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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-05
(45)【発行日】2024-02-14
(54)【発明の名称】部品の取付機構および電子機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/16 20060101AFI20240206BHJP
   G06F 1/18 20060101ALI20240206BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20240206BHJP
   H05K 7/12 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
G06F1/16 312Q
G06F1/16 312E
G06F1/18 E
H05K5/02 P
H05K7/12 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022211838
(22)【出願日】2022-12-28
【審査請求日】2022-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】溝口 文武
(72)【発明者】
【氏名】柴山 佳幸
(72)【発明者】
【氏名】久保田 信一
(72)【発明者】
【氏名】陳 義梅
【審査官】豊田 真弓
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-051581(JP,A)
【文献】特開2022-177582(JP,A)
【文献】特開2005-044110(JP,A)
【文献】特開2006-217142(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0010657(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0072656(US,A1)
【文献】中国実用新案第205899453(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/16
G06F 1/18
H05K 5/02
H05K 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器の筐体における部品の取付機構であって、
前記部品を収納するホルダと、
前記ホルダが嵌込まれて装着される装着凹部と、
を有し、
前記ホルダは前記部品の前記装着凹部からの抜けを規制するストッパを備え、
前記ホルダが前記装着凹部に嵌込まれることによって一方の周壁に設けられた係合部と他方の周壁に設けられた被係合部とが係合して、前記ホルダが前記装着凹部に固定されており、
前記ホルダおよび前記装着凹部は平面視で略矩形であり、
前記係合部および前記被係合部は矩形の一辺に沿って設けられ、
前記装着凹部は、前記一辺に交差する二辺の各途中部分に切欠溝が形成されており、
前記ホルダは前記装着凹部から露呈する面が枠状に形成されており、前記二辺に対応する各枠縁と前記部品との間には隙間が形成されている
ことを特徴とする部品の取付機構。
【請求項2】
請求項1に記載の部品の取付機構において、
前記ホルダおよび前記装着凹部は平面視で略矩形であって前記筐体の縁に沿って設けられており、
前記係合部および前記被係合部は前記筐体の前記縁に対向する一辺に沿って設けられている
ことを特徴とする部品の取付機構。
【請求項3】
請求項に記載の部品の取付機構において、
前記係合部は、前記ホルダに設けられており、前記筐体の前記縁と反対側に向かって突出する爪を備え、
前記被係合部は前記装着凹部に設けられており、前記爪が係合する係合開口から前記筐体の前記縁と反対側に連通している
ことを特徴とする部品の取付機構。
【請求項4】
請求項1に記載の部品の取付機構において、
前記部品は磁石である
ことを特徴とする部品の取付機構。
【請求項5】
第1筐体と第2筐体とがヒンジによって回動可能に連結された電子機器であって、
前記第1筐体には、
磁石と、
前記磁石を収納するホルダと、
前記ホルダが装着される装着凹部と、
が設けられ、
前記ホルダは前記磁石の前記装着凹部からの抜けを規制するストッパを備え、
前記ホルダが前記装着凹部に嵌込まれることによって一方の周壁に設けられた係合部と他方の周壁に設けられた被係合部とが係合して、前記ホルダが前記装着凹部に固定されており、
前記第2筐体における前記磁石に対応する位置に磁気検出センサが設けられており、
前記ホルダおよび前記装着凹部は平面視で略矩形であり、
前記係合部および前記被係合部は矩形の一辺に沿って設けられ、
前記装着凹部は、前記一辺に交差する二辺の各途中部分に切欠溝が形成されており、
前記ホルダは前記装着凹部から露呈する面が枠状に形成されており、前記二辺に対応する各枠縁と前記磁石との間には隙間が形成されている
ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品の取付機構および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の筐体には各種の部品が取り付けられる。例えば、特許文献1に示されるノート型PCは2つの筐体がヒンジによって回動可能に連結されており、一方の筐体には磁石が設けられ、他方の筐体の対応位置にはセンサが設けられている。このノート型PCでは2つの筐体を重ね合わせると、センサが磁力を検知することに基づいて制御部が必要な処理を行う。これらの部品は筐体を構成するカバー部材に対して接着剤で固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6246861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような部品は製造工程で装着ミスが発生する可能性があり、特に、磁石は磁極を逆に取り付けてしまう懸念がある。また、部品の種類によっては経時的に故障する場合もある。これらの場合には部品は接着固定されているカバー部材とともに交換する必要があり、取り外したカバー部材および部品は再利用が困難であって基本的に廃棄されており、コストアップの要因になる。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、コストを抑制するとともに廃棄物を削減することのできる部品の取付機構および電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の第1態様に係る部品の取付機構は、電子機器の筐体における部品の取付機構であって、前記部品を収納するホルダと、前記ホルダが嵌込まれて装着される装着凹部と、を有し、前記ホルダは前記部品の前記装着凹部からの抜けを規制するストッパを備え、前記ホルダが前記装着凹部に嵌込まれることによって一方の周壁に設けられた係合部と他方の周壁に設けられた被係合部とが係合して、前記ホルダが前記装着凹部に固定されている。
【0007】
本発明の第2態様に係る電子機器は、第1筐体と第2筐体とがヒンジによって回動可能に連結された電子機器であって、前記第1筐体には、磁石と、前記磁石を収納するホルダと、前記ホルダが装着される装着凹部と、が設けられ、前記ホルダは前記磁石の前記装着凹部からの抜けを規制するストッパを備え、前記ホルダが前記装着凹部に嵌込まれることによって一方の周壁に設けられた係合部と他方の周壁に設けられた被係合部とが係合して、前記ホルダが前記装着凹部に固定されており、前記第2筐体における前記磁石に対応する位置に磁気検出センサが設けられている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の上記態様によれば、コストを抑制するとともに廃棄物を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態に係る電子機器を上から見下ろした模式的な平面図である。
図2図2は、下カバー材を取り外した状態で上カバーにおける取付機構とその周辺部を下方から見た斜視図である。
図3図3は、取付機構を下方から見た一部断面分解斜視図である。
図4図4は、磁石が収納されたホルダを上方から見た斜視図である。
図5図5は、ホルダを上方から見た斜視図である。
図6図6は、図2におけるVI~VI線視による断面側面図である。
図7図7は、図2におけるVII~VII線視による断面側面図である。
図8図8は、取付機構によって上カバーに取り付けられた磁石を取り外す様子を示す模式斜視図である。
図9図9は、第2実施形態にかかる取付機構の断面斜視図である。
図10図10は、下カバー材を取り外した状態で第3実施形態にかかる取付機構とその周辺部を下方から見た斜視図である。
図11図11は、第3実施形態にかかる取付機構を下方から見た分解斜視図である。
図12図12は、図10におけるXII~XII線視による断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明にかかる部品の取付機構および電子機器の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
以下に、本発明にかかる電子機器の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。本発明に係る電子機器は以下に例示するノート型PC以外、例えば単体のディスプレイ装置、タブレット型PC、携帯電話、スマートフォン、又は携帯用ゲーム機等でもよい。
【0012】
図1は、一実施形態に係る電子機器10を上から見下ろした模式的な平面図である。図1は、ヒンジ16によってディスプレイ筐体14を本体筐体12から開いた状態を示している。
【0013】
図1に示すように、電子機器10は、本体筐体(第1筐体)12とディスプレイ筐体(第2筐体)14とがそれぞれの連結縁において左右一対のヒンジ16,16によって回動可能に連結した構成となっている。電子機器10は不使用時に本体筐体12とディスプレイ筐体14とを重ね合わせる0度姿勢としてコンパクトにすることができ携行に適する。
【0014】
ディスプレイ筐体14は薄い矩形状の箱体であり、前面のほぼ全てを占めるディスプレイ18と、該ディスプレイ18の背面を覆う背面カバー20とを有する。背面カバー20とディスプレイ18の四周の境部分はベゼル22によって覆われている。ディスプレイ筐体14における上枠14a部分には複数の電子デバイス24と、ホールセンサ(磁気検出センサ)26とが設けられている。電子デバイス24はカメラ、マイク、赤外線機器などであり、上枠14aの略中央部に並んで設けられている。ホールセンサ26は電子デバイス24のやや右側に設けられている。電子デバイス24はベゼル22に形成された孔から露呈している。ホールセンサ26はベゼル22によって覆われている。
【0015】
以下、本体筐体12およびその構成要素に関する説明では、ディスプレイ筐体14との連結縁の側を後とし、その反対側を前とし、キーボード32が設けられている側を上とし、その反対側を下とし、各図においてこれらの方向を適宜矢印で示す。また、上下および前後に直交する左右方向を横、上下方向を縦とも呼ぶ。
【0016】
本体筐体12は、上面及び四周側面を形成する上カバー材28と、下面を形成する下カバー材30とで構成されており扁平な箱体をなしている。本体筐体12の上面には、キーボード32及びタッチパッド34が設けられている。タッチパッド34はキーボード32の手前側に隣接しており、本体筐体12の横方向略中央に設けられている。
【0017】
本体筐体12の内部には磁石(部品)36およびアンテナエレメント(部品)42a,42bが設けられている。磁石36およびアンテナエレメント38a,38bは本体筐体12の前縁12aに沿って上カバー材28に取り付けられている。アンテナエレメント38a,38bは、例えばWWAN(Wireless Wide Area Network)に対応した電波を送受信可能であって左右略対称位置に設けられている。
【0018】
磁石36はタッチパッド34の右隣にあり、電子機器10が0度姿勢となっているときに、ホールセンサ26と対向する位置に設けられており、該ホールセンサ26は磁石36の磁気を検知可能である。磁石36はホールセンサ26に応じて磁極の向きが定められている。磁石36は、本実施の形態にかかる取付機構40A,40B,40Cによって上カバー材28に取り付けられている。
【0019】
本体筐体12の内部にはさらに、マザーボード、記憶装置、通信モジュール、およびバッテリなどが設けられている。マザーボードの制御部は、ホールセンサ26の信号に基づいて電子機器10が0度姿勢になったことを検出するとスリープモードへ移行するなどの必要な処理を行う。通信モジュールはアンテナエレメント38a,38bによって電波の送受信を行う。
【0020】
(第1実施形態)
第1実施形態にかかる取付機構40Aについて説明する。図2は、下カバー材30を取り外した状態で上カバー材28における取付機構40Aとその周辺部を下方から見た斜視図である。図3は、取付機構40Aを下方から見た一部断面分解斜視図である。図4は、磁石36が収納されたホルダ44Aを上方から見た斜視図である。図5は、ホルダ44Aを上方から見た斜視図である。
【0021】
磁石36の取付機構40Aは、磁石36を収納するホルダ44Aと、磁石36を収納した状態のホルダ44Aが嵌込まれて装着される装着凹部46Aとを有する。磁石36は、横方向にやや細長い小さな直方体である。磁石36は、例えば横方向にN極、S極が分かれている。磁石36の六面については、図3の符号で示すように前面36a、後面36b、上面36c、下面36d、側面36e,36eと呼ぶが、上下を反転して前面36aと後面36bとを逆にし、上面36cと下面36dとを逆にしてもよい。
【0022】
ホルダ44Aは平面視で略矩形であり、より具体的には平面視で枠状となっている。ホルダ44Aは、前壁44a、後壁44b、縦枠縁44c,44c、横枠縁(ストッパ)44d,44d、前柱44e,44e、後柱44f,44f、係合部44g,44gを有する。前壁44aはホルダ44Aの前面のほぼ全部を形成する。後壁44bはホルダ44Aの後面を形成する。前壁44aおよび後壁44bは磁石36の前面36aおよび後面36bに当接して挟持する。前壁44aと後壁44bとの間隔は摩擦力によって磁石36を軽く保持できる程度の嵌合い寸法にしてもよい。前壁44aと磁石36の横寸法は等しい。
【0023】
縦枠縁44cと横枠縁44dとは、装着凹部46から露呈する面で枠状に形成されている。縦枠縁44cは左右両端に一対設けられ、前壁44aと後壁44bとの左右両端の各下端部を接続している。縦枠縁44cの上下寸法はホルダ44Aの略半分程度である。縦枠縁44cは平面視の幅が工具Tで切断可能な程度に適度に狭くなっている。
【0024】
横枠縁44dは、前壁44aおよび後壁44bの各下端から枠内方向にやや突出する部分であって、磁石36の下面36dの縁に当接し、該磁石36が装着凹部46Aから抜けることを規制するストッパとして作用する。
【0025】
前柱44eは左右の縦枠縁44cの後端近傍から上に向けて突出している。後柱44fは前壁44aの左右両端部が厚くなっている部分である。前柱44eと後柱44fとは適度に離れており、それぞれ磁石36の側面36eに当接する。前柱44eおよび後柱44fは縦枠縁44cよりも横方向に適度に厚く、側面36eと縦枠縁44cとの間には隙間44hが形成される。隙間44hには工具Tの刃先Taが挿入可能となっている。
【0026】
磁石36は上面36c以外の5面がホルダ44Aに当接して安定する。また、上面36cは前壁44aおよび後壁44bの下端とともに同一面を形成し、それぞれ装着凹部46Aの底面46cに当接して安定する。
【0027】
係合部44gはホルダ44Aにおける左右両端の後部から上方に突出している。係合部44gの先端には後方に突出する爪44gaが設けられている。係合部44における爪44ga以外の部分は縦幅が後壁44bと等しく、該後壁44bの延長部に相当する。係合部44gと後壁44bとの間には上方に開口する切欠隙間44iが形成されている。係合部44gは横幅が後柱44fと等しくなっている。係合部44gと後柱44fとの間には上方に開口する切欠隙間44jが形成されている。係合部44gは横方向に適度な幅を有し、前後方向に薄い形状であって、爪44gaは前後方向に弾性的に変位可能となっている。爪44gaは前方に変位しても磁石36の後面36bと干渉しないように配置されている。係合部44gは前壁44aおよび後壁44bとともにホルダ44Aの周壁の一部を形成している。ホルダ44Aは樹脂成型体であって廉価に製造可能である。
【0028】
装着凹部46Aは、上カバー材28における本体筐体12の前面を形成する厚肉部28aと、該厚肉部28aの一部が後方に突き出された膨出部28bとに亘って形成されている。装着凹部46Aは基本的に有底である。装着凹部46Aの周辺の厚肉部28aおよび膨出部28bを装着周辺部48と呼ぶ。装着凹部46Aは、縦幅が装着周辺部48の略半分程度であって、該装着周辺部48の略中央に形成されている。装着凹部46Aは平面視で略矩形であるが、より具体的には、矩形部46aと、該矩形部26aの左右両側面の各途中部分に形成された切欠溝46bとを有する。切欠溝46bには工具Tの刃先Taが挿入可能となっている。
【0029】
係合部44gおよび後述する被係合部46dは、矩形であるホルダ44Aおよび装着凹部46Aにおいて本体筐体12の前縁12aに対向する位置の一辺を形成する後縁に沿って設けられている。また、2つの切欠溝46bはこれに直交する二辺である装着凹部46Aの両枠縁の途中部分に形成されている。
【0030】
矩形部46aはホルダ44Aが挿入される部分であり、ホルダ44Aおよび磁石36が装着凹部46Aの底面46cに当接して安定する。ホルダ44Aは少なくとも四隅が矩形部46aの周壁に当接する。装着されたホルダ44Aは下面がわずかに装着周辺部48より突出している。磁石36の下面36dと装着周辺部48の面はほぼ同一面上にある。
【0031】
装着凹部46Aの左右両端の後部には被係合部46dが形成されている。つまり、被係合部46dは、装着凹部46Aの周壁の一部に形成されている。図3では被係合部46dの一方を視認しやすいように膨出部28bの一部を切り欠いて図示している。被係合部46dは、例えば後方から前方に向かってTスロットなどの切削工具によって装着周辺部48の一部を削り取ることにより形成される。被係合部46dは底面46cよりもやや浅い位置から上カバー材28の内面28cに達する位置まで削り取られている。つまり、被係合部46dの前方は装着凹部46Aに対して開口しており、これを係合開口46daと呼ぶ。また被係合部46dは係合開口46daから後方(筐体の縁と反対側)に向けて連通している。
【0032】
本実施の形態では、ホルダ44Aおよび装着凹部46Aは平面視で略矩形であって本体筐体12の前縁12aに沿って設けられており、係合部44gおよび被係合部46dは前縁12aに対向する後側の一辺に沿って設けられている。そして、係合部44gの爪44gaは後方に向かって突出していることから、被係合部46dは上カバー材28の膨出部28bの一部に対して枠内側から枠外方向に向かって切削することで貫通孔として形成することができる。上カバー材28の枠内側は比較的広いスペースがあり、切削工具による作業がしやすい。また、厚肉部28aは内側面および外側面とも加工が不要であり、適度な厚みが確保されるとともに、外観に影響がない。
【0033】
また、係合部44gおよび被係合部46dは前縁12aに対向する後側の一辺に沿って設けられていることから、取付機構40Aの横幅を抑制することができアンテナエレメント38a,38bなど他の部品のレイアウトスペースが確保される。
【0034】
図6は、図2におけるVI~VI線視による断面側面図である。図7は、図2におけるVII~VII線視による断面側面図である。図8は、取付機構40Aによって上カバー材28に取り付けられた磁石36を取り外す様子を示す模式斜視図である。
【0035】
図6に示すように、被係合部46dは装着凹部46Aの後壁46eの上面に係合面46dbを形成する。そして、係合面46dbの前方部である係合開口46daに爪44gaが係合するようになっている。すなわち、磁石36を保持または収納したホルダ44Aを装着凹部46Aに嵌合させると、爪44gaが後壁46eに当接するため係合部44gは一旦前方に押し出されて弾性的に変位し、嵌合が完了すると爪44gaが被係合部46dの係合開口46daに係合し係合部44gは元の姿勢に復帰する。これによりホルダ44Aが装着凹部46Aから抜けることが防止される。すなわち、係合部44gと被係合部46dとはスナップフィット式に係合する。また、ホルダ44Aに収納された磁石36はホルダ44Aの横枠縁44dによって装着凹部46Aから抜けることが規制され、固定される。
【0036】
係合部44gおよび被係合部46dのない箇所では、図7に示すように、ホルダ44Aの前面が装着凹部46Aの前壁46fに隙間なく当接するとともに、後面が後壁46eに隙間なく当接して安定する。
【0037】
ところで、磁石36は製造工程で磁極を逆に取り付けてしまう懸念がある。このような場合には、まず図1に示すように、ニッパなどの工具Tによりホルダ44Aの2つの縦枠縁44cを切り取る。つまり、ホルダ44Aは装着凹部46Aから露呈する面が枠状に形成されていて、縦枠縁44cは適度に細く形成されており、その両側には切欠溝46bおよび隙間44hが形成されていることから、工具Tの一方の刃先Taを切欠溝46bに挿入し、他方の刃先Taを隙間44hに挿入することができ、縦枠縁44cを容易に切断することができる。縦枠縁44cの切断はカッターなどを用いてもよい。
【0038】
2か所の縦枠縁44cが切断されると、図8に示すようにホルダ44Aは前半体44Aαと後半体44Aβに分離される。係合部44gおよび被係合部46dはホルダ44Aおよび装着凹部46Aが形成する矩形の一辺に沿って設けられているのに対し、縦枠縁44cはこれに交差する二辺を構成していることから、分離された一方の前半体44Aαは装着凹部46Aに対して係合箇所がないためそのまま下方へ抜き取りが可能である。この状態で、磁石36をやや前方にずらすことにより後半体44Aβのストッパである横枠縁44dから外れるため該磁石36を下方へ抜き取りが可能である。さらに、後半体44Aβをやや前方にずらすことにより係合部44gが被係合部46dの係合から外れるため下方への抜き取りが可能となる。
【0039】
このようにして、本実施の形態にかかる電子機器10および取付機構40Aでは、廉価なホルダ44Aのみを処理をすることで、装着にミスのあった磁石36を取り外すことができる。したがって、磁石36および上カバー材28は再利用が可能であり、コストを抑制するとともに廃棄物を削減することができる。また、上記のアンテナエレメント38a,38bなどの部品は経時的に故障する場合もあり得る。取付機構40Aは、このような部品の取り付けに適用することにより故障部品のみを交換可能にする。
【0040】
(第2実施形態)
図9は、第2実施形態にかかる取付機構40Bの断面斜視図である。第2実施形態にかかる取付機構40Bでは上記のホルダ44Aおよび装着凹部46Aに代えてホルダ44Bおよび装着凹部46Bが適用される。ホルダ44Bにはホルダ44Aにおける係合部44g、切欠隙間44i,44jがなく、該係合部44gに相当する箇所に被係合部44Baが形成されている。切欠隙間44jがないためホルダ44Bの後柱44fは適度に厚くなっている。被係合部44Baは後柱44fの後面に形成された窪みである。
【0041】
装着凹部46Bでは被係合部46dがなく、代わりに先端に爪46Baaを備える係合部46Baが設けられている。係合部46Baの基端側は適度に薄く爪46Baaの部分は前後に弾性的に変位可能となっている。爪46Baaは上記の爪44gaと上下逆向きである。そして、ホルダ44Bは、装着凹部46Bに嵌め込まれることにより爪46Baaが被係合部46Aaに係合して抜けなくなる。この取付機構40Bと上記の取付機構40Aとを比較すれば理解されるように、係合部はホルダおよび装着凹部の一方の周壁に設けられ、被係合部は他方の周壁に設けられていればよい。
【0042】
(第3実施形態)
図10は、下カバー材30を取り外した状態で上カバー材28における取付機構40Cとその周辺部を下方から見た斜視図である。図11は、取付機構40Cを下方から見た分解斜視図である。図12は、図10におけるXII~XII線視による断面図である。
【0043】
第3実施形態にかかる取付機構40Cでは上記のホルダ44Aおよび装着凹部46Aに代えてホルダ44Cおよび装着凹部46Cが適用される。ホルダ44Cは、板50aと、該板50aの左右両端から上方に突出する係合部50bとを有しており、略コ字形状となっている。係合部50bは板状であり、外向きの爪50baを備える。係合部50bは板50aに対して弾性的に適度に屈曲可能である。板50aの後側には段差部50aaが設けられている。ホルダ44Cは縦幅が磁石36と同じであり、横幅は磁石36よりやや大きい。
【0044】
装着凹部46Cは、上カバー材28の前壁28dと、平面視コ字形状の凹部形成壁28eとによって囲われて形成されており、ホルダ44Cが嵌め合い可能な大きさとなっている。凹部形成壁28eにおける両壁内側には窪み形状の被係合部28eaが形成されている。凹部形成壁28eにおける後壁下縁には浅い切欠28ebが形成されている。切欠28ebは段差部50aaと対向するように形成されており、該段差部50aaとの間に狭い隙間52を形成する。装着凹部46Cの底面は上カバー材28の内面28cと同一面である。
【0045】
取付機構40Cでは、図11に示すように磁石36を装着凹部46C内に配置した状態でホルダ44Cを装着凹部46Cに嵌め込むことによって組み立てられる。係合部50bは磁石36の側面36eとの間に僅かな隙間があることから一時的に内側へ向けて弾性変形し、その後爪50baが被係合部28eaに嵌り込んで係合する。磁石36は前面36a、後面36b、上面36c、下面36dが、順に前壁28d、凹部形成壁28eの後壁部、内面28c、板50aに当接して安定する。
【0046】
取付機構40Cによって取り付けられた磁石36を取り外す際には、隙間52にドライバなどの工具Dを挿入して板50aを割ることによりホルダ44Cが装着凹部46Cから抜き取り可能になり、該ホルダ44Cを抜き取った後に磁石36を取り出せばよい。板50aを割るには上記のような工具Tを用いてもよい。取付機構40A,40B,40Cは、磁石36のような磁気部品およびアンテナエレメント38a,38bのような電気部品以外の部品についても適用可能である。
【0047】
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【符号の説明】
【0048】
10 電子機器
12 本体筐体(筐体、第1筐体)
14 ディスプレイ筐体(第2筐体)
26 ホールセンサ
28 上カバー材
36 磁石(部品)
38a,38b アンテナエレメント(部品)
40A,40B,40C 取付機構
44A,44B,44C ホルダ
44Ba 被係合部
44c 縦枠縁(枠縁)
44d 横枠縁(ストッパ)
44g,46Ba,50b 係合部
44ga,50ba,46Baa 爪
44h 隙間
46A,46B,46C 装着凹部
46b 切欠溝
28ea,46d,46Aa 被係合部
46da 係合開口
【要約】
【課題】コストを抑制するとともに廃棄物を削減することのできる部品の取付機構および電子機器を提供する。
【解決手段】取付機構40Aは、磁石36を収納するホルダ44Aと、ホルダ44Aが嵌込まれて装着される装着凹部46Aとを有する。ホルダ44Aは磁石36の装着凹部46Aからの抜けを規制する横枠縁44dを備え、ホルダ44Aが装着凹部46Aに嵌込まれることによってホルダ44Aの周壁に設けられた係合部44gと装着凹部46Aの周壁に設けられた被係合部46dとが係合しており、ホルダ44Aが装着凹部46Aに固定されている。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12