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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-05
(45)【発行日】2024-02-14
(54)【発明の名称】シフト装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 20/02 20060101AFI20240206BHJP
【FI】
B60K20/02 E
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021153958
(22)【出願日】2021-09-22
(65)【公開番号】P2023045504
(43)【公開日】2023-04-03
【審査請求日】2022-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591050970
【氏名又は名称】津田工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000243700
【氏名又は名称】万能工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井出 博文
(72)【発明者】
【氏名】野田 佳寛
(72)【発明者】
【氏名】加藤 章里
(72)【発明者】
【氏名】小林 直哉
(72)【発明者】
【氏名】川合 純平
(72)【発明者】
【氏名】阪田 健斗
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-071505(JP,A)
【文献】特開2009-269598(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 20/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回動又はスライドにより移動されてシフト位置が変更されるシフト体と、
前記シフト体に設けられ、前記シフト体に対し変位可能にされる変位部と、
前記シフト体が第1シフト位置に配置される際に前記シフト体に対する前記変位部の変位をロックして前記シフト体の移動がロックされると共に、前記シフト体が第2シフト位置に配置される際に前記シフト体をロックして前記シフト体の移動をロックするロック部材と、
を備えるシフト装置。
【請求項2】
前記シフト体と変速機とを連絡し、前記シフト体が移動されて移動されることで前記変速機のシフトレンジが変更される連絡部材を備え、前記シフト体の前記連絡部材側の部分の移動を前記ロック部材がロックする請求項1記載のシフト装置。
【請求項3】
乗員が前記ロック部材を操作して前記シフト体の移動のロックが解除可能にされる請求項1又は請求項2記載のシフト装置。
【請求項4】
前記シフト体が動作された前記ロック部材を移動させて第2シフト位置に移動される請求項1~請求項3の何れか1項記載のシフト装置。
【請求項5】
前記ロック部材が前記シフト体の移動をロックする際に前記シフト体の移動による前記ロック部材の移動を受ける受部を備える請求項1~請求項4の何れか1項記載のシフト装置。
【請求項6】
第1シフト位置がパーク位置にされると共に、第2シフト位置がニュートラル位置にされる請求項1~請求項5の何れか1項記載のシフト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シフト体が移動されてシフト体のシフト位置が変更されるシフト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載のシフトレバー装置では、シフトレバーがPポジションに配置される際に、ストッパがシフトレバーのロックピンの変位をロックして、シフトレバーの移動がロックされる。
【0003】
ここで、このようなシフトレバー装置では、シフトレバーが2つのシフト位置に配置される際にシフトレバーの移動をロックできるのが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-171188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、シフト体が2つのシフト位置に配置される際にシフト体の移動をロックできるシフト装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様のシフト装置は、回動又はスライドにより移動されてシフト位置が変更されるシフト体と、前記シフト体に設けられ、変位可能にされる変位部と、前記シフト体が第1シフト位置に配置される際に前記変位部の変位をロックして前記シフト体の移動がロックされると共に、前記シフト体が第2シフト位置に配置される際に前記シフト体の移動をロックするロック部材と、を備える。
【0007】
本発明の第2態様のシフト装置は、本発明の第1態様のシフト装置において、前記シフト体と変速機とを連絡し、前記シフト体が移動されて移動されることで前記変速機のシフトレンジが変更される連絡部材を備え、前記シフト体の前記連絡部材側の部分の移動を前記ロック部材がロックする。
【0008】
本発明の第3態様のシフト装置は、本発明の第1態様又は第2態様のシフト装置において、乗員が前記ロック部材を操作して前記シフト体の移動のロックが解除可能にされる。
【0009】
本発明の第4態様のシフト装置は、本発明の第1態様~第3態様の何れか1つのシフト装置において、前記シフト体が動作された前記ロック部材を移動させて第2シフト位置に移動される。
【0010】
本発明の第5態様のシフト装置は、本発明の第1態様~第4態様の何れか1つのシフト装置において、前記ロック部材が前記シフト体の移動をロックする際に前記シフト体の移動による前記ロック部材の移動を受ける受部を備える。
【0011】
本発明の第6態様のシフト装置は、本発明の第1態様~第5態様の何れか1つのシフト装置において、第1シフト位置がパーク位置にされると共に、第2シフト位置がニュートラル位置にされる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1態様のシフト装置では、シフト体が回動又はスライドにより移動されて、シフト体のシフト位置が変更される。また、シフト体の変位部が変位可能にされる。
【0013】
ここで、シフト体が第1シフト位置に配置される際に、ロック部材が変位部の変位をロックして、シフト体の移動がロックされる。さらに、シフト体が第2シフト位置に配置される際に、ロック部材がシフト体の移動をロックする。このため、シフト体の第1シフト位置からの移動及びシフト体の第2シフト位置からの移動をロックできる。
【0014】
本発明の第2態様のシフト装置では、シフト体と変速機とを連絡部材が連絡しており、シフト体が移動されて、連絡部材が移動されることで、変速機のシフトレンジが変更される。
【0015】
ここで、シフト体の連絡部材側の部分の移動をロック部材がロックする。このため、ロック部材がシフト体を介して連絡部材の移動を効果的に規制でき、連絡部材の移動による変速機のシフトレンジの変更を効果的に規制できる。
【0016】
本発明の第3態様のシフト装置では、乗員がロック部材を操作して、シフト体の移動のロックが解除可能にされる。このため、簡単な構成で、シフト体の移動のロックを解除できる。
【0017】
本発明の第4態様のシフト装置では、シフト体が、動作されたロック部材を移動させて、第2シフト位置に移動される。このため、ロック部材が動作されても、シフト体を第2シフト位置に移動させることができる。
【0018】
本発明の第5態様のシフト装置では、ロック部材がシフト体の移動をロックする際に、シフト体の移動によるロック部材の移動を受部が受ける。このため、シフト体の移動を適切にロックできる。
【0019】
本発明の第6態様のシフト装置では、第1シフト位置がパーク位置にされると共に、第2シフト位置がニュートラル位置にされる。このため、シフト体のパーク位置からの移動及びシフト体のニュートラル位置からの移動をロックできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1実施形態に係るシフト装置を示す左斜め前方から見た斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態に係るシフト装置におけるレバー及びコントロールレバーを示す左方から見た側面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係るシフト装置におけるロックユニットを示す左方から見た側面図を示している。
図4】本発明の第1実施形態に係るシフト装置においてレバーが「N」位置でロックされる際を示す左方から見た側面図である。
図5】本発明の第1実施形態に係るシフト装置においてレバーが「N」位置でロックされる際を示す後方から見た断面図である。
図6】本発明の第2実施形態に係るシフト装置におけるロックユニットを示す左方から見た側面図を示している。
図7】本発明の第2実施形態に係るシフト装置においてレバーが「N」位置でロックされる際を示す左方から見た側面図である。
図8】本発明の第2実施形態に係るシフト装置においてレバーが「N」位置でロックされる際を示す後方から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1実施形態]
図1には、本発明の第1実施形態に係るシフト装置10が左斜め前方から見た斜視図にて示されている。なお、図面では、シフト装置10の前方を矢印FRで示し、シフト装置10の左方を矢印LHで示し、シフト装置10の上方を矢印UPで示している。
【0022】
本実施形態に係るシフト装置10は、車両のコンソールに設置されており、シフト装置10の前方、左方及び上方は、それぞれ車両の前方、左方及び上方に向けられている。
【0023】
図1に示す如く、シフト装置10には、収容体(強度部材)としての略直方体形箱状のプレート12が設けられており、プレート12は、コンソール内に固定されると共に、強度が高くされている。プレート12の上壁には、所定形状のゲート溝12Aが貫通形成されており、プレート12の上壁には、ゲート溝12Aの左側において、操作孔12Bが貫通形成されている。
【0024】
プレート12の左壁及び右壁には、ディテント孔12Cが貫通形成されており、左側及び右側のディテント孔12Cは、左右方向において互いに対向されている。ディテント孔12Cの上端には、ディテント溝14が形成されており、左側及び右側のディテント溝14は、左右方向において略同一の形状にされている。ディテント溝14の前端部には、ロック部位としての側面視略矩形状のP溝14Pが形成されており、P溝14Pは、下側に開放されている。
【0025】
プレート12の左壁には、ディテント孔12Cの前側において、受部としての挿通孔12D(図3及び図5参照)が貫通形成されており、挿通孔12Dは、下記ロックリンク30の回動方向に沿って延伸されている。
【0026】
プレート12内には、シフト体を構成するシフト本体としての略棒状のレバー16が設けられている。レバー16の下端部は、プレート12内の下端部に支持されており、レバー16は、下端部を中心として、前後方向(第1方向)及び左右方向(第2方向)に回動(移動)可能にされている。
【0027】
レバー16は、プレート12のゲート溝12Aに貫通されており、レバー16は、ゲート溝12Aに案内されて、所定範囲で前後方向及び左右方向(シフト方向)に回動可能にされている。このため、レバー16が前側から後側に回動されて、レバー16のシフト位置が、第1シフト位置としての「P」位置(パーク位置)、「R」位置(リバース位置)、第2シフト位置としての「N」位置(ニュートラル位置)及び「D」位置(ドライブ位置)にこの順番で変更される。さらに、レバー16が「D」位置から左側(右側でもよい)に回動されて、レバー16のシフト位置が「S」位置(シーケンシャル位置)に変更されると共に、レバー16が「S」位置から前側及び後側に回動されて、それぞれレバー16のシフト位置が「+」位置(プラス位置)及び「-」位置(マイナス位置)に変更される。
【0028】
レバー16の上側部分は、コンソールの上側(車室内)に回動可能に延出されている。レバー16の上端部には、把持部としてのノブ(図示省略)が固定されており、レバー16は、車両の乗員(特に運転者)により、ノブが把持された状態で、回動操作可能にされている。ノブには、変位操作部としてのノブボタン16Aが設けられており、ノブボタン16Aは、乗員により操作(押圧操作)可能にされている。
【0029】
レバー16の下側部分には、樹脂製で略扇形板状の一体部16B(図3及び図5参照)が一体形成されており、一体部16Bは、プレート12内に配置されている。一体部16Bは、レバー16の前側及び後側に突出されており、一体部16Bは、下側へ向かうに従い前後方向寸法が小さくされている。また、一体部16Bの前側部分には、被係合部としての矩形状の係合孔16Cが貫通形成されている。
【0030】
レバー16の下側部分には、変位部としての矩形柱状のディテントピン18が設けられており、ディテントピン18は、レバー16と一体に回動可能にされている。ディテントピン18は、レバー16を左右方向に貫通しており、ディテントピン18は、レバー16から左側及び右側に延出されている。ディテントピン18は、レバー16の回動径方向(セレクト方向)に所定範囲で変位可能にされており、ディテントピン18は、上側に付勢されている。ディテントピン18は、レバー16(ノブ)のノブボタン16Aに機械的に連絡されており、ノブボタン16Aが操作された際には、ディテントピン18が、付勢力に抗して下側に変位される。
【0031】
ディテントピン18の左端部及び右端部は、それぞれ、プレート12の左側及び右側のディテント孔12Cに挿入されて、左側及び右側のディテント溝14の下側に配置されている。レバー16が「P」位置に配置される際には、ディテントピン18がディテント溝14のP溝14Pに挿入されると共に、ディテントピン18の後面がP溝14Pの後面と平行にされる(図3参照)。このため、ディテントピン18の後面がP溝14Pの後面に当接されて、レバー16の「P」位置から後側への回動がロックされる。ノブボタン16Aが操作されて、ディテントピン18が下側に変位された際には、ディテントピン18がP溝14Pから下側に離脱されて、レバー16の「P」位置から後側への回動が許可される。
【0032】
レバー16の右側には、シフト体を構成する連絡体としての樹脂製で略長尺板状のコントロールレバー20(図2及び図4参照)が配置されており、コントロールレバー20は、下端部がプレート12内の下端部に支持されると共に、プレート12内に配置されている。コントロールレバー20は、下端部を中心として、前後方向に回動(移動)可能にされており、コントロールレバー20の回動中心軸線は、レバー16の前後方向への回動中心軸線と同一にされている。
【0033】
コントロールレバー20の上部は、レバー16の前側に配置されており、コントロールレバー20の上部の後端部には、係合部としての直方体状の係合柱20Aが一体形成されている。係合柱20Aは、左側に突出されており、レバー16が「P」位置から「D」位置までの範囲で回動される際には、レバー16(一体部16B)の係合孔16Cに係合柱20Aが嵌入されて、コントロールレバー20がレバー16と一体に前後方向に回動される。レバー16が「D」位置から「S」位置に回動される際には、係合孔16Cから係合柱20Aが離脱される。このため、レバー16が「+」位置から「S」位置を介する「-」位置までの範囲で回動される際には、コントロールレバー20がレバー16と一体回動不能にされる。
【0034】
コントロールレバー20の上端部の前部には、右側において、連絡部材としてのケーブル22(図2参照)の一端部が連絡されており、ケーブル22の他端部は、車両の自動変速機24(変速機)に連絡されている。レバー16が「P」位置から「D」位置までの範囲で回動される際には、コントロールレバー20がレバー16と一体に前後方向に回動されて、ケーブル22が長手方向に移動される。このため、レバー16のシフト位置が変更されることで、自動変速機24のシフトレンジがレバー16のシフト位置に対応するシフトレンジに変更される。
【0035】
コントロールレバー20の上端部の前部には、左側において、被ロック部としての断面略U字形枠状のロック枠20B(図2及び図4参照)が一体形成されており、ロック枠20B内は、左側及び後側に開放されている。コントロールレバー20には、ロック枠20Bの上側において、案内部としての案内面20Cが形成されており、案内面20Cは、略前後方向に垂直に配置されて、下端がロック枠20B内の上面の後端に連続されている。
【0036】
プレート12の前部左側には、ロック機構としてのロックユニット26(図3参照)が固定されている。ロックユニット26には、支持体としての略直方体形箱状のケース28が設けられており、ケース28は、プレート12に固定されている。
【0037】
ケース28内には、ロック部材としての樹脂製で略三角形板状のロックリンク30が設けられており、ロックリンク30は、上端部がケース28内に支持されて、上端部を中心として前後方向に回動可能にされている。ロックリンク30は、ケース28の後壁を回動可能に貫通されて、ケース28の後側に突出されており、ロックリンク30は、後側の第1位置(図3の実線参照)と前側の第2位置(図3の2点鎖線参照)との間で回転可能にされている。
【0038】
ロックリンク30の上下方向中間部には、略矩形状のロック孔30Aが貫通形成されており、ロック孔30Aは、後側に開放されると共に、下面が第1ロック部としてのロック面30Bにされている。レバー16が「P」位置に配置されると共に、ロックリンク30が第1位置に配置される際には、レバー16のディテントピン18がロック孔30Aに挿入されて、ディテントピン18の下面が、レバー16の回動径方向においてロック面30Bに対向されると共に、ロック面30Bと平行に配置される(図3参照)。
【0039】
ロックリンク30の下端部には、延出部30Cが一体形成されており、延出部30Cは、前側に延出されている。延出部30Cの前部には、第2ロック部としての略矩形柱状のロック柱30D(図4参照)が一体形成されており、ロック柱30Dは、右方に突出されて、ケース28の右壁を回動可能に貫通されると共に、プレート12の挿通孔12Dに回動可能に挿通されている。レバー16が「N」位置に配置されると共に、ロックリンク30が第2位置に配置される際には、ロック柱30Dがコントロールレバー20のロック枠20B内に挿入される(図4の2点鎖線参照)。
【0040】
ロックリンク30の上部には、操作部としての略矩形柱状の操作突起30Eが一体形成されており、操作突起30Eは、後側に突出されている。操作突起30Eは、プレート12の操作孔12Bを介してプレート12の上側に露出されており、乗員により操作孔12Bを介して操作突起30Eが下側に操作(押圧操作)されて、ロックリンク30が第1位置から第2位置に回動される。
【0041】
ロックユニット26には、ロックリンク30の前側において、作動装置としてのソレノイド32が設けられており、ソレノイド32のプランジャ32Aは、略前後方向(軸方向)に所定範囲で移動可能にされている。プランジャ32Aは、後側に延出されており、プランジャ32Aの後端部は、ロックリンク30の上端部近傍に対し回転可能かつスライド可能に連結されている。プランジャ32Aは、後側に付勢されており、これにより、ロックリンク30が、付勢されて、第1位置に配置されている。ロックユニット26が作動される際には、ソレノイド32が通電されて、ソレノイド32が発生する磁力によりプランジャ32Aを付勢力に抗して前側に吸引することで、ロックリンク30が、プランジャ32Aによって前側に回動(動作)されて、第2位置に配置される。
【0042】
図1に示す如く、ソレノイド32は、車両の制御装置34に電気的に接続されている。制御装置34には、解除操作部としての車両のブレーキ36が電気的に接続されており、ブレーキ36が乗員により操作されて、車両が制動される。制御装置34には、作動操作部としての車両のNロックスイッチ38が電気的に接続されており、Nロックスイッチ38は、乗員により作動操作及び解除操作を可能にされる。ブレーキ36が操作された際及びNロックスイッチ38が作動操作された際には、制御装置34の制御によりソレノイド32が通電される(ロックユニット26が作動される)。
【0043】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0044】
以上の構成のシフト装置10では、レバー16が「P」位置に配置される際に、ブレーキ36が操作されない場合には、ロックユニット26が作動されずに、ソレノイド32が通電されないことで、ロックリンク30が第1位置に配置されて、ロックリンク30のロック孔30Aにレバー16のディテントピン18が挿入される(図3の実線参照)。このため、レバー16のノブボタン16Aが操作された際には、ディテントピン18の下面がロックリンク30のロック面30Bに当接されて、ディテントピン18の下側への変位がロックされることで、ディテントピン18がプレート12(ディテント溝14)のP溝14Pから下側に離脱不能にされる。これにより、ディテントピン18の後面がP溝14Pの後面に当接されて、レバー16の「P」位置から後側への回動がロックされる。
【0045】
一方、レバー16が「P」位置に配置される際に、ブレーキ36が操作された場合には、ロックユニット26が作動されて、ソレノイド32が通電されることで、ロックリンク30がソレノイド32のプランジャ32Aによって前側に回転されて、ロックリンク30が第2位置に配置されると共に、ロック孔30Aからディテントピン18が離脱される(図3の2点鎖線参照)。このため、ノブボタン16Aが操作された際には、ディテントピン18の下面がロック面30Bに当接されずに、ディテントピン18の下側への変位がアンロックされることで、ディテントピン18がP溝14Pから下側に離脱される。これにより、ディテントピン18の後面がP溝14Pの後面に当接されずに、レバー16の「P」位置から後側への回動がアンロックされる。
【0046】
レバー16が「N」位置に配置される際に、Nロックスイッチ38が作動操作された場合には、ロックユニット26が作動されて、ソレノイド32が通電されることで、ロックリンク30が、ソレノイド32のプランジャ32Aによって前側に回動されて、第2位置に配置される(図3の2点鎖線参照)。このため、ロックリンク30のロック柱30Dがコントロールレバー20のロック枠20B内に挿入されて(図4の2点鎖線参照)、ロック枠20Bの下側及び上側への回動がロック柱30Dによってロックされることで、それぞれ、コントロールレバー20の前側及び後側への回動がロックされて、レバー16の「N」位置から前側及び後側への回動がロックされる。
【0047】
一方、レバー16が「N」位置に配置される際に、Nロックスイッチ38が作動操作されない(解除操作された)場合には、ロックユニット26が作動されずに、ソレノイド32が通電されないことで、ロックリンク30が第1位置に配置される(図3の実線参照)。このため、ロック柱30Dがロック枠20B内から離脱されて(図4の実線参照)、ロック枠20Bの下側及び上側への回動がアンロックされることで、それぞれ、コントロールレバー20の前側及び後側への回動がアンロックされて、レバー16の「N」位置から前側及び後側への回動がアンロックされる。
【0048】
ここで、レバー16の「P」位置からの回動とレバー16の「N」位置からの回動とがロックユニット26によってロックされる。このため、レバー16の「P」位置からの回動とレバー16の「N」位置からの回動とをロックできる。
【0049】
さらに、レバー16の「P」位置からの回動とレバー16の「N」位置からの回動とが1つのロックリンク30によってロックされる。このため、ロックユニット26を簡単な構成にできて、ロックユニット26を小型化及び低コスト化できる。
【0050】
しかも、ロックリンク30が1つのソレノイド32によって回動される。このため、ロックユニット26を一層簡単な構成にできて、ロックユニット26を一層小型化及び低コスト化できる。
【0051】
また、コントロールレバー20の上端部がケーブル22を介して自動変速機24に連絡されており、ロックリンク30(ロック柱30D)がコントロールレバー20の上端部のロック枠20Bにおいてレバー16(コントロールレバー20を含む)を「N」位置にロックする。このため、コントロールレバー20へのケーブル22の連絡位置とロックリンク30によるコントロールレバー20のロック位置とがコントロールレバー20の回動径方向において接近されることで、ロックリンク30がコントロールレバー20を介してケーブル22の長手方向への移動を効果的に規制でき、ケーブル22の長手方向への移動による自動変速機24のシフトレンジの変更を効果的に規制できる。
【0052】
さらに、レバー16が「P」位置に配置された際に、例えばロックユニット26(特にソレノイド32)が故障した場合には、乗員がプレート12の操作孔12Bを介してロックリンク30の操作突起30Eを下側に操作することで、ロックリンク30が第1位置から第2位置に回動される。このため、乗員がレバー16のノブボタン16Aを操作することで、レバー16の「P」位置から後側への回動をアンロックできる。しかも、乗員がロックリンク30(操作突起30E)を直接操作できるため、乗員がロックリンク30を間接的に操作する場合に比し、部品点数を低減できて、簡単な構成にできる。
【0053】
また、例えば、ロックユニット26が作動された状態でレバー16が「P」位置から高速で後側に回動される場合、及び、ロックユニット26が作動されたまま故障した状態でレバー16が「N」位置に前側から回動される場合には、ロックリンク30が第2位置に配置される。ここで、ロックリンク30が第2位置に配置された状態で、レバー16(コントロールレバー20を含む)が「N」位置に前側から回動される際には、コントロールレバー20の案内面20Cによって、ロックリンク30のロック柱30Dが後側に回動されて、ロックリンク30がソレノイド32によるプランジャ32Aの吸引力に抗して第1位置側に回動された後に、ソレノイド32によるプランジャ32Aの吸引力によって、ロックリンク30が第2位置に回動されて、ロック柱30Dがコントロールレバー20のロック枠20B内に挿入される。このため、ロックリンク30が第2位置に配置されても、レバー16を「N」位置に前側から回動させることができる。
【0054】
さらに、ロックリンク30のロック柱30Dがコントロールレバー20のロック枠20B内に挿入されて、レバー16の「N」位置からの回動がロックされる際には、レバー16(コントロールレバー20を含む)の前側及び後側への回動によるロック柱30Dの下側及び上側への回動をそれぞれプレート12の挿通孔12Dの下面及び上面が受ける(図5参照)。このため、レバー16の「N」位置からの回動を適切にロックできる。
【0055】
なお、本実施形態では、コントロールレバー20の上端部にロック枠20Bが設けられる。しかしながら、コントロールレバー20の上側部分(コントロールレバー20のケーブル22連絡側部分)にロック枠20Bが設けられればよい。
【0056】
[第2実施形態]
図6には、本発明の第2実施形態に係るシフト装置50のロックユニット26が左方から見た側面図にて示されており、図7には、シフト装置50においてレバー16が「N」位置でロックされる際が左方から見た側面図にて示されている。
【0057】
本実施形態に係るシフト装置50は、上記第1実施形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0058】
図7に示す如く、本実施形態に係るシフト装置50では、レバー16の一体部16Bの後側部分に係合孔16Cが貫通形成されており、コントロールレバー20の上部は、レバー16の後側に配置されて、係合柱20Aが一体形成されている。
【0059】
レバー16の一体部16Bの前端部には、ロック枠20Bが一体形成されており、ロック枠20B内は、左側及び後側に開放されている。一体部16Bには、ロック枠20Bの上側において、案内面20Cが形成されており、案内面20Cは、前後方向に垂直に配置されて、下端がロック枠20B内の上面の後端に連続されている。
【0060】
図6に示す如く、ロックユニット26では、ケース28の右壁及び後壁に開放孔28Aが貫通形成されており、開放孔28Aは、ロックリンク30のロック孔30Aをケース28の右側及び後側に開放させて、レバー16のディテントピン18がロック孔30Aに挿入可能にしている。
【0061】
ロックリンク30の延出部30Cは、下側に延出されており、延出部30Cは、ロックリンク30に対し右側に配置されて、ケース28の右壁を回動可能に貫通されると共に、プレート12の挿通孔12Dに回動可能に挿入されている。延出部30Cの下部には、ロック柱30D(図7参照)が一体形成されており、ロック柱30Dは、プレート12内に回動可能に挿入されている。
【0062】
ロックリンク30の操作突起30Eは、上側に突出されており、操作突起30Eは、L字形板状にされて、上側部分が後側に突出されている。操作突起30Eは、プレート12の操作孔12Bを介してプレート12の上側に突出されており、乗員により操作突起30Eが下側に操作(押圧操作)されて、ロックリンク30が第1位置から第2位置に回動される。
【0063】
ところで、レバー16が「P」位置に配置される際に、ブレーキ36が操作されない場合には、ロックユニット26が作動されずに、ソレノイド32が通電されないことで、ロックリンク30が第1位置に配置されて、ロックリンク30のロック孔30Aにレバー16のディテントピン18が挿入される(図6の実線参照)。このため、レバー16のノブボタン16Aが操作された際には、ディテントピン18の下面がロックリンク30のロック面30Bに当接されて、ディテントピン18の下側への変位がロックされることで、ディテントピン18がプレート12(ディテント溝14)のP溝14Pから下側に離脱不能にされる。これにより、ディテントピン18の後面がP溝14Pの後面に当接されて、レバー16の「P」位置から後側への回動がロックされる。
【0064】
一方、レバー16が「P」位置に配置される際に、ブレーキ36が操作された場合には、ロックユニット26が作動されて、ソレノイド32が通電されることで、ロックリンク30がソレノイド32のプランジャ32Aによって前側に回転されて、ロックリンク30が第2位置に配置されると共に、ロック孔30Aからディテントピン18が離脱される(図6の2点鎖線参照)。このため、ノブボタン16Aが操作された際には、ディテントピン18の下面がロック面30Bに当接されずに、ディテントピン18の下側への変位がアンロックされることで、ディテントピン18がP溝14Pから下側に離脱される。これにより、ディテントピン18の後面がP溝14Pの後面に当接されずに、レバー16の「P」位置から後側への回動がアンロックされる。
【0065】
レバー16が「N」位置に配置される際に、Nロックスイッチ38が作動操作された場合には、ロックユニット26が作動されて、ソレノイド32が通電されることで、ロックリンク30が、ソレノイド32のプランジャ32Aによって前側に回動されて、第2位置に配置される(図6の2点鎖線参照)。このため、ロックリンク30のロック柱30Dがレバー16(一体部16B)のロック枠20B内に挿入されて(図7の2点鎖線参照)、ロック枠20Bの下側及び上側への回動がロック柱30Dによってロックされることで、それぞれレバー16の「N」位置から前側及び後側への回動がロックされる。
【0066】
一方、レバー16が「N」位置に配置される際に、Nロックスイッチ38が作動操作されない(解除操作された)場合には、ロックユニット26が作動されずに、ソレノイド32が通電されないことで、ロックリンク30が第1位置に配置される(図6の実線参照)。このため、ロック柱30Dがロック枠20B内から離脱されて(図7の実線参照)、ロック枠20Bの下側及び上側への回動がアンロックされることで、それぞれレバー16の「N」位置から前側及び後側への回動がアンロックされる。
【0067】
ここで、本実施形態でも、コントロールレバー20の上端部にロック枠20Bが設けられることによる作用効果を除き、上記第1実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0068】
特に、例えば、ロックユニット26が作動された状態でレバー16が「P」位置から高速で後側に回動される場合、及び、ロックユニット26が作動されたまま故障した状態でレバー16が「N」位置に前側から回動される場合には、ロックリンク30が第2位置に配置される。ここで、ロックリンク30が第2位置に配置された状態で、レバー16が「N」位置に前側から回動される際には、レバー16(一体部16B)の案内面20Cによって、ロックリンク30のロック柱30Dが後側に回動されて、ロックリンク30がソレノイド32によるプランジャ32Aの吸引力に抗して第1位置側に回動された後に、ソレノイド32によるプランジャ32Aの吸引力によって、ロックリンク30が第2位置に回動されて、ロック柱30Dがレバー16のロック枠20B内に挿入される。このため、ロックリンク30が第2位置に配置されても、レバー16を「N」位置に前側から回動させることができる。
【0069】
また、ロックリンク30のロック柱30Dがレバー16のロック枠20B内に挿入されて、レバー16の「N」位置からの回動がロックされる際には、レバー16の前側及び後側への回動によるロックリンク30の延出部30Cの下側及び上側への回動をそれぞれプレート12の挿通孔12Dの下面及び上面が受ける(図8参照)。このため、レバー16の「N」位置からの回動を適切にロックできる。
【0070】
なお、上記第1実施形態及び第2実施形態では、レバー16(シフト体)が回動される。しかしながら、シフト体がスライドされてもよい。
【0071】
さらに、上記第1実施形態及び第2実施形態では、第1シフト位置が「P」位置にされると共に、第2シフト位置が「N」位置にされる。しかしながら、第1シフト位置が「P」位置以外のシフト位置にされてもよく、第2シフト位置が「N」位置以外のシフト位置にされてもよい。
【0072】
また、上記第1実施形態及び第2実施形態では、シフト装置10、50がコンソールに設置される。しかしながら、シフト装置10、50がインストルメントパネル又はステアリングコラムに設置されてもよい。
【符号の説明】
【0073】
10・・・シフト装置、12D・・・挿通孔(受部)、16・・・レバー(シフト体)、18・・・ディテントピン(変位部)、20・・・コントロールレバー、22・・・ケーブル(連絡部材)、24・・・自動変速機(変速機)、30・・・ロックリンク(ロック部材)、50・・・シフト装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8