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特許7431046顕微鏡検査システム及び顕微鏡検査システムを動作させる方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-05
(45)【発行日】2024-02-14
(54)【発明の名称】顕微鏡検査システム及び顕微鏡検査システムを動作させる方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/64 20060101AFI20240206BHJP
   G01N 21/01 20060101ALI20240206BHJP
   G01N 21/27 20060101ALI20240206BHJP
   G01J 3/10 20060101ALI20240206BHJP
   G02B 21/24 20060101ALI20240206BHJP
   G02B 21/06 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
G01N21/64 F
G01N21/01 D
G01N21/27 A
G01N21/27 B
G01J3/10
G02B21/24
G02B21/06
【請求項の数】 23
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020009782
(22)【出願日】2020-01-24
(65)【公開番号】P2020118691
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2022-09-13
(31)【優先権主張番号】10 2019 101 773.4
(32)【優先日】2019-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506085066
【氏名又は名称】カール・ツアイス・メディテック・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】マルコ・ヴィルツバッハ
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・ニーテン
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・マインクス
【審査官】伊藤 裕美
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-180759(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0180477(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0307953(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0139391(US,A1)
【文献】特開2005-152367(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/83
G01J 3/00 - G01J 3/52
G02B 21/00 - G02B 21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体(13)の蛍光及び非蛍光領域を同時に観察するための顕微鏡検査システム(1)であって、
観察ビーム経路(22)を通して物体面(18)を像面(19)に結像するように構成された顕微鏡検査光学ユニット(14)と、
前記観察ビーム経路(22)内に配置可能な観察フィルタ(23)であって、
前記観察フィルタ(23)のλ1~λ2の透過率(41は、W1未満であり、λ3~λ4ではW2=1%より大きく且つ60%未満であり、且つλ5~λ6ではW3より大きく、440nm<λ3<460nm且つ480nm<λ4<620nmであり、
λ1、λ2、λ3、λ4、λ5、λ6は、350nm<λ1<λ2≦λ3<λ4≦λ5<λ6<750nmが当てはまる波長であり、
W1、W2、W3は、0<W1<W2<W3<1が当てはまる値である、観察フィルタ(23)と、
λ1~λ2の波長を有する第一の光を生成し、且つそれを前記物体面(18)に向けるように構成された第一の光源(5)と、
λ3~λ4の波長を有する第二の光を生成し、且つそれを前記物体面(18)に向けるように構成された第二の光源(5)と、
コントローラ(12)であって、前記第一の光源及び/又は前記第二の光源を個別に制御するように構成され、その結果、前記第一の光の強度と前記第二の光の強度との比は、可変である、コントローラ(12)と
を含む顕微鏡検査システム(1)。
【請求項2】
350nm<λ1<400nm且つ/若しくは410nm<λ2<440nm、及び/又
530nm<λ5<620nm且つ/若しくは650nm<λ6<750nm、及び/又は
W1=0.1%若しくはW1=0.01%、及び/又
W3=90%
が当てはまる、請求項1に記載の顕微鏡検査システム。
【請求項3】
480nm<λ4<520nmが当てはまり、及び/又は
前記観察フィルタ(23)のλ3~λ4の前記透過率(41)は、10%より大きく及び/又は
前記観察フィルタ(23)のλ2+Δ~λ3-Δ及びλ4+Δ~λ5-Δの前記透過率(41)は、W1の0.1倍未満であり、3nm≦Δ≦10nmが当てはまり、及び/又は
λ3超での前記第一の光の前記強度(31)は、その最大スペクトル強度の最大で1%であり、及び/又は
λ2未満及びλ5超での前記第二の光の前記強度(32)は、その最大スペクトル強度の最大で1%であり、
前記第一の光源(5)は、400nm~420nmの範囲のスペクトル発光極大と10nm~20nmの範囲の半値全幅とを有するスペクトル強度分布を生成するように構成され、及び/又は
前記第二の光源(5)は、440nm~470nmの範囲のスペクトル発光極大と20nm~50nmの範囲の半値全幅とを有するスペクトル強度分布を生成するように構成される、
請求項1または2に記載の顕微鏡検査システム。
【請求項4】
物体(13)の蛍光及び非蛍光領域を同時に観察するための顕微鏡検査システム(1)であって、
観察ビーム経路(22)を通して物体面(18)を像面(19)に結像するように構成された顕微鏡検査光学ユニット(14)と、
前記観察ビーム経路(22)内に配置可能な観察フィルタ(23)であって、
前記観察フィルタ(23)のλ1~λ2の透過率(41、61、81、101、121、141、161)は、W1未満であり、λ3~λ4ではW2より大きく、且つλ5~λ6ではW3より大きく、
λ1、λ2、λ3、λ4、λ5、λ6は、350nm<λ1<λ2≦λ3<λ4≦λ5<λ6<750nmが当てはまる波長であり、
W1、W2、W3は、0<W1<W2<W3<1が当てはまる値である、観察フィルタ(23)と、
λ1~λ2の波長を有する第一の光を生成し、且つそれを前記物体面(18)に向けるように構成された第一の光源(5)であって、λ3超での前記第一の光の前記強度(51)は、その最大スペクトル強度の最大で1%である、前記第一の光源(5)と、
λ3~λ4の波長を有する第二の光を生成し、且つそれを前記物体面(18)に向けるように構成された第二の光源(5)であって、λ2未満及びλ5超での前記第二の光の前記強度(52)は、その最大スペクトル強度の最大で1%である、前記第二の光源(5)と、
λ7~λ8の波長を有する第三の光を生成し、且つそれを前記物体面(18)に向けるように構成された第三の光源(5)であって、λ7、λ8は、波長であり、及びλ2<λ7<λ8<λ5が当てはまり、λ2未満及びλ5超での前記第三の光の強度(53)は、その最大スペクトル強度の最大で1%である、前記第三の光源(5)と、
コントローラ(12)であって、前記第一の光源及び/又は前記第二の光源を個別に制御するように構成され、その結果、前記第一の光の強度と前記第二の光の強度との比は、可変である、コントローラ(12)と
を含む顕微鏡検査システム(1)。
【請求項5】
前記観察フィルタ(23)のλ3~λ6の前記透過率(61)は、W3より大きい、請求項に記載の顕微鏡検査システム。
【請求項6】
物体(13)の蛍光及び非蛍光領域を同時に観察するための顕微鏡検査システム(1)であって、
観察ビーム経路(22)を通して物体面(18)を像面(19)に結像するように構成された顕微鏡検査光学ユニット(14)と、
前記観察ビーム経路(22)内に配置可能な観察フィルタ(23)であって、
前記観察フィルタ(23)のλ1~λ2の透過率(1、10)は、W1未満であり、λ3~λ4ではW2=1%より大きく且つ5%未満であり、且つλ5~λ6ではW3より大きく、
λ1、λ2、λ3、λ4、λ5、λ6は、350nm<λ1<λ2≦λ3<λ4≦λ5<λ6<750nmが当てはまる波長であり、600nm<λ4<λ5<620nmが当てはまり、
W1、W2、W3は、0<W1<W2<W3<1が当てはまる値である、観察フィルタ(23)と、
λ1~λ2の波長を有する第一の光を生成し、且つそれを前記物体面(18)に向けるように構成された第一の光源(5)と、
λ3~λ4の波長を有する第二の光を生成し、且つそれを前記物体面(18)に向けるように構成された第二の光源(5)と、
λ7~λ8の波長を有する第三の光を生成し、且つそれを前記物体面(18)に向けるように構成された第三の光源(5)であって、λ7、λ8は、波長であり、及びλ2<λ7<λ8<λ5が当てはまる、前記第三の光源(5)と、
コントローラ(12)であって、前記第一の光源及び/又は前記第二の光源を個別に制御するように構成され、その結果、前記第一の光の強度と前記第二の光の強度との比は、可変である、コントローラ(12)と
を含む顕微鏡検査システム(1)。
【請求項7】
350nm<λ1<400nm且つ/若しくは410nm<λ2<440nm、及び/又は
440nm<λ3<460nm且つ/若しくは480nm<λ4<620nm、及び/又は
530nm<λ5<620nm且つ/若しくは650nm<λ6<750nm、及び/又は
W1=0.1%若しくはW1=0.01%、及び/又
W3=90%
が当てはまる、請求項に記載の顕微鏡検査システム。
【請求項8】
λ3超での前記第一の光の前記強度(51)は、その最大スペクトル強度の最大で1%であり、及び/又は
λ2未満及びλ5超での前記第二の光の前記強度(52)は、その最大スペクトル強度の最大で1%であり、及び/又は
λ2未満及びλ5超での前記第三の光の強度(53)は、その最大スペクトル強度の最大で1%である、請求項又はに記載の顕微鏡検査システム。
【請求項9】
前記光源(5)と前記物体面(18)との間に配置可能な照明フィルタ(9)をさらに含み、
前記照明フィルタ(9)のλ1~λ3’及びλ4’~λ4の前記透過率(102)は、W3より大きく、且つλ3’+Δ~λ4’-Δ及びλ4+Δ~λ6ではW1未満であり、3nm≦Δ≦10nmが当てはまり、
λ3’、λ4’は、波長であり、且つλ3<λ3’<λ4’<λ4、及び480nm<λ3’<520nm、及び520nm<λ4’<550nm、及びλ4’-λ3’>20nmが当てはまり、及び/又は
λ3超での前記第一の光の前記強度(51)は、その最大スペクトル強度の最大で1%であり、及び/又は
λ2未満及びλ4’超での前記第二の光の前記強度(52)は、その最大スペクトル強度の最大で1%であり、及び/又は
λ4’~λ4での前記第三の光の前記強度(53)は、大きく、且つλ3’未満及びλ5超でその最大スペクトル強度の最大で1%である、請求項8に記載の顕微鏡検査システム。
【請求項10】
物体(13)の蛍光及び非蛍光領域を同時に観察するための顕微鏡検査システム(1)であって、
観察ビーム経路(22)を通して物体面(18)を像面(19)に結像するように構成された顕微鏡検査光学ユニット(14)と、
前記観察ビーム経路(22)内に配置可能な観察フィルタ(23)であって、
前記観察フィルタ(23)のλ1~λ2の透過率121は、W1未満であり、λ3~λ4ではW2より大きく且つ5%未満であり、λ4+Δ~λ7-Δでは、W1未満であり、λ7~λ8では、W2より大きく且つ5%未満であり、且つλ5~λ6ではW3より大きく、3nm≦Δ≦10nmが当てはまり、
λ1、λ2、λ3、λ4、λ5、λ6、λ7、λ8は、350nm<λ1<λ2≦λ3<λ4≦λ5<λ6<750nmが当てはまる波長であり、λ4<λ7<λ8<λ5が当てはまり
W1、W2、W3は、0<W1<W2<W3<1が当てはまる値である、観察フィルタ(23)と、
λ1~λ2の波長を有する第一の光を生成し、且つそれを前記物体面(18)に向けるように構成された第一の光源(5)と、
λ3~λ4の波長を有する第二の光を生成し、且つそれを前記物体面(18)に向けるように構成された第二の光源(5)と、
λ7~λ8の波長を有する第三の光を生成し、且つそれを前記物体面(18)に向けるように構成された第三の光源(5)であって、λ7、λ8は、波長であり、及びλ2<λ7<λ8<λ5が当てはまる、前記第三の光源(5)と、
コントローラ(12)であって、前記第一の光源及び/又は前記第二の光源を個別に制御するように構成され、その結果、前記第一の光の強度と前記第二の光の強度との比は、可変である、コントローラ(12)と
を含む顕微鏡検査システム(1)。
【請求項11】
80nm<λ4<520nm、及び520nm<λ7<550nm、及びλ7-λ4>20nm、及びλ5-λ8<30nmが当てはまり、及び/又は
λ3超での前記第一の光の前記強度(51)は、その最大スペクトル強度の最大で1%であり、及び/又は
λ2未満及びλ7超での前記第二の光の前記強度(52)は、その最大スペクトル強度の最大で1%であり、及び/又は
λ4未満及びλ5超での前記第三の光の強度(53)は、その最大スペクトル強度の最大で1%である、請求項10に記載の顕微鏡検査システム。
【請求項12】
物体(13)の蛍光及び非蛍光領域を同時に観察するための顕微鏡検査システム(1)であって、
観察ビーム経路(22)を通して物体面(18)を像面(19)に結像するように構成された顕微鏡検査光学ユニット(14)と、
前記観察ビーム経路(22)内に配置可能な観察フィルタ(23)であって、
前記観察フィルタ(23)のλ1~λ2の透過率141は、W1未満であり、λ3~λ4ではW2=1%より大きく且つ5%未満でありλ4+Δ~λ5-Δでは、W1未満であり、且つλ5~λ6ではW3より大きく、3nm≦Δ≦10nmが当てはまり、
λ1、λ2、λ3、λ4、λ5、λ6は、350nm<λ1<λ2≦λ3<λ4≦λ5<λ6<750nmが当てはまる波長であり、480nm<λ4<520nm、及び530nm<λ5<560nmが当てはまり、
W1、W2、W3は、0<W1<W2<W3<1が当てはまる値である、観察フィルタ(23)と、
λ1~λ2の波長を有する第一の光を生成し、且つそれを前記物体面(18)に向けるように構成された第一の光源(5)と、
λ3~λ4の波長を有する第二の光を生成し、且つそれを前記物体面(18)に向けるように構成された第二の光源(5)と、
λ5’~λ6’の波長を有する第三の光を生成し、且つそれを前記物体面(18)に向けるように構成された第三の光源(5)であって、λ5’、λ6’は、波長であり、及びλ5<λ5’<λ6’ <λ6が当てはまり、530nm<λ5’<570nm及び600nm<λ6’<620nmが当てはまり、前記第三の光源(5)は、500nm~560nmの範囲のスペクトル発光極大と40nm~110nmの範囲の半値全幅とを有するスペクトル強度分布を生成するように構成される、前記第三の光源(5)と、
コントローラ(12)であって、前記第一の光源及び/又は前記第二の光源を個別に制御するように構成され、その結果、前記第一の光の強度と前記第二の光の強度との比は、可変である、コントローラ(12)と
を含む顕微鏡検査システム(1)。
【請求項13】
350nm<λ1<400nm且つ/若しくは410nm<λ2<440nm、及び/又は
440nm<λ3<460nm及び/又は
50nm<λ6<750nm、及び/又は
W1=0.1%若しくはW1=0.01%、及び/又
W3=90%
が当てはまる、請求項12に記載の顕微鏡検査システム。
【請求項14】
λ5-λ4>20nmが当てはまり、及び/又は
前記顕微鏡検査システム(1)は、前記光源(5)と前記物体面(18)との間に配置可能な照明フィルタ(9)をさらに含み、
前記照明フィルタ(9)のλ1~λ4の前記透過率(142)は、W3より大きく、
前記照明フィルタ(9)のλ4+Δ~λ5’-Δの前記透過率(142)は、W1未満であり、
前記照明フィルタ(9)のλ5’~λ6’の前記透過率(142)は、W2より大きく且つ5%未満であり、
前記照明フィルタ(9)のλ6’~λ6の前記透過率(142)は、W1未満であり、
λ3超での前記第一の光の前記強度(51)は、その最大スペクトル強度の最大で1%であり、及び/又は
λ2未満及びλ5超での前記第二の光の前記強度(52)は、その最大スペクトル強度の最大で1%であり、及び/又は
λ4未満及びλ6’超での前記第三の光の強度(53)は、その最大スペクトル強度の最大で1%である、請求項12又は13に記載の顕微鏡検査システム。
【請求項15】
前記第一の光源(5)は、400nm~420nmの範囲のスペクトル発光極大と10nm~20nmの範囲の半値全幅とを有するスペクトル強度分布を生成するように構成され、及び/又は
前記第二の光源(5)は、440nm~470nmの範囲のスペクトル発光極大と20nm~50nmの範囲の半値全幅とを有するスペクトル強度分布を生成するように構成され、及び/又は
記第三の光源(5)は、500nm~560nmの範囲のスペクトル発光極大と40nm~110nmの範囲の半値全幅とを有するスペクトル強度分布を生成するように構成される、請求項4~14の何れか一項に記載の顕微鏡検査システム。
【請求項16】
前記物体面(18)と前記光源(5)との間に照明フィルタを有さない、請求項1~8又は10又は11の何れか一項に記載の顕微鏡検査システム。
【請求項17】
物体(13)の蛍光及び非蛍光領域を同時に観察するための顕微鏡検査システム(1)であって、
観察ビーム経路(22)を通して物体面(18)を像面(19)に結像するように構成された顕微鏡検査光学ユニット(14)と、
前記観察ビーム経路(22)内に配置可能な観察フィルタ(23)であって、
前記観察フィルタ(23)のλ1~λ2の透過率(41、61、81、101、121、141、161)は、W1未満であり、λ3~λ4ではW2より大きく、且つλ5~λ6ではW3より大きく、
λ1、λ2、λ3、λ4、λ5、λ6は、350nm<λ1<λ2≦λ3<λ4≦λ5<λ6<750nmが当てはまる波長であり、
W1、W2、W3は、0<W1<W2<W3<1が当てはまる値である、前記観察フィルタ(23)と、
λ1~λ2の波長を有する第一の光を生成し、且つそれを前記物体面(18)に向けるように構成された第一の光源(5)と、
λ3~λ4の波長を有する第二の光を生成し、且つそれを前記物体面(18)に向けるように構成された第二の光源(5)と、
λ5’~λ6’の波長を有する第三の光を生成し、且つそれを前記物体面(18)に向けるように構成された第三の光源(5)と、
コントローラ(12)であって、前記第一の光源及び/又は前記第二の光源を個別に制御するように構成され、その結果、前記第一の光の強度と前記第二の光の強度との比は、可変である、前記コントローラ(12)と、
前記光源(5)と前記物体面(18)との間に配置可能な照明フィルタ(9)であって
前記照明フィルタ(9)のλ1~λ4の前記透過率(162)は、W3より大きく、
前記照明フィルタ(9)のλ5’~λ6’の前記透過率(162)は、W2より大きく且つ5%未満であり、
λ5’、λ5’は、波長であり、及びλ5<λ5’<λ6’が当てはまり、
前記観察フィルタ(23)のλ3~λ4の前記透過率(161)は、5%未満である、前記照明フィルタ(9)
を備える、顕微鏡検査システム(1)。
【請求項18】
前記照明フィルタ(9)のλ4+Δ~λ5’+Δの前記透過率(162)は、W1未満であり、3nm≦Δ≦10nmが当てはまり、及び/又は
前記照明フィルタ(9)のλ6’~750nmの前記透過率(162)は、W1未満であり、及び/又は
前記観察フィルタ(23)のλ4+Δ~λ5-Δの前記透過率(161)は、W1未満であり、3nm≦Δ≦10nmが当てはまる、請求項17に記載の顕微鏡検査システム。
【請求項19】
350nm<λ1<460nm且つ/若しくは460nm<λ2<480nm、及び/又は
470nm<λ3<490nm且つ/若しくは490nm<λ4<510nm、及び/又は
520nm<λ5<550nm且つ/若しくは680nm<λ6<750nm、及び/又は
620nm<λ5’<650nm且つ/若しくは680nm<λ6’<750nm、及び/又は
W1=0.1%若しくはW1=0.01%、及び/又は
W2=0.5%、及び/又は
W3=90%、及び/又は
λ5超での前記第一の光の前記強度(151)は、その最大スペクトル強度の最大で1%であり、及び/又は
λ3未満及びλ5’超での前記第二の光の前記強度(152)は、その最大スペクトル強度の最大で1%であり、及び/又は
λ4未満での前記第三の光の強度(153)は、その最大スペクトル強度の最大で1%である、請求項17又は18に記載の顕微鏡検査システム。
【請求項20】
前記第一の光源(5)は、440nm~460nmの範囲のスペクトル発光極大と10nm~20nmの範囲の半値全幅とを有するスペクトル強度分布を生成するように構成され、及び/又は
前記第二の光源(5)は、500nm~550nmの範囲のスペクトル発光極大と40nm~110nmの範囲の半値全幅とを有するスペクトル強度分布を生成するように構成され、及び/又は
前記第三の光源(5)は、600nm~640nmの範囲のスペクトル発光極大と10nm~20nmの範囲の半値全幅とを有するスペクトル強度分布を生成するように構成される、請求項1719の何れか一項に記載の顕微鏡検査システム。
【請求項21】
前記コントローラ(12)は、前記光源(5)の少なくとも1つの動作電流及び/又は動作電圧を個別に設定して、それにより、前記光源(5)によって生成される前記光の前記強度(31、32、51、52、53、151、152、153)を個別に設定するように構成される、請求項1~20の何れか一項に記載の顕微鏡検査システム。
【請求項22】
顕微鏡検査システム、特に請求項1~21の何れか一項に記載の顕微鏡検査システム(1)を動作させる方法であって、
照明光を生成し、且つ前記生成された照明光を物体(13)に向けるステップ、
前記物体(13)を像面(19)に結像する観察ビーム経路(22)を生成するステップ
を含み、観察フィルタ(23)は、前記観察ビーム経路(22)内に配置され、
前記照明光は、
【数1】
が当てはまるように生成され、式中、
【数2】
は、CIE 1931標準表色系のCIE標準色度図における白色点の色位置を表し、
【数3】
は、CIE 1931標準表色系のCIE標準色度図における座標x,yを有する色位置を表し、前記座標x,yは、
【数4】
及び
【数5】
によって定義され、式中、X、Y、Zは、
【数6】
によって定義されるCIE 1931標準表色系の三刺激値を表し、式中、
I(λ)は、前記照明光の強度を表し、
T(λ)は、前記観察フィルタ(23)の透過率(41、61、81、101、121、141、161)を表し、
【数7】
は、CIE 1931標準表色系のスペクトル値関数を表し、及び
kは、定数である、方法。
【請求項23】
【数8】
、特に
【数9】
が当てはまる、請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顕微鏡検査システム及び顕微鏡検査システムを動作させる方法に関する。特に、この顕微鏡検査システム及び方法は、蛍光色素、例えばプロトポルフィリンIX(PpIX)又はフルオレセインと混合された物体の蛍光及び非蛍光領域を同時に観察するのに役立つ。
【背景技術】
【0002】
物体の蛍光及び非蛍光領域を同時又は逐次的に観察するための顕微鏡検査システムは、例えば、腫瘍外科の分野で使用されている。蛍光色素が腫瘍性組織に付加されると、腫瘍性組織と結合する。しかし、蛍光色素は、非腫瘍性組織と結合しない。蛍光色素を励起させた後、蛍光により組織の画像を記録し、その中の蛍光領域を識別することにより、腫瘍性組織の位置を特定できる。
【0003】
腫瘍性組織を、腫瘍性組織を取り囲む健康な組織から除去できるようにするには、腫瘍性組織を識別し、その周辺組織に関する位置を特定しなければならない。そのため、周辺組織、すなわち物体の非蛍光領域を捕捉することも必要である。
【0004】
これを実現するために、物体の蛍光領域及び非蛍光領域を同時に観察するための従来の顕微鏡検査システムでは、可視波長範囲内でスペクトル的にほぼ均一な強度を有する白色光源、例えばキセノンランプが使用されている。物体に供給される照明光の波長依存強度の設定は、通常、1つ又は複数の照明フィルタにより設定される。物体から出た光は、蛍光と、非蛍光領域で反射された光との両方を含み、通常、観察フィルタによりフィルタ処理されて、観察者に供給される。
【0005】
蛍光の強度と、蛍光色素を励起するために使用される光の強度との比は、非常に小さいため、蛍光と、物体の非蛍光領域で反射された光とは、大きく異なる明るさを有するように認識され、これによって蛍光領域及びしたがって腫瘍性組織の位置を特定することがより困難となる。さらに、低悪性度腫瘍から出た蛍光の強度は、高悪性腫瘍から出た蛍光の強度と比較して、最大で20分の1と小さく、これもさらに位置特定の障害となる。
【0006】
さらに、非蛍光領域のカラーレンダリングは、トゥルーカラーではなく、支配的な色により特徴付けられることが多く、その結果、非蛍光領域は、外科医に対して不自然な色で提示されることになり、これは、非蛍光領域内の方位特定の障害となる。トゥルーカラーではないこのレンダリングは、部分的に、フィルタの波長依存透過プロファイルをよりよくすることが技術的に実現不能であり、例えば干渉フィルタとして実現できないという事実に起因する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この背景に照らして、本発明の目的は、上述の問題を解決する顕微鏡検査システム、顕微鏡検査システムを動作させる方法及び顕微鏡検査方法を提供する事である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第一の態様
本発明の第一の態様によれば、物体の蛍光及び非蛍光領域を同時に観察するための顕微鏡検査システムは、観察ビーム経路を通して物体面を像面に結像するように構成された顕微鏡検査光学ユニットと、観察ビーム経路内に配置可能な観察フィルタと、少なくとも2つの(狭帯域)光源と、コントローラであって、少なくとも2つの光源の1つ又は複数を個別に制御するように構成され、その結果、少なくとも2つの光源によって生成された光の強度の比は、可変である、コントローラとを含む。
【0009】
画像検出器を顕微鏡検査光学ユニットの像面内に配置し、そのようにして物体面内に配置された物体の画像を記録することができる。
【0010】
少なくとも2つの光源のうち、(少なくとも)第一の光源は、第一の光を生成し、且つそれを物体領域に向けるように構成され、第一の光は、物体中に存在する蛍光色素を励起させるのに適している。この目的のために、第一の光は、蛍光色素の吸収範囲内の波長を有する光を含む。PpIXの場合、第一の光は、380nm~420nmの範囲の波長を含むことができる。
【0011】
少なくとも2つの光源のうち、(少なくとも)第二の光源は、第二の光を生成し、且つそれを物体領域に向けるように構成され、第二の光は、物体の非蛍光領域を可視化するのに役立つ。この目的のために、第二の光は、蛍光色素の吸収及び発光範囲外の波長を有する光を含む。
【0012】
光源の1つ又は複数は、狭帯域であり得る。狭帯域の光源は、スペクトル強度分布に応じた光を生成し、スペクトル強度分布は、中心波長において最大スペクトル発光強度を有し、スペクトル発光強度が最大スペクトル発光強度の1%であり、中心波長より長い上限波長と、スペクトル発光強度が最大スペクトル発光強度の1%であり、中心波長より短い下限波長との間の差は、最大で150nm、特に最大で100nm、より特に最大で50nm、又は最大で20nm、又は最大で10nmである。
【0013】
光源の1つ又は複数は、コントローラによって個別に制御され得る。すなわち、光源は、他の光源と独立して制御され得る。個別に制御可能な光源によって生成される光の強度は、したがって個別に設定できる。異なる光源によって生成される光の強度の比は、したがって変化させることができる。例えば、コントローラは、個別に制御可能な光源の動作電流及び/又は動作電圧を変化させ、それにより、前記光源によって生成される光の強度を変化させるように構成される。光源は、例えば、発光ダイオードである。
【0014】
観察フィルタの(波長依存)透過率は、通常、観察フィルタが透過させる1つの波長の光の強度と、観察フィルタに向けられた同じ波長の光の強度との比として定義される。
【0015】
観察フィルタの透過率は、それが蛍光色素を励起させるために使用された光を遮断する(透過させない)ように、且つ非蛍光領域を可視化するために使用される光を所定の程度まで透過させるように、且つそれが最善の方法で蛍光を透過させるように具現化される。
【0016】
光源の、したがって物体に向けられる光のスペクトル強度成分を個別に設定できることと、非蛍光領域を可視化するために使用される波長範囲での透過率を適当に選択することとにより、以下の利点が得られる。
【0017】
第一に、蛍光領域及び非蛍光領域は、個々の光源を相応に設定することによって生成される光の強度により、ほとんど等しい明るさとして認識できる。第一の光源は、蛍光領域から出る蛍光の強度を設定するために(第二の光源とは実質的に独立して)使用できる。第二の光源は、非蛍光領域から反射された光の強度を設定するために(第一の光源とは実質的に独立して)使用できる。蛍光及び非蛍光領域から出た光の強度は、このようにして相互に調整でき、その結果、両方の領域がほぼ等しい明るさに見える。
【0018】
さらに、すべての光源は、ここでは、それらの発光安定動作範囲で動作させることができる。光源の発光スペクトルは、一般に、非常に小さい動作電流及び/又は電圧で安定しない。すなわち、発光スペクトルは、動作電流が変化すると変化する。これを避けるために、すべての光源をそれらの発光安定動作範囲で動作させることができ、これは、例えば、すべての光源をそれぞれの最大消費電力の少なくとも0.1%で動作させることによって行われる。非蛍光領域を可視化するために使用され、光源によりその最大消費電力の少なくとも0.1%で動作される光の強度が蛍光の強度とほぼ等しくなるようにする(すなわち蛍光及び非蛍光領域が同じ明るさに見えるようにする)ために、非蛍光領域を可視化するために使用される波長範囲の観察フィルタの透過率を対応して小さく選択できる。その結果、すべての光源がそれらの発光安定動作範囲で動作できる。
【0019】
さらに、照明フィルタは、不要である。
【0020】
少なくとも2つの光源と、観察フィルタの少なくとも2つの別々のパスバンドとを非蛍光領域の可視化のために使用すると、その結果としてまた別の利点が得られる。非蛍光領域のカラーレンダリングは、非蛍光領域を可視化するために使用される光源によって生成される光の強度と、観察フィルタ内にこの目的のために対応して提供されるパスバンドの透過率とを適当に選択することによって設定できる。特に、カラーレンダリングは、トゥルーカラーレンダリングに設定され得る。
【0021】
後述の実施形態において、観察フィルタのλ1~λ2の透過率は、W1未満であり、λ3~λ4ではW2より大きく、且つλ5~λ6ではW3より大きく、λ1、λ2、λ3、λ4、λ5、λ6は、350nm<λ1<λ2≦λ3<λ4≦λ5<λ6<750nmが当てはまる波長であり、W1、W2、W3は、0<W1<W2<W3<1が当てはまる値であり、第一の光源は、λ1~λ2の波長を有する第一の光を生成するように構成され、及び第二の光源は、λ3~λ4の波長を有する第二の光を生成するように構成される。
【0022】
PpIXと混合された物体の蛍光及び非蛍光領域を同時に観察するために、観察フィルタ及び光源は、以下のように構成され得る:
350nm<λ1<400nm且つ/若しくは410nm<λ2<440nm、及び/又は
440nm<λ3<460nm且つ/若しくは480nm<λ4<620nm、及び/又は
530nm<λ5<620nm且つ/若しくは650nm<λ6<750nm、及び/又は
W1=0.1%若しくはW1=0.01%、及び/又は
W2=1%、及び/又は
W3=90%。
【0023】
第一の実施形態
青波長範囲の非蛍光領域を観察するために、特定の用途における慣例及び所望により、さらに以下の設定が当てはまる:
480nm<λ4<520nm、及び/又は
観察フィルタのλ3~λ4の透過率は、10%より大きく且つ60%未満であり、及び/又は
観察フィルタのλ2+Δ~λ3-Δ及びλ4+Δ~λ5-Δの透過率は、0.1×W1未満であり、3nm≦λ≦10nmが当てはまり、及び/又は
λ3超での第一の光の強度は、その最大スペクトル強度の最大で1%であり、及び/又は
λ2未満及びλ5超での第二の光の強度は、その最大スペクトル強度の最大で1%である。
【0024】
非蛍光領域のカラーレンダリングを特にトゥルーカラーレンダリングに設定できるようにするために、顕微鏡検査システムは、λ7~λ8の波長を有する第三の光を生成し、且つそれを物体面に向けるように構成された第三の光源をさらに含み、λ7、λ8は、波長であり、及びλ2<λ7<λ8<λ5が当てはまる。光源の適当な動作によって非蛍光領域のトゥルーカラーレンダリングを実現するために使用される幾つかの構成について以下に説明する。
【0025】
第二の実施形態
観察フィルタのλ3~λ6の透過率は、W3より大きい。有利には、λ3超での第一の光の強度は、その最大スペクトル強度の最大で1%である。有利には、λ2未満及びλ5超での第二の光の強度は、その最大スペクトル強度の最大で1%である。有利には、λ2未満及びλ5超での第三の光の強度は、その最大スペクトル強度の最大で1%である。
【0026】
第三の実施形態
観察フィルタのλ3~λ4の透過率は、5%未満であり、及び600nm<λ4<λ5<620nmが当てはまる。有利には、λ3超での第一の光の強度は、その最大スペクトル強度の最大で1%である。有利には、λ2未満及びλ5超での第二の光の強度は、その最大スペクトル強度の最大で1%である。有利には、λ2未満及びλ5超での第三の光の強度は、その最大スペクトル強度の最大で1%である。
【0027】
第四の実施形態
さらに好ましくは、第三の実施形態による顕微鏡検査システムは、光源と物体面との間に配置可能な照明フィルタをさらに含み、照明フィルタのλ1~λ3’及びλ4’~λ4の透過率は、W3より大きく、且つλ3’+Δ~λ4’-Δ及びλ4+Δ~ではW1未満であり、3nm≦Δ≦10nmが当てはまり、λ3’、λ4’は、波長であり、且つλ3<λ3’<λ4’<λ4、480nm<λ3’<520nm、及び520nm<λ4’<550nm、及びλ4’-λ3’>20nmが当てはまる。有利には、λ3超での第一の光の強度は、その最大スペクトル強度の最大で1%である。有利には、λ2未満及びλ4’超での第二の光の強度は、その最大スペクトル強度の最大で1%である。有利には、λ4’~λ4での第三の光の強度は、有意に高く、且つλ3’未満及びλ5超ではその最大スペクトル強度の最大で1%である。
【0028】
第五の実施形態
観察フィルタのλ3~λ4の透過率は、5%未満であり、観察フィルタのλ7~λ8の透過率は、W2より大きく且つ5%未満であり、及び観察フィルタのλ4+Δ~λ7-Δの透過率は、W1未満であり、3nm≦Δ≦10nmが当てはまり、λ7、λ8は、波長であり、λ4<λ7<λ8<λ5、及び480nm<λ4<520nm、及び520nm<λ7<550nm、及びλ7-λ4>20nm、及びλ5-λ8<30nmが当てはまる。有利には、λ3超での第一の光の強度は、その最大スペクトル強度の最大で1%である。有利には、λ2未満及びλ7超での第二の光の強度は、その最大スペクトル強度の最大で1%である。有利には、λ4未満及びλ5超での第三の光の強度は、その最大スペクトル強度の最大で1%である。
【0029】
第六の実施形態
観察フィルタのλ3~λ4の透過率は、5%未満であり、観察フィルタのλ4+Δ~λ5-Δの透過率は、W1未満であり、480nm<λ4<520nmm、及び530nm<λ5<560nm、及びλ5-λ4>20nmが当てはまる。顕微鏡検査システムは、光源と物体面との間に配置可能な照明フィルタをさらに含み、照明フィルタのλ1~λ4の透過率は、W3より大きく、照明フィルタのλ4+Δ~λ5’-Δの透過率は、W1未満であり、照明フィルタのλ5’~λ6’の透過率は、W2より大きく且つ5%未満であり、照明フィルタのλ6’~λ6の透過率は、W1未満であり、3nm≦Δ≦10nmが当てはまり、λ5’、λ6’は、波長であり、及びλ4<λ5’<λ6’<λ6が当てはまり、530nm<λ5’<570nm及び600nm<λ6’<620nmが当てはまる。有利には、λ3超での第一の光の強度は、その最大スペクトル強度の最大で1%である。有利には、λ2未満及びλ5超での第二の光の強度は、その最大スペクトル強度の最大で1%である。有利には、λ4未満及びλ5超での第三の光の強度は、その最大スペクトル強度の最大で1%である。
【0030】
PpIXと混合された物体の蛍光及び非蛍光領域を同時に観察するために、以下のように構成された光源が特に上述の実施形態にとって適当である:第一の光源は、400nm~420nmの範囲のスペクトル発光極大と10nm~20nmの半値全幅とを有する発光ダイオードであり得る。第二の光源は、440nm~470nmの範囲のスペクトル発光極大と20nm~50nmの範囲の半値全幅とを有する発光ダイオードであり得る。第三の光源は、500nm~560nmの範囲のスペクトル発光極大と40nm~110nmの範囲の半値全幅とを有する発光ダイオードであり得る。
【0031】
第七の実施形態
フルオレセインと混合された物体の蛍光及び非蛍光領域を同時に観察するために、顕微鏡検査システムは、λ5’~λ6’の波長を有する第三の光を生成し、且つそれを物体面に向けるように構成された第三の光源、光源と物体面との間に配置可能な照明フィルタをさらに含み、照明フィルタのλ1~λ4の透過率は、W3より大きく、照明フィルタのλ5’~λ6’の透過率は、W2より大きく且つ5%未満であり、λ5’、λ6’は、波長であり、及びλ5<λ5’<λ6’が当てはまり、観察フィルタのλ3~λ4の透過率は、5%未満である。
【0032】
有利には、照明フィルタのλ4+Δ~λ5’-Δの透過率は、W1未満であり、3nm≦Δ≦10nmが当てはまる。有利には、照明フィルタのλ6’~750nmの透過率は、W1未満である。有利には、観察フィルタのλ4+Δ~λ5-Δの透過率は、W1未満であり、3nm≦Δ≦10nmが当てはまる。
【0033】
観察フィルタ及び光源は、フルオレセインと混合された物体の蛍光及び非蛍光領域を同時に観察するために以下のように構成され得る:
350nm<λ1<460nm且つ/若しくは460nm<λ2<480nm、及び/又は
470nm<λ3<490nm且つ/若しくは490nm<λ4<510nm、及び/又は
520nm<λ5<550nm且つ/若しくは680nm<λ6<750nm、及び/又は
620nm<λ5’<650nm且つ/若しくは680nm<λ6’<750nm、及び/又は
W1=0.1%若しくはW1=0.01%、及び/又は
W2=0.5%、及び/又は
W3=90%。
【0034】
有利には、λ5超での第一の光の強度は、その最大スペクトル強度の最大で1%である。有利には、λ3未満及びλ5’超での第二の光の強度は、その最大スペクトル強度の最大で1%である。有利には、λ4未満での第三の光の強度は、その最大スペクトル強度の最大で1%である。
【0035】
フルオレセインと混合された物体の蛍光及び非蛍光領域を同時に観察するために、以下のように構成される光源は、特に上述の実施形態に適している:第一の光源は、440nm~470nmの範囲のスペクトル発光極大と10nm~20nmの範囲の半値全幅とを有する発光ダイオードであり得る。第二の光源は、500nm~560nmの範囲のスペクトル発光極大と40nm~110nmの範囲の半値全幅とを有する発光ダイオードであり得る。第三の光源は、600nm~640nmの範囲のスペクトル発光極大と10nm~20nmの範囲の半値全幅とを有する発光ダイオードであり得る。
【0036】
有利には、照明フィルタ及び観察フィルタの波長依存透過率は、相互に調整されて、350nm~750nmでは、照明フィルタの波長依存透過率勾配の絶対値と、観察フィルタの波長依存透過率勾配の絶対値との両方が2%/nmより大きくなる波長が存在しないようにされる。これにより、ある波長での照明フィルタ及び観察フィルタの透過率の大幅な変化が防止される。したがって、照明フィルタ及び観察フィルタの透過率に関する製造公差は、照明フィルタ及び観察フィルタで実現される異なるスペクトル範囲の色の真度及び明るさに大きく影響しない。
【0037】
第二の態様
本発明の第二の態様は、顕微鏡検査システム、特に本明細書に記載の顕微鏡検査システムの1つを動作させる方法に関する。
【0038】
この方法は、照明光を生成し、且つ生成された照明光を物体に向けるステップ、物体を像面に結像する観察ビーム経路を生成するステップを含み、観察フィルタが観察ビーム経路内に配置される。照明光は、
【数1】
が当てはまるように生成され、式中、
【数2】
は、CIE 1931標準表色系のCIE標準色度図における白色点の色位置を表し、及び
【数3】
は、CIE 1931標準表色系のCIE標準色度図における座標x,yを有する色位置を表す。
【0039】
CIE 1931標準表色系のCIE標準色度図における座標x及びyを有する色位置
【数4】
と、CIE 1931標準表色系のCIE標準色度図における座標x及びyを有する色位置
【数5】
との間の距離│・│は、
【数6】
として定義される。
【0040】
色位置
【数7】
の座標x,yは、
【数8】
によって定義され、式中、X、Y、Zは、
【数9】
によって定義されるCIE 1931標準表色系の三刺激値を表し、
式中、I(λ)は、照明光の強度を表し、T(λ)は、観察フィルタ(23)の透過率(41、61、81、101、121、141、161)を表し、
【数10】
は、TRG909926 CIE 1931標準表色系のスペクトル値関数を表し、及びkは、定数である。
【0041】
白色点は、例えば、CIE 1931標準表色系のCIE標準色度図における座標x=0.3457及びy=0.3585を有する白色点D50であり得る。代替的に、白色点は、例えば、CIE 1931標準表色系のCIE標準色度図における座標x=0.3127及びy=0.329を有する白色点D65であり得る。また別の代替案として、白色点は、CIE 1976 u’v’色度図における白色点D50の色位置から最大で0.2、特に最大で0.1又は最大で0.05の距離にある色位置を有する色値に対応し得る。
【0042】
CIE 1976 u’v’色度図における座標u’及びv’を有する色位置
【数11】
と、CIE 1976 u’v’色度図における座標u’及びv’を有する色位置
【数12】
との間の距離│・│は、
【数13】
として定義される。
【0043】
好ましくは、照明光は、
【数14】
又は
【数15】
が当てはまるように生成される。波長λにわたる積分は、380nm~780nmで積分される。
【0044】
式(1)は、CIE 1931標準色度図における最大色値距離の条件を表す。この場合、
【数16】
は、強度I(λ)の照明光が白い物体に衝突し、その白い物体から出た光が透過率T(λ)の観察フィルタによりフィルタ処理された場合に得られる、CIE標準表色系のCIE標準色度図における色位置を表す。CIE 1931標準色度図における白色点からの要求される小さい距離は、白い物体がほぼ白として観察できることを意味する。一般的な物体に当てはめた場合、これは、その物体がほぼトゥルーカラーとして観察できることを意味する。これにより、外科医にとって術野の方位特定が容易となる。
【0045】
照明光は、例えば、異なる波長範囲の光を生成する複数の光源によって生成される。照明光を生成するステップは、照明光を生成するための複数の光源の少なくとも1つに供給されるエネルギーを設定する、特に変化させるステップを含むことができる。
【0046】
方法は、本明細書に記載の顕微鏡検査システムによって実行され得る。
【0047】
第三の態様
本発明の第三の態様は、蛍光領域及び非蛍光領域がほぼ等しい明るさとして認識できる顕微鏡検査方法に関する。
【0048】
この目的のために、顕微鏡検査方法は、照明光を生成し、且つ生成された照明光を物体に向けるステップ、物体を像面に結像する観察ビーム経路を生成するステップを含み、観察フィルタは、観察ビーム経路内に配置され、第一の波長範囲にわたる観察フィルタの透過率の平均値を表す第一の値は、第二の波長範囲にわたる観察フィルタの透過率の平均値を表す第二の値未満であり、第二の値は、第三の波長範囲にわたる観察フィルタの透過率の平均値を表す第三の値未満であり、第一の波長範囲にわたる照明光の強度の平均値を表す第四の値は、第二の波長範囲にわたる照明光の強度の平均値を表す第五の値より大きく、第五の値は、第三の波長範囲にわたる照明光の強度の平均値を表す第六の値より大きく、第一、第二及び第三の波長範囲は、相互に重複せず、且つそれぞれの場合に350nm~1000nmである。
【0049】
第一の波長範囲は、物体中に存在する蛍光色素がそれに対して高い吸収性を有する波長範囲に対応する。蛍光色素を効率的に励起させることができるようにするために、第一の波長範囲内の照明光は、第四の値を特徴とする高い強度を有する。物体で反射された第一の波長範囲内の光が実質的に第三の波長範囲のみで生成された蛍光を圧倒しないようにするために、観察フィルタは、第一の波長範囲において、第一の値を特徴とする低い透過率を有する。
【0050】
蛍光を効率的に観察できるようにするために、観察フィルタは、第三の波長範囲において、第三の値を特徴とする高い透過率を有する。蛍光が物体で反射された第三の波長範囲の照明光により圧倒されないようにするために、第三の波長範囲内の照明光は、第六の値を特徴とする低い強度を有する。
【0051】
第二の波長範囲は、物体の非蛍光領域を可視化するのに役立つ。この目的のために、照明光は、第二の波長範囲で中程度の強度を有し、前記強度は、第五の値を特徴とし、観察フィルタは、第二の波長範囲において、第二の値を特徴とする平均透過率を有する。
【0052】
観察フィルタにより透過された第一及び第二の波長範囲内の光は、物体の非蛍光領域の可視化をもたらし、したがって像面内の非蛍光領域の明るさに主に貢献する。観察フィルタにより透過された第三の波長範囲内の光は、物体の蛍光領域の可視化をもたらし、したがって像面内の蛍光領域の明るさに主に貢献する。第一~第六の値の相互に関する上記の関係は、物体の非蛍光領域及び蛍光領域がほぼ等しい明るさに見えるという効果を有する。さらに、これらは、相互に調整されて、さらに非蛍光領域のほぼトゥルーカラーでの観察が可能となる。
【0053】
第一の波長範囲は、物体中に存在する蛍光色素の吸収率 - その極大値に正規化される - が少なくとも5%、特に少なくとも10%、より特に少なくとも50%である波長を含むことができる。したがって、第一の波長範囲は、蛍光色素を十分に励起させることのできる波長を含む。
【0054】
第三の波長範囲は、物体中に存在する蛍光色素の発光率 - その極大値に正規化される - が少なくとも5%、特に少なくとも10%、より特に少なくとも50%である波長を含むことができる。したがって、第三の波長範囲は、蛍光色素を十分に励起させることのできる波長を含む。
【0055】
第二の波長範囲は、物体中に存在する蛍光色素の吸収率 - その極大値に正規化される - が最大で20%、特に最大で10%、より特に最大で5%であり、及び物体中に存在する蛍光色素の発光率 - その極大値に正規化される - が最大で20%、特に最大で10%、より特に最大で5%である波長のみを含むことができる。したがって、第二の波長範囲は、実質的に、蛍光色素が効率的に励起され得、且つ蛍光を生成する波長範囲の外にある波長のみを含む。
【0056】
蛍光色素であるプロトポルフィリンIXの使用により、第一の波長範囲は、好ましくは、405nmの波長及び/又は390nm~420nmの波長を含み、第二の波長範囲は、好ましくは、450nm~600nmの波長を含み、第三の波長範囲は、好ましくは、620nm~720nmの波長を含む。
【0057】
蛍光色素であるフルオレセインの使用により、第一の波長範囲は、好ましくは、480nm~500nmの波長を含み、第二の波長範囲は、好ましくは、620nm~750nmの波長を含み、第三の波長範囲は、好ましくは、550nm~600nmの波長を含む。
【0058】
好ましくは、第一の値と第二の値との比は、最大で1/100、特に最大で1/1000である。好ましくは、第二の値と第三の値との比は、最大で0.9、特に最大で0.8、より特に最大で0.5である。好ましくは、第四の値と第五の値との比は、少なくとも2、特に少なくとも5である。好ましくは、第四の値と第六の値との比は、少なくとも1000、特に少なくとも10000である。その結果、ほぼ等しい明るさ及びほぼトゥルーカラーのレンダリングの両方が達成される。
【0059】
照明光は、複数の(狭帯域)光源を使用して、例えば他の態様に関して記載した光源を使用して生成できる。光源の少なくとも1つは、第一の波長範囲内の波長を有する光を生成し、光源の少なくとも1つは、第二の波長範囲内の波長を有する光を生成する。光源の少なくとも1つは、個別に制御可能であり得、それにより、第一の波長範囲内の波長を有する光の強度と、第二の波長範囲内の波長を有する光の強度との比を変化させることができる。
【0060】
好ましくは、光源は、第三の波長範囲内の波長を有する光を実質的に生成しない。これにより、光源によって生成された光が第三の波長範囲内の蛍光を乱すことが防止される。
【0061】
代替的な顕微鏡検査方法は、照明光を生成し、且つ生成された照明光を物体に向けるステップ、物体を像面に結像する観察ビーム経路を生成するステップを含み、照明光は、第一の特徴値と第二の特徴値との比が20/1~1/20の範囲の値を有するように生成され、第一の特徴値は、像面内の第一の位置における観察ビーム経路の光の強度に関する特徴的変数の値であり、その第一の位置では、観察ビーム経路の光の色値は、色空間の第一の色値範囲内にあり、第二の特徴値は、像面内の第二の位置における観察ビーム経路の光の強度に関する特徴的変数の値であり、その第二の位置では、観察ビーム経路の光の色値は、色空間の第二の色値範囲内にある。
【0062】
好ましくは、照明光は、第一の特徴値と第二の特徴値との比が10/1~1/10、又は5/1~1/5、又は3/1~1/3の範囲内の値を有するように生成される。
【0063】
物体の投影像は、観察ビーム経路を通して像面内に生成される。物体中に存在する蛍光色素が照明光により励起される場合、投影像は、一般に、蛍光領域(第一の位置)と非蛍光領域(第二の位置)とを含む。強い蛍光領域(第一の位置)は、投影像中において、蛍光色素に典型的な色値を有し、これは、第一の色値範囲内にある。弱い蛍光性の領域及び非蛍光領域(第二の位置)は、投影像中において、他の色値を有し、これは、第二の色値範囲内にある。したがって、第一及び第二の色値範囲は、同じ色空間の重複しない範囲である。
【0064】
像面内の物体の蛍光領域(第一の位置)は、非蛍光領域(第二の位置)から、蛍光色素に典型的な色値に基づいて区別できる。観察者又はコントローラが蛍光及び非蛍光領域の両方を区別できるようにするために、蛍光及び非蛍光領域がほぼ等しい明るさに見えること、すなわち像面内でほぼ等しい大きさの強度又はほぼ等しい大きさの光束を有することが有利である。光束とは、人間の目に見える放射パワーの比率であり、人間の眼の視感度曲線で重み付けされる。
【0065】
これは、顕微鏡検査方法において、照明光が、第一の特徴値と第二の特徴値との比が20/1~1/20の範囲内の値を有するように生成されることによって実現される。第一の特徴値は、例えば、像面内の第一の位置、すなわち像面内の、観察ビーム経路内の光が蛍光色素に典型的な色値を有する位置における観察ビーム経路の光の強度の平均値を表す。この例では、第二の特徴値は、像面内の第二の位置、すなわち像面内の、観察ビーム経路内の光が蛍光色素に典型的な色値を有さない位置における観察ビーム経路内の光の強度の平均値を表す。
【0066】
第一の特徴値と第二の特徴値とは、それぞれ同じタイプの特徴的変数の値を表す。例えば、第一の特徴値が最大値を表す場合、第二の特徴値も同様に最大値を表す。代替的に、第一の特徴値が例えば平均値を表す場合、第二の特徴値も同様に平均値を表す。
【0067】
第一の特徴値は、第一の位置における観察ビーム経路の光の強度(又は光束)の最大値又は平均値を表すことができる。第二の特徴値は、第二の位置における観察ビーム経路の光の強度(又は光束)の最大値又は平均値を表すことができる。
【0068】
顕微鏡検査方法は、像面内の第一の位置を特定するステップであって、その第一の位置では、観察ビーム経路の光の色値は、色空間内の第一の色値範囲内にある、ステップと、像面内の第二の位置を特定するステップであって、その第二の位置では、観察ビーム経路の光の色値は、色空間内の第二の色値範囲内にある、ステップとをさらに含むことができ、照明光は、特定された第一の位置における観察ビーム経路の光の強度に応じて、且つ特定された第二の位置における観察ビーム経路の光の強度に応じて生成される。その結果、像面内の第一及び第二の位置が識別され、照明光は、これらの位置における強度に応じて生成される。
【0069】
顕微鏡検査方法は、第一及び第二の位置における観察ビーム経路の光の強度を特定して、第一及び第二の位置における観察ビーム経路の光の光束を特定するステップをさらに含むことができる。例えば、画像検出器が像面内に配置され、投影像のカラー画像を記録するように構成され、それに基づいて、第一に、第一及び第二の位置を識別でき、第二に、第一及び第二の位置における観察ビーム経路の光の強度を特定できる。
【0070】
顕微鏡検査方法は、像面内の物体の画像を記録するステップであって、画像は、複数の像点を有する、ステップと、画像の像点における色値を第一の色値範囲及び/又は第二の色値範囲と比較するステップと、比較の結果に基づいて複数の像点から第一の像点を特定するステップであって、第一の像点は、像面内の第一の位置に対応し、第一の像点における色値は、色空間の第一の色値範囲内にある、ステップと、比較の結果に基づいて複数の像点から第二の像点を特定するステップであって、第二の像点は、像面内の第二の位置に対応し、第二の像点における色値は、色空間の第二の色値範囲内にある、ステップとをさらに含むことができる。
【0071】
顕微鏡検査方法は、特定された第一の位置における観察ビーム経路の光の特定された強度に基づいて第一の特徴値を特定するステップと、特定された第二の位置における観察ビーム経路の光の特定された強度に基づいて第二の特徴値を特定するステップとをさらに含むことができ、照明光は、特定された第一の特徴値に応じて、且つ特定された第二の特徴値に応じて生成される。したがって、第一及び第二の特徴値は、特に、記録された画像に基づいて以前に特定された第一及び第二の位置において特定又は測定された強度値に基づいて、且つ特に第一及び第二の色値範囲の比較によるそれらの色値に基づいて特定、例えば計算される。このようにして得られた第一及び第二の特徴値は、その後、照明光を生成するために使用される。
【0072】
照明光は、例えば、異なる波長範囲の光を生成する複数の光源によって生成される。照明光を生成するステップは、照明光を生成するために複数の光源の少なくとも1つに供給されるエネルギーを第一及び第二の特徴値に応じて設定する、特に変化させるステップを含むことができる。
【0073】
特に、照明光が像面内の第三の位置における観察ビーム経路の光の強度に関係なく生成されるようにすることができ、第三の位置における観察ビーム経路の光の色値は、第一及び第二の色値範囲の外にある。すなわち、第一及び第二の位置における観察ビーム経路の光の強度のみが照明光の生成に使用される。像面内の他の位置における観察ビーム経路の光の強度は、照明光の生成に使用されない。
【0074】
第一の色値範囲と第二の色値範囲とは、CIE 1976 u’v’色度図内の第一の色値範囲と第二の色値範囲との間の最小色差が少なくとも0.01、特に少なくとも0.1であるように選択され得る。
【0075】
さらに、第一の色値範囲は、CIE 1976 u’v’色度図において参照色値に関して最大で0.1、特に最大で0.03又は最大で0.01の色差を有する色値に限定されるように選択され得、参照色値は、物体中に存在する蛍光色素の発光率 - その極大値に正規化される - が少なくとも5%、特に少なくとも10%、より特に少なくとも50%である波長のみを含む参照波長範囲内の光に対応する。参照色値は、例えば、物体中の蛍光色素の発光スペクトルに対応する色値である。したがって、前記参照色値から分離される程度が上記の最大差を超えない色値のみが第一の色値範囲に属する。
【0076】
蛍光色素がPpIXである場合、第一の色値範囲は、635nmの波長を有する光に対応する色値を含むことが好ましい。さらに、第一の色値範囲は、CIE 1976 u’v’色度図において635nmの波長を有する光に対応する参照色値に関して最大で0.1、特に最大で0.03又は最大で0.01の色差を有する色値に限定されることが好ましい。
【0077】
蛍光色素がフルオレセインである場合、第一の色値範囲は、530nmの波長を有する光に対応する色値を含むことが好ましい。さらに、第一の色値範囲は、CIE 1976 u’v’色度図において530nmの波長を有する光に対応する参照色値に関して最大で0.1、特に最大で0.03又は最大で0.01の色差を有する色値に限定されることが好ましい。
【0078】
第一、第二及び第三の態様の特徴は、相互に組み合わせることができる。
【0079】
本明細書に記載の観察フィルタ及び照明フィルタは、例えば、干渉フィルタとして具現化できる。干渉フィルタは、異なる光学特性、例えば異なる屈折率を有する材料の複数の層を含む。各層は、異なる厚さを有することができる。層の数は、フィルタに対する要求事項に応じて、2、300~数百であり得る。本明細書に記載の透過率は、各層の厚さ及び光学特性の具体的な選択によって実現できる。
【0080】
所定の波長依存透過率に応じたフィルタの層の厚さ及び光学特性を特定するための補助が知られている。このような層の順序は、使用される材料の光学特性(波長に応じた屈折率及び吸収、分散)及び所望の透過率及び/又は反射スペクトルを入力データとして使用するシミュレーションプログラムを使用して設計できる。シミュレーションプログラムはまた、シミュレートされた透過率及び/又は反射スペクトルと、層の順序及び/又は層の厚さ並びに光学特性及び/又は使用される材料とを出力する。計算は、反復方式で実行できる。このようにして、複雑な要求事項を有するフィルタ、例えばマルチバンドフィルタでも設計及び製造できる。
【0081】
本発明の実施形態を、図面を参照しながら以下により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0082】
図1】本発明による顕微鏡検査システムを示す。
図2】PpIX及びフルオレセインの吸収及び発光スペクトルを示す。
図3】第一の実施形態の2つの光源の照明光スペクトルを示す。
図4】第一の実施形態の観察フィルタの波長依存透過率を示す。
図5】第二~第六の実施形態の3つの光源の照明光スペクトルを示す。
図6】第二の実施形態の観察フィルタの波長依存透過率を示す。
図7】第二の実施形態により白い物体について実現できる色値を説明するためのCIE 1931標準色度図を示す。
図8】第三の実施形態の観察フィルタの波長依存透過率を示す。
図9】第三の実施形態により白い物体について実現できる色値を説明するためのCIE 1931標準色度図を示す。
図10】第四の実施形態の観察フィルタの波長依存透過率を示す。
図11】第四の実施形態により白い物体について実現できる色値を説明するためのCIE 1931標準色度図を示す。
図12】第五の実施形態の照明フィルタ及び観察フィルタの波長依存透過率を示す。
図13】第五の実施形態により白い物体について実現できる色値を説明するためのCIE 1931標準色度図を示す。
図14】第六の実施形態の照明フィルタ及び観察フィルタの波長依存透過率を示す。
図15】第七の実施形態の3つの光源の照明光スペクトルを示す。
図16】第七の実施形態の照明フィルタ及び観察フィルタの波長依存透過率を示す。
図17】第七の実施形態により白い物体について実現できる色値を説明するためのCIE 1931標準色度図を示す。
図18】プロトポルフィリンIXに関する蛍光及び非蛍光物体領域の明るさをマッチさせるための顕微鏡検査システムの1つの例示的な構成を示す。
図19】フルオレセインに関する蛍光及び非蛍光物体領域の明るさをマッチさせるための顕微鏡検査システムの1つの例示的な構成を示す。
図20】像面内の物体の投影像の概略図を示す。
図21図20に示される投影像の画像の概略図を示し、画像は、複数の像点からなる。
図22】色値範囲を説明するためのCIE 1931標準色度図を示す。
図23】蛍光及び非蛍光物体領域の明るさをマッチさせるための1つの例示的な顕微鏡検査方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0083】
図1は、物体の蛍光及び非蛍光領域を同時に観察するための1つの例示的な顕微鏡検査システム1を示す。
【0084】
顕微鏡検査システム1は、照明装置3を含む。照明装置3は、複数の光源5と、照明光学ユニット7と、任意選択により照明光学ユニット7により形成される観察ビーム経路10内に配置され得る照明フィルタ9とを含む。これは、図1において両矢印により示されている。複数の光源5と照明フィルタ9とにより、照明装置3は、様々な照明光スペクトルを生成し、且つこれらを物体領域11に向けることができる。
【0085】
顕微鏡検査システム1は、複数の光源5を個別に、すなわち相互に独立して制御するように構成されたコントローラ12を含む。例えば、光源は、2つ以上の光発光ダイオードである。発光ダイオードの各々は、コントローラ12により個別に制御できる。例えば、コントローラ12は、光を生成するために供給され、且つ/又は各発光ダイオードにそれぞれ印加される動作電流及び/若しくは動作電圧を制御する。その結果、光源5により生成される光の強度を個別に設定できる。
【0086】
観察ビーム経路10により、照明装置3は、照明光を物体領域11に向け、その中に物体13を配置でき、これは、蛍光色素と混合できる。物体13に供給される蛍光色素は、物体13のある領域(蛍光領域)において非常に多く蓄積される。これらの領域には例えば腫瘍細胞が含まれ、それに蛍光色素が結合する。蛍光色素は、物体13の他の領域(非蛍光領域)には蓄積されないか、又はわずかにのみ蓄積される。これらの領域には例えば腫瘍細胞が含まれない。
【0087】
顕微鏡検査システム1は、顕微鏡検査光学ユニット14をさらに含み、これは、この例では、対物レンズ15並びにまた別のレンズ16及び17を含む。顕微鏡検査光学ユニット14は、物体領域11、特に物体面18を像面19に結像するように構成される。この例では、顕微鏡検査システム1の光検出器20の検出領域が像面19に配置される。光検出器20は、例えば、イメージセンサであり得る。光検出器20は、光検出器20の検出領域に衝突した光の強度を表す信号を出力する。光検出器20は、コントローラ12に接続され、コントローラ12は、光検出器20から、それにより出力された信号21を受信する。コントローラは、光検出器20により生成された画像を処理及び表示できる。光検出器20の代わりに又はそれに加えて、アイピースを提供でき、これは、顕微鏡検査光学ユニット14と共に物体面18を眼の網膜に結像するのに適している。
【0088】
観察フィルタ23は、顕微鏡検査光学ユニット14により提供される観察ビーム経路22内に配置でき、前記観察ビーム経路は、物体面18を像面19に結像する。さらに、アクチュエータ(図示せず)を提供でき、これは、観察フィルタ23を観察ビーム経路22内に導入でき、また観察フィルタ23を観察ビーム経路22から引き戻すことができる。これは、図1において両矢印により示されている。
【0089】
複数の光源5、光学フィルタ9及び観察フィルタ23の構成に応じて物体13の蛍光及び非蛍光領域を同時に観察できる。蛍光色素であるプロトポルフィリンIX(PpIX)及びフルオレセインに関する様々な実施形態を以下に説明する。
【0090】
図2は、PpIXの波長依存吸収スペクトルをグラフAPpIXとして、またPpIXの波長依存発光スペクトルをグラフEPpIXとして、またフルオレセインの波長依存吸収スペクトルをグラフAFLとして、またフルオレセインの波長依存発光スペクトルをグラフEFLとして示す。
【0091】
蛍光色素PpIXの350nm~430nmの吸収スペクトルPpIXは、0.2を超える正規化吸収強度を有する。正規化吸収強度は、極大吸収強度に正規化され、すなわち、正規化吸収スペクトルは、0~1の値のみを有する。したがって、蛍光色素PpIXは、350nm~430nmの範囲において効率的に励起可能である。蛍光色素PpIXは、約405nmで吸収の極大を有する。蛍光色素PpIXは、約600nm~750nmのスペクトル範囲内で蛍光を発し、発光強度の一次極大は、635nmにあり、二次極大は、約705nmにある。
【0092】
蛍光色素フルオレセインは、約450nm~530nmで0.2を超える正規化吸収強度を有する。したがって、蛍光色素フルオレセインは、この範囲で十分に励起可能である。フルオレセインの吸収スペクトルは、約495nmで極大を有する。蛍光色素フルオレセインは、約490nm~650nmの範囲で発光を発する。発光スペクトルの極大は、約520nmにある。
【0093】
第一の実施形態に関する例
図3は、第一の実施形態による第一及び第二の光源の照明光スペクトル(スペクトル強度分布)31、32を示す。第一の光源は、実質的に、蛍光色素PpIXを励起させるためのみに、すなわち物体の蛍光領域を可視化するためのみに役立つ。第二の光源は、実質的に、物体の非蛍光領域を可視化するためのみに役立つ。
【0094】
第一の光源は、400nm~410nmの範囲のスペクトル発光極大と10nm~20nmの範囲の半値全幅とを有する照明光スペクトル31を生成する。約370nm未満及び約450nm超では、第一の光源により生成される第一の光の強度は、その最大スペクトル強度の最大で1%である。第一の光源は、例えば、発光ダイオードである。
【0095】
第二の光源は、440nm~470nmの範囲のスペクトル発光極大と20nm~50nmの範囲の半値全幅とを有する照明光スペクトル32を生成する。約440nm未満及び約500nm超では、第二の光源により生成される第二の光の強度は、その最大スペクトル強度の最大で1%である。第二の光源は、例えば、発光ダイオードである。
【0096】
第一及び第二の光源は、第一の光源の最大スペクトル強度が第二の光源の最大スペクトル強度の大きさの最大で20倍且つ少なくとも3倍であるように動作する。
【0097】
図4は、第一の実施形態による観察フィルタ23の波長依存透過率41を示す。λ1=360nm~λ2=430nmで、透過率41は、約0.01%である。λ3=435nm~λ4=500nmで、透過率41は、約55%である。λ5=600nm~λ6=750nmで、透過率41は、約95%である。λ1~λ6の残りの波長範囲では、透過率41は、最大で0.001%である。さらに、W1=0.1%、W2=1%及びW3=80%が当てはまる。
【0098】
したがって、観察フィルタ23は、物体13で反射された第一の光を抑制し、前記第一の光は、実質的にλ1~λ2でのみ高い強度を有する。さらに、物体13で反射された第二の光(前記第二の光は、実質的にλ3~λ4でのみ高い強度を有する)は、観察フィルタ23により透過され、その結果、物体13の非蛍光領域は、青みを帯びたように観察できる。さらに、物体13から出た蛍光(前記蛍光は、実質的にλ5~λ6でのみ高い強度を有する)は、観察フィルタ23により透過され、その結果、物体13の蛍光領域は、赤みを帯びた色値として観察できる。
【0099】
第一及び第二の光の強度を個別に設定できること(図3を参照されたい)及び観察フィルタ23の透過率41の具体的な選択により、2つの主な利点が得られる。第一に、蛍光領域及び非蛍光領域は、光源の強度が相応に設定されることによってほとんど等しい明るさとして認識できる。第二に、λ3~λ4及びλ5~λ6の透過率41の具体的な選択により、光源は、ここでは、それらの安定な発光範囲で動作できる。さらに、照明フィルタは、不要である。
【0100】
第二~第六の実施形態に関する例
図5は、第二~第六の実施形態による第一、第二及び第三の光源の照明光スペクトル(スペクトル強度分布)51、52、53を示す。第一の光源は、実質的に、蛍光色素PpIXを励起させるためのみに、すなわち物体の蛍光領域を可視化するためのみに役立つ。第二及び第三の光源は、実質的に、物体の非蛍光領域を可視化するためのみに役立つ。
【0101】
第一及び第二の光源は、第一の実施形態に関する例のそれに対応する。すなわち、図3に示される第一の実施形態の第一の光源の照明光スペクトル31と、図5に示される第二~第六の実施形態の第一の光源の照明光スペクトル51とは、同じであり、図3に示される第一の実施形態の第二の光源の照明光スペクトル32と、図5に示される第二~第六の実施形態の第二の光源の照明光スペクトル52とは、同じである。
【0102】
第三の光源は、500nm~560nmの範囲のスペクトル発光極大と40nm~110nmの範囲の半値全幅とを有する照明光スペクトル53を生成する。約470nm未満及び約630nm超では、第三の光源により生成される第三の光の強度は、その最大スペクトル強度の最大で1%である。第三の光源は、例えば、発光ダイオードである。
【0103】
第一及び第三の光源は、第一の光源の最大スペクトル強度が第三の光源の最大スペクトル強度の大きさの最大で20倍且つ少なくとも3倍であるように動作する。
【0104】
第二の実施形態に関する例
図6は、第二の実施形態による観察フィルタ23の波長依存透過率61を示す。λ1=350nm~λ2=435nmで、透過率61は、約0.005%である。λ3=440nm~λ4=λ5=600nm及びλ5~λ6=750nmで、透過率61は、約95%である。さらに、W1=0.01%、W2=1%及びW3=80%が当てはまる。
【0105】
したがって、観察フィルタ23は、物体13で反射された第一の光を抑制し、前記第一の光は、実質的にλ1~λ2でのみ高い強度を有する。さらに、物体13で反射された第二及び第三の光(前記第二及び第三の光は、実質的にλ3~λ4でのみ高い強度を有する)は、観察フィルタ23により透過され、その結果、物体13の非蛍光領域は、ほぼトゥルーカラーで観察できる。さらに、物体13から出た蛍光(前記蛍光は、実質的にλ5~λ6でのみ高い強度を有する)は、観察フィルタ23により透過され、その結果、物体13の蛍光領域は、赤みを帯びた色値として観察できる。
【0106】
第一、第二及び第三の光の強度を個別に設定可能であること(図5を参照されたい)及び観察フィルタ23の透過率61の具体的な選択により、3つの主な利点が得られる。第一に、蛍光領域及び非蛍光領域は、光源の強度が相応に設定されることによってほとんど等しい明るさとして認識できる。さらに、λ3~λ4及びλ5~λ6の透過率61の具体的な選択により、光源は、ここでは、それらの安定な発光範囲で動作できる。最後に、第二及び第三の光の強度を個別に設定できることにより、非蛍光領域のカラーレンダリングは、非蛍光領域がほぼトゥルーカラーで観察可能となるように設定できる。さらに、照明フィルタは、不要である。
【0107】
図7は、スペクトル軌跡S及び純紫軌跡Pを含むCIE 1931 xy標準色度図を示す。白丸は、x=0.3457、y=0.3585のD50白色点を表す。ほぼx=0.26、y=0.45の×印は、通常の観察者が第二の実施形態による顕微鏡検査システムを使用して白い物体を認識する色値を表し、観察フィルタが図6に示されるように構成されていると、第一の光源により生成される光の最大スペクトル強度は、それぞれの場合において、それぞれ第二及び第三の光源により生成される光の最大スペクトル強度の大きさの約20倍である。したがって、物体の非蛍光領域は、ほぼトゥルーカラーとして認識できる。加えて、この構成の結果、物体の蛍光及び非蛍光領域は、ほぼ等しい明るさとなる。
【0108】
第三の実施形態に関する例
図8は、第三の実施形態による観察フィルタ23の波長依存透過率81を示す。λ1=350nm~λ2=435nmで、透過率81は、約0.005%である。λ3=440nm~λ4=610nmで、透過率81は、約2%である。λ5=620nm~λ6=750nmで、透過率81は、約95%である。さらに、W1=0.01%、W2=1%及びW3=80%が当てはまる。
【0109】
したがって、観察フィルタ23は、物体13で反射された第一の光を抑制し、前記第一の光は、実質的にλ1~λ2でのみ高い強度を有する。さらに、物体13で反射された第二及び第三の光(前記第二及び第三の光は、実質的にλ3~λ4でのみ高い強度を有する)は、観察フィルタ23により透過され、その結果、物体13の非蛍光領域は、ほぼトゥルーカラーとして観察できる。さらに、物体13から出た蛍光(前記蛍光は、実質的にλ5~λ6でのみ高い強度を有する)は、観察フィルタ23により透過され、その結果、物体13の蛍光領域は、赤みを帯びた色値として観察できる。
【0110】
第二の実施形態の例の利点は、第一、第二及び第三の光の強度を個別に設定できること(図5を参照されたい)により得られ、第二の実施形態と比較してλ3~λ4で透過率81が低いことにより、非蛍光領域の観察のよりよい真度が実現される。加えて、第二及び第三の光源は、第二の実施形態と比較してより高いパワーで動作でき、それは、したがって、生成された照明光スペクトル52、53の安定性を向上させる。さらに、照明フィルタは、不要である。
【0111】
図9は、スペクトル軌跡S及び純紫軌跡Pを含むCIE 1931 xy標準色度図を示す。白丸は、x=0.3457、y=0.3585のD50白色点を表す。ほぼx=0.33、y=0.38の×印は、通常の観察者が第三の実施形態による顕微鏡検査システムを使用して白い物体を認識する色値を表し、観察フィルタが図8に示されるように構成されていると、第一の光源により生成される光の最大スペクトル強度は、それぞれの場合において、第二の光源により生成される光の最大スペクトル強度の大きさの約7倍であり、第一の光源により生成される光の最大スペクトル強度は、第三の光源により生成される光の最大スペクトル強度の大きさの約5倍である。したがって、物体の非蛍光領域は、ほぼトゥルーカラーとして認識できる。加えて、この構成の結果、物体の蛍光及び非蛍光領域は、ほぼ等しい明るさとなる。
【0112】
第四の実施形態に関する例
図10は、第四の実施形態による観察フィルタ23の波長依存透過率101(実線)と照明フィルタ9の波長依存透過率102(破線)とを示す。第四の実施形態に関する例の観察フィルタは、第三の実施形態に関する例の観察フィルタに対応する(λ1=350nm、λ2=435nm、λ3=440nm、λ4=610nm、λ5=620nm、λ6=750nm)。
【0113】
360nm~λ3’=500nmで、照明フィルタ9の透過率102は、約95%である。ほぼλ3’~ほぼλ4’=560nmで、照明フィルタ9の透過率102は、約0.005%である。λ4’~ほぼλ4で、照明フィルタ9の透過率102は、約95%である。ほぼλ4~λ6で、照明フィルタ9の透過率102は、約0.005%である。さらに、W1=0.01%、W2=1%及びW3=80%が当てはまる。
【0114】
照明フィルタ及び観察フィルタは、共同で第五の実施形態に関する例の観察フィルタと実質的に同じ効果を有する。観察フィルタは、物体13で反射された第一の光を抑制し、前記第一の光は、実質的にλ1~λ2でのみ高い強度を有し、実質的に減衰されずに照明フィルタを透過する。さらに、物体13で反射された第二の光は、照明フィルタ及び観察フィルタにより、実質的にλ3~λ3’のみに含まれる波長に制約される。さらに、物体13で反射された第三の光は、照明フィルタ及び観察フィルタにより、実質的にλ4’~λ4のみに含まれる波長に制約される。λ3’~λ4’の波長範囲内の光は、照明フィルタ及び観察フィルタにより有効に抑制される。したがって、物体13の非蛍光領域は、ほぼトゥルーカラーとして観察できる。さらに、物体13から出て、実質的にλ5~λ6でのみ高い強度を有する蛍光は、観察フィルタ23により透過され、その結果、物体13の蛍光領域は、赤みを帯びた色値で観察できる。
【0115】
図11は、スペクトル軌跡S及び純紫軌跡Pを含むCIE 1931 xy標準色度図を示す。白丸は、x=0.3457、y=0.3585のD50白色点を表す。ほぼx=0.35、y=0.36の×印は、通常の観察者が第四の実施形態による顕微鏡検査システムを使用して白い物体を認識する色値を表し、観察フィルタ及び照明フィルタが図10に示されるように構成されていると、第一の光源により生成される光の最大スペクトル強度は、それぞれの場合において、第二の光源により生成される光の最大スペクトル強度の大きさの約10倍であり、第一の光源により生成される光の最大スペクトル強度は、第三の光源により生成される光の最大スペクトル強度の大きさの約5倍である。したがって、物体の非蛍光領域は、ほぼトゥルーカラーとして認識できる。加えて、この構成の結果、物体の蛍光及び非蛍光領域は、ほぼ等しい明るさとなる。
【0116】
第二の光の強度52及び第三の光の強度53を個別に設定可能であること(図5を参照されたい)及び観察フィルタ23の透過率101及び照明フィルタ9の透過率102の具体的な選択により、3つの主な利点が得られる。第一に、光源の強度を相応に設定することにより、蛍光領域及び非蛍光領域をほとんど等しい明るさとして認識できる。さらに、光源は、ここでは、それらの安定発光範囲で動作でき、これは、第二及び第三の光源により生成される光が観察フィルタ23及び照明フィルタ9により十分な程度まで減衰されるからである。最後に、第二及び第三の光の強度を個別に設定できることの結果として、非蛍光領域のカラーレンダリングを、非蛍光領域がほぼトゥルーカラーとして観察可能となるように設定できる。
【0117】
図11に示される破線は、第二の光の強度52(の極大)と第三の光の強度53(の極大)との比の変化により得られる物体の非蛍光領域の色を表す。このようにして、有利には、D50と異なる白色点も設定できる。
【0118】
第五の実施形態に関する例
図12は、第五の実施形態による観察フィルタ23の波長依存透過率121を示す。λ1=350nm~λ2=453nmで、透過率121は、約0.005%である。λ3=440nm~λ4=500nmで、透過率121は、約2%である。ほぼλ4~ほぼλ7で、透過率121は、約0.005%である。λ7=535nm~λ8=610nmで、透過率121は、約2%である。λ5=620nm~λ6=750nmで、透過率121は、約95%である。さらに、W1=0.01%、W2=1%及びW3=80%が当てはまる。
【0119】
したがって、観察フィルタ23は、物体13で反射された第一の光を抑制し、前記第一の光は、実質的にλ1~λ2でのみ高い強度を有する。さらに、物体13で反射された第二の光(前記第二の光は、実質的にλ3~λ4でのみ高い強度を有する)は、観察フィルタ23により透過される。さらに、物体13で反射された第三の光は、観察フィルタ23により、実質的にλ7~λ8でのみ効率的に透過される。したがって、物体13の非蛍光領域は、ほぼトゥルーカラーとして観察できる。さらに、物体13から出た蛍光(前記蛍光は、実質的にλ5~λ6でのみ高い強度を有する)は、観察フィルタ23により透過され、その結果、物体13の蛍光領域は、赤みを帯びた色値として観察できる。
【0120】
第三の実施形態に関する例の利点は、第一、第二及び第三の光の強度を個別に設定可能であること(図5を参照されたい)により得られるが、第三の実施形態と比較して、物体13で反射された第二及び第三の光をより顕著にスペクトル分離することにより、非蛍光領域のトゥルーカラーレンダリングをはるかによりよく設定可能であり得る。加えて、第二及び第三の光源は、第二の実施形態に関する例と比較してより高いパワーで動作でき、それは、したがって、生成される光スペクトルの安定性を向上させる。さらに、照明フィルタは、不要である。
【0121】
図13は、スペクトル軌跡S及び純紫軌跡Pを含むCIE 1931 xy標準色度図を示す。白丸は、x=0.3457、y=0.3585のD50白色点を表す。ほぼx=0.34、y=0.35の×印は、通常の観察者が第五の実施形態による顕微鏡検査システムを使用して白い物体を認識する色値を表し、観察フィルタが図12に示されるように構成されていると、第一の光源により生成される光の最大スペクトル強度は、それぞれの場合において、第二の光源により生成される光の最大スペクトル強度の大きさの約10倍であり、第一の光源により生成される光の最大スペクトル強度は、第三の光源により生成される光の最大スペクトル強度の大きさの約6倍である。したがって、物体の非蛍光領域は、ほぼトゥルーカラーとして認識できる。加えて、この構成の結果、物体の蛍光及び非蛍光領域は、ほぼ等しい明るさとなる。
【0122】
図13に示される破線は、第二の光の強度52(の極大)と第三の光の強度53(の極大)との比の変化により得られる物体の非蛍光領域の色を表す。このようにして、有利には、D50と異なる白色点も設定できる。
【0123】
第六の実施形態に関する例
図14は、第六の実施形態による観察フィルタ23の波長依存透過率141(実線)と照明フィルタ9の波長依存透過率142(破線)とを示す。
【0124】
λ1=350nm~λ2=430nmで、観察フィルタ23の透過率141は、約0.005%である。λ3=435nm~λ4=500nmで、観察フィルタ23の透過率141は、約2%である。ほぼλ4~λ5=560nmで、観察フィルタ23の透過率141は、約0.005%である。λ5~λ6=750nmで、観察フィルタ23の透過率141は、約95%である。さらに、W1=0.01%、W2=1%及びW3=80%が当てはまる。
【0125】
360nm~ほぼλ4で、照明フィルタ9の透過率142は、約95%である。ほぼλ4~ほぼλ5’=565nmで、照明フィルタ9の透過率142は、約0.005%である。λ5’~ほぼλ6’=620nmで、照明フィルタ9の透過率142は、約2%である。ほぼλ6’~λ6で、照明フィルタ9の透過率142は、約0.005%である。
【0126】
第六の実施形態に関する例の照明フィルタ及び観察フィルタは、共同で第五の実施形態に関する例の照明フィルタ及び観察フィルタと実質的に同じ効果を有する。観察フィルタ23は、物体13で反射された第一の光を抑制し、前記第一の光は、実質的にλ1~λ2でのみ高い強度を有し、実質的に減衰されずに照明フィルタ9を透過する。さらに、物体13で反射された第二の光は、照明フィルタ及び観察フィルタにより、実質的にλ3~λ4のみに含まれる波長に制約される。さらに、物体13で反射された第三の光は、照明フィルタ及び観察フィルタにより、実質的にλ5’~λ6’のみに含まれる波長に制約される。ほぼλ4~λ5の波長範囲内の光は、照明フィルタ及び観察フィルタにより有効に抑制される。したがって、物体13の非蛍光領域は、ほぼトゥルーカラーとして観察できる。さらに、物体13から出て、実質的にλ6’~λ6でのみ高い強度を有する蛍光は、観察フィルタ23により透過され、その結果、物体13の蛍光領域は、赤みを帯びた色値で観察できる。
【0127】
第七の実施形態に関する例
図15は、第七の実施形態による第一、第二及び第三の光源の照明光スペクトルを示す。
【0128】
第一の光源は、実質的に、蛍光色素のフルオレセインを励起させるためのみに、すなわち物体の蛍光領域を可視化するためのみに役立つ。第二及び第三の光源は、実質的に、物体の非蛍光領域を可視化するためのみに役立つ。
【0129】
第一の光源は、440nm~470nmの範囲のスペクトル発光極大と20nm~50nmの範囲の半値全幅とを有する照明光スペクトル151を生成する。約430nm未満及び約500nm超では、第一の光源により生成される第一の光の強度は、その最大スペクトル強度の最大で1%である。第一の光源は、例えば、発光ダイオードである。
【0130】
第二の光源は、500nm~560nmの範囲のスペクトル発光極大と40nm~110nmの範囲の半値全幅とを有する照明光スペクトル152を生成する。約430nm未満及び約650nm超では、第二の光源により生成される第二の光の強度は、その最大スペクトル強度の最大で1%である。第二の光源は、例えば、発光ダイオードである。
【0131】
第三の光源は、610nm~640nmの範囲のスペクトル発光極大と10nm~20nmの範囲の半値全幅とを有する照明光スペクトル153を生成する。第三の光源は、例えば、発光ダイオードである。
【0132】
図16は、第七の実施形態による観察フィルタ23の波長依存透過率161(実線)と照明フィルタ9の波長依存透過率162(破線)とを示す。
【0133】
λ1=420nm~λ2=480nmで、観察フィルタ23の透過率161は、約0.005%である。λ3=490nm~λ4=500nmで、観察フィルタ23の透過率161は、約2%である。ほぼλ4~ほぼλ5=540nmで、観察フィルタ23の透過率161は、約0.005%である。λ5~λ6=700nmで、観察フィルタ23の透過率161は、約95%である。ほぼλ6~750nmで、観察フィルタ23の透過率161は、約0.005%である。さらに、W1=0.01%、W2=0.5%及びW3=80%が当てはまる。
【0134】
350nm~ほぼλ1で、照明フィルタ9の透過率162は、約0.005%である。λ1~ほぼλ4で、照明フィルタ9の透過率162は、約95%である。ほぼλ4~ほぼλ5’=630nmで、照明フィルタ9の透過率162は、約0.005%である。ほぼλ5’~λ6’=690nmで、照明フィルタ9の透過率162は、約0.08%である。ほぼλ6’~750nmで、照明フィルタ9の透過率162は、約0.005%である。
【0135】
したがって、観察フィルタ23は、物体13で反射された第一の光を抑制し、前記第一の光は、実質的にλ1~λ2でのみ高い強度を有する。さらに、第二の光はλ4を超えると照明フィルタ9により抑制される。第二の光のλ3~λ4の部分は、物体13で反射され、観察フィルタ23により透過され、したがって非蛍光領域の可視化に貢献する。さらに、第三の光は、λ5’未満で照明フィルタ9により抑制される。第三の光のλ5’~λ6’の部分は、物体13で反射され、観察フィルタ23により透過され、したがって非蛍光領域の可視化に貢献する。さらに、物体13から出て、実質的にλ5~λ5’でのみ高い強度を有する蛍光は、観察フィルタ23により透過され、その結果、物体13の蛍光領域は、黄みを帯びた色値で観察できる。
【0136】
第一、第二及び第三の光の強度を個別に設定可能であること(図15を参照されたい)及び観察フィルタ23の透過率161及び照明フィルタ9の透過率162の具体的な選択により、3つの主な利点が得られる。第一に、光源の強度を相応に設定することにより、蛍光領域及び非蛍光領域をほとんど等しい明るさとして認識できる。さらに、光源は、ここでは、それらの安定発光範囲で動作でき、これは、第二及び第三の光源により生成される光が観察フィルタ23及び照明フィルタ9により十分な程度まで減衰されるからである。最後に、第二及び第三の光の強度を個別に設定できることの結果として、非蛍光領域のカラーレンダリングを、非蛍光領域がほぼトゥルーカラーとして観察可能となるように設定できる。
【0137】
図17は、スペクトル軌跡S及び純紫軌跡Pを含むCIE 1931 xy標準色度図を示す。白丸は、x=0.3457、y=0.3585のD50白色点を表す。ほぼx=0.35、y=0.33の×印は、通常の観察者が第七の実施形態による顕微鏡検査システムを使用して白い物体を認識する色値を表し、観察フィルタ及び照明フィルタが図16に示されるように構成されていると、第一の光源により生成される光の最大スペクトル強度は、それぞれの場合において、第二の光源により生成される光の最大スペクトル強度の大きさの約3倍であり、第一の光源により生成される光の最大スペクトル強度は、第三の光源により生成される光の最大スペクトル強度の大きさの約5倍である。したがって、物体の非蛍光領域は、ほぼトゥルーカラーとして認識できる。加えて、この構成の結果、物体の蛍光及び非蛍光領域は、ほぼ等しい明るさとなる。
【0138】
第三の態様
第三の態様による顕微鏡検査方法の一例を図18及び19に関して説明する。この方法は、図1による顕微鏡検査システムにより実行でき、照明光を生成するステップと、生成された照明光を物体13に向けるステップと、物体13を像面19に結像する観察ビーム経路22を生成するステップとを含み、観察フィルタ23が観察ビーム経路22内に配置される。
【0139】
図18は、プロトポルフィリンIXに関する顕微鏡検査方法を実行するための顕微鏡検査システムの1つの例示的な構成を示す。図18の図式181は、PpIXの波長依存吸収スペクトル184とPpIXの波長依存発光スペクトル185とを示し、それぞれの場合において、それらのそれぞれの極大に正規化されており、図2に関する説明も参照されたい。図18の図式182は、図式181と同じ波長部分に関する観察フィルタ23の波長依存透過率186を示す。図式183は、図式181と同じ波長部分に関する物体13に向けられた照明光の波長依存強度187を示す。
【0140】
第一の値W1は、第一の波長範囲WLB1にわたる観察フィルタ23の透過率186の平均値を表す。第二の値W2は、第二の波長範囲WLB2にわたる観察フィルタ23の透過率186の平均値を表す。第三の値W3は、第三の波長範囲WLB3にわたる観察フィルタ23の透過率186の平均値を表す。第一の値W1は、第二の値W2未満である。第二の値W2は、第三の値W3未満である。
【0141】
第四の値W4は、第一の波長範囲WLB1にわたる照明光の強度187の平均値を表す。第五の値W5は、第二の波長範囲WLB2にわたる照明光の強度187の平均値を表す。第六の値W6は、第三の波長範囲WLB3にわたる照明光の強度187の平均値を表す。第四の値W4は、第五の値W5より大きい。第五の値W5は、第六の値W6より大きい。
【0142】
第一、第二及び第三の波長範囲は、相互に重複せず、且つそれぞれの場合に350nm~1000nmである。図の例において、第一の波長範囲WLB1は、約370nm~430nmに及び、第二の波長範囲WLB2は、約470nm~580nmに及び、第三の波長範囲WLB3は、約600nm~750nmに及ぶ。
【0143】
第三の態様に関して明示された第一~第六の値の比のための値で達成されることは、物体の非蛍光領域は、第一の波長範囲WLB1及び第二の波長範囲WLB2の光により観察できる一方、蛍光は、第三の波長範囲WLB3の光により観察できることである。さらに、第一~第六の値の明示された比に基づいて達成されることは、非蛍光領域及び蛍光領域をほぼ等しい明るさとして認識できることである。さらに達成されることは、非蛍光領域をほぼトゥルーカラーとして認識できることである。
【0144】
図19は、フルオレセインに関する顕微鏡検査方法を実行するための顕微鏡検査システムの1つの例示的な構成を示す。図19の図式191は、フルオレセインの波長依存吸収スペクトル194とフルオレセインの波長依存発光スペクトル195とを示し、それぞれの場合において、それらのそれぞれの極大に正規化されており、図2に関する説明も参照されたい。図19の図式192は、図式191と同じ波長部分に関する観察フィルタ23の波長依存透過率196を示す。図式193は、図式191と同じ波長部分に関する物体13に向けられた照明光の波長依存強度197を示す。
【0145】
図の例において、第一の波長範囲WLB1は、約440nm~500nmに及び、第二の波長範囲WLB2は、約640nm~750nmに及び、第三の波長範囲WLB3は、約520nm~620nmに及ぶ。
【0146】
第三の態様による代替的な顕微鏡検査方法の一例を図20~23に関して説明する。この方法は、図1による顕微鏡検査システムによって実行でき、照明光を生成するステップと、生成された照明光を物体13に向けるステップと、物体13を像面19に結像する観察ビーム経路22を生成するステップとを含み、観察フィルタ23が観察ビーム経路22内に配置される。
【0147】
図20は、像面19への物体13の投影像の概略図を示す。物体13の投影像は、第一の位置201と、第二の位置202と、第三の位置203とを含む。像面19内に投影像を生成する観察ビーム経路22の光は、第一の位置201において、第一の色値範囲211内にある色値を有する。像面19内に投影像を生成する観察ビーム経路22の光は、第二の位置202において、第二の色値範囲212内にある色値を有する。像面19内に投影像を生成する観察ビーム経路22の光は、第三の位置203において、第一の色値範囲211の外にあり、且つ第二の色値範囲212の外にある色値を有する。
【0148】
図22は、第一の色値範囲211、第二の色値範囲212及び第三の色値範囲213を説明するためのCIE 1931標準色度図を示す。第一の色値範囲211は、赤色値、すなわち蛍光色素PpIXの強力な蛍光の色値を含む。第二の色値範囲212は、青色値、すなわち蛍光色素PpIXを効率的に励起させることのできる色値を含む。第三の色値範囲213は、第一及び第二の色値範囲に含まれない可視色値の残りの色値を包含する。矢印214は、第一の色値範囲211と第二の色値範囲212との間の最小色差を示す。
【0149】
代替的な顕微鏡検査方法によれば、照明光は、第一の特徴値と第二の特徴値との比が所定の限定的な数値範囲内にある値を有するように生成される。第一の特徴値は、第一の位置201における観察ビーム経路22の光の強度(又は明るさ若しくは光束等)に関する特徴的変数の値を表す。第二の特徴値は、第二の位置202における観察ビーム経路22の光に関する同じ特徴的変数を表す。
【0150】
例えば、第一の特徴値は、第一の位置201における観察ビーム経路22の光の強度の平均値を表し、第二の特徴値は、第二の位置202における観察ビーム経路22の光の強度の平均値を表す。照明光が、第一の特徴値と第二の特徴値との比が20/1~1/20の数値範囲又はそれより狭い数値範囲にあるように生成されると、第一の位置201、すなわち物体13の蛍光領域と、第二の位置202、すなわち物体13の非蛍光領域とは、ほぼ等しい明るさとして認識できる。
【0151】
顕微鏡検査方法の一例を図23に関して以下で説明する。この例は、図1の顕微鏡検査システムを制御する方法に関し、物体13の蛍光及び非蛍光領域の明るさがマッチされる。
【0152】
ステップS1では、像面19内の物体13の画像がカラー画像検出器20により記録される。画像は、観察ビーム経路22を通して像面19内に生成された物体13の投影像の画像である。
【0153】
図21は、ステップS1で記録された画像205の概略図を示し、これは、図20に示される像面19における物体13の投影像の画像である。画像205は、複数の像点206からなる。
【0154】
ステップS1に続き、ステップS2では、第一の像点207が像点206から特定される。第一の像点207は、第一の位置201に対応する。画像205は、第一の像点207において、第一の色値範囲211内にある色値を有する。第一の像点207は、例えば、画像205の像点206における色値を所定の第一の色値範囲211と比較することによって特定される。
【0155】
ステップS1に続き、ステップS3では、第二の像点208が像点206から特定される。第二の像点208は、第二の位置202に対応する。画像205は、第二の像点208において、第二の色値範囲212内にある色値を有する。第二の像点208は、例えば、画像205の像点206の色値を所定の第二の色値範囲212と比較することによって特定される。
【0156】
ステップS2に続き、ステップS4では、第一の特徴値が第一の像点207における画像205の強度に基づいて特定される。例えば、第一の像点207における強度の平均値又は最大値が特定される。
【0157】
ステップS3に続き、ステップS5では、第二の特徴値が第二の像点208における画像205の強度に基づいて特定される。例えば、第二の像点208における強度の平均値又は最大値が特定される。
【0158】
ステップS4及びS5が終了した後に続くステップS6では、照明光は、第一及び第二の特徴値に応じて、又は第一及び第二の位置201、202における像面19内の観察ビーム経路22の光の強度に応じて、又は第一及び第二の像点207、208における強度に応じて設定される。すなわち、照明光の波長依存強度分布が変更される。この場合、照明光は、第一及び第二の特徴値の前述の比が所定の数値範囲内の値を有するように生成される。
【0159】
方法は、反復式に実行でき、これは、図23においてステップS6からステップS1への矢印で示されている。
【符号の説明】
【0160】
1 顕微鏡検査システム
3 照明装置
5 光源
7 照明光学ユニット
9 照明フィルタ
10、22 観察ビーム経路
11 物体領域
12 コントローラ
13 物体
14 顕微鏡検査光学ユニット
15 対物レンズ
16、17 レンズ
18 物体面
19 像面
20 光検出器
21 信号
23 観察フィルタ
31、32、51、151~153 照明光スペクトル
41、61、81、101、102、121、141、142、161、162、186、196 波長依存透過率
52 第二の光の強度
53 第三の光の強度
181~183、191~193 図式
184、194 波長依存吸収スペクトル
185、195 波長依存発光スペクトル
187、197 波長依存強度
201 第一の位置
202 第二の位置
203 第三の位置
205 画像
206 像点
207 第一の像点
208 第二の像点
211 第一の色値範囲
212 第二の色値範囲
213 第三の色値範囲
214 矢印
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23