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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-05
(45)【発行日】2024-02-14
(54)【発明の名称】洗濯物のガス乾燥機
(51)【国際特許分類】
   D06F 58/02 20060101AFI20240206BHJP
   D06F 58/48 20200101ALI20240206BHJP
【FI】
D06F58/02 C
D06F58/48
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022070112
(22)【出願日】2022-04-21
(62)【分割の表示】P 2017216681の分割
【原出願日】2017-11-09
(65)【公開番号】P2022106820
(43)【公開日】2022-07-20
【審査請求日】2022-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】517260700
【氏名又は名称】アイナックス稲本株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078673
【弁理士】
【氏名又は名称】西 孝雄
(72)【発明者】
【氏名】廣澤 吉則
(72)【発明者】
【氏名】稲森 件吾
【審査官】遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-309199(JP,A)
【文献】特開平03-275100(JP,A)
【文献】特開平09-105549(JP,A)
【文献】特開平09-145247(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0239433(US,A1)
【文献】特開2007-061410(JP,A)
【文献】特開2004-215943(JP,A)
【文献】特開平08-038796(JP,A)
【文献】特開2001-120898(JP,A)
【文献】特開2014-161525(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 58/02
D06F 58/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯物を乾燥するのに使用する乾燥用空気として機外から吸入した外気とバーナの燃焼ガスとを吸入ダクト内で混合した加熱空気を用い、前記乾燥用空気の排気の一部又は全部を乾燥用空気の入口側に戻して乾燥用空気として再利用する排気循環を行う洗濯物のガス乾燥機において、
前記バーナより下流側の排気ダクトと吸入ダクトとを連通する循環開口と、当該循環開口を開閉する弁体と、前記バーナより外気吸入口側にダクト内の空気温度を検出する温度センサとを備え、当該温度センサが外気温より高い温度を検出したときに制御器が前記排気循環の排気循環率を減少させる方向に前記弁体を操作させて排気の逆流を生じない排気循環率で排気循環を行うことを特徴とする、洗濯物のガス乾燥機。
【請求項2】
前記吸入ダクトの外気吸入口に逆流する空気の風圧で閉鎖されるフラップを備えている、請求項1記載の洗濯物のガス乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、洗濯物のガス乾燥機、すなわち、乾燥機内で洗濯物を乾燥するのに用いる乾燥用空気として、外気とバーナの燃焼ガスとを混合して得られる加熱空気を用いる業務用の洗濯物乾燥機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
横軸周りに回転する内胴内に収容した洗濯物を内胴を回転させながら当該内胴を通過する乾燥用空気で乾燥する洗濯物乾燥機は、乾燥を促進するために乾燥用空気を加熱する加熱手段を備えている。ガス乾燥機は、乾燥用空気の加熱手段としてガスバーナを用いる乾燥機で、加熱手段として電気ヒータや蒸気ヒータを用いる乾燥機に比べて乾燥用空気を加熱するために必要なコストを低減できるという特徴がある。
【0003】
ガス乾燥機では、バーナに燃料ガスと燃焼用空気とを供給する必要があるが、両者を予め均一に混合してバーナに供給することにより、燃焼の安定化と効率化を図ることができる。バーナに燃焼ガスと燃焼用空気との混合気を供給する装置としてガスユニットと呼ばれる装置が用いられている。
【0004】
ガス乾燥機に従来用いられているガスユニットは、給気ファンで吸入した燃焼用空気と圧送されて来る燃料ガスとを混合器で混合してバーナに供給するという方式である。このポジティブミックス方式と呼ばれる方式では、図9に示すように、ガスユニット7を乾燥機本体1の下方に配置し、吸入ダクト8を乾燥機本体1の側面に設けて、当該ダクト内にバーナ31を配置し、乾燥機の側面下方81から吸入した外気を吸入ダクト8内でバーナ31の燃焼ガスと混合して加温し、乾燥機本体の上方から乾燥機内へ流入させるようにしている。このような吸入ダクトを備えたガス乾燥機は、特許文献1にも示されている。
【0005】
内胴に濡れた洗濯物を投入して乾燥運転を開始した運転初期においては、洗濯物に多くの水分が含まれているため、乾燥機を通過した後の乾燥用空気の温度は低下し、湿度は上昇する。乾燥用空気によって洗濯物が加熱されると、乾燥が促進され排気の湿度も高くなるが、洗濯物の水分が低下するに従って排気の温度は上昇し、湿度は低下して行く。この比較的温度が高くかつ湿度の低い排気を機外に排出すると、エネルギー損失が大きくなるので、排気の一部又は全部を乾燥用空気の入口側に戻して乾燥用空気として再利用する、いわゆる排気循環が行われている。排気循環を適切に、すなわち乾燥開始からの経過時間や排気の温度や湿度に応じた排気循環率(排気の全量に対する再循環する排気の割合)で排気循環を行うことにより、洗濯物の乾燥を効率よく行うことができる。
【0006】
ガスバーナに燃料ガスと燃焼用空気との混合気を供給するガスユニットとしては、前述したポジティブミックス方式と呼ばれている方式の他に、例えば、特許文献2に示されているような、バーナに混合気を送る給気ファンの吸入口に燃料ガスを供給して吸入口から吸入された空気と燃料ガスとをファン内で混合するネガティブミックス方式と呼ばれるガスユニットが公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2004-144336号公報
【文献】特開平10-89628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ガス乾燥機では、バーナの燃焼出力と乾燥用空気の風量とが給気ファンの回転数と通風ブロワの風量とで個別に設定されるため、排気循環をしたときに、循環空気量と新たに吸入される外気量とのバランスが崩れ易く、排気循環を行ったときに循環させる排気が外気の吸入口から逆流して機外へ吹き出す問題があった。そのため、吸入口から排気が吹き出さない程度の範囲で循環率を設定しなければならず、適切な排気循環を行えない問題があった。更に、吸入口から排気が吹き出さない範囲での排気循環率の設定に経験を要し、設定を間違えると排気の吹き出しが生ずるという問題もあった。
【0009】
また、ガス乾燥機に従来採用されていたガスユニットは、燃焼用空気の取り込み口から混合器までの距離に制約があって装置寸法が大きいため、洗濯物乾燥機に組み込むのに制約があり、乾燥用空気の吸入ダクトの配置の関係で、乾燥機全体の設置スペースも大きくなる問題があった。
【0010】
この発明は、上記のような問題を解決するためになされたもので、適切な排気循環を行うことで省エネ性能に優れたガス乾燥機を提供することを課題としている。更に、構造が簡単で設置面積も小さくすることができる洗濯物のガス乾燥機を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明の洗濯物のガス乾燥機は、吸入口32から吸入した外気とバーナ31の燃焼ガスとを混合しながら流す吸入ダクト3とバーナ31に燃料ガスと燃焼用空気の混合気を送るガスユニット5とを備えている。
【0012】
この発明では、排気循環を行うガス乾燥機において、乾燥用空気となる外気を吸入する吸入ダクト3のバーナ31より上流側(外気吸入口側)にダクト内の空気温度を検出する温度センサ39を設けている。この温度センサが外気温より高い高温を検出したときに、制御器に排気循環率を低下させる制御を行わせることにより、循環排気の逆流が生じたときに排気循環率を下げて適切な排気循環率を維持する運転を実現できる。
【0013】
また、排気循環を行うガス乾燥機において、吸入ダクト3の外気吸入口32に逆流する空気の風圧で閉鎖されるフラップ38を設ければ、排気循環のバランスが崩れたときでも排気が外気吸入口32から機外に吹き出すのを防止できる。
【0014】
好ましいガス乾燥機は、吸入ダクト3とガスユニット5とが乾燥機本体1の上部に設けられており、当該吸入ダクト3は、その延在方向を、すなわち吸入ダクト内の流れの方向を横方向にして設けられる。
【0015】
更に、排気ダクト4を吸入ダクト3に隣接して平行に配置し、排気ダクト4とバーナ31より下流側の吸入ダクト3とを区画する隔壁44に排気を吸入ダクト3に導く循環開口42と、この循環開口を開閉する弁体(フラップ弁)43を設けることで、コンパクトな構造で排気循環を可能にすることができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、乾燥用空気の吸入口に取り付けた温度センサで排気の逆流を検知できるので、その検出信号に基づいて制御器に排気循環率を自動制御させることにより、自動で適切な排気循環を行って効率の良い乾燥運転を行うことができるという効果がある。更に、乾燥用空気の吸入口にフラップを設けて、循環する排気の逆流を防止したので、機外への排気の吹き出しを抑えることが可能になり、循環率を幅広く設定することが可能になる。
【0017】
また、ガス乾燥機の吸入ダクトに設けたバーナに混合気を供給するガスユニットとバーナを配置した乾燥用空気の吸入ダクトとを乾燥機の上部に設けることが可能になり、機械寸法が小さくなり、乾燥機の設置面積も小さくなるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施例のガス乾燥機の断面正面図
図2】吸入ダクトの断面平面図
図3】排気ダクトの断面平面図
図4】排気の流路を主として示す断面側面図
図5】排気循環を行わないときの乾燥用空気の流れを示す図
図6】排気の全量を循環させたときの乾燥用空気の流れを示す図
図7】共鳴による騒音発生の説明図
図8】通風ブロワ出力の制御の例を示す説明図
図9】従来の洗濯物のガス乾燥機のガスユニットと吸入ダクトの配置の例を示す正面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、この発明を具体的に説明する。図に示すガス乾燥機は、乾燥機本体1内で横軸周りに回転する内胴11内に投入された洗濯物を当該内胴を直径方向に通過する乾燥用空気Aで乾燥する構造である。内胴11は、金網などの乾燥用空気Aが通過可能な周面を備えており、その内側には適宜バッフル12が設けられている。内胴11内に投入された洗濯物は、内胴11の回転によりバッフル12で掻き上げられて落下するという動作を繰り返し、この間に内胴内を流れる乾燥用空気Aによって乾燥される。
【0020】
乾燥用空気Aは、乾燥機本体1の出口開口15部分に設けた通風ブロワ22の回転により、図1の右上に設けた入口開口13から乾燥機本体1内に流入して左下の流出開口14から流出する。流出開口14を通過した乾燥用空気Aは、リントコレクタ21で通過空気中のリント(繊維屑)が除去された後、乾燥機本体1の図1の左上の出口開口15から排気ダクト4へと流出する。乾燥機本体1内には、乾燥用空気Aが内胴11内を横切って流れるように導くための隔壁16、17及び18、19が設けられている。通風ブロワ22は、図示しない制御機によって回転速度を制御されるインバータモータ23で回転駆動されている。
【0021】
乾燥の初期においては、内胴を通過した乾燥用空気の湿度が高く、入口温度と出口温度との温度差が大きい。しかし乾燥の進行に伴って湿度及び温度差は低下する。そこで内胴を通過した後の乾燥用空気の湿度や温度差が低い場合に、排気循環、すなわち内胴を通過した後の乾燥用空気を再度内胴を通過させることにより、乾燥機で消費される熱エネルギーを低減することができる。
【0022】
ガス乾燥機では、乾燥用空気の温度を上昇させて乾燥を速めるためにバーナ31の燃焼熱が利用されている。図のガス乾燥機では、乾燥機本体1の上部に横方向に乾燥用空気の吸入ダクト3が配置され、当該吸入ダクトの略中間位置にバーナ31が配置されている。乾燥用空気として用いられる外気は、吸入口32から吸入ダクト3内へと吸い込まれ、バーナ31の燃焼ガスと混合されて加熱されて、乾燥用空気の入口開口13へと導かれている。
【0023】
吸入ダクト3内で外気とバーナ31の燃焼ガスとを均一に混合して乾燥用空気の温度を均一にするためには、バーナ31から入口開口13までの距離をできるだけ長くするのが好ましい。乾燥用空気Aの温度の不均一による乾燥効率の低下を避けるためには、バーナ31のノズル先端31aを少なくとも内胴11の回転中心N又は乾燥機本体1の中心Mより吸入口32に近い側に位置するように設ける。
【0024】
更に図示のガス乾燥機では、図2、4に示すように、バーナ31を吸入ダクト3の断面中心に配置し、バーナ31の周囲の吸入空気の流路を部分的に遮蔽する邪魔板37を設けている。この邪魔板は、バーナ31の周囲の吸入空気をバーナ31の火炎の方に導くように、バーナ31の火炎の近くに設けられている。この邪魔板37により、吸入口32から吸入された外気がバーナの火炎側へと導かれ、更に邪魔板37の背後で渦が発生することにより、外気と燃焼ガスとの混合が促進されて均一な温度の乾燥用空気を得ることができる。図では、矩形の邪魔板37をバーナ31の左右に配置しているが、バーナ31の上下左右に配置するなど、バーナ31の周囲を流れる吸入空気の一部をバーナ31の火炎の方に導くように設ける。
【0025】
図のガス乾燥機では、排気ダクト4を吸入ダクト3の上に重ねて配置し、乾燥機本体1の図1における左上部の出口開口15から流出する排気を吸入ダクト3を上下に貫通する排気流路24を通して排気ダクト4に導き、排気ダクト4の下流端の図1における右上方の排気口41から機外に排出する構造としている。
【0026】
このようにすれば、循環させる排気を短い通路で乾燥機に導くことができる。更に、乾燥機の出口開口15と排気ダクト4とを連通する排気流路24が、バーナ31の上流側で吸入ダクト3を貫通するように設けられる。この貫通部において、吸入ダクト3を流れる外気に生ずる渦が外気とバーナ31の燃焼空気とを混合させるのに有効に働き、更に排気の熱で吸入ダクト3に流入する外気を暖めることもできる。
【0027】
排気ダクト4の下流端の排気ダクト4と吸入ダクト3とを区画している隔壁44に、排気を循環させるための循環開口42が設けられ、この循環開口を流れる排気の量を調整するフラップ弁43が設けられている。このフラップ弁43で循環開口42を閉鎖した状態では、図5に示すように、排気ダクト4を流れた排気の全量が排気口41から排出され、フラップ弁43で排気口41を閉鎖した状態では、図6に示すように、排気ダクト4を流れた排気の全量が循環開口42及び吸入ダクト3の下流端を通って入口開口13に導かれる。フラップ弁43を排気口41と循環開口42との中間に位置させることにより、排気の一部が吸入ダクト3側へと流入し、吸入ダクト3を流れてきた空気と混合されて乾燥機本体の入口開口13へと流れる。
【0028】
このような構造とすることにより、排気循環、すなわち排気の一部又は全部を再び内胴11内に通過させて乾燥機の消費エネルギーを軽減する運転を可能にした乾燥機の空気流路を合理的かつコンパクトに形成することができる。
【0029】
実施例のガス乾燥機では、バーナ31に混合気を供給するガスユニットとしてネガティブミックス方式を採用している。ネガティブミックス方式では、図2に示すように、給気ファン33の空気吸込口34側で燃焼用空気Bに燃料ガスCを供給してファン33内で回転するインペラによって燃焼用空気と燃料ガスとを均一に混合する方式である。この発明では、ネガティブミックス方式を洗濯物の乾燥機に採用することにより、ガス乾燥機のガスユニット及びバーナを通過した後の吸入ダクトをコンパクトに形成することを可能にしている。
【0030】
給気ファン33は、図2、4に示すように、吸入ダクト3の側面に配置されている。燃焼用空気Bは、給気ファン33の軸方向に吸入され、その吸入路35の途中で側方から供給される燃料ガスCと共に給気ファン33内に流入し、回転するインペラの攪拌作用によって混合されて、スクロール36の出口から吸入ダクト3の側壁を直線的に通過してバーナ31へと導かれている。
【0031】
図には詳細を示してないが、バーナ31にはパイロットバーナが設けられて、メインバーナの燃焼が止まっているときには、このパイロットバーナが点火されている。バーナ31から出る燃焼ガスの量は、給気ファン33の回転数や燃料ガスCの供給量によって調整される。
【0032】
排気循環を行う乾燥機では、循環された排気と新たに吸入された外気とを混合して温湿度の均一な乾燥用空気を内胴に供給することが望まれる。図に示したガス乾燥機では、排気ダクト4から吸入ダクト3の下流端につながる循環開口42の開口面積を排気ダクト4や吸入ダクト3の断面積より小さくし、排気ダクト4から吸入ダクト3へと流れた循環空気を循環開口42の下流側で拡散させることにより、排気循環時における排気と吸入空気との混合が促進されるようにしている。
【0033】
排気循環を行う洗濯物乾燥機では、排気量に対する循環量の割合である排気循環率と吸入空気量とのバランスが崩れると外気の吸入口32から排気が逆流して機外に吹き出ることがある。そのため、排気が吹き出さない程度の循環率しか設定できず、排気循環の適用範囲に制約があった。この発明では、外気の吸入口32に逆止弁として作用するフラップ38を取り付けることで、排気循環を行っているときに吸入口32からの排気の吹き出しを防止している。
【0034】
すなわち図1、2に示すように、乾燥用空気の吸入口32にフラップ38を設け、吸入ダクト3に空気の逆流が生じたときにその風圧によりフラップ38が揺動して吸入口32を閉じるようにしている。これにより、排気循環をしたときの排気の逆流による機外への吹き出しを抑えることが可能になり、循環率を幅広く設定することを可能にしている。
【0035】
更に図示実施例の乾燥機では、乾燥用空気の吸入口32に温度センサ39を設け、排気循環時にこのセンサの検出温度が上昇したときに、制御器が排気循環率を変化させて排気の逆流を緩和するようにしている。すなわち、乾燥用空気の吸入口32に温度センサ39を取り付け、この温度センサが高温の循環空気を感知した場合に、制御器が循環率を減少させる方向にフラップ弁43を操作させることで、排気の逆流を生じない最適な循環率で排気循環を行うことを可能にしている。
【0036】
ガス乾燥機においては、乾燥機の運転開始時に通風ブロワ22と給気ファンの回転数に関連するバーナ31の燃焼出力とが停止状態から制御機で設定される定常状態へと立ち上がって(加速して)ゆく。この加速途中においては、通風ブロワや給気ファン、燃焼バーナなどによって生ずる振動が静止状態から定常状態への振動と変化してゆく。この加速時の振動の変化が例えば図7(a)に示すように、時間と共にバーナ出力aが直線的に増加し、通風ブロワ出力bが曲線的に増加して、起動から一定時間低下した時点で交差するような場合、この交差点Qが共振点となり、乾燥機本体1やダクト3、4の固有振動数とも関連して騒音を発生することがある。
【0037】
この騒音の発生を防止するには、整流板などで乾燥用空気の流路の形状を変形させるとか、バーナ31やダクト3、4を構成する部材の重量を重くして共振点を物理的にずらすなどの対策が必要である。しかし、特定の条件下で共鳴が緩和されても、洗濯物の状態などの周辺条件の変化で新たな共振点が出てきた場合には、再度同様な手法で共振を緩和するポイントを探して対策を講ずる必要がある。
【0038】
この問題のより適切な対策として、乾燥運転の立ち上がり時にバーナ31の燃焼出力とバーナの周辺を流れる吸入空気の風速や風量を監視して、これらの検出値により共振点Qに近づいたことを実績データなどにより制御器に判断させて、図7(b)に示すように通風ブロワ22の加速を遅らせる等の制御を行わせることで、自動的に共振点をずらして騒音の発生を防止することが可能である。
【0039】
排気循環式のガス乾燥機においては、排気循環率によってバーナ近傍の環境条件が変化し、燃焼性能を変化させることがある。燃焼性能の変化は、例えば瞬間的なガス使用量の増減の原因となり、NOx発生量やCO発生量の増大となって現れてくる。通気ブロワ22の風量を一定にした制御では、乾燥工程の初期にガス使用量の瞬時値が増加し、NOxやCOの発生量が大きくなる。
【0040】
この問題は、例えば図8に示すように、通風ブロワの出力bを低い値に設定して乾燥工程を開始し、予め制御器に登録した演算式に基づくか、ある時点P1、P2での値を設定して補間演算で順次増加させるという制御を行うことで、バーナ31のガス使用量瞬時値を安定させ、COやNOxの発生量を低い値に維持することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 乾燥機本体
3 吸入ダクト
4 排気ダクト
5 ガスユニット
22 通風ブロワ
24 排気流路
31 バーナ
32 外気吸入口
33 給気ファン
34 空気吸込口
38 フラップ
39 温度センサ
42 循環開口
43 フラップ弁
C 燃料ガス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9