(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-05
(45)【発行日】2024-02-14
(54)【発明の名称】漏電検出装置、車両用電源システム
(51)【国際特許分類】
G01R 31/50 20200101AFI20240206BHJP
G01R 31/52 20200101ALI20240206BHJP
G01R 31/56 20200101ALI20240206BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20240206BHJP
【FI】
G01R31/50
G01R31/52
G01R31/56
B60L3/00 S
(21)【出願番号】P 2021501593
(86)(22)【出願日】2019-12-09
(86)【国際出願番号】 JP2019048018
(87)【国際公開番号】W WO2020170556
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2022-10-07
(31)【優先権主張番号】P 2019027441
(32)【優先日】2019-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】中山 正人
(72)【発明者】
【氏名】國光 智徳
(72)【発明者】
【氏名】濱田 泰輔
(72)【発明者】
【氏名】田中 康晴
【審査官】青木 洋平
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-179835(JP,A)
【文献】特開2013-207961(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第02556129(GB,A)
【文献】特開2014-149276(JP,A)
【文献】特開2018-026888(JP,A)
【文献】特開2018-196285(JP,A)
【文献】独国特許発明第00572334(DE,C1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/50
G01R 31/52
G01R 31/56
B60L 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のシャーシアースと絶縁された状態で搭載され、前記車両内の負荷に電力を供給する蓄電部と、前記蓄電部の正極と前記負荷の一端が接続されるプラス配線に挿入される第1スイッチと、前記蓄電部の負極と前記負荷の他端が接続されるマイナス配線に挿入される第2スイッチと、を備える車両に搭載される漏電検出装置であって、
前記蓄電部の電流経路に一端が接続されるカップリングコンデンサと、
前記カップリングコンデンサの他端にインピーダンス素子を介して所定の交流電圧を印加する交流出力部と、
前記カップリングコンデンサと前記インピーダンス素子との間の接続点の電圧を測定する第1電圧測定部と、
前記第1電圧測定部により検出された電圧をもとに漏電の有無を判定する第1判定部と、
前記プラス配線と前記マイナス配線間に直列接続された第1抵抗、第2抵抗、第3抵抗、及び第4抵抗を含み、前記第2抵抗と前記第3抵抗との間の接続点が前記シャーシアースに接続された分圧回路と、
前記第1抵抗と前記第2抵抗との間の接続点の電位、前記第3抵抗と前記第4抵抗との間の接続点の電位、または両者の電位の電位差を検出する第2電圧測定部と、
前記第2電圧測定部により検出された電位または電位差をもとに漏電の有無を判定する第2判定部と、を備え、
前記分圧回路は、前記第1スイッチと前記負荷の一端との間の前記プラス配線と、前記第2スイッチと前記負荷の他端との間の前記マイナス配線との間に接続され
、
前記第2判定部は、前記第1スイッチと前記第2スイッチがオンの状態で、前記第2電圧測定部により検出された電位または電位差をもとに、前記車両内の負荷と前記シャーシアース間の漏電の有無を判定することを特徴とする漏電検出装置。
【請求項2】
前記カップリングコンデンサは、セラミックコンデンサで構成されることを特徴とする請求項1に記載の漏電検出装置。
【請求項3】
前記蓄電部は、直列接続された複数のセルを含み、
前記カップリングコンデンサの一端は、前記直列接続された複数のセルの中点に接続されることを特徴とする請求項2に記載の漏電検出装置。
【請求項4】
前記直列接続された第1抵抗、第2抵抗、第3抵抗、及び第4抵抗に、さらに直列に接続される第5抵抗と、
前記第5抵抗と並列に接続されるバイパススイッチと、
をさらに備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の漏電検出装置。
【請求項5】
前記第1判定部は、前記第1スイッチと前記第2スイッチがオフの状態で、前記第1電圧測定部により検出された電圧をもとに、前記蓄電部内の漏電を有無を判定することを特徴とする請求項1から
4のいずれか1項に記載の漏電検出装置。
【請求項6】
前記第1スイッチは第1リレーで構成され、
前記第2スイッチは第2リレーで構成され、
前記第2判定部は、
前記負荷の停止中であって、前記第1リレーにオフ信号が供給され、前記第2リレーにオン信号が供給されている状態において前記第2電圧測定部により測定される電位または電位差をもとに、前記第1リレーの溶着の有無を判定し、
前記負荷の停止中であって、前記第1リレーにオン信号が供給され、前記第2リレーにオフ信号が供給されている状態において前記第2電圧測定部により測定される電位または電位差をもとに、前記第2リレーの溶着の有無を判定する、
ことを特徴とする請求項1から
5のいずれか1項に記載の漏電検出装置。
【請求項7】
車両のシャーシアースと絶縁された状態で搭載される蓄電部と、
前記蓄電部の正極と前記負荷の一端が接続されるプラス配線に挿入される第1スイッチと、
前記蓄電部の負極と前記負荷の他端が接続されるマイナス配線に挿入される第2スイッチと、
請求項1から
6のいずれか1項に記載の漏電検出装置と、
を備えることを特徴とする車両用電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャーシアースから絶縁された車両内の負荷の漏電を検出する漏電検出装置、車両用電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、電気自動車(EV)が普及してきている。これらの電動車両には、補機電池(一般的に12V出力の鉛電池)と別に高電圧の駆動用電池(トラクションバッテリ)が搭載される。感電を防止するために、高電圧の駆動用電池、インバータ、走行用モータを含む強電回路と、車両のボディ(シャーシアース)間は絶縁される。
【0003】
強電回路の車両側のプラス配線とシャーシアース間、及び強電回路の車両側のマイナス配線とシャーシアース間には、それぞれYコンデンサが挿入され、高電圧の駆動用電池から車両側の負荷に供給される電源が安定化されている。強電回路とシャーシアース間の絶縁抵抗を監視して漏電を検出する漏電検出装置が搭載される。
【0004】
漏電検出方式には大別するとAC方式とDC方式がある。AC方式の漏電検出装置では、駆動用電池の正極端子または負極端子に、抵抗とカップリングコンデンサを介してパルス電圧を印加し、当該抵抗と当該カップリングコンデンサとの接続点の電圧を測定し、漏電の有無を検出する(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
DC方式の漏電検出装置では、強電回路のプラス配線とマイナス配線の間に抵抗分圧回路を接続し、分圧電圧と、駆動用電池の総電圧との比率から漏電の有無を判定する(例えば、特許文献2参照)。一般的な電動車両では、高電圧の駆動用電池と、インバータを含む高電圧の車両負荷の間はコンタクタを介して接続される。上記の抵抗分圧回路は通常、コンタクタより電池側に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2003-250201号公報
【文献】特開2007-327856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
AC方式における上記構成では、駆動用電池の総電圧が変動すると、その変動分がパルスの測定電圧に重畳されるため漏電の有無を正しく判定することが困難になる。車両側の負荷変動の影響を取り除くため、バンドパスフィルタを挿入したり、測定電圧のピークピーク値で判定するなどの対策が考えられるが、回路構成が複雑になる。また、強電回路の車両側の配線とシャーシアース間に接続されたYコンデンサの容量によって、カップリングコンデンサの容量と、印加するパルス電圧の周波数を適切に調整する必要があり、当該Yコンデンサにより設計上の制約を受ける。具体的には、カップリングコンデンサの容量を、Yコンデンサの容量より十分に大きく設計する必要がある。
【0008】
DC方式における上記構成ではコンタクタのオープン時に、駆動用電池から上記抵抗分圧回路に電流が流れないように当該抵抗分圧回路内に、絶縁性能の高いスイッチ(例えば、フォトMOSリレー)を接続する必要があった。絶縁性能の高いスイッチは高価であり、漏電検出装置のコストを上昇させる要因となっていた。
【0009】
AC方式における上記構成、及びDC方式における上記構成のいずれの場合であっても、コンタクタの溶着の有無を判定するには、別に溶着検出回路を設ける必要があった。
【0010】
本発明はこうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、車両に搭載される漏電検出装置において、検出精度を確保しつつ、高価な部品を使用せずにトータルコストを抑制する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の漏電検出装置は、車両のシャーシアースと絶縁された状態で搭載され、前記車両内の負荷に電力を供給する蓄電部と、前記蓄電部の正極と前記負荷の一端が接続されるプラス配線に挿入される第1スイッチと、前記蓄電部の負極と前記負荷の他端が接続されるマイナス配線に挿入される第2スイッチと、を備える車両に搭載される漏電検出装置であって、前記蓄電部の電流経路に一端が接続されるカップリングコンデンサと、前記カップリングコンデンサの他端にインピーダンス素子を介して所定の交流電圧を印加する交流出力部と、前記カップリングコンデンサと前記インピーダンス素子との間の接続点の電圧を測定する第1電圧測定部と、前記第1電圧測定部により検出された電圧をもとに漏電の有無を判定する第1判定部と、前記プラス配線と前記マイナス配線間に直列接続された第1抵抗、第2抵抗、第3抵抗、及び第4抵抗を含み、前記第2抵抗と前記第3抵抗との間の接続点が前記シャーシアースに接続された分圧回路と、前記第1抵抗と前記第2抵抗との間の接続点の電位、前記第3抵抗と前記第4抵抗との間の接続点の電位、または両者の電位の電位差を検出する第2電圧測定部と、前記第2電圧測定部により検出された電位または電位差をもとに漏電の有無を判定する第2判定部と、を備える。前記分圧回路は、前記第1スイッチと前記負荷の一端との間の前記プラス配線と、前記第2スイッチと前記負荷の他端との間の前記マイナス配線との間に接続される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、車両に搭載される漏電検出装置において、検出精度を確保しつつ、高価な部品を使用せずにトータルコストを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】比較例1に係るAC方式の漏電検出装置を備える電源システムの構成を説明するための図である。
【
図2】
図2(a)、(b)は、交流出力部から測定点Aに印加される矩形波パルス波形、及び電圧測定部により測定される測定点Aの電圧波形の一例を示す図である。
【
図3】比較例2に係るDC方式の漏電検出装置を備える電源システムの構成を説明するための図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る漏電検出装置を備える電源システムの構成を説明するための図である。
【
図5】本発明の変形例に係る漏電検出装置を備える電源システムの構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、比較例1に係るAC方式の漏電検出装置10を備える電源システム5の構成を説明するための図である。電源システム5は電動車両に搭載される。電源システム5は電動車両内において、補機電池(通常、12V出力の鉛電池が使用される)と別に設けられる。電源システム5は、高電圧の蓄電部20、及び漏電検出装置10を含む。蓄電部20は、直列接続された複数のセルE1-Enを含む。セルには、リチウムイオン電池セル、ニッケル水素電池セル、鉛電池セル、電気二重層キャパシタセル、リチウムイオンキャパシタセル等を用いることができる。以下、本明細書ではリチウムイオン電池セル(公称電圧:3.6-3.7V)を使用する例を想定する。
【0015】
電動車両は高電圧の負荷として、インバータ2及びモータ3を備える。蓄電部20の正極とインバータ2の一端がプラス配線Lpで接続され、蓄電部20の負極とインバータ2の他端がマイナス配線Lmで接続される。プラス配線Lpに正側メインリレーMRpが挿入され、マイナス配線Lmに負側メインリレーMRmが挿入される。正側メインリレーMRpと負側メインリレーMRmは、蓄電部20と電動車両内の高電圧の負荷との間の導通/遮断を制御するコンタクタとして機能する。なおリレーの代わりに、高耐圧・高絶縁の半導体スイッチを使用することも可能である。
【0016】
インバータ2は、蓄電部20とモータ3の間に接続される双方向インバータである。インバータ2は力行時、蓄電部20から供給される直流電力を交流電力に変換してモータ3に供給する。回生時、モータ3から供給される交流電力を直流電力に変換して蓄電部20に供給する。モータ3には例えば、三相交流モータが使用される。モータ3は力行時、インバータ2から供給される交流電力に応じて回転する。回生時、減速による回転エネルギーを交流電力に変換してインバータ2に供給する。
【0017】
蓄電部20は、電動車両のシャーシアースと絶縁された状態で電動車両に搭載される。補機電池は、負極がシャーシアースと導通した状態で電動車両に搭載される。なお、正側メインリレーMRpよりインバータ2側のプラス配線Lpとシャーシアース間が正側YコンデンサCpを介して接続される。また、負側メインリレーMRmよりインバータ2側のマイナス配線Lmとシャーシアース間が負側YコンデンサCmを介して接続される。正側YコンデンサCp及び負側YコンデンサCmは、プラス配線Lpとシャーシアース間、及びマイナス配線Lmとシャーシアース間をそれぞれ直流的に絶縁するとともに、プラス配線Lp及びマイナス配線Lmの電圧を安定化させる作用を有する。
【0018】
蓄電部20がシャーシアースから理想的に絶縁されている場合、蓄電部20の中間電圧がシャーシアースの電圧近辺に維持される。例えば、蓄電部20の両端電圧が400Vの場合、蓄電部20の正極電位が+200V近辺、負極電位が-200V近辺に維持される。高電圧の蓄電部20とシャーシアース間が導通した状態で、人間が電動車両の露出した導電部に触れると感電する危険がある。そこで高電圧の蓄電部20を搭載した電動車両では、漏電検出装置10を搭載して、インバータ2を含む高電圧の車両負荷とシャーシアース間の絶縁状態を監視する必要がある。
図1では、プラス配線Lpとシャーシアース間の絶縁状態を正側漏電抵抗Rlp、マイナス配線Lmとシャーシアース間の絶縁状態を負側漏電抵抗Rlmと表している。
【0019】
漏電検出装置10は主な構成として、カップリングコンデンサCc、抵抗Ra及び制御部13を含む。制御部13は、交流出力部13a、電圧測定部13b及び漏電判定部13cを含む。制御部13は例えば、マイクロコンピュータ及び不揮発メモリ(例えば、EEPROM、フラッシュメモリ)により構成することができる。
【0020】
カップリングコンデンサCcは、蓄電部20の電流経路に一端が接続される。
図1に示す例では蓄電部20の負極にカップリングコンデンサCcの一端が接続されている。なお、カップリングコンデンサCcの一端は、蓄電部20の正極に接続されてもよいし、蓄電部20内の複数のセルE1-Enのいずれかのノードに接続されてもよい。カップリングコンデンサCcの他端は、抵抗Raを介して制御部13の交流出力端子に接続される。なお、抵抗Raの代わりに他のインピーダンス素子を使用してもよい。カップリングコンデンサCcと抵抗Raとの間の接続点(測定点A)は、制御部13の測定電圧入力端子に接続される。
【0021】
抵抗Raと制御部13の交流出力端子との間の接続点と、シャーシアース間に第1ツェナーダイオードZD1が接続される。測定点Aとシャーシアース間に第2ツェナーダイオードZD2が接続される。第1ツェナーダイオードZD1及び第2ツェナーダイオードZD2は、メインリレーMRp、MRmの開閉や電源システム5の負荷変動に起因して、制御部13に過電圧が印加されることを防止する。また、サージ電流や静電気から制御部13を保護する。
【0022】
カップリングコンデンサCcには、比較的安価に大容量化することができるアルミ電解コンデンサが使用されることが多い。カップリングコンデンサCcは、複数のコンデンサ(例えば、アルミ電解コンデンサ)が直列に接続されて構成されていてもよい。この場合、1つのコンデンサがショート故障しても、残りのコンデンサにより絶縁を維持することができる。
【0023】
交流出力部13aは、抵抗Raを介してカップリングコンデンサCcの他端に所定の交流電圧を印加する。交流出力部13aは局部発振器を含み、局部発振器により生成される矩形波パルスを、予め設定された周波数およびデューティ比の矩形波パルス信号に整形して出力する。電圧測定部13bは測定点Aの電圧を測定する。なお制御部13内にA/Dコンバータが内蔵されていない場合、測定点Aと電圧測定部13bの間にA/Dコンバータ(不図示)が設けられ、当該A/Dコンバータは測定点Aのアナログ電圧をデジタル値に変換して電圧測定部13bに出力する。
【0024】
漏電判定部13cは、電圧測定部13bにより測定された測定点Aの電圧と設定値を比較して漏電の有無を判定する。漏電判定部13cは、印加された矩形波パルス信号の鈍りの程度をもとに漏電の有無を判定する。
【0025】
図2(a)、(b)は、交流出力部13aから測定点Aに印加される矩形波パルス波形、及び電圧測定部13bにより測定される測定点Aの電圧波形の一例を示す図である。漏電判定部13cは、印加された矩形波パルス波形の立ち上がりエッジの直前のタイミングでサンプリングした測定点Aの電圧と、印加された矩形波パルス波形の立ち下がりエッジの直前のタイミングでサンプリングした測定点Aの電圧との差分電圧Vp-pを算出する。漏電判定部13cは、算出した差分電圧Vp-pが設定値より低い場合、漏電が発生していると判定する。漏電が発生している場合、印加された矩形波パルス波形の鈍りが大きくなる。算出した差分電圧Vp-pが低くなることは、矩形波パルス波形の鈍りが大きくなることを意味する。上記設定値は、設計者による実験やシミュレーションにより予め導出された漏電発生時の矩形波パルス波形の鈍りをもとに決定される。
【0026】
図1に示す例は、蓄電部20内の第1セルE1と第2セルE2の間のノードとシャーシアース間に漏電が発生している状態を示している。この場合も、印加された矩形波パルス波形の鈍りが大きくなる。
【0027】
溶着検出部30は、正側メインリレーMRpとインバータ2の一端との間のプラス配線Lpの電位と、負側メインリレーMRmとインバータ2の他端との間のマイナス配線Lmの電位との電位差を検出し、制御部13に出力する。制御部13は、溶着検出部30から入力される電位差をもとに、正側メインリレーMRp又は負側メインリレーMRmの溶着を検出する。
【0028】
インバータ2が停止しており、かつ正側メインリレーMRpにオフ信号(オープン信号)が供給されている状態で、溶着検出部30により有意な電位差が検出された場合、制御部13は正側メインリレーMRpが溶着していると判定する。インバータ2が停止しており、かつ負極メインリレーMRmにオフ信号(オープン信号)が供給されている状態で、溶着検出部30により有意な電位差が検出された場合、制御部13は負側メインリレーMRmが溶着していると判定する。
【0029】
図3は、比較例2に係るDC方式の漏電検出装置10を備える電源システム5の構成を説明するための図である。比較例2に係る漏電検出装置10は、分圧回路11、電圧測定部12及び制御部13を含む。分圧回路11は、プラス配線Lpとマイナス配線Lm間に直列接続された正側分圧スイッチSWp、第1抵抗R1、第2抵抗R2、第3抵抗R3、第4抵抗R4、及び負側分圧スイッチSWmを含む。第2抵抗R2と第3抵抗R3との間の接続点はシャーシアースに接続される。比較例2では分圧回路11は、正側メインリレーMRpと蓄電部20の正極との間のプラス配線Lpと、負側メインリレーMRmと蓄電部20の負極との間のマイナス配線Lmとの間に接続される。
【0030】
電圧測定部12は、第1抵抗R1と第2抵抗R2との間の接続点(以下、第1接続点という)の電位と、第3抵抗R3と第4抵抗R4との間の接続点(以下、第2接続点という)の電位間の電圧Vobを測定する。
図3に示す例では電圧測定部12は、差動アンプで構成されている。当該差動アンプは、第1接続点と第2接続点間の電圧Vobを制御部13に出力する。
【0031】
制御部13は、電圧測定部12により測定された電圧Vobをもとに漏電の有無を判定する。以下、インバータ2を含む高電圧の車両負荷とシャーシアース間の漏電の有無を判定する方法を説明する。まず制御部13は、正側メインリレーMRp及び負側メインリレーMRmをオン状態(クローズ状態)に制御する。なお正側メインリレーMRp及び負側メインリレーMRmが車両側のECU(Electronic Control Unit)で制御されている場合、制御部13は車載ネットワーク(例えば、CAN(Controller Area Network))を介して、当該ECUに正側メインリレーMRp及び負側メインリレーMRmのオンを指示する。当該ECUが当該指示を受け付けると、正側メインリレーMRp及び負側メインリレーMRmをオンする。なお、当該ECUにより正側メインリレーMRp及び負側メインリレーMRmが既にオン状態に制御されている場合、制御部13がオンを指示する必要はない。制御部13は、正側メインリレーMRp及び負側メインリレーMRmがオン状態にある場合において、正側分圧スイッチSWp及び負側メインリレーMRmをオン状態に制御する。
【0032】
なお以下の説明では、第1抵抗R1、第2抵抗R2、第3抵抗R3、及び第4抵抗R4の抵抗値が等しいことを前提とする。
【0033】
制御部13は、下記(式1)に示すように、電圧測定部12により測定された電圧Vobと、第1抵抗R1と第2抵抗R2と第3抵抗R3と第4抵抗R4の合成抵抗値と第2抵抗R2と第3抵抗R3の合成抵抗値との比率をもとに蓄電部20の総電圧Vbatを推定する。
Vbat=(R1+R2+R3+R4)/(R2+R3)・Vob ・・・(式1)
【0034】
制御部13は、蓄電部20の総電圧Vbatと、測定された電圧Vobとの比率r(=Vob/Vbat)を算出する。インバータ2を含む高電圧の車両負荷とシャーシアース間が理想的に絶縁されている状態(漏電電流が流れていない状態)では比率rは0.5になる。第1抵抗R1、第2抵抗R2、第3抵抗R3、及び第4抵抗R4の抵抗値が等しいため、4つの抵抗により蓄電部20の総電圧Vbatがそれぞれ1/4に分圧される。従って、比率rは0.5(=2/4)になる。制御部13は、算出した比率rが、0.5より所定値以上乖離している場合、インバータ2を含む高電圧の車両負荷とシャーシアース間に漏電が発生していると判定する。
【0035】
制御部13は、蓄電部20内の複数のセルE1-Enの任意のノードとシャーシアース間の漏電の有無を以下のように検出することができる。制御部13は、正側メインリレーMRp及び負側メインリレーMRmの両方がオフ(オープン)の状態において、正側分圧スイッチSWpがオフで負側分圧スイッチSWmがオンの状態、又は正側分圧スイッチSWpがオンで負側分圧スイッチSWmがオフの状態を生成する。制御部13はこの状態において、電圧測定部12により測定された電圧Vobをもとに蓄電部20内の漏電の有無を判定する。制御部13は測定された電圧Vobが0V以外の有意な値を示した場合、蓄電部20内で漏電が発生していると判定する。測定された電圧Vobが実質的に0Vの場合、制御部13は蓄電部20内に漏電が発生していないと判定する。
【0036】
溶着検出部30は、正側メインリレーMRpとインバータ2の一端との間のプラス配線Lpの電位と、負側メインリレーMRmとインバータ2の他端との間のマイナス配線Lmの電位との電位差を検出し、制御部13に出力する。制御部13は、溶着検出部30から入力される電位差をもとに、正側メインリレーMRp又は負側メインリレーMRmの溶着を検出する。検出方法は、上述したAC方式の場合と同様である。
【0037】
図1に示したAC方式の漏電検出装置10と、
図3に示したDC方式の漏電検出装置10を比較すると以下の違いがある。まずAC方式では、蓄電部20の総電圧Vbatが変動した場合、測定点Aのパルス波形にも、その変動分が重畳されるため、漏電の有無を正しく判定することが困難になる。車両側の負荷変動の影響を取り除くため、バンドパスフィルタを挿入したり、測定電圧のピークピーク値で判定するなどの対策が考えられるが、回路構成が複雑になる。DC方式では、蓄電部20の総電圧Vbatと、総電圧Vbatを分圧した電圧Vobの比率をもとに漏電の有無を判定するため、蓄電部20の総電圧Vbatが変動しても基本的に漏電の有無を正確に判定できる。なお、同期ずれによる誤差が生じる場合があるが、AC方式より小さな誤差である。
【0038】
次にAC方式では、正側YコンデンサCp及び負側YコンデンサCmの容量によって、カップリングコンデンサCcの容量と、印加するパルス電圧の周波数を適切に調整する必要がある。即ち、漏電検出装置10の設計が車両側の正側YコンデンサCp及び負側YコンデンサCmにより制約を受ける。具体的には、パルス電圧の周波数を、正側YコンデンサCp及び負側YコンデンサCmの容量に応じた適切な範囲の周波数に設定し、カップリングコンデンサCcの容量を、当該周波数のパルス電圧が通過できる範囲の容量に設定する必要がある。この場合、カップリングコンデンサCcの容量を、正側YコンデンサCp及び負側YコンデンサCmの容量より十分に大きく設計する必要がある。
【0039】
DC方式では、正側YコンデンサCp及び負側YコンデンサCmの容量の影響を排除するために、測定される電圧が安定するまでの待機時間を設定する必要がある。しかしながら、車両側の正側YコンデンサCp及び負側YコンデンサCmの容量に応じてハードウェア部品の変更をする必要はないため、AC方式と比較して漏電検出装置10の設計に与える影響は少ない。
【0040】
次にAC方式では、カップリングコンデンサCcにより蓄電部20と漏電検出装置10間が直流的に絶縁されるため、両者の間を高絶縁状態に維持することができ、蓄電部20から漏電検出装置10に電流が流入することはない。DC方式では、正側メインリレーMRp及び負側メインリレーMRmのオフ(オープン)時に、蓄電部20から分圧回路11に電流が流れないように、正側分圧スイッチSWp及び負側分圧スイッチSWmに、絶縁性能の高いスイッチ(例えば、フォトMOSリレー)を使用する必要がある。絶縁性能の高いスイッチは高価であり、DC方式の漏電検出装置10のコストを上昇させる要因となっている。
【0041】
次にAC方式では、蓄電部20の総電圧Vbatを、蓄電部20の総電圧Vbatを測定する独立した総電圧測定部を設けずに測定することはできない。DC方式では、正側分圧スイッチSWp及び負側分圧スイッチSWmをオン状態に制御することにより、独立した総電圧測定部を設けずに、蓄電部20の総電圧Vbatを推定することができる(上記(式1)参照)。
【0042】
図4は、本発明の実施の形態に係る漏電検出装置10を備える電源システム5の構成を説明するための図である。実施の形態に係る漏電検出装置10は、AC方式とDC方式を併用した漏電検出装置10である。以下、
図1に示した比較例1に係るAC方式の漏電検出装置10と、
図3に示した比較例2に係るDC方式の漏電検出装置10との相違点を説明する。
【0043】
まず
図3に示したDC方式の漏電検出装置10との相違点を説明する。実施の形態では、分圧回路11が、正側メインリレーMRpとインバータ2の一端との間のプラス配線Lmと、負側メインリレーMRmとインバータ2の他端との間のマイナス配線Lm間に接続される。また実施の形態では、分圧回路11から正側分圧スイッチSWp及び負側分圧スイッチSWmが取り除かれる。また実施の形態では溶着検出部30が取り除かれる。
【0044】
次に
図1に示したAC方式の漏電検出装置10との相違点を説明する。実施の形態では、カップリングコンデンサCcに小容量のコンデンサを使用している。例えば、電解コンデンサの代わりにセラミックコンデンサを使用する。セラミックコンデンサは極性を持たないため、蓄電部20の漏電箇所によりカップリングコンデンサCcの極性が反転することを考慮する必要がない。一方、電解コンデンサは極性を持つため、蓄電部20の漏電箇所によりカップリングコンデンサCcの極性が反転することを考慮する必要がある。電解コンデンサの場合、極性が反転すると容量を維持できなくなる。
図1に示した例において、蓄電部20の正極、又は複数のセルE1-Enのノードの内、高電圧のノードに接続すると、蓄電部20の漏電箇所が、カップリングコンデンサCcの接続箇所より負極側となる場合、カップリングコンデンサCcの極性が反転する可能性が高くなる。
【0045】
これに対してセラミックコンデンサの場合、極性の反転を考慮することなく、複数のセルE1-E8の複数のノードのいずれにも接続することができる。例えば、複数のセルE1-E8の中間のノードに接続することもできる。
図4では説明を分かりやすくするために、蓄電部20が直列接続された8個のセルE1-E8を含み、カップリングコンデンサCcの一端が、第4セルE4と第5セルE5の間のノードに接続される例を示している。直列接続された複数のセルE1-E8の中点に接続すると、蓄電部20の正極または負極に接続した場合と比較して、カップリングコンデンサCcの耐圧を半分にすることができる。この場合、カップリングコンデンサCcの耐圧を最も低くすることができる。なお、中点に近いノードに接続するほど、耐圧を低く設定することができる。
【0046】
実施の形態に係る漏電検出装置10では、インバータ2を含む高電圧の車両負荷とシャーシアース間の漏電の有無はDC方式で判定する。蓄電部20内の漏電の有無はAC方式で判定する。正側メインリレーMRpと負側メインリレーMRmの溶着の有無はDC方式で判定する。
【0047】
正側メインリレーMRp及び負側メインリレーMRmがオン状態のとき、制御部13の第2漏電判定部13dは、上記(式1)に示したように、電圧測定部12により測定された電圧Vobと、第1抵抗R1と第2抵抗R2と第3抵抗R3と第4抵抗R4の合成抵抗値と第2抵抗R2と第3抵抗R3の合成抵抗値との比率をもとに蓄電部20の総電圧Vbatを推定する。
【0048】
第2漏電判定部13dは、蓄電部20の総電圧Vbatと、測定された電圧Vobとの比率r(=Vob/Vbat)を算出する。第2漏電判定部13dは、算出した比率rが、0.5に対して所定値以上乖離している場合、インバータ2を含む高電圧の車両負荷とシャーシアース間に漏電が発生していると判定する。第2漏電判定部13dは、算出した比率rが、0.5に対して所定値以上乖離していない場合、インバータ2を含む高電圧の車両負荷とシャーシアース間に漏電が発生していないと判定する。
【0049】
正側メインリレーMRp及び負側メインリレーMRmがオン状態のとき、AC方式の漏電検出機能は停止する。具体的には制御部13の交流出力部13a、電圧測定部13b及び第1漏電判定部13cは動作を停止する。
【0050】
正側メインリレーMRp及び負側メインリレーMRmがオフ状態のとき、第1漏電判定部13cは、電圧測定部13bにより測定された測定点Aの電圧をもとに、蓄電部20内の漏電の有無を判定する。
【0051】
第2漏電判定部13dは、電動車両が停止している(インバータ2が停止している)ときに、正側メインリレーMRpにオフ信号(オープン信号)、負側メインリレーMRmにオン信号(クローズ信号)を供給する。第2漏電判定部13dは、この状態において測定された電圧Vobをもとに正側メインリレーMRpの溶着の有無を判定する。第2漏電判定部13dは、測定された電圧Vobが0V以外の有意な値を示した場合、正側メインリレーMRpが溶着していると判定する。測定された電圧Vobが実質的に0Vの場合、正側メインリレーMRpが溶着していないと判定する。
【0052】
第2漏電判定部13dは、電動車両が停止している(インバータ2が停止している)ときに、正側メインリレーMRpにオン信号、負側メインリレーMRmにオフ信号を供給する。制御部13は、この状態において測定された電圧Vobをもとに負側メインリレーMRmの溶着の有無を判定する。第2漏電判定部13dは、測定された電圧Vobが0V以外の有意な値を示した場合、負側メインリレーMRmが溶着していると判定する。測定された電圧Vobが実質的に0Vの場合、負側メインリレーMRmが溶着していないと判定する。
【0053】
以上説明したように本実施の形態によれば、漏電検出装置10において、検出精度を確保しつつ、高価な部品を使用せずにトータルコストを抑えることができる。具体的には、正側メインリレーMRp及び負側メインリレーMRmがオン状態のときDC方式で漏電を検出する。DC方式は、電動車両の負荷変動の影響を受けにくく、負荷変動の影響を受けやすいAC方式と比較して、高精度に漏電を検出することができる。
【0054】
正側メインリレーMRp及び負側メインリレーMRmがオフ状態のときに限って、AC方式で蓄電部20内の漏電を検出する。これにより、車両側の正側YコンデンサCp及び負側YコンデンサCmの影響を受けずに、カップリングコンデンサCcの容量を決定することができる。従って、カップリングコンデンサCcを小容量化することができる。その場合、比較的安価なセラミックコンデンサを採用することもできる。セラミックコンデンサは極性を持たないため、極性の反転を考慮する必要がなく、検出精度を維持しつつ、直列接続された複数のセルE1-E8の中点に接続することもできる。
【0055】
図3に示した比較例2に係るDC方式の漏電検出装置10の構成では、正側メインリレーMRp及び負側メインリレーMRmがオフ状態のとき、蓄電部20から分圧回路11に電流が流れないように、正側分圧スイッチSWp及び負側分圧スイッチSWmに、高価な絶縁性能の高いスイッチ(例えば、フォトMOSリレー)を使用していた。
【0056】
これに対して実施の形態に係る漏電検出装置10では、分圧回路11及び電圧測定部12が正側メインリレーMRp及び負側メインリレーMRmよりインバータ2側に設けられている。従って、正側分圧スイッチSWp及び負側分圧スイッチSWmを設けなくても、正側メインリレーMRp及び負側メインリレーMRmがオフ状態のときに蓄電部20から分圧回路11に電流が流れることを阻止することができる。このように実施の形態では、高価な絶縁性能の高いスイッチを省略することで、コストを大きく削減することができる。
【0057】
また
図3に示した比較例2に係るDC方式の漏電検出装置10では溶着検出部30が設けられているが、実施の形態に係る漏電検出装置10では溶着検出部30が取り除かれている。比較例2に係るDC方式の漏電検出装置10では、分圧回路11及び電圧測定部12が正側メインリレーMRp及び負側メインリレーMRmより蓄電部20側に設けられている。従って、正側メインリレーMRp及び負側メインリレーMRmのオン/オフ制御により、正側メインリレーMRp及び負側メインリレーMRmの溶着の有無を検出することができない。
【0058】
これに対して実施の形態に係る漏電検出装置10では、分圧回路11及び電圧測定部12が正側メインリレーMRp及び負側メインリレーMRmよりインバータ2側に設けられている。従って、正側メインリレーMRp及び負側メインリレーMRmのオン/オフ制御により、正側メインリレーMRp及び負側メインリレーMRmの溶着の有無を検出することができる。このように実施の形態によれば、溶着検出部30を省略することができ、コストを削減することができる。
【0059】
このように実施の形態によれば、正側分圧スイッチSWp、負側分圧スイッチSWm、及び溶着検出部30を省略でき、カップリングコンデンサCcを小容量化することができる。高価な部品を使用しないため、トータルコストを抑えることができる。
【0060】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0061】
図5は、本発明の変形例に係る漏電検出装置10を備える電源システム5の構成を説明するための図である。変形例に係る漏電検出装置10は、
図4に示した漏電検出装置10の分圧回路11に、第5抵抗R5及びバイパススイッチSW1が追加された構成である。第5抵抗R5は、プラス配線Lpとマイナス配線Lm間に直列接続された第1抵抗R1、第2抵抗R2、第3抵抗R3、及び第4抵抗R4に、さらに直列に接続される。バイパススイッチSW1は、第5抵抗R5と並列に接続される。バイパススイッチSW1がオン状態で第5抵抗R5が無効になり、バイパススイッチSW1がオフ状態で第5抵抗R5が有効となる。
【0062】
図4に示した漏電検出装置10では、正側漏電抵抗Rlpと負側漏電抵抗Rlmが実質的に等しい態様で、プラス配線Lpとシャーシアース間、及びマイナス配線Lmとシャーシアース間の両方が漏電した場合、上記比率r(=Vob/Vbat)は0.5近傍の値になる。正側漏電抵抗Rlpを含む正側の合成抵抗値と、負側漏電抵抗Rlmを含む負側の合成抵抗値が釣り合ってしまうためである。
【0063】
これに対して変形例では、バイパススイッチSW1をオン状態にすることにより、正側の合成抵抗値と負側の合成抵抗値を意図的にアンバランスにすることができる。これにより、正側漏電抵抗Rlpと負側漏電抵抗Rlmが実質的に等しい態様で、プラス配線Lpとシャーシアース間、及びマイナス配線Lmとシャーシアース間の両方が漏電した場合でも、漏電を検出することができる。
【0064】
なお、正側メインリレーMRp及び負側メインリレーMRmがオフの状態では、蓄電部20から分圧回路11に電流が流れないため、バイパススイッチSW1に高価な絶縁性能の高いスイッチを使用する必要はない。例えば、安価なMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)を使用してもよい。
【0065】
図5では、第5抵抗R5とバイパススイッチSW1の並列回路を、第1抵抗R1の上側に挿入しているが、第1抵抗R1、第2抵抗R2、第3抵抗R3、第4抵抗R4の直列回路のどの位置に挿入してもよい。
【0066】
なお第5抵抗R5とバイパススイッチSW1の並列回路を追加せずに、第1抵抗R1、第2抵抗R2、第3抵抗R3、及び第4抵抗R4の抵抗値を異なる値に設定し、正側の合成抵抗値と負側の合成抵抗値をアンバランスにしてもよい。いずれの例においても、漏電していない状態の比率r(=Vob/Vbat)は0.5以外の値になる。
【0067】
上述の実施の形態では、電圧測定部12は、第1抵抗R1と第2抵抗R2との間の接続点(以下、第1接続点という)の電位と、第3抵抗R3と第4抵抗R4との間の接続点(以下、第2接続点という)の電位間の電圧Vobを測定した。この点、電圧測定部12は、シャーシアースに対する第1接続点の電位Vopと、シャーシアースに対する第2接続点の電位Vomを別々に測定してもよい。
【0068】
第2漏電判定部13dは、下記(式2)に示すように、第1接続点の電位Vopと、第1抵抗R1と第2抵抗R2の合成抵抗値と第2抵抗R2の値との比率をもとに、プラス配線Lpの電位Vbpを推定する。
Vbp=(R1+R2)/R2・Vop ・・・(式2)
【0069】
第2漏電判定部13dは、蓄電部20の総電圧Vbatとプラス配線Lpの電位Vbpとの比率r(=Vbp/Vbat)を算出する。第2漏電判定部13dは、算出した比率rが0.5に対して所定値以上大きい場合、マイナス配線Lmとシャーシアース間に漏電が発生していると判定する。算出した比率rが0.5に対して所定値以上小さい場合、プラス配線Lpとシャーシアース間に漏電が発生していると判定する。なお、蓄電部20の総電圧Vbatとマイナス配線Lmの電位Vbmとの比率r(=Vbm/Vbat)を使用する場合、この関係が逆になる。このように、正側の比率r(=Vbp/Vbat)又は負側の比率r(=Vbm/Vbat)を使用する場合、プラス配線Lpとシャーシアース間、及びマイナス配線Lmとシャーシアース間のいずれに漏電が発生したかも特定することができる。
【0070】
上述の実施の形態ではAC方式において、交流出力部13aから抵抗Raを介してカップリングコンデンサCcに矩形波パルス信号を印加する例を説明した。この点、正弦波信号をカップリングコンデンサCcに印加してもよい。第1漏電判定部13cは、測定点Aにおいて測定される、印加された正弦波信号の鈍りの程度をもとに漏電の有無を判定する。
【0071】
なお、実施の形態は、以下の項目によって特定されてもよい。
【0072】
[項目1]
車両のシャーシアースと絶縁された状態で搭載され、前記車両内の負荷(2)に電力を供給する蓄電部(20)と、前記蓄電部(20)の正極と前記負荷(2)の一端が接続されるプラス配線(Lp)に挿入される第1スイッチ(MRp)と、前記蓄電部(20)の負極と前記負荷(2)の他端が接続されるマイナス配線(Lm)に挿入される第2スイッチ(MRm)と、を備える車両に搭載される漏電検出装置(10)であって、
前記蓄電部(20)の電流経路に一端が接続されるカップリングコンデンサ(Cc)と、
前記カップリングコンデンサ(Cc)の他端にインピーダンス素子(Ra)を介して所定の交流電圧を印加する交流出力部(13a)と、
前記カップリングコンデンサ(Cc)と前記インピーダンス素子(Ra)との間の接続点の電圧を測定する第1電圧測定部(13b)と、
前記第1電圧測定部(13b)により検出された電圧をもとに漏電の有無を判定する第1判定部(13c)と、
前記プラス配線(Lp)と前記マイナス配線(Lm)間に直列接続された第1抵抗(R1)、第2抵抗(R2)、第3抵抗(R3)、及び第4抵抗(R4)を含み、前記第2抵抗(R2)と前記第3抵抗(R3)との間の接続点が前記シャーシアースに接続された分圧回路(11)と、
前記第1抵抗(R1)と前記第2抵抗(R2)との間の接続点の電位、前記第3抵抗(R3)と前記第4抵抗(R4)との間の接続点の電位、または両者の電位の電位差を検出する第2電圧測定部(12)と、
前記第2電圧測定部(12)により検出された電位または電位差をもとに漏電の有無を判定する第2判定部(13d)と、を備え、
前記分圧回路(11)は、前記第1スイッチ(MRp)と前記負荷(2)の一端との間の前記プラス配線(Lp)と、前記第2スイッチ(MRm)と前記負荷(2)の他端との間の前記マイナス配線(Lm)との間に接続されることを特徴とする漏電検出装置(10)。
これによれば、検出精度を確保しつつ、高価な部品を使用せずにトータルコストを抑えることができる。
[項目2]
前記カップリングコンデンサ(Cc)は、セラミックコンデンサで構成されることを特徴とする項目1に記載の漏電検出装置(10)。
これによれば、カップリングコンデンサ(Cc)のコストを削減することができる。
[項目3]
前記蓄電部(20)は、直列接続された複数のセル(E1-En)を含み、
前記カップリングコンデンサ(Cc)の一端は、前記直列接続された複数のセル(E1-En)の中点に接続されることを特徴とする項目2に記載の漏電検出装置(10)。
これによれば、カップリングコンデンサ(Cc)に耐圧が低いものを使用することができ、カップリングコンデンサ(Cc)のコストを削減することができる。
[項目4]
前記直列接続された第1抵抗(R1)、第2抵抗(R2)、第3抵抗(R3)、及び第4抵抗(R4)に、さらに直列に接続される第5抵抗(R5)と、
前記第5抵抗(R5)と並列に接続されるバイパススイッチ(SW1)と、
をさらに備えることを特徴とする項目1から3のいずれか1項に記載の漏電検出装置(10)。
これによれば、正側の合成抵抗値と負側の合成抵抗値をアンバランスにすることができ、プラス側とマイナス側で同時に漏電している場合でも、漏電を検出することができる。
[項目5]
前記第2判定部(13d)は、前記第1スイッチ(MRp)と前記第2スイッチ(MRm)がオンの状態で、前記第2電圧測定部(12)により検出された電位または電位差をもとに、前記車両内の負荷(2)と前記シャーシアース間の漏電の有無を判定することを特徴とする項目1から4のいずれか1項に記載の漏電検出装置(10)。
これによれば、負荷(2)の変動の影響を受けにくい状態で、負荷(2)とシャーシアース間の漏電の有無を判定することができる。
[項目6]
前記第1判定部(13c)は、前記第1スイッチ(MRp)と前記第2スイッチ(MRm)がオフの状態で、前記第1電圧測定部(13b)により検出された電圧をもとに、前記蓄電部(20)内の漏電を有無を判定することを特徴とする項目1から5のいずれか1項に記載の漏電検出装置(10)。
これによれば、車両側のYコンデンサの影響を受けずに、蓄電部(20)内の漏電の有無を判定することができる。
[項目7]
前記第1スイッチ(MRp)は第1リレーで構成され、
前記第2スイッチ(MRm)は第2リレーで構成され、
前記第2判定部(13d)は、
前記負荷(2)の停止中であって、前記第1リレーにオフ信号が供給され、前記第2リレーにオン信号が供給されている状態において前記第2電圧測定部(12)により測定される電位または電位差をもとに、前記第1リレーの溶着の有無を判定し、
前記負荷(2)の停止中であって、前記第1リレーにオン信号が供給され、前記第2リレーにオフ信号が供給されている状態において前記第2電圧測定部(12)により測定される電位または電位差をもとに、前記第2リレーの溶着の有無を判定する、
ことを特徴とする項目1から6のいずれか1項に記載の漏電検出装置(10)。
これによれば、別途に溶着検出部を設けずに、第1リレーと第2リレーの溶着を検出することができる。
[項目8]
車両のシャーシアースと絶縁された状態で搭載される蓄電部(20)と、
前記蓄電部(20)の正極と前記負荷(2)の一端が接続されるプラス配線(Lp)に挿入される第1スイッチ(MRp)と、
前記蓄電部(20)の負極と前記負荷(2)の他端が接続されるマイナス配線(Lm)に挿入される第2スイッチ(MRm)と、
項目1から7のいずれか1項に記載の漏電検出装置(10)と、
を備えることを特徴とする車両用電源システム(5)。
これによれば、検出精度を確保しつつ、高価な部品を使用せずにトータルコストを抑えた漏電検出装置(10)を備える車両用電源システム(5)を実現することができる。
【符号の説明】
【0073】
2 インバータ、 3 モータ、 5 電源システム、 10 漏電検出装置、 11 分圧回路、 12 電圧測定部、 12a 正側差動アンプ、 12b 負側差動アンプ、 13 制御部、 13a 交流出力部、 13b 電圧測定部、 13c 第1漏電判定部、 13d 第2漏電判定部、 20 蓄電部、 30 溶着検出部、 E1-En セル、 Cc カップリングコンデンサ、 Ra 抵抗、 ZD1,ZD2 ツェナーダイオード、 R1-R5 抵抗、 SWp 正側分圧スイッチ、 SWm 負側分圧スイッチ、 MRp 正側メインリレー、 MRm 負側メインリレー、 Lp プラス配線、 Lm マイナス配線、 Cp 正側Yコンデンサ、 Cm 負側Yコンデンサ、 Rlp 正側漏電抵抗、 Rlm 負側漏電抵抗、 RLb 蓄電部内の漏電抵抗、 SW1 バイパススイッチ。