(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-05
(45)【発行日】2024-02-14
(54)【発明の名称】1つの遠心圧縮機を含む圧縮トレインおよびLNGプラント
(51)【国際特許分類】
F04D 17/12 20060101AFI20240206BHJP
F04D 25/16 20060101ALI20240206BHJP
F04D 29/053 20060101ALI20240206BHJP
F04D 29/42 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
F04D17/12
F04D25/16
F04D29/053 A
F04D29/42 J
(21)【出願番号】P 2022165357
(22)【出願日】2022-10-14
(62)【分割の表示】P 2018003031の分割
【原出願日】2018-01-12
【審査請求日】2022-10-14
(31)【優先権主張番号】102017000007473
(32)【優先日】2017-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】517029381
【氏名又は名称】ヌオーヴォ・ピニォーネ・テクノロジー・ソチエタ・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】Nuovo Pignone Tecnologie S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジュゼッペ・ユーリスキ
(72)【発明者】
【氏名】アンジェロ・グリマルディ
(72)【発明者】
【氏名】ジュゼッペ・サッサネーリ
(72)【発明者】
【氏名】マルコ・フォルミッチーニ
(72)【発明者】
【氏名】アントニオ・クリスタロ
(72)【発明者】
【氏名】ダビデ・ベケルッチ
(72)【発明者】
【氏名】ダリオ・マティーナ
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-518048(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0281741(US,A1)
【文献】特表2016-503856(JP,A)
【文献】特開2016-080344(JP,A)
【文献】実開昭60-034593(JP,U)
【文献】特表2015-518941(JP,A)
【文献】国際公開第2016/042639(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/132196(WO,A1)
【文献】特開2002-005088(JP,A)
【文献】特表2016-540928(JP,A)
【文献】実開昭63-092098(JP,U)
【文献】特開2014-206132(JP,A)
【文献】特開2012-177338(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 17/12
F04D 25/16
F04D 29/053
F04D 29/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然ガス液化プロセスのための圧縮トレインであって、
ドライバ機械と、
前記ドライバ機械によって回転駆動される単一の遠心圧縮機機械とを含み、
前記遠心圧縮機機械が、単一のケーシングと、当該ケーシングに収容された少なくとも2つの圧縮セクションと、前記少なくとも2つの圧縮セクションのうちの1つの圧縮セクションによって圧縮するための冷媒ガスを受け取るように構成された主入口と、前記少なくとも2つの圧縮セクションのうちの前記1つの圧縮セクションによって圧縮された前記冷媒ガスを前記遠心圧縮機機械から排出するように構成された補助出口と、前記少なくとも2つの圧縮セクションのうちの他の圧縮セクションでさらに圧縮するために、前記少なくとも2つの圧縮セクションのうちの前記1つの圧縮セクションによって圧縮されてその後外部で冷却された前記冷媒ガスを受け取るように構成された補助入口と、前記少なくとも2つの圧縮セクションのうちの前記他の圧縮セクションでさらに圧縮された前記冷媒ガスを前記遠心圧縮機機械から排出するように構成された主出口と、を備え、
前記遠心圧縮機機械は、吸入圧力から吐出圧力までの分子量が30g/mol未満の前記冷媒ガスを圧縮するように構成され、
前記主出口における吐出圧力と前記主入口における吸入圧力との比は、10より高く、
前記少なくとも2つの圧縮セクションの各々の圧縮セクションが、複数の圧縮段を有
し、
前記少なくとも2つの圧縮セクションの各前記圧縮セクションがインペラを有し、前記少なくとも2つの圧縮セクションの最も上流の圧縮セクションのインペラの直径が、前記少なくとも2つの圧縮セクションの少なくとも1つの他の圧縮セクションのインペラの直径よりも大きく、
前記少なくとも2つの圧縮セクションの前記最も上流の圧縮セクションの前記インペラが、開放型のインペラであり、前記少なくとも2つの圧縮セクションの前記少なくとも1つの他の圧縮セクションの前記インペラが、閉鎖型のインペラであり、
前記少なくとも2つの圧縮セクションにおける全ての前記インペラが、積み重ねられてロータを形成する、圧縮トレイン。
【請求項2】
前記ドライバ機械および前記遠心圧縮機機械が、互いに機械的に直接接続される、請求項1に記載の圧縮トレイン。
【請求項3】
前記ドライバ機械および前記遠心圧縮機機械が、ギアボックスによって互いに接続される、請求項1に記載の圧縮トレイン。
【請求項4】
前記遠心圧縮機機械が、バレル型のものであり、前記少なくとも2つの圧縮セクションが、前記ケーシングに着脱可能に挿入される共通のバンドルに配置される、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の圧縮トレイン。
【請求項5】
前記遠心圧縮機機械が、前記少なくとも2つの圧縮セクションの各々の前記圧縮セクションの入口および出口を含む、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の圧縮トレイン。
【請求項6】
2つの前記圧縮セクションが前記ケーシングに収容され、前記2つの前記圧縮セクションは、前記主入口および前記補助出口に流体接続される第1のセクションと、前記補助入口および前記主出口に流体接続される第2のセクションと、を含み、前記補助出口は前記補助入口と直接的または間接的に流体接続される、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の圧縮トレイン。
【請求項7】
前記ドライバ機械が、一軸ガスタービンもしくは多軸ガスタービン、または電気モータである、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の圧縮トレイン。
【請求項8】
前記冷媒ガスが、混合冷媒であり、前記天然ガス液化プロセスが、AP-C3MR(登録商標)型のものである、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の圧縮トレイン。
【請求項9】
前記冷媒ガスが、エチレンまたはメタンであり、前記天然ガス液化プロセスが、カスケード型のものである、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の圧縮トレイン。
【請求項10】
前記冷媒ガスが、前記補助出口と前記補助入口との間の流路に配置されたインタークーラを通過する、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の圧縮トレイン。
【請求項11】
前記少なくとも2つの圧縮セクションの
うち前記最も上流の圧縮セクションのインペラの
平均直径が、前記少なくとも2つの圧縮セクションの
前記少なくとも1つの他の圧縮セクションのインペラの
平均直径
の1.2倍よりも大きい、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の圧縮トレイン。
【請求項12】
前記少なくとも2つの圧縮セクションの
うち前記最も上流の圧縮セクションの
全ての前記インペラ
の直径が等しく、前記少なくとも2つの圧縮セクションの
前記少なくとも1つの他の圧縮セクション
において、上流から下流に向かって前記インペラ
の直径が徐々に減少する、請求項
1乃至11
のいずれか1項に記載の圧縮トレイン。
【請求項13】
前記少なくとも2つの圧縮セクションにおける
隣接する前記インペラが、
ハース継手によって互いに結合される、請求項1
乃至12
のいずれか1項に記載の圧縮トレイン。
【請求項14】
前記少なくとも2つの圧縮セクションの各々の圧縮セクションにおける前記インペラの周辺マッハ数が、1より小さい、請求項
1乃至13のいずれか1項に記載の圧縮トレイン。
【請求項15】
少なくとも1つの前記インペラが、300m/sを超える周速を有する、請求項
1乃至14のいずれか1項に記載の圧縮トレイン。
【請求項16】
前記少なくとも2つの圧縮セクションにおける隣り合う圧縮セクションの間に、ラビリンスまたはアブレイダブルシールが設けられ、前記ラビリンスまたはアブレイダブルシールの軸方向長さが、前記少なくとも2つの圧縮セクションにおける前記隣り合う圧縮セクションの各々の前記インペラの平均直径の30%~40%である、請求項
1乃至15のいずれか1項に記載の圧縮トレイン。
【請求項17】
前記遠心圧縮機機械が、前記少なくとも2つの圧縮セクションの各々の前記圧縮セクションの入口及び出口を有し、当該入口と当該出口がそれぞれ口部を画成し、前記ケーシングが、前記少なくとも2つの圧縮セクションの各々の前記入口と前記出口の前記口部の周りの前記ケーシングの厚さよりも小さい平均厚さを有する、請求項1乃至16のいずれか1項に記載の圧縮トレイン。
【請求項18】
請求項1乃至17のいずれか1項に記載の1つまたは複数の圧縮トレインを含む、LNGプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される主題の実施形態は、単一の遠心圧縮機を含む圧縮トレイン、および前記圧縮トレインを含むLNG(=液化天然ガス)プラントに対応する。
【背景技術】
【0002】
「石油およびガス」の分野、すなわち石油および/またはガスの探査、生産、貯蔵、精製および分配のための機械およびプラントにおいて、改善された解決策が常に求められている。
【0003】
改善は、たとえば、機械の構造および/または動作、機械の接続、または機械の組合せ(たとえば、機械列)から派生し得る。
【0004】
改善は、たとえば、効率の増加および/または損失の減少、生産の増加および/または廃棄物の減少、機能の増加、コストの削減、サイズおよび/またはフットプリントの縮小を含み得る。
【0005】
大規模なLNGプラントのためのいくつかの液化プロセスが、当該技術分野で知られている:
Air Products&Chemicals,Inc.が設計したAP-C3MR(登録商標)(APCI);
ConocoPhillipsが設計したカスケード;
Air Products&Chemicals,Inc.が設計したAP-X(登録商標)(APCI);
シェルのDMR(=二重混合冷媒);
SMR(単一混合冷媒);
Lindeが設計したMFC(登録商標)(混合流体カスケード);
Black&Veatchが設計したPRICO(登録商標)(SMR);
Air Liquideが設計したLiquefin(登録商標)。
【0006】
これらの既知のプロセスは、プロセスの点ですでに最適化されているが、特に、LNGプラントで使用される機械の数および/または機械のフットプリントの点で改善が求められている。
【0007】
AP-C3MR(登録商標)(「C3MR」とも呼ばれる)プロセスは、純冷媒(「C3」)、すなわちプロパン、ならびに混合冷媒(「MR」)、すなわち典型的にはプロパン、エチレン、およびメタンの混合物を使用する;このプロセスは、2サイクル液化技術:(1つの)純冷媒および(1つの)混合冷媒である。
【0008】
図1は、Air Products&Chemicalsが設計したAP-C3MR(登録商標)(以下、単に「C3MR」と呼ぶ)によるLNGプラントの概略図を示す。C3MRは、広く普及したLNGプロセスである。C3MRプロセスは、2つの冷凍サイクル:天然ガスを冷却するプロパン-冷凍(C3)サイクル、および天然ガスストリームを液化する混合冷媒(MR)サイクルからなる。
【0009】
プロパン冷凍サイクルでは、プロパンは、ドライバ105によって駆動される単一の圧縮機106で圧縮される。
【0010】
圧縮されたプロパンは、クーラ111で冷却され、次いでライン113を介して、熱交換器107を通過して天然ガスおよび混合冷媒ストリームからの熱を吸収する。熱交換器107の前に、圧縮されたプロパンの膨張が起こる。
【0011】
混合冷媒サイクルでは、混合冷媒は、直列に配置され、ドライバ104によって回転駆動される3つの圧縮機103,102,101を含む圧縮トレイン100を通って圧縮される。プロパンサイクルのドライバ105は、時折、混合冷媒サイクルの3つの圧縮機の1つを駆動するように構成することができる。
【0012】
圧縮された混合冷媒は、クーラ110で冷却され、次いでライン114を介して熱交換器107を通過し、予冷される。熱交換器107の前に、圧縮されたプロパンの膨張が起こる。
【0013】
低圧の暖かい主液化混合冷媒は、一連の中間冷却圧縮機103,102,101に送ることができ、圧縮機103で最初に圧縮され、インタークーラ115で冷却され、圧縮機102でさらに圧縮され、インタークーラ109で冷却され、圧縮機101でさらに圧縮された後、アフタークーラ110でさらに冷却されて高圧流体となる。
【0014】
冷却された高圧混合冷媒ストリームは、熱交換器107を使用して予冷することができ、予冷されたストリームとなる。予冷されたストリームは、セパレータ112で軽質の冷媒ストリームと重質の冷媒ストリームとに分離され得る。次に、軽質の冷媒ストリームを凝縮させ、主液化熱交換器108で過冷却することができる。重質の冷媒液体ストリームもまた、主液化熱交換器108で過冷却することができる。
【0015】
予冷された天然ガスのストリームは、次いでプラントの極低温セクションに、したがって主液化熱交換器108に送られ、蒸気ストリームを完全に凝縮して過冷却し、LNG生成物ストリームを形成する。
【0016】
ConocoPhillipsが設計したカスケード(以下、単に「カスケード」と呼ぶ)プロセスは、3つの純冷媒、すなわち典型的にはプロパン、エチレンまたはエタン、およびメタンを使用する;このプロセスは、3サイクルの(3つの)純冷媒の液化技術である。
【0017】
「純冷媒」という表現は、実際には、冷媒中の1つの物質が優勢(たとえば、少なくとも90%または95%または98%)であることを意味することに留意されたい;物質は、化学化合物(たとえば、プロパン、エタン、エチレン、メタン)であってもよい。
【0018】
図3は、カスケードプロセスによるLNGプラントの概略図を示す。カスケードプロセスは、C3MRと同様に、広く普及している。
【0019】
カスケードプロセスは、3つの冷凍サイクル:天然ガスストリームを予冷するプロパン冷凍サイクル、予冷された天然ガスストリームを冷却するエチレン冷凍サイクル、および冷却された天然ガスストリームを液化するメタン冷凍サイクルからなる。
【0020】
プロパン冷凍サイクルでは、プロパンは、2つの圧縮機312,313と、圧縮機を駆動するように構成されたドライバ306とを含む圧縮トレイン303によって圧縮される。
【0021】
圧縮されたプロパンは、クーラ316で冷却され、次いで熱交換器317を通過して、天然ガス、エチレンおよびメタンストリームからの熱を吸収する。熱交換器317の前に、圧縮されたプロパンの膨張が起こる。
【0022】
エチレン冷凍サイクルでは、エチレンは、2つの圧縮機310,311と、圧縮機を駆動するように構成されたドライバ305とを含む圧縮トレイン302によって圧縮される。
【0023】
圧縮されたエチレンは、クーラ315および熱交換器317で冷却される。次いで、熱交換器318を通過して、天然ガスおよびメタンストリームからの熱を吸収する。熱交換器318の前に、圧縮されたエチレンの膨張が起こる。
【0024】
熱交換器318は、セパレータ320で天然ガスの重質成分から分離された天然ガスの蒸気を冷却するために使用することもできる。重質成分は、液化天然ガスとは異なる液化した天然ガスを形成する。
【0025】
メタン冷凍サイクルでは、メタンは、3つの圧縮機307,308,309と、圧縮機を駆動するように構成されたドライバ304とを含む圧縮トレイン301によって圧縮される。
【0026】
圧縮されたメタンは、クーラ314および熱交換器317,318で冷却される。次いで、熱交換器319を通過して液化天然ガスを形成する。熱交換器319の前に、圧縮されたメタンの膨張が起こる。
【0027】
圧縮機の分野では、圧縮比は同じ境界条件下でのプロセスガスの分子量に比例することが一般に知られている。
【0028】
ガスが軽いほど、単一のケーシングで圧縮することが困難となり、高圧縮比を達成するためには複数の圧縮機が必要である。この問題は、混合冷媒、エチレンおよびメタンを用いるC3MRとカスケードプロセスの両方でそれぞれ発生する。
【0029】
現状技術水準では、中規模~大規模のLNGプラントにおいて高圧縮比で軽質ガスを圧縮することができる機械を有する圧縮トレインは知られていない。
【0030】
特に、単一のケーシングで、したがって2つ以上の代わりに単一の圧縮機を使用して軽質冷媒ガスを高圧縮比で圧縮することができる機械が依然として求められている。
【0031】
LNGにおいては、これらのガスの低い分子量のために、混合冷媒、エチレン、またはメタンのような軽質ガスを2つ以上の圧縮機機械で圧縮することが一般に知られている。したがって、処理されるガスの分子量が小さい場合、LNG圧縮トレインは一般にコンパクトではない。
【発明の概要】
【0032】
従来技術の上記の欠点は、圧縮トレインおよびLNGプラントに関する本発明の第1および第2の範囲によってここで克服される。
【0033】
天然ガス液化プロセスのための圧縮トレインは、ドライバ機械と、前記ドライバ機械によって回転駆動される1つのみの遠心圧縮機機械とを含むことができる。前記圧縮機は、吸入圧力から吐出圧力までの分子量が30g/mol未満の冷媒ガスを圧縮するように構成することができる。吐出圧力と吸入圧力との間の比は、10より高く、好ましくは12より高く、より好ましくは15より高くすることができる。
【0034】
LNGプラントは、本発明による1つまたは複数の圧縮トレインを含むことができる。
【0035】
特徴および実施形態が、本明細書で以下に開示されており、添付の特許請求の範囲においてさらに説明されている。添付の特許請求の範囲は、本明細書の必須の部分を形成する。上記の簡単な説明は、以下の詳細な説明をより深く理解できることを目的とし、さらに当該技術分野に対する本発明の寄与をより評価できるようにするために、本発明の種々の実施形態の特徴を記載している。もちろん本発明には他にも特徴があり、他の特徴は以下に説明され、添付の特許請求の範囲に記載される。この点で、本発明のいくつかの実施形態を詳細に説明する前に、本発明の種々の実施形態が、それらの応用において、以下の説明に記載され、あるいは図面に示される構成の詳細および構成要素の配置に制限されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態も可能であり、様々な方法で実施および実行することができる。また、本明細書で用いられる表現および用語は説明を目的とするものであり、限定とみなされるべきではないことを理解されたい。
【0036】
そのようなものとして、当業者であれば、本開示の基となる概念が、本発明のいくつかの目的を実行するための他の構造、方法、および/またはシステムを設計するための基礎として容易に利用することができることを理解するであろう。したがって、本発明の趣旨および範囲から逸脱しない限り、特許請求の範囲はこのような均等な構造を含むものとみなされるということが重要である。
【0037】
本発明の開示された実施形態、および本発明の多くの付随する利点のより全面的な理解は、添付の図面と結び付けて検討される際、以下の詳細な説明を参照することにより、これらがよりよく理解される場合に容易に得られる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】AP-C3MR(登録商標)プロセスによる従来技術のLNGプラントの概略図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態によるLNGプラントの概略図である。
【
図3】カスケードプロセスによる従来技術のLNGプラントの概略図である。
【
図4】本発明の第2の実施形態によるLNGプラントの概略図である。
【
図5】本発明による高圧縮比の圧縮機の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下の例示的な実施形態の説明は、添付の図面を参照する。
【0040】
以下の説明は、本発明を限定するものではない。代わりに、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0041】
明細書全体にわたって、「一実施形態」または「ある実施形態」に対する言及は、実施形態に関連して説明する特定の特徴、構造、または特性が開示される主題の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、明細書全体にわたって様々な箇所に現れる「一実施形態では」または「ある実施形態では」という句は、必ずしも同じ実施形態を指すとは限らない。さらに、特定の特徴、構造または特性は、1つまたは複数の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせられてもよい。
【0042】
以下(およびその数学的意味に従って)、用語「セット」は、1つまたは複数のアイテムのグループを意味する。
【0043】
図2を参照すると、前述のように、圧縮トレインの第1の実施形態を含むC3MRプロセスによるLNGプラントが示されている。
【0044】
プロパン冷凍サイクルでは、プロパンは、ドライバ205によって駆動される単一の圧縮機206で圧縮される。ドライバ205は、電気モータまたはガスタービンとすることができる。
【0045】
圧縮されたプロパンは、クーラ211で冷却され、次いでライン213を介して、熱交換器207を通過して天然ガスおよび混合冷媒ストリームからの熱を吸収する。熱交換器207の前に、好ましくはジュールトムソン弁(図示せず)により、圧縮されたプロパンの膨張が起こる。
【0046】
混合冷媒サイクルでは、混合冷媒は、単一の圧縮機201を含む圧縮トレイン200、およびドライバ機械204によって圧縮される。ドライバ機械204は、電気モータまたはガスタービンとすることができる。
【0047】
ドライバ機械204は、単一の圧縮機201に直接結合することができる。
【0048】
特定の実施形態では、圧縮トレイン200は、ドライバ機械204と単一の圧縮機201との間に配置され、ドライバ機械204の回転速度を増加させるように構成されたギアボックス(図示せず)を含むこともできる。ギアボックスは、ドライバ機械204に機械的に結合された入力シャフトと、単一の圧縮機201、具体的には圧縮機シャフトに機械的に結合された出力シャフトとを含むことができる。
【0049】
単一の圧縮機201で圧縮された後、圧縮された混合冷媒は、クーラ210で冷却され、次いでライン214を介して熱交換器207を通過し、予冷される。熱交換器207の前に、好ましくはジュールトムソン弁(図示せず)により、圧縮されたプロパンの膨張が起こる。
【0050】
単一の圧縮機201は、インタークーラ202,203を介して中間冷却され、高圧の混合冷媒を出力することができる。
【0051】
C3MRプロセスによって要求される所要の圧縮比を得るために、以下の説明を読むときにより明確に理解されるように、特定のタイプの単一の圧縮機が使用される。
【0052】
冷却された高圧混合冷媒ストリームは、次いで熱交換器207を使用して予冷され、予冷されたストリームとなる。予冷されたストリームは、セパレータ212で軽質の冷媒ストリームと重質の冷媒ストリームとに分離され得る。次に、軽質の冷媒を凝縮させ、主液化熱交換器208で過冷却することができる。重質の冷媒液体ストリームもまた、主液化熱交換器208で過冷却することができる。
【0053】
予冷された天然ガスのストリームは、次いでプラントの極低温セクションに、したがって主液化熱交換器208に送られ、蒸気ストリームを完全に凝縮して過冷却し、LNG生成物ストリームを形成する。
【0054】
Air Products&Chemicals Inc.が設計した周知のSplitMR(登録商標)配置によれば、プロパンの圧縮トレインは、混合冷媒の3つの圧縮機の1つを含むことができる。好ましい実施形態では、既存のSplitMR(登録商標)LNGプラントの改訂方法が提供され、混合冷媒は、本発明による圧縮トレインによって圧縮され、プロパンの圧縮トレインは、ドライバと、プロパンを圧縮するように構成された圧縮機と、ドライバによって生成された利用可能な余剰出力を電力に変換するように構成された発電機とを含むことができる。
【0055】
図4を参照すると、前述のように、本発明のさらなる実施形態による圧縮トレインを含むカスケードプロセスによるLNGプラントが示されている。
【0056】
プロパン冷凍サイクルでは、プロパンは、2つの圧縮機410,411と、圧縮機を駆動するように構成されたドライバ406とを含む圧縮トレイン403によって圧縮される。ドライバ406は、電気モータまたはガスタービンとすることができる。
【0057】
圧縮されたプロパンは、クーラ414で冷却され、次いで第1の熱交換器415を通過して、天然ガス、エチレンおよびメタンストリームからの熱を吸収する。熱交換器415の前に、好ましくはジュールトムソン弁(図示せず)により、圧縮されたプロパンの膨張が起こる。
【0058】
エチレン冷凍サイクルでは、エチレンは、第1の単一の圧縮機409と、単一の圧縮機409を回転駆動するように構成された第1のドライバ機械405とを含む第1の圧縮トレイン402によって圧縮される。ドライバ機械405は、電気モータまたはガスタービンとすることができる。
【0059】
ドライバ機械405は、直接接続により第1の圧縮機409に直接接続される。直接接続は、特定の動作コンテキストに応じて、可撓性または剛性のタイプとすることができる。
【0060】
圧縮されたエチレンは、クーラ413および第1の熱交換器415で冷却される。次いで、エチレンストリームは、第2の熱交換器416を通過して、天然ガスおよびメタンストリームからの熱を吸収する。第2の熱交換器416の前に、好ましくはジュールトムソン弁(図示せず)により、圧縮されたエチレンの膨張が起こる。
【0061】
第2の熱交換器416は、セパレータ418で天然ガスの重質成分から分離された天然ガスの蒸気を冷却するために使用することもできる。重質成分は、液化した天然ガスを形成する。
【0062】
メタン冷凍サイクルでは、メタンは、第2の単一の圧縮機408と、第2の単一の圧縮機408を回転駆動するように構成された第2のドライバ機械404とを含む第2の圧縮トレイン401によって圧縮される。第2のドライバ機械404は、電気モータまたはガスタービンとすることができる。
【0063】
第2のドライバ機械404および第2の単一の圧縮機408は、第2のドライバ機械404の回転速度を増加させるように構成されたギアボックス407によって機械的に接続される。ギアボックス407は、第2のドライバ機械404に機械的に結合された入力シャフトと、第2の単一の圧縮機408のシャフトに機械的に結合された出力シャフトとを含むことができる。
【0064】
圧縮されたメタンは、クーラ412ならびに第1および第2の熱交換器415,416で冷却される。次いで、メタンは第3の熱交換器417を通過して、冷却された天然ガスからの熱を吸収する。このようにして、天然ガスのストリームは完全に凝縮され、LNG生成物ストリームが得られる。熱交換器417の前に、圧縮されたメタンの膨張が起こる。
【0065】
第1および第2の実施形態を参照すると、前記圧縮トレイン200、第1の圧縮トレイン402および第2の圧縮トレイン401の圧縮機は、以下に説明されるタイプのものであり得る。
【0066】
図5をさらに参照すると、遠心圧縮機500は、主入口519の吸入圧力から主出口520の吐出圧力までの冷媒ガスを圧縮する。圧縮機500は、前記吐出圧力と吸入圧力との間の比が10より高い、好ましくは12より高い、より好ましくは15より高い冷媒ガスを圧縮するように構成される。本発明において、用語「高圧縮比」は、上記のような出口圧力と入口圧力との間の比を意味する。
【0067】
C3MRおよびカスケードプロセスで必要とされる圧縮比は、特に軽質ガス冷媒を圧縮する単一の圧縮機によって行われる場合に、高圧縮比とみなされる。
【0068】
したがって、圧縮機500は、30g/mol未満の分子量を有する冷媒ガスを圧縮するように構成される。
【0069】
本発明において、用語「軽質冷媒」、「軽質ガス」、「低分子量ガス」は、すべての冷媒ガス、したがって30g/mol未満の分子量を有する冷凍プロセスで使用されるすべてのガスを指す。
【0070】
圧縮機500は、遠心圧縮機であり、高圧縮比で軽質冷媒を圧縮するために、2つまたは3つ、さらには4つの圧縮セクションを含むことができる。各圧縮セクションは、1つまたは複数の圧縮段を含むことができる。各圧縮段は、遠心インペラと、ディフューザと、リターンチャネルとを含むことができる。ディフューザおよび/またはリターンチャネルは、圧縮機の固定部分の一部であり、ベーンを含むことができる。すべてのインペラは、共に接続されてロータを形成する。
【0071】
ロータの一部は、シャフト531とすることができる。あるいは、シャフト531は、ロータにしっかりと接続することができる。シャフト531は、ドライバ機械(
図5には図示せず)に機械的に接続される。
【0072】
各圧縮セクションは、それぞれの入口および出口を有する。したがって、圧縮機は、2つ以上の入口、1つの主入口および1つまたは複数の補助入口と、2つ以上の出口、1つの主出口および1つまたは複数の補助出口とを含むことができる。
図5を参照すると、直列に配置された2つの圧縮セクション523,524を有する圧縮機500が示されている。第1の圧縮セクションは、入口519および出口521と、各々がインペラ507,508を含む2つの圧縮段525,526とを含む。第2の圧縮セクションは、入口522および出口520と、各々が1つのインペラ509,510,511を含む3つの圧縮段527,528,529とを含む。冷媒ガスは、主入口519を通って入り(矢印502)、第1の圧縮セクション523によって圧縮され、補助出口521から出る(矢印504)。中間冷却ステップの後、圧縮されて冷却された冷媒ガスは、補助入口522を通って圧縮機に再び入る。冷媒ガスは、次いで第2の圧縮セクション524で圧縮され、主出口520を通って最終的に出る。
【0073】
各圧縮セクションは、特定の条件下で、たとえば中間冷却ステージの間の特定の入口圧力から特定の出口圧力までの冷媒ガスを圧縮するように構成される。
【0074】
補助入口および/または補助出口は、圧縮機により順応性を持たせることができ、圧縮機が使用されるプロセスに機械の動作条件を適合させることができる。たとえば、補助入口および補助出口は、圧縮機から作動流体を抽出し、再噴射する前にそれを冷却するために使用されてもよい。
【0075】
たとえば、
図4を参照すると、エチレン圧縮機、したがって第1の圧縮トレイン402の第1の単一の圧縮機409は、
図5の圧縮機500と同様の2つの入口ストリームを含む。第1の圧縮セクションの出口504と第2の圧縮セクションの入口503との間で、冷媒ガスは中間冷却される(中間冷却は示されていない)。
【0076】
各圧縮セクションは、圧縮の観点から、
図3の符号310および311と同様の独立した圧縮機に類似する。1つの重要な技術的違いは、すべての圧縮セクションが単一のケーシングを有する共通の圧縮機機械に配置されることである。
【0077】
遠心圧縮機500のすべての圧縮セクション523,524は、単一の共通のケーシング530に着脱可能に挿入されるように構成される共通のバンドル501に配置される。ロータおよび固定部分は、カートリッジと同様に、ケーシング530自体のケーシング530の一方の端部を介して可逆的に軸方向に挿入されるように構成される円筒状のバンドルに共に組み立てられる。ドライバ機械に対する圧縮機の反対側には、通常、障害物がないので、メンテナンス作業のためのバンドルの取り出しが容易になる。
【0078】
圧縮セクションの出口は、下流に配置された圧縮セクションの入口に直接的または間接的に流体結合される。
【0079】
すべての圧縮セクションは、同じタイプの冷媒ガスを圧縮するように配置される。
【0080】
図5の圧縮機の場合のように、圧縮セクションが2つの場合、第1の圧縮セクション523の出口521は、より下流の圧縮セクション、したがって第2の圧縮セクション524の入口522に流体接続される。
【0081】
後続の圧縮セクションの入口および出口は、中間冷却セクションを介して流体接続することができ、より上流のセクションで圧縮された冷媒ガスは、冷却されて後続のセクションに再導入される。
【0082】
圧縮セクションが2つではなく3つの場合、同じ概念が適用される。したがって、第3のセクションが第2のセクションの下流に配置されると、第2のセクションは第1のセクションの下流に配置され、第1のセクションの出口は第2の圧縮セクションの入口に直接的または間接的に流体接続され、第2のセクションの出口は第3のセクションの入口に直接的または間接的に流体接続される。
【0083】
少なくとも1つの圧縮セクションを、連続して配置することができる。この場合、2つの隣り合うセクションの出口は、互いに隣接して配置される。
【0084】
隣り合う圧縮セクションは、あるセクションから他のセクションへの漏れを制限するために、ラビリンスまたはアブレイダブルシールによって分離することができる。
【0085】
特に、これらのシールの軸方向長さは、前記隣り合う圧縮セクションのインペラの平均直径の30%~40%、好ましくは約35%とすることができる。この値の範囲は、漏れが非常に少なくなることを保証する。
【0086】
圧縮機500のロータは、前述のように複数の圧縮セクションに配置された複数のインペラを含み、インペラは、一定のまたは減少していく直径を有し、最後のインペラは、常に第1のインペラより小さい。たとえば、第1のインペラ507は、第2のインペラ508の直径に等しい直径を有することができ、第2のインペラ508は、第3のインペラ509の直径より大きい直径を有し、第3、第4および第5のインペラ509,510,511の直径は、徐々に減少する。
【0087】
すべてのインペラを積み重ねて、ロータを形成することができる。共通のタイロッド506は、すべてのインペラ507,508,509,510,511を共にグループ化した状態に維持するように配置および構成することができる。隣り合うインペラの相互のずれは、Hirth接続512,513,514,515によって回避される。インペラの反対側の軸方向端部は、Hirth継手を含む。積み重ねられ結合されたインペラは、タイロッドによって共に締結される。このようにして、非常に安定した信頼性のある機械的接続が達成される。タイロッドは、インペラを圧縮するために軸方向に予め組み込むことができる。各インペラ507,508,509,510,511は、その回転軸に貫通孔を有することができ、タイロッドが通過することができるように構成することができる。
【0088】
本発明の遠心圧縮機のインペラは、1,1より小さい、好ましくは1より小さい、したがって音速以下の周辺マッハ数を有するように構成される。
【0089】
マッハ数(Ma)は、通常、次の式で計算される:
【0090】
【0091】
ここで、RPMはインペラの毎分回転数、π=3,14159、Tip Diameterは先端のインペラの直径、C=理想気体の状態方程式を用いて次の式で計算することができる音速である:
【0092】
【0093】
ここで、γは低分子量ガスの断熱指数、Rはユニバーサルガス定数(8.314J/Mol K)、Zは圧縮係数、Tは圧縮機内の任意の点における低分子量ガスの温度、MWは低分子量ガスの分子量である。
【0094】
音速(C)は、流体の分子量の平方根に反比例して変化する。したがって、より低分子量の冷媒は、高い音速を生じる。
【0095】
本発明の遠心圧縮機は、C3MRプロセスの混合冷媒、またはカスケードプロセスのエチレンおよびメタンのような低分子量ガスを単一のケーシングで処理するように構成され、C3MRの混合冷媒は、約26gr/molの分子量を有し、エチレンは、28gr/molの分子量を有し、メタンは、16gr/molの分子量を有する。
【0096】
本発明の圧縮機は、処理された冷媒ガスの分子量が30g/mol未満である、好ましくは3.600~8.000rpmの高い回転速度まで回転するように構成される。これらの特徴により、インペラを亜音速動作状態に維持することが可能になる。
【0097】
遠心圧縮機のインペラの少なくとも1つは、300m/sを超える、好ましくは380m/sを超える周速を有する。
【0098】
好ましくは、最も上流のインペラは、シュラウドを有さない開放型のものでもよい。反対に、他のインペラ、したがって第1のグループの開放インペラの下流に配置されたインペラは、シュラウド516,517,518を含むことができる。
【0099】
最も上流のインペラは、他のインペラと比較して高い周速を有し、その結果より大きい直径を有する。このため、最も上流のインペラは、機械的ストレスを避けるためにシュラウドが付いていなくてもよい。最初の2つのインペラの平均直径は、他のインペラの平均直径の1,2倍より大きくすることができる。シュラウドが付いていないインペラは、シュラウドがないため、シュラウドが付いているインペラより速く回転することができ、実際には、インペラが回転すると、シュラウドは作用する遠心力によって外側に引っ張られ、一定の回転速度でシュラウドがインペラを引き抜く危険性がある。
【0100】
上記で定義した圧縮機のロータ構成により、インペラは従来の遠心圧縮機より速く回転することができ、したがってより大きい圧縮比を達成することができる。
【0101】
一実施形態では、入口および/または出口口部の周りに配置されたケーシングの部分は、高圧によって広く応力を受ける圧縮機の区域における圧縮機のケーシングを強化するために、ケーシングの残りの部分の平均厚さと比較してより大きい厚さを有する。
【0102】
本発明の任意の実施形態による圧縮トレインのドライバ機械は、一軸ガスタービン、多軸ガスタービン、または蒸気タービンであってもよい。さらに好ましい実施形態では、ドライバ機械は、可変速度駆動(VSD)電気モータ、または固定速度電気モータであってもよい。
【0103】
本発明の遠心圧縮機の技術的特徴により、カスケードプロセスでエチレンを圧縮するために使用される一組の従来の遠心圧縮機310,311は、前述のように単一の圧縮機409で置き換えることができるようになる。
【0104】
同じ理由により、カスケードプロセスでメタンを圧縮するために使用される3つの従来の遠心圧縮機307,308,309は、前述のようにさらなる単一の圧縮機408で置き換えることができるようになる。
【0105】
さらに、同じ開示された技術的理由のために、C3MRプロセスで混合冷媒を圧縮するために使用される3つの従来の遠心圧縮機101,102,103は、前述のように単一の圧縮機201で置き換えることができるようになる。
【0106】
複数の圧縮機によってこれまで行われていた圧縮は、全体の性能を損なうことなく、本発明による単一の圧縮機で行うことができるようになる。よって、明白な利点が達成される。
【0107】
このように設けられた圧縮トレインは、ドライバ機械に直接的/間接的に接続されたさらなる圧縮機を必要としない。
【0108】
本発明による圧縮機と圧縮トレインを使用することにより、より少ない空間および/またはより少ないフットプリントにおいて、より少ない数の機械でより高いLNG生産量を得ることができる。
【0109】
2つ以上のケースの代わりに1つのケースのみを有することは、以下の多くの観点から有利であることに留意されたい:
設置およびメンテナンスを簡略化し、
メンテナンス時間を短縮し、
信頼性を高め(構成要素の削減および故障の可能性の低減)、
機械のフットプリントおよび重量を縮小し、
ガス漏れを低減し、
潤滑油システムの複雑さおよびサイズを低減する。
【0110】
本発明の圧縮トレインをC3MRおよびカスケードプロセスに適合させて説明してきたが、他のLNGプロセスにも容易に適合させて使用することができる。
【0111】
本明細書で説明される主題の開示された実施形態が図面に示され、いくつかの例示的な実施形態と結び付けて具体的および詳細に上で十分に説明されてきたが、多くの修正、変更、および省略が、本明細書に記載された新たな教示、原理および概念、ならびに添付の特許請求の範囲に述べられる主題の利点から著しく逸脱することなく可能であることが当業者には明らかであろう。したがって、開示される技術革新の適切な範囲は、すべてのそのような修正、変更、および省略を含むように、添付の特許請求の範囲を最も広く解釈することによってのみ定められるべきである。加えて、任意のプロセスまたは方法ステップの順序または進行は、代替的な実施形態によって変更または並べ直されてもよい。
【0112】
本発明の最終的な範囲は、以下の番号付けされた項によって定義される圧縮トレインである。
【0113】
1.エンジンと、前記エンジンによって駆動される高速圧縮機とを含み、前記高速圧縮機は、遠心圧縮機であり、第1のセットのインペラと、前記第1のセットのインペラの下流または上流に配置された第2のセットのインペラとを含み、前記第1のセットのインペラは、遠心式であり、シュラウドが付いておらず、前記第2のセットのインペラは、遠心式であり、シュラウドが付いており、少なくとも前記第1のセットおよび前記第2のセットのインペラは、1つの共通のケーシング内に収容され、前記第1のセットおよび前記第2のセットのインペラは、機械的接続によって互いに結合される、圧縮トレイン。
【0114】
2.前記エンジンが、電気モータまたは蒸気タービンもしくはガスタービン、特に航空転用ガスタービンである、項1に記載の圧縮トレイン。
【0115】
3.前記エンジンおよび前記高速圧縮機が、直接またはギアボックスによって接続される、項1または2に記載の圧縮トレイン。
【0116】
4.前記エンジンと前記高速圧縮機との間に配置されたさらなる遠心圧縮機を含む、項1,2または3に記載の圧縮トレイン。
【0117】
5.前記ギアボックスが、前記高速圧縮機と前記さらなる圧縮機との間に配置される、項2に従属する項4に記載の圧縮トレイン。
【0118】
6.前記圧縮トレインが、前記圧縮機によって吸収された出力が所定の閾値を超えたときに前記主エンジンを支援するように構成されたヘルパーモータを含む、項1乃至5のいずれか1項に記載の圧縮トレイン。
【符号の説明】
【0119】
100 圧縮トレイン
101 中間冷却圧縮機、遠心圧縮機
102 中間冷却圧縮機、遠心圧縮機
103 中間冷却圧縮機、遠心圧縮機
104 ドライバ
105 ドライバ
106 圧縮機
107 熱交換器
108 主液化熱交換器
109 インタークーラ
110 アフタークーラ
111 クーラ
112 セパレータ
113 ライン
114 ライン
115 インタークーラ
200 圧縮トレイン
201 圧縮機
202 インタークーラ
203 インタークーラ
204 ドライバ機械
205 ドライバ
206 圧縮機
207 熱交換器
208 主液化熱交換器
210 クーラ
211 クーラ
212 セパレータ
213 ライン
214 ライン
301 圧縮トレイン
302 圧縮トレイン
303 圧縮トレイン
304 ドライバ
305 ドライバ
306 ドライバ
307 遠心圧縮機
308 遠心圧縮機
309 遠心圧縮機
310 遠心圧縮機
311 遠心圧縮機
312 圧縮機
313 圧縮機
314 クーラ
315 クーラ
316 クーラ
317 熱交換器
318 熱交換器
319 熱交換器
320 セパレータ
401 第2の圧縮トレイン
402 第1の圧縮トレイン
403 圧縮トレイン
404 第2のドライバ機械
405 第1のドライバ機械
406 ドライバ
407 ギアボックス
408 第2の単一の圧縮機
409 第1の単一の圧縮機
410 圧縮機
411 圧縮機
412 クーラ
413 クーラ
414 クーラ
415 第1の熱交換器
416 第2の熱交換器
417 第3の熱交換器
418 セパレータ
500 遠心圧縮機
501 バンドル
502 矢印
503 入口
504 出口
506 タイロッド
507 第1のインペラ
508 第2のインペラ
509 第3のインペラ
510 第4のインペラ
511 第5のインペラ
512 Hirth接続
513 Hirth接続
514 Hirth接続
515 Hirth接続
516 シュラウド
517 シュラウド
518 シュラウド
519 主入口
520 主出口
521 補助出口
522 補助入口
523 第1の圧縮セクション
524 第2の圧縮セクション
525 圧縮段
526 圧縮段
527 圧縮段
528 圧縮段
529 圧縮段
530 ケーシング
531 シャフト