(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-05
(45)【発行日】2024-02-14
(54)【発明の名称】データ収集プログラム、及び評価プログラム
(51)【国際特許分類】
G01N 21/88 20060101AFI20240206BHJP
【FI】
G01N21/88 Z
G01N21/88 J
(21)【出願番号】P 2020038616
(22)【出願日】2020-03-06
【審査請求日】2022-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000231198
【氏名又は名称】日本国土開発株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【氏名又は名称】片山 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100136261
【氏名又は名称】大竹 俊成
(72)【発明者】
【氏名】佐原 晴也
(72)【発明者】
【氏名】佐野 健彦
【審査官】三宅 克馬
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-017103(JP,A)
【文献】特開2016-065809(JP,A)
【文献】国際公開第2017/110278(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/01
G01N 21/17 - G01N 21/61
G01N 21/84 - G01N 21/958
G01J 3/00 - G01J 4/04
G01J 7/00 - G01J 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械学習の教師データを収集するデータ収集プログラムであって、
認証された専門家
が利用する端末に入力されたコンクリート構造物の表面の所定範囲における外観症状の評価
と、前記入力の際の前記端末の位置情報と、を受け付け、
前記
評価を受け付けた後に
前記端末を用いて撮像された画像
と、前記撮像の際の前記端末の位置情報と、を取得し、
前記入力の際の前記端末の位置情報と前記撮像の際の前記端末の位置情報とが所定範囲内である場合に、前記評価と前記画像とを対応付けて教師データとする、
処理をコンピュータに実行させるためのデータ収集プログラム。
【請求項2】
前記端末に前記評価の入力を受け付ける第1画面を表示して、前記入力を受け付ける処理を実行し、
前記第1画面に前記評価が入力された後に、前記画像を撮像するための第2画面を
前記端末に表示して、前記画像を取得する処理を実行する、
請求項1に記載のデータ収集プログラム。
【請求項3】
前記評価には、前記コンクリート構造物の表面における外観症状のうちの、表面気泡、砂すじ、打重ね線、型枠継ぎ目のノロ漏れ、沈みひび割れの少なくとも1つの評価が含まれる、請求項1又は2に記載のデータ収集プログラム。
【請求項4】
前記専門家がコンクリート診断士である請求項1~3のいずれか一項に記載のデータ収集プログラム。
【請求項5】
機械学習の教師データを収集するデータ収集プログラムであって、
コンクリート構造物の表面の所定範囲における外観症状に関する複数項目の評価と、前記所定範囲の画像と、を対応付けた教師データを、前記評価の複数項目ごとに教師データ数
を異ならせて取得し、取得した前記教師データを前記機械学習に用いる教師データとする、
処理をコンピュータに実行させ
、
前記教師データには、撮像条件を異ならせて撮像された同一箇所の画像が含まれる、
データ収集プログラム。
【請求項6】
前記複数項目の評価には、前記コンクリート構造物の表面における外観症状のうちの、表面気泡、砂すじ、打重ね線、型枠継ぎ目のノロ漏れが含まれ、
前記砂すじと、前記打重ね線との少なくとも一方に関する教師データ数は、前記表面気泡と前記型枠継ぎ目のノロ漏れとの少なくとも一方に関する教師データ数よりも多い、ことを特徴とする請求項5に記載のデータ収集プログラム。
【請求項7】
前記複数項目の評価には、前記コンクリート構造物の表面における外観症状のうちの、表面気泡、型枠継ぎ目のノロ漏れ、沈みひび割れが含まれ、
前記沈みひび割れに関する教師データ数は、前記表面気泡と前記型枠継ぎ目のノロ漏れとの少なくとも一方に関する教師データ数よりも少ない、ことを特徴とする請求項5又は6に記載のデータ収集プログラム。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のデータ収集プログラムを用いて収集された教師データを機械学習して、コンクリート構造物の表面の評価モデルを生成し、
生成した前記評価モデルと、評価対象のコンクリート構造物の表面を撮像した画像と、に基づいて、前記評価対象のコンクリート構造物の表面に関する評価結果を出力する、
処理をコンピュータに実行させるための評価プログラム。
【請求項9】
前記評価モデルを生成する処理では、異なるタイミングで収集された同一の範囲についての教師データを用いて、前記評価モデルを生成し、
前記出力する処理では、生成した前記評価モデルと、評価対象のコンクリート構造物の表面を撮像した画像と、に基づいて、前記評価対象のコンクリート構造物の将来の変化を推定し、出力する、ことを特徴とする請求項8に記載の評価プログラム。
【請求項10】
前記評価モデルを生成する処理では、異なるタイミングで収集された同一の範囲についての教師データと、入力された維持管理に関する見解と、を用いて、前記評価モデルを生成し、
前記出力する処理では、生成した前記評価モデルと、異なるタイミングで撮像された評価対象のコンクリート構造物の表面の画像と、に基づいて、前記評価対象のコンクリート構造物の維持管理に関する見解を推定して、出力する、ことを特徴とする請求項9に記載の評価プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ収集プログラム、及び評価プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート構造物は、一般に、外部からの様々な劣化因子の侵入によって経年劣化(コンクリートの材料劣化)を生じる。このため、構築されたコンクリート構造物の表面付近の緻密性や劣化因子侵入に対する抵抗性などの品質(以下、表層品質)をいかに良くするかは、構造物全体の耐久性を確保・向上するうえで極めて重要になる。
【0003】
このように重要な役割を担うコンクリート構造物の表層品質の評価手法として、型枠に打ち込んだコンクリートから型枠を取り外した後のコンクリートの表面(以下、脱型表面)を目視で観察し、その出来栄えを4段階の数値で分類して評価する技術が知られている(例えば非特許文献1参照)。
【0004】
また、機械学習により、コンクリート構造物の脱型表面の評価を行う技術も知られている(例えば、特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】コンクリート構造物の品質確保の手引き(案) (橋脚、橋台、函渠、擁壁編) 平成27年12月 国土交通省 東北地方整備局
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1の技術は、脱型後のコンクリート構造物の画像と、熟練した技術者による画像に関する評価と、を関連付けて予め機械学習させた基準情報と、撮像された画像データとを用いて、コンクリート構造物の施工品質を評価するものである。
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、熟練した技術者は、撮像した画像を目視して評価を行っているため、画像が不鮮明であったり、画像内に陰影があったりすると、その影響で、評価が不適切なものとなるおそれがある。その結果、コンクリート構造物の施工品質の評価精度が低下するおそれがある。
【0009】
1つの側面では、本発明は、コンクリート構造物の評価を精度よく行うための教師データを収集することが可能なデータ収集プログラム、及びコンクリート構造物を精度よく評価することが可能な評価プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一つの態様では、データ収集プログラムは、機械学習の教師データを収集するデータ収集プログラムであって、認証された専門家が利用する端末に入力された前記コンクリート構造物の表面の所定範囲における外観症状の評価と、前記入力の際の前記端末の位置情報と、を受け付け、前記評価を受け付けた後に前記端末を用いて撮像された画像と、前記撮像の際の前記端末の位置情報と、を取得し、前記入力の際の前記端末の位置情報と前記撮像の際の前記端末の位置情報とが所定範囲内である場合に、前記評価と前記画像とを対応付けて教師データとする、処理をコンピュータに実行させるプログラムである。
【0011】
また、別の態様では、データ収集プログラムは、機械学習の教師データを収集するデータ収集プログラムであって、コンクリート構造物の表面の所定範囲における外観症状に関する複数項目の評価と、前記所定範囲の画像と、を対応付けた教師データを、前記評価の複数項目ごとに教師データ数を異ならせて取得し、取得した前記教師データを前記機械学習に用いる教師データとする、処理をコンピュータに実行させ、前記教師データには、撮像条件を異ならせて撮像された同一箇所の画像が含まれる。
【0012】
また、評価プログラムは、本願のデータ収集プログラムを用いて収集された教師データを機械学習して、コンクリート構造物の表面の評価モデルを生成し、生成した前記評価モデルと、評価対象のコンクリート構造物の表面を撮像した画像と、に基づいて、前記評価対象のコンクリート構造物の表面に関する評価結果を出力する、処理をコンピュータに実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本明細書記載のデータ収集プログラムによれば、コンクリート構造物の評価を精度よく行うための教師データを収集することができる。また、本明細書記載の評価プログラムによれば、コンクリート構造物を精度よく評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】一実施形態に係る評価システムを示す概略図である。
【
図2】
図2(a)は、サーバのハードウェア構成を示す図であり、
図2(b)は、ユーザ端末のハードウェア構成を示す図である。
【
図3】ユーザ端末及びサーバの機能ブロック図である。
【
図4】ユーザ端末による教師データの収集処理を示すフローチャートである。
【
図5】コンクリート構造物を範囲に区分けした状態を示す図である。
【
図6】
図6(a)~
図6(e)は、評価項目の種類について説明するための図である。
【
図7】
図7(a)は、ユーザ認証画面を示す図であり、
図7(b)は、エラー画面を示す図である。
【
図8】
図8(a)は、評価入力画面を示す図であり、
図8(b)は、評価入力画面の変形例を示す図である。
【
図9】5つの評価項目についての、評価点と脱型表面の状態との関係を示す表である。
【
図11】サーバによる評価モデルの生成処理を示すフローチャートである。
【
図12】教師データDBのデータ構造の一例を示す図である。
【
図13】評価モデルを用いた評価処理を示すフローチャートである。
【
図14】
図14(a)は、評価用画像撮像画面を示す図であり、
図14(b)は、評価結果表示画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、一実施形態について、
図1~
図14に基づいて詳細に説明する。
【0016】
図1は、一実施形態に係る評価システム100の構成が概略的に示されている。
図1の評価システム100は、コンクリート構造物の表層品質を評価するためのシステムである。評価システム100は、
図1に示すように、サーバ10と、ユーザ端末70と、を備える。サーバ10とユーザ端末70は、インターネットなどのネットワーク80に接続されている。
【0017】
サーバ10は、ユーザ端末70で収集されるコンクリート構造物に関する教師データを取得し、機械学習を用いて評価モデルを生成する。また、サーバ10は、生成した評価モデルを用いて、ユーザ端末70で撮像されたコンクリート構造物の表面の画像(評価用画像)を解析し、表層品質を評価する。
【0018】
図2(a)には、サーバ10のハードウェア構成が示されている。サーバ10は、
図2(a)に示すように、CPU(Central Processing Unit)90、ROM(Read Only Memory)92、RAM(Random Access Memory)94、記憶部(ここではHDD(Hard Disk Drive))96、ネットワークインタフェース97、及び可搬型記憶媒体用ドライブ99等を備えている。これらサーバ10の構成各部は、バス98に接続されている。サーバ10では、ROM92あるいはHDD96に格納されているプログラム(評価プログラムを含む)、或いは可搬型記憶媒体用ドライブ99が可搬型記憶媒体91から読み取ったプログラム(評価プログラムを含む)をCPU90が実行することにより、
図3に示す、各部の機能が実現される。なお、
図3の各部の機能は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。
【0019】
ユーザ端末70は、コンクリート診断士などのコンクリート技術に精通した技術者(以下、専門家と呼ぶ)などが利用するスマートフォンやタブレット端末などの端末である。ユーザ端末70は、専門家によるコンクリート構造物の評価の入力を受け付けるとともに、専門家の操作に応じて、評価に対応する箇所の画像を撮像する。また、ユーザ端末70は、評価と画像とを対応付けて教師データを生成し、サーバ10に送信する。更に、ユーザ端末70は、専門家及び専門家以外のユーザの操作に応じて、コンクリート構造物の画像(評価用画像)を撮像し、撮像した評価用画像をサーバ10に送信する。そして、サーバ10から送信されてくるコンクリート構造物の表層品質の評価結果を受信し、表示する。
【0020】
図2(b)には、ユーザ端末70のハードウェア構成が概略的に示されている。
図2(b)に示すように、ユーザ端末70は、CPU190、ROM192、RAM194、記憶部(HDD)196、ネットワークインタフェース197、表示部193、入力部195、カメラ187、及び可搬型記憶媒体用ドライブ199等を備えている。表示部193は、液晶ディスプレイ等を含み、入力部195は、タッチパネル等を含む。これらユーザ端末70の構成各部は、バス198に接続されている。ユーザ端末70では、ROM192あるいはHDD196に格納されているプログラム(データ収集プログラムを含む)、或いは可搬型記憶媒体用ドライブ199が可搬型記憶媒体191から読み取ったプログラム(データ収集プログラムを含む)をCPU190が実行することにより、
図3に示す、各部の機能が実現される。
【0021】
図3には、ユーザ端末70と、サーバ10の機能ブロック図が示されている。以下、
図3に基づいて、ユーザ端末70とサーバ10が有する機能について説明する。
【0022】
(ユーザ端末70の機能について)
ユーザ端末70は、CPU190がプログラムを実行することにより、認証部50、評価取得部52、画像取得部54、教師データ生成部56、評価用画像取得部58、評価用画像送信部60、評価取得部62として機能する。
【0023】
認証部50は、ユーザ端末70を操作するユーザがコンクリート構造物に関する専門家であるか否かを認証する。この認証の際には、認証部50は、専門家DB40を参照する。専門家DB40には、専門家のユーザ名とパスワードの組み合わせが格納されている。認証部50は、ユーザが入力したユーザ名とパスワードが、専門家DB40に格納されているユーザ名とパスワードの組み合わせの1つと一致するかを確認し、一致する場合に、認証OKと判断する。認証部50は、認証OKと判断した場合に、評価取得部52にその旨を通知する。なお、認証部50は、カメラ187によりユーザの顔を撮像し、専門家DB40に格納されている顔画像データとの比較により、上記の認証を行うようにしてもよい。また、認証部50は、指紋や虹彩などを用いた生体認証により、上記の認証を行うようにしてもよい。
【0024】
評価取得部52は、ユーザが専門家である場合に、ユーザによるコンクリート構造物の評価結果の入力を受け付けるための第1画面としての評価入力画面(
図8(a)参照)を表示部193上に表示する。そして、ユーザが、評価入力画面にコンクリート構造物の所定範囲に関する評価を入力すると、入力された評価を取得し、教師データ生成部56に送信する。
【0025】
画像取得部54は、評価取得部52が評価を取得した後に、コンクリート構造物の画像を撮像するための第2画面としての画像入力画面(
図10参照)を表示部193上に表示する。ユーザが、画像入力画面を用いてコンクリート構造物の所定範囲を撮像すると、画像取得部54は、撮像された画像を取得し、教師データ生成部56に送信する。
【0026】
教師データ生成部56は、ユーザが入力した所定範囲に関する評価と、所定範囲を撮像した画像と、を対応付けて、教師データを生成する。教師データ生成部56は、生成した教師データを、サーバ10の教師データ取得部20に送信する。なお、教師データ生成部56は、教師データを生成するたびに、生成した教師データを教師データ取得部20に送信してもよいし、教師データを所定数生成した段階で、生成した所定数の教師データをまとめて、教師データ取得部20に送信してもよい。
【0027】
評価用画像取得部58は、ユーザ(専門家であっても専門家でなくてもよい)からの要求に応じて、評価用画像撮像画面(
図14(a)参照)を表示部193上に表示する。また、評価用画像取得部58は、ユーザが評価用画像撮像画面を用いてコンクリート構造物のうちの所定範囲(評価対象の範囲)を撮像した場合に、撮像された画像(評価用画像)を取得して、評価用画像送信部60に送信する。
【0028】
評価用画像送信部60は、評価用画像取得部58から受信した評価用画像を、サーバ10の評価部24に対して送信する。
【0029】
評価取得部62は、サーバ10の評価部24から、評価結果が送られてくると、評価結果を取得して、表示部193上に表示する(
図14(b)の評価結果表示画面参照)。
【0030】
(サーバ10の機能について)
サーバ10は、CPU90がプログラムを実行することにより、教師データ取得部20、モデル生成部22、評価部24として機能する。
【0031】
教師データ取得部20は、教師データ生成部56から送信されてくる教師データを取得して、教師データDB30に格納する。ここで、教師データDB30には、画像と、画像に対応する評価と、が対応付けて格納されている。
【0032】
モデル生成部22は、教師データDB30に所定数の教師データが格納された段階で、教師データを用いた機械学習を行い、評価モデルを生成する。この評価モデルに、コンクリート構造物の評価用画像を入力すると、評価用画像に映っているコンクリート構造物の範囲を評価することができる。モデル生成部22は、生成したモデルを評価部24に受け渡す。
【0033】
評価部24は、モデル生成部22が生成した評価モデルを用いて、評価用画像に映っているコンクリート構造物の範囲を評価する。評価部24は、評価結果をユーザ端末70の評価取得部62に対して送信する。
【0034】
(ユーザ端末70による教師データの収集処理)
次に、ユーザ端末70による教師データの収集処理について、
図4のフローチャートに沿って、その他図面を適宜参照しつつ詳細に説明する。なお、
図4の処理は、ユーザ端末70の入力部195を介して、専門家が教師データを入力する旨の操作を行った場合に実行される処理である。専門家は、コンクリート構造物の前に位置し、コンクリート構造物の評価を行える状態であるとともに、コンクリート構造物の画像を撮像できる状態にあるものとする。例えば、
図5に示すようなコンクリート構造物(例えばコンクリートの柱)がある場合に、ユーザは、コンクリート構造物を1~2m四方の矩形の範囲(A11、A12、A13、…)に区分けする。そして、専門家は、各範囲について、5つの評価項目に関する評価を行う。ここで、5つの評価項目は、
図6(a)~
図6(e)に示すような、表面気泡、砂すじ、打重ね線、型枠継ぎ目のノロ漏れ、沈みひび割れ、である。
【0035】
図4の処理では、まず、ステップS10において、認証部50が、ユーザ認証を実行する。具体的には、認証部50は、
図7(a)に示すようなユーザ認証画面を表示部193に表示する。このユーザ認証画面には、ユーザ名やパスワードを入力するための欄と、「送信」ボタンが設けられている。ユーザは、ユーザ認証画面にユーザ名とパスワードを入力し、「送信」ボタンを押す。この場合、認証部50は、入力されたユーザ名とパスワードを取得し、専門家DB40を参照して、取得したユーザ名とパスワードの組み合わせが専門家DB40に格納されているか否かを判断する。取得したユーザ名とパスワードの組み合わせが専門家DB40に格納されていれば、認証OKとなり、格納されていなければ認証NGとなる。なお、ユーザ認証は、ユーザIDとパスワードを用いる方法以外の方法で実現してもよい。例えば、前述した、指紋や虹彩などを用いた生体認証により、ユーザ認証を行ってもよいし、顔認識によりユーザ認証を行ってもよい。
【0036】
次いで、ステップS12では、認証部50が、認証できたか否か、すなわち認証OKになったかを判断する。このステップS12の判断が否定された場合には、ステップS14に移行し、認証部50は、
図7(b)に示すようなエラー画面を表示部193に表示する。その後は、
図4の全処理を終了する。
【0037】
一方、ステップS12の判断が肯定された場合、すなわちユーザが専門家であった場合には、ステップS16に移行し、評価取得部52は、評価入力画面を表示する。評価入力画面は、
図8(a)に示すような画面である。
図8(a)の画面においては、5つの評価項目(表面気泡、砂すじ、打重ね線、型枠継ぎ目のノロ漏れ、沈みひび割れ)に対して、「4.0」点、「3.0」点、「2.0」点、「1.0」点のいずれかの評価点を入力することができる。なお、専門家は、
図8(a)の評価入力画面において、複数の評価項目についての評価を行ってもよいし、1つの評価項目についてのみ評価を行ってもよい。
【0038】
図9は、上記5つの評価項目についての、評価点と脱型表面の状態との関係を示す表である。
図9では、脱型表面の状態を4点~1点の4段階に分類しており、点数が大きいほど出来栄えが美しい脱型表面であることを示している。脱型表面を観察し、評価する専門家は、
図9の表に基づいて、脱型表面を評価することができる。ただし、
図9の脱型表面の状態と評価点の関係は、概ね、「良い=4点」、「普通=3点」、「やや悪い=2点」、「悪い=1点」であるので、専門家は、脱型表面を見て美しいと思えば4点、ごく普通に観察されるレベルの脱型表面と思えば3点というように、感覚的に評価してもよい。なお、脱型表面の状態と評価の点数との関係は逆(良いほど点数が低い)であってもよい。
【0039】
なお、評価入力画面を
図8(b)のような画面とすることで、専門家に4点~1点の範囲で0.5点刻みで評価させるようにしてもよい。これは、コンクリート技術に精通した技術者が評価した場合においても、各評価点の境界に位置するコンクリート表面状態が存在することを勘案するものである。また、
図9の表は一例であって、評価は4段階以外であってもよい。更に、評価点に対して関連付ける語句は「良い、普通、悪い」以外でもよい。例えば、「少ない、普通、多い」や「きれい、普通、汚い」など、コンクリート構造物の脱型表面の出来栄えや美しさの状態を区別しうる語句を用いればよい。
【0040】
図4に戻り、ステップS18では、評価取得部52が、専門家によって「登録」ボタンが押されるまで待機する。
図8(a)の評価入力画面において専門家がコンクリート構造物の所定範囲(例えば、
図5の範囲A11)の評価を入力し、「登録」ボタンを押すと(ステップS18:肯定)、評価取得部52は、ステップS20に移行し、専門家が入力した評価を取得する。なお、評価取得部52は、取得した評価の情報を教師データ生成部56に送信する。ここで、専門家がユーザ端末70の操作を行っている際に、ユーザ端末70に内蔵されているGNSS(Global Navigation Satellite System:全地球測位システム)により、位置情報を取得して記録することが好ましい。また、後述のステップS26の画像を取得する際にもGNSSにより位置情報を取得して記録すれば、専門家が評価した場所と、画像を撮像した場所とが一致しているかどうかの判定ができる。すなわち、専門家がコンクリート構造物の施工現場にて実物を見て評価したことを証明することができる。この際に、ユーザ端末70に内蔵されている時計機能により評価時間や、撮像時間などを記録するようにしてもよい。
【0041】
次いで、ステップS22では、画像取得部54が画像入力画面を表示する。画像入力画面は、
図10に示すような画面であり、カメラ187で撮像されているライブビュー画像を表示する枠と、「撮像」ボタンとが設けられている。専門家は、直前に評価したコンクリート構造物の範囲(例えば、
図5の範囲A11)を枠内に表示した状態で、「撮像」ボタンを押す。
【0042】
次いで、ステップS24では、画像取得部54が、専門家によって「撮像」ボタンが押されるまで待機する。専門家が「撮像」ボタンを押すと(ステップS24:肯定)、画像取得部54は、ステップS26において、カメラ187による撮像を実行して、評価された範囲(例えば、
図5の範囲A11)の画像を取得する。なお、画像取得部54は、取得した画像を教師データ生成部56に送信する。
【0043】
次いで、ステップS28に移行すると、教師データ生成部56は、評価と画像を対応付けて教師データを生成する。ここで、専門家は、
図8(a)の評価入力画面において、評価項目「砂すじ」に「2.0」点を入力したが、その他の評価項目には評価点を入力しなかったとする。この場合、教師データ生成部56は、評価項目「砂すじ」=評価点「2.0」に画像を対応付けて教師データを生成する。一方、教師データ生成部56は、その他の評価項目については、教師データは生成しないようにする。なお、評価入力画面において、評価項目「砂すじ」に「2.0」点を入力し、評価項目「打重ね線」に「1.0」点を入力するような場合もある。このような場合には、教師データ生成部56は、評価項目「砂すじ」=評価点「2.0」に画像を対応付けて教師データを生成するとともに、評価項目「打重ね線」=評価点「1.0」に画像を対応付けて教師データを生成することとすればよい。
【0044】
次いで、ステップS30では、教師データ生成部56は、教師データをサーバ10の教師データ取得部20に対して送信する。なお、教師データの送信は、教師データが所定数集まった段階で行ってもよいし、
図4の全処理が終了した段階で行ってもよい。
【0045】
次いで、ステップS32では、教師データ生成部56が、終了か否かを判断する。例えば、専門家が、終了する旨を入力した場合には、ステップS32の判断は肯定され、
図4の全処理が終了する。一方、専門家が継続する旨を入力した場合には、ステップS32の判断が否定され、ステップS16に戻り、上述したステップS16~S32の処理・判断が繰り返し実行される。
【0046】
(サーバ10による評価モデルの生成処理)
次に、
図11のフローチャートに沿って、サーバ10による評価モデルの生成処理について説明する。
【0047】
図11の処理では、ステップS50において、教師データ取得部20が、ユーザ端末70から教師データが送信されてくるまで待機する。ユーザ端末70から教師データが送信されてくると(ステップS50:肯定)、ステップS52に移行し、教師データ取得部20は、受信した教師データを教師データDB30に格納する。ここで、教師データDB30には、一例として、
図12に示すように、各評価項目の評価点に対応付けて画像が格納される。なお、
図12では、評価項目及び評価点ごとに1枚の画像が格納されているように示されているが、実際には、多数の画像が格納される。
【0048】
次いで、
図11のステップS54では、教師データ取得部20は、各評価項目の評価の数(すなわち画像の数)が必要数に到達したか否かを判断する。このステップS54の判断が否定された場合には、ステップS50に戻る。一方、ステップS54の判断が肯定された場合には、ステップS56に移行する。
【0049】
ここで、本実施形態では、各評価項目の各評価点「4点」、「3点」、「2点」、「1点」についての教師データの必要数を少なくとも100データ以上、好ましくは500データ以上、より好ましくは1000データ以上収集するものとする。このような多数の教師データを収集することで、特徴量に乏しいコンクリート表面の状態を精度よく評価ことが可能な評価モデルを生成することができる。
【0050】
また、本実施形態においては、教師データの必要数を評価項目ごとに異ならせてもよい。例えば、評価項目「表面気泡」の場合、画像の中で気泡がある部分は黒っぽく写り、気泡がない部分は白っぽく写る傾向にあり、このような白黒の違いで気泡の有無を判別できる。したがって、5つの評価項目の中では比較的評価がしやすい外観症状である。同様に、評価項目「型枠継ぎ目のノロ漏れ」の場合、ノロ漏れがない継ぎ目は細い直線であり、ノロ漏れがある継ぎ目は直線の周囲に色の違いなどの症状が現れるため、細い直線か否かに注目すれば比較的評価がしやすい外観症状である。これに対し、評価項目「砂すじ」、「打重ね線」は脱型表面で頻繁に観察される「色むら」と区別しにくく、5つの評価項目の中でも評価がしにくい外観症状である。また、評価項目「沈みひび割れ」については、軽微な症状は比較的頻繁に観察されるが、評価点「1点」や「2点」に相当する症状は稀にしか生じないため、多数のデータを収集しにくい外観症状である。
【0051】
したがって、本実施形態においては、評価項目「表面気泡」と評価項目「型枠継ぎ目のノロ漏れ」の教師データの必要数D1は同等数とし、評価項目「砂すじ」と評価項目「打重ね線」の教師データの必要数D2は、評価のしにくさを考慮して、D1よりも多くすることができる。また、評価項目「沈みひび割れ」の教師データの必要数D3は、データ収集のしにくさを考慮して、D1よりも少なくすることができる。なお、「表面気泡」と「型枠継ぎ目のノロ漏れ」の教師データの必要数D1は、必ずしも同数でなくてもよく、あるレンジ内に入っていればよい。同様に、必要数D2および必要数D3についてもそれぞれデータ数のレンジを設定するようにすればよい。
【0052】
ステップS56に移行すると、モデル生成部22は、教師データDB30に格納されている教師データを用いて機械学習を行い、評価モデルを生成する。機械学習としては、例えば多数の教師データを用いた、ニューラルネットワークによる教師付き学習とすることができる。また、機械学習には、いわゆるディープラーニングのような既存の技術を利用することができる。モデル生成部22は、評価モデルを生成すると、生成した評価モデルを評価部24に送信する。以上により、
図11の全処理が終了する。
【0053】
(評価モデルを用いた評価処理)
次に、
図13のフローチャートに沿って、評価モデルを用いた評価処理について詳細に説明する。
図13には、ユーザ端末70とサーバ10の並行処理が示されている。
図13の処理は、ユーザ端末70において撮像された画像を、
図11の処理で生成された評価モデルを用いて評価する処理である。
【0054】
図13の処理では、まず、ステップS70において、ユーザ端末70の評価用画像取得部58が、ユーザから評価用画像の撮像要求があるまで待機する。なお、この場合のユーザは、専門家であってもよいし、専門家以外であってもよい。すなわち、
図13の処理が行われる前には、ユーザ認証を行わなくてもよい。
【0055】
ユーザから評価用画像の撮像要求が入力されると、ステップS72に移行し、評価用画像取得部58は、表示部193上に評価用画像撮像画面を表示する。評価用画像撮像画面は、
図14(a)に示すような画面であるものとする。
図14(a)の評価用画像撮像画面には、カメラ187で撮像されているライブビュー画像を表示する枠と、「撮像」ボタンとが設けられている。ユーザは、評価したいコンクリート構造物の範囲を枠内に表示した状態で、「撮像」ボタンを押す。
【0056】
次いで、ステップS74では、評価用画像取得部58が、ユーザによって「撮像」ボタンが押されるまで待機する。ユーザが「撮像」ボタンを押すと(ステップS74:肯定)、評価用画像取得部58は、ステップS76において、カメラ187による撮像を実行して、ユーザが評価したい範囲の画像を取得する。なお、評価用画像取得部58は、取得した画像を評価用画像送信部60に受け渡す。
【0057】
次いで、ステップS78では、評価用画像送信部60が、撮像された画像(評価用画像と呼ぶ)をサーバ10の評価部24に対して送信する。
【0058】
一方、サーバ10側においては、ステップS170において、評価部24が、評価用画像を受信するまで待機している。したがって、ユーザ端末70側でステップS78の処理が実行されると、ステップS172に移行し、評価部24は、評価モデルを用いて、評価用画像を評価する。評価部24は、評価用画像を評価モデルの入力とし、評価モデルから出力される評価点を取得する。
【0059】
次いで、ステップS174では、評価部24は、評価結果(評価点)をユーザ端末70に対して送信する。
【0060】
一方、ユーザ端末70側では、ステップS80において、評価取得部62が、サーバ10から評価結果が送信されてくるまで待機している。したがって、サーバ10側でステップS174の処理が実行されると、ステップS82に移行し、評価取得部62は、評価結果を取得し、表示部193に表示する。この場合、評価取得部62は、例えば、
図14(b)に示すような評価結果表示画面を表示する。
図14(b)の評価結果表示画面には、評価結果(2点)と、評価用画像が示されている。
【0061】
【0062】
以上、詳細に説明したように、本実施形態によると、評価取得部52は、コンクリート構造物の表面の所定範囲における外観症状の評価の入力を受け付け、画像取得部54は、評価取得部52が評価を取得した後に撮像された所定範囲の画像を取得する。そして、教師データ生成部56は、評価結果と画像とを対応付けて教師データとする。すなわち、本実施形態では、コンクリート構造物の施工現場において、実物のコンクリート構造物を目の前にして、専門家が所定範囲の評価を行い、その後に、所定範囲の撮像を行う。ここで、コンクリート構造物は、セメント色が反映されたグレー系で、表面が平滑面であるため、画像を観察しただけでは、特徴量が乏しく、正確な評価を行うことは難しい。特に、型枠に打ち込んだコンクリートから型枠を取り外した直後のコンクリートは黒ずんでいて表面状態を画像による観察で正確な評価を行うことは難しい。これに対し、本実施形態では、コンクリート構造物の表面の状態を目視して評価することで正確に評価することができるため、当該評価を用いることで、正確な教師データを収集することができる。したがって、本実施形態では、正確な教師データを用いて精度の高い評価モデルを生成できる。これにより、評価モデルに評価用画像を入力することで、評価用画像に映っているコンクリート構造物の表面を精度よく評価することができる。この場合、評価モデルは、専門家の知識を反映されたモデルであるため、専門家以外のユーザが撮像した評価用画像から、専門家の評価と同様の評価を得ることが可能である。
【0063】
また、本実施形態では、ユーザ端末70において、評価入力画面(
図8(a))を表示して、評価の入力を受け付け、その後に、画像入力画面(
図10)を表示して、画像を取得する。このように画面遷移させることにより、専門家は、撮像した画像を評価できないため、必然的に実物を評価することになる。
【0064】
また、本実施形態では、ユーザが専門家であるかを、ユーザ認証処理により判別するため、専門家以外による評価結果が教師データに含まれるのを防止することができる。
【0065】
また、本実施形態では、教師データ取得部20は、コンクリート構造物の所定範囲における、コンクリート構造物の表面で観察される外観症状に関する所定の評価項目についての評価と、評価した範囲の画像と、を対応付けた教師データを取得する(
図11のS52)。そして、評価項目ごとに定められた収集必要数だけ教師データを取得できた場合に、取得した教師データを前記機械学習に用いる教師データとする(
図11のS54:肯定、S56)。すなわち、評価項目ごとに教師データの必要数を異ならせることができるようになっている。これにより、機械学習の精度や教師データの収集しやすさ等を考慮して、機械学習に必要な教師データを適切に収集することができる。
【0066】
なお、上記実施形態では、コンクリート構造物の表面で観察される外観症状のうちの、表面気泡、砂すじ、打重ね線、型枠継ぎ目のノロ漏れ、沈みひび割れを評価項目としたが、これに限らず、その他の外観症状、例えば温度ひび割れ、あばた、豆板、流れ縞、施工縞、コールドジョイント、色むら、表面剥離などを評価項目に含めてもよい。すなわち、上記実施形態では、施工不良ではない外観症状(表面気泡、砂すじ、打重ね線、型枠継ぎ目のノロ漏れ、沈みひび割れ)を評価項目としたが、施工不良である外観症状を評価項目に含めてもよい。施工不良である外観症状を評価項目とする場合、評価点としては、軽微、中程度、重大などを評価点として定義すればよい。
【0067】
(変形例1)
コンクリート構造物は、一般に、数年から数十年の時間軸で、外部からの様々な劣化因子の侵入によって材料劣化する。このような経年による劣化が生じた場合、コンクリート構造物表面の外観症状の変化としても現れる。
【0068】
したがって、例えば、
図15(a)に示すように、コンクリート構造物の表面の同一範囲(例えば、
図5の範囲ID=A11)について、施工直後、1年後、2年後、…というように異なる時期において評価と撮像を行い、各時期における評価と画像と、経年劣化についての評価(経年劣化度)とを対応付けて、教師データとしてもよい。
【0069】
この場合、画像の変化と、評価の変化と、経年劣化度と、を機械学習させて評価モデルを生成する。これにより、例えば、
図15(b)に示すように、評価用画像と、評価用画像を撮像した時期と、を評価モデルに入力することで、将来の経年劣化度や、所定期間経過後にどのような状態になるのか(予測画像)、所定期間経過後にどのような評価になるのか(評価予測)、等を出力することができる。
【0070】
(変形例2)
なお、上記変形例1のように、コンクリート構造物の表面の同一範囲について、施工直後、1年後、2年後、…というように異なる時期において評価と撮像を行う場合には、専門家は、更に、評価以外の維持管理に関する技術的見解を入力するようにしてもよい。例えば、専門家は、ある評価項目の評価点が1点低下した場合(例えば、評価点が4から3に変化した場合)に「観察強化」などの技術的見解を入力する。また、専門家は、ある評価項目の評価点が2点低下した場合(例えば、評価点が4から2に変化した場合)に「詳細調査実施」、3点低下した場合(例えば、評価点が4から1に変化した場合)に「緊急対応実施」などの技術的見解を入力する。
【0071】
この場合、
図16(a)に示すように、画像の変化と、評価の変化と、技術的見解と、を対応付けたデータを教師データとする。そして、
図16(a)に示すような教師データを用いて、機械学習を行うことで、評価モデルを生成する。この評価モデルには、例えば、
図16(b)に示すように、異なる時期において同一範囲を撮像した2枚の評価用画像を入力することができる。このようにすることで、当該範囲に関する技術的見解(観察強化、詳細調査実施、緊急対応実施など)を得ることが可能となる。
【0072】
なお、上記実施形態では、評価入力画面(
図8(a))を表示した後に、画像入力画面(
図10)を表示する場合について説明したが、これに限らず、ユーザ(専門家)からの求めに応じて、各画面を適宜表示してもよい。この場合、教師データ生成部56は、評価入力画面(
図8(a))に評価を入力した日時や位置情報と、画像入力画面(
図10)を用いて画像を撮像した日時や位置情報を取得し、評価を入力した位置と画像を撮像した位置が近似しており、かつ、評価を入力した日時が画像を撮像した日時の直前である場合に、評価と画像とを対応付けて、教師データを生成するようにしてもよい。このようにしても、上記実施形態と同様、実物を目視して評価された正確な評価結果と、画像とを組み合わせた教師データから評価モデルを生成することが可能となる。
【0073】
なお、上記実施形態では、評価システム100が、サーバ10とユーザ端末70を有する場合について説明したが、これに限らず、ユーザ端末70において、上記実施形態で説明したすべての処理を行うこととしてもよい。
【0074】
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、処理装置が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体(ただし、搬送波は除く)に記録しておくことができる。
【0075】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD(Digital Versatile Disc)、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)などの可搬型記憶媒体の形態で販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0076】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記憶媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記憶媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0077】
上述した実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。例えば、評価項目「砂すじ」と評価項目「打重ね線」の教師データの必要数D2を満足するため、及び/又は評価項目「沈みひび割れ」の教師データの必要数D3を満足するために、同一箇所を複数回撮像してもよい。この場合、撮像条件(アングルやズーム倍率など)を変更して撮像することが好ましい。また、評価項目「砂すじ」と評価項目「打重ね線」の教師データの必要数D2を満足するために、及び/又は評価項目「沈みひび割れ」の教師データの必要数D3を満足するために、これらの撮像については、評価項目「表面気泡」と評価項目「型枠継ぎ目のノロ漏れ」の教師データの撮像に比べて、JPEG画像の圧縮率を低くして、いわゆるファインモードでの撮像を行うようにしてもよい。これにより、教師データを効率的に収集することができる。
【符号の説明】
【0078】
10 サーバ
20 教師データ取得部
22 モデル生成部
24 評価部
50 認証部
52 評価取得部
54 画像取得部
56 教師データ生成部
70 ユーザ端末