(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-05
(45)【発行日】2024-02-14
(54)【発明の名称】流体移送装置の改良されたコンポーネント
(51)【国際特許分類】
A61J 1/20 20060101AFI20240206BHJP
【FI】
A61J1/20 314C
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022118501
(22)【出願日】2022-07-26
(62)【分割の表示】P 2020196098の分割
【原出願日】2016-06-06
【審査請求日】2022-08-02
(32)【優先日】2015-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(73)【特許権者】
【識別番号】515215911
【氏名又は名称】エクアシールド メディカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100113376
【氏名又は名称】南条 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100179394
【氏名又は名称】瀬田 あや子
(74)【代理人】
【識別番号】100185384
【氏名又は名称】伊波 興一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100137811
【氏名又は名称】原 秀貢人
(72)【発明者】
【氏名】クリヘリ マリノ
【審査官】小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/122296(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0277021(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンジおよびコネクターからなるシステムであって、
前記コネクターは、薬剤が中に収納される流体移送コンポーネントと前記シリンジとを接続するためのものであり、
前記コネクターは、前記シリンジと前記コネクターとを一緒に連結するように構成された機械的配置を備えており、前記機械的配置は、前記コネクターに対する前記シリンジの一方および双方向の旋回を可能にするように構成されており、それにより、前記シリンジおよび前記コネクターは、それらの共通の縦軸の周りで互いに対して旋回することができ、
ここで、前記機械的配置は、前記コネクターのハウジングの近位端の内側壁(inside wall)の上部付近の、少なくとも1つの歯;
O-リングのためのシートおよ
び雌ルアーエレメントの下側末端を収容するための凹所を備える、支持構造
;
前記支持構造の底部付近の水平フランジの上部に作られた、少なくとも1つの歯;
および、
前記シリンジの先端の雄ルアーエレメント
に接続される雄ネジを備え
る雌ルアーエレメント、を備えており、
前記シリンジの先端の雄ルアーエレメントは、前記シリンジを時計回りにひねる動作によって前記雌ルアーエレメントの前記雄ネジに取り付けられ、
前記雌ルアーエレメントの底部は、間に環状空間を有する上側フランジおよび下側フランジと、前記下側フランジの下側表面上の少なくとも1つの歯とを備えており、
ここで、前記コネクターの前記ハウジングの内側壁の上部付近の前記少なくとも1つの歯は、前記雌ルアーエレメントを、前記コネクターの上部の内側に保持するように構成されて、
ここで、前記コネクターの前記ハウジングの前記支持構造上の前記少なくとも1つの歯は、反時計回りの方向で上向きに傾斜して垂直の背面で終わる上側表面を備える三角形状を有しており、前記雌ルアーエレメントの前記下側フランジの底部の前記少なくとも1つの歯は、時計回りの方向で上向きに傾斜して垂直の背面で終わる上側表面を備えており、
ここで、前記の各歯は、それらのそれぞれのフランジ上に配置および配向されており、それにより、前記雌ルアーエレメントおよび取り付けられたシリンジが反時計回りの方向で前記コネクターのハウジングに対して回転される場合は、両方のフランジ上の歯の傾斜している表面が互いの上をスライドして回転がこの方向で行なわれるのを可能にし、そして、前記雌ルアーエレメントおよび取り付けられたシリンジが時計回りの方向で前記コネクターのハウジングに対して回転される場合は、両方のフランジ上の歯の垂直な表面が互いに対して突きあたり、前記雌ルアーエレメントとコネクターのハウジングとの間のこの方向での相対的な動きが妨げられ、
ここで、前記コネクターは、前記コネクターの前記ハウジングの近位端の内側壁の上部付近の歯の底部と前記雌ルアーエレメントの前記下側フランジの上部との間の空間を備えており、それにより、前記雌ルアーエレメントがこの空間の高さ分を持ち上げられた際に、前記ハウジングの前記支持構造上の前記少なくとも1つの歯が前記雌ルアーエレメントの前記下側フランジの底部上の前記少なくとも1つの歯から垂直に離れ、それらが互いと相互作用するのを妨げるのを可能にし、それにより、前記雌ルアーエレメントおよび取り付けられたシリンジが前記コネクターのハウジングに対して時計回りに回転されるのを可能にし、それにより、前記雌ルアーエレメントおよび取り付けられたシリンジが前記コネクターのハウジングに対して一方および双方向に旋回することを可能にし、前記シリンジまたはコネクターを互いに対して反時計回り方向または時計回り方向のいずれかに相対的にひねろうとすると、それらの共通の縦軸の周りを終わりなく旋回することとな
る、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体移送装置の分野に関する。具体的には、本発明は、1つのコンテナーから別のものへ、または患者への、有害薬剤の汚染フリーの移送のための装置に関する。より具体的には、本発明は、流体移送装置において用いられるコネクターおよびアダプターおよびシリンジの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
薬剤療法の進歩および改良された手順は、改良されたバルブおよびコネクターに関する必要性を絶えず増大させる。様々なタイプ、質、針安全性、微生物侵入予防および漏出予防に関する要求は、絶えず増大している。加えて、自動化および手動の、無菌または無菌でないアプリケーションの、サンプリングまたは用量分配技術における進歩は、サンプリング針に関して、新しい安全な、隠している(concealing)解決策を必要とする。1つの極端に要求されるアプリケーションは、有害薬剤の調製および投与に携わる医療および薬理関係者が、周囲環境へ逃げ得る薬剤およびそれらの蒸気に曝されるリスクの影響を受ける分野に存在する。本明細書において言及される「有害薬剤」は、任意の注入可能な材料であって、それとの接触、またはその蒸気との接触が健康被害を構成し得るものである。そのような薬剤の例示的および非例示的な例は、とりわけ、細胞毒素、抗ウイルス薬、化学療法薬、抗生物質、および放射性医薬品、例えば、ハーセプチン、シスプラチナム、フルオロウラシル、ロイコボリン、パクリタキセル、エトポシド、シクロホスファミドおよびネオサール(neosar)、または、液体、固体、または気体状態でのそれらの組み合わせを含む。
【0003】
液体または粉末形状での有害薬剤は、バイアル内に収容されて、典型的に、保護服、口マスク、および層流安全キャビネットを与えられた薬剤師によって、隔離された部屋で調製される。カニューレの付いたシリンジ、すなわち中空針は、薬剤をバイアルから移すために用いられる。調製された後に、有害薬剤は、非経口投与向けのバッグ内に含まれる溶液、例えば、静脈内投与向けの生理食塩水に添加される。
【0004】
有害薬剤は毒性であるので、それに対する直接的な体の接触、または、マイクロ量の薬剤蒸気への曝露でさえ、皮膚癌、白血病、肝臓損傷、奇形、流産および早産のような、健康致死性に発展するリスクをかなり増大させる。そのような曝露は、薬剤を含むレセプタクル、例えば、バイアル、ボトル、シリンジ、および静脈内バッグが、超過圧力を受けた場合に生じ得て、有害薬剤によって汚染された流体または空気の、周囲環境への漏出をもたらす。また、有害薬剤への曝露は、針の先端、バイアルまたは静脈内バッグシールに残存している薬剤溶液から、または、針の先端による皮膚の偶発的な穿刺によっても、もたらされる。加えて、曝露の同一経路を通して、環境由来の微生物の汚染物質が薬剤および流体中に移送され得て;その結果、場合により致命的な結果で無菌状態を取り除く。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の発明者のUS8,196,614およびUS8,267,127は、有害薬剤の汚染フリーの移送を提供するように設計された閉鎖系液体移送デバイスを記載する。
図1および
図3a~3bは、US8,196,614に記載の、本発明の一実施態様に係る周囲環境を汚染せずに有害薬剤を移送させるための器具10の概略の断面図である。本発明に関連のあるこの器具の主な特徴を、本明細書に記載する。さらなる詳細は、前述の特許に見ることができる。
【0006】
器具10の近位部分は、所望の容量の有害薬剤を、それが中に収容される流体移送コンポーネント、例えばバイアル16または静脈内(IV)バッグから、引き込むまたは注入して、続けて、薬剤を別の流体移送コンポーネントに移送するのに適合された、シリンジ12である。シリンジ12の遠位端でコネクター部分14に接続されて、次々に、バイアルアダプター15によってバイアル16に接続される。
【0007】
器具10のシリンジ12は、本体18よりもかなり小さな直径を有する管状スロート20を備える円柱状の本体18、円柱状の本体18の近位端上に取り付けられた環状ゴムガスケットまたはストッパーアセンブリ22、ストッパー22を密閉通過する(sealingly passes through)中空のピストンロッド24、および、近位ピストンロッドキャップ26(それによりユーザーは、ストッパー22を通してピストンロッド24を上下に押したり引いたりすることができる)からなる。エラストマーの材料で作られたピストン28は、ピストンロッド24の遠位端に確実に取り付けられる。円柱状の本体18は、剛性材料、例えばプラスチックで作られる。
【0008】
円柱状の本体18の内壁(inner wall)と密閉係合してそれに対して変位可能なピストン28は、可変の容量の2つのチャンバー:ピストン28の遠位面とコネクター部分14との間の遠位液体チャンバー30、および、ピストン28の近位面とストッパー22との間の近位空気チャンバー32を規定する。
【0009】
コネクター部分14は、コネクター部分14の上部から近位に突き出てスロート20を取り囲むカラーによってシリンジ12のスロート20に接続される。器具の実施態様は、スロート20を必ずしも備えないことに注意する。これらの実施態様では、シリンジ12およびコネクター部分14は、単一エレメントとして製造時に一緒に形成されて、または、例えば糊または溶接によって永久に一緒に取り付けられて、または、螺合またはルアーコネクターのような連結手段を用いて形成される。コネクター部分14は、二重膜シールアクチュエーターが第一の遠位位置に配置される場合に針が隠される正常の第一の構成および二重膜シールアクチュエーターが近位に移された場合に針が露出している第二の位置からレシプロ式で移動可能な、二重膜シールアクチュエーターを備える。コネクター部分14は、別の流体移送コンポーネントに開放可能に連結されるように適合されて、それは、「流体移送アセンブリ」を生産する薬剤バイアル、静脈内バッグ、または静脈内ラインのような標準的なコネクターを備える任意の流体コンテナーであってよく、それを通して、流体は、一方の流体移送コンポーネントから他方に移送される。
【0010】
コネクター部分14は、円柱状の、中空の外側本体;本体から放射状に突き出て、連結のために流体移送コンポーネントの近位端がそれを通して挿入される開口部を有する遠位端で終わる、遠位ショルダー部分19;本体の内部で相互に変位可能な二重膜シールアクチュエーター34;および、その近位端で、二重膜シールアクチュエーター34を備える円柱状アクチュエーターケーシングの中間部分に連結される、ロッキングエレメントとしての役割を果たす1つまたは複数の弾性アーム35を備える。空気導管38および液体導管40として機能する2つの中空針は、針ホルダー36内に固定されて維持されて、コネクター部分14の上部の中央部分からコネクター部分14の内部に突き出る。
【0011】
導管38および40は、針ホルダー36から遠位に伸長して、アクチュエーター34の上側膜を突き通す。導管38および40の遠位端は、鋭い尖った末端および開き口を備え、それを通って、流体移送操作中に必要とされるとおりに、空気および液体が、導管のそれぞれの内部の中および外に通ることができる。空気導管38の近位端は、シリンジ12内の近位空気チャンバー32の内部において伸長する。
図1に示される実施態様では、空気導管38は、ピストン28を通過して、中空のピストンロッド24の内側に伸長する。導管38を通って流れる空気は、ピストンロッド24の内部に入り/出て、そして、ピストン28のすぐ上のピストンロッド24の遠位端に形成された開き口を通って空気チャンバー32に入る/出る。液体導管40の近位端は、液体導管がシリンジ12のスロート20の内部を介して遠位液体チャンバー30と流体連通するように、針ホルダー36の上部で、または上部からわずかに近位で終わる。
【0012】
二重膜シールアクチュエーター34は、長方形断面を有する近位円板形状の膜34a、および、円板形状の近位部分と近位部分に対して放射状に内側に向けて配置された円板形状の遠位部分とを備えるT型断面を有する2つのレベルの遠位膜34bを保持する、円柱状のケーシングを備える。遠位膜34bの遠位部分は、アクチュエーター34から遠位に突き出る。2以上の等しい長さの弾力のある延長されたアーム35は、アクチュエーター34のケーシングの遠位端に取り付けられる。アームは、遠位の拡大されたエレメントで終わる。アクチュエーター34が第一の位置に存在する場合は、導管38および40の尖った末端は、近位および遠位膜の間に維持されて、導管30および40の末端を周囲環境から単離して、それにより、シリンジ12の内部の汚染およびその内部に含まれる有害薬剤の周囲環境への漏出を防止する。
【0013】
バイアルアダプター15は、コネクター部分14を、薬剤バイアル16または適切な形状および寸法のポートを有する任意の他のコンポーネントに接続するために用いられる、中間接続部である。バイアルアダプター15は、バイアル16の頭部への固定を容易にするためにその内面上に凸状リップを備えて形成された複数の円周セグメントが円板の円周において取り付けられてそれから遠位に離れて尖っている(pointing distally away)円板形状の中央ピース、および、円板形状の中央ピースの他方サイドから近位に突出する縦拡張(longitudinal extension)を備える。縦拡張は、コネクター部分14の遠位端において開口部へ適合し、本明細書において後述するように薬剤の移送を可能にする。縦拡張は、拡張のものよりも大きな直径を有する膜エンクロージャで近位に終わる。膜エンクロージャ内の中央開口部は、膜15aを保ってアクセス可能にさせる。
【0014】
縦拡張内に内部に形成されて膜エンクロージャ内の膜から遠位に伸長する2つの縦チャネルは、導管38および40をそれぞれ受け入れるように適合される。コネクター部分14がバイアルアダプター15と嵌合された場合に、導管38および40が常に縦拡張内のそれらの所定のチャネルに入るのを確実にするための、機械的なガイダンス機構が提供される。縦拡張は、遠位に突き出るスパイクエレメント15bで遠位に終わる。スパイクエレメントは、内部に形成されたチャネルとそれぞれ連通した開口部、およびその遠位の尖った末端の開口部を備えて形成される。
【0015】
バイアル16は、ネック部分を備えるバイアルのメイン本体に取り付けられた、拡大された円形のヘッド部分を備える。ヘッド部分の中央には、近位シール16aがあり、その中に収容された薬剤の外側への漏出を防ぐように適合される。バイアル16のヘッド部分がバイアルアダプター15のカラー部分に挿入されて、遠位の力がバイアルアダプター15に加えられると、コネクター部分14のスパイクエレメント15bは、バイアル16のシール16aを突き通して、コネクター部分14内の内側チャネルが薬剤バイアル16の内部と連通するのを可能にする。これが生じると、コネクター部分のカラー部分の遠位端における円周セグメントは、バイアル16のヘッド部分と確実に係合される。バイアル16のシールが突き通された後に、それは、スパイクの周りをシールして、バイアルからの薬剤の外側への漏出を防止する。同時に、バイアルアダプター15内の内側チャネルの上部は、バイアルアダプター15の上部で膜15aによって密封されて、空気または薬剤がバイアル16の内部に入るまたは出るのを防止する。
【0016】
薬剤移送器具10を組み立てるための手順は、
図2a~
図2dに示されるように行なわれる:ステップ1-バイアル16およびバイアルアダプター15が、バイアルの近位シール16aを貫通するスパイクエレメント15bと、一緒に結合された後に、バイアルアダプター15の膜エンクロージャ15aは、
図2aに示されるように、コネクター部分14の遠位開口部の近くに配置される。ステップ2-二重膜の係合手順は、
図2bに示されるように、バイアルアダプター15の縦拡張および膜エンクロージャが、コネクター部分14の遠位端で開口部に入るまで、軸方向運動によってコネクター部分14の本体を遠位に移すことによって開始される。ステップ3-アクチュエーター34の遠位膜34bは、コネクター部分14の本体のさらなる遠位転置によって、バイアルアダプター15の動かない膜15aに対して接触および圧迫させられる。膜が一緒にしっかりと圧迫された後に、コネクター部分14のアームの末端における拡大されたエレメントは、コネクター部分14のより狭い近位部分へ押しつぶされて、それにより、
図2cに示されるように、一緒に圧迫されて縦拡張の周りおよびバイアルアダプター15の膜エンクロージャの下に係合された膜を保持して、それにより、二重膜シールアクチュエーター34がバイアルアダプター15から脱係合するのを防止する。ステップ4-
図2dに示されるように、コネクター部分14の本体のさらなる遠位転置は、導管38および40の先端が、アクチュエーター34の遠位膜およびバイアルアダプター15の上部の膜を突き通して、バイアル16の内部と流体連通するまで、アクチュエーター34をコネクター部分15の本体に対して近位に移動させる。これらの4つのステップは、コネクター部分14がバイアルアダプター15に対して遠位に移されるときに、1つの連続的な軸方向運動によって行なわれて、それらは逆にされて、コネクター部分14およびバイアルアダプター15を引き離すことによりバイアルアダプター15からコネクター部分14を分離する。手順は4つの別々のステップを含んで本明細書に記載されるが、これは、手順の説明し易さのためのみであることを強調することが重要である。実際の実施では、本発明を用いた固定された二重膜の係合(および脱係合)の手順は、単一の滑らかな軸方向移動を用いて行なわれることが理解されるべきである。
【0017】
図1に示される薬剤移送アセンブリ10が、
図2a~
図2dに関して本明細書において上記に示されるように組み立てられた後に、ピストンロッド24を移動させて、バイアル16から液体を引き込み、または、シリンジからバイアル中に液体を注入することができる。シリンジ12内の遠位液体チャンバー30およびバイアル16内の液体48の間の液体の移送、および、シリンジ12内の近位空気チャンバー32およびバイアル16内の空気46の間の空気の移送は、内部均圧プロセスによって行われて、同一容量の空気および液体が、
図1にパス42および44によってそれぞれ象徴的に示される別個のチャネルを通って移動することによって交換される。これは、アセンブリ10の内部と周囲環境との間の空気または液体の滴または蒸気の交換の可能性をなくす閉鎖系である。
【0018】
図3aは、バイアル中への液体の注入を模式的に示す。シリンジ12の液体チャンバー30内に含まれる液体を、バイアル16中に注入するために、薬剤移送アセンブリ10は、
図3aに示されるように、立位で底部においてバイアルとともに垂直に保持されなければならない。ピストン28を押すことは、導管40を通してバイアル16中に、液体チャンバー30の外に液体を遠位に押す。同時に、液体チャンバー30の容量は、ピストンを遠位に動かすことによって減るので、空気チャンバー32の容量は増加する。これは、空気チャンバー内の一時的な陰圧状態を作り出し、したがって、バイアル16の内側の空気(または不活性ガス)は、導管38を通って空気チャンバー32の中に吸い込まれる。加えておよび同時に、液体がバイアルに添加されるので、バイアル内の空気が利用可能な容量は減り、一時的な陽圧状態を作り出し、したがって、空気は、バイアル16から導管38を通って空気チャンバー32中に押し進められて、したがって、移送アセンブリ10内の圧力を均一にして、ピストン28が動くのが止まったときに平衡に到達する。
【0019】
図3bは、バイアルからの液体の引き込みを模式的に示す。バイアル16から液体を引き込み、シリンジ12の液体チャンバー30中にそれを移送するために、薬剤移送アセンブリ10は、
図3bに示されるように、逆さにされて、逆位でバイアル16とともに垂直に保持されなければならない。この操作のために、器具10が組み立てられてシリンジ12内のピストン28が近位方向に引かれると、陰圧の状態が液体チャンバー30内に作り出されて、液体が導管40を通ってその中に吸い込まれる。同時に、空気チャンバー32の容量が減り、空気は、導管38を通ってバイアル中に、その外へ押し進められる(
図3bでは、空気チャンバー40からバイアルに入る空気によって作り出された気泡が示される)。
図3aおよび
図3bに記載されるように、この同時の移送およびシリンジとバイアルの内側の等しい容量のガスと液体のそれぞれの取り換えは、閉鎖系の同等化システムを構成する。
【0020】
空気パス42を液体パス44から分離するために取られた注意にもかかわらず、US8,196,614に記載される従来技術のアセンブリ内に2つの場所が存在し、そこでは、これらのパスは特定の条件下で横切り、液体が空気導管を通って遠位液体チャンバー30またはバイアル16から近位空気チャンバーに移動する可能性を許容する。
【0021】
具体的には、US8,196,614に記載される従来技術の器具では、空気および液体チャネルの間に直接的な接続が存在する:
A.シリンジ12および取り付けられた接続部分14が、いかなる他の流体移送コンポーネントにも接続されない場合は、二重膜シールアクチュエーター34の内側;および
B.
図1に示されるように器具10が組み立てられる場合、スパイクの先端のバイアル16の内側。
【0022】
液体の部分がシリンジの空気チャンバー中へのその道を偶然に見つけた場合、明らかな美的問題に加えて、薬剤を回収しておよび用量を正すために、さらなる時間のかかる作業ステップが必要となる。
【0023】
状況Aが関連する場合のシナリオの例は、シリンジが液体を含み、取り扱われている場合、例えば、薬局から病棟に輸送されている場合である。そのような時には、ピストンロッドは、偶発的に押され得て、一部の薬剤をピストンの上の近位空気チャンバーに移動させて、そこからは、それはシリンジから排出することができない。そのような場合には、プランジャーは、薬剤を回収するために引き戻される必要があり、それは、余計な作業ステップであり、空気チャンバー32内の湿潤残余物は、美的問題を引き起こす。
【0024】
状況Bが関連する場合のシナリオの例は、典型的な逆位のバイアルからの液体薬剤の引き込み中に、気泡がシリンジの液体チャンバーに入るのが見られる場合、または、シリンジが所望の容量よりも多い液体で満たされている場合である。これらの状況では、液体または気泡をバイアルに戻すためにピストンロッドを偶発的に押すことは、一部の液体が、空気チャネルを通ってシリンジ内の空気チャンバー中に押し進められるのも生じさせる。気泡を除去する方法は、相対的に時間がかかり、バイアルからシリンジを切り離し、それを再接続するのを伴う複雑な手順である。プランジャーを偶発的に押すのを避けるために、特別な注意が必要であり、それは、作業スピードを遅くさせる。
【0025】
本発明の発明者のPCT特許出願WO2014/122643は、上述した制限を最小化または除去する、前述した薬剤移送デバイスに対する改良を記載する。WO2014/122643に教示される改良のうち、改良されたバイアルアダプターおよびシリンジ内の空気チャンバーおよび流体移送コンポーネントの間の少なくとも1つの位置において、空気チャネル内に挿入された疎水性フィルターを備える薬剤移送器具の実施態様である。
【0026】
バイアルアダプター内の挿入されたフィルターは、液体および空気チャネルの間のバリアとしての役割を果たし、したがって、シリンジの後ろに形成された空気チャンバーへの、空気チャネルを通した液体の移送を防止する。そのようなバリアの挿入に起因して、ユーザーは、薬剤が空気チャンバーに移行するかもしれないことを心配せずに、引き込み手順の間、自由に小さな気泡を押して、または、小さな過量をバイアル中へ元に正す。一方で、フィルターバリアを用いた作業は有利であるように見えるが、他方で、ユーザーは、多少の怠慢を動機づけられて、ユーザーは、シリンジをバイアルから切り離す前に液体からフィルターを洗浄しないことが期待され得て、一部の圧力差が、シリンジの空気および液体チャンバーの間に残る。したがって、切断の直後は、圧力差は中和を求めて、流体の流れは、より高圧のチャンバーから、より低圧のチャンバーに、平衡が到達されるまで生じる。より低い圧力が空気チャンバー内である場合は、これは、液体薬剤の一部を、液体チャンバーから空気チャンバーに、二重膜シールアクチュエーターの内側の両方の針の先端の間に存在するパスを通して吸い込む。偶発的にプランジャーを押すことまたは引くことに起因するそのような移行または移送を避けるために、および一般に、空気チャンバーへの液体の任意の無制御な移行を避けるために、針の先端の間に存在するパスは除去されなければならず、針の全体的な単離が必要とされる。
【0027】
針のそのような単離は、設計のチャレンジを続ける。一方で、膜34bは、針38および40の開放末端と環境との間のバリアとしての役割を果たし、微生物のような汚染物質が、アクチュエーター34の内部およびその中に保持される針の先端を汚染するのを防止し、それにより、無菌状態を維持する。一方で、膜34bは、有害物質から環境を保護もしている。一方で、フィルターバリアが用いられていない
図1~
図3bにおける以前の実施態様では、空気および液体チャンバーの間で作り出される圧力差は存在せず、したがって、無制御な移行は生じないが、偶発的な押しまたは引きのみが、チャネル間の薬剤の移送を引き起こし得る。そのような偶発的な押しは、(ちなみに)非常に一般的であり、チャンバーからチャンバーに自由な流れが存在するので二重膜シールアクチュエーター内に高圧を作り出さず、高圧を維持することができず、平衡に到達するまで直ちに崩壊する。したがって、アクチュエーター内のエレメントのシール特性は、決して高圧によってチャレンジされず、適度のデザインが十分である。一方で、フィルター50がバリアとして挿入されるWO2014/122643に係る実施態様では(例えば
図4を参照)、シリンジプランジャーを手動で押し込むことにより簡単に生産することのできる20気圧までの高圧に起因して、高圧耐性が要求される。この現象は、小容量シリンジ(1~5ml)で特に一般的である。そのような圧力下では、針間の単離設計のほとんどは失敗し、薬剤は空気チャンバーに移送されて、またはさらにいっそう悪いことには、膜34aおよび34bは、高圧に耐えることができず、それらのシートからそれらを切り離すことを可能にし得るか、または、膜の弾力材料を突き通す間に針によって作り出された膜内のチャネルを通して漏出を引き起こし得る。
【0028】
PCT特許出願WO2014/181320およびイスラエル特許出願第234746号は、両方とも、本発明の発明者であり、コネクター部分14の膜アクチュエーター中に組み込まれ得るニードル弁を記載する。ニードル弁は、コネクター部分14がバイアルまたは他の流体移送コンポーネントと接続されていないときに、空気導管を通って遠位液体チャンバー30またはバイアル16から近位空気チャンバーに液体が移動する可能性を防ぐ。また、ニードル弁は、膜アクチュエーターの構成を単純化して、
図1~4に示されるコネクター部分のような二重膜アクチュエーターの代わりに単一膜アクチュエーターを用いるのを可能にさせる。
【0029】
図5aおよび
図6aは、有害薬剤を移送するための器具の概略の断面図である。これらの図に示される器具および全てのコンポーネントは、2つを除いて、
図1および
図2aに示されるものとそれぞれ同一である。バイアルアダプター15は、WO2014/122643および従来技術に記載されるフィルター50を備え、2つの膜34aおよび34bおよびアーム35を含むコネクター部分14内の二重膜シールアクチュエーター34は、ニードル弁54の実施態様、1つのみの膜34b、およびアーム35を備えるアクチュエーター52で置き換えられる。ポート56を空気および液体導管の遠位端で閉じる作業は、コネクターが別の流体移送コンポーネントに接続されない場合、従来技術では膜34aおよび34bによって達成されたが、ニードル弁の配置による単一膜アクチュエーター52および膜34bのみにおいて達成され、一部の実施態様では、ニードル弁自体によるので、アクチュエーター52の近位端を任意の様式でシールする必要はないことに注目することが重要である。
【0030】
図5aは、コネクター部分14に取り付けられたシリンジ12および薬剤バイアル16に接続されたバイアルアダプター15を示す。
図6aは、一緒に接続された器具の全てのコンポーネントを示す。
図5bおよび
図6bは、それぞれ、
図5aおよび
図6aで示される器具におけるアクチュエーターの拡大図である。
【0031】
図5bおよび
図6bについて、アクチュエーター52は、空気導管38および液体導管40の針が通る2つのボアを備えるバルブシート54を備える。1つの針38のみを備える液体移送器具での使用のための1つのボアを備えるアクチュエーター52の実施態様も記載されることに注意する。
【0032】
図5bに示されるように、シリンジおよび取り付けられたコネクターが、器具の任意の他のコンポーネントに接続されない場合、アクチュエーター52はコネクター部分14の遠位端にあり、針38および40の先端は、ニードル弁のシート54内のボア内に位置する。この構成では、針の横のポート56は、ボアの内部壁(interior wall)によってブロックされて、針を互いから完全に単離して、それにより、空気がシリンジの液体チャンバーに入るのを、または、液体が空気チャンバーに入るのを、防止する。
【0033】
図6bに示されるように、シリンジおよび取り付けられたコネクターが、バイアルアダプターのような器具の別のコンポーネントに接続される場合、アクチュエーター52は、コネクター部分14の近位端の方に押される。針38および40は針ホルダー36に固定されているので、アクチュエーター52が近位に動くと、針38および40の先端およびポート56は、ニードル弁のシート54内のボアの遠位端を通って、膜34bを通って、および、バイアルアダプターの膜15aを通って押し出されて、それにより、それぞれのチャネル内の開放流体パスを確立する。
【0034】
コネクターの第一のゴールは、空気チャンバーに液体が移行する可能性を完全になくすことである。これは、例えば、バイアルアダプターから切断した後に空気および液体チャンバーの間の圧力差が存在する場合、および、空気チャンバー内の圧力が液体チャンバー内のものよりも低い場合に生じ得て、空気チャンバーへの液体の望ましくない移行をもたらす。第二のゴールは、シリンジプランジャーの偶発的なプッシュ中のコネクターに対する損傷または漏出を防止することである。病院設定で頻繁に行われる薬剤移送操作の1つは、IVプッシュまたはボーラス注入として知られる。典型的に、薬剤の必要とされる量は、病院の薬局においてシリンジ内に調製されて、そして、有資格看護師が患者に薬剤を以前に確立されたIVラインを通して投与する病棟に届けられる。手順と関連する一般的な問題は、薬局から病棟までの輸送中またはベッドサイドで、シリンジのピストンが意図せずに押されることがあり、薬剤の一部をシリンジのバレルから排出して、または、ピストンが意図せずに引っ張られることである。20気圧までの高圧は、小容量のシリンジ(1~5ml)のプランジャーを手動で押すことによって容易に生じ得る。そのような圧力は、コネクターが崩壊するのを引き起こし得て、または、膜が切り離されるのを引き起こし得る。
図5a~
図6bに示されるコネクターはそのような非意図的な空気および液体チャンバーの間の流体の移送と関連する問題に対する解決策として提案されて、プランジャーの偶発的なプッシュ中に作り出される高圧に耐える。これらの図に見ることができるように、コネクター14がアダプター15に接続されていない場合、周囲環境および針の中空内部の間の流体の交換を可能にする針38および40の遠位端におけるポート56は、ニードル弁のシート54内のボアの内部によってブロックされる。シリンジが液体で満たされる、または部分的に満たされている場合において、その上、プランジャーを前に押し進め、そして、液体が針を通って流れるように力が加えられようとする場合、液体は、ポート56を通って針を出ることができない。逆に、プランジャーを後ろに引くために力が発揮される場合、空気は、ポート56を通って入ることができず、シリンジのバレル中へ針の内部を通って流れることができない。
【0035】
本発明の発明者のイスラエル特許出願第237788号は、シリンジを液体移送器具の他のエレメントに接続するために用いられるシリンジコネクターでの使用のためのセプタムホルダーの実施態様を記載する。その特許出願に記載されるセプタムホルダーの全ての実施態様は、セプタムホルダー本体、本体の横に取り付けられた遠位の拡大されたエレメントで終わる少なくとも1つの弾力的な延長されたアーム、および、セプタムを備える。IL237788のセプタムホルダーは、ニードル弁のシートとして機能する少なくとも1つのボアをそれらが備えるという点で特徴付けられる。ボアは、セプタム内、または、セプタムホルダーの本体内またはセプタム内のいずれかに固定された挿入物内に作られる。また、IL237788に記載されるセプタムホルダーは、前記の少なくとも1つの延長されたアームと平行して下方に突出しているセプタムホルダーの本体の底部にセプタムが取り付けられるという点でも特徴付けられる。
【0036】
図7a、
図7b、および
図7cは、IL237788に記載のセプタムホルダー58の実施態様の、それぞれ、前、断面、および、分解図である。セプタムホルダー58は、円板形状の環状本体60からなる。2つの等しい長さの弾力的な延長されたアーム62は、本体60の横に取り付けられる。アームは、遠位の拡大されたエレメント64で終わる。本体60の底部分は、アーム62間で下方に突出する円柱状の部分からなる。空洞66は、本体60の底部分に作られて、その中に、ニードル弁のシートを形成する2つのボア710を備える挿入物68が合わせられる。代替の実施態様では、挿入物68は、示されるものとは異なる形状を有し得て、一実施態様では、本体60の底部分に作られた適切な直径の平行ボア中に挿入されたチュービングの2つの別個のピースからなり得る。
【0037】
セプタム72は、単一ピースの円筒形状の弾力材料から作られる。セプタム72の上側部分は、本体60の底部における、円柱状の部分の外径のものよりも大きくない内径を有する円柱状の凹所74を形成する中空の内部を有する。挿入物68が空洞66中に合わせられた後に、セプタム72は、凹所74よりも下のセプタム72のソリッド部分が挿入物68内のボア70の底部に対して突き当たるまで、本体60の底部分の上に押されて、それにより、ボアの内部の底部を外的環境から単離する。セプタム72は、当技術分野で知られている任意の手段によって、セプタムホルダー58の本体60上に固定して保持される。例えば、セプタムの弾力材料は、本体60の底部において、円柱状の部分の横を掴むのに十分に強くて所定の位置にセプタムを保持し得て;または、
図7cに示されるように、本体60の底部における円柱状の部分は、ネジまたは歯76、または、その外側表面上に作られた同等の構造を有してよく、セプタム72は、セプタム72が本体60の底部分の上に押されたときに2つの構造が相互にロックするように、その中空の内部の内径上に同様の構造を有してよい(
図7cには示されない)。他の実施態様では、他の方法、例えば、糊付け、超音波形成、または、レーザーまたは超音波溶接を用いてよい。セプタム72の最も下の部分は、それが接続されるバイアルアダプターのような流体移送コンポーネント内のセプタムのものと一致する直径を有する。
【0038】
図7dは、閉鎖系液体移送器具のシリンジコネクター部分における
図7a、
図7b、および
図7cのホルダーを模式的に示す。コネクター部分は、本明細書において上述した従来技術の器具におけるものと本質的に同じである。コネクター部分の円柱状の本体78は、シリンジ80に取り付けられる。2つの中空針82(空気導管として機能する)および84(液体導管として機能する)は、コネクター部分の本体78の上側末端に固定して取り付けられる。針の下側末端には、尖った遠位先端に隣接して、針の中空の内部および外部の間の流体連通を可能にするポート86がある。円柱状の本体78の底部付近の外部突起部88は、コネクター部分およびシリンジを、薬剤移送システムの他のエレメントに接触させた場合に使用するためのフィンガーグリップとしての役割を果たす。突起部88は必須ではなく、除外することができ、または、同一目的を達成するための他の手段、例えば粗面領域によって置き換えることができる。
【0039】
セプタムホルダー58は、コネクター部分の円柱状の本体78の内側に位置する。示されるように、針82、84の遠位端は、挿入物68内のボア70中に挿入される(
図7cを参照)。挿入物68がシリコンのような柔軟材料で作られる場合は、ボア70の直径は、針のシャフトの外径よりも小さく、したがって、挿入物が製造される弾力材料は、針のシャフトに対して放射状に押してポート86をシールする。液体移送システムの別のエレメントに接続されない場合は、アーム62の遠位の拡大されたエレメント64は、本体78の遠位端でショルダー部分90において係合される。
図7dに示されるように、この位置において、針の先端は、底部においてセプタム72によって外側から単離されて、針のシャフト上を放射状に押しているボア70の壁は、流体が針の内部に入るまたは出るのを防ぐ。
【0040】
流体移送コンポーネントに対するシリンジコネクター、例えば、バイアルアダプター、IVバッグに対する接続のためのスパイクアダプター、またはIVラインに対する接続のためのコネクターの接続は、本明細書に上述した従来技術と同一の様式で達成される。流体移送コンポーネントのセプタムが、セプタム72に対して押される場合、セプタムホルダー58が本体78内で上方に動き始めて、針の先端がボア70を出始めて、セプタム72のソリッド材料を貫通する。針の先端がセプタム72を通過して、流体移送コンポーネントのセプタムがホルダー58として上方に押され続けて、それにより、流体移送コンポーネントに取り付けられた液体移送システムのエレメントおよびシリンジ内の近位空気チャンバーおよび遠位液体チャンバーの間に、空気および液体チャネルを確立する。
【0041】
単純化された製造プロセス、より簡単でより効率的なコンポーネントの使用、および液体のより安全な移送をもたらす、従来技術の流体移送装置のコンポーネントの一部の改良されたバージョンを提供することが、本発明の目的である。
【0042】
本発明のさらなる目的および利点は、説明が進むにつれて明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0043】
第一の態様では、本発明は、円筒形状の環状本体、少なくとも1つの弾性アーム、および、本体の底部に固定して取り付けられたセプタムを備える、セプタムホルダーである。前記の少なくとも1つのアームのそれぞれは、円形の外側に向いている後側および尖った内側に向いている前側を備える、遠位の拡大されたエレメントを備え、そして、アームの遠位端における拡大されたエレメントは、セプタムホルダーの本体の円形の断面の弦に平行な線に沿って前後に動く。
【0044】
本発明のセプタムホルダーの実施態様は、セプタムホルダーの本体中に適合された挿入物を備える。挿入物は、ニードル弁のシートを形成する1つまたは2つのボアを備える。
【0045】
本発明のセプタムホルダーの実施態様では、セプタムは、セプタムハウジングの本体の底部の外側に取り付けられる。
【0046】
対で配置された2つのアームを備える本発明のセプタムホルダーの実施態様では、一方のアームは、セプタムホルダーの同一側に他方のアームと並んで位置する。
【0047】
本発明のセプタムホルダーの実施態様では、4つのアームを備え、アームは、セプタムホルダーの逆側に位置する2つの対で配置される。
【0048】
本発明の第二の態様では、本発明の第一の態様に係るセプタムホルダー、少なくとも1つの中空針、および、外側ハウジングを備える、コネクターコンポーネントである。外側ハウジングは、概して四角い断面の直角柱の形状、開放された遠位(底部)末端、および、流体移送システムの第一のコンポーネントに接続するように適合された近位(上側)部分を有する。外側ハウジングは、それぞれのアームの底部において、遠位の拡大されたエレメントの円形の外側に向いている後側を保持するように構成された、その内壁の遠位端に位置するソケットを備え、内壁は、コネクターコンポーネントおよびアダプターコンポーネントの間の接続または切断プロセス中に、セプタムホルダーに取り付けられたアダプターコンポーネントおよびセプタムホルダーのアームの外側ハウジングの内部での上方または下方への移動をガイドするためのガイドチャネルを備える。
【0049】
本発明のコネクターコンポーネントの実施態様では、外側ハウジングの近位部分は、以下の構造:流体移送デバイスの第一のコンポーネント上の適合する円柱状または円錐形の突起をその中に圧入、糊付け、または、レーザーまたは超音波溶接することのできる、直線状または先細の内部壁を備えるボア;標準的な雄または雌ルアー型コネクター;および、コネクターの外側本体の垂直な対称軸の周りで流体移送デバイスの第一のコンポーネントの一方向または双方向旋回を可能にするルアーコネクター、の1つを有するように製造される。
【0050】
本発明のコネクターコンポーネントの実施態様では、コネクターコンポーネントが、流体移送システムのいかなる他のコンポーネントとも接続されない場合、アームの遠位の拡大されたエレメントの円形の後側は、外側ハウジングの遠位開放末端においてソケット内に係合されて、針の先端は、セプタムによって底部において外側から単離されて、セプタムホルダー内の挿入物内のボアの壁は、針のシャフト上を放射状に押して、それにより、流体が針の内部に侵入また存在するのを防止する。
【0051】
本発明のコネクターコンポーネントの実施態様では、それぞれのアームおよび拡大されたエレメントは、それぞれに独立したガイドチャネルのセットを備え、他方のアームおよびガイドチャネルから独立に操作することができ、それにより、拡大されたエレメントによって加えられる力による外側ハウジングまたはガイドチャネルの変形を排除する。
【0052】
第三の態様では、本発明は、旋回コネクターに取り付けられた流体移送装置のコンポーネントの一方向および双方向旋回を可能にする構造をした機械的配置を備える、旋回コネクターである。機械的配置は、以下からなる:
【0053】
-旋回コネクターのハウジングの近位端の内側壁(inside wall)の上部付近の、少なくとも1つの歯;ルアーエレメントの下側末端を収容するための凹所およびO-リングのためのシートを備える、支持構造;および、支持構造の底部付近の水平フランジの上部に作られた、少なくとも1つの歯;および
-雄ルアーエレメントを接続することができる雄ネジを備える雌ルアーエレメント;それらの間に環状空間を有する上側フランジおよび下側フランジ、および、下側フランジの下側表面上の少なくとも1つの歯を備える、雌ルアーエレメントの底部。
【0054】
旋回コネクターのハウジングの内側壁の上部付近の歯は、旋回コネクターの上部の内側に雌ルアーエレメントを保持するように構成される。旋回コネクターのハウジングの支持構造上の歯は、反時計回りの方向で上向きに傾斜して垂直の背面で終わる上側表面を備える三角形状を備え、雌ルアーエレメントの下側フランジの底部の歯は、時計回りの方向に上向きに傾斜して垂直の背面で終わる上側表面を備える。歯は、ルアーエレメントが反時計回りの方向で旋回コネクターハウジングに対して回転する場合は、その結果、両方のフランジ上の歯の傾斜表面が互いの上をスライドして回転がこの方向で行なわれるのを可能にして、ルアーエレメントが時計回りの方向で旋回コネクターハウジングに対して回転される場合は、その結果、両方のフランジ上の歯の垂直表面が互いに対して突きあたり雌ルアーエレメントおよび旋回コネクターハウジングの間のこの方向での相対的移動を防止するように、それらのそれぞれのフランジ上に配置および配向される。
【0055】
本発明の旋回コネクターの実施態様は、旋回コネクターのハウジングの近位端の内側壁の上部付近の歯の底部と、雌ルアーエレメントの上側フランジの上部との間に、空間を備える。このことは、ハウジングの支持構造上の歯が、雌ルアーエレメントの下側フランジの底部上の歯から垂直に離れるとすぐに、それらが互いと相互作用することができないように、ルアーエレメントが、この空間の高さを持ち上げられるのを可能にする。このことは、雌ルアーエレメントが、旋回コネクターハウジングに対して時計回りに回転されるのを可能にする。
【0056】
第四の態様では、本発明は、工場で組み立てられる(factory assembled)シリンジコネクターユニットであり、以下を備える:
-それらの間に環状空間を有する上側および下側フランジを備えるシリンジの底部のスロートを備える、シリンジ;および
-ハウジングの近位の内壁の上部付近から内側に突出している少なくとも1つの歯を備えるハウジングを備える、コネクター。
【0057】
シリンジの遠位端およびコネクターの近位端は、それらが十分な力で一緒に押された場合に曲がるプラスチックで製造され、それにより、前記の少なくとも1つの歯が、シリンジおよびコネクターを一緒に保持するように環状空間内に位置するまで、下側フランジが前記の少なくとも1つの歯を通過するのを可能にする。この構成では、シリンジおよびコネクターは、それらの共通の縦対称軸の周りを時計回りまたは反時計回りの方向のいずれかで互いに対して旋回することができる。
【0058】
第五の態様では、本発明は、本発明の第一の態様に係るセプタムホルダーを備える本発明の第二の態様に係るコネクターコンポーネントと、流体移送デバイスの第二のコンポーネントとの間の接続のための、アダプターコンポーネントである。アダプターコンポーネントは、セプタムホルダーと連結する構造をした機構を備える外側表面を有する延長された拡張を備える。
【0059】
本発明のアダプターコンポーネントの実施態様では、セプタムホルダーは、2つのアームを備え、セプタムホルダーと連結する構造をした機構は、2つのアームのそれぞれに関して:アームおよびアームの遠位端における拡大されたエレメントが接続/切断プロセス中に移動するのを可能にする空間(room)があるように適合された垂直な溝および切り欠き部、および、延長された拡張の上部付近に位置する階段様構造を備える。
【0060】
階段様構造は:コネクターコンポーネント内のガイドチャネルに沿ってスライドするように構成された、垂直な溝から離れるように向いた階段様構造の横の第一の平面の垂直表面;アームの遠位端における拡大されたエレメントの尖った内側に向いている前側の先端に沿ってスライドするように構成された、垂直な溝の方に向いた階段様構造の横の第二の平面の垂直表面;および、アームの遠位端における拡大されたエレメントの尖った内側に向いている前側に係合するように構成された、平面の水平底面、を備える。
【0061】
本発明のアダプターコンポーネントの実施態様では、セプタムホルダーは、4つのアームを備え、セプタムホルダーと連結する構造をした機構は、2つのアームからなるそれぞれの対に関して、延長された拡張の上部付近に位置する家の形状をした構造を備える。
【0062】
家の形状をした構造は、対の2つのアームの遠位端における拡大されたエレメントの尖った内側に向いている前側の先端に沿ってスライドするように構成された2つの平面の垂直表面、および、対の2つのアームの遠位端における拡大されたエレメントの尖った内側に向いている前側の上面に係合するように構成された平面の水平底面を備える。
【0063】
本発明のアダプターコンポーネントの実施態様は、バイアル、IVバッグ、およびIVラインの1つと接続するように構成される。
【0064】
第六の態様では、本発明は、その近位端におけるシールエレメントを備えるシリンジである。シールエレメントは、その中央にホールを備えてそこをピストンロッドが通過する円板形状の環状シールアセンブリ、および、ピストンロッドの周りをシールするO-リングを備える。シリンジは、シールエレメントが、そのバレルの内側に位置するという点で特徴付けられる。
【0065】
本発明のシリンジの実施態様では、シールアセンブリは、所定の位置に保持されて、バレル中への圧入、レーザーまたは超音波溶接、熱溶接、および糊付けの少なくとも1つによって、シリンジバレルの内側に密封される。
【0066】
本発明の全ての上記および他の特徴および利点は、添付図面を参照して、それらの実施態様の以下の例示的かつ非限定の説明を通してさらに理解される。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【
図1】有害薬剤を移送するための従来技術器具の概略の断面図である。
【
図2a-2d】
図1の器具のバイアルアダプターおよびコネクター部分の間の、4ステップの接続配列を模式的に示す、断面図である。
【
図3a-3b】有害薬剤を移送するための
図1の器具を用いるコンセプトを模式的に示す、断面図である。
【
図4】フィルターが、バイアルアダプター内にそれを置くことによって空気チャネル中に導入された、
図1の器具の実施態様を示す。
【
図5a.6a】従来技術の二重膜シールアクチュエーターが単一膜およびニードル弁の実施態様を備えるアクチュエーターで置き換えられる点を除いて、
図4に示されるものと同一の、それぞれバイアルアダプターから切断および接続された、有害薬剤を移送するための従来技術の器具の概略の断面図である。
【
図5b.6b】
図5aおよび
図6aにそれぞれ示される器具におけるアクチュエーターの拡大図である。
【
図7a-7c】従来技術のセプタムホルダーの第一の実施態様の、それぞれ、前、断面、および分解図である。
【
図7d】閉鎖系薬剤移送器具のコネクター部分における、
図7aのホルダーを模式的に示す。
【
図8a】本発明の改良されたコンポーネントが組み込まれた流体移送装置を模式的に示す。
【
図8b】一緒に接続された
図8aの流体移送装置の全てのコンポーネントを象徴的に示す。
【
図9a-9b】本発明のセプタムホルダーの実施態様を模式的に示す。
【
図10a-10b】従来技術のセプタムホルダーおよび本発明のセプタムホルダーに対するアームの取付における違いを模式的に示す。
【
図11a】本発明に係る2つのアームを備えるセプタムホルダーに接続するためのアダプターコンポーネントを象徴的に示す。
【
図11b】セプタムホルダーに接続された
図11aのアダプターコンポーネントを模式的に示す。
【
図12a】本発明に係る4つのアームを備えるセプタムホルダーに対する接続のためのアダプターを象徴的に示す。
【
図12b】セプタムホルダーに接続された
図12aのアダプターを模式的に示す。
【
図13】IVバッグのスパイクポートに対して、本発明に係るコネクターコンポーネントのセプタムホルダーを接続するためのアダプターを示す。
【
図14】本発明に係るコネクターコンポーネントの外部を模式的に示す。
【
図15a-15d】本発明に係るアダプターコンポーネントに対するコネクターコンポーネントの接続における異なる段階を象徴的に示す。
【
図16a-19】アダプターに取り付けられた流体移送装置のコンポーネントの双方向旋回を可能にする機械的配置を備えるコネクターの近位端の実施態様を模式的に示す。
【
図20a-20b】工場でそれに取り付けられる(factory attached to it)シリンジの双方向旋回を可能にするコネクターの近位端の一実施態様を模式的に示す。
【
図21a】従来技術のシリンジの近位端を模式的に示す。
【
図21b-21d】本発明に係るシリンジの一実施態様の近位端を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0068】
本発明は、本出願の背景のセクションに説明した流体移送装置の一部のコンポーネントの改良されたバージョンである。
図8aは、本発明の改良が組み込まれた流体移送装置100を模式的に示す。
【0069】
器具100は、第一のコンポーネント(この場合ではシリンジ102)、コネクターコンポーネント104、第二のコンポーネント(この場合ではバイアル108)に対するコネクターコンポーネント104の接続を可能にするアダプターコンポーネント106を備える。
【0070】
従来技術と比較して器具100に対してなされていて以下に詳細に説明される変更は、以下である:
-シリンジ102の近位端をシールするエレメントが再設計されていて、改良されたシリンジをもたらしている;
-コネクターコンポーネント104内のセプタムホルダー上のアームが再設計されていて、それらの機能を行なうためのそれらの動き方が変更されている;
-コネクターコンポーネント104の外側ハウジングの外部および内部が、セプタムハウジング上のアームにおける変更を考慮して再設計されている;
-第一の薬剤コンテナーに接続するコネクターコンポーネント104の末端が、一部の実施態様では、旋回機能を含む;および
-アダプターコンポーネント106の近位端が、コネクターコンポーネント104にそれが接続されるのを可能にするように変更されている。
【0071】
図8bは、コネクターコンポーネント104およびアダプターコンポーネント106によって一緒に接続された流体移送装置100の第一および第二のコンポーネント102、108を象徴的に示す。
【0072】
図9aおよび
図9bは、本発明のセプタムホルダー110の実施態様を模式的に示す。これらの図に示されるセプタムホルダーは、弾性アーム118の数(
図9aでは2つのアームであり
図9bでは4つのアームである)を除き、同一である。
【0073】
セプタムホルダー110は、円筒形状の環状本体112からなる。2つ(または4つの)平行の等しい長さの、下方に伸長した、弾力的な、延長されたアーム118は、本体112の横に取り付けられる。アームは、遠位の拡大されたエレメント120で終わる。遠位の拡大されたエレメントは、円形の外側に向いている後側および尖った内側に向いている前側を有するおよそ人の足のような形をしている。本体112の底部分は、アーム118と平行して下方に突出する円柱状の部分からなる。空洞が本体112の底部分に作られて、その中に、ニードル弁のシートを形成する1つまたは2つのボアを備える挿入物が合わせられる。リブ114または同等の構造が、挿入物に対して支持および機械的強度を提供するために、本体112の内部に存在してよい。
【0074】
セプタム116は、単一ピースの円筒形状の弾力材料から作られる。セプタム116の上側部分は、本体112の底部における円柱状の部分の外径のものよりも大きくない内径を有する円柱状の凹所を形成する中空の内部を有する。挿入物が本体112内の空洞中に合わせられた後に、セプタム118が、セプタム118のソリッド部分が挿入物内のボアの底部に対して突き当たるまで、本体112の円柱状の底部分の上に合わせられて(毛糸帽子が頭の上に引っ張られるのと同様に);それにより、ボアの内部の底部を外的環境から単離する。セプタム118は、本明細書に上述されるような当技術分野で知られている任意の手段によって、セプタムホルダー110の本体112上に、下方に向いて固定して保持される。
【0075】
図10aおよび
図10bは、従来技術のセプタムホルダーおよび本発明のセプタムホルダーに対するアームの取り付けにおける違いを模式的に示す。従来技術では、一組のアームは、セプタムホルダーの逆側に、互いを向いて位置する。アームの遠位端における拡大されたエレメントは、
図10aに両矢印によって示される方向に、セプタムホルダーの本体の円形の断面の直径の拡張に沿って前後に動く。本発明のセプタムホルダーでは、一組のアームは、セプタムホルダーの同じ側に互いに並んで位置する。アームの遠位端における拡大されたエレメントは、
図10bに両矢印によって示される方向に、セプタムホルダーの本体の円形の断面の平行弦の拡張に沿って前後に動く。
【0076】
アーム118が本体112の横に取り付けられる位置を除き、セプタムホルダー110は、
図7a~
図7cに関して本明細書において上記に説明した従来技術のセプタムホルダー58と本質的に同一である。この理由のために、セプタムホルダー110の構造エレメントのほとんどは本明細書中に描かれておらず、読者は、従来技術における対応する構造を見るために
図7a、
図7b、および
図7cに向けられる。他の従来技術のセプタムハウジング、例えば、上記で言及されたIL 23788に記載される他の実施態様は、
図9aおよび
図9bに関して説明したようにアームを配置することによって、必要な変更を加えて適用することができることに注意する。また、本発明に係るセプタムハウジングは、1つのみのアームまたは4つよりも多いアームを備えて製造され得ることにも注意する。非常に安定の構成は、3つのアームの使用により得ることができるが、これは、製造するのがより複雑な実施態様である。
【0077】
図11aは、本発明に係る2つのアームを備えるセプタムホルダー110と接続するためのアダプターコンポーネント106を象徴的に示す。アダプターコンポーネント106の遠位(下側部分)は、流体移送装置の第二のコンポーネントに接続するように適合されて、本発明には関連しない。従来技術では、アダプターコンポーネント106の中空の延長された拡張122の内部は、コネクターコンポーネント104およびアダプターコンポーネント106が接続された場合に、流体移送システムの第二のコンポーネントの内部とコネクターコンポーネント104内の針との間の流体連通を可能にする、チャネル(単数または複数)を備える。延長された拡張の上部におけるセプタム124は、アダプターコンポーネント124が、流体移送装置の別のエレメントと接続されていない場合に、内部チャネルをシールする。
【0078】
延長された拡張122の外部は、従来技術のアダプターエレメントのものとは著しく異なる(例えば
図5bを参照)。外部表面上には、-2つのアームのそれぞれに関して、垂直な溝130、切り欠き部128、および、階段様構造126aが作られている。部分126aの機能性部分は、平面の垂直表面126b、平面の垂直表面126c、および、平面の水平底面126dである。126aのこれらの部分の機能を、本明細書において以下により詳細に説明する。
【0079】
図11bは、セプタムホルダー110に接続された
図11aのアダプターコンポーネントの延長された拡張122を模式的に示す。延長された拡張122は、溝130および切り欠き部128を備え、その中でアーム118の遠位端における拡大されたエレメント120が動くことができる。延長された拡張122の直径が十分に小さい場合は、その結果、溝130は必要でない。接続が完了すると、拡大されたエレメント120の尖った前側の平らな上側表面が、126bの平らな下側表面126dの下で捕えられて、セプタムホルダー110およびアダプター106を一緒にロックする。
【0080】
図12aは、本明細書に係る4つのアームを備えるセプタムホルダー110への接続のためのアダプターコンポーネント106を象徴的に示す。この場合では、延長された拡張122の近位端の外面の反対側における切り欠き部134の内側に、突出している「家の形状をした」構造が作られる。
【0081】
図12bは、セプタムホルダー110と接続された
図12aのアダプターコンポーネントを模式的に示す。アーム118の遠位端における拡大されたエレメント120は、切り欠き部134中にぴったり合う。拡大されたエレメント120の「つま先」の平らな上側表面は、「家」132の平らな下側表面の下に捕えられて、セプタムホルダー110およびアダプターコンポーネント106を一緒にロックする。
【0082】
本発明によって規定されるアダプターコンポーネントの延長された拡張の外部表面に対する変更は、必要な変更を加えて、本出願の背景のセクションに述べた従来技術に記載される任意のアダプター、例えば、バイアルアダプター、IVバッグに対する接続のためのスパイクアダプター、または、IVラインに対する接続のためのコネクターに対してすることができる。
図13は、IVバッグのスパイクポートに接続するためのアダプターコンポーネント136を示す。アダプターコンポーネント136は、延長された拡張138を備え、その上側部分は、
図11aに示されるのと同一の構造を有し;それによって、
図9bに示されるようなセプタムホルダーが、アダプターコンポーネント136に取り付けられるのを可能にする。
【0083】
図14は、コネクターコンポーネント104の外部を模式的に示す。コネクター104の内側エレメント、すなわち、セプタムホルダーおよび1つまたは2つの針は、外側ハウジング140によって囲まれる。外側ハウジング140は、概して四角い断面を有する直角柱の形状および開放された遠位(底部)末端を有し、その中に、アダプターコンポーネント106の延長された拡張122の近位端を挿入することができる。外側ハウジング140の近位(上側)部分142は、流体移送装置の第一のコンポーネント、例えば、シリンジまたはIVラインに接続するための多くの方法で構成することができる。近位部分142を構成することができる一部の方法は:流体移送デバイスのコンポーネント上のぴったり合う円柱状または円錐形の突起をその中に圧入、糊付け、または、レーザーまたは超音波溶接することのできる、直線状または先細の内部壁を備えるボア;標準的な雄または雌ルアー型コネクター;または、コネクター104の外側ハウジング140の垂直な対称軸の周りで流体移送デバイスのコンポーネントの一方向または双方向旋回を可能にする新たに設計されたルアーコネクターを含む。旋回タイプのコネクターを、
図16a~20aを参照して本明細書中に後述する。
【0084】
図15a~
図15dは、本発明のコネクターコンポーネント104の、本発明のアダプターコンポーネント106に対する接続における異なる段階を象徴的に示す。出願者の従来技術の器具では、接続は、2つのコンポーネントを一緒に押すことによってなされ、プロセスの「ステップ」は同様である。また、従来技術では、プロセスは一連のステップとして説明されているが、実際の実施では、1つの連続的な滑らかな作用で行なわれる。これらの図では、コネクターコンポーネントは回転されていて、外側ハウジング140の部分は、セプタムホルダー110の一方のアーム118が見られるのを可能にするために取り除かれている。1つまたは2つの針は示されない。
【0085】
図15aでは、アダプターコンポーネント106の延長された拡張122の近位端は、外側ハウジング140の開放遠位端の中に挿入されている。コネクターコンポーネントのセプタム116は、アダプター部分のセプタム124にまだ接触しておらず、アーム120は、外側ハウジング140の遠位端において作られたソケット146内に拡大されたエレメント120の円形の後側を有する、その正常な緩められた構成である(
図15dを参照)。ソケット146は、内部表面内の空洞として、または、プラスチック外側ハウジング140の内部表面から伸長するリブとして、形成されるガイドチャネル113の部分である。ガイドチャネル113は、拡大されたエレメント120の円形の後側を、それぞれの操作ステップに従ってガイドおよび配置する。チャネル113と同様の様式で作られる別の対応するガイドチャネル111は、それに沿って滑走する平面の垂直表面126bをガイドする。
【0086】
本明細書に説明されない実施態様では、ソケット146およびガイドチャネル111および113は、外側ハウジングの内部壁上には形成されないが、外側ハウジング内に支持されるフレーム様構造内に構成される。
【0087】
図15bでは、2つのセプタム116および124は、互いに対して押されるプロセスの中央であるが、拡大されたエレメント120が、ソケット146の内側のその円形の後側とともにソケット146の内側で動かないように捕えられたままであり、その尖った前側の先端が、アダプターコンポーネント上のエレメント126aの垂直表面126cに対して押されているので、セプタムホルダー110は、外側ハウジング140内で上方に動き始めていない。拡大されたエレメント120は、セプタムが完全に一緒に押されるまで、捕えられたままであり、その後にのみ、移動のために解放される。拡大されたエレメント120は垂直表面126cを押しているが、平面の垂直表面126bがガイドチャネル111に対して押されているので、エレメント126aの部分である垂直表面126cは、横に動くことが防止される。アダプターコンポーネント106の延長された拡張122の垂直表面126bは、外側ハウジング140の内側のチャネル111に沿って滑走して、それによって、接続(および切断)プロセスのあいだ、コンポーネントの真っ直ぐな軸方向運動を規定する。
【0088】
図15cでは、アダプターコンポーネント106の延長された拡張122は、コネクターコンポーネント104の内部へ十分遠くに進行しているので、互いに対して押している2つのセプタムの力は、セプタムホルダー110が上方に動き始めるようにさせる。拡大されたエレメント120の円形の後側の上側表面は、ソケット146の傾斜した上側表面に沿ってスライドして、拡大されたエレメント120の尖った前側をアダプターコンポーネント上のエレメント126aの垂直表面126cに対して押す。さらなる力が加えられると、セプタムは、一緒により近くに押されて、延長された拡張122は、アーム118の末端における拡大されたエレメント120の尖った前側が、垂直表面126cの底部を通過するように十分遠くに、セプタムハウジングに対して上へ動く。
【0089】
図15dでは、拡大されたエレメント120の尖った前側の上側部分は、アダプターコンポーネント106の延長された拡張122上のエレメント126aの水平な底部表面126dの下に留められる。セプタムホルダー110およびアダプターコンポーネント106は、一緒に連結されたコネクター部分の外側ハウジング140の内側で上に移動し続ける。
図15dには、機械的強度を提供するために外側ハウジング140の内側上に形成されたリブ144も見ることができる。
【0090】
本出願人の従来技術の流体移送装置に関して記載したように、コネクターコンポーネント104が流体移送システムのいかなる他のコンポーネントにも接続されない場合は、アーム118の遠位の拡大されたエレメント120の円形の後側は、外側ハウジング142の遠位開放末端におけるソケット146において係合される。この位置では、針の先端は、セプタム116によって、底部において外側から単離されて、針のシャフト上を放射状に押している挿入物内のボアの壁は、流体が針の内部に入るまたは出るのを防止する。
【0091】
本出願人の従来技術の流体移送装置に関して記載したように、接続されたセプタムホルダー110およびアダプターコンポーネント106が上方に動く場合は、コネクターコンポーネント内の針(単数または複数)は、2つのセプタム116および124を貫通して、コネクターコンポーネント104の近位端およびアダプターコンポーネント106の遠位端にそれぞれ接続される流体移送システムのコンポーネント間の流体連通のための経路を確立する。
【0092】
図12aおよび
図12bに示されるセプタムホルダーの実施態様は、実際は二組のアームである4つのアーム120を備える。この実施態様は、2つのアームのみを備える
図15a~
図15dに示されるセプタムホルダーの実施態様と比較して、力のバランスを提供する。接続操作の全てのステップのあいだ、
図12aおよび
図12bにおける一組のアームでのアーム120のそれぞれは、「家」132の平らな横面の片側を押して、それを横へ回転させようとする。しかし、逆方向に作用するアームのペアが存在するので、片方のアームによって加えられる力は、ペアの他方のアームによって加えられる力によって中和される。互いに押し合うバランスが取れたアームのペアは、
図15a~
図15dに示されるように、平面の垂直表面126bおよび外側ハウジング140の内側でチャネル111を滑走させる同等のコンポーネントに関する必要性をなくす。
【0093】
本明細書において上記に記載したコネクターコンポーネント104を開発するための主な理由の一つは、従来技術のコネクターにおいて、アームおよびそれらの遠位端における拡大されたエレメントが、操作中に、コネクター本体の内壁に大きな力を与える点である。結果として、プラスチック製のコネクター本体は、その直径を増大させることによって変形する傾向がある。このことは、コネクターの故障および安全性の侵害を引き起こし得る。そのような典型的な故障の1つは、切断中に生じ:切断手順中の正常な操作において、コネクターおよびアダプターは引き離されて;引っ張るあいだ、アダプターポートは、拡大されたエレメントによって保持されて、そして、より大きな直径を有するコネクター本体の遠位端における領域にそれらが到達した場合のみ(
図1における遠位ショルダー部分19)、そのとき全てを保持しているアダプターを拡張および解放することができ、切断が完了する。拡大されたエレメントがコネクター本体の内壁に与えている横の力に起因して本体が変形する場合に、問題が生じる。この変形は、遠位ショルダー部分をシミュレートして、拡大されたエレメントは、アダプターをあまりに早くに、すなわち、拡大されたエレメントが遠位ショルダー部分内のそれらの目的地に到達する前にリリースし、そして、アダプターがリリースされた後に、コネクタの内側の少し深すぎる位置に留まる。切断は、一見すると正しく実行されたように見えるが、本当は、拡大されたエレメントがコネクター本体の深すぎる内側に残されたので、別の接続がされるときに、アダプターは、拡大されたエレメントの間でスライドせず、それらによって保持される。反対に、拡大されたエレメントは、いかなる接続も作らずに本体の内側でアダプターによって押されて、針は膜を突き通して、環境に曝露して現れて、場合により、閉鎖系を破壊しながら漏出する。
【0094】
新規のコネクターコンポーネント104の利点は、アームおよび拡大されたエレメントは、外側ハウジング140の内側に形成された剛性リブによって形成されるチャネル111および113内をスライドするので、コネクター本体の安定性に頼らない点である。従来技術とは異なり、それぞれのアームおよび拡大されたエレメントは、それぞれに独立したガイドチャネルのセットを備え、他のアームおよびガイドチャネルとは独立に操作することができ、拡大されたエレメントが加える力は、外側ハウジングまたはガイドチャネルを変形させない。
【0095】
新規のコネクターコンポーネントの別の利点は、他のファクターの中でも、従来技術のコネクターの嵩高い遠位ショルダー部分の必要性がないので、設計が、より小さなコネクターおよびそれぞれのアダプターの構築を可能にする点である。より小さな製品はより扱いやすくてほとんどの用途において好ましいので、サイズはユーザーにとって極めて重要なファクターである。
【0096】
図16a~
図19は、コネクターに取り付けられた流体移送装置のコンポーネントの一方向および双方向旋回を可能にする機械的配置を備えるコネクターの近位端の一実施態様を模式的に示す。特別な雌ルアーロックは、コネクターの近位端に提供されて、雄ルアーロックを備えるシリンジまたは注入チューブのような任意のデバイスを、時計回りにひねる動作によってそれに取り付けることができる。下に押して時計回りにひねる雄ルアーロックの動きのあいだ、コネクターの雌ルアーエレメントの回転は、本明細書中に後述するように防止されて、それにより、接続が堅くてさらにひねることが不要または不可能であるまで、雄ルアーエレメントが回転されるのを可能にする。2つのルアーエレメントの接続が完了した後、それらを反時計回りにひねる任意の試みは、いかなる切断も生じずに終わりのない旋回をもたらす。この配置の目的は、注入チューブ接続を行なっている間の病院内の子どものようなユーザーによる意図しないおよび意図した切断の両方を防止する。さらに、雄ルアーエレメントが少し持ち上げられて時計回りに回転されると、これはまた、終わりのない旋回をもたらす。接続を外すための把持のために用いることのできる全てのパーツは、この実施態様ではアクセス不能であるため、それによって、不正開封防止付きルアーロック接続を提供する。この配置は、本出願の背景のセクションに記載の従来技術のコネクターおよび本明細書中に記載の新規のコネクターコンポーネントの両方の全ての実施態様で用いることができる。
【0097】
図16aは、旋回コネクターとして適合された本発明のコネクターコンポーネント104を示す。外側ハウジング140の近位端142は、雄ルアーエレメントを接続することができる雄ネジ150を備える、特別に設計された雌ルアーエレメント148である。
図16bは、
図16aの断面図である。
図16bに見られるのは、コネクターコンポーネント104の内側でルアーエレメント148を保持する近位端142の内壁上の歯152、および、セプタムホルダーがコネクターエレメントの内側を上下に動くときにセプタムホルダー110のアーム118がその中で動くチャネル113である。また、針166の近位端をコネクターコンポーネントの外側ハウジングに取り付ける針ホルダー168も見られる。見ることができて本明細書において上述したように、コネクターコンポーネントがアダプターコンポーネントに接続されない場合は、針166の先端は、セプタムホルダーの本体内の挿入物の内側に位置する。
【0098】
図17aは、本発明に係る近位端142を備えるように改変された従来技術のコネクター14を示す。近位端の壁の部分が内部エレメントを見せるために取り除かれている領域Aを、
図19に拡大する。
【0099】
図17bは、旋回コネクターが組み立てられる主なパーツを示し、および、ルアーエレメントの底部の設計の仕方を示す分解図である。旋回コネクターは、本明細書において上記に記載した、その上側末端が改変されているコネクター14(または104)、雌ルアーエレメント148、および、組み立てられた旋回コネクター内のルアーエレメントとコネクター本体との間の流体の漏出を防ぐO-リングからなる。ルアーエレメント148の底部は、それらの間に環状空間160を有する上側フランジ162および下側フランジ154を備える。フランジ154は、旋回機構の部分であるその下側表面上に1つまたは複数(典型的に4つ)の歯156を備える。
【0100】
コネクターハウジングの近位端142の断面図である
図18をここで参照する。コネクターのこの部分になされた改変は、内側壁の上部付近の1つまたは複数(典型的に4つ)の歯152の創作物;O-リング164のためのシートおよびルアーエレメント148の下側末端を収容するための凹所を備える、支持構造157;および、支持構造157の底部付近の水平フランジ上に作られた1つまたは複数(典型的に4つ)の歯158を含む。
【0101】
旋回コネクターを組み立てるために、O-リング164がそのシート内に置かれて、それから、ルアーエレメント148がコネクターハウジングの近位端140の凹所へ押される。コネクターハウジングおよびルアーエレメントの全てのパーツは、十分な弾性を有するプラスチックで作られているので、ルアーエレメントの底部のフランジ154は、歯152を超えて押し進められ得て、ルアーエレメントおよびコネクターのハウジングを一緒に保持するように空間160中へ移動する。
【0102】
図19をここで参照して、コネクターのハウジングの支持構造157上の歯158が、反時計回りの方向で上向きに傾斜して垂直の背面で終わる上側表面を備える三角形状を備え、フランジ154の底部の歯156が、時計回りの方向で上向きに傾斜して垂直の背面で終わる上側表面を備えることが見られる。コネクターハウジングに対して反時計回りの方向にルアーエレメント148を旋回しようとすると、その結果、歯154および156の傾斜表面が互いの上をスライドし、ルアーエレメント148は、これらの表面が互いを通過するまでコネクターハウジングに対して上昇して、それから、ルアーエレメントは下降して、プロセスを繰り返す場合は次の歯のペアが互いに出合うまで回転し続けることができる。一方で、時計回りの方向でルアーエレメント148を旋回しようとすると、その結果、歯154および156の垂直表面は、互いに対して突きあたり、ルアーエレメントおよびコネクターハウジングの間のこの方向での相対的な動きを防止する。
【0103】
ルアーエレメント148が高さ「h」まで持ち上げられると、歯152および158は互いから離れるので、それらは互いに相互作用することができないので、歯152の底部とフランジ154の上部との間の距離「h」は、ルアーエレメント148が「h」の高さを持ち上げられて時計回りに旋回されることを可能にする。ルアーエレメントが下方に押されて、歯152および158の間の距離「h」がなくなると、歯は互いに係合して、時計回りの回転は、雄および雌ルアーエレメントの間の接続を、それ以上ひねることができなくなるまで、さらにより堅くする。この一方および双方向の旋回機構は、コネクターに対してルアーロックされているシリンジまたはチューブの意図しない切断(それは、従来技術で生じる一般的でなくもない問題である)を防止する。2つのルアー・ロックド・コンポーネントを離すために、それらは互いに対して反時計回りに回転されなければならない。本発明の旋回コネクターを用いて、一方のコンポーネントは、他方に対して自由にスピンし、それらは切断されない。
【0104】
図20aおよび
図20bは、それに取り付けられたシリンジの双方向旋回を可能にするコネクターの近位端の一実施態様を模式的に示す。このシリンジ-コネクターユニットは、工場で組み立てられて、本出願の背景のセクションに記載の従来技術のコネクターおよび本明細書中に記載の新規のコネクターコンポーネントの両方の全ての実施態様を含むことができる。
【0105】
図20aは、シリンジ-コネクターアセンブリのコンポーネントを示す分解図である。シリンジの底部のスロートは、それらの間に環状空間174を有する2つのフランジ170および172を備えるように製造される。コネクターのハウジング14(または140)近位端142は、そのハウジングの近位端142の内壁の上部付近から内側に突出している少なくとも1つの歯を備えて製造される。
【0106】
図20bは、工場で組み立てられるシリンジコネクターユニットを示す断面図である。O-リング164がそのシート内に置かれた後に、シリンジ12の遠位端およびコネクターの近位端142は、フランジ170が歯152を通過して、歯がシリンジ12およびコネクター14を一緒に保持するように環状空間174内に位置すべく、プラスチックパーツが十分に曲がるのを可能にするのに十分な力で一緒に押される。O-リングは、コネクター本体とシリンジとの間の流体の漏出を防止して、シリンジは、ここでは、コネクターに対して時計回りおよび反時計回りの方向の両方で自由に旋回することが可能である。
【0107】
コネクターを備える、工場で組み立てられるシリンジにおけるこの旋回機構は、コネクターを備える従来技術の堅く溶接されたシリンジと比較した改良である。1つの利点は、ルアー・ロック・アダプター(薬剤移送システムのコンポーネント)が注入チューブ上にネジ留めされた場合、および、コネクターを備える従来技術のシリンジがアダプターに接続された場合に、取り付けられたシリンジを回転させることによってユーザーがアダプターのネジ留め解除をすることが生じ得る点である。病院職員は、病院内の器具のほとんどをネジ留めまたはネジ留め解除(ルアー・ロックまたは非ルアー)するのに慣れているために、これが生じ得る。また、薬剤師または看護師のようなユーザーが、測定マークを読むためにシリンジをひねる場合にも生じ得る。旋回デザインを有するので、シリンジは、コネクターに対してスピンし、ネジ留め解除が防止されて、ユーザーは、簡単かつ安全にシリンジを回転させて、その上にある測定マークの遮られていない視界を有することができる。
【0108】
図21aは、従来技術のシリンジの近位端を模式的に示す。このシリンジでは、遠位端をシールするために、蓋180が、シリンジバレル18の上部にフィンガーグリップを形成するフランジ176の上に留められる。ピストンシャフト24の周りのO-リングおよびガスケット182は、シリンジの内部を外部から単離する。
【0109】
シリンジの上部をシールするためのこの解決策は、閉鎖系または開放系であろうが、シリンジバレル上に存在するフランジの厚みに蓋が加わることを意味する。そのようなさらなる厚みは、正確な投与のために病院で用いられるほとんどの既存の電子シリンジポンプの中へのシリンジの挿入を妨げる。そのようなポンプは、シリンジ形状に専用の溝を備え、標準的なシリンジを収容するように設計される。
【0110】
本発明によって提案される解決策は、外部蓋180を、既存のシリンジのバレルの内側に位置するシールエレメントで置き換えることである。
図21b~
図21dは、本発明に係るシリンジの遠位端をシールする方法の一実施態様の近位端を模式的に示す。このシールエレメントは、円板形状の環状シールアセンブリ184を備え、その中心にホールを有して、それを通してピストンロッド24が通過する。この実施態様は、一緒に圧迫されてピストンロッドの周りをシールするO-リングを保持する上側パート184aおよび下側パート184bからなる。シールアセンブリは、
図21cおよび
図21dに示されるように、シリンジのバレルの上部へ押される。シールアセンブリ184は、それから、所定の位置に保持されて、
図21cにおいて矢印によって示された位置で、レーザーまたは超音波溶接、熱溶接または糊付けによって、シリンジバレルの内側に密封される。あるいは、シールアセンブリ184は、バレル中に圧入することができ、および、摩擦、および、プラスチックバレルおよびシールアセンブリの横によって互いに対して発揮される横力によって、所定の位置に保持することができる。加えられる力のために、シールアセンブリ内のノッチ186は、シリンジバレルの内側壁上の突起部188に嵌まる(snap into)ことができる。
【0111】
閉鎖移送システムで使用されない標準的なシリンジの実施態様は、気密でないデザインを有してよく、例えば、それらは、周囲環境に直接開放された、または、フィルターによって保護された、換気ホールが提供され得る。
【0112】
シールアセンブリ184は、バレルの内側に置かれて、シリンジの外部形状を邪魔しないので、従来技術の問題に対する解決策を提供する。したがって、それは、シリンジポンプおよび他の医療機器と適合する。さらに、それは製造するのがより簡単であり、気密適用でコンポーネント全体およびそのアセンブリを保ち、すなわち、正しく達成することが難しい蓋とバレルとの間のシールリングの挿入がなくなる。
【0113】
本発明の実施態様は例示として説明されているが、本発明は、特許請求の範囲を超えずに多くの変型、改変、および適合によって行なわれ得ることが理解されよう。