(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-05
(45)【発行日】2024-02-14
(54)【発明の名称】画像形成装置、画質調整プログラムおよび画質調整方法
(51)【国際特許分類】
G03G 21/14 20060101AFI20240206BHJP
G03G 21/02 20060101ALI20240206BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
G03G21/14
G03G21/02
G03G15/00 303
(21)【出願番号】P 2019218460
(22)【出願日】2019-12-03
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168217
【氏名又は名称】大村 和史
(72)【発明者】
【氏名】北川 高志
(72)【発明者】
【氏名】大塚 雅之
(72)【発明者】
【氏名】直井 宏夫
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-010879(JP,A)
【文献】特開平10-142857(JP,A)
【文献】特開2011-112978(JP,A)
【文献】特開2013-154524(JP,A)
【文献】特開2017-030271(JP,A)
【文献】特開2008-040679(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/14
G03G 21/02
G03G 15/00
B41J 29/00-29/70
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に画像を形成する画像形成部と前記画像形成部の画質調整を実施する画質調整手段とを備える画像形成装置であって、
前記画質調整を実施する所定の実施条件を満たすか否かを判定する実施条件判定手段、
前記実施条件判定手段の判定結果に基づいて、前記画質調整手段による前記画質調整の実施を管理する画質調整管理手段、
前記画像形成部の使用が継続されるかどうかを推定する継続使用推定手段、
前記画像形成部による画像形成に応じた課金を現金で決済する課金装置、および
前記課金装置に入金されているかどうかを検出する入金情報検出手段を備え、
前記継続使用推定手段は、前記課金装置に入金されていることが前記入金情報検出手段によって検出されたとき、前記画像形成部の使用が継続されると推定し、
前記画質調整管理手段は、前記実施条件判定手段によって前記実施条件を満たすと判定された場合でも、前記継続使用推定手段によって前記画像形成部の使用が継続されると推定されたときは、前記画質調整の実施を延期する、画像形成装置。
【請求項2】
記録媒体に画像を形成する画像形成部と前記画像形成部の画質調整を実施する画質調整手段とを備える画像形成装置であって、
前記画質調整を実施する所定の実施条件を満たすか否かを判定する実施条件判定手段、
前記実施条件判定手段の判定結果に基づいて、前記画質調整手段による前記画質調整の実施を管理する画質調整管理手段、
前記画像形成部の使用が継続されるかどうかを推定する継続使用推定手段、
前記画像形成部による画像形成に応じた課金を電子マネーで決済する電子マネー決済装置、および
前記電子マネー決済装置を用いた電子マネー決済が選択されているかどうかを検出する決済情報検出手段を備え、
前記継続使用推定手段は、前記電子マネー決済装置を用いた電子マネー決済が選択されていることが前記決済情報検出手段によって検出されたとき、前記画像形成部の使用が継続されると推定し、
前記画質調整管理手段は、前記実施条件判定手段によって前記実施条件を満たすと判定された場合でも、前記継続使用推定手段によって前記画像形成部の使用が継続されると推定されたときは、前記画質調整の実施を延期する、画像形成装置。
【請求項3】
特定の印刷ジョブが選択されているどうかを判定するジョブ判定手段を備え、
前記画質調整管理手段は、前記ジョブ判定手段によって前記特定の印刷ジョブが選択されていると判定されたときは、前記画質調整の実施頻度を上げるように前記実施条件を変更し、前記継続使用推定手段によって前記画像形成部の使用が継続されると推定された場合でも、前記実施条件判定手段によって変更後の前記実施条件を満たすと判定されたときに前記画質調整を実施する、請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画質調整管理手段は、前記画質調整の実施を延期した場合、前記継続使用推定手段によって前記画像形成部の使用が継続されないと推定され、かつ一定時間が経過したときに、前記画質調整を実施する、請求項1から3までのいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
記録媒体に画像を形成する画像形成部と前記画像形成部の画質調整を実施する画質調整手段と前記画像形成部による画像形成に応じた課金を現金で決済する課金装置とを備える画像形成装置によって実行される画質調整プログラムであって、
前記画像形成装置のプロセッサに、
前記画質調整を実施する所定の実施条件を満たすか否かを判定する実施条件判定ステップ、
前記実施条件判定ステップにおける判定結果に基づいて、前記画質調整手段による前記画質調整の実施を管理する画質調整管理ステップ、
前記画像形成部の使用が継続されるかどうかを推定する継続使用推定ステップ、および
前記課金装置に入金されているかどうかを検出する入金情報検出ステップを実行させ、
前記継続使用推定ステップでは、前記課金装置に入金されていることが前記入金情報検出
ステップによって検出されたとき、前記画像形成部の使用が継続されると推定し、
前記画質調整管理ステップでは、前記実施条件判定ステップにおいて前記実施条件を満たすと判定された場合でも、前記継続使用推定ステップにおいて前記画像形成部の使用が継続されると推定されたときは、前記画質調整の実施を延期する、画質調整プログラム。
【請求項6】
記録媒体に画像を形成する画像形成部と前記画像形成部の画質調整を実施する画質調整手段と前記画像形成部による画像形成に応じた課金を電子マネーで決済する電子マネー決済装置とを備える画像形成装置によって実行される画質調整プログラムであって、
前記画像形成装置のプロセッサに、
前記画質調整を実施する所定の実施条件を満たすか否かを判定する実施条件判定ステップ、
前記実施条件判定ステップにおける判定結果に基づいて、前記画質調整手段による前記画質調整の実施を管理する画質調整管理ステップ、
前記画像形成部の使用が継続されるかどうかを推定する継続使用推定ステップ、および
前記電子マネー決済装置を用いた電子マネー決済が選択されているかどうかを検出する決済情報検出ステップを実行させ、
前記継続使用推定ステップでは、前記電子マネー決済装置を用いた電子マネー決済が選択されていることが前記決済情報検出
ステップによって検出されたとき、前記画像形成部の使用が継続されると推定し、
前記画質調整管理ステップでは、前記実施条件判定ステップにおいて前記実施条件を満たすと判定された場合でも、前記継続使用推定ステップにおいて前記画像形成部の使用が継続されると推定されたときは、前記画質調整の実施を延期する、画質調整プログラム。
【請求項7】
記録媒体に画像を形成する画像形成部と前記画像形成部の画質調整を実施する画質調整手段と前記画像形成部による画像形成に応じた課金を現金で決済する課金装置とを備える画像形成装置の画質調整方法であって、
(a)前記画質調整を実施する所定の実施条件を満たすか否かを判定する実施条件判定ステップ、
(b)前記実施条件判定ステップにおける判定結果に基づいて、前記画質調整手段による前記画質調整の実施を管理する画質調整管理ステップ、
(c)前記画像形成部の使用が継続されるかどうかを推定する継続使用推定ステップ、および
(d)前記課金装置に入金されているかどうかを検出する入金情報検出ステップを含み、
前記継続使用推定ステップでは、前記課金装置に入金されていることが前記入金情報検出
ステップによって検出されたとき、前記画像形成部の使用が継続されると推定し、
前記画質調整管理ステップでは、前記実施条件判定ステップにおいて前記実施条件を満たすと判定された場合でも、前記継続使用推定ステップにおいて前記画像形成部の使用が継続されると推定されたときは、前記画質調整の実施を延期する、画質調整方法。
【請求項8】
記録媒体に画像を形成する画像形成部と前記画像形成部の画質調整を実施する画質調整手段と前記画像形成部による画像形成に応じた課金を電子マネーで決済する電子マネー決済装置とを備える画像形成装置の画質調整方法であって、
(a)前記画質調整を実施する所定の実施条件を満たすか否かを判定する実施条件判定ステップ、
(b)前記実施条件判定ステップにおける判定結果に基づいて、前記画質調整手段による前記画質調整の実施を管理する画質調整管理ステップ、
(c)前記画像形成部の使用が継続されるかどうかを推定する継続使用推定ステップ、および
(d)前記電子マネー決済装置を用いた電子マネー決済が選択されているかどうかを検出する決済情報検出ステップを含み、
前記継続使用推定ステップでは、前記電子マネー決済装置を用いた電子マネー決済が選択されていることが前記決済情報検出
ステップによって検出されたとき、前記画像形成部の使用が継続されると推定し、
前記画質調整管理ステップでは、前記実施条件判定ステップにおいて前記実施条件を満たすと判定された場合でも、前記継続使用推定ステップにおいて前記画像形成部の使用が継続されると推定されたときは、前記画質調整の実施を延期する、画質調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は画像形成装置、画質調整プログラムおよび画質調整方法に関し、特にたとえば、記録媒体に画像を形成する画像形成部と画像形成部の画質調整を実施する画質調整部とを備える、画像形成装置、画質調整プログラムおよび画質調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置の一例が特許文献1に開示されている。特許文献1の印刷装置は、印刷データを記録媒体に印刷する印刷手段と、印刷手段における印刷品位を保持すべく印刷濃度を調整する調整手段と、調整手段による印刷濃度調整の実行時期を任意に設定可能な設定手段とを備える。また、特許文献1には、同一ジョブの印刷が行われているときに、印刷枚数が濃度調整(画質調整)処理を実行させるべき設定された枚数を超えたとき、同一ジョブの印刷が終了してから濃度調整処理を実行する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コンビニエンスストアおよび図書館などの不特定多数のユーザが使用する環境に設置される画像形成装置においては、パブリックプリントや各種証明書プリントといったサービスに対して、少量の印刷ジョブを繰り返す(たとえば、コピー作業を1枚ずつ繰り返し行う)使用態様が多く見受けられるが、特許文献1の技術では、このような使用態様には適切に対応できない。特許文献1の技術では、同一の印刷ジョブが終了したときに画質調整を実行するので、ユーザがコピー作業を継続しよう(或る印刷ジョブを実行した後に、続けて別の印刷ジョブを実行しよう)と思っている場合でも、印刷ジョブ間に画質調整が始まり、ユーザが待たされる事態が生じてしまうからである。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、画像形成装置、画質調整プログラムおよび画質調整方法を提供することである。
【0006】
この発明の他の目的は、適切なタイミングで画質調整を実行でき、ユーザにかかるストレスを低減できる、画像形成装置、画質調整プログラムおよび画質調整方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、記録媒体に画像を形成する画像形成部と画像形成部の画質調整を実施する画質調整手段とを備える画像形成装置であって、画質調整を実施する所定の実施条件を満たすか否かを判定する実施条件判定手段、実施条件判定手段の判定結果に基づいて、画質調整手段による画質調整の実施を管理する画質調整管理手段、画像形成部の使用が継続されるかどうかを推定する継続使用推定手段、画像形成部による画像形成に応じた課金を現金で決済する課金装置、および課金装置に入金されているかどうかを検出する入金情報検出手段を備え、継続使用推定手段は、課金装置に入金されていることが入金情報検出手段によって検出されたとき、画像形成部の使用が継続されると推定し、画質調整管理手段は、実施条件判定手段によって実施条件を満たすと判定された場合でも、継続使用推定手段によって画像形成部の使用が継続されると推定されたときは、画質調整の実施を延期する、画像形成装置である。
【0008】
第1の発明によれば、画像形成部の使用が継続されると推定される場合には、画質調整の実施条件を満たすときでも画質調整の実施を延期するので、画質調整によってユーザが待たされる事態の発生を低減できる。すなわち、画質調整を適切なタイミングで実施でき、ユーザにかかるストレスを低減できる。
【0011】
第2の発明は、記録媒体に画像を形成する画像形成部と画像形成部の画質調整を実施する画質調整手段とを備える画像形成装置であって、画質調整を実施する所定の実施条件を満たすか否かを判定する実施条件判定手段、実施条件判定手段の判定結果に基づいて、画質調整手段による画質調整の実施を管理する画質調整管理手段、画像形成部の使用が継続されるかどうかを推定する継続使用推定手段、画像形成部による画像形成に応じた課金を電子マネーで決済する電子マネー決済装置、および電子マネー決済装置を用いた電子マネー決済が選択されているかどうかを検出する決済情報検出手段を備え、継続使用推定手段は、電子マネー決済装置を用いた電子マネー決済が選択されていることが決済情報検出手段によって検出されたとき、画像形成部の使用が継続されると推定し、画質調整管理手段は、実施条件判定手段によって実施条件を満たすと判定された場合でも、継続使用推定手段によって画像形成部の使用が継続されると推定されたときは、画質調整の実施を延期する、画像形成装置である。
【0013】
第3の発明は、第1または第2の発明に従属し、特定の印刷ジョブが選択されているどうかを判定するジョブ判定手段を備え、画質調整管理手段は、ジョブ判定手段によって特定の印刷ジョブが選択されていると判定されたときは、画質調整の実施頻度を上げるように実施条件を変更し、継続使用推定手段によって画像形成部の使用が継続されると推定された場合でも、実施条件判定手段によって変更後の実施条件を満たすと判定されたときに画質調整を実施する。
【0014】
第3の発明によれば、写真プリント等の特定の印刷ジョブにおいては、画質調整を優先的に実施する。したがって、画質調整をより適切なタイミングで実施でき、ユーザにかかるストレスをより適切に低減できる。
【0015】
第4の発明は、第1から第3のいずれかの発明に従属し、画質調整管理手段は、画質調整の実施を延期した場合、継続使用推定手段によって画像形成部の使用が継続されないと推定され、かつ一定時間が経過したときに、画質調整を実施する。
【0016】
第4の発明によれば、画像形成部の使用が継続されないと推定されかつ一定時間が経過したときに、延期していた画質調整を実施するので、画像形成装置を利用するユーザが入れ替る場合などにも適切に対応できる。
【0017】
第5の発明は、記録媒体に画像を形成する画像形成部と画像形成部の画質調整を実施する画質調整手段と画像形成部による画像形成に応じた課金を現金で決済する課金装置とを備える画像形成装置によって実行される画質調整プログラムであって、画像形成装置のプロセッサに、画質調整を実施する所定の実施条件を満たすか否かを判定する実施条件判定ステップ、実施条件判定ステップにおける判定結果に基づいて、画質調整手段による画質調整の実施を管理する画質調整管理ステップ、画像形成部の使用が継続されるかどうかを推定する継続使用推定ステップ、および課金装置に入金されているかどうかを検出する入金情報検出ステップを実行させ、継続使用推定ステップでは、課金装置に入金されていることが入金情報検出ステップによって検出されたとき、画像形成部の使用が継続されると推定し、画質調整管理ステップでは、実施条件判定ステップにおいて実施条件を満たすと判定された場合でも、継続使用推定ステップにおいて画像形成部の使用が継続されると推定されたときは、画質調整の実施を延期する、画質調整プログラムである。
第6の発明は、記録媒体に画像を形成する画像形成部と画像形成部の画質調整を実施する画質調整手段と画像形成部による画像形成に応じた課金を電子マネーで決済する電子マネー決済装置とを備える画像形成装置によって実行される画質調整プログラムであって、画像形成装置のプロセッサに、画質調整を実施する所定の実施条件を満たすか否かを判定する実施条件判定ステップ、実施条件判定ステップにおける判定結果に基づいて、画質調整手段による画質調整の実施を管理する画質調整管理ステップ、画像形成部の使用が継続されるかどうかを推定する継続使用推定ステップ、および電子マネー決済装置を用いた電子マネー決済が選択されているかどうかを検出する決済情報検出ステップを実行させ、継続使用推定ステップでは、電子マネー決済装置を用いた電子マネー決済が選択されていることが決済情報検出ステップによって検出されたとき、画像形成部の使用が継続されると推定し、画質調整管理ステップでは、実施条件判定ステップにおいて実施条件を満たすと判定された場合でも、継続使用推定ステップにおいて画像形成部の使用が継続されると推定されたときは、画質調整の実施を延期する、画質調整プログラムである。
【0018】
第7の発明は、記録媒体に画像を形成する画像形成部と画像形成部の画質調整を実施する画質調整手段と画像形成部による画像形成に応じた課金を現金で決済する課金装置とを備える画像形成装置の画質調整方法であって、(a)画質調整を実施する所定の実施条件を満たすか否かを判定する実施条件判定ステップ、(b)実施条件判定ステップにおける判定結果に基づいて、画質調整手段による画質調整の実施を管理する画質調整管理ステップ、(c)画像形成部の使用が継続されるかどうかを推定する継続使用推定ステップ、および(d)課金装置に入金されているかどうかを検出する入金情報検出ステップを含み、継続使用推定ステップでは、課金装置に入金されていることが入金情報検出ステップによって検出されたとき、画像形成部の使用が継続されると推定し、画質調整管理ステップでは、実施条件判定ステップにおいて実施条件を満たすと判定された場合でも、継続使用推定ステップにおいて画像形成部の使用が継続されると推定されたときは、画質調整の実施を延期する、画質調整方法である。
第8の発明は、記録媒体に画像を形成する画像形成部と画像形成部の画質調整を実施する画質調整手段と画像形成部による画像形成に応じた課金を電子マネーで決済する電子マネー決済装置とを備える画像形成装置の画質調整方法であって、(a)画質調整を実施する所定の実施条件を満たすか否かを判定する実施条件判定ステップ、(b)実施条件判定ステップにおける判定結果に基づいて、画質調整手段による画質調整の実施を管理する画質調整管理ステップ、(c)画像形成部の使用が継続されるかどうかを推定する継続使用推定ステップ、および(d)電子マネー決済装置を用いた電子マネー決済が選択されているかどうかを検出する決済情報検出ステップを含み、継続使用推定ステップでは、電子マネー決済装置を用いた電子マネー決済が選択されていることが決済情報検出ステップによって検出されたとき、画像形成部の使用が継続されると推定し、画質調整管理ステップでは、実施条件判定ステップにおいて実施条件を満たすと判定された場合でも、継続使用推定ステップにおいて画像形成部の使用が継続されると推定されたときは、画質調整の実施を延期する、画質調整方法である。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、画像形成部の使用が継続されると推定される場合には、画質調整の実施条件を満たすときでも画質調整の実施を延期するので、画質調整によってユーザが待たされる事態の発生を低減できる。すなわち、画質調整を適切なタイミングで実施でき、ユーザにかかるストレスを低減できる。
【0020】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う後述の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】この発明の第1実施例の画像形成装置を示す正面図である。
【
図2】
図1に示す画像形成装置の電気的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図2に示すRAMのメモリマップの一例を示す図である。
【
図4】
図2に示すCPUの画質調整処理の一例を示すフロー図である。
【
図5】この発明の第2実施例の画像形成装置が備えるCPUの画質調整処理の一例を示すフロー図である。
【
図6】この発明の第3実施例の画像形成装置が備えるCPUの画質調整処理の一例を示すフロー図である。
【
図7】この発明の第4実施例の画像形成装置が備えるCPUの画質調整処理の一例を示すフロー図である。
【
図8】この発明の第5実施例の画像形成装置が備えるCPUの画質調整処理の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1実施例]
図1を参照して、この発明の一実施例である画像形成装置10は、所定の用紙(記録媒体)に対して多色または単色の画像を形成する装置である。詳細は後述するように、画像形成装置10は、所定条件を満たしたときに画像形成部20の画質調整(プロセスコントロール)を実施する画質調整手段を備えている。また、この第1実施例の画像形成装置10は、課金装置16を備え、コンビニエンスストアおよび図書館などの不特定多数のユーザが使用する環境に設置される。ユーザは、画像形成装置10が提供するサービスに応じた料金を支払う。
【0023】
先ず、画像形成装置10の基本構成について簡単に説明する。なお、この実施例では、ユーザの立ち位置に対向する面、つまり操作パネル28が設けられる側の面を前面(正面)として画像形成装置10およびその構成部材の前後方向(奥行方向)を規定し、画像形成装置10およびその構成部材の左右方向(横方向)は、ユーザから画像形成装置10を見た状態を基準として規定する。
【0024】
図1に示すように、この第1実施例では、画像形成装置10は、プリンタ機能、ファクシミリ機能、複写機能およびスキャナ機能などを有する複合機(MFP:Multifunction Peripheral)である。画像形成装置10は、画像形成部20を備える装置本体12と、装置本体12の上側に設けられる画像読取装置14と、装置本体12の左側に設けられる課金装置16とを備える。
【0025】
装置本体12には、後述するCPU50およびRAM52等を含む制御部、および画像形成部20などが内蔵される。制御部は、操作パネル28への入力操作などに応じて、画像形成装置10の各部位に制御信号を送信し、画像形成装置10に種々の動作を実行させる。
【0026】
画像形成部20は、露光ユニット、現像装置、感光体ドラム、帯電器、中間転写ベルト、転写ローラおよび定着ユニット等を備える。画像形成部20は、その下方に配置される給紙カセット22等から紙送り機構によって搬送される用紙に対して、電子写真方式によって画像を形成し、画像形成済みの用紙を排紙トレイ24に排出する。すなわち、画像形成部20は、帯電器および露光ユニット等によって画像データに応じた静電潜像を感光体ドラム上に形成し、現像装置によって、感光体ドラム上の静電潜像をトナーで顕像化する。また、感光体ドラム上に形成されたトナー像を中間転写ベルトおよび転写ローラ等によって用紙に転写し、用紙に転写されたトナー像を定着ユニットによって熱定着させる。用紙上に画像を形成するための画像データとしては、画像読取装置14で読み取った画像データまたは外部コンピュータから送信された画像データ等が利用される。
【0027】
画像読取装置14は、透明材によって形成される原稿載置台を上面に有する筐体を備える。この筐体内には、光源、複数のミラー、結像レンズおよびラインセンサ等が設けられる。画像読取装置14は、原稿表面を光源によって露光し、原稿表面から反射した反射光を複数のミラーによって結像レンズに導く。そして、結像レンズによって反射光をラインセンサの受光素子に結像させる。ラインセンサでは、受光素子に結像した反射光の輝度や色度が検出され、原稿表面の画像に基づく画像データが生成される。ラインセンサとしては、CCD(Charge Coupled Device)またはCIS(Contact Image Sensor)等が用いられる。
【0028】
また、画像読取装置14の上面には、奥側に配置されるヒンジ等を介して、原稿押えカバー26が開閉自在に取り付けられる。さらに、画像読取装置14の前面側には、ユーザによる印刷指示等の入力操作を受け付けるタッチパネル付きのディスプレイおよび操作ボタン等を備える操作パネル28が設けられる。
【0029】
さらに、装置本体12の筐体前面には、人検出センサ30が設けられる。人検出センサ30は、画像形成装置10の前方の所定範囲に人が存在するかどうかを判断するためのセンサである。この人検出センサ30としては、焦電センサ(赤外線センサ)、光学式測距センサまたは超音波センサ等が用いられる。人検出センサ30で検出可能な最大距離よりも短い所定距離(たとえば、3~5m)を半径とする画像形成装置10の前方の半円の部分が検出領域として設定され、人検出センサ30の検出結果に基づいて検出領域内の人が検出される。
【0030】
課金装置16は、画像形成装置10で提供されるコピーおよびプリント等の印刷サービス(印刷ジョブ)を含む各種サービスに応じた課金を現金で決済する、つまり対価の支払いを現金で受け取る装置である。すなわち、課金装置16は、画像形成部20による画像形成に応じた課金を現金で決済する課金装置の一例である。この実施例の課金装置16は、貨幣処理部32および近距離通信部34などを備え、装置本体12と有線または無線で通信可能に接続される。
【0031】
貨幣処理部32は、貨幣投入部32aおよび硬貨返却口32bを含み、課金装置16の上部に設けられる。貨幣投入部32aは、硬貨投入口、紙幣投入口および釣銭返却レバー等を含む。貨幣投入部32aから投入された硬貨および紙幣は、それぞれ種類毎に分類されて所定の貨幣格納部(不図示)に収容され、貨幣格納部に格納された硬貨の種類および枚数と紙幣の種類および枚数とに応じて、投入金額が算出される。画像形成装置10においてコピーおよびプリント等が実行されると、そのサービスの内容に応じた課金が投入金額から減算され、投入金額から料金を差し引いて残った金額(残額)が算出される。また、釣銭返却レバーが操作されると、残額に応じて硬貨または紙幣が返却される。
【0032】
また、課金装置16は、貨幣処理部32における現金での決済に代えて、またはこれに加えて、近距離通信部34を用いた電子マネー決済が可能である。すなわち、課金装置16は、画像形成部による画像形成に応じた課金を電子マネーで決済する電子マネー決済装置の一例でもある。
【0033】
近距離通信部34は、たとえば、ISO/IEC18092等の通信規格(いわゆるNFC(Near Field Communication))に従って、通信対象との間で無線による非接触のデータ通信を行うものである。近距離通信部34の通信可能距離は、数cm~数m程度である。たとえば、近距離通信部34は、Felica(登録商標)等の通信規格に従って、ICカードおよび携帯端末(フィーチャーフォン、スマートフォンおよびタブレットPC等)などの電子マネー媒体との間で無線による非接触のデータ通信を行う。
【0034】
電子マネー決済を行う際には、ユーザによって、電子マネーによる支払いが選択される共に、電子マネー媒体が近距離通信部34にかざされる。すると、近距離通信部34によって電子マネー媒体が有する電子マネーデータが読み取られる。このとき、電子マネーデータに含まれる電子マネー残高が読み取られる。そして、提供されるサービス等の内容に応じた費用が電子マネー残高から減算され、決済が完了されることでサービス等が提供される。
【0035】
さらに、課金装置16には、レシートまたはクーポン券などの画像が印刷された紙片を発行するサーマルプリンタ等の紙片用プリンタ36、および、写真用の用紙上に画像を印刷する昇華型プリンタまたはインクジェットプリンタ等の写真用プリンタ38等が適宜設けられる。
【0036】
図2は、画像形成装置10の電気的な構成の一例を示すブロック図である。ただし、本願発明に直接的に関係の無い一部のコンポーネントについては省略してある。
【0037】
図2に示すように、画像形成装置10は、CPU50、RAM52およびHDD54等を含む制御部を備える。CPU50には、バス56を介して、画像読取装置14、画像形成部20、操作パネル28、人検出センサ30、通信回路58および課金装置16が接続される。
【0038】
CPU50は、HDD54に記憶されたプログラムに従って、画像形成装置10の全体的な制御を司る。また、CPU50は、この実施例の画質調整処理を実行し、実施条件判定手段、画質調整管理手段、継続使用推定手段および入金情報検出手段などとして機能する。
【0039】
RAM52は、CPU50のワーキング領域およびバッファ領域として用いられる。HDD54は、画像形成装置10の主記憶装置であって、CPU50が画像形成装置10の各部位の動作を制御するための制御プログラムおよび各種の画面についての表示画像データ等を適宜記憶する。ただし、HDDに代えて、またはHDDとともに、SSD、フラッシュメモリ、EEPROMなどの他の不揮発性メモリが用いられてもよい。なお、画像読取装置14および画像形成部20は、上記のとおりであるため、重複した説明は省略する。
【0040】
操作パネル28は、タッチパネル付きのディスプレイおよび操作ボタン等を含む。ディスプレイは、LCDなどの汎用のモニタであり、図示しない表示制御回路を介してCPU50に接続される。表示制御回路は、GPUおよびVRAMなどを含む。CPU50の指示の下、GPUは、RAM52に記憶された画像生成データを用いて、ディスプレイに種々の画面を表示するための表示画像データをVRAMに生成し、生成した表示画像データをディスプレイに出力する。タッチパネルは、タッチ有効範囲内でのタッチ操作を検出して、そのタッチ操作の位置を示すタッチ座標データをCPU50に出力する。操作ボタンは、ハードウェアキーであり、ホームボタン、節電キーおよび電源ボタンなどの各種のキーないしボタンを含む。
【0041】
人検出センサ30は、赤外線センサを用いた人感センサであり、CPU50は、人検出センサ30の出力に基づいて画像形成装置10の周囲の所定範囲に存在する人の有無を検出する。
【0042】
通信回路58は、インターネットなどのネットワークに接続するための通信回路(通信部)である。この通信回路58は、有線通信回路または無線通信回路であり、CPU50からの指示に従って、ネットワークを介してサーバおよび携帯端末などの外部コンピュータと通信する。
【0043】
課金装置16は、貨幣処理部32および近距離通信部34などを含み、画像形成部20による画像形成に応じた課金を現金または電子マネーで決済する装置である。課金装置16は、ユーザが投入した現金の残高を示す入金情報(残高情報)を保持しており、CPU50からの要求に応じて入金情報をCPU50に通知する。
【0044】
このような画像形成装置10においては、装置周辺の環境条件の変化、または感光体ドラムや現像剤の劣化などに起因して、画像形成部20による画像の形成状態(画質)に変化が生じるため、その画質変化を防止ないし抑制すべく画質調整(プロセスコントロール)を行う。この画質調整は、所定枚数毎、所定時間毎および電源立上げ毎などの所定の実施条件を満たしたときに行われる。
【0045】
画質調整を行う際には、たとえば、中間転写ベルト上に濃度補正用の基準トナー像(トナーパッチ)を形成し、そのトナーパッチの画像濃度データを濃度センサによって検出する。そして、検出した画像濃度データに基づいて、所望の画像濃度が得られるように、帯電電位、露光量、現像電位など各種の画像形成条件を変更(調整)する制御を行う。
【0046】
ここで、単純に実施条件を満たしたときに画質調整を実行すると、ユーザを待たせる事態が生じる場合があるので、ユーザに対する利便性を向上させるためには、画質調整を実施するタイミングが問題となる。たとえば、5枚からなる原稿を1枚ずつ原稿載置台に載せて、順番に1部ずつコピー作業を行っていくとする。コンビニエンスストア等では、このような使い方で不特定多数のユーザが入れ替わって続けられることが非常に多い。この際、たとえば4枚目のコピー印字にて画質調整の実施条件である所定枚数(たとえば前回の実施から500枚)に到達した場合、画質調整が実施される。ユーザは、残り1枚のコピー作業を待たされることとなり、ストレスを感じる。これは、同一の印刷ジョブが終了するまで画質調整を遅らせる従来技術では対応できないものである。
【0047】
そこで、この実施例では、所定の検出情報に基づいて、ユーザによる画像形成部20の使用、つまり画像形成部20を用いて用紙に画像形成するコピージョブおよびプリントジョブ等の印刷ジョブが継続されるかどうかを推定(判断)する。すなわち、同一の印刷ジョブの実施途中であるかどうかに係わりなく、画像形成部20の使用が継続されるかどうかを推定する。そして、画像形成部20の使用が継続されると推定された場合には、画質調整の実施条件を満たす場合でも、画質調整の実施を一時的に延期することで、画質調整を実施するタイミングの最適化を図り、ユーザにかかるストレスを低減するようにしている。
【0048】
画像形成部20の使用が継続されるかどうかを推定するための検出情報としては、課金装置16への入金情報、人検出センサ30による人検知情報、課金装置16(電子マネー決済装置)における電子マネー選択情報、通信回路58によるデータ通信情報、操作パネル28への入力情報などが用いられる。これらの検出情報は、1つのみを用いてもよいし、複数を組み合せて用いてもよい。
【0049】
この第1実施例では、課金装置16への入金情報に基づいて画像形成部20の使用が継続されるかどうかを推定し、その推定結果に基づいて画質調整実施の可否を判断する。すなわち、課金装置16への入金(残金)がある場合には、画像形成部20の使用が継続されると推定し、画質調整の実施条件を満たす場合でも、画質調整の実施を延期する。一方、課金装置16への入金がない(なくなった)場合には、画像形成部20の使用は継続されないと推定し、これをトリガーとして、延期していた画質調整を実施する。
【0050】
ただし、この第1実施例では、画像形成部20の使用は継続されないと推定された場合でも、直ちに画質調整を実施するのではなく、所定時間(たとえば5分)が経過した後に、延期していた画質調整を実施する。これは、画像形成装置10を利用するユーザが入れ替る場合、つまり課金装置16への入金が一旦清算されたり、人検出センサ30による人検知が一時的に無検知となったりする場合などに適切に対応するためである。また、課金装置16への入金(残金)が途中でなくなって、ユーザが追加入金するような場合に対応するためである。
【0051】
図3は、
図2に示したRAM52のメモリマップ100の一例を示す図である。RAM52は、プログラム記憶領域102およびデータ記憶領域104を含む。プログラム記憶領域102は、画像読取プログラム102a、印刷プログラム102b、画像調整実施プログラム102c、入金情報検出プログラム102d、使用状態推定プログラム102eおよび画像調整条件変更プログラム102fなどを記憶する。
【0052】
画像読取プログラム102aは、画像読取装置14の動作を制御して、原稿載置台に載置された原稿の画像を読み取り(スキャンし)、読み取った画像に対応する画像データを出力するためのプログラムである。印刷プログラム102bは、画像形成部20の動作を制御して、画像読取装置14で読み取った画像データまたは外部コンピュータから送信された画像データに対応する画像を用紙に印刷するためのプログラムである。
【0053】
画質調整実施プログラム102cは、画像形成部20の動作を制御して、画質調整を行うためのプログラムである。すなわち、画質調整実施プログラム102cは、中間転写ベルト上にトナーパッチを形成し、そのトナーパッチの画像濃度データに基づいて画像形成条件を変更するためのプログラムである。
【0054】
入金情報検出プログラム102dは、課金装置16に対する入金情報を検出する、すなわち課金装置16に入金されているかどうかを検出するためのプログラムである。
【0055】
使用状態推定プログラム102eは、所定の検出情報に基づいて、ユーザによる画像形成部20の使用が継続されるかどうかを推定するためのプログラムである。この第1実施例では、入金情報検出プログラム102dを用いて検出された課金装置16に対する入金情報に基づいて、画像形成部20の使用が継続されるかどうかを推定するためのプログラムである。
【0056】
画質調整条件変更プログラム102fは、使用状態推定プログラム102eによる推定結果に基づいて、画質調整の実施条件を満たす場合でも、画質調整の実施を一時的に延期するためのプログラムである。
【0057】
なお、図示は省略するが、プログラム記憶領域102には、CPU50で各種の機能を実行するための他のプログラム、たとえば、通信プログラムおよび人検出プログラムなども記憶される。
【0058】
一方、RAM52のデータ記憶領域104には、印刷データ104a、画質調整実施条件データ104b、使用状態推定データ104cおよび画質調整実施規制フラグ104dなどが記憶される。
【0059】
印刷データ104aは、画像読取装置14で読み取った画像データまたは外部装置から受信した画像データである。
【0060】
画質調整実施条件データ104bは、画質調整を実施すべき所定の実施条件についてのデータであり、たとえば、前回の画質調整実施からの印刷枚数などのデータである。
【0061】
使用状態推定データ104cは、画像形成部20の使用が継続されるかどうかを推定するための所定の検出情報についてのデータであり、たとえば、課金装置16に対する入金情報についてデータである。
【0062】
画質調整実施規制フラグ104dは、画質調整の実施が規制されているかどうかを示すフラグである。たとえば、画質調整実施規制フラグ104dは、1ビットのレジスタで構成される。この画質調整実施規制フラグ104dがオンのとき、画質調整の実施が規制(禁止)され、画質調整実施規制フラグ104dがオフのとき、所定の実施条件を満たすことを条件として、画質調整の実施が許可される。
【0063】
なお、図示は省略するが、データ記憶領域104には、画像形成装置10の全体制御処理の実行に必要な他のデータが記憶されたり、全体制御処理の実行に必要なタイマ(カウンタ)およびレジスタが設けられたりする。
【0064】
図4は、
図2に示すCPU50の画質調整処理の一例を示すフロー図である。CPU50は、たとえば、画像形成装置10がスリープ状態から復帰して、各機能を実行可能な待機状態になったときに、この画質調整処理を開始する。なお、このフロー図では、現金決済(現金払い)でコピージョブが実施されることを前提として説明する。
【0065】
図4に示すように、CPU50は、この画質調整処理を開始すると、ステップS1で、コピージョブ(印刷ジョブの一例)の受付があるかどうか、つまりユーザによってコピージョブが選択されたかどうかを判断する。たとえば、CPU50は、原稿載置台に原稿がセットされると共に、操作パネル28に設けられるコピージョブを受け付けるための選択キーが押下されたときに、コピージョブが選択されたと判断する。この際には、ユーザの入力操作に基づき、原稿の種類、用紙サイズおよび部数などの印刷条件、ならびに印刷条件に基づいて算出されるコピー料金および支払方法を設定する。また、後述するコピー開始キーが選択される前に、コピーの出来上がりをプレビュー画面で確認するための確認キーが選択された場合には、スキャンした原稿データの印刷条件に応じた中間調処理出力画像を生成し、操作パネル28のディスプレイに印刷画像のプレビュー画面を表示させる。
【0066】
ステップS1で“NO”であれば、つまりコピージョブの受付がない場合には、ステップS3に進む。ステップS3では、所定時間が経過したかどうかを判断する。ステップS3で“NO”であれば、ステップS1に戻り、ステップS3で“YES”であれば、そのままステップS17に進む。一方、ステップS1で“YES”であれば、つまりコピージョブの受付がある場合には、ステップS5に進む。
【0067】
ステップS5では、課金装置16に入金されているかどうかを判断する。すなわち、CPU50は、課金装置16から、当該課金装置16にユーザが投入した現金の残高を示す入金情報を取得し、この入金情報に基づいて画像形成部20の使用が継続されるかどうかを推定する。なお、画像形成部20によるコピージョブを実行するためには、課金装置16にコピー料金が予め入金されている(残高がある)ことが条件となるので、CPU50は、コピージョブに必要な料金以上の残高があるかどうかもステップS5において判断する。
【0068】
ステップS5で“NO”であれば、つまり課金装置16に入金されておらず画像形成部20の使用が継続されないと推定されるときは、ステップS3に進む。上述のように、ステップS3で“NO”であれば、ステップS1に戻り、ステップS3で“YES”であれば、そのままステップS17に進む。すなわち、CPU50は、ユーザがコピージョブを選択したものの、途中で止めてしまった場合または課金装置16に入金されない場合などには、ステップS3において所定時間(たとえば5分)が経過するのを待った後、処理をステップS17に進める。
【0069】
一方、ステップS5で“YES”であれば、つまり課金装置16に入金されており画像形成部20の使用が継続されると推定されるときは、ステップS7に進む。ただし、ステップS5で“YES”となるためには、選択されたコピージョブに必要な料金以上の残高があることも条件となる。
【0070】
ステップS7では、画質調整の実施規制をオンにする。すなわち、CPU50は、画質調整実施規制フラグ104dをオンにし、画質調整の実施条件を満たす場合でも、画質調整の実施を延期する(つまり画質調整を実施するための制御信号を画像形成部20などに送信しない)ようにする。ただし、画質調整実施規制フラグ104dが既にオンであるときは、オンのままとする。また、CPU50は、操作パネル28に設けられる画像形成部20による印刷を実行するためのコピー開始キーを押下可能(操作可能)とする。
【0071】
次のステップS9では、印刷を実行する。すなわち、CPU50は、ユーザによってコピー開始キーが押下されたことを条件として、画像形成部20に制御信号を送信し、印刷処理を実行する。
【0072】
続くステップS11では、コピー料金を徴収する。すなわち、CPU50は、課金装置16の貨幣処理部32に制御信号を送信し、実施したコピージョブに応じた課金(コピー料金)を投入金額から減算し、投入金額からコピー料金を差し引いて残った金額を算出する。
【0073】
続くステップS13では、課金装置16に残金があるかどうか、つまり入金されているかどうかを判断する。ステップS13で“YES”であれば、つまり課金装置16に入金されており画像形成部20の使用が継続されると推定されるときは、ステップS1に戻る。ただし、このステップS13の前に、サービスの利用を続けるかどうかをユーザに確認し、ユーザがサービスの利用を終えるための終了キーを選択した場合には、釣銭返却レバーの操作を促すメッセージを操作パネル28のディスプレイに表示するとよい。一方、ステップS13で“NO”であれば、つまり課金装置16に残金がなく画像形成部20の使用が継続されないと推定されるときは、ステップS15に進む。
【0074】
ステップS15では、所定時間が経過したかどうかを判断する。そして、ステップS15で“NO”であれば、ステップS13に戻り、ステップS15で“YES”であれば、ステップS17に進む。すなわち、CPU50は、画像形成部20の使用が継続されないと推定される状態が所定時間(たとえば5分)続いたときに、ステップS17に進む。
【0075】
ステップS17では、画質調整の実施規制をオフにする。すなわち、CPU50は、画質調整実施規制フラグ104dをオフにし、画質調整を実施可能な状態とする。ただし、画質調整実施規制フラグ104dが既にオフであるときは、オフのままとする。
【0076】
続くステップS19では、画質調整の実施条件を満たすかどうかを判断する。たとえば、CPU50は、前回の画質調整の実施から所定の印刷枚数に達しているかどうかを判断する。ステップS19で“NO”であれば、つまり画質調整の実施条件を満たさない場合は、この画質調整処理を終了して待機状態に戻る。一方、ステップS19で“YES”であれば、つまり画質調整の実施条件を満たす場合は、ステップS21に進む。
【0077】
ステップS21では、画質調整を実行する。すなわち、CPU50は、画像形成部20などに制御信号を送信し、トナーパッチの画像濃度データに基づいて各種の画像形成条件を変更する制御を行う。ステップS21の処理が終了すると、この画質調整処理を終了して待機状態に戻る。
【0078】
以上のように、この第1実施例によれば、課金装置16への入金情報に基づいて画像形成部20の使用が継続されるかどうかを推定し、画像形成部20の使用が継続されると推定される場合には、画質調整の実施条件を満たすときでも画質調整の実施を延期するので、画質調整によってユーザが待たされる事態の発生を低減できる。すなわち、画質調整を適切なタイミングで実施でき、ユーザにかかるストレスを低減できる。
【0079】
また、第1実施例によれば、画像形成部20の使用は継続されないと推定され、かつこの状態で所定時間が経過した後に、延期していた画質調整を実施するので、画像形成装置10を利用するユーザが入れ替る場合などにも適切に対応できる。
【0080】
[第2実施例]
次に、
図5を参照して、この発明の第2実施例である画像形成装置10について説明する。この第2実施例では、画像形成部20の使用が継続されるかどうかを推定するための検出情報として、人検出センサ30による人検知情報を用いる点が上述の第1実施例と異なる。その他の部分については同様であるので、上述の第1実施例と重複する説明は、省略または簡略化する。
【0081】
第2実施例では、人検出センサ30による人検知情報に基づいて画像形成部20の使用が継続されるかどうかを推定し、その推定結果に基づいて画質調整実施の可否を判断する。すなわち、人検出センサ30によって人が検出されている場合には、画像形成部20の使用が継続されると推定し、画質調整の実施条件を満たす場合でも、画質調整の実施を延期する。一方、人検出センサ30によって人が検出されていない場合には、画像形成部20の使用は継続されないと推定し、これをトリガーとして、延期していた画質調整を実施する。
【0082】
図5は、第2実施例におけるCPU50の画質調整処理の一例を示すフロー図である。
図5に示すように、CPU50は、この画質調整処理を開始すると、ステップS31で、人検知があるかどうかを判断する。すなわち、CPU50は、人検出センサ30による検出結果に基づいて、画像形成装置10の前方の所定範囲に人が存在するかどうかを判断する。
【0083】
ステップS31で“NO”であれば、つまり人検出がない場合には、この画質調整処理をそのまま終了して待機状態に戻る。一方、ステップS31で“YES”であれば、つまり画像形成装置10の前方の所定範囲に人が存在しており画像形成部20の使用が継続されると推定されるときは、ステップS33に進む。ステップS33では、画質調整の実施規制をオンにする。すなわち、CPU50は、画質調整実施規制フラグ104dをオンにし、画質調整の実施条件を満たす場合でもその実施を延期する。
【0084】
続くステップS35~S45の処理は、課金装置16への入金情報に基づいて画質調整の実施規制をオンにする処理がないことを除き、
図4に示す第1実施例のステップS1~S13の処理と同様であるので、説明は省略する。
【0085】
ステップS47では、人検知があるかどうかを判断する。ステップS47で“YES”であれば、つまり人が検出されて画像形成部20の使用が継続されると推定されるときは、ステップS35に戻る。一方、ステップS47で“NO”であれば、つまり人の検出がなく画像形成部20の使用が継続されないと推定されるときは、ステップS49に進む。
【0086】
続くステップS49~S55の処理は、
図4に示す第1実施例のステップS15~21の処理と同様であるので、説明は省略する。これらステップS49~S55の処理が終了すると、この画質調整処理を終了して待機状態に戻る。
【0087】
この第2実施例においても、第1実施例と同様に、画像形成部20の使用が継続されると推定される場合には、画質調整の実施条件を満たすときでも画質調整の実施を延期するので、画質調整によってユーザが待たされる事態の発生を低減できる。すなわち、画質調整を適切なタイミングで実施でき、ユーザにかかるストレスを低減できる。
【0088】
[第3実施例]
続いて、
図6を参照して、この発明の第3実施例である画像形成装置10について説明する。この第3実施例では、画像形成部20の使用が継続されるかどうかを推定するための検出情報として、電子マネー決済装置(課金装置16)における電子マネー選択情報を用いる点が上述の第1実施例と異なる。その他の部分については同様であるので、上述の第1実施例と重複する説明は、省略または簡略化する。
【0089】
この第3実施例では、電子マネー決済装置における電子マネー選択情報に基づいて、画像形成部20の使用が継続されるかどうかを推定し、その推定結果に基づいて画質調整実施の可否を判断する。すなわち、ユーザによって電子マネーによる決済が選択されている場合には、画像形成部20の使用が継続されると推定し、画質調整の実施条件を満たす場合でも、画質調整の実施を延期する。一方、ユーザによって電子マネーによる決済の選択が解除された場合には、画像形成部20の使用は継続されないと推定し、これをトリガーとして、延期していた画質調整を実施する。
【0090】
図6は、第3実施例におけるCPU50の画質調整処理の一例を示すフロー図である。
図6に示すように、CPU50は、この画質調整処理を開始すると、ステップS61で、コピージョブ(印刷ジョブの一例)の受付があるかどうか、つまりユーザによってコピージョブが選択されたかどうかを判断する。この際には、ユーザの入力操作に基づき、原稿の種類、用紙サイズおよび部数などの印刷条件、ならびに印刷条件に基づいて算出されるコピー料金および支払方法を設定する。
【0091】
ステップS61で“NO”であれば、つまりコピージョブの受付がない場合には、ステップS63に進む。ステップS63では、所定時間が経過したかどうかを判断し、ステップS63で“NO”であれば、ステップS61に戻り、ステップS63で“YES”であれば、そのままステップS77に進む。一方、ステップS61で“YES”であれば、つまりコピージョブの受付がある場合には、ステップS65に進む。
【0092】
ステップS65では、電子マネー決済が選択されているかどうかを判断する。たとえば、CPU50は、操作パネル28に設けられる電子マネーによる決済を選択するための選択キーがユーザによって押下されたときに、電子マネー決済が選択されたと判断する。
【0093】
ステップS65で“NO”であれば、つまり電子マネー決済ではなく現金決済が選択されている場合には、
図4に示す第1実施例のステップS5に移動し、第1実施例と同様の処理を実行する。一方、ステップS65で“YES”であれば、つまり電子マネー決済が選択されており画像形成部20の使用が継続されると推定されるときは、ステップS67に進む。
【0094】
ステップS67では、画質調整の実施規制をオンにする。すなわち、CPU50は、画質調整実施規制フラグ104dをオンにし、画質調整の実施条件を満たす場合でもその実施を延期する。
【0095】
次のステップS69では、料金を決済し、続くステップS71において、印刷を実行する。すなわち、CPU50は、ユーザによってコピー開始キーが押下されたことを条件として、電子マネー媒体から読み取った電子マネーデータの電子マネー残高から、実施したコピージョブに応じた課金(コピー料金)を減算する(S69)。そして、電子マネーによる決済が終了した後に、画像形成部20に制御信号を送信し、印刷処理を実行する(S71)。
【0096】
続くステップS73では、電子マネー決済を終了するかどうか、つまり電子マネー決済の選択が解除されたかどうかを判断する。たとえば、CPU50は、操作パネル28に設けられるサービスの利用を終えるための終了キー、または電子マネー決済を終了するための電子マネー決済終了キーがユーザによって押下されたときに、電子マネー決済の選択が解除されたと判断する。
【0097】
ステップS73で“NO”であれば、つまり電子マネー決済が選択されており画像形成部20の使用が継続されると推定されるときは、ステップS61に戻る。一方、ステップS73で“YES”であれば、つまり電子マネー決済の選択が解除されて画像形成部20の使用が継続されないと推定されるときは、ステップS75に進む。
【0098】
続くステップS75~S81の処理は、
図4に示す第1実施例のステップS15~21の処理と同様であるので、説明は省略する。これらステップS75~S81の処理が終了すると、この画質調整処理を終了して待機状態に戻る。
【0099】
この第3実施例においても、第1実施例と同様に、画像形成部20の使用が継続されると推定される場合には、画質調整の実施条件を満たすときでも画質調整の実施を延期するので、画質調整によってユーザが待たされる事態の発生を低減できる。すなわち、画質調整を適切なタイミングで実施でき、ユーザにかかるストレスを低減できる。
【0100】
[第4実施例]
続いて、
図7を参照して、この発明の第4実施例である画像形成装置10について説明する。この第4実施例では、画像形成部20の使用が継続されるかどうかを推定するための検出情報として、通信回路58によるデータ通信情報を用いる点が上述の第1実施例と異なる。その他の部分については同様であるので、上述の第1実施例と重複する説明は、省略または簡略化する。
【0101】
たとえば、携帯端末から10個のファイルをそれぞれ1部ずつ順次ダウンロードしてプリントアウト(プリント印字)していくとする。この際、たとえば4個目のファイルのプリントアウトにて画質調整の実施条件である所定枚数に到達した場合、上述の従来技術では画質調整が実施される。ユーザは、残りのプリント作業を待たされることとなり、ストレスを感じる。
【0102】
そこで、この第4実施例では、通信回路58によるデータ通信情報に基づいて、画像形成部20の使用が継続されるかどうかを推定し、その推定結果に基づいて画質調整実施の可否を判断する。すなわち、通信回路58を用いて外部装置とデータ通信中である場合には、画像形成部20の使用が継続されると推定し、画質調整の実施条件を満たす場合でも、画質調整の実施を延期する。一方、通信回路58を用いた外部装置とのデータ通信が終了した場合には、画像形成部20の使用は継続されないと推定し、これをトリガーとして、延期していた画質調整を実施する。
【0103】
図7は、第4実施例におけるCPU50の画質調整処理の一例を示すフロー図である。なお、この実施例では、ユーザが所持する携帯端末から複数のファイルを順次ダウンロードしてプリントアウトする(プリントジョブが実施される)ことを前提として説明する。
【0104】
図7に示すように、CPU50は、この画質調整処理を開始すると、ステップS91で、プリントジョブ(印刷ジョブの一例)の受付があるかどうか、つまりユーザによってプリントジョブが選択されたかどうかを判断する。たとえば、CPU50は、操作パネル28に設けられるプリントジョブを受け付けるための選択キーが押下されたときに、プリントジョブが選択されたと判断する。
【0105】
ステップS91で“NO”であれば、つまりプリントジョブの受付がない場合には、ステップS93に進む。ステップS93では、所定時間が経過したかどうかを判断し、ステップS93で“NO”であれば、ステップS91に戻り、ステップS93で“YES”であれば、そのままステップS107に進む。一方、ステップS91で“YES”であれば、つまりプリントジョブの受付がある場合には、ステップS95に進む。
【0106】
ステップS95では、データ通信中であるどうかを判断する。ステップS95で“NO”であれば、つまりデータ通信が開始されていない場合は、データ通信が開始されるまで待つ。一方、ステップS95で“YES”であれば、つまりデータ通信中であり画像形成部20の使用が継続されると推定されるときは、ステップS97に進む。
【0107】
ステップS97では、画質調整の実施規制をオンにする。続くステップS99~S103の処理は、課金装置16への入金情報に基づいて画質調整の実施規制をオンにする処理がないことを除き、
図4に示す第1実施例のステップS5~S9の処理と同様であるので、説明は省略する。
【0108】
続くステップS105では、データ通信中であるかどうかを判断する。ステップS105で“YES”であれば、つまりデータ通信中である場合には、ステップS99に戻る。一方、ステップS105で“NO”であれば、つまりデータ通信が終了して画像形成部20の使用が継続されないと推定されるときは、ステップS107に進む。ステップS107では、画質調整の実施規制をオフにする。
【0109】
続くステップS109では、プリントジョブを終了するかどうかを判断する。たとえば、CPU50は、操作パネル28に設けられるサービスの利用を終えるための終了キーがユーザによって押下されたときに、プリントジョブを終了すると判断する。ステップS109で“NO”であれば、ステップS91に戻り、ステップS109で“YES”であれば、ステップS111に進む
続くステップS111およびS113の処理は、
図4に示す第1実施例のステップS19およびS21の処理と同様であるので、説明は省略する。これらS111およびS113の処理が終了すると、この画質調整処理を終了して待機状態に戻る。
【0110】
この第4実施例においても、第1実施例と同様に、画像形成部20の使用が継続されると推定される場合には、画質調整の実施条件を満たすときでも画質調整の実施を延期するので、画質調整によってユーザが待たされる事態の発生を低減できる。すなわち、画質調整を適切なタイミングで実施でき、ユーザにかかるストレスを低減できる。
【0111】
[第5実施例]
続いて、
図8を参照して、この発明の第5実施例である画像形成装置10について説明する。この第5実施例では、特定の印刷ジョブが選択されている場合には、画像形成部20の使用が継続されると推定された場合でも画質調整を実施する点が、上述の第1実施例と異なる。その他の部分については同様であるので、上述の第1実施例と重複する説明は、省略または簡略化する。
【0112】
たとえば、写真プリントおよび住民票プリントなどの印刷ジョブ(印刷サービス)では、高い画質が求められる。このような画質を優先すべき特定の印刷ジョブにおいて、上述の各実施例のように画質調整の実施を延期すると、ユーザが求める画質を満たさない印刷となってしまう恐れがある。期待したよりも低画質の印刷物は、ユーザのストレスとなり、印刷のやり直し等にも繋がる。住民票等のプリントにおいては、証明書としての役割を果たせないことによるユーザへの多大な影響を与える可能性もある。
【0113】
そこで、この第5実施例では、画質が優先とされる特定の印刷ジョブが選択されている場合には、画質調整の実施頻度を上げるように実施条件を変更し、画像形成部20の使用が継続されると推定された場合でも、変更後の実施条件を満たすと判定されたときに画質調整を実施することで、特定の印刷ジョブにおける画質を保持するようにしている。
【0114】
図8は、第5実施例におけるCPU50の画質調整処理の一例を示すフロー図である。なお、ステップS121~S127、S139~S151の処理は、
図4に示す第1実施例のステップS1~S21の処理と同様であるので、説明は省略する。
【0115】
CPU50は、S127において画質調整の実施規制をオンにすると、次のステップS129において、特定の印刷サービスが選択されているかどうか、つまり画質が優先とされる写真プリントおよび住民票プリントなどの特定の印刷ジョブが選択されているかどうかを判断する。ステップS129で“NO”であれば、つまり特定の印刷サービスが選択されていない場合は、ステップS139に進む。一方、ステップS129で“YES”であれば、つまり特定の印刷ジョブが選択されている場合は、ステップS131に進む。
【0116】
ステップS131では、画質調整の実施規制をオフにする。また、画質調整の実施頻度を上げるように実施条件を変更する。たとえば、CPU50は、画質調整の実施条件を即時実施に変更したり、前回実施から10枚到達時において実施に変更したりして、画質調整の実施頻度を上げる。
【0117】
次のステップS133では、ステップS131で変更した画質調整の実施条件を満たすかどうかを判断する。ステップS133で“YES”であれば、ステップS135で画質調整を実行してからステップS137に進む。一方、ステップS133で“NO”であれば、そのままステップS137に進む。ステップS137では、画質調整の実施規制をオンにすると共に、変更した画質調整の実施条件を元に戻しておく。
【0118】
この第5実施例によれば、画質調整によってユーザが待たされる事態の発生を低減できると共に、特定の印刷ジョブにおいては画質調整を優先的に実施するので、その画質も保持される。したがって、画質調整をより適切なタイミングで実施でき、ユーザにかかるストレスをより適切に低減できる。
【0119】
なお、本明細書中で挙げた、画像形成装置10の具体的な構成は、いずれも単なる一例であり、実際の製品の仕様に応じて適宜変更可能である。たとえば、画像形成装置は、必ずしも複合機である必要はなく、複写機、ファクシミリおよびプリンタ等のいずれか、またはこれらの少なくとも2つを組み合わせた複合機であってもよい。
【0120】
また、画像形成部20の使用が継続されるかどうかを推定するための検出情報として、課金装置16への入金情報または電子マネー決済装置における電子マネー選択情報を用いない場合には、画像形成装置10は、課金装置16または電子マネー決済装置を必ずしも備える必要はない。なお、課金装置16および電子マネー決済装置は、外部装置として装置本体12に接続されるものに限定されず、装置本体12と一体的に構成されるものでも構わない。
【0121】
さらに、画像形成装置10は、コンビニエンスストアおよび図書館などの不特定多数のユーザが使用する環境に設置されることで大きな効果を発揮するが、オフィス等の特定のユーザが使用する環境に設置することもできる。
【0122】
なお、上で挙げた具体的な数値などは、いずれも単なる一例であり、製品の仕様などの必要に応じて適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0123】
10 …画像形成装置
12 …装置本体
14 …画像読取装置
16 …課金装置(電子マネー決済装置)
28 …操作パネル
30 …人検出センサ
50 …CPU
52 …RAM
54 …HDD
58 …通信回路(通信部)