(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-05
(45)【発行日】2024-02-14
(54)【発明の名称】真のガウス磁気測定を用いる磁気検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 27/83 20060101AFI20240206BHJP
【FI】
G01N27/83
(21)【出願番号】P 2020551979
(86)(22)【出願日】2019-03-27
(86)【国際出願番号】 US2019024318
(87)【国際公開番号】W WO2019191252
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2022-01-13
(32)【優先日】2018-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591203428
【氏名又は名称】イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】サキフ ビン ファーダス
(72)【発明者】
【氏名】ワイヤット エム.バーンズ
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ジョン フライ
【審査官】田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-243175(JP,A)
【文献】国際公開第2014/147824(WO,A1)
【文献】特開2005-024295(JP,A)
【文献】特公平02-049662(JP,B2)
【文献】特開平05-072180(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0306483(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102495129(CN,A)
【文献】特開2005-134177(JP,A)
【文献】特開2002-310993(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/72-27/9093
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流を生成するように構成された電流生成器と、
磁気非破壊試験(NDT)検査中に検査物品に前記電流を印加するように構成された1つ以上の電気コンタクトであって、該電流の該印加は、前記検査物品内に磁界を生成する、1つ以上の電気コンタクトと、
前記磁気NDT検査中に
磁気溶液がその表面に塗布されている前記検査物品に関連付けられたガウス読み取り値を得るように構成された磁気プローブであって、前記磁気プローブは前記検査物品に基づいた適応配置を可能とするように調整可能である、磁気プローブと、
フィードバックループコントローラーであって、
前記ガウス読み取り値を処理することと、
前記ガウス読み取り値の処理に基づいて1つ以上の調整を決定することと、
前記電流生成器に前記1つ以上の調整を適用することと、
を行うように構成された、フィードバックループコントローラーと、
を備える、磁気検査装置。
【請求項2】
前記磁気プローブは、手動で調整される、請求項1に記載の磁気検査装置。
【請求項3】
前記磁気プローブは、自動で調整される、請求項2に記載の磁気検査装置。
【請求項4】
前記フィードバックループコントローラーは、事前定義された基準に基づいて前記ガウス読み取り値を処理するように構成される、請求項1に記載の磁気検査装置。
【請求項5】
前記フィードバックループコントローラーは、前記事前定義された基準を変更することを可能にするように構成される、請求項4に記載の磁気検査装置。
【請求項6】
磁気非破壊試験(NDT)検査を行う方法であって、
磁気NDT検査のために構成される検査セットアップにおいて、
前記磁気NDT検査中、該磁気NDT検査を受ける
、磁気溶液がその表面に塗布されている検査物品に関連付けられたガウス読み取り値を得ることであって、前記検査物品に基づいて磁気プローブの適応配置を調節することを備える、ガウス読み取り値を得ることと、
前記ガウス読み取り値を処理することと、
前記ガウス読み取り値の処理に基づいて、1つ以上の調整を決定することであって、
前記1つ以上の調整のうちの少なくとも1つは、前記磁気非破壊試験(NDT)検査中に前記検査物品に印加される電流を制御するように構成され、
前記電流の印加は、前記検査物品内に磁界を生成する、
1つ以上の調整を決定することと、
前記電流の源に前記1つ以上の調整を適用することと、
を含む、方法。
【請求項7】
磁気プローブを介して前記ガウス読み取り値を得ることを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記磁気プローブの位置決めを手動で調整することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記磁気プローブの位置決めを自動で調整することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
事前定義された基準に基づいて前記ガウス読み取り値を処理することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記ガウス読み取り値の処理に基づいて前記事前定義された基準を変更することを含む、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本国際特許出願は、2018年3月27日に出願された米国仮特許出願第62/648,756号の優先権を主張する。米国仮特許出願第62/648,756号の全内容は、引用することにより本明細書の一部をなす。
【背景技術】
【0002】
非破壊試験(NDT:Non-destructive testing)は、材料、コンポーネント、及び/又はシステムの特性及び/又は特徴を、被試験アイテムの損傷又は変質を引き起こすことなく評価するのに用いられる。非破壊試験は検査(inspected)されている物品を永続的には変質させないので、非常に価値のある技法であり、製品評価、トラブルシューティング、及び研究に用いられるときのコスト及び/又は時間を抑えることを可能にする。頻繁に用いられる非破壊試験方法は、磁気粒子検査、渦電流試験、浸透探傷(liquid penetrant)検査(又は染色浸透検査)、放射線透過検査、超音波試験、及び目視試験を含む。非破壊試験(NDT)は、機械工学、石油工学、電気工学、システム工学、航空工学、医療、芸術等の分野において共通して用いられる。
【0003】
いくつかの事例では、非破壊試験において専用の材料及び/又は製品が用いられる場合がある。例えば、特定のタイプの物品の非破壊試験は、非破壊試験を実行するように構成される材料を、試験されることになる物品又は一部に(例えば、噴霧(spraying)する、流し込む(pouring)、通す(passing)等によって)塗布(applying)することを伴う場合がある。これに関して、非破壊試験に適した特定の磁気的特徴、視覚的特徴等を有することに基づいて、そのような材料(以降「NDT材料」又は「NDT製品」と称される)を選択及び/又は作製することができ、例えば、試験されることになる物品における不良点(defects)及び欠陥(imperfections)を検出することが可能になる。
【0004】
いくつかの事例では、磁気粒子検査等の或る特定のタイプのNDT検査を実行する従来手法は、特に、そのような検査中に用いる装置のリアルタイム制御に関して、いくつかの欠点及び/又は不利点を有する場合がある。
【0005】
従来の手法の更なる制限及び不利点が、そのような手法を、図面を参照して本開示の残りの部分において記載されている本方法及びシステムのいくつかの態様と比較すると、当業者には自明となるであろう。
【発明の概要】
【0006】
本開示の態様は、製品試験及び検査に関する。より詳細には、本開示による種々の実施態様は、実質的に、図面のうちの少なくとも1つによって図示されるか又はこれに関連して説明され、また、特許請求の範囲においてより完全に記載されるように、真のガウス磁気測定を用いる磁気検査装置に関する。
【0007】
本開示のこれらの利点、態様及び新規の特徴、並びに他の利点、態様及び新規の特徴は、それらの図示される実施態様の詳細とともに、以下の説明及び図面からより十分に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示の態様による、真のガウス磁気測定を用いる一例示の磁気検査装置の図である。
【
図2】
図2は、本開示の態様による、一例示のフィードバックループコントローラーの図である。
【
図3】
図3は、本開示の態様による、真のガウス磁気測定を用いる磁気検査装置を利用する一例示のプロセスのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示による種々の実施態様は、特に、磁気ウェットベンチにおいて実行される試料採取に関して、磁気ウェットベンチを利用する、改善されかつ最適化された方式を提供することに関する。
【0010】
本開示によれば、磁気非破壊試験(NDT)検査のために構成された一例示の装置は、電流を生成するように構成された電流生成器と、磁気非破壊試験(NDT)検査中に検査物品に電流を印加するように構成された1つ以上の電気コンタクトであって、電流の印加は、検査物品内に磁界を生成する、1つ以上の電気コンタクトと、磁気NDT検査中に検査物品に関連付けられたガウス読み取り値を得るように構成された磁気プローブと、フィードバックループコントローラーであって、ガウス読み取り値を処理することと、ガウス読み取り値の処理に基づいて1つ以上の調整を決定することと、電流生成器に1つ以上の調整を適用することとを行うように構成された、フィードバックループコントローラーとを備えることができる。
【0011】
一例示の実施態様では、磁気プローブは、手動で調整することができる。
【0012】
一例示の実施態様では、磁気プローブは、自動で調整することができる。
【0013】
一例示の実施態様では、フィードバックループコントローラーは、事前定義された基準に基づいてガウス読み取り値を処理するように構成することができる。
【0014】
一例示の実施態様では、フィードバックループコントローラーは、事前定義された基準を変更することを可能にするように構成することができる。
【0015】
本開示によれば、磁気非破壊試験(NDT)検査を行う一例示の方法は、磁気NDT検査中、磁気NDT検査を受け得る検査物品に関連付けられたガウス読み取り値を得ることと、ガウス読み取り値を処理することと、ガウス読み取り値の処理に基づいて、1つ以上の調整を決定することと、なお、1つ以上の調整のうちの少なくとも1つは、磁気非破壊試験(NDT)検査中に検査物品に印加される電流を制御するように構成することができ、電流の印加は、検査物品内に磁界を生成し、電流の源に1つ以上の調整を適用することとを含むことができる。
【0016】
一例示の実施態様では、磁気プローブを介してガウス読み取り値を得ることができる。
【0017】
一例示の実施態様では、磁気プローブの位置決めを手動で調整することができる。
【0018】
一例示の実施態様では、磁気プローブの位置決めを自動で調整することができる。
【0019】
一例示の実施態様では、事前定義された基準に基づいてガウス読み取り値を処理することができる(正:may be processed)。
【0020】
一例示の実施態様では、ガウス読み取り値の処理に基づいて事前定義された基準を変更することができる。
【0021】
本明細書で使用する「回路」及び「回路部」という用語は、物理的な電子コンポーネント(例えば、ハードウェア)と、ハードウェアを構成することができ、ハードウェアが実行することができ、及び/又は他の方法でハードウェアに関連付けることができる、任意のソフトウェア及び/又はファームウェア(「コード」)とを指す。本明細書で使用するとき、例えば、特定のプロセッサ及びメモリ(例えば、揮発性又は不揮発性メモリデバイス、汎用コンピューター可読媒体等)は、第1の1つ以上のコードラインを実行するときに第1の「回路」を備え、第2の1つ以上のコードラインを実行するときに第2の「回路」を備えることができる。さらに、回路は、アナログ及び/又はデジタル回路部を含むことができる。そのような回路部は、例えば、アナログ及び/又はデジタル信号に対し動作することができる。回路は、単一のデバイス又はチップ内、単一のマザーボード上、単一のシャーシ内、単一の地理的ロケーションにおける複数の筐体内、複数の地理的ロケーションにわたって分散された複数の筐体内等にあり得ることが理解されるべきである。同様に、「モジュール」という用語は、例えば、物理的な電子コンポーネント(例えば、ハードウェア)と、ハードウェアを構成することができ、ハードウェアが実行することができ、及び/又は他の方法でハードウェアに関連付けることができる、任意のソフトウェア及び/又はファームウェア(「コード」)とを指すことができる。
【0022】
本明細書で使用する場合、回路部又はモジュールは、或る機能を実施するために必要なハードウェア及びコード(いずれかが必要である場合)を含む場合はいつでも、その機能の実施が(例えば、ユーザーが構成可能な設定、工場トリム等により)無効にされる又は有効にされていないか否かに関わりなく、回路部又はモジュールはその機能を実行するように「動作可能」である。
【0023】
本明細書で使用する「及び/又は」は、「及び/又は」によって連結されるリストにおける項目のうちの任意の1つ以上の項目を意味する。一例として、「x及び/又はy」は、3つの要素の組{(x),(y),(x,y)}のうちの任意の要素を意味する。言い換えれば、「x及び/又はy」は、「x及びyのうちの一方又は両方」を意味する。別の例として、「x、y及び/又はz」は、7つの要素の組{(x),(y),(z),(x,y),(x,z),(y,z),(x,y,z)}のうちの任意の要素を意味する。言い換えれば、「x、y及び/又はz」は、「x、y及びzのうちの1つ以上」を意味する。本明細書で使用する「例示的な」という用語は、非限定的な例、事例又は例証としての役割を果たすことを意味する。本明細書で使用する「例えば」という用語は、1つ以上の非限定的な例、事例又は例証のリストを開始する。
【0024】
図1は、本開示の態様による、真のガウス磁気測定を用いる一例示の磁気検査装置を示している。
図1には、磁気検査装置100が示されている。
【0025】
磁気検査装置100は、NDT磁気粒子検査に用いるように構成され、特に、不良点及び/又は欠陥がないか物品(例えば、部品等)を、具体的にはそれらの不良点及び/又は欠陥に関連付けられた磁気特性に基づいて検査するように構成される(例えば、被試験部品に亀裂又は変形がある場合、これは、磁気読み取り値に影響を及ぼすことになる)。これに関して、磁気に基づく検査は、例えば、被検査部品に電流(複数の場合もある)を(例えば、電気素子(「電気コンタクト」と称する)を介して)印加することによる直接磁化を介して、この部品内に磁界を誘導することを伴う。典型的な磁気検査装置は、試験されている部品に係合するために(例えば、部品が電気コンタクト間にクランプされ、心押し台等の係合部品の一方が、種々の長さの部品を収容するために適所に移動され係止される)、電気コンタクトを組み込む係合コンポーネント(例えば、主軸台及び心押し台)を有することができる。
【0026】
例えば、
図1に示される例示の実施態様に示すように、磁気検査装置100は、電気コンタクト120を介して被検査部品130に電流(複数の場合もある)を印加する電流生成器110を備える。これに関して、種々の磁化手法を用いて、そのような選択肢の中から選択することを可能にするいくつかのシステムを用いて、被検査部品を磁化することができる。磁化は、例えば、AC(交流電流)、半波DC(直流電流)、又は全波DC(直流電流)を用いて達成することができる。いくつかのシステムでは、システムに消磁機能を構築することができる。例えば、消磁機能は、コイル及び減衰するAC(交流電流)を利用することができる。
【0027】
さらに、
図1に示す特定の実施態様には具体的に示されないものの、磁気検査装置は、他の機能/異なる機能を実行する追加部品を備えることができる。例えば、いくつかの事例では、例えば不良点検出を可能にする及び/又は容易にするために、磁気に基づく検査中、試験関連材料を用いる(例えば、被検査部品に適用する)ことができる。これらの追加のコンポーネント又は機能は、装置のタイプ及び/又は装置を用いて実行される検査のタイプに基づいて決定することができる。
【0028】
磁気検査装置の1つの例示のタイプは、磁気粒子検査静止ウェットベンチ(又は磁気ウェットベンチ)である。これに関して、磁気ウェットベンチを用いる場合、ウェット磁気粒子溶液が部品に塗布される。粒子溶液(「薬液(bath)」とも呼ばれる)は、磁化することができる可視粒子又は蛍光粒子を含むことができ、そのようなエリアにおける異なる特性を呈することによって不良点及び/又は欠陥の検出が可能になる。粒子溶液は、(部品を磁化するための)部品に対する電流の印加中(又は印加の前)にその部品に噴霧することができる。
【0029】
一例示の検査使用シナリオでは、部品130は、2つの電気コンタクト120を介して係合する(例えば、電気コンタクト間でクランプする)ことができる。装置のタイプによって決定されるように、部品準備処置(複数の場合もある)及び/又はステップ(複数の場合もある)が実行される。例えば、磁気ウェットベンチを利用する場合、磁気溶液は、部品130の表面に塗布される(例えば、表面全体に噴霧される)。次に、磁化電流が電流生成器110によって提供され、電気コンタクト120を介して部品130に印加される。磁化電流の印加は、短い持続時間行うことができ、部品130の燃焼又は過熱を防ぐために事前対策を取ることができる。電気コンタクト120を介した部品130への磁化電流の印加により、部品130内に磁界(例えば、部品130の周縁部の回りを流れる円磁界)が生成される。磁界により、部品130内部に生成された磁界に基づいて、部品130内の不良点の検出が可能になる。例えば、磁気ウェットベンチを利用する場合、部品130が磁気溶液で濡れた状態では、亀裂等の不良点は、溶液内の磁気粒子を引き寄せて兆候を形成する、これらの不良点からの漏れ磁界の結果として検出可能であり得る。
【0030】
しかしながら、既存のシステムは、いくつかの欠点を有する場合がある。例えば、既存の磁気検査装置は、典型的には、そのガウス読み取り値について部品を試験する認定技術者を要求するアンペア数設定に基づいて操作される。これに関して、既存の磁気検査装置(例えば、磁気ウェットベンチ)を用いるオペレーターは、現状、自身が使用を計画している各磁気検査装置において部品を試験することに時間を費やし、装置ごとに技術シートを(技術シートが同じ部品に対するものであっても)作成する必要がある。これは、適用可能な標準規格又は仕様が典型的には特定のガウス定格(例えば、部品の回りで30Gsの規制要件)に達する部品を要求すること、及び、適用されるアンペア数と部品に対する結果として得られるガウスとの間に非整合性が存在し得ることに起因する。したがって、新たな被試験部品について1つの技術シートを作成する代わりに、オペレーターは、自身が有する又は用いる磁気検査装置と同じ数の厳密な手順を繰り返さなければならない場合がある。
【0031】
したがって、本開示による種々の実施態様では、そのような問題は、リアルタイムガウス読み取り値を得るためのコンポーネント、及び、そのような読み取り値を利用して装置内の他の機能、特に、例えば適用可能要件を満たすことを確実にするために被検査部品に印加される電流を連続的に制御するためのコンポーネントを磁気検査装置に組み込むことによって、克服することができる。
【0032】
これに関して、特に一定ガウス読み取りを可能にするとともに、アンペア数関連機能を(例えば、フィードバック方式で)制御するためのその使用を可能にすることによって上記で言及された問題を解決することにより、既存な装置に対する大幅な改善及び/又は解決策を可能にすることができ、例えば、労働コスト節約、プロセス制御改善、改善された信頼性(例えば、部品が適切に磁化されることを保証すること)が可能になる。例えば、オペレーターが1つの技術シートを記述することのみが必要になるだけではなく、そのシートが装置の寿命全体にわたって変化しない。なぜならば、ガウス読み取り値及び関連フィードバック制御メカニズムは、部品130が常に適切に帯電されるようにアンペア数が調整されることを常に確実にするためである。
【0033】
図1に示す例示の実施態様では、磁気検査装置100は、磁気プローブ150及びフィードバックループコントローラー140を組み込み、磁気プローブ150及びフィードバックループコントローラー140は、部品130が装置に係合されると部品130の一定ガウス読み取り値及びリアルタイムガウス読み取り値を得るとともに、この読み取り値に基づいて対応するループバックに基づく制御を実行するように構成することができる。
【0034】
プローブ150は、ガウス読み取り値を得る任意の適したハードウェア(回路部を含む)(例えば、ガウスメーター)を備えることができる。プローブ150は、異なる部品タイプ(又は形状)に適応するように調整可能とすることができる。これに関して、プローブ150の配置及び/又は調整は、手動(オペレーターによる)又は自動(例えば、部品のタイプ及び/又は形状を評価するのに適したコンポーネント、及び/又は、部品の自律的評価に基づいて、又は別の方法で、例えば、オペレーターが入力コンポーネントを介して部品を識別することに応答して、事前定義された基準に基づいて、プローブを自律的に移動させるのに適したコンポーネントを用いる)で行うことができる。
【0035】
フィードバックループコントローラー140は、プローブ150を介して得られたガウス読み取り値を処理する、及び、これに基づいて制御アクションを行うのに適した回路部を備えることができる。例えば、フィードバックループ制御140は、ガウス読み取り値を処理することに応答して、電流生成器110によって部品130に印加される電流(複数の場合もある)を調整するために、電流生成器110に印加される制御信号を生成することができる。
【0036】
装置内でそのようなガウスフィードバックループを実施することによって、ガウスについて同時に部品をプローブすることによってアンペア数を増加(又は減少)させることができる。ガウス読み取り値により、装置が、非常に短い時間期間内でアンペア数の増加を停止すべきときを自律的に判断することが可能になり、結果として、被検査部品が許容可能範囲内の点に磁化されることが確実になる。さらに、そのような装置の動作は、以前の装置と同様とすることができる。なぜならば、全ての作業が自動的に行われる(例えば、フィードバックループコントローラー140によってハンドリングされる)ためである。結果として、オペレーターは、骨の折れる新たな部品の試験及び繰り返しの技術シート記述という自身の業務から解放される。
【0037】
図2は、本開示の態様による、一例示のフィードバックループコントローラーを示している。
図2には、フィードバックループコントローラー200が示されている。
【0038】
フィードバックループコントローラー200は、例えば
図1に関して説明されたように、特にフィードバックループ関連制御を提供することによって、本開示の種々の態様を実施するのに適した回路部を備えることができる。これに関して、フィードバックループコントローラー200は、
図1のフィードバックループコントローラー140の一例示の実施態様を表すことができる(正:may represent)。
【0039】
図2に示すように、フィードバックループコントローラー200はプロセッサ202を含むことができる。これに関して、一例示のプロセッサ202は、任意の製造業者からの任意の汎用中央処理ユニット(CPU:central processing unit)とすることができる。しかしながら、いくつかの例示の実施態様において、プロセッサ202は、ARMコアを有するRISCプロセッサ、グラフィック処理ユニット、デジタル信号プロセッサ、及び/又は、システムオンチップ(SoC:system-on-chips)等の1つ以上の専用処理ユニットを含むことができる。
【0040】
プロセッサ202は機械可読命令204を実行し、機械可読命令204は、プロセッサに(例えば、含まれるキャッシュ又はSoC内に)、ランダムアクセスメモリ(RAM)206(又は他の揮発性メモリ)内に、リードオンリーメモリ208(又はフラッシュメモリ等の他の不揮発性メモリ)内に、及び/又は、マスストレージデバイス210内にローカルで記憶することができる。例示のマスストレージデバイス210は、ハードドライブ、固体記憶デバイス、ハイブリッドドライブ、RAIDアレイ、及び/又は、任意の他の大容量データ記憶デバイスとすることができる。
【0041】
バス212は、プロセッサ202、RAM206、ROM208、マスストレージデバイス210、ネットワークインターフェース214、及び/又は入力/出力(I/O)インターフェース216の間の通信を可能にする。
【0042】
例示のネットワークインターフェース214は、フィードバックループコントローラー200をインターネット等の通信ネットワーク218に接続するために、ハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアを含む。例えば、ネットワークインターフェース214は、通信を送信及び/又は受信するためのIEEE202.X準拠無線及び/又は有線通信ハードウェアを含むことができる。
【0043】
図2の例示のI/Oインターフェース216は、1つ以上のユーザーインターフェースデバイス220をプロセッサ202に接続して、プロセッサ202に入力を提供する及び/又はプロセッサ202から出力を提供するハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアを含む。例えば、I/Oインターフェース216は、ディスプレイデバイスにインターフェースするためのグラフィック処理ユニット、1つ以上のUSB準拠デバイスにインターフェースするためのユニバーサルシリアルバスポート、ファイヤーワイヤー(FireWire)、フィールドバス、及び/又は任意の他のタイプのインターフェースを含むことができる。
【0044】
例示のフィードバックループコントローラー200は、I/Oインターフェース216に結合されたユーザーインターフェースデバイス224を含む。ユーザーインターフェースデバイス224は、キーボード、キーパッド、物理的ボタン、マウス、トラックボール、ポインティングデバイス、マイクロフォン、オーディオスピーカー、光媒体ドライブ、マルチタッチタッチスクリーン、ジェスチャー認識インターフェース、及び/又は、任意の他のタイプの入力及び/又は出力デバイス(複数の場合もある)のうちの1つ以上を含むことができる。本明細書における例は、ユーザーインターフェースデバイス224を指すが、これらの例は、単一のユーザーインターフェースデバイス224として、任意の数の入力及び/又は出力デバイスを含むことができる。他の例示のI/Oデバイス(複数の場合もある)220は、光媒体ドライブ、磁気媒体ドライブ、周辺デバイス(例えば、スキャナー、プリンター等)及び/又は任意の他のタイプの入力及び/又は出力デバイスを含む。
【0045】
例示のフィードバックループコントローラー200は、I/Oインターフェース216及び/又はI/Oデバイス(複数の場合もある)220を介して非一時的機械可読媒体222にアクセスできる。
図2の機械可読媒体222の例は、光ディスク(例えば、コンパクトディスク(CD:compact discs)、デジタル多用途/ビデオディスク(DVD:digital versatile/video discs)、Blu-ray(登録商標)ディスク等)、磁気媒体(例えば、フロッピーディスク)、可搬型記憶媒体(例えば、可搬型フラッシュドライブ、セキュアデジタル(SD:secure digital)カード等)、及び/又は任意の他のタイプの取り外し可能及び/又は設置式機械可読媒体を含む。
【0046】
図3は、本開示の態様による、真のガウス磁気測定を用いる磁気検査装置を利用する一例示のプロセスのフローチャートを示している。
【0047】
図3には、本開示による、適したシステム(例えば、
図1の磁気検査装置100)において及び/又はこれを用いて実行することができる複数の例示のステップ(ブロック302~312として表される)を含むフローチャート300が示されている。
【0048】
装置が動作のためにセットアップ及び構成される開始ステップ302の後、ステップ304において、(被試験)部品が、試験装置、例えば2つの電気コンタクトの間に挿入される。
【0049】
ステップ306において、例えば、部品を磁化するために部品に事前設定された電流を印加することによって試験を開始することができる。
【0050】
ステップ308において、例えば部品上又は部品の付近に位置決めされた(正:positioned)プローブ等を介して、リアルタイムガウス読み取り値を得ることができる。
【0051】
ステップ310において、例えば、部品に印加される電流(アンペア数)に対する任意の要求される調整を決定するために、得られたガウス読み取り値を処理することができる。
【0052】
ステップ312において、調整は、電流源/生成器に適用される。
【0053】
本開示による他の実施態様は、機械及び/又はコンピューターによって実行可能な少なくとも1つのコードセクションを有し、それにより、本明細書において説明されたように機械及び/又はコンピューターに処理を実行させる、機械コード及び/又はコンピュータープログラムが記憶された非一時的コンピューター可読媒体及び/又は記憶媒体、及び/又は非一時的機械可読媒体及び/又は記憶媒体を提供することができる。
【0054】
したがって、本開示による種々の実施態様は、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェア及びソフトウェアの組み合わせにおいて実現することができる。本開示は、少なくとも1つのコンピューティングシステムにおいて集中形式で、又は異なる要素がいくつかの相互接続されたコンピューティングシステムにわたって拡散される分散形式で実現することができる。本明細書において説明された方法を実行するように適応された任意の種類のコンピューティングシステム又は他の装置が適合する。ハードウェア及びソフトウェアの典型的な組み合わせは、ロードされて実行されると、本明細書において説明された方法を実行するようにコンピューティングシステムを制御するプログラム又は他のコードを用いる汎用コンピューティングシステムとすることができる。別の典型的な実施態様は、特定用途向け集積回路又はチップを含むことができる。
【0055】
本開示による種々の実施態様は、本明細書において説明された方法の実施態様を可能にする全ての特徴を含むとともに、コンピューターシステム内にロードされると、これらの方法を実行することが可能であるコンピュータープログラム製品に埋め込むこともできる。この文脈におけるコンピュータープログラムは、一組の命令の、任意の言語、コード又は表記での任意の表現を意味し、この一組の命令は、情報処理能力を有するシステムに、直接、又は次のもの、すなわち、a)別の言語、コード又は表記への変換、b)異なるマテリアルフォームでの再現、のうちの一方又は双方の後に特定の機能を実行させるように意図される。
【0056】
本開示は、或る特定の実施態様を参照して説明されてきたが、当業者であれば、本開示の範囲から逸脱することなく、種々の変更を行うことができるとともに均等物に置き換えることができることを理解するであろう。例えば、開示した例のブロック及び/又はコンポーネントを、組み合わせ、分割し、再配置し、及び/又は他の方法で変更することができる。加えて、本開示の範囲から逸脱することなく、本開示の教示に対して特定の状況又は材料を適応させるように多くの改変を行うことができる。したがって、本開示は、開示されている特定の実施態様に限定されず、むしろ、本開示は、添付の特許請求の範囲の適用範囲内に入る全ての実施態様を含むことが意図される。
また、本開示は以下の発明を含む。
第1の態様は、
電流を生成するように構成された電流生成器と、
磁気非破壊試験(NDT)検査中に検査物品に前記電流を印加するように構成された1つ以上の電気コンタクトであって、該電流の該印加は、前記検査物品内に磁界を生成する、1つ以上の電気コンタクトと、
前記磁気NDT検査中に前記検査物品に関連付けられたガウス読み取り値を得るように構成された磁気プローブと、
フィードバックループコントローラーであって、
前記ガウス読み取り値を処理することと、
前記ガウス読み取り値の処理に基づいて1つ以上の調整を決定することと、
前記電流生成器に前記1つ以上の調整を適用することと、
を行うように構成された、フィードバックループコントローラーと、
を備える、磁気検査装置である。
第2の態様は、
前記磁気プローブは、手動で調整される、第1の態様における磁気検査装置である。
第3の態様は、
前記磁気プローブは、自動で調整される、第2の態様における磁気検査装置である。
第4の態様は、
前記フィードバックループコントローラーは、事前定義された基準に基づいて前記ガウス読み取り値を処理するように構成される、第1の態様における磁気検査装置である。
第5の態様は、
前記フィードバックループコントローラーは、前記事前定義された基準を変更することを可能にするように構成される、第4の態様における磁気検査装置である。
第6の態様は、
磁気非破壊試験(NDT)検査を行う方法であって、
磁気NDT検査のために構成される検査セットアップにおいて、
前記磁気NDT検査中、該磁気NDT検査を受ける検査物品に関連付けられたガウス読み取り値を得ることと、
前記ガウス読み取り値を処理することと、
前記ガウス読み取り値の処理に基づいて、1つ以上の調整を決定することであって、
前記1つ以上の調整のうちの少なくとも1つは、前記磁気非破壊試験(NDT)検査中に前記検査物品に印加される電流を制御するように構成され、
前記電流の印加は、前記検査物品内に磁界を生成する、
1つ以上の調整を決定することと、
前記電流の源に前記1つ以上の調整を適用することと、
を含む、方法である。
第7の態様は、
磁気プローブを介して前記ガウス読み取り値を得ることを含む、第6の態様における方法である。
第8の態様は、
前記磁気プローブの位置決めを手動で調整することを含む、第7の態様における方法である。
第9の態様は、
前記磁気プローブの位置決めを自動で調整することを含む、第7の態様における方法である。
第10の態様は、
事前定義された基準に基づいて前記ガウス読み取り値を処理することを含む、第6の態様における方法である。
第11の態様は、
前記ガウス読み取り値の処理に基づいて前記事前定義された基準を変更することを含む、第10の態様における記載の方法である。