IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ミサワホーム株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-建物 図1
  • 特許-建物 図2
  • 特許-建物 図3
  • 特許-建物 図4
  • 特許-建物 図5
  • 特許-建物 図6
  • 特許-建物 図7
  • 特許-建物 図8
  • 特許-建物 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-05
(45)【発行日】2024-02-14
(54)【発明の名称】建物
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/02 20060101AFI20240206BHJP
   F24F 13/02 20060101ALI20240206BHJP
   F24F 13/068 20060101ALI20240206BHJP
   F24F 11/72 20180101ALI20240206BHJP
【FI】
E04H1/02
F24F13/02 C
F24F13/068
F24F11/72
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020165189
(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公開番号】P2022057103
(43)【公開日】2022-04-11
【審査請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】307042385
【氏名又は名称】ミサワホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】土屋 奈美子
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-105870(JP,A)
【文献】特開平06-229108(JP,A)
【文献】特開2017-176758(JP,A)
【文献】実開平01-092443(JP,U)
【文献】実開平01-119730(JP,U)
【文献】特開2009-068302(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0086980(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/02
E04F 19/08
F24F 13/02,13/068
F24F 11/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一部屋と前記第一部屋に隣り合って配置された第二部屋との境界部に設けられ、物品が収納される収納部を有する建物において、
前記収納部は、
前記収納部の外部から空気を取り込むための取込口と、
前記収納部の外部に空気を排出するための排出口と、
前記第一部屋側に開放された第一開口部と、
前記第一開口部を開閉する第一建具と、
前記第二部屋側に開放された第二開口部と、
前記第二開口部を開閉する第二建具と、を備えており、
前記取込口と前記排出口のうち一方は前記収納部の上部に配置され、他方は前記収納部の下部に配置されており、
可撓性を有するパッキン材が、前記第一開口部の縁部と前記第一建具との間に介在しているとともに、前記第二開口部の縁部と前記第二建具との間に介在しており、
前記収納部内には棚板が設けられ、
前記棚板は、前記第一建具と前記第二建具のうち一方の建具に接するとともに他方の建具との間に隙間を形成した状態で配置されており、
前記棚板と前記一方の建具との間にも前記パッキン材が介在していることを特徴とする建物。
【請求項2】
第一部屋と前記第一部屋に隣り合って配置された第二部屋との境界部に設けられ、物品が収納される収納部を有する建物において、
前記収納部は、
前記収納部の外部から空気を取り込むための取込口と、
前記収納部の外部に空気を排出するための排出口と、
前記第一部屋側に開放された第一開口部と、
前記第一開口部を開閉する第一建具と、
前記第二部屋側に開放された第二開口部と、
前記第二開口部を開閉する第二建具と、を備えており、
前記取込口と前記排出口のうち一方は前記収納部の上部に配置され、他方は前記収納部の下部に配置されており、
可撓性を有するパッキン材が、前記第一開口部の縁部と前記第一建具との間に介在しているとともに、前記第二開口部の縁部と前記第二建具との間に介在しており、
前記収納部内には、骨組みを構成する複数の軸材と、前記複数の軸材によって支持される棚板と、を有する収納ラックが設置されており、
前記収納部は、
前記棚板によって上下に仕切られた複数の第一収納領域と、
前記複数の第一収納領域に隣接するとともに前記複数の第一収納領域のそれぞれと空間的に連続し、かつ、前記収納部の上下方向に沿って長尺な第二収納領域と、
によって区分けされており、
前記取込口は、前記複数の第一収納領域における前記第二収納領域とは反対側の側方に位置し、前記排出口は、前記第二収納領域の上方又は下方に位置していることを特徴とする建物。
【請求項3】
第一部屋と前記第一部屋に隣り合って配置された第二部屋との境界部に設けられ、物品が収納される収納部を有する建物において、
前記収納部は、
前記収納部の外部から空気を取り込むための取込口と、
前記収納部の外部に空気を排出するための排出口と、
前記第一部屋側に開放された第一開口部と、
前記第一開口部を開閉する第一建具と、
前記第二部屋側に開放された第二開口部と、
前記第二開口部を開閉する第二建具と、を備えており、
前記取込口と前記排出口のうち一方は前記収納部の上部に配置され、他方は前記収納部の下部に配置されており、
可撓性を有するパッキン材が、前記第一開口部の縁部と前記第一建具との間に介在しているとともに、前記第二開口部の縁部と前記第二建具との間に介在しており、
前記収納部に面して前記収納部を囲む側壁と、
前記側壁における前記収納部側とは反対側に位置し、屋内の生活空間に露出しない空洞部と、を更に備えており、
前記側壁には前記取込口が形成され、当該取込口は、前記側壁を貫通して前記収納部と前記空洞部とを連通しており、
噴出口を有し、当該噴出口から空気を噴出可能に構成された空気噴出装置が、前記空洞部内に設置され、前記噴出口が、前記側壁における前記取込口に配置されていることを特徴とする建物。
【請求項4】
第一部屋と前記第一部屋に隣り合って配置された第二部屋との境界部に設けられ、物品が収納される収納部を有する建物において、
前記収納部は、
前記収納部の外部から空気を取り込むための取込口と、
前記収納部の外部に空気を排出するための排出口と、
前記第一部屋側に開放された第一開口部と、
前記第一開口部を開閉する第一建具と、
前記第二部屋側に開放された第二開口部と、
前記第二開口部を開閉する第二建具と、を備えており、
前記取込口と前記排出口のうち一方は前記収納部の上部に配置され、他方は前記収納部の下部に配置されており、
可撓性を有するパッキン材が、前記第一開口部の縁部と前記第一建具との間に介在しているとともに、前記第二開口部の縁部と前記第二建具との間に介在しており、
外壁に設けられて、前記排出口から前記収納部外に排出された空気を更に屋外に排出する動作が可能に構成された屋外排気部と、
室温と外気温に基づいて窓の開閉動作及び空調機器の制御を行い、屋内の環境調整を自動で行う環境調整手段と、
前記外壁の屋外側に設けられて周囲の気圧を検知する複数の気圧センサーと、を更に備えており、
前記環境調整手段は、前記屋外排気部の上方に位置し、屋内の空気を屋外に排出するための開閉可能な換気窓を有しており、
前記複数の気圧センサーは、前記屋外排気部の近傍に位置する第一気圧センサーと、前記換気窓の近傍に位置する第二気圧センサーと、を有することを特徴とする建物。
【請求項5】
請求項又はに記載の建物において、
前記収納部内には棚板が設けられ、
前記棚板は、当該棚板の下方空間と上方空間との間で通気可能に構成された構造を有することを特徴とする建物。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の建物において、
前記第一建具及び前記第二建具は、建具本体を構成する複数の建具用板材をそれぞれ有しており、これら複数の建具用板材間にも前記パッキン材が介在していることを特徴とする建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローリングストックが可能な収納部を有する建物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅のうち居室と当該居室に隣接する非居室との間に収納部を設け、非居室側から物品を収納し、居室側から物品を取り出せるようにすることでローリングストックを可能とする技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-069796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、屋外から持ち込まれて収納部に収納された物品には、例えば花粉や黄砂、ウイルス等の微細な付着物が付着していることがあり、近年、このような付着物に起因する健康被害が懸念されている。
また、収納部は締め切った状態で使われることが多く、収納した物品が埃を被らないようにすることができる反面、収納部内に湿気がこもりやすい場合があった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その課題は、収納した物品に付着した微細な付着物の除去や収納部内における湿気の排出を効率良く行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、例えば図~図に示すように、第一部屋2(玄関ホール2)と前記第一部屋2に隣り合って配置された第二部屋7(居室7)との境界部に設けられ、物品が収納される収納部10を有する建物において、
前記収納部10は、
前記収納部10の外部から空気を取り込むための取込口15と、
前記収納部10の外部に空気を排出するための排出口16と、
前記第一部屋2側に開放された第一開口部17と、
前記第一開口部17を開閉する第一建具18と、
前記第二部屋7側に開放された第二開口部19と、
前記第二開口部19を開閉する第二建具20と、を備えており、
前記取込口15と前記排出口16のうち一方は、他方よりも上方に配置されており、
可撓性を有するパッキン材Pが、前記第一開口部17の開口縁部と前記第一建具18との間に介在しているとともに、前記第二開口部19の開口縁部と前記第二建具20との間に介在しており、
前記収納部10内には棚板21が設けられ、
前記棚板21は、前記第一建具18と前記第二建具20のうち一方の建具に接するとともに他方の建具との間に隙間Sを形成した状態で配置されており、
前記棚板21と前記一方の建具との間にも前記パッキン材Pが介在していることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、収納部10は、第一部屋2側に開放された第一開口部と17、第一開口部17を開閉する第一建具18と、第二部屋7側に開放された第二開口部19と、第二開口部19を開閉する第二建具20と、を備えるので、第一部屋2と第二部屋7のうち一方から物品を収納し、他方から物品を取り出すローリングストックが可能となる。
また、収納部10は、収納部10の外部から空気を取り込むための取込口15と、収収納部10の外部に空気を排出するための排出口16と、を備えるので、取込口15から排出口16に向かう上下方向の空気の流れを形成することができる。これにより、収納部10内の空気を排出口16から排出できるので、物品に付着した微細な付着物や収納部10内における湿気を、空気と共に外部に排出しやすくなる。
さらに、可撓性を有するパッキン材Pが、第一開口部17の開口縁部と第一建具18との間に介在しているとともに、第二開口部19の開口縁部と第二建具20との間に介在しているので、第一建具18によって第一開口部17を閉塞し、第二建具20によって第二開口部19を閉塞すれば、収納部10内は外部に対して密閉された空間となる。これにより、収納部10内に形成された上下方向の空気の流れを強くすることができるので、物品に付着した微細な付着物の除去や収納部10内における湿気の排出を効率良く行うことができる。
また、収納部10内に設けられた棚板21は、第一建具18と第二建具20のうち一方の建具に接するとともに他方の建具との間に隙間Sを形成した状態で配置されており、棚板21と一方の建具との間にもパッキン材Pが介在しているので、収納部10内を流れる空気は、棚板21と他方の建具との間に形成された隙間Sを通ることになる。これにより、収納部10内を流れる空気は、斜めに流れることになるので、物品の上面に付着した微細な付着物の除去を効率良く行うことができる。また、棚板21が複数設けられていれば、収納部10内の空気の流れを、上向き又は下向きで、かつジグザグにすることができるので、収納部10内の空間を満遍なく通過することになり、微細な付着物の除去や収納部10内における湿気の排出をより効率良く行うことができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、例えば図に示すように、第一部屋2(玄関ホール2)と前記第一部屋2に隣り合って配置された第二部屋7(居室7)との境界部に設けられ、物品が収納される収納部30を有する建物において、
前記収納部30は、
前記収納部30の外部から空気を取り込むための取込口15と、
前記収納部30の外部に空気を排出するための排出口16と、
前記第一部屋2側に開放された第一開口部17と、
前記第一開口部17を開閉する第一建具18と、
前記第二部屋7側に開放された第二開口部19と、
前記第二開口部19を開閉する第二建具20と、を備えており、
前記取込口15と前記排出口16のうち一方は、他方よりも上方に配置されており、
可撓性を有するパッキン材Pが、前記第一開口部17の開口縁部と前記第一建具18との間に介在しているとともに、前記第二開口部19の開口縁部と前記第二建具20との間に介在しており、
前記収納部30内には、骨組みを構成する複数の軸材38a,38b,38cと、前記複数の軸材38a,38b,38cによって支持される棚板39と、を有する収納ラック37が設置されており、
前記収納部30は、
前記棚板39によって上下に仕切られた複数の第一収納領域A1と、
前記複数の第一収納領域A1に隣接するとともに前記複数の第一収納領域A1のそれぞれと空間的に連続し、かつ、前記収納部30の上下方向に沿って長尺な第二収納領域A2と、
によって区分けされており、
前記取込口35は、前記複数の第一収納領域A1における前記第二収納領域A2とは反対側の側方に位置し、前記排出口36は、前記第二収納領域A2の上方又は下方に位置していることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、収納部30は、第一部屋2側に開放された第一開口部と17、第一開口部17を開閉する第一建具18と、第二部屋7側に開放された第二開口部19と、第二開口部19を開閉する第二建具20と、を備えるので、第一部屋2と第二部屋7のうち一方から物品を収納し、他方から物品を取り出すローリングストックが可能となる。
また、収納部30は、収納部30の外部から空気を取り込むための取込口15と、収収納部30の外部に空気を排出するための排出口16と、を備えるので、取込口15から排出口16に向かう上下方向の空気の流れを形成することができる。これにより、収納部30内の空気を排出口16から排出できるので、物品に付着した微細な付着物や収納部30内における湿気を、空気と共に外部に排出しやすくなる。
さらに、可撓性を有するパッキン材Pが、第一開口部17の開口縁部と第一建具18との間に介在しているとともに、第二開口部19の開口縁部と第二建具20との間に介在しているので、第一建具18によって第一開口部17を閉塞し、第二建具20によって第二開口部19を閉塞すれば、収納部30内は外部に対して密閉された空間となる。これにより、収納部30内に形成された上下方向の空気の流れを強くすることができるので、物品に付着した微細な付着物の除去や収納部30内における湿気の排出を効率良く行うことができる。
また、収納ラック37は、骨組みを構成する複数の軸材38a,38b,38cと、複数の軸材38a,38b,38cによって支持される棚板39と、を有するので、収納部30内の空気は、棚板39の上面及び下面に沿って流通可能であるとともに、骨組みの隙間を流通可能である。
そして、収納部30は、棚板39によって上下に仕切られた複数の第一収納領域A1と、複数の第一収納領域A1に隣接するとともに複数の第一収納領域A1のそれぞれと空間的に連続し、かつ、収納部30の上下方向に沿って長尺な第二収納領域A2と、によって区分けされており、取込口35は、複数の第一収納領域A1における第二収納領域A2とは反対側の側方に位置し、排出口36は、第二収納領域A2の上方又は下方に位置しているので、取込口35から収納部30内に取り込まれた空気は、複数の第一収納領域A1を通って第二収納領域A2に到達し、そこから更に上昇又は下降して排出口36から外部に排出されることとなる。すなわち、収納部30内の空気の流れが途中から、横方向から排出口36に向かって上下方向に変更されることになるので、収納部30内の空間を満遍なく通過することになり、微細な付着物の除去や収納部30内における湿気の排出をより効率良く行うことができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、例えば図に示すように、第一部屋2(玄関ホール2)と前記第一部屋2に隣り合って配置された第二部屋7(居室7)との境界部に設けられ、物品が収納される収納部30を有する建物において、
前記収納部30は、
前記収納部30の外部から空気を取り込むための取込口15と、
前記収納部30の外部に空気を排出するための排出口16と、
前記第一部屋2側に開放された第一開口部17と、
前記第一開口部17を開閉する第一建具18と、
前記第二部屋7側に開放された第二開口部19と、
前記第二開口部19を開閉する第二建具20と、を備えており、
前記取込口15と前記排出口16のうち一方は、他方よりも上方に配置されており、
可撓性を有するパッキン材Pが、前記第一開口部17の開口縁部と前記第一建具18との間に介在しているとともに、前記第二開口部19の開口縁部と前記第二建具20との間に介在しており、
前記収納部30に面して前記収納部30を囲む側壁34(33)と、
前記側壁34における前記収納部30側とは反対側に位置し、屋内の生活空間に露出しない空洞部40と、を更に備えており、
前記側壁34には前記取込口35が形成され、当該取込口35は、前記側壁34を貫通して前記収納部30と前記空洞部40とを連通しており、
噴出口43を有し、当該噴出口43から空気を噴出可能に構成された空気噴出装置42が、前記空洞部40内に設置され、前記噴出口43が、前記側壁34における前記取込口35に配置されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、収納部30は、第一部屋2側に開放された第一開口部と17、第一開口部17を開閉する第一建具18と、第二部屋7側に開放された第二開口部19と、第二開口部19を開閉する第二建具20と、を備えるので、第一部屋2と第二部屋7のうち一方から物品を収納し、他方から物品を取り出すローリングストックが可能となる。
また、収納部30は、収納部30の外部から空気を取り込むための取込口15と、収収納部30の外部に空気を排出するための排出口16と、を備えるので、取込口15から排出口16に向かう上下方向の空気の流れを形成することができる。これにより、収納部30内の空気を排出口16から排出できるので、物品に付着した微細な付着物や収納部30内における湿気を、空気と共に外部に排出しやすくなる。
さらに、可撓性を有するパッキン材Pが、第一開口部17の開口縁部と第一建具18との間に介在しているとともに、第二開口部19の開口縁部と第二建具20との間に介在しているので、第一建具18によって第一開口部17を閉塞し、第二建具20によって第二開口部19を閉塞すれば、収納部30内は外部に対して密閉された空間となる。これにより、収納部30内に形成された上下方向の空気の流れを強くすることができるので、物品に付着した微細な付着物の除去や収納部30内における湿気の排出を効率良く行うことができる。
また、側壁34には取込口35が形成され、当該取込口35は、側壁34を貫通して収納部30と空洞部40とを連通しており、噴出口43から空気を噴出可能に構成された空気噴出装置42が、空洞部40内に設置され、噴出口43が、側壁34における取込口35に配置されているので、空気噴出装置42から収納部30内に向けて空気を勢いよく噴き出すことができる。これにより、物品に付着した微細な付着物を除去しやすくなるので、微細な付着物を効率良く排出することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、例えば図に示すように、第一部屋2(玄関ホール2)と前記第一部屋2に隣り合って配置された第二部屋7(居室7)との境界部に設けられ、物品が収納される収納部10を有する建物において、
前記収納部10は、
前記収納部10の外部から空気を取り込むための取込口15と、
前記収納部10の外部に空気を排出するための排出口16と、
前記第一部屋2側に開放された第一開口部17と、
前記第一開口部17を開閉する第一建具18と、
前記第二部屋7側に開放された第二開口部19と、
前記第二開口部19を開閉する第二建具20と、を備えており、
前記取込口15と前記排出口16のうち一方は、他方よりも上方に配置されており、
可撓性を有するパッキン材Pが、前記第一開口部17の開口縁部と前記第一建具18との間に介在しているとともに、前記第二開口部19の開口縁部と前記第二建具20との間に介在しており、
外壁50に設けられて、前記排出口16から前記収納部10外に排出された空気を更に屋外に排出する動作が可能に構成された屋外排気部51と、
室温と外気温に基づいて窓の開閉動作及び空調機器の制御を行い、屋内の環境調整を自動で行う環境調整手段と、
前記環境調整手段と通信可能に接続され、前記外壁50の屋外側に設けられて周囲の気圧を検知する複数の気圧センサーと、を更に備えており、
前記環境調整手段は、前記屋外排気部51の上方に位置し、屋内の空気を屋外に排出するための開閉可能な換気窓57を有しており、
前記複数の気圧センサーは、前記屋外排気部51の近傍に位置する第一気圧センサーと、前記換気窓57の近傍に位置する第二気圧センサーと、を有することを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、収納部10は、第一部屋2側に開放された第一開口部と17、第一開口部17を開閉する第一建具18と、第二部屋7側に開放された第二開口部19と、第二開口部19を開閉する第二建具20と、を備えるので、第一部屋2と第二部屋7のうち一方から物品を収納し、他方から物品を取り出すローリングストックが可能となる。
また、収納部10は、収納部10の外部から空気を取り込むための取込口15と、収収納部10の外部に空気を排出するための排出口16と、を備えるので、取込口15から排出口16に向かう上下方向の空気の流れを形成することができる。これにより、収納部10内の空気を排出口16から排出できるので、物品に付着した微細な付着物や収納部10内における湿気を、空気と共に外部に排出しやすくなる。
さらに、可撓性を有するパッキン材Pが、第一開口部17の開口縁部と第一建具18との間に介在しているとともに、第二開口部19の開口縁部と第二建具20との間に介在しているので、第一建具18によって第一開口部17を閉塞し、第二建具20によって第二開口部19を閉塞すれば、収納部10内は外部に対して密閉された空間となる。これにより、収納部10内に形成された上下方向の空気の流れを強くすることができるので、物品に付着した微細な付着物の除去や収納部10内における湿気の排出を効率良く行うことができる。
また、収納部10からの空気が、屋外排気部51から屋外に排出されたときに、屋外排気部51の上方に位置する換気窓57も開放されていて、なおかつ、屋外排気部51の近傍よりも換気窓57の近傍の方が気圧の低い状態にあると、収納部10から屋外排気部51を通じて屋外に排出された空気が、換気窓57から屋内に引き込まれてしまうような事態が発生する場合がある。これに対し、環境調整手段が、第一気圧センサー及び第二気圧センサーの検知結果に基づいて換気窓57の開閉動作の制御を行えば、収納部10から屋外排気部51を通じて屋外に排出された空気が、換気窓57から屋内に引き込まれてしまうような事態の発生を防ぐことができる。これにより、収納部10から排出した、付着物や湿気の混ざった空気を、屋外排気部51から確実に屋外に排出できて、その空気が屋内に再び引き込まれることを防ぐことができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、例えば図に示すように、請求項又はに記載の建物において、
前記収納部10内には棚板22が設けられ、
前記棚板22は、当該棚板22の下方空間と上方空間との間で通気可能に構成された構造を有することを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、収納部10内に設けられた棚板22は、当該棚板22の下方空間と上方空間との間で通気可能に構成された構造を有するので、収納部10内に形成された上下方向の空気の流れを、棚板22によって阻害することがなくなる。これにより、収納部10内を流れる空気は棚板22を通過して排出口16に向かうことになるので、棚板22の上面に埃等が溜まりにくくなる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、例えば図1~図4に示すように、請求項に記載の建物において、
前記第一建具18及び前記第二建具20は、建具本体を構成する複数の建具用板材をそれぞれ有しており、これら複数の建具用板材間にも前記パッキン材Pが介在していることを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、第一建具18及び第二建具20は、建具本体を構成する複数の建具用板材をそれぞれ有しており、これら複数の建具用板材間にもパッキン材Pが介在しているので、第一建具18によって第一開口部17を閉塞し、第二建具20によって第二開口部19を閉塞すれば、収納部10内の密閉性を向上できる。そのため、収納部10内に形成された上下方向の空気の流れをより強くすることができ、物品に付着した微細な付着物の除去や収納部10内における湿気の排出をより効率良く行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、収納した物品に付着した付着物の除去や収納部内における湿気の排出を効率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】収納部を有する建物を示す断面図である。
図2】収納部を有する建物を示す俯瞰図である。
図3】収納部を示す断面図である。
図4】収納部を示す断面図である。
図5】収納部の下端部における他の例を示す断面図である。
図6】他の例の収納部を示す断面図である。
図7】他の例の収納部を示す断面図である。
図8】他の例の収納部を示す断面図である。
図9】環境調整手段を備えた建物を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。なお、以下の実施形態及び図示例における方角は、あくまでも説明の便宜上設定したものである。
【0023】
図1図2は、物品が収納される収納部10を有し、複数階建てに構築された建物の一階を示している。
なお、本実施形態の建物は、壁や床、屋根といった建物の構成要素を予め工場にてパネル化しておき、施工現場でこれらのパネルを組み立てて構築するパネル工法で構築されるが、従来の軸組工法や壁式工法の木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造等の建物にも適用することができる。
また、このパネルとは、建築用パネルであり、図示はしないが、縦横の框材が矩形状に組み立てられるとともに、矩形枠の内部に補助桟材が縦横に組み付けられて枠体が構成され、この枠体の両面もしくは片面に、面材が貼設されたものであり、内部中空な構造となっている。さらに、その内部中空な部分には、通常、グラスウールやロックウール等の断熱材が装填されるものである。
【0024】
本実施形態の建物は、北側に玄関1が配置されている。そして、玄関1の南側に、玄関1よりも床面の高さが一段高い玄関ホール2が配置されている。
玄関1及び玄関ホール2の東側には、浴室3と洗面脱衣所4が配置されており、西側には、トイレ5が配置されている。また、トイレ5の西側には、階段6が設けられている。
玄関ホール2の南側には、収納部10を挟んで、リビングLとダイニングDとキッチンKの機能を一室に併存させた部屋7(以下、居室7)が配置されている。すなわち、収納部10は、玄関ホール2と、この玄関ホール2に隣り合って配置された居室7との境界部に設けられている。本実施形態においては、玄関ホール2が第一部屋とされ、居室7が第二部屋とされている。
階段6の西側であって、かつ居室7におけるリビングLの北側には、和室8が配置されている。
【0025】
収納部10の周囲には、収納部10を中心にして周回可能な動線が形成されている。換言すれば、収納部10の周囲にある壁に出入口9a,9b,9cが形成されている。
出入口9aは、玄関ホール2と洗面脱衣所4との間を行き来するための出入口である。
出入口9bは、玄関ホール2とダイニングDとの間を行き来するための出入口である。
出入口9cは、洗面脱衣所4とキッチンKとの間を行き来するための出入口である。
これらの出入口9a,9b,9cは、開き戸や引き戸等の建具によって開閉可能となっている。
【0026】
収納部10は、図3図4に示すように、一階の床と連続する床11と、一階の天井と連続する天井12と、床11と天井12との間に設けられた両側壁13,14と、に囲まれた空間を収納空間としている。
収納部10に収納される物品は、玄関ホール2側から収納されて、居室7側から取り出されるため、ローリングストックが可能となる。いわゆる先入れ先出しが可能となるので物品の劣化を防ぐことができる。
なお、収納部10に収納される物品は、食品や日用品が主として挙げられるが、これに限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。特に重量のある物品の場合は、玄関1から最短距離で収納できるので好ましい。また、宅配便の梱包を玄関ホール2で取り除き、中身の物品だけを収納することもできるので、梱包に付着した付着物を居室7側に持ち込まないようにすることができる。
【0027】
収納部10における床11は、一階の床と連続するとしたが、玄関ホール2と居室7の床高さが異なる場合は、いずれか一方の床と連続するものとする。
収納部10における天井12は、一階の天井と連続するとしたが、玄関ホール2と居室7の天井高さが異なる場合は、いずれか一方の床と連続するものとする。
なお、本実施形態においては、床11及び天井12の双方とも、玄関ホール2側の床及び天井に連続している。ただし、これに限られるものではなく、例えば、床11を玄関ホール2の床と連続するものとし、天井12を居室7の天井と連続するものとしてもよい。
【0028】
側壁13は、収納部10の西側に位置し、収納空間と玄関ホール2内の空間とを仕切っている。そして、平面視において当該側壁13と直交する壁に、上記の出入口9bが形成されている。
側壁14は、収納部10の東側に位置し、収納空間と洗面脱衣所4内の空間とを仕切っている。そして、当該側壁14に、上記の出入口9aが形成され、平面視において当該側壁14と直交する壁に、上記の出入口9cが形成されている。
両側壁13,14は、上下方向の寸法が等しく、平行かつ対向して配置されている。
また、側壁13,14は、上記の建築用パネルによって構成されており、図示はしないが、内部中空部を有するものとする。
【0029】
収納部10の収納空間は、上下が床11及び天井12によって規定され、左右(東西)が両側壁13,14によって規定される。
また、収納空間の奥行きは、一方の側壁13における幅寸法(南北方向の寸法)と略等しく設定されている。他方の側壁14は、屋内区間を間仕切る間仕切壁でもあるため、一方の側壁13と比較すると幅寸法(南北方向の寸法)が長い。そのため、他方の側壁14は、収納空間の奥行きを規定しない。ただし、当該側壁14が、間仕切壁として設けられない場合は、この限りではない。
【0030】
そして、このような収納部10は、図1図4に示すように、少なくとも収納部10の下端部に設けられた空気の取込口15と、収納部10の上端部に設けられた空気の排出口16と、玄関ホール2側に開放された第一開口部17と、第一開口部17を開閉する第一建具18と、居室7側に開放された第二開口部19と、第二開口部19を開閉する第二建具20と、を備える。
また、収納部10内には、収納空間を上下に仕切り、上面に物品が載せられる棚板21が設けられている。
【0031】
空気の取込口15は、床11に形成された貫通孔であり、床11の上方に位置する収納部10の収納空間と床下空間とを連通している。すなわち、本実施形態においては床下空間から空気を取り込んでいる(図9参照:床下空間53)。
取込口15には、図3に示すように、目の細かいメッシュ状に形成されて通気可能に構成されたカバー15aを取り付けることが望ましい。
なお、本実施形態においては、上記のように、取込口15が床11に形成されるものとしたが、これに限られるものではなく、例えば図5に示すように、側壁14(13)に形成されるものとしてもよい。この場合、取込口15は、建築用パネルである側壁14(13)の収納部10側の面材のみを貫通して形成されてもよいし、側壁14(13)の厚み方向に貫通形成されてもよい。
【0032】
空気の排出口16は、天井12に形成された貫通孔であり、天井12の下方に位置する収納部10の収納空間と天井裏空間とを連通している。すなわち、本実施形態においては天井裏空間に空気を排出している(図9参照:天井裏空間54)。
排出口16には、図3に示すように、目の細かいメッシュ状に形成されて通気可能に構成されたカバー16aを取り付けることが望ましい。
なお、本実施形態においては、上記のように、排出口16が天井12に形成されるものとしたが、これに限られるものではない。すなわち、図示はしないが、上記の取込口15と同様に、側壁14(13)に形成されるものとしてもよい。この場合、排出口16は、建築用パネルである側壁14(13)の収納部10側の面材のみを貫通して形成される。
本実施形態における排出口16の先には、建物の外壁に向かって伸びる排気ダクトと排気ファンが設けられ、収納部10から排出された空気を更に屋外に排出することができる(図9参照:排気ファン51、排気ダクト52)。排気ファンは24時間稼働することが可能となっている。
【0033】
第一開口部17は、収納部10における玄関ホール2側の開口部であり、床11と、天井12と、一方の側壁13における玄関ホール2側の縁部と、他方の側壁14と、によって矩形の開口枠を構成している。当該開口枠には、必要に応じて枠材が設けられてもよいし、第一建具18の開閉動作に必要な部材(例えばレールなど)が設けられてもよい。
第一建具18は、第一開口部17の開口枠内に納められて第一開口部17を開閉することが可能な建具であり、本実施形態においては二つの折戸が採用されている。折戸である第一建具18は、二枚の建具用板材によって構成されている。
なお、第一建具18の開閉方式は、上記の折戸に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0034】
第二開口部19は、収納部10における居室7側の開口部であり、床11と、天井12と、一方の側壁13における居室7側の縁部と、他方の側壁14と、によって矩形の開口枠を構成している。当該開口枠には、必要に応じて枠材が設けられてもよいし、第二建具20の開閉動作に必要な部材(例えばレールなど)が設けられてもよい。
第二建具20は、第二開口部19の開口枠内に納められて第二開口部19を開閉することが可能な建具であり、本実施形態においては引き違い戸が採用されている。引き違い戸である第二建具20は、二枚の建具用板材によって構成されている。
なお、第二建具20の開閉方式は、上記の引き違い戸に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
また、本実施形態においては、第一開口部17と第二開口部19の開口面積は等しい。
【0035】
棚板21は、上面に物品が載置される板材であり、両側壁13,14間に架け渡されて設けられている。本実施形態においては、複数の棚板21が上下に間隔を空けて配置されている。
また、棚板21は、図3図4に示すように、第一建具18と第二建具20のうち一方の建具に接するとともに他方の建具との間に隙間Sを形成した状態で配置されている。このように棚板21を配置した場合、隙間Sは空気の通り道となる。図示例では、最上段と最下段の棚板21は、第一建具18に接するとともに第二建具20との間に隙間Sを形成した状態で配置され、真ん中の棚板21は、第二建具20に接するとともに第一建具18との間に隙間Sを形成した状態で配置されている。
なお、図5に示すように、側壁14(13)に対して空気の取込口15又は排出口16が形成される場合、棚板21は、取込口15又は排出口16を避けて配置されることが好ましいが、これに限られるものではなく、取込口15又は排出口16を避けずに配置されてもよい。
【0036】
以上のような収納部10には、排出口16から空気をより効率良く排出するために、第一開口部17及び第二開口部19を閉塞したときに高い密閉性が求められている。そのため、図3図4に示すように、第一建具18及び第二建具20の開閉動作を妨げない位置であって、かつ、隙間が生じやすい位置に、可撓性を有するパッキン材Pがそれぞれ設けられている。
なお、パッキン材Pとしては、例えばゴムやその他の樹脂によって構成されたものや、その他の材質によって構成されたものが適宜採用される。材質の採用に当たっては、空気の遮蔽性や、第一建具18及び第二建具20の開閉動作を妨げない程度の弾力性が特に重視されるものとする。
また、このようなパッキン材Pを取り付ける場合は、必要に応じて、各建具18,20や棚板21などに取り付け用の溝を加工したり、固定具の留め穴を形成したりする。
【0037】
パッキン材Pの取り付け箇所について、より具体的に説明すると、パッキン材Pは、まず、第一開口部17の開口縁部(上記の開口枠)と第一建具18との間に介在しているとともに、第二開口部19の開口縁部と第二建具20との間に介在して設けられている。
より詳細には、パッキン材Pは、第一建具18及び第二建具20における上縁と両側縁に設けられ、各開口部17,19の開口縁部と各建具18,20との間の隙間を塞いでいる。折戸である第一建具18の場合は、折戸同士の間の隙間も塞いでいる。
【0038】
また、パッキン材Pは、第一建具18及び第二建具20をそれぞれ構成する複数の建具用板材間にも介在して設けられている。
より詳細には、折戸である第一建具18の場合、パッキン材Pは、折戸を構成する二枚の建具用板材の隣り合う側端部にそれぞれ設けられている。
さらに、引き違い戸である第二建具20の場合、パッキン材Pは、引き違い戸を構成する二枚の建具用板材のうち、第二開口部19の閉塞時において互いに隣接する側端部にそれぞれ設けられている。
【0039】
さらに、パッキン材Pは、棚板21と、この棚板21が接する建具(第一建具18と第二建具20のいずれか一方)との間にも介在して設けられている。
より詳細には、最上段と最下段の棚板21の場合は、第一建具18側の端部にパッキン材Pが設けられ、真ん中の棚板21の場合は、第二建具20側の端部にパッキン材Pが設けられている。
【0040】
なお、本実施形態においては、第一建具18及び第二建具20の下縁にはパッキン材Pが設けられておらず、収納部10内に空気を引き込めるようになっている。第一建具18及び第二建具20の下縁側から空気が入ることにより、空気の取込口15のみから空気を取り込むよりも、より広い範囲から空気が集まることになるので、収納部10の下端部において埃や湿気等が滞留しにくくなる。
【0041】
以上のように構成された収納部10では、まず、取込口15及び第一建具18及び第二建具20の下縁側から空気が取り込まれる。
取り込まれた空気は上昇し、最下段の棚板21と第二建具20との間の隙間Sを通って更に上昇する。
最下段の棚板21よりも上方に上昇した空気は、続いて真ん中の棚板21と第一建具18との間の隙間Sを通って更に上昇する。
真ん中の棚板21よりも上方に上昇した空気は、続いて最上段の棚板21と第二建具20との間の隙間Sを通って更に上昇する。
最上段の棚板21よりも上方に上昇した空気は、空気の排出口16に向かって更に上昇し、排出口16から収納部10外に排出される。収納部10外に排出された空気は、上記の排気ダクトを通って更に屋外に排出される。
床11の上面、複数の棚板21の上面に物品が載置されて収納されていた場合は、取込口15から排出口16に向かう空気が、物品の下面を除く物品の表面に沿って流れることになる。
また、第一開口部17又は第二開口部19が開放されている状態では、空気の排出量は低下するため、第一開口部17及び第二開口部19は日常的に閉塞されており、必要に応じて開放される。
なお、本実施形態においては、排出口16が取込口15よりも上方に位置しているため、収納部10内を流れる空気が上向きとなっているが、取込口15と排出口16の上下の位置関係を反対にし、収納部10内の空気の流れを下向きにしてもよいものとする。
【0042】
本実施形態によれば、収納部10は、玄関ホール2側に開放された第一開口部と17、第一開口部17を開閉する第一建具18と、居室7側に開放された第二開口部19と、第二開口部19を開閉する第二建具20と、を備えるので、玄関ホール2と居室7のうち一方から物品を収納し、他方から物品を取り出すローリングストックが可能となる。
また、収納部10は、少なくとも収納部10の下端部に設けられた空気の取込口15と、収納部10の上端部に設けられた空気の排出口16と、を備えるので、空気を下方から上方に向かって吸い上げることで収納部10内に上向きの空気の流れを形成することができる。これにより、収納部10内の空気を排出口16から排出できるので、収納部10の床11や収納した物品の上面に埃等が溜まりにくくなるとともに、物品に付着した微細な付着物や収納部10内における湿気を、空気と共に外部に排出しやすくなる。
さらに、可撓性を有するパッキン材Pが、第一開口部17の開口縁部と第一建具18との間に介在しているとともに、第二開口部19の開口縁部と第二建具20との間に介在しているので、第一建具18によって第一開口部17を閉塞し、第二建具20によって第二開口部19を閉塞すれば、収納部10内は外部に対して密閉された空間となる。これにより、収納部10内に形成された上向きの空気の流れを強くすることができるので、物品に付着した微細な付着物の除去や収納部10内における湿気の排出を効率良く行うことができる。
【0043】
また、第一建具18及び第二建具20は、建具本体を構成する複数の建具用板材をそれぞれ有しており、これら複数の建具用板材間にもパッキン材Pが介在しているので、第一建具18によって第一開口部17を閉塞し、第二建具20によって第二開口部19を閉塞すれば、収納部10内の密閉性を向上できる。そのため、収納部10内に形成された上向きの空気の流れをより強くすることができ、物品に付着した微細な付着物の除去や収納部10内における湿気の排出をより効率良く行うことができる。
【0044】
また、収納部10内に設けられた棚板21は、第一建具18と第二建具20のうち一方の建具に接するとともに他方の建具との間に隙間Sを形成した状態で配置されており、棚板21と一方の建具との間にもパッキン材Pが介在しているので、収納部10内を流れる上向きの空気は、棚板21と他方の建具との間に形成された隙間Sを通ることになる。これにより、収納部10内を流れる上向きの空気は、斜め上に流れることになるので、物品の上面に付着した微細な付着物の除去を効率良く行うことができる。また、棚板21が複数設けられていることから、収納部10内の空気の流れを、上向きで、かつジグザグにすることができるので、収納部10内の空間を満遍なく通過することになり、微細な付着物の除去や収納部10内における湿気の排出をより効率良く行うことができる。
【0045】
〔変形例〕
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。以下、変形例について説明する。以下に挙げる変形例は可能な限り組み合わせてもよい。また、以下の各変形例において、上述の実施形態と共通する要素については、共通の符号を付し、説明を省略又は簡略する。
【0046】
〔変形例1〕
上記の実施形態において、棚板21は単なる板材とされていたが、本変形例における棚板22は、図6に示すように、当該棚板22の下方空間と上方空間との間で通気可能に構成された構造を有する。
より具体的に説明すると、棚板22における通気可能に構成された構造とは、通気が可能な孔構造であり、その孔構造は、パンチング加工やメッシュ加工を始めとする様々な構造の孔を採用でき、物品の載置に問題が生じない範囲で適宜変更可能である。なお、本変形例においてはパンチング孔が多数形成された状態となっている。
【0047】
さらに、棚板22は、両側壁13,14間に架け渡されて設けられている。本実施形態においては、複数の棚板22が上下に間隔を空けて配置されている。これら複数の棚板22は、第一建具18と第二建具20の双方に接するように奥行寸法が設定されている。
【0048】
本変形例によれば、収納部10内に設けられた棚板22は、当該棚板22の下方空間と上方空間との間で通気可能に構成された構造を有するので、収納部10内に形成された上向きの空気の流れを、棚板22によって阻害することがなくなる。これにより、収納部10内を流れる上向きの空気は棚板22を通過して排出口16に向かうことになるので、棚板22の上面に埃等が溜まりにくくなるとともに、棚板22の下面に微細な付着物が付着しにくくなる。また、棚板22の上面に物品を載せても、当該物品を避けて空気を上昇させることができる。
【0049】
〔変形例2〕
本変形例における収納部30は、第一部屋(例えば玄関ホール)と第一部屋に隣り合って配置された第二部屋(例えば居室)との境界部に設けられており、図7に示すように、床31と、天井32と、床31と天井32との間に設けられた両側壁33,34と、に囲まれた空間を収納空間としている。
【0050】
両側壁33,34は、上下方向の寸法が等しく、平行かつ対向して配置されている。また、側壁33,34は、上記の建築用パネルによって構成されており、図示はしないが、内部中空部を有するものとする。
【0051】
収納部30の奥行方向一方側には、第一部屋側に開放された第一開口部と、この第一開口部を開閉する第一建具と、が設けられている。また、奥行方向他方側には、第二部屋側に開放された第二開口部と、この第二開口部を開閉する第二建具と、が設けられている。
【0052】
収納部30における取込口35は、収納部30の下端部だけでなく、収納部30の上下方向に間隔を空けて複数設けられている。また、これら複数の取込口35は、側壁34に形成されている。
また、収納部30における排出口36は、収納部30の上端部に設けられている。具体的には、天井32に設けられている。
【0053】
収納部30内には、骨組みを構成する複数の軸材38a,38b,38cと、複数の軸材38a,38b,38cによって支持される棚板39と、を有する収納ラック37が設置されている。
複数の軸材38a,38b,38cには、収納部30の上下方向に沿って長尺な複数の縦軸材38aと、複数の縦軸材38aに架け渡されて設けられた複数の横軸材38bと、衣類用のハンガー等が引っ掛けられる引掛用軸材38cと、が含まれている。
棚板39は、複数の横軸材38bの上に載せられて支持されている。
【0054】
収納ラック37が設置された収納部30は、棚板39によって上下に仕切られた複数の第一収納領域A1と、複数の第一収納領域A1に隣接するとともに複数の第一収納領域A1のそれぞれと空間的に連続し、かつ、収納部30の上下方向に沿って長尺な第二収納領域A2と、によって区分けされている。
【0055】
収納部30の上下方向に間隔を空けて設けられた複数の取込口35は、複数の第一収納領域A1における第二収納領域A2とは反対側の側方に位置している。
収納部30の上端部に設けられた排出口36は、第二収納領域A2の上方に位置している。
【0056】
本変形例における収納部30では、まず、複数の取込口15及び第一建具及び第二建具の下縁側から空気が取り込まれる。
取り込まれた空気は、第一収納領域A1内をやや上昇しながら横方向に進み、第二収納領域A2へと向かっていく。
第二収納領域A2に到達した空気は、第二収納領域A2に沿って上昇して排出口36へと向かい、排出口36から収納部30外に排出される。収納部30外に排出された空気は、上記の排気ダクトを通って更に屋外に排出される。
床31の上面、複数の棚板39の上面に物品が載置されて収納されていた場合は、取込口35から排出口36に向かう空気が、物品の下面を除く物品の表面に沿って流れることになる。
【0057】
取込口35から取り込む空気は、排出ダクトの奥に設けられた排気ファンによって排出口36に向かって引っ張られるため、ある程度の勢いを有してはいるものの、物品に付着した付着物をより効果的に除去したい場合は、流れる空気の勢いを強くする必要がある。
そのため、本変形例においては、側壁34の裏側に設けられた空洞部40に、収納部30内に向かって空気を勢いよく噴出する空気噴出装置42が用いられている。
【0058】
より詳細に説明すると、まず、空洞部40は、側壁34における収納部30側とは反対側に位置し、屋内の生活空間に露出しない空間を指している。空洞部40は、側壁34と、この側壁34に平行かつ対向する対向壁41と、これら側壁34及び対向壁41と直交する直交壁(図示省略)と、によって断面矩形状の空間として構成されている。なお、床31や天井32は、収納部30と共有している。
このような空洞部40は、本来、デッドスペースやパイプスペース、壁量確保のためなどに用いられるが、内部に空気噴出装置42が設けられるので、屋内スペースの有効活用に貢献できる。
さらに、側壁34に形成された複数の取込口35は、側壁34を貫通して収納部30と空洞部40とを連通している。
【0059】
空気噴出装置42は、複数の噴出口43を有し、当該複数の噴出口43から空気を噴出可能に構成されている。
そして、このような空気噴出装置42は、複数の噴出口43が側壁34側に向けられた状態で空洞部40内に設置され、複数の噴出口43が、側壁34における複数の取込口35に配置されている。
したがって、空気噴出装置42における複数の噴出口43から噴出した空気を、複数の取込口35を通じて収納部30内に流入させることができる。すなわち、収納部30は、空気噴出装置42からの勢いの強い空気を取り込むことができる。取り込まれた空気は、第一収納領域A1内を横方向に進み、第二収納領域A2へと向かっていく。
第二収納領域A2に到達した空気は、第二収納領域A2に沿って上昇し、排出口36から収納部30外に排出されることになる。
【0060】
本変形例によれば、収納ラック37は、骨組みを構成する複数の軸材38a,38b,38cと、複数の軸材38a,38b,38cによって支持される棚板39と、を有するので、収納部30内の空気は、棚板39の上面及び下面に沿って流通可能であるとともに、骨組みの隙間を流通可能である。
そして、収納部30は、棚板39によって上下に仕切られた複数の第一収納領域A1と、複数の第一収納領域A1に隣接するとともに複数の第一収納領域A1のそれぞれと空間的に連続し、かつ、収納部30の上下方向に沿って長尺な第二収納領域A2と、によって区分けされており、取込口35は、複数の第一収納領域A1における第二収納領域A2とは反対側の側方に位置し、排出口36は、第二収納領域A2の上方に位置しているので、取込口35から収納部30内に取り込まれた空気は、複数の第一収納領域A1を通って第二収納領域A2に到達し、そこから更に上昇して排出口36から外部に排出されることとなる。すなわち、収納部30内の空気の流れが途中から、横方向から排出口36に向かって上向きに変更されることになるので、収納部30内の空間を満遍なく通過することになり、微細な付着物の除去や収納部30内における湿気の排出をより効率良く行うことができる。
【0061】
さらに、側壁34には取込口35が形成され、当該取込口35は、側壁34を貫通して収納部30と空洞部40とを連通しており、噴出口43から空気を噴出可能に構成された空気噴出装置42が、空洞部40内に設置され、噴出口43が、側壁34における取込口35に配置されているので、空気噴出装置42から収納部30内に向けて空気を勢いよく噴き出すことができる。これにより、物品に付着した微細な付着物を除去しやすくなるので、微細な付着物を効率良く排出することができる。
【0062】
〔変形例3〕
本変形例における収納部10は、上記の実施形態と同様に、玄関ホール2と居室7との境界部に設けられている。ただし、上記の実施形態では、玄関ホール2の東側には浴室3と洗面脱衣所4が配置されていたが、本変形例においては、図8に示すように、玄関ホール2の東側は屋外ODとなっている。そのため、側壁14は、間仕切壁ではなく、外壁となっている。
【0063】
そして、本変形例における側壁14には、収納部10の収納空間と屋外ODとを連通する屋外側開口部140が形成されている。これにより、屋外ODから収納部10内に物品を収納することができる。
また、側壁14には、屋外側開口部140を開閉する屋外用建具141が設けられている。屋外用建具141は、本変形例においては片開き戸が採用されているが、開閉方式はこれに限られるものではない。ただし、屋外ODに配置された建具であるため、堅牢性や防水性、防犯性について十分に配慮された機能を有するものとする。例えば、材質を金属とすることで堅牢性を高めたり、側壁14に接する部位に止水パッキンを設けて防水性を高めたり、施錠できるようにして防犯性を高めるなどの工夫がなされる。
【0064】
本変形例によれば、屋外ODから物品を収納できるので、物品を収納するにあたって玄関1や玄関ホール2を経由することがなくなる。これにより、宅配便などで運ばれてきた物品を直接収納したり、買い物してきた物品を直接収納したりすることができる。また、物品に付着した付着物が屋内に落ちることを防ぐことができる。
【0065】
〔変形例4〕
本変形例における建物は、図9に示すように、外壁50に設けられて、排出口16から収納部10外に排出された空気を更に屋外に排出する動作が可能に構成された屋外排気部51と、室温と外気温に基づいて窓の開閉動作及び空調機器の制御を行い、屋内の環境調整を自動で行う環境調整手段と、環境調整手段と通信可能に接続され、外壁50の屋外側に設けられて周囲の気圧を検知する複数の気圧センサーと、を備えている。
【0066】
屋外排気部51は、排気ファン51(換気扇)であり、外壁50に設けられている。外壁50には、屋外排気部51を設置するための開口が形成されている。その開口と、収納部10における排出口16とが、天井裏空間54に配管された排気ダクト52によって空気流通可能に連結されている。すなわち、収納部10における排出口16から排気ダクト52に通された空気は、排気ファン51によって引っ張られて流れ、屋外に排出される。
【0067】
さらに、本変形例における建物は、天井裏空間54に設置された24時間稼働可能な換気装置55を備える。換気装置55は、複数の部屋に伸びる複数の通気ダクト56を有しており、そのうちの一本が、床下空間53まで伸びている。したがって、取込口15から収納部10に取り込まれる空気を、換気装置55から確実に供給することができる。
なお、換気装置55から伸びる通気ダクト56の下端部は、床下空間53に配置しているが、収納部10における側壁13,14の内部中空部に配置してもよい。
【0068】
環境調整手段は、屋内の空気を屋外に排出するための開閉可能な換気窓57を有する。換気窓57は、外壁50に設けられ、排気ファン51の上方に位置している。なお、この換気窓57は高窓であり、建物の二階における部屋の高い位置に設けられている。
また、環境調整手段は、屋外の空気を屋内に取り入れるための開閉可能な地窓58を有する。この地窓58は、建物の一階における部屋の低い位置に設けられている。
これら換気窓57及び地窓58は、環境調整手段における制御部によって開閉動作が制御可能となっている。
また、高窓である換気窓57と地窓58は、同一垂直面上に位置する外壁に対して設けられるよりも、対向する外壁に対して設けられる方が好ましい。地窓58から取り入れられた空気は、建物内の階段室や吹抜などを抜けて二階に達し、更に換気窓57から屋外に排出される。図9における矢印Vは、このような環境調整手段による空気の流れを示している。
【0069】
環境調整手段は、空調機器として、空気の流れを制御するためにシーリングファンや換気扇を備えるものとし、これらシーリングファンや換気扇の動作も、換気窓57及び地窓58と同様、環境調整手段における制御部によって制御可能となっている。
さらに、環境調整手段は、部屋に設置されたエアコン(空調機器)の制御も可能となっており、通気だけでなく、室温のコントロールも可能となっている。
【0070】
そして、外壁50の屋外側に設けられた複数の気圧センサーは、排気ファン51の近傍に位置する第一気圧センサーと、換気窓57の近傍に位置する第二気圧センサーと、を有する。これら第一気圧センサー及び第二気圧センサーは、環境調整手段と通信可能に接続されているため、環境調整手段は、検知結果を取得することが可能となっている。
ここで、収納部10からの空気が、屋外排気部51から屋外に排出されたときに、屋外排気部51の上方に位置する換気窓57も開放されていて、なおかつ、屋外排気部51の近傍よりも換気窓57の近傍の方が気圧の低い状態にあると、収納部10から屋外排気部51を通じて屋外に排出された空気が、換気窓57から屋内に引き込まれてしまうような事態が発生する場合がある。
これに対し、環境調整手段が、第一気圧センサー及び第二気圧センサーの検知結果に基づいて換気窓57の開閉動作の制御を行えば、収納部10から屋外排気部51を通じて屋外に排出された空気が、換気窓57から屋内に引き込まれてしまうような事態の発生を防ぐことができる。
【0071】
本変形例によれば、収納部10から排出した、付着物や湿気の混ざった空気を、屋外排気部51から確実に屋外に排出できて、その空気が屋内に再び引き込まれることを防ぐことができる。したがって、屋内を清浄に保つことができるので好ましい。
【符号の説明】
【0072】
1 玄関
2 玄関ホール
7 居室
10 収納部
11 床
12 天井
13 側壁
14 側壁
15 取込口
16 排出口
17 第一開口部
18 第一建具
19 第二開口部
20 第二建具
21 棚板
P パッキン材
S 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9