐体
10a 本体部分
10b 可動部分
12 操作スイッチ
14 バンド
20 超音波振動子
21 超音波ホーン
23 駆動装置
100 泡立て装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9