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特許7431207データ受信装置、データ受信方法、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-05
(45)【発行日】2024-02-14
(54)【発明の名称】データ受信装置、データ受信方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/6375 20110101AFI20240206BHJP
   H04N 21/23 20110101ALI20240206BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20240206BHJP
【FI】
H04N21/6375
H04N21/23
H04N23/60 300
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021176342
(22)【出願日】2021-10-28
(65)【公開番号】P2023065918
(43)【公開日】2023-05-15
【審査請求日】2022-10-05
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】509137087
【氏名又は名称】株式会社TBSテレビ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】藤本 剛
【審査官】鈴木 隆夫
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第2016/152063(JP,A1)
【文献】特開2006-101009(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00-21/858
H04N 23/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ送信装置からパケット通信網を介してデータを受信するデータ受信システムであって、
前記データ送信装置から、カメラによって取得された、少なくとも画像データを含むデータに関する第1パケットを受信する受信部と、
前記第1パケットに基づいて第1出力データを生成する第1生成部と、
一部のパケットの欠落がある場合に欠落パケットの送信を前記データ送信装置に要求する要求部と、
前記データ受信システムからの要求に応じて前記データ送信装置から送信されるパケットが補充された第2パケットに基づいて第2出力データを生成する第2生成部と、
前記第1出力データをユーザが視認可能に出力する出力部と、を備え、
前記出力部は、前記ユーザの入力に基づいて、前記カメラを制御するための制御情報を前記カメラに送信
前記第1出力データは、前記ユーザが前記カメラを制御するために出力されるデータを含む、
データ受信システム。
【請求項2】
データ送信装置からパケット通信網を介してデータを受信するデータ受信システムであって、
前記データ送信装置から第1パケットを受信する受信部と、
前記第1パケットに基づいて第1出力データを生成する第1生成部と、
一部のパケットの欠落がある場合に欠落パケットの送信を前記データ送信装置に要求する要求部と、
前記データ受信システムからの要求に応じて前記データ送信装置から送信されるパケットが補充された第2パケットに基づいて第2出力データを生成する第2生成部であって、前記データの伝送遅延が所定期間以上となる場合に、前記第2出力データを生成する第2生成部と、
前記所定期間を、前記データ送信装置から送信されるパケットの復号処理結果であって、当該パケットの補充処理の結果を含む前記復号処理結果に関する情報に基づいて設定する設定部と、を備える、
データ受信システム。
【請求項3】
前記データ受信システムからの要求に応じて前記データ送信装置から送信されるパケットによって、一部のパケットが欠落した前記第2パケットが補完される場合、補完された第3パケットに基づいて第3出力データを生成する第3生成部をさらに備える、
請求項1又は2に記載のデータ受信システム。
【請求項4】
前記欠落パケットを検出する検出部と、
前記要求部は、前記検出部において前記欠落パケットが所定基準以下となるまで繰り返し前記欠落パケットの送信を前記データ送信装置に要求する、
請求項1~3のいずれか一項に記載のデータ受信システム。
【請求項5】
データ送信装置からパケット通信網を介してデータを受信するデータ受信システムが実行するデータ受信方法であって、
前記データ送信装置から、カメラによって取得された、少なくとも画像データを含むデータに関する第1パケットを受信するステップと、
前記第1パケットに基づいて第1出力データを生成する第1生成ステップと、
一部のパケットの欠落がある場合に欠落パケットの送信を前記データ送信装置に要求するステップと、
前記データ受信システムからの要求に応じて前記データ送信装置から送信されるパケットが補充された第2パケットに基づいて第2出力データを生成する第2生成ステップと、
前記第1出力データをユーザが視認可能に出力する出力ステップと、を含み、
前記出力ステップは、前記ユーザの入力に基づいて、前記カメラを制御するための制御情報を前記カメラに送信
前記第1出力データは、前記ユーザが前記カメラを制御するために出力されるデータを含む、
データ受信方法。
【請求項6】
データ送信装置からパケット通信網を介してデータを受信するデータ受信システムを、
前記データ送信装置から、カメラによって取得された、少なくとも画像データを含むデータに関する第1パケットを受信する受信部と、
前記第1パケットに基づいて第1出力データを生成する第1生成部と、
一部のパケットの欠落がある場合に欠落パケットの送信を前記データ送信装置に要求する要求部と、
前記データ受信システムからの要求に応じて前記データ送信装置から送信されるパケットが補充された第2パケットに基づいて第2出力データを生成する第2生成部と、
前記第1出力データをユーザが視認可能に出力する出力部と、
として実行させ、
前記出力部は、前記ユーザの入力に基づいて、前記カメラを制御するための制御情報を前記カメラに送信
前記第1出力データは、前記ユーザが前記カメラを制御するために出力されるデータを含む、
プログラム。
【請求項7】
データ送信装置からパケット通信網を介してデータを受信するデータ受信システムが実行するデータ受信方法であって、
前記データ送信装置から第1パケットを受信するステップと、
前記第1パケットに基づいて第1出力データを生成する第1生成ステップと、
一部のパケットの欠落がある場合に欠落パケットの送信を前記データ送信装置に要求するステップと、
前記データ受信システムからの要求に応じて前記データ送信装置から送信されるパケットが補充された第2パケットに基づいて第2出力データを生成する第2生成ステップであって、前記データの伝送遅延が所定期間以上となる場合に、前記第2出力データを生成する第2生成ステップと、
前記所定期間を、前記データ送信装置から送信されるパケットの復号処理結果であって、当該パケットの補充処理の結果を含む前記復号処理結果に関する情報に基づいて設定する設定ステップと、を含む、
データ受信方法。
【請求項8】
データ送信装置からパケット通信網を介してデータを受信するデータ受信システムを、
前記データ送信装置から第1パケットを受信する受信部と、
前記第1パケットに基づいて第1出力データを生成する第1生成部と、
一部のパケットの欠落がある場合に欠落パケットの送信を前記データ送信装置に要求する要求部と、
前記データ受信システムからの要求に応じて前記データ送信装置から送信されるパケットが補充された第2パケットに基づいて第2出力データを生成する第2生成部であって、前記データの伝送遅延が所定期間以上となる場合に、前記第2出力データを生成する第2生成部と、
前記所定期間を、前記データ送信装置から送信されるパケットの復号処理結果であって、当該パケットの補充処理の結果を含む前記復号処理結果に関する情報に基づいて設定する設定部と、
として実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ受信装置、データ受信方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テレビ番組の作成手法に関して、中継先現場等から映像ソースを離れた遠隔地にある番組作成拠点等に伝送した上で映像スイッチングや音声ミキシングを実施し、リモートで番組を作り上げる「リモートプロダクション」が知られている。リモートプロダクションは、人員等を中継先現場に配置せずに済むことからコストを抑えるなどの利点がある。
【0003】
これに関し、非特許文献1には、IPリモートプロダクション、すなわち、リモートプロダクションのための遠隔制御(番組作成拠点から中継先現地に配置されたカメラ等の制御)や映像伝送等をIPネットワーク上で実施できるようにすることで、さらなるコスト削減を高める方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】インターネット,[「IPリモートプロダクション」への取り組みについて],<https://www.ntte-sports.co.jp/topics20210628.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、非特許文献1におけるIPリモートプロダクションシステムでは、コスト削減については考慮されているものの、遠隔制御の際に番組作成拠点において操作者によって参照される中継先現地映像のリアルタイム性を確保しつつ、高品質のオンエア画像又は保存用画像の伝送を可能とする点については何ら考慮されていない。
【0006】
そこで、本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、パケット通信網を介してデータを受信する際の遠隔制御に関するリアルタイム性を向上させ、かつ、高品質のデータを受信可能とするデータ受信技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るデータ受信装置は、データ送信装置からパケット通信網を介してデータを受信するデータ受信装置であって、データ送信装置から第1パケットを受信する受信部と、第1パケットに基づいて第1出力データを生成する第1生成部と、一部のパケットの欠落がある場合に欠落パケットの送信をデータ送信装置に要求する要求部と、データ受信装置からの要求に応じてデータ送信装置から送信されるパケットが補充された第2パケットに基づいて第2出力データを生成する第2生成部と、を備える。
【0008】
本発明の一態様に係るデータ受信方法は、データ送信装置からパケット通信網を介してデータを受信するデータ受信装置が実行するデータ受信方法であって、データ送信装置から第1パケットを受信するステップと、第1パケットに基づいて第1出力データを生成する第1生成ステップと、一部のパケットの欠落がある場合に欠落パケットの送信をデータ送信装置に要求するステップと、データ受信装置からの要求に応じてデータ送信装置から送信されるパケットが補充された第2パケットに基づいて第2出力データを生成する第2生成ステップと、を含む。
【0009】
本発明の一態様に係るプログラムは、データ送信装置からパケット通信網を介してデータを受信するデータ受信装置を、データ送信装置から第1パケットを受信する受信部と、第1パケットに基づいて第1出力データを生成する第1生成部と、一部のパケットの欠落がある場合に欠落パケットの送信をデータ送信装置に要求する要求部と、データ受信装置からの要求に応じてデータ送信装置から送信されるパケットが補充された第2パケットに基づいて第2出力データを生成する第2生成部と、して実行させるためのプログラム。
【0010】
本発明において、「部」、「装置」、「システム」とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その「部」、「装置」、「システム」が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの「部」、「装置」、「システム」が有する機能が2つ以上の物理的手段や装置により実現されても、2つ以上の「部」、「装置」、「システム」の機能が1つの物理的手段や装置により実現されてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の態様によれば、パケット通信網を介してデータを受信する際の遠隔制御に関するリアルタイム性を向上させ、かつ、高品質のデータを受信可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係るデータ伝送システムの全体構成の一例を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る受信装置の機能ブロックを示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る複数の異なる出力データを生成するデータ生成処理の概要の一例を説明する概念図である。
図4】本発明の一実施形態に係るデータ生成処理のフローチャートの一例である。
図5】本発明の一実施形態に係るデータ伝送システムの全体構成の他の例を示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係るコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。即ち、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形(各実施例を組み合わせる等)して実施することができる。また、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付して表している。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係るデータ伝送システムの全体構成の一例を示す図である。データ伝送システム100は、例えば、リモートプロダクションのための遠隔制御や映像伝送等をIPネットワーク上で実施するIPリモートプロダクションを採用するデータ伝送システムである。データ伝送システム100は、例示的に、受信装置1(データ受信装置)と、伝送装置3(データ送信装置)と、カメラ5と、表示装置7と、切替装置9と、を備える。
【0015】
なお、データ伝送システム100は、受信装置1と、伝送装置3と、カメラ5と、表示装置7と、をそれぞれ複数台備えてもよい。この場合は、複数の中継先現場から異なるカメラ5によって取得されたデータをそれぞれの受信装置1が受信する。そして、切替装置9は、それぞれの受信装置1で生成された、後述するОA用データ及び保存用データを受信して適宜切り替えて出力する。
【0016】
受信装置1は、例えばテレビ局などの番組作成拠点に配置され、伝送装置3から伝送される映像データ、及び、音声データを含む音データを受信する装置である。受信装置1は、伝送装置3から伝送される複数のデータパケット(パケット)のうち欠落したデータパケットである欠落パケットを再送するように伝送装置3に要求する。
【0017】
受信装置1は、例えば、3つの出力データとして、操作用データ(第1出力データ)、オンエア(ОA)用データ(第2出力データ)、及び、保存用データ(第3出力データ)を生成する。受信装置1は、2つ、又は、4つ以上の出力データを生成してもよい。操作用データ、OA用データ、及び保存用データは、受信装置1で生成されるデータとして、映像データ及び音データの少なくとも一方を含む。
【0018】
操作用データは、例えば、番組作成拠点にいるユーザUであって、例えば中継先現場に配置されるカメラ5をリアルタイムで操作するユーザUが参照するためのデータを含む。ユーザUは、表示装置7で表示(出力)される操作用データを参照しながら、中継先現場の様子を確認して、カメラ5の配置位置、向き、及び、高さ等を制御する。なお、ユーザUの遠隔操作の対象は、カメラに限られず、他の装置であってもよい。
【0019】
操作用データは、上記のとおり、ユーザUがカメラ5をリアルタイムで操作するために参照するデータであるため、OA用データ及び保存用データよりもデータパケットロスが多いものの、低遅延のデータである必要がある。すなわち、操作用データは、ユーザUが中継先現場を確認でき、カメラ5を適切に操作できる程度の品質であればよく、OA用データ及び保存用データよりも低品質のデータでもよい。
【0020】
ОA用データは、例えば、実際に放送コンテンツとして放送局においてOA(オンエア)されるデータとして生成されるデータを含む。OA用データは、例えば、操作用データよりも高遅延、かつ、保存用データよりも低遅延のデータである。ОA用データは、操作用データよりもデータパケットロスが少なく、かつ、保存用データよりもデータパケットロス(データ欠損)が多い品質(中程度の品質)であるデータをいう。OA用データは、例えば、コンテンツとして放送可能とするための所定の放送装置に送られる。
【0021】
保存用データは、例えば、番組作成拠点の所定データベースに保存用として記録されるデータを含む。保存用データは、例えば、操作用データ及びОA用データよりも高遅延のデータである。保存用データは、操作用データ及びОA用データよりもデータのパケットロスが少ない、又は、パケットロスがない(データ欠損がない、又は、ほぼデータ欠損がない)高品質なデータをいう。
【0022】
受信装置1は、生成した操作用データを表示装置7に送信する。受信装置1は、生成したОA用データ及び保存用データの少なくとも一方を切替装置9に送信する。
【0023】
伝送装置3は、例えば中継先現場に配置され、カメラ5で取得した映像データ及び音データを受信し、受信装置1に伝送する装置である。伝送装置3は、受信装置1からの欠落データパケットの再送要求を受信して、欠落データパケットを再送する。
【0024】
カメラ5は、例えば中継先現場に配置され、周囲を撮像することによって生成される映像データを取得する装置である。また、カメラ5は、周囲の音データをさらに取得してもよい。カメラ5は、取得した映像データ及び音データを伝送装置3に送信する。
【0025】
表示装置7は、例えば番組作成拠点に配置され、受信装置1から送信される操作用データを受信し、表示(出力)する。表示装置7は、ユーザUによって操作され、ユーザUからの入力に基づいて、カメラ5を操作するための操作用制御信号をカメラ5に送信する。
【0026】
切替装置9は、例えば番組作成拠点に配置され、受信装置1から送信されるOA用データ及び保存用データの少なくとも一方を受信し、切り替えて出力する装置である。切替装置9は、ユーザUとは異なる操作者によって操作されるが、表示装置7を操作するユーザUによって操作されてもよい。
【0027】
受信装置1と、伝送装置3と、カメラ5と、表示装置7と、切替装置9とは、所定のネットワークで接続されており、各種データ及び信号を送受信可能に構成されている。所定のネットワークは、受信装置1と、伝送装置3と、カメラ5と、表示装置7と、切替装置9との間でデータを伝送するための通信回線である。
【0028】
所定のネットワークはLANやインターネット網に代表されるパケット通信網(またはその組み合わせ)であればよく、物理層には左右されない。よって、物理層としては、イーサネット(登録商標)、無線通信網、公衆電話通信網、一般電話回線網、その他の通信回線、それらの組み合わせ等のいずれであってもよい。また、各通信網間を接続するためのゲートウェイや各種基地局、交換機などもネットワークに含まれ得る。
【0029】
上記のとおり、非特許文献1におけるIPリモートプロダクションシステムでは、コスト削減はなし得る。しかしながら、このような従来のIPリモートプロダクションシステムでは、遠隔制御の際に番組作成拠点において操作者によって参照される中継先現地映像のリアルタイム性を確保しつつ、高品質のオンエア画像又は保存用画像の伝送を可能とする要求には、応えられない。
【0030】
そこで、本発明の一実施形態によれば、受信装置1は、伝送装置3から複数のデータパケット(第1パケット)を受信し、複数のデータパケットに基づいて第1出力データ(例えば操作用データОPD)を生成する。受信装置1は、一部のパケットが欠落した場合に欠落データパケットの送信を伝送装置3に要求し、受信装置1からの要求に応じて伝送装置3から送信されるデータパケットが補充された複数のデータパケット(第2パケット)に基づいて第2出力データ(例えばOA用データOAD又は保存用データSD)を生成する。
【0031】
よって、番組作成拠点にいるユーザUは、表示装置7においてリアルタイムで表示される操作用データを適宜参照しながら、中継先現場に配置されるカメラ5を適切に操作可能となる。また、受信装置1は、操作用データよりも高品質であるOA用データOAD及び保存用データSDの少なくとも一方を生成して出力可能である。したがって、受信装置1は、パケット通信網を介してデータを受信する際の遠隔制御に関するリアルタイム性を向上させ、かつ、高品質のデータを受信できる。
【0032】
図2及び図3を参照して、本発明の一実施形態に係る受信装置の機能について説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る受信装置の機能ブロックを示す図である。図3は、本発明の一実施形態に係る複数の異なる出力データを生成するデータ生成処理の概要の一例を説明する概念図である。
【0033】
図2に示すように、受信装置1は、機能的に、出力データを生成するための各種処理を実行する情報処理部10と、出力データを生成するための各種処理を実行するための情報及び当該各種処理の実行結果を格納する格納部11と、を備える。
【0034】
なお、受信装置1は、例えばコンピュータシステムで構成される情報処理装置等によって構成され、ソフトウェアプログラムによって実装される。当該プログラムは、例えば、所定のネットワークを介して、受信装置1の外部からダウンロードされて提供されてもよいし、又は、CD-ROMやDVD-ROM等のコンピュータで読み取り可能な各種の情報記録媒体によって提供されてもよい。
【0035】
情報処理部10は、機能的に、受信部12と、欠落パケット検出部13(検出部)と、設定部14と、欠落パケット要求部15(要求部)と、操作用データ生成部16(第1生成部)と、OA用データ生成部17(第2生成部)と、保存用データ生成部(第3生成部)18と、を備える。
【0036】
受信部12は、伝送装置3から伝送されるデータパケットPを受信する。図3の例では、受信部12は、一部のデータパケットPが欠落した複数のパケットを受信する(図3の「(1)パケット送付」及び「(2)パケット受信」)。受信部12は、例えば、フレーム番号101,102,103,104,105…のデータパケットのフレームFRを伝送装置3から受信する。伝送装置3は、受信装置1に対してデータパケットPを送信する際に、所定のエンコード(符号化)処理を実行してもよい。
【0037】
図3の例では、受信部12が受信した複数のデータパケットPのうち、フレーム101のデータパケット「2」、フレーム102のデータパケット「4」、フレーム103のデータパケット「3」、フレーム104のデータパケット「2」、及び、フレーム105のデータパケット「3」,「4」が欠落している。
【0038】
操作用データ生成部16は、伝送装置3から伝送される一部のデータパケットPが欠落した複数のパケットに基づいて操作用データOPDを生成する。まず、操作用データ生成部16は、例えば前方誤り修正(FEC:Forward Error Correction)でデータパケットを補充する(図3の「FECによる復旧」)。図3の例では、FECによって補充されるデータパケットは、フレーム101のデータパケット「2」、及び、フレーム103のデータパケット「3」である。誤り訂正符号化技術として、FECを挙げたが、他の技術が採用されてもよい。
【0039】
操作用データ生成部16は、FECによって補充されたデータパケット(例えばフレーム101のデータパケット「2」、及び、フレーム103のデータパケット「3」)を含む複数のデータパケットに基づいて操作用データOPDを生成する(図3の「(4)操作用データ生成」)。上記のとおり、操作用データOPDは、番組作成拠点にいるユーザUが中継先現場に配置されたカメラ5をリアルタイムで操作するために参照するデータであるため、OA用データ及び保存用データよりも低遅延(最短遅延)のデータである必要がある。
【0040】
欠落パケット検出部13は、受信部12が受信する複数のデータパケットにおける欠落データパケットを検出する(図3の「(5)欠落パケット検出」)。欠落パケット検出部13は、受信部12が受信した複数のデータパケットであってFECで補充された後のデータパケットにおける欠落パケットを検出する。
【0041】
具体的には、欠落パケット検出部13は、図3の例では、フレーム102のデータパケット「4」、フレーム104のデータパケット「2」、及び、フレーム105のデータパケット「3」,「4」を欠落データパケットと検出する。なお、この場合、フレーム101のデータパケット「2」とフレーム103のデータパケット「3」は、FECで補充されたデータパケットであるから、欠落データパケットとして検出されない。
【0042】
欠落パケット検出部13は、伝送装置3から繰り返し欠落データパケットが再送されるたびに欠落データパケットを検出してもよい。この構成によれば、受信部12が受信するデータパケットの補充状況を適切に管理可能である。
【0043】
欠落パケット検出部13は、FECで補充される前の複数のデータパケット(最初に受信部12が受信した複数のデータパケット)における欠落データパケットを検出してもよい。
【0044】
設定部14は、伝送装置3からのデータの伝送遅延に関する許容期間(例えば、2~3秒)(所定期間)を設定する(図3の「(6)遅延期間設定」)。設定部14は、設定した許容値を設定情報SIとして格納部11に格納する。設定部14は、許容期間を、伝送装置3から送信される複数のデータパケットのパケットロスに関する情報(例えばデータパケット情報PI)、及び、伝送装置3から送信される複数のデータパケットの復号処理結果に関する情報(例えば復号処理情報DPI)の少なくとも一方の情報に基づいて設定する。なお、許容期間は、任意であり、上記の2~3秒という制限よりも短く設定されてもよいし、長く設定されてもよい。
【0045】
伝送装置3から送信される複数のデータパケットのパケットロスに関する情報は、パケットロスの程度に関する情報を含み、例えば、パケットロス率、及び、パケットロス数の少なくとも一方を含む。
【0046】
伝送装置3から送信される複数のパケットの復号処理結果に関する情報は、例えば、FECで補充(復号)できなかったフレームFRの数、FECで復号できなかったフレームFRの割合、FECで復号できなかったデータパケットPの数、及び、FECで復号できなかったデータパケットPの割合の少なくとも一方を含む。
【0047】
欠落パケット要求部15は、欠落パケット検出部13が検出した欠落データパケットの送信を伝送装置3に要求する(図3の「(7)欠落パケットのリクエスト」)。図3の例では、欠落パケット要求部15は、FECで補充できなかった、欠落データパケットであるフレーム102のデータパケット「4」、フレーム104のデータパケット「2」、及び、フレーム105のデータパケット「3」,「4」の再送を伝送装置3に要求する。
【0048】
伝送装置3は、欠落パケット要求部15からの要求に基づいて、欠落データパケットを受信装置1に送信する(図3の「(8)欠落パケットの送付」)。伝送装置3は、受信装置1の要求とおりに、フレーム102のデータパケット「4」、フレーム104のデータパケット「2」、及び、フレーム105のデータパケット「3」,「4」の再送を試みる。しかしながら、図3の例では、フレーム105のデータパケット「3」,「4」が伝送中に欠落し、フレーム102のデータパケット「4」、及び、フレーム104のデータパケット「2」のみが受信装置1に到達する。
【0049】
欠落パケット要求部15は、欠落パケット検出部13において欠落データパケットが検出されなくなるまで(所定基準以下となるまで)繰り返し当該欠落データパケットの送信を伝送装置3に要求してもよい。所定基準は、任意であり、適宜変更可能である。所定基準は、例えば、欠落データパケットが所定の個数(例えば数個)であることを含む。
【0050】
OA用データ生成部17は、受信装置1からの要求に応じて伝送装置3から送信されるデータパケットを含む複数のパケット(第2パケット)に基づいてOA用データOADを生成する(図3の「(9)OA用データ生成」)。OA用データ生成部17は、例えば、伝送装置3からの伝送データの伝送遅延が許容期間X(例えば2~3秒)以上となる場合に、OA用データOADを生成する。
【0051】
OA用データOADは、上記したとおり、例えば、実際に放送コンテンツとしてオンエアされるデータとして生成されるデータを含む。設定部14によって伝送遅延の許容期間として例えば2~3秒という制限を設けることで、OA用データ生成部17は、操作用データOPDよりもデータパケットロスが少なく、かつ、保存用データSDよりもデータパケットロス(データ欠損)が多い品質(中程度の品質)であるデータを生成可能である。
【0052】
保存用データ生成部18は、受信装置1からの要求に応じて伝送装置3から送信されるデータパケットによって、一部のパケットが欠落した複数のパケットが補完される場合、補完された複数のパケット(第3パケット)に基づいて保存用データSDを生成する(図3の「(10)保存用データ生成」)。保存用データ生成部18は、例えば、欠落データパケットがなくなるまで待ってからより高品質の画像データ及び音データの少なくとも一方を生成可能である
【0053】
格納部11は、例えば、データパケット情報PIと、復号処理情報DPIと、設定情報SIと、操作用データOPDと、OA用データOADと、保存用データSDとを格納する。
【0054】
データパケット情報PIは、受信装置1が伝送装置3から受信するデータパケットに関する情報である。データパケット情報PIは、データパケットのフレームFRに関する情報、例えば、フレームFRの番号等の識別情報、及び、クレームFRを含む。データパケット情報PIは、例えば、欠落データパケット、再送で補充又は補完されたデータパケット、FEC用データパケット、及び、FECで補充又は補完されたデータパケットの少なくとも一つのデータパケットに関する情報を含む。
【0055】
<データ生成処理>
図4を参照して、本発明の一実施形態に係る複数の異なるデータを生成するデータ生成処理の全体の流れを説明する。図4は、本発明の一実施形態に係るデータ生成処理のフローチャートの一例である。
【0056】
前提として、データ生成処理において、例えばネットワークの所定のサイト又は記録媒体から、本発明の一実施形態に係るデータ生成処理を含むデータ伝送アプリケーションソフトウェアをダウンロードし、図1に示す受信装置1に実行可能なように保存しておく。そして、データ生成処理の実行が指示されると、当該ソフトウェアに基づくプログラム動作が開始する。なお、伝送装置3、表示装置7及び切替装置9においても、データ伝送システム100の要素として適切に作動するように事前に当該ソフトウェアを実行する。
【0057】
図4に示すように、図1図3に示す受信装置1は、複数のデータパケットを図1及び図3に示す伝送装置3から受信する(ステップS1)。受信装置1は、受信した複数のデータパケットに基づいて操作用データを生成する(ステップS3)。
【0058】
受信装置1は、受信した複数のデータパケットに基づいて欠落パケットを検出する。受信装置1は、一部のデータパケットの欠落がある場合に欠落データパケットの送信を伝送装置3に要求する(ステップS5)。受信装置1は、伝送装置3から、要求に基づいて送信された複数のデータパケットを受信する(ステップS7)。
【0059】
受信装置1は、受信した複数のデータパケットに基づいて欠落データパケットの有無を判断する(ステップS9)。受信装置1が、欠落データパケットがなく、上記ステップS5及びS7における処理によって、データパケットが補完されたと判断した場合(Yesの場合)は、ステップS15に進む。ステップS15では、受信装置1は、保存用データを生成する。他方で、受信装置1が、欠落データパケットが依然として有り、データパケットが補完されていないと判断した場合(ステップS9においてNoの場合)は、ステップS11に進む。
【0060】
受信装置1は、伝送装置3からのデータの伝送遅延が所定期間(例えば2~3秒)以上であるか否かを判断する(ステップS11)。伝送装置3からのデータの伝送遅延が所定期間以上である場合(Yesの場合)は、ステップS13に進む。ステップS13では、受信装置1は、OA用データを生成する。他方で、伝送装置3からのデータの伝送遅延が所定期間以上でない場合(ステップS11においてNoの場合)は、ステップS5に戻る。
【0061】
ステップS5に戻り、受信装置1は、欠落データパケットが無くなるまで、伝送装置3に対して欠落データパケットの再送を要求し、欠落データパケットを受信することを繰り返す。
【0062】
図5は、本発明の一実施形態に係るデータ伝送システムの全体構成の他の一例を示す図である。図5に示すように、データ伝送システム100Aでは、中継先現場等で複数のカメラ5を切り替えるカメラ切替装置8を備える点で、図1に示すデータ伝送システム100とは異なる。以下では、図1に示すデータ伝送システム100と異なる点について特に説明する。
【0063】
カメラ切替装置8は、複数のカメラ5を表示装置7からのカメラ切替用信号に基づいて切り替えて、特定のカメラ5から入力される映像データ及び音データの少なくとも一方を伝送装置3に送信する。受信装置1は、伝送装置3から伝送される複数のデータパケットに基づいて、例えば、操作用データ、OA用データ、及び、保存用データを生成する。
【0064】
図6は、本発明の実施形態に係るコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。図6を参照して、図1及び図5に示す受信装置1、伝送装置3、表示装置7、カメラ切替装置8及びデータ切替装置9を構成するのに用いることができるコンピュータのハードウェア構成の一例について説明する。
【0065】
図6に示すように、コンピュータ40は、ハードウェア資源として、主に、プロセッサ41と、主記録装置42と、補助記録装置43と、入出力インターフェース44と、通信インターフェース45とを備えており、これらはアドレスバス、データバス、コントロールバス等を含むバスライン46を介して相互に接続されている。なお、バスライン46と各ハードウェア資源との間には適宜インターフェース回路(図示せず)が介在している場合もある。
【0066】
プロセッサ41は、コンピュータ全体の制御を行う。プロセッサ41は、例えば、図2に示す情報処理部10に相当する。主記録装置42は、プロセッサ41に対して作業領域を提供し、SRAM(tatic andom ccess emory)やDRAM(ynamic andom ccess emory)等の揮発性メモリである。補助記録装置43は、ソフトウェアであるプログラム等やデータ等を格納する、HDDやSSD、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリである。当該プログラムやデータ等は、任意の時点で補助記録装置43からバスライン46を介して主記録装置42へとロードされる。補助記録装置43は、例えば、図2に示す格納部11に相当する。
【0067】
入出力インターフェース44は、情報を提示すること及び情報の入力を受けることの一方又は双方を行うものであり、カメラ、キーボード、マウス、ディスプレイ、タッチパネル・ディスプレイ、マイク、スピーカ等である。通信インターフェース45は、上記した所定の通信ネットワークと接続されるものであり、当該所定の通信ネットワークを介してデータを送受信する。通信インターフェース45は、ネットワークに係る情報、例えば、Wi-Fiのアクセスポイントに係る情報、通信キャリアの基地局に関する情報等も取得することがある。
【0068】
上に例示したハードウェア資源とソフトウェアとの協働により、コンピュータ40は、所望の手段として機能し、所望のステップを実行し、所望の機能を実現させることできることは、当業者には明らかである。
【0069】
なお、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。また、本発明は、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の開示を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素は削除してもよい。さらに、異なる実施形態に構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1…受信装置、3…伝送装置、5…カメラ、7…表示装置、8…カメラ切替装置、9…データ切替装置、10…情報処理部、11…格納部、12…受信部、13…欠落パケット検出部、14…設定部、15…欠落パケット要求部、16…操作用データ生成部、17…ОA用データ生成部、18…保存用データ生成部、41…プロセッサ、42…主記録装置、43…補助記録装置、44…入出力インターフェース、45…通信インターフェース、46…バスライン、100,100A…データ伝送システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6