(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-05
(45)【発行日】2024-02-14
(54)【発明の名称】傾斜車両
(51)【国際特許分類】
B62K 5/10 20130101AFI20240206BHJP
B62K 5/027 20130101ALI20240206BHJP
【FI】
B62K5/10
B62K5/027
(21)【出願番号】P 2021531876
(86)(22)【出願日】2019-11-26
(86)【国際出願番号】 NL2019050784
(87)【国際公開番号】W WO2020117046
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2022-11-24
(32)【優先日】2018-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】521241579
【氏名又は名称】カーバー ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ラルフ ヴァン・デン・ブリンク
【審査官】宇佐美 琴
(56)【参考文献】
【文献】特表平10-501778(JP,A)
【文献】特表2001-505157(JP,A)
【文献】特開2017-035964(JP,A)
【文献】特開2016-165942(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0181420(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62K 5/00- 5/10
B60L 1/00- 3/12,
7/00-13/00,
15/00-58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜車両(100)であって、
2つの駆動輪(55,56)を有する後フレーム部(50)と、
長さ方向に延びる傾斜軸(TA)を中心に傾斜可能に前記後フレーム部(50)に連結された、少なくとも1つの前輪(15)を有する前フレーム部(10)と、
を備え、
前記前フレーム部(10)は、運転席(12)を搭載し、
前記後フレーム部(50)は、
前記駆動輪(55,56)を回転させる電
動推進駆動装置(65,66)と、
前記前フレーム部(10)を前記傾斜軸(TA)を中心に傾斜させる電
動傾斜駆動装
置と、
発電ユニット
源と、
を備え、
前記前輪(15)は、前記傾斜軸(TA)に対して横方向に延びる操舵軸(SA)を中心に回転可能であり、
前記傾斜車両(100)は、前記
電動推進駆動装置(65,66)および前記
電動傾斜駆動装
置に接続された出力と、前記発電ユニット
源に接続された入力と、を有するコントローラ(70)をさらに備え、
前記コントローラ(70)は、前記発電ユニット
源からエネルギーレベルの表示を受け、前記発電ユニット
源の表示されたエネルギーレベルがエネルギーレベル閾値を下回る場合に、前記
電動推進駆動装置(65,66)に供給されるエネルギーを低減する一方で、前記
電動傾斜駆動装
置に供給されるエネルギーを所定の最小値より上に維持するように適合されていることを特徴とする傾斜車両(100)。
【請求項2】
前記発電ユニット
源からの
前記表示されたエネルギーレベルが一定のエネルギーレベルを下回ると、前記傾斜車両の前記
電動推進駆動装置(65,66)が遮断され、
前記電動傾斜駆動装置の機能の継続
のために十分なエネルギーレベル
が保証される請求項1に記載の傾斜車両(100)。
【請求項3】
前記傾斜車両が自己バランス型である、請求項1または2に記載の傾斜車両(100)。
【請求項4】
前記発電ユニット
源が
バッテリーまたは燃料電池である、請求項1、2または3に記載の傾斜車両(100)。
【請求項5】
前記コントローラ(70)は、速度信号および駆動方向を示す操舵入力信号を受信し、前記コントローラ(70)は、前記傾斜車両(100)の速度が所定の閾値より上である限り、前記
電動傾斜駆動装
置を動作させるように適合されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の傾斜車両(100)。
【請求項6】
前記駆動輪(55,56)はそれぞれ、それぞれの電気駆動モータ(65,66)によって駆動され、
前記それぞれの電気駆動モータ(65,66)は、共に前記電動推進駆動装置を形成し、前記コントローラ(70)は、前記駆動輪の前記電気駆動モータ(65,66)に接続されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の傾斜車両(100)。
【請求項7】
前記コントローラ(70)は、電気駆動モータ(65,66)から発生したエネルギーを前記電動傾斜駆動装置に輸送するように適合されている、請求項6に記載の傾斜車両(100)。
【請求項8】
前記
電動傾斜駆動装置は、
駆動ギア(81)を備え、前記傾斜軸(TA)から所定の距離に位置する電動機(80)と、
前記
駆動ギア(81)と係合する歯付き面(88)を有する傾斜部材(85)を備え、これにより、前記
駆動ギア(81)の回転によって前記傾斜部材(85)が前記傾斜軸(TA)に対して横方向に変位でき、
前記
電動機(80)および前記傾斜部材(85)は、それぞれ前記前フレーム部及び前記後フレーム部(10、50)に接続されている、請求項1~
7のいずれか一項に記載の傾斜車両(100)。
【請求項9】
前記電動機
(80)が、
モータ部材(84)を備えたハウジングと、
前記駆動ギア(81)に接続されたトランスミッションギア(82)と、
前記モータ部材(84)に電気エネルギーが供給されていないときに前記駆動ギア(81)の回転を阻止する弾性ブレーキ部材(83)と、
を備えている、
請求項8に記載の傾斜車両(100)。
【請求項10】
前記発電ユニット源は、前記駆動輪(55,56)と前記電動傾斜駆動装置とに電力を供給するバッテリー(60)である請求項1~9のいずれか一項に記載の傾斜車両(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己バランス型傾斜車両に関するものであり、この自己バランス型傾斜車両は、2つの駆動輪を有する後フレーム部と、長さ方向に延びる傾斜軸を中心に傾斜可能に後フレーム部に連結された、少なくとも1つの前輪を有する前フレーム部とを備え、前フレーム部は運転席を搭載し、後フレーム部は、駆動輪を回転させる電動推進駆動装置と、前フレーム部を傾斜軸を中心に傾斜させる電動傾斜駆動装置と、発電ユニットとを備え、前輪は、傾斜軸に対して横方向に延びる操舵軸を中心に回転可能である。
【背景技術】
【0002】
このような自己バランス型の傾斜車両は、特許文献1から公知であり、同文献には、前輪が概ね垂直なフロントサスペンション軸を中心に自由に枢動できる車両が記載されている。運転者が操作する操舵輪は、運転者が座っている前フレーム部を長手方向傾斜軸を中心に枢動させる2つの油圧シリンダを制御している。前輪に取り付けられたセンサが、前輪に作用する力やトルクを測定し、この力やトルクが予め設定された閾値、例えばゼロを下回った場合に、傾斜シリンダの動作を中断させる。一定の速度で運転者が操舵輪を右に回すと、傾斜シリンダが作動し、前フレーム部が垂直に直立した状態から右に傾き始める。自由に懸吊されていた前輪にトルクがかかり、フロントフォーク軸を中心に傾き始め、車両は右カーブを描くようになる。前輪のトルクがゼロになると、傾きは中断され、前フレーム部の傾きは、速度、走行するカーブの半径、運転者を含む前フレーム部の重量に応じて直角に維持される。
【0003】
特許文献2には、前輪に結合された回転センサを有する自己バランス型の傾斜車両が記載されている。回転センサは、前輪のフロントフォーク軸を中心とした回転と、操舵輪を回すことによって運転者から得られる回転入力との差を測定し、この差信号に基づいて傾斜シリンダを動作させる。これにより、ハンドリングや運転のしやすさが向上する。
【0004】
特許文献3では、運転者が操舵輪を回すと、傾斜部が容易に曲がり角に収まるように、前部の操舵輪に反対側のロック用パワーシリンダを取り付けた自己バランス型の傾斜車両が記載されている。
【0005】
上記の傾斜車両は、内燃機関によって駆動され、比較的重い油圧式の傾斜機構を伴う。
【0006】
傾斜車両が燃料切れになると、エンジンが作動しなくなる。その結果、車両の推進力が失われるだけでなく、傾斜機構も動作しなくなる。しかし、推進力が失われても、車両はある程度の速度で走行方向に移動することができる。このような状況で傾斜機構が動作しなくなると、車両のハンドリングが難しくなり、危険な状況に陥る可能性もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開第95/34459号
【文献】国際公開第99/14099号
【文献】国際公開第99/24308号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明のもう1つの目的は、傾斜と推進に比較的少ないエネルギーを必要とする傾斜車両を提供することである。
【0009】
本発明のさらなる目的は、軽量で、コンパクトな構造の電動式自己バランス型傾斜車両を提供することである。
【0010】
本発明の目的は、発電ユニットの低エネルギーレベルで安全に運転することができる傾斜車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による車両は、傾斜車両が、推進駆動装置と傾斜駆動装置とに接続された出力を有し、発電ユニットに接続された入力を有するコントローラをさらに備えることを特徴とする。前記コントローラは、前記発電ユニット源からエネルギーレベルの表示を受け、表示されたエネルギーレベルがエネルギーレベル閾値を下回っている場合には、前記推進駆動装置に供給されるエネルギーを減少させ、その一方で、前記傾斜駆動装置に供給されるエネルギーを所定の最小値より上に維持するように適合されている。
【0012】
コントローラは通常、バッテリーや燃料電池であり得る発電ユニットからのエネルギーを、必要に応じて推進駆動装置と傾斜駆動装置に分配する。利用可能なエネルギーが所定の利用可能エネルギー閾値を下回ると、推進駆動装置に分配されるエネルギー量が減少し、必要に応じて傾斜駆動装置を動かすのに十分なエネルギーを確保して、車両の良好な操縦性を維持し、運転者が安全に給油場所に到達できるようにする。このように、コントローラは、傾斜制御の喪失を防止する。さらに、表示されたエネルギーレベルがエネルギーレバーの閾値を下回ったときに、コントローラによって生成される前フレーム部の信号を介して、運転者に警告してもよい。警告信号を介して、運転者は、推進駆動装置に供給されるエネルギーが制限されていること、またある程度の距離内で車両に給油する必要があることを認識させられる。
【0013】
コントローラは、運転者の入力と車両の状態に基づいて、傾斜駆動装置を制御し、車両が駆動速度でカーブを快適に走行できるように、車両を傾斜させてもよい。運転者の入力は一般的には操舵力であり、その一方で、車両の状態は車両の走行速度および/または加速度であり得る。運転者の入力と車両の状態を測定する複数のセンサの接続および相互作用には様々なソリューションが適用され得る。機械的、油圧的、電気的、電子的な操作方法、またはそれらの組み合わせが考えられ、油圧式傾斜機構や操舵機構も含まれる。好ましくは、電気センサまたは電子センサに基づく電気的または電子的な測定および制御システムの組み合わせによって接続と相互作用が達成され、1つ以上の傾斜要素が電気的または機械的に制御される。特に適しているのは、適切なソフトウェアに支援されて測定および制御アルゴリズムをプログラムすることができる集積マイクロ電子回路である。集積マイクロ電子回路をシステムに組み込むことで、測定および制御パラメータの迅速な最適化を実現することができる。さらに、集積マイクロ電子回路により、車両の傾斜動作を事前にプログラムされた設定の形で構成し、必要に応じてこれらを呼び出すことが可能になる。発電ユニットは、様々な駆動装置に電力を供給する単一または複数のセクションを含むように配置され得る。
【0014】
有利には、電気駆動モータとその関連構造は、内燃機関のような他のタイプの推進力と比較して、コンパクトで軽量である。したがって、傾斜車両に電気駆動モータを含めることで、他の推進システムを使用する場合よりも車両を軽量化することができ、より少ないエネルギーで動作させることができる。
【0015】
本発明の一態様によれば、前記コントローラは、速度信号および走行方向を示す操舵入力信号を受信し、前記コントローラは、前記車両の速度が所定の閾値より上である限り、前記傾斜駆動装置を動作させるように適合されている。前記コントローラは、車両が完全に停止する時であり得る車両の速度が所定の速度閾値より下になるまで、傾斜駆動装置が操舵入力信号に整合するように要求通りに完全に動作するように設定されている。車両が所定の閾値を上回る速度で移動している間は、傾斜駆動装置が動作可能な状態を維持することを確実にするために、推進駆動装置に放出されるエネルギー量を徐々に減少させ、傾斜車両の最大駆動速度を次第に制限する。コントローラは、利用可能なエネルギーがエネルギーレベル閾値を下回っている場合、最大駆動速度および利用可能なエネルギーの実施された減少により、減少した最大駆動速度50km/hで少なくとも10kmの範囲を運転することができ、車両が合理的な運転速度で燃料補給場所に到達するのに十分な範囲を提供するように配置される。車速が所定の閾値(例えば3km/hであり得る)を下回ると、車両はほとんど動かなくなるため、車両を傾けることが車両の操縦性に大きく寄与しなくなる。このように、エネルギーレベルが非常に低く、推進駆動装置が閾値未満の速度で車両を駆動するような実質的に平坦な道路を走行する場合、傾斜駆動装置はもはや(大きな)傾斜動作のための十分な電力を受け取らない可能性がある。しかし、同じ非常に低いエネルギーレベルで下り坂を走行しているとき、車両速度が所定の閾値を上回っているため、傾斜駆動装置は完全稼働状態であり、車両が安全に坂下に到達することが保証される。コントローラは、車両がスイッチオフされるまで安全な状態を維持するために使用される最小のエネルギー貯留量が維持されるように適合されてもよい。あるいは、電気式傾斜駆動装置を完全に作動させるためのエネルギーは、重力下で下り坂走行する車両によって回転する駆動輪を介して電動推進駆動装置によって生成され、傾斜駆動装置に導かれるようにしてもよい。
【0016】
本発明の別の態様によれば、駆動輪は、それぞれの電気駆動モータによって駆動され、コントローラは車輪の電気駆動モータに接続されている。
【0017】
各後輪に個別の電気駆動装置を設けることで、後輪を異なる及び同じ速度、トルク、回転方向で動作させることができる。外側の後輪をより大きい正のトルクで、内側の後輪をより小さい正または負のトルクで駆動すると、実質的に垂直な軸を中心に後フレーム部にモーメントが発生し、前輪を回転させ、それによって車両をカーブに導くことができる。各後輪に個別に制御された電動機を設けることで、幅広い速度範囲と様々な運転条件の下で、傾斜車両のハンドリングが大幅に改善されることがわかったが、これは、カーブに入る際に車両の旋回運動を補助および/または均衡させるためにトルク操舵を使用できるためである。したがって、コントローラは、走行方向がカーブである場合に、電動機を相互に異なるトルク、速度、または回転方向で動作させるように適合させることができ、これにより、低速時には、後駆動輪のトルク差は、運転者が意図する方向転換が増幅されるようになる。その結果、方向転換に必要な操舵力が小さくなる。交通量が多い場合や特殊な操作を行う場合のように、非常に低い速度では、車両は傾動を使用せずに方向を変えることができる。一方、高速走行時には、操舵動作に応じて後駆動輪に発生するトルク差によって傾斜動作がサポートされ、これにより、運転者が意図する方向の変更が最初は減衰され、方向変更の前に車両の傾斜動作が開始される。その結果、より高速の車速で走行しても、必要な傾斜力が大幅に増加することはなく、傾斜車両の傾斜駆動装置は、約50km/hの平均走行速度に対応しているため、適度に小型軽量化することも可能である。
【0018】
本発明のさらなる態様によれば、前記傾斜駆動装置は、ギアを備えた、前記傾斜軸から所定の距離に位置する電動機と、前記ギアと係合する歯付き面を有する傾斜部材とを備え、その結果、前記ギアの回転によって前記傾斜部材が前記傾斜軸に対して横方向に変位でき、これにより、前記傾斜駆動装置および前記傾斜部材は、それぞれ前フレーム部と後フレーム部に接続される。本発明による傾斜機構は、例えばラックアンドピニオンドライブを備えてもよく、取り付け、点検、分解、および遊びのない動作状態になるように維持調整することが容易であり、安全で信頼性の高い傾斜を実現することができる。傾斜部材の歯付き面は、傾斜軸に対して横方向の傾斜部材の規則的で安定した動きを提供し、これは正確に制御可能である。傾斜部材は、駆動部材が歯付き面に沿って移動して前フレーム部を後フレーム部に対して傾斜させる際に、前フレーム部または後フレーム部のいずれかに対して定置状態を保ってもよく、その結果、一般的に油圧システムである他の周知の傾斜機構と比較して、傾斜機構の構造がコンパクトになる。その結果、駆動部材の歯付き面に設けられた歯付きギアを介して作用する電動式の傾斜駆動装置により、前フレーム部を必要な位置に迅速かつ確実に傾けることができる軽量な傾斜機構が提供される。これは、比較的軽量な電動機を傾斜軸から所定の距離に配置することで、大きなチルトモーメントを得ることができるという見識に基づいている。特に都市交通に適した速度、すなわち時速50km未満で必要とされる傾斜力は、多かれ少なかれ一定であり、比較的低いため、軽量の電動機が歯付きの傾斜部材と連動して動作し、信頼性の高い傾斜動作を実現することができ、その結果、低消費電力の傾斜駆動装置が実現され得る。比較的低い消費電力のため、同じ量のエネルギーを利用してより大きな範囲を達成することができる。さらに、傾斜駆動装置の動作に必要な消費電力が比較的低いため、推進駆動装置に利用可能なエネルギー量を減少させることは、比較的遅く、かつ低速度で行われ得る。
【0019】
本発明の一態様によれば、前記発電ユニットは、前記駆動輪と前記傾斜駆動装置とに電力を供給するバッテリーを備えている。バッテリーを使用することで、電源と推進駆動装置及び電動傾斜駆動装置の間に重い接続手段を必要とすることなく、単一の電源から簡単に両駆動装置に電力を供給することができる。直線駆動運動時には、バッテリーからの電力の大部分が駆動輪の駆動に使われ、傾斜駆動装置はニュートラル位置にあり、前フレーム部を真っ直ぐに保つ。運転者や自動運転車の制御システムによって車両の方向転換を行うために、車両の操舵軸に力やモーメントが作用すると、この力やモーメントは操舵力センサによって監視され、同時に車両の速度はスピードセンサによって測定される。車両コントローラは、操舵力センサ信号と速度信号に基づいて、傾斜駆動装置の制御を行うように配置されており、それが、車両が駆動速度で快適に旋回できるように車両を傾斜させる。
【0020】
有利には、バッテリーの重量は、その中に含まれるエネルギーの量に応じて変化することはない。その結果、車両の全体的な重量と重心は一定になる。前フレーム部を後フレームに対して効果的に回転させるための安定した基盤を確保するために、後フレームの重量が前フレームに比べて相対的に大きくなるように、バッテリーを後フレームに含めてもよい。これにより、後フレーム部の位置に関わらず安定性が確保されるため、例えば、凹凸のある道路やグリップ力の弱い路面を走行する場合でも安定性が確保される。
【0021】
本発明の別の態様によれば、前記電動機は、モータ部材を備えたハウジングと、前記駆動ギアに接続されたトランスミッションギアと、前記モータ部材に電気エネルギーが供給されていないときに前記駆動ギアの回転を阻止する弾性ブレーキ部材とを備えている。トランスミッションギアは、電動機が最適なエネルギー使用量で駆動ギアを作動させることを可能にする。また、ブレーキ部材の追加により、エネルギー切れによる電源オフ時、および/または車両速度が所定の閾値を下回る場合には、駆動ギアの位置を傾斜部材の歯付き面に沿ってロックすることで、車両の傾斜をロックすることができる。
【0022】
弾性ブレーキ部材が作動すると、前フレーム部が後フレーム部にロックされる。ロック機構の作動により、フレームの傾斜は、このようにもはや可能ではなく、車両は、予期せぬ傾斜による近くの他の物体への損害を及ぼし得ないので、必要に応じて、車両を降りて無人にするための堅固で安全な位置となり得る。
【0023】
本発明のさらなる態様によれば、前記コントローラは、前記電気駆動モータから発生したエネルギーを前記傾斜駆動装置に輸送するように適合されている。この設定を車両に含めることで、車両の航続距離をさらに伸ばすことができる。例えば、ブレーキング時や下り坂での走行時(ニュートラル時)に、電動機でエネルギーを回生することができる。次に、このエネルギーを直接傾斜動作に使用することで、バッテリーのエネルギーを節約することができる。また、すぐに傾ける必要がない場合や、傾けるのに必要なエネルギーよりも多くのエネルギーが発生した場合には、そのエネルギーをバッテリーに蓄え、それによってバッテリーの利用可能なエネルギーを増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明による傾斜車両の実施形態について、添付の図面を参照しながら以下に例示的に説明する。
【
図2】ボディパネルのない、傾いていない状態の
図1による傾斜車両の構造を示す透視図である。
【
図4】
図1の傾斜車両の傾斜システムコンポーネントの上面図である。
【
図5】
図1の車両で使用される傾斜機構をより詳細に示す図である。
【
図6】
図1の車両で使用される傾斜機構をより詳細に示す図である。
【
図7】
図1の傾斜車両のバランスをとるための制御システムの概略概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、傾いた状態の傾斜車両100を示す透視図である。傾斜車両100は、前輪15を備えた前フレーム部10と、サイドパネル2を備えたボディパネルと、2つの駆動輪55,56を備えた後フレーム部50とを備えている。前フレーム部10は、後フレーム部50と、両フレーム部が互いに傾斜可能となるように連結されている。傾斜車両100が配置される接地面Gが実質的に平坦である場合、一般的には、前フレーム部が後フレーム部に対して傾斜することになり、曲がり角を走行する際に、バイクを運転するのと同様の運転感覚を提供することができる。
【0026】
図2は、ボディパネルがなく、直立した状態の、
図1による傾斜車両100の構造の透視図である。前フレーム部と後フレーム部の間の連結部は、ヒンジ35と、ラック85とピニオンドライブ80を有し、ピニオンドライブのピニオン81がラック85の湾曲した歯付きの下面に沿って移動可能である傾斜機構を備えることが示されている。傾斜機構は、ラック85の歯付き面全体に沿って、後フレーム部に対する前フレーム部の制御された傾斜を可能にする。その結果、前フレーム部10は、前フレーム部10が長手方向の傾斜軸TA(
図3参照)を中心に、第1駆動輪55側に傾斜する第1極傾斜位置と、前フレーム部10が第2駆動輪56側に傾斜する第2極傾斜位置と、の間で移動可能となる。
【0027】
図3および
図4はそれぞれ、
図1の傾斜車両100の長手方向断面図および上面図である。
図3および
図4では、フロントフォーク11に取り付けられた一方の操舵用前輪15を備えた前フレーム部10と、運転席12と、乗員席13と、操舵部材またはハンドルバー16と、湾曲した傾斜ラック85と、一組のセンサ22と、前フレームGセンサ・ジャイロスコープ31と、コントローラ70とが示されているとともに、アクセルペダル18と、ブレーキペダル19と、車両の走行方向を選択するための駆動・後退選択部材20とを示している。記載されている構成要素は、通常の運転配置に設定されており、運転席12に座っている運転者が、運転席の前方の通常の手の届く範囲に配置されているアクセルペダル18、ブレーキペダル19、駆動・後退選択部材20、およびハンドルバー16を操作することができるようになっている。乗員席13は、運転席12の真後ろに位置するように示されている。この設定により、前フレーム部のデザインを可能な限り狭く、スマートに保つことができ、より良い空力特性とハンドリング特性に貢献し、車両のフットプリントを削減することができる。しかし、これに代えて、シートを横に並べて配置してもよいし、運転席12のみが存在していてもよい。
【0028】
前輪15は、傾斜軸TAに実質的に垂直な鉛直面内に位置する操舵軸SAを中心に回転可能なフロントフォーク11を介して、前フレーム部10に取り付けられている。フロントフォーク11は、その軸が、車輪の地面との接触点17Aよりも前方に位置する点17Bで地面に到達するように傾いている。操舵軸SAと車輪の接地の点17Aを通る垂直軸との間のキャスター角βは、約7~8°である。これにより、プラスのキャスターとなり、前輪15を直進平衡位置に戻すような操舵軸SA周りのモーメントが発生する。また、操舵軸SAが地面に到達する接触点17Aと点17Bとの間の接地面Gに沿った距離であるトレイル17は、操舵の自己中心性の度合いを提供する。このように、フロントフォーク11がキャスター角βになるように前フレーム部を設計することで、車両は制御しやすくなり、方向安定性が向上する。
【0029】
フロントフォーク11は、リンク装置14を介してハンドルバー16に機械的に接続されており、車両の運転者が前輪を所望の走行方向に回転させることができる。このリンク装置14は、操舵ロッドを備えたトランスミッションとして構成されている。あるいは、リンク装置は、例えば、従来の原動機付自転車の場合のように、直接結合であってもよいし、コントロールケーブルや、油圧または電気のアクチュエータで構成されていてもよい。さらに、車両にオートパイロット機能を持たせたり、同じ発明概念を用いて自律走行車両を提供したりするために、前述のオプションに加えて、またはその代わりに、他の操舵手段を実装してもよいことは明らかであろう。センサ22は、ハンドルバー16に取り付けられているものとして示されている。センサ22は、操舵力センサおよび操舵角センサを備え、これらのセンサは、ハンドルバー16および車輪のキャスターを介して運転者が発揮する操舵力をセンサが登録するように、前輪の操舵シャフトに結合されており、センサは、操舵角も測定する。操舵角と操舵力を統合したセンサが業界では入手可能である。
【0030】
また、前輪15には、反転センサとスピードセンサが配置されている(図示せず)。Gセンサ・ジャイロスコープ31は、コントローラ70付近に、傾斜フレームの下部に配置されている。すべての測定値は、前フレーム部10の乗員席13の下に配置されたコントローラ70に伝達される。センサについては、
図7を参照してより詳細に説明する。
【0031】
駆動輪55,56を備えた後フレーム部50は、駆動輪を後フレーム部に連結するための後アクスルサスペンションボディ54と、ショックアブソーバー52とをさらに備えるとともに、主駆動用バッテリー60、バッテリー管理システム78、バッテリーチャージャ62、電気駆動モータ65,66、傾斜駆動装置80、後フレームGセンサ・ジャイロスコープ51を備えていることを示している。ショックアブソーバー52は、駆動輪55,56が取り付けられている位置で、後フレームと後アクスルサスペンションボディ54との間に接続されている。駆動輪は、それぞれ独立した電動のハブモータ65,66を備えており、電力に関しては、バッテリー管理システム78を介して後フレーム部50に配置されたバッテリー60に独立して接続されている。さらに、両ハブモータ65,66は、駆動輪を独立して駆動できるようにコントローラ70と連通しており、車両の駆動輪55,56間で発生するトルクの差を許容している。この設定では、コントローラ70は、電動機65,66を個別に制御するように配置されており、それらを互いに異なる速度、トルクおよび/または方向で稼働させることができる。さらに、コントローラ70は、一方の車輪の制動動作から生じる回生電力を、より高い速度またはトルクで運転される他方の車輪の電動機に向けるように配置されている。
【0032】
前フレーム部10は、その周りで前フレーム部を傾けることができる回転点を規定するヒンジ35を介して、後フレーム部50に接続されている。ヒンジ35とピニオン81との間の距離は、傾斜モーメントアームを規定する。傾斜軸TAは、車輪15,55,56が対称に配置された傾斜車両の長手方向の中心線を規定し、その軸は、車両の3つの車輪が載っている接地面Gに対して、傾斜軸が車両の後部方向に下向きに傾斜するような角度αを有している。傾斜軸の角度αは、約7~8度である。傾斜ラック85と傾斜駆動装置80は、傾斜ラック85の曲率に沿って前フレーム部10の傾斜動作を制御するために、傾斜面TPで見てヒンジ35よりもある程度上の位置で係合している。ここで、傾斜駆動装置80は、ピニオン81、電動機84、ギアボックス82、および電気的に解除可能な傾斜ロック83を備えている。
【0033】
傾斜部材またはラック85については、傾斜機構をより詳細に示す
図5および
図6にさらに説明する。傾斜機構は、傾斜部材85と傾斜駆動装置80を備えることが示されている。傾斜部材85は、湾曲したラックであり、湾曲の内側に歯付き面88が設けられており、取付ボルト89と調整機構87を備えている。傾斜駆動装置80は、ピニオン81、電動機84、ギアボックス82、傾斜ロック83を備えて示されている。電動機84は、ギアボックスを介してピニオン81に接続されており、このギアボックス84は、電動機84の高トルクをピニオン81の高回転に変換するように設定されている。ギアボックスの変速比は約1:24である。ラック85は、傾斜部材の両端と中央に配置された取付ボルト89を介して、前フレーム部10(ここでは図示せず)に連結されている。装着時には、傾斜部材は、部分的に円形のフレームの回転中心が前後のフレーム部10,50のヒンジ接続部35と一致するように位置し、傾斜部材の対称面が傾斜軸TAに垂直になるようになっている。さらに、傾斜部材の端部とフレーム(図示せず)との間には、傾斜平面TPにおけるフレーム50に対するラック85の初期取付位置からのオフセットを制御するための調整機構87が配置されている。
【0034】
調整機構87は、ラック85の両端部に調整ネジを有しており、必要に応じて手動で容易に調整できるようになっている。後フレーム部50が、
図3および
図4に関連して既述したヒンジ接続部35で前フレーム部10に接続されるとき、傾斜駆動装置80のピニオン81は、ピニオン81が歯付き面88全体に沿って滑らかに回転できるように、歯付き面88と正確に係合する必要がある。この滑らかな相互作用は、それが接続されている前フレーム部10に対するラック85の位置を調整することによって達成され、それによって、傾斜部材85のいずれかの端部とヒンジ接続部35との間の距離が調整される。車両100の動作寿命の間、歯付き面88とピニオン81は摩耗と裂けを経験するが、これはラック85の位置を間欠的に調整することによって補償することができ、両部品の寿命を延ばすことができる。磨耗した場合、ラック85は、フレームにボルトで取り付けられたアタッチメント87を介して、容易に取り外して交換することができる。
【0035】
傾斜駆動装置80の電動機84は、後フレームに搭載されたモータコントローラによって制御されるとともに、バッテリー60に接続されて電力が供給される。これまでの図で描写した車両100では、主コントローラ70から課せられた電動機84へのアンペア数と電圧が、傾斜モータコントローラによって制御される。したがって、主コントローラ70は、前フレーム部10と後フレーム部50との間の傾斜動作の起動を最終的に制御する。傾斜ロック83は、車両が駐車位置にあり、電力が供給されていないときに、後フレーム部50に対する前フレーム部10の傾斜角度θを機械的にロックする。
【0036】
電源投入されたとき、つまり車両100の使用時には、傾斜駆動装置80は主に、センサ22、前フレーム部10のジャイロスコープ・Gセンサ31、後フレーム部50のジャイロスコープ・Gセンサ51から主コントローラ70に与えられる入力に応じて制御され、車両の直立を維持する。車両のスイッチを入れると、傾斜ロック83が電気的に解除され、前フレーム部10が活発に傾くようになる。操舵入力がされていない状態で、車両の後フレーム部50が完全に水平になっていない場合、車両100の前フレーム部10は直立位置になる。傾斜した路面を走行する場合や、片方の車輪がカーブにあって走行する場合には、傾斜角センサおよび/またはジャイロスコープ・Gセンサ31,51から主コントロール70ユニットに入力される測定値により、後フレーム部50の傾斜位置が検出される。これにより、主コントローラ70は、前フレーム部10が直立して傾くように傾斜駆動装置80を回転させる。
【0037】
凹凸のある路面を走行する際に前フレーム部10が安定して直立していることを保証するために、運転者の操舵入力に基づいて傾斜駆動装置80を制御するコントローラ70は、操舵入力がないときに前フレーム部が実質的に垂直になる中立位置の周りでピニオン81がラック85の歯付き面88に沿って自由に移動できるように適合されている。したがって、傾斜駆動装置80に操舵入力が提供されないとき、ピニオン81は、車両100の前フレーム部10が実質的に垂直である直立位置にあるように、傾斜部材85の歯付き面88に沿って配置され、この歯付き面88に沿った位置が中立位置を規定する。中立位置では、ピニオン81には低トルクしか作用しないので、傾斜駆動装置80のギア81は、この中立位置を中心に歯付き面88に沿って自由に動くことができる。その結果、ギア81と歯付き面88に衝撃が伝わらず、両要素の摩耗が発生しないため、比較的軽量な構造とすることができる。さらに、地表面Gの凹凸に起因して後フレーム部50に作用する力がハンドルバー16に伝達されたり、車両の前フレーム部10が垂直位置に対して大幅にさらに傾くことがほとんどないため、運転者の快適性が確保される。
【0038】
車両100が傾くような操舵入力があった場合、ピニオン81は高トルクで作動する。センサ、コントローラ70、バッテリーおよび駆動・傾斜モータ65,66,80の関係については、
図7にさらに説明する。
【0039】
図7は、
図1の傾斜車両を制御するための制御システムの概要を示す概略図である。この概略図では、車速センサ21、傾斜角センサ23、操舵力センサ25、操舵角センサ27、運転者選択ノブ20、イグニッションスイッチ5、運転者用ディスプレイ7、アクセルペダル18、ブレーキペダル19、ドアスイッチ3、前フレームGセンサ・ジャイロスコープ31、後フレームGセンサ・ジャイロスコープ51、主コントローラ70、バッテリー管理システム78、バッテリー60、電気駆動モータ65、66、モータコントローラ75,76、傾斜駆動装置80、傾斜モータコントローラ77を示している。すべてのセンサからの信号は、電線を介して主コントローラ70の入力側に伝導される。また、主コントローラ70の出力側と、傾斜駆動装置80の電動機84と、モータ65,66とは、主コントローラ70からの制御信号を受信したり、モータの回転速度、モータの位置、モータのアンペア数、モータの電圧、モータの温度などの情報をコントローラ70に提供するために、電気配線を介して接続されている。さらに、傾斜モータ80および2つのホイールハブモータ65,66は、それぞれ、バッテリー管理システム78を介して、バッテリー60に個別に接続されている。これらの個別の接続を通じて、正確な電力配分を達成することができ、最終的にはエネルギーの節約につながる。
【0040】
運転者が方向転換を望み、そのためにハンドルバー16にモーメントをかけると、このモーメントは、操舵力センサ25によって監視される。車速センサ21によって測定された車両の速度に応じて、コントローラ70は、曲がり角をバランスよく走行するために後フレーム部10に必要な傾斜角度とモーメント、および駆動輪55,56のそれぞれに対応する必要な個別トルクを決定する。コントローラ70は、傾斜駆動装置80の制御に加えて、車輪55,56間のトルク差が必要なモーメントを発生させるように、車輪ハブモータ65,66に信号を転送する。その際、一方の車輪ハブモータは他方の車輪ハブモータよりも高いトルクで運転され、この一方のモータが必要とする高い量は、バッテリー60から直接供給することができ、また、前記トルク差を達成するために他方の車輪56を減速させる状況では、ブレーキ動作からエネルギーを回生することができる。回生されたエネルギーは、バッテリー管理システム78に導かれ、必要に応じて他方の車輪ハブモータおよび傾斜駆動装置80に直接供給され、それによってバッテリー60からのエネルギーを節約することができる。また、どちらかのモータから必要とされるよりも多くのエネルギーが回生された場合には、回生されたエネルギーがバッテリー60に導かれて蓄えられる。バッテリー管理システム78による1つ以上のモータおよび/またはバッテリー60へのエネルギーの再分配は、直進方向の走行時、両輪の制動時および/または下り坂の走行時にエネルギーが回生されている場合にも起こり得る。
【0041】
車両100がスイッチオンされると、コントローラ70は、バッテリー管理システム78を介してバッテリー60からエネルギーレベル表示を受け、その情報を運転ディスプレイ7に転送することで、車両の運転者が利用可能なエネルギーと燃料補給の必要性を常に知ることができる。エネルギーが不足しているにもかかわらず車両100が燃料補給されず、走行中にエネルギーが切れた場合に安全でない交通状況が発生するのを防ぐために、コントローラ70は、示されたエネルギーレベルがエネルギーレベル閾値を下回った場合に、電気駆動モータ65,66に供給されるエネルギーを減少させる一方で、必要に応じて傾斜駆動装置80へのエネルギー供給を完全に維持するように予めプログラムされている。したがって、バッテリー60に蓄積されたエネルギー量が所定の閾値を下回ると、駆動モータ65,66によって供給される最大駆動トルクがコントローラ70によって徐々に低減される一方で、傾斜モータ80に向けられるエネルギー供給は必要に応じて維持され、操舵力センサ25および角度センサ27によって測定された操舵動作および車速センサ21によって測定された車両速度に合致した傾斜量が提供される。エネルギー低減モードを通じて、車両は、低い最高速度ではあるが、燃料補給場所まで安全に走行することができる。
【0042】
以上、本発明を、図面に示すような幾つかの例示的な実施形態を参照して説明した。一部の部品または要素の修正および代替的な実装が可能であり、それらは添付の請求項で定義される保護の範囲に含まれる。例えば、前フレームおよび後フレーム部分は、図面に示すような例示的な実施形態について説明したような傾斜車両の機能を維持しつつ、追加の車輪を容易に提供することができる。