IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 本田技研工業株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社ホンダアクセスの特許一覧

<>
  • 特許-車両用デスクユニット 図1
  • 特許-車両用デスクユニット 図2
  • 特許-車両用デスクユニット 図3
  • 特許-車両用デスクユニット 図4
  • 特許-車両用デスクユニット 図5
  • 特許-車両用デスクユニット 図6
  • 特許-車両用デスクユニット 図7A
  • 特許-車両用デスクユニット 図7B
  • 特許-車両用デスクユニット 図7C
  • 特許-車両用デスクユニット 図8
  • 特許-車両用デスクユニット 図9
  • 特許-車両用デスクユニット 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-05
(45)【発行日】2024-02-14
(54)【発明の名称】車両用デスクユニット
(51)【国際特許分類】
   B60N 3/00 20060101AFI20240206BHJP
   A47C 7/62 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
B60N3/00 A
A47C7/62 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022034214
(22)【出願日】2022-03-07
(65)【公開番号】P2023129884
(43)【公開日】2023-09-20
【審査請求日】2022-12-13
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.令和3年12月12日に、SunSunマルシェ湘南海岸公園にて、本田カーズ神奈川中株式会社が、本願発明の車両用デスクユニットが記載されたチラシを配布した。2.令和3年12月23日に、本田カーズ神奈川中平戸店にて、本田カーズ神奈川中株式会社が、本願発明の車両用デスクユニットを搭載したデモカーを公開した。3.令和4年1月9日に、SunSunマルシェ湘南海岸公園にて、本田カーズ神奈川中株式会社が、本願発明の車両用デスクユニットを搭載したデモカーを展示して、チラシを配布した。4.令和4年1月22日,23日に、本田カーズ神奈川中平戸店にて、本田カーズ神奈川中株式会社が、本願発明の車両用デスクユニットを搭載したデモカーを展示して、You Tubeに配信するとともにInstagramにアップした。5.令和4年2月5日,6日に、ベルサール六本木にて、株式会社インテージが、本願発明の車両用デスクユニットを搭載したデモカーを展示して、マーケティング調査を実施した。6.令和4年2月13日に、SunSunマルシェ湘南海岸公園にて、本田カーズ神奈川中株式会社が、本願発明の車両用デスクユニットを搭載したデモカーを展示した。7.令和4年2月28日に、株式会社本田カーズ光東が、社内にて、本願発明の車両用デスクユニットを公開した。8.令和4年3月5日,6日に、展示体験会港北みなもにて、本田カーズ神奈川中株式会社が、本願発明の車両用デスクユニットを搭載したデモカーを展示した。
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390005430
【氏名又は名称】株式会社ホンダアクセス
(74)【代理人】
【識別番号】100154380
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100081972
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 豊
(72)【発明者】
【氏名】鹿野 直人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 寛人
(72)【発明者】
【氏名】白江 拓人
(72)【発明者】
【氏名】清澤 雄
(72)【発明者】
【氏名】隈 泰行
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-293183(JP,A)
【文献】特開2021-133766(JP,A)
【文献】特開平11-332693(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102008032326(DE,A1)
【文献】特開2001-206126(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/90,3/00
A47C 7/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リアシートのフレームに設けられたISOFIX対応アンカーに着脱可能に固定されるISOFIX対応固定具が、略長方形の平板部材の長手方向の一端に設けられたベース部と、
前記平板部材の長手方向の他端に設けられ、前記ISOFIX対応固定具により前記ISOFIX対応アンカーに固定された前記平板部材を車室床上に支持する脚部と、
前記平板部材に着脱可能に設けられたガイドレールと、
前記ガイドレールにより案内される被ガイド部を有するデスク天板と、を備え、
前記ガイドレールは、前記被ガイド部を、前記デスク天板が前記リアシートに並設された他のリアシートに対して対向配置される第1の位置と、前記デスク天板が前記平板部材の上方位置に配置される第2の位置との間で案内する、車両用デスクユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用デスクユニットにおいて、
前記ガイドレールは、
前記被ガイド部を前記第1の位置に案内する第1直線部と、
前記第1直線部よりも長くかつ該第1直線部に対して直交するように設けられ、前記被ガイド部を前記第2の位置に案内する第2直線部と、
前記第1直線部および前記第2直線部を連結する曲線部とを備えるL字形状のガイドレールであって、
前記第2直線部は、前記平板部材の長手方向に沿って前記他端から前記ISOFIX対応固定具が設けられた前記一端に向かって延在する、車両用デスクユニット。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両用デスクユニットにおいて、
前記平板部材の表面側に形成された係合穴部と、
前記ガイドレールに設けられ、前記係合穴部に着脱可能に係合して該ガイドレールを前記平板部材に着脱する係合凸部と、をさらに備える車両用デスクユニット。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用デスクユニットにおいて、
前記平板部材は、前記ガイドレールの前記係合凸部が係合する係合穴部を含む複数の係合穴部を備える、車両用デスクユニット。
【請求項5】
請求項2に記載の車両用デスクユニットにおいて、
前記平板部材の表面側に形成された複数の係合穴部と、
前記ガイドレールに設けられ、前記複数の係合穴部の内の一部の係合穴部に着脱可能に係合して該ガイドレールを前記平板部材に着脱する複数の係合凸部と、を備え、
前記複数の係合穴部は、L字形状の前記ガイドレールの前記第2直線部が、前記平板部材の長手方向の前記他端から前記ISOFIX対応固定具が設けられた前記一端に向かって延在するようにのみ着脱可能なように配置されている、車両用デスクユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用デスクユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のフロントシートのシートバックに、物品を載置することができる載置台を備える構成が知られている。例えば、特許文献1に記載の乗物用シートでは、シートバックを傾倒(リクライニング)させた場合でも、載置台を常に水平状態とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-133766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の載置台の場合には、物品を載置する目的であれば問題ないが、フロントシートのシートバックに設けられているため、リアシートに着座した乗員が書類を見たり書き物をしたりというような仕事目的には、リアシートと離れすぎていたり小さすぎたりして不便であるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様による車両用デスクユニットは、リアシートのフレームに設けられたISOFIX対応アンカーに着脱可能に固定されるISOFIX対応固定具が、略長方形の平板部材の長手方向の一端に設けられたベース部と、前記平板部材の長手方向の他端に設けられ、前記ISOFIX対応固定具により前記ISOFIX対応アンカーに固定された前記平板部材を車室床上に支持する脚部と、前記平板部材に着脱可能に設けられたガイドレールと、前記ガイドレールにより案内される被ガイド部を有するデスク天板と、を備え、前記ガイドレールは、前記被ガイド部を、前記デスク天板が前記リアシートに並設された他のリアシートに対して対向配置される第1の位置と、前記デスク天板が前記平板部材の上方位置に配置される第2の位置との間で案内する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、仕事目的にも使用可能な車両用デスクユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、デスク形態の車両用デスクユニットを示す図である。
図2図2は、左側のリアシートとベース部とを車両右側方から見た図である。
図3図3は、ベースボードの平面図である。
図4図4は、図3のB-B断面図である。
図5図5は、図4のC-C断面図である。
図6図6は、収納形態の車両用デスクユニットを示す図である。
図7A図7Aは、デスク形態から収納形態への変形手順を説明する図である。
図7B図7Bは、図7Aに続く変形手順を説明する図である。
図7C図7Cは、図7Bに続く変形手順を説明する図である。
図8図8は、変形例1を説明する図である。
図9図9は、変形例1におけるデスク形態から収納形態への変形手順を示す図である。
図10図10は、変形例2を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図を参照して本発明を実施するための形態について説明する。以下の記載および図面は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略および簡略化がなされている。また、以下の説明では、同一または類似の要素および処理には同一の符号を付し、重複説明を省略する場合がある。なお、以下に記載する内容はあくまでも本発明の実施の形態の一例を示すものであって、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、他の種々の形態でも実施をすることが可能である。
【0009】
図1は、本実施の形態における車両用デスクユニットの概略構成を示す図である。図1は、車室内のリアシート4L,4Wが設けられている部分を示す斜視図である。各リアシート4L,4Wは、乗員の臀部を支持するシートクッション40と、乗員の背部および臀部を支持するシートバック41と、乗員の頭部を支持するヘッドレスト42とを有する。
【0010】
車両用デスクユニット1000は、2つのリアシート4L,4Wの内の左側のリアシート4L側に装着されている。車両用デスクユニット1000は、後述するリアシート4Lのロアアンカー44(図2参照)に固定されるベース部1と、ベース部1に着脱可能に設けられたガイドレール2と、ガイドレール2によりガイドされるデスク部3とを備えている。図1に示す斜視図は、車両用デスクユニット1000をデスク形態とした場合を示しており、リアシート4Wと対向する位置にデスク部3が配置されている。
【0011】
図2は、リアシート4Lとベース部1とを車両の右側方から見た図である。なお、符号Aで示す領域では、シートクッション40およびシートバック41の一部を破断面で示した。ベース部1は、ベースボード11と、一対のISOFIX対応の固定具12と、脚13とを備える。ベースボード11は略長方形の板状部材であり(図1参照)、一対の固定具12はベースボード11の長手方向の一端(図示左側の端部)に設けられており、脚13はベースボード11の長手方向の他端に設けられている。
【0012】
ISOFIXとは、ISO(International Organization for Standardization)により設定された規格であり、自動車の座席にチャイルドシートを固定する方式の国際標準規格である。各リアシート4L,4Wのフレーム43には、リアシート4L,4Wの各々の左右にISOFIX対応の一対のロアアンカー44がそれぞれ設けられている。ISOFIX対応のチャイルドシートは、一対のロアアンカー44に固定するためのISOFIX対応の一対の固定具を備えており、その固定具をロアアンカー44に固定することでリアシート4Lに装着される。一対のロアアンカー44は、シートクッション40とシートバック41との境界部分にそれぞれ配置されている。
【0013】
ベースボード11の一端に設けられた一対の固定具12(図3参照)も、上述したISO規格に準拠したISOFIX対応の固定具である。一対の固定具12をリアシート4Lに設けられた一対のロアアンカー44にそれぞれ固定することで、ベース部1がリアシート4Lに装着される。なお、図1,2では、車両用デスクユニット1000は、ベース部1を左側のリアシート4Lのロアアンカー44に固定する形態とされているが、ベース部1を右側のリアシート4Wのロアアンカー44に固定し、デスク部3がリアシート4Lに対向するような形に組み替えることも可能である。
【0014】
図2の二点鎖線は、固定具12をロアアンカー44に固定した状態におけるベースボード11および脚13を示したものである。固定状態において、ベースボード11の他端に設けられた脚13は車室の床Fに接しており、脚13はベースボード11の他端を床F上に支持する。一対の固定具12は、破線矢印で示すように軸12aを支点に折り曲げ可能に構成されている。同様に、脚13は、破線矢印で示すように軸13aを支点に折り曲げ可能に構成されている。
【0015】
図1に戻って、デスク部3は、略長方形の天板30と3つの脚31a,31b、31cとを備えている。脚31a,31b、31cは、天板30に対して着脱可能に設けられている。天板30の一端に設けられたL字形状の脚31aは、天板30を床F上に支持する。一方、天板30の他端に設けられた一対の脚31b、31cは、天板30の他端をベースボード11上に支持する。脚31bはガイドレール2に係合しており、ガイドレール2に沿って移動可能である。脚31cは、後述する係合部110(図3参照)を利用してベースボード11上に固定される。
【0016】
図3は、ベースボード11の平面図である。なお、図3では、天板30の一部、脚31b、31cを破線で示した。ベースボード11の表側には、複数の係合部110が設けられている。係合部110には、後述する固定用キー21の先端部が挿入されるキー穴111が形成されている。ガイドレール2はL字形状をしており、ベースボード11の短手方向に沿って延在する第1直線部2Aと、ベースボード11の長手方向に沿って延在する第2直線部2Bと、第1直線部2Aと第2直線部2Bとを繋ぐ曲線部2Cとを有する。
【0017】
ガイドレール2には、細長い形状のキー穴201が形成された2つの固定部20aおよび1つの固定部20bが設けられている。なお、図3では、第2直線部2Bの上端部分に設けられた固定部20aについては、キー穴201の形状を示すために固定用キー21を外した状態とした。キー穴201は、係合部110のキー穴111と同一形状である。固定部20aに形成されたキー穴201の長手方向は前後方向(図示上下方向)に向いており、固定部20bに形成されたキー穴201の長手方向は左右方向に向いている。一方、ベースボード11の破線R11aで囲まれた係合部110のキー穴111の長手方向は前後方向を向いており、破線R11bで囲まれた係合部110のキー穴111の長手方向は左右方向に向いている。そして、図3に示すように、キー穴201がキー穴111と重なるようにガイドレール2をベースボード11上に配置し、固定用キー21を使用して固定部20a,20bを破線R11a,R11bで囲まれた3つの係合部110に固定する。
【0018】
デスク部3の脚31bの下端には、ガイドレール2の溝22に挿入される被ガイド部310が設けられている(後述する図4参照)。その被ガイド部310が溝22により案内されることにより、脚31bをガイドレール2に沿って移動させることができる。被ガイド部310は、第2直線部2Bの上端領域に設けられた挿入穴23を用いてガイドレール2の溝22に入出させることができる。すなわち、天板30は、ガイドレール2に対して着脱可能に構成されている。また、デスク部3の脚31cは、固定用キー21を係合部110に対してロックまたは解除することで、ベースボード11に着脱することができる。
【0019】
図3に示す例では、ベースボード11に設けられた35個の係合部110の内、破線R11a,R11bで囲まれた3個の係合部110はガイドレール2の固定に使用され、破線R12a,R12bで囲まれた2個の係合部110はデスク形態および収納形態における脚31cの固定に用いられる。そして、残りの30個の係合部110は他の用途に、例えば、ペンケースや収納ボックス等の固定に用いることができる。
【0020】
図1では、車両用デスクユニット1000は、ベース部1を左側のリアシート4Lのロアアンカー44に固定する形態とされているが、ベース部1を右側のリアシート4Wのロアアンカー44に固定して、デスク部3がリアシート4Lに対向するような形に組み替えることも可能である。その場合、図3に示したガイドレール2を左右反転した形状のガイドレールを別途用意し、天板30に対する脚31a~31cの取り付け位置も、長手方向に関して左右反転した位置に付け替えることになる。
【0021】
図4は、図3のB-B断面図である。ベースボード11は、金属フレーム114に複数の係合部110を取り付け、それらを樹脂モールド材115でモールドしたものである。固定用キー21は、回転操作用のノブ210が設けられた軸211と、軸211の先端に形成されたキー係合部212とを備えている。固定用キー21のキー係合部212は、キー穴111を通して係合部110の内部空間112内に挿入される。
【0022】
図5図4のC-C断面図であり、解除状態とロック状態とを示したものである。解除状態では、キー係合部212は、縦長のキー穴111に一致するように図示上下に延在している。キー係合部212がこのような配置になっている場合には、重なり合った係合部110のキー穴111および固定部20aのキー穴201(図3参照)を通して、固定用キー21を係合部110に対して挿抜することができる。固定用キー21を挿入して、ノブ210を右回りまたは左回りに90°回転すると、固定用キー21はロック状態になる。ロック状態では、破線で示すようにキー係合部212がキー穴111に対して90°回転ずれしているので、ガイドレール2の固定部20aが係合部110に固定された状態となる。
【0023】
図6は、車両用デスクユニット1000を収納形態にした場合を示す。図1に示したデスク形態では、デスク部3がリアシート4Wと対向する位置に配置されている。一方、収納形態では、デスク部3の天板30はベースボード11の上方に配置された状態になる。デスク形態から収納形態への変形、または、収納形態からデスク形態への変形は、天板30の脚31bをガイドレール2に沿って移動させることで行われる。
【0024】
図7A~7Cは、車両用デスクユニット1000をデスク形態から収納形態へ変形させる場合の、変形手順を説明する図である。図7A~7Cでは、図3に示したベースボード11にデスク部3の天板30、脚31b、31cを重ねて示し、天板30,脚31bおよび31cの動きでデスク部3の移動動作を示す。なお、天板30は破線で示した。
【0025】
図7Aにおいて、符号30Aはデスク形態における天板30の配置を示す。デスク形態では、脚31cが固定用キー21によってベースボード11の係合部110に固定されている。脚31cの下端には、固定用キー21によって係合部110に固定される固定部311が形成されている。この固定部311を係合部110に固定することで、脚31cがベースボード11に固定される。
【0026】
次いで、天板30を移動させるために、固定部311をベースボード11の係合部110に固定している固定用キー21を外す。なお、312は、固定部311に形成されているキー穴である。固定用キー21を外したならば、脚31bをガイドレール2(2A)に沿って図示右方向(車両左方向)へ移動させ、符号30Bで示す配置まで天板30を移動させる。
【0027】
次に、図7Bに示すように、配置30Bに位置する天板30を脚31bを軸に反時計回りに回転させて、天板30を符号30Cの配置となるまで傾ける。この時の傾斜角は任意であるが、デスク部3がリアシート4L,4Wの前方に位置するフロントシートに干渉しない程度に天板30を傾ける。また、配置30Bにおいて天板30を傾斜させた後に、ガイドレール2(2A)に沿って配置30Cまで移動させるようにしても良い。なお、ガイドレール2に係合している被係合部310は、ガイドレール内部で脚31bを軸として回転可能な形状(例えば円筒形)とされる。
【0028】
次いで、天板30を傾斜させた状態で、脚31bをガイドレール2(2C,2B)に沿って図示上方(車両後方)に移動させ、配置30Cから符号30Dで示す配置まで天板30を移動させる。ここで、天板30を傾斜させた状態で移動させる理由は、フロントシートとの間のスペースの関係で、配置30Bから天板30の長手方向を車両前後の方向に変化させるのが難しいからである。
【0029】
次に、図7Cに示すように、配置30Dから、脚31bをガイドレール2(2B)に沿って図示上方に移動させつつ、脚31bを軸に天板30を反時計回りに回転させて、天板30の長手方向が図示上下方向(車両前後方向)に沿うような配置30Eにする。その後、天板30を図示上方(車両後方)に移動させて、天板30を符号30Fで示す配置すなわち収納形態の配置にする。そして、固定用キー21により脚31cの固定部311を係合部110に固定する。なお、車両用デスクユニット1000を収納形態からデスク形態に変形させる場合には、上述した手順の逆の手順で変形させればよい。
【0030】
上述のように、天板30をデスク形態から収納形態に、または、収納形態からデスク形態に移動させる際には、ガイドレール2に係合している脚31bを、ガイドレール2の延在方向に移動させることになる。ガイドレール2が固定されているベースボード11は、ベースボード11の一端側(図7Cの図示上端側)に設けられた一対の固定具12がリアシート4Lのロアアンカー44に固定されているだけなので、脚31bをベースボード11の長手方向に延在する第2直線部2Bに沿って移動させた際に、ベースボード11が不安定になりやすい。
【0031】
本実施の形態では、ガイドレール2の第2直線部2Bが、図示右側の固定具12の延長線J上に沿って配置されるようにベースボード11に固定されている。そのため、脚31bを第2直線部2Bに沿って移動させたときに、固定具12に対して捻じれる方向の力が作用するのを軽減することができ、天板移動時の安定性が向上する。ベース部1を右側のリアシート4Wのロアアンカー44に固定する場合に使用されるガイドレール(ガイドレール2を左右反転した形状のガイドレール)についても同様で、ガイドレールは、第2直線部2Bに相当する直線部が、左側の固定具12の延長線上に沿って配置されるようにベースボード11に固定される。
【0032】
(変形例1)
図8は、変形例1を説明する図である。変形例1では、上述したL字形状のガイドレール2に代えて、直線状のガイドレール2Dを用いる場合について説明する。図8はベースボード11の平面図であり、天板30の一部、脚31b、31cを破線で示した。ガイドレール2Dは、天板30の図示左側の辺に近接して取り付けられている。図3に示すガイドレール2の場合と同様に、ガイドレール2Dは、固定用キー21によってベースボード11の係合部110に固定される。また、ガイドレール2Dは、左側の固定具12の延長線J上に沿って延在するようにベースボード11に固定される。なお、車両用デスクユニット1000を、ベース部1を右側のリアシート4Wに固定し、デスク部3を左側のリアシート4Lに対向配置させる構成とする場合には、ガイドレール2Dを二点鎖線で示すように天板30の右側の辺に近接して取り付ければ良い。この場合も、ガイドレール2Dは、右側の固定具12の延長線J上に沿って延在するようにベースボード11に固定される。
【0033】
図9は、変形例1の車両用デスクユニット1000をデスク形態から収納形態にする場合の手順を示す図である。配置30Aは、デスク形態における天板30の配置を示す。先ず、天板30を移動させるために、脚31cの固定部311をベースボード11の係合部110に固定している固定用キー21を外す。そして、脚31bをガイドレール2Dに沿って図示上方(車両後方)に移動して、天板30を横向きの状態のまま図示上方に配置30Bの位置まで移動させる。次に、配置30Bから、脚31bをガイドレール2Dに沿って図示上方に移動させつつ脚31cを軸に天板30を反時計回りに回転させて、天板30を符号30Cで示す配置すなわち収納形態の配置にする。そして、固定用キー21により脚31cの固定部311を係合部110に固定する。
【0034】
(変形例2)
図10は、変形例2を説明する図である。上述した実施の形態では、ガイドレール2の固定部20a,20bや脚31cの固定部311を、係合部110に係合する固定用キー21を用いてベースボード11に固定するようにした。変形例2では、図10に示すようにガイドレール2の裏面に、先端が球状の凸部25が一つまたは複数形成されている。一方、変形例2では、係合部110に円筒凹部113が形成され、円筒凹部113に弾性係止材116が複数配設されている。例えば、円筒凹部113の周方向に3つの弾性係止材116を等間隔に配置する。
【0035】
ガイドレール2の裏面に形成された凸部25を円筒凹部113方向へ押し込むと、弾性係止材116が弾性変形して凸部25が円筒凹部113内に押し込まれる。凸部25が円筒凹部113内に押し込まれると、弾性変形した弾性係止材116が元の形状に戻り、凸部25が円筒凹部113内に係止される。その結果、ガイドレール2がベースボード11に固定される。ガイドレール2をベースボード11から取り外す場合には、凸部25を円筒凹部113に対して上方へ引っ張ると、弾性係止材116が弾性変形して凸部25が円筒凹部113から引き抜かれる。なお、脚31cに関しても、固定部311の裏面または脚31cの裏面に、図10に示すような凸部25を設ける構成とすることができる。
【0036】
上述した図3に示す例では、ベースボード11に設けられた35個の係合部110の内、破線R11a,R11bで囲まれた3個の係合部110はガイドレール2の固定に使用され、破線R12a,R12bで囲まれた2個の係合部110はデスク形態および収納形態における脚31cの固定に用いられる。前述したように破線R11aで囲まれた2個の係合部110のキー穴111の長手方向は前後方向(図示上下方向)を向いており、破線R11bで囲まれた係合部110のキー穴111の長手方向は左右方向を向いている。また、脚31cの軸回りの向きはデスク形態と収納形態とでは角度が90度異なっているので、破線R12aで囲まれた係合部110のキー穴111の長手方向は前後方向を向いているが、破線R12bで囲まれた係合部110のキー穴111の長手方向は左右方向を向いている。
【0037】
また、ベース部1を右側のリアシート4Wに固定する場合には、破線R21a,R21bで囲まれた3個の係合部110がガイドレール2の固定に使用され、破線R22a,R22bで囲まれた2個の係合部110がデスク形態および収納形態における脚31cの固定に用いられる。そのため、破線R21aで囲まれた2個の係合部110のキー穴111の長手方向は前後方向を向いており、破線R21bで囲まれた係合部110のキー穴111の長手方向は左右方向を向いている。脚31cが固定される係合部110に関しても、デスク形態で使用される破線R22aで囲まれた係合部110のキー穴111の長手方向は前後方向を向いているが、収納形態で使用される破線R22bで囲まれた係合部110のキー穴111の長手方向は左右方向を向いている。
【0038】
いずれの場合も、35個の係合部110の内の残りの30個の内の使用可能な係合部110は、他の目的に使用することができる。例えば、ペンケースや収納ボックス等の固定に用いることができる。その場合、ペンケースや収納ボックスには、図4に示す固定用キー21で固定できる固定部や図10に示す係合凸部25が設けられる。なお、図3,8に示す例では、ベースボード11に設けられている係合部110の数は5×7=35個であったが、5×9=45個などのようにベースボード11の長手方向に細長い領域に配置される形態であれば、係合部110の数は図3,8に示すものに限定されない。
【0039】
また、複数の係合部110のキー穴111の長手方向の向きが図3に示すように設定されているので、ベース部1を左側のリアシート4Lに固定する場合のガイドレール2は、破線R11a,R11bで囲まれた3個の係合部110のみにしか固定することができない。同様に、ベース部1を右側のリアシート4Wに固定する場合のガイドレール2は、破線R21a,R21bで囲まれた3個の係合部110のみにしか固定することができない。そのため、ガイドレール2が誤った配置でベースボード11に取り付けられるのを、防止することができる。
【0040】
同様に、図8に示すベースボード11の場合には、ベースボード11に設けられた35個の係合部110の内、破線R11で囲まれた2個の係合部110がガイドレール2Dの固定に使用され、破線R12で囲まれた2個の係合部110がデスク形態および収納形態における脚31cの固定に用いられる。また、二点鎖線で示すようにガイドレール2Dを取り付ける場合には、破線R21で囲まれた2個の係合部110がガイドレール2Dの固定に使用され、破線R22で囲まれた2個の係合部110がデスク形態および収納形態における脚31cの固定に用いられる。なお、破線R11,R21で囲まれた係合部110のキー穴111の長手方向は左右方向を向いており、その他の係合部110のキー穴111の長手方向は前後方向(図示左右方向)を向いている。
【0041】
以上説明した本発明の実施の形態および変形例によれば、以下の作用効果を奏する。
【0042】
(C1)図1,2,3,7A,7C等に示すように、車両用デスクユニット1000は、リアシート4Lのフレーム43に設けられたISOFIX対応のロアアンカー44に着脱可能に固定されるISOFIX対応の固定具12が、略長方形の平板部材であるベースボード11の長手方向の一端に設けられたベース部1と、ベースボード11の長手方向の他端に設けられ、ISOFIX対応の固定具12によりロアアンカー44に固定されたベースボード11を車室の床F上に支持する脚13と、ベースボード11に着脱可能に設けられたガイドレール2と、ガイドレール2により案内される被ガイド部310を有する天板30と、を備え、ガイドレール2は、被ガイド部310を、天板30がリアシート4Lに並設された他のリアシート4Wに対して対向配置される第1の位置(図7Aの配置30Aにおける被ガイド部310の位置)と、天板30がベースボード11の上方位置に配置される第2の位置(図7Cの配置30Fにおける被ガイド部310の位置)との間で案内する。
【0043】
上述のように、車両用デスクユニット1000は、図1に示すデスク形態と図6に示す収納形態とに変形させることができ、仕事使用に十分な大きさの天板30をリアシート4Wに近い位置に配置することができる。すなわち、仕事目的にも使用可能な車両用デスクユニットを提供することができる。車両走行時等の天板30を使用しない場合には、図6に示すような乗員に邪魔にならない収納形態とすることができる。
【0044】
(C2)上記(C1)において、図3、7A,7C等に示すように、ガイドレール2は、被ガイド部310をデスク形態の配置30Aにおける被ガイド部310の位置に案内する第1直線部2Aと、第1直線部2Aよりも長くかつ第1直線部2Aに対して直交するように設けられ、被ガイド部310を収納形態の配置30Fにおける被ガイド部310の位置に案内する第2直線部2Bと、第1直線部2Aおよび第2直線部2Bを連結する曲線部2Cとを備えるL字形状のガイドレールであって、第2直線部2Bは、ベースボード11の長手方向に沿って他端からISOFIX対応の固定具12が設けられた一端に向かって延在する。
【0045】
天板30を収納形態に移動させる場合には、被ガイド部310は(天板30の)長手方向に延在する第2直線部2Bにより案内される。図2に示すように、ベースボード11の長手方向の端部にはロアアンカー44に固定される固定具12が設けられているので、ベースボード11は長手方向に関して確実に固定される。そのため、天板30を第2直線部2Bにより案内する際にベースボード11の長手方向に力が加わっても、ベースボード11は動くことがなく、天板30を第2直線部2Bに沿って安定して移動させることができる。すなわち、形態変更の際の天板30の移動時における、安定性が向上する。好ましくは、図7Cに示すように、第2直線部2Bが固定具12の延長線J上に沿って配置されるようにガイドレール2をベースボード11に固定するのがよい。
【0046】
(C3)上記(C1)において、図3等に示すように、ベースボード11の表面側に形成された係合部110と、ガイドレール2に設けられ、係合部110に着脱可能に係合してガイドレール2をベースボード11に着脱する固定用キー21とをさらに備えるようにしても良い。このような係合部110および固定用キー21を備えることで、ガイドレール2の着脱を容易に行うことができる。
【0047】
(C4)上記(C3)において、図3等に示すように、ベースボード11は、ガイドレール2の固定部20a,20bを固定する固定用キー21が係合する係合部110(図3の破線R11a,R11bで囲まれた3つの係合部110)を含む、複数の係合穴部110を備える。固定部20a,20bが固定されない係合部110については、固定用キー21を用いて他の事務用品等のベースボード11への固定に利用することができる。
【0048】
(C5)上記(C2)において、図3等に示すように、ベースボード11の表面側に形成された複数の係合部110と、ガイドレール2に設けられ、複数の係合穴部110の内の一部の係合穴部110に着脱可能に係合してガイドレール2をベースボード11に着脱する複数の固定用キー21と、を備え、複数の係合穴部110は、L字形状のガイドレール2の第2直線部2Bが、ベースボード11の長手方向の他端からISOFIX対応の固定具12が設けられた一端に向かって延在するようにのみ着脱可能なように配置されている。
【0049】
図3に示すように、ベースボード11には複数の係合部110が設けられており、各係合部110には細長いキー穴111が形成されている。その内で、ガイドレール2の固定に用いられる係合部110は、破線R11a,R11bで囲まれた3個の係合部110のみである。そして、破線R11bで囲まれた係合部110のキー穴111の長手方向は前後方向(図示上下方向)に向いているので、図3に示す配置でしかガイドレール2をベースボード11に固定することはできない。すなわち、ベースボード11には複数の係合穴部110が形成されている、図3に示すように構成することで、ガイドレール2が誤った配置でベースボード11に取り付けられるのを、防止することができる。
【0050】
以上説明した各種の実施の形態や変形例はあくまでも一例であり、発明の特徴を損なわない限り、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0051】
1…ベース部、2,2D…ガイドレール、2A…第1直線部、2B…第2直線部、2C…曲線部、3…デスク部、4L,4W…リアシート、11…ベースボード、12…固定具、13,31a,31b、31c…脚、20a,20b,311…固定部、21…固定用キー、25…凸部、30…天板、43…フレーム、44…ロアアンカー、110…係合部、310…被ガイド部、1000…車両用デスクユニット、F…床
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10