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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-05
(45)【発行日】2024-02-14
(54)【発明の名称】振れ補正機能付き光学ユニット
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20210101AFI20240206BHJP
   H04N 23/50 20230101ALI20240206BHJP
   H04N 23/57 20230101ALI20240206BHJP
   H04N 23/68 20230101ALI20240206BHJP
【FI】
G03B5/00 J
H04N23/50
H04N23/57
H04N23/68
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020036400
(22)【出願日】2020-03-04
(65)【公開番号】P2021139986
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】羽多野 慎司
(72)【発明者】
【氏名】笠原 章吾
【審査官】瀬戸 息吹
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-077392(JP,A)
【文献】特開2019-020464(JP,A)
【文献】国際公開第2019/058785(WO,A1)
【文献】特開2020-030393(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00 - 5/08
H04N 5/222 - 5/257
H04N 23/00
H04N 23/40 - 23/76
H04N 23/90 - 23/959
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラモジュールを備える可動体と、
前記可動体を前記カメラモジュールのレンズの光軸を中心に回転可能に支持する回転支持機構と、
前記回転支持機構を前記光軸と交差する第1軸回りに回転可能に支持するとともに、前記光軸および前記第1軸と交差する第2軸回りに回転可能に支持するジンバル機構と、
前記ジンバル機構および前記回転支持機構を介して前記可動体を支持する固定体と、
前記可動体を前記光軸回りに回転させるローリング補正用磁気駆動機構と、を有し、
前記ローリング補正用磁気駆動機構は、前記可動体および前記固定体の一方に固定されたローリング補正用マグネットと、前記可動体および前記固定体の他方に固定された2つのローリング補正用コイルと、を備え、
前記ローリング補正用マグネットは、周方向で分極着磁されており、前記光軸方向に平行に延びる第1着磁分極線および第2着磁分極線を備え、
2つの前記ローリング補正用コイルは、前記光軸回りの周方向に配列されており、
前記光軸を中心とする径方向から見た場合に、第1着磁分極線と一方のローリング補正用コイルの開口部とが重なり、第2着磁分極線と他方のローリング補正用コイルの開口部とが重なり、
前記可動体は、前記カメラモジュールを前記光軸を中心とする外周側から囲む枠部を有するホルダを備え、
前記固定体は、前記枠部を外周側から囲むケースを備え、
前記枠部は、前記径方向の外側を向く平面状の外周面を備える側壁を備え、
前記ケースは、前記側壁と対向し前記径方向の外側を向く平面状の外周面を備える枠板部分を備え、
前記ローリング補正用マグネットは、1枚の板状であって、前記側壁の前記外周面に固定され、
2つの前記ローリング補正用コイルは、前記枠板部分の前記外周面に固定されていることを特徴とする振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項2】
前記ホルダは、磁性金属製であり、
前記ケースは、非磁性金属からなることを特徴とする請求項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項3】
前記回転支持機構は、前記光軸と同軸な状態で前記可動体に設けられた第1環状溝と、前記光軸方向で前記第1環状溝と対向する第2環状溝を有するプレートロールと、前記第1環状溝および前記第2環状溝に挿入されて前記可動体と前記プレートロールとの間で転動する複数の球体と、前記第1環状溝と前記第2環状溝とを前記光軸方向で接近させる力を付与する与圧機構を備え、
前記ジンバル機構は、前記プレートロールを前記第1軸回りに回転可能に支持し、
前記プレートロールは、非磁性であり、
前記与圧機構は、前記プレートロールの前記光軸回りの周方向の一部分に固定された磁性部材と、前記可動体の前記周方向の一部分に固定されて前記磁性部材を吸引するマグネットと、を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項4】
前記光軸回りにおける前記可動体の角度位置を検出するための位置センサを有し、
前記位置センサは、前記径方向から見た場合に一方の前記ローリング補正用コイルの開口部の内周側に位置する第1ホール素子を備えることを特徴とする請求項1から3のうちのいずれか一項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項5】
前記位置センサは、前記径方向から見た場合に他方の前記ローリング補正用コイルの開口部の内周側に位置する第2ホール素子を備えることを特徴とする請求項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項6】
前記ローリング補正用マグネットは、前記周方向に3極着磁されており、
前記位置センサは、前記第1ホール素子からの第1出力と前記第2ホール素子からの第2出力との差動信号を出力することを特徴とする請求項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項7】
前記ローリング補正用マグネットは、前記周方向に4極着磁されており、前記光軸方向に平行に延びる3つの着磁分極線を備え、
前記周方向の両側に位置する2つの前記着磁分極線は、それぞれ前記第1着磁分極線および第2着磁分極線であり、
前記位置センサは、前記第1ホール素子からの第1出力と前記第2ホール素子からの第2出力との加算信号を出力することを特徴とする請求項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項8】
前記光軸回りにおける前記可動体の角度位置を検出するための位置センサを有し、
前記ローリング補正用マグネットは、前記周方向に4極着磁されており、前記光軸方向に平行に延びる3つの着磁分極線を備え、
前記周方向の両側に位置する2つの前記着磁分極線は、それぞれ前記第1着磁分極線および第2着磁分極線であり、
前記位置センサは、前記径方向から見た場合に、前記周方向で前記第1着磁分極線と第2着磁分極線との間に位置する第3着磁分極線と重なる位置に配置されたホール素子を備えることを特徴とする請求項1から3のうちのいずれか一項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項9】
前記可動体を前記第1軸回りおよび前記第2軸回りに回転させる振れ補正用磁気駆動機構を有し、
前記振れ補正用磁気駆動機構と、前記ローリング補正用磁気駆動機構とは、前記光軸回りの周方向に配列されており、
前記振れ補正用磁気駆動機構は、前記可動体および前記固定体の一方に固定された振れ
補正用マグネットと、他方に固定された振れ補正用コイルと、を備え、
前記振れ補正用マグネットは、前記光軸方向で分極着磁されており、周方向に延びる一つの着磁分極線を備え、
前記径方向から見た場合に、前記振れ補正用マグネットの前記着磁分極線は、前記振れ補正用コイルの開口部と重なることを特徴とする請求項1からのうちのいずれか一項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラモジュールを光軸回りに回転させて振れを補正する振れ補正機能付き光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末や移動体に搭載される光学ユニットの中には、携帯端末や移動体の移動時の撮影画像の乱れを抑制するために、カメラモジュールを備える可動体を、光軸回り、光軸と直交する第1軸回り、並びに光軸および第1軸と直交する第2軸回りに回転させるものがある。特許文献1には、この種の振れ補正機能付き光学ユニットが記載されている。
【0003】
特許文献1の振れ補正機能付き光学ユニットは、カメラモジュールを備える可動体と、可動体を光軸を中心に回転可能に支持する回転支持機構と、ジンバル機構と、ジンバル機構および回転支持機構を介して可動体を支持する固定体と、を備える。可動体は固定体の内周側に配置されている。回転支持機構は、可動体と固定体との間に配置された中間枠体と、可動体と中間枠体との間を径方向に架け渡された複数本の板バネを備える。複数本の板バネは、光軸回りで等角度間隔に配置されており、中間枠体に対する可動体の光軸回りの回転を許容する。ジンバル機構は、ジンバルフレームと、第1軸側延設部と中間枠体とを第1軸回りに回転可能に接続する第1接続機構と、ジンバルフレームと固定体とを第2軸回りに回転可能に接続する第2接続機構と、を備える。
【0004】
また、振れ補正機能付き光学ユニットは、可動体を光軸回りに回転させるローリング補正用磁気駆動機構を備える。ローリング補正用磁気駆動機構は、可動体に固定されたローリング補正用マグネットと、固定体に固定されてローリング補正用マグネットと径方向で対向するたローリング補正用コイルと、を備える。ローリング補正用マグネットは、周方向に2極着磁されており、光軸方向に延びる一つの着磁分極線を備える。径方向から見た場合に、着磁分極線と、ローリング補正用コイルの開口部とは、重なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-200270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の振れ補正機能付き光学ユニットでは、カメラモジュールが第1軸回り或いは第2軸回りに回転した場合でも、可動体をカメラモジュールの光軸と一致する回転軸回りに回転させることができる。しかし、可動体が径方向に架け渡された複数本の板バネによって回転可能に支持されているので、回転時の板バネの弾性変形に起因して、可動体の回転軸が不安定になるという問題がある。
【0007】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、可動体を光軸と一致する回転軸回りに回転させることができ、かつ、可動体の回転軸が不安定になることを防止或いは抑制できる振れ補正機能付き光学ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の振れ補正機能付き光学ユニットは、カメラモジュールを備える可動体と、前記可動体を前記カメラモジュールのレンズの光軸を中心に回転可能に支持する回転支持機構と、前記回転支持機構を前記光軸と交差する第1軸回りに回転可能に支持するとともに、前記光軸および前記第1軸と交差する第2軸回りに回転可能に支持するジンバル機構と、前記ジンバル機構および前記回転支持機構を介して前記可動体を支持する固定体と、前記可動体を前記光軸回りに回転させるローリング補正用磁気駆動機構と、を有し、前記ローリング補正用磁気駆動機構は、前記可動体および前記固定体の一方に固定されたローリング補正用マグネットと、前記可動体および前記固定体の他方に固定された2つのローリング補正用コイルと、を備え、前記ローリング補正用マグネットは、周方向で分極着磁されており、前記光軸方向に平行に延びる第1着磁分極線および第2着磁分極線を備え、2つの前記ローリング補正用コイルは、前記光軸回りの周方向に配列されており、前記光軸を中心とする径方向から見た場合に、第1着磁分極線と一方のローリング補正用コイルの開口部とが重なり、第2着磁分極線と他方のローリング補正用コイルの開口部とが重なり、前記可動体は、前記カメラモジュールを前記光軸を中心とする外周側から囲む枠部を有するホルダを備え、前記固定体は、前記枠部を外周側から囲むケースを備え、前記枠部は、前記径方向の外側を向く平面状の外周面を備える側壁を備え、前記ケースは、前記側壁と対向し前記径方向の外側を向く平面状の外周面を備える枠板部分を備え、前記ローリング補正用マグネットは、1枚の板状であって、前記側壁の前記外周面に固定され、2つの前記ローリング補正用コイルは、前記枠板部分の前記外周面に固定されていることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、可動体を光軸回りに回転可能に支持する回転支持機構が、ジンバル機構によって第1軸回りおよび第2軸回りに回転可能に支持される。従って、可動体が第1軸回り或いは第2軸回りに回転している状態でも、可動体を光軸と一致する回転軸回りに回転させることができる。また、回転支持機構は、可動体に設けられた第1環状溝とプレートホルダに設けられた第2環状溝とに挿入されて転動する複数の球体を備える。従って、可動体が複数の板バネによって回転可能に支持されている場合と比較して、可動体の回転軸が不安定になることがない。さらに、可動体を光軸回りに回転させるローリング補正用磁気駆動機構は、周方向で分極着磁されており、光軸方向に平行に延びる第1着磁分極線および第2着磁分極線を備えるローリング補正用マグネットと、2つのローリング補正用コイルを備える。2つのローリング補正用コイルは、光軸回りの周方向に配列されており、光軸を中心とする径方向から見た場合に、第1着磁分極線と一方のローリング補正用コイルの開口部とが重なり、第2着磁分極線と他方のローリング補正用コイルの開口部とが重なる。従って、ローリング補正用磁気駆動機構が一つのローリング補正用コイルを備える場合と比較して、ローリング補正用磁気駆動機構によって大きな駆動力を発揮することが容易となる。言い換えれば、ローリング補正用磁気駆動機構が2つのローリング補正用コイルを備える場合には、ローリング補正用磁気駆動機構が一つのローリング補正用コイルを備える場合と比較して、各ローリング補正用コイルの有効辺の長さを短くした場合でも、所定の駆動力を発揮することが可能となる。ここで、各ローリング補正用磁気駆動機構の有効辺は、ローリング補正用マグネットの着磁分極線が延びる方向に延びる。従って、本発明によれば、各ローリング補正用コイルを光軸方向で小型化することが可能となる。これにより、固定体が光軸方向で大きくなることを抑制できる。
【0010】
また、これにより、ローリング補正用マグネットと各ローリング補正用コイルとの接触を回避でき、各ローリング補正用コイルの断線を防止できる。また、2つのローリング補正用コイルがケースのローリング補正用マグネットとは反対側に固定されている場合には、2つのローリング補正用コイルとローリング補正用マグネットとの間にケースが介在する。従って、2つのローリング補正用コイルとローリング補正用マグネットとの間の距離が径方向で離間しやすい。これに対して、ローリング補正用磁気駆動機構は、2つのローリング補正用コイルを備える。よって、2つのローリング補正用コイルとローリング補正用マグネットとの間の距離が離間した場合でも、ローリング補正用磁気駆動機構による駆動力を確保できる。
【0011】
本発明において、前記ホルダは、磁性金属製であり、前記ケースは、非磁性金属からなることが望ましい。ホルダを磁性の金属製とすれば、ホルダが、ローリング補正用マグネ
ットのヨークとして機能する。従って、ローリング補正用磁気駆動機構の駆動力を確保しやすい。また、ケースを非磁性金属製とすれば、ケースを樹脂製とする場合などと比較して、ケースを径方向で薄くすることが容易である。これにより、ローリング補正用マグネットとローリング駆動用コイルとの間にケースが介在する場合でも、ローリング補正用マグネットとローリング駆動用コイルとを径方向で接近させることができる。従って、ローリング補正用磁気駆動機構の駆動力を確保しやすい。
【0012】
本発明において、前記回転支持機構は、前記光軸と同軸な状態で前記可動体に設けられた第1環状溝と、前記光軸方向で前記1環状溝と対向する第2環状溝を有するプレートロールと、前記第1環状溝および前記第2環状溝に挿入されて前記可動体と前記プレートロールとの間で転動する複数の球体と、前記第1環状溝と前記第2環状溝とを前記光軸方向で接近させる力を付与する与圧機構を備え、前記ジンバル機構は、前記プレートロールを前記第1軸回りに回転可能に支持し、前記プレートロールは、非磁性であり、前記与圧機構は、前記プレートロールの前記光軸回りの周方向の一部分に固定された磁性部材と、前記可動体の前記周方向の一部分に固定されて前記磁性部材を吸引するマグネットと、を備えるものとすることができる。このようにすれば、与圧機構を構成する磁性部材とマグネットとは、いずれも光軸回りの周方向の一部分に設けられる。従って、磁性部材がマグネットに吸引されると、光軸回りにおいて、プレートホルダに対する可動体の角度位置が規定される。よって、与圧機構により、光軸回りにおける可動体の基準の角度位置を規定できる。
【0013】
本発明において、前記光軸回りにおける前記可動体の角度位置を検出するための位置センサを有し、前記位置センサは、前記径方向から見た場合に一方の前記ローリング補正用コイルの開口部の内周側に位置する第1ホール素子を備えるものとすることができる。このようにすれば、第1ホール素子からの出力に基づいて、可動体の角度位置を検出することができる。
【0014】
本発明において、前記位置センサは、前記径方向から見た場合に他方の前記ローリング補正用コイルの開口部の内周側に位置する第2ホール素子を備えるものとすることができる。このようにすれば、第1ホール素子からの出力および第2ホール素子からの出力に基づいて、可動体の角度位置を出力することができる。
【0015】
本発明において、前記ローリング補正用マグネットは、前記周方向に3極着磁されており、前記位置センサは、前記第1ホール素子からの第1出力と前記第2ホール素子からの第2出力との差動信号を出力するものとすることができる。このようにすれば、差動信号に基づいて、可動体の角度位置を精度よく検出することができる。
【0016】
本発明において、前記ローリング補正用マグネットは、前記周方向に4極着磁されており、前記光軸方向に平行に延びる3つの着磁分極線を備え、前記周方向の両側に位置する2つの前記着磁分極線は、それぞれ前記第1着磁分極線および第2着磁分極線であり、前記位置センサは、前記第1ホール素子からの第1出力と前記第2ホール素子からの第2出力との加算信号を出力するものとすることができる。このようにすれば、加算信号に基づいて、可動体の角度位置を精度よく検出することができる。
【0017】
本発明において、前記光軸回りにおける前記可動体の角度位置を検出するための位置センサを有し、前記ローリング補正用マグネットは、前記周方向に4極着磁されており、前記光軸方向に平行に延びる3つの着磁分極線を備え、前記周方向の両側に位置する2つの前記着磁分極線は、それぞれ前記第1着磁分極線および第2着磁分極線であり、前記位置センサは、前記径方向から見た場合に、前記周方向で前記第1着磁分極線と第2着磁分極線との間に位置する第3着磁分極線と重なる位置に配置されたホール素子を備えるものと
することができる。このようにすれば、第3着磁分極線と重なる位置に配置されたホール素子からの出力に基づいて、可動体の角度位置を出力することができる。
【0018】
本発明において、前記可動体を前記第1軸回りおよび前記第2軸回りに回転させる振れ補正用磁気駆動機構を有し、前記振れ補正用磁気駆動機構と、前記ローリング補正用磁気駆動機構とは、前記光軸回りの周方向に配列されており、前記振れ補正用磁気駆動機構は、前記可動体および前記固定体の一方に固定された振れ補正用マグネットと、他方に固定された振れ補正用コイルと、を備え、前記振れ補正用マグネットは、前記光軸方向で分極着磁されており、周方向に延びる一つの着磁分極線を備え、前記径方向から見た場合に、前記振れ補正用マグネットの前記着磁分極線は、前記振れ補正用コイルの開口部と重なるものとすることができる。このようにすれば、振れ補正用コイルの有効辺は周方向に延びる。従って、振れ補正用磁気駆動機構による駆動力を確保するために、振れ補正用コイルを光軸方向で大きくする必要はない。これにより、固定体が光軸方向で大きくなることを抑制できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、可動体を光軸回りに回転可能に支持する回転支持機構が、ジンバル機構によって第1軸回りおよび第2軸回りに回転可能に支持される。従って、可動体が第1軸回り或いは第2軸回りに回転している状態でも、可動体を光軸と一致する回転軸回りに回転させることができる。また、回転支持機構は、可動体に設けられた第1環状溝とプレートホルダに設けられた第2環状溝とに挿入されて転動する複数の球体を備える。従って、可動体の回転が安定する。さらに、ローリング補正用磁気駆動機構が2つのローリング補正用コイルを備えるので、各ローリング補正用コイルの有効辺の長さを短くした場合でも、所定の駆動力を発揮することが可能となる。これにより、各ローリング補正用コイルを光軸方向で小型化することが可能となるので、固定体が光軸方向で大きくなることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】振れ補正機能付き光学ユニットの斜視図である。
図2】振れ補正機能付き光学ユニットを被写体側から見た場合の平面図である。
図3】振れ補正機能付き光学ユニットの分解斜視図である。
図4】光学ユニット本体部の斜視図である。
図5】光学ユニット本体部の平面図である。
図6図2のA-A線断面図である。
図7図2のB-B線断面図である。
図8】光学ユニット本体部の分解斜視図である。
図9】可動体および回転支持機構の斜視図である。
図10】可動体および回転支持機構の分解斜視図である。
図11】可動体の分解斜視図である。
図12】第1レール部材およびストッパ部材の斜視図である。
図13】回転支持機構を被写体側から見た場合の分解斜視図である。
図14】回転支持機構を反被写体側から見た場合の分解斜視図である。
図15】ジンバルフレーム受け部材の斜視図である。
図16】ジンバルフレームの斜視図である。
図17】ローリング駆動機構の説明図である。
図18】変形例1のローリング補正用磁気駆動機構の説明図である。
図19】変形例2、3、4のローリング補正用磁気駆動機構の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニットの実施形態
を説明する。
【0022】
(全体構成)
図1は、振れ補正機能付き光学ユニットの斜視図である。図2は、振れ補正機能付き光学ユニットを被写体側から見た場合の平面図である。図3は、振れ補正機能付き光学ユニットの分解斜視図である。図4は、光学ユニット本体部の斜視図である。図4では、ベース、フレキシブルプリント基板、第1磁性板、および第2磁性板を省略して示す。図5は、光学ユニット本体部の平面図である。図5では、ベースおよびフレキシブルプリント基板を省略して示す。図6は、図2のA-A線断面図である。図7は、図2のB-B線断面図である。
【0023】
図1に示すように、振れ補正機能付き光学ユニット1は、カメラモジュール2を備える光学ユニット本体部3と、光学ユニット本体部3を収容するカバー4と、光学ユニット本体部3を反被写体側から覆うベース5と、を備える。カバー4は、光学ユニット本体部3を外周側から覆う略矩形のカバー枠部7と、カバー枠部7の被写体側の端縁から内周側に突出する枠状の被写体側端板部8と、を備える。ベース5は、板状である。カメラモジュール2は、レンズ2aと、レンズ2aの光軸L上に配置された不図示の撮像素子と、を備える。また、光学ユニット本体部3は、図3に示すように、外周面に沿って引き回されたフレキシブルプリント基板9を備える。
【0024】
振れ補正機能付き光学ユニット1は、例えば、カメラ付き携帯電話機、ドライブレコーダー等の光学機器や、ヘルメット、自転車、ラジコンヘリコプター等の移動体に搭載されるアクションカメラやウエアラブルカメラ等の光学機器に用いられる。このような光学機器では、撮影時に光学機器の振れが発生すると、撮像画像に乱れが発生する。振れ補正機能付き光学ユニット1は、撮影画像が傾くことを回避するため、ジャイロスコープ等の検出手段によって検出された加速度や角速度、振れ量等に基づき、カメラモジュール2の傾きを補正する。
【0025】
本例の振れ補正機能付き光学ユニット1では、レンズ2aの光軸L回り、光軸Lと直交する第1軸R1回り、並びに、光軸Lおよび第1軸R1と直交する第2軸R2回りにカメラモジュール2を回転させて振れ補正を行う。
【0026】
以下の説明では、互いに直交する3軸をX軸方向、Y軸方向、Z軸方向とする。また、X軸方向の一方側を-X方向、他方側を+X方向とする。Y軸方向の一方側を-Y方向、他方側を+Y方向とする。Z軸方向の一方側を-Z方向、他方側を+Z方向とする。Z軸方向は、光軸方向である。-Z方向は、カメラモジュール2の反被写体側であり、+Z方向は、カメラモジュール2の被写体側である。第1軸R1および第2軸R2は、Z軸回り(光軸回り)で、X軸およびY軸に対して45度傾斜する。
【0027】
図2に示すように、振れ補正機能付き光学ユニット1は、カメラモジュール2を備える可動体10と、可動体10を外側から囲む固定体11と、を備える。固定体11は、カバー4およびベース5を含む。図3に示すように、光学ユニット本体部3は、回転支持機構12と、ジンバル機構13と、を有する。回転支持機構12は、可動体10をZ軸回りに回転可能に支持する。ジンバル機構13は、回転支持機構12を、第1軸R1回りに回転可能に支持するとともに、第2軸R2回りに回転可能に支持する。
【0028】
ジンバル機構13は、ジンバルフレーム15と、ジンバルフレーム15と回転支持機構12とを第1軸R1回りに回転可能に接続する第1接続機構16とを備える。第1接続機構16は、ジンバルフレーム15の第1軸方向R1の両側に設けられている。また、ジンバル機構13は、ジンバルフレーム15と固定体11とを第2軸R2回りに回転可能に接
続する第2接続機構17、を備える。第2接続機構17は、ジンバルフレーム15の第2軸方向R2の両側に設けられている。これにより、可動体10は、回転支持機構12およびジンバル機構13を介して、第1軸R1回りおよび第2軸R2回りに回転可能な状態で固定体11に支持される。
【0029】
また、光学ユニット本体部3は、可動体10を第1軸R1回りおよび第2軸R2回りに回転させる振れ補正用磁気駆動機構20を備える。振れ補正用磁気駆動機構20は、可動体10に対してY軸回りの駆動力を発生させる第1振れ補正用磁気駆動機構21と、可動体10に対してX軸回りの駆動力を発生させる第2振れ補正用磁気駆動機構22と、を備える。第1振れ補正用磁気駆動機構21と、第2振れ補正用磁気駆動機構22とは、Z軸回りの周方向に配列されている。本例では、第1振れ補正用磁気駆動機構21は、カメラモジュール2の-X方向に配置される。第2振れ補正用磁気駆動機構22は、カメラモジュール2の-Y方向に配置される。
【0030】
可動体10は、第1軸R1回りの回転および第2軸R2回りの回転を合成することにより、X軸回りおよびY軸回りに回転する。これにより、振れ補正機能付き光学ユニット1は、X軸回りのピッチング補正、Y軸回りのヨーイング補正、およびZ軸回りのローリング補正を行う。
【0031】
さらに、光学ユニット本体部3は、可動体10をZ軸回りに回転させるローリング補正用磁気駆動機構23を有する。第1振れ補正用磁気駆動機構21、第2振れ補正用磁気駆動機構22、および、ローリング補正用磁気駆動機構23は、Z軸回りの周方向に配列されている。本例では、ローリング補正用磁気駆動機構23は、カメラモジュール2の+Y方向に配置される。ローリング補正用磁気駆動機構23は、光軸Lを間に挟んで、第2振れ補正用磁気駆動機構22とは反対側に位置する。
【0032】
(可動体)
図8は、光学ユニット本体部3の分解斜視図である。図9は、可動体10および回転支持機構12の斜視図である。図10は、可動体10および回転支持機構12の分解斜視図である。図11は、可動体の分解斜視図である。図12は、第1レール部材およびストッパ部材の斜視図である。図12では、第1レール部材およびストッパ部材を-Z方向から見ている。図13は、回転支持機構12および可動体10を+Z方向から見た場合の分解斜視図である。図14は、回転支持機構12および可動体10を-Z方向から見た場合の分解斜視図である。
【0033】
図10図11に示すように、可動体10は、カメラモジュール2と、カメラモジュール2を保持するホルダ25と、ホルダ25に固定された第1レール部材26と、ホルダ25に固定されたストッパ部材27と、を備える。
【0034】
図11に示すように、カメラモジュール2は、カメラモジュール本体部30と、カメラモジュール本体部30の中央から+Z方向に突出するカメラモジュール円筒部31と、を備える。カメラモジュール円筒部31にはレンズ2aが収容されている。ホルダ25は、カメラモジュール本体部30を外周側から囲むホルダ枠部32と、ホルダ枠部32の+Z方向の端から内周側に屈曲する枠状のホルダ端板部33と、ホルダ枠部32の-Z方向の端から外周側に屈曲するホルダフランジ部34と、を備える。ホルダ25は、磁性金属からなる。
【0035】
ホルダ端板部33は、光軸Lと同軸の円形開口部33aを備える。カメラモジュール円筒部31は、円形開口部33aを貫通する。ホルダ端板部33は、カメラモジュール本体部30の+Z方向の面に沿って、光軸Lと直交する方向に延びる。ホルダ端板部33は、
円形開口部33aを間に挟んだ第1軸R1方向の両側に、Z軸方向に貫通する貫通孔33bを備える。また、ホルダ端板部33は、円形開口部33aを間に挟んだ第2軸R2方向の両側にZ軸方向に貫通する貫通孔33bを備える。
【0036】
ホルダ枠部32は、+Z方向から見た場合の輪郭形状が、略8角形である。ホルダ枠部32は、Y方向に平行に延びる第1側壁35、および第2側壁36と、X方向に平行に延びる第3側壁37および第4側壁38を備える。第1側壁35は、第2側壁36の-X方向に位置する。第3側壁37は、第4側壁38の-Y方向に位置する。また、ホルダ枠部32は、第1軸R1方向の対角に位置する第5側壁39および第6側壁40と、第2軸R2方向の対角に位置する第7側壁41および第8側壁42を備える。第5側壁39は、第6側壁40の-X方向に位置する。第7側壁41は、第8側壁42の-Y方向に位置する。
【0037】
ホルダフランジ部34は、第1側壁35、第3側壁37(図14参照)、および第4側壁38に設けられている。ホルダフランジ部34は、光軸Lと直交する方向に突出する。
【0038】
第1レール部材26は、環状であり、非磁性金属からなる。第1レール部材26の+Z方向の端面には、第1環状溝45が設けられている。本例では、第1環状溝45は、切削により形成される。
【0039】
ストッパ部材27は、非磁性金属からなる。ストッパ部材27は、中央に第1レール部材26が嵌る開口部47aを有する板部47を備える。板部47は、外周縁において、Z軸方向から見た場合に第1軸R1と重なる2か所の外周縁部分に切欠き48を備える。また、板部47は、外周縁において、Z軸方向から見た場合に第2軸R2と重なる2か所の外周縁部分に、切欠き48を備える。さらに、ストッパ部材27は、板部47の外周縁において、開口部47aの+X方向に位置する外周縁部分から+Z方向に屈曲する第1屈曲部49、開口部47aの-Y方向に位置する外周縁部分から+Z方向に屈曲する第2屈曲部50、開口部47aの+Y方向に位置する外周縁部分から+Z方向に屈曲する第3屈曲部51を備える。第1屈曲部49は、周方向の幅が、第2屈曲部50および第3屈曲部51と比較して、長い。
【0040】
図12図13に示すように、第1レール部材26は、ストッパ部材27の開口部47aに嵌め込まれた状態で、ストッパ部材27に溶接により固定される。しかる後に、第1レール部材26は、ストッパ部材27とともに、溶接によりホルダ端板部33に固定される。
【0041】
より詳細は、第1レール部材26とストッパ部材27とは、ストッパ部材27の開口部47aの開口縁と、第1レール部材26の外周縁とが、-Z方向から溶接される。また、溶接は、Z軸回りで等角度間隔の4か所で行われる。これにより、図12に示すように、第1レール部材26およびストッパ部材27のホルダ端板部33の側の面には、第1レール部材26およびストッパ部材27を互いに固定する4つの溶接痕53が設けられる。
【0042】
次に、溶接により一体とされた第1レール部材26およびストッパ部材27を、ホルダ端板部33に溶接する。ここで、第1レール部材26およびストッパ部材27をホルダ端板部33に溶接する際には、4つ溶接痕53は、それぞれ、ホルダ端板部33の4つの貫通孔33b(図11参照)に挿入される。これにより、溶接痕53は、貫通孔33bに受け入れられる。従って、第1レール部材26、およびストッパ部材27は、ホルダ端板部33と密着した状態で、ホルダ25に固定される。第1レール部材26、およびストッパ部材27がホルダ25に固定された状態では、図13に示すように、第1レール部材26は光軸と垂直となり、第1環状溝45は光軸Lと同軸となる。
【0043】
また、ホルダ端板部33には、第1マグネット56、第2マグネット57、第3マグネット58および第4マグネット59が固定される。第1マグネット56、第2マグネット57、第3マグネット58および第4マグネット59は、Z軸回りの周方向の4か所に、等角度間隔で、配置されている。第1マグネット56と第2マグネット57とは、ホルダ端板部33において、円形開口部33aの第1軸R1方向の両側の端縁部分に固定されている。第3マグネット58と第4マグネット59とは、ホルダ端板部33において、円形開口部33aの第2軸R2方向の両側の端縁部分に固定されている。各マグネット56~59は、周方向で2極着磁されている。各マグネット56~59の着磁分極線は、各マグネット56~59の周方向の中心を径方向に延びる。
【0044】
ここで、第1マグネット56、第2マグネット57、第3マグネット58および第4マグネット59は、第1レール部材26およびストッパ部材27がホルダ端板部33に溶接された後に、ホルダ端板部33に固定される。第1マグネット56および第2マグネット57をホルダ端板部33に固定する際には、各マグネット56、57をストッパ部材27の板部47の第1軸R1方向の両側に設けられた各切欠き48の開口縁に当接させる。また、第3マグネット58および第4マグネット59をホルダ端板部33に固定する際には、各マグネット58、59をストッパ部材27の板部47の第2軸R2方向の両側に設けられた各切欠き48の開口縁に当接させる。これにより、各マグネット56~59は、可動体10上で、周方向および径方向で位置決めされる。
【0045】
図11に示すように、ホルダ枠部32の第1側壁35には、振れ補正用第1マグネット61が固定される。振れ補正用第1マグネット61は、Z軸方向に2極着磁されている。振れ補正用第1マグネット61の着磁分極線61aは、周方向に延びる。第3側壁37には、振れ補正用第2マグネット62が固定される。振れ補正用第2マグネット62は、Z軸方向に2極着磁されている。振れ補正用第2マグネット62の着磁分極線62aは、周方向に延びる。振れ補正用第1マグネット61および振れ補正用第2マグネット62は、Z軸方向に同一の極を向けて配置されている。
【0046】
第4側壁38には、ローリング補正用マグネット63が固定される。ローリング補正用マグネット63は、周方向に3極着磁されている。ローリング補正用マグネット63は、Z軸方向に平行に延びる第1着磁分極線63aおよび第2着磁分極線63bを備える。第1着磁分極線63aは、第2着磁分極線63bの-X方向に位置する。ローリング補正用マグネット63は、光軸Lを挟んで振れ補正用第2マグネット62と反対側に配置されている。
【0047】
ここで、振れ補正用第1マグネット61、振れ補正用第2マグネット62、およびローリング補正用マグネット63は、+Z軸方向からホルダフランジ部34に当接する。すなわち、ホルダフランジ部34は、振れ補正用第1マグネット61、振れ補正用第2マグネット62、および、ローリング補正用マグネット63をZ軸方向で位置決めする。
【0048】
なお、図9に示すように、ストッパ部材27には、+Z方向から第2のストッパ部材98が固定される。第2のストッパ部材98については、後述する。
【0049】
(回転支持機構)
図13図14に示すように、回転支持機構12は、光軸Lと同軸な状態で可動体10に設けられた第1環状溝45と、第1環状溝45とZ軸方向で対向する第2環状溝65を有するプレートロール66とを備える。また、回転支持機構12は、第1環状溝45および第2環状溝65に挿入されて可動体10とプレートロール66との間で転動する複数の球体67と、球体67を転動可能に保持する環状のリテーナ68と、を備える。さらに、
図9に示すように、回転支持機構12は、第1環状溝45と第2環状溝65とをZ軸方向で接近させる力を付与する与圧機構69と、を備える。
【0050】
図10に示すように、プレートロール66は、光軸Lを囲むプレートロール環状部70と、プレートロール環状部70から第1軸R1方向の両側に突出する一対のプレートロール延設部71と、プレートロール環状部70から第2軸R2方向の両側に突出する一対のプレートロール突出部76と、を備える。第2環状溝65は、プレートロール環状部70に設けられている。
【0051】
より具体的には、図13図14に示すように、プレートロール66は、プレートロール本体73と、第2環状溝65を有する第2レール部材74と、を備える。プレートロール本体73は、光軸Lを囲む環状板部75と、環状板部75から第1軸R1方向の両側に突出する一対のプレートロール延設部71と、環状板部75から第2軸R2方向の両側に突出する一対のプレートロール突出部76と、を備える。第2レール部材74は、環状板部75に固定されて光軸Lを囲む。
【0052】
第2レール部材74およびプレートロール本体73はいずれも非磁性金属からなる。第2レール部材74は、プレートロール本体73の環状板部75に溶接によって固定される。これにより、第2レール部材74と環状板部75とは、プレートロール環状部70を構成する。ここで、第2レール部材74と第1レール部材26とは、同一の部材である。第2レール部材74と第1レール部材26とは、同軸に配置されて第1環状溝45と第2環状溝65とをZ軸方向で対向させている。
【0053】
各球体67は、金属製、或いは、セラミックス製である。リテーナ68は樹脂製である。リテーナ68は、Z軸方向で第1レール部材26と第2レール部材74との間に位置する。リテーナ68は、複数の球体67のそれぞれを転動可能に保持する複数の球体保持穴68aを備える。本例では、回転支持機構12は、6個の球体67を備える。リテーナ68は、等角度間隔に設けられた6つの球体保持穴68aを備える。球体67は、球体保持穴68aの内側に転動可能に保持されて、リテーナ68から-Z方向および+Z方向に突出する。
【0054】
一対のプレートロール延設部71は、それぞれ、環状板部75から第1軸R1方向に延びるプレートロール延設部第1部分77と、プレートロール延設部第1部分77および可動体10の外周側をZ軸方向に延びるプレートロール延設部第2部分78と、プレートロール延設部第1部分77とプレートロール延設部第2部分78とを接続するプレートロール延設部第3部分79と、を備える。プレートロール延設部第3部分79は、第1軸R1方向を環状板部75から離間する方向に向かって-Z方向に屈曲している。
【0055】
プレートロール延設部第1部分77は、プレートロール延設部第3部分79およびプレートロール延設部第2部分78よりも周方向の幅が広い。Z軸方向から見た場合に、プレートロール延設部第1部分77とプレートロール延設部第3部分79との間には、周方向の両側に段部80が設けられている。
【0056】
図6に示すように、プレートロール延設部第2部分78は、可動体10の第1軸R1方向の外側で、僅かな隙間を開けて可動体10と対向する。図6図13図14に示すように、各プレートロール延設部第2部分78の可動体10とは反対側には、ジンバルフレーム受け部材83が固定されている。図4に示すように、各ジンバルフレーム受け部材83は、各プレートロール延設部第2部分78の外周側(可動体10とは反対側)に位置する球体84と、プレートロール延設部第2部分78の外周側に固定されたスラスト受け部材85と、を備える。プレートロール延設部第2部分78に固定されたスラスト受け部材
85は、球体84を第1軸R1上でプレートロール延設部第2部分78と離間する位置に支持する。
【0057】
図15は、ジンバルフレーム受け部材の斜視図である。図15(a)は、ジンバルフレーム受け部材83を球体84が位置する側から見た場合であり、図15(b)は、ジンバルフレーム受け部材83を球体84が位置する側とは反対側から見た場合である。図15に示すように、スラスト受け部材85は、球体84が固定された球体固定部87を備える板部88と、板部88の球体固定部87よりも+Z方向における周方向の両端から球体84が固定された側に突出する一対の腕部89と、板部88の-Z方向の端から球体84が固定された側に突出する足部90と、を備える。
【0058】
板部88は、全体としてZ軸方向に長い長方形形状である。球体固定部87は、板部88に設けられた円形の貫通孔である。貫通孔の内径寸法は、球体84の直径よりも小さい。球体84は、球体固定部87に部分的に挿入された状態で、溶接によってスラスト受け部材85に固定される。足部90は、板部88の-Z方向の端から環状板部75と直交する方向に突出する足部突出板部90aと、足部突出板部90aにおける板部88とは反対側の端から-Z方向に屈曲する足部屈曲板部90bを備える。図13図14に示すように、ジンバルフレーム受け部材83は、スラスト受け部材85の各腕部89の先端、および足部屈曲板部90bがプレートロール延設部第2部分78に、溶接によって、固定される。
【0059】
図9に示すように、与圧機構69は、プレートロール66の周方向の4か所にそれぞれ固定された第1磁性部材91、第2磁性部材92、第3磁性部材93、および第4磁性部材94を備える。より具体的には、与圧機構69は、一方のプレートロール延設部第1部分77に固定された第1磁性部材91と、他方のプレートロール延設部第1部分77に固定された第2磁性部材92と、を備える。また、与圧機構69は、一方のプレートロール突出部76に固定された第3磁性部材93と、他方のプレートロール突出部76に固定された第4磁性部材94と、を備える。第1磁性部材91、第2磁性部材92、第3磁性部材93、および第4磁性部材94は、同一の部材である。
【0060】
図13に示すように、各磁性部材91~94をZ軸方向から見た場合の形状は、周方向の中心を径方向に延びる仮想線Mに対して対称である。また、各磁性部材91~94は、周方向の中心に、周方向の両端よりも径方向の幅が広い幅広部分95を備える。各磁性部材91~94の径方向の幅寸法は、両端から幅広部分95に向かって漸増している。本例では、各磁性部材91~94は、周方向に長い矩形の矩形部分96と、矩形部分96の内周側の縁から径方向内側に向かって先細りとなる台形部分97とを備える。
【0061】
第1磁性部材91および第2磁性部材92は、プレートロール延設部71の+Z方向(Z軸方向でホルダ端板部33とは反対側)に固定される。また、第3磁性部材93および第4磁性部材94は、プレートロール突出部76の+Z方向(Z軸方向でホルダ端板部33とは反対側)に固定されている。
【0062】
第1磁性部材91および第2磁性部材92をプレートロール延設部第1部分77に固定した状態をZ軸方向から見た場合には、第1磁性部材91および第2磁性部材92の周方向の両端縁と、プレートロール延設部第1部分77の周方向の両端縁とが重なる。また、第1磁性部材91および第2磁性部材92の外周側の端縁の一部分とプレートロール延設部71の段部80の輪郭とが重なる。また、第3磁性部材93および第4磁性部材94をプレートロール突出部76に固定した状態をZ軸方向から見た場合には、第3磁性部材93および第4磁性部材94の周方向の両端縁と、プレートロール突出部76の周方向の両端縁とが重なる。また、第3磁性部材93および第4磁性部材94の外周側の端縁とプレ
ートロール突出部76の外周側の端縁とが重なる。すなわち、各プレートロール延設部第1部分77の形状は、第1磁性部材91および第2磁性部材92を周方向および径方向で位置決めする位置決め部として機能する。また、プレートロール突出部76の形状は、第3磁性部材93および第4磁性部材94を周方向および径方向で位置決めする位置決め部として機能する。
【0063】
また、与圧機構69は、図6図7図13に示すように、可動体10のホルダ25のホルダ端板部33に固定された4つのマグネット56~59を備える。4つのマグネット56~59のそれぞれは、可動体10とプレートロール66のプレートロール環状部70とを重ねたときに、同一の角度位置に配置される。すなわち、マグネット56~59のそれぞれは、Z軸方向から見た場合に、4つの磁性部材91~94のそれぞれと重なる。
【0064】
ここで、図10に示すように、ストッパ部材27の板部47の第1軸R1方向の一方側に設けられた切欠き48は、Z軸方向から見た場合に第1磁性部材91と重なる位置に第1マグネット56を配置するための第1位置決め部となっている。ストッパ部材27の板部47の第1軸R1方向の他方側に設けられた切欠き48は、Z軸方向から見た場合に第2磁性部材92と重なる位置に第2マグネット57を配置するための第2位置決め部となっている。ストッパ部材27の板部47の第2軸R2方向の一方側に設けられた切欠き48は、Z軸方向から見た場合に第3磁性部材93と重なる位置に第3マグネット58を配置するための第3位置決め部となっている。ストッパ部材27の板部47の第2軸R2方向の他方側に設けられた切欠き48は、Z軸方向から見た場合に第4磁性部材94と重なる位置に第4マグネット59を配置するための第4位置決め部となっている。
【0065】
各マグネット56~59は、Z軸方向で重なる各磁性部材91~94をそれぞれ吸引する。これにより、与圧機構69は、光軸L回りの等角度間隔の4か所で、第1環状溝45と第2環状溝65とをZ軸方向で接近させる力を付与する。可動体10は、与圧機構69の各磁性部材91~94と各マグネット56~59との磁気吸引力により、プレートロール66に吸引され、Z軸回りに回転可能な状態で、プレートロール66に支持される。
【0066】
ここで、図9に示すように、可動体10が、Z軸回りに回転可能な状態で、プレートロール66に支持されたときに、ストッパ部材27の第1屈曲部49は、一方のプレートロール延設部71に周方向の一方側から隙間を開けて対向する一方側ストッパ部49aを備える。一方側ストッパ部49aは、第1屈曲部49の周方向の一方側の端縁である。また、ストッパ部材27の第1屈曲部49は、一方のプレートロール突出部76に周方向の他方側から隙間を開けて対向する他方側ストッパ部49bを備える。他方側ストッパ部49bは、第1屈曲部49の周方向の他方側の端縁である。
【0067】
また、可動体10は、ストッパ部材27に固定された第2のストッパ部材98を備える。図10に示すように、第2のストッパ部材98は、光軸を囲む環状のストッパ部99と、ストッパ部99から+X方向に突出する略矩形の第1接続部100と、ストッパ部99から-Y方向に突出する第2接続部101と、ストッパ部99から+Y方向突出する第3接続部102と、を備える。第2のストッパ部材98は、第1接続部100がストッパ部材27の第1屈曲部49の+Z方向の端に接続され、第2接続部101がストッパ部材27の第2屈曲部50の+Z方向の端に接続され、第3接続部102がストッパ部材27の第3屈曲部51の+Z方向の端に接続され、これらが溶接によって固定される。
【0068】
図6図7に示すように、第2のストッパ部材98がストッパ部材27に固定されると、ストッパ部99は、Z軸方向におけるプレートロール環状部70の第2環状溝65とは反対側で当該Z軸方向からプレートロール環状部70に所定の隙間を開けて対向する。ストッパ部99は、可動体10がプレートロール66から-Z方向に脱落することを防止す
る。
【0069】
(固定体)
図8に示すように、固定体11は、可動体10および回転支持機構12を外周側から囲む枠状のケース105を有する。図1に示すように、カバー4は、ケース105に+Z方向から被せられている。図3に示すように、ベース5は、ケース105の-Z方向の開口を塞ぐ。ケース105、カバー4、およびベース5は、金属製である。カバー4およびベース5は、溶接によってケース105に固定されている。
【0070】
ケース105は、非磁性金属からなる。図8に示すように、ケース105は、ホルダ25を径方向外側から囲む枠板部106と、枠板部106の-Z方向の端から屈曲して外周側に突出する固定体側フランジ部107と、を備える。枠板部106は、径方向に厚み方向を向けている。ベース5は、固定体側フランジ部107に固定されている。
【0071】
枠板部106は、可動体10の-X方向でY軸方向に延びる第1枠板部分111、可動体10の+X方向でY軸方向に延びる第2枠板部分112、可動体10の-Y方向でX軸方向に延びる第3枠板部分113、および可動体10の+Y方向でX軸方向に延びる第4枠板部分114を備える。枠板部106において、第2枠板部分112と第3枠板部分113との間は、第2枠板部分112および第3枠板部分113に対して45°傾斜した第5枠板部分115により接続されている。枠板部106において、第1枠板部分111と第4枠板部分114との間は、第1枠板部分111および第4枠板部分114に対して45°傾斜した第6枠板部分116により接続されている。第5枠板部分115と第6枠板部分116とは、第2軸R2方向で対向する。第5枠板部分115および第6枠板部分116は、+Z方向の端に、矩形の切欠き部106aを備える。すなわち、ケース105は、+Z方向の端縁において、Z軸方向から見た場合に第2軸R2と重なる部分に切欠き部106aを備える。
【0072】
第1枠板部分111と第3枠板部分113との間は、第1軸R1方向を外側に張り出した第7枠板部分117により接続されている。従って、第1枠板部分111は第7枠板部分117よりも+X方向にオフセットされており、第3枠板部分113は第7枠板部分117よりも+Y方向にオフセットされている。第7枠板部分117は、Z軸方向から見た場合に、第1軸R1方向を外周側に突出した後に、周方向に延びて、第1軸R1方向を内周側に屈曲する屈曲形状を備える。第4枠板部分114と第2枠板部分112との間は、第4枠板部分114から第1軸R1方向を外側に張り出した第8枠板部分118により接続されている。第4枠板部分114は第8枠板部分118よりも-Y方向にオフセットされている。第8枠板部分118は、Z軸方向から見た場合に、第4枠板部分114から第1軸R1方向を外周側に突出した後に、周方向に延びて、第2枠板部分112に接続されている。
【0073】
第2枠板部分112の-Z方向の端縁には、矩形の切欠き112aが設けられている。ここで、カメラモジュール2からは、不図示のフレキシブルプリント基板が+X方向に引き出されている。このフレキシブルプリント基板は、切欠き112aを介して、ケース105の外側に引き出される。
【0074】
第5枠板部分115の外側の端面、および第6枠板部分116の外側の端面には、それぞれジンバルフレーム受け部材83が固定されている。各ジンバルフレーム受け部材83は、プレートロール延設部第2部分78に固定されたジンバルフレーム受け部材83と同一の部材である。各ジンバルフレーム受け部材83は、枠板部106の外周側(可動体10とは反対側)に位置する球体84と、枠板部106の外周側に固定されて球体84を第2軸R2上で枠板部106と離間する位置に支持するスラスト受け部材85と、を備える
。各ジンバルフレーム受け部材83は、スラスト受け部材85の各腕部89の先端、および足部屈曲板部90bが、それぞれ第5枠板部分115および第6枠板部分116に溶接によって固定される。
【0075】
第1枠板部分111の外側面(可動体10とは反対側の面)には、振れ補正用第1コイル121が固定されている。第3枠板部分113の外側面には、振れ補正用第2コイル122が固定されている。また、第4枠板部分114の外側面には、2つのローリング補正用コイル123、124が固定されている。2つのローリング補正用コイル123、124は、周方向に配列されている。ここで、図3に示すように、振れ補正用第1コイル121、振れ補正用第2コイル122、および、2つのローリング補正用コイル123、124の外周側には、第1枠板部分111、第3枠板部分113、第4枠板部分114に沿って、フレキシブルプリント基板9が引き回されている。振れ補正用第1コイル121、振れ補正用第2コイル122、および、2つのローリング補正用コイル123、124は、フレキシブルプリント基板9に電気的に接続されている。
【0076】
フレキシブルプリント基板9には、振れ補正用磁気駆動機構20の揺動位置センサ130が設けられている。図8に示すように、揺動位置センサ130は、径方向から見た場合に振れ補正用第1コイル121の開口部と重なる位置に配置された第1ホール素子131と、振れ補正用第2コイル122の開口部と重なる位置に配置された第2ホール素子132と、を備える。揺動位置センサ130は、振れ補正用第2コイル122の開口部と重なる位置に配置される第2ホール素子132の出力に基づいて、可動体10のX軸回りの揺動角度を検出する。また、揺動位置センサ130は、振れ補正用第1コイル121の開口部と重なる位置に配置された第1ホール素子131の出力に基づいて、可動体10のY軸回りの揺動角度を検出する。
【0077】
また、フレキシブルプリント基板9には、ローリング補正用磁気駆動機構23の回転位置センサ135が設けられている。回転位置センサ135は、径方向から見た場合に一方のローリング補正用コイル123の開口部と重なるホール素子136を備える。回転位置センサ135は、ホール素子136の出力に基づいて、可動体10のZ軸回りの角度位置を検出する。
【0078】
さらに、図3に示すように、フレキシブルプリント基板9において、振れ補正用第1コイル121の外周側には、矩形の第1磁性板137が固定されている。また、フレキシブルプリント基板9において、振れ補正用第2コイル122の外周側には、矩形の第2磁性板138が配置される。
【0079】
(ジンバルフレーム)
図16は、ジンバルフレーム15の斜視図である。ジンバルフレーム15は、金属製の板バネからなる。図8に示すように、ジンバルフレーム15は、プレートロール66の+Z方向に位置する本体部140と、本体部140から第1軸R1方向の両側に向かって突出して-Z方向に延びる一対の第1軸側延設部141と、本体部140から第2軸R2方向の両側に向かって突出して-Z方向に延びる一対の第2軸側延設部142と、を備える。図14に示すように、本体部140は、第1軸R1方向に延びる略長方形形状の中央板部140aと、中央板部140aの第2軸R2方向の一方側(-Y方向の側)から外周側に向かって+Z方向に傾斜する第1傾斜板部140bと、中央板部140aの第2軸R2方向の他方側(+Y方向の側)から外周側に向かって+Z方向に傾斜する第2傾斜板部140cとを備える。また、本体部140は、中央に、Z軸方向に貫通する開口部15aを備える。図8に示すように、Z軸方向から見た場合に、カメラモジュール2のカメラモジュール円筒部31は、開口部15aの内側に位置する。
【0080】
図16に示すように、一対の第1軸側延設部141のそれぞれは、第1軸R1方向を本体部140から離間する方向に延びる第1軸側延設部第1部分145と、第1軸側延設部第1部分145および可動体10の外周側をZ軸方向に延びる第1軸側延設部第2部分146と、第1軸側延設部第1部分145と第1軸側延設部第2部分146とを接続する第1軸側延設部第3部分147と、を備える。
【0081】
第1軸側延設部第1部分145は、中央板部140aから第1軸R1方向に突出する。第1軸側延設部第3部分147は、第1軸側延設部第1部分145の先端縁から外周側に向かって-Z方向に傾斜する。第1軸側延設部第2部分146は、第1軸R1上において、第1軸R1方向を可動体10の側に向かって内周側に窪む第1軸側凹曲面148、を備える。また、第1軸側延設部第2部分146は、第1軸側凹曲面148の+Z方向に、周方向の両側の縁を切り欠いた一対の矩形の切欠き149を備える。一対の切欠き149が設けられることにより、第1軸側延設部第2部分146は、第1軸側凹曲面148の+Z方向に、周方向の幅が狭い部分が設けられている。
【0082】
次に、一対の第2軸側延設部142のそれぞれは、第2軸R2方向を本体部140から離間する方向に延びる第2軸側延設部第1部分151と、第2軸側延設部第1部分151および可動体10の外周側をZ軸方向に延びる第2軸側延設部第2部分152と、第2軸側延設部第1部分151と第2軸側延設部第2部分152とを接続する第2軸側延設部第3部分153と、を備える。
【0083】
一対の第2軸側延設部第1部分151は、第1傾斜板部140b、第2傾斜板部140cのそれぞれの外周側の端縁から第2軸R2方向に突出する。第2軸側延設部第3部分153は、第2軸側延設部第1部分151の外周側の端から-Z方向に屈曲する。第2軸側延設部第2部分152は、第2軸側延設部第3部分153から可動体10の第2軸R2方向の外側をZ軸方向に延びる第1部分152aと、第1部分152aの-Z方向の端から径方向外側に屈曲する屈曲部分152bと、屈曲部分152bの外周側の端から-Z方向に延びる第2部分152cとを備える。第2部分152cは、第2軸R2上において、第2軸R2方向を可動体10の側に向かって内周側に窪む第2軸側凹曲面154を備える。また、第2部分152cは、第2軸側凹曲面154の+Z方向に、周方向の両端の縁を切り欠いた一対の矩形の切欠き155を備える。一対の切欠き155が設けられることにより、第2部分152cは、第2軸側凹曲面154の+Z方向に、周方向の幅が狭い部分を備える。
【0084】
(振れ補正機能付き光学ユニットの組み立て)
図17は、ローリング補正用磁気駆動機構23を径方向外側から見た場合の説明図である。図17では、ローリング補正用マグネット63と、2つのローリング補正用コイル123、124との間に位置するケース105の第4枠板部分114を省略して示す。
【0085】
振れ補正機能付き光学ユニット1を組み立てる際には、図8に示すように、プレートロール66の第1軸R1方向の両側に固定された各ジンバルフレーム受け部材83とプレートロール66との間に、ジンバルフレーム15の各第1軸側延設部141の第1軸側延設部第2部分146を挿入する。そして、図6に示すように、各第1軸側延設部第2部分146に設けられた第1軸側凹曲面148を各ジンバルフレーム受け部材83の球体84に接触させた状態とする。これにより、回転支持機構12とジンバルフレーム15とを第1軸R1回りに接続する第1接続機構16が構成される。また、この際に、各第1軸側延設部第2部分146に設けた一対の切欠き149に、各ジンバルフレーム受け部材83のスラスト受け部材85の一対の腕部89を挿入した状態とする。これにより、第1軸R1方向の両側に位置するジンバルフレーム受け部材83から、ジンバルフレーム15が+Z方向に抜けることを防止する。
【0086】
ここで、第1軸R1方向の両側において、各第1軸側延設部141の第1軸側凹曲面148を各ジンバルフレーム受け部材83の球体84に接触させる際には、一対の第1軸側延設部141は、互いに内周側へ撓ませられる。これにより、第1軸側延設部第2部分146は外周側へ付勢されるので、プレートロール66に固定されたジンバルフレーム受け部材83には、球体84を介して第1軸側延設部141からの付勢力が作用する。よって、各第1軸側延設部141の第1軸側凹曲面148と各ジンバルフレーム受け部材83の球体84とは、接触した状態を維持できる。
【0087】
次に、図4に示すように、ケース105の第2軸R2方向の両側に固定された各ジンバルフレーム受け部材83とケース105との間に、各第2軸側延設部142の第2部分152cを挿入する。そして、図7に示すように、各第2部分152cに設けられた第2軸側凹曲面154を各ジンバルフレーム受け部材83の球体84に接触させた状態とする。これにより、固定体11とジンバルフレーム15とを第2軸R2回りに接続する第2接続機構17が構成される。また、この際に、各第2部分152cに設けた一対の切欠き155に、各ジンバルフレーム受け部材83のスラスト受け部材85の一対の腕部89を挿入した状態とする。これにより、第2軸R2方向の両側に位置するジンバルフレーム受け部材83から、ジンバルフレーム15が+Z方向に抜けることを防止する。
【0088】
ここで、第2軸R2方向の両側において、各第2軸側延設部142の第2軸側凹曲面154を各ジンバルフレーム受け部材83の球体84に接触させる際には、一対の第2軸側延設部142は、互いに内周側へ撓ませられる。これにより、第2部分152cは外周側へ付勢されるので、ケース105に固定された各ジンバルフレーム受け部材83には、球体84を介して第2軸側延設部142からの付勢力が作用する。よって、各第2軸側延設部142の第2軸側凹曲面154と各ジンバルフレーム受け部材83の球体84とは、接触した状態を維持できる。
【0089】
第2接続機構17が構成された状態では、図4図7に示すように、ジンバルフレーム15の各記第2軸側延設部142の第2軸側延設部第2部分152において、屈曲部分152bが、固定体11のケース105の第2軸R2の両端に設けられた一対の切欠き部106aの内側に配置される。これにより、第2軸側延設部第2部分152では、第1部分152aは、枠板部106の内周側において、可動体10の第2軸R2方向の外側をZ軸方向に延びる。屈曲部分152bは、Z軸方向から見た場合にケース105の枠板部106と重なる。第2部分152cは、枠板部106の第2軸R2方向の外側をZ軸方向に延びる。
【0090】
図4に示すように、ジンバル機構13が構成されると、可動体10および回転支持機構12は、ケース105の内側に配置された状態となる。また、ジンバル機構13が構成されると、可動体10は、ジンバル機構13および回転支持機構12を介してケース105に支持される。これにより、可動体10は、光軸L、第1軸R1および第2軸R2とが交差する交差点Pを中心に揺動可能となる。図6図7に示すように、交差点Pは、カメラモジュール2の内側に位置する。
【0091】
また、ジンバル機構13が構成されると、図5に示すように、振れ補正用第1マグネット61と振れ補正用第1コイル121とは、第1枠板部分111を間に挟んだ状態で、X軸方向で対向する。振れ補正用第1マグネット61および振れ補正用第1コイル121は、第1振れ補正用磁気駆動機構21を構成する。従って、振れ補正用第1コイル121への給電により、可動体10は、Y軸回りに回転する。また、振れ補正用第2マグネット62と振れ補正用第2コイル122とは、第3枠板部分113を間に挟んだ状態で、X軸方向で対向する。振れ補正用第2マグネット62および振れ補正用第2コイル122は、第
2振れ補正用磁気駆動機構22を構成する。従って、振れ補正用第2コイル122への給電により、可動体10はX軸回りに回転する。振れ補正用磁気駆動機構20は、第1振れ補正用磁気駆動機構21による可動体10のY軸回りの回転と、第2振れ補正用磁気駆動機構22による可動体10のX軸回りの回転と、を合成して、可動体10を第1軸R1回り、および第2軸R2回りに回転させる。
【0092】
さらに、ジンバル機構13が構成されると、ローリング補正用マグネット63と、2つのローリング補正用コイル123、124とは、第4枠板部分114を間に挟んだ状態で、Y軸方向で対向する。ローリング補正用マグネット63と、2つのローリング補正用コイル123、124とは、ローリング補正用磁気駆動機構23を構成する。従って、2つのローリング補正用コイル123、124への給電により、可動体10は、Z軸回りに回転する。
【0093】
ここで、ジンバル機構13が構成された状態を径方向から見た場合には、周方向に延びる振れ補正用第1マグネット61の着磁分極線61aと、振れ補正用第1コイル121の開口部とが重なる。従って、振れ補正用第1コイル121において周方向に延びる一対のコイル部分は、Y軸回りの駆動力を発揮するための有効辺となる。また、振れ補正用第1マグネット61と第1磁性板137とが重なる。振れ補正用第1マグネット61と第1磁性板137とは、可動体10をY軸回りの回転方向における基準角度位置に復帰させるための磁気バネを構成する。さらに、揺動位置センサ130の第1ホール素子131と、振れ補正用第1マグネット61の着磁分極線61aとが重なる。従って、揺動位置センサ130は、第1ホール素子131からの出力に基づいて、Y軸回りの回転方向における角度位置を取得できる。
【0094】
また、周方向に延びる振れ補正用第2マグネット62の着磁分極線62aと、振れ補正用第2コイル122の開口部とが重なる。従って、振れ補正用第2コイル122において周方向に延びる一対のコイル部分は、可動体10X軸回りの駆動力を発揮するための有効辺となる。また、振れ補正用第2マグネット62と第2磁性板138とが重なる。振れ補正用第2マグネット62と第2磁性板138とは、可動体10をX軸回りの回転方向における基準角度位置に復帰させるための磁気バネを構成する。さらに、揺動位置センサ130の第2ホール素子132と、振れ補正用第2マグネット62の着磁分極線62aとが重なる。従って、揺動位置センサ130は、第2ホール素子132からの出力に基づいて、X軸回りの回転方向における角度位置を取得できる。
【0095】
さらに、図17に示すように、Z軸方向に延びるローリング補正用マグネットの第1着磁分極線63aと一方のローリング補正用コイル123の開口部とが重なる。また、Z軸方向に延びるローリング補正用マグネットの第2着磁分極線63bと他方のローリング補正用コイル124の開口部とが重なる。従って、各ローリング補正用コイル123、124において、X軸方向の延びる一対のコイル部分は、可動体10をZ軸回りに回転させる駆動力を発揮する有効辺となる。また、回転位置センサ135のホール素子136は、第1着磁分極線63aと重なる。従って、回転位置センサ135は、ホール素子136からの出力に基づいて、X軸回りの回転方向における角度位置を取得できる。
【0096】
次に、カバー4を、Z軸方向からケース105に被せて、溶接により、固定する。図1図2図7に示すように、カバー4がケース105に固定された状態を+Z方向から見た場合には、カバー4の被写体側端板部8において、第2軸R2方向の両端に位置する部分と、ジンバルフレーム15の屈曲部分152bとが、Z軸方向で対向する。これにより、被写体側端板部8は、ジンバルフレーム15と可動体10とが、固定体11からZ軸方向の+Z方向に抜け落ちてしてしまうことを防止する抜け止め部となる。
【0097】
(作用効果)
本例によれば、可動体10をZ軸回りに回転可能に支持する回転支持機構12が、ジンバル機構13によって第1軸R1回りおよび第2軸R2回りに回転可能に支持される。従って、可動体10が第1軸R1回り或いは第2軸R2回りに回転している状態でも、可動体10を光軸Lと一致する回転軸回りに回転させることができる。また、回転支持機構12は、可動体10に設けられた第1環状溝45とプレートロール66に設けられた第2環状溝65とに挿入されて転動する複数の球体84を備える。従って、可動体10が複数の板バネによって回転可能に支持されている場合と比較して、可動体10の回転軸が不安定になることがない。
【0098】
また、可動体10をZ軸回りに回転させるローリング補正用磁気駆動機構23は、周方向で分極着磁されており、Z軸方向に平行に延びる第1着磁分極線63aおよび第2着磁分極線63bを備えるローリング補正用マグネットと、2つのローリング補正用コイル123、124を備える。また、2つのローリング補正用コイル123、124は、Z軸回りの周方向に配列されており、光軸Lを中心とする径方向から見た場合に、第1着磁分極線63aと一方のローリング補正用コイル123の開口部とが重なり、第2着磁分極線63bと他方のローリング補正用コイル124の開口部とが重なる。従って、ローリング補正用磁気駆動機構23が一つのローリング補正用コイルを備える場合と比較して、ローリング補正用磁気駆動機構23によって大きな駆動力を発揮することが容易となる。言い換えれば、ローリング補正用磁気駆動機構23が2つのローリング補正用コイル123、124を備える場合には、ローリング補正用磁気駆動機構23が一つのローリング補正用コイルを備える場合と比較して、各ローリング補正用コイル123、124の有効辺の長さを短くした場合でも、所定の駆動力を発揮することが可能となる。ここで、各ローリング補正用コイル123、124の有効辺は、ローリング補正用マグネット63の着磁分極線63a、63bが延びる方向に延びる。従って、各ローリング補正用コイルをZ軸方向で小型化することが可能となる。これにより、固定体11がZ軸方向で大きくなることを抑制できる。
【0099】
さらに、本例では、可動体10は、カメラモジュール2を外周側から囲むホルダ枠部32を有するホルダ25を備える。固定体11は、ホルダ枠部32を外周側から囲むケース105を備える。ローリング補正用マグネット63は、ホルダ枠部32に固定され、2つのローリング補正用コイル123、124は、ケース105のローリング補正用マグネット63とは反対側に固定されている。従って、ローリング補正用マグネット63と各ローリング補正用コイルとの接触を回避でき、各ローリング補正用コイルの断線を防止できる。
【0100】
すなわち、ローリング補正用磁気駆動機構23が周方向に配列された2つのローリング補正用コイル123、124を備える場合には、ローリング補正用磁気駆動機構23が一つのローリング補正用コイルを備える場合と比較して、ローリング補正用磁気駆動機構23が周方向で大きくなりやすい。ローリング補正用磁気駆動機構23が周方向で大きくなると、可動体10が回転したときに、可動体10に固定されたローリング補正用マグネット63の周方向の端と、固定体11に固定された各ローリング補正用マグネット63との距離が接近する。従って、2つのローリング補正用コイル123、124がケース105に固定されてローリング補正用マグネット63と対向する場合には、可動体10がZ軸回りに回転したときに、ローリング補正用マグネット63の周方向の一方側の端と周方向の一方側に位置するローリング補正用コイルとが接触して、各ローリング補正用マグネット63を断線させる可能性がある。これに対して、2つのローリング補正用コイル123、124を、ケース105のローリング補正用マグネット63とは反対側に固定すれば、ローリング補正用マグネット63と各ローリング補正用コイルとの接触を回避でき、各ローリング補正用コイルの断線を防止できる。
【0101】
また、2つのローリング補正用コイル123、124がケース105のローリング補正用マグネット63とは反対側に固定されている場合には、2つのローリング補正用コイル123、124とローリング補正用マグネット63との間にケース105が介在する。従って、2つのローリング補正用コイル123、124とローリング補正用マグネット63との間の距離が径方向で離間しやすい。これに対して、ローリング補正用磁気駆動機構23は、2つのローリング補正用コイル123、124を備える。従って、2つのローリング補正用コイル123、124とローリング補正用マグネット63との間の距離が離間した場合でも、ローリング補正用磁気駆動機構23による駆動力を確保できる。
【0102】
さらに、本例では、ホルダ25は、磁性金属製であり、ケース105は、非磁性金属からなる。ホルダ25を磁性の金属製とすれば、ホルダ25が、ローリング補正用マグネット63のヨークとして機能する。従って、ローリング補正用磁気駆動機構23の駆動力を確保しやすい。また、ケース105を非磁性の金属製とすれば、ケース105を樹脂製とする場合などと比較して、ケース105を径方向で薄くすることが容易である。これにより、ローリング補正用マグネット63とローリング駆動用コイルとの間にケース105が介在する場合でも、ローリング補正用マグネット63とローリング駆動用コイルとを径方向で接近させることができる。従って、ローリング補正用磁気駆動機構23の駆動力を確保しやすい。
【0103】
また、回転支持機構12は、光軸Lと同軸な状態で可動体10に設けられた第1環状溝45と、Z軸方向で1環状溝と対向する第2環状溝65を有するプレートロール66と、第1環状溝45および第2環状溝65に挿入されて可動体10とプレートロール66との間で転動する複数の球体84と、第1環状溝45と第2環状溝65とをZ軸方向で接近させる力を付与する与圧機構69を備える。ジンバル機構13は、プレートロール66を第1軸R1回りに回転可能に支持する。プレートロール66は、非磁性であり、与圧機構69は、プレートロール66のZ軸回りの周方向の一部分に固定された各磁性部材91~94と、可動体10の周方向の一部分に固定されて各磁性部材91~94を吸引する各マグネット56~59を備える。このような構成では、与圧機構69を構成する各磁性部材91~94と各マグネット56~59とは、いずれもZ軸回りの周方向の一部分に設けられる。従って、各磁性部材91~94が各マグネット56~59に吸引されると、Z軸回りにおいて、プレートロール66に対する可動体10の角度位置が規定される。よって、与圧機構69により、Z軸回りにおける可動体10の基準の角度位置を規定できる。
【0104】
さらに、本例において、可動体10の角度位置を検出するための回転位置センサ135は、径方向から見た場合に一方のローリング補正用コイル123の開口部の内周側に位置するホール素子136を備える。従って、ホール素子136からの出力に基づいて、可動体10の角度位置を検出することができる。
【0105】
また、本例では、振れ補正用磁気駆動機構20と、ローリング補正用磁気駆動機構23とは、Z軸回りの周方向に配列されている。振れ補正用磁気駆動機構20を構成する第1振れ補正用磁気駆動機構21の振れ補正用第1マグネット61は、Z軸方向で分極着磁されており、周方向に延びる一つの着磁分極線61aを備える。また、径方向から見た場合に、振れ補正用第1マグネット61の着磁分極線61aは、振れ補正用第1コイル121の開口部と重なる。同様に、振れ補正用磁気駆動機構20を構成する第2振れ補正用磁気駆動機構22の振れ補正用第2マグネット62は、Z軸方向で分極着磁されており、周方向に延びる一つの着磁分極線62aを備える。また、径方向から見た場合に、振れ補正用第2マグネット62の着磁分極線62aは、振れ補正用第2コイル122の開口部と重なる。かかる構成によれば、振れ補正用第1コイル121および振れ補正用第2コイル12
2の有効辺は周方向に延びる。従って、振れ補正用磁気駆動機構20による駆動力を確保するために、振れ補正用第1コイル121および振れ補正用第2コイル122を径方向で大きくする必要はない。これにより、固定体11がZ軸方向で大きくなることを抑制できる。
【0106】
(ローリング補正用磁気駆動機構の変形例)
図18は、変形例1のローリング補正用磁気駆動機構の説明図である。図19(a)は、変形例2のローリング補正用磁気駆動機構の説明図であり、図19(b)は、変形例3のローリング補正用磁気駆動機構の説明図であり、図19(c)は、変形例4のローリング補正用磁気駆動機構の説明図である。図18図19では、ローリング補正用マグネット63が固定されたホルダ、および、ローリング補正用マグネット63と2つのローリング補正用コイル123、124との間に位置するケース105の第4枠板部分114を省略して示す。
【0107】
変形例1のローリング補正用磁気駆動機構23Aでは、図18に示すように、ローリング補正用マグネット63は、周方向に3極着磁されている。回転位置センサ135は、径方向から見た場合に一方のローリング補正用コイル123の開口部の内周側に位置する回転位置センサ用第1ホール素子161と、径方向から見た場合に他方のローリング補正用コイル124の開口部の内周側に位置する回転位置センサ用第2ホール素子162を備える。この場合、回転位置センサ用第1ホール素子161のプラス出力端子と、回転位置センサ用第2ホール素子162のマイナス出力端子とが接続される。また、回転位置センサ用第1ホール素子161のマイナス出力端子と、回転位置センサ用第2ホール素子162のプラス出力端子とが接続される。これにより、回転位置センサ135は、回転位置センサ用第1ホール素子161からの第1出力と回転位置センサ用第2ホール素子162からの第2出力との差動信号を出力する。このようにすれば、回転位置センサ135は、差動信号に基づいて、可動体10の角度位置を精度よく検出することができる。
【0108】
図19(a)に示すように、変形例2のローリング補正用磁気駆動機構23Bでは、ローリング補正用マグネット63は、周方向に4極着磁されている。従って、ローリング補正用マグネット63は、Z軸方向に平行に延びる3つの着磁分極線を備える。周方向の両側に位置する2つの着磁分極線は、径方向から見た場合に2つのローリング補正用コイル123,124の開口部と重なる第1着磁分極線63aおよび第2着磁分極線63bである。周方向の中央には、第3着磁分極線63cが位置する。本例では、回転位置センサ135は、径方向から見た場合に一方のローリング補正用コイル123の開口部の内周側に位置する回転位置センサ用第1ホール素子161を備える。回転位置センサ135は、回転位置センサ用第1ホール素子161の出力に基づいて、可動体10のY軸回りの揺動角度を検出する。
【0109】
図19(b)に示すように、変形例3のローリング補正用磁気駆動機構23Cでは、ローリング補正用マグネット63は、周方向に4極着磁されている。従って、ローリング補正用マグネット63は、径方向から見た場合に2つのローリング補正用コイル123,124の開口部と重なる第1着磁分極線63aおよび第2着磁分極線63bと、周方向の中央に位置する第3着磁分極線63cとを備える。本例では、回転位置センサ135は、径方向から見た場合に一方のローリング補正用コイル123の開口部の内周側に位置する回転位置センサ用第1ホール素子161と、径方向から見た場合に他方のローリング補正用コイル124の開口部の内周側に位置する回転位置センサ用第2ホール素子162を備える。この場合、回転位置センサ用第1ホール素子161のプラス出力端子と、回転位置センサ用第2ホール素子162のプラス出力端子とが接続される。また、回転位置センサ用第1ホール素子161のマイナス出力端子と、回転位置センサ用第2ホール素子162のマイナス出力端子とが接続される。これにより、回転位置センサ135は、回転位置センサ用第1ホール素子161からの第1出力と回転位置センサ用第2ホール素子162からの第2出力との加算信号を出力する。このようにすれば、回転位置センサ135は、加算信号に基づいて、可動体10の角度位置を精度よく検出することができる。
【0110】
図19(c)に示すように、変形例4のローリング補正用磁気駆動機構23Dでは、ローリング補正用マグネット63は、周方向に4極着磁されている。従って、ローリング補正用マグネット63は、径方向から見た場合に2つのローリング補正用コイル123,124の開口部と重なる第1着磁分極線63aおよび第2着磁分極線63bと、周方向の中央に位置する第3着磁分極線63cとを備える。本例では、回転位置センサ135は、周方向で2つのローリング補正用コイル123、124の間に位置する回転位置センサ用ホール素子163を備える。回転位置センサ135は、回転位置センサ用ホール素子163の出力に基づいて、可動体10のY軸回りの揺動角度を検出する。
【0111】
(変形例)
磁性部材は、磁性部材91~94に替えて、プレートロール66に固定された第2のマグネットを備えてもよい。
【0112】
なお、与圧機構69のマグネットおよび磁性部材はZ軸回りの4か所に設けられているが、光軸Lを間に挟んだ両側の2か所に設けられていればよい。
【0113】
また、振れ補正用磁気駆動機構20は、固定体11に固定された第1マグネット56および第2マグネット57と、可動体10に固定された振れ補正用第1コイル121および振れ補正用第2コイル122を備えるものとしてもよい。同様に、ローリング補正用磁気駆動機構23は、可動体10に固定されたローリング補正用マグネット63と、固定体11に固定された2つのローリング補正用コイル123、124を備えるものとしてもよい。
【0114】
また、第1環状溝45は、ホルダ25のホルダ端板部33に形成することもできる。また、第2環状溝65は、プレートロール本体73の環状板部75に形成してもよい。
【符号の説明】
【0115】
1…振れ補正機能付き光学ユニット、2…カメラモジュール、2a…レンズ、3…光学ユニット本体部、4…カバー、5…ベース、7…カバー枠部、8…被写体側端板部、9…フレキシブルプリント基板、10…可動体、11…固定体、12…回転支持機構、13…ジンバル機構、15…ジンバルフレーム、15a…ジンバルフレームの開口部、16…第1接続機構、17…第2接続機構、20…振れ補正用磁気駆動機構、21…第1振れ補正用磁気駆動機構、22…第2振れ補正用磁気駆動機構、23・23A~23D…ローリング補正用磁気駆動機構、25…ホルダ、26…第1レール部材、27…ストッパ部材、30…カメラモジュール本体部、31…カメラモジュール円筒部、32…ホルダ枠部、33…ホルダ端板部、33a…円形開口部、33b…貫通孔、34…ホルダフランジ部、35~42…第1側壁~第8側壁、45…第1環状溝、47…板部、47a…ローリング補正用コイルの開口部、49…第1屈曲部、49a…一方側ストッパ部、49b…他方側ストッパ部、50…第2屈曲部、51…第3屈曲部、53…溶接痕、56~59…第1マグネット~第4マグネット、61…振れ補正用第1マグネット、61a…着磁分極線、62…振れ補正用第2マグネット、62a…着磁分極線、63…ローリング補正用マグネット、63a…一方のローリング補正用マグネットの第1着磁分極線、63b…他方のローリング補正用マグネットの第2着磁分極線、65…第2環状溝、66…プレートロール、67…球体、68…リテーナ、68a…球体保持穴、69…与圧機構、70…プレートロール環状部、71…プレートロール延設部、73…プレートロール本体、74…第2レール部材、75…環状板部、76…プレートロール突出部、77…プレートロール延設部第1部分、78…プレートロール延設部第2部分、79…プレートロール延設部第3部分、80…段部、83…ジンバルフレーム受け部材、84…球体、85…スラスト受け部材、87…球体固定部、88…板部、89…腕部、90…足部、90a…足部突出板部、90b…足部屈曲板部、91~94…第1磁性部材~第4磁性部材、95…幅広部分、96…矩形部分、97…台形部分、98…第2のストッパ部材、99…ストッパ部、100…第1接続部、100…第1接続部、101…第2接続部、102…第3接続部、105…ケース、106…枠板部、106a…切欠き部、107…固定体側フランジ部、111~118…第1枠板部分~第8枠板部分、121…振れ補正用第1コイル、122…振れ補正用第2コイル、123…一方のローリング補正用コイル、124…他方のローリング補正用コイル、130…揺動位置センサ、131…第1ホール素子、132…第2ホール素子、135…回転位置センサ、136…ホール素子、137…第1磁性板、138…第2磁性板、140…本体部、140a…中央板部、140b…第1傾斜板部、140c…第2傾斜板部、141…第1軸側延設部、142…第2軸側延設部、145…第1軸側延設部第1部分、146…第1軸側延設部第2部分、147…第1軸側延設部第3部分、148…第1軸側凹曲面、151…第2軸側延設部第1部分、152…第2軸側延設部第2部分、152a…第1部分、152b…屈曲部、152c…第2部分、153…第2軸側延設部第3部分、154…第2軸側凹曲面、161~163…回転位置センサ用ホール素子、L…光軸、P…光軸、第1軸、および第2軸の交差点、R1…第1軸、R2…第2軸
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