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特許7431153労力を低減して医療容器内に含まれた組成物を注射するための支援型注射デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-05
(45)【発行日】2024-02-14
(54)【発明の名称】労力を低減して医療容器内に含まれた組成物を注射するための支援型注射デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/315 20060101AFI20240206BHJP
   A61M 5/31 20060101ALI20240206BHJP
   A61M 5/48 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
A61M5/315 500
A61M5/315 510
A61M5/31 530
A61M5/48 500
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020502624
(86)(22)【出願日】2018-07-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-09-03
(86)【国際出願番号】 EP2018069701
(87)【国際公開番号】W WO2019016346
(87)【国際公開日】2019-01-24
【審査請求日】2021-03-16
【審判番号】
【審判請求日】2022-11-08
(31)【優先権主張番号】17305982.5
(32)【優先日】2017-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】310021434
【氏名又は名称】ベクトン ディキンソン フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン ガリアーノ
【合議体】
【審判長】佐々木 正章
【審判官】安井 寿儀
【審判官】後藤 泰輔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/032513(WO,A1)
【文献】特表2014-502885(JP,A)
【文献】特表平9-508832(JP,A)
【文献】特公平6-2163(JP,B2)
【文献】中国実用新案第203861697(CN,U)
【文献】特表2003-513762(JP,A)
【文献】独国実用新案第202004016790(DE,U1)
【文献】実公昭11-3654(JP,Y1)
【文献】特表2015-525661(JP,A)
【文献】特開2002-224218(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療容器(40)内に含まれた組成物を注射するための支援型注射デバイス(1)であって、
一体的に構成され本体(10)であって前記本体(10)に対して、前記医療容器(40)を径方向に移動可能とし、固定された位置に受け入れるように適合され、ユーザの手で保持されるように構成される、本体(10)と、
ばね負荷されたピストンロッド(30)であって、前記本体(10)内側で、前記本体(10)への前記医療容器(40)の挿入を可能にする近位静止位置と、前記ピストンロッド(30)が前記医療容器(40)のストッパ(44)と係合し、前記ストッパ(44)を前記医療容器(40)に押し込む遠位動作位置との間で並進式に移動可能である、ばね負荷されたピストンロッドと、
前記本体(10)上に装着され、前記ピストンロッドと係合するように構成されたロッキング部材(50、60、70)を備えるブロッキングシステムであって、前記ロッキング部材は、前記ロッキング部材が前記本体と共働して前記ピストンロッド(30)を前記近位静止位置に保持するロック位置と、前記ロッキング部材が前記本体と共働して前記ばね(31)の力の下で前記ピストンロッド(30)を前記近位静止位置から前記遠位動作位置に移動させることを可能にする解放位置との間で移動可能である、ブロッキングシステムと
を備え、
前記ピストンロッド(30)は、前記本体(10)の外に延びる近位端部(32)であって、前記ロッキング部材(50、60、70)が前記解放位置にあるとき、前記ユーザによって遠位方向に押されて前記遠位動作位置への前記ピストンロッド(30)の移動を加速させるように構成され、前記ユーザによって近位方向に引き戻されて前記近位静止位置への前記ピストンロッド(30)の移動を行うように構成される、近位端部を含む支援型注射デバイス。
【請求項2】
前記ピストンロッド(30)には、横断方向穴(34)が設けられ、前記ロッキング部材は、前記ロック位置にあるときに前記ピストンロッド(30)の前記横断方向穴(34)に径方向に挿入され、前記解放位置にあるときに前記横断方向穴(34)から取り外される、インサート(50)である請求項1に記載の支援型注射デバイス(1)。
【請求項3】
前記インサート(50)は、前記医療容器(40)とは長手方向軸(A)方向の反対側にある、前記本体(10)の位壁(15)上で摺動可能である請求項2に記載の支援型注射デバイス(1)。
【請求項4】
前記本体(10)の前記近位壁(15)は、前記インサート(50)を摺動可能に内部に受け入れるように適合された切欠部(51)を備え、前記切欠部(51)は、前記ピストンロッド(30)まで径方向に延び、前記ピストンロッド(30)が前記近位静止位置にあるときに前記ピストンロッド(30)の前記穴(34)と位置合わせされる請求項3に記載の支援型注射デバイス(1)。
【請求項5】
前記デバイス(1)の前記本体(10)の囲壁(11)には、前記本体(10)を通る横断方向通路を形成する横断方向開口部(18)が設けられ、前記ロック位置にあるとき、前記インサート(50)は、前記本体(10)の前記横断方向開口部(18)に径方向に挿入され、前記横断方向開口部と位置合わせされた前記ピストンロッド(30)の前記穴(34)を横切り、前記解放位置にあるとき、前記インサート(50)は、前記横断方向開口部(18)から取り外される請求項2に記載の支援型注射デバイス(1)。
【請求項6】
前記デバイス(1)の前記本体(10)の囲壁(11)には、前記本体(10)を通る横断方向通路を形成する横断方向開口部(18)が設けられ、前記ロック位置にあるとき、前記インサート(50)は、前記本体(10)の前記横断方向開口部(18)に径方向に、前記ピストンロッド(30)から遠位に挿入され、それにより、前記ピストンロッドの遠位端部は前記インサートと当接し、前記解放位置にあるとき、前記インサート(50)は、前記横断方向開口部18)から取り外される請求項に記載の支援型注射デバイス(1)。
【請求項7】
前記ピストンロッド(30)には、狭小になったセクション(35)が設けられ、前記ロッキング部材は、互いに連通する少なくとも第1の穴(61)および第2の穴(62)が設けられたラッチ(60)であり、前記第1の穴(61)の直径は前記ピストンロッド(30)の直径より小さく、前記第2の穴(62)の直径は前記ピストンロッド(30)の直径より大きく、前記ラッチ(60)は、前記第1の穴(61)が前記ピストンロッド(30)と位置合わせされ、前記ピストンロッド(30)の前記狭小になったセクション(35)を収容する前記ロック位置と、前記第2の穴(62)が前記ピストンロッド(30)と位置合わせされ、前記ピストンロッドによって横切られる前記解放位置との間で径方向に摺動可能である請求項1に記載の支援型注射デバイス(1)。
【請求項8】
前記ラッチ(60)は、前記医療容器(40)とは長手方向軸(A)方向の反対側にある、前記本体(10)の位壁(15)上で摺動可能である請求項7に記載の支援型注射デバイス(1)。
【請求項9】
前記ピストンロッド(30)には、歯付きラック(36)が設けられ、前記ブロッキングシステムは、前記デバイス(1)の前記本体(10)上に装着され、ウィング(70)である前記ロッキング部材に結合されたボタン(71)を備え、前記ウィング(70)は、前記本体(10)に固定された構造体(72)上に枢動可能に装着され、前記ウィング(70)は、前記ボタン(71)が解放され、前記ウィング(70)が前記歯付きラック(36)と係合して前記ピストンロッド(30)をブロックする前記ロック位置と、前記ボタン(71)が押され、前記ウィング(70)が前記歯付きラック(36)から係合解除して前記ピストンロッド(30)を移動させることを可能にする前記解放位置との間で枢動可能に移動可能である請求項1に記載の支援型注射デバイス(1)。
【請求項10】
前記ボタン(71)は、ばね負荷されたボタンである請求項9に記載の支援型注射デバイス(1)。
【請求項11】
前記本体(10)は、容器ホルダシステム(20)であって、前記医療容器(40)の少なくとも一部分を受け入れるように構成され、前記近位静止位置から前記遠位動作位置に移動するときに、前記ピストンロッド(30)が前記医療容器(40)の前記ストッパ(44)と係合し、前記ストッパ(44)を前記医療容器(40)に押し込んで前記組成物を注射するように、前記医療容器(40)を前記ピストンロッド(30)の移動方向と位置合わせして保持するように構成される、容器ホルダシステムを備える請求項1乃至10のいずれか一項に記載の支援型注射デバイス(1)。
【請求項12】
前記容器ホルダシステム(20)は、
前記医療容器(40)の少なくとも一部分を受け入れ、前記医療容器(40)を前記ピストンロッド(30)の移動方向と位置合わせして固定された位置に維持するように構成されたハウジング(22)につながる本体(10)の周囲壁(11)内に提供されたスロット(21)と、
前記本体(10)の前記遠位壁(16)内に提供され、前記スロット(21)と連続しており、前記スロット(21)から前記遠位壁(16)内を延びる貫通溝(23)であって、前記溝(23)は、前記スロット(21)を介して前記ハウジング(22)に挿入される前記医療容器(40)を案内するように構成される、貫通溝と
を備える請求項11に記載の支援型注射デバイス(1)。
【請求項13】
支援型注射デバイス組立体であって、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の支援型注射デバイス(1)と、前記支援型注射デバイス上に装着された医療容器(40)とを備える支援型注射デバイス組立体。
【請求項14】
前記組立体は、前記ストッパ(44)に固定されるように構成されたスペーサ(80)をさらに備え、前記スペーサ(80)は、前記ピストンロッド(30)が前記近位静止位置から前記遠位動作位置に移動するときに前記ピストンロッド(30)によって接触され、前記ストッパ(44)と共に押されるように構成される請求項13に記載の支援型注射デバイス組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療容器内に含まれた組成物を注射するための支援型注射デバイスに関する。注射デバイスは、特に組成物が高い粘性を有する場合に、組成物を注射するための労力を小さくする必要があるユーザにとって組成物の注射をより容易にすると共に、注射を実施する間の注射流量を制御する。
【背景技術】
【0002】
事前充填された注射デバイスは、薬物またはワクチンを患者に送達するための一般的な容器であり、シリンジ、カートリッジ、および自動注射器などを含む。これらは、通常、容器内に滑り係合するシーリングストッパを備え、容器は、医薬組成物によって充填されており、それによって患者にすぐに使用できる注射デバイスを施術者に提供する。
【0003】
容器は、実質的に円筒形状を有し、シーリングストッパによって密栓できる近位端部と、医薬組成物が容器から排出される遠位端部と、容器の近位端部と遠位端部との間を延びる周囲壁とを備える。実際、シーリングストッパは、圧力がピストンロッドによって及ぼされた際、容器本体の近位端部から容器本体の遠位端部に向かって滑ることを目的としており、それによって容器本体に含まれた薬物を排出する。
【0004】
患者の体に注射する直前にバイアル貯蔵された医薬組成物によって充填される空の注射デバイスに比べて、事前充填された注射デバイスの使用は、いくつかの利点につながる。特に、注射前の準備を限定することにより、事前充填された注射デバイスは、医療的投薬エラーを低減し、病原菌の汚染のリスクを最小限にし、施術者の使用利便性を高める。さらに、そのような事前充填された容器は、患者による自己投与を促し、簡易化することができ、この自己投与は、治療コストを低減し、患者の固守(adherence)を高めることを可能にする。最後に、事前充填された注射デバイスは、医薬組成物がバイアルから事前充填のない注射デバイスに移されるときに通常起こる、貴重な医薬組成物の損失を低減する。この結果、医薬組成物の所与の製造バッチあたりの可能な注射数をより多くし、したがって、購入および供給連鎖コストを低減する。
【0005】
特定の場合では、シリンジなどの手動注射デバイスによる容器内に含まれた医薬組成物の注射は、組成物を排出するためにピストンロッド上にかける必要がある力により、行うことが難しくなり得る。これは、たとえば、医薬組成物が高い粘性を有する場合、および/またはたとえば関節リュウマチまたはユーザの手もしくは指に影響するあらゆるタイプの疾患を患っている場合に、ピストンロッドを指で十分強く押すことができないユーザによって手動で注射が行われる場合に起こる。注射は、自己投与であってもよく、または健康管理専門家などのユーザによって別の人に対して実施されてもよい。健康管理専門家が粘性薬物の繰り返しの注射を患者に実施する場合、注射を行うためにプランジャロッド上にかける大きい力を必要とする同じ姿勢を繰り返すと、反復運動過多損傷を引き起こすことがある。
【0006】
自動注射器は、ユーザが医薬組成物の自動注射を実施することを支援することができる。これらは、通常、注射を開始するためにユーザが押さえる必要がある注射ボタンを備える。
【0007】
しかし、ユーザは、自動注射器で注射を実施する間、注射流量(または注射速度)を変更することはできない。言い換えると、注射を実施する間、注射流量を増大または減少させることは可能ではない。
【0008】
注射流量の制御のこうした欠如は、ユーザに対して疼痛および不安を発生させる可能性があり、ユーザが注射を正しく実施できないことにつながり得る。
【0009】
さらに、手動注射デバイスと同様に、自動注射器は、主に注射機構によってピストンにかけられる力が不十分なことにより、高い粘性を有する医薬組成物を注射するにあたって困難に遭遇する可能性がある。故に、医薬組成物は、容器から排出されず、またはできても非常に低速で排出される。
【0010】
前述を鑑みて、医療容器内に含まれた医薬組成物を注射するための注射デバイスであって、特に医薬組成物が高い粘性を有する場合および/またはユーザの体力が低減している場合に、既存の注射デバイスと比べてより容易な組成物の注射を可能にする注射デバイスに対する強い必要性が存在する。また、ユーザが注射を制御すること、特に注射を実施する間、注射流量を調整することを可能にするような注射デバイスに対する必要性も存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の目的は、知られているデバイスの欠点を克服する、医療容器内に含まれた医薬組成物を注射するための支援型注射デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の1つの目的は、医療容器内に含まれた組成物を注射するための支援型注射デバイスであって、
-本体であって、医療容器を本体に対して固定された位置に受け入れるように適合され、ユーザの手で保持されるように構成される、本体と、
-ばね負荷されたピストンロッドであって、本体内側で、近位静止位置と、ピストンロッドが医療容器のストッパと係合し、ストッパを医療容器に押し込む遠位動作位置との間で並進式に移動可能である、ばね負荷されたピストンロッドと、
-ピストンロッドと係合するように構成されたロッキング部材を備えるブロッキングシステムであって、ロッキング部材は、ロッキング部材がピストンロッドを近位静止位置に保持するロック位置と、ロッキング部材が、ばねの力の下でピストンロッドを近位静止位置から遠位動作位置に移動させることを可能にする解放位置との間で移動可能である、ブロッキングシステムと
を備え、
ピストンロッドは、本体の外に延びる近位端部であって、ロッキング部材が解放位置にあるとき、ユーザによって遠位方向に押されて遠位動作位置へのピストンロッドの移動を加速させるように構成される、近位端部を含む、支援型注射デバイスである。
【0013】
本出願では、「遠位方向」は、本発明のデバイスが装着される医療容器に対する注射方向を意味するとして理解されるものとする。遠位方向は、注射中のピストンロッドの進行方向に対応し、医療容器内に最初に含まれている医療組成物は、医療容器から排出される。「近位方向」は、注射の前記方向の反対方向を意味すると理解されるものとする。
【0014】
本発明のデバイスの他の任意選択の特徴によれば:
-ピストンロッドの近位静止位置は、医療容器を本体に挿入することを可能にし、
-ロッキング部材は、本体上に装着され、ロック位置では、ロッキング部材は、本体と共働してピストンロッドを近位静止位置に保持し、解放位置では、ロッキング部材は、本体と共働してばねの力の下でピストンロッドを近位静止位置から遠位動作位置に移動させることを可能にし、
-ピストンロッドには、横断方向穴が設けられ、ロッキング部材は、ロック位置にあるときにピストンロッドの横断方向穴に径方向に挿入され、解放位置にあるときに横断方向穴から取り外される、インサートであり、
-インサートは、医療容器の反対側の、本体の近位壁上で摺動可能であり、
-本体の近位壁は、インサートを摺動可能に内部に受け入れるように適合された切欠部を備え、切欠部は、ピストンロッドまで径方向に延び、ピストンロッドが近位静止位置にあるときにピストンロッドの穴と位置合わせされ、
-デバイスの本体の周囲壁には、前記本体を通る横断方向通路を形成する横断方向開口部が設けられ、ロック位置にあるとき、インサートは本体の横断方向開口部に径方向に挿入され、この開口部と位置合わせされたピストンロッドの穴を横切り、解放位置にあるとき、インサートは横断方向開口部から取り外され、
-デバイスの本体の周囲壁には、前記本体を通る横断方向通路を形成する横断方向開口部が設けられ、ロック位置にあるとき、インサートは、本体の横断方向開口部に径方向に、ピストンロッドから遠位に挿入され、それにより、ピストンロッドはインサートと当接し、解放位置にあるとき、インサートは、横断方向貫通穴から取り外され、
-ピストンロッドには、狭小になったセクションが設けられ、ロッキング部材は、互いに連通する少なくとも第1の穴および第2の穴が設けられたラッチであり、第1の穴の直径はピストンロッドの直径より小さく、第2の穴の直径は、ピストンロッドの直径より大きく、ラッチは、第1の穴がピストンロッドと位置合わせされ、ピストンロッドの狭小になったセクションを収容するロック位置と、第2の穴がピストンロッドと位置合わせされ、前記ピストンロッドによって横切られる解放位置との間で径方向に摺動可能であり、
-ラッチは、医療容器(40)の反対側の、本体の近位壁上で摺動可能であり、
-ピストンロッドには、歯付きラックが設けられ、ブロッキングシステムは、デバイスの本体上に装着され、ウィングであるロッキング部材に結合されたボタンを備え、ウィングは、本体に固定された構造体上に枢動可能に装着され、ウィングは、ボタンが解放され、ウィングが歯付きラックと係合してピストンロッドをブロックするロック位置と、ボタンが押され、ウィングが歯付きラックから係合解除してピストンロッドを移動させることを可能にする解放位置との間で枢動可能に移動可能であり、
-ボタンは、有利には、ばね負荷されたボタンであり、
-本体は、容器ホルダシステムであって、医療容器の少なくとも一部分を受け入れるように構成され、近位静止位置から遠位動作位置に移動するときに、ピストンロッドが医療容器のストッパと係合し、ストッパを医療容器に押し込んで組成物を注射するように、医療容器をピストンロッドの移動方向と位置合わせして保持するように構成される、容器ホルダシステムを備え、
-容器ホルダシステムは:
-医療容器の少なくとも一部分を受け入れ、医療容器をピストンロッドの移動方向と位置合わせして固定された位置に維持するように構成されたハウジングにつながる本体の周囲壁内に提供されたスロットと、
-本体の遠位壁内に提供され、スロットと連続しており、スロットから遠位壁内を延びる貫通溝であって、溝は、スロットを介してハウジングに挿入される医療容器を案内するように構成される、貫通溝と
を備える。
【0015】
本発明の別の目的は、支援型注射デバイス組立体であって、これまで説明したような支援型注射デバイスと、その上に装着された医療容器とを備える、支援型注射デバイス組立体である。
【0016】
支援型注射デバイス組立体は、任意選択により、ストッパに固定されるように構成されたスペーサを備え、スペーサは、ピストンロッドが近位静止位置から遠位動作位置に移動するときにピストンロッドによって接触され、ストッパと共に押されるように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明のさらなる特徴および利点は、付属の図を参照して、後続の詳細な説明から明らかになるであろう。
図1】ブロッキングシステムの第1の実施形態による、本発明の注射デバイスの実施形態の全体斜視図である。
図2図1に示す注射デバイスの分解斜視図である。
図3A】ブロッキングシステムがピストンロッドを近位静止位置にブロックする、デバイスの側部断面図である。
図3B】ブロッキングシステムが解放され、ピストンロッドが動作位置に移動される、デバイスの側部断面図である。
図4】注射の終わりのデバイスの側部断面図である。
図5】ブロッキングシステムの第1の実施形態の代替策による、デバイスの断面斜視図である。
図6】ブロッキングシステムの第2の実施形態による、デバイスの断面斜視図である。
図7】ブロッキングシステムの第3の実施形態による、デバイスの分解斜視図である。
図8】ブロッキングシステムがピストンロッドを近位静止位置にブロックする、図7に示すデバイスの斜視図である。
図9A】ブロッキングシステムがピストンロッドを近位静止位置にブロックする、図7に示すデバイスの断面図である。
図9B】ブロッキングシステムが解放され、ピストンロッドが動作位置に移動される、図7に示すデバイスの断面図である。
図10】ブロッキングシステムがピストンロッドを近位静止位置にブロックする、ブロッキングシステムの第4の実施形態によるデバイスの斜視図である。
図11図10に示すデバイスの側部断面図である。
図12】容器ホルダシステムの実施形態による、デバイスの斜視図である。
図13図12に示すデバイスの側部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、医療容器内に含まれた組成物を注射するための支援型注射デバイスを提案する。
【0019】
注射前、医療容器40は、注射されるように意図された組成物によって充填され、内部に挿入されたストッパ44によって密栓されている。密栓された医療容器40は、次いで、デバイス上に装着されて、注射デバイス組立体を構成し、組成物の注射を行うことができる。
【0020】
図1および2を参照すると、注射デバイス1は、長手方向軸(A)に沿って延びる本体10を備える。本体10は、長手方向軸(A)から径方向に外方向に延びる第1のフランジ13および第2のフランジ14それぞれによって近位および遠位に限定されたグリップ表面12を含む周囲壁11を備える。故に、デバイスを移動させるか、または使用するとき、ユーザは、フランジ13、14間の本体を容易に掴むことができる。ユーザの手のひらは、グリップ表面12と接触し、ユーザの手の上側および下側の端部は、フランジ13、14と当接し、それによってデバイスの実行を安定させる。または、ユーザは、標準的なシリンジを普通に保持するように、人差し指と中指の間で、いずれの指もフランジ13に当接させてグリップ表面12を保持することができる。デバイスは、したがって、手持ち式であり、デバイスの寸法および重量は、有利には、この目的に適合される。
【0021】
医療容器40は、近位端部41と、先端42および針43がそこから延びる遠位端部とを含む本体46を備える。針43は、キャップ(表さず)によって覆われて、使用前に取り扱われるときのいかなる負傷も防止することができる。
【0022】
本体10は、容器ホルダシステム20を備える。
【0023】
図1に示す実施形態によれば、容器ホルダシステム20は、医療容器40の近位端部41を受け入れるように適合されたハウジング22につながる本体の周囲壁11内に、有利には第2のフランジ14内に提供されたスロット21を含む。
【0024】
容器ホルダシステム20は、本体の遠位壁16内に提供され、スロット21と連続し、スロットから遠位壁内を延びる貫通溝23をさらに含む。実用的な方法では、医療容器40の近位端部は、スロット21を通って挿入され、容器40が本体10に対してハウジング22内の固定された位置になるまで、溝23に沿って径方向に移動される。溝は、2つの突出部24を分離し、この突出部に対して医療容器40の近位端部41は当接し、それによって医療容器40がデバイスから落下することを防止する。
【0025】
この目的を達成するために、溝23の内側表面は、容器40の本体と接触する。特に、溝23は、容器がユーザによって移動されない限り、そこに挿入された容器40が径方向に移動することを防止するように構成することができる。溝は、その中への容器の挿入をより容易にすると共に、注射中、容器をハウジング22内の固定された位置に維持することに寄与するために、たとえば剛性プラスチックまたは金属(アルミニウム、ステンレス鋼)などの剛性および滑性材料で作製される。
【0026】
スロット21および溝23の両方の構造は、デバイス1によって密栓されるように意図された容器40のタイプにしたがって適合され得る。
【0027】
この実施形態は、容器40の近位端部41が突出部24と当接するフランジであることから、医療容器40がシリンジなどである場合に特に有用である。
【0028】
あるいは、容器40がシリンダなど(近位フランジを有さない)である場合、容器ホルダシステム20の構成は、それにしたがって適合され得る。図12および13に示す実施形態によれば、スロット21およびハウジング22の寸法は、その中に挿入される医療容器40の本体46の全体を受け入れるように適合され、容器40の先端42は、医療容器40が本体10に対して固定された位置に維持されるところでハウジング22内に位置決めされるまで、溝23に沿って径方向に移動される。容器40がハウジング22内に位置決めされたとき、(本体46と先端42との間の)ショルダ47は、突出部24と当接し、それによって医療容器40がデバイス1から落下することを回避する。有利には、この状況では、医療容器40の先端42および針43のみがデバイスの本体10から遠位に突出する。当然ながら、この実施形態は、医療容器40がシリンジなどである場合にも適切であることができ、ハウジング22は、それにしたがって医療容器のフランジを収容するように適合される。
【0029】
当然ながら、容器ホルダシステムの他の実施形態が、本発明の範囲から逸脱することなく可能である。たとえば、医療容器40を本体10の遠位壁内に提供された開口部を通って長手方向に挿入することができ、本体10の周囲壁11内に提供されたスロット内に径方向に挿入されたインサートによって固定することができる。
【0030】
デバイス1は、軸Aに沿って本体10の内部容積部17内を延びるピストンロッド30を備える。ばね31が内部容積部17内に、ピストンロッド30と同軸に接触して配置される。このようにして、ばね負荷されたピストンロッド30は、本体10の内側で、ばね31の力の下で軸(A)に沿って、近位静止位置と、ピストンロッド30が医療容器40のストッパ44と係合し、このストッパを医療容器に押し込む遠位動作位置との間で並進式に移動可能である。
【0031】
図2および3を参照すると、ピストンロッド30は、有利には、径方向に拡大された近位端部32を備え、この近位端部は、ユーザがピストンロッド30を親指で遠位方向に押すことを可能にする押し込み表面として、またユーザが、たとえば別の注射を別の容器を用いて行うために、径方向に拡大された近位端部32を掴むことによってピストンロッド30を近位方向に引き戻すことを可能にするハンドルとしての役割を果たす。
【0032】
注射デバイス1は、ピストンロッド30を近位静止位置に保持するためのブロッキングシステムをさらに備える。ブロッキングシステムは、ピストンロッドと係合するように構成されたロッキング部材50を備える。ロッキング部材は、ロッキング部材がピストンロッド30を近位静止位置に保持するロック位置と、ロッキング部材が、医療容器40内に含まれた組成物の注射を行うために、ばね31の力の下でピストンロッド30を近位静止位置から遠位動作位置に移動させることを可能にする解放位置との間で移動可能である。ブロッキングシステムは、以下の提示された文書においていくつかの実施形態によって説明される。
【0033】
第1の実施形態によれば、ロッキング部材は、ピストンロッド30内に提供された横断方向穴34に取り外し可能に挿入されるように適合されたインサート50である。横断方向穴34は、軸(A)に垂直に延び、好ましくは、ピストンロッドを横切って延びる貫通穴である。インサート50は、図1~5内でピンとする非限定的な実施形態において表されるが、インサートが、説明するようなその機能を果たすことができる前提で、別の形態のものであってもよい。
【0034】
図1から4に示す第1の実施形態の第1の代替策によれば、インサート50は、医療容器40の反対側の、本体10の近位壁15上で摺動されるように適合される。好ましくは、インサート34は、ピストンロッド30まで径方向に延びる本体10の近位壁15上に配置された切欠部51内で、ピストンロッド30に向かって、またはこれから遠ざかるように摺動されるように適合される。換言すれば、切欠部51の長手方向軸(B)は、ピストンロッド30の軸(A)に垂直である。ピストンロッドの穴34が貫通穴である場合、切欠部51は、好ましくは、ピストンロッド30の両側に、本体10の近位壁15を通って近位壁の周囲の1つの地点から別の地点まで延びる。切欠部は、代替的には、ピストンロッド30の一方側のみに、本体10の近位壁15の一部分のみを通って延びることができる。
【0035】
図3Aに示すように、ピストンロッド30が近位静止位置にあるとき、ピストンロッド30の横断方向穴34は、本体の近位壁15と実質的に径方向に位置合わせされ、切欠部51は、横断方向穴34と径方向に位置合わせされ、こうしてインサート50をその内部に挿入することを可能にする。この位置では、ばね31は圧縮され、ピストンロッド30の遠位端部は、ストッパ44から遠ざかる。
【0036】
注射を実施するために、インサート50は、図3Bに示すように、ピストンロッド30の横断方向穴34から取り外され、後方に摺動されてピストンロッドから遠ざかる。その結果、ばね31は、ピストンロッド30を遠位方向に、近位静止位置から動作位置まで並進式に移動させ、この動作位置では、ピストンロッド30は、ストッパ44と係合し、組成物は、針43を介してシリンジ40から排出される。ピストンロッド30のこの移動は、ばね31のばね力によるものであり、このばね力は、ばねを弛緩状態に戻し、ここでこのばねは解放される。故に、ピストンロッド30は、ユーザの操作(input)無しに移動することができ、それによって注射をより容易にする。
【0037】
図4に示す注射の終わりには、組成物の全体は注射されている。ストッパ44は、医療容器40の遠位端部42と当接し、ピストンロッド30は、それ以上遠位に移動することはできない。ばね31は、少なくとも部分的に弛緩状態にあり、ピストンロッド30の、その近位端部32の近傍の近位部分は、本体10の外側にあるままであり、それによってユーザが、その後の注射を行うためにピストンロッド30を近位静止位置に引き戻すことを可能にする。ピストンロッド30は、次いで、インサート50によってブロックされ、空の医療容器40は、容器ホルダシステムから取り外され、別の事前充填された医療容器によって取り換えられて別の注射を行うことができる。
【0038】
以下では、ブロッキングシステム以外のデバイスの特徴は、これらの特徴および機能が、異なる実施形態によるデバイスの構造的相違を考慮にいれながら上記で説明してきたものに類似するため、再度説明はしない。
【0039】
図5に示す第1の実施形態の第2の代替策によれば、インサート50は、ピストンロッド30まで径方向に、好ましくは周囲壁11の一方の側から他方の側まで延びる通路を形成する本体10の周囲壁11内に提供された横断方向開口部18内で、ピストンロッド30に向かってまたはこれから遠ざかるように摺動されるように適合される。換言すれば、横断方向開口部の長手方向軸(B)は、ピストンロッド30の軸(A)に垂直である。
【0040】
ピストンロッド30が近位静止位置にあるとき、横断方向開口部18は、ピストンロッド30の穴34と位置合わせされる。インサート50は、本体10の横断方向開口部18およびピストンロッド30の穴34に径方向に挿入され、それによってピストンロッドを近位静止位置に維持する。横断方向開口部18は、周囲壁11の異なる場所に位置決めされ得る。たとえば、横断方向開口部は、第1のフランジ13と本体10の内部容積部17との間に位置決めされ得る。別の形では、横断方向開口部は、本体10の内部容積部17と径方向に位置合わせされて位置決めされて、この内部容積部につながることができる。この後者の場合、ばねのコイルは、有利には、インサート50が横断方向穴34を介してピストンロッド30を通過することができるように適合される。たとえば、ばねの隣接するコイル間の距離は、インサート50の直径より大きい。
【0041】
注射を実施するために、インサート50は、ピストンロッドの穴34および横断方向開口部18から取り外されて、ピストンロッド30を遠位動作位置に移動させることを可能にする。
【0042】
図6に示す第2の実施形態によれば、ピストンロッド30は、上記で説明したような横断方向穴を備えない。ロッキング部材は、第1の実施形態において説明するようなインサート50である。インサート50は、本体10の周囲壁11内に提供された横断方向開口部18内で摺動されるように適合される。横断方向開口部18は、第1の実施形態と類似の構造を有する。この横断方向開口部18は、本体10の内部容積部17と径方向に位置合わせされてこの内部容積部につながり、ピストンロッドが近位静止位置にあるときにピストンロッド30から遠位に位置決めされる。特に、横断方向開口部18は、ピストンロッド30が近位静止位置にあるとき、本体10の第2のフランジ14とピストンロッド30との間に提供され得る。インサート50が本体10の横断方向開口部内に挿入されたとき、ピストンロッド30は、近位静止位置にあるため、このインサート50は、本体10の内部容積部を渡して延び、ピストンロッド30の遠位端部33は、インサート50と当接し、それによってピストンロッドを近位静止位置に維持する。
【0043】
注射を実施するために、インサート50は、横断方向開口部18から取り外される。故に、ピストンロッド30の遠位端部33は、もはやインサート50と当接せず、ピストンロッドは、遠位動作位置に移動する。
【0044】
図7および8に示す第3の実施形態によれば、ピストンロッド30には、ピストンロッド30のものと比較して低減された直径を有する狭小になったセクション35が設けられる。ロッキング部材は、互いに連通する第1の穴61および第2の穴62が設けられたラッチ60である。第1の穴61の直径は、ピストンロッド30の直径より小さく、ピストンロッドの狭小になったセクション35のみを収容するように構成される。第2の穴62の直径は、ピストンロッド30の直径より大きく、ピストンロッドを収容するように構成される。
【0045】
ラッチ60は、作動ゾーン63を押し引きすることによって、好ましくは、本体10の近位壁15上で、本体10およびピストンロッド30に対して相対的に径方向に摺動可能である。
【0046】
図9Aに示すように、ピストンロッド30が近位静止位置にあるとき、第1の穴61は、ピストンロッド30と位置合わせされ、ピストンロッドの狭小になったセクション35を収容する。ピストンロッドは、ラッチ60と当接し、それによって近位静止位置に維持される。
【0047】
注射を実施するために、ラッチ60は、図9Bに示すように、作動ゾーン63を押すことによって径方向に内方向に摺動され、それによって第2の穴62をピストンロッド30と位置合わせする。ピストンロッド30は、第2の穴62を通過し、こうして近位静止位置から動作位置に移動させられる。
【0048】
この実施形態の利点は、ラッチが、その使用にわたってデバイスに取り付けられたままであり、したがって、ピストンロッドが解放された後でも損失する可能性がないことである。
【0049】
図10および11に示す第4の実施形態によれば、ピストンロッド30には、歯付きラック36が設けられる。ブロッキングシステムは、デバイス1の本体10上に装着され、ウィング70であるロッキング部材に結合されたボタン71、好ましくはばね負荷されたボタンを備える。ウィング70は、第1のフランジ13と本体10の周囲壁11とを接合する、有利には湾曲した2つのブランチ72の形態の、本体10に固定された構造体上に枢動可能に装着される。デバイスの本体10には、ウィングを収容するように構成されたハウジング73が設けられる。
【0050】
図10に示すように、ボタンは解放され、ウィングは歯付きラックと係合する。ピストンロッド30は、近位静止位置にある。
【0051】
注射を実施するために、ボタン71は、径方向に内方向に(矢印で表すように)押され、ウィング70を湾曲したブランチ72を中心に枢動させてピストンロッド30から遠ざけ、歯付きラック36から係合解除させ、それによってピストンロッドを近位静止位置から動作位置に移動させることを可能にする。
【0052】
ブロッキングシステムの実施形態にかかわらず、注射の終わりには、デバイスは、ユーザによって手動でリセットされて、別の注射に進むことができる。そのようにするために、ピストンロッド30は、好ましくは径方向に拡大された近位端部32を掴むことにより、ユーザによって近位方向に引っ張られて近位静止位置に戻り、ロッキング部材は、ロック位置に移動される。次いで、空の医療容器40が容器ホルダシステム20から取り外され、新しい充填された医療容器40が、容器ホルダシステム20内に位置決めされ得る。
【0053】
ばね31は、有利には、注射される組成物の粘性に応じて、より全般的には、注射を実施する困難性に応じて選択される。たとえば、高い粘性の組成物の場合、高いばね力を有するばねが、優先的に選択されなければならない。
【0054】
注射を実施する間、ユーザは、ピストンロッド30の近位端部32を遠位方向に押すことができる。この場合、ピストンロッド30にかけられた力は、ばね力とユーザによって及ぼされた力との組み合わせである。こうしてピストンロッド30の移動を加速させることができ、注射流量はこうして増大される。ユーザがピストンロッド30を押すことを停止すると、このピストンロッドは、再度ばね31のみによって駆動されるようになる。
【0055】
デバイスの第1の実施形態、第2の実施形態、および第3の実施形態によれば、ロッキング部材50、60、70が解放位置になると、ピストンロッド30は、遠位方向に移動し、注射が終わるまで移動し続ける。
【0056】
デバイスの第4の実施形態によれば、注射は、ユーザがボタン71を押し続ける限り続行する。ユーザがボタンを解放すると、注射は停止する。したがって、ユーザは、ボタンをそれぞれ押す、または解放することによって、注射を選択的に開始し、停止することができる。
【0057】
注射デバイス組立体には、有利には、容器40をデバイス1上に装着する前に、ストッパ44と接触して容器40内に位置決めされたスペーサ80が設けられる。スペーサ80は、好ましくは、その遠位端部上に突起部81を含み、この突起部は、ストッパ44の近位端部上の対応する凹部45に挿入され、それにより、ストッパ44およびスペーサ80は、一緒に固定され、ピストンロッド30によって押されたとき、容器40内で一緒になって滑る。
【0058】
スペーサ80は、ピストンロッドがストッパと間接的に接触したとき、ピストンロッド30によってストッパ44に伝達された機械力の一部を吸収する。故に、スペーサ80を介してピストンロッド30によって押されたとき、ストッパ44は、連続的に円滑に移動する。これを達成するために、スペーサ80は、有利には、たとえばプラスチックまたは金属などの剛性材料から作製され、その長さは、医療容器の近位端部と組成物の表面との間の空間を低減するように、医療容器内に含まれた組成物の量に対して相対的に適合される。組成物の量が少ないほど、スペーサは長くなる。
【0059】
スペーサ80の近位端部は、ピストンロッド30の遠位端部と接触するように適合され、スペーサ80とピストンロッド30との間の接触表面は、好ましくは、平坦表面であり、それにより、機械力はこの平坦表面の全体上に分配され、こうしてストッパ44を伴ったスペーサ80の移動を改善する。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13