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特許7431147情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-05
(45)【発行日】2024-02-14
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/01 20060101AFI20240206BHJP
   G08G 1/13 20060101ALI20240206BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20240206BHJP
   G08G 1/0969 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
G08G1/01 A
G08G1/13
G01C21/26 A
G08G1/0969
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020200470
(22)【出願日】2020-12-02
(65)【公開番号】P2022088175
(43)【公開日】2022-06-14
【審査請求日】2022-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】501271479
【氏名又は名称】株式会社トヨタマップマスター
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 康博
(72)【発明者】
【氏名】藤森 一憲
(72)【発明者】
【氏名】山田 卓司
(72)【発明者】
【氏名】岡 尚哉
(72)【発明者】
【氏名】山下 由美子
(72)【発明者】
【氏名】木村 奈昌
【審査官】西畑 智道
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-107365(JP,A)
【文献】特開2016-085080(JP,A)
【文献】特開2016-149015(JP,A)
【文献】特開2009-080659(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の地点を走行した複数の車両から、前記地点における走行環境を示すプローブデータを受信することと、
前記プローブデータに基づいて、前記地点を通過する他車両向けの情報として、車両の属性に応じた走行危険度を、前記車両の属性ごとに決定することと、
前記決定した走行危険度に基づいて、所定の属性を有する車両が通過した場合における走行危険度が閾値を超えるエリアである第一のエリアを判定することと、
前記第一のエリア内を過去に通過した交通流に関するデータを前記車両の属性ごとに取得することと、
前記過去の交通流に基づいて、前記第一のエリアを迂回する車両による影響を受け渋滞が発生するエリアである第二のエリアを前記車両の属性ごとに推定することと、
前記第一のエリアおよび前記第二のエリアを道路地図上にマッピングするマップデータを前記車両の属性ごとに生成することと、
を実行する制御部を有する、情報処理装置。
【請求項2】
所定の地点を走行した複数の車両から、前記地点における走行環境を示すプローブデータを受信することと、
前記プローブデータに基づいて、前記地点を通過する他車両向けの情報として、車両の属性に応じた走行危険度を、前記車両の属性ごとに決定することと、
前記決定した走行危険度に基づいて、所定の属性を有する車両が通過した場合における走行危険度が閾値を超えるエリアである第一のエリアが発生することを予測することと、
前記第一のエリア内を過去に通過した交通流に関するデータを前記車両の属性ごとに取得することと、
前記過去の交通流に基づいて、前記第一のエリアを迂回する車両による影響を受け渋滞が発生するエリアである第二のエリアを前記車両の属性ごとに推定することと、
前記第一のエリアおよび前記第二のエリアを道路地図上にマッピングするマップデータを前記車両の属性ごとに生成することと、
を実行する制御部を有する、情報処理装置。
【請求項3】
複数の道路セグメントを定義するデータを記憶する記憶部をさらに有し、
前記制御部は、前記複数の道路セグメントのそれぞれに対応する地点において生成された前記プローブデータに基づいて、前記複数の道路セグメントのそれぞれについて、前記走行危険度決定する、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記プローブデータは、前記地点における冠水の度合いに関するデータを含み、
前記制御部は、前記冠水の度合いに基づいて、前記走行危険度を決定する、
請求項1からのいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記属性は、前記車両の車格または最低地上高であり、
前記制御部は、前記車両の車格または最低地上高ごとに前記走行危険度を決定する、
請求項1からのいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記プローブデータは、前記地点における積雪または路面凍結の度合いに関するデータを含み、
前記制御部は、前記積雪または路面凍結の度合いに基づいて、前記走行危険度を決定する、
請求項から5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記属性は、前記車両が有するタイヤの種類であり、
前記制御部は、前記車両が有するタイヤの種類ごとに前記走行危険度を決定する、
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記プローブデータは、前記車両の属性に関する情報と、前記車両に発生した特定の挙動に関する情報を含み、
前記制御部は、属性が異なる複数の車両が前記地点をそれぞれ通過した場合における前記走行危険度を、前記属性ごとに決定する、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記特定の挙動は、スリップであり、
前記属性は、前記車両が有するタイヤの種類である、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記プローブデータは、前記車両に対して行われた運転操作に関する情報と、前記運転操作に起因して発生した挙動に関する情報を含み、
前記制御部は、特定の運転操作を行った場合における走行危険度を決定する、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項11】
情報処理装置と、複数の車載装置と、を含む情報処理システムであって、
前記複数の車載装置のそれぞれは、
所定の地点における走行環境を示すプローブデータを生成することと、
前記プローブデータを前記情報処理装置に送信することと、
前記情報処理装置から、走行関連情報を含むマップデータを受信し、出力することと、
を実行する第一の制御部を有し、
前記情報処理装置は、
前記複数の車載装置のそれぞれから前記プローブデータを受信することと、
前記プローブデータに基づいて、前記地点を通過する他車両向けの情報として、車両の属性に応じた走行危険度を、前記車両の属性ごとに決定することと、
前記決定した走行危険度に基づいて、所定の属性を有する車両が通過した場合における走行危険度が閾値を超えるエリアである第一のエリアを判定することと、
前記第一のエリア内を過去に通過した交通流に関するデータを前記車両の属性ごとに取得することと、
前記過去の交通流に基づいて、前記第一のエリアを迂回する車両による影響を受け渋滞が発生するエリアである第二のエリアを前記車両の属性ごとに推定することと、
前記第一のエリアおよび前記第二のエリアを道路地図上にマッピングし、前記マップデータを生成することと
記マップデータを、前記複数の車載装置に送信することと、
を実行する第二の制御部を有する、情報処理システム。
【請求項12】
情報処理装置と、複数の車載装置と、を含む情報処理システムであって、
前記複数の車載装置のそれぞれは、
所定の地点における走行環境を示すプローブデータを生成することと、
前記プローブデータを前記情報処理装置に送信することと、
前記情報処理装置から、走行関連情報を含むマップデータを受信し、出力することと、
を実行する第一の制御部を有し、
前記情報処理装置は、
前記複数の車載装置のそれぞれから前記プローブデータを受信することと、
前記プローブデータに基づいて、前記地点を通過する他車両向けの情報として、車両の属性に応じた走行危険度を、前記車両の属性ごとに決定することと、
前記決定した走行危険度に基づいて、所定の属性を有する車両が通過した場合における走行危険度が閾値を超えるエリアである第一のエリアが発生することを予測することと、
前記第一のエリア内を過去に通過した交通流に関するデータを前記車両の属性ごとに取得することと、
前記過去の交通流に基づいて、前記第一のエリアを迂回する車両による影響を受け渋滞が発生するエリアである第二のエリアを前記車両の属性ごとに推定することと、
前記第一のエリアおよび前記第二のエリアを道路地図上にマッピングし、前記マップデータを生成することと、
前記マップデータを、前記複数の車載装置に送信することと、
を実行する第二の制御部を有する、情報処理システム。
【請求項13】
前記第二の制御部は、車両が有する属性ごとに、前記マップデータを生成し、
前記第一の制御部は、自車両の属性と合致する前記マップデータを出力の対象とする、
請求項11または12に記載の情報処理システム。
【請求項14】
所定の地点を走行した複数の車両から、前記地点における走行環境を示すプローブデータを受信するステップと、
前記プローブデータに基づいて、前記地点を通過する他車両向けの情報として、車両の属性に応じた走行危険度を、前記車両の属性ごとに決定するステップと、
前記決定した走行危険度に基づいて、所定の属性を有する車両が通過した場合における走行危険度が閾値を超えるエリアである第一のエリアを判定するステップと、
前記第一のエリア内を過去に通過した交通流に関するデータを前記車両の属性ごとに取得するステップと、
前記過去の交通流に基づいて、前記第一のエリアを迂回する車両による影響を受け渋滞が発生するエリアである第二のエリアを前記車両の属性ごとに推定するステップと、
前記第一のエリアおよび前記第二のエリアを道路地図上にマッピングするマップデータを前記車両の属性ごとに生成するステップと、
を含む、情報処理方法。
【請求項15】
所定の地点を走行した複数の車両から、前記地点における走行環境を示すプローブデータを受信するステップと、
前記プローブデータに基づいて、前記地点を通過する他車両向けの情報として、車両の属性に応じた走行危険度を、前記車両の属性ごとに決定するステップと、
前記決定した走行危険度に基づいて、所定の属性を有する車両が通過した場合における走行危険度が閾値を超えるエリアである第一のエリアが発生することを予測するステップと、
前記第一のエリア内を過去に通過した交通流に関するデータを前記車両の属性ごとに取得するステップと、
前記過去の交通流に基づいて、前記第一のエリアを迂回する車両による影響を受け渋滞が発生するエリアである第二のエリアを前記車両の属性ごとに推定するステップと、
前記第一のエリアおよび前記第二のエリアを道路地図上にマッピングするマップデータを前記車両の属性ごとに生成するステップと、
を含む、情報処理方法。
【請求項16】
請求項14または15に記載の情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両ナビゲーション技術に関する。
【背景技術】
【0002】
プローブデータに基づいて、道路における走行危険度を判定するための技術がある。例えば、特許文献1には、天候情報に基づいて、走行時における安全性が低下する箇所を判定し、当該箇所を迂回して経路を生成する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-047034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術に係る装置においては、道路の走行に危険が伴うか否かを一律で判定している。一方、道路上において発生する走行支障には様々な種類があり、一律による判定がふさわしくない場合がある。
【0005】
本開示は上記の課題を考慮してなされたものであり、車両に対してより適切な情報を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第一の態様に係る情報処理装置は、
所定の地点を走行した複数の車両から、前記地点における走行環境を示すプローブデータを受信することと、前記プローブデータに基づいて、前記地点を通過する他車両向けの情報を、車両の属性ごとに生成することと、を実行する制御部を有する。
【0007】
また、本開示の第二の態様に係る情報処理システムは、
情報処理装置と、複数の車載装置と、を含む情報処理システムであって、前記複数の車載装置のそれぞれは、所定の地点における走行環境を示すプローブデータを生成することと、前記プローブデータを前記情報処理装置に送信することと、前記情報処理装置から、走行関連情報を含むマップデータを受信し、出力することと、を実行する第一の制御部を有し、前記情報処理装置は、前記複数の車載装置のそれぞれから前記プローブデータを受信することと、前記プローブデータに基づいて、前記地点を通過する他車両向けの情報を、車両の属性ごとに生成することと、複数の地点について生成された前記情報に基づいて、前記マップデータを生成することと、前記マップデータを、前記複数の車載装置に送信することと、を実行する第二の制御部を有する。
【0008】
また、本開示の第三の態様に係る情報処理方法は、
所定の地点を走行した複数の車両から、前記地点における走行環境を示すプローブデータを受信するステップと、前記プローブデータに基づいて、前記地点を通過する他車両向けの情報を、車両の属性ごとに生成するステップと、を含む。
【0009】
また、本開示の他の態様は、上記の情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、または、該プログラムを非一時的に記憶したコンピュータ可読記憶媒体である。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、車両に対してより適切な情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】ナビゲーションシステムの概要を説明する図。
図2】ナビゲーションシステムの構成要素をより詳細に示した図。
図3】車載端末から送信されるプローブデータの例。
図4】記憶部に記憶されるプローブデータテーブルの例。
図5】記憶部に記憶される危険度テーブルの例。
図6】モジュール間において送受信されるデータの流れを示す図。
図7】道路セグメントごとに割り当てられた危険度情報を説明する図。
図8】危険度情報を道路地図にマッピングした例。
図9】第一の実施形態において制御部101が実行する処理のフローチャート。
図10】第一の実施形態において制御部201が実行する処理のフローチャート。
図11】第二の実施形態におけるサーバ装置の構成要素を示した図。
図12】第二の実施形態におけるプローブデータ、プローブデータテーブルの例。
図13】第二の実施形態において割り当てられた危険度情報を説明する図。
図14】第三の実施形態における危険エリアを説明する図。
図15】第四の実施形態における交通量テーブルを説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の一実施形態に係る情報処理装置は、管理下にある複数の車両(車載端末)から送信されたプローブデータに基づいて、走行に関する情報を生成し、生成した情報を車両(車載端末)に提供する装置である。
【0013】
情報処理装置は、所定の地点を走行した複数の車両から、前記地点における走行環境を示すプローブデータを受信することと、前記プローブデータに基づいて、前記地点を通過する他車両向けの情報を、車両の属性ごとに生成することと、を実行する制御部を有する。
【0014】
所定の地点は、情報処理装置によって指示された地点であってもよいし、車両が決定した地点であってもよい。
プローブデータは、例えば、降水状況、積雪状況、路面凍結の状況、または、他の通行支障の状況など、車両の走行環境を示したデータである。プローブデータは、車両に搭載されたセンサによって取得されたセンサデータに基づいて生成されたものであってもよい。
情報処理装置は、車両から送信されたプローブデータに基づいて、当該プローブデータに関連付いた地点を通過する他車両向けの情報を、車両の属性ごとに生成する。
車両の属性とは、車両自体の属性(例えば、最低地上高や車格など)であってもよいし、車両の装備(例えば、車両が装着しているタイヤの種類)などであってもよい。
このように、走行に関連する情報を属性ごとに生成することで、任意の車両に対して適切な情報提供を行うことが可能になる。例えば、一定の車格を有する車両に対しては、当該車格に適合した情報を提供するといったことが可能になる。
【0015】
また、情報処理装置は、複数の道路セグメントを定義するデータを記憶する記憶部をさらに有し、前記制御部は、前記複数の道路セグメントのそれぞれに対応する地点において生成された前記プローブデータに基づいて、前記複数の道路セグメントのそれぞれについて、前記情報を生成することを特徴としてもよい。
道路セグメントごとに情報を生成することで、情報をわかりやすく車両の運転者に提示することができる。
【0016】
また、前記制御部は、前記情報として、車両の属性に応じた走行危険度を決定することを特徴としてもよい。
このように、プローブデータに基づいて走行危険度に関する情報を生成してもよい。車両の属性ごとに走行危険度を判定することで、それぞれ異なる属性を持つ複数の車両に対して、道路を安全に通行させるための情報を提供することが可能になる。
【0017】
また、前記プローブデータは、前記地点における冠水の度合いに関するデータを含み、前記制御部は、前記冠水の度合いに基づいて、前記走行危険度を決定することを特徴としてもよい。
冠水の度合いに関するデータは、冠水量を直接センシングしたデータであってもよいし、観測された降水量など、冠水量を間接的に推定するためのデータであってもよい。
【0018】
また、前記属性は、前記車両の車格または最低地上高であり、前記制御部は、前記車両の車格または最低地上高ごとに前記走行危険度を決定することを特徴としてもよい。
最低地上高とは、例えば、水平な地上面から車体の最も低い所までの垂直距離である。また、車格とは、車両のサイズや大きさを所定の基準によって分類したものである。冠水量によって走行危険度を決定する際は、車格や最低地上高によって異なる基準を用いることが好ましい。
【0019】
また、前記プローブデータは、前記地点における積雪または路面凍結の度合いに関するデータを含み、前記制御部は、前記積雪または路面凍結の度合いに基づいて、前記走行危険度を決定することを特徴としてもよい。
積雪や路面凍結の度合いは、例えば、車両に搭載された画像センサや、路面凍結を検知するセンサ、スリップ検知センサなどの出力に基づいて判定することができる。
【0020】
また、前記属性は、前記車両が有するタイヤの種類であり、前記制御部は、前記車両が有するタイヤの種類ごとに前記走行危険度を決定することを特徴としてもよい。
タイヤの種類は、積雪または路面凍結に対する耐性によって分類されたものであることが好ましい。
【0021】
また、前記制御部は、前記所定の属性を有する車両が通過した場合における走行危険度が閾値を超えるエリアである第一のエリアを判定し、前記第一のエリアを道路地図上にマッピングすることを特徴としてもよい。
第一のエリアとは、所定の属性を有する車両の進入が安全上好ましくないエリアである。第一のエリアを地図上にマッピングすることで、所定の属性を有する車両の運転者に対して、進入すべきでないエリアを教示することができる。
【0022】
また、前記制御部は、前記所定の属性を有する車両が通過した場合における走行危険度が閾値を超えるエリアである第一のエリアが発生することを予測し、前記予測された第一のエリアを、道路地図上にマッピングすることを特徴としてもよい。
例えば、マッピングの結果を対象の車両に送信することで、当該車両を当該エリアから予め遠ざけることができる。
【0023】
また、前記制御部は、前記第一のエリアを迂回する車両による影響を受けるエリアである第二のエリアを、道路地図上にさらにマッピングすることを特徴としてもよい。
第一のエリアが通行できなくなった場合、迂回車両によって渋滞が発生することが予測される。よって、迂回車両による影響を受けるエリアを地図上にさらにマッピングすることで、車両の運転者が、適切な経路を選択できるようになる。
【0024】
また、前記制御部は、前記第一のエリア内を過去に通過した交通流に関するデータをさらに取得し、前記過去の交通流に基づいて、迂回経路を生成することを特徴としてもよい。
交通流は、例えば、車両の属性別に取得してもよい。これにより、例えば、第一のエリアを通行できない車両がどの程度発生し、それにより、第二のエリアにどの程度の影響が発生するかを推定することができる。
【0025】
また、前記プローブデータは、前記車両の属性に関する情報と、前記車両に発生した特定の挙動に関する情報を含み、前記制御部は、属性が異なる複数の車両が前記地点をそれぞれ通過した場合における前記走行危険度を、前記属性ごとに決定することを特徴としてもよい。
また、前記特定の挙動は、スリップであり、前記属性は、前記車両が有するタイヤの種類であることを特徴としてもよい。
【0026】
車両の属性(タイヤの種類等)に起因して、車両に特定の挙動(スリップ等)が発生する場合がある。よって、センシングによって得られた挙動に関する情報と、当該センシングを行った車両の属性を用いることで、走行危険度を適切に決定することができる。
【0027】
また、前記プローブデータは、前記車両に対して行われた運転操作に関する情報と、前記運転操作に起因して発生した挙動に関する情報を含み、前記制御部は、特定の運転操作を行った場合における走行危険度を決定することを特徴としてもよい。
特定の運転操作(急操作等)に起因して、車両に特定の挙動(スリップ等)が発生する場合がある。よって、センシングによって得られた挙動に関する情報と、車両に対して行われた運転操作に基づいて、走行危険度を適切に決定することができる。
【0028】
以下、本開示の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。各実施形態に記載されているハードウェア構成、モジュール構成、機能構成等は、特に記載がない限りは開示の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0029】
(第一の実施形態)
第一の実施形態に係るナビゲーションシステムの概要について、図1を参照しながら説明する。本実施形態に係るナビゲーションシステムは、車両によって取得されたプローブデータに基づいて、道路上における走行危険度に関する情報を生成するサーバ装置100と、車両に搭載された車載端末200と、を含んで構成される。
【0030】
車載端末200は、システムの管理下にある複数の車両にそれぞれ搭載されたコンピュータである。車載端末200は、自車両に搭載されたセンサから、車両の走行環境に関連するデータを取得し、プローブデータとして、サーバ装置100に周期的に送信する。
第一の実施形態では、車載端末200は、車両の走行環境に関連するデータとして、路面の冠水状況に関するデータを取得する。
【0031】
サーバ装置100は、システムの管理下にある複数の車載端末200から、プローブデータを周期的に取得し、取得したプローブデータに基づいて、複数の道路セグメントにおける走行危険度を、車両の属性(以下、車両属性)ごとに判定する。判定の結果は、道路セグメントにマッピングされ、マップデータとして車載端末200に提供される。走行危険度は、車両属性ごとに判定されているため、車載端末200は、自車両の属性に適合した情報を乗員に提供することができる。
【0032】
図2は、本実施形態に係るナビゲーションシステムの構成要素をより詳細に示した図である。
【0033】
車両プラットフォーム300は、車両を制御するコンピュータを含むプラットフォームである。車両プラットフォーム300は、例えば、エンジンECU、ボディECUといった車両を制御する一つ以上のコンピュータ(ECU301)と、車両の走行環境をセンシング可能な一つ以上のセンサ302と、を含む。本実施形態では、センサ302として、路面における冠水の量を直接的、または、間接的にセンシングするセンサを例示する。センシングの結果は、ECU301によって取得され、車載端末200に提供される。
【0034】
車載端末200は、車両に搭載されたコンピュータである。車載端末200は、制御部201、記憶部202、通信部203、入出力部204、および、車両通信部205を含んで構成される。車載端末200は、車両プラットフォーム300と通信を行うことで、センサ302が出力した値を取得することができる。
【0035】
制御部201は、車載端末200が行う制御を司る演算装置である。制御部201は、CPU(Central Processing Unit)などの演算処理装置によって実現することができる

制御部201は、プローブデータ取得部2011、プローブデータ送信部2012、および、ナビゲーション部2013の3つの機能モジュールを有して構成される。これらの機能モジュールは、後述する記憶部202に記憶されたプログラムをCPUによって実行することで実現してもよい。
【0036】
プローブデータ取得部2011は、車両の走行環境に関するデータ(以下、プローブデータ)を取得する。本実施形態では、プローブデータは、路面の冠水状況を示すデータを含む。車両プラットフォーム300が有するセンサが、路面の冠水量を直接センシングできるものである場合、プローブデータは、路面からの冠水量(水深)を含んでもよい。
【0037】
なお、車両プラットフォーム300が有するセンサ302が、路面の冠水量を間接的にセンシングするものである場合、プローブデータ取得部2011は、車両プラットフォーム300から送信されたデータに基づいて冠水量を推定してもよい。例えば、車両プラットフォーム300が、車両の走行抵抗に関するデータを取得可能である場合、取得した走行抵抗に対して所定の演算を行うことで、路面の冠水量を推定することができる。
【0038】
プローブデータ送信部2012は、プローブデータ取得部2011によって取得されたセンシングデータを、サーバ装置100に周期的に送信する。
【0039】
ナビゲーション部2013は、車両の乗員に対してナビゲーション機能を提供する。具体的には、経路案内の提供、交通情報の提供などを行う。ナビゲーション部2013は、車両の現在位置を取得するためのユニット(GPSモジュール等)や、外部から交通情報を取得するためのユニット(通信モジュール等)を有していてもよい。
さらに、ナビゲーション部2013は、サーバ装置100から取得した情報に基づいて、道路上における走行危険度に関する情報を出力する。
【0040】
記憶部202は、主記憶装置と補助記憶装置を含んで構成される。主記憶装置は、制御部201によって実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが展開されるメモリである。補助記憶装置は、制御部201において実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが記憶される装置である。補助記憶装置には、制御部201で実行されるプログラムをアプリケーションとしてパッケージ化したものを記憶してもよい。また、これらのアプリケーションを実行するためのオペレーティングシステムを記憶してもよい。補助記憶装置に記憶されたプログラムが主記憶装置にロードされ、制御部201によって実行されることで、以降に説明する処理が行われる。
また、記憶部202は、ナビゲーション機能を提供するためのデータ(道路地図データ)などを記憶していてもよい。
【0041】
主記憶装置は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)を含んでもよい。また、補助記憶装置は、EPROM(Erasable Programmable ROM)やハード
ディスクドライブ(HDD、Hard Disk Drive)を含んでもよい。さらに、補助記憶装置
は、リムーバブルメディア、すなわち可搬記録媒体を含んでもよい。
【0042】
通信部203は、車載端末200をネットワークに接続するための無線通信インタフェースである。通信部203は、例えば、無線LANや3G、LTE、5G等の移動体通信サービスを介して、サーバ装置100と通信可能に構成される。
入出力部204は、利用者が行った入力操作を受け付け、利用者に対して情報を提示するユニットである。本実施形態では一つのタッチパネルディスプレイからなる。すなわち、液晶ディスプレイとその制御手段、タッチパネルとその制御手段から構成される。
【0043】
車両通信部205は、車両プラットフォーム300と通信を行うためのインタフェースユニットである。車両通信部205は、車両プラットフォーム300が有するECU301と、車載ネットワーク経由で通信可能に構成される。
【0044】
次に、サーバ装置100について説明する。
サーバ装置100は、汎用のコンピュータにより構成することができる。すなわち、サーバ装置100は、CPUやGPU等のプロセッサ、RAMやROM等の主記憶装置、EPROM、ハードディスクドライブ、リムーバブルメディア等の補助記憶装置を有するコンピュータとして構成することができる。補助記憶装置には、オペレーティングシステム(OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納され、そこに格納されたプログラムを主記憶装置の作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて各構成部等が制御されることによって、後述するような、所定の目的に合致した各機能を実現することができる。ただし、一部または全部の機能はASICやFPGAのようなハードウェア回路によって実現されてもよい。
【0045】
制御部101は、サーバ装置100が行う制御を司る演算装置である。制御部101は、CPUなどの演算処理装置によって実現することができる。
制御部101は、データ取得部1011、セグメント割当部1012、および、情報生成部1013の3つの機能モジュールを有して構成される。各機能モジュールは、記憶されたプログラムをCPUによって実行することで実現してもよい。
【0046】
データ取得部1011は、システムの管理下にある車両に搭載された車載端末200からプローブデータを取得する。図3は、車載端末200から送信されるプローブデータの例である。図示したように、プローブデータには、車両の識別子(車両ID)、センシングが行われた日時を表す情報(日時情報)、センシングが行われた地点を表す情報(位置情報)、および、センサデータが含まれる。本例では、路面における冠水量がセンシングの対象であり、センサ値には、水深を表す値が格納される。
【0047】
セグメント割当部1012は、データ取得部1011が取得したプローブデータを、道路セグメントに割り当てる。本実施形態におけるサーバ装置100は、車両が走行可能な道路を複数の道路セグメントに分割して管理しており、プローブデータに対応する地点(すなわち、センシングが行われた地点)を、所定の道路セグメントと対応付けることができる。
情報生成部1013は、記憶されたプローブデータに基づいて、対応する道路セグメントにおける走行危険度を、車両属性ごとに決定する。
【0048】
記憶部102は、主記憶装置と補助記憶装置を含んで構成される。主記憶装置は、制御部101によって実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが展開されるメモリである。補助記憶装置は、制御部101において実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが記憶される装置である。
【0049】
さらに、記憶部102は、プローブデータテーブル102A、危険度テーブル102B、および、道路セグメントデータ102Cを記憶する。
【0050】
プローブデータテーブル102Aは、複数の車載端末200から受信したプローブデータを記憶するテーブルである。図4は、プローブデータテーブルの例である。図示したように、プローブデータテーブルには、個々の車載端末200から受信したプローブデータが、それぞれ別個のレコードとして追加される。
なお、「道路セグメント」フィールドには、プローブデータが生成された地点に対応する道路セグメントの識別子が格納される。詳細は後述する。
【0051】
危険度テーブル102Bは、車両によってセンシングされたセンサ値(すなわち、冠水量)から走行危険度を求めるためのデータが格納されたテーブルである。図5は、危険度テーブルの例である。
前述したように、道路が冠水した際の走行危険度は、車両の車格や最低地上高によって異なる。よって、図示したようなデータを利用することで、特定の車格を有する車両が、冠水した道路を通過する際の危険度を求めることができる。
本例では、水深に対応する危険度が、車格(最低地上高)ごとに分類されて定義されている。本例では、例えば、水深が15cmである場合、最低地上高が10cmである車両は通過できず、最低地上高が20cmである車両は通過できる旨が読み取れる。
なお、本例では、車両属性として最低地上高を用いたが、他の基準を用いることもできる。
【0052】
道路セグメントデータ102Cは、道路セグメントを定義するデータである。
本実施形態に係るシステムは、車両が走行可能な道路を複数のセグメントに分割し、セグメントごとに走行危険度の判定を行う。道路セグメントデータ102Cは、道路および道路セグメントの地理的位置を定義するためのデータを含む。
【0053】
通信部103は、サーバ装置100をネットワークに接続するための通信インタフェースである。通信部103は、例えば、ネットワークインタフェースボードや、無線通信のための無線通信モジュールを含んで構成される。
【0054】
なお、図2に示した構成は一例であり、図示した機能の全部または一部は、専用に設計された回路を用いて実行されてもよい。また、図示した以外の、主記憶装置および補助記憶装置の組み合わせによってプログラムの記憶ないし実行を行ってもよい。
【0055】
各モジュールが行う処理と、利用されるデータの詳細について、モジュール間で送受信されるデータを示した図である図6を参照しながら説明する。
【0056】
データ取得部1011は、車載端末200からプローブデータを受信し、受信したプローブデータを記憶部102(プローブデータテーブル102A)に格納する。プローブデータの取得は、管理下にある複数の車載端末200のそれぞれについて周期的に実行される。
【0057】
セグメント割当部1012は、プローブデータテーブル102Aを参照し、新規に取得
したプローブデータが示す地点と、道路セグメントとの対応付けを行う。図7は、プローブデータが生成された地点と、道路セグメントとの関係を示した図である。点線で囲まれた複数の領域が、道路セグメントを表す。セグメント割当部1012は、装置が受信したプローブデータのそれぞれを、事前に定義された道路セグメントのそれぞれに割り当てる。
【0058】
図中の丸付き文字は、プローブデータが生成された位置を表す。例えば、道路セグメント701の近傍においては、3件のプローブデータが生成されている。すなわち、符号Aで示された地点、符号Bで示された地点、符号Cで示された地点の3つにおいて、プローブデータが生成されている。セグメント割当部1012は、これらの複数のプローブデータを、対応する道路セグメント(図では符号701)に割り当てる。
割り当ての結果は、プローブデータテーブル102Aに反映される。具体的には、セグメント割当部1012は、対応するレコードの「道路セグメント」フィールドに、割り当てられた道路セグメントの識別子を格納する。
【0059】
情報生成部1013は、プローブデータテーブル102Aに格納されたプローブデータと、危険度テーブル102Bに基づいて、道路セグメントに対応する危険度を、車両属性ごとに決定する。例えば、図7の符号701で示した道路セグメントに対して、符号702で示したような情報を生成する。
なお、一つの道路セグメントに複数のプローブデータが対応付いている場合、これらのプローブデータが示すセンサ値の代表値を求め、当該代表値に基づいて危険度を求めてもよい。代表値は、例えば、複数のセンサ値のうち、危険度が最も高い値としてもよいし、複数のセンサ値の平均値などであってもよい。
本実施形態においては、特定の道路セグメントにおける、センサ値と、車両属性ごとの危険度を示す情報のセットを「危険度情報」と称する。
【0060】
情報生成部1013は、複数の道路セグメントの位置を特定する情報と、当該複数の道路セグメントに割り当てられた危険度情報と、を含むデータ(以下、マップデータ)を生成する。
また、情報生成部1013は、所定の周期で、生成したマップデータを複数の車載端末200のそれぞれに対して送信する。車載端末200は、受信したマップデータに基づいて、道路地図上に危険度をマッピングすることができる。
【0061】
なお、情報生成部1013は、車載端末200にマップデータを送信する際に、範囲を限定する処理を行ってもよい。情報生成部1013は、例えば、対象の車載端末200の近傍(例えば、所定の期間内に到達可能な範囲)にある複数の道路セグメントを抽出し、当該複数の道路セグメントに対応する危険度情報のみを含むマップデータを車載端末200に送信してもよい。
【0062】
車載端末200(ナビゲーション部2013)は、サーバ装置100から受信したマップデータに基づいて、危険度情報を道路地図にマッピングし、出力する。図8は、危険度情報がマッピングされた道路地図の例である。なお、本例では、特定の道路セグメントを矩形で囲い、吹き出しを用いて危険度情報を提示しているが、これ以外の方法で危険度情報を表してもよい。例えば、複数の道路セグメントを危険度によって色分けし、ヒートマップ形式で出力してもよい。
また、車載端末200は、自車両の属性(例えば、最低地上高)に対応する危険度情報のみを出力の対象としてもよい。
【0063】
図9は、サーバ装置100が実行する処理を示したフローチャートである。図9に示したフローチャートは、システムの稼働中において、管理下にある複数の車両(車載端末2
00)のそれぞれを対象として、周期的に実行される。
【0064】
ステップS11では、データ取得部1011が、車載端末200からプローブデータを受信する。受信したプローブデータは、プローブデータテーブル102Aに反映される。また、セグメント割当部1012が、プローブデータに対応する道路セグメントを割り当てる。
【0065】
次に、ステップS12で、情報生成部1013が、プローブデータテーブル102Aを参照し、各道路セグメントにおける車両属性ごとの危険度を算出する。なお、本ステップにおいては、所定の期間内(例えば、過去1時間)において生成されたプローブデータのみを対象として処理を行ってもよい。
ステップS13では、情報生成部1013が、生成した危険度情報を複数の道路セグメントに割り当てたデータ(マップデータ)を生成する。
【0066】
ステップS14では、対象の車載端末200について、マップデータの送信周期が到来したか否かを判定する。送信周期が到来していない場合、処理はステップS11へ遷移する。送信周期が到来した場合、処理はステップS15へ遷移し、生成したマップデータから、対象の車載端末200に対応する範囲を抽出し、当該車載端末200に送信する。
【0067】
図10は、マップデータを受信した車載端末200が実行する処理のフローチャートである。図示した処理は、車載端末200がマップデータを受信した場合に、ナビゲーション部2013によって実行される。
【0068】
ステップS21では、複数の道路セグメントに割り当てられた危険度情報のうち、自車両に対応するものをそれぞれ抽出する。例えば、自車両の最低地上高が10cmである場合、最低地上高が10cmである車両に対応する危険度情報を抽出する。
【0069】
ステップS22では、抽出された危険度情報を道路地図上にマッピングし、地図画像を生成する。本ステップでは、例えば、道路セグメントごとに、危険度に対応する色を付与してもよい。生成された地図画像は、ステップS23において、入出力部204を介して出力される。
【0070】
以上説明したように、第一の実施形態に係るサーバ装置100は、車載端末200から受信したプローブデータに基づいて、道路セグメントごとの走行危険度を算出し、マップデータを生成する。走行危険度は、車両が有する属性ごとに生成されるため、マップデータを受信した車載端末200は、自車両に対応する適切な危険度情報を乗員に提示することができる。
【0071】
なお、本実施形態では、サーバ装置100が車載端末200にマップデータを送信し、車載端末200が、危険度情報と道路地図との合成を行ったが、サーバ装置100が、危険度情報と道路地図との合成を行うようにしてもよい。この場合、サーバ装置100が、車載端末200の現在位置に対応する地図画像を生成するようにしてもよい。
【0072】
また、本実施形態では、車両の走行に危険を及ぼす要因として冠水を例示したが、センシングの対象はこれ以外であってもよい。例えば、車両に搭載された画像センサや、路面の凍結を検知するセンサ、スリップ検知センサなどの出力に基づいて、積雪や路面凍結の度合いをセンシングし、これらに起因する危険の度合いを、車両属性(例えば、車格、駆動軸、タイヤの種類など)ごとに算出するようにしてもよい。
【0073】
(第二の実施形態)
第一の実施形態では、プローブデータがセンサ値のみを提供し、サーバ装置100が、センサ値に基づいて危険度を判定した。これに対し、第二の実施形態は、プローブデータが、車両属性と、当該車両に発生した挙動に関するデータを提供する実施形態である。
【0074】
図11は、第二の実施形態におけるサーバ装置100のシステム構成図である。第二の実施形態では、プローブデータテーブル102Dが、「車両属性」および「車両の挙動」に関するデータを含むという点において、第一の実施形態と相違する。また、情報生成部1013Aが、これらのデータに基づいて走行危険度を判定するという点において、第一の実施形態と相違する。
第二の実施形態においては、危険度テーブル102Bは利用しない。
【0075】
図12(A)は、第二の実施形態において車載端末200から送信されるプローブデータの例である。また、図12(B)は、第二の実施形態におけるプローブデータテーブルの例である。
図示したように、本実施形態では、プローブデータに、「車両属性」および「挙動データ」が含まれる。
車両属性は、車両の属性を示すデータであって、前述したような、車両の車格やサイズに関するデータであってもよいし、装着しているタイヤの種類等を表すデータであってもよい。
挙動データは、車両に発生した挙動を示すデータである。本実施形態では、挙動データは、車両に発生したスリップの有無を示す。
【0076】
第二の実施形態では、情報生成部1013Aが、道路セグメントごとに、所定の挙動を示した車両の数を、車両属性別に集計する。図13の例では、符号1301で示した道路セグメントにおいて、過去の所定期間に5件のスリップが発生し、全ての車両がスノータイヤを装着していなかった旨が示されている。マップデータの生成方法は、第一の実施形態と同様である。
また、本実施形態では、車載端末200が、ステップS21において、マップデータから、自車両のタイヤの種類に適合する危険度情報を抽出し、出力する。
【0077】
第二の実施形態によると、車両が示した挙動によって、道路上における危険度を判定することができる。
【0078】
(第二の実施形態の変形例)
第二の実施形態では、車両の属性ごとに走行危険度を判定した。一方、特定の運転操作(例えば、急ハンドル)に起因して、車両に特定の挙動(スリップ等)が発生する場合がある。よって、車両属性の代わりに(または、車両属性に加えて)、行われた運転操作に基づいて走行危険度を判定するようにしてもよい。このため、例えば、プローブデータに、所定の期間内において行われた運転操作に関する情報を含ませてもよい。そして、サーバ装置100が、運転操作に基づいて走行危険度を判定し、マップデータを生成してもよい。
これにより、例えば、「急激な運転操作を行った場合に危険が伴う箇所」を可視化することができる。
【0079】
(第三の実施形態)
第一および第二の実施形態では、道路セグメントごとに危険度情報を生成したが、集中豪雨に起因する冠水などは、広範囲に影響することがある。これを可視化するため、サーバ装置100が、道路セグメントごとに生成した危険度情報に基づいて、進入を控えたほうがよいエリア(以下、危険エリア)を教示するデータを生成してもよい。進入を控えたほうがよいエリアとは、例えば、危険度が所定値を上回る道路セグメントが含まれる(ま
たは、近傍に存在する)エリアとすることができる。車両がこのようなエリアに進入した場合、場合によって、進行が途中で困難になることが予測されるためである。
【0080】
第三の実施形態では、サーバ装置100が、道路セグメントごとに生成した危険度情報に基づいて、危険エリアを特定し、当該危険エリアの地理的位置を表すデータ(以下、エリアデータ)を生成する。エリアデータは、車両属性別に生成することができる。
【0081】
第三の実施形態では、サーバ装置100が、車両属性別に生成されたエリアデータを車載端末200に送信し、車載端末200が、自車両の属性に適合するエリアデータを用いて、車両の運転者に対する案内を生成する。これにより、例えば、「最低地上高が10cmである車両が進入すべきでないエリア」を可視化することができる。
【0082】
図14は、判定された危険エリアを道路地図にマッピングした例である。
このように、第三の実施形態によると、車両属性ごとに、進入を控えたほうがよいエリアを可視化することができる。
【0083】
なお、サーバ装置100は、過去において生成した、道路セグメントごとの危険度情報の推移に基づいて、近い将来において危険エリアが発生することを推定してもよい。これにより、例えば、「1時間以内に発生が予測される危険エリア」といった情報を車両の乗員に提供することが可能になる。
【0084】
(第四の実施形態)
危険エリアが発生した場合、当該危険エリアを迂回する車両によって周辺のエリアが混雑する場合がある。よって、危険エリアの影響を受けて混雑するエリア(以下、影響エリア)に関する情報を、車両の運転者に提示してもよい。
【0085】
第四の実施形態では、サーバ装置100に、「危険エリア内において、通常どの程度の交通量があるか」に関する情報を持たせ、危険エリアの影響を受ける車両(迂回車両)がどの程度発生するかをサーバ装置100が判定する。
【0086】
第四の実施形態では、サーバ装置100が、道路セグメントごと、および、車両属性ごとに交通量データを記憶している。図15は、交通量データを記憶するテーブルの例である。なお、本例では、時間帯別の交通量を例示しているが、交通量データに、これ以外の条件を持たせてもよい。
また、サーバ装置100は、危険エリアが発生した場合に、当該危険エリアの影響を受ける交通量がどの程度発生するかを判定する。例えば、最低地上高が10cmである車両が影響を受ける危険エリアが発生した場合、当該エリアにおいて、最低地上高が10cmである車両の通常の交通量を取得する。当該車両が、危険エリアの影響を受ける車両となる。
【0087】
さらに、サーバ装置100は、当該車両が危険エリアを迂回するものとして、迂回車両の交通量を判定する。危険エリアの周辺においては、迂回車両によって交通量の増大が見込まれる。よって、迂回車両が走行する経路を推定することで、迂回車両によって影響を受ける(例えば、渋滞が発生する)エリア(影響エリア)を推定することができる。
【0088】
第四の実施形態では、サーバ装置100が、推定した影響エリアに関する情報を車載端末200に送信し、車載端末200がこれを出力する。これにより、円滑な交通を実現することができる。
なお、交通量データには、車両が向かう方面や目的地に関するデータを含ませてもよい。これにより、迂回車両が取る経路をより正確に判定することができる。
【0089】
(変形例)
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施しうる。
例えば、本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0090】
また、実施形態の説明では、車両から送信されたプローブデータを例示したが、これ以外の情報に基づいて、走行危険度を判定してもよい。例えば、気象情報、除雪車の運行予定、雨雲レーダーからの情報などに基づいて、任意の地点における、車両の走行環境を推定することもできる。
【0091】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。あるいは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。
【0092】
本開示は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク・ブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、光学式カード、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0093】
100・・・サーバ装置
101,201・・・制御部
102,202・・・記憶部
103,203・・・通信部
200・・・車載端末
204・・・入出力部
205・・・車両通信部
300・・・車両プラットフォーム
301・・・ECU
302・・・センサ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15