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特許7431208ペラルゴン酸エステルを含む親油性化粧品用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-05
(45)【発行日】2024-02-14
(54)【発明の名称】ペラルゴン酸エステルを含む親油性化粧品用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/37 20060101AFI20240206BHJP
   A61K 8/33 20060101ALI20240206BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20240206BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20240206BHJP
   A61K 8/89 20060101ALI20240206BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240206BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20240206BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20240206BHJP
   A61Q 1/14 20060101ALI20240206BHJP
   A61Q 1/06 20060101ALI20240206BHJP
   A61Q 1/04 20060101ALI20240206BHJP
   A61Q 1/12 20060101ALI20240206BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
A61K8/37
A61K8/33
A61K8/34
A61K8/31
A61K8/89
A61Q19/00
A61Q1/00
A61Q19/10
A61Q1/14
A61Q1/06
A61Q1/04
A61Q1/12
A61Q17/04
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021182087
(22)【出願日】2021-11-08
(62)【分割の表示】P 2018512374の分割
【原出願日】2016-09-07
(65)【公開番号】P2022017526
(43)【公開日】2022-01-25
【審査請求日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】102015000049554
(32)【優先日】2015-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】592081988
【氏名又は名称】ノバモント・ソシエタ・ペル・アチオニ
【氏名又は名称原語表記】NOVAMONT SOCIETA PER AZIONI
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 雅己
(74)【代理人】
【識別番号】100189429
【弁理士】
【氏名又は名称】保田 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213849
【弁理士】
【氏名又は名称】澄川 広司
(72)【発明者】
【氏名】カプッツィ,ルイジ
(72)【発明者】
【氏名】ディジオイア,フランチェスカ
(72)【発明者】
【氏名】ブラマティ,ヴァネッサ
(72)【発明者】
【氏名】カルロマーニョ,フェデリカ
(72)【発明者】
【氏名】コミネッティ,アレッサンドラ
【審査官】相田 元
(56)【参考文献】
【文献】特開昭52-131513(JP,A)
【文献】特開2013-035799(JP,A)
【文献】特開昭59-190907(JP,A)
【文献】国際公開第94/007460(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
20重量%未満の水性成分及び50~99重量%の油性成分を含み、前記油性成分がネオペンチルグリコールジペラルゴネート、グリセロールトリペラルゴネート、又はそれらの混合物から選択される少なくとも1つのエステルを含み、直鎖及び分岐カルボン酸のモノアルコールとのエステル、天然及び/又は合成起源のエーテル、アルコール及び炭化水素、シリコーン油、又はそれらの混合物から選択される液体油を更に含むことを特徴とする化粧品親油性組成物であって、
前記化粧品親油性組成物が0.05と35重量%の間の量の1種以上のサンフィルターを含む
化粧品親油性組成物。
【請求項2】
ネオペンチルグリコールジペラルゴネート、グリセロールトリペラルゴネート、ペンタエリスリトールテトラペラルゴネートから選択される他のエステルを含む請求項1に記載の化粧品親油性組成物。
【請求項3】
少なくとも1つのワックスを更に含む請求項1~2のいずれか1つに記載の化粧品親油性組成物。
【請求項4】
1種以上の着色剤及び/又は、酸化防止剤及び/又はビタミン、製品保護のためのサンフィルター、防腐剤、pH調整剤、保湿剤、コンディショナー、キレート化剤、流動調整剤、テキスチャライザー、被膜形成剤、シリコーン、香水、精油、化粧及び/又は皮膚科学的活性成分から選択される1種以上の添加剤を含む請求項1~3のいずれか1つに記載の化粧品親油性組成物。
【請求項5】
前記着色剤及び/又は添加剤の各々が、化粧品用組成物の全量に対して、0~35重量%の量で存在する請求項に記載の化粧品親油性組成物。
【請求項6】
1つ以上のオリゴマーを更に含む請求項1~5のいずれか1つに記載の化粧品親油性組成物。
【請求項7】
前記油性成分が、化粧品親油性組成物の50~65重量%を構成する請求項1~6に記載の化粧品親油性組成物。
【請求項8】
化粧品親油性組成物の全重量に対して:
a)ネオペンチルグリコールジペラルゴネート、グリセロールトリペラルゴネート、又はそれらの混合物から選択される少なくとも1つのエステルを含む50~99重量%の油状成分;
b)1~35重量%の1種以上のワックス;
c)0~30重量%の1種以上の着色剤;
d)0~3重量%のビタミン及び/又は抗酸化剤;
e)0~2重量%の1種以上の防腐剤
を含む請求項1~5のいずれか1つに記載の化粧品親油性組成物。
【請求項9】
化粧品親油性組成物の全重量に対して:
a)1種以上のオリゴマー15~85重量%;
b)ネオペンチルグリコールジペラルゴネート、グリセロールトリペラルゴネート、又はそれらの混合物から選択される少なくとも1つのエステルを含む油性成分5~65重量%;
c)懸濁力を有する1種以上の流動調整剤0~15重量%;
d)0~20重量%の1種以上の着色剤;
e)0~5重量%の1種以上のワックス;
f)0~3重量%のビタミン及び/又は抗酸化剤;
g)0~2重量%の1種以上の防腐剤
を含む請求項1~5のいずれか1つに記載の化粧品親油性組成物。
【請求項10】
化粧品親油性組成物の全重量に対して:
(a)0.05~35重量%の1種以上のサンフィルター;
(b)0~30重量%の1種以上のワックス;
(c)0~30重量%の1種以上の着色剤;
(d)0~2重量%の1種以上の防腐剤
を含む請求項1~5のいずれか1つに記載の化粧品親油性組成物。
【請求項11】
皮膚と皮膚付属物のケア、メイクアップ、及びクレンジングのための、無色又は着色製品での請求項1~10のいずれか1つに記載の化粧品親油性組成物の使用。
【請求項12】
リップスティック、バター、唇及び/又はボディのためのバーム、リップグロス、ファンデーション、コンシーラー、サンステック、サンオイル、クリーニングオイル、ベビーオイル、特殊処理用オイルの調製のための請求項1~10のいずれか1つに記載の化粧品親油性組成物の使用。
【請求項13】
皮膚と皮膚付属物の太陽からの保護の使用のための請求項1~12のいずれか1つに記載の化粧品親油性組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネオペンチルグリコールジペラルゴネート、グリセロールトリペラルゴネート及びペンタエリスリトールテトラペラルゴネートから選択される1種以上のエステルを含有する親油性化粧品用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品業界では、環境影響が少なく、天然かつ再生可能起源の、同時に優れた機能的及び官能特性を有する新規成分の同定に注目が高まっている。
親油性化粧品用組成物は、特に、皮膚及びヘアのケアにおいて、及びメイクアップにおいて用途が見出されている。
これらの組成物は、皮膚軟化性及びバランス作用を有する油性成分を有し、例えばリップスティック、バター及びリップグロス等の製品に被膜形成効果を付与する機能も有し、サンプロダクト中の化学及び物理フィルターの両方の溶解及び分散を助け、一般に、着色剤及び他の活性成分を分散させるのを助ける。
ネオペンチルグリコール、グリセロール及びペンタエリスリトール等のポリオールを有する再生可能原料から得ることができるペラルゴン酸のエステルは、特定の流動特性と流動及び光沢特性、被膜形成及び非油性特性を有し、化粧品用途のための親油性組成物中の油性成分の成分として、すなわち、人体の外面(表皮、唇及び皮膚付属物)に専ら又は主にそれらをきれいにし、それらをにおわせ、それらの外観を変更し、それらを保護し、良好な状態でそれらを維持し、又は体臭を修正するために適用することを意図した製品の調製のために、それらを使用に特に適したものにすること、が今や観察されている。それらはまた、サンフィルター、顔料及び他の添加剤の分散のための優れた能力を有し、それらの効果を増強することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のエステルが個々に及び混合物の両方で使用されるときに生じるこれらの機能的及び官能特性の組み合わせは、驚くべきことに、前記エステルを油性成分の単一成分として使用することも可能にする。
上記のものに加えて、親油性化粧品用組成物中の成分としてのネオペンチルグリコールジペラルゴネート、グリセロールトリペラルゴネート及びペンタエリスリトールテトラペラルゴネートの使用に由来する他の利点は、この出願を読むことから当業者に明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
したがって、本発明の目的は、20重量%未満、好ましくは10重量%未満、より好ましくは5重量%未満の水性成分及び油性成分を含み、前記油性成分がネオペンチルグリコールジペラルゴネート、グリセロールトリペラルゴネート及びペンタエリスリトールテトラペラルゴネート又はそれらの混合物から選択される少なくとも1種のエステルを含む親油性化粧品用組成物である。本発明の一態様によれば、ネオペンチルグリコールジペラルゴネート、グリセロールトリペラルゴネート、ペンタエリスリトールテトラペラルゴネートから選択される少なくとも2種のエステルを含む組成物が好ましい。
【0005】
本発明の化粧品用組成物は、好ましくは、前記油性成分を50~99重量%含む。
油性成分がネオペンチルグリコールジペラルゴネート及びグリセロールトリペラルゴネートの少なくとも1つを含む本発明による親油性化粧品用組成物が好ましく、これらの中でも、グリセロールトリペラルゴネートを含むものがより好ましい。
本発明の1つの有利な態様によれば、ネオペンチルグリコールジペラルゴネート、グリセロールトリペラルゴネート及びペンタエリスリトールテトラペラルゴネートから選択される前記エステルは、例えば、変性又は未変性の、植物油、脂肪酸及びそれらの誘導体の酸化開裂プロセスにより得られる再生可能原料からのペラルゴン酸から製造される。ペラルゴン酸の再生可能原料の好ましい例は、ヒマワリ、アブラナ科又はアザミの植物油(例えば、Cynara cardunculus及びSilybum marianum)である。ペラルゴン酸の特に好ましい原料は、高オレイン酸又はエルカ酸含量を有する植物油である。
【0006】
前記ペラルゴン酸は、好ましくは、無機及び有機過酸化物又は過酸、硝酸、過マンガン酸塩、過ヨウ素酸塩、O2、O3又はそれらの気体混合物が酸化剤として使用される酸化開裂プロセスによって得られる。
過酸化水素のような過酸化物、及びO2又は酸化剤としてO2を含む混合物が使用される酸化開裂プロセスが好ましい。 特定の例は、出願WO 94/10122、WO 07/039481、WO 2008/138892、WO 2011/080296、WO 2011/080297又はWO 2013/079849に記載されている酸化開裂プロセスである。
【0007】
本発明の好ましい態様によれば、前記エステルは、高純度ペラルゴン酸、好ましくは95%超、より好ましくは98%超であり、及びネオペンチルグリコール、グリセロール又はペンタエリスリトールから選択されるポリオールから、エステル化反応を介して製造され、エステル化反応は有利には触媒の不在下で行われる。
【0008】
前記エステル化は、有利には、ポリオールのモル数に対して、好ましくは30%以上70%未満のモル過剰のペラルゴン酸の存在下で、典型的に180と240℃の間、好ましくは200と210℃の間の温度で操作しながら行われる。エステル化反応の間に形成される水は、有利には、例えば徐々に減圧を適用することによって反応環境から除去され、反応の終わりに、好ましくは蒸発により過剰の酸を除去する。このようにして得られたエステルは、有利には、色、臭気及び残留酸性度を排除する目的で、当業者に公知の方法、例えば活性炭及び脱色土を用いた精製処理に付し得る。活性炭と組み合わせて含む、使用されてもよい脱色土の例としては、グレードF 118FF、グレードF76(BASFにより市販)、Minclear N100、Minclear E100及びPansil 2である(Tolsaにより市販)。
【0009】
上記の手順に従って操作して得られるエステルは、金属、例えばスズによって触媒される通常のエステル化法によって得られるエステルと比較して、官能特性(例えば、色、臭い)及びそれらの安定性に影響を及ぼす可能性のある金属残渣を含まない。したがって、それらは、減少した無機物含量の特別な利点を有し、化粧品環境での使用のためのより簡単な予備処理を要求する。
油性成分とは、本願によれば、環境温度(25℃)及び大気圧で液体であり、植物、動物、鉱物及び/又は合成由来の油性成分を意味する。
【0010】
本発明による化粧品用組成物の油性成分は、上記で特定されたペラルゴン酸エステル(ネオペンチルグリコールジペラルゴネート、グリセロールトリペラルゴネート、ペンタエリスリトールテトラペラルゴネート)を有利に含み、これらに加えて、天然及び/又は合成由来のエステル、アミド、エーテル、アルコール及び炭化水素、シリコーン油又はそれらの混合物から選択される1種以上の油である。
前記油は、典型的には、環境温度(25℃)及び大気圧で液体形態である。
【0011】
天然起源のエステルの可能な例は、例えばC8及びC10酸のトリグリセリド等の飽和又は不飽和脂肪酸のトリグリセリド、又は例えば植物油中に存在するようなそれらの混合物である。適切な植物油は、例えば、オリーブ油、ヒマワリ油、トウモロコシ油、大豆油、ヒマシ油、アプリコット油、アボカド油、アーモンド油、マカダミア油、ホホバ油又はカライト油である。
【0012】
合成起源のエステルは、例えばイソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、ステアリン酸2-オクチルドデシル、エルカ酸2-オクチルドデシル又はイソステアリン酸イソステアリル等の直鎖及び分岐カルボン酸のモノアルコールとのエステル、マレイン酸ジイソステアリル、安息香酸C12~15アルキル; C7~C10鎖脂肪酸と脂肪アルコールとのエステル;乳酸イソステアリル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、ヒドロキシステアリン酸オクチルドデシル等のヒドロキシル化エステル;ジオクタン酸プロピレングリコール、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール又はジイソノナン酸ジエチレングリコール及びテトライソステアリン酸ペンタエリスリチル等のポリオールのエステルである。
【0013】
エーテルの一例はジカプリルエーテルである。アミドの一例は、ジブチルラウロイルグルタミドである。
油の他の例には、オクチルドデカノール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール等の脂肪アルコールが含まれる。
天然起源の炭化水素油は、例えば、スクアレン及びスクアラン等のテルペン炭化水素;鉱物又は合成起源の炭化水素油は、例えば、イソパラフィン(例えば、イソドデカン、イソヘキサデカン、ポリデセン水素化物)及びシクロパラフィン等の流動パラフィン及びその誘導体である。
【0014】
シリコーン油は、シリコンに基づく合成化合物であり、それらは、揮発性又は不揮発性、線状又は環式であり得る。シリコーン油の例は、例えば、アルキル、アルコキシル又はフェニル基を含むポリシロキサン及びその誘導体であり;典型的に使用されるシリコーン油は、ポリジメチルシロキサン(ジメチコン)、アモジメチコン、シクロペンタシロキサン及びシクロヘキサシロキサン等のシクロメチコン、アミノビスプロピルジメチコン、アミノプロピルジメチコン、ヒドロキシステアリン酸アモジメチコン、ベヘノキシ - ジメチコン、C30-45アルキルジメチコン、C24-28アルキルジメチコン、C30-45アルキルメチコン、セテアリール(Cetearyl)メチコン、セチルジメチコン、ジメトキシシリルエチレンジアミノプロピルジメチコン、ヘキシルメチコン、ヒドロキシプロピルジメチコン、ステアラミドプロピルジメチコン、ステアロキシジメチコン、ステアリルメチコン、ステアリルジメチコン及びビニルジメチコンである。
【0015】
有利には、本発明による化粧品用組成物は、植物油の不鹸化可能な画分(例えば、カロテノイド、キサントフィル、トコフェロール、フィトステロール、脂肪族及びテルペンアルコール)に由来する1つ以上の成分を含む。ビタミン及び親油性の活性物質も、油性成分中に溶解して存在してもよい。
【0016】
本発明による化粧品用組成物はまた、1種以上のワックスを含んでもよい。
「ワックス」という用語は、環境温度(25℃)及び大気圧で固体である油性成分を意味し、前記成分は、それを含有する化粧品用組成物に剛性、可塑性及び強度を付与し、したがって、例えば棒状物のような固体形態で調製するのに適している。
本発明の組成物に使用するのに適したワックスは、化粧品用組成物において典型的に使用される全てのワックスである。これらは天然及び/又は合成起源のものであってもよく、天然ワックスの例は、ミツロウ又は白ロウ、カルナバワックス、カンデリラワックス、日本ワックス、ライスワックス、ホホバ油又はヒマワリ油又はヤシ油等の硬化油由来のワックス、長鎖飽和脂肪酸と長鎖モノアルコールとのエステル又はパルミチン酸セチル、ステアリン酸セチル、パルミチン酸及びステアリン酸トリグリセリド等のそれらのグリセリドが挙げられる。
【0017】
鉱物又は合成ワックスの例は、亜炭ワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィン、オゾケライト、セレシン、合成蜜蝋、ラノリン及びポリプロピレングリコールとのそれらのエーテル、ポリエチレンワックス、25℃を超える融点を有する脂肪酸エステル、セチルエステル及びポリアミドである。シリコーンワックス、例えば、アルキル又はアルコキシ - ジメチコン又は高分子量を有するポリ(ジ)メチルシロキサンも使用することができる。
前記ワックスは、当業者に知られているように、組成物中の典型的には5%と35重量%と間で化粧品の種類に依存して変化する量で使用される。異なる融点を有するワックスの混合物が好ましくは使用される。
【0018】
特に好ましい実施形態によれば、本発明による親油性化粧品用組成物は、化粧品用組成物の重量に関して:
a)ネオペンチルグリコールジペラルゴネート、グリセロールトリペラルゴネート及びペンタエリスリトールテトラペラルゴネート及びそれらの混合物から選択される少なくとも1種のエステルを含む油性成分50~99重量%、好ましくは55~95重量%;
b)1種以上のワックス1~35質量%、好ましくは5~30質量%、より好ましくは7~20質量%;
c)1種以上の着色剤0~30重量%、好ましくは0.1~20重量%、より好ましくは0.1~15重量%;
d)0~3重量%、好ましくは0.05~2重量%のビタミン及び/又は抗酸化剤;
e)1種以上の防腐剤0~2重量%、好ましくは0.01~1重量%
を含む。
前記組成物は、展延性リップスティック、バター及びリップバーム、コンシーラー、ファンデーションクリーム、キャスト及びスティックアイシャドーの調製に特に適している。
【0019】
ネオペンチルグリコールジペラルゴネート、グリセロールトリペラルゴネート、ペンタエリスリトールテトラペラルゴネート及びそれらの混合物から選択される少なくとも1種のエステルを含むことを特徴とする前記油性成分を含む本発明による化粧用組成物は、ポリオレフィン、アクリル誘導体、ポリアミド及び/又はポリエステルオリゴマー、例えばポリブチレン及び/又はポリイソブチレンをも含み得る。
この態様によれば、前記油性成分は、好ましくは化粧品用組成物の5及び65重量%の間、より好ましくは10及び35重量%の間で含まれる。この態様によれば、前記組成物は、有利には、懸濁粉末、着色剤及び酸化防止剤をも含み得る。このタイプの化粧品用組成物は、特に、リップグロスのような化粧品の調製に適している。
【0020】
「オリゴマー」とは、典型的には、化粧品用組成物に明るさ及び粘着性を付与する原因となる、環境温度(25℃)及び大気圧で液体である1000g /モル以下の分子量を有するオリゴマー及びポリマーを意味する。適切なオリゴマーは、ポリブテン、ポリイソブチレン及び水素化ポリイソブチレン、ポリデセン及び水素化ポリデセン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリエステルを含む群から選択される。好ましいオリゴマーは、ポリブチレン、ポリイソブチレン及び/又はポリアミドから選択される。
【0021】
特に好ましい実施形態によれば、本発明による親油性化粧品用組成物は、化粧品用組成物の重量に関して:
a)1種以上のオリゴマー15~85重量%、好ましくは29~80重量%;
b)ネオペンチルグリコールジペラルゴネート、グリセロールトリペラルゴネート及びペンタエリスリトールテトラペラルゴネート及びそれらの混合物から選択される少なくとも1種のエステルを含む油性成分5~65重量%、好ましくは10~35重量%
c)懸濁力を有する1種以上の流動調整剤0~15質量%、好ましくは2~5質量%;
d)0~20重量%、好ましくは0.1~15重量%の1種以上の着色剤;
e)0~5重量%、好ましくは0.1~3重量%の1種以上のワックス;
f)0~3重量%、好ましくは0.05~2重量%のビタミン及び/又は酸化防止剤;
g)0~2重量%、好ましくは0.01~1重量%の1種以上の防腐剤
を含む。
前記組成物は、リップグロスの調製に特に適している。
【0022】
本発明による親油性化粧品用組成物は、好ましくは化粧品用組成物の重量に対して、0.05と35重量%の間、好ましくは0.1と30重量%の間の量の1種以上のサンフィルターをも含む。この態様によれば、油性成分は、化粧品用組成物の50~99重量%、有利には50~90重量%含まれる。
【0023】
サンフィルターは、UVA / UVB放射線から皮膚及び/又はヘアを保護する機能を有する。これらは、例えば、酸化亜鉛及び二酸化チタン、ナノ物質の形態又はより大きいサイズの粒子の形態で、シリカ、カオリン、酸化鉄及び/又は酸化マグネシウム等の反射特性を有するフィルター又は物理的スクリーン、ならびに、桂皮酸エステル、ベンゾイミダゾール、ベンゾフェノン、ベンジリデンカンファーレート、PABA及びその誘導体、サリチレート、アントラニル酸エステル、ジベンゾイルメタン、オクトクリレン(crylene)、オクチルトリアゾン、ビス - エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン及びジエチルヘキシルブタミドトリアゾン等のトリアジン、ビタミンC及びビタミンE等の天然抗酸化剤、又はTinogard TTのような合成ビタミン、又はそれらの組み合わせ等の紫外線のエネルギーを吸収及び変換し得る典型的な有機分子の化学フィルターを含む。
物理及び化学フィルターは、天然由来(例えばガンマオリザノール)又は合成であってよく、単独で又はより有利に組み合わせて使用され得る。
【0024】
本発明による組成物中に使用に適したサンフィルターの特定の例は、オクチル - メトキシシンナメート、2-エチル - ヘキシル-4-ジメチルアミノベンゾエート、ブチル - メトキシ - ジベンゾイルメタン、オクチルトリアゾン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、サリチル酸エチルヘキシル、酸化亜鉛、二酸化チタン、又はそれらの組み合わせである。
【0025】
特に好ましい実施形態によれば、本発明による親油性化粧品用組成物は、化粧品用組成物の重量に関して:
a)ネオペンチルグリコールジペラルゴネート、グリセロールトリペラルゴネート及びペンタエリスリトールテトラペラルゴネート及びそれらの混合物から選択される少なくとも1種のエステルを含む油性成分50~99重量%、好ましくは50~90重量%
b)1種以上のサンフィルター0.05~35重量%、好ましくは0.1~30重量%;
c)1種以上のワックス0~30重量%、好ましくは5~25重量%、より好ましくは7~20重量%;
d)0~30重量%、好ましくは0.1~3重量%の1種以上の着色剤;
e)0~2重量%、好ましくは0.01~1重量%の1種以上の防腐剤
を含む。
前記組成物は、サンプロテクション製品、例えばサンプロテクションスティック、オイル及びバターの製造に特に適している。
【0026】
油性成分中に存在するペラルゴン酸エステルの特性のために、本発明のこの態様による化粧品用組成物は、それらがサンフィルターの最適な分散を保証するという特別な利点を有し、それらは保護ファクターが増加することを助け得る。更に、それらは、一般的に使用される油状溶媒/分散剤のいくつかと比較して、より高い可溶化及び分散速度を示している。したがって、それらは、水を含まないサンプロダクト、ボディ及びヘアのケアのための化粧品、及び老化防止保護作用を有するメイクアップ製品の調製に適している。
この目的に特に適しているのは、ペンタエリスリトールテトラペラルゴネート及びグリセロールトリペラルゴネート又はそれらの混合物を含み、特に流動性及び粘度特性を有し、特に軟質である組成物である。グリセロールトリペラルゴネートを含む組成物がより好ましい。
【0027】
本発明による化粧品用組成物は、20%を超えない量の水を含有し得、好ましくは含水率は5重量%未満である。
好ましい態様によれば、本発明の化粧品用組成物は、好ましくは、0.1%と35重量%の間、より好ましくは0.1と30重量%の間、更により好ましくは0.1と20重量%の間の量で1種以上の着色剤又は染料を含む。前記着色剤は、水に可溶性又は不溶性であっても、脂肪に可溶又は不溶性であっても、鉱物又は有機、天然又は合成であってもよく、化粧品用組成物を着色又は不透明化する機能を有し得る。適切な着色剤の例は、顔料、ラッカー又はパールであり、それらは、そのままで、又は例えば撥水性又は親水性を改質するための表面処理の後に使用し得る。顔料には、無機質の金属の誘導体、例えば鉄、セリウム、クロム、チタン、亜鉛又はジルコニウムの酸化物、ケイ酸塩(例えばマイカ)、スルホシリケート(例えば群青)及びそれらの組み合わせ、及び有機性の分子、例えば植物抽出物を含む。「パール」という用語は、有機(グアニン、CI 75170等)又は無機(ビスマスオキシクロライド、CI 77163又はセリサイト、CI 77019等)のいずれかで、虹色又は非虹色であり得る光で反射及び屈折現象を発し得る特殊顔料を意味する。
【0028】
油性成分中に存在するペラルゴン酸エステルの特性のために、本発明による化粧品用組成物は、親油性顔料及び被覆顔料の最適な分散を確実にするという特別な利点を有し、それらはその色を強化するのに役立つ。
本発明による化粧品用組成物は、酸化防止剤及び/又はビタミン等の化粧品の分野で通常使用される他の添加剤、製品保護のためのサンフィルター、防腐剤、pH調整剤、湿潤剤(例えばグリセリン、ソルビトール、グリコール、ポリエチレングリコール)、コンディショナー、キレート剤、流動調整剤、テクスチャライジング剤、被膜形成剤、シリコーン、香料、精油、及び活性成分、特に化粧品的及び/又は皮膚科学的活性成分をも含み得る。
各添加剤は、化粧品用組成物の全重量に対して、0~35重量%、好ましくは20重量%まで、より好ましくは10重量%までの量で存在してもよい。
【0029】
本発明による用語「防腐剤」は、化粧品用組成物中の微生物の増殖を阻害する主要な機能を有する天然又は合成物質を意味する。許可された防腐剤のリストは、EC規則1223/2009の付録Vを参照される。使用される最大許容パーセンテージ、あらゆる制限事項及び使用方法が、文書内に記載されている。最も広く許容される防腐剤は、例えば、安息香酸、プロピオン酸、サリチル酸、ソルビン酸及びそれらの塩、p-ヒドロキシ安息香酸、その塩及びエステル、デヒドロ酢酸、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール、イミダゾリジニル尿素を含む。前記防腐剤と組み合わせて、又は代替として、本発明の化粧品用組成物は、例えば、ハチミツ、ローズマリー、Melaleuca alternifolia及びタイムの抽出物等の精油、及びEDTAのような錯化剤等の微生物の増殖の阻害に寄与し得る他の物質も含み得る。
【0030】
本発明のいくつかの態様による化粧品用組成物は、有利には、1つ又は複数の流動調整剤を含む。「流動調整剤」とは、流動学的挙動に影響を及ぼし、ひいては化粧品用組成物の安定性及び適用に影響を及ぼすゲル化剤、増粘剤、分散剤、懸濁粉末及び他の物質を意味する。
それらは、天然又は合成、鉱物又は有機性であってもよい。有機流動調整剤の中でも、アルギン酸塩、カラギーナン、寒天、ペクチン、デンプン、セルロース及びそれらの化学修飾誘導体等の天然ポリマー、疎水性修飾されていてもされていなくてもよいアクリルポリマー、疎水変性ウレタン、アルケン/スチレンコポリマー、ポリエチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレングリコール誘導体、及び脂肪酸及びそれらの塩等の合成ポリマーが好ましい。無機流動調整剤の例は、粘土、シリカ及びそれらの改質誘導体、マグネシウム及び/又はアルミニウムのケイ酸塩である。
【0031】
本発明による組成物に使用するのに特に適している流動調整剤のクラスは、懸濁粉末を含む。
本発明による化粧品用組成物は、固体、ペースト又は液体の形態であり得る。
本発明による化粧品用組成物は、化粧品分野の当業者に公知の方法に従って製造し得る。
好ましい調製方法によれば、化粧品用組成物の成分は、有利には、全ての固体成分がそれらの融点に至った後、特定の装置、例えば3シリンダーリファイナーを用いて混合され、全ての添加剤を細かく分散させることが可能となる。
【0032】
本発明による化粧品用組成物は、皮膚及び皮膚付属物、特にケア、メーキャップ、クレンジング及びサンプロテクションのための着色又は無色の化粧品での用途が見い出されている。好ましい用途は、リップスティック、ファンデーションクリーム、コンシーラー、唇及び/又はボディのバター及びバーム、リップグロス、スティックサンプロテクション製品、サンプロテクションオイル、クリーニングオイル、ベビーオイル及び特別な処置のためのオイルである。
【0033】
本発明の一態様は、ネオペンチルグリコールジペラルゴネートを含有する親油性化粧品用組成物に関する。前記化粧品用組成物は、軽くて柔らかく絹のような感触を有し、従って、例えば不透明なリップステックの用途に特に適している不透明仕上げ剤及び薄膜を提供する。
本発明の別の態様は、グリセロールトリペラルゴネートを含有する親油性化粧品用組成物に関する。前記化粧品用組成物は、良好な流動性と軽い乾燥した非油性の感触を有し、若干明るい仕上がりを与える。従って、それらは、例えばメイクアップ製品、特に不透明な製品に適している。
本発明の別の態様は、ペンタエリスリトールテトラペラルゴネートを含有する親油性化粧品用組成物に関する。前記エステルは、明らかな皮膚軟化特性により特徴付けられ、化粧品用組成物に、豊富であるが非油性の接触、流動特性及び均質性、サンプロダクトへの適用に特に適しているUVA / UVBサンフィルターの優れた分散性を付与する。
【0034】
本発明の別の態様は、ネオペンチルグリコールジペラルゴネート、グリセロールトリペラルゴネート及びペンタエリスリトールテトラペラルゴネートから選択される少なくとも2種のエステルを含有する親油性化粧品用組成物に関する。従って、ネオペンチルグリコールジペラルゴネートとグリセロールトリペラルゴネートとの混合物又はネオペンチルグリコールジペラルゴネートとペンタエリスリトールテトラペラルゴレートとの混合物、又はグリセロールトリペラルゴネートとペンタエリスリトールテトラペラルゴネートの混合物、ネオペンチルグリコールジペラルゴネート、グリセロールトリペラルゴネート及びペンタエリスリトールテトラペラルゴネートの混合物等の上記エステルの二成分又は三成分混合物を含む親油性化粧品用組成物は、本発明の対象である。
【実施例
【0035】
本発明を、以下の非限定的な実施例によって詳細に説明する。
実施例
以下の実施例において使用されるエステルは、高オレイン酸含量を有するヒマワリ油の酸化開裂に由来するペラルゴン酸を用いて製造されている。特に特許出願WO 2011080296号に記載された方法に従って得られたペラルゴン酸は、実施例1に記載されているように、1つ以上の酸官能基を含むトリグリセリドからモノカルボン酸を分離し、続く軽質モノカルボン酸を含む画分を除去する精留の工程c)の終わりで使用される。使用されるペラルゴン酸は、99%の純度を有する。
【0036】
ネオペンチルグリコールジペラルゴネート、グリセロールトリペラルゴネート及びペンタエリスリトールテトラペラルゴネートエステルの製造
3種のエステルの合成のためのエステル化反応は、触媒の不在下で、使用したポリオール(ネオペンチルグリコール、グリセリン又はペンタエリスリトール)に対して、30モル%のモル過剰のペラルゴン酸を用いて行った。エステル化水の除去を有利にするために、酸/ポリオール混合物の温度を反応の過程で200~210℃に上昇させ、一旦この温度に達したら、試薬の変換を有利にするために、徐々に真空吸引を100mbarまで施した。反応が完了した後、理論量に相当する量の反応水が得られた後、過剰の酸を蒸発により回収し、温度を180~200℃に保ち、5~10mbarの真空に保った。
【0037】
次いで、生成物を活性炭及び脱色土(earth)で脱色処理し、アース(earth)を脱色し、各エステルに関して1と2重量%の間の量の水酸化カルシウムと水(重量比1:1)を添加して中和し、30分間撹拌しながら60℃に加熱した。真空中で80~100℃に加熱して水を完全に除去した後、濾過土(Celite 512;エステルに対して1重量%)を撹拌しながら添加し、液体を同じアース床上で真空下で濾別し、透明な製品を得た。
標準ASTM D664に従ってなされた酸性度の測定は、3種のエステルのそれぞれについて0.1mgKOH / g未満の残留酸性度を示した。
【0038】
以下の表は、本発明による化粧品用組成物の例を示す。成分のリスト(INCI命名法に従う)及び組成物の全重量に対する各成分の重量%組成物が各組成物について示される。
【0039】
安定性測定は、UNIPRO Bulletin No.32に記載されたガイドラインに従って、4℃、40℃及び環境温度/光(25℃)で保持された試料について3ヶ月後の組成物の官能特性(臭気、色、外観)の官能評価に基づいて行った。
実施例1(比較)-2(ボディ及びヘアオイル)
成分
【0040】
【表1】
【0041】
調整:
グループAの成分を秤量し、撹拌しながら混合機に入れ、45±2℃の温度に加熱した。グループBの成分を秤量し、混合物Aに一度に1つずつ加え、各添加後に10分間混合した。 絶えず撹拌し続けながら、このようにして得られたA + B混合物を環境温度に冷却し、適切に提供された容器に移した。
得られた組成物は両方とも黄色油の形態をとり、同じ性能を示した。それらの官能特性も、4℃、40℃及び25℃での3ヶ月の安定性試験後も変化しなかった。
【0042】
実施例3(比較)-4(SPF50 +サンステック)
成分:
【0043】
【表2】
【0044】
調製:
グループAの成分を秤量し、一度に1つずつ脂肪溶融機に入れ、穏やかに撹拌しながらワックスが完全に溶解するまで95±2℃の温度に加熱した。次に系を80±2℃で静かに撹拌しながら冷却し、次いでグループBの成分を一度に1つずつ添加し、各添加後に混合した。次いで、系を75±2℃に冷却し、成分C、次いで成分Dを添加し、分散が均一になるまで撹拌を続けた。
次いで、このようにして得られた混合物を環境温度に冷却し、適切に提供された容器に移した。
2種の組成物はスティック状に調製した。どちらもアイボリー色で、同じ性能を示した。それらはまた、4℃、40℃及び25℃で3ヶ月間の安定性試験に合格した。
【0045】
実施例5(比較) - 6(リップスティック)
成分:
【0046】
【表3】
【0047】
リップスティックの形態で調製されたグリセロールトリペラルゴネートを含有する本発明による化粧品用組成物(実施例6)は、カプリン酸及びカプリル酸のトリグリセリドを含む実施例5の比較組成物と同じ性能を示した。
【0048】
実施例7(グリセロールトリペラルゴネートを有するマッサージ油)
均質な混合物が得られるまで、グリセロールトリペラルゴネート(80重量%)とアーモンド油(アプリコットカーネルオイル、20重量%)を混合することにより、マッサージ油を調製した。
【0049】
実施例8(比較)-11(スティックコンシーラー)
成分:
【0050】
【表4】
【0051】
調製:
グループAの成分をミキサーに入れ、90℃の温度に加熱した。この温度に達したらB相の成分を撹拌しながら添加し、完全に均質になるまで混合した。温度を約80℃に保持するために加熱を続けながら、グループCの全ての成分を表に示された順序で添加し、均質な混合物が得られるまで撹拌し続けた。このようにして得られた混合物を型に注ぎ、冷却させた。
【0052】
実施例12(比較) - 15(リップグロス)
成分:
【0053】
【表5】
【0054】
調製:
グループAの成分をミキサーに入れ、85℃の温度に加熱した。温度に達したら、グループBの成分を撹拌しながら添加し、完全に均質になるまで混合した。混合を継続しながら加熱を停止し、混合物の温度が50℃以下になったとき、グループCの成分を添加した。 生成物が完全に均質になるまで撹拌を続けた。
【0055】
実施例16~19(リップスティック評価)
4種の親油性化粧品用組成物を、以下の成分リストに従ってリップスティックの形態で調製した:
【0056】
【表6】
【0057】
得られた4種の組成物を官能評価に供した。リップスティックを試験するために、20人の個人(女性)のパネルが必要であり、以下の表に挙げられた特性について1~5の格付けを提供した。
評価尺度:
5:優秀
4:非常に良い
3:良い
2:並
1:悪い
【0058】
【表7】
【0059】
ペンタエリスリトールトリペラルゴネートを含む実施例16の組成物は、実施例17の組成物と比較した場合、より良好な顔料分散、良好な唇への付着及び匹敵する光沢効果により、より良好な広がり性及びより強い均一な色を示した。
グリセロールトリペラルゴネートとペンタエリスリトールトリペラルゴネートの混合物を含む実施例18の組成物は、フェニルジメチコンを含む実施例19の組成物により達成されたものより高い柔軟性及び流動性並びに匹敵する光沢効果を示した。
【0060】
実施例20-顔料の分散
黒色酸化鉄粒子(CI77499、YipinからYPC335200として商業的に入手可能)を、本発明の各エステル油及び化粧品成分として一般的に使用されるエステル油に分散させた。1種のエステル油を滴下して粉末粒子の各サンプルを濡らし、次いで、湿潤点及び流動点に達するまでスパチュラを用いて激しく混合した。
【0061】
湿潤点は、軟質コヒーレント塊を生成するための分散剤溶液の最小量として定義され、水平に保持されたスパチュラの垂直ブレードからの均一な塊の流動又は落下を生じるための分散剤溶液のさらなる最小限の添加は、流動点を決定する。
湿潤点(Wp)及び流動点(Fp)に達するのに必要な分散剤溶液(すなわちエステル油)の量を記録し、顔料100gあたりのグラムで表した下記の表で報告する。
【0062】
【表8】
【0063】
本発明のエステル油は、一般に使用される化粧品成分のものに匹敵する分散特性を示した。意外にも、グリセロールトリペラルゴネートは、Wpにかなり近いFpを示し、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリドよりも更に良好な分散特性を示した。この最小差は、最終組成物(約30%未満の溶媒が必要とされる)上で大幅なコスト節約を可能にするので、かなりの利点をもたらす。
このようにして調製した分散液を前腕で試験して、滑らかさ、筆記能力(writing capabilities)、色濃度(consistency)、光沢効果の点での差異を評価した。1(低)から5(高)のスケールを使用した。官能評価試験の結果を以下の表に示す。
【0064】
【表9】
【0065】
グリセロールトリペラルゴネートとペンタエリスリトールテトラペラルゴネートは、一般的に使用されているエステル油よりも高い流動性、膜均一性及び光沢効果を示した。
【0066】
実施例21- UVフィルター分散
異なるエステル油中の固体UVフィルターの分散性を、チタニア(TiO2, Titanio Biosido AnatasioとしてA.C.E.F.から商業的に入手可能)を用いて試験した。種々の割合のフィルター/エステル(1%及び10%TiO2)を70℃で30分間撹拌して調製した。次いで、環境温度(25℃)で0時間(t0)及び24時間(t24)の保存期間後に分散液を観察して、何らかの沈殿物堆積の形成を確認した。各エステルについての結果を以下の表に示す(D =均一分散; S =沈殿物堆積)。
【0067】
【表10】
【0068】
本発明のペラルゴン酸エステルの分散能力は、イソノナン酸イソノニル、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド及び安息香酸C12-15アルキルのような一般的に使用されるエステルのものと同等であった。
グリセロールトリペラルゴネート及びペンタエリスリトールテトラペラルゴネートは、参照溶媒と比較して、チタニアの更により良好な分散を示した。
【0069】
実施例22- UVフィルターの溶解度
異なるエステル油中の化学UVフィルターブチルメトキシジベンゾイルメタン(CAS N°70356-09-1、DSMからPARSOL(登録商標)1789として商業的に入手可能)の溶解度を試験した。
60℃の水浴中のガラス瓶に溶質/溶媒(5重量%、10重量%、20重量%及び30重量%;全量フィルター+溶媒:10g)の種々の比率を調製した。次いで、溶液を20℃で2時間の保存期間後に観察して、何らかの沈殿物堆積の形成を確認した。いったん各フィルター/溶媒対について10~20%の範囲の溶解度範囲が確認されたら、各エステル中の可溶性フィルターの最大濃度を、沈殿物の生成が観察されるまで、10%の溶液に少量のフィルターの添加を繰り返して測定した。各添加は60℃の温度で行われ、その後冷却された。溶液を20℃の一定温度で2時間放置した後、沈殿を確認した(目視による)。
各エステルの結果を以下の表に示す:
【0070】
【表11】
【0071】
実施例23- UVフィルターの溶解度
ペンタエリスリトールテトラペラルゴネート、及びネオペンチルグリコールジペラルゴネート、グリセロールトリペラルゴネート及びペンタエリスリトールテトラペラルゴネートの三元混合物(1:1:1の重量比)中の、化学UVフィルターベンゾフェノン-3(CAS N°131-57-7, 3V SigmaからUVASORB(登録商標)METとして商業的に入手可能)の溶解性を、実施例22に記載のように20℃で測定した。
ペンタエリスリトールテトラペラルゴネート中のベンゾフェノン-3の溶解度値は、20℃で14%w / wであったが、三元混合物中の同じフィルターの対応する溶解度値は19%w / wであった。従って、本発明によるペラルゴン酸エステルの混合物は、個々のエステルの1つと比較してUVフィルターを可溶化する驚くほど高い能力を示した。