(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-05
(45)【発行日】2024-02-14
(54)【発明の名称】無線通信システム
(51)【国際特許分類】
H04B 3/46 20150101AFI20240206BHJP
H04W 16/30 20090101ALI20240206BHJP
H04W 24/08 20090101ALI20240206BHJP
H04W 24/06 20090101ALI20240206BHJP
H04L 1/06 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
H04B3/46
H04W16/30
H04W24/08
H04W24/06
H04L1/06 180
(21)【出願番号】P 2020159567
(22)【出願日】2020-09-24
【審査請求日】2023-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【氏名又は名称】前島 幸彦
(72)【発明者】
【氏名】水口 修平
(72)【発明者】
【氏名】中野 雄介
【審査官】対馬 英明
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-049669(JP,A)
【文献】特開昭50-080710(JP,A)
【文献】特開2008-236552(JP,A)
【文献】特開2003-143228(JP,A)
【文献】特開平02-145036(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0149603(US,A1)
【文献】特開2013-021497(JP,A)
【文献】特開2016-034147(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/60
H04B 3/46-3/493
H04B 17/00-17/40
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
H04B 7/02-7/12
H04L 1/02-1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通の送信データで変調された第1の信号、第2の信号をそれぞれ送信する第1の基地局、第2の基地局と、前記第1の信号、前記第2の信号がそれぞれ逆向きに同時に流されるように前記第1の基地局及び前記第2の基地局に接続された漏洩同軸ケーブルと、が用いられ、前記漏洩同軸ケーブルから発せられた前記第1の信号及び前記第2の信号が移動局に受信される無線通信システムであって、
前記第1の基地局は、前記漏洩同軸ケーブルを介して前記第2の信号を受信可能とされ、前記第2の信号を認識できなかった場合に、前記漏洩同軸ケーブルに障害があると認識する、
又は、
前記第2の基地局は、前記漏洩同軸ケーブルを介して前記第1の信号を受信可能とされ、前記第1の信号を認識できなかった場合に、前記漏洩同軸ケーブルに障害があると認識する、
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記第1の基地局は、前記漏洩同軸ケーブルを介して受信された受信信号と前記第1の信号との相互相関解析を行うことにより当該受信信号が前記第2の信号であるか否かを認識する、
又は
前記第2の基地局は、前記漏洩同軸ケーブルを介して受信された受信信号と前記第2の信号との相互相関解析を行うことにより当該受信信号が前記第1の信号であるか否かを認識する、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記第1の信号及び前記第2の信号は時空間ブロック符号化(STBC)方式又は差動時空間ブロック符号化(DSTBC)方式により発せられることを特徴とする請求項1又は2に記載の無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同一内容の通信を行う複数の基地局が設けられる無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
列車等の移動体(移動局)を含んで構成される無線通信システムにおいては、移動局の移動に際して移動局と基地局との間の通信が常時可能であることが要求される。このため、中央装置から指示された同一内容の通信を同一周波数で送信し、異なる場所に複数の基地局が設けられ、移動局は移動に際してこのうち最も通信状態が良好となる一つの基地局と通信することができる。
【0003】
各基地局にはそれぞれこの基地局が移動局と通信可能となる通信可能エリアが設定され、移動局の移動に際しては、隣接する通信可能エリア間を移動することによって、直接の通信の対象となる基地局が切り替わる。ここで、隣接する2つの基地局の通信可能エリアを部分的に重複させることによって、移動に際して移動局に対する通信が一次的に不可能となる期間(領域)をなくすことができる。一方で、理想的には各基地局から発せられる信号は同一であるが、実際にはこれらの信号は、基地局毎の発信周波数の誤差等に起因し、完全に同一とはならない。このため、このように通信可能エリアが重複した領域では、2つの電波が干渉して受信データの再生が困難となる場合がある。
【0004】
このため、特許文献1には、基地局と移動局の間の通信を時空間ブロック符号化(STBC:Space-Time Block Coding)方式、あるいは差動時空間ブロック符号化(DSTBC:Differential Space-Time Block Coding)方式で行うことによって、隣接する2つの基地局からの信号を直交関係とし、干渉が発生しないようにする技術が記載されている。
【0005】
また、列車のトンネル内での通行の際の通信を行わせるためには、例えば特許文献2に記載されたような漏洩同軸ケーブルが用いられる。漏洩同軸ケーブル(Leaky Coaxial Cable:LCX)は、伝送経路となるケーブルとして敷設されると共に、伝送される電波を漏洩させることによってアンテナとしても機能し、長いトンネル内においても敷設が容易である。前記のような直交関係にある2つの基地局からの電波を用いる場合には、例えばLCXを挟んで両側に2つの基地局が設けられ、各基地局が発した信号は共通のLCXを互いに逆向きに流れる。こうした場合においても各信号を前記のように直交関係とすれば、干渉は発生せず、かつ移動局が通信不可能となる領域は発生しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-34147号公報
【文献】特開平3-295323号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このようにLCXを用いた場合においては、LCXが事故等により切断した場合には、この切断地点から先では、その反対側にある基地局からの通信が不可能となる。このような状況は、LCXの点検作業や、移動局が移動中に通信不可能となる期間が発生したことによって認識することができる。しかしながら、LCXの点検を行う頻度は限定される。また、移動局の移動中において通信が不可能となる期間は、実際に移動局が経路を移動する場合(実際に列車が走行した場合)においてのみ初めてこの認識が可能となり、移動局がこの経路に存在しない状態で基地局側のみでこの認識をすることは困難であった。このため、LCXの切断を迅速に基地局が認識することは困難であった。
【0008】
本発明は、このような状況に鑑みなされたもので、上記課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、共通の送信データで変調された第1の信号、第2の信号をそれぞれ送信する第1の基地局、第2の基地局と、前記第1の信号、前記第2の信号がそれぞれ逆向きに同時に流されるように前記第1の基地局及び前記第2の基地局に接続された漏洩同軸ケーブルと、が用いられ、前記漏洩同軸ケーブルから発せられた前記第1の信号及び前記第2の信号が移動局に受信される無線通信システムであって、前記第1の基地局は、前記漏洩同軸ケーブルを介して前記第2の信号を受信可能とされ、前記第2の信号を認識できなかった場合に、前記漏洩同軸ケーブルに障害があると認識する、又は、前記第2の基地局は、前記漏洩同軸ケーブルを介して前記第1の信号を受信可能とされ、前記第1の信号を認識できなかった場合に、前記漏洩同軸ケーブルに障害があると認識する。
前記第1の基地局は、前記漏洩同軸ケーブルを介して受信された受信信号と前記第1の信号との相互相関解析を行うことにより当該受信信号が前記第2の信号であるか否かを認識する、又は前記第2の基地局は、前記漏洩同軸ケーブルを介して受信された受信信号と前記第2の信号との相互相関解析を行うことにより当該受信信号が前記第1の信号であるか否かを認識してもよい。
前記第1の信号及び前記第2の信号は時空間ブロック符号化(STBC)方式又は差動時空間ブロック符号化(DSTBC)方式により発せられてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、複数の基地局と移動局との間の通信のために漏洩同軸ケーブルが用いられた無線通信システムにおいて、漏洩同軸ケーブルの破損による通信の障害を基地局側から迅速に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態に係る無線通信システムの構成を示す図である。
【
図2】実施の形態に係る無線通信システムにおいて漏洩同軸ケーブルが正常である場合における信号の流れを示す図である。
【
図3】実施の形態に係る無線通信システムにおいて漏洩同軸ケーブルが切断した場合における信号の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明を実施するための形態を図面を参照して具体的に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る無線通信システム1の構成を説明する図である。この無線通信システム1は列車無線通信のために用いられ、
図1における中央装置100から送信データを移動中の移動局200(列車)に送信するために用いられる。この無線通信1においては、隣接する2つの基地局(第1の基地局)10A、基地局(第2の基地局)10Bが用いられている。基地局10A、基地局10Bにはこれらから離間した中央装置100が接続されており、中央装置100は基地局10A、10Bに対して同一のデータ(送信データ)を送信する。
【0013】
この送信データは、図中上側で水平方向に沿って移動する移動局200に対して最終的に送信される。このための送信アンテナとして、漏洩同軸ケーブル(Leaky Coaxial Cable:LCX)50A、50Bが用いられる。LCX50A、50Bは直列に接続され、LCX50Aは基地局10Aに、LCX50Bは基地局10Bに接続される。実際には基地局10Aと移動局200とが通信可能である通信エリアは
図1における左側に、基地局10Bと移動局200とが通信可能である通信エリアは
図1における右側に、それぞれ広がっており、
図1において示された領域は、これらの通信エリアが隣接して部分的に重複した領域である。
図1では簡略化して示されているが、実際にはLCX50A、50Bは図中の水平方向で長く、基地局10A、10Bは図中水平方向で十分に離間している。LCX50A、50Bは、列車(移動局200)の進行方向に沿って敷設される。
【0014】
このように通信エリアが重複した領域において、基地局10Aは前記の送信データで変調したA系列信号(第1の信号)をLCX50Aに供給し、基地局10Bは前記の送信データで変調したB系列信号(第2の信号)をLCX50Bに供給する。A系列信号とB系列信号の搬送波の周波数は同一に設定されるが、実際には基地局毎の発振周波数の誤差等により、これらの周波数には微小な差が存在する。ここで、A系列信号とB系列信号の変調においては時空間ブロック符号化(STBC:Space-Time Block Coding)方式、あるいは差動時空間ブロック符号化(DSTBC:Differential Space-Time Block Coding)方式が採用され、A系列信号とB系列信号は直交関係とされる。
【0015】
このため、
図1におけるLCX50A、50B中をA系列信号とB系列信号は互いに逆向きに流れるが、A系列信号とB系列信号とが干渉することによる悪影響は発生しない。このため、
図1において移動局200は、A系列信号、B系列信号のどちらを受信しても、これを復調することによって前記の送信データを認識することができる。ただし、前記のようにLCX50A、50Bは十分に長いため、LCX50A中においてはA系列信号がB系列信号よりも優勢であり、LCX50B中においてB系列信号がA系列信号よりも優勢である。
【0016】
ここで、基地局10AはA系列信号を発すると共に、基地局10Bが発したB系列信号もLCX50Aを介して受信する。同様に、基地局10BはB系列信号を発すると共に、基地局10Aが発したA系列信号もLCX50Bを介して受信する。こうした動作を行うための基地局10Aの構成について説明する。基地局10Aにおいては、基地局10A全体の制御や後述するような信号の相互相関処理演算を行うCPUを具備する制御部11Aが設けられる。また、前記のSTBC又はDSTBCで制御部11Aが中央装置100から受信した送信データで変調したA系列信号を生成する送信部12A、B系列信号を受信する受信部13Aが設けられる。また、LCX50A側には、A系列信号を通過させると共に基地局10B側から受信したB系列信号を通過させるため、これらの信号に対応する周波数F1の帯域フィルタであるフィルタ14Aが設けられる。送信部12A、受信部13A、フィルタ14Aは、サーキュレータ15Aで接続されている。サーキュレータ15Aは、送信部12A側(X)からの入力をフィルタ14A側(Y)に出力し、フィルタ14A側(Y)から入力したB系列信号を受信部13A側(Z)に出力させる。
【0017】
また、基地局10Aは移動局200が発した信号を受信するため、この信号を受信する受信部16Aが設けられ、この信号に対応する周波数F2の帯域フィルタであるフィルタ17AもLCX50A側に設けられる。この周波数はA系列信号、B系列信号の周波数とは異なる。
【0018】
基地局10Bにおいても、基地局10Aと同様に、制御部11B、B系列信号を生成する送信部12B、A系列信号を受信する受信部13B、これらに対応するフィルタ14B、サーキュレータ15B、移動局200からの信号を受信する受信部16B、これに対応するフィルタ17Bが設けられる。
【0019】
図2は、
図1の構成におけるA系列信号、B系列信号等の流れを示し、ここでは移動局200の記載は省略されている。ここでは、まず、矢印C1、C2で示されるように、制御部11A、11Bに対して同一の送信データが中央装置100から送信される。制御部11A、11Bはそれぞれこの送信データに基づいてA系列信号、B系列信号を送信部12A、12Bに生成・送信させる。
【0020】
A系列信号は、
図2における破線矢印Aで示されるように、送信部12A、サーキュレータ15A、フィルタ14Aを順次通過し、LCX50A、LCX50Bを通過する。これによって、移動局200はA系列信号を受信することができる。同様に、B系列信号は、
図2における点線矢印Bで示されるように、送信部12B、サーキュレータ15B、フィルタ14Bを順次通過し、LCX50B、LCX50Aを通過する。これによって、移動局200はB系列信号を受信することができる。このため、移動局200は、
図1に示された範囲では、A系列信号、B系列信号のどちらも受信することができる。
【0021】
一方、
図2の破線矢印Aで示されるように、A系列信号はLCX50Bを通過してから基地局10Bのフィルタ14Bを通過し、サーキュレータ15Bのフィルタ14B側(Y)から受信部13B側(Z)に流れる。これにより、A系列信号は受信部13Bで受信され、制御部11BはA系列信号がLCX50A、50Bを介して流れたことを認識する。ただし、前記のように、LCX50A、50Bは図中水平方向で十分に長く、基地局10A、10Bは十分に離間しているため、LCX50Bを通過後のA系列信号の強度は同じ箇所におけるB系列信号の強度よりも低い。同様に、
図2の点線矢印Bで示されたように、B系列信号はLCX50Aを通過してから基地局10A側に流れ、基地局10Aの制御部11AはB系列信号がLCX50B、50Aを介して流れたことを認識する。この際、LCX50Aを通過後のB系列信号の強度は同じ箇所におけるA系列信号の強度よりも低い。
【0022】
一方、基地局10Aにおいて、送信部12Aから発せられたA系列信号は、
図2の破線矢印DAで示されるように、送信部12A側(X)からフィルタ14A側(Y)に出力される強度の10
-6程度となる低い強度となるものの、サーキュレータ15Aを介して受信部13A側(Z)にも流れる。このため、受信部13AはA系列信号とB系列信号とを共に受信するが、前記のようにこれらは直交関係とされるため、制御部11Aは、A系列信号とB系列信号を個別に認識することができる。A系列信号とB系列信号で送信される送信データは同一であるため、制御部11Aは、例えば受信された2つの信号の相互相関係数を算出し、その値が大きくなり2つの信号に相関があると判定された場合に、受信部13Aが受信した2つの信号はA系列信号とB系列信号であると推定することができる。すなわち、この場合において、基地局10Aは、B系列信号を受信したと推定することができる。同様に、基地局10Bにおいても、受信された2つの信号に相関があると制御部11Bによって判定された場合に、基地局10BがA系列信号を受信したと推定することができる。
【0023】
一方、
図3は、LCX50AがPの箇所で切断された場合を
図2と同様に示す。切断以外の原因でPの箇所で信号の伝搬を阻害するような障害が発生した場合においても同様である。この場合は、A系列信号はPの箇所より右側、B系列信号はPの箇所よりも左側には流れないため、基地局10B側でA系列信号を、基地局10A側でB系列信号を、それぞれ受信することができない。制御部11AがA系列信号以外の信号を有意に認識できなかった場合、あるいはA系列信号の他に信号が受信されたがこの受信信号とA系列信号との間に相関が認められなかった場合には、この受信信号はB系列信号ではない同一周波数であるB系列信号以外の信号であると推定することができる。同様に、基地局10B側でも2つの信号に相関が認められなかった場合には、A系列信号が受信されなかったと推定をすることができる。
【0024】
この場合には、基地局10A、基地局10B側では、LCX50A又はLCX50Bが切断したと推定することができる。すなわち、移動局200の受信状況を用いずに、基地局10A、10B側でLCX50A又はLCX50Bの障害を認識することができる。一般的には、A系列信号が基地局10Aから発せられる時には同時にB系列信号も基地局10Bから発せられるため、中央装置100から送信データが発せられれば上記の判定を行うことができる。このため、LCX50A、50Bに障害が発生した場合において、この障害を基地局10A、10B側で迅速に認識することができる。
【0025】
なお、上記の例では、制御部11A(11B)において認識された2つの信号の相互相関係数が算出されたが、2つの信号の相関の有無を判断するために他の手法を用いることもできる。
【0026】
また、上記の例では、制御部11A(制御部11B)が送信部12A(送信部12B)が発したA系列信号(B系列信号)、及びB系列信号(A系列信号)を認識するために、サーキュレータ15A(サーキュレータ15B)が用いられた。しかしながら、各基地局が自身の側から発した信号と他方の基地局が発した信号を共に受信することが可能な限りにおいて、他の構成を用いることもできる。
【0027】
また、上記の例では、A系列信号(第1の信号)とB系列信号(第2の信号)が混在した場合においても干渉による悪影響が生じないように、これらはSTBC方式、あるいはDSTBC方式で生成されるものとしたが、同様にこれらの信号における干渉が発生しないような他の方式でA系列信号、B系列信号を生成して用いることもできる。
【0028】
また、図の構成においては、基地局10A、10Bはそれぞれが同様の構成を具備し、それぞれが上記のようにLCX50A、50Bの障害を検知できるものとされた。しかしながら、各基地局が上記と同様の信号を送信し、このうち一方の基地局のみで上記の判定が可能とされていてもよい。
【0029】
また、前記のように、
図1においては、基地局10Aの通信エリアと基地局10Bの通信エリアとが重複した領域が、LCX50A、50Bが敷設された領域とされたが、実際の列車無線通信においては、より多くの基地局が設けられる。こうした場合においても、隣接する2つの基地局間において
図1と同様の構成を実現することが可能である。すなわち、基地局を2つ以上有する場合には、隣接する2つの基地局間において上記の構成を適用することができ、これらの間で使用される漏洩同軸ケーブルの障害を基地局側から迅速に認識することができる。
【0030】
また、上記の例では、中央装置100から移動局200に対して送信されるべき送信データが基地局10A、10Bに送信されることによってA系列信号(第1の信号)、B系列信号(第2の信号)が生成・送信され、これを用いてLCX50A、50Bの障害が検知されるものとした。しかしながら、例えば中央装置100から受信した送信データによらずに、各基地局が漏洩同軸ケーブルの検査のためにおいてのみ上記と同様のA系列信号、B系列信号を発することによって上記と同様に漏洩同軸ケーブルの検査を行なってもよい。この場合においては、共通のデータで変調されたA系列信号、B系列信号が同時に送信される設定とすれば、上記の動作を同様に行わせることができる。
【0031】
以上、本発明を実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0032】
1 無線通信システム
10A 基地局(第1の基地局)
10B 基地局(第2の基地局)
11A、11B 制御部
12A、12B 送信部
13A、13B、16A、16B 受信部
14A、14B、17A、17B フィルタ
15A、15B サーキュレータ
50A、50B 漏洩同軸ケーブル(LCX)
100 中央装置
200 移動局