(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-05
(45)【発行日】2024-02-14
(54)【発明の名称】水中油型乳化化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/73 20060101AFI20240206BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20240206BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20240206BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20240206BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
A61K8/73
A61K8/81
A61K8/37
A61K8/06
A61Q17/04
(21)【出願番号】P 2020008000
(22)【出願日】2020-01-22
【審査請求日】2022-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100149294
【氏名又は名称】内田 直人
(72)【発明者】
【氏名】中島 実莉
【審査官】佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/080056(WO,A1)
【文献】特開2014-185137(JP,A)
【文献】特表2018-518516(JP,A)
【文献】特開2015-120682(JP,A)
【文献】特開2020-121940(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)油相増粘剤、
(B)吸水性ポリマー、及び
(C)極性油、を含有する水中油型乳化化粧料であって、
(B)吸水性ポリマーは、(B-1)アクリレーツクロスポリマー-2-Na及び(B-2)アクリル酸グラフトデンプンから選択される少なくとも1種であり、
前記(B)吸水性ポリマーの吸水率(X)とその配合量(Y質量%)との積(X×Y)が20~75の範囲内であり、
前記(C)極性油の配合量に対する前記(A)油相増粘剤の配合量の質量比(A/C)が、0.001~0.25の範囲内であることを特徴とする水中油型乳化化粧料。
【請求項2】
(A)油相増粘剤の配合量が、0.01質量%より多く、かつ3質量%未満である、請求項1に記載の化粧料。
【請求項3】
(A)油相増粘剤が、デキストリン脂肪酸エステルである、請求項1又は2に記載の化粧料。
【請求項4】
(B)吸水性ポリマーが(B-1)アクリレーツクロスポリマー-2-Naである、
請求項1から3のいずれか一項に記載の化粧料。
【請求項5】
(C)極性油の配合量が化粧料全量に対して3~30質量%である、
請求項1から4のいずれか一項に記載の化粧料。
【請求項6】
(C)極性油が油溶性紫外線吸収剤を含有する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の化粧料。
【請求項7】
(D)会合性増粘剤を更に含有する、
請求項1から6のいずれか一項に記載の化粧料。
【請求項8】
(D)会合性増粘剤が、(D-1)疎水変性ポリエーテルウレタン、(D-2)疎水変性アルキルセルロース、及び(D-3)ポリアクリレートクロスポリマー-6からなる群から選択される少なくとも1種である、
請求項7に記載の化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、極性油を配合しながら、みずみずしくさっぱりした使用感触を有する水中油型乳化化粧料に関する。より詳細には、極性油を比較的多く配合してもさっぱりした感触であり、肌上での伸びが良好で肌なじみの早い水中油型乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
水中油型乳化基剤は、外相(連続相)即ち最初に肌に触れる相が水相であることから、みずみずしい使用感が得られる化粧料基剤として好まれている。このような水中油型乳化基剤の特性を生かしつつ、更に改良して魅力ある化粧料とする試みも種々なされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、吸水倍率が5~50g/gのポリアクリル酸系吸水性ポリマーを配合したジェル状化粧料が、みずみずしい感触を有し、製剤安定性が良好であると記載されている。また、特許文献2には、油相中に有機紫外線吸収剤を有し、水相中に未処理の酸化亜鉛を有する日焼け止めエマルジョンにおいて、特定分子量のポリアクリル酸ナトリウムを特定のフェノールポリマーとともに水相に配合することにより、水相に存在する未処理の酸化亜鉛を安定化することができると記載されている。
【0004】
一方、みずみずしい感触を与える水中油型乳化基剤に油分を配合することにより、コクのある塗布感や肌のツヤ感ハリ感を付与することができることが知られている。しかし、油分、特に極性油を増量すると、べたつきを生じ乳化安定性が低下する傾向がある。
【0005】
特許文献3には、高吸収性ポリマーおよび有機UV遮断剤(油溶性紫外線吸収剤)を含むエマルジョンの形態の化粧料組成物では、べたつきが抑制されたと記載されている。特許文献3で用いられている高吸収性ポリマーは、吸収可能な水性流体(蒸留水)の量で定義された吸水性ポリマーと解されるが、吸水性ポリマーの吸水量や共配合されている油分量に鑑みれば、特許文献3の化粧料組成物では、べたつきは抑制されたとしても、肌上でののびが悪く、肌なじみが遅いと推測される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-121140号公報
【文献】特許第5001267号公報
【文献】特開2011-006413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記技術の現状に鑑み、極性油を配合していても、共配合した吸水性ポリマーによるみずみずしくさっぱりした感触を失わず、なおかつ肌上でののびが良好でなじみの早い水中油型乳化化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、前記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、吸水性ポリマー及び極性油を含有する水中油型乳化化粧料に油相増粘剤を配合し、なおかつ油相増粘剤と極性油との配合量比率を調整することにより、吸水性ポリマーに基づくみずみずしくさっぱりした感触を活かしながら、極性油を比較的多量に配合することができ、肌上の伸びや肌なじみに優れた水中油型乳化化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、
(A)油相増粘剤、
(B)吸水性ポリマー、及び
(C)極性油、を含有する水中油型乳化化粧料であって、
前記(C)極性油の配合量に対する前記(A)油相増粘剤の配合量の質量比(A/C)が、0.001~0.25の範囲内であることを特徴とする水中油型乳化化粧料を提供する。
【0010】
本発明の水中油型乳化化粧料における前記(B)吸水性ポリマーの吸水率(X)とその配合量(Y質量%)との積(X×Y)を20~75の範囲内とするのが好ましい。さらに、本発明の化粧料に(D)会合性増粘剤を配合すると、塗布後に指や手などで押圧することにより化粧料内から水が飛び出すような感触を伴って肌上に伸び広がるみずみずしい使用感を与える。
【発明の効果】
【0011】
本発明の水中油型乳化化粧料は、極性油を含んでいても、肌に塗布した際に吸水性ポリマーに起因するみずみずしさを感じやすく、肌上での伸びが良好でなじみが早い。そして塗布後は油分によるしっとりした感触が得られる。
また、極性油として紫外線吸収剤などの油溶性薬剤を安定に保持できるので、みずみずしい使用感触と高い紫外線防御効果(高SPF(Sun protection Factor))を併せ持ったスキンケア化粧料、例えばサンスクリーンとすることが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の水中油型乳化化粧料(以下、単に「化粧料」とも称する)は、(A)油相増粘剤、(B)吸水性ポリマー、及び(C)極性油を必須成分として含有する。以下に詳述する。
【0013】
(A)油相増粘剤
(A)油相増粘剤(以下、「成分A」と称する場合がある)は、油相の粘度を調整することができる物質であり、例えば、デキストリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、有機変性粘土鉱物、脂肪酸又はその塩、及び固形又は半固形の炭化水素油等が挙げられる。
【0014】
デキストリン脂肪酸エステルは、デキストリンまたは還元デキストリンと高級脂肪酸とのエステルであり、化粧料に一般的に使用されているものであれば特に制限されず使用することができる。デキストリンまたは還元デキストリンは平均糖重合度が3~100のものを用いるのが好ましい。また、デキストリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸としては、炭素数8~22の飽和脂肪酸を用いるのが好ましい。具体的には、パルミチン酸デキストリン、オレイン酸デキストリン、ステアリン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、(パルミチン酸/2-エチルヘキサン酸)デキストリン等を挙げることができる。
【0015】
ショ糖脂肪酸エステルは、その脂肪酸が直鎖状あるいは分岐鎖状の、飽和あるいは不飽和の、炭素数12から22のものを好ましく用いることができる。具体的には、ショ糖カプリル酸エステル、ショ糖カプリン酸エステル、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル、ショ糖エルカ酸エステル等を挙げることができる。
【0016】
有機変性粘土鉱物は、三層構造を有するコロイド性含水ケイ酸アルミニウムの一種で、下記一般式(1)で表される粘土鉱物を第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤で変性したものが代表的である。
(X,Y)2-3(Si,Al)4O10(OH)2Z1/3・nH2O (1)
(但し、X=Al、Fe(III)、Mn(III)、Cr(III)、Y=Mg、Fe(II)、Ni、Zn、Li、Z=K、Na、Ca)
【0017】
具体例として、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト(ジステアルジモニウムヘクトライト)、ジメチルアルキルアンモニウムヘクトライト、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム処理ケイ酸アルミニウムマグネシウム等が挙げられる。市販品としては、ベントン27(ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロライド処理ヘクトライト:エレメンティスジャパン社製)およびベントン38(ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド処理ヘクトライト:エレメンティスジャパン社製)が好ましい。
【0018】
脂肪酸は、常温で固形のものを使用することができ、例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ベヘニン酸等を挙げることができる。また、脂肪酸の塩としては、これら脂肪酸のカルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩等を挙げることができる。
【0019】
固形又は半固形の炭化水素油は、常温(25℃)で固形又は半固形の炭化水素であり、具体例として、ワセリン、水添パーム油、水添ヒマシ油(カスターワックス)、パーム核硬化油、硬化ヒマシ油、水添ピーナッツ(落花生)油、水添ナタネ種子油、水添ツバキ油、水添大豆油、水添オリーブ油、水添マカダミアナッツ油、水添ヒマワリ油、水添小麦胚芽油、水添米胚芽油、水添米ヌカ油、水添綿実油、水添アボカド油、ロウ類等を挙げることができる。
【0020】
本発明の化粧料における(A)油相増粘剤の配合量は共配合される極性油の配合量により変化し得るが、0.01質量%より多く、かつ3質量%未満とするのが好ましい。例えば、化粧料全量に対して0.02~2.0質量%の範囲とすることができ、好ましくは0.05~1.5質量%、より好ましくは0.1~1.0質量%、特に好ましくは0.1~0.7質量%である。
【0021】
(B)吸水性ポリマー
本発明における吸水性ポリマー(B成分)は、ポリマーの自重の2倍以上、好ましくは10倍以上、より好ましくは20倍以上の重さの水を吸収することができるポリマーを意味する。吸水性ポリマーの吸水量の上限は特に限定されないが、好ましくは自重の700倍以下のものを用いるのが好ましい。
【0022】
一般に、吸水性ポリマーの吸水量(吸水率)は、前記したように「自重の何倍の水を吸収できる」といった表現で特定されることが多いが、本明細書では、吸水性ポリマーの「吸水率(X)」を次のように定義する。
(1)吸水性ポリマーの所定量を秤量し、撹拌しながら所定量の水を徐添する。
(2)ディスパーを用いて2000rpmで2分以上撹拌して均一な状態にする。
(3)攪拌を停止して12時間以上静置する。
(4)30℃に調整した後、B型粘度計(VISCOMETER TVB-10:TOKI SANGYO)で粘度測定する。
(5)粘度が4900mPa・s(30℃)未満である場合は、工程(1)における水の添加量を減らして上記(1)~(4)を繰り返し、粘度が5100mPa・s(30℃)を超えた場合は、工程(1)における水の添加量を増やして上記(1)~(4)を繰り返し、工程(4)における粘度が5000±100mPa・s(30℃)の範囲内となったときの水の添加量を当該吸水性ポリマーの吸水率(X)とする。
【0023】
本発明で好ましく使用される吸水性ポリマーの例として、(B-1)アクリレーツクロスポリマー-2-Na、及び(B-2)アクリル酸Naグラフトデンプンを挙げることができる。これらは、1種または2種以上を組み合わせて配合することができる。
【0024】
(B-1)アクリレーツクロスポリマー-2-Na
アクリレーツクロスポリマー-2-Na(B-1成分)は、アクリル酸、メタクリル酸又はこれらの単純エステル1種以上のモノマーからなる共重合体をエチレングリコールジグリシジルエーテルで架橋したもののナトリウム塩である。
【0025】
アクリレーツクロスポリマー-2-Na(INCI名:Sodium Acrylates Crosspolymer-2)は、市販品を用いることができる。例えば、「ARON NT-Z(東亜合成株式会社製)」(吸水率=20~22)、「AQUAKEEP 10SH-NFC(住友精化株式会社)」(吸水率=約200~300)等が好ましく使用される。
【0026】
(B-2)アクリル酸Naグラフトデンプン
本発明の化粧料におけるアクリル酸Naグラフトデンプン(B-2成分)は、デンプンにアクリル酸をグラフト重合したもののナトリウム塩である(INCI名:Sodium Polyacrylate Starch)。アクリル酸Naグラフトデンプンの吸水率は600~700であることが知られている。
【0027】
本発明におけるアクリル酸Naグラフトデンプンは、市販品として入手可能なものを使用することができる。市販品としては、例えば、MAKIMOUSSE7(平均粒径約7μm)、MAKIMOUSSE12(平均粒径約12μm)、MAKIMOUSSE25(平均粒径約25μm)、及びMAKIMOUSSE400(平均粒径約400μm)(以上、大東化成工業株式会社製)、Sanflesh ST-100C、ST100MC及びIM-300MC(以上、三洋化成工業株式会社製)等が挙げられる。
【0028】
また、デンプンを主鎖とし、アクリル系ポリマーがグラフトされた高吸水性ポリマーも本発明におけるアクリル酸Naグラフトデンプンに包含されるものとする。そのようなポリマー(INCI名:デンプン/アクリルアミド/アクリル酸ナトリウムコポリマー)の市販品としては、Water Lock A-240、A-180、B-204、D-223、A-100、C-200及びD-223(Grain Processing社製)が挙げられる。
【0029】
本発明の化粧料における吸水性ポリマー(B成分)の配合量は、化粧料全量に対して0.06~10.0質量%、好ましくは0.1~5.0質量%、より好ましくは0.1~3.0質量%である。
【0030】
なお、本発明の化粧料においては、(B)吸水性ポリマーの吸水率(X)の値と、当該吸水性ポリマーの配合量(Y質量%)の値との積(X×Y)を20~75の範囲内とするのが好ましく、20~70の範囲内がより好ましく、24~70の範囲内となるようにするのが更に好ましい。「X×Y」は当該化粧料に配合した吸水性ポリマーにより吸収可能な水の量(吸水量)を表すと言える。吸水量(X×Y)の値が20未満である場合、あるいは75を超える場合には、肌上の伸びの良さが若干低下する傾向がある。
【0031】
(C)極性油
本発明の化粧料における第3の必須成分は極性油(「C成分」ともいう)である。本明細書における「極性油」は、IOB値が0.05~0.80の油分である。ここで、IOB値とは有機概念図における有機性値(OV)に対する無機性値(IV)の比、すなわち、「無機性値(IV)/有機性値(OV)」を意味する。有機概念図に関しては、例えば、「有機概念図-基礎と応用-」(甲田善生著、三共出版、1984)等を参照されたい。
【0032】
本発明で使用される極性油(C成分)としては、特に限定されないが、ジイソステアリン酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、ピバリン酸トリプロピレングリコール、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、オクタン酸セチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソプロピル、イソパルミチン酸オクチル、イソステアリン酸イソデシル、コハク酸2-エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、エチルヘキサン酸セチル、2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリル酸2-エチルヘキシル、ジピバリン酸トリプロピレングリコール、トリ2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタンエリスリット、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、ナフタリンジカルボン酸ジエチルヘキシル、安息香酸(C12~15)アルキル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン、ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール、コハク酸ジ2-エチルヘキシル、セバシン酸ジイソプロピル、ホホバ油、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、トリイソステアリン酸グリセリル、トリエチルヘキサノイン、ダイマージリノール酸(フィトステリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、パルミチン酸イソプロピル、マカダミアナッツ脂肪酸フィトステリル、テトラ(ベヘン酸/安息香酸/エチルヘキサン酸)ペンタエリスリチル、パルミチン酸エチルヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、ネオペンタン酸イソデシル、及び油溶性紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0033】
本発明の化粧料には、(C)極性油の一部または全部として油溶性紫外線吸収剤を含有せしめることにより紫外線防御効果を付与することができる。本発明の化粧料に配合される油溶性紫外線吸収剤は、従来から化粧料に使用されているものから選択できる。具体例として、メトキシケイヒ酸誘導体、サリチル酸誘導体、ベンゾイル誘導体、カンファー誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、及びポリシリコン系が挙げられる。より具体的には、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、オクトクリレン、ポリシリコン-15、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン、エチルヘキシルトリアゾン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、オキシベンゾン-3、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、ホモサレート、サリチル酸オクチル(サリチル酸エチルへキシル)等が挙げられるが、これらに限定されない。また、油溶性紫外線吸収剤は、1種又は2種以上の組み合わせで配合することができる。
【0034】
本発明の化粧料における極性油(C成分)の配合量は、(C)極性油の配合量に対する前記(A)油相増粘剤の配合量の質量比(A/C)が、0.001~0.25の範囲内となるという条件を満たす必要がある。この質量比(A/C)が0.001未満であると肌へのなじみが遅くなり、0.25を超えると肌上での伸びが悪くなる。この質量比(A/C)は、より好ましくは0.001~0.2、更に好ましくは0.001~0.1である。
【0035】
(C)極性油の配合量は、前記の条件を満たしていればよいが、通常は化粧料全量に対して3~30質量%とするのが好ましく、より好ましくは4~25質量%、更に好ましくは5~20質量%、例えば10~20質量%等である。配合量が3質量%未満であると極性油配合による効果が十分に得られず、30質量%を超えて配合すると、塗布後にべたつきを生じ、みずみずしい使用感触が失われることがある。
【0036】
本発明の化粧料は、前記の必須成分(A)、(B)及び(C)に加えて、化粧料や皮膚外用剤に通常配合し得る他の成分を、本発明の効果を損なわない範囲で、任意に配合することができる。例えば、(D)会合性増粘剤を配合することにより、崩れて水が溢れだすような独特のみずみずしい使用感触(くずれ感)を与える。
【0037】
(D)会合性増粘剤
「会合性増粘剤」とは、水溶性モノマーからなる親水性部分と疎水性モノマーからなる疎水性部分を有する共重合体であり、水性溶媒中で疎水性相互作用により会合することで、あたかも物理的に架橋した巨大分子として振る舞うことによって系を増粘する作用を持つ増粘剤である(例えば、特開2000-239120号公報の段落0014等を参照)。
【0038】
本発明における会合性増粘剤(D成分)は、(D-1)疎水変性ポリエーテルウレタン、(D-2)疎水変性アルキルセルロース、及び(D-3)ポリアクリレートクロスポリマーからなる群から選択される少なくとも1種とするのが好ましい。本発明にあっては、(D-1)疎水変性ポリエーテルウレタン、(D-2)疎水変性アルキルセルロース、及び(D-3)ポリアクリレートクロスポリマーのいずれかに属する会合性増粘剤の1種または2種以上を用いてもよく、(D-1)、(D-2)及び(D-3)の複数から2種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0039】
(D-1)疎水変性ポリエーテルウレタン
本発明で用いられる疎水変性ポリエーテルウレタン(D-1成分)としては、下記の一般式(1):
【化1】
(式中、R
1は、炭素数24~36の脂肪族炭化水素基であり、mは、0~1000の数を表す)で表されるモノヒドロキシ化合物(I)、下記の一般式(2):
【化2】
(式中、nは、2~1000の数を表す)で表されるポリエチレングリコール(II)、下記の一般式(3):
【化3】
(式中、R
2は、炭素数5~12の脂肪族炭化水素基を表す)で表されるモノグリセリルエーテル化合物(III)、及び下記の一般式(4):
【化4】
(式中、R
3は、炭素数4~13の炭化水素基を表し、qは、2又は3の数を表す)で表されるイソシアネート化合物(IV)を反応させて得られるウレタン型ポリマーを例示できる。
【0040】
このウレタン型ポリマーは、上記の(I)~(IV)の化合物を反応させて得られるものである。具体的には(I)、(II)及び(III)の化合物が各々含有する水酸基と、(IV)が含有するイソシアネート基とが反応する。水酸基を有する化合物が3種類あり、そのうち2種類が2価であるため、得られるポリマーは複雑な構造になり、適切な一般式で表すことができない。
【0041】
このウレタン型ポリマーの製造方法は、各々の化合物を一括で反応させても分割して反応させてもよく、4つの化合物が反応すれば特に規定されない。しかし、イソシアネート化合物(IV)が完全に反応した後に(I)~(III)のいずれかの化合物を反応系内に入れても反応しないため、(I)~(III)の化合物を予め混合させ、そこにイソシアネート化合物(IV)を添加して反応させることが好ましい。具体的には、(I)~(III)の化合物を反応系内に入れて40~100℃、好ましくは60~80℃で溶融混合し、同温度を保持したままイソシアネート化合物(IV)を反応系内に添加して反応させる。その後、反応が完了するまで30分~3時間同温度で熟成させればよい。
【0042】
上記反応に際し、各成分の配合比は特に規定されないが、粘性調整剤としての機能が良好になること及び反応を制御しやすいことから、ポリエチレングリコール(II)10モルに対して、モノヒドロキシ化合物(I)が10~30モル、モノグリセリルエーテル化合物(III)が5~20モル及びイソシアネート化合物(IV)が20~50モルであることが好ましく、ポリエチレングリコール(II)10モルに対して、モノヒドロキシ化合物(I)が15~25モル、モノグリセリルエーテル化合物(III)が8~15モル及びイソシアネート化合物(IV)が25~40モルであることがより好ましい。
このウレタン型ポリマーの詳細については、特許第6159738号公報に記載されている。
【0043】
本発明における疎水変性ポリエーテルウレタン(D-1成分)としては、前記モノヒドロキシ化合物(I)がテトラデシルオクタデカノールのポリエチレングリコールエーテル(テトラデシルオクタデセス-100)、前記ポリエチレングリコール(II)がPEG-240、前記モノグリセリルエーテル化合物(III)がエチルヘキシルグリセリン、前記イソシアネート化合物(IV)がヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)である共重合体が好ましい。当該共重合体は、化粧品成分表示名称で「ポリウレタン-59」(INCI名:Polyurethane-59)と称される。ポリウレタン-59は市販品を使用してもよく、例えば、ADEKA社製の「アデカノールGT-930」が好ましく用いられる。
【0044】
本発明における疎水変性ポリエーテルウレタン(D-1成分)の別の例として、下記式(I):
【化5】
で表される疎水変性ポリエーテルウレタンが挙げられる。
上記式(I)中、R
1、R
2およびR
4は、それぞれ独立に炭素原子数2~4のアルキレン基、またはフェニルエチレン基を示す。好ましくは炭素原子数2~4のアルキレン基である。
R
3はウレタン結合を有していてもよい炭素原子数1~10のアルキレン基を示す。
R
5は炭素原子数8~36、好ましくは12~24の、直鎖、分岐または2級のアルキル基を示す。
mは2以上の数、好ましくは2である。hは1以上の数、好ましくは1である。kは1~500の数、好ましくは100~300の数である。nは1~200の数、好ましくは10~100の数である。
【0045】
本発明で特に好ましい疎水変性ポリエーテルウレタンとしては、(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマー(上記式(I)に示すコポリマーであって、R1=エチル基、R2及びR4は各々エチレン基、R3=ヘキサメチレン基、R5=2-デシルテトラデシル基、h=1、m=2、k=120、n=20であるもの)が挙げられる。当該コポリマーは、商品名「アデカノールGT700」又は「アデカノールGT730」として株式会社ADEKAから市販されている。
【0046】
(D-2)疎水変性アルキルセルロース
本発明で用いられる疎水変性アルキルセルロース(D-2成分)は、一般式(II)で示されるものが好ましい。
【0047】
【0048】
上記式(II)において、Rは、結合基R1-R2であり、R1は、分子内で同一でも異なってもよく、-[CH2CH(CH3)O]r-、-[CH2CH2O]r-、及び、-[CH2CH(OH)CH2O]r-から選ばれる基(式中、rは、0~4の整数である)であり、R2は、炭素原子数が12~28の炭化水素基(好ましくは炭素原子数が1~4のアルキル基)、及び水素原子から選ばれる1種以上の基であり、1分子中のR2の少なくとも1つは、炭素原子数が12~28の炭化水素基(好ましくは炭素原子数1~4のアルキル基)である。Aは、基-(CH2)t-(tは、1~3の整数)であり、sは、100~10000の数である。
【0049】
式(II)の疎水変性アルキルセルロースは、水溶性セルロースエーテル誘導体に、ポリオキシアルキレン鎖を介して疎水性基である長鎖アルキル基を導入した構造を有する。分子の基となる水溶性セルロースエーテル誘導体は、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ブチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等であり、それらと長鎖アルキルグリシジルエーテル(例えば、下記式(II’)で表されるもの)とを反応させて得ることができる。
【0050】
【化7】
式(II’)において、R’は、炭素原子数が10~28、好適には12~22のアルキル基である。
【0051】
上記の水溶性セルロースエーテル誘導体としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはヒドロキシエチルセルロースが好ましく、特に、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを選択することが好適である。さらに、長鎖アルキルグリシジルエーテル(II’)のR’は、ステアリル基(-C18H37)またはセチル基(-C16H33)であることが好適である(これらの場合、-CH2CH(OH)CH2OR’は、-CH2CH(OH)CH2O-C18H37または-CH2CH(OH)CH2O-C16H33となる)。
【0052】
疎水変性アルキルセルロース(D-2成分)の最も好適な態様は、式(II’)における疎水基R’をステアリル基としたステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース(INCI名:Hydroxypropylmethylcellulose Stearoxy Ether)であり、「サンジェロース」という商品名で大同化成工業株式会社から市販されている製品を用いることも可能である。(商品名:サンジェロース90L、90M、90H、60L、60M、及び60H等)。
【0053】
(D-3)ポリアクリレートクロスポリマー
本発明で用いられるポリアクリレートクロスポリマー(D-3成分)は、好ましくは、ポリアクリレート系の主鎖をポリオキシアルキレン鎖で架橋したクロスポリマーである。会合性増粘剤として作用する限り、ポリアクリレート系の主鎖は、種々の置換基(側鎖)を有していてもよい。
【0054】
特に好ましいポリアクリレートクロスポリマー(D-3成分)の例として、ポリアクリレートクロスポリマー-6(INCI名:Polyacrylate Crosspolymer-6)を挙げることができる。ポリアクリレートクロスポリマー-6は、アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム、ジメチルアクリルアミド、メタクリル酸ラウリルとメタクリル酸ラウレス-4の共重合体をトリアクリル酸トリメチロールプロパンで架橋したものである。例えば、セピック(SEPPIC)社から「SEPIMAX ZEN」という商品名で市販されているものを使用できる。
【0055】
本発明の化粧料に配合する場合の(D)会合性増粘剤の配合量は、化粧料全量に対して、0.1~5.0質量%、好ましくは0.2~3.0質量%、より好ましくは0.3~0.2.0質量%、である。0.1質量%未満では独特の使用感(くずれ感)が実現できない。一方、5.0質量%を超えて配合すると、べたつきが生じる場合がある。
【0056】
本発明の化粧料の(D)会合性増粘剤を配合した態様にあっては、(C)極性油が共配合されているため、塗布する際には適度なコク感があり、塗布後に指や手などで押圧することにより化粧料内から水が飛び出すような感触を伴って肌上に水分が広がる感覚を与える。この使用感触を、本明細書では「くずれ感」と呼称する。
【0057】
会合性増粘剤と吸水性ポリマーとを配合したシャーベット状の水性化粧料基剤がWO2019/044880号公報に記載され、当該基剤は、塗布すると瞬時に「シャーベット状の化粧料が崩れて水が溢れだすようなみずみずしい使用感触」(水崩れ感)があるとされている。しかしながら、当該基剤は実質的に極性油を配合していないので、非常にみずみずしい感触ではあるがコク感は不十分であった。本発明の化粧料で得られる「くずれ感」は、肌に塗布してから若干の間をおいてみずみずしさを感じる感触を意味し、WO2019/044880号公報の化粧料で得られる「水崩れ感」とは相違している。
【0058】
本発明の化粧料に配合される他の任意成分としては、限定されないが、例えば、油分(ただし、極性油(C成分)以外)、界面活性剤、水相増粘剤(ただし、会合性増粘剤(D成分)以外)、粉末成分、保湿剤、各種薬効成分、防腐剤、酸化防止剤等が挙げられる。
【0059】
極性油(C成分)以外の油分としては、シリコーン油や炭化水素油等の非極性油分が挙げられる。
界面活性剤は、化粧料等に使用出来るものであればよく特に限定されない。特に、HLB値が7以上、好ましくは10以上の親水性非イオン性界面活性剤が好ましく用いられる。
【0060】
水相増粘剤として、水溶性増粘剤(ただし、会合性増粘剤(D成分)以外)を配合すると、化粧料の乳化安定性が更に向上するので好ましい。
水溶性増粘剤としては、化粧料に配合可能なものであればよく、例えば、寒天、キサンタンガム、アラビアゴム、カラギーナン、ペクチン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(褐藻エキス)等の植物系高分子、デキストラン、プルラン等の微生物系高分子、コラーゲン、カゼイン、ゼラチン等の動物系高分子、アルギン酸ナトリウム等のアルギン酸系高分子、カルボキシビニルポリマー(CARBOPOLなど)等のビニル系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、(アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10-30)コポリマー)等のアクリル系高分子、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ラポナイト等の無機系水溶性高分子等が挙げられる。
【0061】
粉末成分としては、体質顔料等の無機粉末(例えば、タルク、カオリン、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、バーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、珪藻土、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、シリカ、ヒドロキシアパタイト、ゼオライト、窒化ホウ素、セラミクスパウダー等)、有機粉末(PMMA粉末、ナイロン粉末等)、あるいは紫外線散乱剤(酸化チタン、酸化亜鉛等)が例示できる。中でも、体質顔料であるタルクは、化粧料の紫外線防御能を更に向上させる効果がある。
【0062】
保湿剤としては、1,3-ブチレングリコール、プロパンジオール、グリセリン等の多価アルコール、糖アルコール等を例示できる。
【0063】
なお、本発明の化粧料に、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸等の水溶性紫外線吸収剤を配合すると、必然的に対イオンとの塩の形態で配合することになり、当該対イオンの存在が(B)吸水性ポリマーと相互作用を起こして使用感を低下させる場合がある。従って、本発明の化粧料は水溶性紫外線吸収剤を配合しない態様を包含し、配合する場合でも、その配合量を0.5質量%以下に制限するのが好ましい。
【0064】
本発明の化粧料の粘度は、特に限定されないが、30℃においてB型粘度計で測定した値が、10,000mPa・s以上、好ましくは20,000mPa・s以上であり、200,000mPa・s以下、好ましくは100,000mPa・s以下とするのが好ましい。
【0065】
本発明の化粧料は、従来から水中油型乳化化粧料に汎用されている方法に準じて製造することができる。例えば、水性成分、任意の粉末成分および油性成分を別途混合し、水性成分に粉末成分及び油性成分を加えて撹拌乳化することにより製造することができる。
【0066】
本発明の化粧料は、上記の構成とすることにより、肌なじみが早く伸びのよいみずみずしい使用感触を有する。本発明の化粧料は、これらの特徴を生かした皮膚化粧料、特にスキンケア化粧料として提供するのが好ましい。化粧料の形態は特に限定されないが、例えば、クリーム又は乳液の形態で提供するのが好適である。
【実施例】
【0067】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。配合量については特記しない限り質量%を示す。
【0068】
下記の表1~表4に示す処方で水中油型乳化化粧料(試料)を調製した。各例の試料について、以下の項目を評価した。
(1)なじみの早さ
(2)伸びのよさ
(3)安定性
【0069】
・評価方法
(1)なじみの早さ
専門パネラー(女性10名)に各試料(組成物)を使用してもらい、肌に塗布した際の肌なじみの早さについての回答に基づき評価した。
A:10名中8名以上が、なじみが早いと回答
B:なじみが早いと回答したパネラーが7名以下
C:なじみが早いと回答したパネラーが7名以下で、なじみが遅いと回答したパネラーが5名以上
【0070】
(2)伸びのよさ
専門パネラー(女性10名)に各試料(組成物)を使用してもらい、肌に塗布する際の伸びのよさについての回答に基づき評価した。
A+:10名中9名以上が伸びがよいと回答
A:10名中8名以上が伸びがよいと回答
B:10名中5~7名が伸びがよいと回答
C:10名中4名以下が伸びがよいと回答
【0071】
(3)安定性
各例の試料を50℃で72時間保存した後の乳化状態を目視で観察した。
A+:極めて良好
A:良好
B:普通
C:不良
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
本発明の化粧料(実施例1~17)は、肌に塗布する際のなじみが早く、伸びも良好であり、みずみずしくべたつきが無い使用感であり、乳化安定性にも優れていた。中でも、会合性増粘剤を配合した実施例1~16は、なじみの早さ及び伸びのよさが、ほぼ最高レベルの評価であった。なお、(A)油相増粘剤としてジステアルジモニウムヘクトライトを用いた実施例3、(A)/(C)の配合量比率が0.1を超える実施例7、及び(B)吸水性ポリマーの吸水率と配合量との積(X×Y)が20未満又は75を超える実施例10及び14では、他の実施例に比較すると伸びのよさが若干低下したが、実用上満足できるレベルであった。
【0077】
また、実施例1の会合性増粘剤を同量の会合性でない増粘剤(カプリル酸ポリグリセリル-6)に置換した実施例17は、なじみは早いが、伸びのよさが若干低下した。
【0078】
これらの実施例に対して、油相増粘剤を配合しない比較例1(表1)、及び、極性油に対する油相増粘剤の質量比(A/C)が0.001未満となる比較例2(表2)は、肌なじみが遅かった。また、前記質量比(A/C)が0.25を超える比較例3は肌上の伸びが悪くなった。