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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-05
(45)【発行日】2024-02-14
(54)【発明の名称】製氷装置
(51)【国際特許分類】
   F25C 5/187 20180101AFI20240206BHJP
   F25C 1/10 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
F25C5/187 B
F25C1/10 301B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019213992
(22)【出願日】2019-11-27
(65)【公開番号】P2021085594
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】石水 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 俊二
【審査官】五十嵐 公輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-158280(JP,A)
【文献】特開2013-155926(JP,A)
【文献】特開2007-057149(JP,A)
【文献】国際公開第2019/106923(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25C 5/187
F25C 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製氷皿と、前記製氷皿の下方に配置される貯氷容器と、前記製氷皿を回転させる駆動部と、前記駆動部に接続される検氷レバーと、を有し、
前記検氷レバーは、前記駆動部に接続される軸部と、前記軸部を中心として回転するアーム部と、を備え、
前記アーム部の先端に傾斜部が設けられ、
前記製氷皿は、上向きの製氷位置と、氷を落下させる離氷位置との間を移動し、
前記検氷レバーは、前記製氷位置と前記離氷位置との間を移動する際の前記製氷皿の移動領域の最下点位置と、前記傾斜部の下端とが同一高さになる位置において、前記傾斜部が下向きに傾斜しており、
前記貯氷容器の上端は、前記最下点位置より下方に位置し、
前記検氷レバーは、上端位置と、前記上端位置に対して下方に回転した下端位置との間を移動し、
前記下端位置では、前記傾斜部の上端が前記最下点位置より上方に位置することを特徴とする製氷装置。
【請求項2】
前記アーム部は、前記傾斜部の下端から前記軸部の側へ直線状に延びる検氷部を備え、
前記検氷レバーは、前記上端位置と前記下端位置との間の満氷検出位置に移動した状態では、前記検氷部が略水平に延びていることを特徴とする請求項に記載の製氷装置。
【請求項3】
前記アーム部は、前記検氷部と前記軸部とを接続する基端部と、前記基端部と前記傾斜部の上端とを接続する補強部と、を備えることを特徴とする請求項に記載の製氷装置。
【請求項4】
前記アーム部は、前記検氷部、前記傾斜部、および前記補強部によって囲まれた領域を貫通する肉抜き部を備えることを特徴とする請求項に記載の製氷装置。
【請求項5】
前記製氷皿は、複数の貯水用凹部を備え、
前記肉抜き部の幅は、前記貯水用凹部の底面の幅より小さいことを特徴とする請求項に記載の製氷装置。
【請求項6】
前記検氷レバーは、前記検氷レバーの回転軸線方向の厚さが前記軸部よりも大きい幅広
部を備え、
前記幅広部は、少なくとも一部が前記検氷部に設けられていることを特徴とする請求項からの何れか一項に記載の製氷装置。
【請求項7】
前記幅広部は、前記検氷部および前記傾斜部に設けられていることを特徴とする請求項に記載の製氷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製氷皿に給水した水を凍らせる製氷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、冷蔵庫に搭載される製氷装置が開示される。特許文献1の製氷装置は、製氷皿と、製氷皿駆動手段と、フレームと、満氷を検知する検知レバー(満氷検知レバー)を備えており、製氷皿駆動手段によって製氷皿を回転させて貯氷容器(貯氷箱)に氷を落下させる。検知レバーは、製氷皿駆動手段により製氷皿に連動して上下に駆動される。検知レバーが氷に接触すると、満氷と判断して製氷皿の離氷動作を行わず、給水も行わない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-158196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、満氷を検知する検知レバーを略水平になる下端位置まで下降させることが記載されている。また、製氷皿が取り外されている場合には、検知レバーの下降を阻止し、下端位置よりも上方で検知レバーを停止させることが記載されている。しかしながら、特許文献1には、貯氷容器の動作との関係で検知レバーの位置や形状を規制することは記載されていない。検知レバーは満氷時の貯氷容器内の氷と接触する位置を含む範囲で移動するので、検知レバーが下降した状態では、貯氷容器の引き出し動作および格納動作を行うことができなくなるおそれがある。
【0005】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、貯氷容器の引き出し動作もしくは格納動作が満氷を検知する検知レバーによって妨げられないようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る製氷装置は、製氷皿と、前記製氷皿を回転させる駆動部と、前記駆動部に接続される検氷レバーと、を有し、前記検氷レバーは、前記駆動部に接続される軸部と、前記軸部を中心として回転するアーム部と、を備え、前記アーム部の先端に傾斜部が設けられ、前記製氷皿は、上向きの製氷位置と、氷を落下させる離氷位置との間を移動し、前記検氷レバーは、前記製氷位置と前記離氷位置との間を移動する際の前記製氷皿の移動領域の最下点位置と、前記傾斜部の下端とが同一高さになる位置において、前記傾斜部が下向きに傾斜していることを特徴とする。
【0007】
本発明では、検氷レバーが軸部を中心として回転するアーム部を備えており、アーム部の先端に傾斜部が設けられている。傾斜部は、製氷皿の移動領域の最下点位置と傾斜部の下端とが同一高さになる回転位置において下向きに傾斜しているため、この位置よりも下方に検氷レバーが回転した場合には、さらに傾斜部の傾きが増大する。製氷皿から落下した氷を貯める貯氷容器は、製氷皿の最下点位置よりも下方に配置されるので、検氷レバーが最下点位置よりも下方に回転した状態で貯氷容器の引き出し動作もしくは格納動作が行われた場合には、貯氷容器の上端が下向きの傾斜部に衝突する。従って、貯氷容器の上端が傾斜部を押す力は検氷レバーを上方へ押し上げる力として作用するので、検氷レバーを上方へ押し上げて退避させることができる。よって、貯氷容器の引き出し動作もしくは格納動作が検氷レバーによって妨げられることを回避できる。
【0008】
本発明において、前記検氷レバーは、上端位置と、前記上端位置に対して下方に回転した下端位置との間を移動し、前記下端位置では、前記傾斜部の上端が前記最下点位置より上方に位置することが好ましい。このようにすると、傾斜部の上端は貯氷容器の上端より上方に位置するので、貯氷容器の引き出し動作もしくは格納動作の際には、貯氷容器の上端が傾斜部に衝突する。従って、氷レバーを上方へ押し上げて退避させることができる。
【0009】
本発明において、前記アーム部は、前記傾斜部の下端から前記軸部の側へ直線状に延びる検氷部を備え、前記検氷レバーは、前記上端位置と前記下端位置との間の満氷検出位置に移動した状態では、前記検氷部が略水平に延びていることが好ましい。このように、氷と接触する部位を略水平にすることによって、満氷状態を精度良く検出できる。
【0010】
本発明において、前記アーム部は、前記検氷部と前記軸部とを接続する基端部と、前記基端部と前記傾斜部の上端とを接続する補強部と、を備えることが好ましい。このような形状にすることで、検氷レバーの強度を高めることができる。従って、検氷レバーの変形や破損を抑制できる
【0011】
本発明において、前記アーム部は、前記検氷部、前記傾斜部、および前記補強部によって囲まれた領域を貫通する肉抜き部を備えることが好ましい。肉抜き部を設けることにより、検氷レバーを軽量化できる。従って、駆動負荷を小さくすることができる。また、肉抜き部を冷気が通過できるようになるので、通気性を向上させることができる。
【0012】
本発明において、前記製氷皿は、複数の貯水用凹部を備え、前記肉抜き部の幅は、前記貯水用凹部の底面の幅より小さいことが好ましい。このようにすると、貯氷容器に溜まる氷(アイスキューブ)の最も小さい辺より肉抜き部の幅が小さいので、氷が肉抜き部に引っかかるおそれを少なくすることができる。
【0013】
本発明において、前記検氷レバーは、前記検氷レバーの回転軸線方向の厚さが前記軸部よりも大きい幅広部を備え、前記幅広部は、少なくとも一部が前記検氷部に設けられていることが好ましい。このようにすると、満氷状態を精度良く検出できる。
【0014】
本発明において、前記幅広部は、前記検氷部および前記傾斜部に設けられていることが好ましい。このように、検氷部だけでなく傾斜部にも幅広部を設けることで、検氷レバーの強度を高めることができる。従って、貯氷容器との衝突による変形や破損を抑制できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、検氷レバーが軸部を中心として回転するアーム部を備えており、アーム部の先端に傾斜部が設けられている。傾斜部は、製氷皿の移動領域の最下点位置と傾斜部の下端とが同一高さになる回転位置において下向きに傾斜しているため、この回転位置よりも下方に検氷レバーが回転した場合には、さらに傾斜部が傾くことになる。製氷皿から落下した氷を貯める貯氷容器は、製氷皿の最下点位置よりも下方に配置されるので、検氷レバーが最下点位置よりも下方に回転した状態で貯氷容器の引き出し動作もしくは格納動作が行われた場合には、貯氷容器は下向きの傾斜面に衝突することになる。従って、貯氷容器によって検氷レバーを上方へ押し上げることができるので、貯氷容器の引き出し動作もしくは格納動作が検氷レバーによって妨げられることを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明を適用した製氷装置を斜め上方からみた斜視図である。
図2図1に示す製氷装置の分解斜視図である。
図3図1に示す製氷装置を斜め下方からみた斜視図である。
図4】検氷レバーの斜視図および正面図である。
図5】検氷レバーの上端位置、満氷検出位置、および下端位置を示す側面図である。
図6】製氷皿の最下点位置と検氷レバーの傾斜部の下端とが同一高さに位置する状態を示す正面図および側面図である。
図7】変形例の検氷レバーの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。以下の説明では、互いに交差する3方向をX方向、Y方向、およびZ方向として説明する。Z方向は、製氷装置1の上下方向である。Y方向は、製氷装置1の幅方向であり、X方向は製氷装置1の長さ方向である。X方向の一方側をX1方向とし、X方向の他方側をX2方向とする。また、Y方向の一方側をY1方向とし、Y方向の他方側をY2方向とし、Z方向の一方側をZ1方向とし、Z方向の他方側をZ2とする。以下の説明において、下方(下側)はZ2方向であり、上方(上側)はZ1方向である。
【0018】
(全体構成)
図1は、本発明を適用した製氷装置1を斜め上方からみた斜視図である。図2は、図1に示す製氷装置1の分解斜視図である。図3は、図1に示す製氷装置1を斜め下方からみた斜視図である。製氷装置1は、複数の貯水用凹部20を備えた製氷皿2と、製氷皿2に対してX1方向に配置された駆動部3と、駆動部3を支持するフレーム4と、検氷レバー6を有する。製氷装置1は、冷蔵庫に搭載される。冷蔵庫では、給水タンク(図示せず)の水を給水パイプ(図示せず)から製氷皿2の貯水用凹部20に注いで製氷を行う。製氷が完了すると、製氷装置1は、駆動部3を駆動して製氷皿2を回転軸線L0周りに回転させ、製氷皿2の氷を製氷皿2の下方に配置される貯氷容器5(図6(b)参照)へ落下させる。
【0019】
(製氷皿)
製氷皿2は弾性変形可能な材料からなる。本形態では製氷皿2は樹脂材料からなる。図2に示すように、製氷皿2は、複数の貯水用凹部20を備える。本形態では、X方向に並ぶ4つの貯水用凹部20がY方向に2列配置されている。また、製氷皿2は、複数の貯水用凹部20の外周側を囲む枠部25と、枠部25のX1方向の端部に形成された壁部26と、枠部25のX2方向の端部に形成される壁部27を備える。壁部26と壁部27との間に貯水用凹部20が配置される。壁部26には、駆動部3の出力軸32と連結された連結部(図示せず)が形成されている。壁部27には、フレーム4に回転可能に支持される軸部28が形成されている。また、壁部27には、製氷皿2が回転軸線L0周りに反時計回り方向CCWに回転した際にフレーム4と当接する回転規制部29が形成されている。
【0020】
図3に示すように、製氷皿2の下面には、貯水用凹部20の形状が反映された凸部が配列されている。製氷皿2の下面には、製氷皿2の温度を検知するサーミスタ8が配置される。サーミスタ8は、製氷皿2の下面に固定されたカバー部材9で覆われている。
【0021】
(駆動部)
図2に示すように、駆動部3は、直方体状に成形されたケース31を備える。ケース31の内側には、駆動源となるモータ(図示せず)と、モータの回転力を伝達する回転伝達機構(図示せず)と、回転伝達機構によりモータの回転力が伝達されるカム歯車33とが収納されている。カム歯車33には、出力軸32が一体成形されている。出力軸32は、ケース31に設けられた穴34からケース31の外方に突出している。出力軸32は、製氷皿2の壁部26に設けられた連結部(図示せず)に連結される。
【0022】
駆動部3は、出力軸32を反時計回り方向CCWへ回転させることにより、製氷皿2を上向きの製氷位置2Aから斜め下向きの離氷位置(図示せず)に変化させる。離氷位置では、貯水用凹部20が斜め下向きになるので、貯水用凹部20に形成された氷を下方へ落下させることができる。駆動部3は、出力軸32を時計回り方向CWへ回転させることにより、製氷皿2を上向きの製氷位置2Aに復帰させる。
【0023】
(フレーム)
フレーム4は、製氷皿2のY2方向側でX方向に延びる第1側板部41と、製氷皿2のY1方向側でX方向に延びる第2側板部42とを備える。第1側板部41と第2側板部42とは平行であり、Y方向で対向している。第2側板部42と製氷皿2との間には、検氷レバー6が配置されている。
【0024】
第1側板部41の上端からは第2側板部42に向けて第1上板部410が張り出しており、第1上板部410は、Y1方向に向かう途中位置で下方に折れ曲がった後、第2側板部42に向けて張り出している。第2側板部42の上端の付近からは第1側板部41に向けて第2上板部420が張り出している。製氷皿2は、第1上板部410と第2上板部420との間で上方に向けて開放状態にある。第2上板部420には、検氷レバー6の上端部が内側に位置する開口部421が形成されている。
【0025】
また、フレーム4は、Y方向に延びて第1側板部41および第2側板部42のX1方向の端部を接続する第1壁部43と、第1側板部41および第2側板部42のX2方向の端部を接続する第2壁部44と、第1側板部41と第2側板部42のX1方向において駆動部3を上側から覆う上板部45を備える。本形態では、第1側板部41、第2側板部42、第1壁部43、および上板部45によって囲まれた空間に駆動部3が搭載されている。第2壁部44は、板状の複数のリブが互いに連結された多孔性の壁である。第2壁部44の中央には、製氷皿2の軸部28を回転可能に支持する軸穴440が形成されている。
【0026】
図3に示すように、第2壁部44には、製氷皿2が回転軸線L0周りに反時計回り方向CCWに回転して斜め下向きの離氷位置になったときに、反時計回り方向CCWの後方から製氷皿2の回転規制部29が当接する当接部46が形成されている。製氷皿2の回転規制部29がフレームの当接部46に当接して製氷皿2の回転が阻止されることにより、製氷皿2に捻り動作を行わせる。これにより、氷が貯水用凹部20から離れて製氷皿2から落下する。
【0027】
(検氷レバー)
製氷皿2に対してY1方向で隣り合う位置には、検氷レバー6が配置されている。駆動部3のケース31内には、カム歯車33の回転角度に応じてカム歯車33と連動して検氷レバー6を回転軸線L1周りに回転させる検氷機構や、サーミスタ8から入力された信号に基づいて動作するスイッチ機構等が構成されている。検氷機構は、検氷レバー6を下方へ付勢するばね等の付勢部材を備えている。検氷機構は、検氷レバー6を下方へ付勢した状態で回転軸線L1周りに回転させる。
【0028】
図4(a)は、検氷レバー6の斜視図であり、図4(b)は、検氷レバー6をX2方向から見た正面図である。検氷レバー6は、駆動部3に接続される軸部61と、軸部61を中心として回転軸線L1周りに回転するアーム部62を備える。図3に示すように、駆動部3は製氷装置1のX1方向の端部に配置される。検氷レバー6のアーム部62は、駆動部3のY1方向の側面に接続された軸部61からX2方向へ延びている。検氷レバー6が回転軸線L1周りに回転すると、アーム部62はZ方向(上下方向)に移動する。
【0029】
アーム部62の先端には、直線状の傾斜部63が設けられている。アーム部62は、傾
斜部63の下端から軸部61の側へ延びる検氷部64と、検氷部64と軸部61とを接続する基端部65と、基端部65と傾斜部63の上端631とを接続する補強部66を備える。アーム部62は全体として板状であり、外周縁に沿って外リブ67が形成されている。外リブ67の内周側には、外リブ67に沿う方向および外リブ67と交差する方向に延びる内リブ68が形成されている。外リブ67および内リブ68はアーム部62のY1側の面およびY2側の面の両面に形成されている。
【0030】
アーム部62は、外リブ67の一部が他の部分よりY方向の幅が広く形成された幅広部69を備える。幅広部69は、傾斜部63および検氷部64に形成されている。図4(b)に示すように、幅広部69は、軸部61よりもY方向の幅が広い。幅広部69のY2方向の縁は軸部61のY2方向の端部と略同一位置にある。また、幅広部69のY1方向の縁は軸部61のY1方向の端部よりもY1方向に突出している。
【0031】
図5は、検氷レバー6の上端位置6A、満氷検出位置6B、および下端位置6Cを示す側面図である。図5(a)は、検氷レバー6の上端位置6Aである。図1に示すように、上端位置6Aでは、アーム部62の先端がフレーム4の開口部421から上方へ突出している。上端位置6Aでは、基端部65が略水平になっており、検氷部64は、基端部65から斜め上方へ延びている。従って、上端位置6Aでは、検氷レバー6全体が駆動部3の下端よりも上方に位置する。
【0032】
図5(b)は、上端位置6Aから所定角度下方に回転した満氷検出位置6Bである。満氷検出位置6Bは、検氷部64が略水平になる位置である。満氷検出位置6Bは、貯氷容器5内に規定の位置まで氷が貯まったときに検氷部64が氷に接触する位置である。従って、満氷検出位置6Bでは、検氷部64が貯氷容器5の上端位置5Aよりも下方に位置する。
【0033】
図5(c)は、満氷検出位置6Bよりさらに下方に回転した下端位置6Cである。駆動部3に設けられた検氷機構は、検氷レバー6を上端位置6Aから下端位置6Cまでの範囲で移動させる。上記のように、検氷機構には、ばね等の付勢部材が組み込まれている。従って、上端位置6Aから下端位置6Cまでの任意の位置において、ばねの付勢力に抗して検氷レバー6を上方へ所定角度押し上げることが可能である。
【0034】
(傾斜部の傾斜角度)
図6は、製氷皿2の最下点位置2Bと検氷レバー6の傾斜部63の下端630とが同一高さに位置する状態を示す正面図および側面図である。図6(a)はX2方向から見た製氷装置1の正面図であり、図6(b)はY1方向から見た製氷装置1の側面図である。上記のように、製氷皿2の移動領域は、貯水用凹部20を上向きにした製氷位置2Aと、回転規制部29がフレームの当接部46に当接する離氷位置(図示せず)との間を移動する範囲である。図6(a)に示すように、製氷皿2の移動領域の最下点位置2Bは、回転軸線L0を中心とする枠部25の移動領域25Aの最下点位置である。
【0035】
図6(b)に示すように、検氷レバー6は、製氷皿2の移動領域の最下点位置2Bと、傾斜部63の下端630とが同一高さになる回転位置において、傾斜部63が下向きに傾斜している。すなわち、製氷皿2の移動領域の最下点位置2Bと、傾斜部63の下端630とが同一高さになる回転位置において、傾斜部63のX2方向(軸部61とは反対側の方向)への傾斜角度θは0°よりも大きい。傾斜部63の傾斜角度をこのように設定していれば、最下点位置2Bよりも下方に検氷レバー6を下降させた状態では、常に傾斜部63を下向きに傾斜させた状態にしておくことができる。
【0036】
製氷皿2の下側には、製氷皿2から落下させた氷を貯める貯氷容器5が配置される。貯
氷容器5は、製氷皿2と干渉することを回避するために、製氷皿2の移動領域の最下点位置2Bよりも下方に配置されている。貯氷容器5内の氷を検知する検氷動作では、検氷部64を貯氷容器5の上端位置5Aよりも下方へ降下させて貯氷容器5内の氷量を検知する。貯氷容器5の上端位置5Aは最下点位置2Bよりも下方であるため、検氷部64が貯氷容器5の上端よりも下方に下降した状態では、傾斜部63は下向きに傾斜した状態になっている。
【0037】
(製氷装置の動作)
本形態の製氷装置1において、製氷工程では、貯水用凹部20が上方を向くように水平に配置された製氷位置2Aの製氷皿2に対して、給水パイプ(図示せず)から水が供給される。その後、冷却部(図示せず)から供給された冷気により、貯水用凹部20内に充填された水を冷却する。製氷が完了したか否かは、製氷皿2に取り付けられたサーミスタ8により、製氷皿2の温度が所定温度以下となったか否かで判断される。
【0038】
製氷が完了すると、検氷レバー6により、製氷皿2の下方に設置された貯氷容器5の氷量の検出が行なわれる。具体的には、検氷レバー6が駆動部3に駆動されて下降する。その際、検氷レバー6が図5(c)に示す下端位置6Cまで下降する場合には、貯氷容器5内が満氷でないと判断される。一方、下端位置6Cまで下降する前に、検氷レバー6が貯氷容器5内の氷に接触する場合には、貯氷容器5内が満氷であると判断される。貯氷容器5内が満氷の場合には、所定時間待機した後、再度、検氷レバー6により貯氷容器5内の氷量の検出が行なわれる。
【0039】
(検氷レバーの退避動作)
貯氷容器5は、X方向に移動可能な状態で冷蔵庫に搭載されている。製氷装置1が搭載される冷蔵庫では、貯氷容器5を製氷皿2の下からX1方向に引き出す引き出し動作を行うことにより、製造した氷をユーザが貯氷容器5から取り出すことができる。また、貯氷容器5から氷を取り出した後には、貯氷容器5をX2方向へ移動させて製氷皿2の下方へ格納する格納動作を行う。
【0040】
上記のように、貯氷容器5内の氷を検知する検氷動作では、検氷レバー6を貯氷容器5の上端位置5Aよりも下方へ回転させる。本形態の製氷装置1は、検氷動作あるいは他の意図しない動作によって検氷レバー6が貯氷容器5の上端位置5Aよりも下方に降下した状態で貯氷容器5の引き出し動作および格納動作が行われたときに、検氷レバー6を退避させることが可能である。
【0041】
まず、貯氷容器5の引き出し動作における検氷レバー6の退避動作について説明する。図6(b)に示すように、製氷装置1は、製氷皿2のX1方向に駆動部3が配置されている。本形態は、製氷装置1を冷蔵庫に搭載するにあたって、X1方向が貯氷容器5の引き出し方向となるように搭載している。すなわち、駆動部3は、貯氷容器5を引き出す方向に配置されている。検氷レバー6のアーム部62は、貯氷容器5を引き出す方向(X1方向)とは逆方向(X2方向)へ延びている。
【0042】
従って、本形態では、検氷レバー6が貯氷容器5の上端位置5Aよりも下方に降下した状態(例えば、図5(b)に示す満氷検出位置6Bまで検氷レバー6が回転した状態)で貯氷容器5が引き出されると、アーム部62の先端に設けられた傾斜部63に貯氷容器5の上端が衝突する。しかしながら、検氷レバー6は、傾斜部63が貯氷容器5の上端位置5Aまで下降したときには傾斜部63が下向きに傾斜した状態になっている。従って、貯氷容器5から検氷レバー6に作用する力は検氷レバー6を上向きに押し上げる方向に作用する。よって、貯氷容器5をX1方向に引き出す際、貯氷容器5によって検氷レバー6を押し上げて退避させることができる。
【0043】
図6(b)に示すように、傾斜部63の下端630が最下点位置2Bに位置するとき、検氷レバー6は満氷検出位置6Bよりも上方に回転した状態になっている。本形態の検氷レバー6は、図6(b)に示す回転位置と満氷検出位置6Bとの間の移動範囲では、検氷部64が傾斜部63の下方に位置する。従って、このような状態で貯氷容器5が引き出されると、貯氷容器5の上端が検氷部64に衝突する可能性がある。しかしながら、検氷部64は、満氷検出位置6Bよりも上方へ回転している状態では、X2方向への傾斜角度が傾斜部63よりも大きい第2の傾斜部を構成している。従って、貯氷容器5が検氷部64へ衝突したとしても、傾斜部63へ衝突した場合と同様に、検氷レバー6を上方へ押し上げることができる。
【0044】
図5(c)に示すように、検氷レバー6が下端位置6Cまで下降したとき、傾斜部63の上端631は製氷皿2の最下点位置2Bよりも上方に位置する。つまり、検氷レバー6は、上端位置6Aから下端位置6Cまでの移動範囲全体において、傾斜部63の上端631が貯氷容器5の上端位置5Aよりも上方に位置する。従って、貯氷容器5を引き出す際に、傾斜部63の上端631と補強部66とが接続される角部が貯氷容器5の内壁に衝突することはなく、貯氷容器5の上端が傾斜部63もしくは検氷部64(第2の傾斜部)に衝突する。従って、貯氷容器5を引き出す際に、検氷レバー6の先端が貯氷容器5の内壁に引っ掛かって引き出せなくなることはなく、貯氷容器5によって確実に検氷レバー6を押し上げることができる。
【0045】
次に、貯氷容器5を格納する際の検氷レバー6の退避動作について説明する。図5図6に示すように、検氷レバー6の軸部61は駆動部3に接続され、貯氷容器5の上端位置5Aよりも上方に位置する。従って、検氷レバー6が上端位置5Aよりも下方へ回転した状態では、軸部61と検氷部64とを接続する基端部65は斜め下向きに延びる第3の傾斜部を構成している。従って、この状態で貯氷容器5を検氷レバー6のX1方向側から製氷皿2の下へ移動させると、貯氷容器5の上端が基端部65(第3の傾斜部)に衝突する。従って、貯氷容器5の格納時に貯氷容器5が検氷レバー6に衝突する場合には、貯氷容器5から検氷レバー6に作用する力は検氷レバー6を上向きに押し上げる方向に作用する。よって、貯氷容器5によって検氷レバー6を押し上げて退避させることができ、貯氷容器5を製氷皿2の下へ格納することができる。
【0046】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の製氷装置1は、製氷皿2と、製氷皿2を回転させる駆動部3と、駆動部3に接続される検氷レバー6を有する。検氷レバー6は、駆動部3に接続される軸部61と、軸部61を中心として回転するアーム部62を備えており、アーム部62の先端に傾斜部63が設けられている。検氷レバー6は、製氷位置2Aと離氷位置との間を移動する際の製氷皿2の移動領域の最下点位置2Bと、傾斜部63の下端とが同一高さになる位置において、傾斜部63が下向きに傾斜している。
【0047】
このように、本形態では、検氷レバー6が軸部61を中心として回転するアーム部62を備えており、アーム部62の先端に傾斜部63が設けられている。傾斜部63は、製氷皿2の移動領域の最下点位置2Bと傾斜部63の下端とが同一高さになる位置において下向きに傾斜しているため、この位置よりも下方に検氷レバー6が回転した場合には、さらに傾斜部63の傾きが増大するので、下向きに傾斜した状態が維持される。製氷皿2から落下した氷を貯める貯氷容器5は、製氷皿2の最下点位置2Bよりも下方に配置されるので、検氷レバー6が最下点位置2Bよりも下方に回転した状態で貯氷容器5の引き出し動作が行われた場合には、貯氷容器5の上端が下向きの傾斜部63に衝突する。従って、貯氷容器5が傾斜部63を押す力は検氷レバー6を上方へ押し上げる力として作用するので、検氷レバー6を上方へ押し上げて退避させることができる。よって、貯氷容器5の引き
出し動作が検氷レバー6によって妨げられることを回避できる。
【0048】
なお、本形態では、貯氷容器5を引き出す方向(X1方向)に駆動部3が配置されているが、貯氷容器5を格納する方向(X2方向)に駆動部3を配置することもできる。この場合には、貯氷容器5の格納動作が行われた場合に、貯氷容器5の上端が下向きの傾斜部63に衝突する。従って、検氷レバー6を上方へ押し上げて退避させることができ、貯氷容器5の格納動作が検氷レバー6によって妨げられることを回避できる。
【0049】
本形態では、検氷レバー6は上端位置6Aと下端位置6Cとの間を移動し、下端位置6Cでは、傾斜部63の上端631が最下点位置2Bより上方に位置する。従って、傾斜部63の上端631は貯氷容器5の上端より上方に位置するので、貯氷容器5の引き出し動作もしくは格納動作の際には、貯氷容器5の上端が傾斜部63に衝突する。よって、検氷レバー6を上方へ押し上げて退避させることができる。
【0050】
本形態では、検氷レバー6のアーム部62は、傾斜部63の下端から軸部61の側へ直線状に延びる検氷部64を備えている。検氷レバー6は、上端位置6Aと下端位置6Cとの間の満氷検出位置6Bに移動した状態では、検氷部64が略水平に延びている。このように、氷と接触する部位を略水平にすることによって、満氷状態を精度良く検出できる。
【0051】
本形態では、検氷レバー6のアーム部62は、検氷部64と軸部61とを接続する基端部65と傾斜部63の上端631とを接続する補強部66を備えるので、検氷レバー6の強度を高めることができる。従って、検氷レバー6の変形や破損を抑制できる。
【0052】
本形態では、検氷レバー6は回転軸線L0方向の厚さが軸部61よりも大きい幅広部69を備えており、幅広部69は検氷部64および傾斜部63に設けられている。氷と接触する検氷部64に幅広部69を設けることで、満氷状態を精度良く検出できる。また、傾斜部63にも幅広部69を設けることで、傾斜部63の強度を高めることができる。従って、貯氷容器5と衝突する最に検氷レバー6が変形もしくは破損することを抑制できる。なお、傾斜部63には幅広部69を設けず、検氷部64のみに幅広部69を設けてもよい。
【0053】
(変形例)
図7は肉抜き部を備えた検氷レバー106、206の側面図である。図7(a)は変形例1の検氷レバー106の側面図であり、図7(b)は変形例2の検氷レバー206の側面図である。図7(a)、図7(b)において、ハッチングは貫通部であることを意味する。変形例1の検氷レバー106は、円形の肉抜き部7Aを複数個所に備えている。一方、変形例2の検氷レバー206は、大型の肉抜き部7Bを1箇所に備えている。検氷レバー106、206は、貫通部である肉抜き部7A、7Bを備えた点を除いて上記形態と同一の構成を備えているため、同一の部分は同一の符号を付して説明する。
【0054】
変形例1の検氷レバー106において、肉抜き部7Aはアーム部62に形成されており、検氷部64、傾斜部63、および補強部66によって囲まれた領域を貫通する。すなわち、肉抜き部7Aは、検氷部64に沿って延びる内リブ68、傾斜部63に沿って延びる内リブ68、および、補強部66に沿って延びる内リブ68に囲まれた内周領域70を貫通する。図7(a)に示す例では、円形の肉抜き部7Aを3箇所に形成しているが、肉抜き部7Aの数および配置はこれに限定されるものではなく、変更可能である。また、肉抜き部7Aの形状は円形に限定されない。
【0055】
変形例2の検氷レバー206において、肉抜き部7Bはアーム部62に形成されており、検氷部64、傾斜部63、および補強部66によって囲まれた領域を貫通する。すなわ
ち、肉抜き部7B、検氷部64に沿って延びる内リブ68、傾斜部63に沿って延びる内リブ68、および、補強部66に沿って延びる内リブ68に囲まれた内周領域70全体を貫通する肉抜き部7Bが設けられている。
【0056】
変形例1、2では、検氷レバー106、206に肉抜き部7A、7Bを形成したことにより、検氷レバー6が軽量化されている。従って、検氷レバー106、206を回転させるときの駆動負荷を小さくすることができる。また、肉抜き部7A、7Bを冷気が通過できるようになるので、通気性を向上させることができる。よって、製氷皿2の周囲を冷気が通り抜けやすくなるので、製氷効率が向上する。
【0057】
変形例1の肉抜き部7Aの幅D1(内径)は、貯水用凹部20の底面の幅D2(図6(b)参照)より小さい。このように、貯氷容器5に溜まる氷(アイスキューブ)の最も小さい辺よりも肉抜き部7Aの幅を小さくすることにより、検氷時に氷が肉抜き部7Aに引っかかるおそれを少なくすることができる。
【符号の説明】
【0058】
1…製氷装置、2…製氷皿、2A…製氷位置、2B…最下点位置、3…駆動部、4…フレーム、5…貯氷容器、5A…上端位置、6…検氷レバー、6A…上端位置、6B…満氷検出位置、6C…下端位置、7A、7B…肉抜き部、8…サーミスタ、9…カバー部材、20…貯水用凹部、25…枠部、25A…移動領域、26…壁部、27…壁部、28…軸部、29…回転規制部、31…ケース、32…出力軸、33…カム歯車、34…穴、41…第1側板部、42…第2側板部、43…第1壁部、44…第2壁部、45…上板部、46…当接部、61…軸部、62…アーム部、63…傾斜部、64…検氷部、65…基端部、66…補強部、67…外リブ、68…内リブ、69…幅広部、70…内周領域、106、206検氷レバー、410…第1上板部、420…第2上板部、421…開口部、440…軸穴、630…傾斜部の下端、631…傾斜部の上端、CCW…反時計回り方向、CW…時計回り方向、L0、L1…回転軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7