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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-05
(45)【発行日】2024-02-14
(54)【発明の名称】アキューム装置およびアキューム方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/30 20060101AFI20240206BHJP
   B65G 47/29 20060101ALI20240206BHJP
   B65G 47/31 20060101ALI20240206BHJP
   B65G 47/88 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
B65G47/30 F
B65G47/29 F
B65G47/31 F
B65G47/88 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020008102
(22)【出願日】2020-01-22
(65)【公開番号】P2021116130
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】水川 憲二
(72)【発明者】
【氏名】上田 敦士
(72)【発明者】
【氏名】青木 浩一
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-117347(JP,A)
【文献】特開2009-292624(JP,A)
【文献】特開2016-008100(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/30
B65G 47/29
B65G 47/31
B65G 47/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流から搬送される物品を搬送方向に搬送する供給コンベアと、前記供給コンベアから受け取った前記物品を下流に向けて前記搬送方向に搬送する排出コンベアと、を有する搬送部と、
前記供給コンベアで搬送される前記物品をアキュームすることで、前記排出コンベアへの前記物品の供給を停止するアキューム部と、を備え、
前記供給コンベアは、
互いに平行をなす第1供給路と第2供給路を備え、
前記アキューム部は、
前記第1供給路に対応する第1アキューム領域と、前記第2供給路に対応する第2アキューム領域と、を備え、
前記搬送部を挟んで、水平方向の一方の側に前記第1アキューム領域が設けられ、水平方向の他方の側に前記第2アキューム領域が設けられたアキューム装置であって、
前記アキューム装置は、
前記アキューム部に前記物品をアキュームするアキューム動作と、
前記アキューム部にアキュームされていた前記物品を払い出すアキューム解除動作と、
が可能とされ、
前記アキューム動作において、
前記第1供給路を搬送される複数の前記物品について、所定数Nごとに、前記第1供給路をそのまま搬送させる動作と前記第2供給路に案内する動作とを交互に行う分流機を備え、
前記アキューム動作において、
前記第1供給路を搬送される所定数Nの前記物品を、前記搬送方向の先頭と後尾から支持し、前記アキューム部まで搬送する第1グループ搬送機と、
前記第2供給路を搬送される所定数Nの前記物品を、前記搬送方向の先頭と後尾から支持し、前記アキューム部まで搬送する第2グループ搬送機と、
前記第1グループ搬送機と前記第2グループ搬送機を駆動させるリニアモータと、を備える、
アキューム装置。
【請求項2】
前記第1グループ搬送機と前記第2グループ搬送機は、前記物品の上方から差し入れられる、前記搬送方向の先頭と後尾から支持する可動子を備える、
請求項1に記載のアキューム装置。
【請求項3】
前記第1グループ搬送機で前記アキューム部まで搬送された前記物品は、所定数Nのグループの単位で前記第1アキューム領域にアキュームされ、
前記第2グループ搬送機で前記アキューム部まで搬送された前記物品は、所定数Nのグループの単位で前記第2アキューム領域にアキュームされ、
前記第1アキューム領域へのアキュームと前記第2アキューム領域へのアキュームとが交互に行われる、
請求項1または請求項2に記載のアキューム装置。
【請求項4】
前記排出コンベアは、
互いに平行をなす第1排出路と第2排出路を備え、
前記アキューム解除動作において、
前記第1アキューム領域にアキュームされていた前記物品は、所定数Nのグループの単位で前記第1排出路に払い出されてから、前記第1排出路を下流に向けて搬送され、
前記第2アキューム領域にアキュームされていた前記物品は、所定数Nのグループの単位で前記第2排出路に払い出されてから、前記第2排出路を下流に向けて搬送され、
前記第1アキューム領域からの払い出しと前記第2アキューム領域からの払い出しが交互に行われる、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のアキューム装置。
【請求項5】
前記第1排出路で搬送される前記物品をそのまま前記第1排出路で搬送させる動作と前記第2排出路で搬送される前記物品を前記第1排出路に案内する動作とを交互に行う合流機を備える、
請求項4に記載のアキューム装置。
【請求項6】
前記第1アキューム領域および前記第2アキューム領域のそれぞれは、
所定数Nのグループの単位で前記物品を保持してアキュームする複数のパレットを備える、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のアキューム装置。
【請求項7】
上流より1列で搬送方向に搬送される物品を、所定数Nのグループの単位で第1供給路と第2供給路に分けて搬送するステップaと、
前記第1供給路を搬送される前記物品を、所定数Nのグループの単位で、前記搬送方向に直交する第1アキューム領域にアキュームするとともに、
前記第2供給路を搬送される前記物品を、所定数Nのグループの単位で、前記搬送方向に直交し、かつ、前記第1供給路および前記第2供給路を挟んで前記第1アキューム領域の反対側に設けられる第2アキューム領域にアキュームするステップbと、を備え、
前記ステップbにおいて、
前記第1アキューム領域および前記第2アキューム領域のそれぞれは、搬送部に最も近い前端から前記搬送部から最も離れた後端に向けて前記物品をアキュームし、
前記第1アキューム領域における前記物品のアキュームと前記第2アキューム領域における前記物品のアキュームとが交互に行われる、
アキューム方法。
【請求項8】
前記第1アキューム領域にアキュームされた前記物品を下流に向けて払い出すとともに、前記第2アキューム領域にアキュームされた前記物品を下流に向けて払い出すステップcを備え、
前記ステップcにおいて、
前記第1アキューム領域からの前記物品の払い出しと前記第2アキューム領域からの前記物品の払い出しとが交互に行われる、
請求項に記載のアキューム方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、物品処理装置の運転が停止されると、物品処理装置に連続的に搬送される物品を一時的に蓄積するアキューム装置およびアキューム方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、物品の一例としての飲料製品を製造するラインは、容器に飲料を充填するフィラ、容器にキャップを施すキャッパ、容器にラベルを貼り付けるラベラ、飲料が充填されかつラベルが貼り付けられた容器を箱詰めするケーサ等の複数種類の物品処理装置を備える。それぞれの物品処理装置で物品の処理を行っている最中に、下流側の物品処理装置が停止しても上流側の物品処理装置を停止させないために、物品をアキューム、つまりアキュームするアキューム装置が用いられる(特許文献1)。
【0003】
特許文献1に開示されるアキューム装置は、1列で供給される物品を連続的に2列に振り分けつつ、搬送方向と直交する方向へアキュームする。これにより、特許文献1のアキューム装置は、上流側の物品処理装置と下流側の物品処理装置と間の間隔が短くても十分なアキューム能力を得ることができる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6308887号公報
【文献】特開2016-137968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
物品処理装置においては、より速く物品を処理することが要求される。したがって、物品処理装置に付随するアキューム装置において物品処理装置の高速化に対応することが求められる。
そこで本開示は、大きなアキューム能力を備えるとともに、上流または下流に備えられる物品処理装置の高速化に対応できるアキューム装置およびアキューム方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るアキューム装置は、上流から搬送される物品を搬送方向に搬送する供給コンベアと、供給コンベアから受け取った物品を下流に向けて搬送方向に搬送する排出コンベアと、を有する搬送部と、供給コンベアで搬送される物品をアキュームすることで、排出コンベアへの物品の供給を停止するアキューム部と、を備える。
本開示に係る供給コンベアは、互いに平行をなす第1供給路と第2供給路を備える。
また、本開示に係るアキューム部は、第1供給路に対応する第1アキューム領域と、第2供給路に対応する第2アキューム領域と、を備える。搬送部を挟んで、水平方向の一方の側に第1アキューム領域が設けられ、水平方向の他方の側に第2アキューム領域が設けられる。
【0007】
本開示に係るアキューム方法は、上流より1列で搬送方向に搬送される物品を、所定数Nのグループの単位で第1供給路と第2供給路に分けて搬送するステップaと、
第1供給路を搬送される物品を、所定数Nのグループの単位で、搬送方向に直交する第1アキューム領域にアキュームするとともに、第2供給路を搬送される物品を、所定数Nのグループの単位で、搬送方向に直交し、かつ、第1供給路および第2供給路を挟んで第1アキューム領域の反対側に設けられる第2アキューム領域にアキュームするステップbと、を備える。
本開示に係るステップbにおいて、第1アキューム領域における物品のアキュームと第2アキューム領域における物品のアキュームとが交互に行われる。
【発明の効果】
【0008】
本開示のアキューム装置によれば、搬送部を挟んで、水平方向の一方の側に第1アキューム領域31が設けられ、水平方向の他方の側に第2アキューム領域が設けられるので、上流の物品処理装置と下流の物品処理装置の間隔が短くても、高いアキューム能力を得ることができる。
また、本開示のアキューム装置によれば、第1アキューム領域に物品をアキュームするのに第2アキューム領域における物品のアキュームを待つ必要がない。つまり本開示によれば、第1アキューム領域と第2アキューム領域の一方についてアキューム動作をするのに他方のアキューム動作の制約を受けないので、高速なアキューム動作を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施形態に係るアキューム装置の概略構成を示す平面図と側面図である。
図2】定常運転をしている図1のアキューム装置を示す図である。
図3】非定常運転においてアキューム動作を開始した図1のアキューム装置を示す図である。
図4図3に続いて非定常運転を行っている図1のアキューム装置の要部を示す図である。
図5図4に続いて非定常運転を行っている図1のアキューム装置の要部を示す図である。
図6】非定常運転から定常運転に移行する際にアキューム解除動作を開始した図1のアキューム装置を示す図である。
図7図6に続いてアキューム解除動作を行っている図1のアキューム装置の要部を示す図である。
図8図7に続いてアキューム解除動作を行っている図1のアキューム装置の要部を示す図である。
図9】本実施形態に適用される分流機の一例を示す図である。
図10】本実施形態に適用されるアキューム動作におけるパレットの動作を示す図である。
図11】本実施形態に適用されるアキューム解除動作におけるパレットの動作を示す図である。
図12】本実施形態に適用されるアキューム動作における第1グループ搬送機と第2グループ搬送機の動作速度を示す図である。
図13】本実施形態に適用されるアキューム領域の一例を示す図である。
図14】本実施形態に適用される第1グループ搬送機と第2グループ搬送機の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[アキューム装置1の要旨]
以下、添付図面を参照しながら、本開示の実施形態に係るアキューム装置1を説明する。
アキューム装置1は、例えば飲料製造ラインに設けられ、上流側の物品処理装置としてのキャッパと下流側の物品処理装置としてのラベラの間に設けられる。この一例としてのアキューム装置1は、ラベラの運転が停止した非定常運転のときに、キャッパから供給される物品としての容器をラベラに搬送することなくアキュームする。このアキューム装置1は、ラベラの運転が再開され定常運転に戻ると、アキュームしていた容器をラベラに向けて搬送する。
アキューム装置1は、図1に示すように、平面視して、物品の搬送部10を挟む両側に第1アキューム領域31と第2アキューム領域41を設け、第1アキューム領域31と第2アキューム領域41に所定数Nの物品100を交互に供給しアキュームする。これにより、アキューム装置1は、大きなアキューム能力を備えるとともに、物品処理の高速化に対応できる。
なお、図1には、アキューム装置1の平面図と側面図が示されており、それぞれ符号にTV(Top View)とSV(Side View)が付されている。図2以降も同様である。
【0011】
[アキューム装置1の概略構成(図1)]
アキューム装置1は、図1に示すように、物品100を上流Uから下流Dに向けて搬送する搬送部10と、搬送部10の途中に設けられるアキューム部30と、搬送部10およびアキューム部30の動作を司る制御部90と、を備える。アキューム装置1において、上流Uおよび下流Dは相対的な意味を有している。また、アキューム装置1において幅方向Wおよび高さ方向Hが図1の両矢印で示すように定義される。幅方向Wは水平方向と一致し、高さ方向Hは鉛直方向と一致する。
アキューム装置1の定常運転において、物品100はアキューム部30を介することなく搬送部10を上流Uから下流Dに向けて搬送される。つまり、定常運転のときには物品100はアキューム部30を素通りする。また、非定常運転においては、物品100はアキューム部30にアキュームされるので、アキューム部30より下流Dへの物品100の搬送は停止される。
【0012】
[搬送部10:供給コンベア11、排出コンベア13]
搬送部10は、図1に示すように、アキューム部30よりも上流Uに設けられる供給コンベア11と、アキューム部30よりも下流Dに設けられる排出コンベア13と、を備える。供給コンベア11および排出コンベア13は、制御部90の指示により物品100の搬送を担う。供給コンベア11は図示を省略する上流Uの物品処理装置において所定の処理が施された物品100を下流Dに向けて搬送する。排出コンベア13は、供給コンベア11から受け渡された物品100を下流Dの物品処理装置に向けて搬送する。供給コンベア11および排出コンベア13は、物品100を必要とされる速度で搬送できる限り、その形態および駆動源などの要素は問われない。
【0013】
供給コンベア11は互いに平行をなす第1供給路11Aと第2供給路11Bを有している。第1供給路11Aおよび第2供給路11Bは、それぞれが物品100を単独で搬送できる幅方向Wの寸法を有しており、互いに隣接して設けられる。同様に、排出コンベア13も互いに平行をなす第1排出路13Aと第2排出路13Bを有している。第1排出路13Aおよび第2排出路13Bは、それぞれが物品100を単独で搬送できる幅方向Wの寸法を有しており、互いに隣接して設けられている。
【0014】
第1供給路11Aと第2供給路11Bは、物理的に区分されている必要はなく、同じ駆動源で駆動される一体の供給コンベア11であってもよい。つまり、供給コンベア11は、それぞれが物品100を搬送できる幅方向Wの寸法を有している第1供給路11Aとしての領域および第2供給路11Bとしての領域を有していれば足りる。特に、本実施形態においては、第1供給路11Aから第2供給路11Bへの物品100の移送が行われることを考慮すると、一体の供給コンベア11に第1供給路11Aと第2供給路11Bが設けられることが好ましい。排出コンベア13の第1排出路13Aおよび第2排出路13Bについても同様のことが当てはまる。
【0015】
本実施形態において、物品100は、定常運転のときには、供給コンベア11の第1供給路11Aおよび第1排出路13Aを搬送されるが、第2供給路11Bおよび第2排出路13Bを搬送されることはない。つまり、搬送部10において、定常運転の際は2つの搬送路の一方の搬送路を物品100が1列となって搬送される。
【0016】
非定常運転において、物品100は、供給コンベア11の第1供給路11Aおよび第2供給路11Bを交互に搬送される。この交互搬送の前に、1列で搬送される物品100は、後述する分流機15の動作によって、第1供給路11Aを搬送される所定数Nの物品100と第2供給路11Bを搬送される所定数Nの物品100の2列になって搬送される。これにより、アキューム部30において第1アキューム領域31への物品100のアキュームと第2アキューム領域41への物品100のアキュームを交互に行うことができる。
【0017】
非定常運転のときには、物品100はアキューム部30にアキュームされるので排出コンベア13を搬送されない。ただし、非定常運転から定常運転に移行すると、物品100は排出コンベア13の第1排出路13Aおよび第2排出路13Bを交互に搬送される。この交互搬送を経た後に、2列で搬送される物品100は、後述する合流機17の動作によって、第2排出路13Bを搬送される所定数Nの物品100が第1排出路13Aを搬送される所定数Nの物品100に合流される。このように、非定常運転が解除され定常運転に移行するときには、排出コンベア13において、2列で搬送される物品100が1列に合流して搬送される。この1列への合流は、下流Dに設けられる物品処理装置における処理が1列で行われることに対応するために行われる。
【0018】
供給コンベア11と排出コンベア13の間には間隔があけられており、この間隔にはアキューム部30の一部が配置される。したがって、アキューム部30のこの一部は、搬送部10を代替しているということができる。
【0019】
[搬送部10:分流機15]
分流機15は、定常運転から非定常運転に移行する際のアキューム動作のときに、第1供給路11Aを1列で搬送される物品100について、所定数Nごとに、第1供給路11Aをそのまま搬送させる動作と、第2供給路11Bに案内して移送する動作を行う。第1供給路11Aをそのまま搬送させる動作を行っているときを通過状態といい、第2供給路11Bに案内して移送する動作を行っているときを移送状態という。分流機15は、定常運転の際には、通過状態を継続し、非定常運転のときには通過状態と移送状態を交互に繰り返す。
【0020】
通過状態にある分流機15は、第1供給路11Aを搬送される物品100と干渉することがない。したがって、分流機15が通過状態にあるときには、物品100は分流機15を素通りして第1供給路11Aでそのまま搬送される。移送状態にある分流機15は、第1供給路11Aの上において、物品100が第1供給路11Aを搬送されるのをせき止めつつ、第2供給路11Bに案内する。非定常運転において、分流機15は、所定時間だけ通過状態にあることで所定数Nの物品100が第1供給路11Aをそのまま搬送されることを許容し、その後に移送状態となることで所定数Nの物品100が第1供給路11Aから第2供給路11Bに移送されるのを案内する。
第2供給路11Bに移送される物品100は、移送に時間がかかるために、第1供給路11Aをそのまま搬送される物品100に比べて搬送方向Tの遅れが生ずる。この遅れは第1供給路11Aをそのまま搬送される後尾の物品100と第2供給路11Bに移送された先頭の物品100との間隔となって表れる。
【0021】
分流機15は、以上の機能を発揮する限りその構成に制約はないが、具体的な構成の1例を図9に基づいて説明する。図9は、移送状態の分流機15を示す平面図である。
分流機15は、駆動プーリ21と、従動プーリ23と、駆動プーリ21と従動プーリ23に掛け回される駆動ベルト25と、駆動ベルト25に固定される複数のガイド27と、を備える。ガイド27は、駆動ベルト25に直交するように駆動ベルト25に支持される支持板28と、駆動ベルト25に平行をなすように支持板28の前端に支持される案内板29と、を備える。分流機15において、複数の案内板29が駆動ベルト25の直線部分に対して平行にかつ隙間なく整列される。ただし、ガイド27は駆動ベルト25のおよそ半分程度の長さの範囲だけに設けられており、駆動ベルト25の他の範囲には何も設けられていない。図9に示すように、ガイド27が第1供給路11Aの上に配置されると、ガイド27が物品100を第2供給路11Bに案内する。
【0022】
第1供給路11Aを搬送される物品100は、移送状態にある分流機15の面一に整列された複数の案内板29に接する。複数の案内板29がなす平面Pは、第1供給路11Aの搬送方向Tに対して傾いているので、案内板29に接する物品100は第2供給路11Bに移送される。このとき、分流機15は駆動プーリ21に加えられる動力により、複数の案内板29が第1供給路11Aおよび第2供給路11Bの搬送動作に対応する速度で移動することで、複数の案内板29は物品100が同期して移動することができる。
【0023】
所定数の物品100が第2供給路11Bに移送されると、分流機15は通過状態に移行する。この移行は、駆動プーリ21を回転駆動させて、ガイド27が設けられていない駆動ベルト25が第1供給路11Aの上に配置することで行われる。分流機15が通過状態になると、物品100は第1供給路11Aをそのまま搬送される。
【0024】
[搬送部10:合流機17]
次に、合流機17は、非定常運転から定常運転に移行するアキューム解除動作のときに、第1排出路13Aで搬送される物品100をそのまま第1排出路13Aで搬送させる動作と第2排出路13Bで搬送される物品100を第1排出路13Aに案内して移送する動作とを交互に行う。第1排出路13Aをそのまま搬送させる動作を行っているときを通過状態といい、第1排出路13Aに案内して移送する動作を行っているときを移送状態という。合流機17は、非定常運転のときに通過状態と移送状態を交互に繰り返す。定常運転のときには、第2排出路13Bに物品100は搬送されないので、合流機17は通過状態と移送状態の何れであってもよい。
【0025】
通過状態にある合流機17は、第2排出路13Bを搬送される物品100と干渉することがない。したがって、合流機17が通過状態にあるときには、物品100は合流機17を素通りして第1排出路13Aでそのまま搬送される。移送状態にある合流機17は、第2排出路13Bの上において、物品100が第2排出路13Bを搬送されるのをせき止めつつ、第1排出路13Aに案内する。アキューム解除動作において、合流機17は、所定時間だけ通過状態にあることで所定数Nの物品100が第1排出路13Aをそのまま搬送されることを許容し、その後に移送状態となることで所定数Nの物品100が第2排出路13Bから第1排出路13Aに移送されるのを案内する。
合流機17は、分流機15と同様の構成を備えているので、その説明は省略する。
【0026】
[アキューム部30:第1アキューム領域31,第2アキューム領域41]
アキューム部30は、図1に示すように、物品100をアキュームする第1アキューム領域31と第2アキューム領域41を備える。第1アキューム領域31は、供給コンベア11および排出コンベア13を境にして水平方向の一方の側に設けられ、第2アキューム領域41は、供給コンベア11および排出コンベア13を境にして水平方向の他方の側に設けられる。第1供給路11Aと第1アキューム領域31とが直交し、かつ、第2供給路11Bと第2アキューム領域41とが直交する。第1アキューム領域31と第2アキューム領域41は、好ましい形態として、搬送方向Tの同じ位置に設けられている。
第1アキューム領域31は、供給コンベア11の第1供給路11Aに対応し、非定常運転のときに、第1供給路11Aを搬送される物品100をアキュームする。また、第2アキューム領域41は、供給コンベア11の第2供給路11Bに対応し、非定常運転のときに、第2供給路11Bを搬送される物品100をアキュームする。第1アキューム領域31への物品100のアキュームと第2アキューム領域41への物品100のアキュームは交互に行われる。
【0027】
次に、第1アキューム領域31の構成を説明する。
第1アキューム領域31は、前端から後端に向けて複数のパレット33が搬送部10に直交する向きに整列される主パレット群34と、主パレット群34の上流Uに隣接される副パレット群35を備えている。主パレット群34における物品100のアキュームが定量に達したならば、副パレット群35にアキュームする。ここでは、パレット33の数が少ないために副パレット群35と称しているが、副パレット群35が設けられる位置に主パレット群34と同じだけの数のパレット33を設けることもできる。この場合、主従の関係はなくなる。
第1アキューム領域31において、搬送部10に最も近いところを前端といい、搬送部10から最も離れたところを後端という。
【0028】
主パレット群34は、複数のパレット33が前端から後端に向けて1列に整列されている。それぞれのパレット33は、図示を省略する駆動源により、前端から後端に向けて移動可能とされている。後端まで移動したパレット33は、高さ方向Hの下向きに所定距離だけ下降し、さらに後端から前端に向けて移動し、さらに高さ方向Hの上向きに所定距離だけ上昇することができる。つまり、主パレット群34において、複数のパレット33は循環移動することができる。
【0029】
主パレット群34において、前端に設けられるパレット33が第1供給路11Aと第1排出路13Aの間に配置される。つまり、本実施形態において、主パレット群34の一部のパレット33が供給コンベア11の一部を代替する。
【0030】
配置される位置が異なる点を除くと、第2アキューム領域41も第1アキューム領域31と同様に、パレット33からなる主パレット群44、副パレット群45を備える構成を有する。
【0031】
次に、図10を参照してアキューム動作のときのパレット33の動きを、また、図11を参照してアキューム解除動作のときのパレット33の動きを説明する。なお、図10および図11において、物品100を保持しているパレット33はグレーに塗りつぶされている。また、図10および図11において、かっこ書きの数字は、アキューム動作のときに物品100を保持する順番を意味している。図10および図11には必要最小限の数のパレット33しか示されていない。
図10および図11において、パレット33は前端(FE)から後端(BE)に向けて、および、後端(BE)から前端(FE)に向けて水平移動が可能とされる。また、パレット33は、前端(FE)および後端(BE)において、昇降移動が可能とされる。水平移動および昇降移動のための駆動機構の記載は省略されている。
【0032】
図10の最上段に示すように、アキューム動作の際には、前端(FE)にいる(1)が表記されるパレット33にはじめに物品100が受け渡される。したがって、(1)が表記されるパレット33はグレーに塗りつぶされている。
次に、物品100を保持した(1)が表記されるパレット33は、図10の上から2段目の図に示すように、後端(BE)に向けて一つのパレット33の分だけ移動する。同時に、(8)および(7)が表記されるパレット33も後端(BE)に向けて移動する。後端(BE)にいた(6)が表記されるパレット33は、後端(BE)にいたままで下降して、(5)が表記されていたパレット33がいた場所に移動する。これに合わせて、(5)~(3)が表記されるパレット33は前端(FE)に向けて一つのパレット33の分だけそれぞれが移動する。前端(FE)にいた(2)で示されるパレット33は、(1)で示されるパレット33が移動することで空いたスペースに上昇し、次の物品100が受け渡される。図10の上から2段目の図が、ここまでの動作の完了した状態を示している。
【0033】
以上と同様にパレット33の移動を繰り返すことにより、図10の最下段に示すように、~(4)で示されるパレット33に物品100がアキュームされる。この状態ではさらにアキュームすることができない。そこで、で示されるパレット33でアキュームされた物品100を副パレット群35に移動させると、で示されるパレット33のアキュームが可能となるので、図10に示されるパレット33の移動動作を繰り返せばよい。
【0034】
図11は、アキューム解除動作、つまり物品100の払い出し動作を示しているが、図10を用いて説明したアキューム動作とは逆向きにパレット33を移動させることにより、(1)~(4)で示されるパレット33にアキュームされていた物品100を順に払い出すことができる。
【0035】
[アキューム部30:グループ搬送機50]
アキューム部30は、供給コンベア11を連続的に搬送される所定数Nのグループの単位で物品100をアキューム部30に搬送するグループ搬送機50を備える。
グループ搬送機50は、第1供給路11Aにおいて物品100を搬送する第1グループ搬送機50Aと、第2供給路11Bにおいて物品100を搬送する第2グループ搬送機50Bと、を備える。第1グループ搬送機50Aは第1供給路11Aの上方に設けられる、第2グループ搬送機50Bは第2供給路11Bの上方に設けられる。
【0036】
第1グループ搬送機50Aおよび第2グループ搬送機50Bは、リニアモータを利用した搬送機である。第1グループ搬送機50Aおよび第2グループ搬送機50Bは設けられ.位置が異なるが、その構成は同じであるので、以下では第1グループ搬送機50Aを例にして説明する。
第1グループ搬送機50Aは、図1に示すように、無端状の搬送経路をなすガイドレール51と、ガイドレール51に沿って走行する複数の可動子55と、を備える。
【0037】
[ガイドレール51]
ガイドレール51は、高さ方向Hに間隔をあけて配置される直線状の搬送レール52Aおよび循環レール52Bと、搬送レール52Aおよび循環レール52Bの端部どうしを繋ぎ、搬送方向Tに間隔をあけて配置される円弧状の接続レール53Aおよび接続レール53Bと、を備えている。図示は省略されているが、ガイドレール51にはリニアモータの一方の主たる構成要素である電磁コイルが設けられている。
【0038】
[可動子55]
複数の可動子55は、それぞれがガイドレール51に沿って独立して走行する。図示は省略されているが、それぞれの可動子55には、リニアモータの他方の主構成要素である永久磁石が設けられている。ガイドレール51の電磁コイルへの電流供給を制御部90が制御することで、それぞれの可動子55は任意の速度で独立してガイドレール51に沿って走行する。それぞれの可動子55は、物品100に接して物品100を搬送方向Tに支持する支持アーム56を備えている。
【0039】
図3に示すように、搬送方向Tに間隔をあける2つの可動子55のうち、下流Dに位置する支持アーム56が下流Dの側からグループの先頭をなす物品100に接する一方、上流Uに位置する支持アーム56が上流Uの側からグループの後尾をなす物品100に接する。つまり、所定数Nの物品100からなる第1物品群100GAは、一対の可動子55,55により前方および後方から挟み込まれながら、第1供給路11Aをアキューム部30に向けて搬送される。本実施形態においては、高さ方向Hの下方に設けられる搬送レール52Aを走行する可動子55が第1物品群100GAを搬送し、搬送を終えた可動子55は循環レール52Bに向けて走行する。なお、第2供給路11Bを搬送される所定数Nの物品100については、第2物品群100GBと表記する。
【0040】
グループ搬送機50は、第1グループ搬送機50Aが第1供給路11Aの上方に配置され、第1グループ搬送機50Aが第2供給路11Bの上方に配置される。また、ガイドレール51が上述の構成を備えており、可動子55が接続レール53Aおよび接続レール53Bにおいて高さ方向Hに折り返される。したがって、可動子55に懸垂される支持アーム56は第1物品群100GA、第2物品群100GBに対して上方から差し入れられる。このグループ搬送機50の構成は、アキューム部30におけるパレット33のアキューム動作を妨げない。
【0041】
図12に、第1グループ搬送機50Aの可動子55および第2グループ搬送機50Bの可動子55のタイミングチャートの一例が示されている。図12は、縦軸が速度、横軸が位置(距離)を示している。第1グループ搬送機50Aおよび第2グループ搬送機50Bのそれぞれは、第1物品群100GAおよび第2物品群100GBを可動子55で挟んでから速度を上げ、アキューム部30に至るときには停止する。この動作が、第1グループ搬送機50Aおよび第2グループ搬送機50Bの交互で行われる。
可動子55の速度のピークは、第1供給路11Aおよび第2供給路11Bの搬送速度と同等以上に設定される。
【0042】
[アキューム装置1の動作]
次に、アキューム装置1の動作について、定常運転(図2)、アキューム動作(図3図5)およびアキューム解除動作(図6図8)の順に説明する。
【0043】
[定常動作:図2
定常運転とは、アキューム装置1より上流Uおよび下流Dに設けられる物品処理装置、例えば飲料製造システムにおけるフィラおよびラベラが運転されそれぞれの物品処理がなされていることをいう。定常運転のときには、アキューム装置1は機能する必要がない。つまり、図2に示すように、分流機15および合流機17は通過状態にあるとともに、グループ搬送機50の全ての可動子55は循環レール52Bで待機している。したがって、第1供給路11Aを搬送されてきた物品100はアキューム部30を素通りしてそのまま第1供給路11Aを下流Dに向けて搬送される。物品100はさらに第1アキューム領域31と第2アキューム領域41の間の前端に配置されるパレット33の上を摺通過し、排出コンベア13の第1排出路13Aに至り、今度は第1排出路13Aを下流Dの物品処理装置に向けて搬送される。
以上のように、定常運転のときには、物品100は1列で上流Uから下流Dに搬送される。
なお、物品100はパレット33を通過する際には、上流Uの物品100に押されることで下流Dの物品100はパレット33の表面を滑りながら搬送される。また、図2においては、搬送方向Tに隣接する物品100どうしが接しながら搬送される例を示しているが、間隔をあけて搬送することもできる。この場合も、パレット33に至った後には、パレット33から搬送力を受けることがないので、上流Uの側の物品100が下流Dの側の物品100に接しながら押すことで搬送される。
【0044】
[アキューム動作:図3図5
非定常運転とは、例えば、アキューム装置1より下流Dに設けられる物品処理装置であるラベラの運転が停止されることをいう。ラベラの運転が停止されたとしても、上流Uに設けられる物品処理装置の運転を継続するために、当該物品処理装置を経てきた物品100をアキューム装置1がアキュームするアキューム動作が実行される。
【0045】
アキューム動作は、分流機15を通過状態と移送状態を交互に繰り返すことで、図3に示すように、所定数Nのグループの単位で物品100が第1供給路11Aおよび第2供給路11Bを交互に搬送される。図3の例では、第2供給路11Bを搬送される第2物品群100GBの後に、第1供給路11Aを搬送される第1物品群100GAが続き、さらにその後に第2供給路11Bを搬送される第2物品群100GBが続いている。第1供給路11Aおよび第2供給路11Bを搬送される第1物品群100GAおよび第2物品群100GBは、下流Dと上流Uの両側が可動子55の支持アーム56で支持されるので、可動子55の走行速度にしたがって下流Dに向かいパレット33に至る。ここでは先頭の第2物品群100GBが第2アキューム領域41のパレット33に至る例を示している。
第2アキューム領域41のパレット33に第2物品群100GBが至ると、リニアモータを構成する可動子55,55が停止し、アキュームに備える。
【0046】
第2アキューム領域41において、先頭の第2物品群100GBを受領したパレット33は、図4の上段に示すように、後端に向けて移動する。移動したパレット33の代わりに、図4の高さ方向Hの下方から空のパレット33が移動してきて、第2供給路11Bと第2排出路13Bの間に挿入される。この新たなパレット33は次に搬送されてくる第2物品群100GBを待ち受ける。
この間に、第1アキューム領域31においては、第1物品群100GAがパレット33に至り、アキュームに備える。
【0047】
以上の動作を繰り返すことにより、図4の下段、図5の上段および図5の下段の順に、物品100が主パレット群34、副パレット群35、主パレット群44および副パレット群45を満たす。さらに非定常運転が続くようであれば、図13に示すように、主パレット群34~副パレット群45を高さ方向Hに増設することで、アキューム能力を向上できる。逆に、非定常運転が短ければ、物品100が主パレット群34~第2副パレット群45を満たすことなくアキューム動作を終える。
【0048】
ここで、第1グループ搬送機50Aは第1アキューム領域31の上方に設けられる、第2グループ搬送機50Bは第2アキューム領域41の上方に設けられ、パレット33のアキューム動作に干渉しない。したがって、グループ搬送機50は迅速なアキューム動作を確保しながら、第1物品群100GA、第2物品群100GBをアキューム部30に搬送できる。
【0049】
[アキューム解除動作:図6図8
下流Dの物品処理装置の運転が再開して定常運転に戻ると、アキュームしていた物品100を払い出して当該物品処理装置に向けて搬送する。この払い出し動作を図5に引き続いて説明する。
一例として、図6の上段に示すように、第1供給路11Aと第1排出路13Aの間に置かれているパレット33に載せられている第2物品群100GBの先頭と後尾を一対の可動子55で挟みながら、可動子55を第2排出路13Bに向けて走行させる。次いで、図6の下段に示すように、第1供給路11Aと第1排出路13Aの間に置かれているパレット33に載せられている第1物品群100GAの先頭と後尾を一対の可動子55で挟みながら、可動子55を第1排出路13Aに向けて走行させる。このとき、第2供給路11Bと第2排出路13Bの間には第2物品群100GBが載せられた次のパレット33が移動し、次の払い出しに備える。
【0050】
ここで、第2排出路13Bを搬送される第2物品群100GBは後に第1排出路13Aに移送されることで、始めから第1排出路13Aを搬送される第1物品群100GAに合流する。この合流の際に第2物品群100GBが第1物品群100GAに干渉するのを避ける必要がある。そこで、第1排出路13Aに払い出される第1物品群100GAと第2排出路13Bに払い出された第2物品群100GBは、時間的に相前後して交互に払い出される。この交互の払い出しは、後の第1物品群100GAと第2物品群100GBを1列に合流させるのに必要な手順である。
【0051】
図7はこの合流の様子を示している。なお、これまで通過状態にあった合流機17は移送状態に移行する。
第2排出路13Bを搬送される第2物品群100GBは、合流機17に至ると合流機17に案内されることで第1排出路13Aに移送される。第1物品群100GAと第2物品群100GBは、時間的に相前後して交互に払い出されるので、第1排出路13Aに搬送された物品群100GBは、第2物品群100GBよりも後方を搬送される第1物品群100GAに合流し、以後は1列となって第1排出路13Aを搬送される。
【0052】
払い出しは、以上説明した、第1アキューム領域31からの第1物品群100GAの払い出し、第2アキューム領域41からの第2物品群100GBの払い出し、第2物品群100GBの第1排出路13Aへの移送を基本的な動作とする。この基本的な動作は、図8の上段から下段に示すように、第1アキューム領域31および第2アキューム領域41にアキュームされた全ての物品100が払い出されるまで繰り返される。
【0053】
[アキューム装置1の効果]
次に、アキューム装置1が奏する効果を説明する。
アキューム装置1は、搬送方向Tと直交する方向の両側に第1アキューム領域31と第2アキューム領域41の2つのアキューム領域を設けるので、上流Uの物品処理装置と下流Dの物品処理装置の間隔が短くても、高いアキューム能力を得ることができる。
【0054】
アキューム装置1は、搬送方向Tと直交する方向の両側に第1アキューム領域31と第2アキューム領域41を備えるのに加えて、第1アキューム領域31に物品100を搬送する第1供給路11Aと第2アキューム領域41に物品100を搬送する第1排出路13Aが個別に設けられている。したがって、第1アキューム領域31に物品100をアキュームするのに第2アキューム領域41における物品100のアキュームを待つ必要がない。このように、アキューム装置1によれば、第1アキューム領域31と第2アキューム領域41の一方についてアキューム動作をするのに他方のアキューム動作の制約を受けないので、高速なアキューム動作を実現できる。
【0055】
[付記]
以上の実施形態に記載のアキューム装置およびアキューム方法は、以下のように把握される。
[第1の態様に係るアキューム装置1の構成]
第1の態様に係るアキューム装置1は、上流Uから搬送される物品100を搬送方向Tに搬送する供給コンベア11と、供給コンベア11から受け取った物品100を下流Dに向けて搬送方向Tに搬送する排出コンベア13と、を有する搬送部10と、供給コンベア11で搬送される物品100をアキュームすることで、排出コンベア13への物品100の供給を停止するアキューム部30と、を備える。
供給コンベア11は、互いに平行をなす第1供給路11Aと第2供給路11Bを備える。
アキューム部30は、第1供給路11Aに対応する第1アキューム領域31と、2供給路11Bに対応する第2アキューム領域41と、を備え、搬送部10を挟んで、搬送方向Tの一方の側に第1アキューム領域31設けられ、搬送方向Tの他方の側に第2アキューム領域41が設けられる。
【0056】
[第1の態様に係るアキューム装置1による効果]
第1の態様に係るアキューム装置1によれば、搬送方向Tと直交する方向の両側に第1アキューム領域31と第2アキューム領域41を設けるので、上流Uの物品処理装置と下流Dの物品処理装置の間隔が短くても、高いアキューム能力を得ることができる。また、アキューム装置1によれば、第1アキューム領域31と第2アキューム領域41の一方についてアキューム動作をするのに他方のアキューム動作を待つ必要がないので、高速なアキューム動作に寄与できる。
【0057】
[第2の態様に係るアキューム装置1の構成]
第2の態様に係るアキューム装置1は、アキューム部30に物品100をアキュームするアキューム動作と、アキューム部30にアキュームされていた物品を払い出すアキューム解除動作と、アキューム部30に物品をアキュームしない非アキューム動作と、を実行する。
アキューム動作において、第1供給路11Aを搬送される複数の物品100について、所定数Nごとに、第1供給路11Aをそのまま搬送させるか、第2供給路11Bに案内するか、を交互に行う分流機15を備える。
【0058】
[第2の態様に係るアキューム装置1による効果]
第2の態様に係る分流機15によれば、1列で搬送される物品100を2列に分流するのに、一方の列については第1供給路11Aをそのまま搬送させる。したがって、分流機15により2列に分流するのに要する時間が短くて済む。
【0059】
[第3の態様に係るアキューム装置1の構成]
第3の態様に係るアキューム装置1は、アキューム動作において、第1供給路11Aを搬送される所定数Nの物品100を、搬送方向Tの先頭と後尾から支持し、アキューム部30まで搬送する第1グループ搬送機50Aと、第2供給路11Bを搬送される所定数Nの物品100を、搬送方向Tの先頭と後尾から支持し、アキューム部30まで搬送する第2グループ搬送機50Bと、第1グループ搬送機50Aと第2グループ搬送機50Bを駆動させるリニアモータと、を備える。
【0060】
[第3の態様に係るアキューム装置1による効果]
第3の態様に係る第1グループ搬送機50Aと第2グループ搬送機50Bによれば、所定数Nの物品100を搬送方向Tの先頭と後尾から支持するので、先頭と後尾の間に配置される物品100は互いに接触させることができる。したがって、第3の態様によれば、第1物品群100GAおよび第2物品群100GBの搬送方向Tに占める寸法を小さくできるので、第1アキューム領域31および第2アキューム領域41における搬送方向Tの寸法を小さくできる。これにより、上流Uの物品処理装置と下流Dの物品処理装置の間隔が短くても、高いアキューム能力を得ることができるという本実施形態による効果を向上できる。
【0061】
[第4の態様に係るアキューム装置1による構成]
第4の態様に係るアキューム装置1は、第1グループ搬送機50Aと第2グループ搬送機50Bは、物品100の上方から差し入れられる、搬送方向Tの先頭と後尾から支持する支持片を備える。
【0062】
[第4の態様に係るアキューム装置1による効果]
第4の態様に係る第1グループ搬送機50Aと第2グループ搬送機50Bは、物品100の上方から差し入れられる支持片を備えており、第1アキューム領域31および第2アキューム領域41におけるパレット33の移動によるアキューム動作を妨げなくてすむ。
【0063】
[第5の態様に係るアキューム装置1による構成]
第5の態様に係るアキューム装置1は、第1グループ搬送機50Aでアキューム部30まで搬送された物品100は、所定数Nのグループの単位で第1アキューム領域31にアキュームされ、第2グループ搬送機50Bでアキューム部30まで搬送された物品100は、所定数Nのグループの単位で第2アキューム領域41にアキュームされる。第1アキューム領域31へのアキュームと第2アキューム領域41へのアキュームとが交互に行われる。
【0064】
[第5の態様に係るアキューム装置1による効果]
第5の態様に係るアキューム装置1によれば、第1アキューム領域31および第2アキューム領域41への搬送の過程で所定数Nの物品100のグループが形成される。したがって、第1アキューム領域31および第2アキューム領域41への所定数Nの物品100のグループが至るとすぐにアキューム動作を始めることができる。
【0065】
[第6の態様に係るアキューム装置1による構成]
第6の態様に係るアキューム装置1は、排出コンベア13が、互いに平行をなす第1排出路13Aと第2排出路13Bを備える。
アキューム解除動作において、第1アキューム領域31にアキュームされていた物品100は、所定数Nのグループの単位で第1排出路13Aに払い出されてから、第1排出路13Aを下流Dに向けて搬送される。第2アキューム領域41にアキュームされていた物品100は、所定数Nのグループの単位で第2排出路13Bに払い出されてから、第2排出路13Bを下流Dに向けて搬送される。第1アキューム領域31からの払い出しと第2アキューム領域41からの払い出しは交互に行われる。
【0066】
[第6の態様に係るアキューム装置1による効果]
第6の態様に係るアキューム装置1によれば、第1アキューム領域31からの払い出しと第2アキューム領域41からの払い出しが交互に行われるので、後に第1物品群100GAと第2物品群100GBを1列にするのが容易である。
【0067】
[第7の態様に係るアキューム装置1による構成]
第7の態様に係るアキューム装置1は、第1排出路13Aで搬送される物品100をそのまま第1排出路13Aで搬送させ、かつ、第2排出路13Bで搬送される物品100を第1排出路13Aに案内する合流機17を備える。
【0068】
[第7の態様に係るアキューム装置1による効果]
第7の態様に係るアキューム装置1によれば合流機17を備えるので、1列で物品100が供給される必要がある物品処理装置が下流Dに設けられるのに対応できる。
【0069】
[第8の態様に係るアキューム装置1による構成]
第8の態様に係るアキューム装置1において、第1アキューム領域31および第2アキューム領域41のそれぞれは、所定数Nのグループの単位で物品100を保持してアキュームする複数のパレット33,43を備える。
【0070】
[第8の態様に係るアキューム装置1による効果]
第8の態様に係るアキューム装置1によれば、物品100がパレット33,43に保持されており、アキュームされた物品が保持されている33,43を移動させることで、物品100をアキュームし、または、払い出す。つまり、アキューム装置1によれば、物品100のアキュームおよび払い出しの際には物品100に負荷が加わらないので、負荷によって物品100に変形が生じるのを避けることができる。
【0071】
[第1の態様に係るアキューム方法による構成]
第1の態様に係るアキューム方法は、上流Uより1列で搬送方向Tに搬送される物品100を、所定数Nのグループの単位で第1供給路11Aと第2供給路11Bに分けて搬送するステップaと、第1供給路11Aを搬送される物品100を、所定数Nのグループの単位で、搬送方向Tに直交する第1アキューム領域31にアキュームするとともに、第2供給路11Bを搬送される物品100を、所定数Nのグループの単位で、搬送方向Tに直交し、かつ、第1供給路11Aおよび第2供給路11Bを挟んで第1アキューム領域31の反対側に設けられる第2アキューム領域41にアキュームするステップbと、を備える。このステップbにおいて、第1アキューム領域31における物品100のアキュームと第2アキューム領域41における物品100のアキュームとが交互に行われる。
【0072】
[第1の態様に係るアキューム方法による効果]
第1の態様に係るアキューム方法によれば、搬送方向Tと直交する方向の両側に第1アキューム領域31と第2アキューム領域41を設けるので、上流Uの物品処理装置と下流Dの物品処理装置の間隔が短くても、高いアキューム能力を得ることができる。また、アキューム装置1によれば、第1アキューム領域31と第2アキューム領域41の一方についてアキューム動作をするのに他方のアキューム動作を待つ必要がないので、高速なアキューム動作に寄与できる。
【0073】
[第2の態様に係るアキューム方法による構成]
第2の態様に係るアキューム方法は、第1アキューム領域31にアキュームされた物品100を下流Dに向けて払い出すとともに、第2アキューム領域41にアキュームされた物品100を下流Dに向けて払い出すステップcを備える。このステップcにおいて、第1アキューム領域31からの物品100の払い出しと第2アキューム領域41からの物品100の払い出しとが交互に行われる。
【0074】
[第2の態様に係るアキューム方法による効果]
第1アキューム領域31からの物品100(第1物品群100GA)の払い出しと第2アキューム領域41からの物品100(第2物品群100GB)の払い出しとが交互に行われる。したがって、後に第1物品群100GAと第2物品群100GBを1列に合流させるのが容易である。
【0075】
本開示においては、実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
例えば、1列で搬送される物品100を2列に分流することができるのであれば、その手段は分流機15に限らない。例えば、特許文献2に開示される板状の部材からなるガイドを通過状態と移送状態に交互に繰り返すことによって、1列を2列に分流することができる。また、本実施形態においては、2列に分流された後の一方の搬送路が物品100を1列で搬送してくる第1供給路11Aをそのまま利用するが、本開示はこれに限定されない。例えば、1列で搬送されてきた物品100を、それまでの搬送路とは異なる一方の搬送路および他方の搬送路に振り分ける態様を本開示は許容する。この態様は、特許文献1に開示されているが、上流側および下流側の物品処理装置における処理速度が速い場合には、適用できないことがある。
【0076】
また、第1グループ搬送機50Aおよび第2グループ搬送機50Bは、図14の上段に示すように、支持アーム56がガイドレール51の外側を向いたままで可動子55がガイドレール51を走行することもできる。また、図14の下段に示すように、支持アーム56が下方を向いたままで可動子55がガイドレール51を走行することもできる。
【0077】
また、第1グループ搬送機50Aおよび第2グループ搬送機50Bは、複数の物品100を前後から挟み込んで搬送する形態を採用するが、所定数Nの物品100をグループの単位で搬送できる限り、本開示におけるその形態は問われない。例えば、所定数Nの物品100のそれぞれを把持する複数のグリッパと称される器具を用いることもできる。
【符号の説明】
【0078】
1 アキューム装置
10 搬送部
11 供給コンベア
11A 第1供給路
11B 第2供給路
13 排出コンベア
13A 第1排出路
13B 第2排出路
15 分流機
17 合流機
21 駆動プーリ
23 従動プーリ
25 駆動ベルト
27 ガイド
28 支持板
29 案内板
30 アキューム部
31 第1アキューム領域
33 パレット
34 主パレット群
35 副パレット群
41 第2アキューム領域
44 主パレット群
45 副パレット群
50 グループ搬送機
50A 第1グループ搬送機
50B 第2グループ搬送機
51 ガイドレール
52A 搬送レール
52B 循環レール
53A,53B 接続レール
55 可動子
56 支持アーム
90 制御部
100 物品
100GA 第1物品群
100GB 第2物品群
U 上流
D 下流
H 高さ方向
T 搬送方向
W 幅方向
図1
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