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  • 特許-貢献度算出装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-05
(45)【発行日】2024-02-14
(54)【発明の名称】貢献度算出装置
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/798 20140101AFI20240206BHJP
   A63F 13/212 20140101ALI20240206BHJP
   A63F 13/30 20140101ALI20240206BHJP
   A63F 13/79 20140101ALI20240206BHJP
   A63F 13/847 20140101ALI20240206BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20240206BHJP
【FI】
A63F13/798
A63F13/212
A63F13/30
A63F13/79 500
A63F13/847
G06Q50/10
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020044092
(22)【出願日】2020-03-13
(65)【公開番号】P2021142220
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2022-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【弁理士】
【氏名又は名称】江上 達夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131015
【弁理士】
【氏名又は名称】三輪 浩誉
(72)【発明者】
【氏名】勝原 康雄
(72)【発明者】
【氏名】下山 未来
(72)【発明者】
【氏名】梶 洋隆
(72)【発明者】
【氏名】菊池 弘一
(72)【発明者】
【氏名】林 伸樹
(72)【発明者】
【氏名】芦沢 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】坂口 徹朗
【審査官】竹村 真一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-126358(JP,A)
【文献】特開2017-056074(JP,A)
【文献】特開平10-080577(JP,A)
【文献】特開2019-061594(JP,A)
【文献】特開2018-010305(JP,A)
【文献】特開2004-173960(JP,A)
【文献】特開2003-102868(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 13/00-13/98
G06Q 50/10-50/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプレイヤが参加するビデオゲームにおいて、前記複数のプレイヤ各々の貢献度を算出する貢献度算出装置であって、
前記複数のプレイヤに夫々対応する複数の生体情報を取得する生体情報取得手段と、
前記複数のプレイヤによる前記ビデオゲームの実行により生成されたゲームデータを取得するゲームデータ取得手段と、
前記複数のプレイヤのうち一のプレイヤの他のプレイヤへの現実世界における発声による働きかけの度合いに係る第1指標と、前記一のプレイヤの交感神経又は副交感神経の活動度に係る第2指標とを、前記複数の生体情報のうち前記一のプレイヤに対応する生体情報から算出する第1算出手段と、
前記第1指標及び前記第2指標と、前記ゲームデータとから前記一のプレイヤの貢献度を算出する第2算出手段と、
を備え、
前記第1算出手段は、前記一のプレイヤに対応する生体情報に含まれる音声データを用いて、前記第1指標を算出し、
前記第1算出手段は、前記一のプレイヤに対応する生体情報に含まれる心拍から、前記第2指標を算出する
ことを特徴とする貢献度算出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビデオゲームに参加しているプレイヤの貢献度を算出する貢献度算出装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
現実世界のスポーツでは、例えばKPI(Key Performance Indicator:重要業績指標)等を用いて選手の評価が行われることが多い(非特許文献1参照)。尚、例えば、実在の野球選手の評価値を、該野球選手に対応するゲームキャラクタのパラメータに反映させる技術が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-003080号公報
【非特許文献】
【0004】
【文献】嶋田 毅,“見える化とKPI -サッカーで数値管理は可能か”,[online],2012年4月11日,グロービス,[令和2年2月5日検索],インターネット<URL: https://globis.jp/article/1935>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉える「エレクトロニック・スポーツ(eスポーツ)」が世界中で盛り上がりを見せている。eスポーツにおいても、プレイヤの評価を行いたいというニーズがある。上記背景技術では、実在選手の評価を行うことはできる。しかしながら、上記背景技術を、ゲームキャラクタを操作するプレイヤの評価に適用することは困難である。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ビデオゲームのプレイヤの評価を行うことができる貢献度算出装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る貢献度算出装置は、複数のプレイヤが参加するビデオゲームにおいて、前記複数のプレイヤ各々の貢献度を算出する貢献度算出装置であって、前記複数のプレイヤに夫々対応する複数の生体情報を取得する生体情報取得手段と、前記複数のプレイヤによる前記ビデオゲームの実行により生成されたゲームデータを取得するゲームデータ取得手段と、前記複数のプレイヤのうち一のプレイヤの他のプレイヤへの現実世界における発声による働きかけの度合いに係る第1指標と、前記一のプレイヤの交感神経又は副交感神経の活動度に係る第2指標とを、前記複数の生体情報のうち前記一のプレイヤに対応する生体情報から算出する第1算出手段と、前記第1指標及び前記第2指標と、前記ゲームデータとから前記一のプレイヤの貢献度を算出する第2算出手段と、を備え、前記第1算出手段は、前記一のプレイヤに対応する生体情報に含まれる音声データを用いて、前記第1指標を算出し、前記第1算出手段は、前記一のプレイヤに対応する生体情報に含まれる心拍から、前記第2指標を算出するというものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る貢献度算出装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
貢献度算出装置に係る実施形態について説明する。実施形態に係る貢献度算出装置は、複数のプレイヤが参加するビデオゲームにおいて、複数のプレイヤ各々の貢献度を算出する。
【0010】
複数のプレイヤが参加するビデオゲームでは、複数のプレイヤに夫々対応する複数のキャラクタ(所謂プレイヤキャラクタ)が同一ゲーム内に登場することになる。このとき、各キャラクタの評価(例えば、ゲーム内での得点等)を、対応するプレイヤの評価と解釈することは可能である。しかしながら、複数のプレイヤがチームを組んで参加するビデオゲームでは、各キャラクタの評価をプレイヤの評価としてしまうと、各プレイヤを適切に評価できない可能性がある。なぜなら、例えば、ゲーム内における各キャラクタに役割分担(例えば攻撃役、支援役、盾役等)が存在したり、現実世界においてゲームプレイ中のプレイヤ同士のコミュニケーション(例えば指示、励まし等)が存在したりするからである。
【0011】
そこで、当該貢献度算出装置では、プレイヤの生体情報から得られる指標を加味してプレイヤの貢献度(即ち、評価)が算出される。プレイヤの貢献度を算出するために、当該貢献度算出装置は、生体情報取得手段、ゲームデータ取得手段、第1算出手段及び第2算出手段を備える。
【0012】
生体情報取得手段は、複数のプレイヤに夫々対応する複数の生体情報を取得する。生体情報には、例えば心拍、脈拍、呼吸、瞬き、視線、脳波、音声、体動等の自律神経系の反応が反映されたデータが含まれていてよい。プレイヤの心拍等は、例えばプレイヤに装着されたウェアラブルセンサや、プレイヤを撮像した画像に画像処理を施すことにより取得されてよい。
【0013】
ゲームデータ取得手段は、例えばゲームのスコア、プレイヤキャラクタの位置、ゲーム進行中に発生したイベント等のゲームデータを、API(Application Program Interface)等から取得する。尚、ゲームデータ取得手段は、例えばゲーム画面に対応する画像に画像処理を施すことにより、ゲームデータを取得してもよい。
【0014】
第1算出手段は、一のプレイヤの他のプレイヤへの働きかけ(例えば指示、励まし等)の度合いに係る第1指標と、一のプレイヤの精神的負担に係る第2指標とを、一のプレイヤに対応する生体情報から算出する。第1算出手段は、例えば一のプレイヤが発した音声に音声言語処理を施すこと等により得られた結果に基づいて、第1指標を計算してよい。第1算出手段は、例えば一のプレイヤの心拍の時間変化等から交感神経又は副交感神経の活動の度合いを算出し、該算出された度合いに基づいて、第2指標を計算してよい。
【0015】
第2算出手段は、第1算出手段により計算された第1指標及び第2指標と、ゲームデータ取得手段により取得されたゲームデータとから一のプレイヤの貢献度を算出する。
【0016】
このように当該貢献度算出装置では、ゲームデータに加えて、現実世界におけるプレイヤの生体情報から得られる指標(上述の第1指標及び第2指標)を加味してプレイヤの貢献度が算出される。このため、当該貢献度算出装置によれば、ビデオゲームのプレイヤの評価を適切に行うことができる。
【0017】
実施形態に係る貢献度算出装置の一具体例としての貢献度算出装置100について図1を参照して説明する。図1において、貢献度算出装置100は、生体データ取得部1、ゲームデータ取得部2、指標算出部3、貢献度算出部4及び貢献度表示部5を備えて構成されている。
【0018】
生体データ取得部1は、例えば、各プレイヤが装着したウェアラブルセンサの出力から、例えば心拍、脈拍、呼吸、瞬き、視線、脳波、音声、体動等の自律神経系の反応が反映されたデータを含む生体情報を取得する。生体データ取得部1は、プレイヤに加えて、例えば監督、コーチ、観客等のプレイヤ以外の人が装着したウェアラブルセンサの出力から、該プレイヤ以外の人の生体情報(例えば心拍等)を取得する。
【0019】
ゲームデータ取得部2は、例えばゲームのスコア、プレイヤキャラクタの位置、ゲーム進行中に発生したイベント等のゲームデータを取得する。
【0020】
指標算出部3は、働きかけ度算出部31、会場盛り上げ度算出部32、精神的負担算出部33及びゲーム指標算出部34を有する。
【0021】
働きかけ度算出部31は、生体情報のうち、例えば各プレイヤの音声データ等を用いて、一のプレイヤの他のプレイヤ(例えばチームメイト)への働きかけの度合いを示す指標である働きかけ度を算出する。働きかけ度算出部31は、例えば音声データの連続性に着目して、一のプレイヤが発声してから所定時間(例えば1秒)内に他のプレイヤの発声があった場合に、両者が会話をしたと判定してよい。この場合、働きかけ度算出部31は、一のプレイヤの会話回数を、該一のプレイヤの働きかけ度としてよい。働きかけ度算出部31は、一のプレイヤの発言のうち励ましに該当する発言(例えば、がんばれ、あきらめるな、踏ん張ろう、巻き返そう、粘ろう等)の回数を、一のプレイヤの働きかけ度としてよい。働きかけ度算出部31は、一のプレイヤの声色の高低に着目し、一のプレイヤに係る基準値より声色が高い発言をポジティブ発言とし、該基準値より声色が低い発言をネガティブ発言としてよい。働きかけ度算出部31は、一のプレイヤの発言全体に対するポジティブ発言の割合を、一のプレイヤの働きかけ度としてよい。
【0022】
会場盛り上げ度算出部32は、生体情報のうち、例えば観客の生体情報(例えば心拍等)を用いて、会場の盛り上がり度合いを示す指標である盛り上がり度を算出する。会場盛り上げ度算出部32は、例えば観客の心拍数の変化に着目し、心拍数が急上昇した場面の回数から盛り上がり度を算出してよい。会場盛り上げ度算出部32は、例えば観客の音声に着目し、会場の音圧が所定値以上となった回数から盛り上がり度を算出してよい。会場盛り上げ度算出部32は、例えば観客の体動に着目し、観客の体動が比較的大きい場面の回数から盛り上がり度を算出してよい。尚、観客の体動は、例えば観客に装着されたウェアラブルセンサにより検出された加速度の大きさに基づいて推定すればよい。会場盛り上げ度算出部32は、例えば会場を撮像した画像に画像処理を施して、笑顔の観客を検出し、笑顔の観客の割合から盛り上がり度を算出してよい。
【0023】
精神負担算出部33は、各プレイヤの生体情報から、例えば各プレイヤの交感神経又は副交感神経の活動度を、精神負担として算出してよい。尚、例えば交感神経の活動度は、心拍に係るRRI(R-R Interval:心拍間隔)のゆらぎ情報(例えば分散等)から求められてよい。精神負担算出部33は、ゆらぎ情報により示されるゆらぎが比較的小さい場合に、交感神経の活動度が優位である(即ち、精神負担が大きい)と判定してよい。精神負担算出部33は、ゲームプレイ期間における交感神経の活動度が優位な期間の割合や、交感神経の活動度の強度を、精神負担として算出してよい。
【0024】
ゲーム指標算出部34は、ゲームデータを用いて、ゲーム展開(例えば優勢、劣勢等)や勝敗に関わる指標であるゲーム指標を算出する。ゲーム指標算出部34は、例えば両チームのゲームスコアの差分や、味方チームのキャラクタが、相手チームのキャラクタを倒した回数等に基づいて、上記ゲーム展開としての優劣を判定してよい。ゲーム指標算出部34は、ゲーム内容に関する数値(例えば、ゲーム内において各キャラクタが相手陣地に進出した度合い、アイテムの獲得数等)から、上記ゲーム展開としての優劣を判定してよい。
【0025】
貢献度算出部4は、働きかけ度、盛り上がり度、精神負担及びゲーム指標に基づいて各プレイヤの貢献度を算出する。貢献度算出部4は、例えば“働きかけ度×係数1+盛り上がり度×係数2+精神負担×係数3+ゲーム指標×係数4”という式を用いて貢献度を算出してよい。尚、係数1~4は、全て“1”であってもよいし、ゲーム内におけるキャラクタの役割や現実世界におけるプレイヤの役割に応じて変更されてもよい。或いは、係数1~4は、機械学習等の手法により設定されてもよい。
【0026】
貢献度表示部5は、算出された貢献度を表示する。貢献度の表示態様は、例えば円グラフやパーセンテージ等であってよい。
【0027】
(技術的効果)
当該貢献度算出装置100によれば、貢献度という統一の指標により、特に、複数のプレイヤがチームを組んで参加するビデオゲームについて、チーム内での各プレイヤの活躍の度合いを定量的に評価することができる。例えばチームの監督やコーチは、貢献度を参照することにより、チームワークやチームバランスを定量的に評価、検討することができる。例えば貢献度が表示されることにより、観客の目を、目立つプレーをしているプレイヤだけではなく、他のプレイヤにも向けることができる。例えばビデオゲームのゲーム進行の様子が、ネットワーク等を介して配信される場合に、実況者等が貢献度を参照して実況内容を充実させることができる。
【0028】
<変形例>
貢献度算出部4は、上述した働きかけ度、盛り上がり度及び精神負担のうち少なくとも一つと、ゲーム指標に基づいて貢献度を算出してよい。例えば盛り上がり度が貢献度の算出に用いられない場合、指標算出部3は、会場盛り上げ度算出部32を有してなくてよく、生体データ取得部1は、プレイヤ以外の人の生体情報を取得しなくてよい。
【0029】
以上に説明した実施形態及び変形例から導き出される発明の態様を以下に説明する。
【0030】
発明の一態様に係る貢献度算出装置は、複数のプレイヤが参加するビデオゲームにおいて、前記複数のプレイヤ各々の貢献度を算出する貢献度算出装置であって、前記複数のプレイヤに夫々対応する複数の生体情報を取得する生体情報取得手段と、前記複数のプレイヤによる前記ビデオゲームの実行により生成されたゲームデータを取得するゲームデータ取得手段と、前記複数のプレイヤのうち一のプレイヤの他のプレイヤへの働きかけの度合いに係る第1指標と、前記一のプレイヤの精神的負担に係る第2指標とを、前記複数の生体情報のうち前記一のプレイヤに対応する生体情報から算出する第1算出手段と、前記第1指標及び前記第2指標と、前記ゲームデータとから前記一のプレイヤの貢献度を算出する第2算出手段と、を備えるというものである。
【0031】
上述の実施形態においては、生体データ取得部1が生体情報取得手段の一例に相当し、ゲームデータ取得部2がゲームデータ取得手段の一例に相当し、指標算出部3が第1算出手段の一例に相当し、貢献度算出部4が第2算出手段の一例に相当する。上述の実施形態における「働きかけ度」及び「精神負担」は、夫々、「第1指標」及び「第2指標」の一例に相当する。
【0032】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う貢献度算出装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0033】
1…生体データ取得部、2…ゲームデータ取得部、3…指標算出部、4…貢献度算出部、5…貢献度表示部、31…働きかけ度算出部、32…会場盛り上げ度算出部、33…精神負担算出部、34…ゲーム指標算出部、100…貢献度算出装置
図1