(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-05
(45)【発行日】2024-02-14
(54)【発明の名称】ワイヤ巻取器
(51)【国際特許分類】
B65H 75/34 20060101AFI20240206BHJP
B65H 75/02 20060101ALI20240206BHJP
B65H 54/80 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
B65H75/34
B65H75/02
B65H54/80 Z
(21)【出願番号】P 2020036914
(22)【出願日】2020-03-04
【審査請求日】2022-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】591080678
【氏名又は名称】株式会社中電工
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河本 恭志
(72)【発明者】
【氏名】有田 昭夫
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】特公昭44-030769(JP,B1)
【文献】実開平03-001174(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 75/34
B65H 75/02
B65H 54/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤ牽引手段から排出されたワイヤを収容するワイヤ巻取器において、
上部に開口部を有し、該開口部から内部にワイヤを収容可能な収容体と、
前記収容体の底部から上方へ延びる回転軸と、
前記収容体を回転可能に支持する枠体と、
前記収容体の外部から前記開口部を挿通して内部へ延び、前記回転軸に対して角度可変に前記枠体へ取り付けられる伸縮可能な導入管と、を備え
、
前記導入管は、前記枠体へ取り付けられる直線状の直線部と、該直線部の一端から前記収容体の内部へ向かって延びる第1湾曲部と、該直線部の他端から前記収容体の外部へ向かって延びる第2湾曲部と、を有し、
前記第1湾曲部及び前記第2湾曲部は前記直線部を軸として回動可能であり、湾曲した形状であることを特徴とするワイヤ巻取器。
【請求項2】
請求項
1に記載のワイヤ巻取器において、
前記枠体は、前記収容体の径方向に延び前記開口部の上方に架設されるレール部材と、該レール部材に沿って位置調節可能に固定される取付部材と、を有し、
前記導入管は、前記取付部材に固定されていることを特徴とするワイヤ巻取器。
【請求項3】
請求項
2に記載のワイヤ巻取器において、
前記取付部材は、上方に延びる高さ調節片を有し、
前記導入管は、前記高さ調節片に沿って高さ調節可能に、該高さ調節片に固定されていることを特徴とするワイヤ巻取器。
【請求項4】
請求項
3に記載のワイヤ巻取器において、
前記導入管は、前記高さ調節片へ固定される固定部を有し、該固定部を支点として回動可能に構成されていることにより前記回転軸に対して角度可変であることを特徴とするワイヤ巻取器。
【請求項5】
請求項
4に記載のワイヤ巻取器において、
前記導入管は、前記直線部の長さ方向に沿って前記固定部を有し、該固定部において位置調節可能に前記取付部材に固定されていることを特徴とするワイヤ巻取器。
【請求項6】
請求項
1から
5のいずれか1項に記載のワイヤ巻取器において、
前記導入管は、前記収容体に収容するワイヤの直径よりも幅の広いスリットが全長に亘って設けられていることを特徴とするワイヤ巻取器。
【請求項7】
請求項
1から
6のいずれか1項に記載のワイヤ巻取器において、
前記第2湾曲部は、前記導入管から離れるにつれて広がるテーパー部を有することを特徴とするワイヤ巻取器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤ巻取器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、送電線工事において、送電鉄塔間に張られた電線は設計で定められた範囲の弛みとなるよう長さ調節の作業(緊線)が行われる。この作業では、緊線ワイヤと呼ばれる金属製のワイヤが使用されるとともに、ワイヤの牽引や繰り出しをおこなうために、緊線ウィンチ等のワイヤ牽引手段が使用されている。牽引されたワイヤは、ワイヤ牽引手段から排出されて地面に乱雑に広がった状態となる。
【0003】
この状態で作業を続けると、作業員がワイヤに足を取られて転倒するおそれがあるため、地面に乱雑に広がったワイヤの汚れをふき取って束ねる作業が必要であり、手間がかかっていた。そのため、ワイヤ牽引手段によって牽引されたワイヤを容易に収容するためのワイヤ巻取器が求められている。
【0004】
特許文献1には、ワイヤを収容する容器と、その容器の上方に揺動可能に垂下された揺動管路と、揺動管路へワイヤを案内する案内管路を備えたワイヤー収納装置が開示されている。このワイヤー収納装置は、ウィンチ装置から排出されたワイヤが、案内管路から揺動管路を通り、揺動管路の下端部から排出される。ワイヤが容器の内面に押し付けられると、ワイヤの曲がりの癖や変形などによって生じた力が揺動管路を揺動させる。そして、揺動管路の揺動によって、ワイヤは移動方向が規制され、容器内に収容される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されるワイヤー収納装置は、揺動管路の揺動を利用してワイヤを容器内へ納めるものであり、揺動管路を揺動させるには、容器から比較的離れた位置に揺動の支点を設ける必要がある。そのため装置は大型となり、持ち運びが容易でない。またこのような装置を、舗装されていない地面や傾斜面等の作業現場において使用した場合、揺動管路の揺動に偏りが発生してしまい、ワイヤをうまく収容できないおそれがある。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、コンパクトで持ち運びが容易であり、作業現場の状況に合わせて使用可能なワイヤ巻取器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、第1の発明は、ワイヤ牽引手段から排出されたワイヤを収容するワイヤ巻取器において、上部に開口部を有し、該開口部から内部にワイヤを収容可能な収容体と、前記収容体の底部から上方へ延びる回転軸と、前記収容体を回転可能に支持する枠体と、前記収容体の外部から前記開口部を挿通して内部へ延び、前記回転軸に対して角度可変に前記枠体へ取り付けられる伸縮可能な導入管と、を備えることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、ワイヤが導入管によって開口部から収容体の内部に案内され、収容体の内壁に当接すると、ワイヤ牽引手段からワイヤが押し出される力によって収容体が回転し、ワイヤは収容体の外周側から内周側へ向かって巻き取られ、容易に収容体の内部に収容することができる。ワイヤがワイヤ牽引手段から押し出される力を利用するため、ワイヤ巻取器自体に動力を備える必要がなく、ワイヤ巻取器は持ち運びが容易なほどコンパクトな構成とすることができる。
【0010】
また、導入管は収容体の回転軸に対して角度可変、かつ、伸縮可能であるため、ワイヤ牽引手段の排出口へ導入管を接続させる際、例えば、ワイヤ牽引手段やワイヤ巻取器を置く作業現場が傾斜していても、導入管の角度や長さを調節することによって容易に接続可能である。また、例えば、ワイヤ牽引手段とワイヤを配置する位置が制限されるような場所であっても、調節によって接続が容易となり、作業現場の状況に合わせてワイヤを容易に巻き取ることが可能となる。さらに、導入管の角度や長さを調節することにより、ある程度ワイヤを収容した状態で収容体が回転し難くなった場合も、回転しやすくなるよう容易に調節できる。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、前記導入管は、前記枠体へ取り付けられる直線状の直線部と、該直線部の一端から前記収容体の内部へ向かって延びる第1湾曲部と、該直線部の他端から前記収容体の外部へ向かって延びる第2湾曲部と、を有し、前記第1湾曲部及び前記第2湾曲部は前記直線部を軸として回動可能であり、湾曲した形状であることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、第1湾曲部を回動させることによって、作業現場の状況に合わせてワイヤを収容体内部へ案内する角度を変更できるため、ワイヤの巻取りを円滑化するためにより容易に調節可能であり、ある程度ワイヤを収容した状態で収容体が回転し難くなった場合も、収容体を回転しやすくするためにより容易に調節できる。また、第2湾曲部を回動させることによって、ワイヤ牽引手段との接続位置を調節することができる。
【0013】
第3の発明は、第2の発明において、前記枠体は、前記収容体の径方向に延び前記開口部の上方に架設されるレール部材と、該レール部材に沿って位置調節可能に固定される取付部材と、を有し、前記導入管は、前記取付部材に固定されていることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、レール部材に沿って導入管の位置を収容体の径方向に移動させることによって、ワイヤの案内位置が調節可能となる。ある程度ワイヤを収容した状態で収容体が回転し難くなった場合も、収容体が回転しやすくなるようより容易に調節できる。また、導入管とワイヤ牽引手段との接続の位置調節もより容易となる。
【0015】
第4の発明は、第3の発明において、前記取付部材は、上方に延びる高さ調節片を有し、前記導入管は、前記高さ調節片に沿って高さ調節可能に、該高さ調節片に固定されていることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、導入管を枠体に固定する高さを容易に調節できるので、ワイヤの案内位置を高さ方向に調節可能となる。作業現場の状況に合わせてワイヤの巻取りをより円滑にすることが可能であり、ある程度ワイヤを収容した状態で収容体が回転し難くなった場合も、収容体が回転しやすくなるようにより容易に調節できる。また、導入管とワイヤ牽引手段との接続の位置調節もより容易となる。
【0017】
第5の発明は、第4の発明において、前記導入管は、前記高さ調節片へ固定される固定部を有し、該固定部を支点として回動可能に構成されていることにより前記回転軸に対して角度可変であることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、固定部において導入管の高さ方向の位置及び角度の両方を調節できるため、ワイヤの案内位置の調節作業を効率化することが可能となる。
【0019】
第6の発明は、第5の発明において、前記導入管は、前記直線部の長さ方向に沿って前記固定部を有し、該固定部において位置調節可能に前記取付部材に固定されていることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、導入管の位置を直線部に沿ってさらに調節することが可能となるため、作業現場の状況に合わせてワイヤの巻取りをより円滑にすることが可能であり、ある程度ワイヤを収容した状態で収容体が回転し難くなった場合も、収容体が回転しやすくなるようにより容易に調節できる。また、導入管とワイヤ牽引手段との接続の位置合わせもより容易となる。
【0021】
第7の発明は、第2から第6のいずれか1つの発明において、前記導入管は、前記収容体に収容するワイヤの直径よりも幅の広いスリットが全長に亘って設けられていることを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、スリットから導入管へワイヤを容易に挿入することが可能となるため、スリットのない導入管へワイヤを挿通させる場合と比べて作業効率を向上させることができる。
【0023】
第8の発明は、第2から第7のいずれか1つの発明において、前記第2湾曲部は、前記導入管から離れるにつれて広がるテーパー部を有することを特徴とする。
【0024】
この構成によれば、導入管にテーパー部を設けたことにより、ワイヤ牽引手段のワイヤの排出口と容易に接続可能となる。また、排出口がワイヤ牽引手段によって異なる場合も適用させることが可能であり、汎用性が高い。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、コンパクトで持ち運びが容易であり、作業現場の状況に合わせて使用可能なワイヤ巻取器を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の実施形態に係るワイヤ巻取器の斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るワイヤ巻取器の使用状態を示す概略図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るワイヤ巻取器の平面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るワイヤ巻取器の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0028】
図1は、本発明の実施形態に係るワイヤ巻取器の斜視図であり、
図2は、本発明の実施形態に係るワイヤ巻取器の使用状態を示す概略図である。ワイヤ巻取器1は、
図1及び
図2に示すように、ワイヤ牽引手段100の排出口101から排出されたワイヤを、ワイヤ牽引手段100がワイヤを送り出す力を利用して巻き取りながら収容するものであり、ワイヤ牽引手段100は例えば緊線ウィンチであり、ワイヤは例えば緊線ワイヤである。ワイヤの太さは限定されないが、例えば、直径10mmのものが緊線ワイヤとして一般的に用いられる。
【0029】
ワイヤ巻取器1は、上部に開口部21を有し、開口部21から内部にワイヤを収容可能な収容体2と、収容体2を回転可能に支持する枠体3と、収容体2の外部から開口部21を挿通して内部へ延び、収容体2の回転軸22に対して角度可変に枠体3へ取り付けられる導入管4と、を備える。
【0030】
収容体2は、ステンレス等の金属製であり、軽量化のためにワイヤメッシュ等で形成されていてもよい。
図3は本発明の実施形態に係るワイヤ巻取器の平面図であり、
図4は
図3のIV-IV線断面図である。
図3及び
図4にも示すように、収容体2は、平面視円形状の底部2aの周縁部から上方に延びる側壁2bが円筒状に形成されており、側壁2bの上端から内周側に延出部2cが延びている。延出部2cの内周側が平面視円形状の開口部21となっている。
【0031】
また、収容体2の底部2aには、略中央に円形状の開口が形成されており、その開口の内周側に底部2aから上方に延びる回転軸22が形成されている。回転軸22は開口部21の略中央に位置し、底部2aから延出部2cと略同じ高さまで略鉛直方向に延びている。収容体2は回転軸22を中心に回転可能である。
【0032】
回転軸22は下方に開口する円筒状であり、その開口の内側において回転軸22の下部に支持軸30が連結されている。支持軸30が、底部2aの開口に挿通され、ベアリング23を介して回転軸22の内周側に連結されることによって、枠体3は収容体2を回転可能に支持している。なお、収容体2は、ワイヤが収容体2から巻き出される際には、ワイヤが牽引される力によって巻き取る際の回転方向とは逆方向に回転する。
【0033】
回転軸22を支持する支持軸30は、枠体3に固定されている。枠体3は、支持軸30が固定されている台座31と、台座31から上方に延びる1対の支柱32,32と、その1対の支柱32,32に架設されるレール部材33と、レール部材33に固定される取付部材34とを有する。
【0034】
台座31は、例えば、中空の角材によって組み立てられ、平面視すると収容体2の外周よりもやや大きく形成されることにより安定性を確保し、収容体2を地面に設置可能とする。枠体3は、台座31の中央部に設けられた支持軸30において収容体2と連結され、それ以外の部分では収容体2と接触していない。
【0035】
支柱32,32は、台座31の縁部の対向する2箇所から収容体2の延出部2cよりも上方に延びている。
【0036】
レール部材33は、収容体2の径方向に延び開口部21の上方に架設されるように支柱32,32と連結されている。レール部材33には、レール部材33に沿って位置調節可能に取付部材34が固定されている。
【0037】
取付部材34は、工具等を用いず手作業でネジ34aを緩めることが可能であり、容易にレール部材33における位置を調節可能に構成され、手作業でネジ34aを締めることによって任意の位置で容易にレール部材33へ固定することができる。取付部材34は、開口部21の上方において端部から上方に延びる板状の高さ調節片35を有し、側面視するとL字形状をなしている。
【0038】
図5は、本発明の実施形態に係るワイヤ巻取器の正面図である。
図5に示すように、高さ調節片35は上方に延び、その長さ方向に沿って開口する第1調節スリット35aを有する。導入管4は、この第1調節スリット35aに沿って高さ調節可能に高さ調節片35にネジ止めされて、取付部材34に固定されている。なお、
図5において、二点鎖線で示す導入管4は、実線で示す導入管4の回転軸22に対する角度及び高さを変化させたものである。
【0039】
導入管4は、ワイヤ牽引手段100の排出口101から排出されたワイヤを収容体2へ案内する。
図3に示すように、導入管4は、収容体2へ収容するワイヤを挿通可能な管状の部材であり、直線部40、第1湾曲部41及び第2湾曲部42の少なくとも3つの部材から構成され、ワイヤの直径よりも幅の広いスリット40a,41a,42aが全長に亘って開口するように形成され、ワイヤを導入管4内に容易に挿入可能としてある。なお、スリット40a,41a,42aの幅は限定されないが、例えば直径10mmのワイヤに対して、15mmから20mmが好ましい。
【0040】
直線部40は、直線状に延びる円管から形成され、長さ方向の全長に亘ってスリット40aが設けられている。直線部40は、その長さ方向に沿って延びる板状の固定片43を有し、固定片43において枠体3へ取り付けられる。
【0041】
固定片43には、長さ方向に沿って開口する第2調節スリット43aが形成されている。この固定片43の第2調節スリット43a及び高さ調節片35の第1調節スリット35aを重ね合わせた位置にネジ44が挿入され、第1調節スリット35a及び第2調節スリット43aにおけるネジの位置によって、高さ方向及び直線部40の長さ方向に導入管4が位置決めされる。さらに、直線部40はネジ44を支点に角度可変である。
【0042】
ネジ44が固定される位置が、導入管4が高さ調節片35へ固定される固定部44となる。そのため、導入管4は直線部40の長さ方向に沿って固定部44を有する。導入管4は、固定部44において位置調節可能に、高さ調節片35を介して取付部材34に固定されている。さらに導入管4は、固定部44を支点として回動可能に構成されていることにより回転軸22に対して角度可変である。調節可能な角度の範囲は限定されないが、回転軸22に対して、0度から90度であり、より好ましくは30度から60度である。
【0043】
第1湾曲部41は、直線部40の一端から収容体2の内部へ向かって延びている。第1湾曲部41は、湾曲した形状の円管から形成され、全長に亘ってスリット41aが設けられている。また、第1湾曲部41は、直線部40の内径よりも小さい外径を有するため直線部40の内周に挿入され、直線部40の長さ方向に進退させることにより導入管4を伸縮可能である。また、第1湾曲部41は直線部40を軸として回動可能であり、ワイヤが排出される端部の角度を決定した上でネジ止めされる。
【0044】
第2湾曲部42は、直線部40の他端から前記収容体の外部へ向かって延びている。第2湾曲部42は、湾曲した形状の円管から形成され、全長に亘ってスリット42aが設けられている。また、第2湾曲部42は、直線部40の内径よりも小さい外径を有するため、直線部40の内周に挿入され、直線部40の長さ方向に進退させることにより導入管4を伸縮可能である。また、第2湾曲部42は直線部40を軸として回動可能であり、ワイヤ牽引手段100の排出口101と接続される端部の角度を決定した上でネジ止めされる。
【0045】
また、第2湾曲部42は、ワイヤ牽引手段100の排出口101と接続される端部に導入管から離れるにつれて広がるテーパー部45を有する。テーパー部45をワイヤ牽引手段100の排出口101に被せてネジを締め込むことにより、導入管4は排出口101に接続される。
【0046】
以上説明したように、この実施形態に係るワイヤ巻取器1によれば、ワイヤが導入管4によって開口部21から収容体2の内部に案内され、ワイヤが側壁2bに当接すると、ワイヤがワイヤ牽引手段100によって押し出される力が回転軸22を回転させるトルクとなり、収容体2が回転する。収容体2の回転によって、ワイヤは収容体2内部の外周側から内周側へ向かって集積しながら巻き取られ、容易に収容体2の内部に収容することができる。ワイヤがワイヤ牽引手段100から押し出される力を利用するため、ワイヤ巻取器1自体に動力を備える必要がなく、ワイヤ巻取器1は持ち運びが容易なほどコンパクトな構成とすることができる。
【0047】
また、導入管4は、レール部材33によって収容体2の径方向に位置調節可能であり、第1調節スリット35a及び第2調節スリット43aにおけるネジ止めによって収容体2の回転軸22に対して角度可変であり、高さ方向や長さ方向の位置を調節可能であり、直線部40に対して第1湾曲部41及び第2湾曲部42をそれぞれ進退可能に構成して伸縮させ、さらに、第1湾曲部41及び第2湾曲部42を、直線部40を軸に回動させることが可能となる。これによってワイヤ牽引手段100の排出口101へ導入管4の第2湾曲部42を接続させる際、導入管4の角度、長さ及び位置を調節することによって容易に接続可能であり、導入管4の長さや第1湾曲部41の角度を調節することにより、ある程度ワイヤを収容した状態で収容体2が回転し難くなった場合も、回転しやすくなるようワイヤを案内する位置を細かく調節できる。
【0048】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【0049】
例えば、本実施形態においては、高さ調節片35には長さ方向に亘って開口する第1調節スリット35aが設けられているが、高さ調節片35に沿って導入管4の高さを調節可能であれば、スリットには限定されない。同様に、固定片43には、長さ方向に沿って開口する第2調節スリット43aが設けられているが、直線部40の長さ方向に沿って導入管4の固定部44を有し、固定部44を支点として導入管4を回動可能であれば、スリットには限定されない。
【0050】
また、本実施形態においては、第1湾曲部41及び第2湾曲部42は直線部40よりも小さい直径を有し、直線部40の内周に挿入させて進退可能に構成されているが、第1湾曲部41及び第2湾曲部42を直線部40の外径よりも大きい内径を有するものとして、直線部40を第1湾曲部41及び第2湾曲部42の内周に挿入させて進退可能としてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 ワイヤ巻取器
2 収容体
3 枠体
4 導入管
21 開口部
22 回転軸
33 レール部材
34 取付部材
35 高さ調節片
40 直線部
41 第1湾曲部
42 第2湾曲部
43 固定片
44 固定部(ネジ)
45 テーパー部
100 巻き上げ手段(緊線ウィンチ)
101 排出口